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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1374360
審判番号 不服2020-3258  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-09 
確定日 2021-05-20 
事件の表示 特願2017-32002号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年8月30日出願公開、特開2018-134302号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成29年2月23日の出願であって、平成31年4月3日付けで拒絶の理由が通知され、令和1年6月14日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月17日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月22日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年12月3日付け(送達日:同年同月10日)で拒絶査定がなされ、それに対して、令和2年3月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、これに対し、当審において、同年11月4日付けで拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和3年1月12日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和3年1月12日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載の事項により特定されるとおりのものであると認められ、当審で分説し、AないしIの符号を付与すると、次のとおりのものである。

「【請求項1】
A 始動条件の成立により、大当たりに当選したか否かを判定する判定手段と、
B 前記判定手段の判定結果に基づいて、図柄表示手段において図柄を変動表示させた後に、前記判定結果を示す図柄を停止表示させる図柄表示制御手段と、
C 前記判定手段が前記大当たりに当選したと判定した場合、前記図柄表示制御手段が前記図柄を停止表示させた後に、当選した大当たりに対応する特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
D 画像表示手段を含む演出手段と、
E 前記判定手段の判定結果に基づいて、前記画像表示手段において複数種類の演出図柄をリーチ態様で仮停止させてからハズレ態様で仮停止させるリーチ演出と、前記仮停止させた前記複数種類の演出図柄が前記ハズレ態様で停止しそうな状態から救済されたことを報知する救済成功演出とハズレであることを報知する救済失敗演出とがある救済演出と、前記救済演出の実行の可能性を示唆する特定予告演出とを含む複数の演出の中の1又は複数の演出を前記演出手段に実行させる演出制御手段と、
F 前記演出制御手段が、前記図柄の変動表示中において、前記リーチ演出及び前記救済演出を実行させる場合、当該リーチ演出の終了後であり前記仮停止中の第1の時期、または、当該リーチ演出の終了後であり前記仮停止中の当該第1の時期とは異なる第2の時期に前記特定予告演出が実行されることを可能とし、
G 当該リーチ演出の開始前に前記特定予告演出が実行されることを規制する規制手段が実行されることを規制する規制手段と
を具備し、
H 前記特定予告演出には、第1の特定予告演出と、当該第1の特定予告演出とは異なる第2の特定予告演出と、がある
I ことを特徴とする遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由のうち、理由1及び2は、以下のとおりのものである。

理由1
本件補正前の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由2
本件補正前の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


特開2016-209268号公報

第4 当審拒絶理由の検討

(1) 引用文献1の記載事項及び引用発明

ア 引用文献1の記載事項

当審拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-209268号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の記載がある(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。

引1-ア
「【0012】
<<遊技機の基本構成>>
図1は、本実施形態に係る遊技機100の正面図である。図1を参照して遊技機100の基本構成を説明する。遊技機100は、遊技盤101を含む他、図1に示された各構成部材を備える。尚、上下左右とは、特に記述無き限り、遊技機100及び遊技盤101に正対する遊技者から見た上下左右を指す。上下方向も左右方向も遊技盤101の盤面に平行である。上下方向は鉛直方向に平行であり、左右方向は水平方向に平行である。また特に記述無き限り、前方とは、遊技機100及び遊技盤101に正対する遊技者に対して近い方を指し、後方は、特に記述無き限り、遊技機100及び遊技盤101に正対する遊技者に対して遠い方を指す。」

引1-イ
「【0016】
遊技盤101の略中央部分には、液晶ディスプレイパネル等から成る画像表示部104が配置される。画像表示部104は各種の演出画像を表示する。例えば、画像表示部104は、特別図柄抽選(大当たり抽選とも称される)の抽選結果を表すための特別図柄に対応して設けられた装飾図柄を表示すると共に、遊技機100が特別図柄抽選の抽選結果を示すまでに行う演出に関する画像を表示する。画像表示部104は、普通図柄抽選の抽選結果を表すための図柄(普通装飾図柄)などをも表示して良い。」

引1-ウ
「【0033】
大当たりを示す態様で特別図柄を停止表示させると、遊技機100は、大当たり遊技状態となる。大当たり遊技状態では、大入賞口111を開放させるラウンド遊技を、当選した大当たりの種類(図7参照)に応じたラウンド分(例えば16ラウンド分)実行する大当たり遊技が行われる。大入賞口111の開放中に遊技球が大入賞口111へ入賞すると、遊技機100は所定個数の賞球を払い出す。大当たり遊技状態は、大当たり遊技が終了することによって終了する。大当たり遊技では、大入賞口111への遊技球の入賞によって賞球を得られる機会が与えられるため、大当たり遊技は大入賞口111が開放されない遊技(例えば通常遊技状態における遊技)よりも遊技者にとって有利である、と言える。ここにおける有利とは、大入賞口111の開放に伴い、遊技者がより多くの賞球を得やすい(得られる賞球の期待値が大きい)ことを意味する。」

引1-エ
「【0041】
<<遊技機の内部構成>>
図4を参照して、遊技機100の内部構成を説明する。図4は、遊技機100内の、制御に関わる部分のブロック図である。図4に示す如く、遊技機100に設けられた制御部400は、遊技の進行を制御する主制御部401と、賞球の払い出しを制御する賞球制御部402と、演出内容を制御する演出制御部403とを備えている。制御部400の他、図4に示される各構成要素が遊技機100に設けられる。例えば、図3の主制御基板301、賞球制御基板302及び演出制御基板303により、夫々、図4の主制御部401、賞球制御部402及び演出制御部403が形成され、図3の出力端子基板305は図4の盤用外部情報端子基板491を含む。
【0042】
[1.主制御部]
主制御部401は、CPU(Central Processing Unit)411と、ROM(Read Only Memory)412と、RAM(Random Access Memory)413と、不図示の入出力インターフェース(I/O)等を備えて構成される。主制御部401におけるCPU、ROM、RAMを、夫々、特に、メインCPU、メインROM、メインRAMとも呼ぶ。メインCPU411は、遊技の進行に関する各種プログラム等をメインROM412から読み出し、メインRAM413をワークエリアとして使用して、読み出したプログラムを実行する。図4に示す如く、メインROM412には、テーブルTAt、TZt、THt、FAt、FZt、FHt及びDKtが格納され、メインRAM413には、記憶領域413a?413jが設けられている。この他にも、様々なテーブルをメインROM412に格納しておくことができると共に、様々な記憶領域をメインRAM413に設けておくことができる。」

引1-オ
「【0046】
また、主制御部401には、図2の情報表示部114内の各種表示部が接続される(但し、図4において表示部204及び205の図示は省略)。主制御部401は、特別図柄抽選の抽選結果に基づき第1特別図柄表示部201a又は第2特別図柄表示部201bの表示制御を行い、普通図柄抽選の抽選結果に基づき普通図柄表示部202の表示制御を行う。更に、主制御部401は、保留情報数U1、U2及びU3に基づき保留表示部203の表示内容を制御する。」

引1-カ
「【0051】
始動口スイッチ処理は、第1及び第2始動口スイッチ処理から成る(図5参照)。第1始動口スイッチ処理において、メインCPU411は、第1始動口SW414aにより第1始動口105に入賞した遊技球が検出されたタイミング(即ち、始動口105への入賞に基づく第1始動条件の成立タイミング)で、カウンタ記憶領域413cの特図当たり乱数カウンタC1、特図図柄乱数カウンタC2及び特図変動パターン乱数カウンタC3のカウント値を取得し、取得したカウンタC1?C3のカウント値を、特図当たり乱数、特図図柄乱数及び特図変動パターン乱数として含んだ特図判定用情報(特図保留情報)をメインRAM413の特図判定用情報記憶領域413dに記憶させる。第2始動口スイッチ処理において、メインCPU411は、第2始動口SW414bにより第2始動口106に入賞した遊技球が検出されたタイミング(即ち、始動口106への入賞に基づく第2始動条件の成立タイミング)で、カウンタ記憶領域413cの特図当たり乱数カウンタC1、特図図柄乱数カウンタC2、特図変動パターン乱数カウンタC3のカウント値を取得し、取得したカウンタC1?C3のカウント値を特図当たり乱数、特図図柄乱数及び特図変動パターン乱数として含んだ特図判定用情報(特図保留情報)を、メインRAM413の特図判定用情報記憶領域413dに記憶させる。」

引1-キ
「【0055】
[1-2-3.特別図柄処理]
特別図柄処理を説明する(図5参照)。特別図柄処理において、メインCPU411は特図判定を実行する。特図判定は、特図当たり判定、特図図柄判定及び特図変動パターン判定から成る。上述の特別図柄抽選は、特図当たり判定及び特図図柄判定を含み、特図変動パターン判定を更に含むと考えても良い。故に、特図判定は特別図柄抽選を包含すると考えても良いし、特図判定と特別図柄抽選は互いに等価であると考えても良い。特別図柄処理において、メインCPU411は、特図判定用情報記憶領域413dに記憶されている特図判定用情報を用いて、特図当たり判定、特図図柄判定及び特図変動パターン判定を順次実行し、これらの判定結果を特図判定結果記憶領域413eに記憶させる。そして、特図変動パターン判定によって選択された特図変動パターンが示す変動時間だけ特別図柄の変動表示を行った後、特図当たり判定及び特図図柄判定の判定結果を示す図柄で(特図当たり判定及び特図図柄判定の判定結果を示す態様で)特別図柄を停止させる。
【0056】
メインCPU411は、特別図柄の変動表示を開始する際、特図当たり判定、特図図柄判定及び特図変動パターン判定の判定結果を含む変動開始コマンドをメインRAM413に設定することを通じて演出制御部403に対し変動演出の実行開始を指示し、特別図柄の変動を停止する際、変動停止コマンドをメインRAM413に設定することを通じて演出制御部403に対し変動演出の実行終了を指示する。また、特図当たり判定の結果が大当たり又は小当たりの当選を示しているとき、メインCPU411は、変動停止コマンドに続きオープニングコマンドをメインRAM413に設定することを通じて演出制御部403に対し当たり演出の実行開始を指示し、大当たり遊技又は後述の小当たり遊技の終了時においてエンディングコマンドをメインRAM413に設定することを通じて演出制御部403に対し当たり演出の実行終了を指示する。RAM413に設定されたこれらのコマンドは、後述の出力処理(図5参照)において演出制御部403に出力される。
【0057】
特別図柄処理において、メインCPU411は、特図判定用情報記憶領域413d内で最も優先順位を高く設定された特図判定用情報を判定対象(当該判定対象)TTとして取得し、判定対象TTの特図判定用情報を用いて特図当たり判定、特図図柄判定及び特図変動パターン判定を順次実行する。判定対象TTとなった特図判定用情報は記憶領域413dから消去されて(故に保留情報数U1又はU2が1だけ減少し)他の記憶領域(不図示)に移される。尚、特別図柄処理において、記憶領域413dに特図判定用情報が記憶されていない場合には、特図判定が行われることなく特別図柄処理を終える。
【0058】
特別図柄処理において、メインCPU411は、まず、メインROM412に記憶された特図当たり判定テーブルTAtと判定対象TTの特図当たり乱数との比較を伴う特図当たり判定を行う。
【0059】
図6に示すように、特図当たり判定テーブルTAtは、低確率特図当たり判定テーブルTAt1と、高確率特図当たり判定テーブルTAt2とから構成される。テーブルTAt1及びTAt2の夫々は、大当たりに対応付けられた所定の判定値を有して構成される。
【0060】
メインCPU411は、特図当たり判定時(即ち特別図柄抽選時)に、高確率遊技フラグがOFFに設定されていた場合にはテーブルTAt1を用いて特図当たり判定を行い、高確率遊技フラグがONに設定されていた場合にはテーブルTAt2を用いて特図当たり判定を行う。そして、メインCPU411は、判定対象TTの特図当たり乱数が大当たりに対応づけられた判定値と一致した場合には大当たりに当選したと判定し、そうでない場合にはハズレである(即ち大当たりに当選していない)と判定する。遊技機100の遊技状態は、高確率遊技フラグがONであるときに高確率遊技状態であり、高確率遊技フラグがOFFであるときに低確率遊技状態である。ここでは、大当たりの当選確率(特別図柄抽選の当選確率)が、低確率遊技状態、高確率遊技状態において、夫々、1/399、10/399となるように、特図当たり判定テーブルTAtが形成されているものとする。」

引1-ク
「【0072】
特別図柄処理に内包される特図図柄判定について説明する(図5参照)。メインCPU411は、メインROM412に記憶されている特図図柄判定テーブルTZtと判定対象TTの特図図柄乱数とを比較し、比較結果に基づいて、特別図柄をどのような図柄で停止させるかを決定するための特図図柄判定を行う。大当たりの当選時においては、当該比較結果に基づいて大当たりの種類が判定されることになる。」

引1-ケ
「【0075】
メインCPU411は、特別図柄処理において、特図変動パターンテーブルTHtと判定対象TTの特図当たり乱数、特図図柄乱数及び特図変動パターン乱数とに基づき、判定対象TTに対する特図変動パターンを判定する特図変動パターン判定を行う。特図変動パターンの判定は特図変動パターンの選択又は設定と同義である。特図変動パターンテーブルTHtには複数の特図変動パターンが含まれており、特図変動パターン判定において判定対象TTに対する1つの特図変動パターンが選択される。各特図変動パターンは、特別図柄の変動態様を定義したものであり、例えば、特別図柄の変動時間(特別図柄の変動表示が行われる時間の長さ)を定義している。」

引1-コ
「【0096】
[3.演出制御部]
演出制御部403は、CPU431と、ROM432と、RAM433と、不図示の入出力インターフェース(I/O)などを備えて構成される(図4参照)。演出制御部403におけるCPU、ROM、RAMを、夫々、特に、サブCPU、サブROM、サブRAMとも呼ぶ。サブCPU431は、遊技機100が行う演出の制御に関する各種プログラムをサブROM432から読み出し、サブRAM433をワークエリアとして使用して、読み出したプログラムを実行する。
【0097】
演出制御部403は、画像表示部104の表示制御やスピーカ115の音声出力制御を行う画像/音声制御部(不図示)と、演出ライト部116及び遊技盤101上の盤ランプ135の点灯制御並びに枠可動役物117及び盤可動役物130の駆動制御を行うランプ制御部(不図示)などを備える。また、演出制御部403には、遊技者からの操作を受け付ける演出ボタン121及び十字キー122が接続されている。演出制御部403は、演出ボタン121及び十字キー122に対する遊技者からの入力操作内容に応じた演出を行うことができる。
【0098】
演出制御部403は、変動演出を含む任意の演出を、演出実現要素(演出手段)を用いて実現する。即ち、演出制御部403は、演出実現要素を制御することで演出実現要素に所望の演出を行わせる(この表現における演出の主体は演出実現要素であるが、本実施形態の説明では、主として、演出制御部403が演出の主体であると捉える)。演出実現要素は、画像表示部104、スピーカ115、演出ライト部116、枠可動役物117、演出ボタン121、盤ランプ135及び盤可動役物130の内、少なくとも1つを含む。変動演出は、特別図柄の変動表示中、変動開始時及び変動終了時において演出制御部403により実行される演出を指し、特図判定の判定結果を示唆する演出を含む。尚、演出による示唆、報知、告知又は通知等は、特に記述無き限り、遊技者に対するものと考えて良い。また、特に記述無き限り、演出制御部403の制御による任意の画像及び図柄(装飾図柄等)の表示は、画像表示部104におけるそれらの表示を指す。」

引1-サ
「【0109】
<<各種演出の内容及び流れの説明>>
次に、演出制御部403が行うことのできる様々な演出、及び、その流れについて説明する。以下に述べる変動演出及び変動演出中の各種演出は、特に記述無き限り、注目した或る1つの特図判定用情報に対する変動演出(当該判定対象TTへの特図判定の結果に応じた変動演出)及び各種演出であると解される。また、以下では、遊技機100の遊技状態が低確率非電サポ遊技状態であって且つ判定対象TTは第1始動条件の成立に基づいて取得された特図判定用情報であると想定する。但し、遊技機100の遊技状態が低確率非電サポ遊技状態と異なる場合においても、また判定対象TTが第2始動条件の成立に基づいて取得された特図判定用情報である場合においても、以下に示す各種演出を実行可能である。
【0110】
演出制御部403は、変動演出において、特別図柄の変動表示の開始に同期して第1?第n装飾図柄の変動表示を開始した後、特別図柄の変動表示の停止に同期して判定対象TTの特図判定の結果に応じた態様で第1?第n装飾図柄の変動表示を停止させる。ここでnは、通常、2以上の任意の整数であるが、”n=1”でありうる。以下では、特に記述無き限り、n=3であるとする。
【0111】
第1?第3装飾図柄は、左図柄、右図柄及び中図柄から成る。画像表示部104には、左図柄が表示される左図柄表示領域、右図柄が表示される右図柄表示領域及び中図柄が表示される中図柄表示領域が設定される。左、右及び中図柄表示領域の内、画像表示部104に正対する遊技者から見て、左図柄表示領域が最も左に位置し、右図柄表示領域が最も右に位置する。
【0112】
[演出モードについて]
図9を参照し、演出制御部403は、主制御部401から受信したコマンド等に基づきつつ、所定の複数の演出モードの中から1つの演出モードを選択及び設定する。ここで選択される演出モードを、以下、対象演出モードと呼ぶことがある。演出制御部403は対象演出モードにて変動演出を含む各種の演出を行う。上記複数の演出モードには、第1?第4の演出モードとしての通常モード、確変モード、チャンスモード及び潜伏モードが含まれる。演出制御部403は、通常モード、確変モード、チャンスモード及び潜伏モード間において、互いに異なる演出を実行する。対象演出モードは、低確率非電サポ遊技状態において通常モード又は潜伏モードとされ、高確率電サポ遊技状態において確変モードとされ、低確率電サポ遊技状態においてチャンスモードとされ、高確率非電サポ遊技状態において潜伏モードとされる。低確率非電サポ遊技状態における対象演出モードは原則として通常モードであるが、低確率非電サポ遊技状態において小当たりが発生した場合、小当たり遊技の後、対象演出モードを所定の潜通移行条件が成立するまで潜伏モードに設定し、潜通移行条件の成立後に対象演出モードを通常モードに設定する。潜通移行条件は、例えば、小当たり遊技の後、特別図柄の変動回数(即ち特別図柄が変動表示を介して変動停止した回数)が所定回数(例えば30回)に達すると成立する。
【0113】
[リーチ演出]
演出制御部403は、変動演出において、第1?第n装飾図柄の内、第1?第(n-1)装飾図柄の変動表示を共通の図柄にて仮停止させた後、リーチ演出を行うことができる。ここでは、説明の具体化のため、第1及び第2装飾図柄が左図柄及び右図柄であると考える。そうすると、演出制御部403は、左図柄及び右図柄の変動表示を共通の図柄にて仮停止させた後、リーチ演出を行うことができる。
【0114】
装飾図柄の仮停止とは、厳密には装飾図柄を停止させていないが、遊技者に対しては、装飾図柄が停止したと認識させることが可能な態様で装飾図柄を画像表示部104上で微変動させる装飾図柄の変動表示態様である。具体的には例えば、第i装飾図柄を数字”2”が記された図柄にて仮停止させるとは、第i装飾図柄が数字”2”が記された図柄であることを遊技者が認識できるように、数字”2”が記された図柄を第i装飾図柄として画像表示部104における所定表示領域内で振動させつつ所定時間以上継続表示させることを意味する(iは整数)。」

引1-シ
「【0125】
[変動演出1200に注目した動作フローチャート]
図13は、変動演出1200に注目した遊技機100の動作フローチャートである。まずステップS11にて始動条件の成立により特図判定用情報1100が取得される。その後、特図判定用情報1100が判定対象TTとなったとき、ステップS12にて主制御部401により特図判定用情報1100に対して特図判定が行われる。すると、ステップS13にて、その特図判定の結果を含んだ変動開始コマンドが主制御部401から演出制御部403に送信される。続くステップS14にて、変動開始コマンドを受信した演出制御部403は、変動開始コマンドに含まれる特図判定の結果に基づき、変動演出1200の内容を決定するための変動演出内容決定処理を実行する。変動演出内容決定処理においては例えば、サブROM432に格納された複数の変動演出パターンの中から1の変動演出パターンを選択することで変動演出1200の内容を決定する。サブROM432に格納された複数の変動演出パターンの夫々は変動演出の内容を定義している。
【0126】
その後、ステップS15において、変動演出内容決定処理にて決定された変動演出(即ち選択された変動演出パターンに従う変動演出)が変動演出1200として開始される。特図判定用情報1100に対する特別図柄の変動表示の開始後、特図変動パターン判定の結果に基づく特別図柄の変動時間が経過すると、当該特別図柄の変動停止が行われると共に変動停止コマンドが主制御部401から演出制御部403に送信される(ステップS16)。演出制御部403は、変動停止コマンドを受信すると変動演出1200を終了する(ステップS17)。この際、特図判定用情報1100に対する特図判定の結果を示す態様で装飾図柄を画像表示部104に停止表示させる。」

引1-ス
「【0129】
図14に、メインROM412に記憶された特図変動パターンテーブルTHtの構成要素の例である特図変動パターンテーブルTHt_aを示す。以下では、特に記述無き限り、特図変動パターンテーブルTHt_aを用いて特図変動パターン判定が行われることを想定する。
【0130】
特図変動パターンテーブルTHt_aは、特図変動パターンTHp_a11?THp_a16及びTHp_a24?THp_a26に対して所定の判定値を対応づけたテーブルである。各特図変動パターンは、特別図柄の変動態様を定義したものであり、例えば特別図柄の変動時間(特別図柄の変動表示が行われる時間の長さ)を定義している。特図変動パターンTHp_a11?THp_a16及びTHp_a24?THp_a26における特別図柄の変動時間は、夫々、10秒、15秒、20秒、40秒、70秒、80秒、45秒、75秒、85秒である。
【0131】
特図変動パターンテーブルテーブルTHt_aは、テーブルTHt_a1及びTHt_a2を含んで構成される。メインCPU411は、特図当たり判定の判定結果がハズレの場合にはテーブルTHt_a1を選択し、特図当たり判定の判定結果が大当たり(特A、特B、通A及び通Bの何れかの大当たり)の当選を示す場合にはTHt_a2を選択する。
【0132】
そして、メインCPU411は、判定対象TTの特図変動パターン乱数が、選択テーブル(ここではTHt_a1又はTHt_a2)における特図変動パターンTHp_aiに対応付けられた判定値と一致する場合に、判定対象TTに対応する特図変動パターンとして特図変動パターンTHp_aiを選択及び設定する(ここで、iは11以上16以下の整数、又は、24、25若しくは26)。上述したように、特図変動パターン乱数は「0?499」の範囲内の整数をとる乱数である。
・・・
【0134】
図15に、第1実施形態に係る変動演出パターンテーブルHEtを示す。変動演出パターンテーブルHEtは、サブROM432に格納され、各々に変動演出の内容を定義した複数の変動演出パターン(特図変動演出パターン)を含む。変動演出パターンテーブルHEtにおける複数の変動演出パターンは、変動演出パターンHEp_a11?HEp_a16及びHEp_a24?HEp_a26を含む。ここでは、特図変動パターンTHp_a11?THp_a16及びTHp_a24?THp_a26に対して、夫々、変動演出パターンHEp_a11?HEp_a16及びHEp_a24?HEp_a26が1対1に対応付けられているものとする。即ち、判定対象TTとしての特図判定用情報1100に対し特図変動パターンTHp_a11?THp_a16、THp_a24?THp_a26が選択及び判定されたことを示す変動開始コマンドを受信すると、演出制御部403は、夫々、変動演出パターンHEp_a11?HEp_a16、HEp_a24?HEp_a26を選択し、選択した変動演出パターンによる変動演出を特図判定用情報1100に対する変動演出1200として実行する。」

引1-セ
「【0139】
変動演出パターンHEp_a14による変動演出1200では、弱リーチ演出を経て、遊技上の課題が達成されない様子を表す演出(主人公キャラクタZRが敵キャラクタAに敗北する(即ち倒される)様子を表す動画像の表示を含む)が行われると共に大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて画像表示部104の中央付近に仮停止表示される。遊技上の課題が達成されない様子を表す演出と、その後の、非ゾロ目の態様による第1?第3装飾図柄の仮停止表示とが、変動演出パターンHEp_a14のリーチハズレ示唆演出に含まれる。尚、リーチハズレ示唆演出の全部又は一部も変動演出パターンHEp_a14の弱リーチ演出に含まれる、と考えるようにしても良い。リーチハズレ示唆演出は、特図判定用情報1100がハズレであること(即ち特図判定用情報1100に対する特図判定の結果として大当たり遊技が実行されないこと)を遊技者に示唆する演出として機能する(後述の他の変動演出パターンによるリーチハズレ示唆演出についても同様)。
【0140】
変動演出パターンHEp_a14による変動演出1200では、リーチハズレ示唆演出の後、変動停止コマンドを受信すると大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて停止表示される。第1?第3装飾図柄を非ゾロ目の態様にて停止表示させる演出はハズレ告知演出に相当する。ハズレ告知演出は、特図判定用情報1100がハズレであること(即ち特図判定用情報1100に対する特図判定の結果として大当たり遊技が実行されないこと)を遊技者に最終的に告知及び明示する演出として機能する(後述の他の変動演出パターンによるハズレ告知演出についても同様)。」

引1-ソ
「【0144】
変動演出パターンHEp_a24による変動演出1200では、リーチ当たり示唆演出の後、変動停止コマンドを受信すると大サイズの第1?第3装飾図柄がゾロ目の態様にて停止表示される。第1?第3装飾図柄をゾロ目の態様にて停止表示させる演出は当たり告知演出に相当する。当たり告知演出は、特図判定用情報1100が大当たりであること(即ち特図判定用情報1100に対する特図判定の結果として大当たり遊技が実行されること)を遊技者に最終的に告知及び明示する演出として機能する(後述の他の変動演出パターンによる当たり告知演出についても同様)。」

引1-タ
「【0158】
[変動演出パターンHEp_a26]
図21を参照し、変動演出パターンHEp_a26による変動演出1200を説明する。変動演出パターンHEp_a26による変動演出1200では、所定の前段演出、強リーチ演出、リーチハズレ示唆演出、復活煽り演出、復活成功演出、当たり告知演出が、この順番で実行される。」

引1-チ
「【0166】
[復活煽り演出、復活失敗演出、復活成功演出]
図22を参照し、復活煽り演出、並びに、それに続く復活失敗演出及び復活成功演出を説明する。図22は、復活煽り演出が行なわれているときの画像表示部104の様子を示した図である。図16?図21では、図示の煩雑化防止のため盤可動役物130の図示を割愛したが(図21の復活成功演出の図示を除く)、図22では盤可動役物130を画像表示部104と共に示している(後述の図24、図25及び図27においても同様)。
【0167】
本実施形態において、復活煽り演出は、演出ボタン121を押下する操作の有無に関係なく実行される基本復活煽り演出と、演出ボタン121を押下する操作に応じて実行される追加復活煽り演出と、に大別される。
【0168】
基本復活煽り演出は、画像表示部104における、”立ち上がれ!!”という文字1510の表示と、敵キャラクタに倒された主人公キャラクタZRが立ち上がろうとする様子を示した動画像の表示と、主人公キャラクタZRに光が集まっていくように見えるエフェクト画像1520の表示と、を含む。
【0169】
演出制御部403は、基本復活煽り演出を行う際、基本復活煽り演出の態様を、特図判定用情報1100の特図判定の結果に応じて可変するようにしても良い。即ち例えば、演出制御部403は、図23に示す如く、基本復活煽り演出においてエフェクト画像1520の色を青色、緑色、赤色及び虹色の何れかとする。エフェクト画像1520の色を虹色とする場合、虹を構成する7色にてエフェクト画像1520が形成される。演出制御部403は、特図判定用情報1100がハズレであるとき、エフェクト画像1520の色が、60%、30%、10%の確率で、夫々、青色、緑色、赤色となるように、且つ、特図判定用情報1100が大当たりであるとき、エフェクト画像1520の色が、10%、30%、50%、10%の確率で、夫々、青色、緑色、赤色、虹色となるように、基本復活煽り演出を行うことができる。これにより、基本復活煽り演出の態様の一種であるエフェクト画像1520の色によって、復活成功演出が行なわれる期待度(即ち大当たりの期待度)を示唆することができる。演出制御部403は、エフェクト画像1520に対する、このような色の選択及び設定を、特図判定用情報1100の変動開始コマンドの解析結果と自身が発生する演出用乱数とを用いた抽選により実現できる。虹色のエフェクト画像1520は、大当たりである場合にしか表示されないので、虹色のエフェクト画像1520による基本復活煽り演出は大当たりの確定演出に相当する。」

引1-ツ
「【0180】
リーチハズレ示唆演出は、上述したように、特図判定用情報1100がハズレであること(即ち特図判定用情報1100に対する特図判定の結果として大当たり遊技が実行されないこと)を示唆する演出として機能するが、リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出が行なわれると、復活成功演出を介して当たり告知演出が行なわれるときと復活失敗演出を介してハズレ告知演出が行なわれるときとがある。故に、復活煽り演出(基本復活煽り演出及び追加復活煽り演出の夫々)は、特図判定用情報1100に対する特図判定の結果として大当たり遊技が実行される可能性が残存していることを示唆する演出と言える。」

引1-テ
「【0201】
[実施例EX2_4]
図31を参照し、実施例EX2_4を説明する。復活煽り演出を含む変動演出1200において、リーチ演出(弱リーチ演出又は強リーチ演出)を経て第1?第3装飾図柄が仮停止される期間は、第1仮停止期間とその後の第2仮停止期間に大別される。第2停止期間の後、第1?第3装飾図柄が本停止される期間である本停止期間が訪れる。第1?第3装飾図柄の本停止とは、第1?第3装飾図柄の仮停止とは異なり、第1?第3装飾図柄が完全に停止表示されている状態を指す。
【0202】
変動演出パターンHEp_16による変動演出1200に関し、第1仮停止期間において画像表示部104に所定の第1背景画像が表示されると共に第1背景画像上に第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様で仮停止表示された後、第2仮停止期間において画像表示部104に所定の第2背景画像が表示されると共に第2背景画像上に第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様で仮停止表示され、その後の本停止期間では、画像表示部104に第2背景画像が表示されると共に第2背景画像上に第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様で本停止表示される。
【0203】
第1背景画像は、リーチ演出又はリーチハズレ示唆演出を構成する画像の一種である。第2背景画像は、第1背景画像と異なる背景画像であり、例えば、変動演出1200の開始時点にて画像表示部104に表示される背景画像と一致する。
【0204】
変動演出パターンHEp_16又はHEp_26による変動演出1200に関し、復活煽り演出とそれに続く復活失敗演出又は復活成功演出は、第1仮停止期間中にのみ行われても良いし、第2仮停止期間中にのみ行われても良いし(即ち例えば背景画像が第2背景画像から第1背景画像に変更されてから行われても良いし)、第1仮停止期間及び第2仮停止期間中に(即ち第1仮停止期間及び第2仮停止期間を跨いで)行われても良い。
【0205】
図32(a)を参照し、変動演出パターンHEp_26による変動演出1200に関し、復活煽り演出が第1仮停止期間中にのみ行われる場合には、例えば、第1仮停止期間において画像表示部104に第1背景画像が表示されると共に第1背景画像上に第1?第3装飾図柄がまず非ゾロ目の態様で仮停止表示されるが、第1仮停止期間中に復活煽り演出を経て復活成功演出が実行される。この場合、第2仮停止期間にて第1?第3装飾図柄が第1背景画像上にゾロ目の態様で仮停止表示された後、本停止期間にて第1?第3装飾図柄が第1背景画像上にゾロ目の態様で本停止表示される。
【0206】
図32(b)を参照し、変動演出パターンHEp_26による変動演出1200に関し、復活煽り演出が第2仮停止期間中にのみ行われる場合には、例えば、第1仮停止期間において画像表示部104に第1背景画像が表示されると共に第1背景画像上に第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様で仮停止表示された後、第2仮停止期間において画像表示部104に所定の第2背景画像が表示されると共に第2背景画像上に第1?第3装飾図柄がまず非ゾロ目の態様で仮停止表示されるが、第2仮停止期間中の復活煽り演出及び復活成功演出を経て、第2仮停止期間内にて第1?第3装飾図柄が第2背景画像上にゾロ目の態様で仮停止表示され、その後の本停止期間にて第1?第3装飾図柄が第2背景画像上にゾロ目の態様で本停止表示される。
【0207】
図32(c)を参照し、変動演出パターンHEp_26による変動演出1200に関し、復活煽り演出が第1仮停止期間及び第2仮停止期間中に行われる場合には、例えば、第1仮停止期間において画像表示部104に第1背景画像が表示されると共に第1背景画像上に第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様で仮停止表示された後、第2仮停止期間において画像表示部104に所定の第2背景画像が表示されると共に第2背景画像上に第1?第3装飾図柄がまず非ゾロ目の態様で仮停止表示されるが、第1及び第2仮停止期間を跨いで実行される復活煽り演出を経て第2仮停止期間中に復活成功演出が実行される。復活成功演出の後、第2仮停止期間内にて第1?第3装飾図柄が第2背景画像上にゾロ目の態様で仮停止表示され、その後の本停止期間にて第1?第3装飾図柄が第2背景画像上にゾロ目の態様で本停止表示される。」


引1-ト
「【図1】



引1-ナ
「【図14】



引1-ニ
「【図15】



引1-ヌ
「【図32】



イ 引用文献1の記載より認定できる事項

引用文献1の記載事項より、以下の事項が認定できる。

(ア) 認定事項ア
【0016】には、「画像表示部104は各種の演出画像を表示する。」と記載され、また、図1より、遊技機100が画像表示部104を備える点が見て取れることから、「遊技機100は、各種の演出画像を表示する画像表示部104を備え」る点が認定できる。

(イ) 認定事項イ
【0042】には、「主制御部401は、CPU(Central Processing Unit)411と、ROM(Read Only Memory)412と、RAM(Random Access Memory)413と、不図示の入出力インターフェース(I/O)等を備えて構成される。主制御部401におけるCPU、ROM、RAMを、夫々、特に、メインCPU、メインROM、メインRAMとも呼ぶ。」と記載されていることから、「主制御部401はメインCPU411を備え」る点が認定できる。

(ウ) 認定事項ウ
【0046】には、「主制御部401は、特別図柄抽選の抽選結果に基づき第1特別図柄表示部201a又は第2特別図柄表示部201bの表示制御を行い、」と記載されていることから、「主制御部401は、特別図柄抽選の抽選結果に基づき特別図柄表示部の表示制御を行」う点が認定できる。

(エ) 認定事項エ
【0051】には、「第1始動口スイッチ処理において、メインCPU411は、第1始動口SW414aにより第1始動口105に入賞した遊技球が検出されたタイミング(即ち、始動口105への入賞に基づく第1始動条件の成立タイミング)で、カウンタ記憶領域413cの特図当たり乱数カウンタC1、特図図柄乱数カウンタC2及び特図変動パターン乱数カウンタC3のカウント値を取得し、取得したカウンタC1?C3のカウント値を、特図当たり乱数、特図図柄乱数及び特図変動パターン乱数として含んだ特図判定用情報(特図保留情報)をメインRAM413の特図判定用情報記憶領域413dに記憶させる。」と記載されていることから、「メインCPU411は、」「始動条件の成立タイミング」で、「カウンタC1?C3のカウント値」を「取得」し、「取得したカウンタC1?C3のカウント値」は、「特図当たり乱数、特図図柄乱数及び特図変動パターン乱数として含んだ特図判定用情報」であり、「メインRAM413の特図判定用情報記憶領域413dに記憶させ」ていることから、上記の記載より、「メインCPU411は、始動条件の成立タイミングで取得した特図当たり乱数、特図図柄乱数及び特図変動パターン乱数を特図判定用情報として記憶させ」る点が導き出せる。

(オ) 認定事項オ
【0055】には、「特図判定は、特図当たり判定、特図図柄判定及び特図変動パターン判定から成る。 上述の特別図柄抽選は、特図当たり判定及び特図図柄判定を含み、特図変動パターン判定を更に含むと考えても良い。故に、特図判定は特別図柄抽選を包含すると考えても良いし、特図判定と特別図柄抽選は互いに等価であると考えても良い。」と記載されていることから、判定図柄には特別図柄抽選が含まれる点が認定できる。

(カ) 認定事項カ
【0056】には、「メインCPU411は、特別図柄の変動表示を開始する際、特図当たり判定、特図図柄判定及び特図変動パターン判定の判定結果を含む変動開始コマンドをメインRAM413に設定することを通じて演出制御部403に対し変動演出の実行開始を指示し、特別図柄の変動を停止する際、変動停止コマンドをメインRAM413に設定することを通じて演出制御部403に対し変動演出の実行終了を指示する。」と記載されており、また、【0125】には、「特図判定の結果を含んだ変動開始コマンドが主制御部401から演出制御部403に送信される。」と記載され、【0126】には、「特図判定用情報1100に対する特別図柄の変動表示の開始後、特図変動パターン判定の結果に基づく特別図柄の変動時間が経過すると、当該特別図柄の変動停止が行われると共に変動停止コマンドが主制御部401から演出制御部403に送信される」と記載されていることから、メインCPU411は、変動開始コマンド又は変動停止コマンドを演出制御部403に送信するものと認められる。
以上のことから、「主制御部401のメインCPU411は、特別図柄の変動表示を開始する際、特図判定の判定結果を含む変動開始コマンドを演出制御部403に送信し、特別図柄の変動を停止する際、変動停止コマンドを演出制御部403に送信」する点が導き出せる。

(キ) 認定事項キ
【0139】、【0201】の記載における「第1?第3装飾図柄」の記載は、【0110】の記載における「第1?第n装飾図柄の・・・ここでnは、通常、2以上の任意の整数である」「以下では、特に記述無き限り、n=3であるとする。」の記載に基づけば、「第1?第n装飾図柄」であると認められる。

(ク) 認定事項ク
【0204】には、「復活煽り演出とそれに続く復活失敗演出又は復活成功演出は、第1仮停止期間中にのみ行われても良いし、第2仮停止期間中にのみ行われても良い」と記載されており、図32を参照すると、「第1仮停止期間」と「第2仮停止期間」は、相互に異なる期間であり、図32(a)に示されているように「第1仮停止期間」の間に「復活煽り演出」が行われる場合と、図32(b)に示されているように「第2仮停止期間」の間に「復活煽り演出」が行われる場合があることが見て取れることから、これらの記載より「復活煽り演出」が、「第1仮停止期間中にのみ行われ」る場合と、「第1仮停止期間中とは異なる第2仮停止期間中にのみ行われ」る場合がある点が認定できる。

(ケ) 認定事項ケ
図14及び図15を参照すると、特図変動パターンとしてTHp_a11?16、THp_a24?26の9通りがあり、変動演出パターンとしてHEp_a11?16、HEp_a24?26の9通りがある点が見て取れる。

ウ 引用発明

上記引1-アないし引1-ヌ摘記した引用文献1の記載事項、及び、上記認定事項アないしケより、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。なお、aないしiの符号は、本願発明の構成AないしIに対応させて当審にて付与した。

「a 遊技の進行を制御する主制御部401と、演出内容を制御する演出制御部403を備えた遊技機100であって(【0041】)、主制御部401はメインCPU411を備え(認定事項イ)、メインCPU411は、始動条件の成立タイミングで取得した特図当たり乱数、特図図柄乱数及び特図変動パターン乱数を特図判定用情報として記憶させ(認定事項エ)、図当たり判定テーブルTAtと特図当たり乱数との比較を伴う特図当たり判定(【0058】)、特図図柄判定テーブルTZtと特図図柄乱数とを比較し、比較結果に基づいて、特別図柄をどのような図柄で停止させるかを決定するための特図図柄判定(【0072】)、及び、特図変動パターンテーブルTHtと特図当たり乱数、特図図柄乱数及び特図変動パターン乱数とに基づき特図変動パターンを判定する特図変動パターン判定(【0075】)から成る特図判定を実行し(【0055】)、特図判定には特別図柄抽選が含まれ(認定事項オ)、
b 主制御部401は、特別図柄抽選の抽選結果に基づき特別図柄表示部201の表示制御を行い(認定事項ウ)、特図変動パターン判定によって選択された特図変動パターンが示す変動時間だけ特別図柄の変動表示を行った後、特図当たり判定及び特図図柄判定の判定結果を示す図柄で特別図柄を停止させ(【0055】)、
c 主制御部401のメインCPU411は、特図当たり乱数が大当たりに対応づけられた判定値と一致した場合には大当たりに当選したと判定し(【0060】)、大当たりを示す態様で特別図柄を停止表示させると、大当たり遊技を行い(【0033】)、
d 遊技機100は、各種の演出画像を表示する画像表示部104を備え(認定事項ア)、
e1 主制御部401のメインCPU411は、特別図柄の変動表示を開始する際、特図判定の判定結果を含む変動開始コマンドを演出制御部403に送信し、特別図柄の変動を停止する際、変動停止コマンドを演出制御部403に送信し(認定事項カ)、
e2 演出制御手段403は、画像表示部104の表示制御を行い(【0097】)、特別図柄の変動表示中、変動開始時及び変動終了時に変動演出を実行し(【0098】)、特別図柄の変動表示の開始に同期して第1?第n装飾図柄の変動表示を開始した後、特別図柄の変動表示の停止に同期して特図判定の結果に応じた態様で第1?第n装飾図柄の変動表示を停止させ(【0110】)、
e3 演出制御部403は、主制御部401から送信される変動開始コマンドに含まれる特図判定の結果に基づき、各々に変動演出の内容を定義した複数の変動演出パターンの中から1の変動演出パターンを選択することで、特図判定用情報に対する変動演出パターンの内容を決定して変動演出として実行し(【0125】、【0134】)、
e4 変動演出には、第1?第n装飾図柄の内、第1?第(n-1)装飾図柄の変動表示を共通の図柄で仮停止させ(【0113】)、第1?第n装飾図柄が非ゾロ目の態様にて振動させつつ所定時間以上継続表示させる仮停止表示させ、特図判定の結果として大当たり遊技が実行されないことを遊技者に示唆する演出としてのリーチハズレ示唆演出と(【0114】、【0139】、認定事項キ)、リーチハズレ示唆演出の後に行われ、特図判定の結果として大当たり遊技が実行される可能性が残存していることを示唆する演出である復活煽り演出と(【0180】)、リーチハズレ示唆演出の後に行われる復活成功演出と(【0180】)、リーチハズレ示唆演出の後に行われる復活失敗演出(【0180】)と、復活成功演出を介して特図判定の結果として大当たり遊技が実行されることを遊技者に最終的に告知する当たり告知演出(【0144】、【0180】)と、復活失敗演出を介して特図判定の結果として大当たり遊技が実行されないことを遊技者に最終的に告知及び明示するハズレ告知演出(【0140】、【0180】)が含まれ、
f、g 特図変動パターンとしてTHp_a11?16、THp_a24?26 の9通りがあり、変動演出パターンとしてHEp_a11?16、HEp_a24?26の9通りがあり、演出制御手段403は、特図変動パターンTHp_a26が選択及び判定されたことを示す変動開始コマンドを受信すると変動演出パターンHEp_a26を選択し、選択した変動演出パターンによる演出を特図判定用情報に対する変動演出として実行し(【0134】、認定事項ケ)、リーチハズレ示唆演出、復活煽り演出、復活成功演出、当たり告知演出を、この順番で実行し(【0158】)、第1?第n装飾図柄が仮停止される期間は、第1仮停止期間とその後の第2仮停止期間があり(【0201】)、復活煽り演出は第1仮停止期間中にのみ行われる場合と、第1仮停止期間中とは異なる第2仮停止期間中にのみ行われる場合があり(【0204】、図32、認定事項ク)、
h 復活煽り演出は、基本復活煽り演出と、追加復活煽り演出と、に大別され、基本復活煽り演出は、エフェクト画像1520の表示を含み、基本復活煽り演出においてエフェクト画像1520の色は青色、緑色、赤色及び虹色の何れかとされ、エフェクト画像1520の色によって、復活成功演出が行われる期待度を示唆することができる(【0167】-【0169】)
i 遊技機100(【0012】)。」

(2) 対比、検討

本願発明と引用発明とを対比する。(a)ないし(i)の符号は、本願発明の構成AないしIに対応させて合議体により付与した。

(a) 引用発明の構成aにおける「始動条件の成立タイミングで取得した特図当たり乱数」と「特図当たり判定テーブルTAt」「との比較を伴う特図当たり判定」は、「特図図柄判定」及び「特図変動パターン判定」とともに「特図判定」を成すものである。そして、この「特図判定」は「主制御部401」が備える「メインCPU411」により「実行」されるものである。
してみると、引用発明の構成aにおける「始動条件の成立タイミングで取得した特図当たり乱数」と「特図当たり判定テーブルTAt」「との比較を伴う特図当たり判定」を含む「特図判定を実行」する「主制御部401」の「メインCPU411」は、本願発明の「始動条件の成立により、大当たりに当選したか否かを判定する判定手段」としての機能を有する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Aに相当する構成を有する。

(b) 引用発明の構成bにおける「特別図柄抽選の抽選結果に基づき特別図柄表示部201の表示制御を行い」、「特図変動パターン判定によって選択された特図変動パターンが示す変動時間だけ特別図柄の変動表示を行」うことは、本願発明の「前記判定手段の判定結果に基づいて、図柄表示手段において図柄を変動表示させ」ることに相当する。
また、引用発明の構成bにおける「特別図柄の変動表示を行った後、特図当たり判定及び特図図柄判定の判定結果を示す図柄で特別図柄を停止させ」ることは、本願発明の「図柄を変動表示させた後に、前記判定結果を示す図柄を停止表示させる」ことに相当する。
したがって、引用発明の構成bにおける「特別図柄抽選の抽選結果に基づき特別図柄表示部201の表示制御を行い」、「特図変動パターン判定によって選択された特図変動パターンが示す変動時間だけ特別図柄の変動表示を行った後、特図当たり判定及び特図図柄判定の判定結果を示す図柄で特別図柄を停止させ」る「主制御部401」は、本願発明の「前記判定手段の判定結果に基づいて、図柄表示手段において図柄を変動表示させた後に、前記判定結果を示す図柄を停止表示させる図柄表示制御手段」としての機能を有する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Bに相当する構成を有する。

(c) 引用発明の構成cにおける「特図当たり乱数が大当たりに対応づけられた判定値と一致した場合には大当たりに当選したと判定し」、「大当たりを示す態様で特別図柄を停止表示させると、大当たり遊技を行」う「主制御部401のメインCPU411」は、本願発明の「前記判定手段が前記大当たりに当選したと判定した場合、前記図柄表示制御手段が前記図柄を停止表示させた後に、当選した大当たりに対応する特別遊技を実行する特別遊技実行手段」としての機能を有する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Cに相当する構成を有する。

(d) 引用発明の構成dにおける「各種の演出画像を表示する画像表示部104」は、本願発明の「画像表示手段を含む演出手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Dに相当する構成を有する。

(e-1) 引用発明の構成e1及びe3における「主制御部401のメインCPU411」が「特別図柄の変動表示を開始する際」、「送信し」た「変動開始コマンドに含まれる特図判定の結果」は、本願発明の「前記判定手段の判定結果」に相当する。
また、引用発明の構成e3における「特図判定の結果に基づき、各々に変動演出の内容を定義した複数の変動演出パターンの中から1の変動演出パターンを選択することで、特図判定用情報に対する変動演出パターンの内容を決定して変動演出として実行」することは、本願発明の「前記判定手段の判定結果に基づいて、」「複数の演出の中の1又は複数の演出を」「実行」することに相当する。
そして、引用発明の構成e2における「画像表示部104の表示制御を行い」、「変動演出を実行」する「演出制御手段403」は、本願発明の「複数の演出の中の1又は複数の演出を」「画像表示手段を含む演出手段」「に実行させる」「演出制御手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成e1ないしe3における「画像表示部104の表示制御を行い」、「主制御部401のメインCPU411」が「特別図柄の変動表示を開始する際」、「送信し」た「変動開始コマンド含まれる特図判定の結果に基づき、各々に変動演出の内容を定義した複数の変動演出パターンの中から1の変動演出パターンを選択することで、特図判定用情報に対する変動演出パターンの内容を決定して変動演出として実行」する「演出制御手段403」は、本願発明の「前記判定手段の判定結果に基づいて、前記画像表示手段において」「複数の演出の中の1又は複数の演出を前記演出手段に実行させる演出制御手段」に相当する。
(e-2) 引用発明の構成e4における「第1?第n装飾図柄の内、第1?第(n-1)装飾図柄の変動表示を共通の図柄で仮停止させ、」「第1?第n装飾図柄を非ゾロ目の態様にて振動させつつ所定時間以上継続表示させる仮停止表示させ、特図判定の結果として大当たり遊技が実行されないことを遊技者に示唆する演出としてのリーチハズレ示唆演出」は、本願発明の「複数種類の演出図柄をリーチ態様で仮停止させてからハズレ態様で仮停止させるリーチ演出」に相当する。
(e-3) 引用発明の構成e4における「第1?第n装飾図柄を非ゾロ目の態様にて振動させつつ所定時間以上継続表示させる仮停止表示させ、特図判定の結果として大当たり遊技が実行されないことを遊技者に示唆する」「リーチハズレ示唆演出の後に行われ」る「変動演出」であって、当該変動演出を「介して」「当たり告知演出」が行われる「復活成功演出」は、本願発明の「前記仮停止させた前記複数種類の演出図柄が前記ハズレ態様で停止しそうな状態から救済されたことを報知する救済成功演出」に相当する。
(e-4) 引用発明の構成e4における「リーチハズレ示唆演出の後に行われる復活失敗演出」及び「復活失敗演出を介して特図判定の結果として大当たり遊技が実行されないことを遊技者に最終的に告知及び明示するハズレ告知演出」は、本願発明の「ハズレであることを報知する救済失敗演出」に相当する。
(e-5) 引用発明の構成e4における「リーチハズレ示唆演出の後に行われ、特図判定の結果として大当たり遊技が実行される可能性が残存していることを示唆する演出である復活煽り演出」は、本願発明の「前記救済演出の実行の可能性を示唆する特定予告演出」に相当する。
(e-6) 引用発明の構成e4における「変動演出には、」「リーチハズレ示唆演出と」、「復活成功演出と」、「復活失敗演出と」、「復活煽り演出」が「含まれ」ることは、本願発明の「複数の演出」が「リーチ演出と、」「救済成功演出と」「救済失敗演出とがある救済演出と」、「特定予告演出とを含む」ことに相当する。
(e-7) 上記(e-1)ないし(e-6)より、引用発明は、本願発明の構成Eに相当する構成を有する。

(f-1) 引用発明の構成f、gにおける「演出制御手段403は、特図変動パターンTHp_a26が選択及び判定されたことを示す変動開始コマンドを受信すると変動演出パターンHEp_a26を選択し、選択した変動演出パターンによる演出を特図判定用情報に対する変動演出として実行」することにおいて、「変動演出パターンHEp_a26」は、構成e3において「変動演出パターン」について特定されたように「変動演出の内容を定義した」ものであり、「変動演出」は構成e2に特定されたように、「特別図柄の変動表示中、変動開始時及び変動終了時」に実行される演出であるから、「変動演出パターンHEp_a26」に基づく演出は、本願発明の構成Fにおける「前記図柄の変動表示中」の演出であるといえ、また、引用発明の構成f、gにおける「リーチハズレ示唆演出、復活煽り演出、復活成功演出」「を、この順番で実行」することは、「復活成功演出」が「リーチハズレ示唆演出」より後に実行されることを示したものであるから、本願発明の構成Fにおける「前記リーチ演出及び前記救済演出を実行させる場合、当該リーチ演出の終了後」「に前記特定予告演出が実行されることを可能と」することに相当する。
(f-2) 引用発明の構成f、gにおける「第1?第n装飾図柄が仮停止される期間」である「第1仮停止期間」と「その後の」「仮停止期間」である「第1仮停止期間中とは異なる」「第2仮停止期間」は、本願発明の構成Fにおける「仮停止中の第1の時期」と「前記仮停止中の当該第1の時期とは異なる第2の時期」に相当する。
(f-3) 上記(f-1)及び(f-2)より、引用発明の構成f、gにおける「演出制御手段403は、特図変動パターンTHp_a26が選択及び判定されたことを示す変動開始コマンドを受信すると変動演出パターンHEp_a26を選択し、選択した変動演出パターンによる演出を特図判定用情報に対する変動演出として実行し」、「リーチハズレ示唆演出、復活煽り演出、復活成功演出」「を、この順番で実行」し、「復活煽り演出は第1仮停止期間中にのみ行われる場合と、」「第1仮停止期間中とは異なる第2仮停止期間中にのみ行われる場合がある」ことは、本願発明の「前記演出制御手段が、前記図柄の変動表示中において、前記リーチ演出及び前記救済演出を実行させる場合、当該リーチ演出の終了後であり前記仮停止中の第1の時期、または、当該リーチ演出の終了後であり前記仮停止中の当該第1の時期とは異なる第2の時期に前記特定予告演出が実行されることを可能と」することに相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Fに相当する構成を有する。

(g) 引用発明の構成f、gにおける「演出制御手段403は、特図変動パターンTHp_a26が選択及び判定されたことを示す変動開始コマンドを受信すると変動演出パターンHEp_a26を選択し、選択した変動演出パターンによる演出を特図判定用情報に対する変動演出として実行し」、「リーチハズレ示唆演出、復活煽り演出、復活成功演出を、この順番で実行」することは、「変動演出パターンHEp_a26」が「特別図柄の変動表示中」の変動演出を規定したものであり、「リーチハズレ示唆演出」と「復活成功演出」の実行の順番が規定されたものであるから、「復活煽り演出」は「リーチハズレ示唆演出」の後に実行され、「リーチハズレ示唆演出」の開始前には実行されないことを示しているといえる。
そして、引用発明において、「復活煽り演出」が「リーチハズレ示唆演出」の開始前には実行されないのだから、当該「復活煽り演出」は「リーチハズレ示唆演出」の開始前に実行されないように規制されているといえる。
してみると、引用発明の構成f、gにおける「演出制御部403は、」「リーチハズレ示唆演出、復活煽り演出、復活成功演出」「を、この順番で実行」することは、本願発明の「前記演出制御手段が、」「当該リーチ演出の開始前に前記特定予告演出が実行されることを規制する規制手段とを具備」することに相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Gに相当する構成を有する。

(h) 引用発明は、構成hにおいて「復活煽り演出は、基本復活煽り演出と、追加復活煽り演出と、に大別され、基本復活煽り演出は、エフェクト画像1520の表示を含み、基本復活煽り演出においてエフェクト画像1520の色は青色、緑色、赤色及び虹色の何れかとされ」る点が特定されていることから、「基本復活煽り演出」には、「エフェクト画像1520の色」が「青色」、「緑色」、「赤色」及び「虹色」であるものがそれぞれ存在すると認められる。
そして、それらの「基本復活煽り演出」は、それぞれが異なる演出であるといえるから、引用発明の構成hにおける「エフェクト画像1520の色」が「青色」の「基本復活煽り演出」、「エフェクト画像1520の色」が「緑色」の「基本復活煽り演出」は、それぞれ、本願発明における「第1の特定予告演出」、「当該第1の特定予告演出とは異なる第2の特定予告演出」に相当するといえる。
してみると、引用発明の構成hにおける「復活煽り演出は、基本復活煽り演出と、追加復活煽り演出と、に大別され、基本復活煽り演出は、エフェクト画像1520の表示を含み、基本復活煽り演出においてエフェクト画像1520の色は青色、緑色、赤色及び虹色の何れかとされ」ることは、本願発明の「前記特定予告演出には、第1の特定予告演出と、当該第1の特定予告演出とは異なる第2の特定予告演出と、がある」ことに相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Hに相当する構成を有する。

(i) 引用発明の構成iにおける「遊技機100」は、本願発明の「遊技機」に相当する。

してみると、引用発明は、本願発明の構成AないしIを全て有しており、本願発明と引用発明との対比において、両者の間に相違点は見いだせない。
したがって、本願発明は、引用発明である。
また、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3) 請求人の主張について

請求人は、令和3年1月12日提出の意見書において、「引用文献1に記載された発明には、補正後の請求項1に係る発明の特徴における、「前記特定予告演出には、第1の特定予告演出と、当該第1の特定予告演出とは異なる第2の特定予告演出と、がある」に相当する発明が記載されていることは認められない。したがって、補正後の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。」と主張している。

しかしながら、上記引1-チに示したように、引用文献1の【0166】-【0169】には、引用発明の構成hとして示した「復活煽り演出は、基本復活煽り演出と、追加復活煽り演出と、に大別され、基本復活煽り演出は、エフェクト画像1520の表示を含み、基本復活煽り演出においてエフェクト画像1520の色は青色、緑色、赤色及び虹色の何れかとされ、エフェクト画像1520の色によって、復活成功演出が行われる期待度を示唆することができる」ようにする構成が記載されていると認められ、上記(2)(h)において検討したように、上記の構成は、本願発明における、「前記特定予告演出には、第1の特定予告演出と、当該第1の特定予告演出とは異なる第2の特定予告演出と、がある」の記載によって特定される構成に相当すると認められることから、請求人が主張する補正後の請求項1に係る発明の特徴は、引用文献1に記載されており、請求人の主張は採用できない。

第5 結び

以上のことから、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
また、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-03-02 
結審通知日 2021-03-16 
審決日 2021-03-30 
出願番号 特願2017-32002(P2017-32002)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
P 1 8・ 113- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 昌宏  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 佐藤 高之
▲高▼橋 祐介
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人JAZY国際特許事務所  

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