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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1374665
審判番号 不服2019-13061  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-01 
確定日 2021-06-10 
事件の表示 特願2016-223113号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月24日出願公開、特開2018- 79057号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成28年11月16日の出願であって、平成31年1月4日付けで拒絶の理由が通知され、同年2月27日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和1年7月11日付け(謄本送達日:同年7月23日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年10月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。


第2 令和1年10月1日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

本件補正を却下する。

[理由]

1 本件補正について
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、補正前の請求項1及び請求項2が削除されることにより、請求項の数が4から2へと減少し、補正前の請求項3が請求項1に、補正前の請求項4が請求項2にそれぞれ繰り上がるとともに、それぞれにさらに限定を付したものである。
本件補正により、特許請求の範囲の請求項4は、
(補正前:平成31年2月27日付け手続補正書でした手続補正)
「【請求項4】
始動条件の成立に基づき、識別情報が変動するゲームを実行可能な遊技機において、
前記ゲームに対応する演出表示を表示可能な表示装置と、
遊技者が操作可能な第1操作手段と、
遊技者が操作可能であって、前記第1操作手段とは異なる他の操作手段と、
発光可能な複数の発光手段と、
所定の音を出力可能な複数の音出力手段と、を備え、
前記複数の発光手段のうちの一の発光手段と前記第1操作手段の所定位置とを通る仮想的な第1直線又は第1平面と、前記複数の発光手段のうちの他の発光手段と前記第1操作手段とは異なる他の操作手段の所定位置とを通る仮想的な第2直線又は第2平面とにより仮想的に規制された第1仮想規制領域と、
前記複数の音出力手段のうちの一の音出力手段と前記第1操作手段の所定位置とを通る仮想的な第3直線又は第3平面と、前記複数の音出力手段のうちの他の音出力手段と前記第1操作手段とは異なる他の操作手段の所定位置とを通る仮想的な第4直線又は第4平面とにより仮想的に規制された第2仮想規制領域と、が形成され、
前記表示装置は、前記発光手段の光量調整に関連する画像と、前記音出力手段から出力される所定の音の音量調整に関連する画像と、を同時に表示可能であって、
前記光量調整に関連する画像を前記第1仮想規制領域に対応する前記表示装置の表示領域内に表示するとともに、前記音量調整に関連する画像を前記第2仮想規制領域に対応する当該表示装置の表示領域内に表示することを特徴とする遊技機。」から、

(補正後:令和1年10月1日付け手続補正書でした手続補正)
「【請求項2】
A 始動条件の成立に基づき、識別情報が変動するゲームを実行可能な遊技機において、
B1 前記ゲームに対応する演出表示を表示可能な表示装置と、
C1 遊技者が操作可能な第1操作手段と、
C2 遊技者が操作可能であって、前記第1操作手段とは異なる他の操作手段と、
D1 発光可能な複数の発光手段と、
E1 所定の音を出力可能な複数の音出力手段と、を備え、
E2 前記複数の音出力手段は、当該遊技機の前面側の左右に配設され、
D2 前記複数の発光手段は、当該遊技機の前面側の左右に配設され、
C3 前記第1操作手段と前記他の操作手段は、当該遊技機の前面側に左右方向に配設され、
F1 前記複数の発光手段のうちの一の発光手段と前記第1操作手段の所定位置とを通る仮想的な第1直線又は第1平面と、前記複数の発光手段のうちの他の発光手段と前記他の操作手段の所定位置とを通る仮想的な第2直線又は第2平面とにより仮想的に規制された第1仮想規制領域と、
F2 前記複数の音出力手段のうちの一の音出力手段と前記第1操作手段の所定位置とを通る仮想的な第3直線又は第3平面と、前記複数の音出力手段のうちの他の音出力手段と前記他の操作手段の所定位置とを通る仮想的な第4直線又は第4平面とにより仮想的に規制された第2仮想規制領域と、が形成され、
B2 前記表示装置は、前記発光手段の光量調整に関連する画像と、前記音出力手段から出力される所定の音の音量調整に関連する画像と、を同時に、かつ左右方向に配設した態様で、当該表示装置の表示領域のうちの前記第1仮想規制領域と前記第2仮想規制領域が重複する領域内に表示可能である
A ことを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した。また、符号A-F2は、当審にて分説して付した。)。

2 補正の適否
(1)本件補正
本件補正は、補正前の請求項4について、
発明を特定するために必要な事項である「複数の音出力手段」について、「当該遊技機の前面側の左右に配設され」るものであるという限定を加え、
同「複数の発光手段」について、「当該遊技機の前面側の左右に配設され」るものであるという限定を加え、
同「第1操作手段」及び「他の操作手段」について、「当該遊技機の前面側に左右方向に配設され」るものであるという限定を加え、さらに、
同「前記第1仮想規制領域に対応する前記表示装置の表示領域内に表示」される「光量調整に関連する画像」、及び、同「前記第2仮想規制領域に対応する当該表示装置の表示領域内に表示」される「前記音量調整に関連する画像」について、「左右方向に配設した態様で、当該表示装置の表示領域のうちの前記第1仮想規制領域と前記第2仮想規制領域が重複する領域内に表示可能」であるという限定を加えるものである。

(2)補正目的
上記(1)の本件補正は、補正前の請求項4に係る発明の発明特定事項に限定を加えるものであって、補正後の請求項2に係る発明は、補正前の請求項4に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項2についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

(3)新規事項
本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面の【0010】、【0011】、【0149】、【0812】、図1、図149、図181、図185の記載からみて新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 本件補正発明の独立特許要件についての検討
上記2(2)のとおり、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項2についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正であるから、本件補正後の特許請求の範囲の請求項2に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、本件補正により補正された、上記第2の1で補正後として示した特許請求の範囲の請求項2に記載されたとおりのものである。

(2)引用文献1に記載された発明
原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-179105号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。

ア 記載事項
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0008】
そこで、本発明は、実行中の演出における演出効果の低下を抑えることができる遊技機を提供することを目的とする。」

(イ)「【0025】
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板(図示せず)と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く)とを含む構造体である。・・・
【0028】
打球供給皿(上皿)3を形成する部材には、例えば上皿本体の上面における手前側の所定位置(例えばスティックコントローラ122の上方)などに、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン120が設けられている。プッシュボタン120は、遊技者からの押下操作などによる所定の指示操作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されていればよい。プッシュボタン120の設置位置における上皿の本体内部などには、プッシュボタン120に対してなされた遊技者の操作行為を検知するプッシュセンサ124(図5を参照)が設けられていればよい。図1に示す構成例では、プッシュボタン120とスティックコントローラ122の取付位置が、上皿及び下皿の中央部分において上下の位置関係にある。これに対して、上下の位置関係を保ったまま、プッシュボタン120及びスティックコントローラ122の取付位置を、上皿及び下皿において左右のいずれかに寄せた位置としてもよい。あるいは、プッシュボタン120とスティックコントローラ122の取付位置が上下の位置関係にはなく、例えば左右の位置関係にあるものとしてもよい。
【0029】
遊技領域7の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された演出表示装置9が設けられている。演出表示装置9の表示画面には、第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄の可変表示を行う演出図柄表示領域がある。よって、演出表示装置9は、演出図柄の可変表示を行う可変表示装置に相当する。演出図柄表示領域には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの装飾用(演出用)の演出図柄を可変表示する図柄表示エリアがある。図柄表示エリアには「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアがあるが、図柄表示エリアの位置は、演出表示装置9の表示画面において固定的でなくてもよいし、図柄表示エリアの3つ領域が離れてもよい。演出表示装置9は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。演出制御用マイクロコンピュータが、第1特別図柄表示器8aで第1特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置9で演出表示を実行させ、第2特別図柄表示器8bで第2特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置9で演出表示を実行させるので、遊技の進行状況を遊技者に把握しやすくすることができる。」

(ウ)「【0045】
第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件または第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14を通過(入賞を含む)したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、遊技球が通過するとは、入賞口やゲートなどのあらかじめ入賞領域として定められている領域を遊技球が通過したことであり、入賞口に遊技球が入った(入賞した)ことを含む概念である。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。」

(エ)「【0058】
遊技盤6の下部には、入賞しなかった打球が取り込まれるアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部および左右下部には、所定の音声出力として効果音や音声を発声する4つの27が設けられている。遊技領域7の外周には、前面枠に設けられた枠LED28が設けられている。」

(オ)「【0066】
図2は、パチンコ遊技機の打球供給皿を上面からみた上面図である。上述のように打球供給皿(上皿)3を形成する部材には、例えば打球供給皿3本体の上面における手前側の所定位置(例えばスティックコントローラ122の上方)などに、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン120が設けられている。打球供給皿3には、借り受けた遊技球を貯留し、貯留する遊技球が打球供給皿3から流下する遊技球を一列に整列させて発射装置(図示せず)に遊技球を供給する。また、打球供給皿3本体の上面(例えば、側壁上面など)、例えばスティックコントローラ122の上方であって、打球供給皿3本体上面右側には、表示操作領域200Aが設けられている。
【0067】
表示操作領域200Aには、遊技者が演出に応じて動作可能な十字方向コントローラ201、貸与スイッチ203及び返却スイッチ204、残額表示装置205が配置されている。残額表示装置205は、遊技者により投入された金額の残高に応じた金額情報を表示するものである。貸与スイッチ203は、残額表示装置205に表示される金額の範囲内かつ予め定められた金額単位に相当する遊技球を貸与要求するためのものであり、遊技者による貸与スイッチ203の操作に応じて遊技球が打球供給皿3に排出される。返却スイッチ204は、残額表示装置205に表示された残高が記録されたICカード(磁気カード、磁気コイン、ICコインなど)を返却要求するためのものであり、遊技者による返却スイッチ204の操作に応じて残高が記録されたICカードが遊技者に排出される。なお、ICカードには、残高情報の他に、遊技球の計数情報などが記憶されていてもよい。
【0068】
十字方向コントローラ201は、略円環状に形成されている。十字方向コントローラ201は、略円環の上方向に対応する第1スイッチ201Aと、該略円環中心の回転軸に対して上方向と対向する下方向に対応する第2スイッチ201Bと、該略円環の上下方向とは異なる該略円環の左方向に対応する第3スイッチ201Cと、該略円環中心の回転軸に対して左方向と対向する右方向に対応する第4スイッチ201Dとが一体となって構成される。ここで、上方向とは遊技者に対して遊技盤6側の方向のことであり、下方向とは遊技盤6に対して遊技者側の方向のことであり、左方向とは遊技者が遊技盤6を正面に見たときの左方向のことであり、右方向とは遊技者が遊技盤6を正面に見たときの右方向のことである。
【0069】
すなわち、十字方向コントローラ201は、第1方向(例えば上方向)に対応する第1スイッチ201Aと、第1方向と対称に配置される第2方向(例えば下方向)に対応する第2スイッチ201Bと、第1方向、第2方向とは異なる第3方向(例えば左方向)に対応する第3スイッチ201Cと、第3方向とは対称に配置される第4方向(例えば右方向)に対応する第4スイッチ201Dとの4つのスイッチが一体となった形状で、かつ略円環状に構成されている。
【0070】
なお、十字方向コントローラ201が略円環状である場合について説明したが、この実施の形態は、これに限定されず、例えば、略十字状に形成されていてもよく、略十字の上端に対応する第1スイッチを配置し、略十字の下端に対応する第2スイッチを配置し、略十字の左端に対応する第3スイッチを配置し、略十字の右端に対応する第4スイッチを配置して、第1スイッチと、第2スイッチと、第3スイッチと、第4スイッチとが一体となった形状で略十字状に配置されていてもよい。また、十字方向コントローラ201がX字状に形成され、略X字の対応する端部にそれぞれの第1スイッチと、第2スイッチと、第3スイッチと、第4スイッチとが一体となった形状で、かつ略X字状に配置されていてもよいし、ある形状に対して4つのスイッチが対応する端部に対して配置されるものであってもよい。
【0071】
また、十字方向コントローラ201の下部における上皿上面の本体内部などには、十字方向に対する操作を検知する十字方向センサユニット123B(図5を参照)が設けられている。十字方向センサユニット123Bは、第1スイッチ、第2スイッチ、第3スイッチ、第4スイッチのそれぞれにおいて遊技者による各種スイッチ操作を、スイッチごとに検出可能に構成されている。
【0072】
十字方向コントローラ201は、演出制御用マイクロコンピュータ100において実行される各種演出に対する遊技者の各種調整や操作などをするためのものである。」

(カ)「【0090】
また、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段が、ランプドライバ基板35を介して、枠側に設けられている枠LED28の表示制御を行うとともに、音声出力基板70を介してスピーカ27からの音出力の制御を行う。」

(キ)「【0289】
この実施の形態では、後述するように、遊技を開始するときの客待ちデモンストレーション表示中に遊技者の操作によりスピーカ27の音量と枠LEDの輝度とを設定可能である・・・
・・・
【0308】
また、演出制御用CPU101は、客待ちデモンストレーション表示を開始すると、演出表示装置9において、音量や輝度の設定(調整)を行うための音量輝度設定画面の重畳表示も開始する(ステップS811F)。
【0309】
客待ちデモンストレーション表示中である場合には(ステップS811AのY)、演出制御用CPU101は、十字方向コントローラ201における遊技者の操作行為に応じた操作検出信号を十字方向センサユニット123Bが検出したか否かを確認する(ステップS811G)。そして、演出制御用CPU101は、十字方向センサユニット123Bが操作検出信号を検出していれば、十字方向センサユニット123Bが検出した操作検出信号が、十字方向コントローラ201を構成する複数のスイッチのうち1つのスイッチに対応する操作検出信号のみであるか否かを確認する(ステップS811H)。
【0310】
十字方向センサユニット123Bが検出した操作検出信号が1つのスイッチに対応する操作検出信号のみである場合には(ステップS811HのY)、演出制御用CPU101は、遊技者の操作行為に応じた操作検出信号に従って音量及び輝度のいずれか一方または両方の設定値の入力を受け付ける(ステップS811I)。そして、演出制御用CPU101は、受け付けた音量の設定値である音量設定値および輝度の設定値である輝度設定値を、RAMに設けられた設定値格納領域に格納し(ステップS811J)、変動パターンコマンド受信待ち処理を終了する。
【0311】
また、十字方向コントローラ201における遊技者の操作行為に応じた操作検出信号を十字方向センサユニット123Bが検出していない場合(ステップS811GのN)、演出制御用CPU101は、変動パターンコマンド受信待ち処理を終了する。【0312】 また、十字方向コントローラ201における遊技者の操作行為に応じた操作検出信号を十字方向センサユニット123Bが検出した場合であって、十字方向センサユニット123Bが検出した操作検出信号が、十字方向コントローラ201を構成する複数のスイッチのうち1つのスイッチに対応する操作検出信号のみでない場合、すなわち、複数のスイッチに対応する操作検出信号を十字方向センサユニット123Bが検出している場合(ステップS811HのN)、演出制御用CPU101は、変動パターンコマンド受信待ち処理を終了する。
・・・
【0319】
図32は、音量輝度設定画面の具体例を示す説明図である。音量を調整する場合、図32(A)に示すように、この実施の形態では、例えば、「デモ表示中」など客待ちデモンストレーション表示中であることを示す表示とともに、「音量を設定してね!」などの表示を含む音量輝度設定画面が表示される。図32(A)に示す表示画面において、遊技者は、例えば、十字方向コントローラ201における第3スイッチ201Cまたは第4スイッチ201Dを操作することにより、音量を0?100の中から選択操作し、所望の音量になったところで第3スイッチ201Cまたは第4スイッチ201Dによる操作をやめると、その時の音量によって音量設定値の決定操作が可能である。この場合、演出制御用CPU101は、十字方向コントローラ201における操作行為に応じた操作信号を十字方向センサユニット123Bが検出し、十字方向センサユニット123Bが検出した操作検出信号に基づいて音量を選択し、十字方向センサユニット123Bによって検出されていた操作検出信号が検出されなくなった時の音量に基づいて、選択中の音量を音量設定値として設定する。
【0320】
また、輝度の調整する場合、例えば、図32(B)に示すように、音量輝度設定画面が「輝度を設定してね!」などの表示を含む画面に切り換わる。図32(B)に示す表示画面において、遊技者は、例えば、十字方向コントローラ201における第1スイッチ201Aまたは第2スイッチ201Bを操作することにより、輝度を0?100の中から選択操作し、所望の輝度になったところで第1スイッチ201Aまたはだ第2スイッチ202Bによる操作をやめると、その時の輝度によって輝度設定値の決定操作が可能である。この場合、演出制御用CPU101は、十字方向コントローラ201における操作行為に応じた操作信号を十字方向センサユニット123Bが検出し、十字方向センサユニット123Bが検出した操作検出信号に基づいて輝度を選択し、十字方向センサユニット123Bによって検出されていた操作検出信号が検出されなくなった時の輝度に基づいて、選択中の輝度を輝度設定値として設定する。
【0321】
なお、この実施の形態では、音量と輝度の一方について、客待ちデモンストレーション中に遊技者に調整可能であることを報知する場合の一例(図32を参照)について説明したが、同一の音量輝度設定画面において、音量と輝度との両方の調整可能であることを報知する報知演出を実行してもよい、該報知された音量と輝度とのそれぞれの調整を同一の音量輝度設定画面において報知するようにしてもよい。」

イ 認定事項
(ア)認定事項1
図1において、遊技領域7の外側の前面枠の左上部の位置に設けられたスピーカ27と、前面枠の右上部の位置に設けられたスピーカ27と、を備えるとともに、遊技領域7の外側の前面枠の左上部の位置に設けられた枠LED28と、前面枠の右上部の位置に設けられた枠LED28と、を備えることが看取される。
ここで、以後、「遊技領域7の外側の前面枠の左上部の位置に設けられたスピーカ27」を、左上部スピーカ27と、「遊技領域7の外側の前面枠の右上部の位置に設けられたスピーカ27」を、右上部スピーカ27と定義し、「遊技領域7の外側の前面枠の左上部の位置に設けられた枠LED28」を、左上部枠LED28と、「遊技領域7の外側の前面枠の右上部の位置に設けられた枠LED28」を、右上部枠LED28と定義する。
引用文献1には、左上部スピーカ27と、右上部スピーカ27と、を備えるとともに、左上部枠LED28と、右上部枠LED28と、を備えることが記載されていると認められる。

【図1】




(イ)認定事項2
パチンコ遊技機の打球供給皿(上皿)を上面からみた上面図である図2から、上皿の上面左右方向の中央部にプッシュボタン120が設けられ、上皿の上面右側に十字方向コントローラ201が設けられていること、すなわち、プッシュボタン120と十字方向コントローラ201は、上皿の上面の左右方向に並んで設けられていることが看取される。

また、【0028】に、「打球供給皿(上皿)3を形成する部材には、例えば上皿本体の上面における手前側の所定位置(例えばスティックコントローラ122の上方)などに、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン120が設けられている。」と、【0066】に、「図2は、パチンコ遊技機の打球供給皿を上面からみた上面図である。・・・また、打球供給皿3本体の上面(例えば、側壁上面など)、例えばスティックコントローラ122の上方であって、打球供給皿3本体上面右側には、表示操作領域200Aが設けられている。」と、【0067】に、「表示操作領域200Aには、遊技者が演出に応じて動作可能な十字方向コントローラ201、貸与スイッチ203及び返却スイッチ204、残額表示装置205が配置されている。」と記載されていることから、図1から看取された「上皿」とは、「上皿本体」を指すと認められる。
よって、引用文献1には、プッシュボタン120と十字方向コントローラ201は、上皿本体の上面の左右方向に並んで設けられていることが記載されていると認められる。

【図2】




(ウ)認定事項3
a 引用文献1には、プッシュボタン120について、【0028】に、「打球供給皿(上皿)3を形成する部材には、例えば上皿本体の上面における手前側の所定位置(例えばスティックコントローラ122の上方)などに、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン120が設けられている。」と記載され、
十字方向コントローラ201について、【0066】に、「また、打球供給皿3本体の上面(例えば、側壁上面など)、例えばスティックコントローラ122の上方であって、打球供給皿3本体上面右側には、表示操作領域200Aが設けられている。」、【0067】に、「表示操作領域200Aには、遊技者が演出に応じて動作可能な十字方向コントローラ201・・・が配置されている。」、【0068】に、「十字方向コントローラ201は、略円環状に形成されている。十字方向コントローラ201は、略円環の上方向に対応する第1スイッチ201Aと、該略円環中心の回転軸に対して上方向と対向する下方向に対応する第2スイッチ201Bと、該略円環の上下方向とは異なる該略円環の左方向に対応する第3スイッチ201Cと、該略円環中心の回転軸に対して左方向と対向する右方向に対応する第4スイッチ201Dとが一体となって構成される。ここで、上方向とは遊技者に対して遊技盤6側の方向のことであり、下方向とは遊技盤6に対して遊技者側の方向のことであり、左方向とは遊技者が遊技盤6を正面に見たときの左方向のことであり、右方向とは遊技者が遊技盤6を正面に見たときの右方向のことである。」と記載され、
【0029】に、「遊技領域7の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された演出表示装置9が設けられている。」と記載されている。

b 参考図1は、パチンコ遊技機1の前面視である図1において、次のとおり定義された仮想的な平面である第1の平面乃至第4の平面が設けられている位置を示した図面であって、遊技盤6と直交する各平面が、パチンコ遊技機1の遊技者側において、各平面とパチンコ遊技機1の表面とが交差する位置を示す線として、第1の平面から順に、符号「(1)」?「(4)」を当審が付した。

(a)第1の平面
上記aの記載及び図1から、左上部枠LED28(パチンコ遊技機1の前面視である図1において、符号28が示す部材の略中央部)と、
上皿3の上面右側に設けられた表示操作領域200Aに配置された十字方向コントローラ201(同図2において、打球供給皿3本体の上面においてプッシュボタン120の右方に位置する略台形状の部位又はその近辺に十字方向コントローラ201が位置すると認められる。参考図1において、線(1)及び線(3)の交点となる箇所である。)と、を通る平面(以下、「第1の平面」という。)を、遊技盤6と直交するように仮想的に設けると、
当該第1の平面は、遊技領域の左上方と右下方との間で、遊技領域7の中央付近に設けられた演出表示装置9の左下側に位置することが看取される。

(b)第2の平面
上記aの記載及び図1から、右上部枠LED28(パチンコ遊技機1の前面視である図1において、符号28が示す部材の略中央部)と、
上皿3の上面に設けられたプッシュボタン120の略中央部(同図1において、プッシュボタン120の上面を形成する円弧状の部位の略中央部を指し、参考図1において、線(2)及び線(4)の交点となる箇所である。)と、を通る平面(以下、「第2の平面」という。)を、遊技盤6と直交するように仮想的に設けると、
当該第2の平面は、遊技領域の右上方と左下方との間で、遊技領域7の中央付近に設けられた演出表示装置9の右下側に位置することが看取される。

(c)第3の平面
上記aの記載及び図1から、左上部スピーカ27の略中央部(パチンコ遊技機1の前面視である図1において、符号27が示す部材の略中央部)と、
上皿3の上面右側に設けられた表示操作領域200Aに配置された十字方向コントローラ201(同図1において、打球供給皿3本体の上面においてプッシュボタン120の右方に位置する略台形状の部位又はその近辺に十字方向コントローラ201が位置すると認められる。参考図1において、線(1)及び線(3)の交点となる箇所である。)と、を通る平面(以下、「第3の平面」という。)を、遊技盤6と直交するように仮想的に設けると、
当該第3の平面は、遊技領域の左上方と右下方との間で、遊技領域7の中央付近に設けられた演出表示装置9の左下側に位置することが看取される。

(d)第4の平面
上記aの記載及び図1から、右上部スピーカ27の略中央部(パチンコ遊技機1の前面視である図1において、符号27が示す部材の略中央部)と、
上皿3の上面に設けられたプッシュボタン120(同図1において、プッシュボタン120の上面を形成する円弧状の部位の略中央部を指し、参考図1において、線(2)及び線(4)の交点となる箇所である。)と、を通る平面(以下、「第4の平面」という。)を、遊技盤6と直交するように仮想的に設けると、
当該第4の平面は、遊技領域の右上方と左下方との間で、遊技領域7の中央付近に設けられた演出表示装置9の右下側に位置することが看取される。

(e)第1の平面と第2の平面により形成される領域
上記(a)より、第1の平面は、遊技領域の左上方と右下方との間で、遊技領域7の中央付近に設けられた演出表示装置9の左下側に位置し、上記(b)より、第2の平面は、遊技領域の右上方と左下方との間で、遊技領域7の中央付近に設けられた演出表示装置9の右下側に位置することを踏まえ、 図1から、第1の平面と第2の平面とは、遊技領域内で交差し、第1の平面の上面と第2の平面の上面とにより形成されるV字状の領域に、演出表示装置9が配置されていることが看取される。

(f)第3の平面と第4の平面により形成される領域
上記(c)より、第3の平面は、遊技領域の左上方と右下方との間で、遊技領域7の中央付近に設けられた演出表示装置9の左下側に位置し、上記(d)より、第4の平面は、遊技領域の右上方と左下方との間で、遊技領域7の中央付近に設けられた演出表示装置9の右下側に位置することを踏まえ、 図1から、第3の平面と第4の平面とは、遊技領域内で交差し、第3の平面の上面と第4の平面の上面とにより形成されるV字状の領域に、演出表示装置9が配置されていることが看取される。

【参考図1】


ウ 引用発明
上記アの記載事項及び上記イの認定事項に基づき、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(符号a-f2は、本件補正発明の分説A-F2におおむね対応させて、当審が付した。)。

引用発明
「a 可変表示の実行条件である第1始動条件または第2始動条件が成立した後、可変表示の開始条件が成立したことに基づいて開始され、可変表示時間が経過すると表示結果を導出表示する第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示を行うパチンコ遊技機1であって(【0025】、【0045】)、

b1 遊技領域7の中央付近に設けられ、表示画面には、第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄の可変表示を行う演出図柄表示領域がある液晶表示装置で構成された演出表示装置9と(【0029】)、

c1 表示操作領域200Aには、遊技者が演出に応じて動作可能な十字方向コントローラ201と(【0067】)、

c2 遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン120と(【0028】)、

d1、d2 左上部枠LED28と、右上部枠LED28と(【0058】、図1、認定事項1)、

e1、e2 左上部スピーカ27と、右上部スピーカ27と、を備え(【0058】、【0090】、図1、認定事項1)、

c3 上皿本体の上面中央部に設けられた前記プッシュボタン120と、上皿本体の上面右側に設けられた前記十字方向コントローラ201は、上皿本体の上面の左右方向に並んで設けられ(【0028】、【0066】、【0067】、認定事項2、図2)、

f1、b2 左上部枠LED28の略中央部と、上皿3の上面右側に設けられた表示操作領域200Aに配置された十字方向コントローラ201とを通る平面(以下、「第1の平面」という。)を、遊技盤6と直交するように仮想的に設けると、当該第1の平面は、遊技領域の左上方と右下方との間で、遊技領域7の中央付近に設けられた演出表示装置9の左下側に位置し(認定事項3(a))、
右上部枠LED28の略中央部と、上皿3の上面に設けられたプッシュボタン120の略中央部とを通る平面(以下、「第2の平面」という。)で、遊技盤6と直交するように仮想的に設けると、当該第2の平面は、遊技領域の右上方と左下方との間を、遊技領域7の中央付近に設けられた演出表示装置9の右下側に位置し(認定事項3(b))、
第1の平面と第2の平面とは、遊技領域内で交差し、第1の平面の上面と第2の平面の上面とにより形成されるV字状の領域に、演出表示装置9が配置され(認定事項3(e))、

f2、b2 左上部スピーカ27の略中央部と、上皿3の上面右側に設けられた表示操作領域200Aに配置された十字方向コントローラ201とを通る平面(以下、「第3の平面」という。)を、遊技盤6と直交するように仮想的に設けると、当該第3の平面は、遊技領域の左上方と右下方との間で、遊技領域7の中央付近に設けられた演出表示装置9の左下側に位置し(認定事項3(c))、
右上部スピーカ27の略中央部と、上皿3の上面に設けられたプッシュボタン120の略中央部とを通る平面(以下、「第4の平面」という。)で、遊技盤6と直交するように仮想的に設けると、当該第4の平面は、遊技領域の右上方と左下方との間を、遊技領域7の中央付近に設けられた演出表示装置9の右下側に位置し(認定事項3(d))、
第3の平面と第4の平面とは、遊技領域内で交差し、第3の平面の上面と第4の平面の上面とにより形成されるV字状の領域に、演出表示装置9が配置され(認定事項3(f))、

b2 遊技を開始するときの客待ちデモンストレーション表示中に遊技者の操作によりスピーカ27の音量と枠LEDの輝度とを設定可能であり、演出制御用CPU101は、客待ちデモンストレーション表示を開始すると、演出表示装置9において、音量や輝度の設定を行うための音量輝度設定画面の重畳表示を開始し、同一の音量輝度設定画面において、音量と輝度との両方の調整可能であることを報知する報知演出を実行し、該報知された音量と輝度とのそれぞれの調整を同一の音量輝度設定画面において報知するようにする(【0289】、【0308】、【0321】)、

a パチンコ遊技機1(【0025】)。」

(3)対比
本件補正発明と引用発明とを、分説に従って対比する。
ア 構成Aについて
引用発明の「可変表示の実行条件である第1始動条件または第2始動条件が成立した後、可変表示の開始条件が成立したこと」は、本件補正発明の「始動条件の成立」に相当し、同様に、「基づいて開始され」ることは、「基づ」くことに、「第1特別図柄または第2特別図柄」は、「識別情報」に、「可変表示時間が経過すると表示結果を導出表示する」「可変表示」は、「変動するゲーム」に、「行う」ことは、「実行可能」であることに、「パチンコ遊技機1」は、「遊技機」にそれぞれ相当する。
よって、引用発明の構成aは、本件補正発明の構成Aに相当する。

イ 構成B1について
上記アより、引用発明の「第1特別図柄または第2特別図柄」が「可変表示時間が経過すると表示結果を導出表示する」「可変表示」は、本件補正発明の「変動するゲーム」に相当することに加え、引用発明の「演出図柄の可変表示」は、本件補正発明の「演出表示」に相当するから、
引用発明の「第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示」(本件補正発明の「前記ゲーム」に相当。)「に同期した演出図柄の可変表示を行う」「演出表示装置9」は、本件補正発明の「前記ゲームに対応する演出表示を表示可能な表示装置」に相当する。
よって、引用発明の構成b1は、本件補正発明の構成B1に相当する。

ウ 構成C1について
引用発明の
「遊技者」、
「演出に応じて動作可能」であること、
「十字方向コントローラ201」は、それぞれ、
本件補正発明の
「遊技者」、
「操作可能」であること、
「第1操作手段」に相当する。
よって、引用発明の構成c1は、本件補正発明の構成C1に相当する。

エ 構成C2について
引用発明の「プッシュボタン120」と「十字方向コントローラ201」とは、異なる操作手段であることは明らかである。
引用発明の
「遊技者」、
「押下操作などにより所定の指示操作を可能」であること、
「プッシュボタン120」は、それぞれ、
本件補正発明の
「遊技者」、
「操作可能」であること、
「前記第1操作手段とは異なる他の操作手段」に相当する。
よって、引用発明の構成c2は、本件補正発明の構成C2に相当する。

オ 構成D1、D2について
引用発明の「左上部枠LED28」と「右上部枠LED28」は、本件補正発明の「発光可能な複数の発光手段」に相当する。
そして、引用発明において、「左上部枠LED28」が、上記(2)イ(ア)の定義から、[Wユ2]「遊技領域7の外側の前面枠の左上部の位置に設けられたLED28」を表すこと、及び、「右上部枠LED28」が、同定義から、「遊技領域7の外側の前面枠の右上部の位置に設けられたLED28」を表すことに鑑みると、引用発明が、「左上部枠LED28と、右上部枠LED28と」「を備え」ることは、本件補正発明の「前記複数の発光手段は、当該遊技機の前面側の左右に配設され」ていることに相当する。
よって、引用発明の構成d1、d2は、本件補正発明の構成D1及び構成D2に相当する。

カ 構成E1、E2について
引用発明の「左上部スピーカ27」と「右上部スピーカ27」は、本件補正発明の「所定の音を出力可能な複数の音出力手段」に相当する。
そして、引用発明において、「左上部スピーカ27」が、上記(2)イ(ア)の定義から、[Wユ3]「遊技領域7の外側の前面枠の左上部の位置に設けられたスピーカ27」を表すこと、及び、「右上部スピーカ27」が「遊技領域7の外側の前面枠の右上部の位置に設けられたスピーカ27」を表すことに鑑みると、引用発明が、「左上部スピーカ27と、右上部スピーカ27と、を備え」ることは、本件補正発明の「前記複数の音出力手段は、当該遊技機の前面側の左右に配設され」ていることに相当する。
よって、引用発明の構成e1、e2は、本件補正発明の構成E1及び構成E2に相当する。

キ 構成C3について
上記ウより、引用発明の「十字方向コントローラ201」は、本件補正発明の「第1操作手段」に相当し、上記エより、引用発明の「プッシュボタン120」は、本件補正発明の「他の操作手段」に相当することに加え、
引用発明において、「十字方向コントローラ201」と「プッシュボタン120」が、「上皿本体の上面の左右方向に設けられ」ていることは、本件補正発明の「前記第1操作手段と前記他の操作手段は、当該遊技機の前面側に左右方向に配設され」ていることに相当する。
よって、引用発明の構成c3は、本件補正発明の構成C3に相当する。

ク 構成F1について
(ア)上記オより、引用発明の「左上部枠LED28」と「右上部枠LED28」は、本件補正発明の「発光可能な複数の発光手段」に相当することから、引用発明の「右上部枠LED28」は、本件補正発明の「一の発光手段」に相当し、引用発明の「左上部枠LED28」は、本件補正発明の「他の発光手段」に相当し、上記ウより、引用発明の「十字方向コントローラ201」は、本件補正発明の「第1操作手段」に相当し、上記エより、引用発明の「プッシュボタン120」は、本件補正発明の「他の操作手段」に相当する。

(イ)そのうえで、引用発明の「遊技盤6と直交するように仮想的に設け」られた「右上部枠LED28と」「十字方向コントローラ201とを通る」「第1の平面」は、本件補正発明の「前記複数の発光手段のうちの一の発光手段と前記第1操作手段の所定位置とを通る仮想的な」「第1平面」に相当し、
また、引用発明の「遊技盤6と直交するように仮想的に設け」られた「左上部枠LED28と」「プッシュボタン120とを通る」「第2の平面」は、本件補正発明の「前記複数の発光手段のうちの他の発光手段と前記他の操作手段の所定位置とを通る仮想的な第2平面」に相当する。
そして、引用発明の「演出表示装置9が配置され」る「第1の平面の上面と第2の平面の上面とにより形成されるV字状の領域」は、本件補正発明の「第1平面と」「第2平面とにより」「仮想的に規制された第1仮想規制領域」に相当する。

(ウ)よって、引用発明の構成f1、b2と本件補正発明の構成F1とは、「前記複数の発光手段のうちの一の発光手段と前記第1操作手段の所定位置とを通る仮想的な第1平面と、前記複数の発光手段のうちの他の発光手段と前記他の操作手段の所定位置とを通る仮想的な第2平面とにより仮想的に規制された第1仮想規制領域と、」が形成される点で一致し、引用発明の構成f1、b2は、本件補正発明の構成F1に相当する構成を含んでいる。

ケ 構成F2について
(ア)上記カより、引用発明の「左上部スピーカ27」と「右上部スピーカ27」は、本件補正発明の「複数の音出力手段」に相当することから、引用発明の「右上部スピーカ27」は、本件補正発明の「一の音出力手段」に相当し、引用発明の「左上部スピーカ27」は、本件補正発明の「他の音出力手段」に相当し、上記ウより、引用発明の「十字方向コントローラ201」は、本件補正発明の「第1操作手段」に相当し、上記エより、引用発明の「プッシュボタン120」は、本件補正発明の「他の操作手段」に相当する。

(イ)そのうえで、引用発明の「遊技盤6と直交するように仮想的に設け」られた「右上部スピーカ27と」「十字方向コントローラ201とを通る」「第3の平面」は、本件補正発明の「前記複数の音出力手段のうちの一の音出力手段と前記第1操作手段の所定位置とを通る仮想的な」「第3平面」に相当し、
また、引用発明の「遊技盤6と直交するように仮想的に設け」られた「右上部スピーカ27と」「プッシュボタン120とを通る」「第4の平面」は、本件補正発明の「前記複数の音出力手段のうちの他の音出力手段と前記他の操作手段の所定位置とを通る仮想的な」「第4平面」に相当する。
そして、引用発明の「演出表示装置9が配置され」る「第3の平面の上面と第4の平面の上面とにより形成されるV字状の領域」は、本件補正発明の「第3平面と」「第4平面とにより」「仮想的に規制された第2仮想規制領域」に相当する。

(ウ)よって、引用発明の構成f2、b2と本件補正発明の構成F2とは、「前記複数の音出力手段のうちの一の音出力手段と前記第1操作手段の所定位置とを通る仮想的な第3平面と、前記複数の音出力手段のうちの他の音出力手段と前記他の操作手段の所定位置とを通る仮想的な第4平面とにより仮想的に規制された第2仮想規制領域と、が形成される」点で一致し、引用発明の構成f2、b2は、本件補正発明の構成F2に相当する構成を含んでいる。

コ 構成B2について
(ア)上記イより、「演出図柄の可変表示」を行う引用発明の構成b1の「演出表示装置9」は、本件補正発明の「表示装置」に相当し、引用発明の構成b2においては、「同一の音量輝度設定画面において、音量と輝度との両方の調整可能であることを報知する報知演出を実行し、該報知された音量と輝度とのそれぞれの調整を同一の音量輝度設定画面において報知する」ことも行われるから、引用発明の「調整可能であること」が「報知された」「輝度」の「調整を」「報知する」「音量輝度設定画面」は、本件補正発明の「発光手段の光量調整に関連する画像」に相当し、引用発明の「調整可能であること」が「報知された音量」の「調整を」「報知する」「音量輝度設定画面」は、本件補正発明の「前記音出力手段から出力される所定の音の音量調整に関連する画像」に相当し、また、引用発明の当該「演出表示装置9」が、「輝度」又は「光量」「の調整を」「音量輝度設定画面」で「報知する」ことは、本件補正発明の「表示装置は、前記発光手段の光量調整に関連する画像」又は「音量調整に関連する画像」を「表示可能である」ことに相当する。

(イ)上記ク(イ)より、引用発明の「演出表示装置9が配置され」る「第1の平面の上面と第2の平面の上面とにより形成されるV字状の領域」は、本件補正発明の「仮想的に規制された第1仮想規制領域」に相当するとともに、上記ケ(イ)より、引用発明の「演出表示装置9が配置され」る「第3の平面の上面と第4の平面の上面とにより形成されるV字状の領域」は、本件補正発明の「仮想的に規制された第2仮想規制領域」に相当することを踏まえると、
引用発明において、「演出表示装置9」に表示される「音量輝度設定画面」が、「第1の平面の上面と第2の平面の上面とにより形成されるV字状の領域」(本件補正発明の「仮想的に規制された第1仮想規制領域」に相当。)、及び、「第3の平面の上面と第4の平面の上面とにより形成されるV字状の領域」(本件補正発明の「仮想的に規制された第2仮想規制領域」に相当。)のいずれの領域にも含まれることは、本件補正発明の「前記発光手段の光量調整に関連する画像と、前記音出力手段から出力される所定の音の音量調整に関連する画像とを、当該表示装置の表示領域のうちの前記第1仮想規制領域と前記第2仮想規制領域が重複する領域内に表示可能である」ことに相当する。

(ウ)よって、引用発明の構成f1、b2、構成f2、b2、構成b2と本件補正発明とは、前記表示装置は、前記発光手段の光量調整に関連する画像と、前記音出力手段から出力される所定の音の音量調整に関連する画像とを、当該表示装置の表示領域のうちの前記第1仮想規制領域と前記第2仮想規制領域が重複する領域内に表示可能である点で共通する。


(4)一致点及び相違点
上記(3)によれば、本件補正発明と引用発明は、
「A 始動条件の成立に基づき、識別情報が変動するゲームを実行可能な遊技機において、
B1 前記ゲームに対応する演出表示を表示可能な表示装置と、
C1 遊技者が操作可能な第1操作手段と、
C2 遊技者が操作可能であって、前記第1操作手段とは異なる他の操作手段と、
D1 発光可能な複数の発光手段と、
E1 所定の音を出力可能な複数の音出力手段と、を備え、
E2 前記複数の音出力手段は、当該遊技機の前面側の左右に配設され、
D2 前記複数の発光手段は、当該遊技機の前面側の左右に配設され、
C3 前記第1操作手段と前記他の操作手段は、当該遊技機の前面側に左右方向に配設され、
F1 前記複数の発光手段のうちの一の発光手段と前記第1操作手段の所定位置とを通る仮想的な第1平面と、前記複数の発光手段のうちの他の発光手段と前記他の操作手段の所定位置とを通る仮想的な第2平面とにより仮想的に規制された第1仮想規制領域と、
F2 前記複数の音出力手段のうちの一の音出力手段と前記第1操作手段の所定位置とを通る仮想的な第3平面と、前記複数の音出力手段のうちの他の音出力手段と前記他の操作手段の所定位置とを通る仮想的な第4平面とにより仮想的に規制された第2仮想規制領域と、が形成され、
B2’ 前記表示装置は、前記発光手段の光量調整に関連する画像と、前記音出力手段から出力される所定の音の音量調整に関連する画像とを、当該表示装置の表示領域のうちの前記第1仮想規制領域と前記第2仮想規制領域が重複する領域内に表示可能である
A 遊技機。」
の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点(構成B2)]
表示装置の表示領域における発光手段の光量調整に関連する画像と、音出力手段から出力される所定の音の音量調整に関連する画像との表示について、本件補正発明は、両画像を、「同時に、かつ左右方向に配設した態様で」表示領域「のうちの前記第1仮想規制領域と前記第2仮想規制領域が重複する領域内」に表示可能とするのに対し、引用発明では、両画像を同時に、両領域が重複する領域内に表示可能とする構成でない点。

(5)当審の判断
上記[相違点(構成B2)]について検討する。

ア パチンコ遊技機の分野において、光量調整に関連する画像と、音量調整に関連する画像との表示とを、同時に、かつ左右方向に配設した態様で、表示装置の表示領域に表示可能とする技術(以下、「周知技術」という。)は、従来周知の技術であって、例えば、特開2016-87337号公報、特開2015-119905号公報に示されるとおりである。
そして、引用発明と上記周知技術は、遊技者が音量と輝度を調整可能なパチンコ遊技機という同じ技術分野に属し、かつ、表示装置において、音量の調整状況と輝度の調整状況を視認可能とするという課題も共通する。
上記(3)コ(イ)で検討したとおり、引用発明において、「演出表示装置9」に表示される「音量輝度設定画面」が、「第1の平面の上面と第2の平面の上面とにより形成されるV字状の領域」(本件補正発明の「仮想的に規制された第1仮想規制領域」に相当。)、及び、「第3の平面の上面と第4の平面の上面とにより形成されるV字状の領域」(本件補正発明の「仮想的に規制された第2仮想規制領域」に相当。)のいずれの領域にも含まれることは、本件補正発明の「前記発光手段の光量調整に関連する画像と、前記音出力手段から出力される所定の音の音量調整に関連する画像とを、当該表示装置の表示領域のうちの前記第1仮想規制領域と前記第2仮想規制領域が重複する領域内に表示可能である」ことに相当するから、引用発明の演出表示装置9に表示された音量輝度設定画面に、表示可能と光量調整に関連する画像と、音量調整に関連する画像とを、同時に、かつ左右方向に配設した態様で、表示装置の表示領域に表示可能とする上記周知技術を採用することにより、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が想到容易である。

イ 上記周知技術の例
・特開2016-87337号公報には、パチンコ機の分野において、演出環境として、各種スピーカ28a,28bの音量と、演出表示装置34の画面(バックライト)や枠ランプ93a,93bの輝度とを遊技者が設定可能となっており、非遊技中に演出表示装置34に演出環境設定画像が表示されると、遊技者は、十字ボタン26bの上下方向ボタンを操作してカーソルを移動させて値1?値5の5段階のいずれかに「音量」を設定し、十字ボタン26bの左右方向ボタンを操作してカーソルを移動させて値1?値5の5段階のいずれかに「輝度」を設定して、決定ボタン26aを押下することにより設定した演出環境(「音量」と「輝度」)を決定することができ、設定された「音量」の段階及び設定された「輝度」の段階を、同時に、かつ左右方向に並べて表示する技術、が示されている(【0001】、【0037】、【0067】、図24を参照。)。
また、上記文献の図24は、次のとおりである。
【図24】




・特開2015-119905号公報には、パチンコ機の分野において、演出環境として、各種スピーカ28a,28bの音量と、演出表示装置34の演出画面(バックライト)や枠ランプ93a,93bの輝度とを遊技者が設定可能となっており、演出環境(音量と輝度)を基準設定(遊技機に予め定められた初期設定)を中心に上下(音量であれば大小、輝度であれば明暗)に3段階ずつ、計7段階に設定可能となっていて、
演出環境設定用画面が表示されると、遊技者は、まず、方向ボタン26a,26bを操作してカーソル34aを移動させて「音量」か「輝度」か「決定」のいずれかを選択し、「音量」か「輝度」のいずれかを選択した状態で演出ボタン26を押下することにより設定対象を決定したり、「決定」を選択した状態で演出ボタン26を押下することにより設定した演出環境を決定したりして、「音量」を設定対象に決定すると、方向ボタン26a,26bを操作して7段階の音量のいずれかを選択し、演出ボタン26を押下することにより所望の「音量」を設定し、また、「輝度」を選択対象に決定した場合には、方向ボタン26a,26bを操作しての7段階の輝度のいずれかを選択し、演出ボタン26を押下することにより所望の「輝度」を設定し、「決定」を選択して演出ボタン26を押下すると設定した演出環境が決定されるものであって、現在の「音量」と「輝度」の設定状態を、同時に、かつ左右方向に並べて表示する技術、が示されている(【0001】、【0039】、【0073】、図25を参照。)。
また、上記文献の図25は、次のとおりである。
【図25】




(6)効果について
本件補正発明の効果は、引用発明及び周知技術から予測し得るものであって格別顕著なものということはできない。

(7)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書において、特に、次の主張をするところである。
(ア)主張1
「本願発明は、第1仮想規制領域や第2仮想規制領域という仮想的な領域を考慮するという従来にない観点からの画像配置を特徴とするものであり、上述したようにこのような特徴は本願の出願以前に存在していたものではなく、このような構成を想到したこと自体が従来技術に対する大きな進歩となります。
・・・
したがって、光量調整画像や音量調整画像といった遊技に関する重要度の高い情報が視認し易く、遊技の興趣が向上します。また、遊技者が光量調整画像及び音量調整画像を視認し易いことから、遊技中等に光量調整及び音量調整を行い易くすることができます。」

(イ)主張2
「さらに、本願発明では、光量調整画像と音量調整画像が左右方向に配置されるとともに、第1操作手段と他の操作手段が左右方向に配置されています。すなわち、光量調整画像と音量調整画像の配置方向と、第1操作手段と他の操作手段の配置方向とが揃っています。したがって、例えば、他の操作手段を用いて光量や音量を増減した後に第1操作手段を用いて光量や音量を決定するといった一連の操作によって光量調整や音量調整を行う場合に、操作を分かり易くすることができます。」

イ 当審の判断
(ア)主張1について
a 請求人は、上記のとおり、「本願発明は、第1仮想規制領域や第2仮想規制領域という仮想的な領域を考慮するという従来にない観点からの画像配置を特徴とする」と主張する。
本件補正発明において、第1仮想規制領域や第2仮想規制領域という仮想的な領域を用いた発明の特定は、具体的には、構成F1及び構成F2並びに構成B2の一部(「前記表示装置は、前記発光手段の光量調整に関連する画像と、前記音出力手段から出力される所定の音の音量調整に関連する画像と、を」「当該表示装置の表示領域のうちの前記第1仮想規制領域と前記第2仮想規制領域が重複する領域内に表示可能である」こと)が該当すると認められるところ、これらの構成については、上記 「(3)対比 ク?コ」に判断を示したとおり、引用発明が備える構成である。

b さらにいえば、本願の「一の発光手段」、「他の発光手段」、「一の音出力手段」、「他の音出力手段」、「所定位置」の認定の仕方次第で、第1?4直線は色々規定できるものと認められる(本願の図1に対し直線を追加した次の図面(以下、「参考図2」という。)を参照)。
参考図2をみると、引用発明の「演出表示装置9」のみならず、演出表示装置9の周囲に位置する、いわゆるセンター役物の大部分まで、「前記第1仮想規制領域と前記第2仮想規制領域が重複する領域内に」含まれることとなる。
さらには、本件補正発明において、「第2仮想規制領域」を特定する事項である「音出力手段」に相当するものとして、審決では、引用発明の「左上部スピーカ27」及び「右上部スピーカ27」が相当すると認定したが( 「(3)対比 カ」)、引用文献1に記載された「打球操作ハンドル(操作ノブ)5」の少し上側に設けられ、遊技領域の下方に位置する左右一対の「スピーカ27」(図1参照)であれば、「第2仮想規制領域」により規制される領域には、遊技領域のすべての領域が含まれ、その結果、センター役物の全部が、「前記第1仮想規制領域と前記第2仮想規制領域が重複する領域内に」含まれることとなる。
これらを考慮すると、引用文献1に記載されたものにおいて、演出表示装置9の任意の箇所に音量輝度設定画面を表示しても、本件補正発明の「前記第1仮想規制領域と前記第2仮想規制領域が重複する領域内に」含まれることとなる。

【参考図2】


c そして、本件補正発明の「第1仮想規制領域」を特定する事項である「発光手段」に対応する実施例である「枠装飾装置18」は、遊技領域の左右両側に配置され、図1から、遊技領域の高さ方向の大部分を占める程度の高さであることが看て取れるところ、たとえば、仮想的な平面として、左右の「枠装飾装置18」(本件補正発明の「発光手段」に対応。)の最も下方を通る平面を想定すれば、「第1仮想規制領域」により規制される領域には、遊技領域の大部分を占めるものも、本件補正発明に含まれることとなる。
また、「第2仮想規制領域」を特定する事項である「音出力手段」に対応する実施例としては、「19a 上スピーカ(音出力手段)」のみならず、「19b 下スピーカ(音出力手段)」(本件補正発明の「音出力手段」に対応。)も排除されるものではないところ、たとえば、仮想的な平面として、左右の「19b 下スピーカ(音出力手段)」を通る平面を想定すれば、「第2仮想規制領域」により規制される領域には、遊技領域のほぼ全域を占めるものも、本件補正発明に含まれることとなる。
そうすると、本件補正発明において、第1仮想規制領域や第2仮想規制領域という仮想的な領域を用いて発明を特定することにより、格別の作用効果を奏するものとは認められない。

d よって、請求人が主張する主張1を採用することはできない。

(イ)主張2について
a 請求人が主張する構成のうち、光量調整画像と音量調整画像が左右方向に配置されるという構成は、周知技術であって、引用発明に適用可能であることは、上記「(5)当審の判断」で示したとおりである。

b また、請求人が主張する構成のうち、第1操作手段と他の操作手段が左右方向に配置されているという構成は、上記 「(3)対比 ク?コ」に判断を示したとおり、引用発明が備える構成である。

c さらに、請求人は、「例えば、他の操作手段を用いて光量や音量を増減した後に第1操作手段を用いて光量や音量を決定するといった一連の操作によって光量調整や音量調整を行う場合に、操作を分かり易くすることができます。」と作用効果を主張するが、本件補正発明において、「第1操作手段」と「他の操作手段」が、音量調整又は光量調整を行うための操作手段であることは特定されておらず、作用効果について請求人が主張する点は、特許請求の範囲の記載に基づくものではない。
仮に、請求人が主張するように、「第1操作手段」と「他の操作手段」が、音量調整又は光量調整を行うための操作手段であるとしても、パチンコ遊技機の分野において、光量や音量を増減するための増減操作手段と、当該増減操作手段を用いて光量や音量を決定するための決定操作手段とを、遊技機の前面側に左右方向に配設することも従来周知であって、例えば、上記「(5)イ 上記周知技術の例」に示した特開2016-87337号公報(【0001】、【0020】、【0036】、【0067】、図1参照。)、特開2015-119905号公報(【0001】、【0024】、【0038】、【0073】、図1を参照。)にも示されるとおりであり、引用発明及び周知技術から予測し得る作用効果である。

d よって、請求人が主張する主張2を採用することはできない。

(8)小括
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
上記3において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について

1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成31年2月27日付け手続補正書により補正された、上記第2の1で示した特許請求の範囲の請求項4に記載されたとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含んでいる。
(進歩性)この出願の請求項4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布され、又は、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献>
1. 特開2016-179105号公報

3 引用文献1に記載の事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項は、上記第2の3(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、上記「第2の2(1)本件補正」において検討したとおり、本件補正発明において、
発明を特定するために必要な事項である「複数の音出力手段」について、「当該遊技機の前面側の左右に配設され」るものであるという限定を省き、
同「複数の発光手段」について、「当該遊技機の前面側の左右に配設され」るものであるという限定を省き、
同「第1操作手段」及び「他の操作手段」について、「当該遊技機の前面側に左右方向に配設され」るものであるという限定を省き、さらに、
同「前記第1仮想規制領域に対応する前記表示装置の表示領域内に表示」される「光量調整に関連する画像」、及び、同「前記第2仮想規制領域に対応する当該表示装置の表示領域内に表示」される「前記音量調整に関連する画像」について、「左右方向に配設した態様で、当該表示装置の表示領域のうちの前記第1仮想規制領域と前記第2仮想規制領域が重複する領域内に表示可能」なものであるという限定を省くものである。

そうすると、本願発明と引用発明とは、上記の限定を省いたことにより、表示装置における発光手段の光量調整に関連する画像と、音出力手段から出力される所定の音の音量調整に関連する画像との表示態様について、本願発明は、両画像を「同時に」表示可能であるのに対し、引用発明では、両画像を同時に表示可能でない点で相違し、その余の点で一致する。
そうしてみると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに表示装置における発光手段の光量調整に関連する画像と、音出力手段から出力される所定の音の音量調整に関連する画像との表示態様について、より限定されたものである本件補正発明が、上記「第2の3(5)当審の判断」において記載したとおり、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-03-24 
結審通知日 2021-03-30 
審決日 2021-04-20 
出願番号 特願2016-223113(P2016-223113)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 阿部 知  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 澤田 真治
▲吉▼川 康史
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人光陽国際特許事務所  
代理人 荒船 良男  

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