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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1374770
審判番号 不服2020-9893  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-14 
確定日 2021-06-29 
事件の表示 特願2017-517552「通信端末」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月17日国際公開、WO2016/181538、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)5月13日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成31年 1月18日付け :拒絶理由通知書
平成31年 3月11日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 8月23日付け :拒絶理由通知書(最後)
令和 元年11月 1日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 4月 7日付け :令和元年11月1日にされた手続補正に ついての補正の却下の決定、
拒絶査定
令和 2年 7月14日 :拒絶査定不服審判の請求、
手続補正書の提出
令和 3年 2月18日付け :拒絶理由通知書(当審)
令和 3年 4月23日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年4月7日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
(進歩性):下記の請求項に係る発明は、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1-6、8に対して、引用文献1ないし4
・請求項7に対して、引用文献1ないし5

引用文献等一覧
1.ETRI,Scenarios and Requirements for LAA[online],3GPP TSG-RAN WG2#89 R2-150234,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_89/Docs/R2-150234.zip>,2015年 2月 9日(以下、「引用文献1」という。)
2.特表2013-516859号公報(以下、「引用文献2」という。)
3.LG Electronics,Protocol Aspects for LAA[online],3GPP TSG-RAN WG2#89R2-150398,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_89/Docs/R2-150398.zip>,2015年 2月 9日(以下、「引用文献3」という。)
4.特表2014-529276号公報(以下、「引用文献4」という。)
5.Huawei (Rapporteur),TP for TR 36.889 v0.1.0 Study on licensed-assisted access using LTE[online],3GPP TSG-RAN WG2#89 R2-150727,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_89/Docs/R2-150727.zip>,2015年 4月20日(以下、「引用文献5」という。)

第3 当審拒絶理由の概要
令和3年2月18日付けで当審より通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

理由1(明確性)について
請求項1には「前記基地局は、アンライセンスの周波数である第1の周波数を用いた通信が可能か否かを示す端末性能情報及び無線回線品質情報を前記通信端末から受信する第1通信部と、前記第1の周波数を通信に用いるか否かを制御する第1制御部とを備え、」と記載されているが、該記載では、例えば、該端末性能情報が第1の周波数を用いた通信が不可であるとした場合、第1の周波数を通信に用いると判断するのか、若しくは第1の周波数を通信に用いないと判断するのか不明である。また、該無線回線品質情報は、第1制御部で行われる制御において何ら使用されておらず、該制御とどのような関係を有するのか不明である。
請求項5、請求項7、請求項8についても同様である。
よって、請求項1、5、7、8に係る発明、及び、請求項1を引用する請求項2ないし4に係る発明は明確でない。

第4 本願発明
本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、令和3年4月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
アンライセンスの周波数である第1の周波数を用いた通信が可能か否を示す端末性能情報及び無線回線品質情報を基地局へ送信する通信部と、
第1の周波数を通信に用いるか否かを制御する制御部とを備え、
前記通信部は、前記第1の周波数に関連する情報を前記基地局から受信し、
前記制御部は、前記第1の周波数を通信に用いる場合、前記第1の周波数及び第2の周波数を同時に使用して、キャリアアグリゲーションを用いた通信を行うように前記通信部を制御する
ことを特徴とする通信端末。」

第5 当審拒絶理由についての判断
令和3年4月23日にされた手続補正により、特許請求の範囲が補正され、拒絶の理由の対象であった補正前の請求項1ないし5、7及び8は削除された。
したがって、当審の拒絶理由で指摘した上記理由1(明確性)は解消されたため、特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしているものと認められる。

第6 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された、ETRI,Scenarios and Requirements for LAA[online](当審訳:LAAのシナリオと要件),3GPP TSG-RAN WG2#89 R2-150234,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_89/Docs/R2-150234.zip>,2015年 2月 9日には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

(1)「2 States for LAA operation
(中略)
2.1 States for UE
(中略)
In terms of RRC, there are two states for a UE with LAA capability according to whether the LAA cell is configured or not. Those are defined as licensed only configuration and licensed/unlicensed configuration. The licensed only configuration is a state where multiple cells on licensed band are configured with CA, whereas the licensed/unlicensed configuration is a state where licensed cell and unlicensed cell are simultaneously configured with CA. A transition between two states can be performed by RRC reconfiguration procedure such as SCell addition, SCell modification or SCell release. The licensed only configuration and the licensed/unlicensed configuration are denoted as L-mode and U/L-mode, respectively, as shown in Figure 1.
(中略)
3 Operational Scenarios for LAA
(中略)
3.2 Data transmission with LAA cell
In order to provide data service to a UE with LAA cell, configuration and activation procedures are required as shown in Figure 4.
A LAA cell is configured as a SCell for a UE on RRC connected state. The configuration of LAA cell can be initiated either by measurement report from UE or by eNB decision with other reason.
As mentioned section 2, LAA cell configuration and LAA cell activation/deactivation is addressed for data transmission with LAA cell. The LAA cell configuration is performed with RRC procedure. And the LAA cell activation/deactivation is basically achieved by MAC procedure. But, because there is a necessity for fast channel access control with several milliseconds, a physical layer procedure for LAA cell on/off is essentially needed.
For indication of LAA cell on/off, explicit signalling or implicit scheduling could be considered.
In explicit signalling, LAA eNB utilizes a physical layer signalling for indication of scheduling for LAA cell, which is similar to the explicit indication of DRS transmission in section 3.1.
In implicit scheduling, the on/off of LAA cell is indicated by scheduling schemes in legacy specification. In this option, cross-carrier scheduling or self-carrier scheduling can be exploited to schedule LAA cell. If cross-carrier scheduling is used, scheduling information of LAA cell is transmitted on licensed cell and UE decodes physical channels of LAA cell only when the LAA cell is scheduled. If self-carrier scheduling is used, UE should continuously monitor the (E)PDCCH on unlicensed cell as there is no information whether the scheduling is performed or not.
(後略)」(1ページ19行目?4ページ23行目)

([当審訳]
2 LAA運用時の状態
(中略)
2.1 UEの状態
(中略)
RRCについては、LAA機能を持つUEの場合、LAAセルが設定されているかどうかによって2つの状態がある。それは、「ライセンスのみの設定」と「ライセンス/アンライセンスの設定」と定義される。ライセンスのみの設定とは、ライセンスバンド上の複数のセルにCAを設定する状態であり、ライセンス/アンライセンスの設定とは、ライセンスセルとアンライセンスセルを同時にCAに設定する状態である。二つの状態間の遷移は、SCell追加、SCell変更、SCell解放などのRRC再構成手順によって行うことができる。図1に示すように、ライセンスのみの設定を「Lモード」、ライセンス/アンライセンスの設定を「U/Lモード」と呼ぶ。
(中略)
3 LAAの運用シナリオ
(中略)
3.2 LAAセルによるデータ転送
LAAセルを使用してUEにデータサービスを提供するためには、図4に示すような設定およびアクティベーションの手順が必要である。
LAAセルは、RRCの接続状態にあるUEのSCellとして設定される。LAAセルの設定は、UEからの測定報告、またはその他の理由によるeNBの決定によって開始される。
第2節で述べたように、LAAセルを用いたデータ伝送では、LAAセルの設定およびLAAセルのアクティベーション/ディアクティベーションが行われる。LAAセルの設定はRRC手順で行う。また、LAAセルのアクティベーション/ディアクティベーションは、基本的にはMAC手順で実現する。しかし、数ミリ秒単位の高速なチャネルアクセス制御が必要なため、本来はLAAセルのオン/オフのための物理層の手順が必要である。
LAAセルのオン/オフの指示には、明示的なシグナリングと暗黙的なスケジューリングが考えられる。
明示的シグナリングでは、LAA eNBは物理層のシグナリングを利用してLAAセルのスケジューリングを指示するが、これは3.1節のDRS送信の明示的な指示と同様である。
暗黙的スケジューリングでは、LAAセルのオン/オフは、レガシー仕様のスケジューリング方式で示される。このオプションでは、LAAセルのスケジューリングに、クロスキャリア・スケジューリングまたはセルフキャリア・スケジューリングを利用することができる。クロスキャリア・スケジューリングを使用する場合、LAAセルのスケジューリング情報はライセンス・セル上で送信され、UEは、LAAセルがスケジューリングされているときにのみ、LAAセルの物理チャネルを復号する。セルフキャリア・スケジューリングを使用する場合は、スケジューリングが実行されているかどうかの情報がないため、UEはアンライセンス・セル上の(E)PDCCHを継続的に監視する必要がある。
(後略))

引用文献1の上記記載、及びこの分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

上記「2.1 UEの状態」には、「LAA機能を持つUEの場合、LAAセルが設定されているかどうかによって2つの状態がある。それは、「ライセンスのみの設定」と「ライセンス/アンライセンスの設定」と定義される。」、「ライセンス/アンライセンス構成とは、ライセンスセルとアンライセンスセルを同時にCAに設定する状態である。」との記載があるから、引用文献1には、「LAA機能を持つUEは、LAAセルが設定されている状態では、ライセンスセルとアンライセンスセルを同時にCAに設定する」ことが記載されているといえる。
また、上記「3.2 LAAセルによるデータ転送」には、「LAAセルは、RRCの接続状態にあるUEのSCellとして設定される。LAAセルの設定は、UEからの測定報告、またはその他の理由によるeNBの決定によって開始される。」との記載があるから、引用文献1には「LAAセルは、RRCの接続状態にあるUEのSCellとして設定されるものであり、LAAセルの設定は、UEからの測定報告等によりeNBの決定によって開始される」ことが記載されているといえる。
さらに、上記「3.2 LAAセルによるデータ転送」には、「LAAセルのスケジューリングに、クロスキャリア・スケジューリング・・・を利用することができる。クロスキャリア・スケジューリングを使用する場合、LAAセルのスケジューリング情報はライセンス・セル上で送信され、UEは、LAAセルがスケジューリングされているときにのみ、LAAセルの物理チャネルを復号する。」との記載があるから、引用文献1には「LAAセルのスケジューリングに、クロスキャリア・スケジューリングが利用でき、クロスキャリア・スケジューリングを使用する場合、LAAセルのスケジューリング情報はライセンス・セル上で送信され、UEは、LAAセルがスケジューリングされているときにのみ、LAAセルの物理チャネルを復号する」ことが記載されているといえる。
そして、これらの記載によれば、LAA機能をもつUEがCAを行う際のUEとeNBとの間でのやり取りが記載されているといえるから、UEの動作に着目すると「LAA機能をもつUE」が記載されているといえる。

以上を総合すると、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「 LAA機能をもつUEであって、
LAA機能を持つUEは、LAAセルが設定されている状態では、ライセンスセルとアンライセンスセルを同時にCAに設定し、
LAAセルは、RRCの接続状態にあるUEのSCellとして設定されるものであり、LAAセルの設定は、UEからの測定報告等によりeNBの決定によって開始されるものであり、
LAAセルのスケジューリングに、クロスキャリア・スケジューリングが利用でき、クロスキャリア・スケジューリングを使用する場合、LAAセルのスケジューリング情報はライセンス・セル上で送信され、UEは、LAAセルがスケジューリングされているときにのみ、LAAセルの物理チャネルを復号する、
UE。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された、特表2013-516859号公報には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「【0093】
LTE-Aのキャリア・アグリゲーション・システムが4つのキャリア(キャリア0?3)で提供され、かつUEは多くても3つのキャリアの同時のデータ送受信をサポートすると仮定する。
図8は、本発明の一実施例に従って、キャリア・マネージメント・フローを示している。
【0094】
UEがプライマリキャリア0によるサービス接続をセットアップし、かつセキュリティーモードをアクティベートさせたあと、基地局はUEのための追加キャリア測定指示情報を構成し、かつUEにRRC接続再構成信号による追加キャリア測定指示情報を知らせる。追加キャリア測定指示情報は、測定される追加キャリア1?3の振動数及びバンド幅、測定間隔、及び3つの追加キャリアの測定結果報告サイクル等を含んでもよい。この種の情報を受信した後に、UEは、プライマリキャリア0のトランシーバを介した追加キャリアの信号品質を測定し、RRC接続再構成完了信号を介して測定結果を基地局に周期的に報告する。
【0095】
t1 のタイミングで、UEのダウンリンクトラフィック量が増加した場合であって、プライマリキャリア0がダウンリンクトラフィック量のデータレートの要求を満たさない場合、基地局はUEから受信される追加キャリアのための測定報告に従って、最適信号品質の追加キャリアを有するUEを構成する。本実施例において、このタイミングの最適信号品質の追加キャリアが追加キャリア1であると仮定して、基地局は、UEのための追加キャリア1を構成し、かつアクティベートさせて、かつUEに、RRC接続再構成信号による追加キャリア1の対応する構成オペレーションを実行するよう指示する。RRC接続再構成信号は、周波数、バンド幅、追加キャリア1及び専用の無線リソース構成情報等を含んでもよい。一方、基地局は、追加キャリア1を基地局によって記録されるUEのダウンリンクキャリアセットに加える。そして、基地局によって記録されるUEのダウンリンクキャリアセットは、プライマリキャリア0及び追加キャリア1を含む。RRC接続再構成信号を受信した後に、UEは、新規な追加キャリアが基地局によって、それのために構成されたことを発見する。そして、それは信号に含まれる情報に従って、追加キャリア1を構成し、かつ直ちに追加キャリア1をアクティベートさせる。これによって、制御情報及びデータを、追加キャリア1のそれぞれPDCCH及びPDSCHによって受信し始める。この場合、任意に、UEは、構成オペレーションが完了したことを示すために、基地局に応答信号(例えばRRC接続再構成完了信号)を返してもよい。UEは、また、ダウンリンクキャリアセットに追加キャリア1を加える。その時、UEによって記録されるダウンリンクキャリアセットは、プライマリキャリア0及び追加キャリア1を含む。」

上記引用文献2の記載によれば、「LTE-Aのキャリア・アグリゲーション・システムは4つのキャリアで提供され、UEは多くても3つのキャリアの同時のデータ送受信をサポートする」ものであって、「UEがプライマリキャリア0によるサービス接続をセットアップし、基地局は追加キャリア測定指示情報をUEに知らせ、UEは、追加キャリアの信号品質を測定し、測定結果を基地局に報告し、基地局はUEからの追加キャリアのための測定報告に従って、追加キャリアを有するUEを構成し、アクティベートさせて、UEにRRC接続再構成信号により追加キャリアの対応する構成オペレーションを実行させる。」ものである。
そうすると、引用文献2には、「基地局は、プライマリキャリア0でサービス接続をセットアップし、UEからの測定結果報告に基づいて追加キャリアを構成し、アクティベートさせて、UEに接続再構成信号により追加キャリアを構成する」という技術事項が記載されている。

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された、LG Electronics,Protocol Aspects for LAA[online](当審訳:LAAのプロトコルの側面),3GPP TSG-RAN WG2#89R2-150398,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_89/Docs/R2-150398.zip>,2015年 2月 9日には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「RRC Signaling
In carrier aggregation, RRC messages on SRBs can be transmitted in any aggregated cell. However, it seems undesirable that RRC messages are transmitted on unlicensed SCells because delivery of RRC messages should be robust and reliable, considering that transmissions on unlicensed band seem less robust and less reliable than transmissions on licensed band.
Accordingly, we think that RRC messages should be only transmitted on licensed cells. Transmissions of RRC messages can be prohibited on unlicensed cells because a standalone access to unlicensed spectrum is not part of the study and so it would be not considered in Release 13.」(2ページ10行目?2ページ16行目)

([当審訳]
RRCシグナリング
キャリアアグリゲーションでは、SRB上のRRCメッセージは、アグリゲーションされたどのセルでも送信できる。しかし、RRCメッセージの配信にはロバスト性と信頼性が求められるため、ライセンスバンドでの送信に比べてアンライセンスバンドでの送信はロバスト性や信頼性が低いと思われることを考えると、アンライセンスSCellでRRCメッセージが送信されることは望ましくないと思われる。
したがって、RRCメッセージは、ライセンスされたセルでのみ送信されるべきであると考える。RRCメッセージの送信は、免許のないセルでは禁止することができる。なぜなら、免許のないスペクトルへのスタンドアローンのアクセスは研究の一部ではないため、リリース13では考慮されないからである。)

引用文献3のタイトルは、LAAのプトロコルの側面であるから、RRCシグナリングについての記載は、LAAについての記載であることは明らかである。そうすると、引用文献3には、「LAAにおいて、RRCメッセージは、ライセンスされたセルでのみ送信される」という技術事項が記載されている。

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された、特表2014-529276号公報には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「【0006】
470?862MHzの周波数帯域でのアナログTV伝送からデジタルTV伝送への移行により、スペクトルの特定の部分がTV伝送に使用されなくなった。ただし、使用されないスペクトルの量と正確な周波数とは、地域ごとに異なる。FCCでは、これらのTVWS周波数をさまざまな無免許の用途向けに開放した。
(中略)
【0008】
開示の実施形態は、アクセスポイント(AP)とワイヤレス送信機/受信機ユニット(WTRU)の間で、APとWTRUの間の第1の周波数帯域上のアンカーチャネルを使用してアグリゲーションを管理する方法、システム、および装置に関する。1つの代表的な方法は、第1の周波数帯域とは異なる補助帯域である第2の周波数帯域上の補助チャネルを割り当てるための割り当て情報を提供する1または複数のビーコンを、WTRUがアンカーチャネルを通じてワイヤレスに受信するステップと、1または複数のビーコンで提供された割り当て情報を使用して補助帯域上で補助チャネルを確立するステップと、補助帯域上の確立された補助チャネルでWTRUがデータをワイヤレスに交換するステップとを含み得る。
(中略)
【0020】
1または複数の実施形態では、アンカーチャネルはISM帯域に含まれる場合があり、補助チャネルはTVWS帯域に含まれ得る。
(中略)
【0040】
1または複数の実施形態では、APは、WTRUが補助チャネルまたは追加の補助チャネルを使用する性能を示す性能情報を含むメッセージを受信し、受信された性能情報に応じてWTRUに対する(1)補助チャネルまたは(2)追加の補助チャネルの少なくとも1つの割り当てを判断し、WTRUに対して判断された割り当てに対応する割り当て情報をWTRUに送信される一連のビーコンに挿入し得る。」

上記引用文献4の記載によれば、「TVWS周波数をさまざまな無免許の用途向けに開放」し、「補助チャネルはTVWS帯域に含まれ得る」ものであるから、「補助チャネルは無免許の周波数帯域である」といえ、「APとWTRUの間の第1の周波数帯域上のアンカーチャネルを使用してアグリゲーションを管理するシステム、および装置」であって、「APは、WTRUが補助チャネルまたは追加の補助チャネルを使用する性能を示す性能情報を含むメッセージを受信」するものであるから、「APとWTRUの間の第1の周波数帯域上のアンカーチャネルを使用してアグリゲーションを管理するシステムにおいて、APは、WTRUが補助チャネルまたは追加の補助チャネルを使用する性能を示す性能情報を含むメッセージを受信する」ものである。
そうすると、引用文献4には、「APとWTRUの間の第1の周波数帯域上のアンカーチャネルを使用してアグリゲーションを管理するシステムにおいて、APは、WTRUが無免許の周波数帯域である補助チャネルまたは追加の補助チャネルを使用する性能を示す性能情報を含むメッセージを受信する」という技術事項が記載されている。

5 引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された、Huawei (Rapporteur),TP for TR 36.889 v0.1.0 Study on licensed-assisted access using LTE[online](当審訳:TP for TR 36.889 v0.1.0 LTEを用いたライセンス・アシスト・アクセスの検討),3GPP TSG-RAN WG2#89 R2-150727,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_89/Docs/R2-150727.zip>,2015年 4月20日には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「6 Deployment scenarios for LAA
(中略)

(他図略)
-Scenario 1
-Carrier aggregation between licensed macro cell (F1) and unlicensed small cell (F3)
(後略)」(1ページ15行目?2ページ2行目)

([当審訳]
6 LAAの導入シナリオ
(図略)
-シナリオ1
-マクロセル(F1)とアンライセンス・スモールセル(F3)のキャリアアグリゲーション
)

上記引用文献5の「6 LAA導入シナリオ」のシナリオ1の図からは、「マクロセルにおいてライセンスキャリアを用い、スモールセルでは、アンライセンスキャリアを用いる」ものであることが見て取れる。また、「6 LAA導入シナリオ」には、「シナリオ1は、マクロセルとアンライセンス・スモールセルのキャリアアグリゲーション」であることが記載されている。
そうすると、引用文献5には、「LAAにおいて、キャリアアグリゲーションを行うものであって、マクロセルにおいてライセンスキャリアを用い、スモールセルでアンライセンスキャリアを用いる」という技術事項が記載されている。

第7 対比・判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

(1)引用発明は「LAA機能をもつUE」であって、LAA機能をもつUEは、ライセンスセルとアンライセンスセルを同時にCAに設定するものである。ここで、CA(キャリアアグリゲーション)は、UEからの測定報告等によりeNBの決定によって開始されるものであり、UEからの測定報告は、無線回線品質情報を含むものであることは技術常識である。そして、該UEは、CAのための測定報告等を基地局に送信するのであるから、測定報告を基地局に送信するための通信部を有すること、すなわち、無線回線品質情報を基地局へ送信する通信部を有する、ことは自明である。また、CAを行う際、eNBの決定によって、クロスキャリア・スケジューリングされ、LAAセルはSCellとして設定されるものであるから、該eNBからスケジューリングによって、アンライセンスセルを用いた通信を行うか否かを制御する制御部をUEが備えることも明らかである。そして、アンライセンスセルはアンライセンスセルに割り当てられた周波数を用いたセルであることは技術常識であるから、引用発明の「アンライセンスセル」に割り当てられた周波数は、本願発明1の「アンライセンスの周波数である第1の周波数」に含まれ、引用発明のアンライセンスセルを用いた通信を行うか否かを制御する制御部は、第1の周波数を通信に用いるか否かを制御する制御部に含まれるといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明は「無線回線品質情報を基地局へ送信する通信部」を有する点で共通し、「第1の周波数を通信に用いるか否かを制御する制御部」を有する点で一致する。
(2)引用発明では、上記(1)に述べたとおり、UEは、該eNBからスケジューリングによって、アンライセンスセルを用いた通信を行うか否かを制御するものであり、eNBからのスケジューリングは、すなわち第1の周波数を通信に用いるか否かを表す情報であるといえるから、該スケジューリングは、第1の周波数に関連する情報であるといえる。そうすると、引用発明は、第1の周波数に関連する情報を基地局から受信する通信部を有するものといえるから、本願発明1と引用発明は、「通信部は、第1の周波数に関連する情報を基地局から受信」する点で一致する。
(3)引用発明のLAA機能を持つUEは、ライセンスセルとアンライセンスセルを同時にCAに設定するものであり、ライセンスセルは第1の周波数に対応するアンライセンスセルと異なる周波数を用いるものであることは技術常識であり、ライセンスセルで用いられる周波数を第2の周波数と称することは任意である。そして、上記(1)で述べたとおり、引用発明は制御部を有するものであり、該制御部は、第1の周波数を通信に用いるか否かを制御するものであるから、引用発明は、ライセンスセルとアンライセンスセルのCA、すなわち第1の周波数と第2の周波数を同時に使用して、CA(キャリアアグリゲーション)を用いた通信を行うように通信部を制御するものであるといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明は、「制御部は、前記第1の周波数を通信に用いる場合、前記第1の周波数及び第2の周波数を同時に使用して、キャリアアグリゲーションを用いた通信を行うように前記通信部を制御する」点で一致する。
(4)そして、上記(1)ないし(3)の制御部、通信部を備える、引用発明の「LAA機能を持つUE」は、本願発明1の「通信端末」に相当する。

以上を総合すると、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。

(一致点)
「 無線回線品質情報を基地局へ送信する通信部と、
第1の周波数を通信に用いるか否かを制御する制御部とを備え、
前記通信部は、第1の周波数に関連する情報を基地局から受信し、
前記制御部は、前記第1の周波数を通信に用いる場合、前記第1の周波数及び第2の周波数を同時に使用して、キャリアアグリゲーションを用いた通信を行うように前記通信部を制御する
通信端末。」

(相違点)
本願発明1の「通信端末」は「アンライセンスの周波数である第1の周波数を用いた通信が可能か否かを示す端末性能情報を基地局に送信する通信部」を有するのに対し、引用発明のLAA機能を持つUEは、当該発明特定事項を有していない点。

上記相違点について検討すると、上記相違点に係る本願発明1の「通信端末」が有する「アンライセンスの周波数である第1の周波数を用いた通信が可能か否かを示す端末性能情報を基地局に送信する通信部」という発明特定事項は、引用文献1ないし引用文献4には記載も示唆もされておらず、また、原査定において他の請求項に係る発明に対して引用された引用文献5にも記載も示唆もされていない。さらに、当該技術分野において周知技術であるともいえない。

よって、当業者といえども、引用発明において、上記相違点に係る「通信部」を「アンライセンスの周波数である第1の周波数を用いた通信が可能か否かを示す端末性能情報を基地局に送信する」ものとすることは、容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし5に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第8 原査定の理由についての判断
令和3年4月23日に提出された手続補正により、本願発明1の「通信端末」は、「アンライセンスの周波数である第1の周波数を用いた通信が可能か否かを示す端末性能情報を基地局に送信する通信部」という発明特定事項を有するものとなっており、当該発明特定事項は、上記第7で説示したとおり、原査定において引用された引用文献1ないし5には記載も示唆もされておらず、当該技術分野における周知技術であるともいえない。
したがって、本願の請求項1に係る発明は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし5に記載された技術事項に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-06-09 
出願番号 特願2017-517552(P2017-517552)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 青木 健  
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 本郷 彰
國分 直樹
発明の名称 通信端末  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  

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