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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06Q 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1375364 |
審判番号 | 不服2020-4004 |
総通号数 | 260 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-08-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-03-25 |
確定日 | 2021-07-06 |
事件の表示 | 特願2016- 37544「情報処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 9月 7日出願公開、特開2017-156850、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年2月29日の出願であって、令和元年7月18日付けで拒絶理由通知がされ、同年9月11日に手続補正がされ、同年12月25日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和2年3月25日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和3年2月25日付けで当審の拒絶理由通知(本通知に係る拒絶の理由を、以下、「当審拒絶理由」という。)がされ、同年4月19日に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和元年12月25日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1 請求項1-4に係る発明は、引用文献A-Bに記載された発明及び引用文献C-Fに例示される周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 2 この出願は、発明の詳細な説明の記載が、当業者が請求項5に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 3 この出願は、特許請求の範囲の記載が、請求項5に係る発明が明確でない点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 引用文献等一覧(原査定における引用文献1-6を、それぞれ、引用文献A-Fとした。) A.国際公開第2007/063605号 B.国際公開第2011/111640号 C.特開2006-171674号公報(周知技術を示す文献) D.特開2011-076046号公報(周知技術を示す文献) E.赤山 聖子 他3名,プロジェクトファシリテーションツールを活用した初学者向けソフトウェア開発PBL,情報処理学会研究報告,日本,2011年12月15日,pp.1-10,ISSN 1884-0930(周知技術を示す文献) F.橋渡 亮太 他3名,小学校低学年を対象とした基本的な生活習慣の教育を支援する情報システム,情報処理学会 論文誌(ジャーナル),[online],日本,2014年 1月15日,Vol.55 No.1,pp.34-44,ISSN 1882-7764(周知技術を示す文献) 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 請求項1-4に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2002-083054号公報 第4 本願発明 本願請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、令和3年4月19日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-4は以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 所定のグループを構成する複数のメンバーの夫々の行動をポジティブなものに変化させるための支援を行う情報処理装置において、 予め作成された問いであって、前記メンバーの夫々にポジティブな習慣を身に付けさせることを目的として作成された1以上の問いを管理する問い管理部と、 前記問い管理部が管理する前記1以上の問いのうち、所定日の1日の活動が始まる前の第1のタイミングに前記メンバーの夫々が操作する端末に対して前記活動を行うメンバーに前記活動とは別の行動の実践を促す第1の問いを送信する制御と、前記所定日の1日の活動が終了する第2タイミングに前記メンバーの夫々が操作する端末に対して前記行動の実践について前記メンバーに1日を振り返り反省を促す第2の問いを送信する制御とを行う問い送信制御部と、 を備える情報処理装置。 【請求項2】 前記問い管理部は、さらに、 前記1以上の問い毎に、問いに関する説明を対応付けて管理し、 前記問い送信制御部は、さらに、 前記第1の問いに対して回答をしたメンバーの前記端末に対して、前記第1の問いについての前記説明を送信する制御を行う、 請求項1に記載の情報処理装置。 【請求項3】 前記複数のメンバーのうち、前記所定のグループを管理する管理者の前記端末の操作によって、前記所定のグループを構成する複数のメンバーに対して所定日に送信される問いが指示された場合、 当該問いを、当該複数のメンバーに対して所定日に出題される問いとして設定する日付設定部を、さらに備える、 請求項1又は2に記載の情報処理装置。 【請求項4】 前記問い管理部は、複数の問いをポジティブな行動の種類毎にカテゴリ分類して、カテゴリ毎に階層化して管理する、 請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の情報処理装置。」 第5 引用文献、引用発明 1.引用文献1について 当審拒絶理由に引用された引用文献1(特開2002-083054号公報)には、次の事項が記載されている。(下線は当審が付与した。) 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明はインターネットメールなどの公衆回線によるメールシステムを利用したダイエットサポートシステムに関するものである。」 「【図1】 」 「【0017】 【発明の実施の形態】図1はこの発明のダイエットサポートシステムの概念図である。10はインターネットホームページであり、ダイエット食品の販売会社などのダイエット関連企業などにより運営することができ、ホームページ中には体重及び身長より算出されるBMI値より肥満傾向を表示させたり、各種の質問事項よりダイエットサポートの要否を問い合わせ、ダイエット必要との場合にメールサポートを行うようになっている。また、ダイエットについてのQ&Aや、レシピ集、その会社の商品案内、掲示版などの各ページが含まれる。 【0018】12は携帯電話を示しており、ユーザは自分の携帯電話12のインターネットアクセス機能(例えばiモード(エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社の登録商標))を利用することによりホームページ10にアクセスすることができる。このホームページ10にアクセスすることによりユーザはダイエットに関する情報を得ることができ、必要な場合はメールサポートを得ることができる。メールサポートにおいては、ユーザは携帯電話12への定期的な(例えば毎朝、毎晩の)メールを受け、体重変化などのそのときのダイエット状態に応じてメールによる適切なサポートをダイエット期間において適時に受けることができる。体重変化以外にもダイエットの経験とか、以前のダイエットの結果とか、ストレスの有無とか、間食の有無とか、食事の規則性とか、偏食とか、生理の状態とかに応じたサポートメールを受けることができる。これにより、ダイエットの実を上げることができる。」 「【0023】図5及び図6はメールサポートの流れを示しており、この例の場合はメールサポートは9日間において行われるようになっている。この処理においては毎朝、毎晩メールが送られ、ダイエット状態の質問に対する回答に対してダイエットサポート用の返信メールが自動送信され、スムーズにダイエットに移行するようなメールサポートがなされる。以下、このメールサポートの内容の例について説明すると、メールサポートの1日目においてはステップ60よりステップ62に進み、朝メールの場合はステップ64に進み、第1日目の朝メール(おはようメール)がユーザのメールアドレスに送られるようになっている。第1日のおはようメールの内容例としては、例えばソフトダイエットの場合は、『おはようございます。今日から始まる「おはよう体重メール」は、毎日の体重、体脂肪、気分、昨日の普通食の1食をなにを食べたか、活動内容を記入していただくものです。これから毎朝、あなたの毎日の体重の変化にコメントします。ありのままをお答え下さい。下記のアドレスをクリックして下さい。http://www.xxx.co.jp/diet/day/soft/day1/1.html』というような内容のものとなる。図5のステップ66はアドレスのクリックによるホームページへのリンクを示す。現行のiモードの携帯電話においてもHTMLに近似した言語によるプログラムは行うことができるが、その内容には制限がある。そこで、この実施形態ではホームページ10(図1)にリンクさせることにより自動返信メール(朝メール送信処理)の送信機能を持たせている。即ち、おはようメールの発送(ステップ64)を受けたユーザは、自分の携帯電話12でそのメール内容を読み、指定アドレスをクリックすることによりリンクされたホームページの機能により体重入力、及び体重入力結果に対する回答(メールサポート)を受けることができるような仕組みになっている。図2のステップ100は図5のステップ66のリンクによって実行されるホームページにおける処理を示している。図7によりこの自動メール返信処理1の内容を説明すると、ステップ102では体重増えたかのボタンがクリックされたか否かの判断を示し、ステップ104は体重減ったかのボタンがクリックされたか否かの判断を示し、ユーザが体重増えたと認識している場合はステップ106に進み、ホームページ10にプリレコードメールとして格納されたメールのうち体重増の場合の自動返信メールが選択され、この場合の自動返信メールの内容としては例えば『体重変化でたんですね。あまり無理しないでがんばって』のようになる。ユーザが体重減ったと認識している場合はステップ108に進み、この場合の自動返信メールの内容としては例えば『あせらないでね。しっかり守れば絶対に結果はでるんだから』のようになる。体重かわらない場合はステップ110に進み体重変化なしの場合の自動返信メールが選択され、その例としては例えば、『あせらないでがんばって、ダイエットしてゆきましょう』のようになる。ホームページにはダイエットの程度即ち、軽め(ソフト)でよいか、中庸(フレンドリー)か、強め(スパルタ)かに応じ、体重の変化に応じた内容のメールがプリレコードされており、体重変化状況に応じ適当なメールが選択され、ユーザのアドレスに送信される。そのため、ユーザは体重の変化状況やダイエットの程度に応じてダイエットを適当に鼓舞するようにしかしあまり過激に走ることがないように適切な文面のメールを送られるため、スムースなダイエットに移行するようサポートされる。 【0024】図5に戻って、第1日目の晩になると、ステップ62よりステップ68に進み、第1日目のこんばんはメールの発送処理が行われる。こんばんはメールの内容としては1日目はソフトダイエットの場合は『こんばんは、ダイエット初日が過ぎましたが、辛いと感じた人も、すんなりこなせた人もいるかと思います。さて、これから7日間、あなたに質問させていただきますが、気軽に答えて下さい。まずは、1日目の質問です下記のアドレスをクリックして下さい。http://www.xxx.co.jp/diet/answer/fat/soft/DAY1/1.html』のようになる。図5のステップ68はこのアドレスのクリックによるホームページへのリンクを示す。図2のステップ102は図5のステップ68のリンクによって実行されるホームページにおける処理を概略的に示している。図8によりこの自動メール返信処理2の内容を説明すると、ステップ120ではダイエット経験の有りか否かのボタンがクリックされたか否かの判断を示し、ステップ122はダイエット経験有りでリバウンドがあったか否かの判断を示し、ダイエット経験なしの場合はステップ124に進み、ダイエット経験なしの場合の自動返信メールが選択され、この場合の自動返信の内容としては、例えば、『ダイエットの経験ナシのあなたにささげる一言。始めてのダイエットはいかがですか? 少しつらいかもしれませんが始めての経験はなんでも楽しいものです。痩せる自分を想像しながら楽しんで気軽にあせらずゆっくりダイエットしましょう』のようになる。ステップ126のダイエット経験有りでもリバウンドの経験はない場合に選択される自動返信メールの内容の一例としては、例えば、『ダイエットの経験アリのあなたにささげる一言。ダイエット経験アリの女性のほとんどがリバウンドを経験しているにも関わらず、ダイエット経験ありでリバウンドしていないなんてすばらしい!自己管理ができているあなたに万歳を!その調子でがんばりましょう』のようになる。また、ステップ128でダイエット経験あるがリバウンドの経験もある場合の自動送信の内容としては例えば、『ダイエット経験アリでリバウンドもしているあなたにささげる一言。もうリバウンドはしたくないですよね!今回のダイエットで食事の質を改善し、食事の量と運動量のバランスに気をつけることを身につけてください。ゆっくり確実に新しい食生活になれてください。』のようなものになる。このようにユーザは自分の過去のダイエット経験に適合したメールの返信を受けるため、スムースなダイエットに移行するようサポートされる。」 「【0027】以上は第1日目と第2日めの朝、晩について自動送信メールの内容についてソフトサポートの場合を例をあげて説明したが3日目から7日目までのダイエット期間においても同様なメールサポートが実行される。即ち、朝については体重変化についても問い合わせ晩においては各種のダイエットに関連する事項についての質問(ストレスの有無とか、間食の有無とか、食事の規則性とか、偏食とか、生理の状態)がされ、その回答に見合った最適のプリレコードのメールがソフト、フレンドリー、スパルタのサポート程度に応じて選択され、ユーザにメール発送される。そのため、ユーザはiモードの携帯電話によりダイエットサポート期間において個別的にかつタイムリーなサポートを低コストで受けることができ、本格的なダイエットへの無理のない移行を図ることができる。」 以上の記載によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「ダイエットサポートシステムにおいて、ダイエット食品の販売会社などのダイエット関連企業などにより運営することができ、ホームページ中には体重及び身長より算出されるBMI値より肥満傾向を表示させたり、各種の質問事項よりダイエットサポートの要否を問い合わせ、ダイエット必要との場合にメールサポートを行うインターネットホームページ10(【0017】、図1)であって、 メールサポートにおいては、ユーザは携帯電話12への定期的な(例えば毎朝、毎晩の)メールを受け、体重変化などのそのときのダイエット状態に応じてメールによる適切なサポートをダイエット期間において適時に受けることができ、体重変化以外にもダイエットの経験とか、以前のダイエットの結果とか、ストレスの有無とか、間食の有無とか、食事の規則性とか、偏食とか、生理の状態とかに応じたサポートメールを受けることができ(【0018】)、 メールサポートにおいては毎朝、毎晩メールが送られ、ダイエット状態の質問に対する回答に対してダイエットサポート用の返信メールが自動送信され、スムーズにダイエットに移行するようなメールサポートがなされ(【0023】)、 メールサポートにおける自動送信メールの内容は、朝については体重変化について問い合わせ、晩においては各種のダイエットに関連する事項についての質問(ストレスの有無とか、間食の有無とか、食事の規則性とか、偏食とか、生理の状態)がされ、その回答に見合った最適のプリレコードのメールがソフト、フレンドリー、スパルタのサポート程度に応じて選択され、ユーザにメール発送され、これにより、ユーザはiモードの携帯電話によりダイエットサポート期間において個別的にかつタイムリーなサポートを低コストで受けることができ、例えば、『ダイエット経験アリでリバウンドもしているあなたにささげる一言。もうリバウンドはしたくないですよね!今回のダイエットで食事の質を改善し、食事の量と運動量のバランスに気をつけることを身につけてください。ゆっくり確実に新しい食生活になれてください。』のようなメールの返信を受けるため、スムースなダイエットに移行するようサポートされ、本格的なダイエットへの無理のない移行を図る(【0024】、【0027】)、 ダイエットサポートシステムにおけるインターネットホームページ10。」 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と、引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 「情報処理装置」について 引用発明のインターネットホームページ10を情報処理装置により具体的に実現することは技術常識であり、引用発明の当該情報処理装置は、本願発明1の「情報処理装置」に相当する。 また、引用発明においてダイエット必要との場合にメールサポートを受けるユーザは、引用発明に係るシステムにおいてメールサポートを受けるユーザ、というグループをなす者であるから、本願発明1の「所定のグループを構成する複数のメンバーの夫々」に相当する。 そして、引用発明は、本格的なダイエットへの無理のない移行を図るものであり、本願発明1と同様に、ダイエットサポートによる本格的なダイエットへの無理のない移行を図るという観点で「行動をポジティブなものに変化させるための支援を行う」ものといえる。 以上を総合すると、引用発明は、本願発明の「所定のグループを構成する複数のメンバーの夫々の行動をポジティブなものに変化させるための支援を行う情報処理装置」に相当する構成を備える。 イ 「第1の問い」について 引用発明におけるメールサポートは定期的な(例えば毎朝、毎晩の)メールで行われることから、引用発明においてメールサポートが行われる日は、本願発明1の「所定日」に相当する。 そして、引用発明において、ユーザの携帯電話へ体重変化について問い合わせる自動送信メールが送信される「朝」は、一般に、一日の活動が始まる前であるから、当該送信のタイミングは、本願発明1の「所定日の1日の活動が始まる前の第1のタイミング」に相当する。 また、引用発明のユーザの携帯電話は、本願発明1の「前記メンバーの各々が操作する端末」に相当し、引用発明のユーザの携帯電話に送信される体重変化について問い合わせる自動送信メールは、「前記活動を行うメンバーに」投げかける「第1の問い」といえる。 このため、引用発明の、朝にユーザの携帯電話へ送信される体重変化について問い合わせる自動送信メールと、本願発明1の「第1の問い」とは、後述の相違点1を除き、「所定日の1日の活動が始まる前の第1のタイミングに前記メンバーの夫々が操作する端末に対して前記活動を行うメンバーに」投げかける「第1の問い」である点で共通する。 ウ 「第2の問い」について 引用発明において、ユーザの携帯電話へ各種のダイエットに関連する事項についての質問をする自動送信メールが送信される「晩」は、一般に、一日の活動が終了する時であるから、当該送信のタイミングは、本願発明1の「前記所定日の1日の活動が終了する第2タイミング」に相当する。 また、引用発明のユーザの携帯電話へ送信される各種のダイエットに関連する事項についての質問をする自動送信メールは、「前記メンバーの夫々が操作する端末に対して」投げかける「第2の問い」といえる。 このため、引用発明の、晩にユーザの携帯電話へ送信される各種のダイエットに関連する事項についての質問をする自動送信メールと、本願発明1の「第2の問い」とは、後述の相違点2を除き、「前記所定日の1日の活動が終了する第2タイミングに前記メンバーの夫々が操作する端末に対して」投げかける「第2の問い」である点で共通する。 エ 「問い管理部」について 引用発明の上記自動送信メール、すなわち「1以上の問い」について、引用発明の情報処理装置が、その送信のために管理をする構成を備えることは明らかである。 そして、引用発明の当該構成と、本願発明1の「問い管理部」とは、後述の相違点3を除き、「1以上の問いを管理する問い管理部」である点で共通する。 オ 「問い送信制御部」について 引用発明の上記自動送信メールについて、引用発明の情報処理装置もその送信のために送信する制御を行う構成を備えることは明らかであり、当該構成が本願発明1の「問い送信制御部」に相当する。 以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「所定のグループを構成する複数のメンバーの夫々の行動をポジティブなものに変化させるための支援を行う情報処理装置において、 1以上の問いを管理する問い管理部と、 前記問い管理部が管理する前記1以上の問いのうち、所定日の1日の活動が始まる前の第1のタイミングに前記メンバーの夫々が操作する端末に対して前記活動を行うメンバーに投げかける第1の問いを送信する制御と、前記所定日の1日の活動が終了する第2タイミングに前記メンバーの夫々が操作する端末に対して投げかける第2の問いを送信する制御とを行う問い送信制御部と、 を備える情報処理装置。」 <相違点> (相違点1) 本願発明1の「第1の問い」は「前記活動とは別の行動の実践を促す」ものであるのに対し、引用発明はかかる特徴を有していない点。 (相違点2) 本願発明1の「第2の問い」は「前記行動の実践について前記メンバーに1日を振り返り反省を促す」ものであるのに対し、引用発明はかかる特徴を有していない点。 (相違点3) 本願発明1の「1以上の問い」は、「予め作成された問いであって、前記メンバーの夫々にポジティブな習慣を身に付けさせることを目的として作成された」ものであるのに対し、引用発明はかかる特徴を有していない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み、上記相違点1及び2について検討する。 所定日の1日の活動が始まる前の第1のタイミングの「第1の問い」を「前記活動とは別の行動の実践を促す」ものとし、前記所定日の1日の活動が終了する第2タイミングの「第2の問い」を「前記行動の実践について前記メンバーに1日を振り返り反省を促す」ものとすることにより、「それらの問いに応えていくことで、ポジティブな習慣が自然と身に付いていく」(本願明細書【0045】)ようにすることは、引用文献1に開示や示唆はなく、また、原査定において引用された引用文献A-Fにも開示や示唆はなく、係る事項が周知技術であるともいえない。 したがって、上記相違点3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明することができたものとはいえない。 2.本願発明2-4について 本願発明2-4も、1(2)に検討した相違点1及び2に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明することができたものとはいえない。 第7 原査定の理由についての判断 1 理由1(特許法第29条第2項)について 原査定の理由1は、請求項1-4に係る発明について、引用文献A-Bに記載された発明及び引用文献C-Fに例示される周知技術から、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。 しかしながら、上記のとおり、令和3年4月19日の手続補正で補正された請求項1-4に係る発明の備える、第6 1(2)に検討した相違点に係る構成は、当業者であっても、原査定において引用された引用文献A-Fの記載を参照しても、充足することはできないものであるから、当該請求項1-4に係る発明は、引用文献A-Fに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 したがって、原査定の理由1は解消された。 2 理由2及び3(特許法第36条第4項第1号及び第6項第2号)について 原査定の理由2及び3は、この出願は、発明の詳細な説明の記載が、当業者が請求項5に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、また、特許請求の範囲の記載が、請求項5に係る発明が明確でない点で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない、というものである。 しかしながら、原査定の理由2及び3に係る請求項5は、審判請求時の補正により削除され、令和3年4月19日の手続補正で補正された特許請求の範囲にも記載されていないから、原査定の理由2及び3は解消された。 第8 むすび 以上のとおり、当審拒絶理由及び原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-06-17 |
出願番号 | 特願2016-37544(P2016-37544) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
P 1 8・ 537- WY (G06Q) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 藤澤 美穂、松野 広一、田中 秀樹 |
特許庁審判長 |
佐藤 聡史 |
特許庁審判官 |
相崎 裕恒 後藤 嘉宏 |
発明の名称 | 情報処理装置 |
代理人 | 林 一好 |
代理人 | 正林 真之 |