• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04J
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04J
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04J
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04J
審判 査定不服 特123条1項5号 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04J
管理番号 1375760
審判番号 不服2018-15310  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-19 
確定日 2021-07-06 
事件の表示 特願2016-538831「サブキャリア群のWLAN OFDMA設計およびフレームフォーマットのためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月25日国際公開、WO2015/095153、平成28年10月 6日国内公表、特表2016-531520〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2014年(平成26年)12月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年(平成25年)12月18日 米国 2014年(平成26年)7月7日 米国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 2月14日付け:拒絶理由通知書
平成29年 7月14日 :意見書,手続補正書の提出
平成29年12月19日付け:拒絶理由通知書(最後の拒絶理由)
平成30年 3月22日 :意見書,手続補正書の提出
平成30年 7月10日付け:拒絶査定
平成30年11月19日 :拒絶査定不服審判の請求
令和 元年 8月27日付け:拒絶理由通知書
令和 元年12月 2日 :意見書,手続補正書の提出
令和 元年12月25日付け:拒絶理由通知書(最後の拒絶理由)
令和 2年 5月 7日 :意見書,手続補正書の提出
令和 2年 7月16日付け:拒絶理由通知書(最後の拒絶理由)
令和 2年12月21日 :意見書,手続補正書の提出

第2 令和2年12月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年12月21日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の明細書の記載
本件補正により,明細書の段落【0024】の記載が,次のとおり補正された。(下線部は,補正箇所である。)
「図5は,サブキャリア割り当てのためのOFDMAマッピングフィールド,具体的にはユーザ群(GrpIDを使用する)とサブキャリア群との間のOFDMAマッピングフィールドの実施形態を示す。OFDMAマッピングフィールドは,図4で示されるようなOFDMA PPDUの(SIGフィールドにおける)OFDMAプリアンブルの一部であることができるとともに,GrpIDサブフィールドと1つ以上のサブキャリア群(SCG)インデックスで構成される。OFDMAマッピングフィールドにおけるSCGインデックスの数は,GrpIDに関連付けられているユーザの数に等しい。GrpIDおよび該GrpIDに対応するユーザ群におけるユーザの位置の事前の知識は,どのサブキャリア群がどのユーザに割り当てられているか示すのに十分である。GrpIDの値は,マッピングフィールドを受信するユーザが,関連するユーザ群を決定することを可能にし,従ってその群内のユーザの順序を決定することを可能にする。マッピングフィールドにおけるサブキャリア群(SCG_(1), SCG_(r) ,…, SCG_(s))のその後の順序は,GrpIDの値によって示される群におけるユーザとのサブキャリア群のマッピングを提供し,ここで,示されるサブキャリア群の数は,示される群におけるユーザの数に等しい。マッピングは従って,群におけるユーザの順序間の一対一のマッピングであり,示されるサブキャリア群の順序が使用される。マップ送信に関連するオーバーヘッドにおける節約に加え,このマッピング手法は,OFDMA送信ごとにGrpIDによって示されるため,ユーザの異なる群の選択を可能にする。」

(2)本件補正前の明細書の記載
本件補正前の,本願出願当初における明細書の段落【0024】の記載は次のとおりである。
「図5は,サブキャリア割り当てのためのOFDMAマッピングフィールド,具体的にはユーザ群(GrpIDを使用する)とサブキャリア群との間のOFDMAマッピングフィールドの実施形態を示す。OFDMAマッピングフィールドは,図4で示されるようなOFDMA PPDUの(SIGフィールドにおける)OFDMAプリアンブルの一部であることができるとともに,GrpIDサブフィールドと1つ以上のサブキャリア群(SCG)インデックスで構成される。OFDMAマッピングフィールドにおけるSCGインデックスの数は,GrpIDに関連付けられているユーザの数に等しい。GrpIDの事前の知識およびGrpIDに対応するユーザ群におけるユーザの位置は,どのサブキャリア群がどのユーザに割り当てられているか示すのに十分である。GrpIDの値は,マッピングフィールドを受信するユーザが,関連するユーザ群を決定することを可能にし,従ってその群内のユーザの順序を決定することを可能にする。マッピングフィールドにおけるサブキャリア群(SCG_(1), SCG_(r) ,…, SCG_(s))のその後の順序は,GrpIDの値によって示される群におけるユーザとのサブキャリア群のマッピングを提供し,ここで,示されるサブキャリア群の数は,示される群におけるユーザの数に等しい。マッピングは従って,群におけるユーザの順序間の一対一のマッピングであり,示されるサブキャリア群の順序が使用される。マップ送信に関連するオーバーヘッドにおける節約に加え,このマッピング手法は,OFDMA送信ごとにGrpIDによって示されるため,ユーザの異なる群の選択を可能にする。」

(3)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1の記載が,次のとおり補正された。(下線部は,補正箇所である。)
「ネットワーク構成要素によって,無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)における直交周波数分割多元接続(OFDMA)通信のためにユーザにサブキャリアを供給するための方法であって,前記方法は,
サブキャリア群を,複数の対応するユーザに割り当てるステップと,
前記対応するユーザに対する前記サブキャリア群のマッピングを,前記ユーザに通知するステップと
を備え,
前記サブキャリア群は,特定の帯域幅のチャネルにおける整数個のサブキャリアに対する事前に定義された決定論的な分類構造に従い,
各ユーザは,1つのサブキャリア群に割り当てられ,
前記マッピングは,前記マッピングを示すプリアンブル部分を含むOFDMA物理層(PHY)プロトコルデータ単位(PPDU)を使用して通知され,
前記PPDUは更にデータ部分を含み,前記データ部分は,前記チャネルにおいてスケジューリングされたユーザのデータを搬送し,前記スケジューリングされたユーザの各々のデータは,対応するスケジューリングされたユーザに割り当てられた1つのサブキャリア群上で搬送される,方法。」

(4)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の,令和2年5月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「ネットワーク構成要素によって,無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)における直交周波数分割多元接続(OFDMA)通信のためにユーザにサブキャリアを供給するための方法であって,前記方法は,
サブキャリア群を,複数の対応するユーザに割り当てるステップと,
前記対応するユーザに対する前記サブキャリア群のマップを,前記ユーザに通知するステップと
を備え,
前記マップは,特定の帯域幅のチャネルにおける整数個のサブキャリアに対する事前に定義された決定論的な分類構造に従うサブキャリア群の順序と,スケジューリングされたユーザの順序とを示し,ユーザの指示された順序の各々は,前記サブキャリア群の指示された順序のうちの1つにマッピングされ,
前記マップは,前記マップを示すプリアンブル部分を含むOFDMA物理層(PHY)プロトコルデータ単位(PPDU)を使用して通知され,
前記PPDUは更にデータ部分を含み,前記データ部分は,前記チャネルにおいてスケジューリングされたユーザのデータを搬送し,前記スケジューリングされたユーザの各々のデータは,対応するスケジューリングされたユーザに割り当てられた1つのサブキャリア群上で搬送される,方法。」

2 補正の適否
(1)明細書の補正について
本件補正は誤訳訂正書を提出してしたものではないから,特許法第17条の2第3項の規定により,同法第36条の2第8項の規定による明細書,特許請求の範囲及び図面とみなされた同条第2項に規定する外国語書面の翻訳文に記載した事項の範囲内においてしなければならない。
上記1(1)の本件補正後の段落【0024】において,
「GrpIDおよび該GrpIDに対応するユーザ群におけるユーザの位置の事前の知識は,どのサブキャリア群がどのユーザに割り当てられているか示すのに十分である。」
との記載は,同(2)の本件補正前の同段落における
「GrpIDの事前の知識およびGrpIDに対応するユーザ群におけるユーザの位置は,どのサブキャリア群がどのユーザに割り当てられているか示すのに十分である。」
との記載と,内容が実質的に異なるものである。
本件補正後の上記記載が,翻訳文等(前記翻訳文又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)。以下同様。)の記載から自明であるということはできない。
したがって,本件補正における明細書の補正は,翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであって,翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものとは認められない。
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(2)特許請求の範囲の補正について
上記1(4)の本件補正前の請求項1には,
「前記マップは,特定の帯域幅のチャネルにおける整数個のサブキャリアに対する事前に定義された決定論的な分類構造に従うサブキャリア群の順序と,スケジューリングされたユーザの順序とを示し,ユーザの指示された順序の各々は,前記サブキャリア群の指示された順序のうちの1つにマッピングされ,」
との,「マップ」の内容を,「サブキャリア群の順序」及び「ユーザの順序」に関して特定する記載が含まれていたところ,同(3)の本件補正後の請求項1では,補正前の「マップ」との用語がこれに対応する「マッピング」との用語に置き換えられた上で,上記の「サブキャリア群の順序」及び「ユーザの順序」に関して特定する記載等が削除され,当該「マッピング」の内容を特定する記載が存在しないものとなっている。
そうすると,本件補正における特許請求の範囲の補正は,本件補正前の請求項1を拡張又は変更するものといえ,特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当しない。
また,本件補正は,当審が令和2年7月16日付けで通知した拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)における理由3(後記第3の3(3))の不明点を明らかにするものとはいえないから,同項第4号に規定される明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも該当しない。
更に,本件補正が同項第1号に規定される請求項の削除,同項第3号に規定される誤記の訂正のいずれの事項を目的とするものにも該当しないことは明らかである。

3 本件補正についてのむすび
以上のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第3項に規定する要件に違反し,また,同条第5項の規定にも違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願について
1 本願明細書の記載
本件補正は,上記第2のとおり却下されたので,本願明細書の段落【0024】の記載は,本願出願当初の,前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 本願発明
同じく,本願の請求項に係る発明は,令和2年5月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし28に記載された事項により特定されるものであって,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,当該請求項1に記載された事項により特定される,前記第2[理由]1(4)に記載のとおりのものである。

3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は,理由1?3を含むものであり,それらは概略,次のとおりである。
(1)理由1(原文新規事項)
この出願は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項が,次の点で国際出願日における国際出願の明細書,請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にないから,特許法第49条第6号に該当する(同法第184条の18参照)。
特許請求の範囲の「前記マップは,特定の帯域幅のチャネルにおける整数個のサブキャリアに対する事前に定義された決定論的な分類構造に従うサブキャリア群の順序と,スケジューリングされたユーザの順序とを示し,」との記載に関し,「前記マップは,」「スケジューリングされたユーザの順序とを示」すことは,外国語書面に記載した事項の範囲内とはいえない。
外国語書面によれば,「ユーザの順序」は,事前の知識として与えられるものであって,マッピングフィールドに含まれるGrpIDの値に含まれるものでも,該GrpIDの値により示されるものでもない。
よって,外国語書面は,「前記マップは,」「スケジューリングされたユーザの順序とを示」すことを記載したものではない。

(2)理由2(新規事項)
令和2年5月7日付け手続補正書でした補正は,次の点で翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
上記補正の結果,請求項1には,「前記マップは,特定の帯域幅のチャネルにおける整数個のサブキャリアに対する事前に定義された決定論的な分類構造に従うサブキャリア群の順序と,スケジューリングされたユーザの順序とを示し」と記載されている。
しかしながら,上記補正は,翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであると認められる。
翻訳文等の記載によれば,マッピングフィールド(OFDMAマッピングフィールド)に含まれるGrpIDは,ユーザ群を示すものであって,それ自体が単独でユーザの順序を示すとはいえないから,上記補正後の請求項1における,「前記マップ」は「スケジューリングされたユーザの順序」を「示す」との記載に対応する事項が,翻訳文等に記載されているとすることはできない。

(3)理由3(明確性)
この出願は,特許請求の範囲の記載が次の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項1に「前記マップ」は「スケジューリングされたユーザの順序」を「示す」旨が記載されているが,ここで,「前記マップ」が「ユーザの順序」を「示す」とは技術的にどのようなことを意味するのか不明である。
請求項1の「ユーザの指示された順序」,「前記サブキャリア群の指示された順序」のそれぞれにおける「指示された」が何を意味するのか不明である。

4 当審の判断
当審拒絶理由の理由1?3について,以下,検討する。

(1)理由1(原文新規事項)について
ア 本願明細書の段落【0024】には,
「GrpIDの事前の知識およびGrpIDに対応するユーザ群におけるユーザの位置は,どのサブキャリア群がどのユーザに割り当てられているか示すのに十分である。GrpIDの値は,マッピングフィールドを受信するユーザが,関連するユーザ群を決定することを可能にし,従ってその群内のユーザの順序を決定することを可能にする。マッピングフィールドにおけるサブキャリア群(SCG_(1), SCG_(r) ,…, SCG_(s))のその後の順序は,GrpIDの値によって示される群におけるユーザとのサブキャリア群のマッピングを提供し,ここで,示されるサブキャリア群の数は,示される群におけるユーザの数に等しい。」
と記載されている(前記第2の1(2)の後段の部分)。

イ 上記アの記載に対応する外国語書面の記載は,
「Previous knowledge of the GrpID and the position of the user in the user group corresponding to the GrpID is sufficient to indicate which of the subcarrier groups is assigned to which user. The value of GrpID allows the user receiving the mapping field to determine the associated user group and hence the order of users in that group. The subsequent sequence of subcarrier groups (SCG_(1), SCG_(r) , SCG_(S)) in the mapping field provides the mapping of the subcarrier groups with the users in the group indicated by the GrpID value, where the number of the indicated subcarrier groups is equal to the number of users in the indicated group.」
(当審訳:「GrpIDと該GrpIDに対応するユーザ群におけるユーザの位置についての事前の知識は,どのサブキャリア群がどのユーザに割り当てられているか示すのに十分である。GrpIDの値は,マッピングフィールドを受信するユーザにとって,関連するユーザ群を決定することを可能にし,したがって,その群内のユーザの順序を決定することを可能にする。マッピングフィールドにおける後続のサブキャリア群の並び(SCG_(1), SCG_(r) ,…, SCG_(s))は,GrpIDの値によって示される群におけるユーザとのサブキャリア群のマッピングを提供し,ここで,示されるサブキャリア群の数は,示される群におけるユーザの数に等しい。」)
というものである(国際公開第2015/095153号の6頁32行?7頁2行を参照)。

ウ 上記イの外国語書面の記載によれば,マッピングフィールドのGrpIDは,ユーザ群を示すものであり,その後続(subsequent)の部分(SCG_(1), SCG_(r) ,…, SCG_(s))はサブキャリア群の並び(sequence of subcarrier groups)を示すものである一方,GrpIDに対応するユーザ群におけるユーザの位置(the position of the user in the user group corresponding to the GrpID)は,事前の知識(previous knowledge)である。
そして,GrpIDの値は,マッピングフィールドを受信するユーザにとって,関連するユーザ群を決定することを可能にし,したがって,ユーザ群内のユーザの順序を決定することを可能にする(The value of GrpID allows the user receiving the mapping field to determine the associated user group and hence the order of users in that group)とは,マッピングフィールドに存在する受信したGrpIDと,上記事前の知識としてユーザに与えられた,GrpIDに対応するユーザ群におけるユーザの位置の情報とから,受信したGrpIDに対応するユーザ群の群内のユーザの順序を決定することが可能であることを意味するものと理解できる。

エ そうすると,本願発明における「前記マップは,特定の帯域幅のチャネルにおける整数個のサブキャリアに対する事前に定義された決定論的な分類構造に従うサブキャリア群の順序と,スケジューリングされたユーザの順序とを示し」との発明特定事項のうち,「前記マップ」は「サブキャリア群の順序」を「示」すとの部分については,上記イの外国語書面の記載の範囲内のものであるものの,「前記マップは」「スケジューリングされたユーザの順序」を「示」すとの部分については,同記載の範囲内のものということはできない。

オ また,他に,外国語書面において,本願発明の「前記マップは」「スケジューリングされたユーザの順序」を「示」すとの事項の根拠となる記載は見当たらない。

カ 以上のことから,理由1は妥当であり,本願は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項が,国際出願日における国際出願の明細書,請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にないから,特許法第49条第6号に該当する(同法第184条の18参照)。

(2)理由2(新規事項)について
ア 本願明細書の段落【0024】には,前記第2の1(2)の記載がある。

イ 本願の図面における図5は次のとおりである。




ウ 上記ア,イにおいて,特に,段落【0024】の
「OFDMAマッピングフィールドは,図4で示されるようなOFDMA PPDUの(SIGフィールドにおける)OFDMAプリアンブルの一部であることができるとともに,GrpIDサブフィールドと1つ以上のサブキャリア群(SCG)インデックスで構成される。」
との記載によれば,OFDMAマッピングフィールドは,GrpIDサブフィールドと1つ以上のサブキャリア群(SCG)インデックスで構成されるものであり,
特に,「ユーザ群(GrpIDを使用する)」,「GrpIDに対応するユーザ群」,「GrpIDの値によって示される群」との各記載によれば,GrpIDはユーザ群を示すものである。
また,段落【0024】の記載中の
「GrpIDの事前の知識およびGrpIDに対応するユーザ群におけるユーザの位置は,どのサブキャリア群がどのユーザに割り当てられているか示すのに十分である。GrpIDの値は,マッピングフィールドを受信するユーザが,関連するユーザ群を決定することを可能にし,従ってその群内のユーザの順序を決定することを可能にする。」
とは,マッピングフィールドに存在する受信したGrpIDと,GrpIDに対応するユーザ群におけるユーザの位置の情報とから,受信したGrpIDに対応するユーザ群の群内のユーザの順序を決定することが可能であることを意味するものと理解できる。

エ そうすると,上記ア,イは,マッピングフィールドのGrpIDそれ自体がユーザの順序を示すことについて記載したものではない。
また,そのことについて上記ア,イの記載から自明であるということもできない。
したがって,当該の記載は,本願発明の「前記マップは」「スケジューリングされたユーザの順序」を「示」すとの事項の根拠となるものではない。

オ また,他に,翻訳文等において,「前記マップは」「スケジューリングされたユーザの順序」を「示」すとの事項の根拠となる記載は見当たらない。

カ 以上のことから,理由2は妥当であり,令和2年5月7日付け手続補正書でした補正は,翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであって,翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(3)理由3(明確性)について
上記(2)エ,オのとおり,本願発明の「前記マップは」「スケジューリングされたユーザの順序」を「示」すとの事項については,翻訳文等には記載されていないから,当該事項が技術的にどのようなことを意味するのか,本願明細書の記載を参酌しても明らかでない。
また,本願発明の「ユーザの指示された順序」,「前記サブキャリア群の指示された順序」のそれぞれにおける「指示された」は,それらの直前の「前記マップは,・・・サブキャリア群の順序と,スケジューリングされたユーザの順序とを示し」との記載と平仄が異なることから,何を意味するのか不明である。
よって,理由3は妥当であり,本願は,特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 むすび
以上のとおり,本願は,特許法第49条第6号に該当し,令和2年5月7日付け手続補正書でした補正は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものであり,また,本願は,特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから,特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2021-01-28 
結審通知日 2021-02-01 
審決日 2021-02-18 
出願番号 特願2016-538831(P2016-538831)
審決分類 P 1 8・ 572- WZ (H04J)
P 1 8・ 574- WZ (H04J)
P 1 8・ 537- WZ (H04J)
P 1 8・ 54- WZ (H04J)
P 1 8・ 55- WZ (H04J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉江 一明  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 丸山 高政
富澤 哲生
発明の名称 サブキャリア群のWLAN OFDMA設計およびフレームフォーマットのためのシステムおよび方法  
代理人 実広 信哉  
代理人 木内 敬二  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ