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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B41F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01N
管理番号 1376537
審判番号 不服2021-3087  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-08 
確定日 2021-08-18 
事件の表示 特願2016-222057「印刷面の欠陥分析方法及びこれに基づく印刷装置の調整方法、並びに印刷面の欠陥分析システム及びこれを有する印刷装置の調整システム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月24日出願公開、特開2018- 80955、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は平成28年11月15日を出願日とする出願であって、令和2年7月30日付けで拒絶理由通知がなされ、令和2年11月4日に意見書が提出され、令和2年11月26日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、令和3年3月8日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願請求項1?14に係る発明は、以下の引用文献1?5に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開平11-077979号公報
2.特開平11-224892号公報
3.特開2008-111687号公報
4.特開平11-132720号公報
5.特開平06-294749号公報
第3 本願発明
本願請求項1?14に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明14」という。)は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1?14に記載された事項により特定される発明であり、各発明は以下のとおりである。
1 本願発明1
本願発明1は次のとおりである。ここで、各構成単位冒頭の「A」などは当審で付した分説番号であり、以下「構成A」などという。
「【請求項1】
A 印刷装置により印刷されたワークの印刷面を撮像する第1の撮像手段と、
B 同じく前記印刷装置により印刷されたワークの印刷面を撮像する第2の撮像手段であって、
B1 前記第1の撮像手段よりも前記印刷装置に近い上流側の位置に設けられ、
B2 前記第1の撮像手段よりも高い分解能でより詳細に撮像する第2の撮像手段とを設け、
C コンピュータが、
C1 前記第1の撮像手段で得られる印刷面の画像情報と基準となる画像情報とを比較し、欠陥及びその位置を特定する手順と、
C2 前記欠陥の位置情報に基づき、
C3 前記第2の撮像手段を動作させ、
C4 前記印刷面よりも後に印刷されたワークの印刷面における前記欠陥の位置に対応する領域を詳細に撮像させる手順と、
C5 前記第2の撮像手段が撮像した前記領域の詳細な画像情報を欠陥分析用の情報として記憶する手順とを備える
D 印刷面の欠陥分析方法。」
2 本願発明2?14について
(1)本願発明2?7は、本願発明1を減縮した方法の発明である。
(2)本願発明8は、本願発明1に対応する装置の発明であり、本願発明1とカテゴリー表現が異なるだけの発明である。
(3)本願発明9?14は、本願発明8を減縮した装置の発明である。
第4 引用文献、引用発明等

1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)明細書の記載事項
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像入力方法及び装置、特に走行する原反に印刷された絵柄を検査対象として、原反の幅方向に移動可能なカメラで画像入力した検査画像に基づいて印刷状態を検査する際に適用して好適な、画像入力方法及び装置に関する。」
「【0002】
【従来の技術】走行する原反を輪転印刷機により連続的に印刷すると共に、該原反に印刷された絵柄をカメラで光学的に入力して、その入力画像に基づいて印刷の検査が行われている。具体的には、目視検査装置の場合は、入力した画像を静止画としてモニタに表示し、オペレータがその絵を見て不良の発生を判定し、自動検査装置の場合は、入力した画像を基に画像処理によって不良の発生を判定している。
【0003】このように、印刷機上で印刷中の絵柄を目視又は自動検査装置により検査する場合に適用する、カメラによる画像入力方法としては、図7に概念的に示すように、矢印方向に走行する印刷された原反Wについて、幅方向にトラバース(移動)する1台のCCDカメラにより検査対象である版胴1周分の絵柄全体の中から、その一部を撮影ポイントとして選択して入力する方法がある。
【0004】このように、印刷機上で印刷中の絵柄の一部を目視又は検査装置により検査するために、上記CCDカメラで画像入力する際、絵柄全体の中から撮影すべき場所である撮影ポイントを決定し、撮影する方法としては、次の3通りがある。
【0005】
(1)撮影ポイントをランダムに決定して撮影する。
(2)手動により撮影ポイントを移動して撮影する。
(3)予め手動により撮影ポイントを登録しておき、その場所に順次カメラを移動させ、自動撮影する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、絵柄全体の中から一部を撮影する前記(1)?(3)の画像入力方法には、以下の問題がある。
【0007】即ち、(1)の撮影ポイントをランダムに決定する方法の場合には、検査に適切でない場所を撮影してしまうことが起こり、検査効率が悪い。
【0008】(2)の手動により撮影ポイントを移動する方法の場合には、検査したい場所が1箇所であれば問題にはならないが、複数ポイントを検査したいときには、移動の度に操作が必要となるため、効率的でない。
【0009】(3)の手動により撮影ポイントを登録しておく方法の場合には、検査したいポイントが多数あると、その登録作業が煩雑となる。
【0010】本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、絵柄上で入力したい撮影ポイントが多数ある場合でも、そのポイントの絵柄部分を容易且つ確実に入力することができる、画像入力方法及び装置を提供することを課題とする。」
「【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、版胴により走行する原反に印刷された絵柄を検査対象として、移動機構により原反の幅方向に移動可能な部分入力カメラにより絵柄の一部を画像入力した部分画像に基づいて、印刷状態を検査する際に適用する画像入力方法において、前記部分入力カメラから、原反の流れ方向に所定距離隔てて設置された全体入力カメラにより、絵柄全体を含む全体画像を基準画像として入力するステップと、前記部分入力カメラが前記移動機構上に設定された原点上にある時に、該部分入力カメラにより入力可能な部分画像の基準画像上の位置と、基準画像上に設定された幅方向基準点との関係から、該基準画像上の幅方向位置と前記移動機構上の幅方向位置を対応付けるステップと、基準画像上で、部分入力カメラにより入力すべき撮影ポイントを幅方向に位置決めして設定するステップと、基準画像上で、設定された撮影ポイントと前記幅方向基準点との間の幅方向画素数を算出するステップと、算出された幅方向画素数に、基準画像の幅方向解像度を乗算して、前記移動機構上の幅方向移動量を算出するステップと、前記部分入力カメラを、前記幅方向移動量に対応する目標位置まで、前記移動機構により移動させるステップと、該目標位置に移動させた部分入力カメラにより、任意のタイミングで部分画像を入力するステップと、を有すると共に、前記全体入力カメラにより、全体画像を適宜最新画像として入力するステップと、該最新画像と前記基準画像との幅方向の差に基づいて、前記部分入力カメラの幅方向移動量を補正するステップと、を有することにより、前記課題を解決したものである。
【0012】本発明は又、・・・前記移動機構上の幅方向移動量を算出する手段と、前記部分入力カメラを、前記幅方向移動量に対応する目標位置まで、前記移動機構により移動させる手段と、該目標位置に移動させた部分入力カメラにより、任意のタイミングで部分画像を入力する手段と、を備えていると共に、前記全体入力カメラにより、全体画像を適宜最新画像として入力する手段と、該最新画像と前記基準画像との幅方向の差に基づいて、前記部分入力カメラの幅方向移動量を補正する手段と、を備えたことにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0013】即ち、本発明においては、全体入力カメラにより絵柄全体を含む全体画像を基準画像として入力すると共に、該全体画像(基準画像)と部分入力カメラで入力される部分画像との関係に基づいて、該全体画像上の位置と部分入力カメラの実際の位置(ハード上の位置)をそれぞれ対応付けるようにしたので、部分入力カメラで入力したい撮影ポイントを、ポインテイングデバイス等により全体画像上で幅方向の所定位置に設定するだけで、簡単に該撮影ポイントの部分画像を入力することができる。又、それと共に、適宜最新画像と基準画像とを比較し、両者間にずれ(差)が生じている場合には、そのずれに基づいて部分入力カメラの幅方向位置を補正するようにしたので、経時的に原反に幅方向の位置ずれが生じたり、絵柄に流れ方向の位置ずれが生じたりした場合でも、常に正確な撮影ポイントの部分画像を入力することができる。
【0014】本発明は、又、前記画像入力方法において、前記全体入力カメラと部分入力カメラとの流れ方向の離間距離及び版胴周長に基づいて、基準画像上の流れ方向基準点に位置する絵柄部分を、部分入力カメラで入力可能な基準入力タイミングを算出するステップと、・・・前記移動機構により前記目標位置に移動させた部分入力カメラにより、前記基準入力タイミングから前記待ち時間が経過したタイミングで部分画像を入力するステップと、を有すると共に、前記最新画像と前記基準画像との流れ方向の差に基づいて、前記部分入力カメラの部分画像入力タイミングを補正するステップと、を有することにより、撮影ポイントを流れ方向についても設定できるようにしたものである。
【0015】本発明は、又、前記画像入力装置において、・・・前記移動機構により前記目標位置に移動させた部分入力カメラにより、前記基準入力タイミングから前記待ち時間が経過したタイミングで部分画像を入力する手段と、を備えていると共に、前記最新画像と前記基準画像との流れ方向の差に基づいて、前記部分入力カメラの部分画像入力タイミングを補正する手段と、を備えたことにより、同様に撮影ポイントを流れ方向についても設定できるようにしたものである。
「【0018】本実施形態における部分画像入力装置10は、輪転印刷機の版胴(図示せず)により印刷され、矢印で示した流れ方向に連続的に送られる原反Wから、印刷された絵柄の一部を画像入力する際に用いられ、その部分画像を入力するに際し、全体画像入力装置30により別途入力される絵柄全体を含む全体画像を案内用の基準画像として利用するようになっている。
【0019】便宜上、最初に全体画像入力装置30について説明する。この全体画像入力装置30は、原反Wの流れ方向に沿った所定位置に設置され、原反W上の絵柄全体を含む全体画像を入力(撮影)できる全体入力カメラ(カメラユニット)32、該全体入力カメラ32による画像入力を制御するカメラ制御部34と、該制御部34を介して入力される全体画像を基準画像として保存する基準画像データメモリ36と、該データメモリ36から全体画像のデータ等を読み出し、前記部分画像入力装置10に伝送するデータ通信部38とを備えている。
【0020】又、上記全体画像入力装置30は、」印刷初期に、スイッチを図示した状態にして上記全体入力カメラ32から基準画像を入力し、その後該スイッチを切換えて、同カメラ32から最新の全体画像を基準入力指令入力部40と、入力された最新の全体画像を保存する最新画像データメモリ42と、該メモリ42からの最新画像と、前記メモリ36からの基準画像とを比較して、幅方向及び原反流れ方向の位置ずれを検出する位置ずれ検出部44と、を備えている。
「【0022】一方、前記部分画像入力装置10は、前記データ通信部38から伝送される全体画像データ等のデータを受信するデータ通信部12と、該データ通信部12から入力される各種データを用いて、後述する制御演算を実行するための各手段を含む制御部14と、該制御部14における演算結果に基づいて、画像処理や信号伝達を行う処理部16と、該処理部16を介して上記制御部14から入力される制御信号に基づいて原反W上の絵柄の一部を画像入力する部分入力カメラ(カメラユニット)18と、上記処理部16における処理結果を表示する表示部(ディスプレイ)20と、上記部分入力カメラ18を所定の撮影ポイントに対応する原反Wの幅方向位置に移動させるカメラ移動機構22と、上記処理部16を介して入力される制御信号に基づいて撮影に同期して発光される、上記部分入力カメラ18と一体的に移動する照明(ストロボ)24とを備えている。」
「【0025】本実施形態において、前記部分画像入力装置10は、走行する原反Wに印刷された絵柄を検査対象として、移動機構22により原反Wの幅方向に移動可能な部分入力カメラ18により絵柄の一部を画像入力した検査画像に基づいて印刷状態を検査する際に用いられる。
【0026】本実施形態では、印刷を開始してその状態が安定し、正常な印刷面が得られた時点で、前記部分入力カメラ18から原反の流れ方向に所定距離隔てて設置された前記全体入力カメラ32により、絵柄全体を含む全体画像を、以下に詳述する撮影ポイントを設定する際の基準画像として入力し、前記基準画像データメモリ36に保存する。図2には、リニアガイドを備えたカメラ移動機構(幅方向移動機構)22に幅方向に移動可能に支持されている部分入力カメラ18と、2台のカメラからなる全体入力カメラ32、原反W、該原反W上の三角形を含む絵柄全体との関係を模式的に示した。
【0027】次いで、上記メモリ36から、データ通信部38、12を介して前記基準画像(全体画像)を、他のデータと共に部分画像入力装置10に伝送し、前記制御部14で、以下に詳述する制御演算を実行するようになっている。
【0028】まず、前記カメラ移動機構22上に設定されている原点(幅方向移動機構原点)上に上記部分入力カメラ18がある時に、該カメラ18から入力可能な部分画像の基準画像上の位置と、該基準画像上に予め設定してある幅方向基準点Sとの関係から、該基準画像上の幅方向位置と前記移動機構22上の幅方向位置を対応付ける。
【0029】上記図2には、この対応付けが行われた状態が概念的に併記されており、前記移動機構22上の原点にある部分入力カメラ18から入力可能な部分画像の中心が、基準画像上の幅方向基準点Sから幅方向オフセットΔSだけ離れた位置に対応付けらている。従って、このオフセット(距離)ΔSを登録しておくことにより、上記幅方向基準点Sを基準画像上のカメラ原点として、前記移動機構22により部分入力カメラ18を幅方向の正確な位置に移動させることが可能となる。
【0030】次いで、前記全体入力カメラ32と部分入力カメラ18との間の流れ方向の離間距離及び版胴周長に基づいて、基準画像上の流れ方向基準点に位置する部分画像を、該部分入力カメラ18で入力可能な基準入力タイミングを算出する。
【0031】図3には、本実施形態において設定する上記基準入力タイミングの算出方法を概念的に示した。ここでは、部分入力カメラ18が全体入力カメラ32より上流側に配設されており、図3に示した全体入力カメラ32の視野中心に実質上位置する絵柄(流れ方向基準点)と同一の絵柄を、部分入力カメラ18で正確に部分入力するためには、全体入力カメラ32で入力するタイミングが前記ロータリエンコーダ42の位相Zに対応しているとすると、該位相Zから基準オフセットbに当る長さの原反Wを余分に送るに要する位相分だけ遅れた位相Z′のタイミング(基準入力タイミング)で画像入力すればよいことになる。
【0032】このように入力することにより、上記両カメラ18、32間には離間距離Lに相当する長さの原反Wが存在し、その原反W上には版胴周長Tの整数(N)倍に当る周期分の絵柄と、LをTで割った余り:Lmod Tの長さ分の絵柄が存在していることになるため、全体入力カメラ32で上記位相Zで入力したとすると、入力された流れ方向基準点の絵柄から、整数(N+1)倍の絵柄周期離れた同一の絵柄を正確に入力することができる。」
「【0035】次いで、全体画像上で、部分入力カメラ18により入力すべき撮影ポイントを、幅方向と共に流れ方向に位置決めして設定する。図4は、撮影ポイントをP2に設定する場合の例を概念的に示したもので、図中P1 は、全体画像(基準画像)上の前記幅方向基準点を中心にして、前記図3に示した流れ方向基準点Z’に対応する前記基準タイミングで、部分入力カメラ18により入力することが可能な部分画像を示している。」
「【0043】以上詳述した如く、本実施形態においては、前記図4に示したように、全体画像上で、撮影したい撮影ポイントP2 を、例えばその中心の座標値で指示(設定)するだけで、部分入力カメラ18が対応する適切な幅方向位置に移動し、しかも、適切なタイミングで画像入力することにより、対応する部分画像を正確に入力することができるため、容易に希望する位置の絵柄部分を確実に撮影することができる。
【0044】その際、撮影ポイントの設定は、手動で行うこともできるし、又、予め1以上のポイントを座標値を用いてメモリに登録しておき、順次その座標値を読み出すことにより自動設定することもできる。
【0045】又、本実施形態においては、上述したように基準画像を用いて目標とする撮影ポイントを設定し、部分入力カメラ18による画像入力を行うと共に、適宜全体入力カメラ32により最新の全体画像(最新画像)を入力し、それを最新画像データメモリ42に保存すると共に、前記位置ずれ検出部44において、該メモリ42から読み出した最新画像を、前記基準画像データメモリ36から読み出した前記基準画像とを比較し、位置ずれが発生しているか否かを検出し、発生している場合には以下のように補正する。」
(2)図面の記載事項
ア 図1は次のとおりである。

イ 図2は次のとおりである。









(3)引用発明
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。ここで、上記本願発明1と同様、構成単位冒頭の「a」などは分説番号であり、以下「構成a」などという。また、各構成単位末尾の括弧内に、引用元を示す。
「a 輪転印刷機により連続的に印刷される走行する原反Wの流れ方向に沿った所定位置に設置され、走行する原反に印刷された絵柄全体を含む全体画像を入力(撮影)できる、全体画像入力装置30の全体入力カメラ32と、(【0001】、【0019】)
b 原反W上の絵柄の一部を画像入力する部分入力カメラ18であって、(【0022】)
b1 部分入力カメラ18は全体入力カメラ32より上流側に配設されており、(【0011】、【0031】)
c 全体入力カメラ32を備える全体画像入力装置30は、全体入力カメラ32による画像入力を制御するカメラ制御部34を備え、部分入力カメラ18を備える部分画像入力装置10は制御部14を備え、(【0019】、【0022】)
c1 該カメラ制御部34を介して印刷初期に全体入力カメラ32から入力された全体画像を基準画像として基準画像データメモリ36に保存し、次いで該全体入力カメラ32から最新の全体画像を入力して最新画像データメモリ42に保存し、位置ズレ検出部44によって前記基準画像と前記最新画像とを比較して幅方向及び/または原反流れ方向の位置ズレ(差)を検出し、前記基準画像上で、部分入力カメラ18により入力すべき撮影ポイントを手動または自動的に幅方向及び流れ方向に位置決めして設定し、(【0011】、【0019】、【0020】、【0044】)
c2 前記最新画像と前記基準画像との幅方向及び/または原反流れ方向の位置ズレ(差)に基づいて、前記部分入力カメラの幅方向移動量を補正し、(【0011】、【0012】、【0035】)
c3 前記部分入力カメラ18の前記移動機構を動作させて、
c4 前記補正した撮影ポイントの目標位置に関し、前記部分入力カメラ18を、前記幅方向移動量に対応する幅方向の目標位置まで、前記移動機構により移動させ、及び/または、前記補正した撮影ポイントの流れ方向の入力タイミングで、全体入力カメラ32で入力するタイミングから、オフセットに当る長さの原反Wを余分に送るのに要する時間後れて、前記部分入力カメラ18により部分画像を入力し、(【0011】、【0031】)
c5 部分入力カメラ18により絵柄の一部を画像入力した検査画像に基づいて部分画像入力装置10により印刷状態を検査する、
d 輪転印刷機により連続的に印刷される原反の印刷の検査方法。(【0001】、【0002】)」
2 引用文献2について
(1)明細書の記載事項
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ICなどを実装するために用いられるテープキャリアに形成されたリードなどに生じた欠陥を検査する欠陥検査装置に関する。」
「【0019】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照して、本発明の一実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるテープキャリアの欠陥検査装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。図1に示すように、この欠陥検査装置10は、送り出し側のリールに巻かれたテープキャリアCを、欠陥検査装置10に送り出す送り出しローラ12と、欠陥検査装置10の下を通過したテープキャリアCを、巻き取り側のリールに送り出す巻き取りローラ14と、テープキャリアCを撮影する第1のCCDカメラ16と、第1のCCDカメラ16のX-Y方向の位置を制御する第1のX-Y制御部18と、第1のCCDカメラ16により得られた画像信号に所定の処理を施して、テープキャリアに形成されたリードに欠陥があるか否かを判断する画像計測部20と、画像計測部20および後述する欠陥計測部28から送られたテープキャリアの欠陥に関する情報に基づいて、最終的にテープキャリアに欠陥が生じているか否かを判断する画像判定/制御部22と、第1のCCDカメラ16よりも、テープキャリアCの搬送経路上の下流側に配置された第2のCCDカメラ24と、第1のX-Y制御部18から得た位置情報にしたがって、第2のCCDカメラ24のX-Y方向の位置を制御する第2のX-Y制御部26と、テープキャリアCのリードを部分的に計測する欠陥計測部28と、第1及び第2のCCDカメラ16,24により撮像した画像などを表示する表示部25と、検査を行う前に予め検査領域や検査基準を設定する設定部29と、画像判定/制御部22の判定結果にしたがって、パンチ34の動作を制御するパンチ駆動部32と、最終的に不良と判定されたテープキャリアのフレームの所定の部分に穴を穿つためのパンチ34と、送り出しローラ12および巻き取りローラ14を駆動するローラ駆動部36を備えている。」
「【0024】本実施形態においては、第1のCCDカメラ16により、4000画素×4000画素からなる画像が得られる。ここで、1画素を2μmに設計した場合、一回の撮像によりテープキャリア上の8×8mmの領域を撮像することができる。また、1画素を10μmに設計した場合、一回の撮像によりテープキャリア上の40×40mmの領域を撮像することができる。本実施形態では、1画素を5μmに設計しているので、一回の撮像によりテープキャリア上の20×20mmの領域を撮像することができる。したがって、テープキャリアとして36mmのものを使用した場合、一のフレームを4分割して、その分割した各領域を第1のCCDカメラ16により撮像し、撮像した4つの画像を合成して一つのフレームの画像を得るようにしている。このようにして得られた画像に基づいて、後述する検査領域や非検査領域等の設定を行う。
【0025】その一方、第2のCCDカメラ24は、第1のX-Y制御部18から与えられた位置情報にしたがって、より限定される欠陥領域の画像を得るようになっており、このため、25万?35万画素程度のCCD素子を有しているものを使用している。また、第2のCCDカメラ24は、第1のCCDカメラ16の2倍以上の分解能とする。例えば、1画素を1μmに設計し、これにより、一回の撮像でテープキャリア上の600×500μm程度の領域を撮像することができる。なお、第1のCCDカメラ16及び第2のCCDカメラ24として、ラインセンサを用いてもよい。
【0026】画像計測部20は、第1のCCDカメラ16により得られた画像信号を二値化してディジタル画像データを生成し、得られたディジタル画像データに所定の処理を施す。画像計測部20において、テープキャリアCのあるフレームのある領域に欠陥があると判定された場合には、第1のX-Y制御部18から第2のX-Y制御部26に位置情報が与えられ、第2のX-Y制御部26は、与えられた位置情報にしたがって、第2のCCDカメラ24を位置決めする。また、欠陥計測部28は、第2のCCDカメラ24により得られた画像信号を二値化してディジタル画像データを生成して検査を行う。上述したように、欠陥計測部28にて行う検査は、画像計測部20にて欠陥があると判断された領域の画像に対応する。
【0027】画像計測部20による検査結果、および、欠陥計測部28にて得られた検査結果は、画像判定/制御部22に送られる。画像判定/制御部22は、これら情報に基づき、テープキャリアC中のフレームが不良であるか否かを最終的に判断し、フレームが不良であると判断した場合には、パンチ駆動部32に、パンチ34の駆動を指示する信号を出力する。
【0028】設定部29は、検査を行う前に、予め各テープキャリア毎に、第1のCCDカラメにより撮像した画像に対して、担当者からの指示に基づいて検査対象領域や検査基準(閾値)を設定する。先ず、検査領域の設定について説明する。図3及び図4は、テープキャリアの検査領域について説明するための図であり、図4は図3の部分拡大図である。図3において、パッド部51を含む内側の領域(図3で、外側の一点鎖線で囲まれた領域)は、本装置で検査を行う検査対象領域100であり、インナーリード58aよりも内側のデバイスホール54の領域(図3で、内側の一点鎖線で囲まれた領域)は、本装置による検査を行わない非検査領域110である。このように非検査領域110を設定することにより、検査処理を迅速に行うことができる。なお、本実施形態では、図4に示すように、インナーリード58aとアウターリード58cとの間のリードを中間リード58bと称し、またアウターリード58cの先からパッド部51までのリードをパッド用リード58dと称する。」
「【0048】このようにして、画像計測部20により、欠け或いは突起が生じていると判断された位置を示す位置情報が、第2のX-Y制御部26に与えられると、第2のX-Y制御部26は、その位置情報にしたがって、第2のCCDカメラ24を移動して、位置決めを行う。次いで、第2のCCDカメラ24により撮影された画像に対応する画像信号が、欠陥計測部28に与えられる。前述したように、第2のCCDカメラ24は、その位置情報にしたがって、フレーム中の所定の欠陥を有するリードの領域のより詳細な画像を得ることができる。
【0049】欠陥計測部28は、したがって、フレーム中の欠陥を有するリードの領域のより詳細な画像に対応する画像信号を受けて、これに二値化処理を施して、ディジタル画像データを得る。そして、前述した画像計測部20における処理と同様の処理を行って、より詳細な欠陥部の検査を行う。なお、欠陥計測部28における検査は、画像計測部20における検査方法と異なる検査方法、例えば既存の検査方法を用いて行うようにしてもよい。
【0050】画像判定/制御部22は、画像計測部20において得られた計測結果と、欠陥計測部28にて得られた、部分領域の画像のデータとにしたがって、最終的に、フレーム中のリードの何れかに欠陥が生じているか否かを判断する。リードの何れかに欠陥が生じていると判断された場合には、パンチ駆動部32に、パンチ34を駆動して、そのフレーム中に穴をあけるように指示する。このような二段階の検査を行うことにより、一回だけの検査に比べてより正確な検査を行うことができる。」
(2)図面の記載事項
図1は次のとおりである。






(3)認定事項
上記(1)、(2)の記載事項から、引用文献2には、下記の技術事項(以下「引用文献2技術事項」という。)が記載されているといえる。
「ICなどを実装するために用いられるテープキャリアに形成されたリードなどに生じた欠陥を検査する欠陥検査装置」において、「テープキャリアCを撮影する第1のCCDカメラ16」と、「第1のCCDカメラ16よりも、テープキャリアCの搬送経路上の下流側に配置された」、「第1のCCDカメラ16の2倍以上の分解能を有する」「第2のCCDカメラ24」とを備え、「画像計測部20は、第1のCCDカメラ16により得られた画像信号を二値化してディジタル画像データを生成し、得られたディジタル画像データに所定の処理を施」し、「欠陥計測部28は、第2のCCDカメラ24により得られた画像信号を二値化してディジタル画像データを生成して検査を行」い、「欠陥計測部28にて行う検査は、画像計測部20にて欠陥があると判断された領域の画像に対応する」、欠陥検査方法。
3 引用文献3について
(1)明細書の記載事項
明細書には次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板や実装基板、液晶パネルなどを始めとする種々の検査対象物を目視で検査できるようにした目視検査装置に関するものであり、より詳しくは、遠隔操作によって検査対象物を目視検査できるようにした装置およびそのレビュー機で用いられるプログラムに関するものである。」
「【0031】
まず、検査対象となるプリント基板4を検査する場合、自動検査装置2のスタッカ20にプリント基板4を集積し、そのスタッカ20からプリント基板4をピックアップしてステージ22上に位置決めした状態で載置する。そして、そのステージ22を移動させることによってプリント基板4の画像を第一カメラ241で撮影し(ステップS1)、その撮影された画像を、所定の輝度の閾値を用いてパッドや配線パターン、レジスト、シルクなどに分離した後、パッドや配線パターン、レジスト、シルクなどの輝度領域毎の画像を微小ブロックに区切って輝度のヒストグラムを生成する。そして、記憶部26に格納させておいた所定輝度幅内の画素数と比較することによって該微小ブロックにおける形成状態を判定する(ステップS2)。このとき、例えば、微小ブロックに区切られたヒストグラムの所定輝度範囲内における画素数が下限閾値よりも少ない場合は「パッドに欠けを生じている」と判定し、また、所定輝度範囲内における画素数が上限閾値よりも多い場合は「パッドに膨らみを生じている」と判定する。そして、この判定によって不良箇所が存在していると判定された場合は、そのプリント基板4に対してシリアル番号を付与していくとともに、そのシリアル番号に対して不良箇所の座標位置と不良箇所の画像などの不良詳細情報を記憶させる。また、不良箇所が隣接して複数存在する場合には、その中心位置と最も外側における不良箇所の座標位置までの距離dも記憶させる(ステップS3)。以下、シルクやレジストなどについても同様の検査を行い、不良箇所の存在するおそれのあるプリント基板4については、順次、不良品用集積部27に集積していき(ステップS4)、最後に、不良と判定されたプリント基板4の不良詳細情報をサーバーコンピューター6に格納する(ステップS5)。
【0032】
次に、不良と判定されたプリント基板4について目視判断する場合、目視検査装置3の装置本体31は、自動検査装置2の通信部28を介して、その自動検査装置2の記憶部26に格納された不良詳細情報、もしくは、サーバーコンピューター6に格納された不良詳細情報を読み取り(ステップT1)、その情報を自己の記憶部317に格納させる(ステップT2)。また、装置本体31の記憶部317へ格納させるのと同時、もしくは、レビュー機32が立ち上げられるのと同時に、サーバーコンピューター6の不良詳細情報をレビュー機32の記憶部322に格納させる(ステップU1、ステップU2)。そして、このレビュー機32の記憶部322に格納された不良詳細情報から最初のシリアル番号、すなわち、最初のプリント基板4の不良詳細情報を読み出し(ステップU3)、不良箇所のリストを第四の表示領域344にリスト表示させて(ステップU4)、検査者によってリストの選択を受け付ける。そして、検査者によって、入力部321のマウスなどを使っていずれか一つの不良箇所が選択されると(ステップU5)、この選択された不良箇所の画像であって自動検査装置2で取得された画像を第一の表示領域341に表示させる。また、同時に、第三の表示領域343にも同じ領域の基準画像を表示させ(ステップU6)、検査者による目視判断の入力を受け付けられるようにする。ここで、検査者が第一の表示領域341に表示された画像に基づいて目視検査を行うことができた場合は、HOMEキーを受け付けることなく(ステップU7)、F1(正常)やF2(不良)などのキーの入力を受け付け(ステップU10)、その結果をインターネットを介して装置本体31に送信し(ステップU11)、プリント基板4を良品用集積部に回収する(ステップT3、T6、T7)。一方、検査者が第一の表示領域341に表示された自動検査装置2からの画像に基づいて目視検査することができない場合は、HOMEキーなどの特定のキー入力を受け付け(ステップU7)、不良箇所における座標位置を記憶部322から読み出して装置本体31にインターネット5を介して送信し(ステップU8)、装置本体31のステージ312を移動させる(ステップT3)。そして、第二カメラ315によってその不良箇所の座標における画像を撮影し(ステップT4)、これをレビュー機32に送信することによって(ステップT5)、第二の表示領域342に表示させる(ステップU9)。同様に、この第二の表示領域342に表示された画像に基づいて、F1(目視判断OK)やF2(目視判断NG)の入力を受け付け(ステップU10)、これを装置本体31に送信するとともに(ステップU11、T6)、その判定結果に応じて分別回収する(ステップT7)。
【0033】
このように上記実施の形態によれば、自動検査装置2に接続された装置本体31とレビュー機32とをインターネット5を介して接続し、自動検査装置2で不良と判定された検査対象物の不良詳細情報をレビュー機32に送信して目視による良否判断を受け付けるようにしたので、自動検査装置2によって不良と判定された箇所のみを再検査するだけでよく、全領域について初めから検査することなく迅速に検査を行うことができる。しかも、自動検査装置2で取得された画像や不良箇所などの不良詳細情報をあらかじめレビュー機32に送信しておくことによって、ディスプレイ320に不良箇所の画像をいち早く表示させることができるため、新たに画像を取得して表示させる場合に比べて、格段に早く画像を表示させることができるようになる。また、自動検査装置2で取得された画像からは目視判断できないような場合には、その不良箇所を示す情報を装置本体31に送信し、目視検査装置3の装置本体31の第二カメラ315を用いて再度画像を取得するようにしたので、画像取得の回数を減らすことができ、目視検査の効率化を図ることができるようになる。」
「【0036】
また、上記実施の形態において、目視検査装置3の装置本体31には第二カメラ315を設けるようにしているが、この第二カメラ315としては、自動検査装置2の第一カメラ241よりも高解像度のカメラを用いるようにしてもよく、また、その台数も多くするようにしてもよい。第二カメラ315の台数を多くする場合は、例えば、カメラの角度やプリント基板4までの距離を変えるなどして複数の位置に設置すると、より種々の角度からの画像を取得することができ、正確な目視検査を行うことができるようになる。」
(2)認定事項
上記(1)の記載事項から、引用文献3には、下記の検査手順に関する技術事項(以下「引用文献3技術事項」という。)が記載されているといえる。
「プリント基板や実装基板、液晶パネルなどを始めとする種々の検査対象物を目視で検査できるようにした目視検査装置において、
a)まず、検査対象となるプリント基板4を検査する場合、自動検査装置2のスタッカ20にプリント基板4を集積し、
b)そのスタッカ20からプリント基板4をピックアップしてステージ22上に位置決めした状態で載置し、
c)そのステージ22を移動させることによってプリント基板4の画像を第一カメラ241で撮影し、
d)輝度領域毎の画像を微小ブロックに区切って輝度のヒストグラムを生成することにより該微小ブロックにおける形成状態を判定し、
e)この判定によって不良箇所が存在していると判定された場合は不良箇所の座標位置と不良箇所の画像などの不良詳細情報を記憶させ、
f)不良と判定されたプリント基板4の不良詳細情報をサーバーコンピューター6に格納し、
g)不良と判定されたプリント基板4について目視判断する場合、目視検査装置3の装置本体31は、記憶部26に格納された不良詳細情報、もしくは、サーバーコンピューター6に格納された不良詳細情報を読み取り、
h)不良箇所のリストを第四の表示領域344にリスト表示させて、検査者によってリストの選択を受け付け、
i)検査者によっていずれか一つの不良箇所が選択されると(ステップU5)、この選択された不良箇所の画像であって自動検査装置2で取得された画像を第一の表示領域341に表示させ、
j)検査者が第一の表示領域341に表示された自動検査装置2からの画像に基づいて目視検査することができない場合は、第一カメラ241よりも高解像度の第二カメラ315によってその不良箇所の座標における画像を撮影し、
k)第二の表示領域342に該画像を表示させ、
l)該画像に基づいて、目視判断結果の入力を受け付け、
m)これを装置本体31に送信するとともに、その判定結果に応じて分別回収する、検査手順。
4 引用文献4について
(1)明細書の記載事項
明細書には次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器分野等で使用される液晶パネル、CRTパネル、PDPパネル(プラズマ・ディスプレイ・パネル)等の電子部品の表面に現れる点欠陥をその製造ラインにおいて検査するために、被検査体を撮像素子で撮像して得られる前記表面の点欠陥に対応する濃淡画像の各画素の濃度データに基づいて欠陥検出を行う、点欠陥検出装置及び方法に関する。」
「【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カメラの物理的大きさの制約および撮像素子の画素数増加の限界もあり、欠陥検出感度および欠陥位置特定精度は確保することが困難になりつつある。従って、本発明の目的は、カメラの台数および撮像素子の画素数増加に頼ることなく欠陥検出感度および欠陥位置特定精度は確保することを可能とする点欠陥検出装置及び方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため、本発明は以下のように構成している。本発明の第1態様によれば、部品の画像を撮像素子に取り込み、取り込んだ画像中の点欠陥の欠陥位置を概略的に特定する欠陥概略位置特定用低倍率カメラと、上記低倍率カメラの上記撮像素子と上記部品との間の光軸中に回転可能に配置され、かつ、撮像中に、回転軸回りに回転することにより上記部品と上記撮像素子との相対光軸位置を連続的にずらせて、相対的に光軸位置がずれた上記部品の画像を上記低倍率カメラの上記撮像素子に取り込ませうる光路変更回転板と、上記低倍率カメラよりも高倍率である欠陥詳細位置特定用高倍率カラーカメラとを備えて、上記低倍率カメラで上記部品の点欠陥の欠陥概略位置を特定し、この情報に従って上記高倍率カラーカメラで取り込まれた上記部品の濃淡画像の各画素の濃度データから上記点欠陥を検出して欠陥詳細位置を特定することを特徴とする点欠陥検出装置を提供する。」
「【0011】
【発明の実施の形態及び実施例】
以下に、本発明にかかる実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかる点欠陥検出装置の一例としての液晶画面欠陥検出装置の構成を示したものである。部品の一例としての液晶パネル1の裏面から光源3の光を照射し、低倍率カメラ2で撮影する。この低倍率カメラ2は撮像素子50を備えており、各画素毎の濃淡信号が得られ、これはデジタル化された形でコンピュータ4に送り込まれる。このコンピュータ4は、図1に示すように、その内部には、メモリ4a、メモリ4aに接続された演算部4b、演算部4bと接続されるプログラムメモリ4cとを備えている。コンピュータ4の中では、画素の行と列に対応した形で、例えば8bit(0?255)の濃度データが格納される。なお、コンピュータ4は、下記の処理を実行するプログラムがプログラムメモリに設定されている。カメラ2の前には、例えば5mm程度の厚さを有するガラスから構成する光路変更回転板6が駆動モータ77の駆動により回転可能に備え付けられ、撮像素子の露光時間内に1回転することにより撮像素子50と液晶パネル1の相対位置関係をずらせながら多重露光を行う。カメラ2からの情報により検出された欠陥の詳細位置を特定するために高倍率カラーカメラ5が使用される。なお、この高倍率カメラ5は、液晶パネル1の液晶面沿いに高倍率カメラ5を移動可能とする水平移動機構76および高倍率カメラ5の焦点位置合わせを自動的に行い、焦点合わせした位置から異物などの高さを検出可能な焦点位置合わせ機構75を備えている。回転板6の駆動モータ77、水平移動機構76及び焦点位置合わせ機構75の各駆動はコンピュータ4の制御の下に行われる。なお、水平移動機構76はカメラの視野の邪魔にならないように配置する。まず、本発明の第1実施形態にかかる液晶画面欠陥検出装置の検出手順について図2を元に説明する。
【0012】
ステップS1では、被検査体の一例である液晶パネル1の点灯を行う。ここでは、黒点灯に説明を限定する。もちろん、他の点灯への応用は容易である。ステップS2では、低倍率カメラにより液晶パネル1の画像を取り込む。図3には、光路変更回転板6の角度位置が図3(a)に示す7の位置である場合及び図3(c)に示す8の位置である場合における撮像素子50上への液晶パネル1の画素欠陥51の受光ずれ(b)及び(d)を示している。図3(a)の条件による受光ずれが図3(b)に示され、図3(c)の条件による受光ずれが図3(d)に示されている。図3(a)及び図3(b)に示すように、回転板6が無い場合には撮像素子50において画素51の位置に受光されるものが、回転板6が配置されて図3(a)の7に示す角度位置に位置する場合には撮像素子50の53の位置になり、回転板6が無い場合と比較して受光位置がずれることになる。図3(c)及び図3(d)に示すように、回転板6が無い場合には撮像素子50において画素51の位置に受光されるものが、回転板6が配置されて図3(c)の8に示す角度位置に位置する場合には撮像素子50の54の位置になり、回転板6がない場合と比較して受光位置がずれることになる。ここでは、液晶パネル1の画像が撮像素子50の1/2画素だけ光路がずれて撮像素子50で受光するように設定している。」
「【0012】
ステップS1では、被検査体の一例である液晶パネル1の点灯を行う。ここでは、黒点灯に説明を限定する。もちろん、他の点灯への応用は容易である。ステップS2では、低倍率カメラにより液晶パネル1の画像を取り込む。
・・・
【0015】
ここで、欠陥部分であるか否かを判定する濃度しきい値を例えば90とすると、図5(a)の状態では欠陥部分の濃度データがしきい値より高く背景部がしきい値より低いため、欠陥部分を背景部から検出可能である。
・・・
【0016】
ステップS3では、濃度しきい値より明るい濃度データをもつ画素の塊まりのうち、最も大きい濃度データをもつ画素の位置を欠陥の位置とする。図6(a)に取り込んだ濃度データ20を示す。この濃度データ20には、液晶パネル21および液晶パネル21の画素欠陥22、23の2個を含む。図6(b),(c)は画素欠陥22、23の濃度データを示す。ここでは、濃度しきい値90以上の濃度データのみを示している。濃度しきい値90より明るい濃度データをもつ画素の塊まりのうち、最も大きい濃度データをもつ画素の位置を欠陥の位置とする場合、図6(b)の画素欠陥22では画素24、図6(c)の画素欠陥23では画素25が欠陥概略位置となる。
【0017】
ステップS4、ステップS5では、上記の欠陥概略位置を基に、高倍率カラーカメラ5による詳細位置を求めることを目的とする。水平移動機構によりカメラ5の位置は正確にモニタリングされる。図6(a)において、予め液晶パネルの4箇所x1、x2、y1、y2の外周画素の位置を検出する。欠陥概略位置が映る位置に高倍率カラーカメラ5を移動させる。・・・図7(b)には、液晶パネルの画素欠陥22の高倍率カラーカメラ5による画像の一部が示されている。本来は光っていないはずのGのみ透過する部分32の一部36、Bのみ透過する部分33の一部37が光っている。高倍率カラーカメラ5の移動機構76での位置とそのときの画像上での外周位置と欠陥画素位置を認識することにより、液晶パネルの既知の画素数からどの画素が欠陥であるかをコンピュータ4で判断する。この判断動作を以下に例示する。」

(2)認定事項
上記(1)の記載事項から、引用文献4には、下記の検査手順に関する技術事項(以下「引用文献4技術事項」という。)が記載されているといえる。
「a)電子機器分野等で使用される液晶パネル(ほかにCRTパネル、PDPパネル(プラズマ・ディスプレイ・パネル)等の電子部品)の表面に現れる点欠陥をその製造ラインにおいて検査するために、被検査体を撮像素子で撮像して得られる前記表面の点欠陥に対応する濃淡画像の各画素の濃度データに基づいて欠陥検出を行う、点欠陥検出方法であって、
b)液晶パネル1の裏面から光源3の光を照射し、低倍率カメラ2で撮影し、
c)濃度しきい値より明るい濃度データをもつ画素の塊まりのうち、最も大きい濃度データをもつ画素の位置を欠陥の概略位置と判定し、
d)欠陥概略位置が映る位置に高倍率カラーカメラ5を移動させて撮像し、
e)高倍率カラーカメラ5の移動機構76での位置とそのときの画像上での外周位置と欠陥画素位置を認識することにより、液晶パネルの既知の画素数からどの画素が欠陥であるかをコンピュータ4で判断する、点欠陥検出方法。」
5 引用文献5について
(1)明細書の記載事項
明細書には次の記載がある。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、板ガラスの欠点、特に、板ガラスの内部に存在する泡や異物等による欠点を検査する方法に関するものである。」
「【0005】本発明は、従来技術の上記問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、板ガラスの内部欠点と外部欠点とを区別して、特に内部欠点を効率よく迅速に検査することができる板ガラスの欠点検査方法を提供することにある。」
「【0008】さらに、本願の第3発明は、板ガラスの側端面からガラス内部に照明を当て、当該板ガラスの表面側から当該板ガラスを撮像光学系により撮像して一定面積当たりの画像の明るさから欠点部分の位置を検出し、当該検出位置を上記撮像光学系よりも倍率の大きい撮像光学系により撮像して欠点を判定するようにしたものである。」
「【0019】第5発明は、板ガラスの表面に照明を当て、その透過光画像を撮像光学系により撮像して一定面積当たりの画像の明るさから欠点の有無を先ず検出し、欠点の存在により第1発明の方法で欠点判定を行なうものである。
【0020】第6発明は、板ガラスの表面から照明を当て、その透過光画像を撮像光学系により撮像して一定面積当たりの画像の明るさから欠点の有無を先ず検出し、欠点の存在により第2発明の方法で欠点判定を行なうものである。」
「【0034】
次に、欠点の検査の場合には、欠点の種類とともにその大きさや形状を検査する必要がある場合がある。例えば、泡、異物等は、その大きさで良否の判定が異なる。こうした欠点の大きさや形状を精確に検査するには、その大きさに対応した拡大光学系(顕微鏡系)が必要であるが、大きな板ガラス(1)の全面をこの拡大光学系で走査することは多くの時間を必要とする。
【0035】
そこで、第3発明では、図3に示すように、第1段階で始めに板ガラス(1)の側端面から照明を当て、表面側から撮像光学系(3)により撮像して、その画像の一定面積当たりの明るさが一定値をこえる部分を精査する欠点として検出して、次に第2段階でその検出位置を拡大光学系(5)により撮像して精確な検査を行なう。この場合、板ガラス(1)の反対側に照射光源(6)を設置し、透過光に基づく画像を処理することにより検出させるものである。また、上記第1段階での撮像光学系(3)の撮像画像を処理して精査する必要のある欠点部分の位置を検出し、この位置へ第2段階の拡大光学系(5)と板ガラス(1)の何れかをサーボモータ等により2次元的に制御移動させるものである。第1段階の撮像光学系(3)の倍率は、例えば、1/10とされ、第2段階の拡大光学系(5)の倍率は、例えば、5倍とされる。
【0036】
また、第4発明は、図4に示すように、板ガラス(1)の側端面からガラス内部に照明を当て、当該板ガラス(1)の表面側から当該板ガラス(1)を撮像光学系(3)により撮像して一定面積当たりの画像の明るさを検出し、これとは別に、当該板ガラス(1)の表面に照明を当て、この状態での当該板ガラス(1)を撮像光学系(3)により撮像して一定面積当たりの画像の明るさを検出し、両者の検出値の比によって精査すべき欠点部分の位置を検出し、当該検出位置を上記撮像光学系(3)よりも倍率の大きい拡大光学系(5)により撮像して欠点の大きさや形状についての精確な検査をして欠点判定を行なうものである。
【0037】
こうした拡大光学系(5)による精確な検査を行なう必要のある欠点場所は、1枚の板ガラス(1)当たり、多くて数箇所であり、もちろん欠点場所のない板ガラス(1)も多い。即ち、第3発明、第4発明は、高速で、かつ、精確な欠点検査方法を提供している。」
(2)認定事項
上記(1)の記載事項から、引用文献5には、下記の検査手順に関する技術事項(以下「引用文献5技術事項」という。)が記載されているといえる。
「a)板ガラスの欠点、特に、板ガラスの内部に存在する泡や異物等による欠点を検査する方法であって、
b)第1段階で始めに板ガラス(1)の側端面から照明を当て、表面側から撮像光学系(3)により撮像して、
c)その画像の一定面積当たりの明るさが一定値をこえる部分を精査する欠点としてその位置と共に検出し、
d)この位置へ第2段階の拡大光学系(5)と板ガラス(1)の何れかをサーボモータ等により2次元的に制御移動させ、
e)当該位置を、上記撮像光学系(3)よりも倍率の大きい撮像光学系により撮像して
f)欠点の大きさや形状について、精確な検査をして欠点判定を行う、方法。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 構成aの「輪転印刷機」、「原反」、「全体入力カメラ32」はそれぞれ、構成Aの「印刷装置」、「ワーク」、「第1の撮像手段」に相当する。
よって、構成aは構成Aに一致する。
イ 構成bの「部分入力カメラ18」は構成Bの「第2の撮像手段」に相当する。
よって、構成bは構成Bに一致する。
ウ 構成b1の「上流側」は構成B1の「印刷装置に近い上流側」に相当することが明らかである。
よって、構成b1は構成Bに一致する。
エ 構成c1の「カメラ制御部34を介して印刷初期に全体入力カメラ32から入力された全体画像」である「基準画像」、「最新の全体画像」はそれぞれ、構成C1の「基準となる画像情報」、「印刷面の画像情報」に相当する。
また、構成c1の「前記基準画像上で、部分入力カメラ18により入力すべき撮影ポイントを手動または自動的に幅方向及び流れ方向に位置決めして設定」することは、構成C1で、構成C4において「詳細に撮像」すべき「位置を特定する」ことと共通する。これに関し、構成c1の「撮影ポイント」は構成C1の「位置」に対応する。
よって、構成c1は、前記第1の撮像手段で得られる印刷面の画像情報と基準となる画像情報とを比較し、(構成C4での詳細に撮像する)位置を特定する工程を備える点で構成C1と共通する。
オ 構成c3の、「前記部分入力カメラ18の前記移動機構を動作させ」ることは、構成C3の「第2の撮像手段を動作させ」ることに対応する。
カ 構成c4の「部分入力カメラ18」が、構成b1によれば「全体入力カメラ32より上流側に配設」されたものであり、且つ、構成c4によれば「全体入力カメラ32で入力するタイミングから、オフセットに当る長さの原反Wを余分に送るのに要する時間後れて」部分画像を入力するものであることは、「部分入力カメラ18」による撮像のタイミングが「全体入力カメラ32」の入力(撮像)タイミングより遅く、しかも部分入力カメラ18の方が全体入力カメラ32よりも原反の上流側、即ち輪転印刷機に近い側に設けられているということであるから、構成c4における「部分入力カメラ18により部分画像を入力」する原反の印刷箇所は、構成c1で「全体入力カメラ32から最新の全体画像を入力」した箇所、すなわち構成aで「全体入力カメラ32」が「走行する原反に印刷された絵柄全体を含む全体画像を入力(撮影)」した「原反に印刷された絵柄」よりも、構成c4で「部分入力カメラ18により部分画像を入力」した原反の絵柄の方が輪転印刷機が後に印刷した箇所となることが明らかである。
また、構成c4の「補正した撮影ポイント」は、上記エで説示したとおり、構成C4の「位置」に対応する。
よって、構成c4は、構成C4と、「前記印刷面よりも後に印刷されたワークの印刷面における」「位置に対応する領域を撮像させる手順」を備える点で共通する。
キ 構成dの「輪転印刷機により連続的に印刷される原反の印刷の検査方法」は、構成Dの「印刷面の欠陥分析方法」に相当する。
ク 一致点
以上、ア?キのとおりであるから、本願発明1と引用発明とは、次の点で一致する。
「A 印刷装置により印刷されたワークの印刷面を撮像する第1の撮像手段と、
B 同じく前記印刷装置により印刷されたワークの印刷面を撮像する第2の撮像手段であって、
B1 前記第1の撮像手段よりも前記印刷装置に近い上流側の位置に設けられ、
C1’ 前記第1の撮像手段で得られる印刷面の画像情報と基準となる画像情報とを比較し、(第2の撮像手段で撮像すべき)位置を特定する手順と、
C3 前記第2の撮像手段を動作させ、
C4’ 前記印刷面よりも後に印刷されたワークの印刷面における前記位置を撮像させる手順と、を備える
D 印刷面の欠陥分析方法。」
ケ 相違点
本願発明1と引用発明とは次の各点で相違する。
(ア)相違点1(構成B1、B2)
本願発明1は、下流側の位置に設けられた第1の撮像手段よりも上流側の位置に設けられた第2の撮像手段を「高い分解能でより詳細に撮像する」とするものであるのに対し、引用発明は、下流側の第1撮像手段及び上流側の第2撮像手段にそれぞれ相当する全体入力カメラ32及び部分入力カメラ18による各画像の分解能の違いについて特定がない点。
(イ)相違点2(構成C1)
本願発明1が特定するのは「欠陥の位置」であるのに対し、引用発明は、特定するのは、第2の撮影手段に相当する部分入力カメラ18によって撮影(入力)すべき、検出した位置ズレ(差)に基づく位置を特異するにとどまり、欠陥やその位置の特定を行う手順を備えない点。
(ウ)相違点3(構成C2)
本願発明1は、「第2の撮像手段を動作」させる手順が「欠陥の位置情報に基づき」行われるのに対し、上記(イ)のとおり欠陥やその位置の特定を行わない引用発明では、第2の撮像手段に相当する部分入力カメラ18を動作させる手順が、印刷の「位置ズレ」に基づくものであって、欠陥の位置情報に基づくものではない点。
(エ)相違点4(構成C4)
本願発明1における構成C4の「詳細に」とは、構成B2の特定事項に照らし、「印刷面」即ち「第1の撮像手段」による撮像(品質)に対し「第2の撮像手段」が撮像する「欠陥の位置に対応する領域」の撮像(品質)を比較した場合の程度の差をいうものと解されるが、引用発明では上記(ア)のとおり、前記各撮像手段に相当する各カメラ間に、前記「詳細に」に対応する分解能差について特定がない点。
(オ)相違点5(構成C)
本願発明1は構成C1?C5の手順を実行する「コンピュータ」を備えるのに対し、引用発明は、各カメラが個別に制御部14、34を備えるものの、それらの制御対象が明確でない点。
(2)相違点の検討
ア 相違点1?4について
相違点1?4は相互に関連することから、合わせて検討する。
(ア)引用文献2?5には、それぞれ上記引用文献2?5技術事項として、各種欠陥検査(分析)方法において、撮像手段を低分解能、高分解能の2つ設け、検査対象物の同一箇所(重複する領域)について、まず低分解能の撮像を行って欠陥及びその位置の検査を行い、次いでその中で検出された欠陥(疑い)箇所について、高分解能の撮像を行うことが記載されている。つまり、同一の欠陥について、まずは低分解能撮像でその存在や位置の抽出を行い、次いで高分解能撮像で当該欠陥を精査するものである。
(イ)一方、引用発明の「全体入力カメラ32」は、欠陥検査を行うものではなく、「部分入力カメラ18」が撮像対象とするのは、「印刷初期に全体入力カメラ32から入力された全体画像を基準画像として基準画像データメモリ36に保存し、」「前記基準画像上で、」「手動または自動的に幅方向及び流れ方向に位置決めして設定し」た「部分入力カメラ18により入力すべき撮影ポイント」である(構成c1)。つまり、引用発明では、基準画像で最初に設定した印刷面上の撮影ポイントについて、次々に印刷される印刷面について部分入力カメラ18によって欠陥検査を行うものであり、全体入力カメラ32と部分入力カメラ18の撮影対象箇所に一致・重複はなく、異なる印刷面である。
(ウ)そうすると、引用発明と引用文献2?5技術事項とは前提が異なるといえ、引用発明において、下流側の印刷面で欠陥が生じれば上流側の印刷面の対応する箇所に同じ欠陥が生じることが明らかであるともいえず、それが技術常識であるともいえないことから、引用発明に対し、引用文献2?5技術事項を適用して、相違点1?4の構成とする動機付けを欠くといえる。
(エ)また、引用発明に引用文献2?5技術事項を適用して、全体入力カメラ32において欠陥を検出し、それを構成c1の「撮影ポイント」に設定するようにし、部分入力カメラ18を全体入力カメラ32より高分解能のものとしたとしても、上記(イ)で説示したとおり、該各技術事項はいずれも、被検物の同じ対象(欠陥)についてまず低分解能の撮像を行い、次いで高分解能の撮像を行うものであるから、該適用により得られる構成は、全体入力カメラ32の下流側に部分入力カメラ18を設けたものとなって、構成B1に関し新たな相違点が形成されることとなる。
(オ)よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2?5に記載された技術事項から、相違点1?4を共に満たす構成を容易に想到することはできない。
イ 相違点5について
引用発明では、両カメラは連携して自動的に制御されているのであるから、個別に、または両者統合して、何らかの制御装置、つまりコンピュータによって制御されていることが明らかであるといえる。
よって、相違点5は実質的な相違点であるとはいえない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2?5技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明8について
本願発明8は、本願発明1に対応する装置の発明であり、本願発明1の構成B1・B2・C1・C2・C4に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2?5技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3 本願発明2?7、9?14について
本願発明2?7、9?14も、本願発明1の構成B1・B2・C1・C2・C4と同一または対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2?5技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1?14は、当業者が引用発明及び引用文献2?5技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-08-02 
出願番号 特願2016-222057(P2016-222057)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01N)
P 1 8・ 121- WY (B41F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 嶋田 行志  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 樋口 宗彦
渡戸 正義
発明の名称 印刷面の欠陥分析方法及びこれに基づく印刷装置の調整方法、並びに印刷面の欠陥分析システム及びこれを有する印刷装置の調整システム  
代理人 森岡 則夫  
代理人 柳野 隆生  
代理人 関口 久由  

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