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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G03G
管理番号 1376660
審判番号 不服2020-7597  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-03 
確定日 2021-08-02 
事件の表示 特願2015-101221「現像装置及びこれを用いた画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月22日出願公開、特開2016-218182〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成27年5月18日の出願であって、平成31年3月25日付けで拒絶の理由が通知され、令和1年6月24日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月2日付けで拒絶の理由が通知され、令和2年1月31日に意見書が提出されたが、令和2年2月20日付けで平成31年3月25日付けの拒絶の理由の理由1(新規性)及び理由2(進歩性)によって拒絶査定がなされ、これに対して、令和2年6月3日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1ないし7に係る発明は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであり、そのうち請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項2】
潜像が形成される像担持体と、前記像担持体に形成される前記潜像を現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に負極性の現像剤を供給する現像剤供給体と、直流バイアスに交流バイアスを重畳させた重畳バイアスを前記現像剤供給体に印加する重畳バイアス印加手段を備える現像装置であって、
前記重畳バイアスの正極の最大のピーク値(Vp^(+))及び負極の最大ピーク値(Vp^(-))と、現像バイアス値(Vdev)の電圧の関係が
50V≦Vp^(+)-Vdev≦250V
-50V≧Vp^(-)-Vdev≧-450V
〔(Vp^(+)+Vp^(-))/2〕-Vdev≦0V
であることを特徴とする現像装置。」

3 原査定の拒絶の理由
原査定の理由のうち、本願発明についての請求項2の理由1(新規性)に係る拒絶の理由の概略は、以下のとおりである。

(新規性)この出願の請求項2に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された刊行物である特開平9-90723号公報(以下、「引用文献」という。)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

4 引用文献の記載
引用文献には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

ア 「【0003】以下、従来の一成分現像装置について説明する。図2は従来の非磁性一成分現像装置を用いた電子写真装置の断面模式図である。1′は従来の非磁性一成分現像装置を用いた電子写真装置である。2は静電潜像担持体である感光体であり、アルミニウム等の金属ドラムを基材とし、その外周面上にセレン(Se)又は有機光導電体(以下、OPCという)等の感光受容層が薄膜状に塗布されている。3は感光体2に近接して配設された帯電器であり、3aのタングステンワイヤ等からなる帯電線と、3bの金属製のシールド板、3cのグリッド板によって構成されている。帯電線3aによりコロナ放電が発生され、グリッド板3cを介して感光体2の表面を一様に帯電する。4は露光光学系、5は露光光学系4から照射される露光光線であり、画像信号をレーザ駆動回路(図示せず)により光強度変調やパルス幅変調され、感光体2上に静電潜像の形成を行う。6は後述の非磁性一成分現像装置を構成する現像ホッパー、7は現像ホッパー6内に収納された非磁性一成分のトナー、8はトナー7を撹拌するトナー撹拌部材であり、後述のトナー供給ローラ10の回転とともに円の軌跡を描き、現像ホッパー6内に収容されたトナー7の凝集を防ぐとともに、トナー7をトナー供給ローラ10へ搬送する。9は現像ホッパー6内に配設され感光体2に対して接触又は近接状態にされるトナー担持体である現像ローラ、9aは現像ローラ9のシャフト、10はトナー撹拌部材8により撹拌、搬送されたトナー7を現像ローラ9の表面に供給するトナー供給ローラ、10aはトナー供給ローラ10のシャフトである。現像ローラ9とトナー供給ローラ10は、ステンレス等の金属を基材としてその外周面上にウレタン,シリコン等の弾性部材が層状に形成され、それぞれシャフト9a,10aにより現像ホッパー6の両端部のハウジングに回転自在に軸支されている。11はトナー規制ブレードであり、11aの金属ばね板部材と現像ローラ9上に接触する11bのトナー規制部材から成り、トナー規制部材11bは金属ばね板部材11aの一端にシリコン又はウレタン等の弾性部材が一体形成されたものである。11cはトナー規制ブレードを固定するブレードホルダであり、トナー規制ブレード11をねじ止めにて取り付ける。トナー供給ローラ10により供給されてきたトナー7は、トナー規制ブレード11と現像ローラ9に挟まれ摩擦帯電されて、現像ローラ9の外周面上にトナー7の薄層状態を形成する。12は現像ローラ9に現像バイアス電圧を印加する現像バイアス電源であり、トナー7を感光体2上の静電潜像が形成された部分に転移付着させて静電潜像を顕像化する。ここで、非磁性一成分現像装置は、現像ホッパー6と、非磁性一成分のトナー7と、トナー撹拌部材8と、現像ローラ9と、トナー供給ローラ10と、シャフト9a,10aと、トナー規制ブレード11と、ブレードホルダ11cと、から構成される。

イ 「【0017】
【実施例】以下本発明の一実施例における非磁性一成分現像装置について、図面を参照しながら説明する。
【0018】(実施例1)図1は本発明の第1実施例における非磁性一成分現像装置を用いた電子写真装置の断面模式図である。1は本発明の非磁性一成分現像装置を用いた電子写真装置である。2は感光体、3は帯電器、3aは帯電線、3bは金属製のシールド板、3cはグリッド板、4は露光光学系、5は露光光線、6は現像ホッパー、7は非磁性一成分のトナー、8はトナー撹拌部材、9は現像ローラ、9a,10a,20aはシャフト、10はトナー供給ローラ、11はトナー規制ブレード、11aは金属ばね板部材、11bはトナー規制部材、11cはブレードホルダ、12は現像バイアス電源、13は除電器、14は用紙、15は用紙カセット、16は給紙ローラ、17a,17bは搬送ローラ、18はレジストローラ、19は従動ローラ、20は転写ローラ、21は転写バイアス電源、22は定着器、23はヒートローラ、24は加圧ローラである。これらは、従来例と同様なものなので、同一の符号を付して説明を省略する。従来例と異なるのは、トナー供給ローラ10が導電性部材からなり、トナー供給ローラ10のシャフト10aに交流電圧を印加するトナー供給ローラバイアス電源1Aを接続した点である。
【0019】以上のように構成された本発明の第1実施例の一成分現像装置を用いた電子写真装置について、以下そのプロセス条件を説明する。感光体2,現像ローラ9及びトナー供給ローラ10の回転方向は図1に示す矢印Bの方向となっており、各接触部において摩擦接触の状態になっている。感光体2は、負帯電型OPCであり、帯電器3により-700Vに均一に帯電されている。現像ローラ9は、金属製のシャフト9aを基材としてその外周面上に導電性弾性部材であるシリコンゴムを形成した単層構成で抵抗値は106Ωcmである。又、現像ローラ9のシャフト9aには現像バイアス電源12により-300Vの直流電圧が印加される。現像ローラ9のゴム硬度は30?60度の範囲が好ましく、又、表面粗さは表面の平滑性が高い方がトナー薄層形成において均一化が図れるため、7μmRz以下が好ましい。本実施例においては、現像ローラ9としては、ゴム硬度40度、表面粗さ3μmRzとした。トナー供給ローラ10は、金属製のシャフト10aの周囲に導電性発泡体が形成され、抵抗値が106Ωcmである。シャフト10aにはトナー供給ローラバイアス電源1Aが接続されている。このトナー供給ローラ10は、現像ホッパー6から供給されたトナー7を現像ローラ9に供給するとともに、現像されずに残存した現像ローラ9上のトナー7を掻き落とす機能も有している。トナー供給ローラ10と現像ローラ9とのニップ幅lは2mmである。トナー規制ブレード11は、ステンレス板,リン青銅板等の弾性を有する金属ばね板部材11aと、その一端にトナー規制部材11bとして弾性部材であるゴム硬度60度のウレタンゴムを一体成形したもので、ブレードホルダ11cにねじ止めされている。トナー規制部材11bは現像ローラ9を線圧80g/cmで押圧し、現像ローラ9の表面に0.5mg/cm^(2)のトナー層を形成する。本実施例の非磁性一成分現像装置において、現像ローラ9上のトナー層は0.3?0.6mg/cm^(2)の範囲が好ましい。トナー7は、非磁性一成分系トナーであり、ポリエステル樹脂にカーボン,ワックス,帯電制御剤等を均一に分散させたもので負帯電性トナーを使用した。転写ローラ20は、金属製のシャフト20aの周囲に導電性発泡体を形成したもので抵抗値107Ωcmである。シャフト20aには転写バイアス電源21が接続されており、4μAの定電流電源が用いられる。
【0020】次に、本発明の第1実施例の非磁性一成分現像装置を用いた電子写真装置について、以下にその動作について説明する。まず、帯電器3により感光体2を-700Vに均一に帯電した後、露光光学系4により露光し露光後の感光体2の表面電位を-100Vまで減衰させ、現像ローラ9に現像バイアスを-300Vに印加して、感光体2上にトナー像を形成し、転写ローラ20から用紙14に4μAの電流を流してトナー像を転写させ、電子写真プロセスとして一般に知られている定着工程を経て用紙14にトナー像が定着される。」

ウ 「【0025】(実施例2)以下本発明の第2実施例の非磁性一成分現像装置について説明する。
【0026】本発明の第2実施例の非磁性一成分現像装置が実施例1と異なるのは、実施例1のトナー供給ローラバイアス電源1Aが、トナー供給ローラ10に印加する交流電圧に、更に現像ローラ9に供給される現像バイアス電圧と同極性の直流電圧を重畳するようにした点である。
【0027】(実験例2)以上のように構成された本発明の第2実施例の非磁性一成分現像装置を用いた電子写真装置において、トナー供給ローラ10に一定の直流電圧V_(SR)を印加し、交流電圧の大きさを変化させて先端濃度と後端濃度の測定と濃度差の目視評価を行った。実施例2において、印字を行った際の電子写真プロセス条件としては、トナー供給ローラバイアス電源1Aが、周波数140Hzの交流電圧と-400Vの直流電圧を重畳した電圧をトナー供給ローラ10に印加した。トナー供給ローラバイアス以外は実施例1と同様であり、現像ローラ9のシャフト9aには現像バイアス電源12により-300Vの直流電圧が印加されている。トナー供給ローラバイアス電源1Aは、交流電圧のピーク間電圧V_(P-P)を100,200,300,400(V)に変化させて実験を行った。測定及び評価方法としては、実施例1と同様に行った。その結果を(表2)に示す。
【0028】
【表2】

【0029】この(表2)から明らかなように、交流電圧のピーク間電圧V_(P-P)が200V以上で先端と後端の濃度差が目立たなくなることから、実施例1と同様に現像バイアスが交流電圧のピーク間にあれば良いことが判る。すなわち、V_(P-P)をトナー供給ローラバイアスの直流電圧V_(SR)と現像バイアスV_(B)を同極性とし、V_(SR)とV_(B)の差の2倍以上に設定すれば良い。
【0030】以上のように本実施例によれば、トナーへの帯電をトナー供給ローラでも行い、トナーの帯電を確実に安定して行うことができる。更に、現像ローラに印加される現像バイアス電圧の大きさがV_(B)(V)、トナー供給ローラに印加される交流電圧のピーク間電圧の大きさがV_(P-P)(V)及び交流電圧を重畳する直流電圧をV_(SR)(V)とし、|V_(P-P)|>2|V_(B)-V_(SR)|の関係を満たすことにより、トナー供給ローラにおいて現像ローラ上へのトナー搬送と未消費トナーの掻き落としを同時に行うことができ、画像後端濃度の低下、画像先端濃度の低下を共に解消することができた。」

以上の記載事項から、引用文献には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「静電潜像が形成される静電潜像担持体である感光体2と、
外周面上のトナー7を感光体2上の静電潜像が形成された部分に転移付着させて静電潜像を顕像化してトナー像を形成するトナー担持体である現像ローラ9と、
現像ローラ9に負帯電性のトナー7を供給するトナー供給ローラ10と、
周波数140Hzの交流電圧と-400Vの直流電圧を重畳した電圧をトナー供給ローラ10に印加するトナー供給ローラバイアス電源1Aと
を備える現像装置であって、
現像ローラ9には現像バイアス電源12により-300Vの直流電圧が印加され、
トナー供給ローラバイアス電源1Aは、周波数140Hzの交流電圧のピーク間電圧V_(P-P)を300Vにする
現像装置。」

5 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
(a)引用発明の「静電潜像」及び「静電潜像担持体である感光体2」は、それぞれ本願発明の「潜像」及び「像担持体」に相当する。
したがって、引用発明の「静電潜像が形成される静電潜像担持体である感光体2」は、本願発明の「潜像が形成される像担持体」に相当する。

(b)引用発明の「トナー7を感光体2上の静電潜像が形成された部分に転移付着させて静電潜像を顕像化してトナー像を形成する」こと及び「トナー担持体である現像ローラ9」は、それぞれ本願発明の「前記像担持体に形成される前記潜像を現像する」こと及び「現像剤担持体」に相当する。
したがって、引用発明の「外周面上のトナー7を感光体2上の静電潜像が形成された部分に転移付着させて静電潜像を顕像化するトナー担持体である現像ローラ9」は、本願発明の「前記像担持体に形成される前記潜像を現像する現像剤担持体」に相当する。

(c)引用発明の「負帯電性のトナー7」及び「トナー供給ローラ10」は、それぞれ本願発明の「負極性の現像剤」及び「現像剤供給体」に相当する。
したがって、引用発明の「現像ローラ9に負帯電性のトナー7を供給するトナー供給ローラ10」は、本願発明の「前記現像剤担持体に負極性の現像剤を供給する現像剤供給体」に相当する。

(d)引用発明の「-400Vの直流電圧」、「周波数140Hzの交流電圧」、「重畳した電圧」及び「トナー供給ローラバイアス電源1A」は、それぞれ本願発明の「直流バイアス」、「交流バイアス」、「重畳させた重畳バイアス」及び「重畳バイアス印加手段」に相当する。
したがって、引用発明の「周波数140Hzの交流電圧と-400Vの直流電圧を重畳した電圧をトナー供給ローラ10に印加するトナー供給ローラバイアス電源1A」は、本願発明の「直流バイアスに交流バイアスを重畳させた重畳バイアスを前記現像剤供給体に印加する重畳バイアス印加手段」に相当する。

(e)引用発明の「現像装置」は、本願発明の「現像装置」に相当する。

(f)引用発明の「トナー供給ローラバイアス電源1A」により「周波数140Hzの交流電圧と-400Vの直流電圧を重畳した電圧をトナー供給ローラ10に印加」し、「現像ローラ9には現像バイアス電源12により-300Vの直流電圧が印加され、トナー供給ローラバイアス電源1Aは、交流電圧のピーク間電圧V_(P-P)を300Vにする」ことにより、重畳バイアスの極大値が-250V、極小値が-550Vであり、極大値-現像バイアス値=-250V-(-300V)=50V、極小値-現像バイアス値=-550V-(-300V)=-250V、〔(極大値+極小値)/2〕-現像バイアス値=〔(-250V-550V)/2〕-(-300)=-100となることは明らかであり、本願発明の「前記重畳バイアスの正極の最大のピーク値(Vp^(+))及び負極の最大ピーク値(Vp^(-))と、現像バイアス値(Vdev)の電圧の関係が50V≦Vp^(+)-Vdev≦250V、-50V≧Vp^(-)-Vdev≧-450V、〔(Vp^(+)+Vp^(-))/2〕-Vdev≦0Vであること」という式で定義される数値範囲の構成に含まれるから、上記引用発明の構成は本願発明の当該構成に含まれることとなり、引用発明は本願発明の当該構成を有するものといえる。

してみると、本願発明と引用発明とは、全ての点で一致し、相違するところはない。

(請求人の主張について)
請求人は、審判請求書において、
ア 本願発明では、50V≦Vp^(+)-Vdev≦250V、-50V≧Vp^(-)-Vdev≧-450V、〔(Vp^(+)+Vp^(-))/2〕-Vdev≦0Vの式が記載されているのに対し、引用文献では、|V_(p-p)|>2|V_(B)-V_(SR)|の式が記載されているものの、本願発明における上記式は記載されていない、
イ 引用文献では、現像バイアス(Vdev)が-300Vのときに、「+尖頭値が-250Vで、-尖頭値が-550V」となることについて記載も示唆もされていない、
ウ 引用文献では、本願発明のような、現像バイアス(Vdev)が-300Vのときに、「+尖頭値が-250Vで、-尖頭値が-550V」となる式が記載されていない
旨主張する。

しかしながら、上記アの請求人の主張について、引用発明において本願発明の「50V≦Vp^(+)-Vdev≦250V、-50V≧Vp^(-)-Vdev≧-450V、〔(Vp^(+)+Vp^(-))/2〕-Vdev≦0V」という式自体が特定されていなくとも、上記5(f)で述べたとおり、引用発明の構成は、本願発明のこの式で定義される数値範囲の構成に含まれるから、引用発明の構成は本願発明の当該構成に含まれることとなり、引用発明は本願発明の当該構成を有するものといわざるを得ない。
また、上記イの請求人の主張について、上記5(f)で述べたように、引用発明の「トナー供給ローラバイアス電源1A」により「周波数140Hzの交流電圧と-400Vの直流電圧を重畳した電圧をトナー供給ローラ10に印加」し、「現像ローラ9には現像バイアス電源12により-300Vの直流電圧が印加され、トナー供給ローラバイアス電源1Aは、交流電圧のピーク間電圧V_(P-P)を300Vにする」ことにより、現像バイアスが-300V、重畳バイアスの極大値が-250V、極小値が-550Vとなることは、自明の事項にすぎない。
さらに、上記ウの請求人の主張について、引用発明は、本願発明のような、現像バイアス(Vdev)が-300Vのときに、「+尖頭値が-250Vで、-尖頭値が-550V」となる式が記載されていなくとも、現像バイアスが-300Vのときに、重畳バイアスの極大値が-250V、極小値が-550Vとなることは明らかであり、本願発明の現像バイアス(Vdev)が-300Vのときに、「+尖頭値が-250Vで、-尖頭値が-550V」となる式で定義される数値範囲の構成に含まれることとなるという他ない。
したがって、請求人の主張は採用できない。

6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用文献に記載された発明(引用発明)であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項については検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-06-01 
結審通知日 2021-06-02 
審決日 2021-06-15 
出願番号 特願2015-101221(P2015-101221)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 三橋 健二岡▲崎▼ 輝雄松山 紗希  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 藤田 年彦
藤本 義仁
発明の名称 現像装置及びこれを用いた画像形成装置  
代理人 高井 智之  

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