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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B65B
審判 全部申し立て 2項進歩性  B65B
管理番号 1376753
異議申立番号 異議2021-700215  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-02-26 
確定日 2021-07-20 
異議申立件数
事件の表示 特許第6749272号発明「製袋充填機における横シール装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6749272号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6749272号の請求項1?3に係る特許についての出願は、平成29年3月22日に出願され、令和2年8月13日にその特許権の設定登録がされ、令和2年9月2日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和3年2月26日に特許異議申立人山崎敏之(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。

第2 本件特許に係る発明
特許第6749272号の請求項1?3に係る特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明3」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
フィルムを介して対向配置されたアンビルからなるシール体とホーンからなるシール体によってフィルムを挟持して超音波振動と最適な設定圧により該フィルムの送り方向とは交差する方向に沿って横シールすると共に該横シール箇所を前記シール体に配設された切断手段によって切断する製袋充填機における横シール装置であって、
前記ホーンを振動させる発振手段と、
一対のシール体の開閉動作に関する第1指令と、
前記発振手段の振動開始又は振動停止に関する第2指令と、
前記切断手段におけるフィルムの切断に関する第3指令を、
1包装サイクルにおいてそれぞれの設定されたタイミングで行う制御部を備えており、
該制御部は、前記第1指令によって前記一対のシール体が前記最適な設定圧で前記フィルムを挟持していると共に前記第2指令によって前記ホーンの振動が停止した際に、前記第3指令によって前記切断手段が前記フィルムの切断を開始するよう各指令を行うと共に、前記一対のシール体における最適なシール圧付与の期間が終了するまでに、前記切断手段による切断終了がなされるよう構成された製袋充填機における横シール装置。
【請求項2】
前記切断手段は、切断刃を有し、
該切断刃は、その先端部がフィルムに対して進退移動可能な構成としてアンビル側のシール体に埋設されており、
ホーン側のシール面には、切断刃の先端部を受入れ可能な凹部が形成されている請求項1に記載の製袋充填機における横シール装置。
【請求項3】
前記ホーンは、超音波振動する際に前記対向配置されたアンビルに向けて近接離間するように縦振動する構成であり、
両シール体のシール面には、前記切断手段に沿った方向に線状のシール目が付くように凹凸が形成されている請求項1又は請求項2に記載の製袋充填機における横シール装置。」

第3 申立理由の概要
申立人は、以下の甲第1号証から甲第12号証を提出し、主たる証拠として以下の甲第1号証及び従たる証拠として以下の甲第2号証から甲第12号証を提出し、請求項1に係る特許は特許法第29条第1項第3号に規定に違反してなされたものであり、請求項1?3に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、請求項1?3に係る特許は取り消すべきものである旨を主張している。

甲第1号証 :特開昭62-251325号公報
甲第2号証 :特開2011-102140号公報
甲第3号証 :特開2000-313415号公報
甲第4号証 :特開2015-214366号公報
甲第5号証 :特開2003-211563号公報
甲第6号証 :実願昭60-174754号(実開昭62-82914号)のマイクロフィルム
甲第7号証 :特開2011-6090号公報
甲第8号証 :特開2007-320604号公報
甲第9号証 :特開2001-48130号公報
甲第10号証:特開昭63-232107号公報
甲第11号証:特表2002-511364号公報
甲第12号証:特開2006-36328号公報

以下、甲第1号証から甲第12号証は、それぞれ「甲1」?「甲12」という。

第4 甲1?甲12の記載事項
1.甲1に記載された事項及び発明
甲1には、次の記載がある。
「(2)ロール状に捲かれた合成樹脂製フラットフィルムを連続的に引き出して円筒形にしながら重ね合わせた部分を溶着して筒状フィルムを形成する溶着装置と、筒状フィルム内に連続的に被包装物を充填して筒状体を形成する被包物供給装置と、筒状体を走行せしめる送り装置と、筒状体を一対の回転円柱状ローラで所定時間間隔毎に断続的に挟圧して内容物の存在しない偏平部を形成する挟圧装置と、偏平部を幅方向に集束する集束装置と、送り方向での二位置で集束部に両側からそれぞれ当接する超音波ホーン及びアンビルからなるシール装置と、上記二位置間で集束部を切断する切断装置とを備えている、充填包装装置において、
偏平部の幅方向の両側方位置に、該方向で互に往復接離動する一対の往復板が配され、該一対の往復板には、接近時に協働する超音波ホーン及びアンビルからなるシール装置が組まれており、
上記一対の往復板は、超音波ホーン及びアンビルが集束部に至近した後、設定時間だけ停止するよう構成され、上記超音波ホーン及びアンビルは往復板に対して相対動可能でほぼ上記で設定時間の間互に当接圧を受けるように加圧手段に接続されている、
ことを特徴とする充填包装装置。」(1ページ左欄20行?2ページ左上欄6行)
「(産業上の利用分野)
本発明は合成樹脂製フラットフィルムを円筒状に製袋しながら連続的に液状又は高粘度物を充填し砲弾型に包装する方法及び装置に関するものである。」(2ページ左上欄8?12行)
「本実施例装置では、シール装置が集束装置及び切断装置と共に後述する往復板に設置されて一つのまとまったユニットUとして形成せられて、上記回転挟圧ローラ9の下方の位置に設けられており、上下に往復動しながら集束・シール・切断の動作を行なう。
上記ユニットUは、第2図(A),(B)に示されるように、筒状フィルムに被充填物が充填された筒状体10を中央としその偏平部10Aの幅方向両側方に位置している。該ユニットUの往復板20;30の両側の端部近傍には、カムが係合していて互いに対向方向に接離動する(以下接近方向を「前方」ということにする)ようになっている。この該往復板20;30には弧状のカム溝22;32が設けられて、該カム溝22;32にピッチ円23,33上を回転する駆動輪21;31が係合して、上記接離動がなされるようになっている。
一方の往復板20には、切換弁19を介して図示しない駆動源からの圧力を受けるシリンダ18が取りつけられており、該シリンダ18のピストンロッドには前部に切断装置として刃15をもつ枠体14が固定されている。また、上記枠体14の内部空間位置には、後の超音波ホーンと共にシール装置を構成するアンビル13が上記往復板20に一体的に取りつけられている。該アンビル13は、前部の溝によって上記枠体14に近接する上下位置に二枚に形成される当接部13A,13Bを有していて、この二つの当接部13A,13Bの前端面がシール面をなしている。該二つの当接部13A,13Bの内側面には、さらに前方に延出する二枚の集束板16A,16Bが、上記刃15に近接して枠体14に取りつけられている。該集束板16は、前方に向けたV字型の切込みVと該切込みVの底部に、平行に細長く形成された平行溝Mとを有している。
他方の往復板30の後方部には、切換弁29を介して図示しない駆動源からの圧力を受けるシリンダ28が設置されており、該シリンダ28のピストンロッドが枠体26の後部部材27に取りつけられている。さらに該枠体26の前部部材25には、超音波発生装置24が取り付けられ、該超音波発生装置からは増幅装置23を介して超音波ホーン12が前方に延出している。この超音波ホーン12は前部に溝が設けられていて上下二枚の当接部12A,12Bが形成され、それぞれの前端面が、上記アンビルの当接部13A,13Bとでフィルムを挟持してシールを行なうシール面をなしている。なお17,17は上記集束板16,16に先行して作動し、集束板16,16とともに集束装置をなす集束板であってV字形の切込みの底部にフィルム集束部分を形成するための平行に細長く形成された平行溝M1を有し、ユニットU内に往復板と同方向に摺動可能に保持されスプリングを介して往復板と結合されている。(集束板と往復板の関係は本願発明に直接関係しないので、図示は省略した。ちなみに第3図は、集束板17,17が偏平部を集束して集束部を形成し、該集束部をホーン12とアンビル13が当接している状態を示す。但し刃15は未だ前進していない。)
次に以上のごとくの本実施例装置について主として第5図にもとづきそのシーケンスを含め作動を説明する。
先ず、駆動輪21;31がピッチ円23;33上を回転すると、往復板20;30は互いに接離動する。その様子は上記駆動輪の回転角を横軸そして移動量を縦軸とすると、正負方向に対象的な正弦波に近似するが、カム溝22.32の形状が一部ピッチ円23.33と同じ曲率をなしているので第5図におけるA-A間の平坦部分を有するようになり、上記往復板20;30はその間最接近位置にある。これに伴い、超音波ホーン12及びアンビル13もフィルムの集束部に至近するが、上記A-A間のほぼ始点において、シリンダ28が切換弁29の切換により作動してピストンが前進し、超音波ホーン12とアンビル13はフィルムの集束部に対し設定の当接圧をもって当接するようになる。かかる当接は第5図に示されるごとく上記A-A間持続される。
一方、アンビル13の前部には前方に延出する二枚の集束板16A,16Bが設けられているために、アンビル13が超音波ホーン12に近接移動する際に、筒状体10の偏平部10Aは、集束板16Aの切込みVを経て平行溝Mに押し込められて細く丸められ集束部Bとし形成される。そして、このフィルムの集束部B(第3図及び第4図参照)は、そのときに上記の超音波ホーン12とアンビル13とによる、設定期間の当接圧のもとで十分にシールされる。
上記設定期間の後半にはシールのための超音波振動が停止されると共に、シリンダ18は切換弁19の作動によって駆動され、枠体14が前進して刃15によって上記集束部は上下二箇所のシール部分の間で切断される。
かくして、往復板20,30が互いに後退を始めると一個の弾丸型の包装物は切り離されて落下し、シュートを通って製品受箱又はコンベヤ等に送られて次工程に移される。
往復板20,30は駆動輪21.31がピッチ円23,33上を回転することにより互に後退し、またシリンダーも切換弁28によって切換えられ、ユニットUは後退し、次のサイクルに移る。」(3ページ右下欄19行?5ページ右上欄2行)
「(発明の効果)
本発明は以上のように、被包装物が円筒フィルム内に充満した筒状体を挟圧することにより形成された偏平部を集束し、該集束部分を超音波シールする際、超音波ホーンとアンビルが備えられている一対の往復板が互に至近位置にて停止して衝撃的に当接しないので、フィルムの集束部分は傷つけられることがなくなりピンホールの発生当が防止される。そして、超音波ホーンとアンビルを設定時間の間、一定の設定接圧力を加えた状態で維持することとしたので、十分なる接圧力そして接圧時間が得られ、その結果フィルムにピンホールを生じたり他の損傷を与えるということがなくなる。そのために、包装製品となった後被包装物の長期にわたる品質保証に対する信頼性が向上する、という効果がもたらされる。これは、充填包装装置の高速化運転時には、従来の手段の場合に比し、著しくその優位性を発揮する。換言すれば、上記品質保証をしながら高速運転が可能になるもので、製品の量産化に貢献する。」(5ページ右上欄3行?左下欄4行)



以上の記載を総合すると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
「合成樹脂製フラットフィルムを円筒状に製袋しながら連続的に液状又は高粘度物を充填し砲弾型に包装する装置であり、
ロール状に捲かれた合成樹脂製フラットフィルムを連続的に引き出して円筒形にしながら重ね合わせた部分を溶着して筒状フィルムを形成する溶着装置と、筒状フィルム内に連続的に被包装物を充填して筒状体を形成する被包物供給装置と、筒状体を走行せしめる送り装置と、筒状体を一対の回転円柱状ローラで所定時間間隔毎に断続的に挟圧して内容物の存在しない偏平部を形成する挟圧装置と、偏平部を幅方向に集束する集束装置と、送り方向での二位置で集束部に両側からそれぞれ当接する超音波ホーン及びアンビルからなるシール装置と、上記二位置間で集束部を切断する切断装置とを備えている、充填包装装置において、
偏平部の幅方向の両側方位置に、該方向で互に往復接離動する一対の往復板が配され、該一対の往復板には、接近時に協働する超音波ホーン及びアンビルからなるシール装置が組まれており、
上記一対の往復板は、超音波ホーン及びアンビルが集束部に至近した後、設定時間だけ停止するよう構成され、上記超音波ホーン及びアンビルは往復板に対して相対動可能でほぼ上記で設定時間の間互に当接圧を受けるように加圧手段に接続されており、
シール装置が集束装置及び切断装置と共に往復板に設置されて一つのまとまったユニットとして形成せられて、上記一対の回転円柱状ローラの下方の位置に設けられており、上下に往復動じながら集束・シール・切断の動作を行ない、
一方の往復板には、切換弁を介して駆動源からの圧力を受けるシリンダが取りつけられており、該シリンダのピストンロッドには前部に切断装置として刃をもつ枠体が固定され、上記枠体の内部空間位置には、後の超音波ホーンと共にシール装置を構成するアンビルが上記往復板に一体的に取りつけられており、
他方の往復板の後方部には、切換弁を介して駆動源からの圧力を受けるシリンダが設置されており、該シリンダのピストンロッドが枠体の後部部材に取りつけられ、該枠体の前部部材には、超音波発生装置が取り付けられ、該超音波発生装置からは増幅装置を介して超音波ホーンが前方に延出しており、
集束部は、超音波ホーンとアンビルとによる、設定期間の当接圧のもとで十分にシールされ、前記設定期間の後半にはシールのための超音波振動が停止されると共に、シリンダが切換弁の作動によって駆動され、枠体が前進して刃によって前記集束部は上下二箇所のシール部分の間で切断される、
充填包装装置。」

2.甲2?甲12に記載された事項
甲2の【0017】及び【0019】の記載からみて、甲2には、「横形製袋充填機において、上シーラ18内には切断刃21が収容されていると共に、下シーラ16のシール面16aには溝が形成され、該切断刃21が下シーラ16に向けて突出して下シーラ16の溝に侵入した後に上昇して上シーラ18内に収容されるようになっている」ことが記載されている。

甲3の【0009】、【0021】、【0025】、【0028】及び【0029】の記載からみて、甲3には、「縦形製袋充填包装機において、横シール装置60が包材筒Fの繰出しに連動して動作し、縦シール後の包材筒Fを所定の間隔毎にヒートシール、つまり、横シールする。この後、横シール装置60はその横シール域の中央から包材筒Fを切断し、個々の袋を製造し、横シール装置60は、横シールヘッド84は一対のガイドロッド88を備え、これらガイドロッド88は昇降ベース72の両側部を水平に延び、昇降ベース72に支持され、ガイドロッド88には、包材筒Fの繰出し経路を前後に挟むうようにして一対のスライダ90が取り付けられており、これらスライダ90はガイトロッド88上を摺動自在であり、各スライダ90は互いに対向し、その対向面にヒータを内蔵したヒータブロック92がそれぞれ取り付けられ、一方のヒータブロック92には可動刃が突没可能にして内蔵され、他方のヒータブロック92内には可動刃が突出したときの逃げ部が設けられているヒータブロック92が閉じ、包材筒Fの横シールが実施されている間、ヒータブロック92は包材筒Fの繰出し速度と同一の速度で下降しており、この後、ヒータブロック92が下降位置に到達する直前にて、可動刃により包材筒Fの切断が実施され、袋Pが形成される」ことが記載されている。

甲4の【0035】、【0037】、【0051】及び【0053】の記載からみて、甲4には、「超音波シール装置が、、ホーン31とアンビル32、ホーン31を振動させる超音波振動発生装置36、及びホーン31とアンビル32を進退させるエアシリンダー37を含み、ホーン31とアンビル32は、袋11の移送経路を挟んで対向して配置され、エアシリンダー37により互いに対称的に、かつ前記袋11に対し垂直に、前進位置と退避位置の間で前進(前記移送経路に近づく)又は後退(前記移送経路から遠ざかる)し、超音波振動発生器36から超音波振動が発信されてホーン31には縦振動(溶着面に対し垂直方向の振動)の振動エネルギーが供給され、ホーン31とアンビル32により挟圧された部位(挟圧部)の形状(ホーン31の先端面54の形状)に一致するリング状の超音波シール部56(ハッチングされたリング状の箇所)が形成される」ことが記載されている。

甲5の【0012】?【0014】の記載からみて、甲5には、「チューブ状にされた包装フィルム9の長手方向に沿って適宜の間隔をあけて横シールをする横シール手段としての超音波シール装置17であり、平面視ロ字状の枠組18を備えている。枠組18の奥側側部には、二つのマウント19、20が取り付けられ、これらのマウント19,20には、枠組2の底部から直立された案内ロッド21,22が挿通され、案内ロッド21、22には、枠組18の下方側においてスプリングSが遊嵌され、枠組18の奥側側部には、枠組2の底部に設けられた上下駆動用モータ23のクランクシャフト24の端部が、回動可能に軸支されて、枠組18は、一定の範囲で上下往復動ができるようになっており、枠組18の内側には、2本のガイドロッド31,32が互いに平行になるように取り付けられ、ガイドロッド31、32の内側には、超音波発振器33が取り付けられ、超音波発振器33には、発振された超音波に基いて縦振動を起こすホーン34が取り付けられており、ホーン34との間で包装フィルム9を挟み込みつつホーン34からの縦振動を受ける超音波シール用アンビル35はマウント36に取り付けられている」ことが記載されている。

甲6の明細書1ページ3行及び4ページ11行?5ページ4行の記載からみて、甲6には、「加熱シール装置のシールバーが、フイルムの流れと同調的に作動しフイルムに対して所定のサイクルでもつて接触する固定バー(10)と、外固定バーの正面にスライド自在に添設した可動バー(11)と、前記両バーの間に設けた切断刃(12)とによつて構成され、前記の両バー(10)(11)はそれぞれその長手方向に沿つてパイプヒータ(13)(14)を埋設しており、これらパイプヒータから発生される熱は前記両バー(10)(11)の下面のシール面(15)(16)に熱伝導され、このシール面でもつて包材を加熱シールし、前記のシール面(15)(16)は横じまの浅い溝(17)(18)をもつ面によつて形成されている」ことが記載されている。

甲7の【0024】及び【0028】の記載からみて、甲7には、「縦形製袋充填包装機1には、供給装置5からの充填可否信号を受信可能であり、繰り出しモータ13、横シーラ駆動モータ15、カッターシリンダ16に接続された制御装置11が備えられており、この制御装置11が、フィルムfの繰り出しや、横シーラによるシールタイミングを制御しており、充填が完了すると横シーラ4が開位置に移動し、この後、フィルムfが下方に繰り出され、所定位置まで繰り出されると、横シール4が閉位置に移動し、フィルムfがヒートシールされ、同時に、カッターによりフィルムfが切断される」ことが記載されている。

甲8の【0015】、【0019】、【0056】及び【0057】の記載からみて、甲8には、「縦形製袋充填包装機100の横シーラ10A、10Bが、横シーラ移動部51によって、対向方向に沿って、それぞれの押圧面10aを対称的に移動して、筒状包装材Waの搬送路中心を通るYZ平面を中心としてX軸方向に開閉動作を行うことができるようになっており、横シーラ10AのZ軸方向の中間部には、横シール部分を横シール方向に切断するためのカッタ機構10bが設けられ、横シーラ移動部51は、時刻t_(16)から、駆動モータ39の回動を開始し、時刻t_(18)まで回動して第3の回動角度位置まで到達させ、このとき、横シーラ10A、10Bは、それぞれ時刻t_(4)の位置から距離L_(0)だけ進出して、筒状包装材Waを押しつぶしており、この位置で時刻t_(24)まで停止し、横シール動作を行い、横シールが完了後、時刻t_(23)でカッタ機構10bの切断動作が行われ、包装袋Wbが切り離される」ことが記載されている。

甲9の【0003】、【0004】、【0030】、【0032】?【0042】及び【0052】の記載からみて、甲9には、「縦型製袋充填機に、フォーミングチューブ2の下方の所定位置には一対の横ヒータブロック5,5(シール部材)が、包装フィルム100の搬送経路を挟んで対向して設けてあり、繰出しベルト3によって下方向に送り出されてきた包装フィルム100をこの横ヒータブロック5,5で挟み込み、熱融着(横シール)して袋状に成形し、その後、さらに下方へ搬送された包装フィルム100の内部に、フォーミングチューブ2の中空部を介して被包装物を充填するとともに、再び横ヒータブロック5,5によって上端部を熱融着(横シール)して密封すると同時に、一方の横ヒータブロック5に内蔵したカッターにより横シール部を上下に切断し、横ヒータブロック5,5の駆動源として、サーボモータ10を用いており、横ヒータブロック5,5を閉じる方向へ駆動するときは、中央処理部21からの閉じ指令に基づき、パルス発生部25が記憶部24に設定された数の閉じ駆動パルスを発生し、この所定数の閉じ駆動パルスは、入出力インターフェース28を介して、サーボアンプ11に出力され、サーボアンプ11は、入力した閉じ駆動パルスに基づいて駆動信号をサーボモータ10に出力し、これにより、横ヒータブロック5,5が閉じ方向へ所定量だけ移動し、同様に、横ヒータブロック5,5を開く方向へ駆動するときは、中央処理部21からの開き指令に基づき、パルス発生部25が記憶部24に設定された数の開き駆動パルスを発生し、この所定数の開き駆動パルスは、入出力インターフェース28を介して、サーボアンプ11に出力され、サーボアンプ11は、入力した開き駆動パルスに基づいて駆動信号をサーボモータ10に出力し、これにより、横ヒータブロック5,5が開き方向へ所定量だけ移動し、閉じ駆動パルスの出力完了時からタイマー27がスタートし、安定化時間Tが経過した時点T_(0)をもって、判定タイミングとし、この判定タイミングT_(0)において、中央処理部21が横シール動作の適否を判定し、適正と判定した場合は、開き指令の前(開き駆動パルスを出力する前)にカッター14を駆動して、包装フィルム100の横シール部を切断する」ことが記載されている。

甲10の3ページ右上欄14?18行及び5ページ右下欄9?16行の記載からみて、甲10には、「包装装置の横シール装置14が、縦シールされた筒状シート10を前後から挟んでそこに内挿されたヒータなどの熱により幅方向に所定の長さだけ熱溶着するシール機構と、幅方向の中央部分から筒状シート10を切断するカッターとを有しており、横シール装置14がシート送り速度に達してから所定の時間後に、シール機構とナイフとが閉じるようにサーボモータM3が制御され、横シール装置14が減速を始める直前にサーボモータM3により袋の横幅に規定される広さになる位置までシール機構とナイフとが開かれ、横シール装置14は筒状シートに対して相対的に上昇を開始する」ことが記載されている。

甲11の【請求項1】及び【0014】の記載からみて、甲11には「異なる融点を有する複数のプラスチック材からなる管状材料から構成されるパッケージをストリング状になるように導入する手段とストリングを切断して個々のパッケージユニットになるように密閉し且つ切断する手段を含む、管状パッケージを密閉するための装置において、前記管状材料をストリング(3)になるように狭窄するV字状のツール部(4,5;6,7)が管状材料が通過する経路の各側に配され且つ管状材料に対して横手方向に対をなして互いに可動であり、対となるツール部(4,5及び6,7)は互いに管状材料の長手方向に15乃至25mmの間隔をおいて位置し、ストリング(3)の対向側部に位置する2つの支持面(8,9)と前記ストリングを超音波で叩打するための設けられた2つの互いに可動なあご状部分(10,11)とが前記対となるツール部の間に配され、支持面(8,9)を有するブロックとあご状部分(10,11)とが互いに近接し、それぞれ対になって異なる方向からストリングを支持し叩打することによってストリングは熱せられまた1.5-2x5-15mmの寸法を有する均一な非常に強いプラスチックのバンド14になるように圧縮され、最終段階においては切断縁部13があご状部分10に押圧され、密閉部分の中央でストリングを切断する」ことが記載されている。

甲12の【0027】、【0031】、【0038】、【0039】及び【0059】の記載からみて、甲12には「製袋包装機1が、主として、装置本体部2と、装置本体部2に包材としてのシート状のフィルムを供給するフィルム供給部3とを備えて構成され、装置本体部2の内部において、コンピュータスケール9の排出シュート92の直下となる位置には、フィルムを用いて被包装物を包装する包装部5が配置され、包装部5は、コンピュータスケール9から供給される被包装物Arを受け止める集合シュート51と、被包装物Arをその内部に導通するチューブ52と、フィルムfを供給するセーラ部53と、フィルムfを縦シールする縦シール機構56と、フィルムfを搬送する1対のプルダウンベルト55と、フィルムfを横シールするとともに切断する横シール機構6とを備え、横シール機構6は「フィルムの切断」を行うための切断機構を備え、横シール機構6の切断機構20は、切断刃21と受け刃22との2つの刃から構成され、切断刃21及び受け刃22は、ヒータ72によって常時加熱され、エアバイブレータ30が常時駆動されることにより、切断刃21は常時振動され、横シール期間においては、このように加熱された、かつ、振動された切断刃21によって、対象フィルムが常時押圧され、対象フィルムが切断されるとともに、対象フィルムの切断箇所の近傍の溶着がなされ、対象フィルムの切断と溶着とが同時になされる」ことが記載されている。

第5 当審の判断
1.本件発明1について
(1)本件発明1と甲1発明との対比
甲1発明の「筒状フィルム」は、本件発明1の「フィルム」に相当し、甲1発明の「筒状フィルム」の「幅方向」は、本件発明1の「フィルムの送り方向とは交差する方向」に相当する。
甲1発明の「超音波ホーン」及び「アンビル」は、それぞれ、本件発明1の「ホーンからなるシール体」及び「アンビルからなるシール体」に相当するから、甲1発明の「偏平部の幅方向の両側方位置に、該方向で互に往復接離動する一対の往復板が配され、該一対の往復板には、接近時に協働する超音波ホーン及びアンビルからなるシール装置が組まれて」いることは、本件発明1の「アンビルからなるシール体とホーンからなるシール体」が「フィルムを介して対向配置された」ことに相当し、甲1発明の「超音波ホーンとアンビルとによる、設定期間の当接圧のもとで十分にシールされ、」は、本件発明1の「筒状フィルム」の「偏平部を幅方向に集束」した「集束部は、フィルムを介して対向配置されたアンビルからなるシール体とホーンからなるシール体によってフィルムを挟持して超音波振動と最適な設定圧により該フィルムの送り方向とは交差する方向に沿って横シールする」ことに相当する。
甲1発明の「切断装置」は、本件発明1の「切断手段」に相当する。
甲1発明の「合成樹脂製フラットフィルムを円筒状に製袋しながら連続的に液状又は高粘度物を充填し砲弾型に包装する装置」は、本件発明1の「製袋充填機」に相当する。
甲1発明の「シール装置」は、本件発明1の「横シール装置」に相当する。
甲1発明の「超音波発生装置」及び「増幅装置」は、本件発明1の「ホーンを振動させる発振手段」に相当する。
甲1発明の「筒状フィルム」の「偏平部を幅方向に集束」した「集束部は、超音波ホーンとアンビルとによる、設定期間の当接圧のもとで十分にシールされ」ていることは、本件発明の「前記一対のシール体が前記最適な設定圧で前記フィルムを挟持している」ことに相当するから、甲1発明の「集束部は、超音波ホーンとアンビルとによる、設定期間の当接圧のもとで十分にシールされ、前記設定期間の後半にはシールのための超音波振動が停止されると共に、シリンダが切換弁の作動によって駆動され、枠体が前進して刃によって前記集束部は上下三箇所のシール部分の間で切断される」ことは、本件発明1の「前記一対のシール体における最適なシール圧付与の期間が終了するまでに、前記切断手段による切断終了がなされる」ことに相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。
[一致点]
「フィルムを介して対向配置されたアンビルからなるシール体とホーンからなるシール体によってフィルムを挟持して超音波振動と最適な設定圧により該フィルムの送り方向とは交差する方向に沿って横シールすると共に該横シール箇所を切断手段によって切断する製袋充填機における横シール装置であって、
前記ホーンを振動させる発振手段と、
前記一対のシール体が前記最適な設定圧で前記フィルムを挟持しており、前記一対のシール体における最適なシール圧付与の期間が終了するまでに、前記切断手段による切断終了がなされるよう構成された製袋充填機における横シール装置。」
[相違点1]
「切断手段」について、本件発明1の「切断手段」は「シール体に配設され」ているのに対し、甲1発明の「切断装置」は、「アンビル」が「一体的に取りつけられて」いる「往復板」に「取りつけられて」いる「シリンダのピストンロッド」の「前部にある」点。
[相違点2]
本件発明1は、「一対のシール体の開閉動作に関する第1指令と、前記発振手段の振動開始又は振動停止に関する第2指令と、前記切断手段におけるフィルムの切断に関する第3指令を、1包装サイクルにおいてそれぞれの設定されたタイミングで行う制御部を備えており、該制御部は、前記第1指令によって前記一対のシール体が前記最適な設定圧で前記フィルムを挟持していると共に前記第2指令によって前記ホーンの振動が停止した際に、前記第3指令によって前記切断手段が前記フィルムの切断を開始するよう各指令を行うと共に、前記一対のシール体における最適なシール圧付与の期間が終了するまでに、前記切断手段による切断終了がなされるよう構成され」るのに対し、甲1発明は、制御部を備えたものであるか否かが不明であり、「筒状フィルム」の「偏平部を幅方向に集束」した「集束部は、超音波ホーンとアンビルとによる、設定期間の当接圧のもとで十分にシールされ、前記設定期間の後半にはシールのための超音波振動が停止されると共に、シリンダが切換弁の作動によって駆動され、枠体が前進して刃によって前記集束部は上下二箇所のシール部分の間で切断される」よう構成される点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、まず相違点2から検討する。
甲1発明の「前記設定期間の後半にはシールのための超音波振動が停止されると共に、シリンダが切換弁の作動によって駆動され、枠体が前進して刃によって前記集束部は上下三箇所のシール部分の間で切断される」ことは、「超音波振動」の「停止」と「集束部」の「切断」の開始との間に時間差があることを意味し、このことは、甲1の図5に図示された「超音波振動子」及び「刃」のシーケンスとも整合する。
そして、甲1発明における「超音波振動」は、「集束部」のシールに必要不可欠なことであるから、甲1発明において、「集束部」の「切断」の開始を早めてまで、「超音波振動が停止される」前に「集束部」の「切断」が開始されてしまう可能性を高める必要はない。
また、甲1の図5に図示された「ホーン接圧力」と「刃」の作動シーケンスによれば、「接圧」が終了する前に「切断」は終了しており、「切断」を開始する時点を早めたとしても、甲1発明の「充填包装装置」の作動シーケンス全体の時間が短縮されるわけではないから、甲1の「(効果)」の欄に記載された「充填包装装置」の「品質保証をしながら高速運転が可能になる」という効果をより向上させることにも寄与しない。
そうすると、甲1発明において、あえて「集束部」の「切断」の開始を早めなければならない事情はないから、甲1発明に制御部を備えるとしても、「超音波振動」が「停止」した際に「集束部」の「切断」を開始するように構成する動機付けはない。
また、甲2?12のいずれにも、甲1発明において、「超音波振動」が「停止」した際に「集束部」の「切断」を開始するように構成することの根拠となる記載はない。
したがって、甲1発明において、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

申立人は、「甲1発明における「フィルムは、加圧手段(シリンダ)(28)による設定期間の当接圧のもとで十分にシールされ、上記設定期間の後半にはシールのための超音波振動が停止されると共に、枠体(14)が前進して刃(15)によって切断される」は、本件特許発明1における「(第2指令によって)ホーンの振動が停止した際に、(第3指令によって)切断手段がフィルムの切断を開始するよう各指令を行うと共に、一対のシール体における最適なシール圧付与の期間が終了するまでに、切断手段による切断終了がなされる」に相当する。」(異議申立書21ページ11?18行)と主張するが、甲1発明は「・・・シールのための超音波振動が停止されると共に、シリンダが切換弁の作動によって駆動され、枠体が前進し」た後に「切断」が開始されるものであるから、かかる主張には理由がない。

したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2?甲12に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に想到し得たものではない。

2.本件発明2及び本件発明3について
本件発明2は、本件発明1に対して、さらに「前記切断手段は、切断刃を有し、該切断刃は、その先端部がフィルムに対して進退移動可能な構成としてアンビル側のシール体に埋設されており、ホーン側のシール面には、切断刃の先端部を受入れ可能な凹部が形成されている」という技術的事項を追加したものであり、本件発明3は、本件発明1又は本件発明2に対して、さらに「前記ホーンは、超音波振動する際に前記対向配置されたアンビルに向けて近接離間するように縦振動する構成であり、両シール体のシール面には、前記切断手段に沿った方向に線状のシール目が付くように凹凸が形成されている」という技術的事項を追加したものである。
よって、上記1.に示した理由と同様の理由により、本件発明2及び本件発明3は、甲1発明及び甲2?甲12に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得たものではない。

第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2021-07-09 
出願番号 特願2017-56066(P2017-56066)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (B65B)
P 1 651・ 113- Y (B65B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 種子島 貴裕村山 美保  
特許庁審判長 井上 茂夫
特許庁審判官 石井 孝明
藤井 眞吾
登録日 2020-08-13 
登録番号 特許第6749272号(P6749272)
権利者 株式会社フジキカイ
発明の名称 製袋充填機における横シール装置  

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