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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1377165
審判番号 不服2020-2027  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-14 
確定日 2021-09-06 
事件の表示 特願2018-560476「マルチユーザメッセージ交換スレッドにおける自動化アシスタントとのインタラクションのための提案を提供すること」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月23日国際公開、WO2017/200583、令和 元年 8月 8日国内公表、特表2019-522266、請求項の数(21)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 理由
第1 手続の経緯
本願は、平成28年12月22日(パリ条約による優先権主張2016年5月17日 米国)を国際出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

手続補正 :平成30年12月19日
拒絶理由通知 :令和元年 6月10日(起案日)
手続補正 :令和元年 7月23日
拒絶査定 :令和元年10月 8日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :令和2年 2月14日
手続補正 :令和2年 2月14日
拒絶理由通知 :令和3年 4月15日(起案日)
手続補正 :令和3年 5月25日

第2 本願発明
本願請求項1-21に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明21」という。)は、令和3年5月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-21に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

【請求項1】
1つまたは複数のプロセッサによって実装される方法であって、
進行中のメッセージ交換スレッドの1つまたは複数のすでに通信がなされたメッセージに基づき少なくとも1つの候補クエリを決定するステップであって、
前記進行中のメッセージ交換スレッドは、少なくとも第1のユーザと第2のユーザとの間であり、前記第1のユーザの第1のメッセージ交換クライアントおよび前記第2のユーザの第2のメッセージ交換クライアントを介したものである、ステップと、
少なくとも前記第1のユーザに前記第1のメッセージ交換クライアントを介して表示するために、前記候補クエリの指示を提供する選択可能なグラフィック要素を提供するステップと、
前記選択可能なグラフィック要素に向けられている前記第1のユーザのユーザインターフェース入力に応答して、
前記候補クエリを検索エンジンにサブミットするステップと、
前記候補クエリを前記検索エンジンにサブミットしたことに応答して1つまたは複数の検索結果を受信するステップと、
前記検索結果のうちの少なくとも1つに基づき前記進行中のメッセージ交換スレッドに組み込むコンテンツを決定するステップと、
前記コンテンツを前記進行中のメッセージ交換スレッドに組み込むステップと
を含み、
前記コンテンツを前記進行中のメッセージ交換スレッドに組み込むステップは、前記コンテンツが前記第1のメッセージ交換クライアントを介して前記第1のユーザに表示され、および前記第2のメッセージ交換クライアントを介して前記第2のユーザに表示されることを引き起こし、
前記コンテンツを前記進行中のメッセージ交換スレッドに組み込むステップは、前記コンテンツを前記進行中のメッセージ交換スレッドのトランスクリプトに、前記コンテンツが自動化アシスタントによって生成されることを示すグラフィック指示とともに組み込むステップを含む、方法。

なお、本願発明2-21の概要は以下のとおりである。
本願発明2-16は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明17は本願発明1に対応するシステムの発明であり、本願発明18は本願発明1の方法を実行する命令を記憶するコンピュータ可読媒体の発明であって、それぞれ、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明19は、本願発明18を減縮した発明である。
本願発明20は本願発明1-16に対応する装置、本願発明21は本願発明1-16に対応するコンピュータプログラムであって、それぞれ、本願発明1-16とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第3 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特表2010-519609号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

【0008】
・・・(以上省略)
プレゼンスベースのネットワーク例
一実施形態によるプレゼンスベースのネットワーク例として、そのようなネットワークまたはシステムの全体を100で示した図1を検討する。システム100は、1つまたは複数のコンピューティングデバイス102を含んでおり、それぞれのコンピューティングデバイス102は、1つまたは複数のプロセッサー104、1つまたは複数のコンピューター可読媒体106、およびそのコンピューター可読媒体に常駐し、プロセッサー(複数可)によって実行可能な1つまたは複数のアプリケーション108を備えている。少なくとも1つの実施形態では、これらアプリケーションの1つは、以下で説明されるような、コンテキスト・センシティブな検索および機能を備えたインスタント・メッセージング・アプリケーションという形で常駐している。
【0009】
コンピューティングデバイス102はデスクトップコンピューターの形で示されているが、「特許請求の範囲」に記載された主題の精神および範囲から逸脱することなく他のコンピューティングデバイスが利用できることを理解されたい。例えば、他のコンピューティングデバイスとしては、例であって限定ではないが、ポータブル・コンピューター、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)などのハンドヘルドコンピューター、携帯電話などがある。
【0010】
システム100は、プレゼンスベースのネットワーク112と通信するためにコンピューティングデバイス102によって使用されるインターネット110などのネットワークも含んでいる。コンピューティングデバイス102とプレゼンスベースのネットワーク112間の通信を可能にするために、任意の適切なプロトコルが使用できる。
【0011】
図示されているように、プレゼンスベースのネットワーク112は、当業者には理解されようが、プレゼンス環境を提供する1つまたは複数のサーバ114を含んでいる。プレゼンスベースのネットワークは、インスタントメッセージング、VoIP、音声クリップなどの使用を含む、すなわち、その使用をサポートするネットワークであってよい。インスタントメッセージング、VoIP、音声クリップなどはすべて、コンピューティングデバイス102のユーザーがネットワーク、およびネットワークの他のユーザーと通信できるようにすることができる。インスタントメッセージング、VoIP、音声クリップのプロトコルは、当業者には理解できるであろうから、簡潔にするために、本明細書ではこれ以上説明しない。本明細書で説明される実施形態は、これらのプロトコルおよび他のプロトコルと関連付けて利用できることを理解されたい。特に、以下で明らかになるように、VoIP型の会話などだけでなく、テキスト型の会話に関連付けても様々な実施形態が利用できる。
【0012】
プレゼンスベースのネットワークは、示されているような多様なコンピューティングデバイスのいずれかを使用して、コンピューティングデバイス102のユーザーと通信できる他のヒューマンユーザーを含む。実際には、プレゼンスベースのネットワーク内のユーザーが他のユーザーとの会話に入ると、そのユーザーに何らかのタイプのユーザーインターフェースが提示され、そのユーザーインターフェースを介して会話を行うことができる。
【0013】
一例としてであるが、図1からの、インスタント・メッセージング・アプリケーションという形でのアプリケーション108、およびインスタント・メッセージング・アプリケーションのユーザーが会話する相手である1人のヒューマンユーザーを示す図2を検討する。図2では、インスタント・メッセージング・アプリケーション108が、いわゆる会話ウィンドウ200を含むユーザーインターフェースをユーザーのコンピューティングデバイスに提示し、そのユーザーインターフェースによって、ユーザーは、オンライン中の多数の連絡先などと会話することができる。加えて、アプリケーション108は、そのとき現在、たまたまオンラインになっているユーザーの様々な連絡先をリストアップした連絡先リスト202を提供する。したがって、この例では、現在、Bill、Sue、FredおよびFrankがオンラインであって、ユーザーは、このうちの誰かと、または全員と会話を開始することを選択できる。
【0014】
・・・(以上省略)
キーワードおよび語句の識別
図3は、一実施形態による、インスタント・メッセージング・アプリケーションにおける会話ウィンドウの例を示している。図3では、MikeとBillの間で会話が行われており、この2人の個人が食事をどこでとるかについて話している。MikeはBillに、どこで食事したいかを尋ね、Billは、それに対して「どこでもかまわない」と答えている。しかし、この会話のコンテキストにおいて、BillはMikeに、料理の種類についてイタリア料理またはギリシャ料理についてどう思うかを尋ねている。この例では、インスタント・メッセージング・アプリケーションが自動的に、関心のあるテキスト関連のキーワードをいくつか、すなわち、300での「食事」、302での「イタリア料理かギリシャ料理」を自動的に強調表示している。強調表示は、任意の適切な方法で行われてよい。例であって限定ではないが、キーワードおよび語句に下線を付けてもよいし、キーワードおよび語句の隣に選択可能なアイコンを表示してもよいし、またはこの例でのように、視覚的に区別できるボックスに入れることにより、キーワードおよび語句を視覚的に強調表示してもよい。さらに、キーワードは、任意の適切な手法、提供元および/またはアルゴリズムを用いて、いずれか適切な方法で識別できるが、そのうちのいくつかの例が後術されている。
【0015】
キーワードおよび語句が識別されて強調表示されたら、ユーザーは、特定のキーワードまたは語句を選択してユーザーインターフェースを表示することができ、そのユーザーインターフェースに、そのユーザーまたは会話中の複数ユーザーに、選択されたキーワードまたは語句に関係がある様々なテキスト関連のマテリアルまたは機能が示される。個人は手作業でキーワードまたは語句を選択して、以下で説明する機能を表示できることも理解されたい。
【0016】
例として、図4を検討する。図4では、図3の会話ウィンドウが示され、それと共にユーザーインターフェース例400が表示されている。図4では、ユーザーは、強調表示された「イタリア料理かギリシャ料理」選択項目にカーソルを使って移動するか、または別の方法で選択する。それに応答して、ドロップダウンメニューの形でユーザーインターフェースが提示され、ユーザーの会話のコンテキストに関係がある検索結果が自動的に表示される。具体的には、この例では、2人のユーザーが食事先の候補としてイタリア料理レストランまたはギリシャ料理レストランについて話しているので、このユーザーの近隣のイタリア料理またはギリシャ料理レストランに関する多くの検索結果が表示されている。この例では、検索結果はリンクを含んでいて、ユーザーがリンクをクリックすれば、レストランのアドレスと、少なくとも一部の実施形態では、ユーザーの現在位置からの地図を入手することができる。1つまたは複数の実施形態において、ドロップダウンメニューはスクロール可能であり、ユーザーが下方にスクロールして、ユーザーインターフェースに提示されている情報のすべてを見ることができる。1つまたは複数の実施形態において、第1のユーザーインターフェースでキーワードまたは語句が強調表示されている場合、同じキーワードまたは語句は、第1のユーザーが会話している相手ユーザーの対応するユーザーインターフェース上でも強調表示される。加えて、これらの実施形態では、相手の会話参加者に対しても同じ検索結果の表示が可能である。これらの実施形態または他の実施形態において、様々なユーザーに固有の情報を使用して、それらのユーザー用に、独自の検索結果が調整されることを理解されたい。加えて、これが自動的に行えるのは、少なくとも一部の実施形態である。
【0017】
実際には、ユーザーインターフェースに表示される情報が検索結果に関係している場合、インスタント・メッセージング・アプリケーションは、live.comなどのインターネット検索エンジンを利用して、選択された用語の検索を非常に迅速に行ってユーザーに結果を表示することができる。このように、少なくとも一部の実施形態では、検索をバックグラウンドで実行して、ユーザー(複数可)に結果を提示することができる。

【0021】
図6は、一実施形態による方法の諸ステップを説明した流れ図である。この方法は、適切なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組合せと関連付けて実施できる。少なくとも一部の実施形態では、この方法は、ソフトウェア内で、インスタント・メッセージング・アプリケーションという形で実施できる。
【0022】
ステップ500は、インスタントメッセージング会話内の1つまたは複数のキーワードまたは語句を識別する。これがどのように行えるかの例が前述または後述されている。ステップ502は、キーワードまたは語句のうちの1つまたは複数を強調表示する。強調表示は、任意の適切な方法、例えば、手作業または自動的に行うことができる。ステップ504は、ユーザーが強調表示されたキーワードを選択したかを確認する。このステップは任意の適切な方法で実行できるが、そのうちのいくつかの例が上述されている。ユーザーが特定のキーワードまたは語句を選択しないと、この方法はステップ502にループバックする。ユーザーが強調表示された語を選択すると、ステップ506は、ユーザーにコンテキスト関連のマテリアルまたは機能を示すユーザーインターフェースを表示する。コンテキスト関連のマテリアルまたは機能のいくつかの例が前述または後述されている。
共用ユーザーインターフェースエリア
1つまたは複数の実施形態において、会話に参加しているユーザーに提示されるユーザーインターフェースの一部分は、会話の複数ユーザーが集まって相互に、ならびに/あるいは提示されたコンテキスト関連のマテリアルおよび/または機能と対話する共用エリアを含んでいる。例として、図3の会話ウィンドウを、図5のユーザーインターフェース400と同様のユーザーインターフェース600と共に示した図7を検討する。ただし、図7では、ユーザーインターフェース600は、少なくとも一部の事例では、表示された結果をさらに詳細化する検索用語をユーザー(複数可)が入力できる検索エリア602を含んでいることに留意されたい。1つまたは複数の実施形態において、1人のユーザーによって入力されたクエリーは他の会話参加者と共用されて、会話参加者全員に同じ検索結果が表示できるようになっている。
【0023】
例えば、MikeとBillが例示の会話をしているものとする。その会話からの検索結果も提示されているものとしよう。このケースでは、おそらく、Mikeは、Bellevueエリア近隣のギリシャ料理レストランのリストを見たいであろう。このケースでは、Mikeは、検索用語として「ギリシャ料理レストラン」と「Bellevue」を検索エリア602に入力する可能性もある。この検索クエリーは、Billのインスタントメッセージングクライアントと共用され、Mikeのクエリーに対する検索結果が、個人のそれぞれに表示される。
【0024】
上記の例で暗示されているように、ユーザーに表示されるコンテキスト関連のマテリアルおよび/または機能は、位置ベースにすることができる。すなわち、1つまたは複数の実施形態において、各個人ユーザーのインスタントメッセージングクライアントが、GPS、セルノードなどによる場合と同様に、ユーザー入力を介して手作業で、または自動的に位置情報を入手することができる。それぞれの個人会話参加者の位置を知ることにより、位置ベースのコンテキスト関連のマテリアルが提示できる。例えば、1つまたは複数の実施形態において、2地点間の方向という形のコンテキスト関連の機能、または視覚的に表示可能な地図が該当のコンテキスト内の個々のユーザーに提供される。例えば、MikeとBillが両方ともBellevueに居て、特定のレストランに決めた場合、彼らのうちのどちらか1人、または両方がそのレストランがどこにあるかを知らないことがありえる。この例では、インスタントメッセージングクライアント内でリンクを提供でき、リンクは、クリックされると、彼らのそれぞれがその現在位置からレストランまでどのように進むべきかを示した注釈付き地図を表示する。

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

一実施形態による方法は、インスタント・メッセージング・アプリケーションという形で実施でき、(【0021】)
コンピューティングデバイス102は、1つまたは複数のプロセッサー104、1つまたは複数のコンピューター可読媒体106、およびそのコンピューター可読媒体に常駐し、プロセッサー(複数可)によって実行可能な1つまたは複数のアプリケーション108を備え、アプリケーションの1つは、コンテキスト・センシティブな検索および機能を備えたインスタント・メッセージング・アプリケーションという形で常駐し、(【0008】)
インスタント・メッセージング・アプリケーション108が、いわゆる会話ウィンドウ200を含むユーザーインターフェースをユーザーのコンピューティングデバイスに提示し、そのユーザーインターフェースによって、ユーザーは、オンライン中の多数の連絡先などと会話することができ、(【0013】)
例では、MikeとBillの間で会話が行われており、この2人の個人が食事をどこでとるかについて話し、MikeはBillに、どこで食事したいかを尋ね、Billは、それに対して「どこでもかまわない」と答えているが、この会話のコンテキストにおいて、BillはMikeに、料理の種類についてイタリア料理またはギリシャ料理についてどう思うかを尋ねている例では、インスタント・メッセージング・アプリケーションが自動的に、関心のあるテキスト関連のキーワードをいくつか、すなわち、300での「食事」、302での「イタリア料理かギリシャ料理」を自動的に強調表示しているものであって、強調表示は、キーワードおよび語句に下線を付けてもよいし、キーワードおよび語句の隣に選択可能なアイコンを表示してもよいし、視覚的に区別できるボックスに入れることにより、キーワードおよび語句を視覚的に強調表示してもよく、(【0014】)
キーワードおよび語句が識別されて強調表示されたら、ユーザーは、特定のキーワードまたは語句を選択してユーザーインターフェースを表示することができ、そのユーザーまたは会話中の複数ユーザーに、選択されたキーワードまたは語句に関係がある様々なテキスト関連のマテリアルまたは機能が示されるものであって、(【0015】)
ユーザーは、強調表示された「イタリア料理かギリシャ料理」選択項目にカーソルを使って移動するなどの方法で選択すると、ドロップダウンメニューの形でユーザーインターフェースが提示され、ユーザーの会話のコンテキストに関係がある検索結果が自動的に表示されるものであり、具体的には、この例では、2人のユーザーが食事先の候補としてイタリア料理レストランまたはギリシャ料理レストランについて話しているので、このユーザーの近隣のイタリア料理またはギリシャ料理レストランに関する多くの検索結果が表示され、(【0016】)
第1のユーザーインターフェースでキーワードまたは語句が強調表示されている場合、同じキーワードまたは語句は、第1のユーザーが会話している相手ユーザーの対応するユーザーインターフェース上でも強調表示され、さらに、相手の会話参加者に対しても同じ検索結果の表示が可能であり、(【0016】)
強調表示と選択の具体的処理は、(以下【0022】)
インスタントメッセージング会話内の1つまたは複数のキーワードまたは語句を識別するステップ、
キーワードまたは語句のうちの1つまたは複数を強調表示するステップ、
ユーザーが強調表示されたキーワードを選択したかを確認するステップ、
ユーザーが強調表示された語を選択すると、ユーザーにコンテキスト関連のマテリアルまたは機能を示すユーザーインターフェースを表示するステップ、
からなる方法。

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2016-051186号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

【0142】
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態のスマートフォンは、最新のメッセージの特徴として、第1の実施の形態の投稿日時の代わりに、テキスト情報を抽出する。そして、スマートフォンは、当該テキスト情報をキーワードとして検索を行ない、その結果を、メッセージの返信に利用するデータの候補として提示する。
【0143】
SNSアプリのメッセージは、テキストを含む。メッセージに含まれるテキストは、メッセージに添付された画像から文字認識処理によって抽出されたテキストであってもよい。
【0144】
<A.概要>
図16は、第6の実施の形態における、候補の提示の概要を説明するための図である。図16を参照して、画像1000は、スマートフォン10においてメッセージの表示のためのディスプレイ1591における表示の一例である。画像1000は、メッセージ表示部900Aと情報表示部900Bとを含む。メッセージ表示部900Aは、3個のメッセージのそれぞれを表示する表示欄910?930と、メッセージを入力するための入力欄950とを含む。図16では、図1と同様に、表示欄930はユーザXのメッセージを示し、表示欄920はユーザAのメッセージを示し、表示欄930はユーザXのメッセージを示す。なお、図16の表示欄910?930のそれぞれに表示されるメッセージは、図1の各メッセージとは異なる。
【0145】
画像1000では、表示欄930のメッセージが最新のメッセージである。スマートフォン10は、表示欄930のメッセージからテキスト「決裁書」を抽出する。図16では、ライブラリ内のファイルが、ファイル群820で示されている。スマートフォン10は、テキスト「決裁書」をキーワードとしてライブラリを検索し、検索結果である1以上のファイル821を取得する。そして、スマートフォン10は、画像1000の情報表示部900Bに、メッセージとともに、ファイル821に含まれる各ファイルのアイコン(図16では3個のアイコン1061?1063)を表示する。
【0146】
第6の実施の形態のスマートフォンは、第1の実施の形態のスマートフォン10と同様のハードウェア構成(図4参照)および機能構成(図5参照)を有し得る。
【0147】
<B.処理の流れ>
図17は、第6の実施の形態のスマートフォン10においてSNSのメッセージが表示されるときの処理のフローチャートである。図17のフローチャートを図7のフローチャートと比較すると、CPU151は、ステップS40の代わりにステップS44の制御を実行し、また、ステップS50の代わりにステップS58の制御を実行する。
【0148】
ステップS44で、CPU151は、最新のメッセージからテキスト情報を抽出する。より具体的には、たとえば、データ記憶部124は、キーワード抽出用の辞書を格納している。当該辞書は、たとえば検索に利用可能な名詞のリストを含む。CPU151は、最新のメッセージのテキストから上記辞書に含まれる名詞を抽出する。そして、制御はステップS58へ進められる。
【0149】
ステップS58で、CPU151は、ステップS44で抽出したテキストをキーワードとして、ライブラリを検索する。ライブラリは、ファイルを含む。CPU151は、検索結果として1以上のファイルを取得する。そして、制御はステップS60へ進められる。
【0150】
ステップS60で、CPU151は、ステップS58で取得したファイルのアイコンをメッセージとともに表示する。メッセージを見たユーザは、たとえば当該メッセージとともに表示されているアイコンをクリックすることにより、メッセージの返信として当該アイコンに対応するファイルを送信できる。
【0151】
第6の実施の形態では、スマートフォン10は、最新のメッセージから抽出されたテキスト情報を用いて、返信に利用される情報の候補を選択する。テキスト情報は、多くの場合、メッセージの内容を具体的に示す。これにより、第6の実施の形態では、提示される候補が最新のメッセージと確実に関連する確率が高くなる。したがって、提示される候補がメインユーザの返信への動機付けを高める確率が高くなる。
【0152】
[第7の実施の形態]
第7の実施の形態のスマートフォンは、最新のメッセージから複数の特徴を抽出する。そして、複数の特徴をキーワードとしてライブラリを検索し、その結果をメッセージとともに表示する。
【0153】
<A.概要>
図18は、第7の実施の形態における、候補の提示の概要を説明するための図である。第7の実施の形態では、スマートフォンは、最新のメッセージから、第1の特徴として時間情報を抽出し、第2の特徴してテキスト情報を抽出する。そして、スマートフォン10は、ライブラリにおいて、第1の特徴である時間情報をキーワードとしてファイルを選択する。たとえば、スマートフォンは、時間情報で特定される時刻から予め定められた範囲内に生成されたファイルを選択する。このようなファイルの選択は、図18において「1)時間情報に基づくファイルの選択」として示されている。この選択により、ライブラリ内のファイル831?839から、ファイル834?838が選択される。
【0154】
次に、スマートフォンは、上記のように選択されたファイルから、第2の特徴であるテキスト情報をキーワードとして検索を行なうことにより、さらにファイルを選択する。このようなファイルの選択は、図18において「2)ファイルの検索」として示されている。この選択により、ファイル834?838からファイル835,838が選択される。ファイル835,838が、第7の実施の形態の最終的な検索結果840である。第7の実施の形態では、検索結果840に含まれる各ファイルのアイコンが、メッセージとともに表示される。
【0155】
第7の実施の形態のスマートフォンは、第1の実施の形態のスマートフォン10と同様のハードウェア構成(図4参照)および機能構成(図5参照)を有し得る。
【0156】
<B.処理の流れ>
図19は、第7の実施の形態のスマートフォン10においてSNSのメッセージが表示されるときの処理のフローチャートである。図19のフローチャートを図7のフローチャートと比較すると、CPU151は、ステップS40に加えてステップS44の制御を実行し、また、ステップS50の代わりにステップS59の制御を実行する。
【0157】
図19を参照して、ステップS40で、CPU151は、最新のメッセージの投稿日時を抽出する。そして、制御はステップS44へ進められる。
【0158】
ステップS44で、CPU151は、最新のメッセージからテキスト情報を抽出する。ステップS44の制御内容は、第6の実施の形態のステップS44(図17参照)と同様とすることができる。そして、制御はステップS59へ進められる。
【0159】
ステップS59で、CPU151は、ステップS40で抽出した投稿日時を用いて、ライブラリからファイルを選択する(時間情報に基づくファイルの選択)。そして、当該選択されたファイルから、CPU151は、ステップS44で抽出したテキスト情報をキーワードとしてファイルを検索する(ファイルの検索)。そして、制御はステップS60へ進められる。
【0160】
ステップS60で、CPU151は、メッセージとともに、ステップS59の検索結果に含まれるファイルのアイコンを提示する。
【0161】
第7の実施の形態によれば、メッセージの返信に利用される情報の候補として、複数の特徴のそれぞれを用いた複数の段階で選択されたファイルが提示される。これにより、提示される候補の数を絞ることができる。
【0162】
<C.変形例>
第7の実施の形態では、提示される候補は、スマートフォン10におけるファイルの閲覧履歴など、ユーザの処理内容から選択されてもよい。図20は、第7の実施の形態の変形例を説明するための図である。
【0163】
図20に示されるように、スマートフォン10には、ファイルの閲覧履歴850が記録される。閲覧履歴850は、閲覧時刻と、閲覧されたファイルのURLとを含む。たとえば、ファイルの閲覧履歴850は、6月14日8時00分に閲覧されたURL「\\server\xxx.pdf」を含む。
【0164】
図20に示された変形例では、ファイルの閲覧履歴850から、メッセージから抽出された時間情報に基づいて履歴に対応するファイルが選択される。たとえば、6月14日の8時00分から同日10時00分の範囲内のファイルが選択されることにより、枠F2で囲われた3個の履歴に対応するファイルが選択される。3個のファイルは、URL「\\server\xxx.pdf」で特定されるファイル(6月20日8時00分に閲覧された)と、URL「\\server\aaa.pdf」で特定されるファイル(6月20日8時30分に閲覧された)と、URL「\\server\bbb.pdf」で特定されるファイル(6月20日10時00分に閲覧された)とを含む。図20では、これらのファイルが3個のアイコン851?853で示されている。
【0165】
図20の変形例では、これらの3個のファイルから、キーワードを用いた検索によりさらにファイルが検索される。図20では、検索結果860は、ファイル851とファイル852とを含む。そして、当該変形例では、2個のファイル851,852を示すアイコンが、最新のメッセージの返信に利用される情報の候補として表示される。

したがって、上記引用文献2には、「SNSのメッセージからキーワードを抽出し、抽出したキーワードに基づきライブラリを検索し、検索した結果の候補を選択し、選択した候補をメッセージに関連付けて表示する技術」という技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(米国特許出願公開第2014/0195621号明細書)には、図面とともに次の事項が記載されている。

[0029] FIG. 3A presents an exemplary view of a user interface of a chat client application. When a user A is chatting with a user B, both of their client machines run a chat client application that displays a user interface 300. User interface 300 includes a text-input field 302 and a conversation-and-information display field 304. A user can type what he wants to say to another user inside text-input field 302. The input text strings will be displayed inside conversation-and-information display field 304 on both client machines, allowing both users to view the input text strings. Note that the intelligent chat assistant monitors content being displayed in conversation-and-information display field 304 in order to infer meanings of the conversation. In addition to displaying the conversation, conversation-and-information display field 304 also displays information pertaining to the conversation automatically provided by the intelligent chat assistant.
(当審訳)
図3Aは、チャットクライアントアプリケーションのユーザーインターフェースの例示的な図を提示する。ユーザーAがユーザーBとチャットしているとき、それらのクライアントマシンの両方は、ユーザーインターフェース300を表示するチャットクライアントアプリケーションを実行する。ユーザーインターフェース300は、テキスト入力フィールド302および会話および情報表示フィールド304を含む。 ユーザーAは、テキスト入力フィールド302内に別のユーザーに言いたいことを入力することができる。入力テキスト文字列は、両方のクライアントマシンの会話および情報表示フィールド304内に表示され、両方のユーザーが入力テキスト文字列を表示できるようにする。インテリジェントチャットアシスタントは、会話の意味を推測するために、会話および情報表示フィールド304に表示されているコンテンツを監視することに留意されたい。会話を表示することに加えて、会話および情報表示フィールド304はまた、インテリジェントチャットアシスタントによって自動的に提供される会話に関連する情報を表示する。

[0030] In the example shown in FIG. 3A, during the chat, Bob invites John to his home for dinner, and John asks directions to Bob's home. This entire conversation is displayed in conversation-and-information display field 304. In intelligent chat assistant 200 is running in the background and monitors the chat conversation. As soon as John asks for directions to Bob's house, intelligent chat assistant 200 retrieves Bob's home address from Bob's personal record (or from stored chat history) and issues a search to a third-party map service. Optionally, intelligent chat assistant 200 may also obtain John's home address from John's machine (by, for example, communicating with the intelligent chat assistant residing on John's machine) and perform a door-to-door driving direction search. As a result, conversation-and-information display field 304 displays a map showing the directions from John's home to Bob's home. Note that the map is automatically displayed by intelligent chat assistant 200 without requiring either Bob or John to open a map application. In a further embodiment, other additional information, such as traffic, weather, etc., regarding their dinner appointment may also be displayed by the intelligent chat assistant.
(当審訳)
図3Aに示す例では、チャット中に、ボブはジョンを夕食のために彼の家に招待し、ジョンはボブの家への道順を尋ねている。この会話全体は、会話および情報表示フィールド304に表示される。インテリジェントチャットアシスタント200は、バックグラウンドで実行されており、チャット会話を監視している。ジョンがボブの家への道順を尋ねるとすぐに、インテリジェントチャットアシスタント200はボブの個人記録(または保存されたチャット履歴)からボブの自宅住所を取得し、サードパーティの地図サービスに検索を発行する。任意選択で、インテリジェントチャットアシスタント200はまた、ジョンのマシンからジョンの自宅住所を取得し(例えば、ジョンのマシン上にあるインテリジェントチャットアシスタントと通信することによって)、ドアツードアの運転方向検索を実行することができる。その結果、会話情報表示フィールド304は、ジョンの家からボブの家への方向を示す地図を表示する。地図は、ボブまたはジョンが地図アプリケーションを開くことを必要とせずに、インテリジェントチャットアシスタント200によって自動的に表示されることに留意されたい。さらなる実施形態では、それらの夕食の予定に関する交通、天気などの他の追加情報もまた、インテリジェントチャットアシスタントによって表示され得る。

[0031] FIG. 3B presents an exemplary view of a user interface of a chat client application. In the example shown in FIG. 3B, during a chat session between a sales representative and a customer, the customer inquires about a particular product ABC. Upon detecting the customer's question, intelligent chat assistant 200 retrieves from the corporate database the product information of ABC and displays this information Instead of requiring the sales representative to search a database for the product information, the intelligent chat assistant running on the machine of the sales representative retrieves such information and displays the result in conversation-and-information display field 304. Note that intelligent chat assistant 200 may have a privacy-control setting that precludes some of the product information, such as available quantity, from being displayed to the customer. In other words, the user interface of the chat client application running on the customer's machine might only show part of the product information retrieved by the intelligent chat assistant on the sales representative side. In general, a privacy-control policy may cause the information displayed locally to the user to be different from the information displayed to a remote chat participant.
(当審訳)
図3Bは、チャットクライアントアプリケーションのユーザインターフェースの例示的な図を提示する。図3Bに示す例では、営業担当者と顧客との間のチャットセッション中に、顧客は特定の製品ABCについて問い合わせる。顧客の質問を検出すると、インテリジェントチャットアシスタント200は、営業担当者に製品情報のデータベースを検索するように要求する代わりに、企業データベースからABCの製品情報を検索し、この情報を表示する。営業担当者のマシン上で動作するインテリジェントチャットアシスタントは、そのような情報を検索し、その結果を会話および情報表示フィールド304に表示する。インテリジェントチャットアシスタント200は、利用可能な数量などの製品情報の一部が顧客に表示されないようにするプライバシー制御設定を有する場合があることに留意されたい。つまり、顧客のマシンで実行されているチャットクライアントアプリケーションのユーザーインターフェースには、営業担当者側のインテリジェントチャットアシスタントによって取得された製品情報の一部しか表示されない場合がある。一般に、プライバシー管理ポリシーにより、ユーザーにローカルに表示される情報が、リモートチャット参加者に表示される情報と異なる場合がある。

[0032] In the examples shown in FIGS. 3A and 3B, intelligent chat assistant 200 presents the additional information within the same display window where the chat conversation is displayed. Other configurations are also possible. For example, it is possible to display information provided by intelligent chat assistant 200 in a side panel, or in a separate window.
(当審訳)
図3Aおよび3Bに示される例では、インテリジェントチャットアシスタント200は、チャット会話が表示されるのと同じ表示ウィンドウ内に追加情報を提示する。他の構成も可能である。例えば、インテリジェントチャットアシスタント200によって提供される情報をサイドパネルまたは別のウィンドウに表示することが可能である。

したがって、上記引用文献3には、「チャットウィンドウに検索の結果をインテリジェントチャットアシスタントによって自動的に表示されることを示す情報とともに表示する」という技術的事項が記載されていると認められる。

第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

(a)引用発明は、インスタント・メッセージング・アプリケーションという形で実施できる方法であって、インスタント・メッセージング・アプリケーションは、(コンピューティングデバイスの)プロセッサー(複数可)によって実行可能なアプリケーションの1つであるから、「1つまたは複数のプロセッサによって実装される方法」である。
(b)引用発明の例では、『MikeとBillの間で会話が行われており、この2人の個人が食事をどこでとるかについて話し、MikeはBillに、どこで食事したいかを尋ね、Billは、それに対して「どこでもかまわない」と答えているが、この会話のコンテキストにおいて、BillはMikeに、料理の種類についてイタリア料理またはギリシャ料理についてどう思うかを尋ねている例では、インスタント・メッセージング・アプリケーションが自動的に、関心のあるテキスト関連のキーワードをいくつか、すなわち、300での「食事」、302での「イタリア料理かギリシャ料理」を自動的に強調表示し』、『強調表示された「イタリア料理かギリシャ料理」選択項目にカーソルを使って移動するなどの方法で選択すると、ドロップダウンメニューの形でユーザーインターフェースが提示され、ユーザーの会話のコンテキストに関係がある検索結果が自動的に表示される』が、上記MikeとBillの間で会話は、進行中のメッセージ交換スレッドといえるものであり、上記会話中の「どこで食事したいか」、「イタリア料理またはギリシャ料理についてどう思うかを尋ね」るという通信結果から、関心のあるテキスト関連のキーワードを自動的に強調表示し、強調表示されたテキストを選択することによりコンテキストに関係がある検索結果を得るのであるから、上記「食事」、「イタリア料理かギリシャ料理」を自動的に強調表示するようにスレッド中から得ることは「進行中のメッセージ交換スレッドの1つまたは複数のすでに通信がなされたメッセージに基づき少なくとも1つの候補クエリを決定するステップ」ということができる。
(c)上記メッセージ交換スレッドは、MikeとBillの間でなされているから「少なくとも第1のユーザと第2のユーザとの間」である。
また「第1のユーザーインターフェースでキーワードまたは語句が強調表示されている場合、同じキーワードまたは語句は、第1のユーザーが会話している相手ユーザーの対応するユーザーインターフェース上でも強調表示され、さらに、相手の会話参加者に対しても同じ検索結果の表示が可能であ」るから、MikeとBillには、ともに同様のメッセージ交換スレッドの表示がなされていることは明らかであるから、「前記第1のユーザの第1のメッセージ交換クライアントおよび前記第2のユーザの第2のメッセージ交換クライアントを介したものである」といえる。
(d)引用発明では、スレッド中の「食事」、「イタリア料理かギリシャ料理」を自動的に強調表示し、強調表示された選択項目を選択することにより、ユーザーの会話のコンテキストに関係がある検索結果が自動的に表示されるから、選択項目は候補クエリといえ、上記強調表示は、候補クエリの指示を提供する選択可能な表示であり、上記表示は、メッセージ交換クライアントを介して表示されている。
したがって、引用発明の「強調表示」を行うことは「少なくとも前記第1のユーザに前記第1のメッセージ交換クライアントを介して表示するために、前記候補クエリの指示を提供する選択可能な表示を提供するステップ」ということができる。
もっとも、本願発明1では上記選択可能な表示が「選択可能なグラフィック要素」であるのに対し、引用発明では、「スレッド中の強調表示」である点で相違する。
(e)引用発明の、強調表示された「イタリア料理かギリシャ料理」選択項目を選択すると、ユーザーの会話のコンテキストに関係がある検索結果が自動的に表示されることは、本願発明1の
「前記選択可能なグラフィック要素に向けられている前記第1のユーザのユーザインターフェース入力に応答して、
前記候補クエリを検索エンジンにサブミットするステップと、
前記候補クエリを前記検索エンジンにサブミットしたことに応答して1つまたは複数の検索結果を受信するステップと、
前記検索結果のうちの少なくとも1つに基づき前記進行中のメッセージ交換スレッドに組み込むコンテンツを決定するステップと、」
の構成のうち、
「前記選択可能な表示に向けられている前記第1のユーザのユーザインターフェース入力に応答して、
前記候補クエリを検索エンジンにサブミットするステップと、
前記候補クエリを前記検索エンジンにサブミットしたことに応答して1つまたは複数の検索結果を受信するステップと、
前記検索結果のうちの少なくとも1つに基づき前記進行中のメッセージ交換スレッドに表示するコンテンツを決定するステップと」
に対応しているといえる。
もっとも、上記(d)で検討したように、本願発明1では上記選択可能な表示が「選択可能なグラフィック要素」であるのに対し、引用発明では、「スレッド中の強調表示」である点で相違する。
また、「メッセージ交換スレッドに表示するコンテンツを決定するステップ」が、本願発明1では「メッセージ交換スレッドに組み込むコンテンツを決定するステップ」であるのに対し、引用発明では「メッセージ交換スレッドに組み込む」ことはしていない点で相違する。
(f)引用発明は、上記(e)で検討したように「メッセージ交換スレッドに組み込む」ことはしていないものの、「第1のユーザーインターフェースでキーワードまたは語句が強調表示されている場合、同じキーワードまたは語句は、第1のユーザーが会話している相手ユーザーの対応するユーザーインターフェース上でも強調表示され、さらに、相手の会話参加者に対しても同じ検索結果の表示が可能であ」るから、本願発明1の「前記コンテンツを前記進行中のメッセージ交換スレッドに組み込むステップは、前記コンテンツが前記第1のメッセージ交換クライアントを介して前記第1のユーザに表示され、および前記第2のメッセージ交換クライアントを介して前記第2のユーザに表示されることを引き起こし」の構成のうち、「前記コンテンツが前記第1のメッセージ交換クライアントを介して前記第1のユーザに表示され、および前記第2のメッセージ交換クライアントを介して前記第2のユーザに表示されることを引き起こ」す構成は有しているといえる。
(g)引用発明は、「コンテンツが自動化アシスタントによって生成されることを示すグラフィック指示」を有しているということはできないから、この点で、引用発明は、「前記コンテンツを前記進行中のメッセージ交換スレッドに組み込むステップは、前記コンテンツを前記進行中のメッセージ交換スレッドのトランスクリプトに、前記コンテンツが自動化アシスタントによって生成されることを示すグラフィック指示とともに組み込むステップ」を有しているということはできない。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
1つまたは複数のプロセッサによって実装される方法であって、
進行中のメッセージ交換スレッドの1つまたは複数のすでに通信がなされたメッセージに基づき少なくとも1つの候補クエリを決定するステップであって、
前記進行中のメッセージ交換スレッドは、少なくとも第1のユーザと第2のユーザとの間であり、前記第1のユーザの第1のメッセージ交換クライアントおよび前記第2のユーザの第2のメッセージ交換クライアントを介したものである、ステップと、
少なくとも前記第1のユーザに前記第1のメッセージ交換クライアントを介して表示するために、前記候補クエリの指示を提供する選択可能な表示を提供するステップと、
前記選択可能な表示に向けられている前記第1のユーザのユーザインターフェース入力に応答して、
前記候補クエリを検索エンジンにサブミットするステップと、
前記候補クエリを前記検索エンジンにサブミットしたことに応答して1つまたは複数の検索結果を受信するステップと、
前記検索結果のうちの少なくとも1つに基づき前記進行中のメッセージ交換スレッドに表示するコンテンツを決定するステップと、
を含み、
前記コンテンツが前記第1のメッセージ交換クライアントを介して前記第1のユーザに表示され、および前記第2のメッセージ交換クライアントを介して前記第2のユーザに表示されることを引き起こす、
ことを含む、方法。

(相違点)
相違点1
本願発明1では上記選択可能な表示が「選択可能なグラフィック要素」であるのに対し、引用発明では、「スレッド中の強調表示」である点

相違点2
引用発明では、「前記コンテンツを前記進行中のメッセージ交換スレッドに組み込」むことは行っておらず、したがって、「前記コンテンツを前記進行中のメッセージ交換スレッドに組み込むステップ」を有していない点。

相違点3
本願発明1は、「前記コンテンツを前記進行中のメッセージ交換スレッドに組み込むステップは、前記コンテンツを前記進行中のメッセージ交換スレッドのトランスクリプトに、前記コンテンツが自動化アシスタントによって生成されることを示すグラフィック指示とともに組み込むステップ」を備えているのに対し、引用発明は当該構成を備えていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討すると、相違点1に係る本願発明1の「選択可能なグラフィック要素」という構成は、図3Aの361、図3Bの362、363などに対応するものと解されるものであり、上記引用文献2、引用文献3には記載されていない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2、引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2-16について
本願発明2-16も、本願発明1の「少なくとも前記第1のユーザに前記第1のメッセージ交換クライアントを介して表示するために、前記候補クエリの指示を提供する選択可能なグラフィック要素を提供するステップ」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.本願発明17、18について
本願発明17、18は、それぞれ、本願発明1に対応するシステム、本願発明1の方法を実行する命令を記憶するコンピュータ可読媒体の発明であり、本願発明1の「少なくとも前記第1のユーザに前記第1のメッセージ交換クライアントを介して表示するために、前記候補クエリの指示を提供する選択可能なグラフィック要素を提供するステップ」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.本願発明19について
本願発明19は、本願発明18の「少なくとも前記第1のユーザに前記第1のメッセージ交換クライアントを介して表示するために、前記候補クエリの指示を提供する選択可能なグラフィック要素を提供する動作」と同一の構成を備え、本願発明1の「少なくとも前記第1のユーザに前記第1のメッセージ交換クライアントを介して表示するために、前記候補クエリの指示を提供する選択可能なグラフィック要素を提供するステップ」に対応する構成を備えるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

5.本願発明20、21について
本願発明20、21は、それぞれ、本願発明1-16に対応する装置、本願発明1-16に対応する装置コンピュータプログラムの発明であり、本願発明1の「少なくとも前記第1のユーザに前記第1のメッセージ交換クライアントを介して表示するために、前記候補クエリの指示を提供する選択可能なグラフィック要素を提供するステップ」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1-21について上記引用文献1-3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら、令和3年5月25日にされた手続補正により補正された請求項1、17、18、20、21は、それぞれ「少なくとも前記第1のユーザに前記第1のメッセージ交換クライアントを介して表示するために、前記候補クエリの指示を提供する選択可能なグラフィック要素を提供」という構成を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1-21は、上記引用発明及び上記引用文献2、引用文献3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由(特許法第36条第6項第2号)について
当審では、請求項19の「1つまたは複数のプロセッサによる前記命令の実行に応答して、前記1つまたは複数のプロセッサに、請求項2から16のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を有する請求項18に記載の少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。」という記載の意味が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、令和3年5月25日にされた手続補正により、「1つまたは複数のプロセッサによる命令の実行に応答して、前記1つまたは複数のプロセッサに動作を実行させる命令を記憶した少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、請求項18に記載の命令に加えて、さらに、請求項2から16のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含む、少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1-21は、当業者が引用発明及び引用文献2、引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-08-19 
出願番号 特願2018-560476(P2018-560476)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 齊藤 貴孝  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 渡邊 聡
上田 智志
発明の名称 マルチユーザメッセージ交換スレッドにおける自動化アシスタントとのインタラクションのための提案を提供すること  
代理人 実広 信哉  
代理人 阿部 達彦  
代理人 村山 靖彦  

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