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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61M
審判 全部申し立て 発明同一  A61M
管理番号 1377787
異議申立番号 異議2020-700628  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-10-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-08-21 
確定日 2021-07-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6655185号発明「円錐形コネクタ用可撓性キャップ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6655185号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕、〔10-13〕について訂正することを認める。 特許第6655185号の請求項1、2、5-9、10、13に係る特許を維持する。 特許第6655185号の請求項3、4、11、12に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6655185号(以下「本件特許」という。)の請求項1?13に係る特許についての出願は、2015年(平成27年)11月30日を国際出願日とする出願であって、令和2年2月4日にその特許権の設定登録がされ、令和2年2月26日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対して特許異議申立人柏木里実(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、その手続の主な経緯は、次のとおりである。
令和2年 8月21日 特許異議の申立て
令和2年11月20日付け 取消理由通知書
令和3年 2月24日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和3年 4月28日 申立人による意見書の提出


第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和3年2月24日の訂正請求書による訂正の請求は、「特許第6655185号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?13について訂正することを求める。」というものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1?13について、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1?13に記載されたとおりに訂正するものである。(下線は、訂正箇所を示すため、当審が付与したものである。)
(1)請求項1?9について
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に記載の「中空断面を含むことを特徴とする可撓性キャップ。」を、「中空断面を含み、/ 前記雄コネクタの前記外側ロックカラーは、雌ねじまたは雄ねじの少なくとも1つを含み、/ 前記円筒壁は、その外面に少なくとも1つのリブを更に含み、/ 前記少なくとも1つのリブは、前記雌ねじまたは前記雄ねじの少なくとも1つと係合するように構成されていることを特徴とする可撓性キャップ。」に訂正する(請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2、5?9も同様に訂正する)。(「/」は改行を示す。以下同じ。)
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に記載の「請求項4に記載の可撓性キャップであって」を「請求項1に記載の可撓性キャップであって」に訂正する。
(2)請求項10?13について
ア 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項10に記載の「中空断面を含むことを特徴とする可撓性キャップ。」を、「中空断面を含み、/ 前記雄コネクタの前記外側ロックカラーは、雌ねじまたは雄ねじの少なくとも1つを含み、/ 前記円筒壁は、その外面に少なくとも1つのリブを更に含み、/ 前記少なくとも1つのリブは、前記雌ねじまたは前記雄ねじの少なくとも1つと係合するように構成されていることを特徴とする可撓性キャップ。」に訂正する(請求項10を引用する請求項13も同様に訂正する)。
イ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項11を削除する。
ウ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項12を削除する。

2 一群の請求項
訂正事項1?4は、訂正前に引用関係を有する請求項1?9に対して請求されたものであり、訂正事項5?7は、訂正前に引用関係を有する請求項10?13に対して請求されたものであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとに請求されたものである。

3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載されていた「外側ロックカラー」について、訂正前の請求項3に記載されていた「前記雄コネクタの前記外側ロックカラーは、雌ねじまたは雄ねじの少なくとも1つを含」むことを限定し、また、訂正前の請求項1に記載されていた「円筒壁」について、訂正前の請求項4に記載されていた「前記円筒壁は、その外面に少なくとも1つのリブを更に含み、/ 前記少なくとも1つのリブは、前記雌ねじまたは前記雄ねじの少なくとも1つと係合するように構成されている」ことを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そして、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そして、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3
訂正事項3は、訂正前の請求項4を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そして、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項4
訂正事項4は、特許請求の範囲の請求項5に記載の「請求項4に記載の可撓性キャップであって」を「請求項1に記載の可撓性キャップであって」に訂正することは、訂正事項2で訂正前の請求項3を削除し、訂正事項3で訂正前の請求項4を削除することに伴い、引用請求項の整合を図るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3項に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。そして、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(5)訂正事項5
訂正事項5は、訂正前の請求項10に記載されていた「外側ロックカラー」について、訂正前の請求項11に記載されていた「前記雄コネクタの前記外側ロックカラーは、雌ねじまたは雄ねじの少なくとも1つを含」むことを限定し、また、訂正前の請求項10に記載されていた「円筒壁」について、訂正前の請求項12に記載されていた「前記円筒壁は、その外面に少なくとも1つのリブを更に含み、/ 前記少なくとも1つのリブは、前記雌ねじまたは前記雄ねじの少なくとも1つと係合するように構成されている」ことを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そして、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(6)訂正事項6
訂正事項6は、訂正前の請求項11を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の減縮を目的とするものに該当する。そして、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(7)訂正事項7
訂正事項7は、訂正前の請求項12を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の減縮を目的とするものに該当する。そして、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

4 小括
したがって、本件訂正の訂正事項1?7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の記載のとおり、訂正後の請求項〔1?9〕、〔10?13〕について訂正することを認める。


第3 本件特許発明
以上のとおり、本件訂正が認められたから、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1?13に係る発明(以下「本件特許発明1」?「本件特許発明13」という。)は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
医療継手の雄コネクタのための可撓性キャップであって、
前記雄コネクタは、外側ロックカラーと、流体通路を画定する内側テーパ状シール壁とを有し、それらの間に内側キャビティが画定され、
前記可撓性キャップは、上面を画定するキャップ構成要素と、前記キャップ構成要素の前記上面から反対側に延在する円筒壁とを含み、
前記円筒壁は、前記内側テーパ状シール壁の外面と共にシールを形成するように、前記雄コネクタの前記内側テーパ状シール壁を受けるように構成されている中空内部を画定し、
前記可撓性キャップは更に内側シール面を含み、
前記内側シール面は前記中空内部内に構成され、前記医療継手の前記雄コネクタの前記内側テーパ状シール壁が前記円筒壁の前記中空内部内で受けられると、前記内側テーパ状シール壁の前記流体通路をシールし、
前記内側シール面は、前記流体通路をシールするように、前記流体通路内に少なくとも部分的に嵌合するように構成されているドームを含む突起を含み、
前記突起は、前記キャップ構成要素の前記上面に開いた凹部を画定するように、前記キャップ構成要素の前記上面から前記流体通路内に突入する位置まで延在する中空断面を含み、
前記雄コネクタの前記外側ロックカラーは、雌ねじまたは雄ねじの少なくとも1つを含み、
前記円筒壁は、その外面に少なくとも1つのリブを更に含み、
前記少なくとも1つのリブは、前記雌ねじまたは前記雄ねじの少なくとも1つと係合するように構成されていることを特徴とする可撓性キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の可撓性キャップであって、
前記医療継手は、ルアーロック継手を含むことを特徴とする可撓性キャップ。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
請求項1に記載の可撓性キャップであって、
前記円筒壁は、その径方向の両側の位置の前記外面において互いに反対向きに延出するリブを更に含むことを特徴とする可撓性キャップ。
【請求項6】
請求項1に記載の可撓性キャップであって、テザーを更に含むことを特徴とする可撓性キャップ。
【請求項7】
請求項6に記載の可撓性キャップであって、
前記テザーは、前記キャップ構成要素と一体であることを特徴とする可撓性キャップ。
【請求項8】
請求項1に記載の可撓性キャップであって、
前記キャップ構成要素は、プルタブを更に含むことを特徴とする可撓性キャップ。
【請求項9】
請求項1に記載の可撓性キャップであって、
前記可撓性キャップは、ポリウレタン、ネオプレン、合成ゴム、ラテックスまたはシリコーンの少なくとも1つで構成されていることを特徴とする可撓性キャップ。
【請求項10】
医療機器のための医療継手であって、
外側ロックカラー及び内側テーパ状シール壁を有する雄コネクタと、不使用時に前記雄コネクタ内に嵌合するように構成された可撓性キャップとを含み、
前記外側ロックカラー及び前記内側テーパ状シール壁は、それらの間に内側キャビティを画定し、前記内側キャビティは使用中に雌コネクタを受けるように構成され、前記内側テーパ状シール壁はそれを通る流体通路を画定し、
前記可撓性キャップは、上面を画定するキャップ構成要素と、前記キャップ構成要素の前記上面から反対側に延在する円筒壁とを含み、
前記円筒壁は、前記内側テーパ状シール壁の外面と共にシールを形成するように、前記雄コネクタの前記内側テーパ状シール壁を受けるように構成されている中空内部を画定し、
前記可撓性キャップは更に内側シール面を含み、
前記内側シール面は前記中空内部内に構成され、前記医療継手の前記雄コネクタの前記内側テーパ状シール壁が前記円筒壁の前記中空内部内で受けられると、前記内側テーパ状シール壁の前記流体通路をシールし、
前記内側シール面は、前記流体通路をシールするように、前記流体通路内に少なくとも部分的に嵌合するように構成されているドームを含む突起を含み、
前記突起は、前記キャップ構成要素の前記上面に開いた凹部を画定するように、前記キャップ構成要素の前記上面から前記流体通路内に突入する位置まで延在する中空断面を含み、
前記雄コネクタの前記外側ロックカラーは、雌ねじまたは雄ねじの少なくとも1つを含み、
前記雄コネクタの前記外側ロックカラーは、雌ねじまたは雄ねじの少なくとも1つを含み、
前記円筒壁は、その外面に少なくとも1つのリブを更に含み、
前記少なくとも1つのリブは、前記雌ねじまたは前記雄ねじの少なくとも1つと係合するように構成されていることを特徴とする可撓性キャップ。
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
(削除)
【請求項13】
請求項10に記載の医療継手であって、
前記キャップ構成要素と一体であるテザーを更に含むことを特徴とする医療継手。」


第4 取消理由の概要
当審が令和2年11月20日付け取消理由通知書で特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
請求項1?13に係る発明は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に出願公開がされた下記甲第1号証の特許出願(以下「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者が先願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が先願の出願人と同一でもないから、請求項1?13に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。


甲第1号証:特願2015-37147号(特開2016-158656号公報参照。)
甲第3号証:国際公開2014/150627号明細書
甲第4号証の1:国際公開2014/095351号明細書
甲第5号証:特表2002-516160号公報
甲第6号証:特表平9-501340号公報
甲第7号証:特開2010-22511号公報
甲第8号証:特表2002-512084号公報
(以下、甲第1号証、甲第3?甲第8号証を、「甲1」、「甲3」?「甲8」という。なお、甲3?8は周知の技術を示す文献である。)


第5 当審の判断
1 先願(甲1)の願書に最初に添付した明細書及び図面の記載
取消理由通知書で提示した先願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「甲1先願明細書等」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は、当審が付与したものである。以下同じ。)
(1)明細書
「【0011】
上記の本発明のキャップ付きコネクタにおいて、前記キャップと前記バンドとの間に、回動可能な第2ヒンジが設けられうる。これにより、バンドの両端にそれぞれヒンジを備えるので、キャップをコネクタの先端に着脱する動作が容易になる。また、キャップをコネクタの先端から取り外したときに、キャップはコネクタの先端からより遠くに配置されるので、コネクタとこれに適合する相手方コネクタとの接続及び分離の作業が更に容易になる。」「【0018】
前記コネクタは、先端に近づくにしたがって外径が小さくなるオステーパ面を有する筒状のオスルアーと、前記オスルアーを取り囲む外筒とを備えうる。この場合、前記外筒の内周面に雌ネジが設けられうる。これにより、栄養系の医療機器に関する国際規格ISO80369-3に準拠したオスコネクタを構成することができる。」
「【0023】
(実施形態1)
経鼻カテーテルに設けられるコネクタを例に説明する。」
【0024】
図1Aは本発明の実施形態1に係るコネクタ(オスコネクタ)100の上方から見た斜視図である。図1Bはコネクタ100の断面斜視図である。コネクタ100は、一方の側に、延長チューブや注入器が接続されるコネクタ本体部110を備え、他方の側に、患者に挿入される経鼻カテーテルの上流端が接続される基端部120を備える。本発明では、コネクタ100において、コネクタ本体部110の側を「先端側」または「上側」といい、基端部120の側を「基端側」または「下側」という。但し、「上側」及び「下側」は、コネクタ100の使用時の向きを意味するものではない。
【0025】
コネクタ本体部110は、オスルアー111と外筒115とを有する。オスルアー111は中空の筒形状を有する。オスルアー111の外周面113は、先端に近づくにしたがって外径が小さくなるテーパ面(いわゆるオステーパ面)である。外筒115は中空の円筒形状を有し、オスルアー111と同軸に、オスルアー111を取り囲んでいる。外筒115の内周面(オスルアー110に対向する面)には雌ネジ116が形成されている。外筒115の外周面117は、外径が上下方向において一定である円筒面である。コネクタ本体部110は、国際標準化することが検討されている、栄養系の医療機器に関する国際規格ISO80369-3に準拠していてもよい。
【0026】
基端部120は中空の筒形状を有し、オスルアー111と同軸に配されている。基端部120の外周面から一対の把持板123が突出している。把持板123は、基端部120の中心軸(図示せず)を含む面に沿って延びている。
【0027】
オスルアー111及び基端部120に沿った流路101がコネクタ100を貫通している。周方向に連続する溝103が、コネクタ100の外周面の、コネクタ本体部110と基端部120との間の位置に設けられている。相対的に小径のネック部104が、コネクタ本体部110と基端部120とを繋いでいる。
【0028】
コネクタ100の材料は、制限はないが、外力によって実質的に変形しない程度の機械的強度(剛性)を有する硬い材料(硬質材料)であることが好ましい。例えば、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレン、硬質ポリ塩化ビニル等の樹脂材料を用いることができ、中でもポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)が好ましい。コネクタ100は、上記の樹脂材料を用いて、射出成形法等により一部品として一体的に製造することができる。
【0029】
図2Aは本発明の実施形態1に係るキャップ160を含むキャップ装置150の上方から見た斜視図である。図2Bはキャップ装置150の下方から見た斜視図である。
【0030】
キャップ装置150は、全体として円板形状を有するキャップ160と、円形のキャップ基部170と、キャップ160の外周端縁とキャップ基部170の外周端縁とを繋ぐバンド180とを備える。バンド180は、真っ直ぐに延びる帯状の薄平板である。
【0031】
キャップ160は、円形の天板165を有する。天板165の外径は、コネクタ100の外筒115(図1A参照)の外径と略一致する。キャップ160は、天板165がバンド180の長手方向に略直角になるように、バンド180に接続されている。天板165のバンド180側の面の中央から円筒形状の封止筒161が突出している。封止筒161の内周面163は、コネクタ100のオスルアー111の外周面113(図1A参照)のオステーパ面と同じテーパ角度及び径を有するメステーパ面である。
【0032】
キャップ基部170は、薄円板の中央に円形の貫通孔171が形成された円環形状を有する。キャップ基部170の厚さ及び貫通孔171の径は、キャップ基部170がコネクタ100の溝103(図1A、図1B参照)に隙間なく嵌合するように設定されている。キャップ基部170の外径は、コネクタ100の外径と略一致する。キャップ装置150に外力が作用していない自然状態では、図2A及び図2Bに示すように、キャップ基部170とバンド180とは同一面を構成する。但し、キャップ基部170とバンド180との境界部分(即ち、キャップ基部170の外周端縁、または、バンド180のキャップ160とは反対側端)には、薄肉化することによりヒンジ(第1ヒンジ)151が形成されている。このため、キャップ基部170に対して、バンド180及びキャップ160を、ヒンジ151を中心として自由に回動させることができる。
【0033】
キャップ装置150の材料は、制限はないが、ヒンジ151での繰り返しの回動に耐えることができる耐久性を有することが好ましい。また、キャップ160をコネクタ100の先端に装着するのを容易にするために、わずかに変形が可能な柔軟性を有していてもよい。具体的には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂材料を用いることができる。あるいは、イソプレンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム等のゴムや、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等の、ゴム弾性を有する軟質の材料(いわゆるエラストマー)を用いることができる。キャップ装置150は、上記の材料を用いて、例えば射出成形法等により一部品として一体的に製造することができる。」
「【0041】
図4Bに示されているように、オスルアー111の先端部分がキャップ160の封止筒161内に嵌入している。上述したように、オスルアー111の外周面113と封止筒161の内周面163とは、テーパ角度及び径が同じテーパ面であるので、外周面113と内周面163とは液密な面接触をする。従って、オスコネクタ100の流路101はキャップ160により液密に封止される。更に、キャップ160の天板165が外筒115の上端に当接する。このため、オスルアー111の外周面113や雌ネジ116もキャップ160で塞がれる。オスルアー111と封止筒161とが嵌合しているので、キャップ160がコネクタ100の先端に装着された状態が保持される。」
「【0046】
従って、図5Aに示すように、コネクタ100のコネクタ本体部110に注入器900の筒先のメスコネクタ920を対向させた後、オスルアー111を挿入部921に挿入し、且つ、雌ネジ116と雄ネジ926とを螺合させることにより、図5Bに示すようにコネクタ100と注入器900とを接続することができる。オスルアー111の外周面113と、挿入部921の内周面923とは、液密な面接触をする。互いに螺合する雌ネジ116及び雄ネジ926は、コネクタ100とメスコネクタ920との接続状態を安定的に維持するためのロック機構として機能する。コネクタ100と注入器900との分離は、雌ネジ116と雄ネジ926との螺合を緩めることにより可能である。雌ネジ116と雄ネジ926とを螺合させる際、及び、その螺合を緩める際に、コネクタ100の把持板123を把持すると、コネクタ100をしっかりと保持し回転力を印加するのが容易である。」
「【0049】
以上のように、本実施形態1のキャップ160付きコネクタ100は、キャップ160をコネクタ100の先端に対して着脱可能であるので、コネクタ100をメスコネクタ920に接続しない非使用時には、コネクタ100を閉状態(図4A及び図4B)とすることで、流路101の清潔状態を保つことができる。このとき、キャップ160の天板165が外筒115の上端に当接するので、オスルアー111の外周面113や雌ネジ116の清潔状態も保つことができる。」
「【0050】
キャップ160は、バンド180を介してコネクタ100に連結されているので、キャップ160を紛失することはない。コネクタ100の非使用時に、キャップ160をコネクタ100の先端に装着するのを忘れる可能性も低い。また、コネクタ100の非使用時にキャップ160をコネクタ100に装着することにより、キャップ160自身の清潔状態を保つことも容易である。
【0051】
キャップ160をコネクタ100の先端に装着した閉状態(図4A及び図4B)では、バンド180はコネクタ100の外周面に沿って配置される。バンド180はコネクタ100から浮き上がることはなく、両者の間に実質的に隙間は存在しない。従って、バンド180とコネクタ100との間の隙間に患者の指が入りカテーテルを自己抜去してしまうという事態が発生する可能性が低減される。
【0052】
ヒンジ151はコネクタ100の先端から基端側に離間した位置に設けられる。ヒンジ151とキャップ160とはバンド180を介して繋がれている。従って、コネクタ100の開状態(図3A?図3C)では、キャップ160は、コネクタ100の先端から離間される。外筒115の開口や、その内側のオスルアー111が十分に露出されるので、メスコネクタ920との接続及び分離の作業(図5A及び図5B)が容易である。」
「【0072】
(実施形態5) 図11は、閉状態にある本発明の実施形態5に係るキャップ160付きコネクタ100の、オスルアー111とキャップ160との嵌合部分の拡大断面図である。本実施形態5では、キャップ160の天板165の中央から封止突起167が突出している。封止突起167は、オスルアー111の先端側の開口から流路101内に嵌入している。封止突起167の外周面とオスルアー111の流路101を構成する内周面とが液密に面接触し、流路101が封止されている。封止筒161は、実施形態1と異なり、オスルアー111の外周面113から半径方向に離間している。
【0073】
本実施形態5によれば、オスルアー111の流路101は、流路101内に嵌入する封止突起167で封止されるので、オスルアー111の外周面113が流路101を流れる液体で汚れる可能性が低減する。このため、オスルアー111の外周面113の清潔状態を良好に保つことができる。
【0074】
なお、本実施形態5において、封止筒161が、実施形態1と同様に、オスルアー111の外周面113と液密に面接触してもよい。この場合には、オスルアー111の内周面及び外周面113がキャップ160の封止突起167及び封止筒161にそれぞれ嵌合するので、流路101をより液密に封止することができる。」

(2)図面
ア 図1
図1には、コネクタ100において、外筒115とオスルアー111の外周面113の間に空隙が形成された点が記載されている。




イ 図2



ウ 図5A




エ 図5B




オ 図11
図11には、天板165が上側の面を有する点、封止筒161が天板165の下側に突出する点、封止筒161がオスルアー111を受けるように構成されている空間部分を画定する点が、封止突起167が凸状である点、前記封止突起167及びその外周面が前記空間部分内に配置される点、前記封止突起167は、前記天板165の前記上側の面に開いた凹状形状となるように、前記天板165の前記上側の面から前記流路101内に嵌入する位置まで延在する中空の断面形状部分を有する点が、それぞれ記載されている。




(3)上記(1)の【0074】に記載の「オスルアー111の内周面及び外周面113がキャップ160の封止突起167及び封止筒161にそれぞれ嵌合するので、流路101をより液密に封止することができる。」から、オスルアー111の内周面とキャップ160の封止突起167により流路101の内シール面を形成し、オスルアー111の外周面とキャップ160の封止筒161により流路101の外シール面を形成しているといえる。

(4)上記(1)の記載事項、上記(2)の図示事項及び上記(3)の認定事項から、甲1先願明細書等には、以下の2つの発明(以下「引用発明1」、「引用発明2」という。)が記載されているといえる。
ア 引用発明1
「経鼻カテーテルのコネクタのオスコネクタ100のための柔軟性を有するキャップ装置150であって、
前記オスコネクタ100は、外筒115と、流路101が貫通するオスルアー111とを有し、それらの間に空隙が形成され、
前記柔軟性を有するキャップ装置150は、上側の面を有する天板165と、前記天板165の下側に突出する封止筒161とを含み、
前記封止筒161は、前記オスルアー111の外周面113と液密な面接触となるように、前記オスコネクタ100の前記オスルアー111を受けるように構成されている空間部分を画定し、
前記柔軟性を有するキャップ装置150は更に内シール面を有し、
前記内シール面は前記空間部分内に配置され、前記経鼻カテーテルの前記オスコネクタ100のオスルアー111が前記封止筒161と嵌合すると、前記オスルアー111の前記流路101を封止し、
前記内シール面は、前記流路101を封止するように、前記流路101に液密に面接触するように構成されている凸状の封止突起167を含み、
前記封止突起167は、前記天板165の前記上側の面に開いた凹状形状となるように、前記天板165の前記上側の面から前記流路101内に嵌入する位置まで延在する中空の断面形状部分を有し、
前記オスコネクタ100の前記外筒115の内周面には雌ねじ116が形成されている柔軟性を有するキャップ装置150。」

イ 引用発明2
「経鼻カテーテルのためのコネクタであって、
外筒115及びオスルアー111を有するオスコネクタ100と、非使用時に前記オスコネクタ100内に嵌合するように構成された柔軟性を有するキャップ装置150とを含み、
前記外筒115及び前記オスルアー111は、それらの間に空隙を形成し、前記空隙は使用時に雌コネクタ920を受け入れるように構成され、前記オスルアー111はそれを貫通する流路101を有し、
前記柔軟性を有するキャップ装置150は、上側の面を有する天板165と、前記天板165の下側に突出する封止筒161とを含み、
前記封止筒161は、前記オスルアー111の外周面113と液密な面接触となるように、前記オスコネクタ100の前記オスルアー111を受けるように構成されている空間部分を画定し、
前記柔軟性を有するキャップ装置150は更に内シール面を形成し、
前記内シール面は前記空間部分内に配置され、前記経鼻カテーテルの前記オスコネクタ100のオスルアー111が前記封止筒161と嵌合すると、前記オスルアー111の前記流路101を封止し、
前記内シール面は、前記流路101を封止するように、前記流路101に液密に面接触するように構成されている凸状の封止突起167の外周面を含み、
前記封止突起167は、前記天板165の前記上側の面に開いた凹状形状となるように、前記天板165の前記上側の面から前記流路101内に嵌入する位置まで延在する中空の断面形状部分を有し、
前記オスコネクタ100の前記外筒115の内周面には雌ねじ116が形成されている柔軟性を有するキャップ装置150」

2 甲3?8の記載
(1)甲3
甲3には、次の事項が記載されている。(なお、日本語訳は、申立人が提出した翻訳文を採用した。)
ア 明細書
「[0021] A tether-retained dialyzer port cap is provided that can have a port cap removably connectible to a port of a dialyzer, and a retention strap that has a first looped end used for making a connection to the dialyzer, a second looped end for making a connection to the port cap, and having an elongate portion integrally linking the first looped end and the second looped end.(後略)」(日本語訳:テザーで保持された透析器ポートキャップは、透析器のポートに取り外し可能に接続できるポートキャップと、透析器への接続に使用される最初のループ端、ポートキャップへの接続、および第1のループ端と第2のループ端を一体的に連結する細長い部分を有する。)
「[0027](前略)The cap stem 128 can include an externally threaded portion adapted to threadingly screw into and out of internal threading on a port 118 of the dialyzer 100.」(日本誤訳:キャップステム128は、透析器100のポート118上の雌ねじにねじ込みおよびねじから外れるように適合された雄ねじ部分を含むことができる。)
「[0028](前略)As shown in FIG. 4, the cap stem 128 also may include a flange 122 over which the second looped end 118 can be pushed into abutment with the cap head 126.」(日本語訳:図4に示されるように、キャップステム128はまた、第2のループ状端部112(当審注:215の誤記。)がキャップヘッドの126に押し込むことができるフランジ122を含む。)
「FIG. 5 shows an end of the dialyzer 100 wherein the port cap 112 with an attached smaller looped end 215 of the retention strap 110/210 of the tether-retained dialyzer port cap 1100 is screwed into the dialyzer port 118 and an opposite larger looped end 220 of the retention strap 110/210 attached to an end of the dialyzer 100 at a location between flange cap 106 and dialysate port 111.」(日本語訳:図5は、透析器100の端部を示し、テザー保持透析器ポートキャップ1100の保持ストラップ110/210の小さなループ端215が取り付けられたポートキャップ112が、透析器ポート118にねじ込まれており、保持ストラップ110/210の反対側の大きなループ端220が、フランジキャップ106と透析器ポート111との間の位置で、透析器100の端部に取り付けられている。)

イ 図面
(ア)図1




(イ)図3




(ウ)図4




(エ)図5




(2)甲4-1
甲4-1には、次の事項が記載されている。(なお、日本語訳は、申立人が提出した、甲4-1のファミリー文献である甲4-2(特表2016-506262号公報)によるものである。)
ア 明細書9ページ下から9行?10ページ
「Figur 1 zeigt eine schematische perspektivische Ansicht einer erfindungsgemassen Kappe. Die Kappe ist nach Art eines Schraubverschlusses fur einen Milchbehalter (nicht gezeigt) mit einem Weithals aufgebaut. Sie kann als Schraubdeckel auf einen solchen Milchbehalter aufgeschraubt werden. Dazu umfasst die Kappe an der Unterseite ein Innengewinde (in Figur 1 nicht zu sehen).
In der Kappe ist eine durchgehende Offnung oder Durchgangsoffnung 2 vorgesehen, die eine konische Vertiefung umfasst. Die konische Vertiefung wird durch ein, insbesondere aussen zylindrisches, Rohr 4 mit konisch zusammenlaufendem Innendurchmesser realisiert, das in der Kappe angeordnet ist. Das Rohr 4 stellt ein weibliches Konnektorelement bereit. Die Offnung 2 bzw. das weibliche Konnektorelement ist an dem oberen Ende durch einen Verschluss 6 verschliessbar. Der Verschluss 6 ist uber eine flexible Verbindung mit dem zylindrischen Rohr 4 verbunden, so dass der Verschluss 6 nicht verloren gehen kann. Das zylindrische Rohr 4 kann mit dem Verschluss 6 einteilig ausgefuhrt sein. Der Verschluss 6 umfasst eine losbare Rastung 8, die in eine Gegenrastung am Rohr 4 greift, so dass der Verschluss 6 auf dem zylindrischen Rohr 4 losbar befestigt werden kann. Der Verschluss 6 dient dazu, dass keine Verunreinigungen durch die Offnung 2 durchtreten konnen, wenn keine Spritze (nicht gezeigt) mit der Offnung 2 verbunden ist.」(ドイツ語表記において、エスツェットは「ss」と、「a」「o」「u」のウムラウト表記は単に「a」「o」「u」と記載した。日本語訳:図1は、本発明に係るキャップの概略斜視図を示している。キャップは、広口部を有するミルク容器(図示せず)に対するねじ閉鎖部の様式で構成されている。キャップは、ねじ蓋の形態で、そのようなミルク容器に螺合することができる。このために、キャップは裏面(図1には図示せず)に雌ねじを有する。
キャップは、貫通路開口すなわち貫通開口2を有し、貫通開口2は円錐状凹部を有する。円錐状凹部は、特に、キャップに形成されている、内径に円錐状のテーパーが付いた外側円筒管4によって実現される。管4は雌コネクタ要素を提供する。開口2又は雌コネクタ要素は、上端を閉鎖部6によって閉鎖することができる。閉鎖部6は、可撓性接続部を介して円筒管4につながっており、したがって閉鎖部6がなくなる可能性はない。円筒管4は、閉鎖部6とともに一部品として構成することができる。閉鎖部6は解放可能なラッチ手段8を有し、ラッチ手段8は、管4にある対になるラッチ手段に係合する。したがって、閉鎖部6は、円筒管4に解放可能に締結することができる。閉鎖部6があることにより、開口2にシリンジ(図示せず)が接続されていない場合に汚染物が開口2を通過することが可能でない。)

イ 図面
(ア)図1




(イ)図3




(3)甲5
甲5には、次の事項が記載されている。
ア 明細書
「【0001】
(前略)本発明は従来のルアロックコネクタに係合するルアアクセス装置、特に、ルアロックコネクタの先端が隔膜内に貫入することを利用して、医療流体を移送すべくアクセスする装置に関する。」
「【0025】
【現在の好適な実施の形態の説明】
図1、図2及び図3に図示するように、ルアロック受け具10は、基端部分14と、中央部分16と、末端の管腔20を有する末端部分18とを含むハウジング12を備えている。基端部分14は、入口22と、中間空間すなわちボア26を画定する内壁24と、雄ねじ28とを有し、雄型ルア先端及びそれを取り巻く雌型ねじ端部を有する従来のルアロック30内に螺着可能に受け入れられる寸法とされている。(後略)」
「【0034】
図4乃至図16には、図1乃至図3の実施の形態の改変した実施の形態が図示されており、(中略)この適用例において、ねじ/溝28を設けることに代えて、コネクタ30のルアねじに係合し得るようハウジングの基端部分14´の外面にはルア耳状部分すなわち突起27が形成されている。(後略)」

イ 図面
(ア)図1




(イ)図4




(4)甲6
甲6には、次の事項が記載されている。
ア 明細書10ページ17?末行
「 ここで、図1および2、但し、同様部分は、同じ番号で表している、を参照すると、全体的に引用番号10で表されるキャップ装置が示されており、第1キャップ20と、第1キャップ20につなぎ輪ストラップ40でつながった第2キャップ30を含む。
第1キャップ20は、第1キャップの中心方向へ広がるカバー部22を含み、また、膜24、およびアクセス開口部26も含むが、これらは、寸法規格化されており、協調作動して、アクセス開口部26を通して挿入されることのある気管支鏡(図示せず)などの検査器具本体との実質的な気密適合を提供するものである。つなぎ目のない(continuous)スカート28は、カバー部22から下方に広がっている。図示した実施態様では、キャップ装置10は、例えばシリコンゴムまたは熱可塑性エラストマーのようなで軟質弾性材料で継ぎ目なしに作られている。」

イ 明細書12ページ19?20行
「プルタブ70を第2キャップ30に設けて、第2キャップ30を第1キャップから更に容易に取り外すことが出来るようにしても良い。」

ウ 図1



エ 図2




(5)甲7
甲7には、次の事項が記載されている。
ア 明細書
「【0014】
軟質体68は、中空の筒状とされて、基端と先端で開口すると共に、本体65の軸心方向中間部を構成するもので、基端側接続体67の構成材料よりも軟質の弾性材料、例えば、シリコンゴム、エラストマー樹脂、軟質塩化ビニル樹脂等の軟質樹脂により一体形成されている。(後略)」
「【0017】
キャップ66は本体65に備えられて、基端側接続体67の基端開口を開閉自在に閉塞するもので、軟質体68と同一材料、即ち、軟質の弾性材料により、軟質体68に一体形成されて、コネクタSの部品点数の削減が図られている。キャップ66は、その基端部を構成し且つ軟質体68の大径部から径方向外方に延びる屈曲自在なヒンジ66Aと、キャップ66の先端部を構成し且つヒンジ66Aの先端部に備えられたキャップ本体66Bを有し、一体形成されている。キャップ本体66Bは、ヒンジ66Aに接続され且つリング状の平板状とされたリング部66B1と、リング部66B1の内周部から突設された閉塞部66B2と、リング部66B1の外周部から閉塞部66B2と同一方向に突設された周壁部66B3と、リング部66B1の外周面から径方向外方に突設された操作用把持部66B4を有する。キャップ66による、基端側接続体67の基端開口の閉鎖時には、閉塞部66B2は基端側接続体67の基端部内に挿脱自在に挿入されて、基端側接続体67の基端側フランジ67Bが閉塞部66B2と周壁部66B3間に挿脱自在に挿入されると共に、基端側フランジ67Bの基端面がリング部66B1に当接する。上記閉鎖時には、リング部66B1の外周部と周壁部66B3が、全周にわたって、基端側接続体67よりも径方向外方に位置すると共に、ヒンジ66Aと把持部66B4も、基端側接続体67よりも径方向外方に位置するが、ヒンジ66Aと把持部66B4は、キャップ本体66Bの径方向に関して、反対側に位置している。」

イ 図3




ウ 図4




エ 図5




オ 図6




(6)甲8
甲8には、次の事項が記載されている。
ア 明細書
「【0032】
(前略)この実施の形態は、移送セットのチューブ状部分682に溶着または接着剤608で接着結合されている中央部分606を含む一体のタブ604を含んでいる。シールの中央部分606を移送セットに固着することにより、シールの不注意による除去を防止し改竄防止となる。タブの自由端610は、シール600を移送セットから引き剥がすために容易に把持され得る。」

イ 図12




3 対比・判断
(1)本件特許発明1
本件特許発明1と引用発明1とを対比すると、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「医療継手の雄コネクタのための可撓性キャップであって、
前記雄コネクタは、外側ロックカラーと、流体通路を画定する内側テーパ状シール壁とを有し、それらの間に内側キャビティが画定され、
前記可撓性キャップは、上面を画定するキャップ構成要素と、前記キャップ構成要素の前記上面から反対側に延在する円筒壁とを含み、
前記円筒壁は、前記内側テーパ状シール壁の外面と共にシールを形成するように、前記雄コネクタの前記内側テーパ状シール壁を受けるように構成されている中空内部を画定し、
前記可撓性キャップは更に内側シール面を含み、
前記内側シール面は前記中空内部内に構成され、前記医療継手の前記雄コネクタの前記内側テーパ状シール壁が前記円筒壁の前記中空内部内で受けられると、前記内側テーパ状シール壁の前記流体通路をシールし、
前記内側シール面は、前記流体通路をシールするように、前記流体通路内に少なくとも部分的に嵌合するように構成されているドームを含む突起を含み、
前記突起は、前記キャップ構成要素の前記上面に開いた凹部を画定するように、前記キャップ構成要素の前記上面から前記流体通路内に突入する位置まで延在する中空断面を含み、
前記雄コネクタの前記外側ロックカラーは、雌ねじまたは雄ねじの少なくとも1つを含む可撓性キャップ。」
[相違点1]
円筒壁について、本件特許発明1では、その外面に少なくとも1つのリブを更に含み、前記少なくとも1つのリブは、前記雌ねじまたは前記雄ねじの少なくとも1つと係合するように構成されているのに対して、引用発明1では、そのような構成を有しない点。

上記2(1)?(3)によれば、甲3?5には、それぞれ次の技術が記載されている。
甲3には、透析器のポートのためのキャップ112について、ポート118は雌ねじを含み、キャップ112のキャップステム128は、その外側にフランジ122を含み、キャップ112が透析ポート118にねじ込まれる技術(以下「甲3技術」という。)が記載されている。
甲4-1には、ミルク容器のキャップの外側円筒管4のための閉鎖部6について、外側円筒管4は雌コネクタ要素を提供し、閉鎖部6は解放可能なラッチ手段8を有し、ラッチ手段8は、管4にある対になるラッチ手段に係合する技術(以下「甲4-1技術」という。)が記載されている。
甲5には、ルアロック30に接続するためのルアロック受け具10について、ルイアロック30は雌ねじを有し、ルアロック受け具10の基端部分14’は、その径方向の両側の位置の外面で互いに反対向きに延出する突起27を含み、これらの突起27はルアロック内に受け入れられる技術(以下「甲5技術」という。)
甲3技術、甲4-1技術及び甲5技術からみて、雌部材に雌ねじを設け、雄部材に少なくとも一つのリブを設けて、雌部材と雄部材とを係合すること自体は、周知の技術であるといえる。
しかしながら、本件特許発明1の「リブ」は、明細書の【0026】に記載されたとおり、「リブ(複数可)30は、雄コネクタ14の内部キャビティ22内での可撓性キャップ25の挿入中にユーザへ触覚フィードバックを提供するように構成されている。」という作用効果を奏するためのものであるが、これに対して、引用発明1は、上記相違点1のとおり、当該リブの構成を有しないものであり、甲1には、封止筒161(円筒壁)にリブを設けることでキャップ装置150(可撓性キャップ)の挿入中にユーザへ触覚フィードバックを提供するという作用効果を奏することについて記載も示唆もなく、また、上記の周知の技術をみても、医療コネクタ用の封止キャップにおいて上記作用効果を奏するリブを設けることが当業者にとって当然のことであったとまではいうことはできず、他にそれを示す証拠もない。
してみると、上記相違点1に係る本件特許発明1の構成は、それにより新たな作用効果を生じさせるものであって、単なる周知技術の付加や設計事項とはいえず、甲1に記載されているに等しい事項又は甲1の記載から自明な事項であるということはできない。
よって、本件特許発明1は、引用発明1と同一であるとはいえない。

(2)本件特許発明2、5?9
本件特許発明2、5?9は、本件特許発明1に対して、請求項2、5?9において特定した事項をさらに付加することにより限定された発明である。
そうすると、上記(1)に示したのと同様の理由により、本件特許発明2、5?9は、甲1に記載されているに等しい事項又は甲1の記載から自明な事項であるということはできない。
よって、本件特許発明2、5?9は、引用発明1と同一であるとはいえない。

(3)本件特許発明10
本件特許発明10と引用発明2を対比すると、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「医療機器のための医療継手であって、
外側ロックカラー及び内側テーパ状シール壁を有する雄コネクタと、不使用時に前記雄コネクタ内に嵌合するように構成された可撓性キャップとを含み、
前記外側ロックカラー及び前記内側テーパ状シール壁は、それらの間に内側キャビティを画定し、前記内側キャビティは使用中に雌コネクタを受けるように構成され、前記内側テーパ状シール壁はそれを通る流体通路を画定し、
前記可撓性キャップは、上面を画定するキャップ構成要素と、前記キャップ構成要素の前記上面から反対側に延在する円筒壁とを含み、
前記円筒壁は、前記内側テーパ状シール壁の外面と共にシールを形成するように、前記雄コネクタの前記内側テーパ状シール壁を受けるように構成されている中空内部を画定し、
前記可撓性キャップは更に内側シール面を含み、
前記内側シール面は前記中空内部内に構成され、前記医療継手の前記雄コネクタの前記内側テーパ状シール壁が前記円筒壁の前記中空内部内で受けられると、前記内側テーパ状シール壁の前記流体通路をシールし、
前記内側シール面は、前記流体通路をシールするように、前記流体通路内に少なくとも部分的に嵌合するように構成されているドームを含む突起を含み、
前記突起は、前記キャップ構成要素の前記上面に開いた凹部を画定するように、前記キャップ構成要素の前記上面から前記流体通路内に突入する位置まで延在する中空断面を含み、
前記雄コネクタの前記外側ロックカラーは、雌ねじまたは雄ねじの少なくとも1つを含む、可撓性キャップ。」
[相違点2]
円筒壁について、本件特許発明10では、その外面に少なくとも1つのリブを更に含み、前記少なくとも1つのリブは、前記雌ねじまたは前記雄ねじの少なくとも1つと係合するように構成されているのに対して、引用発明2では、そのような構成を有しない点。

上記相違点2の内容は、上記相違点1と同じである。
してみると、上記(1)に示したのと同様の理由により、本件特許発明10は、甲1に記載されているに等しい事項又は甲1の記載から自明な事項であるということはできない。
よって、本件特許発明10は、引用発明2と同一であるとはいえない。

(4)本件特許発明13
本件特許発明13は、本件特許発明10に対し、請求項13において特定した事項をさらに付加することにより限定された発明である。
そうすると、上記(1)に示したのと同様の理由により、本件特許発明13は、甲1に記載されているに等しい事項又は甲1の記載から自明な事項であるということはできない。
よって、本件特許発明13は、引用発明2と同一であるとはいえない。


第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由
申立人は、甲2(特表2002-528183号公報)、甲9(特開平8-299439号公報)、甲10(国際公開第2010/123150号)を提示し、以下の特許異議申立理由を主張する。
(1)本件特許発明1?3、10?11は、甲2に記載された発明及び甲7及び甲9で示される周知の技術、甲10に記載の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)本件特許発明4?9、12?13は、甲2に記載された発明及び甲3?9に示される周知の技術、甲10に記載の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

2 異議申立で申立人が提出した甲2、甲9?10の記載
(1)甲2
甲2には、次の事項が記載されている。
ア 明細書
「【0001】
(技術分野)
本発明は、流体が移動する医用デバイスまたは他の装置上のフィッティングまたはコネクタの一部をカバーするためのシステムに関する。本発明は、皮下注射器のようなルアーロック型の流体移送デバイス用のキャップと雄ルアーロックコネクタの組合せとして特に適している。」
「【0019】
現在、本発明のキャップの好ましい一般的な実施態様は、慣用されている雄ルアーロック注射器フィッティングに対して使用することが考えられている。また、キャップはルアーアクセスバイアル、セット等;灌注ボトル;または可撓性バッグ上のポートに対して使用され得る。
【0020】
前記キャップは剛性材料の構造からなる。好ましい実施態様において、前記キャップはプラスチック材料から一体構造として成形される。キャップの構造は、3つの基本部分、すなわち(a)端壁、(b)端壁から延びる、雄ねじを有する環状内スリーブ、及び(c)端壁から延びる環状外スカートの3つの部分を有するとして特徴づけられ得る。環状受容チャネルは外スカートと内スリーブの間に規定される。」
「【0039】
図1は、容器クロージャー12に螺合した本発明のキャップ10の好ましい実施態様を示す。キャップを正面図で、容器クロージャーを断面図で示す。図1ではキャップ10を容器クロージャー12に被せて示しているが、キャップを注射器、ルアーアクセスバイアルまたはセット、灌注ボトル、可撓性バッグ上のポート、またはルアーコネクションのような適合性コネクションを有する流体容器上のコネクタを閉じるためにも使用され得る。」
「【0042】
図2は、図1に示すキャップ10及びクロージャー12の上部部分14を示す。上部部分を「ルアーフィッティング」または「ルアーコネクタ」と呼ぶこともある。図示するように上部部分14は一体成形品であり、先端33は開いており、基端30aは移行部34に接続している内部ボア32を有する雄ルアーノズル30を含む。移行部34はその基端34aで雄ルアーコネクタカラー36の基端36aに接続している。カラーの内面上に、2条右雌ねじ40が配置されている。移行部34は、ノズル30のボア32に対して開いているボア34bを含む。容器Cと流体連通している開放デリバリースリーブ42は、基端34aで移行部に接続し、移行部34のボア34bに対して開いている中央ボア42aを有する。
【0043】
カラー36の基端36aの下向き延長上に周囲ベースシールリング44があり、このベースシールリング44はスリーブ42をも取り囲み、容器クロージャー12の底部またはベース部分に対して上部部分14をシールするために使用される。
【0044】
カラー36の基端36aから外向き延長上に、底部部分16に対して上部部分を載置するために使用される環状フランジ48がある。環状フランジ48から上向き延長上に、カラー36のベース部分36aから離間し、それを取り囲むシーリングリップ50がある。ソケット52がシーリングリップ50とベース部分36aの間に形成される。ベース部分36aのテーパー状環状面56はソケット52に部分的に延びている。
【0045】
分離型容器クロージャー12中のルアーフィッティング14が1例として具体化されているが、その代わりにルアーフィッティング14は容器の一体部分として形成することもできる。注射器の場合、ルアーフィッティングはその一端で注射外筒と一体化され得る。この場合、ベース部分16、外向きに延びるフランジ48、ベースシールリング44及びスリーブ42を省くことができる。シーリングリップ50、カラー36及びノズル30はすべて、下記するようにキャップにより係合されるべく注射外筒の端部から同軸的に延びている。」
「【0047】
ノズル30は、直径に対して6%円錐テーパーで特徴づけられ得る外部切頭円錐面60を有する。すなわち、直径に対して0.060インチ/インチのテーパーである。これは、ノズル30の長さに沿った第1の位置で外径を測定し、ノズル30の長さに沿った第2の位置で第2外径を測定することにより計算することができる。2つの直径の差を2つの直径の位置間の距離で割り、得られた値に100を掛けると、円錐テーパー率(%)が得られる。」
「【0049】
2条雌ねじ40は、急傾斜ピッチのスパイラル構成を有し、皮下針のハブ(図示せず)上の四角フランジの四角と螺合するように作られている。針ハブは通常熱可塑性材料から成形され、ハブはシーリング関係で注射器ノズル30を受容し、係合するために6%ルアー円錐テーパーの雌溝を規定している。雌ねじ40は、雌ルアーノズルの外面上の完全雄ルアーねじを有するルアーコネクタとも係合し得る。」
「【0050】
本発明のキャップ10は、有利に、ルアーノズル30及び外部ルアーコネクタカラー36内に規定されるねじ空間の滅菌シール状態を維持するために使用され得る。好ましい実施態様では、キャップ10はプラスチック材料(例えば、ポリプロピレン)から一体構造として成形される。
【0051】
キャップ10は、端壁20及び該端壁20から延びる環状内スリーブ150を含む。環状外スカート24は、外スカート24と内スリーブ150の間に環状受容チャネル170を規定すべく端壁20から延びている。内スリーブ150は、コネクタカラーの雌ねじ40と係合するために雄ねじ151を有する。
【0052】
図2に図示するように、キャップ10は、キャップ内スリーブ150内に端壁20の延長上に短い中央突出部171を含む。この突出部は、キャップを完全に係合させたときにノズル30の開放端部33をシールするような大きさを有し、そのように作られている。
【0053】
内スリーブ150はテーパー状内面172を有し、このテーパー状内面172はその長さに亘りノズル60の外面60と内面172の間で環状間隙173が形成されるような大きさを有する。この間隙173により、隣接面60,172間の干渉なしにキャップ突出部171は開放端部33と完全に係合し得る。」
「【0065】
図7に示すように、ノズル30をキャップ10に完全に係合したときにノズル30の開放端部34をシールするために内向き突出部171がある。この突出部171は、ノズル30の円形開放端部33を確実にシールするために凸状ドーム形を有する。このように、環状部分50,202,204及び56により形成される外部シールに加えて、キャップ10をルアーフィッティング14上に完全に装着されてキャップ端壁20をノズル30の先端33と係合させたときに、有効な内部シールも形成される。」
イ 図2
図2には、カラー36と雄ルアーノズル30の間に空間部が画定される点が、キャップ10が上面を画定する端壁20と前記端壁20の上面から反対方向に延びる環状内スリーブ150を含む点、前記環状内スリーブ150は中空空間を画定する点、中央突出部171が前記中央空間内に構成される点が、それぞれ記載されている。



ウ 図3
図3には、キャップを係合するときに、雄ルアーノズル30が環状内スリーブ150の中空空間内に受け入れられる点、中央突出部171が端壁20の上面に形成された凹部を画定するように中空空間断面を含む点、キャップ10を完全に係合させたときに、雄ルアーノズル30が環状内スリーブ150の中空空間内に受け入れられたときである点が、それぞれ記載されている。



エ 図7



オ 上記アの【0047】に記載された「ノズル30は、直径に対して6%円錐テーパーで特徴づけられ得る外部切頭円錐面60を有する。すなわち、直径に対して0.060インチ/インチのテーパーである。」から、ノズル30はテーパ状であるといえる。
カ 上記アの【0052】に記載された「図2に図示するように、キャップ10は、キャップ内スリーブ150内に端壁20の延長上に短い中央突出部171を含む。この突出部は、キャップを完全に係合させたときにノズル30の開放端部33をシールするような大きさを有し、そのように作られている。」から、前記キャップ10はシール部を含み、キャップを完全に係合させたときに前記雄ルアーノズル30の開放端部33をシールするといえる。また、上記イの図2の図示事項のとおり、上記中央突出部33は前記中央空間内に構成されることから、前記シール部は前記中央空間内に構成されるといえる。
キ 上記アの記載事項、上記イ?エの図示事項、上記オ?カの認定事項によれば、甲2には次の2つの発明(以下「引用発明3」、「引用発明4」という。)が記載されているといえる。
(ア)引用発明3
「 注射器の雄ルアーロックコネクタ用の剛性材料の構造からなるキャップ10であって、
雄ルアーノズル30を有するクロージャ12の上部部分(ルアーコネクタ)14は、カラー36と、内部ボア32を有するテーパ状の雄ルアーノズル30を含み、それらの間に空間部が画定され、
前記キャップ10は、上面を画定する端壁20と、前記端壁20の上面から反対方向に延びる環状内スリーブ150を含み、
前記環状内スリーブ150は、中空空間を画定し、
前記キャップ10はシール部を含み、
前記シール部は前記中央空間内に構成され、前記キャップ10を完全に係合させたときに前記雄ルアーノズル30の開放端部33をシールし、
前記シール部は、前記開放端部33に嵌合するように構成されている中央突出部171を含み、
前記中央突出部171は、前記端壁20の前記上面に形成された凹部を画定するように中空空間断面を含み、
前記カラー36は雌ねじ40を有する、
キャップ10。」
(イ)引用発明4
「 注射器の雄ルアーロックコネクタであって、
カラー36と雄ルアーノズル30を有するクロージャ12の上部部分(ルアーコネクタ)14を含み、前記上部部分14に螺合する剛性材料の構造からなるキャップ10と組み合わせて用いられ、
前記カラー36と前記雄ルアーノズル30は、それらの間に空間部を画定し、前記空間部は皮下針のハブを受容するよう構成され、前記雄ルアーノズル30は内部ボア32を有し、
前記キャップ10は、上面を画定する端壁20と、前記端壁20の上面から反対方向に延びる環状内スリーブ150を含み、
前記環状内スリーブ150は、中空空間を画定し、
前記キャップ10はシール部を含み、
前記シール部は前記中央空間内に構成され、前記キャップ10を完全に係合させたときに前記雄ルアーノズル30の開放端部33をシールし、
前記シール部は、前記開放端部33に嵌合するように構成されている中央突出部171を含み、
前記中央突出部171は、前記端壁20の前記上面に形成された凹部を画定するように中空空間断面を含み、
前記カラー36は、雌ねじ40を有する、
キャップ10。」

(2)甲9
甲9には、次の事項が記載されている。
ア 明細書
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療器具における通路を選択的にシールおよびシール解除する保護キャップ装置、特に、皮下注射胴の一端における通路を選択的にシールおよびシール解除する保護キャップ装置に関する。」
「【0036】 図15ないし図18に示される完全に閉鎖された位置では、キャップ36のシール用突起72が注射胴16の先端部28の通路30に係合する。キャップ36のロックは、キャップ36の切り込み86,88によって画成されている、タブ84の部分が保持壁50,52の外面上のロック用突起62,64に係合することにより達成される。さらに、案内突起58,60が図15ないし図18のシール状態にキャップ36を偏位すべくキャップ36の側縁部80,82に隣接する外表面68の部分に係合する。そのうち解るように、閉鎖された向きでは、ロック用突起62,64は切り込み86,88に上向きの力を及ぼし、案内突起58,60はキャップ36の外表面の部分に下向きの力を及ぼしている。かくて、ロックされると、キャップは、注射胴16の先端28がキャップ中央のシール用突起72に釣り合う上向きの力を及ぼすよう変形される。かくて、キャップ36は注射胴16の先端部に確実にロックされた係合状態に脱着可能にスナップ動作される。」

イ 図15



ウ 図17




(9)甲10
甲10には、次の事項が記載されている。
ア 明細書
「【0001】
本発明は、薬液吐出部密封キャップの改良に関するものであって、詳しくは、注射器兼容器(以下シリンジという)のルアーノズルの外周に間隙を設けて、筒形ルアーロック部が立設されている薬液吐出部を密封する弾性素材よりなるキャップの改良に関するものである。」
「【0018】
密封キャップ1は、ゴムなどの弾性素材よりなるキャップであって、実施例ではブチルゴムが用いられている。従って、薄くすることで柔らかく変形しやすくすることができ、厚くすることで硬く押しやすくすることもできる。」
「【0020】
内筒部9の内側は、図4に示されるようにルアーノズル3の先端部が密に挿入可能であるノズル挿入間隙11が形成されている。ノズル挿入間隙11は、図1に示される。ノズル挿入間隙11の深さは、ルアーノズル3の長さ、密封キャップ1の高さ(T)および天面部7の厚みに依存するが、例えば密封キャップ1の高さ(T)を基準にすると、40?80%程度、好ましくは50?70%程度である。実施例でのノズル挿入間隙11の深さは、密封キャップ1の高さ(図1中上下の長さ)を10.5mmとした場合、約6.5mmとしている。実施例では挿入間隙11が、内筒部9とルアーノズル3との接触部となる。」

イ 図1



ウ 図4




2 対比・判断
(1)本件特許発明1
本件特許発明1と引用発明3を対比するに、引用発明3の「注射器の雄ルアーロックコネクタ用の」は、その機能又は構造からみて、本件特許発明1の「医療継手の雄コネクタのための」に、以下同様に、「雄ルアーロックコネクタ」又は「雄ルアーノズル30を有するクロージャ12の上部部分(ルアーコネクタ)14」は「雄コネクタ」に、「カラー36」は「外側ロックカラー」に、「内部ボア32を有する」は「流体通路を画定する」に、「テーパ状の雄ルアーノズル30を含み」は「内側テーパ状シール壁とを有し」に、「空間部」は「内側キャビティ」に、「上面を画定する端壁20」は「上面を画定するキャップ構成要素」に、「環状内スリーブ150」は「円筒壁」に、「中空空間」は「中空内部」に、「シール部」は「内側シール面」に、「中央突出部171」は「ドームを含む突起」に、「内部ボア32」は「流体通路」に、「中空空間断面」は「中空断面」に、「雌ねじ」は「雌ねじまたは雄ねじの少なくとも1つ」に、それぞれ相当する。
引用発明3の「キャップ10を完全に係合させたとき」は、上記2(2)ウの図3の図示事項からわかるように、雄ルアーノズル30が環状内スリーブ150の中空空間内に受け入れられたときであるということができるので、本件特許発明1の「前記医療継手の前記雄コネクタの前記内側テーパ状シール壁が前記円筒壁の前記中空内部内で受けられると」に相当する。
引用発明3の「開放端部33に嵌合するように構成されている中央突出部171」は、中央突出部171が開放端部33に嵌合することで、内部ボア32(流体通路)をシールするものであるから、本件特許発明1の「前記流体通路をシールするように、前記流体通路内に少なくとも部分的に嵌合するように構成されているドームを含む突起」に相当する。
本件特許発明1の「可撓性キャップ」と引用発明3の「剛性材料の構造からなるキャップ10」とは、「キャップ」である限りにおいて共通する。

してみると、本件特許発明1と引用発明3の一致点・相違点は、次のとおりとなる。
[一致点]
「医療継手の雄コネクタのためのキャップであって、
前記雄コネクタは、外側ロックカラーと、流体通路を画定する内側テーパ状シール壁とを有し、それらの間に内側キャビティが画定され、
前記可撓性キャップは、上面を画定するキャップ構成要素と、前記キャップ構成要素の前記上面から反対側に延在する円筒壁とを含み、
前記円筒壁は、中空内部を画定し、
前記可撓性キャップは更に内側シール面を含み、
前記内側シール面は前記中空内部内に構成され、前記医療継手の前記雄コネクタの前記内側テーパ状シール壁が前記円筒壁の前記中空内部内で受けられると、前記内側テーパ状シール壁の前記流体通路をシールし、
前記内側シール面は、前記流体通路をシールするように、前記流体通路内に少なくとも部分的に嵌合するように構成されているドームを含む突起を含み、
前記突起は、前記キャップ構成要素の前記上面に開いた凹部を画定するように、中空断面を含み、
前記雄コネクタの前記外側ロックカラーは、雌ねじまたは雄ねじの少なくとも1つを含む、
キャップ。」

[相違点3]
キャップについて、本件特許発明1では、可撓性であるのに対して、引用発明3では、剛性材料の構造からなる点。
[相違点4]
円筒壁の中空内部について、本件特許発明1では、内側テーパ状シール壁の外面と共にシールを形成するように、雄コネクタの内側テーパ状シール壁を受けるように構成されているのに対して、引用発明3では、そのような構成を有しない点。
[相違点5]
突起の中空断面について、本件特許発明1では、キャップ構成要素の上面から流体通路内に突入する位置まで延在するのに対して、引用発明3では、そのような構成を有しない点。
[相違点6]
円筒壁について、本件特許発明1では、円筒壁は、その外面に少なくとも1つのリブを更に含み、前記少なくとも1つのリブは、雌ねじまたは雄ねじの少なくとも1つと係合するように構成されているのに対して、引用発明3では、そのような構成を有しない点。

まず、上記相違点4について検討する。
甲2には、上記2(1)アで示したとおり、【0052】には「キャップ10は、キャップ内スリーブ150内に端壁20の延長上に短い中央突出部171を含む。この突出部は、キャップを完全に係合させたときにノズル30の開放端部33をシールするような大きさを有し、そのように作られている。」と、そして、同【0053】には「内スリーブ150はテーパー状内面172を有し、このテーパー状内面172はその長さに亘りノズル60(当審注:「30」の誤記。)の外面60と内面172の間で環状間隙173が形成されるような大きさを有する。この間隙173により、隣接面60,172間の干渉なしにキャップ突出部171は開放端部33と完全に係合し得る。」と記載されている。
すなわち、引用発明3においては、キャップ10が雄ルアーノズル30をシールするにあたり、キャップ10の中央突出部171は雄ルアーノズル30の開放端部33に嵌合するのに対して、キャップ10の環状内スリーブ150のテーパー状内面172と雄ルアーノズル30の外面60との間には、その内面172の長さに亘って間隙173を形成し、あえてシールを形成しないような構成となっている。そうすることで、キャップの中央突出部171を開放端部33に干渉なしに完全係合(シール)するという作用効果を奏するものである。
したがって、引用発明3において、キャップ10の環状内スリーブ150と雄ルアーノズル30の表面との間でシール部を形成することには阻害要因があるといえる。
してみると、たとえ、上記2(3)のとおり、甲10の【0020】に「内筒部9の内側は、図4に示されるようにルアーノズル3の先端部が密に挿入可能であるノズル挿入間隙11が形成されている。(中略)挿入間隙11が、内筒部9とルアーノズル3との接触部となる」と記載されていることから、コネクタにおいて内筒部9とルアーノズル3との接触部によりシールを形成する技術(以下「甲10技術」という。)が公知であったとしても、当業者は、引用発明3に甲10技術を適用しようとは想起し得ない。
そして、引用発明3に、上記第5の2及び第6の2に示されるような甲3?9に記載の技術を適用したとしても、上記相違点4に係る本件特許発明1の構成を想到することはできない。
よって、本件特許発明1は、上記相違点4以外の相違点3、5、6について検討するまでもなく、引用発明3及び甲3?10に記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(2)本件特許発明2、5?9
本件特許発明2、5?9は、本件特許発明1に対して、上記第2の1のとおり、請求項2、5?9において特定した事項をさらに付加することにより限定された発明である。
そうすると、本件特許発明2、5?9も、上記(1)で示したのと同様の理由により、引用発明3及び甲3?10に記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(3)本件特許発明10
本件特許発明10と引用発明4とを対比するに、引用発明4の「注射器の雄ルアーロックコネクタ」は、その機能又は構造からみて、「医療機器のための医療継手」に相当し、以下同様に、「カラー36」は「外側ロックカラー」に、「雄ルアーノズル30」は「内側テーパ状シール壁」に、「クロージャ12の上部部分(ルアーコネクタ)14」は「雄コネクタ」に、「螺合する」は「嵌合する」に、「と組み合わせて用いられ」は「を含み」に、「空間部」は「内側キャビティ」に、「皮下針のハブ」は「雌コネクタ」に、「受容する」は「受ける」に、「内部ボア32」は「流体通路」に、「上面を画定する端壁20」は「上面を画定するキャップ構成要素」に、「延びる」は「延在する」に、「環状内スリーブ150」は「円筒壁」に、「中空空間」は「中空内部」に、「シール部」は「内側シール面」に、「中空空間断面」は「中空断面」に、「雌ねじ40」は「雌ねじまたは雄ねじの少なくとも一方」に、それぞれ相当する。
引用発明4の「上部部分14」と「キャップ10」が螺合するときは、注射器の不使用時であることから、本件特許発明10の「不使用時に」に相当する。
引用発明4の「雄ルアーノズル30」が「皮下針のハブ」を受容するのは、注射器の使用中であることから、本件特許発明10の「使用時に」に相当する。
引用発明4の「キャップ10を完全に係合させたとき」は、上記2(2)ウの図3の図示事項からわかるように、雄ルアーノズル30が環状内スリーブ150の中空空間内に受け入れられたときであるということができるので、本件特許発明10の「前記医療継手の前記雄コネクタの前記内側テーパ状シール壁が前記円筒壁の前記中空内部内で受けられると」に相当する。
引用発明4の「開放端部33に嵌合するように構成されている中央突出部171」は、中央突出部171が開放端部33に嵌合することで、内部ボア32(流体通路)をシールするものであるから、本件特許発明10の「前記流体通路をシールするように、前記流体通路内に少なくとも部分的に嵌合するように構成されているドームを含む突起」に相当する。
本件特許発明10の「可撓性キャップ」と引用発明4の「剛性材料の構造からなるキャップ10」とは、「キャップ」である限りにおいて共通する。

してみると、本件特許発明10と引用発明4の一致点・相違点は、次のとおりとなる。
[一致点]
「医療機器のための医療継手であって、
外側ロックカラー及び内側テーパ状シール壁を有する雄コネクタと、不使用時に前記雄コネクタ内に嵌合するように構成されたキャップとを含み、
前記外側ロックカラー及び前記内側テーパ状シール壁は、それらの間に内側キャビティを画定し、前記内側キャビティは使用中に雌コネクタを受けるように構成され、前記内側テーパ状シール壁はそれを通る流体通路を画定し、
前記可撓性キャップは、上面を画定するキャップ構成要素と、前記キャップ構成要素の前記上面から反対側に延在する円筒壁とを含み、
前記円筒壁は、中空内部を画定し、
前記可撓性キャップは更に内側シール面を含み、
前記内側シール面は前記中空内部内に構成され、前記医療継手の前記雄コネクタの前記内側テーパ状シール壁が前記円筒壁の前記中空内部内で受けられると、前記内側テーパ状シール壁の前記流体通路をシールし、
前記内側シール面は、前記流体通路をシールするように、前記流体通路内に少なくとも部分的に嵌合するように構成されているドームを含む突起を含み、
前記突起は、前記キャップ構成要素の前記上面に開いた凹部を画定するように、中空断面を含み、
前記雄コネクタの前記外側ロックカラーは、雌ねじまたは雄ねじの少なくとも1つを含む、
可撓性キャップ。」

[相違点7]
キャップについて、本件特許発明10では、可撓性であるのに対して、引用発明4では、剛性材料の構造からなる点。
[相違点8]
円筒壁の中空内部について、本件特許発明10では、内側テーパ状シール壁の外面と共にシールを形成するように、雄コネクタの内側テーパ状シール壁を受けるように構成されているのに対して、引用発明4では、そのような構成を有しない点。
[相違点9]
突起の中空断面について、本件特許発明10では、キャップ構成要素の上面から流体通路内に突入する位置まで延在するのに対して、引用発明4では、そのような構成を有しない点。
[相違点10]
円筒壁について、本件特許発明10では、円筒壁は、その外面に少なくとも1つのリブを更に含み、前記少なくとも1つのリブは、雌ねじまたは雄ねじの少なくとも1つと係合するように構成されているのに対して、引用発明4では、そのような構成を有しない点。

そこで、まず、上記相違点8について検討する。
上記相違点8の内容は、上記相違点4と同じである。
そうすると、上記(1)で示したとおり、引用発明4において、キャップ10の環状内スリーブ150と雄ルアーノズル30の表面との間でシール部を形成することには阻害要因があるといえることから、引用発明4に甲10技術を適用しようとは想起し得ないし、さらに、引用発明4に、上記第5の2及び第6の2に示されるような甲3?9に記載の技術を適用したとしても、上記相違点8に係る本件特許発明10の構成を想到することはできない。
よって、本件特許発明10は、上記相違点8以外の相違点7、9、10について検討するまでもなく、引用発明4及び甲3?10に記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(4)本件特許発明13
本件特許発明13は、本件特許発明10に対して、上記第2の1のとおり、請求項13において特定した事項をさらに付加することにより限定された発明である。
そうすると、本件特許発明13も、上記(3)で示したのと同様の理由により、引用発明4及び甲3?10に記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

3 小括
以上のとおり、本件特許発明1、2、5?9は、引用発明3及び甲3?10に記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできず、本件特許発明10、13は、引用発明4及び甲3?10に記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。


第7 むすび
したがって、本件特許発明1、2、5?9、10、13に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件特許発明1、2、5?9、10、13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件訂正が認められることにより、本件特許発明3、4、11、12に係る特許は削除された。これにより、申立人による請求項3、4、11、12に係る特許についての特許異議申立は、その対象が存在しないものとなり、不適法なものであって、その補正をすることができないものであることから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療継手の雄コネクタのための可撓性キャップであって、
前記雄コネクタは、外側ロックカラーと、流体通路を画定する内側テーパ状シール壁とを有し、それらの間に内側キャビティが画定され、
前記可撓性キャップは、上面を画定するキャップ構成要素と、前記キャップ構成要素の前記上面から反対側に延在する円筒壁とを含み、
前記円筒壁は、前記内側テーパ状シール壁の外面と共にシールを形成するように、前記雄コネクタの前記内側テーパ状シール壁を受けるように構成されている中空内部を画定し、
前記可撓性キャップは更に内側シール面を含み、
前記内側シール面は前記中空内部内に構成され、前記医療継手の前記雄コネクタの前記内側テーパ状シール壁が前記円筒壁の前記中空内部内で受けられると、前記内側テーパ状シール壁の前記流体通路をシールし、
前記内側シール面は、前記流体通路をシールするように、前記流体通路内に少なくとも部分的に嵌合するように構成されているドームを含む突起を含み、
前記突起は、前記キャップ構成要素の前記上面に開いた凹部を画定するように、前記キャップ構成要素の前記上面から前記流体通路内に突入する位置まで延在する中空断面を含み、
前記雄コネクタの前記外側ロックカラーは、雌ねじまたは雄ねじの少なくとも1つを含み、
前記円筒壁は、その外面に少なくとも1つのリブを更に含み、前記少なくとも1つのリブは、前記雌ねじまたは前記雄ねじの少なくとも1つと係合するように構成されていることを特徴とする可撓性キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の可撓性キャップであって、
前記医療継手は、ルアーロック継手を含むことを特徴とする可撓性キャップ。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
請求項1に記載の可撓性キャップであって、
前記円筒壁は、その径方向の両側の位置の前記外面において互いに反対向きに延出するリブを更に含むことを特徴とする可撓性キャップ。
【請求項6】
請求項1に記載の可撓性キャップであって、テザーを更に含むことを特徴とする可撓性キャップ。
【請求項7】
請求項6に記載の可撓性キャップであって、
前記テザーは、前記キャップ構成要素と一体であることを特徴とする可撓性キャップ。
【請求項8】
請求項1に記載の可撓性キャップであって、
前記キャップ構成要素は、プルタブを更に含むことを特徴とする可撓性キャップ。
【請求項9】
請求項1に記載の可撓性キャップであって、
前記可撓性キャップは、ポリウレタン、ネオプレン、合成ゴム、ラテックスまたはシリコーンの少なくとも1つで構成されていることを特徴とする可撓性キャップ。
【請求項10】
医療機器のための医療継手であって、
外側ロックカラー及び内側テーパ状シール壁を有する雄コネクタと、不使用時に前記雄コネクタ内に嵌合するように構成された可撓性キャップとを含み、
前記外側ロックカラー及び前記内側テーパ状シール壁は、それらの間に内側キャビティを画定し、前記内側キャビティは使用中に雌コネクタを受けるように構成され、前記内側テーパ状シール壁はそれを通る流体通路を画定し、
前記可撓性キャップは、上面を画定するキャップ構成要素と、前記キャップ構成要素の前記上面から反対側に延在する円筒壁とを含み、
前記円筒壁は、前記内側テーパ状シール壁の外面と共にシールを形成するように、前記雄コネクタの前記内側テーパ状シール壁を受けるように構成されている中空内部を画定し、
前記可撓性キャップは更に内側シール面を含み、
前記内側シール面は前記中空内部内に構成され、前記医療継手の前記雄コネクタの前記内側テーパ状シール壁が前記円筒壁の前記中空内部内で受けられると、前記内側テーパ状シール壁の前記流体通路をシールし、
前記内側シール面は、前記流体通路をシールするように、前記流体通路内に少なくとも部分的に嵌合するように構成されているドームを含む突起を含み、
前記突起は、前記キャップ構成要素の前記上面に開いた凹部を画定するように、前記キャップ構成要素の前記上面から前記流体通路内に突入する位置まで延在する中空断面を含み、
前記雄コネクタの前記外側ロックカラーは、雌ねじまたは雄ねじの少なくとも1つを含み、
前記円筒壁は、その外面に少なくとも1つのリブを更に含み、
前記少なくとも1つのリブは、前記雌ねじまたは前記雄ねじの少なくとも1つと係合するように構成されていることを特徴とする可撓性キャップ。
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
(削除)
【請求項13】
請求項10に記載の医療継手であって、
前記キャップ構成要素と一体であるテザーを更に含むことを特徴とする医療継手。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-07-14 
出願番号 特願2018-527719(P2018-527719)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A61M)
P 1 651・ 161- YAA (A61M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 竹下 晋司  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 木村 立人
芦原 康裕
登録日 2020-02-04 
登録番号 特許第6655185号(P6655185)
権利者 アヴェント インコーポレイテッド
発明の名称 円錐形コネクタ用可撓性キャップ  
代理人 特許業務法人大島特許事務所  
代理人 特許業務法人 大島特許事務所  

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