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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正しない H04N 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正しない H04N 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正しない H04N |
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管理番号 | 1378422 |
審判番号 | 訂正2021-390030 |
総通号数 | 263 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-11-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2021-02-02 |
確定日 | 2021-09-29 |
事件の表示 | 特許第6794570号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6794570号は、平成30年1月26日(国内優先権主張 平成29年7月7日)に出願された特願2018-11220号の一部を令和2年5月28日に新たな特許出願である特願2020-92909号として出願し、その請求項1に係る発明について、令和2年11月13日に特許権の設定登録がされたものである。 その後、令和3年2月2日に本件訂正審判の請求がされ、令和3年3月19日付け訂正拒絶理由が通知され、これに対して令和3年4月7日付けで当該訂正拒絶理由通知に対する意見書及び補正書が提出されたものである。 第2 訂正拒絶理由通知の概要 当審で令和3年3月19日付け訂正拒絶理由通知の概要は以下のとおりである。 1.本件審判請求は、特許第6794570号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、明細書の段落0015および請求項1について、訂正することを認める、との審決を求めるものである。 2.令和3年2月2日付け審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1の第1頁第4パラグラフ?第7パラグラフには、 「前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、 前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)を第1の周期で更新し、 前記第1の周期よりも短い第2の周期で前記第2a制御情報(ECM)を前記第1のサービスa信号に含めて送信し、 前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、」 という記載がある。 3.また、上記審判請求書に添付された訂正明細書の【0015】第4パラグラフ?第7パラグラフ(訂正明細書第5頁第3行?第9行)には、上記2.と同様の、 「前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、 前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)を第1の周期で更新し、 前記第1の周期よりも短い第2の周期で前記第2a制御情報(ECM)を前記第1のサービスa信号に含めて送信し、 前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、」 という記載がある。 4.そうすると、本件審判請求は、上記の2.,3.の訂正を行うことで、「前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機は」「前記第2の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し」という事項を特許請求の範囲の請求項1及び明細書に導入しようとするものである。 5.一方、上記訂正特許請求の範囲の請求項1の第1パラグラフには、 「BSデジタル放送の第1の事業体が暗号化された第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の第1a制御情報(EMM)、暗号化された第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の第2a制御情報(ECM)ならびに第1のスクランブルコンテンツを含む第1のサービスa信号を前記第1の事業体の送信機により送信し」という記載がある。 6.また、上記訂正明細書の【0015】第1パラグラフ(訂正明細書第4頁第22行?第25行)には、 「実施態様によれば、BSデジタル放送の第1の事業体が暗号化された第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の第1a制御情報(EMM)、暗号化された第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の第2a制御情報(ECM)ならびに第1のスクランブルコンテンツを含む第1のサービスa信号を前記第1の事業体の送信機により送信し」という記載がある。 7.すなわち、訂正特許請求の範囲の請求項1、及び訂正明細書の【0015】には、「BSデジタル放送の第1の事業体が」「第1の事業体の第1a制御情報(EMM)を第1の事業体の送信機により送信」することが特定されている。 8.しかしながら、上記4.のとおり、本件審判請求は、「前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機は」「前記第2の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し」という事項を請求項1,及び明細書に導入するものであるが、このような訂正を行うことで、上記7.の「BSデジタル放送の第1の事業体が」「第1の事業体の第1a制御情報(EMM)を第1の事業体の送信機により送信」することとは首尾一貫しない、新たな誤記を導入することになる。 さらに、このような誤記を導入することにより、特許請求の範囲及び明細書において、第1の事業体の送信機は、第1の事業体の第1a制御情報(EMM)を送信するのか、または第2の事業体の第1a制御情報(EMM)を送信するのか、その処理を不明確なものとして、新たな明瞭でない記載を導入することになる。 9.そうすると、本件審判請求により上記2.,3.の訂正を行うことで、4.の事項を導入することは、特許法第126条第1項第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」に当たるものではなく、同条同項第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的としたものに当たるわけでもない。 さらに、本件審判請求は同条同項第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的としたものにも、同条同項第4号に規定する「請求項間の引用関係の解消」を目的としたものにも当たらないことは明らかである。 10.以上のことから、本件審判請求における訂正は特許法第126条第1項のいずれの目的としたものとも認められないから、同法同条同項の規定に違反するものである。 第3 訂正拒絶理由通知に対する補正について 審判請求人は、上記訂正拒絶理由通知に対して、令和3年4月7日付けで審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲に関する補正書を提出するとともに、同日付意見書において以下の主張を行っているので、これについて検討する。 (1)訂正特許請求の範囲に関する補正 令和3年2月2日付け審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1には以下の(ア)の記載が、令和3年4月7日付け手続補正書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1には以下の(イ)の記載がある。なお、下線は訂正箇所を示す。 (()内の数字は請求項1の記載を分節するために合議体が付した。以下、発明特定事項(1)?(30)等という。 ここで、()内の数字における記号「’」は、訂正前の請求項1の発明特定事項を、令和3年2月2日の本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲により訂正する事項を示すために、 記号「’’」は、訂正前の請求項1の発明特定事項、及び令和3年2月2日の本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1の発明特定事項を、上記補正書に添付された訂正特許請求の範囲により補正する事項を示すために、合議体が付した。以下同じ。) (ア) 令和3年2月2日付け審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 (1) BSデジタル放送の第1の事業体が暗号化された第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の第1a制御情報(EMM)、暗号化された第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の第2a制御情報(ECM)ならびに第1のスクランブルコンテンツを含む第1のサービスa信号を前記第1の事業体の送信機により送信し、 (2) BSデジタル放送の第2の事業体が暗号化された第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の第1b制御情報(EMM)、暗号化された第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の第2b制御情報(ECM)ならびに第2のスクランブルコンテンツを含む第2のサービスb信号を前記第2の事業体の送信機により送信し、 (3) CASモジュールを有する受信機にて前記第1のサービスa信号および前記第2のサービスb信号を受信する送受信方法において、 (4) 前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、 (5) 前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)を第1の周期で更新し、 (6’) 前記第1の周期よりも短い第2の周期で前記第2a制御情報(ECM)を前記第1のサービスa信号に含めて送信し、 (7’) 前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、 (8) 前記BSデジタル放送の前記第2の事業体の送信機は、 (9) 前記第2bキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新し、 (10) 前記第3の周期よりも短い第4の周期で前記第2b制御情報(ECM)を前記第2のサービスb信号に含めて送信し、 (11) 前記第4の周期で送られる前記第2b制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を送信し、 (12) 前記受信機は、 (13) 第1のチューナ部が、前記第1の事業体が送出する前記BSデジタル放送を受信し、前記第1のサービスa信号に含まれる、暗号化された前記第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、暗号化された前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)ならびに前記第1のスクランブルコンテンツを受信すること、 (14) 第2のチューナ部が、前記第2の事業体が送出する前記BSデジタル放送を受信し、前記第2のサービスb信号に含まれる、暗号化された前記第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、暗号化された前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)ならびに前記第2のスクランブルコンテンツを前記第1のチューナ部による受信と同時に受信すること、 (15) デスクランブラが、前記第1のチューナ部から出力された前記第1のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、 (16) 前記デスクランブラが、前記第2のチューナ部から出力された前記第2のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、 (17) 制御部が、前記デスクランブラから出力される前記第1のコンテンツおよび第2のコンテンツの所定のテーブルをチェックすること、 (18) 前記所定のテーブルに含まれているパケットIDに基づいて、前記第1a制御情報(EMM)、前記第2a制御情報(ECM)、前記第1b制御情報(EMM)、前記第2b制御情報(ECM)を取り出すこと、前記第1のチューナ部、前記第2のチューナ部、前記デスクランブラを制御すること、 (19) 前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1aキー(Kw)を取得し、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)から、取得された前記第1aキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2aキー(Ks)を取得すること、 (20) 前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)から、固有の前記第3キー(Km)を用いて前記第1bキー(Kw)を取得し、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)から、取得された前記第1bキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2bキー(Ks)を取得すること、を備え、 (21) さらに前記制御部は、 (22) 前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)をバッファに格納し、 (23) 前記BSデジタル放送の前記第1の事業体を単位として前記第1a制御情報(EMM)を受信してから前記第1a制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第1の周期よりも長い第1の期間を設定し、且つ、前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、 (24) 前記第1の期間に前記第1のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第1の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1a制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理し、 (25’) 前記BSデジタル放送の前記第2の事業体を単位として前記第1b制御情報(EMM)を受信してから前記第1b制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第3の周期よりも長い第2の期間を設定し、且つ、前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、 (26’) 前記第2の期間に前記第2のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第2の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1b制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理し、 (27) 前記第1の周期で更新される第2aキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして表示し、 (28’) 前記第3の周期で更新される第2bキー(Ks)を取得し前記第2のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして表示し、 (29) 前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第1の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1a制御情報(EMM)を破棄若しくは抑制し、 (30) 前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第2の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1b制御情報(EMM)を破棄若しくは抑制する、送受信方法。」 (イ)令和3年4月7日付け手続補正書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 (1) BSデジタル放送の第1の事業体が暗号化された第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の第1a制御情報(EMM)、暗号化された第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の第2a制御情報(ECM)ならびに第1のスクランブルコンテンツを含む第1のサービスa信号を前記第1の事業体の送信機により送信し、 (2) BSデジタル放送の第2の事業体が暗号化された第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の第1b制御情報(EMM)、暗号化された第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の第2b制御情報(ECM)ならびに第2のスクランブルコンテンツを含む第2のサービスb信号を前記第2の事業体の送信機により送信し、 (3) CASモジュールを有する受信機にて前記第1のサービスa信号および前記第2のサービスb信号を受信する送受信方法において、 (4) 前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、 (5) 前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)を第1の周期で更新し、 (6’) 前記第1の周期よりも短い第2の周期で前記第2a制御情報(ECM)を前記第1のサービスa信号に含めて送信し、 (7’’) 前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、 (8) 前記BSデジタル放送の前記第2の事業体の送信機は、 (9’’) 前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新し、 (10) 前記第3の周期よりも短い第4の周期で前記第2b制御情報(ECM)を前記第2のサービスb信号に含めて送信し、 (11) 前記第4の周期で送られる前記第2b制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を送信し、 (12) 前記受信機は、 (13) 第1のチューナ部が、前記第1の事業体が送出する前記BSデジタル放送を受信し、前記第1のサービスa信号に含まれる、暗号化された前記第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、暗号化された前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)ならびに前記第1のスクランブルコンテンツを受信すること、 (14) 第2のチューナ部が、前記第2の事業体が送出する前記BSデジタル放送を受信し、前記第2のサービスb信号に含まれる、暗号化された前記第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、暗号化された前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)ならびに前記第2のスクランブルコンテンツを前記第1のチューナ部による受信と同時に受信すること、 (15) デスクランブラが、前記第1のチューナ部から出力された前記第1のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、 (16) 前記デスクランブラが、前記第2のチューナ部から出力された前記第2のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、 (17) 制御部が、前記デスクランブラから出力される前記第1のコンテンツおよび第2のコンテンツの所定のテーブルをチェックすること、 (18) 前記所定のテーブルに含まれているパケットIDに基づいて、前記第1a制御情報(EMM)、前記第2a制御情報(ECM)、前記第1b制御情報(EMM)、前記第2b制御情報(ECM)を取り出すこと、前記第1のチューナ部、前記第2のチューナ部、前記デスクランブラを制御すること、 (19) 前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1aキー(Kw)を取得し、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)から、取得された前記第1aキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2aキー(Ks)を取得すること、 (20) 前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)から、固有の前記第3キー(Km)を用いて前記第1bキー(Kw)を取得し、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)から、取得された前記第1bキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2bキー(Ks)を取得すること、を備え、 (21) さらに前記制御部は、 (22) 前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)をバッファに格納し、 (23) 前記BSデジタル放送の前記第1の事業体を単位として前記第1a制御情報(EMM)を受信してから前記第1a制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第1の周期よりも長い第1の期間を設定し、且つ、前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、 (24) 前記第1の期間に前記第1のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第1の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1a制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理し、 (25’) 前記BSデジタル放送の前記第2の事業体を単位として前記第1b制御情報(EMM)を受信してから前記第1b制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第3の周期よりも長い第2の期間を設定し、且つ、前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、 (26’) 前記第2の期間に前記第2のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第2の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1b制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理し、 (27) 前記第1の周期で更新される第2aキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして表示し、 (28’) 前記第3の周期で更新される第2bキー(Ks)を取得し前記第2のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして表示し、 (29) 前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第1の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1a制御情報(EMM)を破棄若しくは抑制し、 (30) 前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第2の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1b制御情報(EMM)を破棄若しくは抑制する、送受信方法。」 (2)意見書の主張 審判請求人は、上記意見書の「5.意見の内容」の(2.1)の第3頁第22行?第4頁第5行において、以下の主張を行っている。 「(2.1)令和3年2月2日付け審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲の記載と、訂正明細書の【0015】の記載とは、互いに記載内容が対応する箇所であります。この記載において、審判官殿が上記8.でご指摘されたように、訂正個所は、誤記を導入しておりました。 従いまして、訂正特許請求の範囲の第4パラグラフ?第7パラグラフと、訂正明細書の【0015】の第4パラグラフ?第7パラグラフ(訂正明細書第5頁第3行?第9行)は、 「前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、・・・前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、」という記載に改めるよう、 別途手続き補正書を提出いたしました。 これにより、「BSデジタル放送の第1の事業体が」「第1の事業体の第1a制御情報(EMM)を第1の事業体の送信機により送信」することと首尾一貫するものであります。」 (3) 上記補正が請求書の要旨を変更するかどうかについて 審判請求書の補正は、その要旨を変更するものであってはならない(特許法第131条の2第1項)。また、要旨の変更とは、審判請求書の記載事項のうち、請求の趣旨(訂正事項)の記載を変更することによって、補正の前後で請求の基礎である「審判を申し立てている事項」の同一性や範囲を変更することである。 そこで、上記補正が審判請求書に記載された請求の趣旨を変更するかどうかについて検討する。 (ア) 審判請求書に記載された請求の趣旨 審判請求書の請求の趣旨は、上記「第2 請求の趣旨及び訂正の内容」のうちの請求の趣旨のとおりの「特許第6794570号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲の通り、訂正することを認める、との審決を求める。」というもの、すなわち、特許第6794570号の明細書および特許請求の範囲を令和3年2月2日付審判請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲の通り、訂正することを認めるとの審決を求めるものである。 (イ) 上記補正の内容 上記補正は、上記(1)(ア)の令和3年2月2日付の訂正特許請求の範囲の請求項1における、 ・発明特定事項(7’)の「前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、」とすること、 ・発明特定事項(9)の「前記第2bキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新し、」とすること、 に代えて、 上記(1)(イ)の令和3年4月7日付け手続補正書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1における、 ・発明特定事項(7’’)における「前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、」と訂正することに補正するもの、 ・発明特定事項(9’’)における「前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新し、」と訂正することに補正するもの、 である。 このような補正は、発明特定事項(7’)を発明特定事項(7’’)にするように、審判請求時の請求の趣旨における訂正特許請求の範囲における発明特定事項を変更すること、及び発明特定事項(9)を発明特定事項(9’’)にするように、審判請求時の請求の趣旨における訂正特許請求の範囲に新たな訂正事項を追加することで、従来の請求に変えて新たな請求をすることになり、補正の前後で請求の基礎である「審判を申し立てている事項」の同一性や範囲を変更するものといえる。 (ウ) 小括 上記(イ)のとおり、上記補正は請求の趣旨を変更することで、「審判を申し立てている事項」の同一性や範囲を変更するものといえ、請求書の要旨を変更するものである。 したがって、当該審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲の補正を認めることはできない。 第4 請求の趣旨及び訂正の内容 上記第3のとおり、令和3年4月7日付け手続補正書による訂正特許請求の範囲の補正は認められないので、本件訂正審判の請求の趣旨は、令和3年2月2日付け審判請求書のとおりの「特許第6794570号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲の通り、訂正することを認める、との審決を求める。」 というものであって、その訂正の内容は、次の訂正事項からなる。なお、下線部は訂正箇所を示す。 1 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、 前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)を第1の周期で更新し、 前記第1の周期よりも短い第2の周期で前記第2a制御情報(ECM)を前記第1のサービス信号に含めて送信し、 前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、」 とあるのを 「前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、 前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)を第1の周期で更新し、 前記第1の周期よりも短い第2の周期で前記第2a制御情報(ECM)を前記第1のサービスa信号に含めて送信し、 前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、」 と訂正する。 ただし、上記審判請求書の「6.請求の理由」の「(2)訂正事項」の「(ア)訂正事項1」には、 「「 前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)を第1の周期で更新し、 前記第1の周期よりも短い第2の周期で前記第2a制御情報(ECM)を前記第1のサービス信号に含めて送信し、 前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、」とあるのを 「前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、 前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)を第1の周期で更新し、 前記第1の周期よりも短い第2の周期で前記第2a制御情報(ECM)を前記第1のサービスa信号に含めて送信し、 前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、」 と訂正する。」 と記載されているが、この記載は、上記審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲の記載と整合しないため、当該訂正特許請求の範囲の記載のとおりに訂正することを請求しているものと認める。 2 訂正事項2 上記審判請求書の「6.請求の理由」の「(2)訂正事項」の「(イ)訂正事項2」には、 「「 前記BSデジタル放送の前記第2の事業体の送信機は、 前記第2bキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新し、 前記第3の周期よりも短い第4の周期で前記第2b制御情報(ECM)を前記第2のサービスb信号に含めて送信し、 前記第4の周期で送られる前記第2b制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を送信し、」とあるのを 「 前記BSデジタル放送の前記第2の事業体の送信機は、 前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新し、 前記第3の周期よりも短い第4の周期で前記第2b制御情報(ECM)を前記第2のサービスb信号に含めて送信し、 前記第4の周期で送られる前記第2b制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を送信し、」 と訂正する。」 と記載されているが、この記載は、上記第3(1)(ア)の令和3年2月2日付け審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲の記載の発明特定事項(8)?(11)の 「(8) 前記BSデジタル放送の前記第2の事業体の送信機は、 (9) 前記第2bキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新し、 (10) 前記第3の周期よりも短い第4の周期で前記第2b制御情報(ECM)を前記第2のサービスb信号に含めて送信し、 (11)前記第4の周期で送られる前記第2b制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を送信し、」 という記載と、(9)の「前記第2bキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2b制御情報(ECM)」という事項において整合しない。 よって、上記第3(1)(ア)の令和3年2月2日付け審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲の記載のとおりに訂正することを請求しているものと認める。 そうすると、当該審判請求においては、上記審判請求書の「6.請求の理由」の「(2)訂正事項」の「(イ)訂正事項2」に記載されるような訂正事項は存在しない。 3 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に 「 前記BSデジタル放送の前記第2の事業体を単位として前記第1b制御情報(EMM)を受信してから前記第1b制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第3の周期よりも長い第2の期間を設定し、且つ、前記第2の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、」 とあるのを 「 前記BSデジタル放送の前記第2の事業体を単位として前記第1b制御情報(EMM)を受信してから前記第1b制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第3の周期よりも長い第2の期間を設定し、且つ、前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、」 と訂正する。 4 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項1に 「 前記第2の期間に前記第2のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第2の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1b制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理し、」 とあるのを 「 前記第2の期間に前記第2のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第2の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1b制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理し、」 と訂正する。 5 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項1に 「 前記第3の周期で更新される前記第2bキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして表示し、」 とあるのを 「 前記第3の周期で更新される前記第2bキー(Ks)を取得し前記第2のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして表示し、」 と訂正する。 6 訂正事項6 本件明細書の段落0015に、 「実施形態によれば、BSデジタル放送の第1の事業体が暗号化された第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の第1a制御情報(EMM)、暗号化された第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の第2a制御情報(ECM)ならびに第1のスクランブルコンテンツを含む第1のサービスa信号を前記第1の事業体の送信機により送信し、 BSデジタル放送の第2の事業体が暗号化された第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の第1b制御情報(EMM)、暗号化された第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の第2b制御情報(ECM)ならびに第2のスクランブルコンテンツを含む第2のサービスb信号を前記第2の事業体の送信機により送信し、 CASモジュールを有する受信機にて前記第1のサービスa信号および前記第2のサービスb信号を受信する送受信方法において、 前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、 前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)を第1の周期で更新し、 前記第1の周期よりも短い第2の周期で前記第2a制御情報(ECM)を前記第1のサービス信号に含めて送信し、 前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、 前記BSデジタル放送の前記第2の事業体の送信機は、 前記第2bキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新し、 前記第3の周期よりも短い第4の周期で前記第2b制御情報(ECM)を前記第2のサービスb信号に含めて送信し、 前記第4の周期で送られる前記第2b制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を送信し、 前記受信機は、 第1のチューナ部が、前記第1の事業体が送出する前記BSデジタル放送を受信し、前記第1のサービスa信号に含まれる、暗号化された前記第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、暗号化された前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)ならびに前記第1のスクランブルコンテンツを受信すること、 第2のチューナ部が、前記第2の事業体が送出する前記BSデジタル放送を受信し、前記第2のサービスb信号に含まれる、暗号化された前記第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、暗号化された前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)ならびに前記第2のスクランブルコンテンツを前記第1のチューナ部による受信と同時に受信すること、 デスクランブラが、前記第1のチューナ部から出力された前記第1のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、 前記デスクランブラが、前記第2のチューナ部から出力された前記第2のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、 制御部が、前記デスクランブラから出力される前記第1のコンテンツおよび第2のコンテンツの所定のテーブルをチェックすること、 前記所定のテーブルに含まれているパケットIDに基づいて、前記第1a制御情報(EMM)、前記第2a制御情報(ECM)、前記第1b制御情報(EMM)、前記第2b制御情報(ECM)を取り出すこと、前記第1のチューナ部、前記第2のチューナ部、前記デスクランブラを制御すること、 前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1aキー(Kw)を取得し、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)から、取得された前記第1aキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2aキー(Ks)を取得すること、 前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)から、固有の前記第3キー(Km)を用いて前記第1bキー(Kw)を取得し、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)から、取得された前記第1bキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2bキー(Ks)を取得すること、を備え、 さらに前記制御部は、 前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)をバッファに格納し、 前記BSデジタル放送の前記第1の事業体を単位として前記第1a制御情報(EMM)を受信してから前記第1a制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第1の周期よりも長い第1の期間を設定し、且つ、前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、 前記第1の期間に前記第1のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第1の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1a制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理し、 前記BSデジタル放送の前記第2の事業体を単位として前記第1b制御情報(EMM)を受信してから前記第1b制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第3の周期よりも長い第2の期間を設定し、且つ、前記第2の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、 前記第2の期間に前記第2のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第2の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1b制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理し、 前記第1の周期で更新される第2aキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして表示し、 前記第3の周期で更新される第2bキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして表示し、 前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第1の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1a制御情報(EMM)を破棄若しくは抑制し、 前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第2の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1b制御情報(EMM)を破棄若しくは抑制する、送受信方法が提供される。」 とあるのを 「実施形態によれば、BSデジタル放送の第1の事業体が暗号化された第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の第1a制御情報(EMM)、暗号化された第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の第2a制御情報(ECM)ならびに第1のスクランブルコンテンツを含む第1のサービスa信号を前記第1の事業体の送信機により送信し、 BSデジタル放送の第2の事業体が暗号化された第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の第1b制御情報(EMM)、暗号化された第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の第2b制御情報(ECM)ならびに第2のスクランブルコンテンツを含む第2のサービスb信号を前記第2の事業体の送信機により送信し、 CASモジュールを有する受信機にて前記第1のサービスa信号および前記第2のサービスb信号を受信する送受信方法において、 前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、 前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)を第1の周期で更新し、 前記第1の周期よりも短い第2の周期で前記第2a制御情報(ECM)を前記第1のサービスa信号に含めて送信し、 前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、 前記BSデジタル放送の前記第2の事業体の送信機は、 前記第2bキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新し、 前記第3の周期よりも短い第4の周期で前記第2b制御情報(ECM)を前記第2のサービスb信号に含めて送信し、 前記第4の周期で送られる前記第2b制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を送信し、 前記受信機は、 第1のチューナ部が、前記第1の事業体が送出する前記BSデジタル放送を受信し、前記第1のサービスa信号に含まれる、暗号化された前記第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、暗号化された前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)ならびに前記第1のスクランブルコンテンツを受信すること、 第2のチューナ部が、前記第2の事業体が送出する前記BSデジタル放送を受信し、前記第2のサービスb信号に含まれる、暗号化された前記第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、暗号化された前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)ならびに前記第2のスクランブルコンテンツを前記第1のチューナ部による受信と同時に受信すること、 デスクランブラが、前記第1のチューナ部から出力された前記第1のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、 前記デスクランブラが、前記第2のチューナ部から出力された前記第2のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、 制御部が、前記デスクランブラから出力される前記第1のコンテンツおよび第2のコンテンツの所定のテーブルをチェックすること、 前記所定のテーブルに含まれているパケットIDに基づいて、前記第1a制御情報(EMM)、前記第2a制御情報(ECM)、前記第1b制御情報(EMM)、前記第2b制御情報(ECM)を取り出すこと、前記第1のチューナ部、前記第2のチューナ部、前記デスクランブラを制御すること、 前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1aキー(Kw)を取得し、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)から、取得された前記第1aキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2aキー(Ks)を取得すること、 前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)から、固有の前記第3キー(Km)を用いて前記第1bキー(Kw)を取得し、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)から、取得された前記第1bキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2bキー(Ks)を取得すること、を備え、 さらに前記制御部は、 前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)をバッファに格納し、 前記BSデジタル放送の前記第1の事業体を単位として前記第1a制御情報(EMM)を受信してから前記第1a制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第1の周期よりも長い第1の期間を設定し、且つ、前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、 前記第1の期間に前記第1のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第1の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1a制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理し、 前記BSデジタル放送の前記第2の事業体を単位として前記第1b制御情報(EMM)を受信してから前記第1b制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第3の周期よりも長い第2の期間を設定し、且つ、前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、 前記第2の期間に前記第2のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第2の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1b制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理し、 前記第1の周期で更新される第2aキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして表示し、 前記第3の周期で更新される第2bキー(Ks)を取得し前記第2のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして表示し、 前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第1の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1a制御情報(EMM)を破棄若しくは抑制し、 前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第2の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1b制御情報(EMM)を破棄若しくは抑制する、送受信方法が提供される。」 と訂正する。 第5 当審の判断 1 訂正事項1について (1) 訂正の目的について 請求人は、審判請求書の「6.請求の理由」の「(3)訂正の理由」の「(ア)訂正事項1」の「(1.1)訂正の目的について」において、訂正事項1が特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである旨主張しているので、まず、訂正事項1が誤記又は誤訳の訂正を目的とするものといえるか、以下に検討する。 ア 訂正前の請求項1 訂正前の請求項1は以下の記載のとおりのものである。 「【請求項1】 (1) BSデジタル放送の第1の事業体が暗号化された第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の第1a制御情報(EMM)、暗号化された第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の第2a制御情報(ECM)ならびに第1のスクランブルコンテンツを含む第1のサービスa信号を前記第1の事業体の送信機により送信し、 (2) BSデジタル放送の第2の事業体が暗号化された第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の第1b制御情報(EMM)、暗号化された第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の第2b制御情報(ECM)ならびに第2のスクランブルコンテンツを含む第2のサービスb信号を前記第2の事業体の送信機により送信し、 (3) CASモジュールを有する受信機にて前記第1のサービスa信号および前記第2のサービスb信号を受信する送受信方法において、 (4) 前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、 (5) 前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)を第1の周期で更新し、 (6) 前記第1の周期よりも短い第2の周期で前記第2a制御情報(ECM)を前記第1のサービス信号に含めて送信し、 (7) 前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、 (8) 前記BSデジタル放送の前記第2の事業体の送信機は、 (9) 前記第2bキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新し、 (10) 前記第3の周期よりも短い第4の周期で前記第2b制御情報(ECM)を前記第2のサービスb信号に含めて送信し、 (11) 前記第4の周期で送られる前記第2b制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を送信し、 (12) 前記受信機は、 (13) 第1のチューナ部が、前記第1の事業体が送出する前記BSデジタル放送を受信し、前記第1のサービスa信号に含まれる、暗号化された前記第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、暗号化された前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)ならびに前記第1のスクランブルコンテンツを受信すること、 (14) 第2のチューナ部が、前記第2の事業体が送出する前記BSデジタル放送を受信し、前記第2のサービスb信号に含まれる、暗号化された前記第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、暗号化された前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)ならびに前記第2のスクランブルコンテンツを前記第1のチューナ部による受信と同時に受信すること、 (15) デスクランブラが、前記第1のチューナ部から出力された前記第1のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、 (16) 前記デスクランブラが、前記第2のチューナ部から出力された前記第2のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、 (17) 制御部が、前記デスクランブラから出力される前記第1のコンテンツおよび第2のコンテンツの所定のテーブルをチェックすること、 (18) 前記所定のテーブルに含まれているパケットIDに基づいて、前記第1a制御情報(EMM)、前記第2a制御情報(ECM)、前記第1b制御情報(EMM)、前記第2b制御情報(ECM)を取り出すこと、前記第1のチューナ部、前記第2のチューナ部、前記デスクランブラを制御すること、 (19) 前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1aキー(Kw)を取得し、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)から、取得された前記第1aキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2aキー(Ks)を取得すること、 (20) 前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)から、固有の前記第3キー(Km)を用いて前記第1bキー(Kw)を取得し、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)から、取得された前記第1bキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2bキー(Ks)を取得すること、を備え、 (21) さらに前記制御部は、 (22) 前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)をバッファに格納し、 (23) 前記BSデジタル放送の前記第1の事業体を単位として前記第1a制御情報(EM3M)を受信してから前記第1a制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第1の周期よりも長い第1の期間を設定し、且つ、前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、 (24) 前記第1の期間に前記第1のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第1の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1a制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理し、 (25) 前記BSデジタル放送の前記第2の事業体を単位として前記第1b制御情報(EMM)を受信してから前記第1b制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第3の周期よりも長い第2の期間を設定し、且つ、前記第2の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、 (26) 前記第2の期間に前記第2のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第2の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1b制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理し、 (27) 前記第1の周期で更新される第2aキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして表示し、 (28) 前記第3の周期で更新される第2bキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして表示し、 (29) 前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第1の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1a制御情報(EMM)を破棄若しくは抑制し、 (30) 前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第2の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1b制御情報(EMM)を破棄若しくは抑制する、送受信方法。」 イ 訂正特許請求の範囲の請求項1 一方、令和3年2月2日付審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1は、上記第3「訂正拒絶理由通知に対する補正について」の(1)(ア)「令和3年2月2日付け審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1」の記載のとおりのものである。 ウ 訂正事項1による訂正が誤記又は誤訳の訂正を目的とするかどうかについて 上記訂正事項1による訂正を行うことにより、発明特定事項(7)における「前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、前記第1a制御情報(EMM)を送信し、」に代えて、発明特定事項(7’)における「前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、」という事項を請求項1に導入することになる。 ところで、訂正事項1により、「前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、」「前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、」という事項を請求項1に導入するものである。 しかしながら、このような訂正を行うことは、上記アの訂正前の請求項1における発明特定事項(1)、(4)、(7)の「前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機」が「前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信」することとは首尾一貫しない。 また、第1a制御情報(EMM)は、上記アの訂正前の請求項1における発明特定事項(1)、(4)、(7)、(13)、(19)、(22)、(29)において、一貫して第1の事業体の第1a制御情報(EMM)と記載されており、この点において誤記はないといえる。 そうすると、上記訂正事項1は誤記を訂正するものとはいえない。 さらに、上記訂正事項1により、特許請求の範囲において、第1の事業体の送信機は、第1の事業体の第1a制御情報(EMM)を送信するのか、または第2の事業体の第1a制御情報(EMM)を送信するのか、その処理を不明確なものとして、新たな明瞭でない記載を導入することになる。 以上を総合すると、訂正事項1による訂正を行うことによって、「前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、」という事項を請求項1に導入することは、誤記を訂正するものとはいえないことから、特許法第126条第1項第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものではなく、本件特許は外国語書面出願又は外国語特許出願に係るものではないから、訂正事項1は、同法第126条第1項ただし書第2号に規定される「誤訳の訂正」を目的とするものでもない。 エ 訂正事項1による訂正がその他の目的とするものかどうかについて また、当該訂正事項による訂正を行うことは、新たな明瞭でない記載を導入することから、同法同条同項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものでもない。 さらに、当該訂正事項による訂正を行うことは、同条同項第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的としたものにも、同条同項第4号に規定する「請求項間の引用関係の解消」を目的とするものでもないことは明らかである。 (2)訂正事項1による訂正を行うことによる特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項1による訂正を行うことで、請求項1は、訂正前の「前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、前記第1a制御情報(EMM)を送信」する発明特定事項に代えて、「前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、前記第1a制御情報(EMM)を送信」する発明特定事項を含むことになる。 その結果として、請求項1には「前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、」「前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信」する場合と、「前記BSデジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、」「前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信」する場合の両者を含むものとなるが、これは特許請求の範囲の拡張に該当する。 したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるから、特許法第126条第6項の規定に適合しない。 (3) 小括 以上のとおり、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものではなく、また、同法同条第6項の規定に適合しないことから、訂正事項1の訂正は認められない。 2.訂正事項6について (1) 訂正の目的について 請求人は、審判請求書の「6.請求の理由」の「(3)訂正の理由」の「(カ)訂正事項6」の「(1.1)訂正の目的について」において、訂正事項6が特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである旨主張している。 (2) 検討 そこで、訂正事項6による訂正について検討する。 訂正事項6は、明細書の発明の概要について、訂正事項1から訂正事項5により訂正する請求項1の内容と整合させるためのものである。 ここで、訂正事項6のうち、「前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し」の部分を、「前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、」という訂正は、上記1.(1)に記載される、訂正事項1が特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもないことと同様の理由により、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもない。 (3) 小括 以上のとおり、訂正事項6は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもないから、訂正事項6の訂正は認められない。 第6 むすび 以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正のうち、訂正事項1、6は、特許法第126条第1項ただし書に掲げるいずれの事項を目的とするものではなく、訂正事項1は、同法同条第6項の規定に適合しない。 したがって、その他の訂正事項について検討するまでもなく、当該訂正は認められない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2021-06-28 |
結審通知日 | 2021-07-02 |
審決日 | 2021-08-19 |
出願番号 | 特願2020-92909(P2020-92909) |
審決分類 |
P
1
41・
852-
Z
(H04N)
P 1 41・ 853- Z (H04N) P 1 41・ 855- Z (H04N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松元 伸次 |
特許庁審判長 |
千葉 輝久 |
特許庁審判官 |
渡辺 努 川崎 優 |
登録日 | 2020-11-13 |
登録番号 | 特許第6794570号(P6794570) |
発明の名称 | 送受信方法 |
代理人 | 特許業務法人スズエ国際特許事務所 |