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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1378558
審判番号 不服2020-9556  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-07 
確定日 2021-10-19 
事件の表示 特願2018-200044「サーバ、プリンタ、及び、サーバのためのコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月28日出願公開、特開2019- 49998、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年3月30日に出願した特願2010-77450号の一部を、平成25年2月5日に新たな特許出願とした特願2013-20504号の一部を、平成27年5月13日に新たな特許出願とした特願2015-98097号の一部を、平成28年11月22日に新たな特許出願とした特願2016-226533号の一部を、平成30年1月18日に新たな特許出願とした特願2018-6266号の一部を、平成30年10月24日に新たな特許出願としたものであって、平成30年11月20日に手続補正がされ、令和元年7月29日付けで拒絶理由が通知され、令和元年10月1日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、令和元年12月19日付けで拒絶理由(最後)が通知され、令和2年2月7日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、令和2年4月1日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和2年7月7日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、その後、令和3年6月1日付けで当審より拒絶理由が通知され(以下、「当審拒絶理由」という。)、令和3年8月6日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和2年4月1日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-19に係る発明は、以下の引用文献A-Cに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2008-152545号公報
B.特開平10-269039号公報
C.特開2003-50685号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1-10に係る発明は、引用文献1-4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.特開2008-152545号公報(原査定の引用文献A)
2.特開2007-317169号公報(当審において新たに引用した文献)
3.特開2003-50685号公報(原査定の引用文献C)
4.米国特許公開第2003/0184782号明細書(当審において新たに引用した文献)

第4 本願発明
本願請求項1-10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は、令和3年8月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
プリンタに接続されるサーバのためのコンピュータプログラムであって、
前記サーバのコンピュータを、以下の各部、即ち、
前記プリンタに要求を送信することなく、前記プリンタが利用可能な印刷条件の候補である第1の候補条件を示す第1の候補条件情報と、前記プリンタを識別するためのプリンタ識別情報と、を含む第1のプリンタ情報を、前記プリンタから取得する第1の情報取得部と、
前記プリンタから前記第1のプリンタ情報が取得された後に、端末装置から画面要求を受信することに応じて、前記プリンタから前記第1のプリンタ情報を再度取得することなく、前記第1の候補条件情報を利用して、印刷で利用されるべき印刷条件である利用印刷条件を設定させるための第1の設定画面を、前記端末装置に供給する第1の画面供給部であって、前記第1の設定画面は、特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在する場合に、前記特定の項目を示す画像と、前記特定の項目に対応する前記2以上の選択肢を示す画像と、を含み、前記第1の設定画面では、前記特定の項目に対応する2以上の選択肢の中から1つの選択肢がユーザによって指定されることに応じて、前記利用印刷条件として前記1つの選択肢を設定させることが可能であり、前記第1の設定画面は、前記特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在しない場合に、前記特定の項目を示す前記画像と、前記特定の項目に対応する選択肢を示す画像と、を含まない、前記第1の画面供給部と、
前記プリンタから前記第1のプリンタ情報が取得された後に、前記プリンタに要求を送信することなく、前記第1の候補条件とは異なる第2の候補条件を示す第2の候補条件情報と、前記プリンタ識別情報と、を含む第2のプリンタ情報を、前記プリンタから取得する第2の情報取得部と、
前記プリンタから前記第2のプリンタ情報が取得された後に、前記端末装置から前記画面要求を受信することに応じて、前記プリンタから前記第2のプリンタ情報を再度取得することなく、前記第2の候補条件情報を利用して、前記利用印刷条件を設定させるための第2の設定画面を、前記端末装置に供給する第2の画面供給部であって、前記第2の設定画面は、前記特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在する場合に、前記特定の項目を示す前記画像と、前記特定の項目に対応する前記2以上の選択肢を示す前記画像と、を含み、前記第2の設定画面では、前記特定の項目に対応する前記2以上の選択肢の中から1つの選択肢がユーザによって指定されることに応じて、前記利用印刷条件として前記1つの選択肢を設定させることが可能であり、前記第2の設定画面は、前記特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在しない場合に、前記特定の項目を示す前記画像と、前記特定の項目に対応する選択肢を示す画像と、を含まない、前記第2の画面供給部と、
前記第2の設定画面が前記端末装置に供給された後に、前記第2の設定画面を介して設定された前記利用印刷条件を、前記端末装置から取得する条件取得部と、
前記端末装置から前記利用印刷条件が取得された後に、前記利用印刷条件に適合する印刷データを生成する生成部と、
前記印刷データが生成される場合に、前記印刷データを、前記プリンタに供給するデータ供給部と、
として機能させる、コンピュータプログラム。」

なお、本願発明2-10の概要は以下のとおりである。

本願発明2-9は、本願発明1を減縮した発明である。

本願発明10は、本願発明1に対応するサーバの発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明
(1) 引用文献1
当審拒絶理由に引用した引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

ア 段落【0037】-【0038】
「【0037】
次に、本実施形態における印刷システム10の機能構成について説明する。図1は、印刷システムの機能構成ブロック図である。図1において、プリントサーバ20、クライアント機器30及びプリンタ40がそれぞれ内部に有する各構成機能部は、それぞれが有するCPUがプログラムを実行することによって構築されるものである。
【0038】
プリントサーバ20は、制御部50、ウェブサーバ51、HTML生成部52、HTML解析部53、プリンタ情報取得部54、印刷設定記憶部55、ファイル転送モジュール56、ファイル記憶部57(ディレクトリ)、アプリケーション58及びプリンタドライバ59等を備えている。制御部50はプリントサーバ20内で各部が行う各種処理等を管理・制御しており、各部に対する必要な指示等を行う。例えばプリントサーバ20の管理機能としては、出力機のアクセス権の設定、印刷ジョブの優先順位の設定、印刷する時間帯の設定、待ち行列の変更、出力機の使用状況の追跡等がある。」

イ 【図1】の「印刷システムの機能構成ブロック図」

ウ 【図4】の「フローチャート」


エ 段落【0058】-【0063】
「【0058】
以下、CPU21が実行する処理を、図4のフローチャートに従って説明する。なお、図4においては、ホスト側であるクライアント機器30の処理と、プリントサーバ20の処理を示しているが、プリントサーバ20の処理を中心に説明する。
【0059】
まずプリントサーバ20が起動しているときは図4に示すプリントサーバ側の処理が常時実行されている。
ステップS21において、フォルダの監視をスタートする。すなわち、CPU21は、ファイル記憶部57に印刷用ファイルが格納されているか否かを監視する監視処理を開始する。このため、CPU21は、以後、ファイル記憶部57を常時監視している。
【0060】
一方、ユーザは、クライアント機器30で起動中のアプリケーションでオープン中のファイルを印刷する際は、入力部35を操作して起動中のアプリケーションで印刷を選択する。すなわち、ホスト側のステップS11において、クライアント機器30におけるアプリケーションに対して印刷を選択する。入力部35による印刷の選択を受け付けると、その選択の操作をトリガとして、アプリケーション62と連携して動作する呼出しモジュール62Aが起動し、呼出しモジュール62Aは、ブラウザ61を起動させるとともに、ブラウザ61にプリントサーバ20の印刷設定画面用URLを指定してプリントサーバ20側のウェブサーバ51へのアクセス(印刷設定画面のダウンロード)を要求する。そして、ステップS12では、ブラウザ61によるサーバの印刷設定画面を呼び出す。すなわち、ブラウザ61は、HTTPプロトコル通信により印刷設定画面用URLで指定されたウェブサーバ51にアクセスし、印刷設定画面用URLで指定された印刷設定画面の呼出し要求を行う。
【0061】
プリントサーバ20側では次のステップS22において、制御部50は、ウェブサーバ51がクライアント機器30から呼出し要求を受け付けたことを知ると、現在接続中のプリンタ40からプリンタ設定情報を取得し、HTML生成部52に印刷設定画面用のウェブページの生成を指示する。本実施形態では、現在接続中のプリンタ40(プリンタ情報送信部41)から、まず各プリンタ40に共通の汎用画面である印刷設定画面72(図2)の生成に必要なプリンタ設定情報(プリンタ名を含む)をプリントサーバ20(プリンタ情報取得部54)が取得し、HTML生成部52が、そのプリンタ設定情報を基に印刷設定画面72用のウェブページ(印刷設定画面データ)を作成する。そして、HTML生成部52が作成したウェブページはウェブサーバ51からクライアント機器30にダウンロードされる。なお、この印刷設定画面データには、ウェブページの他、印刷設
定画面上の入力操作に基づき所定の動作を行う表示処理プログラム(表示処理モジュール)と送信処理プログラム(送信モジュール)が組み込まれる。
【0062】
そして、クライアント機器30では印刷設定画面呼出しの結果として、ブラウザ61はそのダウンロードされたウェブページ(図2のブラウザ画面71)を表示部36に表示させる。例えばプリントサーバ20に接続されているプリンタ40が図5に示すように複数台である場合、表示部36に表示されたブラウザ画面71内の印刷設定画面72には、入力欄73が、図2に示すように複数台のプリンタのうち一つを選択可能な状態で表示される。
【0063】
このように印刷設定画面72が表示されると、ホスト(クライアント機器30)側では、ステップS13において、ブラウザ61による印刷設定が行われる。すなわち、ユーザは入力部35を操作して印刷設定画面72の各入力欄への印刷パラメータの設定値を選択入力する。ここで、ユーザが必要に応じて入力欄73で印刷を行わせたいプリンタ名の変更を行い、その後、プロパティボタン74を操作すると、そのプロパティボタン74に対応する印刷設定画面用URLにアクセスして印刷設定画面を呼出す(S12)。」

オ 【図2】の「各プリンタ40に共通の汎用画面である印刷設定画面72」


カ 段落【0064】-【0065】
「【0064】
プリントサーバ20側では、プロパティボタン74に対応する印刷設定画面の呼出し要求をウェブサーバ51が受信したことを知ると、制御部50は、プリンタ情報取得部54に対し、プリンタ名で指定されたプリンタ40から印刷設定画面(図3)の作成に必要なそのプリンタ40に固有の印刷パラメータを特定可能なプリンタ設定情報(用紙サイズ、用紙種類、カラー、基準色等のパラメータ、インク残量情報等を含む)を取得するよう指示する。プリンタ情報取得部54はプリンタ40のプリンタ情報送信部41に対してプリンタ設定情報を要求することで、プリンタ情報送信部41からプリンタ設定情報を取得する。取得したプリンタ設定情報は、プリンタ情報取得部54からHTML生成部52に渡される。HTML生成部52は、そのプリンタ設定情報を基にプリンタ40固有の印刷パラメータを項目として有する印刷設定画面(図3)のウェブページを作成する。そして、HTML生成部52が作成したウェブページはウェブサーバ51からクライアント機器30に送信(ダウンロード)される(S22)。
【0065】
そして、クライアント機器30では印刷設定画面呼出し結果として、ブラウザ61は、そのダウンロードされたウェブページ(図3のブラウザ画面79)を表示部36に表示させる。以下、必要に応じて印刷設定画面の表示を切り替える操作が行われた場合、その度にホスト側から切り替え先の印刷設定画面の呼出し(S12)、プリントサーバ20による印刷設定画面用ウェブページの生成・送信(S22)が行われることで、印刷設定画面80の表示の切り替えが行われる。そして、必要に応じて入力部35の操作によって印刷条件が設定される。例えば 用紙種類、カラー、基準色、用紙サイズ、ファイル形式、縁なし印刷、双方向印刷などの印刷パラメータの値を設定する。例えば用紙種類「普通紙」、カラー「カラー」、基準色「sRGB」、用紙サイズ「A4」、ファイル形式「PDF形式」、縁なし印刷「あり」、双方向印刷「オフ」などの値が設定される。そして、印刷条件設定操作を終えると、ユーザは印刷の実行を指示すべく印刷設定画面72上のOKボタン76を操作する。ここまでの印刷条件設定の操作は、クライアント機器に専用のプリンタドライバがインストールされていた従来構成と、印刷設定画面の表示がブラウザ画面に変わることを除けば操作上の違いはなく、従来と同様に表示部36に表示された印刷設定画面上の操作により印刷条件の設定を行うことができる。」

キ 【図3】の「プロパティボタン74に対応する印刷設定画面80」


ク 段落【0066】-【0072】
「【0066】
ホスト側では、ステップS14において、ブラウザ61による印刷設定結果をプリントサーバ20に送信する。すなわち、印刷設定画面における印刷パラメータに設定された設定値を含む印刷設定データをプリントサーバ20にHTTPプロトコル通信により送信する。ここで、入力部35の印刷実行を指示する旨の操作をトリガとして、送信モジュールが起動され、送信モジュールがブラウザ61に印刷設定データの送信を指示する。
【0067】
プリントサーバ20側では、ステップS23において、その受信した印刷設定データを印刷設定記憶部55に格納する。詳しくは、ウェブサーバ51が受信した印刷設定データの中身をHTML解析部53が解析し、印刷パラメータとその設定値のデータのみを抽出して新たに作成し直した印刷設定データを印刷設定記憶部55に格納する。設定値はプリンタドライバが印刷データを生成するときの処理条件として印刷設定記憶部55に保存される。
【0068】
一方、ホスト側では、ステップS15において、印刷設定画面72でOKボタン76の操作に基づき印刷用ファイルの転送も行う。すなわち、入力部35の印刷実行を指示する旨の操作をトリガとして起動された送信モジュール62Bが、印刷用ファイルの転送処理も行う。すなわち、送信モジュール62Bは、ファイル転送モジュール63に対し、印刷用ファイルをプリントサーバ20の印刷フォルダ(ファイル記憶部57)に転送(コピー)することを指示する。この結果、ファイル転送モジュール63,56間の通信(CIFC/SNB/NFS)により印刷用ファイルがプリントサーバ20に転送され、印刷用ファイルを受信したファイル転送モジュール56はそれを印刷設定記憶部55に格納する。
【0069】
プリントサーバ20では、ステップS24において、印刷フォルダにデータ(ファイル)があるか否かを確認する。印刷フォルダにデータがあればステップS25に進み、データがなければステップS21に戻る。
【0070】
ステップS25では、ファイル形式に応じた変換アプリケーションを起動し、印刷用ファイルから印刷用の中間言語データ(BMP等)を生成する。詳しくは、制御部50は、印刷設定記憶部55からファイル形式の情報を取得して、印刷用ファイルのファイル形式を判別する。そして、その判別したファイル形式に応じた中間言語変換部58A(変換アプリケーション)を選定して起動させる。中間言語変換部58Aは印刷用ファイルを中間言語データに変換する変換処理を行う。このとき、例えばPDFファイルがコピーされたら、PDF印刷ソフトを起動して中間言語データに変換する。また、WordやExcelのファイルがコピーされたら、Officeファイル印刷ソフトを起動して中間言語データに変換する。さらにjpegファイルがコピーされたら、jpegファイル印刷ソフトを起動して中間言語データに変換する。もしくは、ドキュメントビューワなどのファイル変換ソフトを起動して中間言語データに変換する。
【0071】
次のステップS26では、中間言語をPDLに変換して印刷データを生成する。詳しくは、制御部50は、プリンタドライバ59を起動させ、プリンタドライバ59に中間言語データを与えてこれを印刷データに変換する印刷処理の実行を指示する。プリンタドライバ59は、印刷設定記憶部55から印刷パラメータの各値を読み出し、印刷パラメータの各値を処理条件として、中間言語データに対して、解像度変換理、色変換処理、ハーフトーン処理及びラスタライズ処理を順次施して印刷データを生成する。
【0072】
ステップS27では、プリンタ40へ印刷データを転送する。このとき、プリントサーバ20に接続された複数台のプリンタ40のうち、印刷設定画面72において入力欄73で選択されていたプリンタ名に対応するプリンタ40に印刷データは転送される。その結果、プリンタ40では印刷実行部42が印刷データに基づく印刷処理を行って、用紙等の記録媒体に所定の印刷が施される。」

(2) 引用発明
よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

「プリントサーバ20、クライアント機器30及びプリンタ40がそれぞれ内部に有する各構成機能部は、それぞれが有するCPUがプログラムを実行することによって構築されるものであり、
ホスト側であるクライアント機器30の処理と、プリントサーバ20の処理において、
ステップS21において、フォルダの監視をスタートし、
ステップS22において、制御部50は、ウェブサーバ51がクライアント機器30から呼出し要求を受け付けたことを知ると、現在接続中のプリンタ40からプリンタ設定情報を取得し、HTML生成部52に印刷設定画面用のウェブページの生成を指示し、
クライアント機器30では印刷設定画面呼出しの結果として、ブラウザ61はそのダウンロードされたウェブページ(ブラウザ画面71)を表示部36に表示させ、表示部36に表示されたブラウザ画面71内の印刷設定画面72には、入力欄73が、複数台のプリンタのうち一つを選択可能な状態で表示され、
ここで、ユーザが必要に応じて入力欄73で印刷を行わせたいプリンタ名の変更を行い、その後、プロパティボタン74を操作すると、そのプロパティボタン74に対応する印刷設定画面用URLにアクセスして印刷設定画面を呼出し(S12)、
プリントサーバ20側では、プロパティボタン74に対応する印刷設定画面の呼出し要求をウェブサーバ51が受信したことを知ると、制御部50は、プリンタ情報取得部54に対し、プリンタ名で指定されたプリンタ40から印刷設定画面の作成に必要なそのプリンタ40に固有の印刷パラメータを特定可能なプリンタ設定情報(用紙サイズ、用紙種類、カラー、基準色等のパラメータ、インク残量情報等を含む)を取得するよう指示し、プリンタ情報取得部54はプリンタ40のプリンタ情報送信部41に対してプリンタ設定情報を要求することで、プリンタ情報送信部41からプリンタ設定情報を取得し、取得したプリンタ設定情報は、プリンタ情報取得部54からHTML生成部52に渡され、HTML生成部52は、そのプリンタ設定情報を基にプリンタ40固有の印刷パラメータを項目として有する印刷設定画面のウェブページを作成し、そして、HTML生成部52が作成したウェブページはウェブサーバ51からクライアント機器30に送信(ダウンロード)され(S22)、
クライアント機器30では、ブラウザ61は、そのダウンロードされたウェブページ(ブラウザ画面79)を表示部36に表示させ、
以下、必要に応じて印刷設定画面の表示を切り替える操作が行われた場合、その度にホスト側から切り替え先の印刷設定画面の呼出し(S12)、プリントサーバ20による印刷設定画面用ウェブページの生成・送信(S22)が行われることで、印刷設定画面80の表示の切り替えが行われ、
必要に応じて入力部35の操作によって印刷条件が設定され、例えば用紙種類、カラー、基準色、用紙サイズ、ファイル形式、縁なし印刷、双方向印刷などの印刷パラメータの値を設定し、
そして、印刷条件設定操作を終えると、ユーザは印刷の実行を指示すべく印刷設定画面72上のOKボタン76を操作し、
印刷設定画面における印刷パラメータに設定された設定値を含む印刷設定データをプリントサーバ20にHTTPプロトコル通信により送信し、
ステップS23において、ウェブサーバ51が受信した印刷設定データの中身をHTML解析部53が解析し、印刷パラメータとその設定値のデータのみを抽出して新たに作成し直した印刷設定データを印刷設定記憶部55に格納し、
ステップS25では、ファイル形式に応じた変換アプリケーションを起動し、印刷用ファイルから印刷用の中間言語データ(BMP等)を生成し、
ステップS26では、制御部50は、プリンタドライバ59を起動させ、プリンタドライバ59に中間言語データを与えてこれを印刷データに変換する印刷処理の実行を指示し、プリンタドライバ59は、印刷設定記憶部55から印刷パラメータの各値を読み出し、印刷パラメータの各値を処理条件として、中間言語データに対して、解像度変換理、色変換処理、ハーフトーン処理及びラスタライズ処理を順次施して印刷データを生成し、
ステップS27では、プリンタ40へ印刷データを転送する、
プログラム。」

2 引用文献2-4について

(1) 引用文献2には、下記の記載がある。

ア 段落【0065】
「【0065】
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、プリンタの状態が刻々と変化することに対応するため、プリンタからプリントサーバへ周期的にプリンタ情報を通知するようにしたものである。例えば、所定のサイズの用紙につき紙切れが発生した場合、既に登録されたプリンタ情報ではそのサイズの用紙が使用可能であると判断されてしまうが、周期的にプリンタ情報を通知することで、最新の状態を反映したプリンタ情報とすることができる。」

イ 段落【0076】
「【0076】
<第5の実施形態>
第5の実施形態は、プリンタの状態が刻々と変化することに対応するため、印刷要求時(オンデマンド)にプリントサーバがプリンタからプリンタ情報を取得するようにしたものである。」

(2) 引用文献3には、段落【0069】-【0078】に、下記の記載がある。

「【0069】図6はプリンタの状態を監視するプリンタエージェントの処理を示したフローチャートである。この実施形態のネットワークに接続された出力機器各々に内蔵されているプリンタエージェントはその出力機器がネットワークの構成要素として機能している間は常に動作し、その出力機器の状態を監視し、何らかの変化があった場合にはプリンタ管理サーバ1101へ通知する。
【0070】まず、ステップS101では、例えば、記録用紙の用紙切れ、記録用紙の紙詰まりの有無などのプリンタ機器の状態をチェックする。そのチェック終了後、処理はステップS102において、プリンタの出力の状況をチェックする。このチェックは、単に機器がプリント出力中か否かをチェックする以外にも、プリント出力中であれば、その出力中のジョブの予定終了時刻などの情報も収集する。その終了後、処理はステップS103へ進む。
【0071】ステップS103では、ステップS101?S102で行ったプリンタの機器状態と出力状態のチェック結果と前回のチェック結果とを比較し、その状態に変化があったかどうかを調べる。ここで、前回と比較して状態に変化があれば、処理はステップS104へ進み、変化が無い場合には処理はステップS101に戻り状態監視を続ける。
【0072】ステップS104では、プリンタの状態に変化があったことをプリンタ管理サーバ1101に通知する。このときの、サーバ側の処理は後で詳細に説明する。その後、処理はステップS101へ戻る。

・・・(中略)・・・

【0078】このようにこの実施形態では、ネットワークに接続された複数のユーザと複数の出力機器をプリンタ管理サーバでグループ化して管理が実現される。また、各出力装置に内蔵されたプリンタエージェントがその出力装置の状態を常時監視し、状態変化が発生したときのみ管理サーバにその旨を通知し、サーバ情報をほぼリアルタイムに更新している。このプリンタエージェントを利用すれば、管理サーバにプリンタ情報要求を通知してきたユーザに対し、最新のプリンタ情報を通知することできる。」


(3) 引用文献4には、図面(特に図8)と共に、段落[0053]-[0055]に、下記の記載がある。

「 [0053] The flow chart of FIG. 8 illustrates a method 800 for updating a printer and for updating a printer description file associated with the printer. The elements of the method may be performed by any desired means, such as by the execution of processor-readable instructions defined on a processor-readable media, such as a disk, a ROM or other memory device.
[0054] At block 802, under some circumstances, the printer is updated. The updating may include default settings or other internal state changing, or installation of new hardware such as a paper tray that will collate or staple media.
[0055] At block 804, the printer description or self-description file is replaced or altered, to reflect the changes in the printer. The printer description file may be located on the printer, as is the printer self-description file 128 in FIG. 1, or in an alternate location, such as the server 204 of FIG. 2.」
(訳:
[0053] 図8のフローチャートは、プリンタの更新、及び、プリンタに関連するプリンタ記述ファイルの更新のための方法800を示す。この方法の要素は、任意の所望の手段によって実行でき、例えば、ディスク、ROM、その他のメモリ装置などのプロセッサ可読媒体上で定義されたプロセッサ可読命令の実行によって実行できる。
[0054] ブロック802では、いくつかの状況下では、プリンタが更新される。更新には、デフォルト設定その他の内部ステータスの変更や、媒体を丁合したり、ステープルする用紙トレーのような新たなハードウェアの設置が含まれる。
[0055] ブロック804では、プリンタの変更を反映するために、プリンタ記述ファイルや自己記述ファイルが置換または更新される。プリンタ記述ファイルは、図1の自己記述ファイル128と同様に、プリンタ上に配置してもよいし、代替的な場所、例えば、図2のサーバ204に配置してもよい。)


第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 引用発明の「プリントサーバ20」の「CPU」で実行される「プログラム」は、本願発明1の「プリンタに接続されるサーバのためのコンピュータプログラム」に相当する。

イ 引用発明の「プリンタ情報取得部54」は、本願発明1の「第1の情報取得部」に相当する。
よって、引用発明の「プリントサーバ20の処理」の「ステップS22」において、「ステップS22において、制御部50は、ウェブサーバ51がクライアント機器30から呼出し要求を受け付けたことを知ると、現在接続中のプリンタ40からプリンタ設定情報を取得し、HTML生成部52に印刷設定画面用のウェブページの生成を指示し」、そして、「プリントサーバ20側では、プロパティボタン74に対応する印刷設定画面の呼出し要求をウェブサーバ51が受信したことを知ると、制御部50は、プリンタ情報取得部54に対し、プリンタ名で指定されたプリンタ40から印刷設定画面の作成に必要なそのプリンタ40に固有の印刷パラメータを特定可能なプリンタ設定情報(用紙サイズ、用紙種類、カラー、基準色等のパラメータ、インク残量情報等を含む)を取得するよう指示し、プリンタ情報取得部54はプリンタ40のプリンタ情報送信部41に対してプリンタ設定情報を要求することで、プリンタ情報送信部41からプリンタ設定情報を取得し」ていることは、本願発明1の「前記プリンタに要求を送信することなく、前記プリンタが利用可能な印刷条件の候補である第1の候補条件を示す第1の候補条件情報と、前記プリンタを識別するためのプリンタ識別情報と、を含む第1のプリンタ情報を、前記プリンタから取得する第1の情報取得部」と、「前記プリンタが利用可能な印刷条件の候補である第1の候補条件を示す第1の候補条件情報、を含む第1のプリンタ情報を、前記プリンタから取得する第1の情報取得部であって、前記第1の候補条件は、特定の印刷条件を含む、前記第1の情報取得部」である点で共通するといえる。

ウ 引用発明の「HTML生成部52」は、本願発明1の「第1の画面供給部」に相当する。
よって、引用発明の「ホスト側であるクライアント機器30の処理」の「ステップS12」において、「ここで、ユーザが必要に応じて入力欄73で印刷を行わせたいプリンタ名の変更を行い、その後、プロパティボタン74を操作すると、そのプロパティボタン74に対応する印刷設定画面用URLにアクセスして印刷設定画面を呼出し(S12)」、また、引用発明の「プリントサーバ20の処理」の「ステップS22」において、「プリントサーバ20側では、プロパティボタン74に対応する印刷設定画面の呼出し要求をウェブサーバ51が受信したことを知ると、制御部50は、プリンタ情報取得部54に対し、プリンタ名で指定されたプリンタ40から印刷設定画面の作成に必要なそのプリンタ40に固有の印刷パラメータを特定可能なプリンタ設定情報(用紙サイズ、用紙種類、カラー、基準色等のパラメータ、インク残量情報等を含む)を取得するよう指示し、プリンタ情報取得部54はプリンタ40のプリンタ情報送信部41に対してプリンタ設定情報を要求することで、プリンタ情報送信部41からプリンタ設定情報を取得し、取得したプリンタ設定情報は、プリンタ情報取得部54からHTML生成部52に渡され、HTML生成部52は、そのプリンタ設定情報を基にプリンタ40固有の印刷パラメータを項目として有する印刷設定画面のウェブページを作成し、そして、HTML生成部52が作成したウェブページはウェブサーバ51からクライアント機器30に送信(ダウンロード)され(S22)」、「クライアント機器30では、ブラウザ61は、そのダウンロードされたウェブページ(ブラウザ画面79)を表示部36に表示させ」、「必要に応じて入力部35の操作によって印刷条件が設定され、例えば用紙種類、カラー、基準色、用紙サイズ、ファイル形式、縁なし印刷、双方向印刷などの印刷パラメータの値を設定し」ていることは、本願発明1の「前記プリンタから前記第1のプリンタ情報が取得された後に、端末装置から画面要求を受信することに応じて、前記プリンタから前記第1のプリンタ情報を再度取得することなく、前記第1の候補条件情報を利用して、印刷で利用されるべき印刷条件である利用印刷条件を設定させるための第1の設定画面を、前記端末装置に供給する第1の画面供給部であって、前記第1の設定画面は、特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在する場合に、前記特定の項目を示す画像と、前記特定の項目に対応する前記2以上の選択肢を示す画像と、を含み、前記第1の設定画面では、前記特定の項目に対応する2以上の選択肢の中から1つの選択肢がユーザによって指定されることに応じて、前記利用印刷条件として前記1つの選択肢を設定させることが可能であり、前記第1の設定画面は、前記特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在しない場合に、前記特定の項目を示す前記画像と、前記特定の項目に対応する選択肢を示す画像と、を含まない、前記第1の画面供給部」と、「前記プリンタから前記第1のプリンタ情報が取得された後に、端末装置から画面要求を受信することに応じて、前記第1の候補条件情報を利用して、印刷で利用されるべき印刷条件である利用印刷条件を設定させるための第1の設定画面を、前記端末装置に供給する第1の画面供給部であって、前記第1の設定画面は、特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在する場合に、前記特定の項目を示す画像と、前記特定の項目に対応する前記2以上の選択肢を示す画像と、を含み、前記第1の設定画面では、前記特定の項目に対応する2以上の選択肢の中から1つの選択肢がユーザによって指定されることに応じて、前記利用印刷条件として前記1つの選択肢を設定させることが可能である、前記第1の画面供給部」である点で共通するといえる。

エ 上記「イ」、「ウ」における、引用発明の「プリンタ情報取得部54」及び「HTML生成部52」の動作を参照すると、引用発明の「プリンタ情報取得部54」及び「HTML生成部52」によって、「以下、必要に応じて印刷設定画面の表示を切り替える操作が行われた場合、その度にホスト側から切り替え先の印刷設定画面の呼出し(S12)、プリントサーバ20による印刷設定画面用ウェブページの生成・送信(S22)が行われることで、印刷設定画面80の表示の切り替えが行われる」動作は、本願発明1が「前記プリンタから前記第1のプリンタ情報が取得された後に、前記プリンタに要求を送信することなく、前記第1の候補条件とは異なる第2の候補条件を示す第2の候補条件情報と、前記プリンタ識別情報と、を含む第2のプリンタ情報を、前記プリンタから取得する第2の情報取得部」を備え、さらに、「前記プリンタから前記第2のプリンタ情報が取得された後に、前記端末装置から前記画面要求を受信することに応じて、前記プリンタから前記第2のプリンタ情報を再度取得することなく、前記第2の候補条件情報を利用して、前記利用印刷条件を設定させるための第2の設定画面を、前記端末装置に供給する第2の画面供給部であって、前記第2の設定画面は、前記特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在する場合に、前記特定の項目を示す前記画像と、前記特定の項目に対応する前記2以上の選択肢を示す前記画像と、を含み、前記第2の設定画面では、前記特定の項目に対応する前記2以上の選択肢の中から1つの選択肢がユーザによって指定されることに応じて、前記利用印刷条件として前記1つの選択肢を設定させることが可能であり、前記第2の設定画面は、前記特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在しない場合に、前記特定の項目を示す前記画像と、前記特定の項目に対応する選択肢を示す画像と、を含まない、前記第2の画面供給部」を備えることと、「前記プリンタから前記第1のプリンタ情報が取得された後に、前記端末装置から前記画面要求を受信することに応じて、前記第1の候補条件とは異なる第2の候補条件を示す第2の候補条件情報、を含む第2のプリンタ情報を、前記プリンタから取得する第2の情報取得部」を備え、さらに、「前記プリンタから前記第2のプリンタ情報が取得された後に、前記端末装置から前記画面要求を受信することに応じて、前記第2の候補条件情報を利用して、前記利用印刷条件を設定させるための第2の設定画面を、前記端末装置に供給する第2の画面供給部であって、前記第2の設定画面は、前記特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在する場合に、前記特定の項目を示す前記画像と、前記特定の項目に対応する前記2以上の選択肢を示す前記画像と、を含み、前記第2の設定画面では、前記特定の項目に対応する前記2以上の選択肢の中から1つの選択肢がユーザによって指定されることに応じて、前記利用印刷条件として前記1つの選択肢を設定させることが可能である、前記第2の画面供給部」を備える点で共通するといえる。

カ 引用発明の「HTML解析部53」は、本願発明1の「条件取得部」に相当する。
よって、引用発明の「ステップS23において、ウェブサーバ51が受信した印刷設定データの中身をHTML解析部53が解析し、印刷パラメータとその設定値のデータのみを抽出して新たに作成し直した印刷設定データを印刷設定記憶部55に格納し」ていることは、本願発明1の「前記第2の設定画面が前記端末装置に供給された後に、前記第2の設定画面を介して設定された前記利用印刷条件を、前記端末装置から取得する条件取得部」に相当する。

キ 引用発明の「プリンタドライバ59」は、本願発明1の「生成部」に相当する。
よって、引用発明の「プリンタドライバ59は、印刷設定記憶部55から印刷パラメータの各値を読み出し、印刷パラメータの各値を処理条件として、中間言語データに対して、解像度変換理、色変換処理、ハーフトーン処理及びラスタライズ処理を順次施して印刷データを生成し」ていることは、本願発明1の「前記端末装置から前記利用印刷条件が取得された後に、前記利用印刷条件に適合する印刷データを生成する生成部」に相当する。

ク 引用発明において「ステップS27では、プリンタ40へ印刷データを転送」していることは、本願発明1の「前記印刷データが生成される場合に、前記印刷データを、前記プリンタに供給するデータ供給部」に相当する。

よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]
「プリンタに接続されるサーバのためのコンピュータプログラムであって、
前記サーバのコンピュータを、以下の各部、即ち、
前記プリンタが利用可能な印刷条件の候補である第1の候補条件を示す第1の候補条件情報、を含む第1のプリンタ情報を、前記プリンタから取得する第1の情報取得部と、
前記プリンタから前記第1のプリンタ情報が取得された後に、端末装置から画面要求を受信することに応じて、前記第1の候補条件情報を利用して、印刷で利用されるべき印刷条件である利用印刷条件を設定させるための第1の設定画面を、前記端末装置に供給する第1の画面供給部であって、前記第1の設定画面は、特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在する場合に、前記特定の項目を示す画像と、前記特定の項目に対応する前記2以上の選択肢を示す画像と、を含み、前記第1の設定画面では、前記特定の項目に対応する2以上の選択肢の中から1つの選択肢がユーザによって指定されることに応じて、前記利用印刷条件として前記1つの選択肢を設定させることが可能である、前記第1の画面供給部と、
前記プリンタから前記第1のプリンタ情報が取得された後に、前記第1の候補条件とは異なる第2の候補条件を示す第2の候補条件情報、を含む第2のプリンタ情報を、前記プリンタから取得する第2の情報取得部と、
前記プリンタから前記第2のプリンタ情報が取得された後に、前記端末装置から前記画面要求を受信することに応じて、前記第2の候補条件情報を利用して、前記利用印刷条件を設定させるための第2の設定画面を、前記端末装置に供給する第2の画面供給部であって、前記第2の設定画面は、前記特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在する場合に、前記特定の項目を示す前記画像と、前記特定の項目に対応する前記2以上の選択肢を示す前記画像と、を含み、前記第2の設定画面では、前記特定の項目に対応する前記2以上の選択肢の中から1つの選択肢がユーザによって指定されることに応じて、前記利用印刷条件として前記1つの選択肢を設定させることが可能である、前記第2の画面供給部と、
前記第2の設定画面が前記端末装置に供給された後に、前記第2の設定画面を介して設定された前記利用印刷条件を、前記端末装置から取得する条件取得部と、
前記端末装置から前記利用印刷条件が取得された後に、前記利用印刷条件に適合する印刷データを生成する生成部と、
前記印刷データが生成される場合に、前記印刷データを、前記プリンタに供給するデータ供給部と、
として機能させる、コンピュータプログラム。」

[相違点1]
本願発明1の「第1の情報取得部」と「第2の情報取得部」は、いずれも、「前記プリンタに要求を送信することなく」プリンタ情報を取得するのに対して、引用発明では、「前記プリンタに要求を送信することなく」プリンタ情報を取得することが特定されていない点。

[相違点2]
本願発明1の「第1の情報取得部」と「第2の情報取得部」は、いずれも、「前記プリンタを識別するためのプリンタ識別情報」を含むプリンタ情報を取得するのに対して、引用発明では、「前記プリンタを識別するためのプリンタ識別情報」を含むプリンタ情報を取得することが特定されていない点。

[相違点3]
本願発明1の「第1の画面供給部」と「第2の画面供給部」は、いずれも、端末装置から画面要求を受信することに応じて、「前記プリンタから前記第1のプリンタ情報(または、第2のプリンタ情報)を再度取得することなく」設定画面を供給するのに対して、引用発明では、端末装置から画面要求を受信すると、プリンタから「プリンタ情報を再度取得することなく」設定画面を供給することが特定されていない点。

[相違点4]
本願発明1の「第1の画面供給部」と「第2の画面供給部」は、いずれも、「前記特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在しない場合に、前記特定の項目を示す前記画像と、前記特定の項目に対応する選択肢を示す画像と、を含まない」設定画面を供給するのに対して、引用発明では、特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在しない場合に、特定の項目と、特定の項目に対応する選択肢を示す画像を含まない設定画面を供給することが特定されていない点。


(2) 当審の判断
事案に鑑みて、本願発明1の上記[相違点4]について、先に検討する。
上記[相違点4]に係る、「第1の画面供給部」と「第2の画面供給部」は、いずれも、「前記特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在しない場合に、前記特定の項目を示す前記画像と、前記特定の項目に対応する選択肢を示す画像と、を含まない」設定画面を供給することは、上記引用文献1-2には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。
すなわち、上記引用文献1-2において、印刷パラメータの特定の項目に、対応する2以上の選択肢が存在しない場合に関する記載や示唆はない。
引用発明は、「プリンタ名で指定されたプリンタ40から印刷設定画面の作成に必要なそのプリンタ40に固有の印刷パラメータを特定可能なプリンタ設定情報(用紙サイズ、用紙種類、カラー、基準色等のパラメータ、インク残量情報等を含む)を取得するよう指示し」、「プリンタ40固有の印刷パラメータを項目として有する印刷設定画面のウェブページを作成」する構成であるから、引用発明では、選択肢の個数に関わらず「プリンタ40に固有の印刷パラメータ」が印刷設定画面に表示されると解するのが自然である。

したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2) 請求項2-10について
本願発明2-10も、本願発明1の上記[相違点4]に係る、「第1の画面供給部」と「第2の画面供給部」は、いずれも、「前記特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在しない場合に、前記特定の項目を示す前記画像と、前記特定の項目に対応する選択肢を示す画像と、を含まない」設定画面を供給することと、同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 原査定についての判断
令和3年8月6日付けの補正により、補正後の請求項1-10は、本願発明1の上記[相違点4]に係る、「第1の画面供給部」と「第2の画面供給部」は、いずれも、「前記特定の項目に対応する2以上の選択肢が存在しない場合に、前記特定の項目を示す前記画像と、前記特定の項目に対応する選択肢を示す画像と、を含まない」設定画面を供給するという技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A-Cには記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1-10は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Cに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-09-28 
出願番号 特願2018-200044(P2018-200044)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 征矢 崇  
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 稲葉 和生
野崎 大進
発明の名称 サーバ、プリンタ、及び、サーバのためのコンピュータプログラム  
代理人 特許業務法人快友国際特許事務所  

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