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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 H05B 審判 全部申し立て 2項進歩性 H05B |
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管理番号 | 1378719 |
異議申立番号 | 異議2020-700119 |
総通号数 | 263 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2021-11-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-02-26 |
確定日 | 2021-08-13 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6567015号発明「封止体および発光装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6567015号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕、〔4〕について訂正することを認める。 特許第6567015号の請求項1-3、4に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続等の経緯 特許第6567015号の請求項1?4に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成25年7月24日(先の出願に基づく優先権主張 平成24年7月30日)を出願日とする特願2013-153148号の一部を平成29年10月10日に新たな特許出願としたものであって、令和元年8月9日にその特許権の設定登録がされたものである。 本件特許について、令和元年8月28日に特許掲載公報が発行されたところ、その発行の日から6月以内である令和2年2月26日に、特許異議申立人 井上亮(以下「特許異議申立人」という。)から全請求項に対して特許異議の申立てがされた。その後の手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。 令和 2年 5月29日付け:取消理由通知書 令和 2年 8月 6日付け:意見書(特許権者) 令和 2年 8月 6日付け:訂正請求書 令和 2年 9月10日付け:手続補正書(方式・特許権者) 令和 2年12月10日付け:意見書(特許異議申立人) 令和 3年 2月26日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和 3年 4月14日付け:訂正請求書(この訂正請求書による訂正の請 求を、以下「本件訂正請求」という。) 令和 3年 4月14日付け:意見書(特許権者) 本件訂正請求により、令和2年8月6日付けの訂正請求書による訂正の請求は取り下げられたものとみなす(特許法第120条の5第7項)。 なお、令和3年4月14日付けの訂正請求書及び意見書に対する特許異議申立人からの応答はなかった。 第2 本件訂正請求について 1 訂正の趣旨及び訂正の内容 (1)訂正の趣旨 本件訂正請求の趣旨は、特許第6567015号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?4について訂正することを求める、というものである。 (2)訂正の内容 本件訂正請求において特許権者が求める訂正の内容は、以下のとおりである。なお、下線は当合議体が付したものであり、訂正箇所を示す。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「第1基板と、 第1基板と間隙をもって前記第1基板の第1の面と対向配置された第2基板と、」と記載されているのを、 「第1基板と、 前記第1基板と間隙をもって前記第1基板の第1の面と対向配置された第2基板と、」に訂正する(請求項1の記載を引用して記載された、請求項2及び3についても、同様に訂正する。)。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に、 「前記第1の金属層の短手方向における断面視において、前記第2金属層は、前記第1絶縁層を介して前記第1金属層の端部を覆う領域を有し、」と記載されているのを、 「前記第1金属層の短手方向における断面視において、前記第2金属層は、前記第1絶縁層を介して前記第1金属層の端部を覆う領域を有し、」に訂正する(請求項1の記載を引用して記載された、請求項2及び3についても、同様に訂正する。)。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に、 「前記シール材は、前記第1基板側において前記第2絶縁層上面に接する領域を有するとともに、前記第1金属層との交差部において前記第2金属層と重なる領域を有する、」と記載されているのを、 「前記シール材は、前記第1基板側において前記第2絶縁層上面に接する領域を有するとともに、前記第1金属層との交差部において前記第2金属層と重なる領域を有し、 平面視において、前記シール材が形成されるシール材形成領域は、前記第2金属層の形成領域に、前記シール材形成領域の外周が前記第2金属層の外周に重ならずに収まるように位置する、」に訂正する(請求項1の記載を引用して記載された、請求項2及び3についても、同様に訂正する。)。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に、 「前記第1金属層は、発光素子の第1電極、前記トランジスタのゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極と電気的に接続され、且つ電源供給線としての機能を有し、」と記載されているのを、 「前記第1金属層は、前記発光素子の第1電極、前記トランジスタのゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極と電気的に接続され、且つ電源供給線としての機能を有し、」に訂正する。 オ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項4に、 「前記第1の金属層の短手方向における断面視において、前記第2金属層は、前記第1絶縁層を介して前記第1金属層の端部を覆う領域を有し、 前記シール材は、前記第2金属層と接する領域を有さず、」と記載されているのを、 「前記第1金属層の短手方向における断面視において、前記第2金属層は、前記第1絶縁層を介して前記第1金属層の端部を覆う領域を有し、 前記シール材は、前記第2金属層と接する領域を有さず、」に訂正する。 カ 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項4に、 「前記シール材は、前記第1基板側において前記第2絶縁層上面に接する領域を有するとともに、前記第1金属層との交差部において前記第2金属層と重なる領域を有する、」と記載されているのを、 「前記シール材は、前記第1基板側において前記第2絶縁層上面に接する領域を有するとともに、前記第1金属層との交差部において前記第2金属層と重なる領域を有し、 平面視において、前記シール材が形成されるシール材形成領域は、前記第2金属層の形成領域に、前記シール材形成領域の外周が前記第2金属層の外周に重ならずに収まるように位置する、」に訂正する。 (3)本件訂正請求は、一群の請求項〔1?3〕、〔4〕ごとに請求されたものである。 2 訂正の適否 (1)一群の請求項1?3についてする訂正について ア 訂正事項1について 訂正事項1による訂正は、特許請求の範囲の請求項1に記載された「第1基板」が、全て同じものである(初出以外の「第1基板」は前記のものである)ことを明らかにする訂正である。 したがって、訂正事項1による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる事項(明瞭でない記載の釈明)を目的とする訂正に該当する。 また、訂正事項1による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは、明らかである。 請求項2及び3についてみても、同様である。 イ 訂正事項2について 訂正事項2による訂正は、特許請求の範囲の請求項1の「前記第1の金属層」との記載が、「前記第1金属層」の誤記であるため、「前記第1の金属層」を「前記第1金属層」に書き改める訂正である。 したがって、訂正事項2による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書2号に掲げる事項(誤記の訂正)を目的とする訂正に該当する。 また、訂正事項2による訂正が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかである。 請求項2及び3についてみても、同様である。 ウ 訂正事項3について 訂正事項3による訂正は、特許請求の範囲の請求項1に記載された「シール材」及び「第2金属層」を、「平面視において、前記シール材が形成されるシール材形成領域は、前記第2金属層の形成領域に、前記シール材形成領域の外周が前記第2金属層の外周に重ならずに収まるように位置する」という位置関係を満たすものに限定する訂正である。 したがって、訂正事項3による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とする訂正に該当する。 ここで、本件特許の願書に添付した明細書の【0025】、【0027】、【0044】及び【0049】には、それぞれ、「第2金属層113を設けると、第2金属層がレーザ光を吸収、反射するので、ガラスフリットを一様に加熱することができる。」、「第2金属層113は、レーザ光によってガラスフリットを一様に加熱し溶融させるために設ける。・・・第2金属層113は、第1絶縁層105と接して設けられ、シール材500と重なるように形成される。」、「第2金属層113を設けると、第2金属層がレーザ光を吸収、反射するので、ガラスフリットを一様に加熱することができる。」及び「第2金属層113は、レーザ光によってガラスフリットを一様に加熱し溶融させるために設ける。・・・第2金属層113は、第1絶縁層105と接して設けられ、シール材500と重なるように形成される。」と記載されている。そして、これら記載とともに、図1?図4、図8も参酌すると、「平面視において、前記シール材が形成されるシール材形成領域は、前記第2金属層の形成領域に、前記シール材形成領域の外周が前記第2金属層の外周に重ならずに収まるように位置する」という技術的事項を導き出すことができる。 そうしてみると、訂正事項3による訂正は、当業者によって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。 したがって、訂正事項3による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 また、訂正事項3による訂正により、訂正前の特許請求の範囲に含まれないこととされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることにはならない。 したがって、訂正事項3による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 請求項2及び3についてみても、同様である。 エ 小括 本件訂正請求のうち、一群の請求項1?3についてする訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書1号?3号に掲げる事項を目的とするものである。また、同訂正は、同条第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 (2)一群の請求項4についてする訂正について ア 訂正事項4について 訂正事項4による訂正は、特許請求の範囲の請求項4に記載された「発光素子」が、全て同じものである(初出以外の「発光素子」は前記のものである)ことを明らかにする訂正である。 したがって、訂正事項4による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる事項(明瞭でない記載の釈明)を目的とする訂正に該当する。 また、訂正事項4による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは、明らかである。 イ 訂正事項5について 訂正事項5による訂正は、特許請求の範囲の請求項4の「前記第1の金属層」との記載が、「前記第1金属層」の誤記であるため、「前記第1の金属層」を「前記第1金属層」に書き改める訂正である。 したがって、訂正事項5による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書2号に掲げる事項(誤記の訂正)を目的とする訂正に該当する。 また、訂正事項5による訂正が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかである。 ウ 訂正事項6について 訂正事項6による訂正は、特許請求の範囲の請求項4に記載された「シール材」及び「第2金属層」を、「平面視において、前記シール材が形成されるシール材形成領域は、前記第2金属層の形成領域に、前記シール材形成領域の外周が前記第2金属層の外周に重ならずに収まるように位置する」という位置関係を満たすものに限定する訂正である。 したがって、訂正事項6による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とする訂正に該当する。 また、本件特許の願書に添付した明細書の【0025】、【0027】、【0044】、【0049】、図1?図4、及び図8の記載から「平面視において、前記シール材が形成されるシール材形成領域は、前記第2金属層の形成領域に、前記シール材形成領域の外周が前記第2金属層の外周に重ならずに収まるように位置する」という技術的事項を導き出すことができることは、前記(1)ウで述べたとおりである。 そうしてみると、訂正事項6による訂正は、当業者によって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面のすべての記載を総合することにより導かれる事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。 したがって、訂正事項6による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 加えて、訂正事項6による訂正により、訂正前の特許請求の範囲に含まれないこととされた発明が訂正後に特許請求の範囲に含まれることにはならない。 したがって、訂正事項6による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 エ 小括 本件訂正請求のうち、一群の請求項4についてする訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書1号?3号に掲げる事項を目的とするものである。また、同訂正は、同条第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 (3)訂正についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正(訂正事項1?6による訂正)は、特許法120条の5第2項ただし書、同法同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 よって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?3〕、〔4〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 前記「第2」のとおり、本件訂正請求による訂正は認められた。 したがって、本件特許の請求項1?4に係る発明(以下、それぞれ、「本件特許発明1」?「本件特許発明4」という。)は、本件訂正請求による訂正後の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 第1基板と、 前記第1基板と間隙をもって前記第1基板の第1の面と対向配置された第2基板と、 前記第1基板と前記第2基板との間の空間を密封するシール材と、を有し、 前記第1基板は、前記第1の面上に 第1金属層と、 前記第1金属層を覆う領域を有する第1絶縁層と、 前記第1絶縁層を介して前記第1金属層と重なる領域を有する第2金属層と、 前記第1絶縁層上面に接する領域及び前記第2金属層を覆う領域を有する第2絶縁層と、を有し、 前記第2金属層は、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、銅、又はクロムを含み、 前記第2絶縁層は、酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、又は窒化酸化シリコンを含み、 前記第1金属層は、電源供給線としての機能を有し、 前記第1金属層の短手方向における断面視において、前記第2金属層は、前記第1絶縁層を介して前記第1金属層の端部を覆う領域を有し、 前記シール材は、前記第2金属層と接する領域を有さず、 前記シール材は、前記第1基板側において前記第2絶縁層上面に接する領域を有するとともに、前記第1金属層との交差部において前記第2金属層と重なる領域を有し、 平面視において、前記シール材が形成されるシール材形成領域は、前記第2金属層の形成領域に、前記シール材形成領域の外周が前記第2金属層の外周に重ならずに収まるように位置する、封止体。 【請求項2】 請求項1において、 前記シール材は、低融点ガラスである、封止体。 【請求項3】 請求項1又は2において、 前記第1金属層は、前記シール材で囲まれた領域の内側から外側に引き出された領域を有する、封止体。 【請求項4】 画素領域と、前記画素領域以外の領域である非画素領域とを備えた第1基板と、 前記第1基板と間隙をもって対向配置された第2基板と、 前記第1基板と前記第2基板との間の空間を密封するシール材と、を有し、 前記画素領域は、トランジスタと、前記トランジスタと電気的に接続された発光素子とを有し、 前記非画素領域は、 第1金属層と、 前記第1金属層を覆う領域を有する第1絶縁層と、 前記第1絶縁層を介して前記第1金属層と重なる領域を有する第2金属層と、 前記第1絶縁層上面に接する領域及び前記第2金属層を覆う領域を有する第2絶縁層と、を有し、 前記第2金属層は、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、銅、又はクロムを含み、 前記第2絶縁層は、酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、又は窒化酸化シリコンを含み、 前記第1金属層は、前記発光素子の第1電極、前記トランジスタのゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極と電気的に接続され、且つ電源供給線としての機能を有し、 前記第1金属層の短手方向における断面視において、前記第2金属層は、前記第1絶縁層を介して前記第1金属層の端部を覆う領域を有し、 前記シール材は、前記第2金属層と接する領域を有さず、 前記シール材は、前記第1基板側において前記第2絶縁層上面に接する領域を有するとともに、前記第1金属層との交差部において前記第2金属層と重なる領域を有し、 平面視において、前記シール材が形成されるシール材形成領域は、前記第2金属層の形成領域に、前記シール材形成領域の外周が前記第2金属層の外周に重ならずに収まるように位置する、発光装置。」 第4 取消しの理由及び特許異議の申立ての理由の概要 1 取消理由通知(決定の予告)について (1)当合議体は、令和3年2月26日付け取消理由通知(決定の予告)において、令和2年8月6日付け訂正請求書により訂正された本件特許の特許請求の範囲の請求項1?4に係る発明に対し、概略、以下のとおりの取消理由を通知した。 理由1:(進歩性)本件特許の特許請求の範囲の請求項1?4に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1?4に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 2 令和2年5月29日付け取消理由通知について (1)令和2年5月29日付け取消理由通知で示した理由1(進歩性)は、令和3年2月26日付け取消理由通知(決定の予告)で示したものと同旨である。 (2)令和2年5月29日付け取消理由通知で示した理由2(サポート要件)は、概略、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない、というものである。 (3)令和2年5月29日付け取消理由通知で示した理由3(明確性要件)は、概略、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない、というものである。 第5 当合議体の判断 1 取消理由通知(決定の予告)の「理由1:(進歩性)」について (1)甲第1号証の記載 取消しの理由で引用された甲第1号証(特開2004-55530号公報)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当合議体が付した。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、発光装置、およびこれを用いた電子機器に関するものである。 ・・・省略・・・ 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 上記のように、発光素子の輝度は、基本的に供給される電流の電流量により決定されるため、電流量が所望の値となるよう、正確に設定する必要がある。 【0006】 また、十分な電流量を確保しようとすると、電流を供給するための配線の幅が増大して、額縁領域が大きくなり、種々の電子機器に搭載する際に支障を来すことがある。 【0007】 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、十分な電流量を確保し、あるいは、電源電圧の変動による発光素子の輝度の変動を抑制することが第1の目的である。さらには、上記の要請を満たすとともに、狭額縁化を可能とすることができる発光装置および電子機器を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】 本発明の第1の発光装置は、基板上の有効領域に設けられた、第1の電極と第2の電極との間に挟まれた発光層を有する発光素子を備えた、複数の画素と、前記有効領域の外側で前記第2の電極に接続された電極用配線と、を含み、前記電極用配線は、前記有効領域と前記基板の外周をなす複数の辺のうち少なくとも1つの辺に沿って延在していることを特徴としている。 前記電極用配線は前記基板の外周をなす複数の辺のうち少なくとも1つの辺に沿って延在しているので、前記第2の電極と前記電極用配線との十分な接触面積を確保することができる。」 イ 「【0017】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の発光装置の一実施形態について説明する。 図4に示すように、本実施形態の発光装置1は、複数の走査線101と、走査線101に対して交差する方向に延びる複数のデータ線102と、データ線102に並列に延びる複数の表示用電源線103とがそれぞれ配線された構成となっている。 【0018】 走査線101とデータ線102との交差部には、画素領域Aが設けられている。 【0019】 データ線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオラインおよびアナログスイッチを備えるデータ側駆動回路104が接続されている。走査線101には、シフトレジスタおよびレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。 【0020】 画素領域Aの各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ122と、このスイッチング用の薄膜トランジスタ122を介してデータ線102から共有される画素信号を保持する保持容量capと、該保持容量capによって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用薄膜トランジスタ123と、この駆動用薄膜トランジスタ123を介して表示用電源線103に電気的に接続したときに表示用電源線103から駆動電流が供給され、発光素子110が発光する。 【0021】 発光装置1は、スイッチング用の薄膜トランジスタ122をオン状態とする走査信号が走査線101を介して供給されると、駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ122がオン状態となる。その際、データ線102からデータ信号がスイッチング用の薄膜トランジスタ122を介して供給され、保持容量capに保持される。保持容量capに保持された電荷量に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ123の導通状態が設定される。 【0022】 駆動用の薄膜トランジスタ123を介して、表示用電源線103から画素電極111を介して発光素子110に駆動電流が供給されると、発光素子110は、供給された駆動電流の電流量に応じた輝度で発光する。 図1に示すように、発光装置1の表示領域2aに対応して、赤色の発光を示す画素R、緑色の発光を示す画素G、及び青色の発光を示す画素Bが設けられている。画素R、画素G、及び画素Bに対応して、上述の走査線101(図示せず。)、データ線102(図示せず。)、及び表示用電源線103(図示せず。)が設けられている。図示しないが、表示用電源線103は、第1?第3電源線103G、103B、及び103Rと表示領域2aの外側で接続されている。 第1電源線103Gは回路基板4の外周をなす4辺のうち2辺4a及び4cと表示領域2aとの間に配置され、L字状に形成されている。第1電源線103Gの第1の部分103G1は、フレキシブル基板5が取り付けられた一辺4dと対向する一辺4aと表示領域2aとの間、更に詳しくは検査回路106と一辺4aとの間に設けられている。第1電源線103の第1の部分103G1は、回路基板4の外周をなす4辺のうち対向する2辺である4cから4bの方向に向かって延びている。画素Gに対して設けられた表示用電源線103とは、この第1の部分103G1で接続されている。 第1の電源線103Gの第2の部分103G2は、回路基板4のフレキシブル基板5が取り付けられた側の一辺4d側から一辺4dに対向する一辺4aの方向に延びており、第1の部分103G1と第2の部分103G2とは、第1の電源線103Gが屈曲した形状となるように接続されている。 【0023】 第2電源線103Bは、第1電源線103Gと同様にL字状の形状を有している。第2の電源線103Bは、回路基板4の外周をなす4辺のうち2辺(4a及び4c)と第1電源線103Gとの間に設けられている。第1電源線103Gの第1の部分103G1と辺4aとの間にある第2の電源線103Bの第1の部分103B1で、第2の電源線103Bは、画素Bに対して設けられた表示用電源線103と接続されている。 第3電源線103Rも上述の第1電源線103Gと第2電源線103Bと同様にL字状の形状を有している。第3電源線103Rの第1の部分103R1は、第2電源線103Bの第1の部分103B1と回路基板4の外周をなす4辺のうちフレキシブル基板の取り付けられた側の辺4dと対向する辺4aとの間に設けられており、第3の電源線103Rの第1の部分103R1で、画素Rに対して設けられた表示用電源線103と接続されている。 第3電源線103Rの第2の部分103R2は、上記の第1電源線103G及び第2電源線103Bの第2の部分103G2及び103B2が形成された側の辺である一辺4cとは対向する一辺4bと表示領域2aとの間に形成されている。 回路基板4の一辺4dに取り付けられたフレキシブル基板5は、その上に駆動用IC6を備えている。 【0024】 表示領域2aと上記の一辺4aとの間には検査回路106が設けられている。検査回路106により、製造過程や出荷時の発光装置の品質、欠陥の検査を行うことができるようになっている。 【0025】 2つの走査線駆動回路105は、それぞれ、表示領域2aと第3電源線103Rの第2の部分103R2との間、表示領域2aと第1電源線103Gの第2の部分103G2との間に設けられている。 走査線駆動回路105を制御するための信号を伝送する駆動回路用制御信号配線105a及び駆動回路用電源配線105bは、それぞれ、走査線駆動回路105と第3電源線103Rの第2の部分103R2及び第1電源線103Gの第2の部分103G2との間に設けられている。 【0026】 陰極12に接続された陰極用配線13(対向電極用配線あるいは共通電極用配線)は、第3電源線103R及び第2電源線103Bと回路基板4の外周なす4辺のうちの3辺4a、4b、及び4cとの間に設けられており、外観上コの字形状を有している。 【0027】 陰極用配線13の第1部分13aは、回路基板4のフレキシブル基板5が取り付けられた一辺4dに対向する辺4aと第3電源線103Rの第1の部分103R1との間に設けられ、一辺4aに沿って延在するように形成されている。陰極用配線13の第2の部分13b及び第3の部分13cは、それぞれ、上記の4a及び4d以外の2辺である4b及び4cに沿って配置されている。 【0028】 陰極用配線13は、陰極12の外周12cよりも内側(回路基板4の中央側)に設けることが好ましい。 【0029】 すなわち、陰極用配線13の外周13e(第1部分13aの上縁、第2部分13bの左縁、および第3部分13cの右縁)が、陰極12の外周12cよりも表示領域2aに位置するように形成することが好ましい。 【0030】 陰極用配線13の外周13eと、陰極12の外周12cとの距離は、1mm以上(好ましくは2mm以上)とするのが好適である。 【0031】 このような構成とすることにより、陰極12の形成位置にずれが生じた場合でも、陰極12と陰極用配線13との接触面積を確保することが可能であり、陰極12と陰極用配線13との接続部における電気抵抗を所望の電気抵抗以下となるようにすることができる。 【0032】 陰極12の電流密度が不均一となると、表示ムラ等の表示品位の低下を引き起こすことがあるので、十分な電流供給量を確保するために陰極用配線13の幅は、可能な限り幅広くすることが好ましい。例えば、第1?第3電源線103G、103B、103Rのうち、最大の幅を有する電源線の幅以上に設定するのが好ましい。さらに第1?第3電源線103G、103B、103Rの合計の幅以上とすれば、上記のような表示ムラ等の問題をより低減することができる。 【0033】 陰極用配線13は、駆動回路用制御信号配線105a、駆動回路用電源配線105b、第1?第3電源線駆動回路103G、103B、103Rとともに、接続配線5aを介して、フレキシブル基板5上の駆動用IC6(駆動回路)に接続されている。 図2は発光装置1の断面を示す図である。発光装置は、回路基板4と回路基板4上に配置された電気光学層10とにより構成されている。 電気光学層10は、電気光学層10の表示領域2aに対する部分に、発光素子110が設けられている。発光素子110は2つの機能層、すなわち、図3に示したように発光層110a及び正孔注入/輸送層110bを備えている。 発光層110bは、正孔注入/輸送層110aから注入された正孔と、陰極12から注入される電子とが再結合する発光現象を主に担う機能層であり、本実施形態では、図1に示した発光装置の平面図に示された赤色の発光を示す画素R、緑色の発光を示す画素G、及び青色の発光を示す画素Bに応じて、それぞれ、赤色、緑色、青色の発光色を示す発光層110bが配置されている。 【0034】 発光層110bの材料としては、有機発光材料、例えばトリス(8-キノリノール)アルミニウム錯体(Alq)等を用いることができる。 正孔注入/輸送層110aは、発光層110bの発光効率、寿命等の素子特性を高めるためのもので、正孔を発光層110bに注入する機能を有するとともに、正孔を正孔注入/輸送層110a内部において輸送する機能を有する。 【0035】 正孔注入/輸送層110aの材料としては、例えばポリエチレンジオキシチオフェン等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸等の混合物を用いることができる。 発光層110bと正孔注入/輸送層110aとは画素電極111と画素電極111の上方に設けられた陰極12との間に配置されている。 画素電極111は、例えばITOから形成され、平面視略矩形にパターニングされて形成されている。この画素電極111の厚さは、50?200nmの範囲が好ましく、特に150nm程度が望ましい。 陰極12は、図2に示すように、少なくとも表示領域2aにある発光素子11の全面を覆うように形成されている。本実施形態においては、陰極12はダミー領域2dも覆っている。ダミー領域2dは、主にインクジェットプロセスを用いて発光素子110を形成するのに先だって、発光素子を形成する材料の吐出量を安定化するために用いられる領域であって、言うなれば、試し打ちするための領域である。 【0036】 陰極12は、単層構造を有していても良いが、本実施形態の発光装置のように多層構造を有していても良い。例えば、カルシウムなどからなる第1層12aと、アルミニウムなどからなる第2層12bとが積層された構成とすることができる。 【0037】 第1層12a及び第2層12bの少なくともいずれかに光学的機能を付与することも可能である。例えば、上述のように第2層12bをアルミニウムで構成することにより発光素子110が発した光を効率良く反射することが可能となる。これにより基体2側からの光の取り出し効率が向上する。 一方、陰極12側から光を取り出す場合は、陰極12の十分な光学透過性を確保するために薄膜化することが好ましい。このような場合、陰極12の材料としては、例えば、銀、マグネシウム、銀とマグネシウムの合金、Pt、Ir、Ni、Pd等の元素を含み薄膜化された金属等が好適に用いられる。 陰極12は、メカニカルマスクなどを用いて蒸着法、スパッタ法、CVD法等で形成することができる。 陰極12上には、水や酸素等の陰極12、発光層110bあるいは正孔注入/輸送層110a等の劣化因子となる物質の侵入・透過を抑制する、SiO、SiO_(2)、SiN等からなる保護層を設けてもよい。 発光層110bと正孔注入/輸送層110aとは、バンク部112により隣接する発光素子110の発光層110a及び正孔注入/輸送層110bと隔てられている。バンク部112は、図3に示すように複数の層から成っており、能動素子層14側には、無機物バンク層112a(第1バンク層)と、陰極12側に位置する有機物バンク層112b(第2バンク層)とが積層されて構成されている。 【0038】 無機物バンク層112aの一部、および有機物バンク層112bの一部は、画素電極111の周縁部と重なるように形成されている。 【0039】 無機物バンク層112aは、有機物バンク層112bよりも画素電極111の中央側に達するように形成されている。 無機物バンク層112aは、例えば、SiO_(2)、TiO_(2)等の無機材料からなることが好ましい。この無機物バンク層112aの厚さは、50?200nmの範囲が好ましく、特に150nm程度が望ましい。 【0040】 有機物バンク層112bは、耐熱性、耐溶媒性のある材料、例えばアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等から形成されている。この有機物バンク層112bの厚さは、0.1?3.5μmの範囲が好ましく、特に2μm程度が望ましい。 電気光学層10の上方には、電気光学層10の内部に外気中の水や酸素など陰極12あるいは発光素子110の劣化の要因となる物質の透過を抑制あるいは遮断する封止基板34が設けられている。封止基板34の材料としては、例えば、ガラス、石英、金属、合成樹脂等などが用いられる。発光素子110の光を陰極12側から取り出す場合は、封止基板34の材料として、十分な光学透過性を有する、ガラス、石英、あるいは合成樹脂等の材料を用いることが好ましい。 封止基板34の電気光学層10側には、電気光学層10を収納する凹部34aが設けられている。凹部34aには水、酸素等を吸収するゲッター剤35を配置するのが好ましい。 封止基板34は封止樹脂33を介して回路基板4と接合されている。封止樹脂33に用いられる材料は、封止基板34と回路基板4とを接着するものであることが必要であるが、それに加えて、封止基板34と同様、電気光学層10の内部に外気中の水や酸素など陰極12あるいは発光素子110の劣化の要因となる物質の透過を抑制、あるいは遮断する材料であることが望ましい。 【0041】 封止樹脂33に用いられる材料としては、例えば、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂等などが挙げられる。特に、熱硬化樹脂の1種であるエポキシ樹脂が好適に用いられる。 【0042】 封止樹脂33は、十分な封止性を維持するためには、陰極12の外周12cは、封止樹脂33の内側に収容されることが好ましいが、狭額縁化するためには、図2に示したように、封止樹脂33の一部は、陰極12の外周12cに重なるとともに、陰極12が、封止樹脂33の外にまで伸長していないことが好ましい。すなわち、陰極12が、封止樹脂の外周33aまで達していないことが好ましい。 回路基板4は、能動素子層14を備えており、能動素子層14内に陰極用配線13、第1?第3電源線103R、103G、及び103B、駆動回路用制御信号配線105a、駆動回路用電源配線105b、図1に示した表示領域2aに対応して設けられた、データ線102(図示せず。)、走査線101(図示せず。)、表示用電源線103(図示せず。)、駆動用の薄膜トランジスタ123、スイッチング用の薄膜トランジスタ122(図示せず。)、表示領域2aと回路基板4の外周をなす辺との間に設けられた走査線駆動回路105に含まれる薄膜トランジスタ124、検査回路106用の薄膜トランジスタ(図示せず)が設けられている。 図2に示したように、陰極用配線13、第1?第3電源線103R、103G、及び103B、走査線駆動回路に含まれる薄膜トランジスタ124、駆動回路用制御信号配線105a、駆動回路用電源配線105b、図1に示した表示領域2aに対応して設けられた、データ線102(図示せず。)、走査線101(図示せず。)、表示用電源線103(図示せず。)、駆動用の薄膜トランジスタ123、及びスイッチング用の薄膜トランジスタ122は陰極12により、覆われている。なお、図2に示されていないが、検査回路106に含まれる薄膜トランジスタも陰極12に覆われていることが好ましい。 陰極用配線13は、第1層間絶縁膜144aで隔てられた複数の導電層(配線層)を利用して構成されている。すなわち、陰極用配線13は、上記の複数の導電層と、当該複数の導電層とを電気的に接続する導電材料とにより構成されている。陰極用配線13は、封止基板34と回路基板4とを接合する位置と重なるように設けられている。すなわち、封止樹脂33の下方に、陰極用配線13が設けられている。 【0043】 上記の導電層の材料としては、走査線101を形成する材料とデータ線102を形成する材料のうち少なくとも一方により形成することができる。 具体的な材料としては、Al、Mo、Ta、Ti、W、Cu、TiN、およびこれらの合金を挙げることができる。 【0044】 第1?第3電源線103G、103B、及び103Rは、第1層間絶縁膜144aで隔てられた複数の導電層を利用して構成されている。すなわち、第1?第3電源線103G、103B、及び103Rは、上記の複数の導電層と、当該複数の導電層とを電気的に接続する導電材料とにより構成されている。 第1?第3電源線103G、103B、及び103Rの少なくともいずれか一つの少なくとも1部分が、封止基板34と回路基板4とを接合する位置と重なるように設けられていることが好ましい。 上記の導電層の材料としては、走査線101を形成する材料とデータ線102を形成する材料のうち少なくとも一方により形成することができる。具体的な材料としては、Al、Mo、Ta、Ti、W、Cu、TiN、およびこれらの合金を挙げることができる。 駆動回路用制御信号配線105a及び駆動回路用電源配線105bは第1の層間絶縁膜144a上に設けられており、データ線102及び表示用電源線103のうち少なくともいずれかと同一層に、あるいは同一工程で形成されている。 駆動回路用制御信号配線105a及び駆動回路用電源配線105bの材料としては、上述の第1?第3電源線の材料と、同様な材料が採用可能である。 走査線101、データ線102、及び表示用電源線103は、第1の層間絶縁膜144a内あるいは第1の層間絶縁膜144a上に設けられる。 【0045】 駆動用の薄膜トランジスタ123は、半導体膜141を有し、半導体膜141には、高濃度ホウ素イオンの打ち込みにより形成されたドレイン領域141a、ソース領域141b、及びチャネル領域141cが設けられている。 【0046】 半導体膜141は、下地保護膜2c上に形成されている。下地保護膜2cは、基体2からの可動イオン、酸素、及び水等の薄膜トランジスタの劣化因子となる物質の透過を抑制するという機能を有している。 半導体膜141上には、半導体膜141を覆うゲート絶縁膜142が形成されている。ゲート絶縁膜142上にはAl、Mo、Ta、Ti、W等からなるゲート電極143が形成され、ゲート電極143およびゲート絶縁膜142の一部は第1層間絶縁膜144aに覆われている。 【0047】 図3に示すように、第1および第2層間絶縁膜144a、144bには、半導体膜141のドレイン、ソース領域141a、141bを、それぞれ、画素電極111及び表示用電源線103に接続するためのコンタクトホール145、146が形成されている。 【0048】 第2層間絶縁膜144bに形成されたコンタクトホール145を介して、ドレイン領域141aは、第2層間絶縁膜144b上に設けられた画素電極111と接続されている。第1層間絶縁膜144aに形成されたコンタクトホール146を介して、ソース領域141bは表示用電源線103に接続されている。」 ウ 図1 エ 図2 オ 図3 カ 図4 (2)引用発明 ア 甲第1号証の図1?図3から看取される層構成からみて、甲第1号証の【0017】?【0048】に記載された「発光装置1」は、図1の左下に描かれた、「表示用電源線103」から延びる「接続配線5a」と、「陰極12の外周12c」が交差する部分において、「回路基板4の基体2」、「下地保護膜2c」、「ゲート絶縁膜142」、「接続配線5a」、「第1層間絶縁膜144a」、「第2層間絶縁膜144b」、「陰極12」、「封止樹脂33」及び「封止基板34」が、この順に積層された構造を具備する。 イ 前記アで述べた事項並びに【0033】、【0035】、【0036】、【0022】及び【0040】に記載された事項を考慮すると、甲第1号証には、実施の形態である「発光装置1」として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「回路基板4と回路基板4上に配置された電気光学層10とにより構成されている発光装置1であって、 電気光学層10は、電気光学層10の表示領域2aに対する部分に、発光素子110が設けられ、発光素子110は2つの機能層、すなわち、発光層110a及び正孔注入/輸送層110bを備え、 発光層110bと正孔注入/輸送層110aとは画素電極111と画素電極111の上方に設けられた陰極12との間に配置され、 陰極12は、カルシウムなどからなる第1層12aと、アルミニウムなどからなる第2層12bとが積層され、 表示用電源線103から画素電極111を介して発光素子110に駆動電流が供給されると、発光素子110は、供給された駆動電流の電流量に応じた輝度で発光し、 電気光学層10の上方には、封止基板34が設けられ、封止基板34は封止樹脂33を介して回路基板4と接合され、 十分な封止性を維持するためには、陰極12の外周12cは、封止樹脂33の内側に収容されることが好ましいが、狭額縁化するためには、封止樹脂33の一部は、陰極12の外周12cに重なるとともに、陰極12が、封止樹脂33の外にまで伸長していないことが好ましく、 表示用電源線103から延びる接続配線5aと陰極12の外周12cが交差する部分において、回路基板4の基体2、下地保護膜2c、ゲート絶縁膜142、接続配線5a、第1層間絶縁膜144a、第2層間絶縁膜144b、陰極12、封止樹脂33及び封止基板34が、この順に積層された構造を具備する、 発光装置1。」 (3)本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と引用発明とを対比する。 (ア)第1基板及び第2基板 引用発明の「発光装置1」は、「表示用電源線103から延びる接続配線5aと陰極12の外周12cが交差する部分において、回路基板4の基体2、下地保護膜2c、ゲート絶縁膜142、接続配線5a、第1層間絶縁膜144a、第2層間絶縁膜144b、陰極12、封止樹脂33及び封止基板34が、この順に積層された構造を具備する」。また、引用発明の「電気光学層10の上方には、封止基板34が設けられ、封止基板34は封止樹脂33を介して回路基板4と接合され」ている。 上記構成からみて、引用発明の「回路基板4の基体2」及び「封止基板34」は、いずれも「基板」ということができ、また、これに「第1」及び「第2」の序数詞を付けても、物としての構成は変わらない。また、引用発明の「回路基板4の基体2」の「封止基板34」側の面は、本件特許発明1の「第1の面」に当てはめることができる。そして、引用発明の「回路基板4の基体2」と「封止基板34」に間隙があることは、技術的にみて明らかである(当合議体注:図2からも確認できる事項である。)。 そうしてみると、引用発明の「回路基板4の基体2」及び「封止基板34」は、それぞれ本件特許発明1の「第1基板」及び「第2基板」に相当する。また、引用発明の「封止基板34」は、本件特許発明1の「第2基板」における「前記第1基板と間隙をもって前記第1基板の第1の面と対向配置された」という要件を満たす。 (イ)シール材 前記(ア)で述べた構造及び「封止樹脂33」という用語を技術的に理解すると、引用発明の「封止樹脂33」は、本件特許発明1の「前記第1基板と前記第2基板との間の空間を密封する」とされる「シール材」に相当する。 (ウ)第1金属層、第1絶縁層及び第2金属層 前記(ア)で述べた構造に加えて、引用発明の「発光装置1」の「陰極12」は、「カルシウムなどからなる第1層12aと、アルミニウムなどからなる第2層12bとが積層され」たものである。 ここで、引用発明の「表示用電源線103から延びる接続配線5a」が金属層であること、及び電源供給線としての機能を有していることは、電源線の接続配線であることからみて、明らかである。また、引用発明の「第1層間絶縁膜144a」及び「第2層間絶縁膜144b」を併せたもの(以下「層間絶縁膜」という。)が、引用発明の「接続配線5a」を覆う領域を有する絶縁層であることは、その用語から理解される機能からみて、明らかである。さらに、引用発明の「陰極12」は、素材がカルシウム及びアルミニウムであるから、金属層といえる。加えて、前記(ア)で述べた構造からみて、引用発明の「第2層12b」は、「層間絶縁膜」を介して「接続配線5a」と重なる領域を有するといえる。そして、「第1」及び「第2」の序数詞を付けても、物としての構成は変わらない。 そうしてみると、引用発明の「接続配線5a」、「層間絶縁膜」及び「陰極12」は、それぞれ本件特許発明1の「第1金属層」、「第1絶縁層」及び「第2金属層」に相当する。また、引用発明の「接続配線5a」は、本件特許発明1の「第1金属層」における、「電源供給線としての機能を有し」という要件を満たす。さらに、引用発明の「層間絶縁膜」は、本件特許発明1の「第1絶縁層」における、「前記第1金属層を覆う領域を有する」という要件を満たし、引用発明の「陰極12」は、本件特許発明1の「第2金属層」における、「前記第1絶縁層を介して前記第1金属層と重なる領域を有する」という要件を満たす。加えて、引用発明の「回路基板4の基体2」と本件特許発明1の「第1基板」は、「前記第1の面上に」、「第1金属層と」、「第1絶縁層と」、「第2金属層と」、「を有し」ている点で共通する。 (エ)封止体 以上(ア)?(ウ)の対比結果並びに引用発明及び本件特許発明1の全体構成からみて、引用発明の「表示用電源線103から延びる接続配線5aと陰極12の外周12cが交差する部分」を具備する「発光装置1」と、本件特許発明1の「封止体」は、「第1基板と」、「第2基板と」、「シール材と、を有し」ている点で共通する。 また、引用発明の「発光装置1」が、「表示用電源線103から延びる接続配線5aと陰極12の外周12cが交差する部分」において、本件特許発明1の「封止体」における「前記第1金属層の短手方向における断面視において、前記第2金属層は、前記第1絶縁層を介して前記第1金属層の端部を覆う領域を有し」という要件を満たすこと、及び引用発明の「封止樹脂33」が、本件特許発明1の「シール材」における「前記第1金属層との交差部において前記第2金属層と重なる領域を有し」という要件を満たすことは明らかである(当合議体注:甲第1号証の図1及び図2からも確認できる事項である。)。 イ 一致点 前記アによると、本件特許発明1と引用発明は次の点で一致する。 「 第1基板と、 前記第1基板と間隙をもって前記第1基板の第1の面と対向配置された第2基板と、 前記第1基板と前記第2基板との間の空間を密封するシール材と、を有し、 前記第1基板は、前記第1の面上に 第1金属層と、 前記第1金属層を覆う領域を有する第1絶縁層と、 前記第1絶縁層を介して前記第1金属層と重なる領域を有する第2金属層と、を有し、 前記第1金属層は、電源供給線としての機能を有し、 前記第1金属層の短手方向における断面視において、前記第2金属層は、前記第1絶縁層を介して前記第1金属層の端部を覆う領域を有し、 前記シール材は、前記第1金属層との交差部において前記第2金属層と重なる領域を有する、封止体。」 ウ 相違点 本件特許発明1と引用発明は次の点で相違する。 (相違点1) 「第1基板」が、本件特許発明1は、「前記第1絶縁層上面に接する領域及び前記第2金属層を覆う領域を有する第2絶縁層」「を有」し、「前記第2絶縁層は、酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、又は窒化酸化シリコンを含」むのに対して、引用発明の「回路基板4」は、「第2絶縁層」を有さない点。 (相違点2) 「第2金属層」が、本件特許発明1は、「モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、銅、又はクロムを含」むのに対して、引用発明の「陰極12」は、「カルシウムなどからなる第1層12aと、アルミニウムなどからなる第2層12bとが積層され」たものである点。 (相違点3) 「シール材」が、本件特許発明1は、「前記第2金属層と接する領域を有さず」、「前記第1基板側において前記第2絶縁層上面に接する領域を有する」のに対して、引用発明は、「陰極12」と接しており、第2絶縁層を有さない点。 (相違点4) 本件特許発明1は、「平面視において」、「前記シール材が形成されるシール材形成領域は、前記第2金属層の形成領域に、前記シール材形成領域の外周が前記第2金属層の外周に重ならずに収まるように位置する」という構成を具備するのに対して、引用発明は、「十分な封止性を維持するためには、陰極12の外周12cは、封止樹脂33の内側に収容されることが好ましいが、狭額縁化するためには、封止樹脂33の一部は、陰極12の外周12cに重なるとともに、陰極12が、封止樹脂33の外にまで伸長していないことが好まし」いとされている点。 エ 判断 事案に鑑み、相違点4について検討する。 「封止樹脂33」と「陰極12の外周12c」の位置関係について、引用発明は、「十分な封止性を維持するためには、陰極12の外周12cは、封止樹脂33の内側に収容されることが好ましいが、狭額縁化するためには、封止樹脂33の一部は、陰極12の外周12cに重なるとともに、陰極12が、封止樹脂33の外にまで伸長していないことが好まし」いという知見のものである。 そうしてみると、甲第1号証に接した当業者ならば、引用発明の「封止樹脂33」の外周に一致する程度にまで「陰極12の外周12c」を伸長させるレイアウトは採用できるとしても、「封止樹脂33」の外にまで「陰極12の外周12c」を伸長させること、すなわち、「封止樹脂33」形成領域の外周が「陰極12の外周12c」に重ならずに、「封止樹脂33」形成領域が「陰極12」の形成領域に収まる位置になるように構成することには想到し得ず、寧ろ、阻害要因があるといえる。 したがって、たとえ当業者であっても、引用発明に基づいて、相違点4に係る本件特許発明1の構成に到るとはいえない。 この点は、特許異議申立人が提出した甲第2号証(特開2007-200852号公報)を検討しても変わらない。 オ 小括 以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、たとえ当業者であっても、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということができない。 (4)本件特許発明2?3について 本件特許発明2?3は、本件特許発明1の構成を全て具備するものであるから、本件特許発明2?3も、本件特許発明1と同じ理由により、たとえ当業者であっても、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたということができない。 (5)本件特許発明4について 甲第1号証の【0017】?【0048】及び図1?図3並びに技術常識考慮すると、「画素領域と、前記画素領域以外の領域である非画素領域とを備えた第1基板」の構成、「前記画素領域」が、「トランジスタと、前記トランジスタと電気的に接続された発光素子とを有し」ている構成、「前記非画素領域」が、「第1金属層と」、「前記第1金属層を覆う領域を有する第1絶縁層と」、「前記第1絶縁層を介して前記第1金属層と重なる領域を有する第2金属層と」、「を有し」ている構成、「前記第1金属層」が、「前記発光素子の第1電極、前記トランジスタのゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極と電気的に接続され」ている構成は、いずれも、引用発明として認定した「発光装置1」が具備する構成と理解される。 そうしてみると、本件特許発明4と引用発明は、相違点1?相違点4において相違するといえる。 そして、相違点4についての判断は、本件特許発明1の場合と同様である。 したがって、本件特許発明4は、たとえ当業者であっても、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたということができない。 2 令和2年5月29日付け取消理由通知で示した理由2(サポート要件)について 本件特許明細書の【0008】には、発明が解決しようとする課題について、「本発明の目的は、ガラスフリットと重なる共通電源供給ラインのパターンにも関わらず、気密性の高い封止体及び有機電界発光装置を提供することにある。」と記載されている。この点について、本件特許発明1及び本件特許発明4において、「シール材は、前記第2金属層と接する領域を有さず」、「前記シール材は、前記第1基板側において前記第2絶縁層上面に接する領域を有するとともに、前記第1金属層との交差部において前記第2金属層と重なる領域を有し」、「平面視において」、「前記シール材が形成されるシール材形成領域は、前記第2金属層の形成領域に、前記シール材形成領域の外周が前記第2金属層の外周に重ならずに収まるように位置する」と記載されている。 本件特許発明1及び本件特許発明4においては、「シール材」、「第1金属層」、「第2金属層」の位置が特定されていることから、上記課題を解決するための手段が特許請求の範囲に記載されているといえる。本件特許発明2及び本件特許発明3についても同様である。 したがって、本件特許は、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項1号に規定する要件を満たしている。 3 令和2年5月29日付け取消理由通知で示した理由3(明確性要件)について 本件特許発明1及び本件特許発明4において、「シール材は、前記第2金属層と接する領域を有さず」、「前記シール材は、前記第1基板側において前記第2絶縁層上面に接する領域を有するとともに、前記第1金属層との交差部において前記第2金属層と重なる領域を有し」、「平面視において」、「前記シール材が形成されるシール材形成領域は、前記第2金属層の形成領域に、前記シール材形成領域の外周が前記第2金属層の外周に重ならずに収まるように位置する」と記載されている。 本件特許発明1及び本件特許発明4においては、「シール材」、「第1金属層」、「第2金属層」の位置が特定されていることから、特許請求の範囲の記載は明確であるといえる。本件特許発明2及び本件特許発明3についても同様である。 したがって、本件特許は、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号に規定する要件を満たしている。 第6 特許異議の申立ての理由について 1 特許異議の申立ての理由の概要 特許異議の申立ての理由は、概略、理由1(進歩性)について、本件特許の特許請求の範囲の請求項1?4に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである、理由2(明確性要件)について、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない、というものである。 2 理由1(進歩性)について 取消理由通知においては甲第2号証を用いなかったが、上記「第5」1(3)エで示したとおりであるから、特許異議の申立ての理由1(進歩性)を採用することはできない。 3 理由2(明確性要件)について 理由2(明確性要件)のうちで取消理由通知においては採用しなかった理由において、特許異議申立人は、本件特許発明1?4における第2金属層について、電気的な接続関係、あるいは電気的にフローティングであるかどうかについて明確でない旨の主張をしている。 しかしながら、本件特許発明1?4における第2金属層は、シール材との関係において規定されることで理解できるものであるから、特許異議の申立ての理由2(明確性要件)における上記主張を採用することはできない。 第7 むすび 本件特許1?4は、取消理由通知書に記載した取消しの理由及び特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由によっては、取り消すことができない。 また、他に本件特許1?4を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 第1基板と、 前記第1基板と間隙をもって前記第1基板の第1の面と対向配置された第2基板と、 前記第1基板と前記第2基板との間の空間を密封するシール材と、を有し、 前記第1基板は、前記第1の面上に 第1金属層と、 前記第1金属層を覆う領域を有する第1絶縁層と、 前記第1絶縁層を介して前記第1金属層と重なる領域を有する第2金属層と、 前記第1絶縁層上面に接する領域及び前記第2金属層を覆う領域を有する第2絶縁層と、を有し、 前記第2金属層は、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、銅、又はクロムを含み、 前記第2絶縁層は、酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、又は窒化酸化シリコンを含み、 前記第1金属層は、電源供給線としての機能を有し、 前記第1金属層の短手方向における断面視において、前記第2金属層は、前記第1絶縁層を介して前記第1金属層の端部を覆う領域を有し、 前記シール材は、前記第2金属層と接する領域を有さず、 前記シール材は、前記第1基板側において前記第2絶縁層上面に接する領域を有するとともに、前記第1金属層との交差部において前記第2金属層と重なる領域を有し、 平面視において、前記シール材が形成されるシール材形成領域は、前記第2金属層の形成領域に、前記シール材形成領域の外周が前記第2金属層の外周に重ならずに収まるように位置する、封止体。 【請求項2】 請求項1において、 前記シール材は、低融点ガラスである、封止体。 【請求項3】 請求項1又は2において、 前記第1金属層は、前記シール材で囲まれた領域の内側から外側に引き出された領域を有する、封止体。 【請求項4】 画素領域と、前記画素領域以外の領域である非画素領域とを備えた第1基板と、 前記第1基板と間隙をもって対向配置された第2基板と、 前記第1基板と前記第2基板との間の空間を密封するシール材と、を有し、 前記画素領域は、トランジスタと、前記トランジスタと電気的に接続された発光素子とを有し、 前記非画素領域は、 第1金属層と、 前記第1金属層を覆う領域を有する第1絶縁層と、 前記第1絶縁層を介して前記第1金属層と重なる領域を有する第2金属層と、 前記第1絶縁層上面に接する領域及び前記第2金属層を覆う領域を有する第2絶縁層と、を有し、 前記第2金属層は、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、銅、又はクロムを含み、 前記第2絶縁層は、酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、又は窒化酸化シリコンを含み、 前記第1金属層は、前記発光素子の第1電極、前記トランジスタのゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極と電気的に接続され、且つ電源供給線としての機能を有し、 前記第1金属層の短手方向における断面視において、前記第2金属層は、前記第1絶縁層を介して前記第1金属層の端部を覆う領域を有し、 前記シール材は、前記第2金属層と接する領域を有さず、 前記シール材は、前記第1基板側において前記第2絶縁層上面に接する領域を有するとともに、前記第1金属層との交差部において前記第2金属層と重なる領域を有し、 平面視において、前記シール材が形成されるシール材形成領域は、前記第2金属層の形成領域に、前記シール材形成領域の外周が前記第2金属層の外周に重ならずに収まるように位置する、発光装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2021-07-30 |
出願番号 | 特願2017-196778(P2017-196778) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(H05B)
P 1 651・ 537- YAA (H05B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 大竹 秀紀 |
特許庁審判長 |
榎本 吉孝 |
特許庁審判官 |
井口 猶二 関根 洋之 |
登録日 | 2019-08-09 |
登録番号 | 特許第6567015号(P6567015) |
権利者 | 株式会社半導体エネルギー研究所 |
発明の名称 | 封止体および発光装置 |
代理人 | 蟹田 昌之 |
代理人 | 蟹田 昌之 |