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審決分類 審判 査定不服 特37 条出願の単一性( 平成16 年1 月1 日から) 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1379370
審判番号 不服2020-13374  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-09-25 
確定日 2021-10-27 
事件の表示 特願2016- 2385「映像補正部及びこれを含む表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月15日出願公開、特開2016-212377〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年1月8日にされた特許出願(パリ条約による優先権主張2015年4月30日、韓国)である。
令和元年11月20日付けで拒絶理由が通知(発送日:令和元年11月26日)された後、令和2年2月26日付けで明細書及び特許請求の範囲についての補正がされ、同年5月15日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、同年5月26日に同査定の謄本が送達された。
これに対して、同年9月25日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に明細書及び特許請求の範囲についての補正がされた。


第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年9月25日にされた手続補正を却下する。

[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
令和2年9月25日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、本件補正前(令和2年2月26日付けの補正の後をいう。以下同じ。)の請求項1?3を削除するとともに、請求項4及び15の記載内容を補正した上で、請求項4?25を新たな請求項1?22とするものであるところ、本件補正後の請求項1の記載は、次のとおりである。

<本件補正後の請求項1>
「【請求項1】
制御信号を利用することで、第1映像データのフレームの数に対応するフレーム情報を算出するフレームカウンターと、
前記フレーム情報に対応するX軸移動方向及びX軸移動量を決定する移動量決定部と、
前記フレーム情報に対応するX軸ブラックデータ量を決定するX軸シフト決定部と、
前記X軸移動量、前記X軸ブラックデータ量、X軸映像スケーリング比、及びX軸内部スケーリング比を利用して、相互対応する複数のサブ区域をそれぞれ含む第1X軸区域及び第2X軸区域を設定するX軸区域設定部と、
第1X軸区域の各サブ区域に位置した前記第1映像データのピクセルデータを利用して、第2X軸区域の各サブ区域に位置した第2映像データのピクセルデータを算出するX軸データ算出部と、を含むことを特徴とする映像補正部。」

2 特許法17条の2第4項に規定する要件の充足性の検討
(1)特許法17条の2第4項に規定する要件
特許法17条の2第4項は以下のように規定している。
「前項に規定するもののほか、第1項各号に掲げる場合において特許請求の範囲について補正をするときは、その補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについて判断がされた発明と、その補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明とが、第37条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものとなるようにしなければならない。」

そして、特許法37条及び特許法施行規則25条の8には、それぞれ、次のように規定されている。

特許法37条
「二以上の発明については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより発明の単一性を満たす一群の発明に該当するときは、一の願書で特許出願をすることができる。」と規定され、

特許法施行規則25条の8
「1 特許法第37条の経済産業省令で定める技術的関係とは、二以上の発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有していることにより、これらの発明が単一の一般的発明概念を形成するように連関している技術的関係をいう。

2 前項に規定する特別な技術的特徴とは、発明の先行技術に対する貢献を明示する技術的特徴をいう。

3 第一項に規定する技術的関係については、二以上の発明が別個の請求項に記載されているか単一の請求項に択一的な形式によって記載されているかどうかにかかわらず、その有無を判断するものとする。」

(2)本件補正の特許法17条の2第4項に規定する要件の充足性の検討
ア 以下では、まず、本件補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについて判断がされた発明を特定し、次に、当該発明と、本件補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明のうち本件補正後の請求項1に記載される事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)とが、同一の又は対応する特別な技術的特徴を有するものであるか否か、及び、審査の効率性に基づき審査対象とすべき事情があるかについて検討する。

イ 本件補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについて判断がされた発明

前記令和元年11月20日付けの拒絶理由通知において、特許をすることができないものか否かについて判断がされた発明は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1?5に係る発明であるところ(上記拒絶理由通知の理由1(発明の単一性)を参照)、出願当初の請求項1?5の記載は次のとおりである(以下、それぞれ「当初請求項1」などという。)。

「【請求項1】
表示装置の映像表示領域に表示された映像を移動させて、前記映像に含まれた第1領域及び第2領域をそれぞれ縮小及び拡大し、
前記映像は、前記映像表示領域よりも小さい大きさを有することを特徴とする表示装置の映像表示方法。
【請求項2】
前記映像表示領域の中で前記映像が表示された領域を除いた残りの領域は、ブラックを表示することを特徴とする請求項1に記載の表示装置の映像表示方法。
【請求項3】
前記映像は、第1領域と第2領域との間に位置する第3領域をさらに含み、
前記映像の第3領域は、前記第1領域が縮小される方向に沿って移動することを特徴とする請求項1に記載の表示装置の映像表示方法。
【請求項4】
前記映像の大きさは、移動前後で同一に維持されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置の映像表示方法。
【請求項5】
前記映像の第2領域は、前記第1領域が縮小されるほど拡大されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置の映像表示方法。」

ウ 同一の又は対応する特別な技術的特徴の有無について
前記本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正後発明」という。)と、上記の特許をすることができないものか否かについて判断がされた、当初請求項1?5に係る発明(以下、これらを総称して「審査対象発明」という。)とを対比すると、両者間に同一の又は対応する構成を示す記載は、映像の移動に関することの他には、何ら認められず、同一の又は対応する特別な技術的特徴が存在しないことは明らかである。


エ 審査の効率性に基づき審査対象とすべき事情の有無について
補正後発明は、審査対象発明のうちの、特許請求の範囲の最初に記載された発明である、当初請求項1に係る発明の発明特定事項を全て含む同一カテゴリーの請求項に係る発明ではない。そして、補正後発明が審査対象発明について審査を行った結果、実質的に追加的な先行技術調査又は判断を必要とすることなく審査を行うことが可能である発明でないことは、明らかである。
したがって、審査の効率性に基づき、補正後発明を審査対象とすべき事情は見当たらない。

3 まとめ
以上検討のとおり、審査対象発明と補正後発明は、同一の又は対応する特別な技術的特徴を有しておらず、審査の効率性の観点から補正後発明を審査すべき事情も存在しないから、出願当初の特許請求の範囲の請求項1?5に係る発明のいずれかと、本件補正後の請求項1に係る発明が第37条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものではない。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第4項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものであるから、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について
1 本願に係る発明
本件補正は、上記第2において述べたとおり却下されたので、本願の請求項1?25に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」などという。)は、本件補正前の請求項1?25に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、本件補正前の請求項1?25の記載は以下のとおりである。

「【請求項1】
表示装置の映像表示領域に表示された映像自体を全体的に移動させて、
前記映像は第1領域、第2領域、及び第3領域を含み、
前記映像の移動は、前記第1領域を縮小し、前記第2領域を拡大し、前記第3領域を、前記映像の移動前後でその大きさを同一に維持しながら、前記第1領域が縮小される方向に沿って移動し、
前記映像の移動前後で、前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれは、前記第3領域の反対面に隣接して配置され、
前記映像は、前記映像表示領域よりも小さい大きさを有することを特徴とする表示装置の映像表示方法。
【請求項2】
前記映像表示領域の中で前記映像が表示された領域を除いた残りの領域は、ブラックを表示することを特徴とする請求項1に記載の表示装置の映像表示方法。
【請求項3】
前記映像の第2領域は、前記第1領域が縮小されるほど拡大されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置の映像表示方法。
【請求項4】
X軸移動方向及びX軸移動量を決定する移動量決定部と、
X軸ブラックデータ量を決定するX軸シフト決定部と、
前記X軸移動量、前記X軸ブラックデータ量、X軸映像スケーリング比、及びX軸内部スケーリング比を利用して、相互対応する複数のサブ区域をそれぞれ含む第1X軸区域及び第2X軸区域を設定するX軸区域設定部と、
第1X軸区域の各サブ区域に位置した第1映像データのピクセルデータを利用して、第2X軸区域の各サブ区域に位置した第2映像データのピクセルデータを算出するX軸データ算出部と、を含むことを特徴とする映像補正部。
【請求項5】
前記第2映像データは、少なくとも一列のブラックピクセルデータを端領域に含むことを特徴とする請求項4に記載の映像補正部。
【請求項6】
前記第1X軸区域は、第1サブ区域、第3サブ区域、及び、前記第1サブ区域と第3サブ区域との間に位置する第2サブ区域を含み、
前記第1X軸区域の第1サブ区域、第2サブ区域及び第3サブ区域は、それぞれ複数の微細区域を含むことを特徴とする請求項4に記載の映像補正部。
【請求項7】
前記X軸データ算出部は、前記第1X軸区域の微細区域に含まれた少なくとも一つのピクセルデータを利用して、前記第1X軸区域の微細区域に対応する第2映像データのピクセルデータを算出することを特徴とする請求項6に記載の映像補正部。
【請求項8】
前記X軸データ算出部は、前記第1X軸区域の微細区域に含まれた少なくとも一つのピクセルデータが前記第1X軸区域の微細区域に含まれた割合を参照し、前記第1X軸区域の微細区域に対応する第2映像データのピクセルデータを算出することを特徴とする請求項7に記載の映像補正部。
【請求項9】
前記移動量決定部は、Y軸移動方向及びY軸移動量をさらに決定することを特徴とする請求項4に記載の映像補正部。
【請求項10】
Y軸ブラックデータ量を決定するY軸シフト決定部と、
前記Y軸移動量、前記Y軸ブラックデータ量、Y軸映像スケーリング比、及びY軸内部スケーリング比を利用して、相互対応する複数のサブ区域をそれぞれ含む第1Y軸区域及び第2Y軸区域を設定するY軸区域設定部と、
第1Y軸区域の各サブ区域に位置した前記第2映像データのピクセルデータを利用して、第2X軸区域の各サブ区域に位置した第3映像データのピクセルデータを算出するY軸データ算出部と、をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の映像補正部。
【請求項11】
前記第3映像データは、少なくとも一行のブラックピクセルデータを端領域に含むことを特徴とする請求項10に記載の映像補正部。
【請求項12】
前記第1Y軸区域は、第1サブ区域、第3サブ区域、及び、前記第1サブ区域と第3サブ区域との間に位置する第2サブ区域を含み、
前記第1Y軸区域の第1サブ区域、第2サブ区域、及び第3サブ区域は、それぞれ複数の微細区域を含むことを特徴とする請求項10に記載の映像補正部。
【請求項13】
前記Y軸データ算出部は、前記第1Y軸区域の微細区域に含まれた少なくとも一つのピクセルデータを利用して、前記第1Y軸区域の微細区域に対応する第3映像データのピクセルデータを算出することを特徴とする請求項12に記載の映像補正部。
【請求項14】
前記Y軸データ算出部は、前記第1Y軸区域の微細区域に含まれた少なくとも一つのピクセルデータが、前記第1Y軸区域の微細区域に含まれた割合を参照し、前記第1Y軸区域の微細区域に対応する第3映像データのピクセルデータを算出することを特徴とする請求項13に記載の映像補正部。
【請求項15】
表示パネルと、
第1映像データに対する補正を遂行する映像補正部と、
前記映像補正部によって補正された映像データを利用して、前記補正された映像データに対応する映像が前記表示パネルに表示されるように前記表示パネルを制御する表示駆動部と、を含み、
前記映像補正部は、X軸移動方向及びX軸移動量を決定する移動量決定部と、
X軸ブラックデータ量を決定するX軸シフト決定部と、
前記X軸移動量、前記X軸ブラックデータ量、X軸映像スケーリング比、及びX軸内部スケーリング比を利用して、相互対応する複数のサブ区域をそれぞれ含む第1X軸区域及び第2X軸区域を設定するX軸区域設定部と、
第1X軸区域の各サブ区域に位置した前記第1映像データのピクセルデータを利用して、第2X軸区域の各サブ区域に位置した第2映像データのピクセルデータを算出するX軸データ算出部と、を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項16】
前記第2映像データは、少なくとも一列のブラックピクセルデータを端領域に含むことを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記第1X軸区域は、第1サブ区域、第3サブ区域、及び、前記第1サブ区域と第3サブ区域との間に位置する第2サブ区域を含み、
前記第1X軸区域の第1サブ区域、第2サブ区域、及び第3サブ区域は、それぞれ複数の微細区域を含むことを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項18】
前記X軸データ算出部は、前記第1X軸区域の微細区域に含まれた少なくとも一つのピクセルデータを利用して、前記第1X軸区域の微細区域に対応する第2映像データのピクセルデータを算出することを特徴とする請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
前記X軸データ算出部は、前記第1X軸区域の微細区域に含まれた少なくとも一つのピクセルデータが前記第1X軸区域の微細区域に含まれた割合を参照し、前記第1X軸区域の微細区域に対応する第2映像データのピクセルデータを算出することを特徴とする請求項18に記載の表示装置。
【請求項20】
前記移動量決定部は、Y軸移動方向及びY軸移動量をさらに決定することを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項21】
Y軸ブラックデータ量を決定するY軸シフト決定部と、
前記Y軸移動量、前記Y軸ブラックデータ量、Y軸映像スケーリング比、及びY軸内部スケーリング比を利用して、相互対応する複数のサブ区域をそれぞれ含む第1Y軸区域及び第2Y軸区域を設定するY軸区域設定部と、
第1Y軸区域の各サブ区域に位置した前記第2映像データのピクセルデータを利用して、第2X軸区域の各サブ区域に位置した第3映像データのピクセルデータを算出するY軸データ算出部と、をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の表示装置。
【請求項22】
前記第3映像データは、少なくとも一行のブラックピクセルデータを端領域に含むことを特徴とする請求項21に記載の表示装置。
【請求項23】
前記第1Y軸区域は、第1サブ区域、第3サブ区域、及び、前記第1サブ区域と第3サブ区域との間に位置する第2サブ区域を含み、
前記第1Y軸区域の第1サブ区域、第2サブ区域及び第3サブ区域は、それぞれ複数の微細区域を含むことを特徴とする請求項21に記載の表示装置。
【請求項24】
前記Y軸データ算出部は、前記第1Y軸区域の微細区域に含まれた少なくとも一つのピクセルデータを利用して、前記第1Y軸区域の微細区域に対応する第3映像データのピクセルデータを算出することを特徴とする請求項23に記載の表示装置。
【請求項25】
前記Y軸データ算出部は、前記第1Y軸区域の微細区域に含まれた少なくとも一つのピクセルデータが、前記第1Y軸区域の微細区域に含まれた割合を参照し、前記第1Y軸区域の微細区域に対応する第3映像データのピクセルデータを算出することを特徴とする請求項24に記載の表示装置。」

2 原査定における拒絶の理由1の概要
請求項1と請求項4?25に係る発明とは、映像の表示に関する発明であること以外に、具体的にどのような共通点があるのか全くして不明であることから、共通の特別な技術的特徴を有しているとは認められない。
したがって、本願は、特許法37条に規定する要件を満たしていない。

3 判断
本願発明1と本願発明4?25を対比すると、両者間に同一の又は対応する構成を示す記載は、映像の表示・移動に関することの他には、何ら認められず、同一の又は対応する特別な技術的特徴が存在しないことは明らかである。
また、本願発明4?25は、審査対象発明のうちの、特許請求の範囲の最初に記載された発明である、当初請求項1に係る発明の発明特定事項を全て含む同一カテゴリーの請求項に係る発明ではない。そして、本願発明4?25は、審査対象発明について審査を行った結果、実質的に追加的な先行技術調査又は判断を必要とすることなく審査を行うことが可能である発明でないことは、明らかである。
したがって、本願発明1と本願発明4?25は、特許法37条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当しない。


第4 むすび
以上のとおり、本願は、特許法37条に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2021-05-28 
結審通知日 2021-06-01 
審決日 2021-06-14 
出願番号 特願2016-2385(P2016-2385)
審決分類 P 1 8・ 65- Z (G09G)
P 1 8・ 56- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西島 篤宏  
特許庁審判長 岡田 吉美
特許庁審判官 濱野 隆
中塚 直樹
発明の名称 映像補正部及びこれを含む表示装置  
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所  

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