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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B65B |
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管理番号 | 1379880 |
異議申立番号 | 異議2021-700774 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-08-05 |
確定日 | 2021-11-19 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6828989号発明「箱詰装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6828989号の請求項に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6828989号の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成27年3月18日にした出願であって、令和3年1月25日に特許権の設定登録がされ、同年2月10日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1?4に係る特許に対し、同年8月5日に特許異議申立人澁谷工業株式会社(以下、「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 第2 本件発明 特許第6828989号の請求項1?4に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」?「本件発明4」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 複数の物品を箱に詰め込む箱詰装置であって、 搬送方向へ前記物品を搬送する物品搬送コンベアと、 複数の前記物品を集積するために複数の前記物品を前記搬送方向へ搬送する物品集積コンベアと、 前記物品搬送コンベアに搬送されている前記物品を持ち上げて、前記物品集積コンベアに置く集積機構と、 前記物品集積コンベアの前記搬送方向の下流側端部に対して平面視において隣接して配置され、前記物品を詰め込むために前記箱を待機させる詰め込み部と、 前記集積機構によって集積された前記物品からなる物品群を一度に持ち上げて、前記物品群を前記搬送方向に沿って移動させることにより、前記詰め込み部で待機している前記箱の中に詰め込む物品群移動機構と、 を備える、箱詰装置。 【請求項2】 前記物品群移動機構は、前記物品群を持ち上げるためのヘッドを有し、 前記物品群移動機構は、前記ヘッドに前記物品群を持ち上げさせるとき、前記ヘッドを前記搬送方向に移動させる、 請求項1に記載の箱詰装置。 【請求項3】 前記物品群移動機構が前記ヘッドに前記物品群を持ち上げさせるときに、前記ヘッドが前記搬送方向に移動させられる移動速度は、前記物品集積コンベアが前記物品を搬送する搬送速度と実質的に同じである、 請求項2に記載の箱詰装置。 【請求項4】 前記物品群移動機構は、前記ヘッドに前記物品群を持ち上げさせた後は、前記ヘッドを前記搬送速度よりも速い速度で前記搬送方向に移動させる、 請求項3に記載の箱詰装置。」 第3 申立理由の概要 申立人は、以下の甲第1号証?甲第3号証(以下、それぞれ、「甲1」?「甲3」ということがある。)を提出して、以下の申立理由により請求項1?4に係る特許を取り消すべきである旨主張する。 1 証拠方法 甲1:特開昭59-115202号公報 甲2:特開2011-213412号公報 甲3:特開2014-58334号公報 2 申立理由 本件発明1?4は、甲1に記載された発明及び甲2,3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1?4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 第4 証拠の記載事項等 1 甲1について (1)甲1の記載事項 甲1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審が付与。以下同様。)。 ア 2ページ左下欄6?9行 「本発明は、例えばアイスクリームのコーンもしくは中詰め紙袋など、製造装置によつて予め製造された円錐体(コーン)の少なくとも1層を箱詰めする分野に関する。」 イ 4ページ左上欄17行?左下欄9行 「第1図は、本発明の一実施例に係る3つの装置2,3,4を備える箱詰め機1を示し、それらの各々は、アイスクリームのコーンの製造装置5と連結されている。 上記装置2,3,4は、実質的に同一である。それゆえに、上記装置3のみがここに描かれている。 上記製造装置5は、夫々同一速度で運はれかつ一定距離たけ離して保つ各2本の搬送ロープ9,10と11,12を有する2本の平行な複式型無端搬送装置7,8で上記製造されたコーン6を供給するものであつて、上記コーンを各搬送装置7,8の2本のローブ間に互いに等間隔で直立して送るために、上記ローブは上記コーン製造装置5から等時間間隔でコーン6を運び出す。 一対の搬送ローブ9,10と11,12の端部には、夫々、第7及び8図に関してより十分に描写されているように案内部材13,14が備えられ、該案内部材は、第1図に示すように上記コーンがコンベヤベルト17を横切つて並び互い違いに正反対に置かれるように、水平状態に配されたコンベヤベルト17の一側16の方へコーンの頂部を向けて上記ロープ9,10によつて供給されたコーンを置き、そして、水平状態に配された上記コンベヤベルト17の他側15の方へ頂部を向けて上記ローブ11,12の他の一対によつて180度異なつて供給されたコーン6を置く。 さらに、第2図はコンベヤベルト17の端部に配置された持上手段18を示し、該持上手段は、この場合に、コンベヤベルト17から8個のコーンを、端止め部材19で停止する隣り合つた所定数のコーンごとに、各々の場所に待機する箱20内に拾い上げる。」 ウ 4ページ右下欄15行?5ページ左上欄9行 「さらに、第1図は、矢印27の方向に、詰め込まれる箱28の供給のためのコンベヤベルト26を示す。上記箱は所定位置にある端止め部材19で停止し、その位置は上記端止め部材29と直接に接触する箱が上記装置4のコンベヤベルト17のライン上にあるところである。上記装置2,3,4間の相対的な間隔は、この実施態様では箱28の3倍の幅とし、装置2,3の箱も類似の位置に備えられている。 押し部材30は詰込位置31の方向に向つて上記箱28を押し、この詰込位置31では、端止め部材19で停止しかつより十分に描かれるように箱28内にそれらを積み重ねて入れる8個のコーンごとに拾い上げる持上手段18によつて、箱28に詰込まれている。」 エ 5ページ左下欄11行?右下欄1行 「第7図は案内部材13,14を示す。それらは一対のローブ9,10と11,12の夫々の端部に傾斜した状態で垂直板によつて構成されている。上記案内部材13は、コーン6の幅広い部分(コーンの上端から離れた幅広い底部の表面)と共働するようにして、上記底部の表面がコンベヤベルト17の一側に向って倒れる。必要な変更を加えて、案内部材14に同様に適用し、ローブ11,12によつて供給されたコーン6のそのような動きでそれらの幅広い底部の表面がコンベヤベルト17の一側16に向かうようにする。」 オ 6ページ左上欄9行?右上欄1行 「持上手段18は、吸着盤53から59までと吸着盤60もしくは61との補助で8個のコーンの1群を拾い上げたのち、該吸着盤60もしくは61は空気圧シリンダ66,67によつて上方に置換えられ、連結ロツド69を介してブレーキモータ68によつて駆動して開かれた箱20上にできるだけ速く略水平動作を行つたのち、シリンダ66,67の反対動作によつてブロツク52が倒れたのち、上記吸着盤の動作がじやまを排除してコーンを関係した箱内に降ろす。この前方への置換移動は破線矢印73によつて指示されている。この逆方向(後方向)への置換移動は実線矢印74によつて示されている。」 第1図 第2図 第7図 第8図 第9図 (2)甲1の記載から認められること ア 上記(1)ア、イ及び第9図の記載によれば、箱詰め機1は、複数のコーンを箱詰めすることが認められる。 イ 上記(1)イ、エ及び第1図の記載によれば、複式型無端搬送装置7,8は、コーンを2本のローブ間に互いに等間隔で直立して前方へ送ること、及び、案内部材13,14は、複式型無端搬送装置7によって直立して供給されるコーンと、複式型無端搬送装置8によって直立して供給されるコーンを、頂部が互い違いに反対方向になるように倒してコンベヤベルト17に置くことがそれぞれ認められ、更に、上記(1)ウも参酌すると、箱詰め機1は、複式型無端搬送装置7,8と、案内部材13,14と、コンベヤベルト17と、持上手段18を備えること、及び、、コンベアベルト17は複数のコーンを詰込位置31に向かって送ること、複数のコーンが端止め部材19で停止されることにより集積されること、箱詰め機1は、詰込位置31を備えることがそれぞれ認められる。また、第1図には、詰込位置31は、コンベアベルト17の前方の下流側端部に対して平面視において隣接して配置されている点が記載されていると認められる。 ウ 上記(1)ウ及び第1図の記載によれば、詰込位置31は、コンベヤベルト17のライン上にあり、箱28を停止させる位置であることが認められ、上記(1)イ、オ及び第9図も参酌すると、「箱28」と「箱20」は同じものを表し、持上手段18は、案内部材13,14によって並べられたコーンの1群を拾い上げて、コーンの1群を前方へ置換移動させることにより、詰込位置31で停止している箱28に詰込むことが認められる。 (3)甲1発明 上記(2)ア?ウを総合すると、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「複数のコーンを箱詰めする箱詰め機1であって、 コーンを2本のローブ間に互いに等間隔で直立して送る複式型無端搬送装置7,8と、 前記複数のコーンを端止め部材19で集積できるよう詰込位置31に向かって送るコンベヤベルト17と、 複式型無端搬送装置7によって直立して供給されるコーンと、複式型無端搬送装置8によって直立して供給されるコーンを、頂部が互い違いに反対方向になるように倒してコンベヤベルト17に置く案内部材13,14と、 コンベヤベルト17の前方の下流側端部に対して平面視において隣接して配置され、箱28を停止させる詰込位置31と 案内部材13,14によって並べられたコーンの1群を拾い上げて、コーンの1群を前方へ置換移動させることにより、詰込位置31で停止している箱28に詰込む持上手段18と、 を備える、箱詰め機1。」 2 甲2について 甲2には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、袋本体と首部とを有する複数の容器を搬送する容器搬送装置に関する。」 「【0018】 入り側コンベア2は、本発明で言う入り側搬送手段の一例である。入り側コンベア2は、搬送方向がx方向に沿っており、製袋機1のシュート13から供給された複数の容器Cを順次x方向右方へと搬送する。搬送された複数の容器Cは、受け渡し位置P1に到達する。なお、本発明で言う入り側搬送手段としては、入り側コンベア2に限定されず、たとえば複数の駆動ローラが並べられたいわゆるローラコンベアであってもよい。 【0019】 中間コンベア4は、本発明で言う中間搬送手段の一例であり、たとえばサーボ駆動される駆動ローラを含む1対以上のローラに無端ベルトがかけまわされている。中間コンベア4は、搬送方向が入り側コンベア2と同様にx方向に沿っており、受け渡し位置P1において入り側コンベア2から移載された複数の容器Cをx方向右方へと搬送する。搬送された複数の容器Cは、受け渡し位置P2に到達する。後述するように、中間コンベア4によって搬送される複数の容器Cは、所定数ごとに区画された状態で搬送される。なお、本発明で言う中間搬送手段としては、中間コンベア4に限定されず、たとえば複数の駆動ローラが並べられた、いわゆるローラコンベアであってもよい。 【0020】 整列手段3は、受け渡し位置P1に設置されており、入り側コンベア2から中間コンベア4へと複数の容器Cを順次移載するためのものである。整列手段3は、整列ロボット31,32を備えている。整列ロボット31,32は、図2に示すように、x方向に互いに離間配置されている。整列ロボット31,32は、それぞれ複数のリンクアーム31a,32aと吸着ヘッド31b,32bと図示しないカメラシステムとを備えている。このような整列ロボット31,32の一例としては、BOSCH社製のパラレルメカニズムロボットが挙げられるが、これに限定されるものではない。 【0021】 整列ロボット31,32の動作はほぼ同一であり、整列ロボット31を例に以下に説明する。入り側コンベア2によって受け渡し位置P1に到達した容器Cは、整列ロボット31の上記カメラシステムによってその位置および首部C2が向いている方向が把握される。整列ロボット31は、上記位置情報をもとに、複数のリンクアーム31aを駆動させることにより、吸着ヘッド31bを容器Cへと移動させる。そして、吸着ヘッド31bによって容器Cを吸着する。吸着ヘッド31bは、複数のリンクアーム31aに対してx方向およびy方向のいずれにも直角である方向に延びる軸周りに回転自在とされている。容器Cの首部C2が向く方向とy方向とがなす角度をもとに、首部C2が向く方向がy方向と一致するように吸着ヘッド31bを回転させる。そして、容器Cを、中間コンベア4へと載置する。 【0022】 同図に示された例においては、整列ロボット31,32は、首部C2が紙面におけるy方向上方を向く姿勢で容器Cを中間コンベア4に置く。入り側コンベア2に置かれた容器Cの姿勢が、中間コンベア4に置かれた姿勢とするためにたとえば180度近く回転させる必要があるときなどは、整列困難な容器Cとして搬送経路から排出する機能を整列ロボット31,32に備えてもよい。整列ロボット31,32は、所定数(たとえば、図1においては7個)の容器Cを互いの首部C2が同一方向を向く姿勢で並列に整列させる動作を一単位とし、この単位作業を順次繰り返す。本実施形態においては、整列ロボット31,32の処理能力は、それぞれ80個/分程度である。2台の整列ロボット31,32を備えることにより、整列手段3の処理能力は、製袋機1の製造能力より若干上回っている。」 図2 3 甲3について 甲3には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、物品積み替え装置に関する。」 「【発明を実施するための形態】 【0017】 (1)物品積み替え装置の全体構成および前後構成 本発明の一実施形態に係る物品積み替え装置を図1および図2に示す。この物品積み替え装置は、例えばポテトチップスを袋の中に充填した包装物Bを生産して箱詰めする食品工場のラインに設置される装置であって、第1コンベア10、第2コンベア20およびロボット30から構成される。」 「【0024】 (2-3)ロボット ロボット30は、図2に示すように、3組のリンクを持つパラレルリンクロボットである。ロボット30は、ベース32と、ベース32の下方に均等間隔で取り付けられた3個のサーボモータ33a,33b,33cと、これらのサーボモータ33a,33b,33cによりそれぞれ駆動されるパラレルリンクアーム34a,34b,34cとを備えている。ベース32は、図1に示すように、平面的に第1コンベア10の下流端と第2コンベア20の上流端と重なるように配備される。パラレルリンクアーム34a,34b,34cの各上端は、サーボモータ33a,33b,33cの各出力軸に連結されており、各下端は、吸着把持部38に連結されている。各パラレルリンクアーム34a,34b,34cは、それぞれ、サーボモータ33a,33b,33cの各出力軸から吸着把持部38へと延びている。ロボット30の動作時には、各サーボモータ33a,33b,33cの各出力軸の回転量および回転の向きが適宜制御され、各パラレルリンクアーム34a,34b,34cの下端が水平方向および鉛直方向に移動して、吸着把持部38が一定の三次元空間内の任意の位置に移動するようになっている。 【0025】 ロボット30の吸着把持部38は、その下部に複数の吸着パッド(図示せず)を有している。各吸着パッドは、真空ポンプや真空ブロア(図示せず)から延びている吸引チューブ36に接続されており、包装物Bの吸着把持状態および吸着解除状態が切り替わる。吸着パッドによる包装物Bの吸着および吸着の解除によって、吸着把持部38は包装物Bを掴んだり離したりすることになる。具体的には、第1コンベア10の上の包装物Bを吸着把持部38が掴み、パラレルリンクアーム34a,34b,34cが包装物Bを掴んだ吸着把持部38を持ち上げて平面移動させ、第2コンベア20の上で吸着把持部38による包装物Bを解除する。・・・」 「【0031】 (4)物品積み替え装置の特徴 (4-1) 本実施形態に係る物品積み替え装置は、包装物Bを1列で搬送する第1コンベア10と、包装物Bを2列で搬送する第2コンベア20と、第1コンベア10により搬送されてきた包装物Bを第2コンベア20に積み替えるロボット30とを備えている。そして、第2コンベア20が、第1コンベア10の搬送方向の下流側に配置されるとともに、第1コンベア10と一直線上に並ぶように配置される。すなわち、この物品積み替え装置では、第1コンベア10を1列で搬送されてきた包装物Bを、ロボット30が第2コンベア20に包装物Bが2列に並ぶように積み替える。」 図1 図2 第5 当審の判断 1 本件発明1について (1)対比 本件発明1と甲1発明とを対比すると、後者の「コーン」は、その機能や構造からみて、前者の「物品」に相当し、以下同様に、「箱詰めする」は「箱に詰め込む」に、「箱詰め機1」は「箱詰装置」に、「前方」は「搬送方向」に、「送る」は「搬送する」に、「複式型無担搬送装置7,8」は「物品搬送コンベア」に、「端止め部材19で集積できるよう」は「集積するために」に、「詰込位置31に向かって」は「搬送方向へ」に、「コンベヤベルト17」は「物品集積コンベア」に、「直立して供給される」は「搬送されている」に、「案内部材13,14」は「集積機構」に、「箱28」は「箱」に、「停止させ」は「待機させ」に、「詰込位置31」は「詰め込み部」に、「並べられた」は「集積された」に、「コーンの1群を拾い上げて」は「前記物品からなる物品群を一度に持ち上げて」に、「前方へ置換移動させる」は「搬送方向に沿って移動させる」に、「箱28に詰込む」は「箱の中に詰め込む」に、「持上手段18」は「物品群移動機構」に、それぞれ相当する。 前者の「前記物品を持ち上げて、前記物品集積コンベアに置く集積機構」と後者の「供給されるコーンを、頂部が互い違いに反対方向になるように倒してコンベヤベルト17に置く案内部材13,14」は、物品を物品集積コンベアに置く集積機構である点で共通する。 そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び装置点は、以下のとおりである。 <一致点> 「複数の物品を箱に詰め込む箱詰装置であって、 搬送方向へ前記物品を搬送する物品搬送コンベアと、 複数の前記物品を集積するために複数の前記物品を前記搬送方向へ搬送する物品集積コンベアと、 前記物品搬送コンベアに搬送されている前記物品を前記物品集積コンベアに置く集積機構と、 前記物品集積コンベアの前記搬送方向の下流側端部に対して平面視において隣接して配置され、前記物品を詰め込むために前記箱を待機させる詰め込み部と、 前記集積機構によって集積された前記物品からなる物品群を一度に持ち上げて、前記物品群を前記搬送方向に沿って移動させることにより、前記詰め込み部で待機している前記箱の中に詰め込む物品群移動機構と、 を備える、箱詰装置。」 <相違点> 集積機構において物品を物品集積コンベアに置く際に、本件発明1では、物品を持ち上げるのに対し、甲1発明では、複式型無端搬送装置7及び8によって直立して供給されるコーンを、頂部が互い違いに反対方向になるように倒すようにする点。 (2)相違点についての判断 甲1発明において、案内部材13,14は、コーンの円錐形であるという特質を活かして、コーンをコンベヤベルト17に置く際(物品を物品集積コンベアに置く際)に、複式型無端搬送装置7,8によって直立して供給されるコーンを案内部材13,14に当てて倒すという簡単な構造により、コーンの頂部が互い違いに反対方向になるように集積するものであるところ、甲2に記載された整列ロボット31,32、及び、甲3に記載されたロボット30は、ともに、物品を吸着して持ち上げて、あるコンベアから別のコンベアに移動させることが可能なパラレルリンクロボットであり、このようなパラレルリンクロボットは、申立人が主張するように本願出願前の周知技術(以下、「周知技術1」という。)であると認められるが、該パラレルリンクロボットは、案内部材13,14と比べて装置がより複雑でより高価となるとともに、実行速度をより速くすることが困難であること、及び、直立した物品を倒して横にする機能がなく、単に、案内部材13,14と置き換えるだけでは、案内部材13,14が有する機能の全てを実現できるわけではないことを勘案すると、甲1発明において、案内部材13,14に代えて、わざわざ、上記パラレルリンクロボットを適用する動機付けがあると認められず、むしろ阻害要因があるといえる。 したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2,3に記載された技術、周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 なお、物品を持ち上げて移動可能なロボットにおいて、直立した物品を倒して横にするというように、物品の姿勢を3次元的に変更可能とすることは、例示するまでもなく本件の出願前において周知技術(以下、「周知技術2」という。)であるといえるが、甲1発明において、案内部材13,14に代えて、周知技術2を適用した場合、装置がより複雑で、より高価になるだけではなく、実行速度をより速くすることが困難であることを勘案すると、甲1発明において、上記周知技術を適用する動機付けがあるとは認められず、むしろ阻害要因があるとさえいえる。 2 本件発明2?4について 本件発明2?4は、本件発明1の全ての構成を含み、更なる限定を付加するものであるから、上記1で説示したのと同じ理由により、甲1発明及び甲2,3に記載された技術、上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 むすび したがって、特許異議の申立理由及び証拠によっては、請求項1?4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1?4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2021-11-10 |
出願番号 | 特願2015-54709(P2015-54709) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(B65B)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 蓮井 雅之、田中 佑果、金丸 治之 |
特許庁審判長 |
芦原 康裕 |
特許庁審判官 |
畔津 圭介 八木 誠 |
登録日 | 2021-01-25 |
登録番号 | 特許第6828989号(P6828989) |
権利者 | 株式会社イシダ |
発明の名称 | 箱詰装置 |
代理人 | 新樹グローバル・アイピー特許業務法人 |
代理人 | 神崎 真 |