ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F23L |
---|---|
管理番号 | 1380691 |
総通号数 | 1 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-01-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-01-18 |
確定日 | 2021-12-16 |
事件の表示 | 特願2017−132353号「蓄熱式燃焼設備」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月31日出願公開、特開2019− 15439号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成29年7月6日に出願したものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年6月24日付けで拒絶理由通知 令和2年7月21日に意見書の提出 令和2年12月11日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和3年1月18日に審判請求書及び手続補正書の提出 第2 令和3年1月18日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年1月18日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載 本件補正により、特許請求の範囲及び明細書について補正がなされたところ、請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「【請求項1】 蓄熱部に収容された蓄熱材により加熱されて燃焼用空気供給経路を通して炉内に導かれる燃焼用空気と、燃料供給ノズルから供給された燃料とを混合させて、燃料を炉内において燃焼させる蓄熱式燃焼バーナーが設けられた蓄熱式燃焼設備において、前記の蓄熱部から筒状になった燃焼用空気供給経路に導かれた燃焼用空気を、燃焼用空気供給経路の内周に沿って旋回させながら、前記の燃焼用空気供給経路を通して給排気口から炉内に供給するにあたり、前記の給排気口の近傍における炉壁に第1燃料供給ノズルから燃料を炉内に供給する第1燃料供給口を設けると共に、前記の給排気口の近傍における燃焼用空気供給経路内に第2燃料供給ノズルから燃料を供給する第2燃料供給口を設け、前記の第1燃料供給ノズルから第1燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の炉内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作と、前記の第2燃料供給ノズルから第2燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の燃焼用空気供給経路内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作とを切り換え又は組み合わせて行うことを特徴とする蓄熱式燃焼設備。」 (2) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載 本件補正前の、特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 蓄熱部に収容された蓄熱材により加熱されて燃焼用空気供給経路を通して炉内に導かれる燃焼用空気と、燃料供給ノズルから供給された燃料とを混合させて、燃料を炉内において燃焼させる蓄熱式燃焼バーナーが設けられた蓄熱式燃焼設備において、前記の蓄熱部から筒状になった燃焼用空気供給経路に導かれた燃焼用空気を、燃焼用空気供給経路の内周に沿って旋回させながら、前記の燃焼用空気供給経路を通して給排気口から炉内に供給すると共に、第1燃料供給ノズルから前記の給排気口の近傍における炉壁に設けられた第1燃料供給口を通して炉内に燃料を供給し、前記の燃焼用空気と燃料とを混合させて、燃料を炉内において燃焼させることを特徴とする蓄熱式燃焼設備。」 2 補正の適否 (1) 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された「燃焼用空気と、燃料供給ノズルから供給された燃料とを混合させて、燃料を炉内において燃焼させる蓄熱式燃焼バーナー」について、本件補正前の「第1燃料供給ノズルから前記の給排気口の近傍における炉壁に設けられた第1燃料供給口を通して炉内に燃料を供給し、前記の燃焼用空気と燃料とを混合させて、燃料を炉内において燃焼させる」を、本件補正後の「前記の給排気口の近傍における炉壁に第1燃料供給ノズルから燃料を炉内に供給する第1燃料供給口を設けると共に、前記の給排気口の近傍における燃焼用空気供給経路内に第2燃料供給ノズルから燃料を供給する第2燃料供給口を設け、前記の第1燃料供給ノズルから第1燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の炉内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作と、前記の第2燃料供給ノズルから第2燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の燃焼用空気供給経路内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作とを切り換え又は組み合わせて行う」とすることにより、「前記の給排気口の近傍における燃焼用空気供給経路内に第2燃料供給ノズルから燃料を供給する第2燃料供給口を設け」たこと、及び「前記の第1燃料供給ノズルから第1燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の炉内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作と、前記の第2燃料供給ノズルから第2燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の燃焼用空気供給経路内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作とを切り換え又は組み合わせて行う」ことを限定するものであり、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下検討する。 (2) 本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (3) 引用文献の記載事項 ア 引用文献1 (ア) 引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2011−27353号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、下線は当審において付したものである。また、「・・・」は記載の省略を示す。)。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 燃料噴射ノズルから燃料を噴出させて燃焼を行うバーナ部と、蓄熱材を収容させた蓄熱室と、この蓄熱室を通して燃焼用空気を給排気口から熱処理炉内に供給すると共に熱処理炉内における燃焼排ガスを給排気口から蓄熱室を通して排気させる給排気路とを有する蓄熱式バーナにおいて、上記の給排気口と蓄熱室との間の給排気路にメンテナンス用扉を設けたことを特徴とする蓄熱式バーナ。 ・・・ 【請求項5】 請求項1〜請求項4の何れか1項に記載した蓄熱式バーナを用いた熱処理炉において、上記のメンテナンス用扉を開けて清掃部材を給排気路内に導き、この清掃部材により上記の給排気口の部分に付着した付着物を清掃することを特徴とする熱処理炉。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は、燃料噴射ノズルから燃料を噴出させて燃焼を行うバーナ部と、蓄熱材を収容させた蓄熱室と、蓄熱室を通して燃焼用空気を給排気口から熱処理炉内に供給すると共に熱処理炉内における燃焼排ガスを給排気口から蓄熱室を通して排気させる給排気路とを有する蓄熱式バーナ及びこのような蓄熱式バーナを用いた熱処理炉に関するものである。特に、蓄熱式バーナを用いた熱処理炉によりアルミニウム等の金属を溶融させたり、被処理材を加熱処理させたりする場合において、上記の蓄熱式バーナにおける給排気口の部分にアルミニウム等の金属や被処理材から発生した各種の不純物等からなる付着物が付着した場合において、このような付着物を簡単に除去できるようにした点に特徴を有するものである。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0008】 本発明は、燃料噴射ノズルから燃料を噴出させて燃焼を行うバーナ部と、蓄熱材を収容させた蓄熱室と、蓄熱室を通して燃焼用空気を給排気口から熱処理炉内に供給すると共に熱処理炉内における燃焼排ガスを給排気口から蓄熱室を通して排気させる給排気路とを有する蓄熱式バーナを使用した熱処理炉において、アルミニウム等の金属を溶融させたり、被処理材を加熱処理させたりする場合における上記のような問題を解決することを課題とするものである。 【0009】 すなわち、本発明においては、上記のような蓄熱式バーナを熱処理炉に使用した場合において、給排気口の部分にアルミニウム等の金属や被処理材から発生した各種の不純物等からなる付着物が付着しても、このような付着物を簡単に除去できるようにすることを課題とするものである。」 「【図面の簡単な説明】 ・・・ 【図4】 同実施形態の熱処理炉において、蓄熱式バーナにおけるバーナ部を変更させた変更例の概略説明図である。」 「【0038】 例えば、図4に示すように、バーナ部21における燃料噴射ノズル210として、燃料を給排気路23内に噴出させる第1燃料噴射ノズル2101と、燃料を給排気口230の近傍において熱処理炉10内に噴出させる第2燃料噴射ノズル2102とを設けると共に、上記の第1燃料噴射ノズル2101から噴出された燃料を給排気路23内において着火させる着火プラグ213を設けたものを用いることも可能である。なお、このようなバーナ部21を用いて燃料を燃焼させるにあたっては、熱処理炉10内の温度が燃料の着火温度以下である場合には、上記の第1燃料噴射ノズル2101から燃料を給排気路23内に噴出させると共に給排気路23を通して燃焼用空気を導き、上記の着火プラグ213により着火させて燃料を一時燃焼させると共に、給排気口230の近傍に設けられた第2燃料噴射ノズル2102から燃料を熱処理炉10内に噴出させて、この燃料を二次燃焼させるようにする。一方、熱処理炉10内の温度が燃料の着火温度以上になると、上記の第2燃料噴射ノズル2102だけから燃料を噴射させて燃焼を行うようにすることができる。 【0039】 そして、このようなバーナ部21を用いたものにおいても、給排気口230と蓄熱室22との間における直線状になった給排気路23の部分において、給排気口230と反対側にヒンジ等により開閉されるメンテナンス用扉24を設けることにより、上記の場合と同様にして、給排気口230の部分に付着した付着物Xを清掃部材30によって簡単に除去できるようになる。 【符号の説明】 【0040】 10 熱処理炉 11 壁 20,20A,20B 蓄熱式バーナ 21,21A,21B バーナ部 22,22A,22B 蓄熱室 23,23A,23B 給排気路 24,24A,24B メンテナンス用扉 25,25A,25B 火炎監視用窓 30 清掃部材 31 案内棒 32 除去部 210,210A,210B 燃料噴射ノズル 211A,211B 1次空気供給ノズル 212A,212B スタビライザ 213,213A,213B 着火プラグ 214A,214B 1次空気供給管 215A,215B 燃料供給管 216A,216B 貫通穴 220,220A,220B 蓄熱材 230,230A,230B 給排気口 2101 第1燃料噴射ノズル 2102 第2燃料噴射ノズル X 付着物」 「【図3】 【図4】 」 (イ) 上記(ア)及び図面の記載から認められる事項 上記(ア)(特に【0038】)と図面の記載から、メンテナンス用扉24の円板形状を踏まえると、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 ・給排気路23は円筒状である。 (ウ) 引用発明 上記(ア)及び(イ)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「燃料噴射ノズル210から燃料を噴出させて燃焼を行うバーナ部21と、蓄熱材220を収容させた蓄熱室22と、この蓄熱室22を通して燃焼用空気を給排気口230から熱処理炉内に供給すると共に熱処理炉内における燃焼排ガスを給排気口230から蓄熱室22を通して排気させる円筒状の給排気路23とを有する蓄熱式バーナ20を用いた熱処理炉10であって、 バーナ部21における燃料噴射ノズル210として、燃料を給排気路23内に噴出させる第1燃料噴射ノズル2101と、燃料を給排気口230の近傍において熱処理炉10内に噴出させる第2燃料噴射ノズル2102とを設け、 熱処理炉10内の温度が燃料の着火温度以下である場合には、上記の第1燃料噴射ノズル2101から燃料を給排気路23内に噴出させると共に給排気路23を通して燃焼用空気を導き、着火プラグ213により着火させて燃料を一時燃焼させると共に、給排気口230の近傍に設けられた第2燃料噴射ノズル2102から燃料を熱処理炉10内に噴出させて、この燃料を二次燃焼させるようにする一方、熱処理炉10内の温度が燃料の着火温度以上になると、上記の第2燃料噴射ノズル2102だけから燃料を噴射させて燃焼を行うようにする、 熱処理炉10。」 イ 引用文献2 (ア) 引用文献2の記載 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である、中国実用新案第203131829号明細書(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。 「 」 (当審注:「( )」内は、当審で作成した翻訳文である。以下同様である。 技術分野 [0001] 本実用新案は焼却装置に関し、特に炉天井に取り付けることができる高効率省エネ環境保護タイプ蓄熱フラットフレーム燃焼器に関する。 背景技術 [0002] 現在、公知の国内工業炉は通常のフラットフレーム燃焼器および相の組み合わせた燃焼システムを用いて炉内に加熱をし、形式は多く炉天井位置分布としてそれで、蓄熱式バーナーおよび燃焼システムは良好な省エネルギ効果で多く炉側に応用され、これは全てすでに比較的成熟して実用的省電力化技術と国内外である。 [0003] 通常のフラットフレームバーナー構成は簡単であり、製造しやすい;燃焼器の軸線中心位置に燃料噴射組立体を用いて、配風システムは燃料噴射組立体の周辺に被包し、火炎は燃焼ノズル煉瓦内壁によって周辺にこの形式を拡散させる。その特徴は炉天井管路が簡単を配置し、火炎形状はよく、均一であることを加熱し、フレーム温度は比較的に高い。欠点は燃料が大きさを浪費し、省エネ率は低い。) 「 」 (発明を実施するための最良の形態 [0024] 本実用新案は高効率省エネ環境保護タイプ蓄熱フラットフレーム燃焼器を提供し、図1に示すように、以下を含む:順次接続する配風体1、蓄熱室2は、外壁31、ポート32および燃料噴射手段5の燃焼ノズル3を有し、そのうち、燃焼ノズル3の外壁31は設置してありポート32の複数の貫通孔31aに通じ、燃料噴射手段5は貫通孔31a中に取り付ける。 [0025] 具体的に、図2に示すように、蓄熱室2は以下を含む:水平配置が且つ配風体1と貫通する蓄熱体21は、蓄熱体21はハニカム体とし、その左端はグリッド21aを接続固定し、右端はバッフル板煉瓦21bを接続固定し、蓄熱体21は配風体進入のその内の常温空気から蓄熱することに対するのに用いる;垂直は且つ蓄熱体21とポート32とそれぞれ貫通する予熱空気チャンバ22を設置する;且つ蓄熱体21と予熱空気の腔22のL型コネクタ23に固定することを接続する;そのうち、蓄熱体21と予熱空気チャンバ22はL型コネクタ23によって連接して形成してL型構造の蓄熱室2を有する。本実用新案蓄熱室2はL型構造設計してなって、燃焼器応力を有効に避けて集中し燃焼ノズルを引き起こしすぎて3の受力は大きすぎていて、全体熱間強度を比較的高レベルにあるようにさせ、耐用年数を延長する。 [0026] 図3に示すように、燃焼ノズル3は外壁31、ポート32および燃料噴射手段5を有し、そのうち、燃焼ノズル3の外壁31は設置してありポート32の複数の貫通孔31aに通じ、燃料噴射手段5は貫通孔31a中に取り付け、実際の工程によって需要があり、燃料噴射手段5の噴射方向をそれぞれポートと32のセンタライン夾角は異なった角度とすることを設計して、このように同時に領域と空気混合に燃料を避けることができ、集中しすぎることを燃焼させることを避けて、これによって燃焼温度ピーク値を避けて、NOxの形成を抑制した。 [0027] また、図1に示すように、本実用新案は空気チャンバ22と燃焼ノズル3の間を予熱してまた旋回流の塞り煉瓦4を取り付けていて、図2に示すように、この旋回流の塞り煉瓦4は中空本体とし、その上端は閉鎖し、側壁は複数の傾いている貫通孔41を設ける。旋回流の塞り煉瓦4は従来バーナー装置上の旋回流部材に相当し、経る予熱空気チャンバ22をポート32の予熱後の常温空気に進んで旋回流の風を形成させ、この旋回流の風はポートへ噴射される燃料と十分混合を行うことができる。蓄熱式原理から知ることができて、燃焼器は作動状態で、蓄熱体熱交換後の気温から1000度以上に達して、従って本実用新案旋回流の塞り煉瓦4の従来燃焼器の用いた耐熱ステンレス鋼を置換し選択して使ったセラミック耐火物作製して、更に高い熱安定性と寿命に達し、作動状態で焼損される可能性がないことを確保し、これによって燃焼器の全体実用寿命を保証して要求する。) 「 」 ([0030] 図1に示すように、常温空気は配風体1を経て本実用新案蓄熱フラットフレーム燃焼器に進み、水平配置の蓄熱体21を通す時加熱され、常温空気は至近の時間内でファーネス温度に接近することを予熱することができて、且つ垂直が設置した予熱空気チャンバ22に進み、予熱後の常温空気は継続して下で予熱空気チャンバ以下に設置するポートに流動する;予熱後の常温空気が予熱空気の腔からポートに進む時、予熱空気の腔と燃焼ノズルポートの間に設置する旋回流の塞り煉瓦4を通し、この旋回流の塞り煉瓦4によって中空本体のために、その上端は閉鎖し、側壁は複数の傾いている貫通孔41を設け、予熱後の常温空気がただ旋回流の塞り煉瓦4側壁から設置することができる複数の傾いている貫通孔41がポート32に進むに至り、これによって予熱後の常温空気を旋回流状を呈させて吐出し、ポート32に旋回流の風を形成し、周囲炉内を巻吸する煙道ガスは1株の酸素含有量を形成して大いに21%の希薄な低酸素高温空気流より低い;同時装着貫通孔31aにある燃料噴射手段5は希薄な高温エア近傍の噴射燃料(可燃ガス)に向かい、燃料(可燃ガス)低酸素(2−20%)状態で実現は燃焼する。) 「 」 ([0031] 具体的に、図3に示すように、本実用新案燃料噴射手段5の噴射方向はそれぞれポートと32のセンタライン夾角は異なった角度とすることを設計して、このように同時に領域と空気混合に燃料を避けることができ、集中しすぎることを燃焼させることを避け、これによって燃焼温度ピーク値を避けて高すぎていて、NOxの形成を抑制した;複数グループが不アングル別から噴射し出す燃料とポートに形成する旋回流の風は充分に混合燃焼し、燃焼効率を大いに高まらせ、火炎剛性はよい。本実用新案の複数グループ燃料噴射手段は実負荷によって需要があり、動きが早く燃料噴射流量と噴射角に配置し、燃焼器のターンダウン比を高める。 [0032] また、図4に示すように、本実用新型燃料噴射手段5は燃焼ノズル中心円の接線方向に沿うように口内を噴かせることに向けて燃料を噴射する;上記の縁燃焼ノズル中心円接線方向噴射燃料はポートと旋回流の風に十分混合が旋回流を形成し、且つポートのラッパ口に燃焼を実現する;ポート出口に、この旋回流の風でハイブリッドの後の燃料を燃焼形成によって回転させる円盤形平面形状の火炎は、燃焼ノズル内壁に沿うように周辺に拡散し、均一な温度場を有し、炉本体内上部空間均一加熱を加熱することに局部過熱を防止する。 [0038] 本実用新案蓄熱フラットフレーム燃焼器は転流を実現することができ、具体的過程は次の通りであり、産業用炉炉天井(図中未図示に)に燃焼器A、燃焼器Bを取り付け、図5に示すように、まず常温空気は燃焼器Aの配風体1を経て燃焼器Aに進み、蓄熱室2に加熱され、旋回流の塞り煉瓦4を通して旋回流状を呈して吐出し、ポート32と燃料噴射手段5に噴射し出す燃料混合は燃焼する。) 「図1 」 「図3 」 「図4 」 (イ) 上記(ア)及び図面の記載から認められる事項 上記(ア)と図面の記載から、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引2事項」)が記載されているものと認められる。 ・蓄熱フラットフレーム燃焼器において、NOx低減のために、予熱後の燃焼用空気に旋回流状を呈させて吐出することで円盤形平面形状の火炎(フラットフレームに相当)を形成すること。 ウ 引用文献3 (ア) 引用文献3の記載 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2013−2706号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。 「【0002】 リジェネレイティブバーナのように、燃焼排ガス中の熱を回収して燃焼装置に供給される燃焼用空気を加熱することによって熱効率を高めた燃焼装置が使用されている。燃焼用空気の温度が高い燃焼装置では、一般的にNOx濃度が高くなりやすい。このため、燃焼用空気と燃料との混合を遅らせて緩慢に燃焼させることで、NOxの発生を抑制する方法が採用される。緩慢燃焼すると、当然ながら、火炎の長さは長くなる。しかしながら、炉の幅が狭い場合には、火炎が対向する炉壁に達して不完全燃焼となるため、十分に燃焼を遅らせることができない。」 「【0006】 前記問題点に鑑みて、本発明の課題は、高温の燃焼用空気を使用でき、且つ、旋回して径方向に広がる火炎を形成できる燃焼装置を提供することを課題とする。」 「【0026】 また、バーナ本体3は、円筒空間4の上部に開口するノズル流路8を有する。ノズル流路8は、円筒空間4の円筒面に接する平面からなる第1の側面8aと、第1の側面8aに対向して第1の側面8aと平行に延伸する平面からなる第2の側面8bと、第2の側面8bから屈曲して90°の角度で延伸し、円筒空間4に接する平面からなる第3の側面8cとを備える。また、ノズル流路8の天面は円筒空間4の天面8dに連続するように延伸し、ノズル流路8の底面8eは、天面に平行である。つまり、ノズル流路8の天面および底面は、円筒空間4の中心軸に直角にする平面である。 【0027】 ノズル流路8は、第1の側面8aと第2の側面8bとによって画定され、断面が一定なスリット状の助走部9と、90°以下の角度で互いに交差する円筒空間4の2つの接面である第1の側面8aと第3の側面8cとによって画定された開口部10とからなる。 【0028】 ノズル流路8の他端は、蓄熱体を収容した蓄熱室11に連通している。詳しくは、ノズル流路8の他端は、断面形状がノズル流路8と一致する矩形形状から、蓄熱室11に連通する接続流路12と一致する円形形状に遷移する遷移流路13に接続されている。 【0029】 またノズル流路8の開口部10において、第1の側面8aの天面8dに近い位置には、燃料ガスを供給するためのガスノズル14が開口している。ガスノズル14は、1次燃焼用空気も供給され、点火装置を内蔵している。 【0030】 本実施形態において、蓄熱室11において加熱されてから供給される燃焼用空気は、ノズル流路8から円筒部5の内壁に沿って接線方向に吹き込まれ、円筒空間4内に螺旋状に旋回する気流を形成する。ガスノズル14から供給された燃料が燃焼して形成される火炎は、この旋回気流に乗って、螺旋状に延伸する。 【0031】 火炎(旋回気流)が拡径部7に達すると、その形状に合わせて、旋回気流の旋回半径が拡大してゆく。そして、炉内空間1に到達した旋回気流は、径方向外側に、炉壁2の内面に沿って全周に広がるような渦状の流れを形成する。これにより、見かけ上の火炎は傘状に広がったものとなり、燃料の燃焼を遅らせて緩慢燃焼しても、見かけ上の燃焼火炎の長さが短くなる。このため、本実施形態の燃焼装置は、対向する炉壁が近距離にあるような幅の狭い炉にも適用できる。 【0032】 また、このように燃焼ガスによって渦を形成すると、渦の中心部は負圧となる。このため、渦状の流れから脱離した燃焼ガスは、渦の中心に吸引され、火炎の中に巻き込まれる。これによって、燃焼ガス中の未燃燃料ガスを完全燃焼させられるので、燃焼温度を低くして低NOx化できる。 【0033】 本発明において、ノズル流路8は、円筒空間4に供給する燃焼用空気を整流するための助走部9を備える。このため、ノズル流路8は、円筒部5の内壁に沿って流れるように、燃焼用空気を吹き込むことができる。 【0034】 また、ノズル流路8は、円筒空間4に向かって大きく開いた開口部10を備える。このため、蓄熱室11において熱回収するために円筒空間4を介して炉内空間1の燃焼ガスを排気する際には、円筒空間4上部の広い範囲から燃焼ガスがノズル流路8に流れ込むことができる。つまり、開口部10は、炉内空間1の燃焼ガスを排気する際の流路抵抗を低減して、排気効率を高める。」 「【図1】 【図2】 」 (イ) 上記(ア)及び図面の記載から認められる事項 上記(ア)と図面の記載から、引用文献3には、次の技術的事項(以下「引3事項」)が記載されているものと認められる。 ・リジェネレイティブバーナのような燃焼装置において、低NOx化のために、燃焼用空気に、径方向外側に、炉壁2の内面に沿って全周に広がるような渦状の流れの旋回気流を形成し、これにより、見かけ上の火炎は傘状に広がったもの(フラットフレームに相当)となること。 エ 引用文献4 (ア) 引用文献4の記載 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である、中国特許出願公開第103206711号明細書(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。 「 」 ([0016] 図2は、本発明前記の蓄熱式二渦フラットフレーム燃焼ノズルを実施する時は、蓄熱式空気加熱1の他端を対応の配管と四方切換弁、エアーブラスト送風ファン、排気煙送風ファン接続によって、冷却空気を空気加熱1内のセラミックハニカム蓄熱体5の加熱した後の進入空気サイクロン3内を経由させ、且つ空気スワーラ3のうず巻室内で高温旋回気流進入燃焼ノズル煉瓦2の内腔ラッパ口を形成する;空気の回転噴流が燃焼ノズル煉瓦2のラッパ口の近くに1個の比較的大きい負圧リフローゾーンを形成する可能性があるので、これにより炉内の大量の高温煙気を含ませにリフローゾーンに巻き込まれるようにする可能性があり、これは一面において安定火炎の作用を果たすことができ、一方煙道ガスと空気を噴流混合を回させることができ、O2体積濃度<15%の低酸素ガスを形成して、それが形成する低酸素ガスは可能性があり可燃ガスサイクロン4と送り込む可燃ガス旋回気流は燃焼ノズル煉瓦2のフランクとファーネス内縁混合辺に拡散燃焼して、且つ燃焼ノズル煉瓦に2のフランクのコアンダ作用下にベルジャの形火炎を形成して、炉天井と炉壁に沿うように回転し下りて、そのため、その燃焼空間は比較的に大きく、輻射エネルギ力は比較的に強く、フレーム温度は比較的に低い、且つ局所的高温区はない; 排気煙を必要とする時、四方切換弁によって前記の燃焼ノズルを排気煙状態に切り替え、この時、排気煙送風ファンの吸引作用で、炉内煙道ガスはワーク熱交換後を加熱されることと、燃焼ノズル煉瓦2の内腔逆方向進入空気サイクロン3を経て、且つ空気加熱1中のセラミックハニカム蓄熱体5と熱交換を行って温度を下げた後四方切換弁と排気煙送風ファンを経て排出する;注意する必要があるものは、前記の蓄熱式二渦フラットフレーム燃焼ノズルは少なくとも一対になって用いること、その普通は炉窯頂部に取り付けなければいけなく、必要な時が同じく炉窯両側の壁に取り付けることを選択することができてずらすことができるために必要に、炉窯になって作動時には、両燃焼ノズルは四方切換弁の制御下に交互に燃焼あるいは排気煙の状態にある;炉窯低温度状態が切り替える時消火する可能性がないことを保証することとし、前記燃焼ノズルは炉窯対応位置に取り付けることと、且つ自動点火、火炎監視装置の小型の点火燃焼ノズルを持たなければいけなく使用を嵌合する;また、前記燃焼ノズル中の空気スワーラ3によって転流である時排煙ダクトを果たす作用がまた要り、そのため、耐高温、耐食性材を用いて前記空気スワーラ3を作成する。) (イ) 上記(ア)及び図面の記載から認められる事項 上記(ア)と図面の記載から、引用文献4には、次の技術的事項(以下「引4事項」)が記載されているものと認められる。 ・フラットフレーム燃焼ノズルにおいて、拡散燃焼のために可燃ガス旋回気流を用いること。 オ 引用文献5 (ア) 引用文献5の記載 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である、特開平8−285236号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、燃料ガスおよび燃焼用空気を所定量混合し、点火して燃焼させる燃料ガスの燃焼方法およびそのバーナに係り、特に、燃料ガスおよび燃焼用空気の混合ガスをセラミックスなどの多孔質体を通して噴出させ燃焼せしめる面燃焼を用いたものに改良を加えて燃焼ガス中のNOx濃度の低減を図ったものに関し、本発明は、工業用加熱炉、各種溶解炉、熱処理炉、ボイラ等の燃焼機器として使用される。」 「【0002】 【従来の技術】近年、地球環境保全の観点から、工業用バーナについても、特に窒素酸化物(NOx)の排出低減の要請が高まっている。 【0003】一般に、燃焼により発生するNOxには、燃焼用空気中の窒素が酸化して生成されるものであって、燃焼温度が高いほど発生しやすいサーマルNOxと、燃料中の窒素化合物が酸化して生成されるフューエルNOxとがあり、これらのNOxは光化学スモッグなどの原因にも考えられているため、その低減対策が急務となっている。 【0004】従来の燃焼におけるNOx低減法としては、希薄予混合燃焼、排ガス再循環、濃淡燃焼・緩慢燃焼、燃料の二段燃焼、空気の二段燃焼、火炎形状の変更(分割火炎・薄膜火炎等)、水蒸気の噴射および水噴射などが知られており、それらの単独または組合わせの種々のNOx低減法が提案され、実用化に供されてきている。 【0005】これらの中でも、燃料及び空気の二段燃焼による方法を中心として、排ガス再循環や水蒸気の噴射などの抑止手段を組合わせたものが多く用いられる。例えば空気の二段燃焼は、燃焼用空気を二段に分割して供給し、一次空気は理論空気量よりも少なくして燃焼を行い、残りを二次空気として送り込む方法である。これによれば、空気の分割により火炎温度が上昇せず、高温領域の酸素濃度が低下するために、NOxの発生が抑えられる。」 「【0018】図1に示したように、本実施例のガスバーナ10は、燃料ガスおよび燃焼用空気を多孔質体の一方の側に供給して当該多孔質体を通過した他方の側で燃焼を行わせる面燃焼を用いたガスバーナである。 【0019】このガスバーナ10は、燃焼用空気供給管1と、その内部の同軸上に配置される燃料ガス供給管2とを有している。燃料ガス供給管2には、連絡配管11が接続されており、当該連絡配管11に設けられた図示しない供給口から燃料ガスが送り込まれるようになっている。また、燃料ガス供給管2の下流側(図中左側)端部近傍には、第1燃料ガス供給孔12が複数形成される。このように、燃料ガスが第1燃料ガス供給孔12から燃焼用空気供給管1内に供給されるようになっており、その下流側には、これらの燃料ガスと燃焼用空気とを充分に混合させるための混合器5が燃焼用空気供給管1の内壁に対して垂直方向に設けられる。この混合器5は、例えば中央孔5aを有する多孔質体の円板からなるが、このような形状および材料に限定されるものではない。」 (4) 引用発明との対比 本件補正発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 ア 後者における「蓄熱室22」は、前者における「蓄熱部」に相当し、以下同様に、「蓄熱材220」は「蓄熱材」に、「燃料噴射ノズル210」は「燃料供給ノズル」に、「燃料」は「燃料」に、「蓄熱式バーナ20」は「蓄熱式燃焼バーナー」に、「燃焼用空気」は「燃焼用空気」に、「給排気路23」は「燃焼用空気供給経路」に、「吸排気口230」は「吸排気口」に、「熱処理炉10」は「炉」及び「蓄熱式燃焼設備」に、それぞれ相当する。 イ 後者の「蓄熱材220を収容させた蓄熱室22と、この蓄熱室22を通して」「給排気口230から熱処理炉内に供給」される「燃焼用空気」は、燃焼用空気が蓄熱室22を通る際に蓄熱材220により加熱されるから、前者の「蓄熱部に収容された蓄熱材により加熱されて燃焼用空気供給経路を通して炉内に導かれる燃焼用空気」に相当する。 ウ 後者の「燃料を給排気路23内に噴出させる第1燃料噴射ノズル2101」は、引用文献1の図4の配置からみて、「給排気口230」の近傍に配置しているといえるから、前者の「給排気口の近傍における燃焼用空気供給経路内に第2燃料供給ノズル」に相当する。 エ 後者の「燃料を給排気口230の近傍において熱処理炉10内に噴出させる第2燃料噴射ノズル2102」は、引用文献1の図4の配置からみて、「給排気口230」の近傍といえるものであるから、前者の「給排気口の近傍における炉壁に第1燃料供給ノズル」に相当する。 オ そして、上記ウ及びエを踏まえると、後者の「第2燃料噴射ノズル2102」の端部が前者の「第1燃料供給口」に相当し、後者の「第1燃料噴射ノズル2101」 の端部が前者の「第2燃料供給口」に相当 する。そうすると、後者は、前者の「前記の給排気口の近傍における炉壁に第1燃料供給ノズルから燃料を炉内に供給する第1燃料供給口を設けると共に、前記の給排気口の近傍における燃焼用空気供給経路内に第2燃料供給ノズルから燃料を供給する第2燃料供給口を設け」た態様を備えるものである。 カ 後者の「蓄熱室22を通して燃焼用空気を給排気口230から熱処理炉内に供給する」「円筒状の給排気路23」を備えることと、前者の「前記の蓄熱部から筒状になった燃焼用空気供給経路に導かれた燃焼用空気を、燃焼用空気供給経路の内周に沿って旋回させながら、前記の燃焼用空気供給経路を通して給排気口から炉内に供給する」こととは、「前記の蓄熱部から筒状になった燃焼用空気供給経路に導かれた燃焼用空気を、燃焼用空気供給経路の内周に沿って、前記の燃焼用空気供給経路を通して給排気口から炉内に供給する」限りで一致する。 キ 後者の「第1燃料噴射ノズル2101から燃料を給排気路23内に噴出させると共に給排気路23を通して燃焼用空気を導き、着火プラグ213により着火させて燃料を一時燃焼させ」、「給排気口230の近傍に設けられた第2燃料噴射ノズル2102から燃料を熱処理炉10内に噴出させて、この燃料を二次燃焼させるようにする」ことは、その態様からみて、前者の「燃焼用空気と、燃料供給ノズルから供給された燃料とを混合させて、燃料を炉内において燃焼させる」ことに相当する。 ク 後者の「第2燃料噴射ノズル2102だけから燃料を噴射させて燃焼を行うようにする」ことは、前者の「前記の第1燃料供給ノズルから第1燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の炉内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作」に相当する。さらに、後者の「第1燃料噴射ノズル2101から燃料を給排気路23内に噴出させると共に給排気路23を通して燃焼用空気を導き、着火プラグ213により着火させて燃料を一時燃焼させ」ることは、前者の「前記の第2燃料供給ノズルから第2燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の燃焼用空気供給経路内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作」に相当する。 そうすると、後者の「熱処理炉10内の温度が燃料の着火温度以下である場合には、上記の第1燃料噴射ノズル2101から燃料を給排気路23内に噴出させると共に給排気路23を通して燃焼用空気を導き、着火プラグ213により着火させて燃料を一時燃焼させると共に、給排気口230の近傍に設けられた第2燃料噴射ノズル2102から燃料を熱処理炉10内に噴出させて、この燃料を二次燃焼させるようにする一方、熱処理炉10内の温度が燃料の着火温度以上になると、上記の第2燃料噴射ノズル2102だけから燃料を噴射させて燃焼を行うようにする」ことは、熱処理炉の温度に応じて燃焼操作の切り換えを行っているといえるから、前者の「前記の第1燃料供給ノズルから第1燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の炉内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作と、前記の第2燃料供給ノズルから第2燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の燃焼用空気供給経路内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作とを切り換え又は組み合わせて行うこと」に相当する。 ケ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「蓄熱部に収容された蓄熱材により加熱されて燃焼用空気供給経路を通して炉内に導かれる燃焼用空気と、燃料供給ノズルから供給された燃料とを混合させて、燃料を炉内において燃焼させる蓄熱式燃焼バーナーが設けられた蓄熱式燃焼設備において、前記の蓄熱部から筒状になった燃焼用空気供給経路に導かれた燃焼用空気を燃焼用空気供給経路の内周に沿って前記の燃焼用空気供給経路を通して給排気口から炉内に供給するにあたり、前記の給排気口の近傍における炉壁に第1燃料供給ノズルから燃料を炉内に供給する第1燃料供給口を設けると共に、前記の給排気口の近傍における燃焼用空気供給経路内に第2燃料供給ノズルから燃料を供給する第2燃料供給口を設け、前記の第1燃料供給ノズルから第1燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の炉内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作と、前記の第2燃料供給ノズルから第2燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の燃焼用空気供給経路内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作とを切り換え又は組み合わせて行うことを特徴とする蓄熱式燃焼設備。」 [相違点] 「前記の蓄熱部から筒状となった燃焼用空気供給経路に導かれた燃焼用空気を、燃焼用空気供給経路の内周に沿って、前記の燃焼用空気供給経路を通して給排気口から炉内に供給する」ことについて、本件補正発明では、「前記の蓄熱部から筒状になった燃焼用空気供給経路に導かれた燃焼用空気を、燃焼用空気供給経路の内周に沿って旋回させながら」「炉内に供給する」のに対して、引用発明では、そのような構成を有しているか不明である点(以下「相違点」という。)。 (5) 判断 ア 相違点について 蓄熱式燃焼バーナーの燃焼ガス供給において、低NOx化を図るため、供給する燃焼用空気に旋回を与えてフラットフレームとすることは、本願出願前に周知の事項である(引2、3事項参照。以下「周知事項1」という。)。さらに、蓄熱式燃焼バーナーにおける供給する燃焼用空気に旋回を与えること自体は、本願出願前に周知の事項(引2〜4事項参照。以下「周知事項2」という。)でもある。 また、蓄熱式燃焼バーナーにおいて、低NOx化を図るという課題も本願出願前に周知の事項(引用文献2の[0024]、[0026]、[0031]、引用文献3の【0002】、【0032】参照。以下「周知事項3」という。)である。 そして、引用発明の蓄熱式バーナ20を用いた熱処理炉10において、周知事項2を踏まえ、また、周知事項3である低NOx化という課題は、当然内在している課題といえ、そのため、引用発明の「蓄熱室22を通して燃焼用空気を給排気口230から熱処理炉内に供給する」「円筒状の給排気路23」において、周知事項1の燃焼用空気に旋回を与えて、熱処理炉においてフラットフレームとすることを採用し、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 そして、引用発明において、上記相違点に係る本件補正発明の構成を採用することによる効果について検討すると、引用発明に周知事項1〜3を適用したものは、フラットフレームをなすものであって、火炎の長さは短いものであり、また、引2事項、引3事項からNOxの低減が図られることも当業者が予測できたものであるから、格別顕著な効果を奏しているとは認められない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知事項1〜3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 請求人の主張について イ−1 なお、請求人は、令和3年1月18日に提出された審判請求書において、以下のとおり主張している。 (ア) 「引用文献1のものにおいては、本願発明のように、蓄熱部に収容された蓄熱材により加熱されて燃焼用空気供給経路を通して炉内に導かれる燃焼用空気と、燃料供給ノズルから供給された燃料とを混合させて、燃料を炉内において燃焼させるにあたり、燃焼時における火炎の長さを短くしたり、燃焼時に生じるNOxの発生量を低減させたりするのを簡単に行えるようにする、という目的は存在しておらず、前記の引用文献2〜4に記載されたものと組み合わせる必然性はないのであります。」(「(b)理由(特許法第29条第2項)に対して」の項) (イ) 「引用文献1のものにおいては、本願発明のように、蓄熱部に収容された蓄熱材により加熱されて燃焼用空気供給経路を通して炉内に導かれる燃焼用空気と、燃料供給ノズルから供給された燃料とを混合させて、燃料を炉内において燃焼させるにあたり、燃焼時における火炎の長さを短くしたり、燃焼時に生じるNOxの発生量を低減させたりするのを簡単に行えるようにする、という目的は存在しておらず、前記の引用文献2〜4に記載されたものと組み合わせる必然性はないのであります。」(同上) (ウ) 「引用文献1のものは、給排気口の部分に付着した付着物を簡単に除去させることを目的とするものであり、火炎の長さを短くすることや、低NOx化を図ることを課題としているとは考えられないのであります。 さらに、前記の引用文献1〜4の何れにおいても、本願の補正後の請求項1に示しましたように、『前記の蓄熱部から筒状になった燃焼用空気供給経路に導かれた燃焼用空気を、燃焼用空気供給経路の内周に沿って旋回させながら、前記の燃焼用空気供給経路を通して給排気口から炉内に供給するにあたり、前記の給排気口の近傍における炉壁に第1燃料供給ノズルから燃料を炉内に供給する第1燃料供給口を設けると共に、前記の給排気口の近傍における燃焼用空気供給経路内に第2燃料供給ノズルから燃料を供給する第2燃料供給口を設け、前記の第1燃料供給ノズルから前記の第1燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の炉内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作と、前記の第2燃料供給ノズルから第2燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の燃焼用空気供給経路内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作とを切り換え又は組み合わせて行う』という構成は一切示されておりません。」 (エ) 「給排気口の近傍における燃焼用空気供給経路内に第2燃料供給ノズルから燃料を供給する第2燃料供給口を設け、前記の第2燃料供給ノズルから第2燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の燃焼用空気供給経路内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させるようにすると、燃焼用空気供給経路において旋回される燃焼用空気に対して第2燃料供給口から燃料が供給され、この燃料が旋回される燃焼用空気と混合された状態で先に燃焼を始めて炉内に導かれるようになり、前記の第1燃料供給ノズルから第1燃料供給口を通して燃料を炉内に供給する場合よりも、火炎の長さはさらに短くなり、また、燃料が燃焼用空気経路内で確実に燃焼用空気と混合されるため、炉内の温度が低いときの失火を防ぐこともできるようになり、さらに第1燃料供給ノズルから第1燃料供給口を通して燃料を炉内に供給する場合と適当に組み合わせて、炉内の温度が低いときの燃焼性を高めたり、燃焼時におけるNOxの発生量を低減させたり、燃焼時における火炎の広がりや、火炎の長さの調整が簡単に行えるようになる、という作用効果が得られることについては全く記載も示唆もありません。」(同上) イ−2 判断 (ア) 上記「イ−1」(ア)及び(イ)について、「ア 相違点について」において述べたとおり、引用発明においても、低NOx化は当然内在している課題であり、また、蓄熱式燃焼バーナーにおける、当該課題自体も、本件出願前に周知の事項であるから、低NOx化のために、引用発明に燃焼ガスに旋回を与えるという周知事項1を適用する動機付けはあるといえる。 したがって、請求人の(ア)及び(イ)についての主張は採用できない。 (イ) 上記「イ−1」(ウ)及び(エ)について、「ア 相違点について」において述べたとおり、引用発明に燃焼ガスに旋回を与えるという周知事項1を適用したものは、上記「イ−1」(ウ)の構成を有したものとなり、「ア 相違点について」において述べたとおり、上記「イ−1」(エ)の作用効果も当業者が予測できたものである。 したがって、請求人の(ウ)及び(エ)についての主張は採用できない。 ウ まとめ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知事項1〜3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜5に係る発明は、平成29年7月6日の願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、以下のとおりである。 <理由> (進歩性)この出願の請求項1〜3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された上記の引用文献1に記載された発明及び本件出願前に周知の事項(上記引用文献2〜4)に基いて、及び請求項4、5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された上記の引用文献1に記載された発明、引用文献5に記載された事項及び本件出願前に周知の事項(上記引用文献2〜4)に基いてその出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(上記第2の2(4)で表記したように「当業者」ともいう。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(3)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明における、「燃焼用空気と、燃料供給ノズルから供給された燃料とを混合させて、燃料を炉内において燃焼させる蓄熱式燃焼バーナー」について、「前記の給排気口の近傍における炉壁に第1燃料供給ノズルから燃料を炉内に供給する第1燃料供給口を設けると共に、前記の給排気口の近傍における燃焼用空気供給経路内に第2燃料供給ノズルから燃料を供給する第2燃料供給口を設け、前記の第1燃料供給ノズルから第1燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の炉内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作と、前記の第2燃料供給ノズルから第2燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の燃焼用空気供給経路内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作とを切り換え又は組み合わせて行う」を「第1燃料供給ノズルから前記の給排気口の近傍における炉壁に設けられた第1燃料供給口を通して炉内に燃料を供給し、前記の燃焼用空気と燃料とを混合させて、燃料を炉内において燃焼させる」としたものであって、「燃焼用空気と、燃料供給ノズルから供給された燃料とを混合させて、燃料を炉内において燃焼させる蓄熱式燃焼バーナー」についての「前記の給排気口の近傍における燃焼用空気供給経路内に第2燃料供給ノズルから燃料を供給する第2燃料供給口を設け」たこと、及び「前記の第1燃料供給ノズルから第1燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の炉内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作と、前記の第2燃料供給ノズルから第2燃料供給口を通して燃料を前記の給排気口の近傍の燃焼用空気供給経路内に供給し、前記の燃焼用空気と混合させて燃焼させる操作とを切り換え又は組み合わせて行う」ことの限定を削除したものに相当する。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含んだものに相当する本願補正発明が、上記第2[理由]2(3)の事項及び(4)、(5)における検討を踏まえると、引用発明及び周知事項1〜3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知事項1〜3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 |
審理終結日 | 2021-10-07 |
結審通知日 | 2021-10-12 |
審決日 | 2021-10-28 |
出願番号 | P2017-132353 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F23L)
|
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
松下 聡 |
特許庁審判官 |
後藤 健志 山崎 勝司 |
発明の名称 | 蓄熱式燃焼設備 |
代理人 | 松川 克明 |