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審決分類 |
審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 A63F |
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管理番号 | 1383817 |
総通号数 | 5 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-04-26 |
確定日 | 2022-05-10 |
事件の表示 | 特願2019−151899「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年11月14日出願公開、特開2019−195716、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成28年4月25日に出願した特願2016−87520の一部を令和1年8月22日に新たな特許出願(特願2019−151899)としたものであって、令和2年7月16日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月25日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和3年2月10日付け(送達日:同年3月2日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年4月26日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 (拡大先願)この出願の請求項1に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特願2016−80938号(特開2017−189418号) 第3 令和3年4月26日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)について 1 手続補正1 (1)本件補正の手続補正1は、本件補正前の特許請求の範囲に、 「 【請求項1】 所定の条件の成立により、遊技者に有利となる特定遊技状態を実行するか否かを判定する特定遊技状態判定手段と、 演出を表示する演出表示手段と、 前記演出表示手段に表示される表示色により前記特定遊技状態の実行期待度を報知する特定演出の内容を決定する演出内容決定手段と、 前記演出表示手段に表示される演出を制御する演出制御手段と、 前記特定演出の内容を変化させるための特定表示を前記演出表示手段に表示するか否かを予め決定する特定表示決定手段と、を備え、 前記演出内容決定手段は、複数段階の実行期待度に対応する表示色のうち、最終的に表示される表示色を決定可能であり、 前記演出制御手段は、前記特定表示決定手段により前記特定表示を表示することが決定されている場合、前記特定演出が実行される遊技において、前記演出内容決定手段により決定された前記最終的に表示される表示色が特定段階の実行期待度に対応する表示色である場合、前記特定段階の実行期待度に対応する表示色よりも低い段階の実行期待度に対応する表示色を表示させた後に、前記特定表示に基づく所定演出を行うことで、前記特定段階の実行期待度に対応する表示色を表示させることが可能であり、 前記特定表示のうち第1の特定表示と、前記第1の特定表示と異なる第2の特定表示とを表示する演出は、前記第1の特定表示が表示され前記第2の特定表示が表示されない演出よりも前記特定遊技状態の実行期待度が高く、 前記第1の特定表示を表示することが決定されていない場合であって、前記第2の特定表示を表示することが決定されている場合に、前記第2の特定表示に基づいて前記特定段階の実行期待度に対応する表示色に変化させることが可能である ことを特徴とする遊技機。」 と記載されていたものを、 「 【請求項1】 所定の条件の成立により、遊技者に有利となる特定遊技状態を実行するか否かを判定する特定遊技状態判定手段と、 演出を表示する演出表示手段と、 前記演出表示手段に表示される表示色により前記特定遊技状態の実行期待度を報知する特定演出の内容を決定する演出内容決定手段と、 前記演出表示手段に表示される演出を制御する演出制御手段と、 前記特定演出の内容を変化させるための特定表示を前記演出表示手段に表示するか否かを予め決定する特定表示決定手段と、を備え、 前記演出内容決定手段は、複数段階の実行期待度に対応する表示色のうち、最終的に表示される表示色を決定可能であり、 前記演出制御手段は、前記特定表示決定手段により前記特定表示を表示することが決定されている場合、前記特定演出が実行される遊技において、前記演出内容決定手段により決定された前記最終的に表示される表示色が特定段階の実行期待度に対応する表示色である場合、前記特定段階の実行期待度に対応する表示色よりも低い段階の実行期待度に対応する表示色を表示させた後に、前記特定表示に基づく所定演出を行うことで、前記特定段階の実行期待度に対応する表示色を表示させることが可能であり、 前記特定表示のうち第1の特定表示と、前記第1の特定表示と異なる第2の特定表示とを表示する演出は、前記第1の特定表示が表示され前記第2の特定表示が表示されない演出よりも前記特定遊技状態の実行期待度が高く、 前記第1の特定表示を表示することが決定されている場合に、前記第1の特定表示に基づいて前記特定段階の実行期待度に対応する表示色に変化させることが可能であり、 前記第1の特定表示を表示することが決定されていない場合であって、前記第2の特定表示を表示することが決定されている場合に、前記第2の特定表示に基づいて前記特定段階の実行期待度に対応する表示色に変化させることが可能である ことを特徴とする遊技機。」 とする補正である。なお、下線は当審で付した。以下同様。 (2)補正の目的について 手続補正1は、本件補正前の請求項1において記載されていた「演出制御手段」について、「前記第1の特定表示を表示することが決定されている場合に、前記第1の特定表示に基づいて前記特定段階の実行期待度に対応する表示色に変化させることが可能であ」ることを限定するものである。 また、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が補正の前後において同一である。 したがって、手続補正1は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (3)新規事項について 手続補正1は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の【0919】〜【0927】、【0937】〜【0942】、図86、図88、図89等の記載に基づくものであり、新たな技術的事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 (4)独立特許要件について 手続補正1は、特許請求の範囲についてする補正であるところ、後記「第4 本件補正発明」から「第7 判断」までに示すことを含め、手続補正1によって補正された請求項1に係る発明は、独立特許要件を満たすものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。 2 手続補正2 (1)本件補正の手続補正2は、本件補正前の明細書の【0007】に、 「本発明に係る遊技機は、所定の条件の成立により、遊技者に有利となる特定遊技状態を実行するか否かを判定する特定遊技状態判定手段(例えば、メインCPU61)と、演出を表示する演出表示手段(例えば、液晶表示装置4)と、前記演出表示手段に表示される表示色により前記特定遊技状態の実行期待度を報知する特定演出の内容を決定する演出内容決定手段(例えば、サブCPU71)と、前記演出表示手段に表示される演出を制御する演出制御手段(例えば、サブCPU71)と、前記特定演出の内容を変化させるための特定表示を前記演出表示手段に表示するか否かを予め決定する特定表示決定手段(例えば、サブCPU71)と、を備え、前記演出内容決定手段は、複数段階の実行期待度に対応する表示色のうち、最終的に表示される表示色を決定可能であり、前記演出制御手段は、前記特定表示決定手段により前記特定表示を表示することが決定されている場合、前記特定演出が実行される遊技において、前記演出内容決定手段により決定された前記最終的に表示される表示色が特定段階の実行期待度に対応する表示色(例えば、赤色)である場合、前記特定段階の実行期待度に対応する表示色よりも低い段階の実行期待度に対応する表示色(例えば、緑色)を表示させた後に、前記特定表示に基づく所定演出を行うことで、前記特定段階の実行期待度に対応する表示色を表示させることが可能であり、前記特定表示のうち第1の特定表示(プレートA〜C)と、前記第1の特定表示と異なる第2の特定表示(プレートD)とを表示する演出は、前記第1の特定表示が表示され前記第2の特定表示が表示されない演出よりも前記特定遊技状態の実行期待度が高く、前記第1の特定表示を表示することが決定されていない場合であって、前記第2の特定表示を表示することが決定されている場合に、前記第2の特定表示に基づいて前記特定段階の実行期待度に対応する表示色に変化させることが可能であることを特徴とする。」 と記載されていたものを、 「本発明に係る遊技機は、所定の条件の成立により、遊技者に有利となる特定遊技状態を実行するか否かを判定する特定遊技状態判定手段(例えば、メインCPU61)と、演出を表示する演出表示手段(例えば、液晶表示装置4)と、前記演出表示手段に表示される表示色により前記特定遊技状態の実行期待度を報知する特定演出の内容を決定する演出内容決定手段(例えば、サブCPU71)と、前記演出表示手段に表示される演出を制御する演出制御手段(例えば、サブCPU71)と、前記特定演出の内容を変化させるための特定表示を前記演出表示手段に表示するか否かを予め決定する特定表示決定手段(例えば、サブCPU71)と、を備え、前記演出内容決定手段は、複数段階の実行期待度に対応する表示色のうち、最終的に表示される表示色を決定可能であり、前記演出制御手段は、前記特定表示決定手段により前記特定表示を表示することが決定されている場合、前記特定演出が実行される遊技において、前記演出内容決定手段により決定された前記最終的に表示される表示色が特定段階の実行期待度に対応する表示色(例えば、赤色)である場合、前記特定段階の実行期待度に対応する表示色よりも低い段階の実行期待度に対応する表示色(例えば、緑色)を表示させた後に、前記特定表示に基づく所定演出を行うことで、前記特定段階の実行期待度に対応する表示色を表示させることが可能であり、前記特定表示のうち第1の特定表示(プレートA〜C)と、前記第1の特定表示と異なる第2の特定表示(プレートD)とを表示する演出は、前記第1の特定表示が表示され前記第2の特定表示が表示されない演出よりも前記特定遊技状態の実行期待度が高く、前記第1の特定表示を表示することが決定されている場合に、前記第1の特定表示に基づいて前記特定段階の実行期待度に対応する表示色に変化させることが可能であり、前記第1の特定表示を表示することが決定されていない場合であって、前記第2の特定表示を表示することが決定されている場合に、前記第2の特定表示に基づいて前記特定段階の実行期待度に対応する表示色に変化させることが可能であることを特徴とする。」 とする補正である。 (2)新規事項について 手続補正2は、上記1(3)より、手続補正1と同様に、新たな技術的事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 小括 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 第4 本件補正発明 本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)は、次のとおり分説することができる。以下、分説された本件補正発明の発明特定事項を、符号に基づき「発明特定事項A」等という。 「A 所定の条件の成立により、遊技者に有利となる特定遊技状態を実行するか否かを判定する特定遊技状態判定手段と、 B 演出を表示する演出表示手段と、 C 前記演出表示手段に表示される表示色により前記特定遊技状態の実行期待度を報知する特定演出の内容を決定する演出内容決定手段と、 D 前記演出表示手段に表示される演出を制御する演出制御手段と、 E 前記特定演出の内容を変化させるための特定表示を前記演出表示手段に表示するか否かを予め決定する特定表示決定手段と、を備え、 F 前記演出内容決定手段は、複数段階の実行期待度に対応する表示色のうち、最終的に表示される表示色を決定可能であり、 G 前記演出制御手段は、前記特定表示決定手段により前記特定表示を表示することが決定されている場合、前記特定演出が実行される遊技において、前記演出内容決定手段により決定された前記最終的に表示される表示色が特定段階の実行期待度に対応する表示色である場合、前記特定段階の実行期待度に対応する表示色よりも低い段階の実行期待度に対応する表示色を表示させた後に、前記特定表示に基づく所定演出を行うことで、前記特定段階の実行期待度に対応する表示色を表示させることが可能であり、 H 前記特定表示のうち第1の特定表示と、前記第1の特定表示と異なる第2の特定表示とを表示する演出は、前記第1の特定表示が表示され前記第2の特定表示が表示されない演出よりも前記特定遊技状態の実行期待度が高く、 I 前記第1の特定表示を表示することが決定されている場合に、前記第1の特定表示に基づいて前記特定段階の実行期待度に対応する表示色に変化させることが可能であり、 J 前記第1の特定表示を表示することが決定されていない場合であって、前記第2の特定表示を表示することが決定されている場合に、前記第2の特定表示に基づいて前記特定段階の実行期待度に対応する表示色に変化させることが可能である K ことを特徴とする遊技機。」 第5 先願発明 1 原査定の拒絶理由において引用された、本願の出願の日前の他の特許出願であって、その出願後に出願公開がなされた特願2016−80938(特開2017−189418)(以下、「先願1」という。)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という。)には、次の事項が記載されている。 (1)「【0024】 そして、遊技機100には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、液晶表示装置からなる演出表示装置200、可動装置からなる演出役物装置202、さまざまな点灯態様や発光色に制御されるランプからなる演出照明装置204、スピーカからなる音声出力装置206、遊技者の押下操作を受け付ける演出ボタン208、遊技者の左右方向の回転操作を受け付ける演出ハンドル209が設けられている。 【0025】 演出表示装置200は、画像を表示する画像表示部からなる演出表示部200aを備えており、この演出表示部200aを、遊技盤108の略中央部分において、遊技機100の正面側から視認可能に配置している。この演出表示部200aには、図示のように演出図柄210a、210b、210cが変動表示され、これら各演出図柄210a、210b、210cの停止表示態様によって大役抽選結果が遊技者に報知される変動演出が実行されることとなる。」 (2)「【0054】 遊技者が操作ハンドル112を操作して遊技領域116に遊技球を発射させるとともに、遊技領域116を流下する遊技球が第1始動口120または第2始動口122に入球すると、遊技者に遊技利益を付与するか否かの抽選(以下、「大役抽選」という)が行われる。この大役抽選において、大当たりに当選すると、大入賞口128が開放されるとともに当該大入賞口128への遊技球の入球が可能となる大役遊技が実行され、また、当該大役遊技の終了後の遊技状態が、上記のいずれかの遊技状態に設定される。以下では、大役抽選方法について説明する。」 (3)「【0406】 以上のように、副制御基板330においては、変動コマンドを受信すると、変動演出決定テーブルを参照して変動演出の実行パターンが決定される。ただし、変動演出決定テーブルによって決定される変動演出の実行パターンというのは、大まかな演出の流れ、すなわち、1回の変動演出のタイムテーブルを決定するものである。そして、変動モードコマンドまたは変動パターンコマンドに基づいて、変動演出を構成するさまざまな要素演出の実行可否および実行パターンがさらに決定される。 【0407】 ここで、要素演出というのは、例えば、上記のように、演出表示部200aにおいて演出図柄210a、210b、210cが変動表示される図柄表示演出や、リーチ発展演出で演出表示部200aに表示される画像、さらには、演出役物装置202を可動させる演出等をいうものである。本実施形態では、変動演出を構成する要素演出として、変動演出中のさまざまなタイミングで予告演出が実行される。 【0408】 この予告演出というのは、変動演出の開始時や、擬似連続リーチ変動パターンの変動演出における演出図柄210a、210b、210cの再変動表示時、さらには、リーチ発展演出中等に、演出表示部200aに所定の画像を表示したり、所定のタイミングで演出役物装置202を可動したりする演出であり、予告演出ごとに、その実行可否や実行パターンが決定される。各予告演出には、それぞれ実行パターンが複数種類設けられ、複数種類の実行パターンそれぞれについて、変動パターン番号や変動モード番号ごとに、換言すれば、大当たりの当選可否ごとに選択比率が設定され、この選択比率によって、実行パターンごとに大当たりの信頼度が設定されている。」 (4)「【0429】 図54は、獲得演出の一例を説明する図であり、図55は、権利使用演出を説明する図である。本実施形態の特殊演出は、獲得演出と権利使用演出とを含んで構成される。特殊演出の実行が決定されると、変動演出の開始直後、あるいは、変動演出の開始から所定時間(例えば10秒程度)が経過したところで、まず、獲得演出が実行される。獲得演出は、導入パート、メインパート、報知パートに大別される。…… 【0430】 上記のようにして導入パート用の演出が実行されると、続いてメインパート用の演出が実行される。メインパートでは、ボタン演出が4回繰り返して行われる。このボタン演出は、成功パターンと失敗パターンの2種類が設けられており、4回のボタン演出のうち、少なくとも2回が成功パターンとなる。…… 【0434】 ……このようにして、ボタン演出が4回実行されると、メインパートが終了となり、続いて報知パート用の演出が実行される。この報知パートでは、メインパートにおけるボタン演出の成功回数、すなわち、「STOCK」の獲得数が遊技者に報知される。……このように、獲得演出では、「STOCK」を必ず2〜4個獲得することができ、その獲得数が報知されたところで、当該獲得演出が終了となる。 【0435】 そして、獲得演出が終了すると、演出表示部200aには、獲得演出の開始前と同様の背景画像が表示されるとともに、演出図柄210a、210b、210cが通常どおりに変動表示される。このとき、図54(j)に示すように、演出表示部200aの上部には、獲得演出における「STOCK」の獲得数と同数のストックアイコン212(ここでは212a、212b、212cで示す)が表示される。 【0436】 ここで、ストックアイコン212は、色情報を示す5種類の表示パターンと、色情報を不明とした1つの表示パターンとからなる、合計6種類の表示パターンが設けられている。具体的には、ストックアイコン212は、青色を示す「BLUE STOCK」、緑色を示す「GREEN STOCK」、赤色を示す「RED STOCK」、金色を示す「GOLD STOCK」、虎柄を示す「TIGER STOCK」の5種類の色情報を示す表示パターンを備えている。また、色情報を不明としたストックアイコン212は、「??? STOCK」と表示される。この色情報を不明としたストックアイコン212は、演出表示部200aに白色で表示され、その他のストックアイコン212は、表示される文字の色で演出表示部200aに表示される。 【0437】 そして、獲得演出の終了後は、通常の変動演出と同様に、所定のタイミングで各要素演出が実行される。このとき、獲得演出、より詳細には、ボタン演出は、変動演出中に実行されるいずれかの要素演出を対象として実行されており、獲得演出の終了後であって、対象の要素演出の開始前に、権利使用演出が実行される。例えば、獲得演出の対象の要素演出として、演出図柄210a、210b、210cの1回目の変動表示中に実行される会話予告が決定されていたとする。 【0438】 この場合には、対象の要素演出の開始2秒前に、図55(a)に示すように、権利使用演出が実行される。ここでは、3つのストックアイコン212のうち、もっとも左側に表示されているストックアイコン212aが、演出表示部200aの上部から中央に拡大しながら移動表示されるとともに、演出表示部200aに「放出」と表示される。このようにして権利使用演出が実行された直後に、図55(b)に示すように、対象の要素演出である会話予告が実行される。このとき、図55(a)に示すように、ストックアイコン212aは、緑色の色情報を有しているため、図55(b)に示すように、会話予告は、吹き出しの色が緑色となっている。つまり、会話予告の実行パターンは、権利使用演出で放出されたストックアイコン212aの色情報を有する実行パターンとなっている。 【0439】 そして、実行される変動演出が擬似連続リーチ変動パターンであった場合には、図55(c)に示すように、演出図柄210a、210b、210cが擬似態様となり、その後、2回目の変動表示が行われる。そして、獲得演出の対象の要素演出として、演出図柄210a、210b、210cの2回目の変動表示中の会話予告が決定されていたとする。この場合には、対象の要素演出の開始2秒前に、図55(d)に示すように、権利使用演出が実行される。ここでは、残りの2つのストックアイコン212のうち、もっとも左側に表示されているストックアイコン212bが、演出表示部200aの上部から中央に拡大しながら移動表示されるとともに、演出表示部200aに「放出」と表示される。 【0440】 このようにして権利使用演出が実行された直後に、図55(e)に示すように、対象の要素演出である会話予告が実行される。このとき、図55(d)に示すように、ストックアイコン212bは、赤色の色情報を有しているため、図55(e)に示すように、会話予告は、吹き出しの色が赤色(図中クロスハッチングで示す)となっている。 【0441】 その後、図55(f)〜(h)に示すように、演出図柄210a、210b、210cがリーチ態様となり、リーチ発展演出が実行されたとする。この間も、演出表示部200aの上部には、残りの1つのストックアイコン212が表示されたままとなっている。そして、獲得演出の対象の要素演出として、リーチ発展演出中のカットイン予告が決定されていたとする。この場合には、対象の要素演出の開始2秒前に、図55(i)に示すように、権利使用演出が実行される。ここでは、残りの1つのストックアイコン212cが、演出表示部200aの上部から中央に拡大しながら移動表示されるとともに、演出表示部200aに「放出」と表示される。 【0442】 このようにして権利使用演出が実行された直後に、図55(j)に示すように、対象の要素演出であるカットイン予告が実行される。このとき、図55(i)に示すように、ストックアイコン212cは、赤色の色情報を有しているため、図55(j)に示すように、カットイン予告は、背景の色が赤色(図中クロスハッチングで示す)となっている。 【0443】 以上のように、獲得演出で獲得したストックアイコン212が全て権利使用演出で放出されるとともに、獲得演出の対象に決定された全ての要素演出が終了したところで、特殊演出が終了となる。このようにして特殊演出が終了した後も、特殊演出が実行されない場合と同様に変動演出が実行されることとなる。 【0444】 上記の特殊演出によれば、予告演出をはじめとする要素演出が、当該変動演出中に実行されることを、遊技者に事前に報知する。このとき、当該変動演出中に実行される要素演出の最低回数が遊技者に報知されるものの、いずれの要素演出が実行されるのかは特定されない。したがって、特殊演出の実行により、各要素演出に対する遊技者の意識を継続的に高めることが可能となる。 【0445】 なお、本実施形態では、色を異にする複数の実行パターンを有する全ての要素演出において、デフォルト→青→緑→赤→金→虎の順で大当たりの信頼度が高くなるように、選択比率の設定がなされている。つまり、色と信頼度との関係は、全ての要素演出で共通化されている。 【0446】 そして、ストックアイコン212は色情報を有しており、対象の要素演出は、ストックアイコン212が有する色情報と同じか、もしくは、ストックアイコン212が有する色情報よりも信頼度の高い色の実行パターンで必ず実行される。このように、対象の要素演出がいずれであるのかを不明としつつも、大当たりの信頼度を事前に示唆することにより、遊技者に継続して期待感を付与することができる。」 (5)「【0447】 以下に、上記の特殊演出を実行するための副制御基板330の構成について具体的に説明する。 【0448】 図56は、特殊シナリオを説明する図である。サブROM330bには、図56(a)に示す特殊演出決定テーブルが格納されており、変動コマンドを受信すると、特殊演出決定テーブルを参照して、特殊演出の実行有無が抽選により決定される。この特殊演出決定テーブルによれば、図示のように、特殊演出の不実行および実行の選択比率が、変動パターンコマンドごとに設定されている。 【0449】 そして、特殊演出の実行が決定された場合には、次に、図56(b)に示す特殊シナリオ決定テーブルを参照して、特殊シナリオが決定される。この特殊シナリオ決定テーブルによれば、変動パターンコマンドごとに、各特殊シナリオの選択比率が図示のように設定されている。 【0450】 ここで、特殊シナリオというのは、当該変動演出における予告演出(要素演出)の実行有無、および、実行する予告演出(要素演出)の実行パターンを定めたものである。例えば、図56(c)に示すように、特殊シナリオの「C−0」には、予告演出番号が「No.3」、「No.6」、「No.20」、「No.22」の予告演出を、図示の実行パターンで実行することが定められている。このように、特殊演出の実行が決定された場合には、特殊シナリオによって、当該変動演出中に実行される全ての予告演出と、その実行パターンとが決定されることとなる。 【0451】 この特殊シナリオには、変動演出の前半および後半の全ての予告演出の実行有無が定められている。なお、特殊シナリオは、後半の変動演出の実行パターンを決定する変動パターンコマンドに基づいて決定される。このとき、変動パターンコマンドと合わせて受信し得る変動モードコマンドを限定しておくことで、変動モードコマンドを確認せずとも、変動パターンコマンドによって、前半の変動演出で出現可能な予告演出を特定可能としている。 【0452】 また、特殊シナリオは70種類用意されており、各特殊シナリオには、図56(d)に示すように、獲得演出中の4回のボタン演出それぞれのパターン、および、獲得するストックアイコン212の色情報が定められている。例えば、特殊シナリオの「C−0」には、1回目および2回目のボタン演出を成功パターンとし、3回目および4回目のボタン演出を失敗パターンとすることが定められている。また、1回目のボタン演出で獲得されるストックアイコン212は緑、2回目のボタン演出で獲得されるストックアイコン212は赤の色情報とすることが定められている。 【0453】 なお、各特殊シナリオには、獲得演出の対象の要素演出の実行パターン(色)と同じ色情報か、もしくは、対象の要素演出の実行パターン(色)よりも信頼度の低い色情報のストックアイコン212が規定されている。また、ここでは、各特殊シナリオにおいて、赤以上の信頼度のストックアイコン212が、最低でも1つ獲得されるようにしている。」 (6)「【図54】 」 (7)「【図55】 」 (8)「【図56】 」 2 上記1からみて、先願明細書等には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている。なお、符号a等については本件補正発明の発明特定事項A等に概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号を併記した。 「b 遊技機100には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、液晶表示装置からなる演出表示装置200が設けられており(【0024】)、 演出表示装置200は、画像を表示する画像表示部からなる演出表示部200aを備えており(【0025】)、 a 大役抽選において、大当たりに当選すると、大入賞口128が開放されるとともに当該大入賞口128への遊技球の入球が可能となる大役遊技が実行され(【0054】)、 c1、d1 副制御基板330においては、変動コマンドを受信すると、変動演出決定テーブルを参照して変動演出の実行パターンが決定され、そして、変動モードコマンドまたは変動パターンコマンドに基づいて、変動演出を構成するさまざまな要素演出の実行可否および実行パターンがさらに決定され(【0406】)、 ここで、要素演出というのは、演出表示部200aにおいて演出図柄210a、210b、210cが変動表示される図柄表示演出や、リーチ発展演出で演出表示部200aに表示される画像、さらには、演出役物装置202を可動させる演出等をいうものであり、変動演出を構成する要素演出として、変動演出中のさまざまなタイミングで予告演出が実行され(【0407】)、 c2、d2、e1 特殊演出は、獲得演出と権利使用演出とを含んで構成され、特殊演出の実行が決定されると、変動演出の開始直後、あるいは、変動演出の開始から所定時間(例えば10秒程度)が経過したところで、まず、獲得演出が実行され、獲得演出は、導入パート、メインパート、報知パートに大別され(【0429】)、 導入パート用の演出が実行されると、続いてメインパート用の演出が実行され、メインパートでは、ボタン演出が4回繰り返して行われ、このボタン演出は、成功パターンと失敗パターンの2種類が設けられており、4回のボタン演出のうち、少なくとも2回が成功パターンとなり(【0430】)、 ボタン演出が4回実行されると、メインパートが終了となり、続いて報知パート用の演出が実行され、当該獲得演出が終了となり(【0434】)、 そして、獲得演出が終了すると、演出表示部200aには、獲得演出の開始前と同様の背景画像が表示されるとともに、演出図柄210a、210b、210cが通常どおりに変動表示され、このとき、演出表示部200aの上部には、獲得演出における「STOCK」の獲得数と同数のストックアイコン212(ここでは212a、212b、212cで示す)が表示され(【0435】)、 ここで、ストックアイコン212は、色情報を示す5種類の表示パターンと、色情報を不明とした1つの表示パターンとからなる、合計6種類の表示パターンが設けられており、具体的には、ストックアイコン212は、青色を示す「BLUE STOCK」、緑色を示す「GREEN STOCK」、赤色を示す「RED STOCK」、金色を示す「GOLD STOCK」、虎柄を示す「TIGER STOCK」の5種類の色情報を示す表示パターンを備えており、また、色情報を不明としたストックアイコン212は、「??? STOCK」と表示され、この色情報を不明としたストックアイコン212は、演出表示部200aに白色で表示され、その他のストックアイコン212は、表示される文字の色で演出表示部200aに表示され(【0436】)、 そして、獲得演出の終了後は、通常の変動演出と同様に、所定のタイミングで各要素演出が実行され、このとき、獲得演出、より詳細には、ボタン演出は、変動演出中に実行されるいずれかの要素演出を対象として実行されており、獲得演出の終了後であって、対象の要素演出の開始前に、権利使用演出が実行され、例えば、獲得演出の対象の要素演出として、演出図柄210a、210b、210cの1回目の変動表示中に実行される会話予告が決定されていたとすると(【0437】)、 この場合には、権利使用演出が実行され、ここでは、3つのストックアイコン212のうち、もっとも左側に表示されているストックアイコン212aが、演出表示部200aの上部から中央に拡大しながら移動表示されるとともに、演出表示部200aに「放出」と表示され、このようにして権利使用演出が実行された直後に、対象の要素演出である会話予告が実行され、このとき、ストックアイコン212aは、緑色の色情報を有しているため、会話予告は、吹き出しの色が緑色となっており(【0438】)、 そして、実行される変動演出が擬似連続リーチ変動パターンであった場合には、演出図柄210a、210b、210cが擬似態様となり、その後、2回目の変動表示が行われ、そして、獲得演出の対象の要素演出として、演出図柄210a、210b、210cの2回目の変動表示中の会話予告が決定されていたとすると、この場合には、権利使用演出が実行され、ここでは、残りの2つのストックアイコン212のうち、もっとも左側に表示されているストックアイコン212bが、演出表示部200aの上部から中央に拡大しながら移動表示されるとともに、演出表示部200aに「放出」と表示され(【0439】)、 このようにして権利使用演出が実行された直後に、対象の要素演出である会話予告が実行され、このとき、ストックアイコン212bは、赤色の色情報を有しているため、会話予告は、吹き出しの色が赤色となっており(【0440】)、 その後、演出図柄210a、210b、210cがリーチ態様となり、リーチ発展演出が実行されたとすると、この間も、演出表示部200aの上部には、残りの1つのストックアイコン212が表示されたままとなっており、そして、獲得演出の対象の要素演出として、リーチ発展演出中のカットイン予告が決定されていたとすると、この場合には、権利使用演出が実行され、ここでは、ここでは、残りの1つのストックアイコン212cが、演出表示部200aの上部から中央に拡大しながら移動表示されるとともに、演出表示部200aに「放出」と表示され(【0441】)、 このようにして権利使用演出が実行された直後に、対象の要素演出であるカットイン予告が実行され、このとき、ストックアイコン212cは、赤色の色情報を有しているため、カットイン予告は、背景の色が赤色となっており(【0442】)、 以上のように、獲得演出で獲得したストックアイコン212が全て権利使用演出で放出されるとともに、獲得演出の対象に決定された全ての要素演出が終了したところで、特殊演出が終了となり、このようにして特殊演出が終了した後も、特殊演出が実行されない場合と同様に変動演出が実行されることとなり(【0443】)、 上記の特殊演出によれば、予告演出をはじめとする要素演出が、当該変動演出中に実行されることを、遊技者に事前に報知し(【0444】)、 色を異にする複数の実行パターンを有する全ての要素演出において、デフォルト→青→緑→赤→金→虎の順で大当たりの信頼度が高くなるように、選択比率の設定がなされており(【0445】)、 そして、ストックアイコン212は色情報を有しており、対象の要素演出は、ストックアイコン212が有する色情報と同じか、もしくは、ストックアイコン212が有する色情報よりも信頼度の高い色の実行パターンで必ず実行され(【0446】)、 c3、d3、e2 サブROM330bには、特殊演出決定テーブルが格納されており、変動コマンドを受信すると、特殊演出決定テーブルを参照して、特殊演出の実行有無が抽選により決定され(【0448】)、 そして、特殊演出の実行が決定された場合には、次に、特殊シナリオ決定テーブルを参照して、特殊シナリオが決定され(【0449】)、 ここで、特殊シナリオというのは、当該変動演出における予告演出(要素演出)の実行有無、および、実行する予告演出(要素演出)の実行パターンを定めたものであり(【0450】)、 特殊シナリオは70種類用意されており、各特殊シナリオには、獲得演出中の4回のボタン演出それぞれのパターン、および、獲得するストックアイコン212の色情報が定められており(【0452】)、 各特殊シナリオには、獲得演出の対象の要素演出の実行パターン(色)と同じ色情報か、もしくは、対象の要素演出の実行パターン(色)よりも信頼度の低い色情報のストックアイコン212が規定されている(【0453】)、 k 遊技機100(【0024】)。」 第6 対比 本件補正発明と先願発明を対比する。なお、見出し(a)等は、本件補正発明の発明特定事項A等に概ね対応する。 (a)先願発明の発明特定事項aにおける「大役抽選において、大当たりに当選する」こと、及び、「大入賞口128が開放されるとともに当該大入賞口128への遊技球の入球が可能となる大役遊技」は、それぞれ、本件補正発明の「所定の条件」、及び、「遊技者に有利となる特定遊技状態」に相当する。また、「大役抽選において、大当たりに当選すると、大入賞口128が開放されるとともに当該大入賞口128への遊技球の入球が可能となる大役遊技が実行され」る先願発明が、「所定の条件の成立により、遊技者に有利となる特定遊技状態を実行するか否かを判定する」ものであることは、明らかである。 また、先願発明が「所定の条件の成立により、遊技者に有利となる特定遊技状態を実行するか否かを判定する」ためには、先願発明がこのように判定する「手段」を備えることは、明らかである。 以上のことから、先願発明は、本件補正発明の発明特定事項Aにおける「所定の条件の成立により、遊技者に有利となる特定遊技状態を実行するか否かを判定する特定遊技状態判定手段」に相当する構成を含むといえる。 したがって、先願発明は、本件補正発明の発明特定事項Aに相当する構成を含む。 (b)先願発明の発明特定事項bにおける「画像を表示する画像表示部からなる演出表示部200aを備えて」いる「遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、液晶表示装置からなる演出表示装置200」は、本件補正発明の発明特定事項Bにおける「演出を表示する演出表示手段」に相当する。 したがって、先願発明は、本件補正発明の発明特定事項Bに相当する構成を含む。 (c、d)先願発明の発明特定事項c2、d2、e1における「デフォルト→青→緑→赤→金→虎の順で」「高くなる」「大当たりの信頼度」は、本件補正発明の発明特定事項Cにおける「前記特定遊技状態の実行期待度」に相当する。 また、先願発明の発明特定事項c2、d2、e1における「吹き出しの色が緑色となって」いる「会話予告」、「吹き出しの色が赤色となって」いる「会話予告」、「背景の色が赤色となって」いる「カットイン予告」、及び、「デフォルト→青→緑→赤→金→虎の順で大当たりの信頼度が高くなるように、選択比率の設定がなされて」いる「色を異にする複数の実行パターンを有する全ての要素演出」は、本件補正発明の発明特定事項Cにおける「表示色により前記特定遊技状態の実行期待度を報知する特定演出」に相当する。ここで、先願発明の「会話予告」や「カットイン予告」、「要素演出」が「演出表示装置200」(上記(b)で述べたように、本件補正発明の「演出表示手段」に相当する。)に表示されることは、明らかである。 また、先願発明では、「獲得演出の対象の要素演出として、演出図柄210a、210b、210cの1回目の変動表示中に実行される会話予告が決定され」、「獲得演出の対象の要素演出として、演出図柄210a、210b、210cの2回目の変動表示中の会話予告が決定され」、「獲得演出の対象の要素演出として、リーチ発展演出中のカットイン予告が決定され」、さらに、「要素演出」は「獲得演出の対象に決定され」るから、先願発明が「会話予告」や「カットイン予告」、「色を異にする複数の実行パターンを有する全ての要素演出」の内容を決定する手段を備えることは、明らかである。 また、先願発明がこのような演出を制御する演出内容決定手段を備えることは、明らかである。 したがって、先願発明は、本件補正発明の発明特定事項C、Dに相当する構成を含む。 (f)本件補正発明の発明特定事項Fは、「前記演出内容決定手段」が「複数段階の実行期待度に対応する表示色のうち、最終的に表示される表示色を決定可能であ」ることを特定するところ、「最終的に表示される表示色」のほかに「表示される表示色」を決定することは特定されていない。したがって、本件補正発明の発明特定事項Fは、「前記演出内容決定手段」が「複数段階の実行期待度に対応する表示色のうち、表示される表示色を」一つ「決定可能であ」ることを含むと解される。 そうすると、先願発明の発明特定事項c2、d2、e1における「色を異にする複数の実行パターンを有する全ての要素演出」では「デフォルト→青→緑→赤→金→虎の順で大当たりの信頼度が高くなる」から、先願発明は、「複数段階の実行期待度に対応する表示色のうち、表示される表示色を」一つ「決定可能であ」るといえる。また、先願発明の発明特定事項c2、d2、e1における「吹き出しの色が緑色となって」いる「会話予告」、「「吹き出しの色が赤色となって」いる「会話予告」、及び、「背景の色が赤色となって」いる「カットイン予告」も、「獲得演出の対象の要素演出」であるから、同様に、先願発明は、「複数段階の実行期待度に対応する表示色のうち、表示される表示色を」一つ「決定可能であ」るといえる。 また、上記(c、d)で述べたように、先願発明が演出内容決定手段を備えることは、明らかである。 したがって、先願発明は、本件補正発明の発明特定事項Fに相当する構成を含む。 (k)先願発明の「遊技機100」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。 以上のとおりであるから、本件補正発明と先願発明とは、 「A 所定の条件の成立により、遊技者に有利となる特定遊技状態を実行するか否かを判定する特定遊技状態判定手段と、 B 演出を表示する演出表示手段と、 C 前記演出表示手段に表示される表示色により前記特定遊技状態の実行期待度を報知する特定演出の内容を決定する演出内容決定手段と、 D 前記演出表示手段に表示される演出を制御する演出制御手段と、を備え、 F 前記演出内容決定手段は、複数段階の実行期待度に対応する表示色のうち、最終的に表示される表示色を決定可能である K 遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点1(発明特定事項E) 本件補正発明では、「前記特定演出の内容を変化させるための特定表示を前記演出表示手段に表示するか否かを予め決定する特定表示決定手段」を備えるのに対し、 先願発明では、「会話予告」や「カットイン予告」、「色を異にする複数の実行パターンを有する全ての要素演出」の他に「ストックアイコン212」を利用する「権利使用演出」を実行する点。 ・相違点2(発明特定事項G) 本件補正発明では、「前記演出制御手段は、前記特定表示決定手段により前記特定表示を表示することが決定されている場合、前記特定演出が実行される遊技において、前記演出内容決定手段により決定された前記最終的に表示される表示色が特定段階の実行期待度に対応する表示色である場合、前記特定段階の実行期待度に対応する表示色よりも低い段階の実行期待度に対応する表示色を表示させた後に、前記特定表示に基づく所定演出を行うことで、前記特定段階の実行期待度に対応する表示色を表示させることが可能であ」るのに対し、 先願発明では、そのように構成されていない点。 ・相違点3(発明特定事項H) 本件補正発明では、「前記特定表示のうち第1の特定表示と、前記第1の特定表示と異なる第2の特定表示とを表示する演出は、前記第1の特定表示が表示され前記第2の特定表示が表示されない演出よりも前記特定遊技状態の実行期待度が高」いのに対し、 先願発明では、そのように構成されていない点。 ・相違点4(発明特定事項I) 本件補正発明では、「前記第1の特定表示を表示することが決定されている場合に、前記第1の特定表示に基づいて前記特定段階の実行期待度に対応する表示色に変化させることが可能であ」るのに対し、 先願発明では、そのように構成されていない点。 ・相違点5(発明特定事項J) 本件補正発明では、「前記第1の特定表示を表示することが決定されていない場合であって、前記第2の特定表示を表示することが決定されている場合に、前記第2の特定表示に基づいて前記特定段階の実行期待度に対応する表示色に変化させることが可能である」のに対し、 先願発明では、そのように構成されていない点。 第7 判断 1 相違点1について 上記第6(c、d)で述べたように、先願発明の「会話予告」や「カットイン予告」、「色を異にする複数の実行パターンを有する全ての要素演出」は、本件補正発明の発明特定事項Cにおける「表示色により前記特定遊技状態の実行期待度を報知する特定演出」に相当する。 しかしながら、先願発明は、「権利使用演出が実行された直後に、対象の要素演出である会話予告が実行され」、「権利使用演出が実行された直後に、対象の要素演出であるカットイン予告が実行され」るように構成されているから、先願発明の「ストックアイコン212」を利用する「権利使用演出」は、「会話予告」や「カットイン予告」、「色を異にする複数の実行パターンを有する全ての要素演出」の前に実行されるものにすぎず、すでに実行されている「会話予告」や「カットイン予告」、「色を異にする複数の実行パターンを有する全ての要素演出」の内容を変化させるものではない。 そうすると、先願発明は、「前記特定演出の内容を変化させるための特定表示」を「演出表示手段に表示する」ものとは認められないし、そのような「特定表示」を「演出表示手段に表示するか否かを予め決定する特定表示決定手段」を備えるものであるとも認められない。 したがって、先願発明が、本件補正発明の「前記特定演出の内容を変化させるための特定表示を前記演出表示手段に表示するか否かを予め決定する特定表示決定手段」という発明特定事項Eに相当する構成を含むとは、認められない。 また、相違点1に係る本件補正発明の発明特定事項Eが、課題解決のための具体化手段における微差であるということもできない。 2 相違点2ないし5について 上記1で述べたように、先願発明は、「前記特定演出の内容を変化させるための特定表示」を「演出表示手段に表示する」ものとは認められない。 したがって、「特定表示」に関する本件補正発明の発明特定事項G、H、I、Jに相当する構成を先願発明が含むとは、認められない。 また、「特定表示」に関する本件補正発明の発明特定事項G、H、I、Jに相当する構成が、課題解決のための具体化手段における微差であるということもできない。 3 小括 本件補正発明は、相違点1ないし5で先願発明と相違する。 したがって、本件補正発明が先願明細書等に記載された発明と同一であるということはできない。 第8 むすび 以上のとおり、本件補正発明は、先願明細書等に記載された発明と同一ではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2022-04-12 |
出願番号 | P2019-151899 |
審決分類 |
P
1
8・
161-
WY
(A63F)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
▲吉▼川 康史 |
特許庁審判官 |
蔵野 いづみ 太田 恒明 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 特許業務法人日誠国際特許事務所 |