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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A63F
管理番号 1385167
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-05-19 
確定日 2022-04-01 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6792679号発明「スロットマシン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6792679号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第6792679号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6792679号の請求項1に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成29年2月27日(以下、「遡及日」という。)に出願した特願2017−35036の一部を令和1年8月28日に新たな特許出願(特願2019−155238)としたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和 2年11月10日:特許権の設定登録
令和 2年11月25日:特許掲載公報発行
令和 3年 5月19日:特許異議の申立て
(特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社)
令和 3年 8月24日:取消理由通知書
令和 3年10月28日:訂正請求書及び意見書(以下この訂正請求書 による訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求によりな された訂正を「本件訂正」という。)
令和 3年11月30日:通知書(訂正請求があった旨の通知)
なお、当該通知書による通知に対し、特許異議申立人からの応答はな かった。

第2 訂正の適否
本件訂正請求は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲について、以下のとおり訂正することを求めるものである(下線は、当合議体が付した。以下同様。)。

1 訂正請求の内容
本件訂正は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正する以下のとおりのものである。

(1)訂正事項1
特許権者は、本件特許の請求項1の「前記遊技制御手段は、」の後に「導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、」を加える訂正をすることを請求する。

(2)訂正事項2
特許権者は、上記訂正事項1で訂正された請求項1の「・・・事前決定手段と、」の後に、「前記事前決定手段によりいずれかの表示結果の導出を許容する旨が決定される確率の異なる複数の抽選状態に制御可能な抽選状態制御手段と、」を加える訂正をすることを請求する。

(3)訂正事項3
特許権者は、本件特許の請求項1に、「通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段と、」とあるのを、「前記事前決定手段の決定結果にもとづいて通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段と、」に訂正することを請求する。

(4)訂正事項4
特許権者は、本件特許の請求項1に、「前記有利区間において有利状態に制御可能な状態制御手段と、」とあるのを、「前記有利区間において有利状態と前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態に制御可能な状態制御手段と、」に訂正することを請求する。

(5)訂正事項5
特許権者は、本件特許の請求項1に、「前記有利区間において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段と、」とあるのを、「前記有利区間のうち前記有利状態において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段と、」に訂正することを請求する。

(6)訂正事項6
特許権者は、上記訂正事項5で訂正された請求項1の「・・・有利状態情報更新手段と、」の後に、「前記有利区間のうち前記特定状態において前記特定状態に関わる情報を更新する特定状態情報更新手段と、」を加える訂正をすることを請求する。

(7)訂正事項7
特許権者は、上記訂正事項6で訂正された請求項1の「・・・特定状態情報更新手段と、」の後に、「前記有利区間に移行した後、前記有利状態に制御しているか前記特定状態に制御しているかに関わらず、前記有利区間に移行してからのゲーム数を更新するゲーム数更新手段と、」を加える訂正をすることを請求する。

(8)訂正事項8
特許権者は、本件特許の請求項1に、「前記有利状態に関わる情報にもとづいて、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段と、」とあるのを、「前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立するか、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達することで、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段と、」に訂正することを請求する。

(9)訂正事項9
特許権者は、本件特許の請求項1に、「前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報を初期化する初期化手段と、を含み、」とあるのを、「前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータを全て初期化する初期化手段と、を含み、」に訂正することを請求する。

(10)訂正事項10
特許権者は、上記訂正事項9で訂正された請求項1の「・・・初期化手段と、を含み、」の後に、「前記有利区間制御手段は、前記抽選状態によって許容する旨が決定される確率が異なる表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御せず、いずれの前記抽選状態においても許容する旨が決定される確率が同一の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御可能であり、」を加える訂正をすることを請求する。

(11)訂正事項11
特許権者は、上記訂正事項10で訂正された請求項1の「・・・前記有利区間に制御可能であり、」の後に、「前記有利区間終了手段は、前記有利状態であるか前記特定状態であるかに関わらず、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたときに、前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行い、」を加える訂正をすることを請求する。

(12)訂正事項12
特許権者は、本件特許の請求項1に、「前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報が初期化されてから、前記特定ランプを消灯する、スロットマシン。」とあるのを、「前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータが全て初期化されてから、前記特定ランプを消灯する、スロットマシン。」に訂正することを請求する。

(13)訂正事項13
特許権者は、本件特許の明細書の【0008】に、
「 本発明のスロットマシンは、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技の制御を行う遊技制御手段と、
前記遊技制御手段に制御される特定ランプと、を備え、
前記遊技制御手段は、
通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段と、
前記有利区間において有利状態に制御可能な状態制御手段と、
前記有利区間において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段と、
前記有利状態に関わる情報にもとづいて、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段と、
前記特定ランプを制御する特定ランプ制御手段と、
前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報を初期化する初期化手段と、を含み、
前記特定ランプ制御手段は、
前記有利区間において、前記有利区間の制御中であることを示唆するために前記特定ランプを点灯させ、
前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報が初期化されてから、前記特定ランプを消灯する、ことを特徴とする。
・・・」とあるのを、
「 本発明のスロットマシンは、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技の制御を行う遊技制御手段と、
前記遊技制御手段に制御される特定ランプと、を備え、
前記遊技制御手段は、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段によりいずれかの表示結果の導出を許容する旨が決定される確率の異なる複数の抽選状態に制御可能な抽選状態制御手段と、
前記事前決定手段の決定結果にもとづいて通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段と、
前記有利区間において有利状態と前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態に制御可能な状態制御手段と、
前記有利区間のうち前記有利状態において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段と、
前記有利区間のうち前記特定状態において前記特定状態に関わる情報を更新する特定状態情報更新手段と、
前記有利区間に移行した後、前記有利状態に制御しているか前記特定状態に制御しているかに関わらず、前記有利区間に移行してからのゲーム数を更新するゲーム数更新手段と、
前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立するか、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達することで、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段と、
前記特定ランプを制御する特定ランプ制御手段と、
前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータを全て初期化する初期化手段と、を含み、
前記有利区間制御手段は、前記抽選状態によって許容する旨が決定される確率が異なる表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御せず、いずれの前記抽選状態においても許容する旨が決定される確率が同一の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御可能であり、
前記有利区間終了手段は、前記有利状態であるか前記特定状態であるかに関わらず、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたときに、前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行い、
前記特定ランプ制御手段は、
前記有利区間において、前記有利区間の制御中であることを示唆するために前記特定ランプを点灯させ、
前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータが全て初期化されてから、前記特定ランプを消灯する、ことを特徴とする。
・・・」に訂正することを請求する。

2 訂正要件についての判断
(1)訂正事項1
本件特許の明細書の【0008】、【0031】及び【0056】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」について、「導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段」を含む点を限定するものである。

(2)訂正事項2
本件特許の明細書の【0108】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」について、「前記事前決定手段によりいずれかの表示結果の導出を許容する旨が決定される確率の異なる複数の抽選状態に制御可能な抽選状態制御手段」を含む点を限定するものである。

(3)訂正事項3
本件特許の明細書の【0038】及び【0047】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」に含まれる「通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段」について、「前記事前決定手段の決定結果にもとづいて」いることを限定するものである。

(4)訂正事項4
本件特許の明細書の【0032】及び【0035】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」に含まれる「前記有利区間において有利状態に制御可能な状態制御手段」について、「有利状態」に加えて、「前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態に」も制御可能であることを限定するものである。

(5)訂正事項5
本件特許の明細書の【0034】及び【0064】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」に含まれる「前記有利区間において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段」について、「有利区間」「のうち前記有利状態において」「有利状態に関わる情報を更新する」ことを限定するものである。

(6)訂正事項6
本件特許の明細書の【0088】及び【0139】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」について、「前記有利区間のうち前記特定状態において前記特定状態に関わる情報を更新する特定状態情報更新手段」を含む点を限定するものである。

(7)訂正事項7
本件特許の明細書の【0064】及び【0065】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」について、「前記有利区間に移行した後、前記有利状態に制御しているか前記特定状態に制御しているかに関わらず、前記有利区間に移行してからのゲーム数を更新するゲーム数更新手段」を含む点を限定するものである。

(8)訂正事項8
本件特許の明細書の【0098】及び【0099】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」に含まれる「前記有利状態に関わる情報にもとづいて、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段」の有利区間の終了について、「前記有利状態に関わる情報」に加えて、「前記特定状態に関わる情報」「にもとづいて」「終了条件が成立する」ことを限定するとともに、「前記有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達することで」も終了することを限定するものである。

(9)訂正事項9
本件特許の明細書の【0044】、【0088】及び【0139】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」に含まれる「前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報を初期化する初期化手段」について、初期化手段が初期化する対象が、「前記有利状態に関わる情報」に加え、「前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータ」であることを限定するとともに、「情報」と「データ」を「全て」初期化することを限定するものである。

(10)訂正事項10
本件特許の明細書の【0038】及び【0047】の記載及び図面の図12の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」に含まれる「有利区間制御手段」について、「前記有利区間制御手段は、前記抽選状態によって許容する旨が決定される確率が異なる表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御せず、いずれの前記抽選状態においても許容する旨が決定される確率が同一の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御可能であ」ることを限定するものである。

(11)訂正事項11
本件特許の明細書の【0044】、【0098】及び【0099】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」に含まれる「有利区間終了手段」について、「前記有利区間終了手段は、前記有利状態であるか前記特定状態であるかに関わらず、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたときに、前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行」うことを限定するものである。

(12)訂正事項12
上記(9)と同様の目的で、本件特許の明細書の【0044】、【0088】及び【0139】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」の「遊技制御手段」に含まれる初期化手段が初期化する対象が、「前記有利状態に関わる情報」に加え、「前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータ」であることを限定するとともに、「情報」と「データ」が「全て」初期化されることを限定するものである。

(13)小括
上記(1)〜(12)のとおりであるから、請求項1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(14)訂正事項13
訂正事項13は、特許請求の範囲に係る訂正事項1〜12と整合性をとるために明細書を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項13は、訂正事項1〜12について検討したのと同様に、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(15)まとめ
上記(1)〜(14)のとおり、本件訂正請求による訂正事項1〜13は、特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。


第3 本件発明
上記第2のとおり、訂正後の請求項1について本件訂正が認められるから、請求項1に係る特許は本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、本件特許の請求項1に係る発明を「本件発明」という。なお、記号A等は、分説するため当合議体が付した。また、分説に際し、令和3年8月24日付け取消理由通知において、訂正前の請求項1に係る特許についてなされた分説と同じ発明特定事項である分説には、同じ記号A等を付し、本件訂正により訂正前の発明特定事項より減縮された分説には、記号F’等のように訂正前の記号F等に「’」を付し、新たに設けられた分説には、記号E1、E2、O、Pを付した。)。

本件発明
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 遊技の制御を行う遊技制御手段と、
D 前記遊技制御手段に制御される特定ランプと、を備え、
E 前記遊技制御手段は、
E1 導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
E2 前記事前決定手段によりいずれかの表示結果の導出を許容する旨が決定される確率の異なる複数の抽選状態に制御可能な抽選状態制御手段と、
F’ 前記事前決定手段の決定結果にもとづいて通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段と、
G’ 前記有利区間において有利状態と前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態に制御可能な状態制御手段と、
H’ 前記有利区間のうち前記有利状態において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段と、
E3 前記有利区間のうち前記特定状態において前記特定状態に関わる情報を更新する特定状態情報更新手段と、
E4 前記有利区間に移行した後、前記有利状態に制御しているか前記特定状態に制御しているかに関わらず、前記有利区間に移行してからのゲーム数を更新するゲーム数更新手段と、
I’ 前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立するか、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達することで、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段と、
J 前記特定ランプを制御する特定ランプ制御手段と、
K’ 前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータを全て初期化する初期化手段と、を含み、
O 前記有利区間制御手段は、前記抽選状態によって許容する旨が決定される確率が異なる表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御せず、いずれの前記抽選状態においても許容する旨が決定される確率が同一の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御可能であり、
P 前記有利区間終了手段は、前記有利状態であるか前記特定状態であるかに関わらず、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたときに、前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行い、
L 前記特定ランプ制御手段は、
M 前記有利区間において、前記有利区間の制御中であることを示唆するために前記特定ランプを点灯させ、
N’ 前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータが全て初期化されてから、前記特定ランプを消灯する、スロットマシン。」


第4 特許異議の申立て及び取消理由通知について
1 特許異議の申立ての概要
特許異議の申立ての理由の概要は以下のとおりである。
(1)(新規性)本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)(進歩性)本件特許発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証〜甲第3号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

甲第1号証:特開2007−50088号公報
甲第2号証:特開2007−229370号公報
甲第3号証:特許第6064189号公報

●理由(1)(新規性)について
本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明である。

●理由(2)(進歩性)について
本件特許発明は、甲第1号証〜甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

2 令和3年8月24日付け取消理由通知の概要
令和3年8月24日付け取消理由通知の概要は以下のとおりである。
(1)(新規性)本件特許発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)(進歩性)本件特許発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基いて、又は、甲第3号証及び甲第1号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

甲第1号証:特開2007−50088号公報
甲第3号証:特許第6064189号公報

●取消理由(1)(新規性)、取消理由(2)(進歩性)について
本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明であり、また、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

●取消理由(2)(進歩性)について
本件特許発明は、甲第3号証及び甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。


第5 当合議体の判断
1 令和3年8月24日付け取消理由通知に記載した取消理由について
1−1 甲第1号証に基づく取消理由(1)(新規性)、取消理由(2)(進歩性)について

(1)甲第1号証の記載事項
本件特許の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、上記取消理由通知で引用された甲第1号証(特開2007−50088号公報、発明の名称:スロットマシン)には、次の事項が記載されている。
ア 記載事項
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンに関し、特に終了条件となる有価価値の付与数が異なる複数種類の特別遊技状態を有するスロットマシンにおける該特別遊技状態の終了の報知に関する。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0009】
本発明は、終了条件となる有価価値の付与数が異なる複数種類の特別遊技状態を有するスロットマシンにおいて、有価価値の付与数が少ない特別遊技状態が終了したときにも、有価価値の付与数の多いものとして特別遊技状態の継続を遊技者に期待させて、遊技の興趣を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかるスロットマシンは、
1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示装置(可変表示装置2)に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能であるスロットマシンにおいて、
・・・」

(イ)「【発明を実施するための最良の形態】
【0083】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0084】
図1は、この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。スロットマシン1の前面扉は、施錠装置19にキーを差し込み、時計回り方向に回動操作することにより開放状態とすることができる。このスロットマシン1の上部前面側には、3つのリール3L、3C、3Rから構成される可変表示装置2が設けられている。リール3L、3C、3Rは、それぞれリールモータ3ML、3MC、3MR(図4参照)の駆動によって回転/停止させられる。
【0085】
リール3L、3C、3Rの外周部には、図2に示すように、それぞれ「赤7」、「白7」、「青7」、「JAC」、「ベル」、「チェリー」、「スイカ」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で描かれている。リール3L、3C、3Rの外周部に描かれた図柄は、可変表示装置2において上中下三段に表示される。可変表示装置2には、図3に示すように、リール3L、3C、3Rのそれぞれについて上段または下段を選択して構成される8本の有効ラインが設定される。この有効ラインの何れかに後述する役の表示態様が導出されたときに、当該役に入賞となる。」

(ウ)「【0103】
遊技制御基板101は、スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御するメイン側の制御基板であり、CPU111、RAM112、ROM113及びI/Oポート114を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部110を搭載している。また、乱数発生回路115、サンプリング回路116その他の回路を搭載している。
【0104】
CPU111は、計時機能、タイマ割り込みなどの割り込み機能(割り込み禁止機能を含む)を備え、ROM113に記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うと共に、スロットマシン1内の制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。CPU111が取り扱うデータの1ワードは、8ビット(1バイト)であり、RAM112、ROM113のアドレスも、8ビット単位で割り付けられている。
・・・
【0110】
遊技制御基板101には、また、流路切り替えソレノイド49、ペイアウト表示器51、クレジット表示器52、投入指示ランプ59、スタートランプ60、リプレイランプ62、HITランプ54、BETボタンランプ70a、70b、操作有効ランプ63L、63C、63R、入賞表示ランプ45a〜45dが接続されており、CPU111は、遊技の進行状況に従ってこれらの動作を制御している。」

(エ)「【0121】
図5(a)は、遊技状態別当選役テーブルを示す図である。遊技状態別当選役テーブルは、ROM113に予め格納され、内部抽選において当選と判定される役を判断するために用いられるものであるが、遊技状態別当選役テーブルの登録内容は、遊技状態に応じて定められた役を示すものとなる。このスロットマシン1における役としては、特別役としてレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、JACINが、小役としてベル、チェリーが、再遊技役としてリプレイが定められている。
【0122】
レギュラーボーナスの遊技状態では、小役であるベル及びチェリーが、入賞となる役として定められており、レギュラーボーナスにおける内部抽選で抽選の対象とされる。ビッグボーナスの遊技状態では、特別役であるJACIN、小役であるベル及びチェリーが入賞となる役として定められており、ビッグボーナスにおける内部抽選で抽選の対象とされる。通常の遊技状態では、特別役であるレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)及びビッグボーナス(2)、小役であるベル及びチェリー、再遊技役であるリプレイ(RTにおけるリプレイと区別するため、通常時リプレイという)が入賞となる役として定められており、通常の遊技状態における内部抽選で抽選の対象とされる。
【0123】
通常の遊技状態においてレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選し、当該ゲームで入賞しないと、その当選フラグが持ち越され、次のゲームから遊技状態がRT(Replay Time)に移行する。すなわち、レギュラーボーナス当選フラグ、ビッグボーナス(1)当選フラグ、レギュラーボーナス(2)当選フラグは、RT中フラグも兼ねるものとなる。RTでは、小役であるベル及びチェリー、再遊技役であるリプレイ(通常時リプレイと区別するため、RT時リプレイという)が入賞となる役として定められており、RTにおける内部抽選で抽選の対象とされる。なお、通常時リプレイと、RT時リプレイは、後述する判定値数の格納領域が異なるので当選確率が異なるものとなるが、他の点については共通している。
・・・
【0125】
ビッグボーナス(1)は、通常の遊技状態またはRTにおいて有効ライン(8本)のいずれかに「赤7−白7−白7」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。ビッグボーナス(2)は、通常の遊技状態またはRTにおいて有効ライン(8本)のいずれかに「赤7−青7−青7」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)入賞すると、それぞれ遊技状態がビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)(これらを纏めてビッグボーナスという)に移行する。ビッグボーナスにおいては、小役ゲームと称されるゲームを行うことができる。
【0126】
遊技状態がビッグボーナスにある間は、ビッグボーナス中フラグがRAM112に設定される。ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞すると、次のビッグボーナスの1ゲーム目で表示結果が導出されるまで、ビッグボーナス入賞フラグもRAM112に設定される。次のゲームが開始すると、ビッグボーナス入賞フラグが消去されて、ビッグボーナス開始フラグがRAM112に設定される。このビッグボーナス開始フラグに基づいて、ビッグボーナスの1ゲーム目の結果が導出された後には、ウェイトがかけられる。ウェイトの完了後ビッグボーナス開始フラグが消去される。
【0127】
JACINは、ビッグボーナス中の小役ゲームにおいて有効ライン(8本)のいずれかに「ベル−チェリー−チェリー」の組み合わせが揃ったときに入賞となるが、小役ゲーム以外の遊技状態では、この組み合わせが揃ったとしてもJACIN入賞とならない。JACIN入賞すると、ビッグボーナスの中で前述したレギュラーボーナスが提供されることとなり、ビッグボーナス中フラグに併せてレギュラーボーナス中フラグもRAM112に設定される。
【0128】
ビッグボーナス(1)とビッグボーナス(2)とでは、遊技性としては同一であるが、それぞれの間において遊技者が獲得できるメダルの枚数の上限に違いがある。より詳しく説明すると、ビッグボーナス(1)における獲得メダル枚数の上限は180枚であり、払い出し総数が入賞時の最大払い出し枚数である15枚を減算した165枚を越えたときにビッグボーナス(1)が終了する。ビッグボーナス(2)における獲得メダル枚数の上限は360枚であり、払い出し総数が入賞時の最大払い出し枚数である15枚を減算した345枚を越えたときにビッグボーナス(2)が終了する。ビッグボーナス中のレギュラーボーナスで165枚、345枚に達したときは、ビッグボーナスとともに当該レギュラーボーナスも終了する。
・・・
【0130】
リプレイは、通常の遊技状態またはRTにおいて有効ライン(8本)のいずれかに「赤7−JAC−チェリー」の組み合わせが揃ったときに入賞となるが、レギュラーボーナスやビッグボーナス(小役ゲーム及びレギュラーボーナス)では、この組み合わせが揃ったとしてもリプレイ入賞とならない。・・・」

(オ)「【0149】
例えば、図7(a)に示すように、通常の遊技状態では、内部抽選の対象役となる役は、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ベル、チェリー、リプレイであり、設定値6においては、それぞれの判定値数は、31、30、30、3562、269、2245となる。・・・
【0151】
これらの判定値数に基づいて算出される各役のおおよその当選確率は、レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ベル、チェリー、リプレイのそれぞれについて、1/528.5、1/546.1、1/546.1、1/4.6、1/60.9、1/7.3となる。なお、0〜10216が内部抽選用の乱数として取得されたときには、全ての役にハズレとなる。
【0152】
また、図7(b)に示すように、小役ゲームでは、JACIN、ベル、チェリーが内部抽選の対象役となり、それぞれの判定値数が4311、3562、269であるので、12073〜16383、8511〜12072、8242〜8510が内部抽選用の乱数として取得されたときに、当選と判定される。また、それぞれの役のおおよその当選確率は、1/3.8、1/4.6、1/60.9となる。なお、0〜8241が内部抽選用の乱数として取得されたときには、全ての役にハズレとなる。」

(カ)「【0244】
次に、上記したステップS6の入賞判定処理について詳しく説明する。図16は、CPU111がステップS6で実行する入賞判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、何れかの有効ライン上にビッグボーナス(1)の表示態様(赤7−白7−白7)が導出されたかどうかを判定する(ステップS601)。ビッグボーナス(1)の表示態様が導出されていれば、RAM112にビッグボーナス中フラグ及びビッグボーナス出力禁止フラグを設定するとともに、RAM112に設定されているビッグボーナス当選フラグを消去する。また、ビッグボーナス終了数を165に設定してRAM112の所定の領域に保存する。さらに、HITランプ54を点灯する(ステップS602)。そして、ステップS617の処理に進む。
【0245】
ビッグボーナス(1)の表示態様が導出されていない場合には、何れかの有効ライン上にビッグボーナス(2)の表示態様(赤7−青7−青7)が導出されたかどうかを判定する(ステップS603)。ビッグボーナス(2)の表示態様が導出されていれば、RAM112にビッグボーナス中フラグ及びビッグボーナス出力禁止フラグを設定するとともに、RAM112に設定されているビッグボーナス当選フラグを消去する。また、ビッグボーナス終了数を345に設定してRAM112の所定の領域に保存する。さらに、HITランプ54を点灯する(ステップS604)。そして、ステップS617の処理に進む。」

(キ)「【0255】
次に、RAM112にレギュラーボーナス中フラグが設定されているかどうかにより、現在の遊技状態がレギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供されたものを含む)になっているかどうかを判定する(ステップS702)。現在の遊技状態がレギュラーボーナスとなっていなければ、ステップS706の処理に進む。現在の遊技状態がレギュラーボーナスとなっていれば、RAM112のカウンタを用いて、当該レギュラーボーナスにおけるゲーム数と入賞数とをカウントする(ステップS703)。
【0256】
そのカウントの結果として、レギュラーボーナスの終了条件となったかどうかを判定する(ステップS704)。レギュラーボーナスの終了条件となっていれば、RAM112のレギュラーボーナス中フラグを消去する。また、レギュラーボーナスにおけるゲーム数及び入賞数をカウントするためのカウンタの値を初期化する(ステップS705)。そして、ステップS706の処理に進む。レギュラーボーナスの終了条件となっていない場合も、ステップS706の処理に進む。
【0257】
ステップS706では、RAM112にビッグボーナス中フラグが設定されているかどうかにより、現在の遊技状態がビッグボーナスとなっているかどうかを判定する。現在の遊技状態がビッグボーナスとなっていれば、RAM112のカウンタを用いて、当該ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントする(ステップS707)。ここでカウントした払出メダル枚数がRAM112に設定されたビッグボーナス終了数を越えて、ビッグの終了条件が成立したかどうかを判定する(ステップS708)。
【0258】
ビッグボーナスの終了条件が成立していれば、RAM112のビッグボーナス中フラグを消去する。レギュラーボーナス中フラグが設定されていれば、これも消去する。また、ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントするためのカウンタの値を初期化するビッグボーナス中のレギュラーボーナスであった場合もあるので、レギュラーボーナスにおけるゲーム数及び入賞数をカウントするためのカウンタの値を初期化する(ステップS709)。
【0259】
さらに、ビッグボーナス中フラグ及びレギュラーボーナス中フラグの設定状況に基づいて現在の遊技状態(次のゲームで適用される遊技状態であって、ここでは通常の遊技状態となる)を示す状態コマンドを生成して、演出制御基板102に送信する(ステップS710)。さらに、HITランプ54を消灯させる(ステップS711)。ここで、CPU111の内部タイマを用いてウェイト時間の計時を開始する(ステップS712)。」

(ク)図7
「【図7】



(ケ)図16
「【図16】



(コ)図17
「【図17】



イ 甲第1号証に記載された発明
上記アから、甲第1号証には、スロットマシンに関し、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている(記号a〜nは、本件発明の分説A〜Pに対応させて付与した。なお、記号e3、e4、o、pは用いていない。)。

甲1発明
「a それぞれリールモータ3ML、3MC、3MRの駆動によって回転/停止させられ、その外周部には、それぞれ「赤7」、「白7」、「青7」、「JAC」、「ベル」、「チェリー」、「スイカ」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で描かれている3つのリール3L、3C、3Rから構成される可変表示装置2が設けられ(【0084】、【0085】)、

b 1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示装置2に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能であるスロットマシン1において(【0010】、【0103】)、

c スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御するメイン側の制御基板であり、CPU111、RAM112、ROM113及びI/Oポート114を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部110を搭載している遊技制御基板101と(【0103】)、

d、j 遊技制御基板101に接続され、CPU111が遊技の進行状況に従って動作を制御しているHITランプ54と、を備え(【0110】)、

e、e1、e2、f’ 遊技制御基板101に搭載されたCPU111は、計時機能、タイマ割り込みなどの割り込み機能(割り込み禁止機能を含む)を備え、遊技制御基板101に搭載されたROM113に記憶されたプログラムを実行して遊技の進行に関する処理を行い、ROM113に予め格納され、内部抽選において当選と判定される役を判断するために用いられる遊技状態別当選役テーブルには、役としては、特別役としてレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、JACINが、小役としてベル、チェリーが、再遊技役としてリプレイが定められ(【0103】、【0104】、【0121】)、
通常の遊技状態では、特別役であるレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)及びビッグボーナス(2)、小役であるベル及びチェリー、再遊技役であるリプレイ(RTにおけるリプレイと区別するため、通常時リプレイという)が入賞となる役として定められており、通常の遊技状態における内部抽選で抽選の対象とされる一方(【0122】)、通常の遊技状態においてレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選し、当該ゲームで入賞しないと、その当選フラグが持ち越され、次のゲームから遊技状態がRT(Replay Time)に移行して、RTでは、小役であるベル及びチェリー、再遊技役であるリプレイ(通常時リプレイと区別するため、RT時リプレイという)が入賞となる役として定められており、RTにおける内部抽選で抽選の対象とされ、通常時リプレイと、RT時リプレイは、当選確率が異なるものとなっていて(【0123】)、
ビッグボーナス(1)は、通常の遊技状態またはRTにおいて有効ライン(8本)のいずれかに「赤7−白7−白7」の組み合わせが揃ったときに入賞となり、ビッグボーナス(2)は、通常の遊技状態またはRTにおいて有効ライン(8本)のいずれかに「赤7−青7−青7」の組み合わせが揃ったときに入賞となるものであって、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞すると、それぞれ遊技状態がビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)(以下、これらを纏めて「ビッグボーナス」ということがある。)に移行し、遊技状態がビッグボーナスにある間は、ビッグボーナス中フラグがRAM112に設定され(【0125】、【0126】)、

g ’ ビッグボーナスは、小役ゲーム及びレギュラーボーナスからなり(【0130】)、JACINは、ビッグボーナス中の小役ゲームにおいて有効ライン(8本)のいずれかに「ベル−チェリー−チェリー」の組み合わせが揃ったときに入賞となるが、小役ゲーム以外の遊技状態では、この組み合わせが揃ったとしてもJACIN入賞とならず、JACIN入賞すると、ビッグボーナスの中でレギュラーボーナスが提供され(【0127】)、
通常の遊技状態では、レギュラーボーナスのおおよその当選確率は、1/528.5となり(【0149】、【0151】)、小役ゲームでは、JACINのおおよその当選確率は、1/3.8となり(【0152】)、

l、m CPU111が実行する入賞判定処理では、まず、何れかの有効ライン上にビッグボーナス(1)の表示態様(赤7−白7−白7)が導出されたかどうかを判定し(ステップS601)、ビッグボーナス(1)の表示態様が導出されていれば、RAM112にビッグボーナス中フラグ及びビッグボーナス出力禁止フラグを設定するとともに、RAM112に設定されているビッグボーナス当選フラグを消去し、また、ビッグボーナス終了数を165に設定してRAM112の所定の領域に保存して、さらに、HITランプ54を点灯し(ステップS602)、
ビッグボーナス(1)の表示態様が導出されていない場合には、何れかの有効ライン上にビッグボーナス(2)の表示態様(赤7−青7−青7)が導出されたかどうかを判定し(ステップS603)、ビッグボーナス(2)の表示態様が導出されていれば、RAM112にビッグボーナス中フラグ及びビッグボーナス出力禁止フラグを設定するとともに、RAM112に設定されているビッグボーナス当選フラグを消去し、また、ビッグボーナス終了数を345に設定してRAM112の所定の領域に保存して、さらに、HITランプ54を点灯し(ステップS604)(【0244】、【0245】、図16)、

h’、i’、k’、n’
RAM112にレギュラーボーナス中フラグが設定されているかどうかにより、現在の遊技状態がレギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供されたものを含む)になっているかどうかを判定し(ステップS702)、現在の遊技状態がレギュラーボーナスとなっていれば、RAM112のカウンタを用いて、当該レギュラーボーナスにおけるゲーム数と入賞数とをカウントし(ステップS703)(【0255】、図17)、
そのカウントの結果として、レギュラーボーナスの終了条件となったかどうかを判定し(ステップS704)、レギュラーボーナスの終了条件となっていれば、RAM112のレギュラーボーナス中フラグを消去し、また、レギュラーボーナスにおけるゲーム数及び入賞数をカウントするためのカウンタの値を初期化し(ステップS705)(【0256】、図17)、
RAM112にビッグボーナス中フラグが設定されているかどうかにより、現在の遊技状態がビッグボーナスとなっているかどうかを判定し(ステップS706)、現在の遊技状態がビッグボーナスとなっていれば、RAM112のカウンタを用いて、当該ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントし(ステップS707)、ここでカウントした払出メダル枚数がRAM112に設定されたビッグボーナス終了数を越えて、ビッグの終了条件が成立したかどうかを判定し(ステップS708)(【0257】、図17)、
ビッグボーナスの終了条件が成立していれば、RAM112のビッグボーナス中フラグを消去し、ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントするためのカウンタの値を初期化し、ビッグボーナス中のレギュラーボーナスであった場合もあるので、レギュラーボーナスにおけるゲーム数及び入賞数をカウントするためのカウンタの値を初期化して(ステップS709)(【0258】、図17)、
さらに、次のゲームで適用される遊技状態であって、ここでは通常の遊技状態となることを示す状態コマンドを生成して、演出制御基板102に送信し(ステップS710)、さらに、HITランプ54を消灯させる(ステップS711)、スロットマシン1(【0103】、【0259】、図17)。」

(2)本件発明と甲1発明との対比
分説に従い、本件発明と甲1発明とを対比する。
ア 構成A、Bについて
甲1発明の構成a、構成bは、本件発明の構成A、構成Bに相当することは明らかである。

イ 構成Cについて
甲1発明の「スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御する」ことは、本件発明の「遊技の制御を行う」ことに相当し、甲1発明の「遊技制御基板101」は、本件発明の「遊技制御手段」に相当する。
よって、甲1発明の構成cは、本件発明の構成Cに相当する。

ウ 構成D、Jについて
甲1発明の構成d、jの「遊技制御基板101」の「CPU111が遊技の進行状況に従って動作を制御している」ことは、本件発明の「遊技制御手段に制御される」ことに相当し、甲1発明の構成d、jの「HITランプ54」は、本件発明の構成D、Jの「特定ランプ」に相当する。
また、甲1発明の「HITランプ54」は、「遊技制御基板101に接続され」ていることを考慮すると、「スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御する」「遊技制御基板101」が、本件発明の構成Jの「特定ランプを制御する特定ランプ制御手段」に相当する機能を具備することも明らかである。
よって、甲1発明の構成d、jは、本件発明の構成D、Jに相当する。

エ 構成E〜E2について
(ア)甲1発明の構成e、e1、e2、f’の「CPU111」及び「ROM113」が「搭載された」「遊技制御基板101」は、本件発明の構成Eの「遊技制御手段」に相当し、甲1発明の構成e、e1、e2、f’において、「ROM113に予め格納され、内部抽選において当選と判定される役を判断するために用いられる遊技状態別当選役テーブル」を用いて、「ROM113に記憶されたプログラムを実行して遊技の進行に関する処理を行」う「遊技制御基板101」は、本件発明の構成E1の「導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段」に相当する機能を具備する。

(イ)また、甲1発明の構成e、e1、e2、f’において「内部抽選において当選と判定される役を判断するために用いられる遊技状態別当選役テーブル」では、「通常の遊技状態における内部抽選で抽選の対象とされる」「通常時リプレイ」と、「RTにおける内部抽選で抽選の対象とされ」る「RT時リプレイ」とは、「当選確率が異なるものとなってい」るから、甲1発明の構成e、e1、e2、f’における「通常の遊技状態」と「RT」は、本件発明の構成E2の「前記事前決定手段によりいずれかの表示結果の導出を許容する旨が決定される確率の異なる複数の抽選状態」に相当する。
そして、甲1発明の「スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御する」「遊技制御基板101」が、遊技状態の制御を行うことは明らかであるから、甲1発明の構成e、e1、e2、f’において、「通常の遊技状態においてレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選し、当該ゲームで入賞しないと、その当選フラグが持ち越され、次のゲームから遊技状態がRT(Replay Time)に移行」することは、「通常の遊技状態」から「RT」へ移行させる制御を行う「遊技制御基板101」が、本件発明の構成E2の「複数の抽選状態に制御可能な抽選状態制御手段」に相当する機能を具備するということができる。

(ウ)上記(ア)、(イ)より、甲1発明の構成e、e1、e2、f’は、本件発明の構成E、E1及びE2に相当する構成を備えている。

オ 構成F’について
(ア)甲1発明の構成e、e1、e2、f’において、「ビッグボーナス中フラグがRAM112に設定され」ている「遊技状態がビッグボーナスにある間」、すなわち、「遊技状態がビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)」にある間は、本件発明の構成F’の「有利区間」に相当するとともに、スロットマシンにおける技術常識を考慮すると、甲1発明の「ROM113に記憶されたプログラムを実行して遊技の進行に関する処理を行」う「遊技制御基板101」が、本件発明の構成F’の「通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段」に相当する機能を具備することは明らかである。

(イ)また、甲1発明の構成e、e1、e2、f’において、「遊技状態がビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)(以下、これらを纏めて「ビッグボーナス」ということがある。)」(本件発明の「有利区間」に相当。)に移行するのは、通常の遊技状態またはRTにおいて有効ライン(8本)のいずれかに、「特別役である」「ビッグボーナス(1)」を示す「「赤7−白7−白7」の組み合わせ」、又は、「特別役である」「ビッグボーナス(2)」を示す「「赤7−青7−青7」の組み合わせが揃っ」って「入賞」したときである。
そして、甲1発明の構成e、e1、e2、f’において、「特別役として」「定められた」「ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)」は、「内部抽選において当選と判定される役を判断する」ことにより決定されることが明らかであるから、上記エ(ア)の検討を踏まえると、本件発明の構成E1の「導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段」に相当する機能を具備する甲1発明の「遊技制御基板101」は、本件発明の構成F’である「前記事前決定手段の決定結果にもとづいて通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段」に相当する機能を具備することは明らかである。

(ウ)上記(ア)、(イ)より、甲1発明の構成e、e1、e2、f’は、本件発明の構成F’に相当する構成を備えている。

カ 構成G’について
上記オ(イ)より、甲1発明の「ビッグボーナス」が、本件発明の「有利区間」に相当することを踏まえると、甲1発明の「レギュラーボーナス」は、本件発明の「有利状態」に相当する。また、甲1発明におけるレギュラーボーナスのおおよその当選確率について、「通常の遊技状態では」「1/528.5」である一方、「ビッグボーナス」中の「小役ゲームにおいて」「入賞すると、ビッグボーナスの中でレギュラーボーナスが提供され」る「JACIN」は「1/3.8」であって、レギュラーボーナスの当選確率は、「通常の遊技状態」より「ビッグボーナス」中の「小役ゲーム」の方が有利である。してみれば、甲1発明の「ビックボーナス」中の「小役ゲーム」は、本件発明の「前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態」に相当する。
また、スロットマシンにおける技術常識を考慮すると、甲1発明の「ROM113に記憶されたプログラムを実行して遊技の進行に関する処理を行」う「遊技制御基板101」が、本件発明の構成G’の「状態制御手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
よって、甲1発明の構成g’は、本件発明の構成G’に相当する。

キ 構成H’について
上記オ(イ)より、甲1発明の「ビッグボーナス」が、本件発明の「有利区間」に相当し、上記カより、甲1発明の「レギュラーボーナス」が、本件発明の「有利状態」に相当することを踏まえ、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’において、「現在の遊技状態がレギュラーボーナスとなっていれば、RAM112のカウンタを用いて、当該レギュラーボーナスにおけるゲーム数と入賞数とをカウント」することは、本件発明の「前記有利状態において前記有利状態に関わる情報を更新する」ことに相当し、また、スロットマシンにおける技術常識を考慮すると、甲1発明の「ROM113に記憶されたプログラムを実行して遊技の進行に関する処理を行」う「遊技制御基板101」が、本件発明の構成H’の「有利状態情報更新手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
してみれば、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’は、本件発明の構成H’に相当する構成を備えている。

ク 構成I’について
甲1発明の構成h’、i’、k’、n’の「ビッグボーナスの終了条件が成立していれば、RAM112のビッグボーナス中フラグを消去」するというステップS709における動作の一部は、本件発明の構成I’の「前記有利区間を終了させ」ることに相当し、甲1発明のステップS709における動作の一部である「次のゲームで適用される遊技状態であって、ここでは通常の遊技状態となることを示す状態コマンドを生成して、演出制御基板102に送信」することは、本件発明の構成I’の「通常区間に制御する」ことに相当する。
また、スロットマシンにおける技術常識を考慮すると、甲1発明の「ROM113に記憶されたプログラムを実行して遊技の進行に関する処理を行」う「遊技制御基板101」が、本件発明の構成I’の「有利区間終了手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
してみれば、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’と本件発明の構成I’とは、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段を備える点で共通する。

ケ 構成K’について
上記オ(イ)より、甲1発明の「ビッグボーナス」が、本件発明の「有利区間」に相当し、上記カより、甲1発明の「レギュラーボーナス」が、本件発明の「有利状態」に相当し、上記キより、甲1発明の「当該レギュラーボーナスにおけるゲーム数と入賞数」が、本件発明の「有利状態に関わる情報」に相当することに加え、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’の「当該ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントし」、「ここでカウントした払出メダル枚数」は、本件発明の構成K’の「有利区間に関するデータ」に相当する。
さらに、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’のステップS709において、「ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントするためのカウンタの値を初期化」すること、及び、「ビッグボーナス中のレギュラーボーナスであった場合もあるので、レギュラーボーナスにおけるゲーム数及び入賞数をカウントするためのカウンタの値を初期化」することは、上記のとおり、ステップS709が、「ビッグボーナスの終了条件が成立してい」ることを前提として実行される動作であるので、本件発明の構成K’の「前記有利区間を終了させるときに」「前記有利状態に関わる情報」を「初期化する」ことに相当する。
また、スロットマシンの技術常識を考慮すると、甲1発明の「スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御する」「遊技制御基板101」が、本件発明の構成K’の「初期化手段」に相当する機能を具備することも明らかである。
よって、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’と本件特許発明の構成K’とは、「前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報」「を含む前記有利区間に関するデータを」「初期化する初期化手段と、を含」んでいるという点で共通する。

コ 構成L、Mについて
上記ウで検討したとおり、甲1発明の「遊技制御基板101」が、本件発明の「特定ランプ制御手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
ここで、上記オ(ア)で検討したとおり、甲1発明において、「ビッグボーナス中フラグがRAM112に設定され」ている「遊技状態がビッグボーナスにある間」、すなわち、「遊技状態がビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)」にある間は、本件発明の「有利区間」に相当するから、甲1発明の構成l、mで、「CPU111が実行する入賞判定処理」において、「何れかの有効ライン上にビッグボーナス(1)の表示態様(赤7−白7−白7)」又は「ビッグボーナス(2)の表示態様(赤7−青7−青7)が導出され」ていると判定され、「RAM112にビッグボーナス中フラグ」「を設定する」ことにより、「遊技状態がビッグボーナス」(本件発明の「有利区間」に相当。)となる。そして、甲1発明の構成l、mが、「さらに、HITランプ54を点灯」することは、本件発明の構成Mの「前記有利区間の制御中であることを示唆するために前記特定ランプを点灯させ」ることに相当する。
よって、甲1発明の構成l、mは、本件発明の構成L、Mに相当する。

サ 構成N’について
上記クで検討したとおり、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’の「ビッグボーナスの終了条件が成立していれば、RAM112のビッグボーナス中フラグを消去」するという動作が、本件発明の「前記有利区間を終了させ」ることに相当する。
また、上記ケにおいて、甲1発明の「ビッグボーナス」が、本件発明の「有利区間」に相当し、甲1発明の「レギュラーボーナス」が、本件発明の「有利状態」に相当し、甲1発明の「当該レギュラーボーナスにおけるゲーム数と入賞数」が、本件発明の「有利状態に関わる情報」に相当することに加え、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’の「当該ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントし」、「ここでカウントした払出メダル枚数」が、本件発明の「有利区間に関するデータ」に相当し、さらに、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’のステップS709において、「ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントするためのカウンタの値を初期化」すること、及び、「ビッグボーナス中のレギュラーボーナスであった場合もあるので、レギュラーボーナスにおけるゲーム数及び入賞数をカウントするためのカウンタの値を初期化」することが、本件発明の「前記有利区間を終了させるときに」「前記有利状態に関わる情報」を「初期化する」ことに相当することは検討済みである。
そして、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’においては、「ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントするためのカウンタの値を初期化」し、「ビッグボーナス中のレギュラーボーナスであった場合もあるので、レギュラーボーナスにおけるゲーム数及び入賞数をカウントするためのカウンタの値を初期化」するという動作を行うステップS709の後に、「さらに、HITランプ54を消灯させる」というステップS711の制御が実行される。
ここで、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’の「HITランプ54を消灯させる」ことは、本件発明の構成N’の「特定ランプを消灯する」ことに相当し、また、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’の「スロットマシン1」は、いうまでもなく、本件発明の構成N’の「スロットマシン」に相当する。
そうすると、甲1発明の構成h’、i’、k’、n’において、「ビッグボーナスの終了条件が成立していれば、RAM112のビッグボーナス中フラグを消去」し、「ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントするためのカウンタの値を初期化」し、「ビッグボーナス中のレギュラーボーナスであった場合もあるので、レギュラーボーナスにおけるゲーム数及び入賞数をカウントするためのカウンタの値を初期化」して(ステップS709)、「さらに、HITランプ54を消灯させる」(ステップS711)ことと、本件発明の構成N’とは、「前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報を」「含む前記有利区間に関するデータが」「初期化されてから、前記特定ランプを消灯する、スロットマシン」という点で共通する。

シ 上記ア〜サより、本件発明と甲1発明とは、
【一致点】
(なお、相違点を含む分説については、分説を表す記号の下に、I’等のように下線を付した。)
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 遊技の制御を行う遊技制御手段と、
D 前記遊技制御手段に制御される特定ランプと、を備え、
E 前記遊技制御手段は、
F’ 前記事前決定手段の決定結果にもとづいて通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段と、
G’ 前記有利区間において有利状態と前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態に制御可能な状態制御手段と、
H’ 前記有利区間のうち前記有利状態において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段と、
I’ 前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段と、
J 前記特定ランプを制御する特定ランプ制御手段と、
K’ 前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータを初期化する初期化手段と、を含み、
L 前記特定ランプ制御手段は、
M 前記有利区間において、前記有利区間の制御中であることを示唆するために前記特定ランプを点灯させ、
N’ 前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータが初期化されてから、前記特定ランプを消灯する、スロットマシン。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

【相違点】
・相違点1(構成E3、K’、N’)
特定状態に関わる情報について、本件発明は、遊技制御手段が「前記有利区間のうち前記特定状態において前記特定状態に関わる情報を更新する特定状態情報更新手段」を含むとともに(構成E3)、有利区間を終了させるときに、特定ランプを消灯する前に、「特定状態に関わる情報」を含んだ「全て」の有利区間に関するデータを初期化する(構成K’、N’)のに対し、甲1発明は、小役ゲームという遊技状態において、当該遊技状態に関わる情報を更新及び初期化しているかどうか不明である点。

・相違点2(構成E4、I’、P)
有利区間に移行してからのゲーム数について、本件発明は、遊技制御手段が、「前記有利区間に移行した後、前記有利状態に制御しているか前記特定状態に制御しているかに関わらず、前記有利区間に移行してからのゲーム数を更新するゲーム数更新手段」を含むとともに(構成E4)、「前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立するか、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達することで」有利区間を終了させ(構成I’)、かつ、「前記有利区間終了手段は、前記有利状態であるか前記特定状態であるかに関わらず、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたときに、前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行」う(構成P)のに対し、甲1発明は、遊技状態がビッグボーナスとなっていれば、当該ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントするものの、ゲーム数をカウントし、カウントされたゲーム数を基にビッグボーナスを終了させるものではない点。

・相違点3(構成O)
本件発明は、「前記有利区間制御手段は、前記抽選状態によって許容する旨が決定される確率が異なる表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御せず、いずれの前記抽選状態においても許容する旨が決定される確率が同一の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御可能であ」るのに対し、甲1発明においては、ビッグボーナス移行の特別役として定められたビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)は、通常の遊技状態では内部抽選の対象であるものの、遊技状態がRTでは内部抽選の対象となっていない点。

(3)当合議体の判断
ア 甲第1号証に基づく取消理由(1)(新規性)について
本件発明と甲1発明とは、上記「(2)シ【相違点】」で挙げた相違点1〜3で相違するので、本件発明は甲1発明ではなく、新規性を有している。

イ 甲第1号証に基づく取消理由(2)(進歩性)について
本件発明と甲1発明とは、上記「(2)シ【相違点】」で挙げた相違点1〜3で相違し、かつ、上記相違点1〜3に係る本件発明の構成が周知でも設計変更等でもなく、当該構成のようにする動機もないので、本件発明は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。

1−2 甲第3号証及び甲第1号証に基づく取消理由(2)(進歩性)について

(1)甲第3号証の記載事項
本件特許の遡及日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、上記取消理由通知で引用された甲第3号証(特許第6064189号公報、発明の名称:スロットマシン)には、次の事項が記載されている。
ア 記載事項
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンに関する。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0008】
そこで、本発明は、セット序盤でのセット継続に対する期待感の大きさを遊技者の心理状況に応じたものとすることが出来る、セット数管理型のスロットマシンを提供することである。」

(イ)「【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシン1の斜視図である。
【0016】
スロットマシン1は、前面が開放された箱型の本体2と、本体2の前面を開閉可能に設けられた前扉3とを備えている。
【0017】
本体2内には、上下方向の中央部より少し上方の位置に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rが左右に並べて配置されている。左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rは、ドラム状のリール枠の周面にリール帯を巻着した構成を有しており、リール枠の中心で左右方向に延びる軸を中心に回転可能に設けられている。リール帯には、21個の図柄が周方向に並べて配列されている。
【0018】
前扉3には、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rと対向する位置に、表示パネルユニット5が配置されている。
【0019】
表示パネルユニット5には、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの周面の一部を視認可能にするためのリール窓6が形成されている。左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転中は、リール窓6内に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの図柄が次々に現れる(図柄の変動表示)。左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rが停止すると、リール窓6内に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rのそれぞれ3個の図柄、合計9個の図柄が表示される(図柄の停止表示)。」

(ウ)「【0030】
左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rのすべてが停止した時点で、有効化されている入賞ライン(以下、「有効ライン」という。)上に所定の図柄の組合せが並ぶと、その図柄の組合せに応じた処理が行われる。以上で1ゲームが終了となり、すべてのベット数表示LED9が消灯され、メダル受付可否表示LED12が点灯される。
【0031】
たとえば、有効ライン上に小役に係る図柄の組合せが並ぶと、所定の配当数のメダルが配当として付与され、その配当数が配当数表示器8に表示される。配当は、スロットマシン1に50枚を上限としてクレジットされ、50枚を超える分については、メダル排出口22からメダルトレイ23に排出される。配当がクレジットされると、クレジット数が配当数だけ増え、クレジット数表示器CRの表示が更新される。」

(エ)「【0035】
図3は、スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。
【0036】
スロットマシン1は、ゲームの中枢的な制御を実行する主制御装置31と、ゲームに付随する演出のための制御を実行する副制御装置32と、液晶表示装置24を制御する液晶制御装置33とを備えている。
【0037】
主制御装置31には、CPU41、ROM42、RAM43、入出力ポート44およびデータ送出回路45が備えられている。CPU41、ROM42、RAM43、入出力ポート44およびデータ送出回路45は、バスにより、データを通信可能に接続されている。また、主制御装置31には、CPU41にクロックパルスを与えるクロック発生回路46と、乱数を生成する乱数生成回路47とが備えられている。
【0038】
CPU41は、ROM42に格納されているプログラムを実行し、入出力ポート44から入力される信号に基づいて、入出力ポート44に接続されている各制御対象を制御する。
【0039】
RAM43は、CPU41によるプログラムの実行時のワークエリアとして使用される。
・・・
【0041】
入出力ポート(出力ポート)44には、クレジット数表示器CR/指示モニタNM、有利状態ランプYL、配当数表示器8、ベット数表示LED9、リプレイ表示LED10、スタート可否表示LED11およびメダル受付可否表示LED12が制御対象として接続されている。・・・」

(オ)「【0044】
また、スタートレバー19が操作されると、CPU41は、内部抽選を実行する。具体的には、CPU41は、スタートレバー19が操作されたタイミングで、乱数生成回路47から乱数を取得する。そして、CPU41は、ROM42に格納されている抽選テーブルを参照する。抽選テーブルでは、乱数生成回路47が生成する乱数の範囲(たとえば、0〜65535)が複数の抽選区分に分けられ、抽選区分の個々に1以上の役が対応づけられている。CPU41は、乱数生成回路47から取得した乱数が属する抽選区分に対応づけられた役を当選役として決定する。また、CPU41は、乱数生成回路47から取得した乱数がどの抽選区分にも属さない場合には、内部抽選の結果を不当選(純ハズレ)と決定する。
【0045】
その後、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転速度が一定になると、CPU41は、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rを有効化する。そして、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されると、CPU41は、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されたタイミングと内部抽選の結果とに基づいて、左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cおよび右リール駆動モータ61Rへの駆動パルス信号の出力を停止し、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの停止を制御する。このとき、左ストップボタン20Lが押操作されたタイミングでの左リール4Lの回転位置を基準として、所定コマ数分の図柄が移動する引込範囲内で左リール4Lの回転が停止される(引込制御)。中リール4Cおよび右リール4Rについても同様である。・・・」

(カ)「【0057】
以下、スロットマシン1のゲーム性について詳細に説明する。
<1.遊技状態について>
スロットマシン1は、遊技状態として、通常の遊技状態である通常状態と、通常状態と比較して遊技者にとって有利な状態である有利状態とを備える。具体的に、有利状態には、内部抽選処理により、後述する押し順小役に当選した場合に、配当が最大の小役の入賞に必要なストップボタン20L、20C、20Rの操作順(以下、正解押し順という)を遊技者に報知するAT(Assist Time)状態と、該AT状態への移行確率が通常状態に比較して高くなる高確状態とを含む。
【0058】
スロットマシン1は、通常状態において所定の開始条件が成立した場合に遊技状態を有利状態に移行させるとともに、有利状態において所定の終了条件が成立した場合に遊技状態を通常状態に移行させる。このように、スロットマシン1は、通常状態と有利状態との間で遊技状態を切り替えながら遊技を進行させる。」

(キ)「【0064】
<3.通常状態>
図5は、通常状態中のゲーム処理の流れを示している。
先ず、ステップS501にて内部抽選処理を実行し、次のステップS502にて、内部抽選処理の結果に応じて、有利状態移行抽選処理(低確)を実行する。
図6(a)は、有利状態移行抽選処理(低確)の具体的な抽選内容を示している。
通常状態中の内部抽選処理の結果、リプレイ役及び押し順小役1〜6に当選したゲームでは、有利状態移行抽選処理(低確)は実行せず、スキップする。
【0065】
通常状態中に小役1〜2に当選したゲームでは、高確状態へ移行させるか否かのみを判定する。高確状態へ移行させると判定する確率は、小役1に当選したゲームでは2%、小役1に当選したゲームでは3%に設定している。
【0066】
通常状態中にレア小役1〜4に当選したゲームでは、AT状態へ移行させるか否か、及び高確状態へ移行させるか否かの双方を判定する。
先ず、AT状態へ移行させるか否かを判定する。AT状態へ移行させると判定する確率は、レア小役1に当選したゲームでは1%、レア小役2に当選したゲームでは10%、レア小役3に当選したゲームでは50%、レア小役4に当選したゲームでは100%に設定している。
・・・
【0068】
図5に戻り、次のステップS503では、有利状態移行抽選処理(低確)の結果、当選したか否かを判定する。具体的には、有利状態移行抽選処理(低確)の結果、AT状態または高確状態に移行させると判定された場合に当選と判定する。
ステップS503にてイエスと判断した場合には、ステップS504の有利状態中処理へ移行して通常状態中処理を終了する一方、ノーと判断した場合にはステップS501に戻る。」

(ク)「【0070】
図7は、有利状態中のゲーム処理の流れを示している。
先ず、ステップS701にて、有利状態ランプYLを点灯させるとともに、有利ゲーム数にゼロをセットする。次のステップS702では、前述の有利状態移行抽選処理(低確)の結果、AT状態に移行させると判定されたか否かを判断する。ステップS702にて、イエスと判断した場合にはステップS703にてAT中処理へ移行させる一方、ノー判断した場合にはステップS704にて高確中処理へ移行させて、リターンする。
【0071】
<4−1.AT中処理>
図8は、AT中のゲーム処理の流れを示している。
先ず、ステップS801にて、セット数及び特化ゾーンフラグにそれぞれ1をセット視する。次のステップS802では、セットゲーム数及びポイント数にそれぞれゼロをセットする。
【0072】
ここで、セット数とは、1セットあたり30ゲームとし、当該セットの残りの数を示している。セットゲーム数は現セット中に消化したゲーム数、ポイント数は現セット中に獲得したポイント数を示している。特化ゾーンフラグについては後述する。
【0073】
次のステップS803では内部抽選処理を実行し、これに応じて、次のステップS804にて、セットゲーム数及び有利ゲーム数にそれぞれ1を加算する。
次のステップS805では、有利ゲーム数が1500ゲームに至ったか否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS821へ移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS806へ移行する。」

(ケ)「【0082】
図8のステップS813に戻り、当該ステップではセットゲーム数が30ゲームに至ったか否かを判断し、ノーと判断した場合にはステップS803に戻ってセットを継続する。
一方、ステップS813にてイエスと判断した場合、即ち当該セットの終了ゲームと判断した場合には、ステップS814にてセット数から1を減算する。
・・・
【0087】
ステップS820では、セット数がゼロか否かを判断し、ノーと判断した場合、即ち次セットへ移行させる場合には、ステップS802に戻る。
一方、ステップS820にてイエスと判断した場合、即ち当該セットでAT状態を終了させる場合、及びステップS805にてイエスと判断した場合、即ち有利状態下で消化したゲーム数が1500ゲームへ至りリミッタ機能が作動した場合には、次のステップS821にて有利状態終了処理を実行する。具体的に有利状態終了処理では、有利状態ランプYLの消灯処理、並びにの有利状態中の制御に係る各種変数が記憶されているRAM43上の領域のクリア処理を行う。
そして、次のステップにて通常状態中処理へ移行させ、AT中処理を終了する。」

(コ)「【0088】
<4−2.高確中処理>
図9は、高確中のゲーム処理の流れを示している。
先ず、ステップS901では内部抽選処理を実行し、これに応じて、次のステップS902にて、有利ゲーム数に1を加算する。
・・・」

(サ)図7





(シ)図8
「【図8】



(ス)図9
「【図9】



イ 認定事項
(ア)スロットマシン1のAT中処理の流れを示すフローチャートである図8より、「有利ゲーム数=1500?」(ステップS805)にて「NO」と判断した場合、ステップS806、ステップS807等のフローを経て、「セット数=0?」(ステップS820)を判断するステップに至ることが看取される。

(イ)また、【0073】には、「・・・次のステップS805では、有利ゲーム数が1500ゲームに至ったか否かを判断し、・・・ノーと判断した場合には、ステップS806へ移行する。」と記載され、【0087】には、「ステップS820では、セット数がゼロか否かを判断し、ノーと判断した場合、即ち次セットへ移行させる場合には、ステップS802に戻る。一方、ステップS820にてイエスと判断した場合、即ち当該セットでAT状態を終了させる場合・・・」と記載されている。

(ウ)上記(ア)、(イ)より、甲第3号証には、有利ゲーム数が1500ゲームに至ったか否かを判断し(ステップS805)、ノーと判断した場合、その後に、セット数がゼロか否かを判断して(ステップS820)、AT状態を終了させるかどうかを判断することが記載されていると認められる。

ウ 甲第3号証に記載された発明
上記ア、イより、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されている(記号a〜pは、本件発明の分説A〜Pに対応させて付与した。なお、記号oは用いていない。)。

甲3発明
「a スロットマシン1の本体2内には、上下方向の中央部より少し上方の位置に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rが左右に並べて配置され、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rは、ドラム状のリール枠の周面にリール帯を巻着した構成を有しており、リール枠の中心で左右方向に延びる軸を中心に回転可能に設けられ、リール帯には、21個の図柄が周方向に並べて配列されていて、
前扉3には、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rと対向する位置に、表示パネルユニット5が配置され、表示パネルユニット5には、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの周面の一部を視認可能にするためのリール窓6が形成され、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転中は、リール窓6内に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの図柄が次々に現れ(図柄の変動表示)(【0016】−【0019】)、

b 左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rが停止すると、リール窓6内に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rのそれぞれ3個の図柄、合計9個の図柄が表示され(図柄の停止表示)(【0019】)、 左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rのすべてが停止した時点で、有効化されている入賞ライン(以下、「有効ライン」という。)上に所定の図柄の組合せが並ぶと、その図柄の組合せに応じた処理が行われ、たとえば、有効ライン上に小役に係る図柄の組合せが並ぶと、所定の配当数のメダルが配当として付与されるスロットマシン1において(【0016】、【0030】、【0031】)、

c、d、j ゲームの中枢的な制御を実行する主制御装置31を備え、
主制御装置31には、CPU41、ROM42、RAM43、入出力ポート44およびデータ送出回路45が備えられ、CPU41、ROM42、RAM43、入出力ポート44およびデータ送出回路45は、バスにより、データを通信可能に接続され、
RAM43は、CPU41によるプログラムの実行時のワークエリアとして使用され、
CPU41は、ROM42に格納されているプログラムを実行し、入出力ポート44から入力される信号に基づいて、入出力ポート44に接続されている各制御対象を制御し、
入出力ポート44には、有利状態ランプYLが制御対象として接続され(【0036】−【0039】、【0041】)、

e、e1 主制御装置31が備えるCPU41は、
スタートレバー19が操作されると、内部抽選を実行し、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されると、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されたタイミングと内部抽選の結果とに基づいて、左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cおよび右リール駆動モータ61Rへの駆動パルス信号の出力を停止し、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの停止を制御して(【0037】、【0044】、【0045】)、

f’、g’ 遊技状態として、通常の遊技状態である通常状態と、通常状態と比較して遊技者にとって有利な状態である有利状態とを備え、有利状態は、内部抽選処理により、押し順小役に当選した場合に、配当が最大の小役の入賞に必要なストップボタン20L、20C、20Rの操作順を遊技者に報知するAT状態と、該AT状態への移行確率が通常状態に比較して高くなる高確状態とを含み(【0057】)、
通常状態中のゲーム処理では、内部抽選処理の結果に応じて、有利状態移行抽選処理(低確)を実行するものであって、
通常状態中に小役1〜2に当選したゲームでは、高確状態へ移行させるか否かのみを判定し、通常状態中にレア小役1〜4に当選したゲームでは、AT状態へ移行させるか否か、及び高確状態へ移行させるか否かの双方を判定することによって、有利状態移行抽選処理(低確)の結果、AT状態または高確状態に移行させると判定された場合に当選と判定して、有利状態中処理へ移行して通常状態中処理を終了して(【0064】〜【0068】)、

h’、e3、e4、l、m
通常状態において所定の開始条件が成立した場合に遊技状態を有利状態に移行させるとともに、有利状態において所定の終了条件が成立した場合に遊技状態を通常状態に移行させ(【0058】)、
有利状態中のゲーム処理において、先ず、有利状態ランプYLを点灯させるとともに、有利ゲーム数にゼロをセットし(ステップS701)、次に有利状態移行抽選処理(低確)の結果、AT状態に移行させると判定されたか否かを判断し(ステップS702)、イエスと判断した場合にはAT中処理へ移行させる一方(ステップS703)、ノーと判断した場合には高確中処理へ移行させ(ステップS704)(【0070】、図7)、
AT中処理では、セット数に1をセットし(ステップS801)、セットゲーム数にゼロをセットし(ステップS802)、ここで、セット数とは、1セットあたり30ゲームとし、当該セットの残りの数を示し、セットゲーム数は現セット中に消化したゲーム数を示し、
内部抽選処理を実行し(ステップS803)、これに応じて、セットゲーム数及び有利ゲーム数にそれぞれ1を加算し(ステップS804)(【0071】〜【0073】)、
高確中処理では、内部抽選処理を実行し(ステップS901)、これに応じて有利ゲーム数に1を加算し(ステップS902)(【0088】、図9)、
また、セットゲーム数が30ゲームに至ったか否かを判断し(ステップS813)、イエスと判断した場合、即ち当該セットの終了ゲームと判断した場合には、セット数から1を減算し(ステップS814)(【0082】)、

i’、k’、p、n’ AT中処理では、セット数がゼロか否かを判断し(ステップS820)、イエスと判断した場合、即ち当該セットでAT状態を終了させる場合、及び、有利状態下で消化したゲーム数が1500ゲームへ至りリミッタ機能が作動した場合には、有利状態ランプYLの消灯処理、並びに有利状態中の制御に係る各種変数が記憶されているRAM43上の領域のクリア処理を行う有利状態終了処理を実行(ステップS821)して、次のステップにて通常状態中処理へ移行させ(【0071】、【0082】、【0087】、図8)、
有利ゲーム数が1500ゲームに至ったか否かを判断し(ステップS805)、ノーと判断した場合、その後に、セット数がゼロか否かを判断して(ステップS820)、AT状態を終了させるかどうかを判断する(認定事項)、スロットマシン1(【0016】)。」

(2)本件発明と甲3発明との対比
ア 構成A、Bについて
甲3発明の構成a、構成bは、本件発明の構成A、構成Bに相当することは明らかである。

イ 構成C、D、Jについて
甲3発明の構成c、d、jの「ゲームの中枢的な制御を実行する」ことは、本件発明の構成Cの「遊技の制御を行う」ことに相当し、甲3発明の構成c、d、jの「主制御装置31」が備える「CPU41」は、本件発明の構成Cの「遊技制御手段」に相当し、甲3発明の構成c、d、jの「CPU41は、」「入出力ポート44に接続されている各制御対象を制御」することは、本件発明の構成Dの「前記遊技制御手段に制御される」ことに相当し、甲3発明の構成c、d、jの「有利状態ランプYL」は、本件発明の構成Dの「特定ランプ」に相当し、また、甲3発明の構成c、d、jの「CPU41」が、本件発明の構成Jの「特定ランプ制御手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
よって、甲3発明の構成c、d、jは、本件発明の構成C、D、Jに相当する。

ウ 構成E、E1について
上記イの検討より、甲3発明の構成e、e1の「主制御装置31が備えるCPU41」は、本件発明の構成Eの「遊技制御手段」に相当する。
また、甲3発明のe、e1において、「内部抽選を実行し、」「左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されたタイミングと内部抽選の結果とに基づいて、左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cおよび右リール駆動モータ61Rへの駆動パルス信号の出力を停止し、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの停止を制御」する「主制御装置31が備えるCPU41」は、本件発明の構成E1の「導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段」に相当する機能を具備する。
よって、甲3発明の構成e、e1は、本件発明の構成E、E1に相当する。

エ 構成F’、G’について
(ア)甲3発明の構成f’、g’の「通常の遊技状態である通常状態」は、本件発明の構成F’の「通常区間」に相当し、甲3発明の構成f’、g’の「通常状態と比較して遊技者にとって有利な状態である有利状態」は、本件発明の構成F’の「有利区間」に相当する。

(イ)甲3発明の構成f’、g’において、「有利状態」(本件発明の構成F’の「有利区間」に相当。)に含まれる「配当が最大の小役の入賞に必要なストップボタン20L、20C、20Rの操作順を遊技者に報知するAT状態」、「該AT状態への移行確率が通常状態に比較して高くなる高確状態」はそれぞれ、本件発明の構成G’の「有利状態」、「前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態」に相当する。

(ウ)そして、甲3発明の構成f’、g’における、通常状態(本件発明の「通常区間」に相当。)から有利状態(本件発明の「有利区間」に相当。)に移行するための「有利状態移行抽選処理(低確)」において、「内部抽選処理の結果に応じて、」「AT状態または高確状態」、すなわち、「有利状態」(本件発明の「有利区間」に相当。)に移行するものである。
また、甲3発明の「主制御装置31が備えるCPU41」が、本件発明の構成F’の「有利区間制御手段」及び構成G’の「状態制御手段」に相当する機能を具備することは明らかである。

(エ)上記(ア)〜(ウ)より、甲3発明の構成f’、g’は、本件発明の構成F’、G’に相当する。

オ 構成H’、E3、E4、L、Mについて
(ア)上記エ(ア)より、甲3発明の「有利状態」が、本件発明の「有利区間」に相当し、上記エ(イ)より、甲3発明の「AT状態」が、本件発明の「有利状態」に相当し、さらに、甲3発明の構成f’、g’より、「有利状態は、」「AT状態と、」「高確状態とを含」んでいることを踏まえると、甲3発明の構成h’、e3、e4、l、mの「有利状態」に含まれる「AT状態」に移行した「AT中処理」において、「現セット中に消化したゲーム数を示」す「セットゲーム数にゼロをセットし」、「内部抽選処理を実行し」たこと「に応じて、セットゲーム数」に「1を加算」すること、及び、「セットゲーム数が30ゲームに至ったか否かを判断し」、「イエスと判断した場合、即ち当該セットの終了ゲームと判断した場合には、セット数から1を減算」することは、本件発明の構成H’の「前記有利区間のうち前記有利状態において前記有利状態に関わる情報を更新する」ことに相当する。
また、甲3発明の「主制御装置31が備えるCPU41」が、本件発明の構成H’の「有利状態情報更新手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
そうすると、甲3発明の構成h’、e3、e4、l、mは、本件発明の構成H’に相当する構成を備えている。

(イ)上記(ア)と同様、甲3発明の構成f’、g’より、「有利状態は、」「AT状態と、」「高確状態とを含」んでいることを踏まえると、甲3発明の構成h’、e3、e4、l、mの「有利状態」に含まれる「高確状態」に移行した「高確中処理では、内部抽選処理を実行し(ステップS901)、これに応じて有利ゲーム数に1を加算して」いることと、本件発明の構成E3とは、前記有利区間のうち前記特定状態において前記ゲーム数を更新する手段を備えているという点で共通する。
また、甲3発明の構成h’、e3、e4、l、mでは、「有利状態」(本件発明の「有利区間」に相当。)に移行した「有利状態中のゲーム処理において、」「有利ゲーム数にゼロをセットし」、「次に有利状態移行抽選処理(低確)の結果、AT状態に移行させると判定されたか否かを判断し」、「AT中処理では、」「内部抽選処理を実行し」たこと「に応じて、」「有利ゲーム数にそれぞれ1を加算」する一方、「高確中処理では、内部抽選処理を実行し」たこと「に応じて有利ゲーム数に1を加算して」いる。
そうすると、甲3発明の構成h’、e3、e4、l、mにおいて、「有利状態」では、「AT状態」に移行した「AT中処理で」も、「高確状態」に移行した「高確中処理で」も、「内部抽選処理を実行し」たこと「に応じて有利ゲーム数に1を加算」することは、本件発明の構成E4の「前記有利区間に移行した後、前記有利状態に制御しているか前記特定状態に制御して いるかに関わらず、前記有利区間に移行してからのゲーム数を更新する」ことに相当する。
そして、甲3発明の「主制御装置31が備えるCPU41」が、本件発明の構成E4の「ゲーム数更新手段」に相当する機能を具備することは明らかである。
してみれば、甲3発明の構成h’、e3、e4、l、mは、本件発明の構成E4に相当する構成を備えている。

(ウ)上記イより、甲3発明の「有利状態ランプYL」が、本件発明の「特定ランプ」に相当し、また、甲3発明の「CPU41」が、本件発明の「特定ランプ制御手段」に相当することに加え、上記エ(ア)より、甲3発明の「有利状態」が、本件発明の「有利区間」に相当することを踏まえると、甲3発明の構成h’、e3、e4、l、mの「有利状態中のゲーム処理において、先ず、有利状態ランプYLを点灯させる」ことは、本件発明の構成Mの「前記有利区間において、前記有利区間の制御中であることを示唆するために前記特定ランプを点灯させ」ることに相当する。
よって、甲3発明の構成h’、e3、e4、l、mは、本件発明の構成L、Mに相当する構成を備えている。

カ 構成I’について
甲3発明の構成i’、k’、p、n’において、「有利状態終了処理」が実行される条件は、次の(ア)又は(イ)のいずれかの場合である。
(ア)「AT状態」(本件発明の「有利状態」に相当。)に移行したAT中処理では、セットゲーム数が30ゲームに至ったか否かを判断し(ステップS813)、イエスと判断した場合、即ち当該セットの終了ゲームと判断した場合には、セット数から1を減算し(ステップS814)、その後、セット数がゼロか否かを判断し(ステップS820)、イエスと判断した場合、即ち当該セットでAT状態を終了させる場合」

(イ)「有利状態」(本件発明の「有利区間」に相当。)である「有利状態下で消化したゲーム数が1500ゲームへ至りリミッタ機能が作動した場合」

ここで、上記オ(ア)の検討より、甲3発明における、「AT状態」に移行した「AT中処理」における「セットゲーム数」及び「セット数」は、本件発明の「有利状態に関わる情報」に相当するといえるから、上記(ア)の場合、すなわち、甲3発明の構成i’、k’、p、n’において、「セットゲーム数が30ゲームに至った」ことにより、「セット数から1を減算し」、「その後、セット数がゼロ」となることは、本件発明の構成I’の「前記有利状態に関わる情報」「にもとづいて終了条件が成立する」ことに相当する。
また、上記(イ)の場合、甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「有利状態下で消化したゲーム数」、「1500ゲームに至」ること、はそれぞれ」、本件発明の構成I’の「有利区間へ移行してからのゲーム数」、「所定ゲーム数に到達すること」に相当する。
また、上記(ア)、(イ)それぞれの場合に共通する処理として、甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「有利状態終了処理を実行」すること、「次のステップにて通常状態中処理へ移行させ」ることは、それぞれ、本件発明の構成I’の「前記有利区間を終了させ」ること、「通常区間に制御する」ことに相当し、また、甲3発明の「CPU41」が、本件発明の構成I’の「有利区間終了手段」に相当する機能を具備することも明らかである。
してみれば、甲3発明の構成i’、k’、p、n’と本件発明の構成I’とは、「前記有利状態に関わる情報」「にもとづいて終了条件が成立するか、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達することで、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段」である点で共通する。

キ 構成K’について
甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「有利状態終了処理を実行」するときは、本件発明の構成K’の「前記有利区間を終了させるとき」に相当する。
上記カより、甲3発明における、「AT状態」に移行した「AT中処理」における「セットゲーム数」及び「セット数」は、本件発明の「有利状態に関わる情報」に相当し、甲3発明の構成f’、g’より、「有利状態は、」「AT状態と、」「高確状態とを含」んでいることを踏まえると、構成i’、k’、p、n’の「有利区間に関するデータ」に、「AT状態」に移行した「AT中処理」における「セットゲーム数」及び「セット数」が含まれていることは明らかである。
また、甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「有利状態終了処理」では、「有利状態中の制御に係る各種変数が記憶されているRAM43上の領域のクリア処理を行う」ことは、本件発明の構成K’の「有利区間に関するデータを全て初期化する」ことに相当する。
そして、甲3発明の「CPU41」が、本件発明の構成K’の「初期化手段」に相当する機能を具備することも明らかである。
してみれば、甲3発明の構成i’、k’、p、n’と本件発明の構成K’とは、「前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報」「を含む前記有利区間に関するデータを全て初期化する初期化手段と、を含」んでいる点で共通する。

ク 構成Pについて
甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「有利ゲーム数が1500ゲームに至ったか否かを判断し(ステップS805)、ノーと判断した場合」は、本件発明の構成Pの「前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたとき」に相当する。
また、上記カより、甲3発明の構成i’、k’、p、n’において、「その後、セット数がゼロ」となることは、本件発明の構成I’の「前記有利状態に関わる情報」「にもとづいて終了条件が成立する」ことに相当することを踏まえると、甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「セット数がゼロか否かを判断して(ステップS820)、AT状態を終了させるかどうかを判断」することは、本件発明の構成Pの「前記有利状態に関わる情報」「にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行」うことに相当する。
してみれば、甲3発明の構成i’、k’、p、n’と本件発明の構成Pとは、「前記有利区間終了手段は、」「前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたときに、前記有利状態に関わる情報」「にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行」うという点で共通する。

ケ 構成N’について
上記カにおいて、甲3発明の構成i’、k’、p、n’において、「有利状態終了処理」が実行される条件について、(ア)又は(イ)に場合分けして、(ア)の場合、甲3発明の構成i’、k’、p、n’において、「セット数がゼロ」となることが、本件発明の構成I’の「前記有利状態に関わる情報」「にもとづいて終了条件が成立する」ことに相当し、(イ)の場合、甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「有利状態下で消化したゲーム数」、「1500ゲームに至」ること、がそれぞれ、本件発明の構成I’の「有利区間へ移行してからのゲーム数」、「所定ゲーム数に到達すること」に相当するとともに、上記(ア)、(イ)それぞれの場合に共通する処理として、甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「有利状態終了処理を実行」することが、本件発明の構成I’の「前記有利区間を終了させ」ることに相当し、また、甲3発明の「CPU41」が、本件発明の構成I’の「有利区間終了手段」に相当する機能を具備することも明らかであることは検討済みである。
そして、甲3発明の構成i’、k’、p、n’の「有利状態下で消化したゲーム数が1500ゲームへ至りリミッタ機能が作動した場合には、有利状態ランプYLの消灯処理、並びに有利状態中の制御に係る各種変数が記憶されているRAM43上の領域のクリア処理を行う」ことと本件発明の構成Nの「前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータが全て初期化されてから、前記特定ランプを消灯する」こととは、「前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報」「が初期化され、前記特定ランプを消灯する」点で共通する。
また、甲3発明の「スロットマシン1」は、本件発明の「スロットマシン」に相当する。
してみれば、甲3発明の構成i’、k’、p、n’と本件発明の構成N’とは、「前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報」「を含む前記有利区間に関するデータが全て初期化され、前記特定ランプを消灯する、スロットマシン」である点で共通する。

コ 上記ア〜ケより、本件発明と甲3発明とは、
【一致点】
(なお、相違点を含む分説については、分説を表す記号の下に、E3等のように下線を付した。)
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 遊技の制御を行う遊技制御手段と、
D 前記遊技制御手段に制御される特定ランプと、を備え、
E 前記遊技制御手段は、
E1 導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
F’ 前記事前決定手段の決定結果にもとづいて通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段と、
G’ 前記有利区間において有利状態と前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態に制御可能な状態制御手段と、
H’ 前記有利区間のうち前記有利状態において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段と、
E3 前記有利区間のうち前記特定状態において前記ゲーム数を更新する手段と、
E4 前記有利区間に移行した後、前記有利状態に制御しているか前記特定状態に制御しているかに関わらず、前記有利区間に移行してからのゲーム数を更新するゲーム数更新手段と、
I’ 前記有利状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立するか、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達することで、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段と、
J 前記特定ランプを制御する特定ランプ制御手段と、
K’ 前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータを全て初期化する初期化手段と、を含み、
P 前記有利区間終了手段は、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたときに、前記有利状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行い、
L 前記特定ランプ制御手段は、
M 前記有利区間において、前記有利区間の制御中であることを示唆するために前記特定ランプを点灯させ、
N’ 前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータが全て初期化され、前記特定ランプを消灯する、スロットマシン。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

【相違点】
・相違点4(構成E2)
本件発明は、「前記事前決定手段によりいずれかの表示結果の導出を許容する旨が決定される確率の異なる複数の抽選状態に制御可能な抽選状態制御手段」を含むのに対し、甲3発明は、そのような構成を備えていない点。

・相違点5(構成E3、I’、K’、P)
特定状態に関わる情報について、本件発明は、「前記特定状態において前記特定状態に関わる情報を更新する特定状態情報更新手段」を含み(構成E3)、有利区間の終了条件の成立条件の判断が、「特定状態に関わる情報にもとづいて」いることを条件として含む(構成I’、K’、P)のに対し、甲3発明は、有利状態に含まれる高確状態に移行した高確中処理では、内部抽選処理を実行したことに応じて有利ゲーム数に1を加算しているものの、有利ゲーム数は、有利状態下で消化したゲーム数を示すものであって、高確状態におけるゲーム数を取得するものではない点。

・相違点6(構成O)
上記「・相違点4」で検討したとおり、甲3発明は、本件発明の構成E2の「抽選状態制御手段」に相当する構成を含んでいないことに付随して、本件発明は、「前記有利区間制御手段は、前記抽選状態によって許容する旨が決定される確率が異なる表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御せず、いずれの前記抽選状態においても許容する旨が決定される確率が同一の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御可能であ」るのに対し、甲3発明は、そのような構成を備えていない点。

・相違点7(構成P)
有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達したか否かの判定について、本件発明は、「前記有利状態であるか前記特定状態であるかに関わらず」判定を行うのに対し、甲3発明は、AT状態に移行したAT中処理では、有利ゲーム数が1500ゲームに至ったか否かを判断(ステップS805)するものの、高確状態に移行した高確中処理では、有利ゲーム数が1500ゲームに至ったか否かを判断していない点。

・相違点8(構成N’)
有利区間が終了するときに、初期化手段により有利状態に関わる情報が初期化される処理と、特定ランプを消灯する処理とが実行される順序について、本件発明では、「有利区間に関するデータが全て初期化されてから、前記特定ランプを消灯する」のに対し、甲3発明では、両処理の順序について規定されていない点、及び、初期化されるデータについて、本件発明では、「特定状態に関わる情報」を含むのに対し、甲3発明では、上記「・相違点5」で検討したとおり、高確状態におけるゲーム数を取得するものではない点。

(3)当合議体の判断
ア 事案に鑑み、まず相違点6(構成O)について検討する。
上記取消理由通知において副引例として引用した、本件特許の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証(特開2007−50088号公報、発明の名称:スロットマシン)に記載の事項は、「第5 当合議体の判断」「1 令和3年8月24日付け取消理由通知に記載した取消理由について」「1−1 甲第1号証に基づく取消理由(1)(新規性)、取消理由(2)(進歩性)について」「(1)甲第1号証の記載事項」「イ 甲第1号証に記載された発明」において、甲1発明として認定したとおりである。そして、同「1−1 甲第1号証に基づく取消理由(1)(新規性)、取消理由(2)(進歩性)について」「(2)本件発明と甲1発明との対比」「シ【相違点】」において、「・相違点3(構成O)」として示したとおり、構成Oは、本件特許との相違点であって、甲1発明は、本件特許の構成Oに相当する構成を備えていない。また、構成Oに係る本件発明の構成が周知技術であるとも認められない。

したがって、甲3発明において、上記相違点6に係る本件発明の構成のようになすことは当業者が甲第1号証に記載の事項に基づいて容易になし得たものであるとはいえない。
よって、他の相違点である上記相違点4、5、7及び8について検討するまでもなく、本件発明は、甲3発明及び甲第1号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。

イ 小括
以上のとおりであるから、本件発明は、甲3発明及び甲第1号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるということはできない。

1−3 まとめ
令和3年8月24日付け取消理由通知に対応して、特許権者は、令和3年10月28日に訂正請求書及び意見書を提出し、当合議体は、令和3年11月30日付けで、通知書(訂正請求があった旨の通知)において、参考として、取消理由通知に対応する特許権者の意見書副本を送付したが、特許異議申立人からの意見書の提出はなされなかった。
そして、上記「1−1」「1−2」で検討したとおり、令和3年8月24日付け取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件発明を取り消すことはできない。

2 令和3年8月24日付け取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)上記「第4 特許異議の申立てについて」「1 特許異議の申立ての概要」において示した「●理由(2)(進歩性)について
本件特許発明は、甲第1号証〜甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。」という異議申立理由について、上記取消理由通知では通知していない。なお、その余の異議申立理由は、上記「1 令和3年8月24日付け取消理由通知に記載した取消理由について」「1−1 甲第1号証に基づく取消理由(1)(新規性)、取消理由(2)(進歩性)について」において判断済みである。

異議申立の証拠として提示され、本件特許の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証(特開2007−50088号公報、発明の名称:スロットマシン)に記載の事項は、「第5 当合議体の判断」「1 令和3年8月24日付け取消理由通知に記載した取消理由について」「1−1 甲第1号証に基づく取消理由(1)(新規性)、取消理由(2)(進歩性)について」「(1)甲第1号証の記載事項」「イ 甲第1号証に記載された発明」において、甲1発明として認定したとおりである。
そして、本件発明と甲1発明とを対比すると、同「1−1 甲第1号証に基づく取消理由(1)(新規性)、取消理由(2)(進歩性)について」「(2)本件発明と甲1発明との対比」「シ【一致点】」で挙げた点で一致し、同「シ【相違点】」で挙げた相違点1〜3で相違する。

事案に鑑み、当該相違点3(構成O)について検討する。
異議申立の証拠として提示され、本件特許の遡及日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第3号証(特許第6064189号公報)に記載された事項は、「第5 当合議体の判断」「1 令和3年8月24日付け取消理由通知に記載した取消理由について」「1−2 甲第3号証及び甲第1号証に基づく取消理由(2)(進歩性)について」「(1)甲第3号証の記載事項」「ウ 甲第3号証に記載された発明」において、甲3発明として認定したとおりであって、本件特許の構成Oについては、同「「1−2 甲第3号証及び甲第1号証に基づく取消理由(2)(進歩性)について」「(2)本件発明と甲3発明との対比」「コ」「・相違点3(構成O)」としたとおり、甲3発明との相違点であって、甲第3号証にはそのような構成は記載も示唆もされていない。

また、異議申立の証拠として提示され、本件特許の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証(特開2007−229370号公報)には、スロットマシンのAT抽選について、「上記ステップS36のリール停止処理が終了し、全てのリール6L,6C,6Rの回転が停止すると、CPU1001は、入賞判定処理を行う。図11に戻って、有効ライン13上にボーナス役入賞図柄の組合せが揃い、ボーナス役の入賞が成立した場合には(ステップS37:YES)、CPU1001は、入賞したボーナス役の種類に応じたボーナスゲーム処理を実行し(ステップS38)、そしてボーナス役の当選フラグをOFFとし、その後遊技状態をATゲーム状態に移行させるか否かを決定するためのAT抽選を実行する(ステップS39)。・・・」(【0104】)といった事項が記載されているものの、AT抽選の「抽選状態によって許容する旨が決定される確率が異なる表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに」ATゲーム状態へ移行しないことや、あるいは、「いずれの前記抽選状態においても許容する旨が決定される確率が同一の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに」ATゲーム状態へ移行することのいずれの記載もなく、本件発明の構成Oについて、甲第2号証には記載も示唆もされていない。

したがって、甲1発明において、上記相違点3に係る本件発明の構成のようになすことは当業者が甲第2号証及び第3号証に記載の事項に基づいて容易になし得たものであるとはいえない。
よって、他の相違点である相違点1及び2について検討するまでもなく、本件発明は、甲1発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。

(3)まとめ
以上より、特許異議申立の理由と及び証拠によっては、「●理由(1)(新規性)について」及び「●理由(2)(進歩性)について」のいずれによっても、本件特許を取り消すことはできない。


第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】スロットマシン
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、可変表示部を変動表示した後、可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれたリールを有する可変表示部を備えており、規定の賭数が設定された状態でスタートスイッチが操作されることによりリールが回転開始し、ストップスイッチが操作されてリールの回転が停止したときに入賞ライン上に予め定められた図柄組合せ(たとえば、7−7−7、以下、図柄組合せを表示結果の組合せ、もしくは役とも称する)が導出されることにより入賞が発生する。
【0003】
役の種類としては、小役、特別役、再遊技役といった種類がある。ここで、小役に対応する表示結果が入賞ライン上に導出された場合には、小役の種類ごとに定められた数のメダルが払い出される。特別役に対応する表示結果が入賞ライン上に導出された場合には、RB(レギュラーボーナス)やBB(ビッグボーナス)といった遊技者にとって有利な特別状態に遊技状態が移行可能となる。再遊技役に対応する表示結果が入賞ライン上に導出された場合には、賭数の設定に新たなメダルを消費することなく次のゲームを行うことができる。
【0004】
このようなスロットマシンとして、ストップスイッチの操作態様が報知可能なAT(アシストタイム)に制御可能なスロットマシンがあった(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2016−59482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したスロットマシンには、改良の余地があった。
【0007】
この発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、上述したスロットマシンを改良したスロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスロットマシンは、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技の制御を行う遊技制御手段と、
前記遊技制御手段に制御される特定ランプと、を備え、
前記遊技制御手段は、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段によりいずれかの表示結果の導出を許容する旨が決定される確率の異なる複数の抽選状態に制御可能な抽選状態制御手段と、
前記事前決定手段の決定結果にもとづいて通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段と、
前記有利区間において有利状態と前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態に制御可能な状態制御手段と、
前記有利区間のうち前記有利状態において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段と、
前記有利区間のうち前記特定状態において前記特定状態に関わる情報を更新する特定状態情報更新手段と、
前記有利区間に移行した後、前記有利状態に制御しているか前記特定状態に制御しているかに関わらず、前記有利区間に移行してからのゲーム数を更新するゲーム数更新手段と、
前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立するか、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達することで、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段と、
前記特定ランプを制御する特定ランプ制御手段と、
前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータを全て初期化する初期化手段と、を含み、
前記有利区間制御手段は、前記抽選状態によって許容する旨が決定される確率が異なる表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御せず、いずれの前記抽選状態においても許容する旨が決定される確率が同一の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御可能であり、
前記有利区間終了手段は、前記有利状態であるか前記特定状態であるかに関わらず、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたときに、前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行い、
前記特定ランプ制御手段は、
前記有利区間において、前記有利区間の制御中であることを示唆するために前記特定ランプを点灯させ、
前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータが全て初期化されてから、前記特定ランプを消灯する、ことを特徴とする。
また、他の形態のスロットマシンは、
(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、
特定表示結果(たとえば、弱チェリー1〜3、強チェリー1〜3、中段チェリー、弱スイカ1〜3、および強スイカといった移行抽選対象役の図柄組合せ)と特別表示結果(たとえば、BBの図柄組合せ)とを含む複数種類の表示結果のうちのいずれかの導出を許容する事前決定手段(たとえば、メイン制御部41による内部抽選を実行する処理)と、
表示結果を導出させるために操作される導出操作手段(たとえば、ストップスイッチ8L,8C,8R)と、
前記導出操作手段の操作態様を報知可能な報知状態(たとえば、AT)に制御する報知状態手段(たとえば、メイン制御部41によるATに制御する処理)と、
前記事前決定手段によって前記特定表示結果の導出が許容されたことに基づき、前記報知状態への制御が通常状態(たとえば、通常区間)よりも高まる有利状態(たとえば、CZ)に制御するか否かを決定する有利決定手段(たとえば、メイン制御部41によるCZ抽選を実行する処理)と、
前記特別表示結果が導出されたときに特別状態(たとえば、BB)に制御する特別状態手段(たとえば、メイン制御部41によるBBに制御する処理)と、
前記有利状態への制御が決定された旨を示唆する有利状態示唆手段(たとえば、メイン制御部41による有利報知を実行する処理)と、
前記特別表示結果の導出が許容されたか否かを示唆する特別表示結果示唆手段(たとえば、メイン制御部41によるBB示唆演出を実行する処理)とを備え、
前記事前決定手段の決定結果には、前記特別表示結果の導出が許容されるとともに前記特定表示結果の導出が許容される同時決定結果(たとえば、移行抽選対象役とBBとの同時当選)と、前記特別表示結果の導出が許容されることなく前記特定表示結果の導出が許容される非同時決定結果(たとえば、移行抽選対象役の単独当選)とが含まれ、
前記事前決定手段の決定結果が前記非同時決定結果でありかつ前記有利状態への制御が決定されたとき(たとえば、図23(c),(d)に示すように、移行抽選対象役の単独当選時にCZ当選したとき)には、前記有利状態示唆手段によって特定タイミング(たとえば、有利区間移行抽選で当選してから当該有利区間移行抽選に当選したゲームの次のゲームの賭数設定が可能となるまでの先報知タイミング)で当該有利状態への制御が決定された旨が示唆され、
前記事前決定手段の決定結果が前記同時決定結果であるとき(たとえば、図22(a),(b),図25(g)に示すように、移行抽選対象役とBBとの同時当選時)には、前記有利状態への制御が決定されたか否かに関わらず、前記特別表示結果示唆手段によって前記特定タイミング以降のタイミング(たとえば、移行抽選対象役がBBと同時当選したゲーム以降のタイミング)で特定演出(たとえば、BB示唆演出)が実行された後に前記特別表示結果の導出が許容された旨が示唆され、
前記事前決定手段の決定結果が前記非同時決定結果でありかつ前記有利状態への制御が決定されなかったとき(たとえば、図24(e),(f)に示すように、移行抽選対象役の単独当選時にCZ当選しなかったとき)には、前記特別表示結果示唆手段によって前記特定タイミング以降のタイミング(たとえば、BB当選したゲーム以降のタイミング)で前記特定演出(たとえば、BB示唆演出)が実行された後に前記特別表示結果の導出が許容されていない旨が示唆される。
【0009】
このような構成によれば、非同時決定結果でありかつ有利状態への制御が決定されたときには特定タイミングで当該決定された旨が示唆される。このため、特定タイミングにおいて、有利状態への制御が決定された旨を遊技者に認識させることができる。一方、有利状態への制御が決定された旨が特定タイミングで示唆されなかったときには、それ以降のタイミングで特定演出が実行された後に特別表示結果の導出が許容されたか否かが示唆される。このため、有利状態への制御が決定された旨が特定タイミングで示唆されなかったとしても、特定演出によって特別表示結果の導出が許容されている旨を遊技者に期待させることができる。これにより、遊技者が注目する状態制御の示唆について遊技の興趣を向上させることができる。
【0010】
(2) 上記(1)のスロットマシンにおいて、
前記特定タイミングは、前記事前決定手段の決定結果が前記同時決定結果となったゲーム内のタイミング(たとえば、移行抽選対象役が当選したゲーム内の先報知のタイミング)であり、
前記有利状態示唆手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記同時決定結果でありかつ前記有利状態への制御が決定されたとき(たとえば、図22(a),図25(g)に示すように、移行抽選対象役とBBとの同時当選時にCZ当選したとき)には、前記特定タイミング(たとえば、先報知タイミング)と、当該特定タイミングよりも後のタイミングであって前記特別表示結果が導出された以降の特別タイミング(たとえば、BBの図柄組合せが導出された以降のいずれかの後報知タイミング)とを含む複数種類のタイミングのうちのいずれかで、当該有利状態への制御が決定された旨を示唆する(たとえば、図21参照)。
【0011】
このような構成によれば、同時決定結果でありかつ有利状態への制御が決定されたときには、有利状態への制御が決定された旨が同時決定結果となったゲーム内のタイミングで示唆される場合と、特別表示結果が導出された以降の特別タイミングで示唆される場合とがある。このため、有利状態への制御が決定された旨が特定タイミングで示唆されたとしても特別表示結果の導出が許容されていることが否定されず、特別状態への制御を遊技者に期待させることができる。
【0012】
(3) 上記(2)のスロットマシンにおいて、
前記同時決定結果として第1同時決定結果(たとえば、弱チェリー1,2とBBとの同時当選)と第2同時決定結果(たとえば、強チェリー1,2とBBとの同時当選)とがあり、
前記有利状態示唆手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記同時決定結果でありかつ前記有利状態への制御が決定されたとき(たとえば、図22(a),図25(g)に示すように、移行抽選対象役とBBとの同時当選時にCZ当選したとき)には、当該同時決定結果が前記第1同時決定結果および前記第2同時決定結果のいずれであるかに応じて異なる割合で、前記特定タイミングと前記特別タイミングとを含む複数種類のタイミングのうちのいずれかで、当該有利状態への制御が決定された旨を示唆する(たとえば、図21に示すように、弱チェリー当選時は強チェリー当選時よりも高い確率で先報知が行われる)。
【0013】
このような構成によれば、同時決定結果でありかつ有利状態への制御が決定されたときには、同時決定結果の種類に応じて異なる割合で有利状態への制御が決定された旨の報知タイミングが異なるため、有利状態への制御が決定された旨の報知タイミングが単調なものとならず、遊技の興趣を向上させることができる。
【0014】
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかのスロットマシンにおいて、
前記有利状態への制御が決定されたときに前記有利状態に制御する有利状態手段(たとえば、メイン制御部41によるCZに制御する処理)をさらに備え、
前記有利状態手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記同時決定結果でありかつ前記有利状態への制御が決定されたとき(たとえば、図25(g)に示すように、移行抽選対象役とBBとの同時当選時にCZ当選したとき)には、前記特別表示結果が導出されるまで当該有利状態への制御を待機し、当該特別表示結果が導出された以降で当該有利状態に制御する(たとえば、BB当選からBB入賞するまで待機区間に制御される)。
【0015】
このような構成によれば、同時決定結果でありかつ有利状態への制御が決定されたときには、特別表示結果が導出された以降で有利状態に制御される。これにより、同時決定結果でありかつ有利状態への制御が決定されたときには、特別表示結果が導出された以降において、非同時決定結果でありかつ有利状態への制御が決定されたときと同じように有利状態に制御することができる。
【0016】
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかのスロットマシンにおいて、
前記有利状態示唆手段は、前記事前決定手段によって前記特定表示結果の導出が許容されたことに基づき前記有利状態への制御が決定されたときには、当該特定表示結果が導出されるか否かに関わらず、当該有利状態への制御が決定された旨を当該特定表示結果の導出が許容されたゲーム内で示唆することが可能である(たとえば、図17に示すように、移行抽選対象役の当選を契機にCZ抽選が実行され、その抽選結果は、入賞結果に関わらない)。
【0017】
このような構成によれば、特定表示結果が導出されるか否かに関わらず、有利状態への制御が決定された旨が当該特定表示結果の導出が許容されたゲーム内で示唆される。このため、特定表示結果が導出されるか否かに応じて有利状態への制御が決定された旨の示唆が左右されない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は、本実施形態に係るスロットマシンの正面図であり、(b)は、スロットマシンの主な内部構成の一例を示す図である。
【図2】リールの図柄配列を示す図である。
【図3】(a)は、ナビ対象役の例、正解手順となる押し順、遊技補助表示器におけるナビ演出の表示例、および液晶表示器におけるナビ演出の表示例を説明するための図であり、
(b)は、遊技補助表示器におけるメダル払出時の表示例を説明するための図である。
【図4】メイン制御部が実行する通常区間処理を示すフローチャートである。
【図5】メイン制御部が実行する有利区間処理を示すフローチャートである。
【図6】メイン制御部が実行する待機区間処理を示すフローチャートである。
【図7】有利区間の割合の報知について説明するための図である。
【図8】遊技状態の遷移を説明するための図である。
【図9】遊技状態の概要を示す図である。
【図10】小役の種類、小役の図柄組合せ、および小役に関連する技術事項について説明するための図である。
【図11】再遊技役の種類、再遊技役の図柄組合せ、および再遊技役に関連する技術事項 について説明するための図である。
【図12】遊技状態ごとの抽選対象役について説明するための図である。
【図13】遊技状態ごとの抽選対象役について説明するための図である。
【図14】抽選対象役により入賞が許容される役の組合せについて説明するための図である。
【図15】押し順ベル当選時のリール制御を説明するための図である。
【図16】押し順リプレイ当選時のリール制御を説明するための図である。
【図17】有利区間移行抽選などを説明するための図である。
【図18】RT0中のBAR揃いチャンスナビの態様を説明するための図である。
【図19】(a)は、背景演出テーブルを説明するための図であり、(b)は、RT2中演出テーブルを説明するための図である。
【図20】遊技の流れの一例を説明するための図である。
【図21】有利報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一覧を示す図である。
【図22】有利報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一例を説明するための図である。
【図23】有利報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一例を説明するための図である。
【図24】有利報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一例を説明するための図である。
【図25】有利報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るスロットマシンを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。以下の実施の形態では、本発明がスロットマシンに適用された場合の一例を説明する。
【0020】
[スロットマシンの構成]
図1(a)は、本実施形態に係るスロットマシンの正面図であり、図1(b)は、スロットマシン1の主な内部構成の一例を示す図である。図2は、リールの図柄配列を示す図である。図1(a)に示すように、スロットマシン1は、前面扉1bに液晶表示器51が設けられ、透視窓3を介して筐体1a内部に並設されているリール2L,2C,2Rが視認可能となる。図2に示すように、各リールには、各々が識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で配列されている。
【0021】
図1(a)に示すように、前面扉1bには、操作手段の一例として、遊技者所有の遊技用価値(メダル数)として記憶されているクレジットの範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダルおよび賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジットおよび賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リールの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L,8C,8R、および演出に用いるための演出用スイッチ56などが設けられている。
【0022】
前面扉1bには、報知手段の一例として、遊技に関する情報を報知する遊技用表示部13が設けられている。遊技用表示部13には、クレジットとして記憶されているメダル数が表示されるクレジット表示器11、メダルの払出枚数やエラー時にエラーコードなどが表示される遊技補助表示器12、設定されている賭数を報知するための1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16、メダル投入が可能であることを報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が可能であることを報知するスタート有効LED18、およびリプレイ入賞後のリプレイゲーム中であることを報知するリプレイ中LED20が設けられている。
【0023】
遊技用表示部13には、LEDランプを点灯することで後述する有利区間中であることを報知する有利区間報知ランプ19が設けられている。なお、遊技用表示部13上において有利区間報知ランプ19を示す表示は無くてもよい。あるいは、直接的に「有利区間報知ランプ」という文字が表示されてもよいし、たとえば、「チャンス」という文字のように点灯することによって遊技者にとって有利となることを示唆する文字が表示されてもよい。なお、本実施の形態においては、スタートスイッチ7の操作後においてウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリール2L,2C,2Rの回転開始を待機している状態)中であることを報知するウェイト中LEDが設けられていないが、このようなウェイト中LEDが設けられていてもよい。
【0024】
スロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4に投入するかMAXBETスイッチ6の操作などにより規定数の賭数(たとえば3)を設定する。これにより、入賞ラインLNが有効となり、かつスタートスイッチ7への操作が有効となり、ゲームが開始可能な状態となる。賭数設定済の状態でメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
【0025】
入賞ラインとは、リール2L,2C,2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するためのラインである。本実施形態では、1本の入賞ラインLNのみ設けられている例について説明するが、複数の入賞ラインが設けられているものであってもよい。また、入賞を構成する図柄の組合せが入賞ラインLNに揃ったことを認識しやすくする無効ラインLM1〜LM4が設けられている。
【0026】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7が操作されると、リール2L,2C,2Rを回転させて図柄を変動表示し、ストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されると対応するリールの回転を停止させることで、透視窓3の上中下段に3つの図柄を表示結果として導出表示する。入賞ラインLN上に入賞図柄の組合せが停止し入賞が発生したときには、入賞に応じて、所定枚数のメダルが遊技者に対して付与されて、クレジット加算か、クレジットが上限数(50)に達した場合にはメダル払出口9からメダルが払い出される。
【0027】
図1(b)に示すように、スロットマシン1の内部には、遊技の進行を制御するとともに遊技の進行に応じて各種コマンドを出力する遊技制御基板40、およびコマンドに応じて所定の演出を制御する演出制御基板90などが設けられている。遊技制御基板40は、遊技の進行に関する処理を行うとともに、遊技制御基板40に搭載あるいは接続された構成を制御するメイン制御部41を備える。演出制御基板90は、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて演出を行う処理を行うとともに、演出制御基板90に搭載あるいは接続された構成を制御するサブ制御部91を備える。
【0028】
メイン制御部41は、1チップマイクロコンピュータにて構成され、ワークメモリとして使用されるRAM41c、プログラムに従って制御動作を行うメインCPU41aが内蔵されており、遊技の進行に関する処理を行うととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L,8C,8R、および精算スイッチ10が操作されると、当該操作されたことを検出するための検出信号がメイン制御部41に入力される。メイン制御部41は、これら各種スイッチからの検出信号に基づき、これら各種スイッチへの操作を検出する。メイン制御部41からは、遊技用表示部13に含まれる各種表示器を点灯制御あるいは表示制御するための制御信号が遊技用表示部13に出力される。遊技用表示部13に含まれる各種表示器は、メイン制御部41からの制御信号に基づき、点灯あるいは所定情報を表示する。
【0029】
サブ制御部91は、メイン制御部41と同様に1チップマイクロコンピュータにて構成され、ワークメモリとして使用されるRAM91c、プログラムに従って制御動作を行うサブCPU91aが内蔵されており、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。演出用スイッチ56が操作されると、当該操作されたことを検出するための検出信号がサブ制御部91に入力される。サブ制御部91は、演出用スイッチ56からの検出信号に基づき、演出用スイッチ56への操作を検出する。サブ制御部91からは、液晶表示器51およびスピーカ53,54のそれぞれを制御するための制御信号が液晶表示器51およびスピーカ53,54のそれぞれに出力される。液晶表示器51は、サブ制御部91からの制御信号に基づき、所定情報を表示する。また、スピーカ53,54は、サブ制御部91からの制御信号に基づき、音声を出力する。なお、図1(b)は、あくまで一例であり、スロットマシン1の内部にはその他の構成も設けられている。
【0030】
[設定値]
本実施の形態のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率(賭数設定に用いられたメダルの総数と、入賞によって払い出されたメダルの総数との比率)が変わる。詳しくは、内部抽選などにおいて設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わる。設定値は1〜6の6段階からなり、たとえば、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち払出率の点からでは、設定値として6が設定されているときが遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。
【0031】
[内部抽選]
賭数設定後、スタートスイッチ7が操作されると、入賞の発生を許容するか否かを決定(内部抽選)するための内部抽選がメイン制御部41によって行われる。たとえば、メイン制御部41が備える乱数回路(図示省略)は、所定範囲(1〜65536)に属する判定値を所定の更新規則にしたがって更新する。メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されたときに乱数回路が更新している判定値を抽出する。そして、メイン制御部41は、抽出した判定値が抽選対象役ごとに予め定められた所定範囲に属する判定値に該当すれば、該当した抽選対象役の当選を決定する。内部抽選において抽選対象役に当選したときには、当該抽選対象役に含まれる入賞役の当選フラグがRAM41cの所定領域に設定される。たとえば、図12に示すように、BBに当選したときには、BB当選フラグが設定され、強チェリーに当選したときには、下段チェリーの当選フラグと、1枚役1の当選フラグとが設定される。BBの当選フラグについては、当選したBBが入賞するまで持ち越される一方、BB以外の入賞役に対応する当選フラグは、入賞の発生の有無にかかわらず、当選したゲームが終了したときに消去される。
【0032】
[通常区間、有利区間、待機区間]
スロットマシン1において行われる遊技の区間には、通常区間と有利区間とが含まれる。有利区間は、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様(操作手順(押し順)、操作タイミング)を遊技者に指示する指示機能に係る性能を持つ区間である。具体的に、有利区間は、AT(アシストタイム)やCZ(チャンスゾーン)といった有利な状態に制御された区間である。
【0033】
ATは、メイン制御部41によって制御され、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様を遊技者に報知するナビ演出が実行される報知状態である。具体的に、メイン制御部41は、ATに制御する権利となるATゲームの付与に関するAT抽選を実行する。たとえば、メイン制御部41は、ATゲームを付与するか否か、およびATゲームを付与する場合の付与数(ATゲーム数)をAT抽選で決定する。なお、AT抽選においてATゲームを付与することが決定されることをAT当選と称し、AT抽選においてATゲームを付与することが決定されないことを非AT当選と称する。
【0034】
メイン制御部41は、AT抽選でAT当選した場合、付与したATゲーム数をRAM41cの所定領域に記憶する。そして、メイン制御部41は、記憶しているATゲーム数に亘って、ATに制御する。メイン制御部41は、AT中において後述する押し順ベルや押し順リプレイといった押し順役に当選したときに、当選した押し順役に対応しかつ遊技者にとって有利な図柄組合せを入賞ラインLN上に停止させるための操作態様をナビ演出によって報知する。よって、ATに制御されることで、遊技者は、メダルの純増枚数を増やし易くなる。なお、押し順役の種類に対応する操作手順であって、ナビ演出によって報知される手順のことを、正解手順と称する。一方、押し順役の種類に対応しない操作手順であって、ナビ演出によって報知されない手順のことを、不正解手順と称する。また、メイン制御部41は、AT中において、上乗せ抽選を実行することもある。上乗せ抽選とは、すでに付与済みのATゲーム数に上乗せしてATゲーム数を付与するための抽選である。上乗せ抽選においてATゲームを上乗せすることが決定されることを上乗せ当選とも称する。上乗当選したときには、RAM41cに記憶されたATゲーム数に、付与されたATゲーム数が上乗せされる。
【0035】
CZは、遊技者にとって有利な区間に制御された状態である。たとえば、CZ中においては、最大払出枚数が得られる入賞が発生するナビ演出が少なくとも1回実行される。具体的には、押し順ベルに当選したときに、正解手順を報知するナビ演出が実行される。このような、押し順ベル当選時に実行されるナビ演出をベルナビとも称する。また、CZ中においては、ATへの制御に関する有利度合いが通常(後述する通常区間)よりも高い有利状態となる。具体的には、CZ中においては非CZ中よりもAT当選する確率が高くなったり、AT当選したときに付与されるATゲーム数が多くなったりする。メイン制御部41は、CZに制御する権利となるCZゲームの付与に関するCZ抽選を実行する。たとえば、メイン制御部41は、CZゲームを付与するか否か、およびCZゲームを付与する場合の付与数(CZゲーム数)をCZ抽選で決定する。なお、CZ抽選においてCZゲームを付与することが決定されることをCZ当選と称し、CZ抽選においてCZゲームを付与することが決定されないことを非CZ当選と称する。なお、CZは、最大払出枚数が得られる入賞が発生するナビ演出が少なくとも1回実行される点で遊技者にとって有利であればよく、ATへの制御に関する有利度合いは通常と同じであってもよい。もちろん、CZは、最大払出枚数が得られる入賞が発生するナビ演出が少なくとも1回実行され、かつATへの制御に関する有利度合いが通常よりも高くなる点で遊技者にとって有利であってもよい。
【0036】
なお、CZは一つに限らず複数種類設けられていてもよい。この場合、いずれのCZにおいても、ATへの制御に関する有利度合いが通常よりも高くなるが、その有利度合いをCZの種類に応じて異ならせてもよい。
【0037】
前述したように、「有利区間」には、ATのような報知状態に制御されている区間と、CZのような有利状態に制御されている区間とが含まれる。一方、ATおよびCZのいずれも制御されていない通常状態である区間を「通常区間」と称する。また、前述したCZ抽選は、有利区間に移行するための抽選であるため、「有利区間移行抽選」と称する。つまり、通常区間において有利区間移行抽選が行われ、有利区間移行抽選で当選した後、指示機能に係る性能を持つ有利区間に移行する。有利区間中においては「指示機能に係る処理」として、AT抽選や上乗せ抽選のような「指示機能に係る抽選」が行われる。
【0038】
有利区間移行抽選は、完全確率である。具体的には、有利区間移行抽選は、設定値が1〜6のいずれであっても当選確率が変化しない。また、有利区間移行抽選は、設定値に応じて内部抽選の当選確率が変化するような役(たとえば、図12に示す弱チェリー4)の当選を契機に実行されない。また、有利区間移行抽選は、遊技状態(後述するRT状態やボーナス)に応じて内部抽選の当選確率が変化するような役(たとえば、図13に示す昇転リプレイや維持転リプレイ)の当選を契機に実行されない。また、有利区間移行抽選は、1ゲームの遊技に要する賭数(規定数)に応じて当選確率が変化しない。また、有利区間移行抽選は、遊技状態に応じて当選確率が変化しない。さらに、有利区間移行抽選は、規定数や遊技状態に応じて抽選契機が変化しない。本実施の形態では、有利区間移行抽選の実行契機となる役(以下、移行抽選対象役とも称する)として図12に示す弱チェリー1〜3、弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3、強スイカ、および中段チェリーが設定されている。なお、これらの移行抽選対象役は、BBとも同時当選し得る。なお、これらの移行抽選対象役は、BBに加えてその他の役(たとえば、1枚役)と同時当選するものであってもよい。
【0039】
なお、有利区間移行抽選においては、所定確率(たとえば、1/17500)よりも高い確率で有利区間に当選するようになっている。なお、有利区間移行抽選は、通常区間中であって後述するBBなどのボーナスの当選を持ち越した内部中、およびボーナス中においては実行されない。内部中において有利区間移行抽選をしてしまうと遊技者によってボーナス入賞の発生を回避されてしまう虞があるため、内部中においては有利区間移行抽選は行われない。また、ボーナス中においては小役の当選確率が変動するため、ボーナス中においては有利区間移行抽選は行われない。
【0040】
有利区間がCZに制御された区間である場合、有利区間中においては、AT当選する確率が高くなったり、AT当選したときに付与されるATゲーム数が多くなったりする。また、CZ中においては、「指示機能に係る抽選」として、AT抽選が行われる。有利区間がATに制御された区間である場合、押し順役が当選したときにナビ演出が実行される。また、AT中においては、「指示機能に係る抽選」として、上乗せ抽選が行われることもある。
【0041】
指示機能に係る抽選は、設定値が1〜6のいずれであっても当選確率が変化しない。また、指示機能に係る抽選は、設定値に応じて内部抽選の当選確率が変化するような役(たとえば、図12に示す弱チェリー4)の当選を契機に実行されない。なお、指示機能に係る抽選は、遊技状態に応じて内部抽選の当選確率が変化するような役(たとえば、図13に示す昇転リプレイや維持転リプレイ)の当選を契機に実行されてもよいし、1ゲームの遊技に要する賭数(規定数)に応じて当選確率が変化してもよい。さらに、指示機能に係る抽選は、遊技状態に応じて当選確率が変化してもよいし、規定数や遊技状態に応じて抽選契機が変化してもよい。
【0042】
なお、有利区間移行抽選は、ボーナス中(通常区間中におけるボーナス中)においては実行されない。一方、指示機能に係る抽選は、ボーナス中(有利区間中におけるボーナス中)において実行可能である。
【0043】
有利区間中においては、ATおよびCZのいずれであっても、最大払出枚数が得られる入賞が発生するナビ演出が少なくとも1回実行される。たとえば、後述するように、中段ベルや右下がりベルが入賞することで最大払出枚数となる8枚のメダルが払い出される場合、CZ中やAT中においては、後述する押し順ベルに当選したときに、中段ベルや右下がりベルを入賞させるための正解手順がナビ演出によって報知される。
【0044】
メイン制御部41は、有利区間中における消化ゲーム数をカウントする。そして、メイン制御部41は、カウントしたゲーム数(カウントゲーム数とも称する)が所定ゲーム数(本実施の形態においては、1500ゲーム)に達すると、カウントゲーム数をリセットするとともにリミット処理を実行する。リミット処理が実行されると、有利区間に関するデータが全て初期化されるため、実行中の有利区間が終了して通常区間に戻る。たとえば、実行中の有利区間がCZである場合、CZゲーム数が未だ残っていてもCZが終了する。また、たとえば、実行中の有利区間がATである場合、ATゲーム数が未だ残っていてもATが終了する。さらに、有利区間が終了するときには、後述する有利RT(たとえば、本実施の形態におけるRT0,RT3)も終了する。
【0045】
ここで、たとえば、スロットマシン1における1ゲーム当たりの純増枚数は2枚未満である。このため、カウントゲーム数が制限回数となる1500ゲームに達した場合の合計純増枚数は最大でも3000枚を超えることがない。つまり、本実施の形態においては、有利区間が継続して純増枚数が増え続けたとしても、リミット処理によって有利区間および有利RTが終了することで、純増枚数が3000枚を超えることがない。これにより、遊技の射幸性が高まることを抑えることができる。なお、リミット処理が実行される条件は、有利区間中の消化ゲーム数と1ゲーム当たりの純増枚数との積を考慮して適宜設定すればよい。たとえば、1ゲーム当たりの純増枚数が3枚未満であれば、カウントゲーム数の制限回数を1000ゲームにすればよい。また、リミット処理が実行されるときの合計純増枚数は最大3000枚に限らず、2000枚など、その他の枚数を適用させてもよい。たとえば、合計純増枚数を最大2000枚に設定した場合、純増枚数が2枚未満であれば、カウントゲーム数の制限回数を1000ゲームにすればよい。
【0046】
さらに、総ゲーム数に対する有利区間中における消化ゲーム数の割合は、70%未満に抑えられているため、これによっても、遊技の射幸性が高まることを抑えることができる。
【0047】
前述したように、有利区間移行抽選は、移行抽選対象役の当選を契機に実行される。さらに、この移行抽選対象役は、BBとも同時当選し得る。BB当選とともに有利区間移行抽選による当選が行われた場合、内部中においては待機区間となる。待機区間中においては、有利区間移行抽選が実行されない。
【0048】
[有利報知]
有利区間移行抽選で当選した場合、有利区間報知ランプ19が点灯する。たとえば、有利区間報知ランプ19は、CZ当選したときには青色に点灯し、AT当選したときには赤色に点灯する。なお、有利区間報知ランプ19は、CZおよびATのいずれに当選したときでも同じ色で点灯してもよい。このようにすれば、CZおよびATのいずれに当選したのかに対して遊技者に期待させることができる。
【0049】
有利区間報知ランプ19が点灯した以降では、有利区間に制御される。有利区間報知ランプ19が点灯することによって、有利区間への制御が決定された旨が遊技者に示唆される。有利区間報知ランプ19が点灯することで有利区間への制御が決定された旨を示唆することを有利報知とも称する。
【0050】
有利報知には、先報知と後報知とがある。先報知は、有利区間移行抽選で当選したゲーム内で行われる有利報知である。先報知が行われるタイミングを先報知タイミングとも称する。具体的には、先報知タイミングは、有利区間移行抽選で当選してから当該有利区間移行抽選に当選したゲームの次のゲームの賭数設定(リプレイ入賞による自動賭数設定も同様)が可能となるまでのいずれかのタイミングであればよい。たとえば、先報知タイミングは、有利区間移行抽選で当選したゲームの第3停止が行われて入賞結果が出たときのタイミングであってもよい。
【0051】
後報知は、有利区間移行抽選による当選がBB当選とともに行われることで待機区間に制御された場合に行われ得る報知である。後報知が行われるタイミングを後報知タイミングとも称する。具体的には、後報知タイミングは、BBの図柄組合せが導出された以降のいずれかのタイミングであればよい。たとえば、後報知タイミングは、BBの図柄組合せが導出されてBB入賞したときのタイミングであってもよい。
【0052】
本実施の形態においては、有利区間移行抽選で当選する一方で内部抽選でBB当選しなかった場合、当該有利区間移行抽選で当選したゲーム内のタイミング(先報知タイミング)で先報知が行われる。
【0053】
また、本実施の形態においては、有利区間移行抽選で当選するとともに内部抽選でもBB当選した場合、有利区間移行抽選の実行契機となった移行抽選対象役の種類に応じて、当該有利区間移行抽選で当選したゲーム内のタイミング(先報知タイミング)で先報知が行われるときと、BBの図柄組合せが導出された以降のタイミング(後報知タイミング)で後報知が行われるときとがある。
【0054】
先報知が行われた場合、それ以降の内部中では有利区間に制御されて有利区間報知ランプ19が点灯し続ける。内部中における有利区間では、指示機能に係る処理として、ナビ演出や指示機能に係る抽選(たとえば、AT抽選や上乗せ抽選)が実行され得る。一方、先報知が行われずに後報知が行われる場合、内部中は待機区間に制御される。内部中における待機区間では、指示機能に係る処理が実行されない。その後、BB入賞とともに後報知が行われ、それ以降のBB中では有利区間に制御されて有利区間報知ランプ19が点灯し続ける。BB中における有利区間では、指示機能に係る処理として、ナビ演出や指示機能に係る抽選(たとえば、AT抽選や上乗せ抽選)が実行され得る。
【0055】
[ゲーム処理]
メイン制御部41は、ゲーム処理を行って1回のゲームを制御する。ゲーム処理では、まず、賭数設定やクレジット精算・賭数精算するためのBET処理が行われる。
【0056】
賭数設定後、スタートスイッチ7が操作されると、入賞の発生を許容するか否かを決定(内部抽選)するための内部抽選処理が行われる。
【0057】
また、内部抽選処理においては、内部抽選が行われた後、当該内部抽選の結果に応じたコマンドを設定するための内部抽選時コマンド設定処理が実行される。メイン制御部41は、内部抽選により設定された内部当選フラグを読み出し、いずれかの抽選対象役に当選したときには当該抽選対象役が属するグループを特定するための内部当選コマンドをコマンドキューに設定する。たとえば、メイン制御部41は、後述する左ベル、中ベル、および右ベルのいずれかに当選したときには、これらの役が属する押し順ベルのグループを特定可能な内部当選コマンドを送信する。なお、いずれの抽選対象役にも当選していないときには、はずれを特定するための内部当選コマンドが設定される。
【0058】
メイン制御部41は、AT中においてナビ対象役に当選していると判定したときには、当該ナビ対象役に対応する正解手順を特定するための押し順コマンドをコマンドキューに設定する。これにより、サブ制御部91側においては、押し順コマンドに基づきナビ演出が実行可能となる。
【0059】
一方、メイン制御部41は、AT中でないか、あるいはナビ抽選対象役に当選していないときには、予め定められた標準手順を特定可能な押し順コマンドをコマンドキューに設定する。これにより、サブ制御部91側において不正が行われた場合であっても正解手順を特定できないようにしつつ、内部当選コマンドから特定されるグループに応じた演出を実行することができる。
【0060】
なお、メイン制御部41は、ナビ演出を実行する場合、遊技補助表示器12の各セグメントのうち、正解手順を特定可能となるように対応するセグメント(「8」を構成する第1〜第7セグメント)を点灯状態にするとともに、ナビ報知であるか否かを特定するためのセグメント(右下の「。」を構成する第8セグメント)を点灯状態にするためのナビ報知表示データを遊技補助表示器12の出力バッファに設定する。これにより、メイン制御部41側において正解手順を特定するためのナビ演出が実行可能となる。一方、メイン制御部41は、標準手順を報知、つまりナビ演出を実行しない場合には、遊技補助表示器12の全てのセグメント(第1〜第8セグメント)を消灯状態にするためのナビ報知表示データを遊技補助表示器12の出力バッファに設定する。
【0061】
内部抽選処理が終了すると、リール回転処理が行われる。リール回転処理では、前回ゲームのリール回転開始から所定時間(たとえば、4.1秒)経過していることを条件に、リール2L,2C,2Rの回転を開始させた後、ストップスイッチ8L,8C,8Rを有効化し、停止操作に応じてリールの回転を停止させる。
【0062】
リール2L,2C,2Rが停止してリール回転処理が終了すると、入賞ライン上の図柄組合せに基づいて入賞などが発生したか否かを判定する入賞判定処理が行われる。
【0063】
入賞判定処理が終了すると、払出処理が行われる。払出処理では、入賞の発生に応じてメダルの払い出しまたはクレジット加算や、入賞に関わらない各種の処理(たとえば、ボーナス中のメダル払出枚数を計数してボーナスの終了制御に関する処理や、持ち越しのない当選フラグ(小役・再遊技役等の当選フラグ)の消去など)が行われる。ゲーム終了時処理では、次のゲームに備えて遊技状態を設定する処理を実行する。これにより、1ゲーム分のゲーム処理が終了し、次の1ゲーム分のゲーム処理が開始する。
【0064】
[リミット処理]
前述したリミット処理について具体的に説明する。本実施の形態において、メイン制御部41は、有利区間中のゲーム数をカウントする。たとえば、メイン制御部41は、AT初当りした次のゲームを1ゲーム目として、それ以降の毎ゲームをカウントして加算していく。カウントゲーム数はRAM41cの所定領域に格納されたクリアカウンタによってカウントされる。AT初当りによって付与されたATゲーム数、および当該ATゲーム数を消化している間に上乗せ抽選によって上乗せされたATゲーム数の全てを消化したときに、一連のATが終了する。すなわち、本実施の形態における一連のATとは、AT初当り時から、当該AT初当り後にATに制御され、全てのATゲーム数が消化されて当該ATが終了するまでの期間のことを言う。そして、本実施の形態においては、一連のATにおけるカウントゲーム数が1500ゲームに達すると、メイン制御部41によってリミット処理が実行される。リミット処理が実行されると、有利区間(たとえば、CZ,AT)を終了するとともに、有利RT(たとえば、RT0,RT3)も終了する。したがって、リミット処理が実行されると、ART(一連のAT)が終了する。
【0065】
また、AT当選時に限らず、CZ当選時においてもカウントゲーム数のカウントが開始される。たとえば、CZ当選したゲームの次のゲームからカウントゲーム数がカウントされ、その後CZ中にAT当選したときには、そのままカウントゲーム数のカウントを継続する。そして、前述したように、一連のATが終了するまでカウントゲーム数がカウントされる。なお、CZ当選したゲームの次のゲームからカウントゲーム数がカウントされた場合であっても、CZ中にAT当選しなかった場合や、新たにCZ当選しなかった場合には、CZの終了とともにカウントゲーム数のカウントも終了する。このように、スロットマシン1においては、有利区間におけるゲーム数がクリアカウンタによってカウントされるようになっている。
【0066】
なお、メイン制御部41は、ゲーム数に加えて、AT初当りしたときからの一連のAT中の純増枚数をカウントしてもよい。具体的に、メイン制御部41は、AT初当りしたゲームにおける純増枚数を最初にカウントし、それ以降の毎ゲーム、純増枚数をカウントして加算してもよい。カウントされた純増枚数(カウント純増枚数とも称する)はRAM41cの所定領域に記憶される。なお、ほとんどの場合、カウント純増枚数が上限量となる2999枚に達する前にはカウントゲーム数が1500ゲームに達するが、カウントゲーム数が1500ゲームに達する前にカウント純増枚数が2999枚に達した場合は、メイン制御部41によってリミット処理が実行されてもよい。すなわち、メイン制御部41は、一連のAT中におけるカウントゲーム数が1500ゲームに達するか、あるいはカウント純増枚数が2999枚に達する場合に、リミット処理を実行してもよい。なお、カウントゲーム数が1500ゲームに達するか、あるいはカウント純増枚数が2999枚に達する前であっても、付与されたATゲーム数が全て消化されると、ATが終了する。
【0067】
ゲーム数および純増枚数のカウントは、リミット処理が実行されたときにリセット(RAM41cの記憶領域が初期化)される。また、ゲーム数および純増枚数のカウントは、設定変更されたときにもリセットされる。さらに、ゲーム数および純増枚数のカウントは、スロットマシン1への電力が遮断された後、午前3時を跨いで当該電力が再び供給されたときにもリセットされる。ここで、電断からの復帰が午前3時を跨いだか否かを判断する理由は、遊技店の営業中に遊技者が遊技している最中に瞬断などによってゲーム数および純増枚数のカウントがリセットされてしまうと、また一からゲーム数および純増枚数をカウントすることになり、実質的に遊技者が3000枚以上のメダルを獲得するといった事態が生じ得るためである。そこで、確実に遊技店の営業時間外となる特定時刻(本実施の形態においては、午前3時)を跨いで電断から復帰したか否かが判断されるようになっている。
【0068】
また、本実施の形態においては、カウントゲーム数およびカウント純増枚数がカウントされている期間中、スロットマシン1の試験用に用いられる試験用信号が外部出力基板1000から外部の試験装置に対して出力される。これにより、外部の試験装置は、試験用信号に基づき、スロットマシン1においてカウントゲーム数およびカウント純増枚数がカウントされている期間を認識することができる。
【0069】
[カウントゲーム数およびカウント純増枚数の表示]
本実施の形態においては、カウントゲーム数およびカウント純増枚数に関する情報が報知される。具体的に、遊技者は、演出用スイッチ56を操作することによって、液晶表示器51にメニュー画面を表示させることができる。メニュー画面には、カウントゲーム数およびカウント純増枚数に関する情報を示す画像を表示する表示領域が設けられている。AT初当りしたときには未だAT初当り報知されていないため、メニュー画面には何らの画像も表示されない。その後、AT初当りした後にAT初当りを示唆する示唆演出によってAT初当り報知されると、カウントゲーム数およびカウント純増枚数がメニュー画面に表示される。
【0070】
なお、このとき表示されるカウントゲーム数およびカウント純増枚数は、AT初当りしてからメニュー画面に表示されるまでのカウントを考慮した値になる。たとえば、AT初当りしてからメニュー画面に表示されるまで30ゲーム消化している場合、メニュー画面には、カウントゲーム数として「30G」の画像が表示される。そして、カウントゲーム数が1250ゲームに達すると、リミット処理が実行されるまでの残りゲームが250ゲームと少なくなるため、残りゲーム数のみがメニュー画面に表示される。そして、リミット処理が実行されると、メニュー画面における画像表示は消える。
【0071】
[ナビ演出について]
AT中は、当選状況に応じて、遊技者にとって有利な図柄組合せを入賞ラインLN上に停止させるための操作手順(正解手順)を特定可能なナビ演出が実行される。AT中において、メイン制御部41は、遊技補助表示器12を用いて、内部抽選処理において当選したナビ対象役に応じた正解手順を特定可能な情報(たとえば、押し順)を報知するための処理を実行する。なお、遊技補助表示器12は、メダル払出枚数およびエラー時にエラーコードを表示するものである。
【0072】
メイン制御部41は、AT中においてナビ対象役に当選したときには、当該ナビ対象役に応じた正解手順を特定可能な押し順コマンドを出力する。その結果、サブ制御部91は、押し順コマンドに基づきナビ演出を実行可能となる。AT中において、サブ制御部91は、液晶表示器51を用いて、押し順コマンドに応じた正解手順を特定可能な情報(たとえば、押し順)を報知するための処理を実行する。このように、メイン制御部41およびサブ制御部91双方において、正解手順を特定可能な情報を報知することによりナビ演出が実行される。
【0073】
図3(a)は、ナビ対象役の例、正解手順となる押し順、遊技補助表示器12におけるナビ演出の表示例、および液晶表示器51におけるナビ演出の表示例を説明するための図である。たとえば、後述する左ベル1など、正解手順として左第1停止が定められているナビ対象役に当選したときには、遊技補助表示器12において「1−」といった情報が表示されるとともに、液晶表示器51において「123」または「132」といった情報が表示される。これにより、左から1番目のリール2Lを第1停止させることを報知できる。なお、サブ制御部91は、「123」および「132」のいずれでナビ演出を実行するかを抽選で決定するものであってもよく、また、「123」および「132」のうちのいずれか一方のみによりナビ演出を実行するものであってもよい。
【0074】
また、ナビ演出を実行する場合には、遊技補助表示器12において数値(図3(b)では「8」)を表示するための第1〜第7セグメントを正解手順に対応させて点灯制御することに加えて、右下に第8セグメント(図3(b)では「。」)を点灯制御する。一方、ナビ演出を実行していない場合には、第8セグメントを消灯制御する。これにより、遊技補助表示器12でナビ演出が行われているか、たとえば払い出されるメダルの枚数の報知が行われているかが誤認されることを防止できる。
【0075】
メイン制御部41は、前述したとおり、遊技補助表示器12においてナビ演出(ナビ報知)を行うためのナビ報知表示データを設定する。具体的に、図3(a)に示す表示例(以下ではナビ番号ともいう)となるように遊技補助表示器12の各セグメントを点灯状態とするナビ報知表示データを出力バッファに設定することで、遊技補助表示器12においてナビ演出を実行するように制御する。一方、ナビ演出を実行しない場合(標準手順報知時)には、ナビ報知表示データとして出力バッファの初期値を設定、すなわち遊技補助表示器12の出力バッファを初期化して、遊技補助表示器12のセグメントを全て消灯状態に設定することで、遊技補助表示器12を非表示に制御する。これにより、標準手順である場合には、遊技補助表示器12によるナビ演出が実行されない。
【0076】
このように、当選したナビ対象役が押し順リプレイおよび押し順ベルのいずれであっても、正解手順が共通態様のナビ演出により報知される。このため、当選しているナビ対象役が、押し順リプレイのいずれであるのか、押し順ベルのいずれであるのか、押し順リプレイあるいは押し順ベルのいずれであるのかなどがナビ演出の態様から遊技者に特定されてしまうことを防止できる。また、ナビ演出の実行に用いる演出用データの数を抑えることができるため、メイン制御部41およびサブ制御部91のROMの記憶容量を削減できる。
【0077】
また、ナビ演出が実行されたときに発生し得る入賞役の種類が再遊技役である場合と小役である場合とを生じさせることができるため、再遊技役が発生するのかあるいは小役が発生するのかに遊技者を注目させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0078】
メイン制御部41は、ゲームが進行されて、全てのリール2L,2C,2Rが停止されたときに、いずれかの役の入賞が発生しているか否かを判定し、払い出しを伴ういずれかの役(小役)の入賞が発生している場合には、当該入賞の発生により払い出されるメダルの枚数を払出枚数表示データとして出力バッファに設定して、遊技補助表示器12に払い出されるメダル枚数を表示させる。
【0079】
図3(b)に示すように、払出枚数表示データを出力バッファに設定する際には、メダルの払出枚数を表示させるように遊技補助表示器12の各セグメントを点灯状態とする払出枚数表示データを出力バッファに設定することで、遊技補助表示器12にメダルの払出枚数を表示するように制御する。たとえば、8枚のメダルが払い出されるときには、遊技補助表示器12を構成する左側の表示器12Lと右側の表示器12Rとのうちの表示器12Rの第1〜第7セグメントを点灯させる。これにより、遊技補助表示器12に払い出されるメダルの枚数を表示させる。
【0080】
本実施の形態のメイン制御部41は、所定内容としてゲームの結果に関する情報であり、ゲームの終了時に入賞の発生により遊技者に払い出されるメダルの払出枚数を表示するために用いる遊技補助表示器12に、所定内容とは異なる表示内容として遊技者にとって有利なストップスイッチの有利操作態様(停止順および停止タイミング)を識別可能なナビ番号を表示させるようになっており、遊技者にとって有利なストップスイッチの有利操作態様をゲーム中に表示させるのに対して、所定内容としての払出枚数をゲームの終了後に表示させるので、遊技補助表示器12においてナビ番号の表示期間と、払出枚数の表示期間とが重複せずに済む。
【0081】
本実施の形態のメイン制御部41は、遊技者にとって有利となる停止態様を特定可能なナビ番号と、小役の入賞に伴い払い出されるメダルの払出枚数とを、遊技補助表示器12に表示させることが可能な構成であり、遊技補助表示器12に表示させるナビ番号の表示態様と、メダルの払出枚数の表示態様とは、共通の態様を含まないので、ナビ番号が表示されているのか、所定内容として払出枚数が表示されているのか、が誤認されることを防止できる。
【0082】
なお、遊技補助表示器12に表示させるナビ番号の表示態様と、メダルの払出枚数の表示態様とは、遊技補助表示器12の2つの表示器での表示を一体の表示としたときに、共通の態様を含まない構成であればよく、たとえば、ナビ番号の表示態様が、払出枚数の表示態様の一部を含む構成やその逆の関係を含む構成であってもよい。
【0083】
また、本実施の形態では、ナビ報知による表示態様に、払い出されるメダル枚数の表示態様(たとえば、8枚払出時の「8」)を含まない。これにより、ナビ報知とメダル枚数の報知とで、遊技補助表示器12の表示態様を同じ態様に制御されることがなく、ナビ報知による表示態様と払い出されるメダル枚数の報知による表示態様とが誤認されることを防止できる。
【0084】
また、変形例として、メイン制御部41は、ナビ報知での遊技補助表示器12の表示態様では、たとえば表示器12Lの第8セグメントを点灯させる一方で、払い出されるメダル枚数を報知する表示態様では、当該表示器12Lの第8セグメントを消灯させることで、2つの表示器12L、12Rのうちの1つの表示器の表示態様により、ナビ報知での表示態様であるか払い出されるメダル枚数を報知する表示態様であるかを識別可能な構成としてもよいことを説明したが、少なくとも2つの表示器12L、12Rの表示態様を一体としてみたときに、ナビ報知による表示態様と払い出されるメダル枚数の報知による表示態様とを識別可能な構成としてもよい。このような構成として、たとえば、ナビ報知においてナビ番号「8」を報知する際には、表示器12Lに「8」、表示器12Rに「−」を表示さることで一体表示として「−8」を表示させる一方で、払い出されるメダル枚数の報知では、表示器12Lに「 」(表示無し)、表示器12Rに「8」を表示させることで一体表示として「 8」を表示させるようにすることで、ナビ報知による表示態様と払い出されるメダル枚数の報知による表示態様とが誤認されることを防止できる。
【0085】
[通常区間処理]
図4を参照しながら、メイン制御部41が実行する通常区間処理について説明する。なお、図中の有利区間とは、前述したように、CZのような有利状態、ATのような純増枚数が多くなる状態など、遊技者にとっての有利度合いが高い状態にある区間のことである。
【0086】
図4は、メイン制御部41が実行する通常区間処理を示すフローチャートである。図4に示すように、メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されたか否かを判定する(S10)。メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されていない場合(S10でNO)、スタートスイッチ7が操作されるまで処理を待機する。一方、メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作された場合(S10でYES)、内部抽選を実行する(S11)。次に、メイン制御部41は、有利区間移行抽選を実行する(S12)。ここでいう有利区間移行抽選には、CZ抽選が含まれる。
【0087】
次に、メイン制御部41は、ストップスイッチが操作されて全てのリールが停止したか否かを判定する(S13)。メイン制御部41は、未だ全てのリールが停止していない場合(S13でNO)、全てのリールが停止するまで処理を待機する。一方、メイン制御部41は、全てのリールが停止した場合(S13でYES)、全ての図柄を停止して表示結果を導出する(S14)。なお、有利区間ではないため、S11〜S14の処理においてはATへの制御が禁止されている。
【0088】
次に、メイン制御部41は、有利区間移行抽選で当選したか否かを判定する(S15)。メイン制御部41は、有利区間移行抽選で当選していない場合(S15でNO)、再びS10の処理に戻る。一方、メイン制御部41は、有利区間移行抽選で当選した場合(S15でYES)、すなわち、CZ当選した場合、ナビカウンタに1を設定する(S16)。ナビカウンタとは、ナビ演出が少なくとも1回は実行されるためのカウンタであり、メイン制御部41のRAM41cの所定領域に格納されている。ナビカウンタは、1が設定された後、ナビ演出が1回実行されるか、あるいはBB当選すると、0にクリアされる。すなわち、CZやATといった有利区間に移行する前にはナビ演出が少なくとも1回実行され、BBに移行する前では例外的にナビ演出が実行されないようになっている。
【0089】
次に、メイン制御部41は、区間移行処理を実行する。区間移行処理において、メイン制御部41は、まず移行抽選対象役がBBと同時当選したか否かを判定する(S17)。メイン制御部41は、移行抽選対象役がBBと同時当選していない場合(S17でNO)、有利区間報知ランプ19を点灯させる(S19)。それ以降、メイン制御部41は、有利区間に制御されている旨を示す有利フラグをRAM41cの所定領域にセットして有利区間処理へ移行し(S20)、本ルーチンを終了する。
【0090】
一方、メイン制御部41は、移行抽選対象役がBBと同時当選した場合(S17でYES)、BB当選したゲームでBB入賞したか否かを判定する(S18)。メイン制御部41は、BB入賞した場合(S18でYES)、S19およびS20の処理を実行し、本ルーチンを終了する。
【0091】
一方、メイン制御部41は、BB入賞しなかった場合(S18でNO)、当選した移行抽選対象役が先報知の実行対象となる役であるか否かを判定する(S21)。メイン制御部41は、当選した移行抽選対象役が先報知の実行対象となる役である場合(S21でYES)、S19およびS20の処理を実行し、本ルーチンを終了する。
【0092】
一方、メイン制御部41は、当選した移行抽選対象役が先報知の実行対象となる役でない場合(S21でNO)、待機区間に制御されている旨を示す待機フラグをRAM41cの所定領域にセットして待機区間処理へ移行し(S22)、本ルーチンを終了する。
【0093】
[有利区間処理]
図5を参照しながら、メイン制御部41が実行する有利区間処理について説明する。図5は、メイン制御部41が実行する有利区間処理を示すフローチャートである。図5に示すように、メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されたか否かを判定する(S30)。メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されていない場合(S30でNO)、スタートスイッチ7が操作されるまで処理を待機する。一方、メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作された場合(S30でYES)、内部抽選を実行する(S31)。
【0094】
次に、メイン制御部41は、ストップスイッチが操作されて全てのリールが停止したか否かを判定する(S32)。メイン制御部41は、未だ全てのリールが停止していない場合(S32でNO)、全てのリールが停止するまで処理を待機する。一方、メイン制御部41は、全てのリールが停止した場合(S32でYES)、全ての図柄を停止して表示結果を導出する(S33)。なお、有利区間であるため、S31〜S33の処理においては、ATに制御されることもある。
【0095】
次に、メイン制御部41は、最大指示区間処理を実行する(S34)。最大指示区間とは、ナビ演出の実行契機(本実施の形態においては、押し順ベルに当選したとき)になったときにナビ演出を実行するための区間である。最大指示区間処理において、メイン制御部41は、S31の内部抽選で押し順ベルに当選しているときにはサブ制御部91に対してコマンドを送信するとともに、ナビカウンタに0を設定する。これにより、サブ制御部91は、メイン制御部41からのコマンドに従って中段ベルや右下がりベルを入賞させるための正解手順を報知するナビ演出を実行することになる。また、最大指示区間処理において、メイン制御部41は、S31の内部抽選でBBに当選しているときにはサブ制御部91に対してコマンドを送信することなくナビカウンタに0を設定する。一方、最大指示区間処理において、メイン制御部41は、S31の内部抽選で押し順ベルおよびBB以外の役に当選、あるいはハズレのときにはナビカウンタを1に維持したままでS35の処理に移行する。
【0096】
次に、メイン制御部41は、クリアカウンタに1を加算する(S35)。そして、メイン制御部41は、クリアカウンタの値が1500に達していないか否か、すなわちカウントゲーム数が1500ゲームに達していないか否かを判定する(S36)。メイン制御部41は、カウントゲーム数が1500ゲームに達している場合(S36でNO)、クリアカウンタに0を設定する(S39)。
【0097】
一方、メイン制御部41は、カウントゲーム数が未だ1500ゲームに達していない場合(S36でYES)、ナビカウンタの値が0であるか否かを判定する(S37)。メイン制御部41は、ナビカウンタの値が0でない場合(S37でNO)、本ルーチンを終了する。
【0098】
一方、メイン制御部41は、ナビカウンタの値が0である場合(S37でYES)、任意の終了条件が成立したか否かを判定する(S38)。任意の終了条件は、任意に設定可能である。たとえば、後述する図17で示すように、CZの終了抽選で当選したり、付与されたATゲーム数を全て消化したりしたことを、終了条件とすることができる。メイン制御部41は、任意の終了条件が成立していない場合(S38でNO)、本ルーチンを終了する。一方、メイン制御部41は、任意の終了条件が成立した場合(S38でYES)、クリアカウンタに0を設定する(S39)。このように、メイン制御部41は、S38で任意の終了条件が成立したか否かを判定する前に、S36でカウントゲーム数が1500ゲームに達していないか否かを必ず判定する。
【0099】
次に、メイン制御部41は、リミット処理を行い(S40)、有利区間にかかわる全ての情報を初期化する。これにより、有利区間が終了するとともに有利RTが終了するため、ARTが終了する。このように、カウントゲーム数が1500ゲームに達した場合、あるいは有利区間における任意の終了条件が成立したことを条件に、有利区間が終了するとともに有利RTが終了する。なお、リミット処理は、設定値にかかわらず実行される。その後、メイン制御部41は、有利区間報知ランプ19を消灯させる(S41)。それ以降、メイン制御部41は、通常区間に制御されている旨を示す通常フラグをRAM41cの所定領域にセットして通常区間処理へ移行し(S42)、本ルーチンを終了する。
【0100】
[待機区間処理]
図6を参照しながら、メイン制御部41が実行する待機区間処理について説明する。図6は、メイン制御部41が実行する待機区間処理を示すフローチャートである。図6に示すように、メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されたか否かを判定する(S50)。メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されていない場合(S50でNO)、スタートスイッチ7が操作されるまで処理を待機する。一方、メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作された場合(S50でYES)、内部抽選を実行する(S51)。
【0101】
次に、メイン制御部41は、ストップスイッチが操作されて全てのリールが停止したか否かを判定する(S52)。メイン制御部41は、未だ全てのリールが停止していない場合(S52でNO)、全てのリールが停止するまで処理を待機する。一方、メイン制御部41は、全てのリールが停止した場合(S52でYES)、全ての図柄を停止して表示結果を導出する(S53)。なお、待機区間であるため、S51〜S53の処理においてはATへの制御が禁止されている。
【0102】
次に、メイン制御部41は、BB入賞したか否かを判定する(S54)。メイン制御部41は、BB入賞しなかった場合(S54でNO)、本ルーチンを終了する。一方、メイン制御部41は、BB入賞した場合(S54でYES)、有利区間報知ランプ19を点灯させる(S55)。それ以降、メイン制御部41は、有利フラグをRAM41cの所定領域にセットして有利区間処理へ移行し(S56)、本ルーチンを終了する。
【0103】
[有利区間の割合の報知]
次に、図7を参照しながら、有利区間の割合の報知について説明する。本実施の形態においては、クリアカウンタによる有利区間におけるゲーム数のカウントとは別に、所定期間(たとえば、1か月間)におけるゲーム数を蓄積した総ゲーム数と、当該所定期間(たとえば、1か月間)における有利区間のゲーム数を蓄積した有利区間ゲーム数とがカウントされる。そして、総ゲーム数に対する有利区間ゲーム数の割合が、設定値表示器24に表示される。前述したように、スロットマシン1では、総ゲーム数に対する有利区間中における消化ゲーム数の割合は、70%未満に抑えられているが、このことを確認するために有利区間の割合が報知される。
【0104】
たとえば、図7に示すように、総ゲーム数が0〜17500ゲームの間においては、有利区間の割合が70%未満および70%以上のいずれであっても、設定値表示器24により、7セグメントLEDによる表示(7セグ表示)のみで有利区間の割合を示す数値が表示される。なお、17500ゲームは、スロットマシン1の市場導入時に試験されるゲーム数であるが、その他のゲーム数を用いてもよい。すなわち、スロットマシン1の市場導入時に試験される所定のゲーム数を基準にして、有利区間の割合の表示態様を変えてもよい。
【0105】
また、17501〜175000ゲームの間においては、有利区間の割合が70%未満であるときには設定値表示器24による7セグ表示のみで有利区間の割合を示す数値が表示される一方、有利区間の割合が70%以上であるときには設定値表示器24による7セグ表示で有利区間の割合を示す数値が表示されるとともに当該数値が遅いテンポで点滅する。なお、175000ゲームは、スロットマシン1の1か月の平均ゲーム数であるが、その他のゲーム数を用いてもよい。すなわち、スロットマシン1の1か月の平均ゲーム数である所定のゲーム数を基準にして、有利区間の割合の表示態様を変えてもよい。
【0106】
また、175001ゲーム以上のゲーム数においては、有利区間の割合が70%未満であるときには設定値表示器24による7セグ表示のみで有利区間の割合を示す数値が表示される一方、有利区間の割合が70%以上であるときには設定値表示器24による7セグ表示で有利区間の割合を示す数値が表示されるとともに当該数値が速いテンポで点滅する。
【0107】
たとえば、店員は、「設定キーON」+「前面扉開放検出」の条件を満たすことで設定確認状態に移行し、当該設定確認状態において設定値表示器24に表示された7セグ表示によって有利区間の割合を確認することができる。さらに、店員は、有利区間の割合を示す数値が点滅していれば、有利区間の割合が70%以上であることを知ることができ、さらに、当該点滅が速いテンポであれば、1か月の平均ゲーム数を超えている期間で有利区間の割合が70%以上であることを知ることができる。
【0108】
[遊技状態]
図8は、遊技状態の遷移を説明するための図であり、図9は、遊技状態の概要を示す図である。図8および図9に示すように、スロットマシン1では、制御可能な遊技状態として、RT0、RT1、RT2、RT3、内部中、およびBB(ビッグボーナス)が設けられている。RT1、RT2、および内部中は、内部抽選におけるリプレイの合算確率が約1/7.3である。RT0およびRT3は、内部抽選におけるリプレイの合算確率が約1/1.5である。すなわち、RT0およびRT3は、RT1、RT2、および内部中よりもリプレイの当選確率が高い遊技状態である。RT1およびR2は不利RTとも称され、RT0およびRT3は有利RTとも称される。
【0109】
設定変更された後には、まずRT1に制御される。RT1においては、押し順ベルが当選したときに主役の入賞を取りこぼすと取りこぼし目が導出し、当該取りこぼし目の導出を条件に、RT0に遊技状態が移行する。RT0においては、転落リプレイ1が入賞すると、RT2に遊技状態が移行する。一方、RT0においては、昇格リプレイが入賞すると、RT3に遊技状態が移行する。RT2においては、32ゲーム消化すると、RT0に遊技状態が移行する。つまり、RT2はゲーム数が有限の遊技状態(有限RT)である。RT3においては、押し順ベルが当選したときに主役の入賞を取りこぼすと取りこぼし目が導出し、当該取りこぼし目の導出を条件に、RT0に遊技状態が移行する。また、RT3においては、転落リプレイ2が入賞することによっても、RT0に遊技状態が移行する。RT0〜3のいずれにおいても、BB当選すると、内部中に遊技状態が移行する。
【0110】
また、RT0およびRT3においては、前述したリミット処理の実行によって有利区間が終了するときに有利RTも終了する。具体的には、リミット処理が実行されると、RT1に遊技状態が移行する。ここで、RT1は、設定変更後に移行する遊技状態であり、かつリプレイの合算確率が約1/7.3となる不利RTである。つまり、RT1は、所謂、遊技状態における初期状態である。リミット処理によって、このような初期状態に遊技状態が移行することで、ARTが終了する。
【0111】
内部中においては、BB入賞すると、BBに遊技状態が移行する。なお、RT0〜3のいずれかでBB当選したゲームで当該BBに入賞することができれば、内部中を経由することなく、BBに遊技状態が移行する。BBは、メダルの払出枚数が350枚を超えると終了し、RT1に遊技状態が移行する。
【0112】
[入賞役]
図10は、小役の種類、小役の図柄組合せ、および小役に関連する技術事項について説明するための図である。図10に示すように、入賞役のうちの小役には、中段ベル、右下がりベル、上段ベル1〜8、右下がりベル、上段スイカ、中段スイカ、下段チェリー、中段チェリー、1枚役1,2、およびBBが含まれる。図10に示すように、各小役は、図柄組合せが設定されている。ここで、上段ベル1〜8のそれぞれを構成する中リール2Cの「白BAR]や「黒BAR」は、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されていない。また、上段ベル1〜8のそれぞれを構成する右リール2Rの「白BAR]や「黒BAR」は、中リール2Rにおいて5コマ以内に配置されていない。このため、内部抽選において上段ベル1〜8に当選していても、中リール2Cや右リール2Rの停止操作を適正なタイミングで行わなければ、当選している上段ベル1〜8を入賞させることができず、上段ベル1〜8の入賞を取りこぼすことになる。このときに導出される出目を取りこぼし目という。各小役に対応する図柄組合せが導出されると、小役の入賞が発生し、予め決められた枚数分のメダルが払い出される。
【0113】
図11は、再遊技役の種類、再遊技役の図柄組合せ、および再遊技役に関連する技術事項について説明するための図である。図11に示すように、入賞役のうちの再遊技役には、通常リプレイ、制御用リプレイ1〜3、転落リプレイ1,2、昇格リプレイ、および特殊リプレイが含まれる。特殊リプレイを構成する左リール2Lの「リプレイ」/「プラム」、中リール2Cの「白BAR」/「黒BAR」、および右リール2Rの「黒7」/「網7」/「白7」/「プラム」は、各リールにおいて5コマ以内に配置されている。このため、内部抽選において特殊リプレイに当選すると、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず必ず特殊リプレイが入賞する。特殊リプレイが入賞すると、無効ライン上にBAR図柄が揃う。
【0114】
[抽選対象役]
図12および図13は、遊技状態ごとの抽選対象役について説明するための図である。抽選対象役欄には、その名称を示し、遊技状態欄には、RTの種類ごとに、丸印でその抽選対象役が抽選対象であることを示し、丸印の下の数値により当選確率にかかわる判定値数を示している。
【0115】
図12に示すように、抽選対象役のうちの小役には、ベル、左ベル1〜4、中ベル1〜4、右ベル1〜4、弱スイカ1〜4、強スイカ、弱チェリー1〜4、強チェリー1〜3、中段チェリー、および1枚役が含まれる。また、抽選対象役のうちの特別役には、BBが含まれ、弱スイカ1〜4、強スイカ、弱チェリー1〜4、強チェリー1〜3、および中段チェリーは、それぞれBBと同時当選し得る。
【0116】
図13に示すように、抽選対象役のうちの再遊技役(リプレイ)には、通常リプレイ、特殊リプレイ、昇転リプレイ1〜6、および維持転リプレイa1〜a6,b1〜b6が含まれる。なお、左ベル1〜4、中ベル1〜4、および右ベル1〜4は押し順ベルとも称し、昇転リプレイ1〜6および維持転リプレイa1〜a6,b1〜b6は押し順リプレイとも称する。さらに、押し順ベルおよび押し順リプレイを総称して押し順役とも称する。
【0117】
図12および図13各々の右欄には、抽選対象役が属するグループが示されている。たとえば、図12に示すように、ベルに対して“ベル”、左ベル1〜右ベル4に対して“押し順ベル”、弱スイカ1〜4に対して“弱スイカ”、強スイカに対して“強スイカ”、弱チェリー1〜4に対して”弱チェリー”、強チェリー1〜3に対して“強チェリー”、中段チェリーに対して“中段チェリー”、および1枚役に対して”1枚役”、BB、およびBBと小役とが同時当選する役に対して”BB”がそれぞれ定められている。
【0118】
また、図13に示すように、通常リプレイに対して”通常リプレイ”、特殊リプレイに対して”特殊リプレイ”、昇転リプレイ1〜6に対して”昇転リプレイ”、維持転リプレイa1〜a6に対して”維持転リプレイa”、および維持転リプレイb1〜b6に対して”維持転リプレイb”がそれぞれ定められている。メイン制御部41は、内部抽選において当選した抽選対象役が属するグループを特定し、当該グループに対応する内部当選コマンドを送信する。たとえば、メイン制御部41は、“ベル”であれば、「1」を特定可能な内部当選コマンドを送信し、“押し順ベル”であれば「2」を特定可能な内部当選コマンドを送信する。
【0119】
一方、サブ制御部91は、内部当選コマンドから当選したグループを特定し、当該グループに応じた演出(たとえば、後述する小役報知演出や状態示唆演出)を実行する。
【0120】
また、図12および図13においては、抽選対象役ごとに、メイン制御部41のRAM41cに記憶された設定値に応じて、判定値数、すなわち当選確率が変化するか否かが示されている。なお、設定値に応じて判定値数(当選確率)が変化することを設定差あり、設定値に応じて判定値数(当選確率)が変化しないことを設定差なしとも言う。さらに、図12および図13においては、抽選対象役ごとに、有利区間移行抽選が実行されるか否かが示されている。
【0121】
ここで、有利区間移行抽選については、以下のような取り決めで設定されている。たとえば、複数種類の抽選対象役のうち、有利区間移行抽選の対象にならない抽選対象役は、設定差があってもよい。一方、複数種類の抽選対象役のうち、有利区間移行抽選の対象になる移行抽選対象役は、必ず設定差がない。
【0122】
たとえば、移行抽選対象役にもなっていない弱チェリー4、弱スイカ4、およびベルは、設定差がある。なお、弱チェリー4、弱スイカ4、およびベルは、設定差がなくてもよい。一方、有利区間移行抽選の抽選対象役である弱チェリー1〜3、弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3、強スイカ、および中段チェリーは、設定差がない。
【0123】
また、複数種類の抽選対象役のうち、AT中にナビ演出の対象にならない抽選対象役は、設定差があってもよい。一方、複数種類の抽選対象役のうち、AT中にナビ演出の対象となることで純増枚数を増やすための抽選対象役は、必ず設定差がない。たとえば、AT中のナビ対象役ではないベルは、設定差がある。一方、AT中のナビ対象役である押し順ベルは、設定差がない。なお、押し順ベルは、有利区間移行抽選の対象になっていてもよい。
【0124】
また、複数種類の抽選対象役のうち、遊技状態が遷移する契機となる出目が導出されない抽選対象役は、設定差があってもよい。一方、複数種類の抽選対象役のうち、遊技状態が遷移する契機となる出目が導出され得る抽選対象役は、必ず設定差がない。たとえば、遊技状態が遷移する契機となる移行出目が導出されない弱チェリー4、弱スイカ4、およびベルは、設定差がある。一方、遊技状態が遷移する契機となる取りこぼし目が導出され得る押し順ベルは、設定差がない。また、遊技状態が遷移する契機となる移行出目が導出され得る押し順リプレイは、設定差がない。
【0125】
また、複数種類の抽選対象役のうち、有利区間移行抽選の対象にならない抽選対象役は、遊技状態(RT)の種類に応じて判定値数が変化してもよい。一方、複数種類の抽選対象役のうち、移行抽選対象役は、遊技状態の種類に応じて判定値数が必ず変化しない。たとえば、有利区間移行抽選の対象役になっていない通常リプレイは、遊技状態(RT)の種類に応じて判定値数が変化する。一方、移行抽選対象役である弱チェリー1〜3、弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3、強スイカ、および中段チェリーは、遊技状態(RT)の種類に応じて判定値数が変化しない。
【0126】
また、一の遊技状態において所定の役が当選するための判定値数と、他の遊技状態において所定の役が当選するための判定値数との差分は、有利区間移行抽選における有利区間を付与するか否かの決定に用いられない。たとえば、通常リプレイは有利区間移行抽選の対象役ではない。このため、RT1において通常リプレイが当選するための判定値数(8977)と、RT3において通常リプレイが当選するための判定値数(15292)との差分は、CZ抽選における当選するか否かの決定に用いられない。
【0127】
図14は、抽選対象役により入賞が許容される役の組合せについて説明するための図である。図14に示すように、各抽選対象役は、単数あるいは複数の役が組み合わされて抽選対象となる。
【0128】
たとえば、弱チェリー1〜4のいずれにおいても、下段チェリーが含まれる。このため、弱チェリー1〜4のいずれに当選したときでも、ストップスイッチ8Lの操作タイミングに応じて左リール2Lの下段にチェリー図柄が停止する。また、強チェリー1〜4のいずれにおいても、右上がりチェリーが含まれる。このため、強チェリー1〜4のいずれに当選したときでも、ストップスイッチの操作タイミングに応じて右上がりにチェリー図柄が揃って停止する。
【0129】
[BB示唆演出]
前述したように、弱スイカ1〜4、強スイカ、弱チェリー1〜4、強チェリー1〜3、および中段チェリーは、単独当選することもあるし、BBと同時当選することもある。このようなBBと同時当選可能な抽選対象役が当選したときには、当該抽選対象役が当選したゲーム以降のゲームにおいて、BB当選しているか否かを示唆するBB示唆演出が実行され得る。
【0130】
たとえば、強チェリーに当選したときには、ストップスイッチの操作タイミングに応じて右上がりにチェリー図柄が揃う。このとき、遊技者は、強チェリーに当選したことを認識でき、さらにBBにも当選していることを期待する。そこで、強チェリーに当選したゲーム以降でBB示唆演出が実行される。
【0131】
たとえば、BB示唆演出では、キャラクタによるバトル演出が行われ、当該バトル演出の結果として味方キャラクタが敵キャラクタに勝利すればBB当選確定となる。BB当選の確定報知では、たとえば、「WIN」の文字画像が液晶表示器51に表示される。そして、BB当選が確定すれば、当選を持ち越しているBBを入賞させることができるゲーム(たとえば、内部抽選でハズレになったゲーム)において、7図柄揃いを促す「7を狙え」の文字画像が液晶表示器51に表示される。一方、バトル演出の結果として味方キャラクタが敵キャラクタに敗北すればBB当選がなかったことになる。なお、BB示唆演出は、1ゲーム内で完結するものであってもよいし、複数ゲームに亘る連続演出であってもよい。
【0132】
このように、BBと同時当選可能な抽選対象役が当選した以降のゲームでBB示唆演出が実行されることにより、BB当選していることに対して遊技者に期待させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0133】
[押し順役当選時のリール制御]
図15は、押し順ベル当選時のリール制御を説明するための図である。図15に示すように、いずれかの押し順ベルに当選したときには、当選した押し順ベルの種類に応じて正解手順が定められている。たとえば、左ベル1〜4には正解手順として左第1停止が定められ、中ベル1〜4には正解手順として中第1停止が定められ、右ベル1〜4には正解手順として右第1停止が定められている。いずれかの押し順ベルに当選したときに正解手順でストップスイッチが操作されると、主役である右下がりベルや中段ベルが入賞し、不正解手順でストップスイッチが操作されると、副役であるいずれかの上段ベルが入賞するか、あるいは入賞を取りこぼして取りこぼし目が導出される。なお、CZ中やAT中においては、押し順ベル当選時に正解手順がナビ演出(ベルナビ)によって報知され得る。
【0134】
図16は、押し順リプレイ当選時のリール制御を説明するための図である。図16に示すように、いずれかの押し順リプレイに当選したときには、当選した押し順リプレイの種類に応じて正解手順が定められている。たとえば、昇転リプレイ1には正解手順として順押し(左、中、右の停止操作順)が定められ、昇転リプレイ2には正解手順として挟み押し(左、右、中の停止操作順)が定められ、昇転リプレイ3には正解手順として中左押し(中、左、右の停止操作順)が定められている。昇転リプレイ1〜6のいずれかに当選したときに正解手順でストップスイッチが操作されると、昇格リプレイが入賞し、不正解手順でストップスイッチが操作されると、転落リプレイ1が入賞する。このように、押し順リプレイ当選時においては、遊技者が正解手順を選択したか否かに応じて入賞の発生を異ならせることができる。なお、CZ中やAT中においては、押し順リプレイ当選時に正解手順がナビ演出によって報知され得る。
【0135】
[有利区間移行抽選(CZ抽選)]
図17は、有利区間移行抽選などを説明するための図である。まず、図17(a)を参照しながら、通常区間中かつ全ての遊技状態(RT)(なお、内部中およびボーナス中は除く)においてメイン制御部41が実行する有利区間移行抽選のうちのCZ抽選に関する抽選テーブルについて説明する。
【0136】
図17(a)に示すように、通常区間中のCZ抽選は、設定差のない弱チェリー1〜3、弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3、強スイカ、および中段チェリーが移行抽選対象役となる。また、これら移行抽選対象役とBBとが同時に当選したときにもCZ抽選が行われる。そして、メイン制御部41は、図17(a)に示す当選確率に基づき、抽選対象役の種類に応じてCZ当選するか否かを決定する。
【0137】
メイン制御部41は、RT0でCZ当選したときには、当該RT0においてCZに制御する。RT0中のCZにおいては、BAR揃いチャンスナビと呼ばれるナビ演出が実行される。当該BAR揃いチャンスナビのナビ対象役は、押し順ベル、特殊リプレイ、および押し順リプレイ(昇転リプレイ1〜6,維持転リプレイa1〜a6)である。特殊リプレイや押し順リプレイに当選したときにBAR揃いチャンスナビが実行された場合、それ以降のゲームでは、押し順リプレイの当選時に再びBAR揃いチャンスナビが実行される。この場合、転落リプレイ1の入賞によってRT2に遊技状態が移行してしまうことを回避しつつ、昇格リプレイの入賞によってRT3に遊技状態を移行し得る。一方、押し順ベルに当選したときにBAR揃いチャンスナビ(ベルナビ)が実行された場合、その後のゲームでは、押し順リプレイの当選時にBAR揃いチャンスナビが実行されない。この場合、昇転リプレイ1〜6に当選しても昇格リプレイを入賞させることが困難になり、また、維持転リプレイa1〜a6に当選したときに転落リプレイ1を入賞させてしまい、RT2に遊技状態が移行してしまう可能性がある。つまり、RT0においては、ベルナビが実行されるか否かに応じてCZに制御される期間が変わる。そして、RT0においては、ベルナビを実行させない限り、押し順リプレイの当選時にBAR揃いチャンスナビが実行されるため、CZを継続させることが容易になる。
【0138】
メイン制御部41は、RT1でCZ当選したときには、当該RT1においてCZに制御する。RT1中のCZにおいて、ナビ対象役は、押し順ベルのみである。RT1中のCZにおいて、ベルナビが実行された場合、CZが終了する。
【0139】
メイン制御部41は、RT2でCZ当選したときには、10G(ゲーム)間のCZに制御する。RT2中のCZにおいて、ナビ対象役は、押し順ベルおよび特殊リプレイである。RT2中のCZにおいて、押し順ベルおよび特殊リプレイのいずれに対するナビ演出が実行されても、10G間はCZが継続する。10G間のCZにおいて、ベルナビが実行された場合、メイン制御部41によって11G目からCZの終了抽選が毎ゲーム実行される。一方、10G間のCZにおいて、ベルナビが実行されなかった場合(なお、特殊リプレイに対するナビ演出は10G間で実行されていてもよい)、11G目以降のゲームでベルナビが実行された後、CZの終了抽選が毎ゲーム実行される。つまり、RT2においては、ベルナビが実行されるか否かに応じてCZに制御される期間が変わる。そして、RT2においては、ベルナビを実行させない限り、終了抽選が実行されないため、CZを継続させることができる。
【0140】
メイン制御部41は、RT3でCZ当選したときには、RT3に継続している限りCZに制御する。但し、RT3中のCZにおいて、ナビ対象役は、押し順ベルのみである。このため、RT3中に維持転リプレイb1〜b6のいずれかに当選した場合、ナビ演出が実行されないため、不正解手順でストップスイッチを操作してしまうと、RT0に遊技状態が移行する。なお、RT0に遊技状態が移行した場合、RT0中においてCZが継続する。
【0141】
[終了抽選]
次に、図17(b)を参照しながら、RT2中のCZにおいてメイン制御部41が実行するCZの終了抽選に関する抽選テーブルについて説明する。図17(b)に示すように、終了抽選では、RT2の残りゲーム数に応じて異なる確率で、CZが終了する(終了当選)か、あるいはCZが継続するか(非終了当選)が決定される。
【0142】
たとえば、RT2の残りゲーム数が11G〜15Gであるときに実行された終了抽選では、80%の確率で終了当選するのに対して、RT2の残りゲーム数が26G〜32Gであるときに実行された終了抽選では、20%の確率で終了当選する。このため、RT2の残りゲーム数が少なくなればなるほど、CZが継続する確率が高くなる。ここで、図12に示す判定値を考慮すると、RT2中に押し順ベルに当選する確率は、約1/4である。このため、RT2でCZ10となる10G間においては、計算上、2回はベルナビが実行され得る。しかし、10G間およびそれ以降のゲームにおいても運良くベルナビが実行されなければ、残りゲーム数が少なくなればなるほど高確率でCZを継続させることができる。
【0143】
[指示機能に係る抽選(AT抽選)]
次に、図17(c)を参照しながら、CZ中においてメイン制御部41が実行する指示機能に係る抽選のうち、BB中以外で行われるAT抽選に関する抽選テーブルについて説明する。
【0144】
図17(c)に示すように、CZ中のAT抽選は、設定差のない弱チェリー1〜3、弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3、強スイカ、中段チェリー、および特殊リプレイが抽選対象役となる。また、特殊リプレイ以外のこれら抽選対象役とBBとが同時に当選したときにもAT抽選が行われる。そして、メイン制御部41は、図17(c)に示す当選確率に基づき、抽選対象役の種類に応じてAT当選するか否かを決定する。
【0145】
たとえば、CZ中に特殊リプレイに当選したときには、25%の確率(つまり、1/4の確率)でAT当選する。ここで、図13に示す判定値を考慮すると、RT2中に特殊リプレイに当選する確率は、約1/100である。このため、RT2中のCZでは、約1/400(内部当選確率1/100とAT当選確率1/4との乗算)の確率でAT当選し得る。一方、RT0中に特殊リプレイに当選する確率は、約1/3である。このため、RT0中のCZでは、約1/12(内部当選確率1/3とAT当選確率1/4との乗算)の確率でAT当選し得る。
【0146】
このように、RT0においてはRT2よりも高い確率で特殊リプレイに当選可能であり、CZ中においては特殊リプレイ当選時にAT抽選が行われる。このため、RT0においては、RT2よりも、内部抽選における特殊リプレイの当選確率が高い点で、CZ中にAT当選し易くなっている。なお、遊技状態がRT2に制御され、かつ遊技区間がCZに制御された状況を、チャンス期間ともいう。チャンス期間であるときは、非チャンス期間であるときよりも、AT当選の期待度が高い。このため、チャンス期間は、遊技者にとって有利な期間であるといえる。
【0147】
次に、図17(d)を参照しながら、CZ中においてメイン制御部41が実行する指示機能に係る抽選のうち、BB中で行われるAT抽選に関する抽選テーブルについて説明する。
【0148】
図17(d)に示すように、CZ中のAT抽選は、設定差のない弱チェリー1〜3、弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3、強スイカ、中段チェリー、およびベルが抽選対象役となる。そして、メイン制御部41は、図17(d)に示す当選確率に基づき、抽選対象役の種類に応じてAT当選するか否かを決定する。
【0149】
[指示機能に係る抽選(上乗せ抽選)]
次に、図17(e)を参照しながら、AT中においてメイン制御部41が実行する指示機能に係る抽選のうちの上乗せ抽選に関する抽選テーブルについて説明する。
【0150】
図17(e)に示すように、AT中の上乗せ抽選は、設定差のない弱チェリー1〜3、弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3、強スイカ、中段チェリー、および特殊リプレイが抽選対象役となる。また、特殊リプレイ以外のこれら抽選対象役とBBとが同時に当選したときにも上乗せ抽選が行われる。そして、メイン制御部41は、図17(e)に示す当選確率に基づき、抽選対象役の種類に応じて上乗せ当選するか否かを決定する。
【0151】
たとえば、AT中に特殊リプレイに当選したときには、25%の確率(つまり、1/4の確率)で上乗せ当選する。ここで、AT抽選と同様に、RT2中のATでは、約1/400(内部当選確率1/100と上乗せ当選確率1/4との乗算)の確率でAT当選し得るのに対して、RT0中のATでは、約1/12(内部当選確率1/3と上乗せ当選確率1/4との乗算)の確率で上乗せ当選し得る。
【0152】
このように、RT0においてはRT2よりも高い確率で特殊リプレイに当選可能であり、AT中においては特殊リプレイ当選時に上乗抽選が行われる。このため、RT0においては、RT2よりも、内部抽選における特殊リプレイの当選確率が高い点で、上乗せ当選し易くなっている。
【0153】
[BAR揃いチャンスナビ]
図18を参照しながら、BAR揃いチャンスナビの態様について説明する。図18は、RT0中のBAR揃いチャンスナビの態様を説明するための図である。図18(a)に示すように、特殊リプレイ、押し順リプレイ(昇転リプレイ1〜6,維持転リプレイa1〜a6)、および押し順ベルのいずれに当選したときでも、BAR揃いチャンスナビでは、当選役の種類に応じた正解手順とともに「BARが止まればチャンス!!」の文字画像が液晶表示器51に表示される。前述したように、特殊リプレイが入賞したときには、無効ライン上にBAR図柄が揃う。このため、「BARが止まればチャンス!!」の文字画像が表示されることによって、BAR揃いチャンスナビに従ってストップスイッチを操作したときにBAR図柄が揃うこと(つまり、特殊リプレイが入賞すること)に対して遊技者を期待させることができる。前述したように、RT0においては、運良くベルナビが実行されなければ、残りゲーム数が少なくなればなるほど高確率でCZを継続させることができる。また、CZ中に特殊リプレイに当選したときにはAT抽選が実行される。さらに、RT0中のCZであるときは、RT2中のCZであるときよりも、特殊リプレイに当選したときに高確率でAT当選し得る。このため、BAR揃いチャンスナビによって、特殊リプレイが入賞することに対して遊技者に期待させること、すなわち遊技者にAT当選を期待させることができる。
【0154】
図18(b)に示すように、特殊リプレイに当選したゲームでBAR揃いチャンスナビに従ってストップスイッチを操作した場合、無効ライン上にBAR図柄が揃うとともに、液晶表示器51に「ATチャンス」の文字画像が表示される。この場合、AT抽選が実行され、さらに、それ以降のゲームでも押し順リプレイの当選時に再びBAR揃いチャンスナビが実行される。よって、図18(b)に示す結果が示されると、AT当選に対して遊技者に期待させるとともに、それ以降のゲームでRT0の状態を維持させることができる。
【0155】
図18(c)に示すように、押し順リプレイ(維持転リプレイa1〜a6)に当選したゲームでBAR揃いチャンスナビに従ってストップスイッチを操作した場合、無効ライン上にリプレイ図柄が揃うとともに、液晶表示器51に「セーフ」の文字画像が表示される。この場合、それ以降のゲームでも押し順リプレイの当選時に再びBAR揃いチャンスナビが実行される。よって、図18(c)に示す結果が示されると、それ以降のゲームでRT0の状態を維持させることができる。
【0156】
図18(d)に示すように、押し順ベルに当選したゲームでBAR揃いチャンスナビ(ベルナビ)に従ってストップスイッチを操作した場合、無効ライン上にベル図柄が揃うとともに、液晶表示器51に「ピンチ」の文字画像が表示される。この場合、それ以降のゲームで押し順リプレイの当選時にBAR揃いチャンスナビが実行されない。よって、図18(d)に示す結果が示されると、それ以降のゲームでRT0の状態を維持させることが難しくなる。
【0157】
[背景演出]
図19(a)を参照しながら、サブ制御部91によって実行される背景演出について説明する。図19(a)は、背景演出テーブルを説明するための図である。背景演出とは、遊技の状態を示唆する演出であり、液晶表示器51の画面上に表示された演出画像の背景部分を示す演出である。背景演出には、朝背景演出と夜背景演出とが含まれる。朝背景演出は、演出上のステージとして通常ステージを示唆する背景演出であって、朝を想起させる背景画像が液晶表示器51に表示される演出である。夜背景演出は、演出上のステージとして通常ステージよりも有利なチャンスステージを示唆する背景演出であって、夜を想起させる背景画像が液晶表示器51に表示される演出である。なお、図には示されていないが、RT3中におけるAT(所謂ART)においては、ART用の背景演出が実行される。ART用の背景演出は、たとえば、遊技の興趣を向上させるような演出であればいずれの演出であってもよい。
【0158】
図19(a)に示すように、遊技状態がRT0である場合、通常区間中では朝背景演出が実行され、CZ中では未だナビ演出が実行されていない状態のときに朝背景演出が実行され、ナビ演出が実行されると、朝背景演出から夜背景演出に切り替わる。具体的には、RT0中におけるCZにおいては、スタート操作時にナビ演出(BAR揃いチャンスナビ)が実行されたタイミングで朝背景演出から夜背景演出に切り替わる。たとえば、図18(a)に示すように、スタート操作時にナビ演出(BAR揃いチャンスナビ)が実行されると、液晶表示器51の画面上に「BARを狙え」の文字画像が表示され、その後、画像が割れていくような演出画像が表示されて朝背景演出から夜背景演出へと背景演出が切り替わる。
【0159】
また、RT0中におけるCZでは、未だナビ演出が実行されていない状態で5G間経過したときにも、朝背景演出から夜背景演出に切り替わる。つまり、チャンス期間(RT0中におけるCZ)であっても、朝背景演出が実行されている期間中は遊技者がチャンス期間であることを認識することは難しい。一方、朝背景演出が実行されている期間中においてナビ演出が実行されることで朝背景演出から夜背景演出に切り替わると、遊技者は、チャンス期間であることを認識することができる。このため、遊技者は、朝背景演出が実行されている期間中にナビ演出が実行されるか否かに対して注目する。
【0160】
遊技状態がRT1である場合、通常区間中およびCZ中のいずれであっても朝背景演出が実行される。遊技状態がRT2である場合、通常区間中およびCZ中のいずれであっても朝背景演出が実行される。遊技状態がRT3である場合、通常区間中であるときには朝背景演出が実行され、CZ中であるときには夜背景演出が実行される。なお、ART中であるときにはART用の背景演出が実行される。
【0161】
[RT2中演出]
図19(b)を参照しながら、サブ制御部91によって実行されるRT2中演出について説明する。図19(b)は、RT2中演出テーブルを説明するための図である。RT2中演出とは、RT2中に実行される演出であり、小役報知演出と、状態示唆演出とが含まれる。
【0162】
小役報知演出とは、内部抽選で当選した役を遊技者に示唆する演出である。たとえば、サブ制御部91は、内部当選コマンドに基づきベルや押し順ベルを特定したときにはスロットマシン1に設けられた演出効果LEDを黄色に点灯(黄色フラッシュともいう)させる。また、サブ制御部91は、内部当選コマンドに基づき通常リプレイや特殊リプレイを特定したときには演出効果LEDを青色に点灯(青色フラッシュともいう)させる。このような小役報知演出が実行されることで、具体的にどの役に当選したかについては特定できないものの、ベルおよびリプレイのいずれに当選しているかを遊技者に示唆することができる。なお、小役報知演出としては、たとえば、ベル当選時に黄色を基調としたキャラクタの画像を液晶表示器51に表示してもよいし、リプレイ当選時に青色を基調としたキャラクタの画像を液晶表示器51に表示してもよい。また、小役報知演出は、内部抽選で当選した役を遊技者に確定的に報知するものであってもよい。なお、サブ制御部91は、チェリーやスイカなど、その他の役に当選したときにも小役報知演出を実行してもよい。
【0163】
状態示唆演出とは、遊技の状態を遊技者に示唆する演出である。たとえば、サブ制御部91は、ベルやリプレイに当選したことを示す内部当選コマンドを受信したときに、「CHANCE」の文字画像を液晶表示器51に表示する。
【0164】
上述した小役報知演出および状態示唆演出は、いずれも、RT2中においてベルやリプレイに当選したときに実行されることがある。さらに、小役報知演出および状態示唆演出は、当該演出の実行頻度によって、RT2の残りゲーム数を遊技者に示唆するようになっている。
【0165】
たとえば、図19(b)に示すように、RT2の残りゲーム数が24G〜31Gであるときには、RT2中演出が実行される確率が10%であり、そのうち、小役報知演出が10%の確率で実行される。RT2の残りゲーム数が16G〜23Gであるときには、RT2中演出が実行される確率が40%であり、そのうち、小役報知演出が25%の確率で実行され、状態示唆演出が15%の確率で実行される。RT2の残りゲーム数が8G〜15Gであるときには、RT2中演出が実行される確率が70%であり、そのうち、小役報知演出が30%の確率で実行され、状態示唆演出が40%の確率で実行される。RT2の残りゲーム数が0G〜7Gであるときには、RT2中演出が実行される確率が100%であり、そのうち、小役報知演出が40%の確率で実行され、状態示唆演出が60%の確率で実行される。
【0166】
[遊技の流れの一例]
図20を参照しながら、スロットマシン1で実行される遊技の流れの一例を説明する。図20は、遊技の流れの一例を説明するための図である。
【0167】
図20においては、制御中の遊技区間(通常区間,有利区間(CZ))を示すタイミングチャートと、制御中の遊技状態(RT0,RT2,RT3)を示すタイミングチャートと、実行中の背景演出(朝背景演出,夜背景演出,ART用背景演出)を示すタイミングチャートとが時間軸とともに示されている。
【0168】
RT2中の通常区間において、タイミングt1でCZ当選すると、RT2中のCZに制御される。当該CZは最低10G間に亘って制御される。タイミングt2でCZが終了すると、再びRT2中の通常区間に制御される。
【0169】
RT2中の通常区間において、タイミングt3でRT2が32G消化すると、RT0中の通常区間に制御される。RT0中の通常区間では、ナビ演出が実行されないため、タイミングt4で転落リプレイ1に入賞してしまうと、再びRT2中の通常区間に制御される。
【0170】
RT2中の通常区間において、タイミングt5でCZ当選すると、RT2中のCZに制御される。当該CZは最低10G間に亘って制御される。タイミングt6でCZが終了すると、再びRT2中の通常区間に制御される。
【0171】
RT2中の通常区間において、タイミングt7でRT2が32G消化すると、RT0中の通常区間に制御される。その後、タイミングt8でCZ当選すると、RT0中におけるCZに制御され、チャンス期間となる。前述したように、チャンス期間(RT0中におけるCZ)では、RT2中におけるCZよりも、AT当選し易くなっている。このため、遊技者にとっては、このチャンス期間中にAT当選に対して期待することができる。なお、RT0中におけるCZに制御されたとしても、タイミングt8では、未だナビ演出が実行されていないため、背景演出は朝背景演出が実行されたままである。このため、遊技者は、チャンス期間であることを認識することは難しい。
【0172】
RT0中のCZにおいて、タイミングt9でナビ演出(BAR揃いチャンスナビ)が実行されると、朝背景演出から夜背景演出に切り替わる。これにより、遊技者は、チャンス期間であることを認識することができる。RT0中のCZにおいて、運悪くベルナビが実行されてしまい、その後、タイミングt10で転落リプレイ1に入賞してしまうと、RT2中のCZに制御される。当該CZは最低10G間に亘って制御される。タイミングt11でCZが終了すると、再びRT2中の通常区間に制御される。
【0173】
RT2中の通常区間において、タイミングt12でCZ当選すると、RT2中のCZに制御される。当該CZは最低10G間に亘って制御される。CZに制御されている間に、タイミングt13で32GのRT2が終了すると、RT0中におけるCZに制御され、チャンス期間となる。なお、タイミングt13では、未だナビ演出が実行されていないため、背景演出は朝背景演出が実行されたままである。このため、遊技者は、チャンス期間であることを認識することは難しい。
【0174】
RT0中のCZにおいて、タイミングt14でナビ演出(BAR揃いチャンスナビ)が実行されると、朝背景演出から夜背景演出に切り替わる。これにより、遊技者は、チャンス期間であることを認識することができる。RT0中のCZにおいて、AT当選した場合、ATに制御される。そして、AT中のタイミングt15で押し順リプレイに当選すると、正解手順を報知するナビ演出が実行される。当該ナビ演出に従ってストップスイッチが操作されると、昇格リプレイに入賞し、ARTに制御される。ARTに制御されると、ART用背景演出が実行される。
【0175】
本実施の形態においては、図17(c)に示すように、RT2でありCZ、およびRT0でありかつCZとなるチャンス期間のいずれにおいても、特殊リプレイに当選したときにAT抽選が実行される。その一方で、図13に示すように、RT0においてはRT2よりも高い確率で特殊リプレイに当選する。このため、チャンス期間では、RT2でありかつCZであるときよりも、AT当選し易くなっている点で有利である。また、図20に示すように、RT2は32Gの有限RTであるため、RT2とRT0とで頻繁に遊技状態が切り替わる。そして、RT2でCZに制御されたときには、32Gの有限RTが終了するまでCZを継続させることができれば、チャンス期間となる。あるいは、運良くRT0でCZに制御されたときには、そのままチャンス期間となる。したがって、RT2およびRT0のいずれにおいてCZへ移行するのかについて遊技者に注目させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0176】
図19(b)に示すように、RT2の残りゲーム数の減少に伴ってRT2中演出の実行確率が高い。このため、RT2中演出の実行頻度によって、RT2からRT0への移行が近づいていることを遊技者に認識させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0177】
図19(b)に示すように、RT2の残りゲーム数の減少に伴って、小役報知演出よりも高い確率で、状態示唆演出が実行される。このため、実行されるRT2中演出の種類によって、RT2からRT0への移行が近づいていることを遊技者に認識させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0178】
図19(a)に示すように、RT0でありかつCZとなるチャンス期間において朝背景演出を実行しているときに、スタート操作時にナビ演出(BAR揃いチャンスナビ)が実行されたタイミングで、通常ステージを示唆する朝背景演出からチャンスステージを示唆する夜背景演出へと背景演出が切り替わるため、CZにおいて発生し得るナビ演出という事象とCZ(特にチャンス期間)である旨を示唆する夜背景演出とを関連付けることで遊技の興趣を向上させることができる。
【0179】
さらに、朝背景演出から夜背景演出へと背景演出が切り替わるタイミングは、スタート操作時であるため、スタートスイッチ7を操作したときにナビ演出が実行されるか否かに対して遊技者に注目させることができる。
【0180】
RT0でありかつCZとなるチャンス期間において朝背景演出を実行している場合においては、押し順ベル当選時にナビ演出(BAR揃いチャンスナビ)が実行されたタイミング、押し順リプレイ当選時にナビ演出(BAR揃いチャンスナビ)が実行されたタイミング、および特殊リプレイ当選時にナビ演出(BAR揃いチャンスナビ)が実行されたタイミングのいずれにおいても、朝背景演出から夜背景演出へと背景演出が切り替わる。このため、朝背景演出から夜背景演出へと背景演出が切り替わったときのナビ演出に従ってストップスイッチを操作したときに、いずれの表示結果が導出されるのかに対して遊技者に注目させることができる。この場合において、図18に示すように、押し順ベルの主役が入賞したときには、それ以降のゲームでRT2に転落する可能性が高い一方、通常リプレイや特殊リプレイが入賞したときには、それ以降のゲームでRT2に転落する可能性が低い。よって、押し順ベルの主役よりも、通常リプレイや特殊リプレイが入賞することに対して遊技者に期待させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。さらに、特殊リプレイが入賞したときには、AT抽選も実行されていることになるため、特殊リプレイが入賞することに対して遊技者に期待させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0181】
図19(a)に示すように、RT0でありかつCZとなるチャンス期間において朝背景演出を実行している場合においては、ナビ演出(BAR揃いチャンスナビ)が実行されることなく5G経過したときにも、朝背景演出から夜背景演出へと背景演出が切り替わる。このため、チャンス期間において朝背景演出を実行しているときにナビ演出が実行されなくとも、背景演出の切り替わりに対して遊技者に常に注目させることができる。
【0182】
図18に示すように、ナビ演出(BAR揃いチャンスナビ)が実行されることによって、背景演出が切り替わることでチャンス期間であることを遊技者に認識させることができ、さらに、当該ナビ演出に従ってストップスイッチを操作したときに特殊リプレイが入賞することによって、AT抽選によるAT当選に対して遊技者に期待させることができる。
【0183】
[有利報知およびBB示唆演出]
図21を参照しながら、有利報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無について説明する。図21は、有利報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一覧を示す図である。
【0184】
前述したように、有利区間移行抽選の実行契機となる移行抽選対象役は、BBと同時当選可能である。そして、移行抽選対象役が当選したときに、CZ当選したか否か、およびBB当選したか否かに基づき、有利報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無が異なる。さらに、当選した移行抽選対象役の種類によって、有利報知の報知タイミングが異なる。
【0185】
たとえば、弱チェリー1〜3が当選した場合について説明する。図21に示すように、弱チェリー1,2がBBと同時当選した場合、CZ当選したときには、先報知が行われ、かつBB示唆演出も実行される。一方、CZ当選しなかったときには、有利報知は行われないが、BB示唆演出は実行される。
【0186】
弱チェリー1,2がBBと同時当選しなかった場合、CZ当選したときには、先報知が行われ、BB示唆演出は実行されることもあれば実行されないこともある。一方、CZ当選しなかったときには、有利報知は行われないが、BB示唆演出は実行されることもあれば実行されないこともある。たとえば、BB示唆演出は、所定確率(たとえば、50%)で実行され、実行された場合は所謂ガセ演出になる。
【0187】
また、弱チェリー3がBBと同時当選した場合、CZ当選したときには、後報知が行われ、かつBB示唆演出も実行される。一方、CZ当選しなかったときには、有利報知は行われないが、BB示唆演出は実行される。
【0188】
弱チェリー3がBBと同時当選しなかった場合、CZ当選したときには、先報知が行われ、BB示唆演出は実行されることもあれば実行されないこともある。一方、CZ当選しなかったときには、有利報知は行われないが、BB示唆演出は実行されることもあれば実行されないこともある。
【0189】
このように、弱チェリー1,2がBBと同時当選しかつCZ当選したときには、先報知が行われる。このため、先報知タイミング(たとえば、弱チェリー1,2が当選したゲーム内のタイミング)において、有利区間への制御が決定された旨を遊技者に認識させることができる。一方、先報知タイミングで先報知が行われなかったとしても、弱チェリー1〜3が当選したゲーム以降のゲームにおいてBB示唆演出が実行されることがあるため、BB当選していることに対して遊技者に期待させることができる。これにより、遊技者が注目する有利区間への制御の示唆やBBへの制御の示唆について遊技の興趣を向上させることができる。
【0190】
また、仮に、弱チェリー1〜3がBBと同時当選せずかつCZ当選したときには一律に先報知が行われ、弱チェリー1〜3がBBと同時当選しかつCZ当選したときには一律に後報知が行われるように構成されていた場合、先報知タイミングで先報知が行われなかった時点でBB当選していることが否定されてしまう。しかしながら、本実施の形態においては、弱チェリー1〜3がBBと同時当選しかつCZ当選したときには、先報知が行われる場合(弱チェリー1、2が当選した場合)と、後報知が行われる場合(弱チェリー3が当選した場合)とがある。このため、先報知タイミングで先報知が行われなかったとしてもBB当選していることが否定されず、BB当選に対して遊技者に期待させることができる。
【0191】
また、弱チェリーがBBと同時当選せずかつCZ当選したときには、弱チェリー1,2が当選している場合には先報知が行われ、弱チェリー3が当選している場合には後報知が行われる。つまり、移行抽選対象役となっている弱チェリーに当選したときには、2/3の確率で先報知が行われ、1/3の確率で後報知が行われる。言い換えると、下段チェリーが入賞したときには、2/3の確率で先報知が行われ、1/3の確率で後報知が行われる。このように、当選している弱チェリーの種類が弱チェリー1,2および弱チェリー3のいずれであるのかに応じて異なる割合で有利報知の報知タイミングが異なるため、有利報知の報知タイミングが単調なものとならず、遊技の興趣を向上させることができる。
【0192】
次に、強チェリーが当選した場合について説明する。図21に示すように、強チェリー1,2がBBと同時当選した場合、CZ当選したときには、後報知が行われ、かつBB示唆演出も実行される。一方、CZ当選しなかったときには、有利報知は行われないが、BB示唆演出は実行される。
【0193】
強チェリー1,2がBBと同時当選しなかった場合、CZ当選したときには、先報知が行われ、BB示唆演出は実行されることもあれば実行されないこともある。一方、CZ当選しなかったときには、有利報知は行われないが、BB示唆演出は実行されることもあれば実行されないこともある。たとえば、BB示唆演出は、所定確率(たとえば、50%)で実行され、実行された場合は所謂ガセ演出になる。
【0194】
また、強チェリー3がBBと同時当選した場合、CZ当選したときには、先報知が行われ、かつBB示唆演出も実行される。一方、CZ当選しなかったときには、有利報知は行われないが、BB示唆演出は実行される。
【0195】
強チェリー3がBBと同時当選しなかった場合、CZ当選したときには、先報知が行われ、BB示唆演出は実行されることもあれば実行されないこともある。一方、CZ当選しなかったときには、有利報知は行われないが、BB示唆演出は実行されることもあれば実行されないこともある。
【0196】
このように、強チェリー3がBBと同時当選しかつCZ当選したときには、先報知が行われる。このため、先報知タイミング(たとえば、強チェリー3が当選したゲーム内のタイミング)において、有利区間への制御が決定された旨を遊技者に認識させることができる。一方、先報知タイミングで先報知が行われなかったとしても、強チェリー1〜3が当選したゲーム以降のゲームにおいてBB示唆演出が実行されることがあるため、BB当選していることに対して遊技者に期待させることができる。これにより、遊技者が注目する有利区間への制御の示唆やBBへの制御の示唆について遊技の興趣を向上させることができる。
【0197】
また、仮に、強チェリー1〜3がBBと同時当選せずかつCZ当選したときには一律に先報知が行われ、強チェリー1〜3がBBと同時当選しかつCZ当選したときには一律に後報知が行われるように構成されていた場合、先報知タイミングで先報知が行われなかった時点でBB当選していることが否定されてしまう。しかしながら、本実施の形態においては、強チェリーがBBと同時当選しかつCZ当選したときには、先報知が行われる場合(強チェリー3が当選した場合)と、後報知が行われる場合(強チェリー1,2が当選した場合)とがある。このため、先報知タイミングで先報知が行われなかったとしてもBB当選していることが否定されず、BB当選に対して遊技者に期待させることができる。
【0198】
また、強チェリーがBBと同時当選せずかつCZ当選したときには、強チェリー3が当選している場合には先報知が行われ、強チェリー1,2が当選している場合には後報知が行われる。つまり、移行抽選対象役となっている強チェリーに当選したときには、1/3の確率で先報知が行われ、2/3の確率で後報知が行われる。言い換えると、右上がりチェリーが入賞したときには、1/3の確率で先報知が行われ、2/3の確率で後報知が行われる。このように、当選している強チェリーの種類が強チェリー1,2および強チェリー3のいずれであるのかに応じて異なる割合で有利報知の報知タイミングが異なるため、有利報知の報知タイミングが単調なものとならず、遊技の興趣を向上させることができる。
【0199】
さらに、弱チェリーと強チェリーとの関係に注目すると、以下の事がいえる。すなわち、移行抽選対象役となっている弱チェリー,あるいは強チェリーに当選した場合、当選した移行抽選対象役が弱チェリーであるときには2/3の確率で先報知が行われ、1/3の確率で後報知が行われ、当選した移行抽選対象役が強チェリーであるときには1/3の確率で先報知が行われ、2/3の確率で後報知が行われる。このように、当選しているチェリーの種類が弱チェリーおよび強チェリーのいずれであるのかに応じて異なる割合で有利報知の報知タイミングが異なる。本実施の形態においては、弱チェリーが当選したときには、強チェリーが当選したときよりも高い確率で先報知が行われる。言い換えると、下段チェリーが入賞したときには、右上がりチェリーが入賞したときよりも高い確率で先報知が行われる。このため、有利報知の報知タイミングが単調なものとならず、遊技の興趣を向上させることができる。
【0200】
また、図12に示すように、弱チェリー1〜3は、強チェリー1〜3よりもBBと同時当選する確率が低い。このため、下段チェリーが入賞して弱チェリーに当選したことを遊技者が認識した場合において先報知が行われなかった場合、その後BB示唆演出が実行されたとしても、遊技者は、強チェリー1〜3が当選したときよりもBB当選に対してそれほど期待することができない。一方、右上がりチェリーが入賞して強チェリーに当選したことを遊技者が認識した場合においては、先報知が行われなかったとしても、その後BB示唆演出が実行されることで、遊技者は、弱チェリー1〜3が当選したときよりもBB当選に対して期待することができる。このため、前述したように、下段チェリーが入賞したときには、右上がりチェリーが入賞したときよりも高い確率で先報知が行われるようにすることで、弱チェリー当選時におけるBB当選に対する期待感の低下を極力抑えることができる。さらに、図12に示すように、弱チェリーは、強チェリーよりも当選確率が高いため、弱チェリー当選時には強チェリー当選時よりも高い確率で先報知を行うことで、先報知が比較的頻繁に行われるようになる。これにより、遊技全体が単調なものとならない。
【0201】
その他の移行抽選対象役についても、弱チェリーおよび強チェリーと同様に、CZ当選したか否か、およびBB当選したか否かに基づき、有利報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無が異なり、さらに、当選した移行抽選対象役の種類によって、有利報知の報知タイミングが異なる。
【0202】
[有利報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一例]
図22を参照しながら、有利報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一例を説明する。図22〜図25は、有利報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一例を説明するための図である。
【0203】
図22(a)は、移行抽選対象役がBBと同時当選し、かつCZ当選によって先報知が行われる場合の一例を示す。
【0204】
図22(a)に示すように、タイミングt1で移行抽選対象役がBBと同時当選しかつCZ当選した場合、当該移行抽選対象役が当選したゲーム内のタイミングt2で先報知が行われる。その後、移行抽選当選役に当選したゲームの次のゲームの賭数設定が可能となったタイミングt3で有利区間に制御される。また、このとき、BB示唆演出の実行が開始する。
【0205】
複数ゲームに亘ってBB示唆演出が実行された後、内部抽選でハズレになったタイミングt4でBB当選の確定報知が行われる。たとえば、内部抽選でハズレになったゲームのスタート操作時に「WIN」の文字画像が液晶表示器51に表示され、その後、7図柄揃いを促す「7を狙え」の文字画像が液晶表示器51に表示される。タイミングt5においてBBが入賞すると、次のゲームの賭数設定が可能となったタイミングt6からBBに制御される。それ以降は、BB中における有利区間となる。
【0206】
図22(b)は、移行抽選対象役がBBと同時当選し、かつCZ当選しなかった場合の一例を示す。図22(b)に示す例では、図22(a)に示す例と異なり、有利報知が行われず有利区間にも制御されない。それ以外の制御については、図22(a)に示す例と同じである。
【0207】
図23(c)は、移行抽選対象役がBBと同時当選せず、かつCZ当選によって先報知が行われる場合の一例を示す。さらに、図23(c)は、BB示唆演出が実行される場合の一例である。なお、BB当選していないため、このBB示唆演出は所謂ガセ演出になる。
【0208】
図23(c)に示すように、タイミングt1で移行抽選対象役が単独当選しかつCZ当選した場合、当該移行抽選対象役が当選したゲーム内のタイミングt2で先報知が行われる。その後、有利区間移行抽選に当選したゲームの次のゲームの賭数設定が可能となったタイミングt3で有利区間に制御される。また、このとき、BB示唆演出の実行が開始する。
【0209】
複数ゲームに亘ってBB示唆演出が実行された後、タイミングt4でBB当選のハズレ報知が行われる。たとえば、「LOSE」の文字画像が液晶表示器51に表示される。
【0210】
図23(d)は、移行抽選対象役がBBと同時当選せず、かつCZ当選によって先報知が行われる場合の一例を示す。図23(b)に示す例では、図23(c)に示す例と異なり、BB示唆演出が実行されない。それ以外の制御については、図23(c)に示す例と同じである。
【0211】
図24(e)は、移行抽選対象役がBBと同時当選せず、かつCZ当選しなかった場合の一例を示す。さらに、図24(e)は、BB示唆演出が実行される場合の一例である。なお、BB当選していないため、このBB示唆演出は所謂ガセ演出になる。
【0212】
図24(e)に示すように、タイミングt1で移行抽選対象役が単独当選しかつCZ当選しなかった場合、有利報知が行われない。有利区間移行抽選に当選したゲームの次のゲームの賭数設定が可能となったタイミングt2でBB示唆演出の実行が開始する。
【0213】
複数ゲームに亘ってBB示唆演出が実行された後、タイミングt3でBB当選のハズレ報知が行われる。たとえば、「LOSE」の文字画像が液晶表示器51に表示される。
【0214】
図24(f)は、移行抽選対象役がBBと同時当選せず、かつCZ当選しなかった場合の一例を示す。図24(f)に示す例では、図24(e)に示す例と異なり、BB示唆演出が実行されない。それ以外の制御については、図24(f)に示す例と同じである。
【0215】
図25(g)は、移行抽選対象役がBBと同時当選し、かつCZ当選によって後報知が行われる場合の一例を示す。
【0216】
図25(g)に示すように、タイミングt1で移行抽選対象役がBBと同時当選しかつCZ当選しているが、この例では先報知が行われない。このため、移行抽選当選役に当選したゲームの次のゲームの賭数設定が可能となったタイミングt2で待機区間に制御される。また、このとき、BB示唆演出の実行が開始する。
【0217】
複数ゲームに亘ってBB示唆演出が実行された後、内部抽選でハズレになったタイミングt3でBB当選の確定報知が行われる。タイミングt4においてBBが入賞するときには、後報知が行われる。その後、次のゲームの賭数設定が可能となったタイミングt5からBBに制御されるとともに、有利区間に制御される。それ以降は、BB中における有利区間となる。
【0218】
以上、図23(c),(d)に示すように、移行抽選対象役がBBと同時当選せず、かつCZ当選したときには、先報知が行われる。このため、移行抽選対象役が当選したゲーム内において、有利区間に制御される旨を遊技者に認識させることができる。一方、図22(b),図24(e),図25(g)に示すように、先報知が行われなかったときには、それ以降のタイミングでBB示唆演出が実行される。このため、移行抽選対象役が当選したゲーム内において先報知が行われなかったとしても、BB示唆演出によってBB当選を遊技者に期待させることができる。これにより、遊技者が注目する有利区間への制御の示唆やBBへの制御の示唆について遊技の興趣を向上させることができる。
【0219】
図22(a),図25(g)に示すように、移行抽選対象役がBBと同時当選し、かつCZ当選したときには、先報知が行われる場合と、後報知が行われる場合とがある。このため、先報知タイミングで先報知が行われなかったとしてもBB当選していることが否定されず、BB当選に対して遊技者に期待させることができる。
【0220】
図21に示すように、移行抽選対象役がBBと同時当選し、かつCZ当選したときには、当選した移行抽選対象役の種類に応じて異なる割合で有利報知の報知タイミングが異なるため、有利報知の報知タイミングが単調なものとならず、遊技の興趣を向上させることができる。
【0221】
図25(g)に示すように、移行抽選対象役がBBと同時当選し、かつCZ当選したときには、BB入賞に対応する7図柄揃いが導出された以降で有利区間に制御される。これにより、移行抽選対象役がBBと同時当選し、かつCZ当選したときには、BB入賞に対応する7図柄揃いが導出された以降において、移行抽選対象役がBBと同時当選せず、かつCZ当選したときと同じように有利区間に制御することができる。したがって、BBに当選したときと、BBに当選しなかったときとで、制御するタイミングは異なるが、有利フラグをセットするという共通の処理(図4のS20の処理、図6のS56の処理)によって有利区間に制御することができる。
【0222】
図17に示すように、移行抽選対象役の当選を契機にCZ抽選が実行され、その抽選結果は、入賞結果に関わらない。よって、図22(a),図23(c),(d)に示すように、当選した移行抽選対象役が入賞しなくても、先報知が行われる。このため、移行抽選対象役が入賞したか否かに応じて有利報知が行われるか否かが左右されない。したがって、移行抽選対象役を入賞させることができる遊技者と、入賞させることができない遊技者との間で有利度合いに差が出ない。
【0223】
[変形例]
以上、本発明における主な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
【0224】
[有利報知について]
本実施の形態においては、図21に示すように、内部抽選によって当選した移行抽選対象役の種類とBB同時当選したか否かとに基づき、先報知および後報知のうちのいずれにするかが予め決められていた。つまり、内部抽選の結果と有利報知の報知タイミングとが予め紐付けられていた。しかしながら、これに限らず、内部抽選の結果に紐付けられることなく、先報知および後報知のうちのいずれにするかを抽選によって決定してもよい。
【0225】
たとえば、弱チェリー1,2が当選(BB同時当選あるいは単独当選)しかつCZ当選したときには、先報知および後報知のいずれにするかを抽選によって決定してもよい。また、弱チェリー3が当選(BB同時当選あるいは単独当選)しかつCZ当選したときにおいても、先報知および後報知のいずれにするかを抽選によって決定してもよい。その他の移行抽選対象役が当選したときにも同様である。
【0226】
この場合において、弱チェリーが当選しかつCZ当選したときには、強チェリーが当選しかつCZ当選したときよりも、高い確率で先報知に決定するようにしてもよい。このようにすれば、強チェリーよりも内部抽選で当選する確率が高い弱チェリーが当選したときには、強チェリーが当選したときよりも頻繁に先報知が行われるようになる。
【0227】
先報知タイミングとしては、有利区間移行抽選で当選してから当該有利区間移行抽選に当選したゲームの次のゲームの賭数設定(リプレイ入賞による自動賭数設定も同様)が可能となるまでのいずれかのタイミングであってもよい。たとえば、先報知タイミングは、有利区間移行抽選で当選したゲームのスタート操作時であってもよいし、リール回転開始時であってもよいし、第3停止時であってもよい。また、内部抽選によって当選した移行抽選対象役の種類とBB同時当選したか否かとに基づき、先報知タイミングを複数種類のタイミングの中から決定してもよい。
【0228】
後報知タイミングとしては、BBの図柄組合せが導出された以降のいずれかのタイミングであってもよい。たとえば、後報知タイミングは、BBの図柄組合せが導出されてBB入賞したときであってもよいし、BB入賞後の次のゲームの賭数設定時であってもよいし、当該次のゲームのスタート操作時であってもよい。また、内部抽選によって当選した移行抽選対象役の種類とBB同時当選したか否かとに基づき、後報知タイミングを複数種類のタイミングの中から決定してもよい。
【0229】
本実施の形態においては、有利区間報知ランプ19によって有利区間の有利報知を行っていたが、これに限らない。たとえば、ストップスイッチと同じ配置で遊技者が認識しやすい場所に有利報知LEDを設けてもよい。また、クレジット表示器11や遊技補助表示器12、ペイアウトランプのような既存の手段を用いて有利報知を行ってもよい。さらに、スピーカ53,54などから所定音を出力することによってCZ当選やAT当選を報知してもよい。
【0230】
また、有利区間報知ランプ19の点灯は、単に7セグメントディスプレイのように数字などを表示するのではなく、たとえばペイアウトランプによって単一のLED(ドットポイント)を点灯させるのみであってもよい。さらに、ナビ演出時に操作手順が報知される際、クレジット表示器11や遊技補助表示器12のような既存の手段を用いて行われてもよい。この場合においては、操作手順の報知に対して7セグメントディスプレイを用いる一方で、有利報知を単一のLEDを用いてもよい。
【0231】
CZ抽選契機とAT抽選契機とを同じ(たとえば、チェリー当選契機)にするとともに、CZ当選時とAT当選時とで同じ態様で有利区間報知ランプ19が点灯してもよい。このようにすれば、有利区間報知ランプ19が点灯したときに、CZ当選およびAT当選のいずれになっているのかを遊技者に注目させることができる。さらに、有利区間報知ランプ19が点灯した後、CZ当選およびAT当選のいずれになっているのかを遊技者に期待させる期待演出を実行してもよい。たとえば、チェリー当選契機でCZ当選したときに有利区間報知ランプ19を点灯させて10ゲーム間のCZに制御し、その間、バトル演出を実行し、CZ中にAT当選すれば、バトル演出の結果で味方キャラクタが勝利してWINの文字画像を表示する一方、CZ中にAT当選しなければ、バトル演出の結果で味方キャラクタが敗北してLOSEの文字画像を表示してもよい。
【0232】
[BB示唆演出について]
本実施の形態においては、移行抽選対象役がBBと同時当選しなかった場合、BB示唆演出が予め決められた所定確率(たとえば、50%)で実行されるものであった。しかし、これに限らず、移行抽選対象役がBBと同時当選しなかった場合、BB示唆演出を実行するか否かを抽選によって決定してもよい。この場合において、たとえば、弱チェリーや弱スイカよりもBBと同時当選する確率の高い強チェリーや強スイカ、中段チェリーに当選したときには、弱チェリーや弱スイカが当選したときよりも高い確率でBB示唆演出を実行してもよい。このようにすれば、強チェリーや強スイカ、中段チェリーは、弱チェリーや弱スイカが当選したときよりも先報知が行われる確率が低いが、その分、BB示唆演出を高い確率で実行することができる。
【0233】
また、移行抽選対象役がBBと同時当選せず、かつCZに当選した場合において、BB示唆演出を実行する場合、先報知が行われていればBB示唆演出中では有利区間に制御されることになる。このため、このBB示唆演出中にATに当選した場合、BB示唆演出の結果を利用して、AT当選の確定報知を行ってもよい。
【0234】
[有利区間の制御について]
本実施の形態においては、移行抽選対象役がBBと同時当選した場合において先報知が行われたときには、内部中における有利区間に制御して、指示機能に係る処理として、ナビ演出や指示機能に係る抽選(たとえば、AT抽選や上乗せ抽選)が実行されるものであった。しかし、これに限らず、内部中における有利区間に制御する一方で、このような内部中における有利区間では、指示機能に係る処理を実行することなく、その後、BB入賞によってBBに制御された以降で指示機能に係る抽選を実行してもよい。
【0235】
また、移行抽選対象役がBBと同時当選した場合において先報知が行われたときには、その後の内部中においては有利区間に制御することなく、その後、BB入賞によってBBに制御された以降で有利区間に制御してもよい。
【0236】
また、移行抽選対象役がBBと同時当選した場合において先報知が行われたときには、BB示唆演出によってBB当選の確定報知が行われた以降で指示機能に係る処理を実行してもよい。
【0237】
[ボーナスと同時当選する役の組合せについて]
本実施の形態においては、図12に示すように、BBを1種類のみ設けていたが、BBを2種類以上設けてもよい。たとえば、特別役として、BB1とBB2の2種類を設けてもよい。この場合において、チェリーやスイカなどの移行抽選対象役は、BB1と同時当選する一方で、BB2とも同時当選するものであってもよい。
【0238】
具体的には、BB1+弱スイカ1、BB1+弱スイカ2、BB1+弱スイカ3、BB1+強スイカ、BB1+弱チェリー1、BB1+弱チェリー2、BB1+弱チェリー3、BB1+強チェリー1、BB1+強チェリー2、およびBB1+中段チェリーといった、BB1と移行抽選対象役との同時当選群に加えて、BB2+弱スイカ1、BB2+弱スイカ2、BB2+弱スイカ3、BB2+強スイカ、BB2+弱チェリー1、BB2+弱チェリー2、BB2+弱チェリー3、BB2+強チェリー1、BB2+強チェリー2、およびBB2+中段チェリーといったBB2と移行抽選対象役との同時当選群を、抽選対象役に含めてもよい。
【0239】
さらに、移行抽選対象役がボーナス(BB1またはBB2)と同時当選し、かつCZ当選したときには、当選した同時当選群の種類に応じて異なる割合で有利報知の報知タイミングを異ならせてもよい。
【0240】
たとえば、BB1+弱チェリー1に当選しかつCZ当選したときには先報知が行われるのに対して、BB2+弱チェリー1に当選しかつCZ当選したときには後報知が行われてもよい。あるいは、BB1+弱チェリー1に当選しかつCZ当選したときには先報知が行われるのに対して、BB2+強チェリー1に当選しかつCZ当選したときには後報知が行われてもよい。さらには、BB1+弱チェリー1に当選しかつCZ当選したときには先報知が行われるのに対して、BB2+強スイカに当選しかつCZ当選したときには後報知が行われてもよい。BB1、BB2、および移行抽選対象役がいずれの組合せであっても、移行抽選対象役がボーナス(BB1またはBB2)と同時当選し、かつCZ当選したときには、当選した同時当選群の種類に応じて異なる割合で有利報知の報知タイミングを異ならせてもよい。
【0241】
また、上述した例は、BBであったが、RBなどのBB以外の種類のボーナスにおいても、当選した同時当選群の種類に応じて異なる割合で有利報知の報知タイミングを異ならせてもよい。
【0242】
[リミット処理について]
本実施の形態においては、リミット処理が実行されることで、有利区間が終了とともに有利RTも終了するものであった。しかし、リミット処理が実行されたときには、有利区間が終了する一方で、遊技状態は移行することなく有利RTが維持されるものであってもよい。
【0243】
また、リミット処理が実行されることで有利RTが終了するときには、遊技状態がRT1に移行したが、RT1と同じく不利RTであるRT2に遊技状態が移行してもよい。この場合、RT2は、設定変更後に移行する遊技状態であれば尚よい。つまり、RT2が遊技状態における初期状態であれば尚よい。また、仮に、RT0が、リプレイの合算確率が約1/7.3となる不利RTである場合(この場合、ARTはRT3のみになる)、リミット処理が実行されることで遊技状態がRT0に移行するものであってもよい。
【0244】
[内部抽選について]
本実施の形態においては、図13に示すように、RT0およびRT2ともに特殊リプレイに当選するが、RT0においてはRT2よりも高い確率で特殊リプレイに当選するように判定値が設定されていた。これにより、RT0でありかつCZとなるチャンス期間では、RT2でありかつCZであるときよりも、AT当選し易くなっていた。しかし、これに限らず、RT2においては特殊リプレイに当選しない一方で、RT0においては特殊リプレイに当選可能としてもよい。このようにすれば、RT2でありCZであるときには特殊リプレイ当選を契機としたAT抽選が実行されない一方で、RT0でありかつCZとなるチャンス期間であるときには特殊リプレイ当選を契機としたAT抽選が実行されるようにできる。これにより、チャンス期間では、RT2でありかつCZであるときよりも、AT当選し易くなっている点で有利であるため、RT2およびRT0のいずれにおいてCZへ移行するのかについて遊技者に注目させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0245】
[RT2中演出について]
本実施の形態においては、RT2中演出として、内部抽選で当選した役を遊技者に示唆する小役報知演出と、遊技の状態を遊技者に示唆する状態示唆演出とを例示したが、これらに限らず、RT2中に行われる演出であればいずれの演出をRT2中演出に適用してもよい。RT2中演出は、RT2の残りゲーム数に応じて実行頻度が変わる演出であればいずれの演出でもよい。
【0246】
本実施の形態においては、RT2の残りゲーム数の減少に伴って小役報知演出よりも高い確率で、状態示唆演出が実行されるものであった。しかし、これに限らず、RT2の残りゲーム数の減少に伴って状態示唆演出よりも高い確率で、小役報知演出が実行されるものであってもよい。また、RT2の残りゲーム数の減少に伴って、実行されるRT2中演出の種類が変化したり、あるいは、RT2の残りゲーム数の減少に伴って、実行されるRT2中演出の種類が増加したりしてもよい。
【0247】
本実施の形態においては、RT2中演出は、1ゲーム内でのみ行われる演出であったが、これに限らず、複数ゲームに亘って実行される演出であってもよい。
【0248】
本実施の形態においては、小役報知演出と状態示唆演出とが、ベル当選あるいはリプレイ当選といった、ともに同じ契機で実行されるものであった。しかし、これに限らず、小役報知演出と状態示唆演出とで、互いに異なる契機で演出が実行されてもよい。
【0249】
また、RT2中演出の実行頻度でRT2の残りゲーム数を示唆するものに限らず、RT2の残りゲーム数を特定可能な情報を遊技者に報知してもよい。たとえば、RT2の残りゲーム数がカウントされた数字画像を液晶表示器51に表示してもよい。あるいは、RT2の残りゲーム数の減少に伴って、背景画像が変化(朝→昼→夜など)していくものであってもよい。
【0250】
[背景演出の切り替えについて]
本実施の形態においては、RT0でありかつCZとなるチャンス期間において朝背景演出を実行しているときに、スタート操作時にナビ演出(BAR揃いチャンスナビ)が実行されたタイミングで、朝背景演出から夜背景演出へと背景演出が切り替わるようになっていた。しかし、背景演出が切り替わるタイミングはこれに限らない。
【0251】
たとえば、背景演出が切り替わるタイミングは、ナビ演出が実行されたゲームで図柄組合せが導出されたタイミングであってもよい。RT0では、ベルナビが発生しない限り押し順リプレイ当選時にナビ演出が実行され、さらに特殊リプレイ入賞した場合はAT抽選が実行されていることになるため、ナビ演出に従ってストップスイッチを操作したときに、背景演出切り替わるか否か、さらには特殊リプレイの図柄組合せが導出されるか否かに対して遊技者に注目させることができる。
【0252】
また、たとえば、背景演出が切り替わるタイミングは、ナビ演出が終了したタイミング、ナビ演出が実行されたゲームの次のゲームの開始時など、ナビ演出に関連するタイミングであればいずれのタイミングであってもよい。
【0253】
また、本実施の形態においては、RT0でありかつCZとなるチャンス期間において朝背景演出を実行しているときに、未だナビ演出が実行されていない状態で5G間経過したときに、朝背景演出から夜背景演出へと背景演出が切り替わるようになっていた。しかし、5G間に限らずその他のゲーム数が過したときに朝背景演出から夜背景演出へと背景演出が切り替わってもよい。あるいは、所定回数のナビ演出が実行されたときに朝背景演出から夜背景演出へと背景演出が切り替わってもよい。また、たとえば、ナビ対象役に当選したときにナビ演出を実行するか否かを抽選によって決定し、ナビ対象役に当選したがナビ発生しないゲーム数が所定ゲーム数に達したときに朝背景演出から夜背景演出へと背景演出が切り替わってもよい。
【0254】
[チャンス期間の報知について]
本実施の形態においては、背景演出が朝背景演出から夜背景演出へと切り替わることにより、RT0でありかつCZとなるチャンス期間であることを遊技者に認識させるものであったが、これに限らない。たとえば、RT0であるか否かを報知する第1報知手段(たとえば、RT0であるときにはLEDを点灯)と、CZであるか否かを報知する第2報知手段(たとえば、CZであるときにはLEDを点灯)とを備え、第1報知手段によってRT0であることが報知され、かつ第2報知手段によってCZであることが報知されることによって、チャンス期間であることを遊技者に認識させるものであってもよい。
【0255】
[有利区間(CZ)について]
本実施の形態においては、RT2中は最低10G間に亘ってCZに制御されるものであったが、これに限らず、5G間や20G間など、その他のゲーム数に亘ってCZに制御されるものであってもよい。
【0256】
また、CZ中においては、チェリーやスイカなどのCZ抽選対象役に当選したときに、CZの上乗せ抽選を実行し、当該抽選で当選したときには制御中のCZの期間を延長してもよい。
【0257】
本実施の形態においては、RT0中ではCZのゲーム数が決められていなかったが、これに限らず、RT0中においても、RT2中と同様に、CZに制御される最低ゲーム数が決められ、かつ当該ゲーム数が消化したときにCZの終了抽選を行うものであってもよい。このようにすれば、ナビ演出(BAR揃いチャンスナビ)が実行されたときに背景演出が朝背景演出から夜背景演出に切り替わった場合、当該ナビ演出がベルナビであるときには終了抽選の実行によっていつCZが終了するかに対して遊技者に緊張感を持たせることができる。一方、当該ナビ演出が特殊リプレイに対するナビ演出であるときには終了抽選が実行されないために安心して遊技者に遊技を進めさせることができる。
【0258】
[指示機能に係る抽選(AT抽選)について]
本実施の形態においては、RT2とRT0とで、特殊リプレイに当選したときのAT抽選の当選確率がともに同じであったが、これに限らない。たとえば、RT0であるときには、RT2であるときよりも、特殊リプレイに当選したときに高い確率でAT当選するものであってもよい。
【0259】
[BAR揃いチャンスナビについて]
本実施の形態においては、入賞役として特殊リプレイを設け、当該特殊リプレイは、いずれのリールにおいてもBAR図柄が5コマ以内に配置されていた。このため、特殊リプレイが単独当選したとき(特殊リプレイ当選時)には、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず必ずBAR図柄が揃って特殊リプレイが入賞するものであった。そして、図18(a)に示すBAR揃いチャンスナビでは、当選役の種類に応じた正解手順とともに「BARが止まればチャンス!!」の文字画像が液晶表示器51に表示されるものであった。すなわち、本実施の形態においては、BAR揃いチャンスナビが実行されることで、BAR図柄が揃って特殊リプレイが入賞すること、すなわち特殊リプレイに当選してAT抽選されたことに対して遊技者に期待させるようになっていた。しかし、このような遊技性に限らず、その他の遊技性であってもよい。
【0260】
たとえば、入賞役である特殊リプレイは、左リール2LでBAR図柄が5コマ以内に配置されていないものであってもよい。そして、特殊リプレイは、通常リプレイと同時当選するものであってもよい。このような特殊リプレイと通常リプレイとの同時当選役を「BAR揃い可能役」と称する。つまり、BAR揃い可能役が当選したとき、あるいは通常リプレイが単独当選したときのいずれであっても、通常リプレイが入賞する可能性がある。具体的に、BAR揃い可能役に当選したときには、左リール2LでBAR図柄を入賞ラインLN上に停止させるタイミングでストップスイッチ8Lが操作されれば、リプレイ図柄よりもBAR図柄が優先的に引き込まれて、BAR図柄が揃って特殊リプレイに入賞する一方で、左リール2LでBAR図柄を入賞ラインLN上に停止させるタイミングでストップスイッチ8Lが操作されなければ、リプレイ図柄が揃って通常リプレイに入賞する。このように、BAR揃い可能役に当選したときには、左リール2Lの停止タイミングに応じて、BAR図柄揃いの特殊リプレイ、あるいはリプレイ図柄揃いの通常リプレイが入賞する。さらにこの場合、BAR揃い可能役の当選時および通常リプレイの単独当選時のいずれであっても、BAR揃いチャンスナビが行われ、当該BAR揃いチャンスナビでは、当選役の種類に応じた正解手順とともに「BARを狙え!!」の文字画像が液晶表示器51に表示されてもよい。BAR揃いチャンスナビによって、遊技者にBAR図柄を入賞ラインLN上に停止させるように狙わせ、タイミング良くBAR図柄が揃って特殊リプレイに入賞したときには、BAR揃い可能役が当選したことを遊技者に認識させることができる。BAR揃い可能役を、AT抽選の契機役とすれば、特殊リプレイに入賞することで、AT抽選によるAT当選に対して遊技者に期待させることができる。また、BAR揃いチャンスナビによって、遊技者にBAR図柄を入賞ラインLN上に停止させるように狙わせ、タイミング悪くリプレイ図柄が揃って通常リプレイに入賞したときには、あたかも通常リプレイが単独当選したかのように遊技者に思わせることができる。但し、前述したように、BAR揃い可能役が当選したときにも、通常リプレイが単独当選したときにも、いずれにおいても、通常リプレイに入賞することがあるため、通常リプレイに入賞したことを手掛かりに、BAR揃い可能役が当選したのか、あるいは通常リプレイが単独当選したのかを遊技者が判別することができない。このため、通常リプレイが入賞したときには、仮に通常リプレイが単独当選していたとしても、もしかしたらBAR揃い可能役に当選していたのかもしれないと遊技者に期待させることもできる。なお、特殊リプレイは、左リール2Lに限らず、中リール2Cや右リール2RでBAR図柄が5コマ以内に配置されていないものであってもよい。つまり、特殊リプレイは、いずれか1以上のリールにおいてBAR図柄が5コマ以内に配置されていないものであってもよい。
【0261】
[有利区間の割合の報知について]
本実施の形態においては、総ゲーム数に対する有利区間ゲーム数の割合が設定確認状態において設定値表示器に表示されることで、有利区間の割合を確認することができたが、これに限らない。
【0262】
たとえば、設定値表示器に限らず、スロットマシン1の筐体内部、たとえば遊技制御基板に設けられた表示器(たとえば、7セグメントLED)に有利区間の割合などが表示されてもよい。なお、遊技制御基板は、かしめによって分解できないようになっていれば、表示器が外部から不正に操作されることもない。また、設定値についても、設定値表示器ではなく遊技制御基板に設けられた表示器に表示されてもよい。なお、クレジット表示器11や遊技補助表示器12、液晶表示器51などに有利区間の割合が表示されてもよい。
【0263】
また、有利区間の割合に限らず、総ゲーム数および有利区間ゲーム数についても、設定値表示器や遊技制御基板に設けられた表示器に表示されてもよい。また、所定の操作が行われたことを条件に有利区間の割合などが表示されてもよい。たとえば、演出用スイッチ56が押下されたことを条件に有利区間の割合などが表示されてもよい。あるいは、スロットマシン1の筐体内部に確認用スイッチを設け、当該確認用スイッチが押下されたことを条件に有利区間の割合などが表示されてもよい。なお、前面扉1bの開放検出がされていないときに確認用スイッチが押下されたときにはエラー報知が行われてもよい。
【0264】
また、本実施の形態においては、図7に示す報知態様で有利区間の割合が報知されたが、これに限らない。たとえば、総ゲーム数が0〜17500ゲームの間においても、有利区間の割合が70%以上であれば点滅表示されてもよい。あるいは、総ゲーム数が0〜17500ゲームの間においては、70%未満の所定確率、たとえば50%未満であるときに点滅表示されてもよい。さらに、点滅表示に限らず、色が変化したり、数値とともにエラー画像が表示されたり、その他の態様で有利区間の割合についてエラー報知してもよい。また、総ゲーム数に応じて報知態様を3段階に分けているが、4段階などその他の段階に分けて有利区間の報知を行ってもよい。
【0265】
また、賭数設定がされている状態においては、設定確認状態に移行しないものであってもよい。つまり、有利区間の割合は、賭数設定がされている状態においては確認することができないものであってもよい。さらに、再遊技役が入賞したときには自動で賭数設定されるため、有利区間の割合は、再遊技役が入賞したときにおいても確認することができないものであってもよい。なお、賭数設定がされている状態においては、有利区間の割合を確認することができるものであってもよい。
【0266】
また、本実施の形態においては、ATやCZに制御された有利区間の割合が7セグメントLEDによって報知されたが、その他の割合が報知されてもよい。
【0267】
たとえば、スロットマシン1の市場導入時に行われる試験において、短時間(たとえば、400ゲーム)におけるメダルの払出率(出玉率)について、第1割合(たとえば、300%)≦払出率であるときには市場導入できない場合、短時間におけるメダルの払出率が7セグメントLEDによって報知されてもよい。この場合、本実施の形態のように、短時間におけるメダルの払出率が第1割合≦払出率であるか否かで報知態様を異ならせてもよい(第1割合≦払出率である場合はエラー報知)。また、スロットマシン1の市場導入時に行われる試験において、中時間(たとえば、6000ゲーム)におけるメダルの払出率(出玉率)について、第2割合(たとえば、150%)≦払出率であるときには市場導入できない場合、中時間におけるメダルの払出率が7セグメントLEDによって報知されてもよい。この場合、本実施の形態のように、中時間におけるメダルの払出率が第2割合≦払出率であるか否かで報知態様を異ならせてもよい(第2割合≦払出率である場合はエラー報知)。また、スロットマシン1の市場導入時に行われる試験において、長時間(たとえば、17500ゲーム)におけるメダルの払出率(出玉率)について、第3割合(たとえば、55%)<払出率<第4割合(たとえば、120%)であるときには市場導入できない場合、長時間におけるメダルの払出率が7セグメントLEDによって報知されてもよい。この場合、本実施の形態のように、長時間におけるメダルの払出率が第3割合<払出率<第4割合であるか否かで報知態様を異ならせてもよい(払出率≧第3割合、あるいは第4割合≦払出率である場合はエラー報知)。
【0268】
また、たとえば、役物比率が7セグメントLEDによって報知されてもよい。役物比率とは、所定回数(たとえば、6000回)に亘って遊技された場合において、トータル払出枚数に対するボーナス(たとえば、RB、SB、CB)中の払出枚数の比率のことを言う。たとえば、RBのみが搭載されたスロットマシンであれば、役物比率は6割が上限であるため、役物比率が6割であるか否かで7セグメントLEDの報知態様を異ならせてもよい(役物比率が6割を超えるとエラー報知)。また、SBやCBが搭載されたスロットマシンであれば、役物比率は7割が上限であるため、役物比率が7割であるか否かで7セグメントLEDの報知態様を異ならせてもよい(役物比率が7割を超えるとエラー報知)。
【0269】
このように、スロットマシン1の市場導入時に行われる試験で規定されている割合やスロットマシン1の性能に関わる割合などを7セグメントLEDによって報知されてもよい。
【0270】
[メイン側報知装置について]
前述した実施の形態では、メイン制御部41によるナビ演出を遊技補助表示器12において実行する例(兼用する例)について説明したが、メイン制御部41により制御され、遊技の進行に応じて所定情報を報知するメイン側報知装置であればこれに限らず、たとえば、クレジット表示器11や1〜3BETLED14〜16など、どのようなものであってもよい。このように、メイン側報知装置を兼用してナビ演出を実行することにより、コストを削減できる。
【0271】
[有利な状態について]
前述した例では、有利な状態として、スロットマシン1については小役の当選確率が所定状態であるときよりも高確率となるビッグボーナス(BB)やAT、あるいはCZを例示したが、遊技者にとって有利な状態であればこれに限るものではなく、以下においてスロットマシンの例を説明する。
【0272】
有利な状態は、たとえば、所定の入賞役の当選確率が高確率となるレギュラーボーナス(RB)、少なくとも1のリールの引き込み可能範囲が通常よりも狭くなるとともに毎ゲームにおいてすべての小役の発生が許容された状態となるチャレンジタイム(CT)、入賞役の当選確率などを変化させるものではなく当選した小役を入賞させるための操作手順を所定期間(たとえば50ゲーム消化するまでの間)に亘って報知する擬似ボーナスなどであってもよい。また、これらの有利な状態に制御される確率が高確率となる状態であってもよく、また、フリーズ状態に制御される確率が高確率の状態、ATゲーム数などのゲーム数が高確率で上乗せされる状態、ATの上乗せゲーム数が増加されやすくなる状態など、上記実施形態と異なる態様の有利状態を設定してもよい。また、通信回線網上で特典を得るための条件や、プレミアム感のある演出(フリーズ演出、プレミアム演出など)を実行する条件の成立確率が高確率となる状態等、遊技者にとって間接的に有利な特典や、遊技の興趣を向上させる状態などであってもよい。また、有利な状態への移行を許容するか否かを決定する許容決定手段は、内部抽選処理に限らず、入賞役とは無関係に決定する手段であってもよい。
【0273】
また、有利な状態とは、たとえば、特典を付与するか否かを決定する特典付与抽選において、「特典が付与される確率」、および「特典が付与されることが決定されたときに付与される特典の価値(または特典量の期待値)」のうちの少なくとも一方が、通常の状態(有利な状態とは異なる状態)よりも高い状態としてもよい。また、有利な状態とは、特典付与抽選の実行契機の数が、該通常の状態よりも多いものとしてもよい。また、有利な状態とは、特典を付与させるために消化することが必要な消化必要ゲーム数が、通常の状態よりも少なくなる状態としてもよい。
【0274】
たとえば、特典をATゲーム数とした場合には、有利な状態とは、通常の状態よりも、「AT抽選でのAT当選確率」、および「AT抽選でのAT当選した場合に付与されるATゲーム数の価値」のうちの少なくとも一方が、通常の状態よりも高い状態としてもよい。また、有利な状態とは、AT抽選の実行契機の数が、該通常の状態よりも多いものとしてもよい。たとえば、通常の状態でのAT抽選の実行契機が、第1役当選および第2役当選とした場合には、有利な状態でのAT抽選の実行契機は、第1役当選および第2役当選に加えて第3役当選としてもよい。
【0275】
[演出や報知について]
前述した例では、液晶表示器51を用いて演出や報知を行う例を挙げたが、たとえば、スピーカ53,54、リールの背面側(内側)に配置されたバックランプ(上記実施形態のリールLED55)、リールの前面側に配置された透過液晶表示器(リールを目視できるように構成された液晶表示器)、前面扉1bなどに取り付けられたランプやLED、ストップスイッチの振動、ストップスイッチの周囲からの送風、ストップスイッチの温度の変化など、上記の実施形態と異なる手段で演出を実行してもよい。
【0276】
[スロットマシンの他の変形例について]
上記実施形態として、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すスロットマシンを説明したが、遊技媒体が封入され、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すことなく遊技点(得点)を加算する封入式のスロットマシンを採用してもよい。基盤とドラムとが流通可能で、筐体が共通なもので基盤のみあるいは基盤とドラムとを遊技機と称する。また、遊技球を発射して遊技を行うことが可能な遊技領域を備え、遊技領域に設けられた所定領域を遊技球が通過することに応じて賭数の設定が可能となるスロットマシンであってもよい。
【0277】
なお、上述した本実施の形態および変形例における各種構成、各種処理、各種処理のタイミングなどは、適宜組合せることができる。
【0278】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0279】
1 スロットマシン、2L,2C,2R リール、8L,8C,8R ストップスイッチ、12 遊技補助表示器、19 有利区間報知ランプ、41 メイン制御部、41c RAM、51 液晶表示器、56 演出用スイッチ 91 サブ制御部、91c RAM。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技の制御を行う遊技制御手段と、
前記遊技制御手段に制御される特定ランプと、を備え、
前記遊技制御手段は、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段によりいずれかの表示結果の導出を許容する旨が決定される確率の異なる複数の抽選状態に制御可能な抽選状態制御手段と、
前記事前決定手段の決定結果にもとづいて通常区間から有利区間に制御可能な有利区間制御手段と、
前記有利区間において有利状態と前記有利状態への制御に関する有利度が前記通常区間よりも高い特定状態に制御可能な状態制御手段と、
前記有利区間のうち前記有利状態において前記有利状態に関わる情報を更新する有利状態情報更新手段と、
前記有利区間のうち前記特定状態において前記特定状態に関わる情報を更新する特定状態情報更新手段と、
前記有利区間に移行した後、前記有利状態に制御しているか前記特定状態に制御しているかに関わらず、前記有利区間に移行してからのゲーム数を更新するゲーム数更新手段と、
前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立するか、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が所定ゲーム数に到達することで、前記有利区間を終了させて前記通常区間に制御する有利区間終了手段と、
前記特定ランプを制御する特定ランプ制御手段と、
前記有利区間を終了させるときに前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータを全て初期化する初期化手段と、を含み、
前記有利区間制御手段は、前記抽選状態によって許容する旨が決定される確率が異なる表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御せず、いずれの前記抽選状態においても許容する旨が決定される確率が同一の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに前記通常区間から前記有利区間に制御可能であり、
前記有利区間終了手段は、前記有利状態であるか前記特定状態であるかに関わらず、前記有利区間へ移行してからのゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したか否か判定し、前記所定ゲーム数に到達していないと判定されたときに、前記有利状態に関わる情報または前記特定状態に関わる情報にもとづいて終了条件が成立したか否かを判定する処理を行い、
前記特定ランプ制御手段は、
前記有利区間において、前記有利区間の制御中であることを示唆するために前記特定ランプを点灯させ、
前記有利区間が終了するときに、前記初期化手段により前記有利状態に関わる情報及び前記特定状態に関わる情報を含む前記有利区間に関するデータが全て初期化されてから、前記特定ランプを消灯する、スロットマシン。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-03-22 
出願番号 P2019-155238
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (A63F)
P 1 651・ 121- YAA (A63F)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
▲吉▼川 康史
登録日 2020-11-10 
登録番号 6792679
権利者 株式会社三共
発明の名称 スロットマシン  
代理人 石川 好文  
代理人 石川 好文  
代理人 重信 和男  
代理人 大久保 岳彦  
代理人 重信 和男  
代理人 大久保 岳彦  
代理人 林 修身  
代理人 林 修身  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  

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