• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E01C
審判 一部申し立て 2項進歩性  E01C
管理番号 1386080
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-05-24 
確定日 2022-03-29 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6429157号発明「路面切削用の自走式道路切削機、特に大型切削機、および路面切削の方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6429157号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜13〕、14について訂正することを認める。 特許第6429157号の請求項1、4〜6及び11〜14に係る特許を維持する。 特許第6429157号の請求項2及び3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由
第1 手続の経緯
特許第6429157号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜14に係る特許についての出願は、平成25年3月8日(パリ条約による優先権主張2012年3月8日、独国)に出願された特願2013−46747号の一部を分割して出願した特願2014−157748号の一部をさらに分割して平成28年11月2日に出願され、平成30年11月9日にその特許権の設定登録がされ、平成30年11月28日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和1年 5月24日 : 特許異議申立人範多機械株式会社(以下「
申立人」という。)による請求項1〜6及び
11〜14に係る特許に対する特許異議の申
立て
令和1年 8月 5日付け:特許異議申立人への審尋
令和1年 8月19日 :特許異議申立人による回答書の提出
令和1年 9月24日付け:取消理由通知書
令和1年12月27日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和2年 2月12日付け:取消理由通知書<決定の予告>
令和2年 5月20日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和2年 7月17日付け:特許異議申立人への訂正請求があった旨の通

令和2年 7月20日 :特許権者による上申書の提出
令和2年 8月26日 :特許異議申立人による意見書の提出
令和2年10月12日付け:取消理由通知書<決定の予告>
令和3年 1月18日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和3年 2月26日付け:特許異議申立人への訂正請求があった旨の通

令和3年 5月 7日付け:取消理由通知書<決定の予告>
令和3年 8月11日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和3年 9月 6日付け:取消理由通知書
令和3年12月 9日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和4年 1月 7日付け:特許異議申立人への訂正請求があった旨の通


なお、令和3年12月9日になされた訂正請求について、申立人に対して訂正請求があった旨の通知をし、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、期間内に応答はなかった。
また、令和3年12月9日付けの訂正請求書が提出されたことにより、令和1年12月27日、令和2年5月20日、令和3年1月18日及び同年8月11日付けの訂正請求書は、特許法第120条の5第7項の規定より取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和3年1月18日になされた訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)による訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
請求項1の「上下方向および進行方向に前記切削ローラ(12)を強固に支持する」を、
「前記切削ローラ(12)が上下方向および進行方向に移動しないように上下方向および進行方向に前記切削ローラ(12)を強固に支持し、
前記切削ローラハウジング(10)を、前記機械フレーム(8)の進行方向に互いに間隔を置いて配置された2つのリニアガイド(34,36)に沿って直線的に変位させ、
前記リニアガイドの第1のガイド(34)が前記位置決め軸受を画定する筒状ガイドであり、前記リニアガイドの第2のガイド(36)が、フランジ部(41)を用いて前記機械フレーム(8)の下側に固定された梁(39)の上側と下側の両方に設けられた平面(37,37)と、前記切削ローラハウジング(10)に固定され、前記平面(37,37)を取り囲むガイド部(43)が具備する前記梁(39)の上側と下側に設けられた前記平面(37,37)と接している平面(38,38)との間に配置されるとともに、前記非位置決め軸受を画定するガイドであり、前記コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備し、前記受けソケット(48)が前記コンベヤベルト手段(18)の前記下端(44)の、前記受けソケット(48)の形状に適合された下側と協働する」に訂正する。

(2)訂正事項2
請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
請求項3を削除する。

(4)訂正事項4
請求項4に「請求項1〜3のいずれか一項」と記載されているのを、「請求項1」に訂正する。

(5)訂正事項5
請求項5に「請求項1〜4のいずれか一項」と記載されているのを、「請求項1または4」に訂正する。

(6)訂正事項6
請求項7を削除する。

(7)訂正事項7
請求項8に「請求項1〜7」と記載されているのを、「請求項1、4〜6」に訂正する。

(8)訂正事項8
請求項9に「請求項7または8」と記載されているのを、「請求項8」に訂正する。

(9)訂正事項9
請求項12に「請求項1〜11」と記載されているのを、「請求項1、4〜6、8〜11」に訂正する。

(10)訂正事項10
請求項14の「前記切削ローラ(12)に一体化された切削ローラ駆動ユニット(14)と、
を具備し、」を、
「前記切削ローラ(12)に一体化された切削ローラ駆動ユニット(14)と、
進行方向に見て前方向に前記切削ローラ(12)により削り取られた切削物を除去するための、前記切削ローラハウジング(10)と協働するコンベヤベルト手段(18)と、
を具備し、」に訂正する。

(11)訂正事項11
請求項14の「上下方向および進行方向で強固に支持される」を、
「前記切削ローラ(12)が上下方向および進行方向に移動しないように上下方向および進行方向で強固に支持され、
前記切削ローラハウジング(10)を、前記機械フレーム(8)の進行方向に互いに間隔を置いて配置された2つのリニアガイド(34,36)に沿って直線的に変位させ、
前記リニアガイドの第1のガイド(34)が前記位置決め軸受を画定する筒状ガイドであり、前記リニアガイドの第2のガイド(36)が、フランジ部(41)を用いて前記機械フレーム(8)の下側に固定された梁(39)の上側と下側の両方に設けられた平面(37,37)と、前記切削ローラハウジング(10)に固定され、前記平面(37,37)を取り囲むガイド部(43)が具備する前記梁(39)の上側と下側に設けられた前記平面(37,37)と接している平面(38,38)との間に配置されるとともに、前記非位置決め軸受を画定するガイドであり、
前記コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備し、前記受けソケット(48)が前記コンベヤベルト手段(18)の前記下端(44)の、前記受けソケット(48)の形状に適合された下側と協働する」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載された、切削ローラ(12)を「上下方向および進行方向」に「強固に」支持する状態を、「切削ローラ(12)が上下方向および進行方向に移動しないように」と限定するとともに、訂正前の請求項2及び3の発明特定事項である「前記切削ローラハウジング(10)を、前記機械フレーム(8)の進行方向に互いに間隔を置いて配置された2つのリニアガイド(34,36)に沿って直線的に変位させ、前記リニアガイドの第1のガイド(34)が前記位置決め軸受を画定する筒状ガイドであり、前記リニアガイドの第2のガイド(36)が平面間に配置されるとともに、前記非位置決め軸受を画定するガイドである」との発明特定事項を付加し、そのうち、リニアガイドの第2のガイド(36)が「平面間」に配置されることについて、「フランジ部(41)を用いて前記機械フレーム(8)の下側に固定された梁(39)の上側と下側の両方に設けられた平面(37,37)と、前記切削ローラハウジング(10)に固定され、前記平面(37,37)を取り囲むガイド部(43)が具備する前記梁(39)の上側と下側に設けられた前記平面(37,37)と接している平面(38,38)との間」に配置されるものであることをさらに限定し、また、「コンベヤベルト手段(18)」について、「前記コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備し、前記受けソケット(48)が前記コンベヤベルト手段(18)の前記下端(44)の、前記受けソケット(48)の形状に適合された下側と協働する」ことを特定したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられた事項である特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

そして、上記の「切削ローラ(12)が垂直および進行方向に移動しないように」切削ローラ(12)を支持する事項については、願書に添付した明細書の段落【0017】の「切削ローラハウジングを機械フレームで強固に支持し、それによって切削ローラを上下方向に強固に支持することができる。更に、切削ローラハウジングは、切削ローラが進行方向に対して横断方向にのみ可動であるように進行方向に強固に支持される。」との記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、「前記切削ローラハウジング(10)を、前記機械フレーム(8)の進行方向に互いに間隔を置いて配置された2つのリニアガイド(34,36)に沿って直線的に変位させ、前記リニアガイドの第1のガイド(34)が前記位置決め軸受を画定する筒状ガイドであり、前記リニアガイドの第2のガイド(36)が、フランジ部(41)を用いて前記機械フレーム(8)の下側に固定された梁(39)の上側と下側の両方に設けられた平面(37,37)と、前記切削ローラハウジング(10)に固定され、前記平面(37,37)を取り囲むガイド部(43)が具備する前記梁(39)の上側と下側に設けられた前記平面(37,37)と接している平面(38,38)との間に配置されるとともに、前記非位置決め軸受を画定するガイドである」との事項のうち、「前記切削ローラハウジング(10)を、前記機械フレーム(8)の進行方向に互いに間隔を置いて配置された2つのリニアガイド(34,36)に沿って直線的に変位させ、前記リニアガイドの第2のガイド(36)が平面間に配置されるとともに、前記非位置決め軸受を画定するガイドである」との事項は訂正前の請求項2、3の発明特定事項であり、前記リニアガイドの第2のガイド(36)が、「フランジ部(41)を用いて前記機械フレーム(8)の下側に固定された梁(39)の上側と下側の両方に設けられた平面(37,37)と、前記切削ローラハウジング(10)に固定され、前記平面(37,37)を取り囲むガイド部(43)が具備する前記梁(39)の上側と下側に設けられた前記平面(37,37)と接している平面(38,38)との間」に配置されることについては、願書に添付した明細書の段落【0060】の第2のガイド(36)についての「平面37,38間で直線案内が行われ」、「平面37は、フランジ部41を用いて機械フレーム8の下側・・・に固定された梁39の上側と下側の両方に設けられ」、「平面37は、切削ローラハウジング10・・・に固定され、かつ梁39の平面37と接している平面38を具備するガイド部43により取り囲まれる」との記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、「前記コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備し、前記受けソケット(48)が前記コンベヤベルト手段(18)の前記下端(44)の、前記受けソケット(48)の形状に適合された下側と協働する」ことについては、願書に添付した明細書の段落【0076】の「コンベヤベルト手段18の下端44を関節連結式にベルトシュー40で受ける」及び同段落【0077】の「ベルトシュー40は、関節連結式に下端44を受けるための・・・凹状・・・の受けソケット48を具備し・・・、前記受けソケット48は、コンベヤベルト手段18の下端44の、受けソケット48の形状に適合された下側と協働する」との記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2、3及び6について
訂正事項2、3及び6に係る訂正は、いずれも請求項の削除であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられた事項である特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項2、3及び6に係る訂正は、いずれも請求項の削除であるから、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項2、3及び6に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項4、5、7〜9について
訂正事項4、5、7〜9に係る訂正は、訂正事項2、3及び6による請求項2、3及び7の削除にともない、請求項4、5、8、9及び12を削除された請求項2、3及び7を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられた事項である特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項4、5、7〜9に係る訂正は、いずれも、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるため、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、4、5、7〜9に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項10について
訂正事項10に係る訂正は、訂正前の請求項14に記載された、「大型自動式道路切削機(1)」を「進行方向に見て前方向に前記切削ローラ(12)により削り取られた切削物を除去するための、前記切削ローラハウジング(10)と協働するコンベヤベルト手段(18)」を備えるものに特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられた事項である特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、上記の「進行方向に見て前方向に前記切削ローラ(12)により削り取られた切削物を除去するための、前記切削ローラハウジング(10)と協働するコンベヤベルト手段(18)」については、願書に添付した明細書の段落【0043】の「削り取られた切削物を除去するための・・・コンベヤベルト手段18が、進行方向に見て、道路切削機1の前側に配置される。」、段落【0026】、【0027】の「コンベヤベルト手段の下端を受けるためのベルトシューを、切削ローラハウジングに・・・固定することができ・・・ベルトシューは、コンベヤベルト手段の下端が切削ローラハウジングの切削物排出開口に常に配置されるように、進行方向に対して横断方向へ切削ローラハウジングの移動に追従することができ・・・」、「このために、コンベヤベルト手段がベルトシューに関節連結・・・される」との記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項10に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(5)訂正事項11について
訂正事項11に係る訂正は、訂正前の請求項14に記載された、「前記切削ローラハウジング(10)」を「上下方向および進行方向」に「強固に」支持することが、切削ローラハウジング(10)に支持される「切削ローラ(12)が上下方向および進行方向に移動しないように」とするとともに、「前記切削ローラハウジング(10)を、前記機械フレーム(8)の進行方向に互いに間隔を置いて配置された2つのリニアガイド(34,36)に沿って直線的に変位させ、前記リニアガイドの第1のガイド(34)が前記位置決め軸受を画定する筒状ガイドであり、前記リニアガイドの第2のガイド(36)が、フランジ部(41)を用いて前記機械フレーム(8)の下側に固定された梁(39)の上側と下側の両方に設けられた平面(37,37)と、前記切削ローラハウジング(10)に固定され、前記平面(37,37)を取り囲むガイド部(43)が具備する前記梁(39)の上側と下側に設けられた前記平面(37,37)と接している平面(38,38)との間に配置されるとともに、前記非位置決め軸受を画定するガイドであり、前記コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備し、前記受けソケット(48)が前記コンベヤベルト手段(18)の前記下端(44)の、前記受けソケット(48)の形状に適合された下側と協働する」ことをさらに限定したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられた事項である特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

上記の「切削ローラ(12)が垂直および進行方向に移動しないように」切削ローラ(12)を支持する事項は、願書に添付した明細書の段落【0017】の「切削ローラハウジングを機械フレームで強固に支持し、それによって切削ローラを上下方向に強固に支持することができる。更に、切削ローラハウジングは、切削ローラが進行方向に対して横断方向にのみ可動であるように進行方向に強固に支持される。」との記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、上記の「前記切削ローラハウジング(10)を、前記機械フレーム(8)の進行方向に互いに間隔を置いて配置された2つのリニアガイド(34,36)に沿って直線的に変位させ、前記リニアガイドの第1のガイド(34)が前記位置決め軸受を画定する筒状ガイドであり、前記リニアガイドの第2のガイド(36)が、フランジ部(41)を用いて前記機械フレーム(8)の下側に固定された梁(39)の上側と下側の両方に設けられた平面(37,37)と、前記切削ローラハウジング(10)に固定され、前記平面(37,37)を取り囲むガイド部(43)が具備する前記梁(39)の上側と下側に設けられた前記平面(37,37)と接している平面(38,38)との間に配置されるとともに、前記非位置決め軸受を画定するガイドである」ことについては、願書に添付した明細書の段落【0016】の「・・・切削ローラハウジングを機械フレームの進行方向に互いに間隔を置いて配置された2つのリニアガイドに沿って直線的に変位させる」、同段落【0018】の「リニアガイドの第1のガイドは、筒状ガイドであるとともに、位置決め軸受を画定し、また、リニアガイドの第2のガイドは、2つの平面間に配置されたガイドであるとともに、非位置決め軸受を画定する。」及び同段落【0060】の第2のガイド(36)についての「平面37,38間で直線案内が行われ」、「平面37は、フランジ部41を用いて機械フレーム8の下側・・・に固定された梁39の上側と下側の両方に設けられ」、「平面37は、切削ローラハウジング10・・・に固定され、かつ梁39の平面37と接している平面38を具備するガイド部43により取り囲まれる」との記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、「前記コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備し、前記受けソケット(48)が前記コンベヤベルト手段(18)の前記下端(44)の、前記受けソケット(48)の形状に適合された下側と協働する」ことについては、願書に添付した明細書の段落【0076】の「コンベヤベルト手段18の下端44を関節連結式にベルトシュー40で受ける」及び同段落【0077】の「ベルトシュー40は、関節連結式に下端44を受けるための・・・凹状・・・の受けソケット48を具備し・・・、前記受けソケット48は、コンベヤベルト手段18の下端44の、受けソケット48の形状に適合された下側と協働する」との記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項11に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

3 独立特許要件
(1)請求項1〜6、11〜14について
訂正前の請求項1〜13に係る訂正事項1〜9及び訂正前の請求項14に係る訂正事項10、11の訂正は、上記したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであるが、訂正前の請求項1〜6、11〜14には特許異議の申立てがされているから、訂正事項1〜13による特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正後の請求項1〜6、11〜14に係る発明について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(2)請求項7〜10について
訂正事項1〜8により訂正されることとなる訂正前の請求項7〜10に係る発明については、特許異議の申立てがされておらず、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件が課されるため、以下検討する。

ア 請求項7に係る発明について
請求項7に係る発明は、訂正により削除された。

イ 請求項8〜10に係る発明について
(ア)訂正後の請求項8〜10に係る発明は、以下のとおりである。
「【請求項8】
前記コンベヤベルト手段(18)の前側上端(46)が、前記コンベヤベルト手段(18)の長手方向軸線に沿って直線的に変位可能であるように、カルダン継手により前記機械フレーム(8)に支持されることを特徴とする、請求項1、4〜6のいずれか一項に記載の自走式道路切削機。
【請求項9】
可撓性の支持を確保するために、少なくとも前記前側上端(46)において、前記コンベヤベルト手段(18)が、前記コンベヤベルトの方向に延びかつ凸状の軸受面を有する支持要素(52)を下側に具備し、前記支持要素(52)が、横方向に案内されるとともに、凸状の支持面を有しかつ前記機械フレーム(8)に進行方向に対して横断方向に固定されたフレーム側支持要素(56)に載置されることを特徴とする、請求項8に記載の自走式道路切削機。
【請求項10】
前記支持要素(52)および/または前記フレーム側支持要素(56)が、丸みを帯びた断面の形状または中空形状により画定されることを特徴とする、請求項8または9に記載の自走式道路切削機。」

(イ)訂正後の請求項8ないし10に係る発明は、訂正後の請求項1に係る発明を直接的又は間接的に引用するから、それぞれ、訂正後の請求項1に係る発明の「前記コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備し、前記受けソケット(48)が前記コンベヤベルト手段(18)の前記下端(44)の、前記受けソケット(48)の形状に適合された下側と協働する」との発明特定事項を備える。

(ウ)そして、「前記コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備し、前記受けソケット(48)が前記コンベヤベルト手段(18)の前記下端(44)の、前記受けソケット(48)の形状に適合された下側と協働する」ことは、下記第4の3(1)で検討するように、申立人の提出した各証拠には記載も示唆もされていない。
よって、訂正後の請求項8ないし10に係る発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。

したがって、訂正事項1〜8は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合するものである。

4 一群の請求項
本件訂正前の請求項2〜13は、本件訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用しているところ、本件訂正前の請求項1及び同請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2〜13は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、訂正事項1〜9の訂正は、当該一群の請求項〔1〜13〕に対し請求されたものである。

5 まとめ
以上のとおりであって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項並びに第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定、及び特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1−13〕及び14について訂正を認める。

第3 特許異議申立理由及び取消理由の概要
1 特許異議申立理由の概要
申立人は、本件訂正前の本件特許の請求項1,2,3,4,5,6,11,12,13,14に係る発明(以下「本件発明1」等という。)に対して、証拠として、特許異議申立書に添付して下記甲第1号証ないし甲第17号証を、令和2年8月26日提出の意見書に添付して甲第18号証を提出し、以下の特許異議申立理由を申し立てている。

(1)本件発明1〜3、12〜14は、甲第1号証ないし甲第5号証並びに甲第11号証ないし甲第17号証から本件出願の優先権主張の日(以下、「優先日」という。)前に日本国内において公然知られた又は公然実施されたと認められる発明、及び優先日前に日本国内において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第6号証〜甲第8号証にも記載される周知技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1〜3、12〜14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(2)本件発明4は、甲第1号証ないし甲第5号証並びに甲第11号証ないし甲第17号証から優先日前に日本国内において公然知られた又は公然実施されたと認められる発明、及び優先日前に日本国内において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第6号証〜甲第8号証にも記載される周知技術並びに甲第3号証、甲第8号証及び甲第10号証に記載された技術事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1〜3、12〜14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(3)本件発明5、6及び11は、甲第1号証ないし甲第5号証並びに甲第11号証ないし甲第17号証から優先日前に日本国内において公然知られた又は公然実施されたと認められる発明、及び優先日前に日本国内において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第6号証〜甲第8号証にも記載される周知技術並びに甲第9号証に記載された技術事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1〜3、12〜14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

申立人から提出された証拠は以下のとおり。
甲第1号証 :酒井重工業株式会社代表取締役酒井一郎宛て証明願、
範多機械株式会社常務取締役道上昌弘、
平成30年12月6日
甲第2号証 :登録識別情報等通知書、札幌運輸支局長、
平成30年1月23日
甲第3号証 :「ロードカッタER550F」カタログ、
酒井重工業株式会社、2001年1月
甲第4号証 :車台番号「MER6−10136」を有する「ロードカッタ
ER550F」の写真、範多機械株式会社、
平成30年10月16日、11月21日
甲第5号証 :車台番号「MER6−10136」を有する「ロードカッタ
ER550F」の動画(CD−R)、範多機械株式会社、
平成30年10月16日、11月21日
甲第6号証 :特開平9−21107号公報
甲第7号証 :特開2009−13777号公報
甲第8号証 :野田正治、
「製品と技術 中型路面切削機CRP−160L型」、
建設機械、Vol.26 No.5、平成2年5月1日、
p.72−74
甲第9号証 :特表2002−510000号公報
甲第10号証:畠中徹、「小型路面切削機CRP−120FL」、
建設機械、Vol.26 No.4、平成2年4月1日、
p.51−53
甲第11号証:酒井重工業株式会社代表取締役酒井一郎宛て証明願(2)、
範多機械株式会社常務取締役道上昌弘、
令和元年5月14日
甲第12号証:自動車の登録手続き、[online]、
2019年5月13日印刷、四国運輸局、
<URL:http://wwwtb.mlit.go.jp/shikoku/benri/
shikibetsu.html>
甲第13号証:構造等変更検査、[online]、
2019年5月13日印刷、国土交通省、
<URL:http://www.mlit.go.jp/jidosha/kensatoroku/
kensa/kns05.htm>
甲第14号証:保険の用語集、[online]、
2019年5月13日印刷、
SAISON AUTOMOBILE&FIRE INSURANCE CO.,LTD、
<URL:https://faq-ins-saison.dga.jp/glossary/
faq_detail.html?id=1028>
甲第15号証:改造している車は見積もりができますか?、
[online]、2019年5月13日印刷、
三井ダイレクト損保、
<URL:https://faq.mitsui-direct.co.jp/
index.html?id=10089>
甲第16号証:登録識別情報等通知書、札幌運輸支局長、
平成30年1月23日
甲第17号証:審判番号無効2018−800136、
第1回口頭審理及び証拠調べ調書、平成31年2月6日
甲第18号証:スライドシフター シフトテーブル SEタイプ(STE)
、オイレス工業、[online]、
2020年8月20日インターネット検索、
MiSUMi−VONA、
<URL:https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/
221000091151/>

2 取消理由通知書で通知した取消理由
(1)令和3年5月7日付け取消理由通知書(決定の予告)で通知した取消理由
令和3年1月18日になされた訂正請求によって訂正された請求項1、4〜6及び11〜14に係る特許に対して、当審が令和3年5月7日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

進歩性) 本件特許の請求項1、4〜6及び11〜14に係る発明は、甲第1号証、甲第11号証及び甲第17号証から本件特許出願の優先日前に日本国内において公然知られた又は公然実施されたと認められる発明、及び優先日前に日本国内において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第6号証〜甲第9号証に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4〜及び11〜14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(2)令和3年9月6日付け取消理由通知書で通知した取消理由
令和3年8月11日になされた訂正請求によって訂正された請求項14に係る特許に対して、当審が令和3年9月6日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

明確性要件) 本件特許の請求項14に係る発明は、「前記コンベヤベルト手段(18)」が何を指すのか不明であり、発明が明確でない。

第4 取消理由通知で通知した取消理由についての当審の判断
1 本件訂正発明
本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1〜6、11〜14に係る発明(以下「本件訂正発明1」等といい、請求項1〜6、11〜14に係る発明をまとめて「本件訂正発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1〜6、11〜14に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

(1)本件訂正発明1
「【請求項1】
高さ調節可能な車体(4)と、
進行方向に見て、前記車体の前車軸および後車軸と、
前記車体(4)により支持された機械フレーム(8)と、
前記前車軸と前記後車軸との間で前記機械フレーム(8)に配置された切削ローラハウジング(10)と、
前記切削ローラハウジング(10)に回転自在に支持された単一の切削ローラ(12)と、
前記切削ローラ(12)に一体化された切削ローラ駆動ユニット(14)と、
進行方向に見て前方向に前記切削ローラ(12)により削り取られた切削物を除去するための、前記切削ローラハウジング(10)と協働するコンベヤベルト手段(18)と、
を具備する路面(2)切削用の大型自走式道路切削機(1)であって、
前記切削ローラハウジング(10)の横方向先端が、縁部または障害物のできるだけ近くで切削が行われるようにするために、前記機械フレーム(8)の横外側面(26,28)の一つ、いわゆるゼロ側と選択的にほぼ面一である、自走式道路切削機(1)において、
前記切削ローラハウジング(10)が、前記前車軸および前記後車軸の間に配置され、前記切削ローラ(12)が、前記切削ローラハウジング(10)および前記切削ローラ駆動ユニット(14)と共に切削作業中に変位可能であり、前記機械フレーム(8)において前記切削ローラハウジング(10)の支持体は、位置決め軸受と非位置決め軸受とを具備し、前記切削ローラ(12)が上下方向および進行方向に移動しないように上下方向および進行方向に前記切削ローラ(12)を強固に支持し、
前記切削ローラハウジング(10)を、前記機械フレーム(8)の進行方向に互いに間隔を置いて配置された2つのリニアガイド(34,36)に沿って直線的に変位させ、
前記リニアガイドの第1のガイド(34)が前記位置決め軸受を画定する筒状ガイドであり、前記リニアガイドの第2のガイド(36)が、フランジ部(41)を用いて前記機械フレーム(8)の下側に固定された梁(39)の上側と下側の両方に設けられた平面(37,37)と、前記切削ローラハウジング(10)に固定され、前記平面(37,37)を取り囲むガイド部(43)が具備する前記梁(39)の上側と下側に設けられた前記平面(37,37)と接している平面(38,38)との間に配置されるとともに、前記非位置決め軸受を画定するガイドであり、前記コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備し、前記受けソケット(48)が前記コンベヤベルト手段(18)の前記下端(44)の、前記受けソケット(48)の形状に適合された下側と協働することを特徴とする、自走式道路切削機。」

(2)本件訂正発明2
「【請求項2】(削除)」

(3)本件訂正発明3
「【請求項3】(削除)」

(4)本件訂正発明4
「【請求項4】
前記切削ローラ(12)の最大横走行距離が、500〜1000mmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の自走式道路切削機。」

(5)本件訂正発明5
「【請求項5】
前記コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記切削ローラハウジング(10)に高さ調節可能に固定されることを特徴とする、請求項1または4に記載の自走式道路切削機。」

(6)本件訂正発明6
「【請求項6】
前記コンベヤベルト手段(18)が、前記ベルトシュー(40)に関節連結されることを特徴とする、請求項5に記載の自走式道路切削機。」

(7)本件訂正発明11
「【請求項11】
前記ベルトシュー(40)が、同期ガイド(60)を介して高さ調節可能であることを特徴とする、請求項5に記載の自走式道路切削機。」

(8)本件訂正発明12
「【請求項12】
進行方向に見て、前記切削ローラハウジング(10)の後端が、前記切削ローラ(12)の切削軌道(68)に横方向に載置されるとともに、前記路面(2)に実質的に直交して延びる前記切削軌道(68)の切削縁(70)に対して弾性的に当接される高さ調節可能なストリッパシールド(64)と面一であることを特徴とする、請求項1、4〜6、8〜11のいずれか一項に記載の自走式道路切削機。」

(9)本件訂正発明13
「【請求項13】
進行方向に見て、前記切削ローラハウジング(10)の前記後端は、下縁(78)が前記ストリッパシールド(64)と実質的に面一であるとともに、前記ストリッパシールド(64)と共に高さ調節可能であるそれぞれの可動シールド要素(74)を両側端に具備する高さ調節可能な前記ストリッパシールド(64)と面一であり、前記可動シールド要素(74)が、前記ストリッパシールド(64)と共に、切削作業中にストリッパシールド幅を前記切削軌道(68)に動的に適合させるばね付勢に抗して調節可能であることを特徴とする、請求項12に記載の自走式道路切削機。」

(10)本件訂正発明14
「【請求項14】
大型自走式道路切削機(1)を用いた路面(2)の切削の方法であって、
前記自走式道路切削機(1)が、
横外側面(26,28)を含む機械フレーム(8)と、
切削ローラハウジング(10)に支持された単一の回転可能な切削ローラ(12)と、
前記切削ローラ(12)に一体化された切削ローラ駆動ユニット(14)と、
進行方向に見て前方向に前記切削ローラ(12)により削り取られた切削物を除去するための、前記切削ローラハウジング(10)と協働するコンベヤベルト手段(18)と、
を具備し、
前記切削ローラハウジング(10)の横方向先端(22)が、縁部または障害物のできるだけ近くで切削が行われるようにするために、前記機械フレーム(8)の横外側面(26,28)の一つ、いわゆるゼロ側と選択的にほぼ面一である、路面(2)の切削の方法において、
前記ゼロ側が前記機械フレーム(8)の一方の外側面(26,28)またはその反対側の外側面(26,28)に選択的に画定されるように適合され、前記切削ローラ(12)が前記切削ローラハウジング(10)および前記切削ローラ駆動ユニット(14)と共に進行方向に対して横断方向に変位可能に支持され、
前記切削ローラ(12)は、前記切削ローラハウジング(10)および前記切削ローラ駆動ユニット(14)と共に切削作業中に変位可能であり、前記切削ローラハウジング(10)は、位置決め軸受および非位置決め軸受によって前記切削ローラ(12)が上下方向および進行方向に移動しないように上下方向および進行方向で強固に支持され、
前記切削ローラハウジング(10)を、前記機械フレーム(8)の進行方向に互いに間隔を置いて配置された2つのリニアガイド(34,36)に沿って直線的に変位させ、
前記リニアガイドの第1のガイド(34)が前記位置決め軸受を画定する筒状ガイドであり、前記リニアガイドの第2のガイド(36)が、フランジ部(41)を用いて前記機械フレーム(8)の下側に固定された梁(39)の上側と下側の両方に設けられた平面(37,37)と、前記切削ローラハウジング(10)に固定され、前記平面(37,37)を取り囲むガイド部(43)が具備する前記梁(39)の上側と下側に設けられた前記平面(37,37)と接している平面(38,38)との間に配置されるとともに、前記非位置決め軸受を画定するガイドであり、
前記コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備し、前記受けソケット(48)が前記コンベヤベルト手段(18)の前記下端(44)の、前記受けソケット(48)の形状に適合された下側と協働することを特徴とする、路面の切削の方法。」

2 証拠の記載
(1)甲第1号証
申立人が特許異議申立てに係る証拠として提出した甲第1号証は、範多機械株式会社常務取締役道上昌弘が、酒井重工業株式会社代表取締役酒井一郎に宛てた平成30年11月29日付けの証明願に、平成30年12月6日付けで酒井重工業株式会社代表取締役酒井一郎の捺印がなされたものであって、次の事項が記載されている。




上記証明願に添付書類(2)として添付された「<URL:https://www.sakainet.co.jp/produscts/item/er550f.pdf>のカタログ」には次の事項が記載されている。






上記証明願に添付書類(3)として添付された「平成30年1月23日札幌運輸支局長発行の登録識別情報等通知書」には次の事項が記載されている。




(2)甲第6号証
申立人が特許異議申立てに係る証拠として提出した、本件特許出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第6号証には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。)
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、舗装道路の掘削方法に関し、詳しくは、舗装道路において亀裂などが入った表層の補修部分を効率よく剥離し、剥離に伴う掘削物を効率よく回収し、このことで、補修箇所に掘削物が残留し、これらを除去するための多大な労力及び人手をなくそうとする技術に係るものである。
・・・
【0003】従来、道路の補修をおこなうのに、表層に生じている亀裂に沿って小巾に、また、不良箇所を含む車巾全体にわたるように、作業車に搭載されている回転掘削具にて表層を剥離しながら掘削し、破砕物を作業車内に回収し、伴走する大型ダンプカー等に移載するものである。ところで、従来の舗装道路用の掘削作業車における破砕物の回収構造は、図14に示すように、回転ドラム3Aに掘削爪3Bが多数植設された回転カッター3Cが下方を開放したボックス状のケーシング3D内に装備され、ケーシング3Dの下方から突出している回転カッター3Cの回転にて舗装道路面を掘削するとともにその破砕物を前方に放出し、ケーシング3Dの前壁に形成された取出し口4Cから送り出される破砕物をコンベアのような搬出手段5にて搬出し、これを車外に運び出すものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような構成のものにおいては、ケーシング3Dの前壁部分に破砕物が飛ばされて詰められ、取出し口4Cに至った破砕物を作業車内に回収する方法であるから、取出し口4Cに至らない多くの破砕物がケーシング3Dの下方に落下し、路面の掘削箇所に残ってゆき、このような残留破砕物をショベル作業車を使ったり、また、多くの人手をかけて箒などで掃き集め、回収するものとなっており、多大な労力と人手を要し、また、箒による掃除に伴う塵埃の発生を抑えるべく散水車による散水も必要になる等という問題があった。
【0005】本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、舗装道路において亀裂などが入った表層の補修部分を効率よく剥離し、剥離に伴う破砕物を効率よく回収し、このことで、補修箇所に破砕物が残留し、これらを除去するための労力及び人手をなくすことができ、また、散水作業も回避でき、高速走路の補修作業の作業性を大巾に高めることができる舗装道路の掘削方法を提供しようとするにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1においては、作業車の走行に伴って回転カッター3cを走行方向とは逆方向に高速回転させて舗装道路面に掘削溝bを形成するとともに回転カッター3cの高速回転による掘削で生じる破砕物を前方上方に放出し、これら破砕物を受止めて車巾方向に強制移送させて取出し口に集め、取出し口の破砕物を順次外部に搬出することを特徴とするものである。」

イ 「【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明の舗装道路の掘削方法の一実施の形態を実施した掘削作業車の一例の図面に基づいて詳述する。図1は全体平面図を示し、図2及び図3は全体側面図を示している。走行車体1には搭載された原動機にて駆動される車輪6が装備され、操作部によるハンドル操作にて一般車両として走行できるようにしてある。走行車体1にはガイド脚9が例えば4本立設され、このガイド脚9を介して昇降基体10が油圧駆動にて昇降できるようにしてある。昇降基体10には、舗装道路の表層のアスファルト層a及び下地層を剥離するとともに掘削し、その破砕物を順次取出す回転掘削放出手段3と、移送取出し手段4並びに搬出手段5が搭載されて、破砕物を伴走する大型ダンプカーなどに走行しながら移載できるようにしてある。以下、種々の手段の構成を詳述する。
【0009】図5乃至図8は回転掘削放出手段3を示していて、回転掘削放出手段3は、回転ドラム3aに掘削爪3bが複数条の螺旋条に植設された回転カッター3cに構成されている。この回転カッター3cが図6に示すハウジング3dの軸受部にその水平横軸2が回転自在に架設され、ハウジング3d内に装備される減速機3eに連結されて、昇降基体10側に搭載されている油圧駆動機構からの作動油が、ハウジング3dに装備されている油圧モータに供給されて、回転カッター3cを約1000r.p.m程度に高速回転させることができるようにしてある。回転掘削放出手段3は、そのハウジング3dを介して昇降基体10の後部に搭載されていて、昇降基体10を走行車体1に対して下降させることで、回転カッター3cを路面レベルよりも下方に下降させ、回転カッター3cが後方から前方上方に高速回転されることで、舗装道路の表層のアスファルト層a及び下地層をを掘削し、直径が約20mm程度の粒径に破砕された破砕物を回転カッター3cの全巾において掘削とともに前方上方に放出することができるようにしてある。
【0010】図10乃至図12は、移送取出し手段4を示していて、回転掘削放出手段3の前方の昇降基体10に搭載されている。移送取出し手段4は、断面が略円弧状のカバー体4aと、カバー体4aの後方において駆動回転自在に配設されるリボンスクリュー4bとから構成されている。カバー体4aには、破砕物を排出させる取出し口4cが車巾方向の略中央部に形成されている。カバー体4a及びリボンスクリュー4bは車巾の略全巾にわたっている。リボンスクリュー4bが回転軸4dにステー4e…により間隔を隔てて螺旋条に保持されたものであり、回転カッター3cからの破砕物が、長尺なリボンスクリュー4bのいずれの箇所に投入されても、リボンスクリュー4bの回転で、中央部に向けて移送して、取出し口4cへと集めて取出すことができるようにしてある。リボンスクリュー4bの駆動も油圧モータにておこなわれる。
・・・
【0013】回転掘削放出手段3のハウジング3dは、昇降基体10の前後のスライドレール11,11の上にスライド移動自在に載置され、ハウジング3dの両端部が、図9に示すようなチェーン12に連結され、このチェーン12を昇降基体10に搭乗している作業者の操作により、スプロケット13を油圧モータ16を介して油圧駆動して、巻回しているチェーン12を往復動させ、回転掘削放出手段3を車巾方向の任意の箇所に移行させ、しかして、走行車体1は一定位置を走行しながら、掘削位置を変更することができるようにしてある。このように、回転掘削放出手段3を車巾方向に移行させることで、道路の表層の亀裂の蛇行に容易に追随させることができ、一度の走行で、亀裂に沿った掘削がおこなえるものである。
・・・
【0015】移送取出し手段4のカバー体4aに形成された取出し口4cの前方には、搬出手段5としの搬出コンベア14が配設され、この搬出コンベア14の終端には、首振り角度を変更自在になされた移載コンベア15が配設され、しかして、取出し口4cから次々に排出される破砕物を搬出コンベア14にて受取って搬出し、移載コンベア15に受渡し、伴走する大型ダンプカーに破砕物を移載することができるようにしてある。」

ウ 図3、図14は以下のとおり。
「【図3】

【図14】



エ 上記した事項を踏まえると、甲第6号証から、次の技術事項(以下、それぞれ、甲6技術事項A及び甲6技術事項Bという)が把握できると認められる。
(甲6技術事項A)
「舗装道路において亀裂などが入った表層の補修部分を効率よく剥離し、剥離に伴う掘削物を効率よく回収し、このことで、補修箇所に掘削物が残留し、これらを除去するための多大な労力及び人手をなくそうとする技術に係るものであり、
走行車体1にはガイド脚9が例えば4本立設され、このガイド脚9を介して昇降基体10が油圧駆動にて昇降できるようにしてあり、
回転掘削放出手段3は、そのハウジング3dを介して昇降基体10の後部に搭載されていて、昇降基体10を走行車体1に対して下降させることで、回転カッター3cを路面レベルよりも下方に下降させ、回転カッター3cが後方から前方上方に高速回転されることで、舗装道路の表層のアスファルト層a及び下地層を掘削し、直径が約20mm程度の粒径に破砕された破砕物を回転カッター3cの全巾において掘削とともに前方上方に放出することができるようにしてあること。」

(甲6技術事項B)
「従来の舗装道路用の掘削作業車における破砕物の回収構造は、回転ドラム3Aに掘削爪3Bが多数植設された回転カッター3Cが下方を開放したボックス状のケーシング3D内に装備され、ケーシング3Dの下方から突出している回転カッター3Cの回転にて舗装道路面を掘削するとともにその破砕物を前方に放出し、ケーシング3Dの前壁に形成された取出し口4Cから送り出される破砕物をコンベアのような搬出手段5にて搬出し、これを車外に運び出すものであったが、このような構成のものにおいては、取出し口4Cに至らない多くの破砕物がケーシング3Dの下方に落下し、路面の掘削箇所に残ってゆく問題に鑑みて、回転カッター3cの高速回転による掘削で生じる破砕物を前方上方に放出し、これら破砕物を受止めて車巾方向に強制移送させて取出し口に集め、取出し口の破砕物を順次外部に搬出するようにしたものであり、
回転掘削放出手段3は、回転ドラム3aに掘削爪3bが複数条の螺旋条に植設された回転カッター3cに構成され、そのハウジング3dを介して昇降基体10の後部に搭載され、
回転掘削放出手段3の前方の昇降基体10に搭載されている移送取出し手段4は、断面が略円弧状のカバー体4aと、カバー体4aの後方において駆動回転自在に配設されるリボンスクリュー4bとから構成され、回転カッター3cからの破砕物が、長尺なリボンスクリュー4bのいずれの箇所に投入されても、リボンスクリュー4bの回転で、中央部に向けて移送して、取出し口4cへと集めて取出すことができ、
移送取出し手段4のカバー体4aに形成された取出し口4cの前方には、搬出手段5としの搬出コンベア14が配設され、この搬出コンベア14の終端には、首振り角度を変更自在になされた移載コンベア15が配設され、取出し口4cから次々に排出される破砕物を搬出コンベア14にて受取って搬出し、移載コンベア15に受渡し、伴走する大型ダンプカーに破砕物を移載する技術。」

(3)甲第7号証
申立人が特許異議申立てに係る証拠として提出した、本件特許出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第7号証には、次の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1および12のそれぞれのプリアンブル部に記載の自動路面切削装置、とくには大型の自動路面切削装置に関する。」

イ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1が、路面切削装置1を示しており、とくには装置フレーム4と、操舵可能なフロントアクスル2およびやはり操舵可能なリアアクスル3を備える車台とを有する大型の切削装置を示している。車台は、装置フレーム4の地面または路面8からの距離の調節を可能にする昇降支柱32を介して、装置フレーム4へと接続されている。
・・・
【0037】
地面または路面8を切削するための切削ドラム6が、切削ドラム軸7を装置フレーム4に支持させて、履帯ユニット30の間に配置されている。切削ドラム6の一方の端面が、ゼロ側12と呼ばれる装置フレーム4の外側まで達する一方で、切削ドラム6のための駆動装置は、装置フレーム4の反対側の外壁に配置されていること。」

ウ 上記した事項を踏まえると、甲第7号証から、次の技術事項が把握できると認められる。

「大型の自動路面切削装置に関し、
車台は、装置フレーム4の地面または路面8からの距離の調節を可能にする昇降支柱32を介して、装置フレーム4へと接続されていること。」

(4) 甲第8号証
申立人が特許異議申立てに係る証拠として提出した、本件特許出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第8号証には、次の事項が記載されている。
ア 「中型路面切削機CRP−160L型」(72頁表題)

イ 「・・・ここで中型機と言える1.6mの切削幅を持つCRP−160Lを紹介する。
2.仕様および構造
・・・
4本のタワーシリンダーにより車体の昇降を行い、フレーム中央の切削ドラムにより切削を行い・・・」(72頁左欄9行〜18行)

ウ 「(5)切削ドラムユニット
切削ドラムは右サイドの減速機付油圧モータと左サイドの重荷重用ローラベアリングに支持されシフトテーブルに取付けられている。・・・また、このドラムユニットは左右、計400mmのシフトができ、左サイドを基準として外に150mm出すことが可能である。このことにより縁石へのフラッシュカットや切削面の障害物の回避を容易にしている。・・・」(74頁右欄2行〜13行)

エ 第1図(73頁上)は以下のとおり。




オ 上記した事項を踏まえると、甲第8号証から、次の技術事項が把握できると認められる。

「中型路面切削機CRP−160L型は中型機であり、4本のタワーシリンダーにより車体の昇降を行い、フレーム中央の切削ドラムにより切削を行い、切削ドラムはシフトテーブルに取付けられ、左右に計400mmのシフトができること。」

(5) 甲第9号証
ア 申立人が特許異議申立てに係る証拠として提出した、本件特許出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第9号証には、次の事項が記載されている。
(ア)「【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に定義した、地表面、特に車道を粉砕する装置に関する。」

(イ)「【0018】
以下に、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、地表面2、特にアスファルト車道、コンクリート車道等を粉砕する装置を示し、この装置は、機械フレーム6を支持するトラック・アセンブリ4と、機械フレーム6で支持され、トラック・アセンブリ4の走行方向に対して横向きに延在する粉砕ロール8とを備える。粉砕の深さは、後輪の垂直方向調節によって設定される。この種の機械は、粉砕された材料を走行方向前方に搬送して運搬車両に載せるので、フロント・ローダ粉砕機と称される。粉砕ロール8の前方走行方向に、コンベヤベルト12付きの第1の搬送手段10が配置され、機械フレーム6のシャフト内に傾斜を付けて配され、粉砕された材料を別のコンベヤ・ベルト15を有する第2の搬送手段14に搬送する。第2の搬送手段14は、可変傾斜角度内で縦方向調節可能であり、さらに横方向に、たとえば±30度旋回するのに適し、それによってフロント・ローダ粉砕機の脇に停車した運搬車両に積載することができる。
【0020】
粉砕された材料をほぼすべて運搬するため、粉砕ロール8はロール・ケーシング18によって囲繞され、ケーシングの走行方向の壁に粉砕材料の通過開口22が設けられる。通過開口22は、粉砕深度の変更時であっても常に粉砕ロール8に対して同じ位置にある。
【0021】
粉砕ロール8は、螺旋状に配置された掘削工具を備え、粉砕材料がロール・ケーシング18の通過開口22へと運搬されるように配置される。
【0022】
ベルト・シュー16が機械フレーム6に縦方向調節可能に取り付けられる。ベルト・シュー16の縦方向調節は、機械フレーム17に取り付けられたピストン・シリンダ・ユニット17によって行う。このピストン・シリンダ・ユニットを用いることによって、ベルト・シューは垂直方向に持上げることができ、たとえば障害物等を越えることができる。この場合、ベルト・シュー16は下降させることはできず、所望時に上昇のみ可能である。粉砕深度が増した場合には、ベルト・シュー16の位置は地表に接することによって自動的に設定される。
【0023】
ベルト・シュー16は、搬送手段10の粉砕ロールに面する端部を収容する。搬送手段10の後端は、ベルト・シュー16と搬送手段10の間の固定点で支持される。ベルト・シュー16前端の両側にコネクティング・ストラット20が設けられ、搬送手段10に対するベルト・シュー16の旋回を防止する。
【0024】
ベルト・シュー16は、地表と平行に延在し、押さえ手段およびスライディング・シューの役をするグリッド28により構成される。グリッド28は、走行方向に平行に配向された複数のグリッド・バー32を備える。グリッド28の両側は、垂直方向の側壁33によって限定される。ベルト・シュー16の後端で、フロント・シート35が搬送手段10のコンベヤ・ベルト12とほぼ平行に延在する。ベルト・シューの後端に、コンベヤ・ベルト12を保護する保護シールド34が配置され、縁が鋭利な材料によるコンベヤ・ベルト12の損傷を防止する。走行方向にわずかに傾斜したシールド42には、上部にU字形のリセスがあり、浮いた材料の通過開口を形成する。
【0025】
図4に最もよく示してあるように、粉砕ロール8を囲繞するロール・ケーシング18に補完リセスがあり、浮いた材料の通過開口22を備える。
【0026】
ピストン・シリンダ・ユニット17の一端はベルト・シュー16の側壁33に蝶着され、他端は機械フレーム6に固定される。ピストン・シリンダ・ユニット17は、コネクティング・ストラット20に実質的に平行に延在し、ベルト・シュー16および搬送手段10によって形成される構造ユニットの持上げ手段の役をする。ピストン・シリンダ・ユニット17の傍らでは、第1のコネクティング・ロッド24が側壁33に蝶着され、このコネクティング・ロッドは第2のコネクティング・ロッド26に蝶着される。第2のコネクティング・ロッド26は、機械フレーム6に蝶着される。第2のコネクティング・ロッド26は、トグル・レバー状に屈曲し、トグル部でリンキング・ロッド30を介してベルト・シュー16の他方の側の対応する第2のコネクティング・ロッド26に接合される。したがって、コネクティング・ロッド30はベルト・シュー16の両側の平行な案内を同期させる。ピストン・シリンダ・ユニット17およびコネクティング・ストラット20は、ベルト・シューの両側に設けられる。コネクティング・ロッド24および26によってベルト・シューが平行に案内されるため、シールド42は極くわずかに旋回できるのみで、その下向きの運動は走行方向に延在する突条44によって制限される。最低位置で、突条44は当り止め36に当接する。また、ロール・ケーシング18の当り止め38は、ベルト・シュー16の粉砕ロール8側への運動を制限する。」

(ウ)「【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による地表面粉砕装置を示す図である。
【図2】最大粉砕深度における粉砕ロールに対するベルト・シューの機械フレーム内の位置を示す模式図である。
【図3】最小粉砕深度におけるベルト・シューの位置を示す図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿った上面図である。」

(エ)図2、図4は以下のとおり。
「図2

図4



イ 上記アによれば、甲第9号証には,次のような構成を備えた自走式のアスファルト車道等の粉砕装置が記載されているものと認められる。
(ア)機械フレーム6を支持するトラック・アセンブリ4と、機械フレーム6で支持され、トラック・アセンブリ4の走行方向に対して横向きに延在する粉砕ロール8とを備える。

(イ)粉砕ロール8の前方走行方向に、コンベヤベルト12付きの第1の搬送手段10が配置されており、搬送手段10の粉砕ロール8に面する端部を収容するベルト・シュー16が、縦方向に調節することが可能なように、機械フレーム10に取り付けられている。

(ウ)ベルト・シュー16の側壁に第1のコネクティング・ロッド24が蝶着され、第1のコネクティング・ロッド24は、第2のコネクティング・ロッド26に蝶着され、第2のコネクティング・ロッド26は、機械フレーム6に蝶着されている。

(エ)第2のコネクティング・ロッドは、トグル・レバー状に屈曲し、トグル部でリンキング・ロッド30を介してベルト・シュー16の他方の側に対応する第2のコネクティング・ロッド26に接合される。これにより、リンキング・ロッド30は、ベルト・シュー16の両側の平行な案内を同期させる。

(オ)ベルト・シュー16は、地表と平行に延在するグリッド28により構成され、グリッド28は、走行方向に平行に配向された複数のグリッド・バー32を備える。

(6)甲第10号証
申立人が特許異議申立てに係る証拠として提出した、本件特許出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第10号証には、次の事項が記載されている。
ア 「小型路面切削機CRP−120FL」(51頁表題)

イ 「4.切削ドラム
左右それぞれ125mm合計250mmスライドさせることにより、路肩一杯(左側)の作業時(フラッシュカット)削り残しがなく、きれいに仕上げられる。機体最後部のドラム部には、圧力調整付モールドボード(下面超硬ブレード付)が取付けられており廃材を残すことなく処理できる。」(52頁左欄1行〜7行)

ウ 「7.第1コンベア
ドラム追従式で、ドラムから排出された廃材を取り落とすことなく第2コンベヤに送る。またベルトの破損をなくするためにヘッドプーリには廃材除去ブレードを設けており、従動プーリーには散水可能なようにスプレーノズルも設け、夏場においてもコンベヤベルト裏面に廃材が付着しないような構造にしている。」(52頁左欄下から3行〜右欄4行)

エ 第1図(52頁上)は以下のとおり。




(7)甲第11号証
申立人が特許異議申立てに係る証拠として提出した甲第11号証は、範多機械株式会社常務取締役道上昌弘が、酒井重工業株式会社代表取締役酒井一郎に宛てた令和元年5月13日付けの証明願に、令和元年5月14日付けで酒井重工業株式会社代表取締役酒井一郎の署名捺印がなされたものであって、次の事項が記載されている。




(8)甲第17号証
甲第17号証は、無効審判2018−800136号事件において、平成31年2月6日に行われた検甲第1号証を目的物とする証拠調べ(検証)の結果をまとめた「第1回口頭審理及び証拠調べ調書」の写しで、検甲第1号証が以下の構成を有していることが記載されている。
「ア 品番はER550F、車台番号はMER6−10136、製造番号は10136である。[写真01、写真02、写真03、写真04、写真05、写真06、写真07]
イ 全長は9.87メートル、全幅は2.45メートルである[写真08、写真09、写真10、写真11]
ウ 車体は、車体の進行方向に見て、車体の前側に車軸及び後側に車軸を有している。車体は自走できる。[写真04、写真05]
エ 車体は、フレーム部を有し、フレーム部には、切削ローラが内部に配されたハウジング部が配置されている。[写真12、写真13]
オ ハウジング部には、単一の切削ローラが回転自在に支持されている。[写真13]
カ 切削ローラは、切削ローラを駆動するための駆動部を一体化して有している。[写真14、写真15]
キ 車体には、車体の進行方向に連なって第1、第2コンベアベルト部を有している。第1コンベアベルト部は車体内部前方に配置されており、第2コンベアベルト部は車体前方に延出して配置されている。第1、第2コンベアベルト部のコンベアベルトで運搬することによって、切削ローラにより削り取られた切削物を除去することができる。[写真06、写真16、写真17、写真18、写真19]
ク 切削ローラ及びハウジング部は車体の外側面に対して、左寄せ及び右寄せすることができる。切削ローラ及びハウジング部が前記左寄せ及び右寄せすると、第1コンベアベルト部の下端は、切削ローラにより削り取られた切削物を除去することができるように、切削ローラ及びハウジング部に追随する。[写真20、写真21、写真22、写真23、写真24、写真25]
ケ 切削ローラ及びハウジング部は、車体の垂直、横断及び進行方向にフレーム部によって支持されている。[写真26、写真27、写真28]
コ 駆動部は、切削ローラが車体の進行方向に対して横断方向に可動であり、かつ垂直方向に可動であるように、ハウジング部を介して、フレーム部に支持されている。[写真26]
サ ハウジング部の横方向前端が、フレーム部の横外側面の一つとほぼ面一にすることができる。[写真20、写真21、写真25、写真22]
シ ハウジング部は、車体の前側の車軸と後側の車軸の間に配置されている。[写真12]
ス 車体全体を前進させながら、切削作業中に切削ローラ及びハウジング部は、左右に移動させることができると共に、フレーム部の両側の横外側面のいずれにも合わせることができる。[写真20、写真21、写真25、写真22]
セ 切削ローラは、円柱形状であり、切削ローラの側面のほぼ全面に複数の略円錐状の爪部が設けられており、側面の底面よりの部分には、底面側に先端が向いている爪部が設けられている。[写真29、写真30]
ソ フレーム部には、上下方向変位用の油圧シリンダを介して車体の進行方向に互いに間隔を置いて2つの棒状ガイドが横断方向に設けられており、2つの棒状ガイドはハウジング部に取り付けられており、ハウジング部は、2つの棒状のガイドに沿って直線的に変位させることができる。1つの棒状ガイドには、水平方向変位用の油圧シリンダが取り付けられている。[写真27、写真31、写真32、写真33、写真34、写真35、写真36]
タ コンベアベルト部の下端の両側には、一体的に側板が取り付けられており、当該側板は、ハウジング部に高さ調節可能に固定されている。[写真37、写真38]
チ 側板が、ガイドを介して、高さ調節可能となっている。[写真37、写真38]
ツ ハウジング部の後端は、切削ローラによって切削される路面の切削面の横断方向に、切削面と略同じ幅で配置されている。ハウジング部の後端に沿って、3枚の板状体が横断方向に並んで、路面に向かって、高さ調節可能に垂下している。3枚の板状体は切削面と略同幅である。[写真39、写真40、写真41、写真42]
テ ハウジング部の後端は、3枚の板状体とほぼ面一である。3枚の板状体の下縁は高さ調節可能である。両側の板状体の両側縁には、側板要素が略直角に取り付けられている。側板要素の下縁は、3枚の板状体の下縁とほぼ面一であり、3枚の板状体と共に高さ調節可能である。3枚の板状体は切削面に当接可能であり、側板要素の下縁は切削面の外縁部に当接可能となっている。[写真39、写真40、写真41、写真43、写真44、写真45、写真46]
ト 側板要素は、切削作業中に3枚の板状体の幅を切削面に適合させるためのばね付勢を用いて調節可能である。[写真43、写真44、写真45、写真46]」(第1ページ下から16行〜第2ページ下から1行。)

(9)甲第1号証、甲第11号証及び甲第17号証から把握できる発明の認定
上記(1)で摘記したように、甲第1号証には、車台番号「MER6−10136」を有する「ロードカッタ ER550F」が「平成11年3月」に販売されたことが記載されている。また、甲第1号証には、前記「MER6−10136」が「平成11年3月」に自動車の「初年度登録」を受けたことが記載されており、これは甲第1号証の添付書類(3)の「初年度登録年月」の欄に「平成11年3月」と記載されていることと符合する。また、甲第1号証には、「2001.01.3A」との記載がある「ロードカッタ ER550F」のカタログが2001年(平成13年)1月に酒井重工業株式会社が発行したものであることが記載されており、これは、甲第1号証の添付書類(2)の「ロードカッタ ER550F」のカタログと認められる部分の第1ページに「ロードカッタ ER550F」と記載され、第6ページ左下に「酒井重工業株式会社」と記載され、第6ページ右下に「2001.01.3A」と記載されていることと符合する。そして、甲第1号証における初年度登録の年月及びカタログ発行の年月は、「ロードカッタ ER550F」が販売された年月と整合している。
次に、上記(7)で摘記したように、甲第11号証には、車台番号「MER6−10136」を有する「ロードカッタ ER550F」が、「平成11年3月」に自動車登録された後、「車両が変更されたり、機構及び構造が改良されたりした事実は無く、出荷当時の車両、機構及び構造を、そのまま備えている」ことが記載されている。
続いて、上記(8)で摘記したように、甲第17号証には、品番が「ER550F」で、車台番号が「MER6−10136」である車が、平成31年2月6日に、上記(8)イ〜トに挙げた事項を備えていたことが記載されている。
これらを総合すると、車台番号が「MER6−10136」である「ロードカッタ ER550F」は、販売されることにより、本件特許の優先日前である平成11年3月に、公然知られたあるいは公然実施されるところとなったと認められる。そうすると、上記(8)で摘記したところによれば、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が本件特許の優先日前に公然知られたあるいは公然実施されたものと認められる。

「以下の構成を有する大型切削機。

a 車体は、車体の進行方向に見て、車体の前側に車軸及び後側に車軸を有している。車体は自走できる。
b 車体は、フレーム部を有し、フレーム部には、切削ローラが内部に配されたハウジング部が配置されている。
c ハウジング部には、単一の切削ローラが回転自在に支持されている。
d 切削ローラは、切削ローラを駆動するための駆動部を一体化して有している。
e 車体には、車体の進行方向に連なって第1、第2コンベアベルト部を有している。第1コンベアベルト部は車体内部前方に配置されており、第2コンベアベルト部は車体前方に延出して配置されている。第1、第2コンベアベルト部のコンベアベルトで運搬することによって、切削ローラにより削り取られた切削物を除去することができる。
f 切削ローラ及びハウジング部は車体の外側面に対して、左寄せ及び右寄せすることができる。切削ローラ及びハウジング部が前記左寄せ及び右寄せすると、第1コンベアベルト部の下端は、切削ローラにより削り取られた切削物を除去することができるように、切削ローラ及びハウジング部に追随する。
g 切削ローラ及びハウジング部は、車体の垂直、横断及び進行方向にフレーム部によって支持されている。
h 駆動部は、切削ローラが車体の進行方向に対して横断方向に可動であり、かつ垂直方向に可動であるように、ハウジング部を介して、フレーム部に支持されている。
i ハウジング部の横方向前端が、フレーム部の横外側面の一つとほぼ面一にすることができる。
j ハウジング部は、車体の前側の車軸と後側の車軸の間に配置されている。
k 車体全体を前進させながら、切削作業中に切削ローラ及びハウジング部は、左右に移動させることができると共に、フレーム部の両側の横外側面のいずれにも合わせることができる。
l 切削ローラは、円柱形状であり、切削ローラの側面のほぼ全面に複数の略円錐状の爪部が設けられており、側面の底面よりの部分には、底面側に先端が向いている爪部が設けられている。
m フレーム部には、上下方向変位用の油圧シリンダを介して車体の進行方向に互いに間隔を置いて2つの棒状ガイドが横断方向に設けられており、2つの棒状ガイドはハウジング部に取り付けられており、ハウジング部は、2つの棒状のガイドに沿って直線的に変位させることができる。1つの棒状ガイドには、水平方向変位用の油圧シリンダが取り付けられている。
n コンベアベルト部の下端の両側には、一体的に側板が取り付けられており、当該側板は、ハウジング部に高さ調節可能に固定されている。
o 側板が、ガイドを介して、高さ調節可能となっている。
p ハウジング部の後端は、切削ローラによって切削される路面の切削面の横断方向に、切削面と略同じ幅で配置されている。ハウジング部の後端に沿って、3枚の板状体が横断方向に並んで、路面に向かって、高さ調節可能に垂下している。3枚の板状体は切削面と略同幅である。
q ハウジング部の後端は、3枚の板状体とほぼ面一である。3枚の板状体の下縁は高さ調節可能である。両側の板状体の両側縁には、側板要素が略直角に取り付けられている。側板要素の下縁は、3枚の板状体の下縁とほぼ面一であり、3枚の板状体と共に高さ調節可能である。3枚の板状体は切削面に当接可能であり、側板要素の下縁は切削面の外縁部に当接可能となっている。
r 側板要素は、切削作業中に3枚の板状体の幅を切削面に適合させるためのばね付勢を用いて調節可能である。」

3 令和3年5月7日付け取消理由通知<決定の予告>で通知した取消理由についての判断
(1)本件訂正発明1について
ア 対比
本件訂正発明1と引用発明1とを対比する。

(ア)引用発明1の「車体」、「前側」の「車軸」、「後側」の「車軸」は、それぞれ本件訂正発明1の「車体」、「前車軸」、「後車軸」に相当する。また、引用発明1の「車体」は「自走できる」ものであり、また、「大型切削機」が備える「切削ローラによって」「路面」が「切削される」のであるから、引用発明1の「大型切削機」は、本件訂正発明1の「大型自走式道路切削機」又は「自走式道路切削機」に相当する。

(イ)引用発明1においては、「車体は、フレーム部を有し、フレーム部には、切削ローラが内部に配されたハウジング部が配置されている」こと及び「ハウジング部には、単一の切削ローラが回転自在に支持されている」ことを踏まえると、引用発明1の「フレーム部」は、本件訂正発明1の「前記車体(4)により支持された機械フレーム(8)」に相当し、同様に「ハウジング部」は、「前記機械フレーム(8)に配置された切削ローラハウジング(10)」に、「切削ローラ」は、「前記切削ローラハウジング(10)に回転自在に支持された単一の切削ローラ(12)」に、それぞれ相当する。

(ウ)引用発明1の「ハウジング部は、車体の前側の車軸と後側の車軸の間に配置されている」ことは、本件訂正発明1の「切削ローラハウジング(10)」が、「前記前車軸」と「前記後車軸」との「間に配置され」ることに相当する。

(エ)引用発明1においては、「切削ローラは、切削ローラを駆動するための駆動部を一体化して有している」ところ、その「駆動部」は、本件訂正発明1の「前記切削ローラ(12)に一体化された切削ローラ駆動ユニット(14)」に相当する。

(オ)引用発明1の「第1、第2コンベアベルト部」は、本件訂正発明1の「コンベヤベルト手段(18)」に相当し、引用発明1が、「第1、第2コンベアベルト部」に関して、「車体には、車体の進行方向に連なって第1、第2コンベアベルト部を有している。第1コンベアベルト部は車体内部前方に配置されており、第2コンベアベルト部は車体前方に延出して配置されている。第1、第2コンベアベルト部のコンベアベルトで運搬することによって、切削ローラにより削り取られた切削物を除去することができる」こと、及び「切削ローラ及びハウジング部は車体の外側面に対して、左寄せ及び右寄せすることができる。切削ローラ及びハウジング部が前記左寄せ及び右寄せすると、第1コンベアベルト部の下端は、切削ローラにより削り取られた切削物を除去することができるように、切削ローラ及びハウジング部に追随する」ことは、本件訂正発明1の「コンベヤベルト手段(18)」が、「進行方向に見て前方向に前記切削ローラ(12)により削り取られた切削物を除去するための、前記切削ローラハウジング(10)と協働する」ことに相当する。

(カ)引用発明1の「ハウジング部の横方向前端が、フレーム部の横外側面の一つとほぼ面一にすることができ」、また、「車体全体を前進させながら、切削作業中に切削ローラ及びハウジング部は、左右に移動させることができると共に、フレーム部の両側の横外側面のいずれにも合わせることができる」ことは、本件訂正発明1の「前記切削ローラハウジング(10)の横方向先端が、縁部または障害物のできるだけ近くで切削が行われるようにするために、前記機械フレーム(8)の横外側面(26,28)の一つ、いわゆるゼロ側と選択的にほぼ面一である」ことに相当する。

(キ)上記(エ)で検討したように、引用発明1は、「駆動部」(切削ローラ駆動ユニット(14))が「切削ローラ」(切削ローラ(12))に「一体化」されていることを踏まえると、引用発明1の「車体全体を前進させながら、切削作業中に切削ローラ及びハウジング部は、左右に移動させることができ」ることは、本件訂正発明1の、「前記切削ローラ(12)が、前記切削ローラハウジング(10)および前記切削ローラ駆動ユニット(14)と共に切削作業中に変位可能であり、」に相当するといえる。

(ク)引用発明1は、「フレーム部には、・・・車体の進行方向に互いに間隔を置いて2つの棒状ガイドが横断方向に設けられており、2つの棒状ガイドはハウジング部に取り付けられており、ハウジング部は、2つの棒状のガイドに沿って直線的に変位させることができる」ことに加えて、前記「2つの棒状ガイド」のうち、「1つの棒状ガイド」には、「水平方向変位用の油圧シリンダが取り付けられている」ものである。引用発明1の前記「2つの棒状ガイド」は、本件訂正発明1の「軸受」に相当し、そのうち一方の、「水平方向変位用の油圧シリンダが取り付けられ」ている「1つの棒状ガイド」は、この「水平方向変位用の油圧シリンダ」が伸縮を経て所定の位置で止まる際に、当該「水平方向変位用の油圧シリンダ」に従い、それと協働してハウジング部の「位置決め」を行うものであるといえるから、本件訂正発明1の「位置決め軸受」に相当し、他方の「棒状ガイド」は、本件訂正発明1の「非位置決め軸受」に相当する。そして、引用発明1は、上記したように「フレーム部」に「車体の進行方向に互いに間隔を置いて2つの棒状ガイド」が「設けられ」、「2つの棒状ガイドはハウジング部に取り付けられ」ているのであるから、「フレーム部」は、「2つの棒状ガイド」を介して「ハウジング部」を「支持」しているということができ、当該「支持」する部分が、本件訂正発明1の「支持体」に相当するといえる。
また、引用発明1は、「切削ローラ及びハウジング部は、車体の垂直、横断及び進行方向にフレーム部によって支持され」たものであるから、引用発明1において、「フレーム部」には「車体の進行方向に互いに間隔を置いて2つの棒状ガイドが横断方向に設けられており、2つの棒状ガイドはハウジング部に取り付けられており、ハウジング部は、2つの棒状のガイドに沿って直線的に変位させることができる」ことに加えて、「2つの棒状ガイド」のうち、「1つの棒状ガイド」には「水平方向変位用の油圧シリンダが取り付けられ」ており、「切削ローラ及びハウジング部は、車体の垂直、横断及び進行方向にフレーム部によって支持され」たものであることと、本件訂正発明1の、「前記機械フレーム(8)において前記切削ローラハウジング(10)の支持体は、位置決め軸受と非位置決め軸受とを具備し、前記切削ローラ(12)が上下方向および進行方向に移動しないように上下方向および進行方向に前記切削ローラ(12)を強固に支持し、」とは、「前記機械フレーム(8)において前記切削ローラハウジング(10)の支持体は、位置決め軸受と非位置決め軸受とを具備し、上下方向および進行方向に前記切削ローラ(12)を支持し、」で共通するといえる。

(ケ)引用発明1の「フレーム部には、上下方向変位用の油圧シリンダを介して車体の進行方向に互いに間隔を置いて2つの棒状ガイドが横断方向に設けられており、2つの棒状ガイドはハウジング部に取り付けられており、ハウジング部は、2つの棒状のガイドに沿って直線的に変位させることができる。」ことは、本件訂正発明1の「前記切削ローラハウジング(10)を、前記機械フレーム(8)の進行方向に互いに間隔を置いて配置された2つのリニアガイド(34,36)に沿って直線的に変位させること」に相当する。

(コ)上記(ク)で検討したとおり、引用発明1の「1つの棒状ガイドには、水平方向変位用の油圧シリンダが取り付けられ」ているので、当該「1つの棒状ガイド」は、油圧シリンダと協働して位置決めを行うことができるから、本件訂正発明1の「第1のガイド(34)」に相当する。また、引用発明1のもう一つの「棒状ガイド」は、油圧シリンダがないので位置決めを行うことができないから、本件訂正発明1の「第2のガイド(36)」に相当する。

(サ)上記(ク)ないし(コ)の対比を踏まえると、引用発明1の「フレーム部には、上下方向変位用の油圧シリンダを介して車体の進行方向に互いに間隔を置いて2つの棒状ガイドが横断方向に設けられており、2つの棒状ガイドはハウジング部に取り付けられており、ハウジング部は、2つの棒状のガイドに沿って直線的に変位させることができ」、「1つの棒状ガイドには、水平方向変位用の油圧シリンダが取り付けられている」ことは、本件訂正発明1の「前記リニアガイドの第1のガイド(34)が前記位置決め軸受を画定する筒状ガイドであり、前記リニアガイドの第2のガイド(36)」が、「前記非位置決め軸受を画定するガイドであ」ることに相当する。

(シ)したがって、両者は、次の一致点で一致し、相違点1〜4で相違する。

(一致点)
「車体と、
進行方向に見て、前記車体の前車軸および後車軸と、
前記車体により支持された機械フレームと、
前記前車軸と前記後車軸との間で前記機械フレームに配置された切削ローラハウジングと、
前記切削ローラハウジングに回転自在に支持された単一の切削ローラと、
前記切削ローラに一体化された切削ローラ駆動ユニットと、
進行方向に見て前方向に前記切削ローラにより削り取られた切削物を除去するための、前記切削ローラハウジングと協働するコンベヤベルト手段と、を具備する路面切削用の大型自走式道路切削機であって、
前記切削ローラハウジングの横方向前端が、縁部または障害物のできるだけ近くで切削が行われるようにするために、前記機械フレームの横外側面の一つ、いわゆるゼロ側と選択的にほぼ面一である、自走式道路切削機において、
前記切削ローラハウジングが、前記前車軸および前記後車軸の間に配置され、前記切削ローラが、前記切削ローラハウジングおよび前記切削ローラ駆動ユニットと共に切削作業中に変位可能であり、前記機械フレームにおいて前記切削ローラハウジングの支持体は、位置決め軸受と非位置決め軸受とを具備し、
上下方向および進行方向に前記切削ローラを支持し、
前記切削ローラハウジングを、前記機械フレームの進行方向に互いに間隔を置いて配置された2つのリニアガイドに沿って直線的に変位させ、
前記リニアガイドの第1のガイドが前記位置決め軸受を画定する筒状ガイドであり、前記リニアガイドの第2のガイドが、前記非位置決め軸受を画定するガイドである、自走式道路切削機。」

(相違点1)
高さ調節に関して、本件訂正発明1は、「車体」が「高さ調節可能」であるのに対し、引用発明1は「切削ローラ(ハウジング部)」が「垂直方向に可動」である点。

(相違点2)
切削ローラの支持に関して、本件訂正発明1は、「切削ローラ(12)が上下方向および進行方向に移動しないように」、「上下方向および進行方向」に切削ローラを「強固に」支持するのに対し、引用発明1は、そのように特定されていない点。

(相違点3)
「非位置決め軸受」を画定するガイドである「第2のガイド」が、本件訂正発明1では「フランジ部(41)を用いて前記機械フレーム(8)の下側に固定された梁(39)の上側と下側の両方に設けられた平面(37,37)と、前記切削ローラハウジング(10)に固定され、前記平面(37,37)を取り囲むガイド部(43)が具備する前記梁(39)の上側と下側に設けられた前記平面(37,37)と接している平面(38,38)との間に配置される」のに対し、引用発明1は、棒状ガイドである点。

(相違点4)
本件訂正発明1では、「前記コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備し、前記受けソケット(48)が前記コンベヤベルト手段(18)の前記下端(44)の、前記受けソケット(48)の形状に適合された下側と協働する」と特定されているのに対し、引用発明1は、そのように特定されていない点。

イ 相違点についての判断
(ア)相違点4について
事案に鑑み、まず、相違点4について検討する。
a 甲第9号証に記載された自走式のアスファルト車道等の粉砕装置の「コンベヤベルト12」及び「ベルト・シュー」は、本件訂正発明1の「コンベヤベルト手段(18)」及び「ベルトシュー(40)」に相当するといえる。
しかし、甲第9号証には、「ベルト・シュー16」について、「地表と平行に延在するグリッド28により構成され、グリッド28は、走行方向に平行に配向された複数のグリッド・バー32を備える」ことが記載されるのみで、コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備することについて記載も示唆もされていない。

b 甲第6号証(甲6技術事項B)には、「回転ドラム3Aに掘削爪3Bが多数植設された回転カッター3C」(切削ローラ)の回転によって「掘削」された「破砕物」(切削物)を除去するにあたり、「搬出コンベア14」及び「移載コンベア15」を用いることが記載されている。
しかし、甲第6号証には、「コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)」について記載も示唆もされておらず、当然、ベルトシュー(40)がコンベヤベルト手段(18)の下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備することについて、記載も示唆もされていない。

c 甲第7号証、甲第8号証及び甲第10号証には、切削ドラムとベルトコンベヤとを有する路面切削機が記載されているが、両者の連結の態様については記載が無く、「コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)」についても、「ベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備する」ことについても記載も示唆もされていない。

d なお、甲第2〜5号証ないし甲第12〜16号証は、引用発明1に係る車台番号「MER6−10136」を有する「ロードカッタ ER550F」に関して提出された、本件特許出願の優先日より後の日付の証拠であり、甲第18号証は、「シフトテーブル」の技術的意義の説明のために提出された、本件特許出願の優先日より後の日付の証拠であるから、いずれも、本件特許出願の優先日より前に、道路切削機が「コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)」を備え、「ベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備する」ことが公知であったことを示す証拠となるものではない。

e 上記a〜dで検討したように、本件訂正発明1の相違点4に係る「コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備」することは、引用発明1及び甲第6号証ないし甲第10号証のいずれにも記載も示唆もされておらず、引用発明1において、「前記コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備し、前記受けソケット(48)が前記コンベヤベルト手段(18)の前記下端(44)の、前記受けソケット(48)の形状に適合された下側と協働する」ものとして相違点4に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者といえども、容易に想到し得たことではない。

f よって、相違点1ないし3について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、引用発明1及び甲第6号証ないし甲第10号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 小括
以上のとおり、本件訂正発明1は、引用発明1及び甲第6号証ないし甲第10号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件訂正発明4〜6及び11〜13について
本件訂正発明4〜6及び11〜13は、本件訂正発明1を引用し、さらに限定した発明であり、本件訂正発明1については上記(1)において検討したとおりである。
そうすると、本件訂正発明4〜6及び11〜13は、引用発明1及び甲第6号証ないし甲第10号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件訂正発明14について
ア 対比
本件訂正発明14は、方法の発明であるが、実質的に、本件訂正発明1と同様の構成を有し、さらに、「機械フレーム(8)」の「横外側面(26,28)」の「一つ」である「ゼロ側」が、「前記機械フレーム(8)の一方の外側面(26,28)またはその反対側の外側面(26,28)に選択的に画定されるように適合され、前記切削ローラ(12)が前記切削ローラハウジング(10)および前記切削ローラ駆動ユニット(14)と共に進行方向に対して横断方向に変位可能に支持され」た点を有したものである。

一方、引用発明1に係る「大型切削機」は、甲第1号証によれば「ロードカッタ ER550F」であるから、路面の切削に用いられることは明らかである。そうすると、甲第1号証、甲第11号証及び甲第17号証からは、引用発明1の大型切削機を用いた路面の切削方法の発明(以下「引用方法発明1」という。)が、本件特許の優先日前に公然知られたあるいは公然実施されたものであることも認めることができる。
そして、引用方法発明1は、「切削ローラ」(切削ローラ(12))及び「ハウジング部」(ローラハウジング(10))が、車体の垂直、横断及び進行方向にフレーム部によって「支持され」て、「左右に移動させることができ」るものであり、さらに、上記(1)ア(エ)で説示したように、駆動部(切削ローラ駆動ユニット(14))と一体化されているのであるから、引用方法発明1は、本件訂正発明14における、上記した、「機械フレーム(8)」の「横外側面(26,28)」の「一つ」である「ゼロ側」が、「前記機械フレーム(8)の一方の外側面(26,28)またはその反対側の外側面(26,28)に選択的に画定されるように適合され、前記切削ローラ(12)が前記切削ローラハウジング(10)および前記切削ローラ駆動ユニット(14)と共に進行方向に対して横断方向に変位可能に支持され」た点を備えたものである。

そうすると、本件訂正発明14と引用方法発明1とは、少なくとも、上記(1)アの相違点1〜4と同様の点で相違する。

イ 相違点についての判断
事案に鑑み、まず、相違点4について検討する。
相違点4についての判断は、上記(1)イと同様であり、引用方法発明1に甲第6号証ないし甲第10号証に記載された事項を適用して、相違点4に係る本件訂正発明14の構成とすることは、当業者といえども、容易に想到し得たことではない。
よって、相違点1ないし3について検討するまでもなく、本件訂正発明14は、引用方法発明1及び甲第6号証ないし甲第10号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 小括
以上のとおり、本件訂正発明14は、引用方法発明1及び甲第6号証ないし甲第10号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)まとめ
以上のとおり、本件訂正発明1、4〜6、11〜14は、引用発明1又は引用方法発明1並びに甲第6号証ないし甲第10号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4 令和3年9月6日付け取消理由通知で通知した取消理由についての判断
令和3年12月9日付けの訂正により、本件訂正発明14は、「大型自動式道路切削機(1)」が「進行方向に見て前方向に前記切削ローラ(12)により削り取られた切削物を除去するための、前記切削ローラハウジング(10)と協働するコンベヤベルト手段(18)」を備えるものに特定され、その結果、「前記コンベヤベルト手段(18)」の指す「コンベヤベルト手段(18)」が明らかとなり、発明が明確となった。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由についての判断
上記第2のとおり、本件訂正により請求項2及び3は削除された。
その結果、請求項2及び3に係る異議申立ては、申立ての対象が存在しないものとなった。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正発明1、4〜6、11〜14に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件訂正発明1、4〜6、11〜14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件特許の請求項2及び3に対する本件特許異議の申立ては、申立ての対象となる請求項が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定によって却下すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。


 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ調節可能な車体(4)と、
進行方向に見て、前記車体の前車軸および後車軸と、
前記車体(4)により支持された機械フレーム(8)と、
前記前車軸と前記後車軸との間で前記機械フレーム(8)に配置された切削ローラハウジング(10)と、
前記切削ローラハウジング(10)に回転自在に支持された単一の切削ローラ(12)と、
前記切削ローラ(12)に一体化された切削ローラ駆動ユニット(14)と、
進行方向に見て前方向に前記切削ローラ(12)により削り取られた切削物を除去するための、前記切削ローラハウジング(10)と協働するコンベヤベルト手段(18)と、を具備する路面(2)切削用の大型自走式道路切削機(1)であって、
前記切削ローラハウジング(10)の横方向先端が、縁部または障害物のできるだけ近くで切削が行われるようにするために、前記機械フレーム(8)の横外側面(26,28)の一つ、いわゆるゼロ側と選択的にほぼ面一である、自走式道路切削機(1)において、
前記切削ローラハウジング(10)が、前記前車軸および前記後車軸の間に配置され、前記切削ローラ(12)が、前記切削ローラハウジング(10)および前記切削ローラ駆動ユニット(14)と共に切削作業中に変位可能であり、前記機械フレーム(8)において前記切削ローラハウジング(10)の支持体は、位置決め軸受と非位置決め軸受とを具備し、前記切削ローラ(12)が上下方向および進行方向に移動しないように上下方向および進行方向に前記切削ローラ(12)を強固に支持し、
前記切削ローラハウジング(10)を、前記機械フレーム(8)の進行方向に互いに間隔を置いて配置された2つのリニアガイド(34,36)に沿って直線的に変位させ、
前記リニアガイドの第1のガイド(34)が前記位置決め軸受を画定する筒状ガイドであり、前記リニアガイドの第2のガイド(36)が、フランジ部(41)を用いて前記機械フレーム(8)の下側に固定された梁(39)の上側と下側の両方に設けられた平面(37,37)と、前記切削ローラハウジング(10)に固定され、前記平面(37,37)を取り囲むガイド部(43)が具備する前記梁(39)の上側と下側に設けられた前記平面(37,37)と接している平面(38,38)との間に配置されるとともに、前記非位置決め軸受を画定するガイドであり、前記コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備し、前記受けソケット(48)が前記コンベヤベルト手段(18)の前記下端(44)の、前記受けソケット(48)の形状に適合された下側と協働することを特徴とする、自走式道路切削機。
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】
前記切削ローラ(12)の最大横走行距離が、500〜1000mmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の自走式道路切削機。
【請求項5】
前記コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記切削ローラハウジング(10)に高さ調節可能に固定されることを特徴とする、請求項1または4に記載の自走式道路切削機。
【請求項6】
前記コンベヤベルト手段(18)が、前記ベルトシュー(40)に関節連結されることを特徴とする、請求項5に記載の自走式道路切削機。
【請求項7】(削除)
【請求項8】
前記コンベヤベルト手段(18)の前側上端(46)が、前記コンベヤベルト手段(18)の長手方向軸線に沿って直線的に変位可能であるように、カルダン継手により前記機械フレーム(8)に支持されることを特徴とする、請求項1、4〜6のいずれか一項に記載の自走式道路切削機。
【請求項9】
可撓性の支持を確保するために、少なくとも前記前側上端(46)において、前記コンベヤベルト手段(18)が、前記コンベヤベルトの方向に延びかつ凸状の軸受面を有する支持要素(52)を下側に具備し、前記支持要素(52)が、横方向に案内されるとともに、凸状の支持面を有しかつ前記機械フレーム(8)に進行方向に対して横断方向に固定されたフレーム側支持要素(56)に載置されることを特徴とする、請求項8に記載の自走式道路切削機。
【請求項10】
前記支持要素(52)および/または前記フレーム側支持要素(56)が、丸みを帯びた断面の形状または中空形状により画定されることを特徴とする、請求項8または9に記載の自走式道路切削機。
【請求項11】
前記ベルトシュー(40)が、同期ガイド(60)を介して高さ調節可能であることを特徴とする、請求項5に記載の自走式道路切削機。
【請求項12】
進行方向に見て、前記切削ローラハウジング(10)の後端が、前記切削ローラ(12)の切削軌道(68)に横方向に載置されるとともに、前記路面(2)に実質的に直交して延びる前記切削軌道(68)の切削縁(70)に対して弾性的に当接される高さ調節可能なストリッパシールド(64)と面一であることを特徴とする、請求項1、4〜6、8〜11のいずれか一項に記載の自走式道路切削機。
【請求項13】
進行方向に見て、前記切削ローラハウジング(10)の前記後端は、下縁(78)が前記ストリッパシールド(64)と実質的に面一であるとともに、前記ストリッパシールド(64)と共に高さ調節可能であるそれぞれの可動シールド要素(74)を両側端に具備する高さ調節可能な前記ストリッパシールド(64)と面一であり、前記可動シールド要素(74)が、前記ストリッパシールド(64)と共に、切削作業中にストリッパシールド幅を前記切削軌道(68)に動的に適合させるばね付勢に抗して調節可能であることを特徴とする、請求項12に記載の自走式道路切削機。
【請求項14】
大型自走式道路切削機(1)を用いた路面(2)の切削の方法であって、
前記自走式道路切削機(1)が、
横外側面(26,28)を含む機械フレーム(8)と、
切削ローラハウジング(10)に支持された単一の回転可能な切削ローラ(12)と、
前記切削ローラ(12)に一体化された切削ローラ駆動ユニット(14)と、
進行方向に見て前方向に前記切削ローラ(12)により削り取られた切削物を除去するための、前記切削ローラハウジング(10)と協働するコンベヤベルト手段(18)と、を具備し、
前記切削ローラハウジング(10)の横方向先端(22)が、縁部または障害物のできるだけ近くで切削が行われるようにするために、前記機械フレーム(8)の横外側面(26,28)の一つ、いわゆるゼロ側と選択的にほぼ面一である、路面(2)の切削の方法において、
前記ゼロ側が前記機械フレーム(8)の一方の外側面(26,28)またはその反対側の外側面(26,28)に選択的に画定されるように適合され、前記切削ローラ(12)が前記切削ローラハウジング(10)および前記切削ローラ駆動ユニット(14)と共に進行方向に対して横断方向に変位可能に支持され、
前記切削ローラ(12)は、前記切削ローラハウジング(10)および前記切削ローラ駆動ユニット(14)と共に切削作業中に変位可能であり、前記切削ローラハウジング(10)は、位置決め軸受および非位置決め軸受によって前記切削ローラ(12)が上下方向および進行方向に移動しないように上下方向および進行方向で強固に支持され、
前記切削ローラハウジング(10)を、前記機械フレーム(8)の進行方向に互いに間隔を置いて配置された2つのリニアガイド(34,36)に沿って直線的に変位させ、
前記リニアガイドの第1のガイド(34)が前記位置決め軸受を画定する筒状ガイドであり、前記リニアガイドの第2のガイド(36)が、フランジ部(41)を用いて前記機械フレーム(8)の下側に固定された梁(39)の上側と下側の両方に設けられた平面(37,37)と、前記切削ローラハウジング(10)に固定され、前記平面(37,37)を取り囲むガイド部(43)が具備する前記梁(39)の上側と下側に設けられた前記平面(37,37)と接している平面(38,38)との間に配置されるとともに、前記非位置決め軸受を画定するガイドであり、
前記コンベヤベルト手段(18)の下端(44)を受けるためのベルトシュー(40)が、前記下端(44)を関節連結により受けるための凹状の受けソケット(48)を具備し、前記受けソケット(48)が前記コンベヤベルト手段(18)の前記下端(44)の、前記受けソケット(48)の形状に適合された下側と協働することを特徴とする、路面の切削の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照
異議決定日 2022-03-18 
出願番号 P2016-215255
審決分類 P 1 652・ 537- YAA (E01C)
P 1 652・ 121- YAA (E01C)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 森次 顕
特許庁審判官 土屋 真理子
西田 秀彦
登録日 2018-11-09 
登録番号 6429157
権利者 ヴィルトゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
発明の名称 路面切削用の自走式道路切削機、特に大型切削機、および路面切削の方法  
代理人 山本 泰史  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 須田 洋之  
代理人 鈴木 博子  
代理人 山本 泰史  
代理人 須田 洋之  
代理人 岩上 健  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 ▲吉▼田 和彦  
代理人 ▲高▼山 嘉成  
代理人 鈴木 博子  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 ▲吉▼田 和彦  
代理人 岩上 健  
代理人 田中 伸一郎  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ