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審決分類 |
審判 補正却下の決定 判示事項別分類コード:2 D05B 審判 補正却下の決定 特29条特許要件(新規) D05B |
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管理番号 | 1014722 |
審判番号 | 審判1998-5093 |
総通号数 | 11 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1991-11-08 |
種別 | 補正却下の決定 |
確定日 | 2000-01-14 |
事件の表示 | 平成2年特許願第47535号「ミシンにおける糸巻装置」拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり決定する。 |
結論 | 平成8年9月17日付けの手続補正を却下する。 |
理由 |
平成8年9月17日付の手続補正は、出願当初の特許請求の範囲の 「1.主軸とモータ部に嵌着されたクラッチ機構の係合段部に停止ソレノイドによって係止体を離間、係合することにより、前記主軸とモータ回転部との連結または切り離を行って縫製または糸巻きを行うようにしたミシンにおいて、糸巻スイッチがオンの状態でスピードコントローラをオンにしたとき、主軸位相検知装置から所定位相の信号を検知して前記停止ソレノイドへ電流を供給する手段と、前記糸巻スイッチをオフにしたときモータ制御信号をオフにしてし、モータ回転検出器からの信号が一定時間変化しない時、前記停止ソレノイドヘの電流をオフにする手段とからなるミシンにおける糸巻き装置。」 の記載を、 「1.ボビンを装着した糸巻軸をモータと連動するプーリーに係合保持すると糸巻スイッチがオンし、モータの起動スイッチがオンされるとモータを起動して糸巻を開始し、所定量の糸巻後に糸巻軸をプーリーから離脱すると、前記糸巻スイッチがオフしてモータを停止する糸巻装置と、 プーリーと主軸との間に嵌着されたばねクラッチ機構の係合体に、停止ソレノイドによって係止体を離間または係合することにより、前記プーリーと主軸との連結または切り離を行うようにした停止制御装置と、 前記糸巻スイッチがオンされ、かつ起動スイッチをオンにしたとき前記停止ソレノイドヘの通電をオンして、前記係合体に係止体を契合する手段と、 前記糸巻スイッチがオフしてモータを停止した後、前記停止ソレノイドヘの通電をオフし、前記ばねクラッチ機構の係合体と停止ソレノイドの係止体が離間する間は起動スイッチ操作を無効とする手段とを備えたことを特徴とするミシンにおける糸巻き装置。」 と補正し、あわせて、明細書の発明の詳細な説明の記載をも補正しようとするものである。 ここで問題となるのは、補正後の特許請求の範囲の、「前記糸巻きスイッチがオフしてモータを停止した後、前記停止ソレノイドヘの通電をオフし、前記ばねクラッチ機構の係合体と停止ソレノイドの係止体が離間する間は起動スイッチ操作を無効とする手段とを備えた」の記載および、それに関連する発明の詳細な記載の補正個所である。 以下、この点について検討する。 出願当初の明細書には、糸巻スイッチをオフにしたとき、モータが停止した後に停止ソレノイドヘの電流をオフにしたその後の「再起動」については、[発明が解決しようとする課題]の記載において、従来のミシンの停止制御装置の問題点として、「……ソレノイド10への駆動信号がオフになっても、係止体7がばね8によって元の位置へ移動するための時間がかかるため、係止体7の係止部7aが切り離しの位置に戻る前にモータを起動させると、係止体7の切り離し不良が発生する恐れがある」(以下、[記載A」という)と記載され、実施例の記載において、図面とともに、「時刻t6に信号STSOLによりソレノイド駆動装置25に低レベルを出力することにより、停止ソレノイド10をオフにし(ステップ19)、主軸とモータ部を連結する。信号STSOLを低レベルにしてタイマを起動する(ステップ20)。そしてタイマが一定時間△t7経過したかどうか判断する(ステップ21)。この一定時間△t7は信号STSOLが低レベルになってから機械的にばねクラッチ機構が外れるまでの保証時間であり、この一定時間△t7が経過した後、時刻t7に糸巻き制御を終了し、次動作の起動可能状態となる。」(以下、「記載B」という)と記載されているのみである。 そこで、上記の記載についてさらに検討しても、出願当初の明細書には、上記記載Aに次いで、「本発明は、糸巻き終了時の……モータを停止した後、停止クラッチをオフにして、主軸とモータ部とを連結させることにより、ミシンの停止位置が動くことなく、停止精度が向上するミシンを提供することを目的とするものである。」と記載されてはいるが、そのほかに、発明の目的が、「主軸とモータを連結する時、モータの起動スイッチがオンされても、係止体の係止部が係合段部から離間して主軸とモータとの機械的な連結が完了するまでの間はモータを起動しないようにする」(補正後の明細書の発明の詳細な説明の、[発明が解決しようとする課題])ものであるということも、そのための手段についても何も記載されていない。 また、上記の記載Bは、図面を参照しても、停止ソレノイドをオフにする信号が出力されてからばねクラッチ機構が外れるまでの時間の経過をタイマによって判断することを開示するにとどまり、その時間内に起動スイッチ操作がなされたときそれを無効にする手段が備えられていることまでを示唆するものではない。 以上のとおりであるので、補正後の特許請求の範囲の、「前記糸巻きスイッチがオフしてモータを停止した後、前記停止ソレノイドヘの通電をオフし、前記ばねクラッチ機構の係合体と停止ソレノイドの係止体が離間する間は起動スイッチ操作を無効とする手段とを備えた」と記載された点は、出願当初の明細書及び図面に何ら記載されておらず、また、それらの記載から自明の事項ということもできない。 したがって、上記の平成8年9月17日付の手続補正は、願書に最初に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内でないものとなり、願書に最初に添付した明細書および図面の要旨を変更するものであって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条の規定によりなお従前の例によるとされる特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって結論のとおり決定する。 |
決定日 | 1999-10-01 |
出願番号 | 特願平2-47535 |
審決分類 |
P
1
93・
1-
(D05B)
P 1 93・ 2- (D05B) |
特許庁審判長 |
佐藤 雪枝 |
特許庁審判官 |
鈴木 美知子 船越 巧子 |
発明の名称 | ミシンにおける糸巻装置 |