• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G11B
管理番号 1035810
異議申立番号 異議1999-73324  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-12-17 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-09-03 
確定日 2001-04-04 
異議申立件数
事件の表示 特許第2864007号「ディスクカートリッジ」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2864007号の請求項1、2に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続きの経緯
実用新案登録出願 平成4年5月28日
特許出願変更 平成8年5月23日
特許権設定登録 平成10年12月18日
特許異議の申立て 平成11年9月3日
(異議申立人水越百合子)
特許異議の申立て 平成11年9月3日
(異議申立人シャープ株式会社)
取消理由通知 平成12年1月21日
意見 平成12年4月3日
訂正請求 平成12年4月3日
取消理由通知(兼訂正拒絶理由通知)
平成12年4月24日
意見 平成12年7月6日

2.訂正の適法性
(1)本件訂正発明
平成12年4月3日付けで提出された訂正特許明細書の請求項1に係る発明(以下、「本件訂正発明」という。)は、特許明細書の請求項1を削除し、請求項2を繰り上げて、これを請求項1としたものに係る発明であって、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】ケース内部に硬質のディスク状媒体を回転可能に収納し、該ケース並びにケース開口部に挿入されるヘッドに非接触状態下で前記ディスク状媒体が回転するディスクカートリッジであって、前記ディスク状媒体の電気抵抗よりも前記ケースの電気抵抗を高く構成すると共に、前記ケースを、ディスク状媒体と対向するケースの少なくともケース内面の硬さをディスク状媒体の硬さよりも低く構成したことを特徴とするディスクカートリッジ。」
(2)独立特許要件の検討
本件訂正発明に対して、当審が通知した取消理由通知(兼訂正拒絶理由通知)で引用した刊行物1(特開平3-263624号公報:異議申立人シャープ株式会社の提示した甲第1号証)には、「基板表面に微粒子状の透明導電性金属酸化物を含有するハードコート膜を形成したことを特徴とする光情報記録媒体。」(「特許請求の範囲」の欄)、「図面は本実施例による光ディスクの縦断面図を示している。図において1は内周スペーサ、2は内周スペーサ1の外周に配置された環状の外周スペーサ、3は両スペーサ1,2によって保持された一対の環状の基板で、透明なプラスチックを原料とし、インジェクション法により内側の表面に直接ピット或いはグルーブ等のパターンが形成されている。4は基板3のパターン上に形成されたレーザー光を反射する記録膜、5は基板3の外側及び内側の表面に形成された、微粒子状の透明導電性金属酸化物を含有するハードコート膜である。」([実施例]の項及び図面)、「この様にして導電性を有するハードコート膜5を形成した基板3を通常の光ディスク製造工程に流し、パターン形成面上に記録膜4を形成し、次にセンターハブ6を接着して、単板ディスクとして完成させた。次にこれらの単板ディスク2枚をハードコート膜5を外側にして内周スペーサ1、外周スペーサ2を介して張り合わせて、両面ディスクとして完成させた。最後にプラスチック製カートリッジケース内に収納して光ディスクカートリッジを完成させた。」([実施例]の項)及び「本発明は基板の非記録膜形成面上に、微粒子状の透明導電性金属酸化物を含有するハードコート膜を形成したため、静電気の発生や帯電を防止する事ができる。このため、塵埃の吸着による読み取りエラーの発生、また放電による読み取りエラーおよびディスクドライブ機構等への悪影響がない光情報記録媒体を提供することができる。」([発明の効果]の項)ことが記載されている。
そこで、本件訂正発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、後者の「プラスチック製カートリッジケース」、「光ディスク」及び「光ディスクカートリッジ」は、それぞれ前者の「ケース」、「硬質のディスク状媒体」及び「ディスクカートリッジ」に相当あるいは対応し、且つ、後者の光ディスクカートリッジがプラスチック製カートリッジケース内部に光ディスクを収納して構成され、後者のプラスチック製カートリッジケース(C)と光ディスク(D)との関係が、電気抵抗についてはC>D、硬さについてはD>Cであることは、当業者には自明な事項であることから、両者は「ケース内部に硬質のディスク状媒体を収納してなる特定構成のディスクカートリッジであって、前記ディスク状媒体の電気抵抗よりも前記ケースの電気抵抗を高く構成すると共に、前記ケースを、ディスク状媒体と対向するケースの少なくともケース内面の硬さをディスク状媒体の硬さよりも低く構成したことを特徴とするディスクカートリッジ。」である点で共通し、次の点で相違する。
即ち、上記特定構成が、前者では、「ケース内部に硬質のディスク状媒体を回転可能に収納し、該ケース並びにケース開口部に挿入されるヘッドに非接触状態下で前記ディスク状媒体が回転する」構成であるのに対して、後者では、不明である点。
そこで、上記相違点を検討する。
一般に光ディスクカートリッジにおいては、上記特定構成相当部が、ケース内部に光ディスクを回転可能に収納し、該ケース並びにケース開口部に挿入されるヘッドに非接触状態下で前記光ディスクが回転する態様のもの(以下、非取り出し態様構成という。)及びケース内部に光ディスクを収納し、記録・再生時にはケースより取り出して装置にセットされる態様のもの(取り出し態様構成)の2態様構成が存在することが、当業者には周知であるから、後者で特定構成が明示されていないとしても、後者のそれがこの2態様構成を包含することは明らかである。してみれば、上記特定構成が、非取り出し態様構成である前者と、非取り出し態様構成を包含している後者は同一であるといえる。
よって、上記相違点は実質的に同一となるから、両者には相違点が存在せず、両者は同一である。
(3)むすび
したがって、本件訂正発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同第126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。

3.特許異議の申立てについての判断
(1)本件特許発明
特許第2864007号の請求項1,2に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1,2に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】ケース内部に硬質のディスク状媒体を回転可能に収納し、該ケース並びにケース開口部に挿入されるヘッドに非接触状態下で前記ディスク状媒体が回転するディスクカートリッジであって、前記ディスク状媒体の電気抵抗よりも前記ケースの電気抵抗を高く構成したことを特徴とするディスクカートリッジ。
【請求項2】前記ケースが、ディスク状媒体と対向するケースの少なくともケース内面の硬さをディスク状媒体の硬さよりも低く構成した請求項1記載のディスクカートリッジ。」
(2)引用刊行物
当審が通知した取消理由通知(兼訂正拒絶理由通知)で引用した刊行物1(特開平3-263624号公報:異議申立人シャープ株式会社の提示した甲第1号証)には、上記2.(2)で認定した通りの事項が記載されている。
(3)対比・判断
本件特許発明と刊行物1に記載された発明は上記2.(2)で対比・認定・判断した通りの理由と同様な理由で同一である。
(4)むすび
以上のとおり、本件特許発明は、上記刊行物1に記載された発明と同一であるから、本件特許発明についての特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。
したがって、本件特許発明についての特許は、特許法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2001-01-30 
出願番号 特願平8-150426
審決分類 P 1 651・ 113- ZB (G11B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 赤穂 隆雄  
特許庁審判長 奥村 寿一
特許庁審判官 相馬 多美子
伊東 和重
登録日 1998-12-18 
登録番号 特許第2864007号(P2864007)
権利者 ティーディーケイ株式会社
発明の名称 ディスクカートリッジ  
代理人 木下 雅晴  
代理人 薬師 稔  
代理人 小池 隆彌  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ