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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01F
管理番号 1055862
審判番号 不服2001-11750  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-11-09 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-07-06 
確定日 2002-03-20 
事件の表示 平成11年特許願第 95778号「コンバイン」拒絶査定に対する審判事件[平成11年11月 9日出願公開、特開平11-308915]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯、本願発明
本願は、昭和63年5月9日に出願された実願昭63-60904号を平成5年8月3日に特許に出願変更した特許出願(特願平5-212345号)の一部を平成9年3月14日に特許法第44条第1項の規定により新たな特許出願(特願平9-82365号)とし、さらにこの出願の一部を平成9年9月24日に新たな特許出願(特願平9-278226号)とし、さらにこの出願の一部を平成10年6月19日に新たな特許出願(特願平10-189676号)とし、さらにこの出願の一部を平成11年4月2日に新たな特許出願としたものであって、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成12年5月26日付けの手続補正書、および、審判請求理由補充書と同日に提出された平成13年7月23日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「刈取部(8)及び脱穀部(4)を装設させて連続的に穀稈を刈取って脱穀すると共に、脱穀部(4)に内設させる扱胴(6)及び受網(37)の側方を側部カバー(38)によって開閉自在に閉塞させるコンバインにおいて、脱穀部(4)の上部カバー(18)とフィードチェン(5)の挾扼杆(21)とを一体的に上方に移動可能に構成すると共に、前記フィードチェン(5)と側部カバー(38)とを一体的に脱穀部(4)の側部から移動可能に構成したことを特徴とするコンバイン。」

2.引用文献記載の発明
これに対して原査定の拒絶理由に引用された特開昭61-12213号公報(以下、「引用文献」という。)には、以下の記載が認められる。
(イ)「挾扼体及びチェンを取付けた機壁の一部を挾扼体及びチエンごと上方及び下方に開閉自在に形成したもので、前側に穀稈供給口7を、後側に穀稈取出8を形成し、左右側の機壁の一部の上部に挾扼体17を、下部に供給チエン25をそれぞれ取付けたものにおいて、前記挾扼体17および供給チエン25を取付けた機壁の一部は、挾扼体17および供給チェン25ごと上方および下方にそれぞれ開くように軸着した脱穀装置の清掃装置の構成としたものである。
本発明の一実施例を図により説明すると、1は脱穀室で、上部は機壁である天板2で包囲され、下部には下網3が設けられ、内部には扱胴4が前後方向の回転軸5により軸架されている。6は扱胴4の外周面に設けられた扱歯であり、脱穀室1の前側には穀稈供給口7を脱穀室1の後側には穀稈取出口8をそれぞれ設け、脱穀室1の右側には穀稈供給口7より供給された穀稈が穀稈取出口8まで通る穀稈通路9が設けられている。
しかして前記脱穀室1を形成する構成について詳しく述べると、略脱穀室1を左右側に2分したとき、左側の部分は上方又は下方にそれぞれ開く構造である。
前記天板2の略左側部分は、軸10により開放する上側扱胴カバー11に形成する。上側扱胴カバー11は内蓋12と外蓋13とにより形成され、内蓋12は扱胴4と同心円状であって、下端に穀稈通路9を形成し、外蓋13はアングル型に形成されている。
外蓋13の外面には前後取付杆14・・・取付ネジ15で固定し、前後取付杆14には垂下する上下動杆16を設け、上下動杆16の下端にコの字型の挾扼体17を設ける。
18は上下動杆16の外面に巻いたバネである。前記上側扱胴力バー11は内蓋12、外蓋13、前後取付杆14、上下動杆16、挾扼体17ごと軸10を中心に上方に回動して脱穀室1の左側を大きく開口させる。
19は下側扱胴カバーであり、上側扱胴カバー11と同様に内蓋20と外蓋21とよりなり、下側扱胴カバー19はケース22に対して軸23で軸着されており、下側扱胴カバー19の上部はレール24及びチェン25が掛け回されている。
内蓋20の上部は扱胴室の方に屈曲して扱胴室カバーを形成し、その上端に外方に突出する支持腕26を設け、支持腕26に前記レール24を固定し、さらに支持腕26の突出端に外蓋21を止ネジ27により止着する。外蓋21は下部に軸28で軸着し、上部は止ネジ27で支持腕26に固着されている。
内蓋20にはメタル29が取付けられ、メタル29の内側には歯車30が固定され、メタル29の外側にはスプロケット31が固定され、スプロケット31によりチェン25を回転させる。
前記下側扱胴カバー19は第1図の位置から第2図の位置の間開閉自在であり、第1図のように脱穀室1を包囲する起立位置になると歯車30が噛合う歯車32をケース22側に取付ける。33は歯車32を回転させる軸で、ケース22を横断し端部にプーリー34を取付ける。歯車30は下側扱胴カバー19が第2図のように開くと歯車32との係合が解除される。」(第1頁右欄11行〜第2頁右下欄最下行)
上記記載及び図面の記載からみて、引用文献には、次の発明が記載されていると認められる。
「脱穀室1を設けて脱穀すると共に、脱穀室1には下網3、内部には扱胴4が設けられ、左側の機壁の一部は下側扱胴カバー19によって開閉自在に形成した脱穀装置において、脱穀室1の上側扱胴カバー11と供給チエン25の挾扼体17ごと上方に開くように軸着すると共に、下側扱胴カバー19を供給チエン25ごと脱穀室1の左側の機壁から下方に開くように軸着する脱穀装置。」
なお、本件出願人は、引用文献に記載された発明では、扱胴の側部カバーとフィードチェンとを機外側方に略水平に突出させるように倒伏させる従来技術を開示しているだけであり、扱胴下側の受網を交換する作業などをフィードチェン及び側部カバー越しに行う必要があり、機体外側に横向きに突出するフィードチェンなどに作業者が接触し易い不具合があると共に、フィードチェン及び側部カバーを作業者が持上げて装着する作業が必要であり、またフィードチェン及び側部カバーなど重量物の降下を阻止する固定手段が必要」である旨の主張するが、本願発明の構成は「フィードチェンと側部カバーとを一体的に脱穀部の側部から移動可能に構成した」ものであり、前記本願発明の構成の主張に関しては引用文献に記載された発明とに構成上の相違があるとは認められない。

3.本願発明と引用文献に記載された発明との対比
本願発明と引用文献に記載された発明とを対比すると、
引用文献に記載された発明における、
「脱穀室1」、「下網3」、「扱胴4」、「左側の機壁」、「下側扱胴カバー19」、「上側扱胴カバー11」、「供給チエン25」、および、「挾扼体17」は、
本願発明における、
「脱穀部(4)」、「受網(37)」、「扱胴(6)」、「側方」、「側部カバー(38)」、「上部カバー(18)」、「フィードチェン(5)」、および、「挾扼杆(21)」に相当するから、
両者は、
「脱穀部で脱穀すると共に、脱穀部に内設させる扱胴及び受網の側方を側部カバーによって開閉自在に閉塞させるものにおいて、脱穀部の上部カバーとフィードチェンの挾扼杆とを一体的に上方に移動可能に構成すると共に、前記フィードチェンと側部カバーとを一体的に脱穀部の側部から移動可能に構成した」ものである点で一致するが、
(イ)本願発明は、「刈取部(8)及び脱穀部(4)を装設させて連続的に穀稈を刈取って脱穀するコンバイン」であるのに対して、引用文献に記載された発明は、「脱穀部で脱穀する脱穀装置」である点で相違する。

4.当審の判断
上記相違点(イ)について検討する。
(1)相違点(イ)について
引用文献に記載された発明は脱穀装置であるが、この脱穀装置をコンバインに適用して刈取部及び脱穀部を装設させて連続的に穀稈を刈取って脱穀するコンバインとなし、本願発明の構成とする点は、当業者が容易に想到できることにすぎない。
そして、本願発明が奏する効果は、引用文献に記載された発明から予測できる範囲内のものであって、格別顕著なものではない。
したがって、本願発明は、引用文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

5.結論
以上のとおりであるから、本願発明は引用文献に記載された発明および周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-12-28 
結審通知日 2002-01-15 
審決日 2002-01-28 
出願番号 特願平11-95778
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 昭次  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 松川 直樹
渡部 葉子
発明の名称 コンバイン  
代理人 藤原 忠治  

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