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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01F
管理番号 1085749
審判番号 不服2002-2808  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-11-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-02-20 
確定日 2003-10-17 
事件の表示 平成10年特許願第105977号「脱穀処理装置」拒絶査定に対する審判事件[平成10年11月10日出願公開、特開平10-295163]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 一、手続の経緯及び本願発明
本願は、平成3年12月10日に出願された実願平3-101614号の実用新案登録出願を、平成10年4月16日に出願変更した特願平10-105977号の特許出願に係り、本願の発明は、平成10年4月17日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】扱胴20と平行に処理胴21を配設した脱穀装置において、側面視で、扱胴20の後端と処理胴21を重複配置し、該扱胴20からの未処理物を処理胴21へ送る送塵口33aを開口し、該送塵口33aの始端部を、揺動選別装置15に設けた可動チャフ42の前端部よりも前方に配置したことを特徴とする脱穀処理装置。」(以下、これを「本願発明1」という。)

二、引用刊行物及び引用刊行物における記載事項
原審における拒絶査定の理由に引用された、本願の特許出願前に頒布された刊行物である実願昭58-186568号(実開昭60-94049号公報)のマイクロフィルム(以下、「引用刊行物1」という。)には、脱穀装置に関し、次の事項が記載されている。
「扱胴(3)は、扱室(1)内に軸(2)により回転自在に架設され、その外周にはその始端から終端に向けて処理物を移送するべく扱歯(3a)を多数設けており、下方には受網(3b)を張設し、扱室(1)の扱胴(3)終端側対応位置には排塵口(8)を開設している。第1処理胴(5)は、始端部を扱胴(3)の排塵口(8)にのぞませ終端を後方延出した状態で処理室(9)内に回転自在に軸(10)架して設け、外周には螺旋状に設けた処理歯(5a)を多数設け、下方には受網(11)を張設し、処理室(9)の終端部には排出口(12)を開口して構成している。」(明細書2頁14行〜3頁4行)
「選別棚(4)は、扱胴(3)の軸(2)方向(矢印)に揺動自在に設けられ、上段に扱胴(3)の終端から上記第2処理胴(7)(7)’の下方に対応する位置まで延出するチャフシーブ(19)と、ストローラック(20)を、下段に扱胴(3)の受網(3b)の終端付近からチャフシーブ(19)の下方にまで延出するグレンシーブ(21)を設けて構成している。(22)は選別棚(4)へ向けて選別風を発生させる圧風ファン、(23)は1番螺旋、(24)は2番螺旋、(25)は2番還元装置で、その還元口(25a)を選別棚(4)のチャフシーブ(19)上にのぞませて構成している。」(明細書3頁18行〜4頁7行)
「また、扱胴(3)終端から排塵口(8)を通じて第1処理胴(5)へ供給された処理物(受網(3b)から漏下されなかった枝梗付穀粒や絡み合った大きな藁屑類等)は、後方(矢印ロ)へ移送されながら処理される」(明細書5頁2行〜6行)
そして、引用刊行物1に記載の脱穀装置の一実施例の側断面図を表した第1図及び同平断面図を表した第2図の記載から、引用刊行物1に添付の図面には、「排塵口(8)の始端部が、選別棚(4)のチャフシーブ(19)の前端部よりも前方に位置するように配設されている」構成の記載が認められる。
そうしてみると、引用刊行物1の上記摘記事項からみて、前記引用刊行物1には、「扱胴(3)と平行に第1処理胴(5)を配設した脱穀装置において、側面視で、扱胴(3)の後端と第1処理胴(5)を重複配置し、該扱胴(3)からの未処理物を第1処理胴(5)へ送る排塵口(8)を開口し、該排塵口(8)の始端部を、選別棚(4)に設けたチャフシーブ(19)の前端部よりも前方に配置した脱穀装置」(以下、これを「引用発明1」という。)についての記載が認められる。

三、当審の判断
(1)本願発明1と引用発明1との比較・対比及び一致点・相違点
本願発明1と上記引用発明1とを比較・対比すると、引用発明1における「扱胴(3)」「第1処理胴(5)」「選別棚(4)」「脱穀装置」が、本願発明1の「扱胴20」「処理胴21」「揺動選別装置15」「脱穀処理装置」にそれぞれ相当することは明らかである。
また、引用発明1の「排塵口(8)」については、引用刊行物1の第2図の記載を参照すれば、前記「排塵口(8)」が、扱胴(3)がある扱室(1)と第1処理胴(5)がある処理室(9)とを連結する開口として明示されており、かつ、引用刊行物1に「扱室(1)の扱胴(3)終端側対応位置には排塵口(8)を開設している。」と明記されていることから、前記「排塵口(8)」は、本願発明1における「送塵口33a」の構成に対応するものである。
そして、引用発明1の「チャフシーブ(19)」が、本願発明1の「可動チャフ42」と同じく、共に「チャフ」である点で、両者は共通する。
そうしてみると、両者は「扱胴と平行に処理胴を配設した脱穀装置において、側面視で、扱胴の後端と処理胴を重複配置し、該扱胴からの未処理物を処理胴へ送る送塵口を開口し、該送塵口の始端部を、揺動選別装置に設けたチャフの前端部よりも前方に配置した脱穀処理装置」である点で一致し、次の点で両者の構成が相違する。
相違点1:本願発明1では「該送塵口33aの始端部を、揺動選別装置15に設けた可動チャフ42の前端部よりも前方に配置した」としているのに対し、引用発明1では、送塵口の始端部が揺動選別装置に設けた「チャフ」の前端部よりも前方に配置されるべきところの前記「チャフ」が、単に「チャフシーブ(19)」と記載されているのみで、該チャフシーブ(19)が「可動チャフ」であるか否かが、明示されていない点。

(2)相違点についての検討
相違点1について検討すると、乾材と湿材の相違により処理量が大きく変化する場合、多粒米を刈取する場合、中割刈りする場合及び枝梗の長短条件が相違する場合等のような、脱穀・選別条件が大きく変更する場合に対処するために、チャフの角度を調整することにより最適な選別状態にできる「可動チャフ」の構成は、本願特許出願時の周知・慣用技術(例えば、特開昭60-203118号公報、特開昭60-241821号公報、特開昭57-8709号公報を参照。)である。
そうしてみると、前記引用発明1に、前記周知・慣用技術を適用することにより、本願発明1の上記相違点1に係る「該送塵口33aの始端部を、揺動選別装置15に設けた可動チャフ42の前端部よりも前方に配置した」の構成を得ることは、当業者が容易に想到できることである。そして、本願発明1の相違点1に係る前記構成とした点に格別の効果を認めることができない。

(3)まとめ
したがって、本願発明1は、引用刊行物1に記載の発明及び周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

四、むすび
以上のとおりであり、請求項1に係る本願発明1は、上記引用刊行物1に記載の発明及び周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-08-01 
結審通知日 2003-08-12 
審決日 2003-08-26 
出願番号 特願平10-105977
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西田 秀彦  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 佐藤 昭喜
川島 陵司
発明の名称 脱穀処理装置  

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