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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01N
管理番号 1112886
異議申立番号 異議2003-73849  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2002-04-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-29 
確定日 2004-11-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3467010号「ボトル検査機」の請求項1ないし11に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3467010号の請求項2ないし9に係る特許を取り消す。 同請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3467010号の請求項1ないし11に係る発明についての出願は、平成12年10月18日に特許出願され、平成15年8月29日にその発明について特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、異議申立人株式会社コーエンにより特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年9月21日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は以下のa,b,c,dのとおりである。
ア.訂正事項a
訂正前の請求項1,2,3で、
「【請求項1】ボトルをカメラで撮像し、撮像画像に基づいて該ボトルの外観形状を検査する外観検査部と、圧縮空気をボトルに注入し、ボトル内の圧力変化に基づいて漏れの有無を検査する漏れ検査部とを備えたボトル検査機において、上記外観検査部と上記漏れ検査部とに亘って連絡する搬送路上でボトルを搬送させる搬送部を備え、上記搬送路を所定半径の周回軌道で形成するとともに、上記搬送部は、上記搬送路を周回駆動する周回機構を備え、上記搬送部は、上記搬送路上で搬送されるボトルを、該搬送路の周回動作に連動する上下保持部材により上下方向から挟み込んで保持する保持機構を備えたことを特徴とするボトル検査機。
【請求項2】上記搬送部は、上記搬送路の周回動作における第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間に、上記搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルを軸心回りに回転させる回転機構を備えたことを特徴とする請求項1記載のボトル検査機。
【請求項3】上記回転機構は、上記ボトルの下保持部材の下部に垂設された回転軸を該回転軸に螺合するボールナットの昇降動作により回転させるボールネジ機構と、上記ボールナットを上記搬送路の周回動作により昇降させるカム機構とから構成されたものであることを特徴とする請求項2記載のボトル検査機。」とあるのを、
訂正により、
「【請求項1】ボトルをカメラで撮像し、撮像画像に基づいて該ボトルの外観形状を検査する外観検査部と、圧縮空気をボトルに注入し、ボトル内の圧力変化に基づいて漏れの有無を検査する漏れ検査部とを互いにオーバラップしないように備え、上記外観検査部と上記漏れ検査部とに亘って連絡する搬送路上でボトルを搬送させる搬送部を備えたボトル検査機において、上記搬送部は、上記搬送路を周回軌道で形成するとともに、上記搬送路を周回駆動する周回機構と、上記搬送路上で搬送されるボトルを、該搬送路の周回動作に連動する上下保持部材により上下方向から挟み込んで保持する保持機構と、上記搬送路の周回動作における外観検査部に対応する第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間に、上記搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルを軸心回りに回転させる回転機構とを備え、上記回転機構は、上記ボトルの下保持部材の下部に垂設された回転軸を該回転軸に螺合するボールナットの昇降動作により回転させるボールネジ機構と、上記ボールナットを上記搬送路の周回動作により昇降させるカム機構とから構成されたものであることを特徴とするボトル検査機。」
と訂正するものである。

イ.訂正事項b
訂正前の請求項1,請求項2及び次の請求項4
「【請求項4】上記搬送部は、上記搬送路の周回動作における第3のタイミングから所定時間経過後の第4のタイミングまでの間に、上記搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルの開口部を密閉する密閉機構を備えたことを特徴とする請求項2又は3記載のボトル検査機。」とあるのを、 訂正により、
「【請求項2】ボトルをカメラで撮像し、撮像画像に基づいて該ボトルの外観形状を検査する外観検査部と、圧縮空気をボトルに注入し、ボトル内の圧力変化に基づいて漏れの有無を検査する漏れ検査部とを互いにオーバラップしないように備え、上記外観検査部と上記漏れ検査部とに亘って連絡する搬送路上でボトルを搬送させる搬送部を備えたボトル検査機において、上記搬送部は、上記搬送路を周回軌道で形成するとともに、上記搬送路を周回駆動する周回機構と、上記搬送路上で搬送されるボトルを、該搬送路の周回動作に連動する上下保持部材により上下方向から挟み込んで保持する保持機構と、上記搬送路の周回動作における外観検査部に対応する第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間に、上記搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルを軸心回りに回転させる回転機構と、上記第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間とは異なるタイミング間であって、上記搬送路の周回動作における漏れ検査部に対応する第3のタイミングから所定時間経過後の第4のタイミングまでの間に、上記搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルの開口部を密閉する密閉機構とを備えたことを特徴とするボトル検査機。」
と訂正するものである。

ウ.訂正事項c
訂正前の請求項5-11
「【請求項5】上記密閉機構は、上記ボトルの上保持部材の上部に立設された昇降軸を上記搬送路の周回動作により昇降させるカム機構から構成したことを特徴とする請求項4記載のボトル検査機。
【請求項6】上記搬送部は、上記第3のタイミングで上記密閉されたボトル内に圧縮空気を注入する空気注入機構を備えたことを特徴とする請求項4又は5記載のボトル検査機。
【請求項7】上記外観検査部は、ボトルの撮像画像を基準画像と照合する外観判断手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のボトル検査機。
【請求項8】上記漏れ検査部は、ボトル内の圧力を検出する検出手段と、検出した圧力値の変化を設定値と比較する漏れ判断手段とを備えたことを特徴とする請求項7記載のボトル検査機。
【請求項9】上記外観判断手段で不良と判断されたボトル及び/又は上記漏れ判断手段で漏れ有りと判断されたボトルの表面に上記判断結果をマーキングするマーキング部を備えたことを特徴とする請求項8記載のボトル検査機。
【請求項10】上記マーキングは、レーザマーキングであることを特徴とする請求項9記載のボトル検査機。
【請求項11】上記搬送路に、マーキングされたボトルとマーキングされていないボトルとを分別する分別部を備えたことを特徴とする請求項9又は10記載のボトル検査機。」
を訂正によりそれぞれ、訂正に係る請求項3-9
「【請求項3】上記密閉機構は、上記ボトルの上保持部材の上部に立設された昇降軸を上記搬送路の周回動作により昇降させるカム機構から構成したことを特徴とする請求項2記載のボトル検査機。
【請求項4】上記搬送部は、上記第3のタイミングで上記密閉されたボトル内に圧縮空気を注入する空気注入機構を備えたことを特徴とする請求項2又は3記載のボトル検査機。
【請求項5】上記外観検査部は、ボトルの撮像画像を基準画像と照合する外観判断手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のボトル検査機。
【請求項6】上記漏れ検査部は、ボトル内の圧力を検出する検出手段と、検出した圧力値の変化を設定値と比較する漏れ判断手段とを備えたことを特徴とする請求項5記載のボトル検査機。
【請求項7】上記外観判断手段で不良と判断されたボトル及び/又は上記漏れ判断手段で漏れ有りと判断されたボトルの表面に上記判断結果をマーキングするマーキング部を備えたことを特徴とする請求項6記載のボトル検査機。
【請求項8】上記マーキングは、レーザマーキングであることを特徴とする請求項7記載のボトル検査機。
【請求項9】上記搬送路に、マーキングされたボトルとマーキングされていないボトルとを分別する分別部を備えたことを特徴とする請求項7又は8記載のボトル検査機。」
と訂正するものである。

エ.訂正事項d
明細書段落【0007】,【0008】、段落【0011】-【0020】、段落【0100】-【0109】を訂正するものであって、前記訂正事項a,b,cと整合を図るための訂正をするものである。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項aについて
訂正事項aは、訂正前の請求項1に対して、請求項2及び請求項3の内容を追加することで、三者を合体し、かつ、該合体したものにさらに、「外観検査部と漏れ検査部とを互いにオーバラップしないように備えた」という限定を付加し、それを訂正後の請求項1とするものであるが、前記合体をしたものは、出願当初の願書に添付された明細書の特許請求の範囲の請求項5に記載されており、また、出願当初の明細書には「【0035】第3外観検査部205はボトル1の口金部23の側面の外観を検査するものであり、アウトフィードスターホイール303への移載位置の直前に配設されている。漏れ検査部204は圧縮空気が注入されたボトル1内の圧力変化に基づいて
漏れの有無を検査するものであり、上記第2、第3外観検査部の間に配設されている。……」と記載があり、この記載により、外観検査部と漏れ検査部とが互いにオーバラップしないように備えたボトル検査機が出願当初の明細書に実質上記載されていたものであることが明らかであるから、訂正事項aは、特許請求の範囲を減縮することを目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。

訂正事項bについて
訂正事項bは、訂正前の請求項1に対して、請求項2及び請求項4の内容を追加することで、三者を合体し、かつ、該合体したものにさらに、「外観検査部と漏れ検査部とが互いにオーバラップしないように備えた」という限定を付加し、それを訂正後の請求項2とするものであるが、前記合体をしたものは、出願当初の願書に添付された明細書の特許請求の範囲の請求項4を択一的に引用する請求項6に記載されており、かつ前記「 」書きの限定は、前記「訂正事項aについて」の段落で記載したように出願当初の明細書に実質上記載されていたものであることも明らかであるから、訂正事項bは、特許請求の範囲を減縮することを目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。

訂正事項cについて
訂正事項cは、訂正事項a,bの訂正と整合をとるための訂正を行うものであるから、不明りょうな記載の釈明ないしは、特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。

訂正事項dについて
訂正事項a,b,cと整合を図るための訂正をするものであるから、不明りょうな記載の釈明を目的としたものに該当する。

(3)むすび
したがって、上記訂正は、平成15年改正前の特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについて
(1)申立ての理由の概要
特許異議申立人株式会社コーエンは、下記の甲第1-9号証を提出し、請求項1-11の係る発明の特許は、甲第1-9号証により、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨、主張している。
甲第1号証:特開平11-322065号公報
甲第2号証:特表平9-501506号公報
甲第3号証:特開平4-309851号公報
甲第4号証:特開平11-100119号公報
甲第5号証:NTN株式会社精密ボールねじカタログ
CAT.No.6000/J
甲第6号証:特開昭61-28848号公報
甲第7号証:特開平8-285786号公報
甲第8号証:特開平6-207908号公報
甲第9号証:特許第2608665号公報

(2)本件発明
上記2.で示したように、上記訂正が認められるから、本件の請求項1-9に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定されるとおりのものである。(以下、それぞれ、「本件発明1」、「本件発明2」、……「本件発明9」という。上記2.(1)における ア.訂正事項a、イ.訂正事項b、およびウ.訂正事項cを参照)

(3)引用刊行物に記載された発明
当審が平成16年7月12日付け(発送日平成16年7月23日)で通知した取消の理由で引用した刊行物は、
刊行物1:特開平1-118710号公報
刊行物2:特開平4-309851号公報
刊行物3:特開平7-260710号公報
刊行物4:特開平1-126530号公報
刊行物5:特開平8-104314号公報
刊行物6:特開平6-207908号公報
であって、
刊行物1には、
「本発明は、ボトル型をした容器、特にプラスチックからなるボトル型容器の有する種々欠陥を、一箇所の検査装置において総合的かつ集中的に検査するボトル型容器の総合検査方法および装置に関する。」(第1頁右下欄第10-15行)、
「これら図面において、211は支柱であり、上端を架台212で、下端を図示せざる基台によってそれぞれ固定されている。213は支柱211の下部に回転自在に取り付けられた回転テーブルで、外周に、載置台214aを有する複数のポケット214を等間隔に設けてある。回転テーブル213は、図示せざるモータから歯車213aを介して伝えられる駆動力によって回転する。215は支柱211に回転自在に取り付けられた回転体で、回転テーブル213と一体的に回転する。この回転体215の周縁適所には支持杆216が突設してある。217は検査部220およびピンホール検出部240を保持する円板で、支持杆216に固定されるとともに、支柱211の中間部に回転自在に取り付けられている。218は支柱211に固定されたカム部材で、周面にカム溝218aを設けてある。このカム溝218aは、第1図における検査区間(ほぼC-D間において)が低くなり、不検査区間(……)において高くなっている。検査部220は、回転テーブル213のポケット214と対応した位置状態で円板217に複数保持され、ピンホール検出部240は、検査部220に隣接した状態で円板217に複数保持されている」(第4頁左上欄第12行-同頁右上欄第17行)、
「234はボトル型容器と当接する当接部材であり、下部本体228に当接自在に取り付けられている。」(第4頁左下欄第15-17行)、
「第1図において251および252はカメラであり、ボトル型容器に貼着したラベルの検査を行う。容器の表裏にラベルの貼着して場合には周面のラベル検査を行うため、カメラ251とカメラ252の間で180度回転させる必要がある。第7図は、回転テーブル213のポケット214における載置台214aの回転機構の平面構成図であり、253は載置台214aの回転軸である。」(第5頁左上欄第11-18行)、
「256はストッパ部材で、一端にストッパ溝254aと噛み合うピン256aを有し、他端に図示せざるカムと当接するカムローラ256bを有するとともに、ピン256aがストッパ溝254aと噛み合う方向にスプリング257により引っ張られている。カムローラ256bと当接するカムは、回転テーブル213が回転し、検査をすべき容器の載った載置台214aがカメラ251の前に達すると、カムローラ256bを元に戻す。」(第5頁右上欄第5-14行)、
「カムローラ258は、ストッパ部材256のピン256aがストッパ溝254aから外れると同時に、図示せざるカムに押されて徐々に矢印CW方向に回動する。そして、容器の載った載置台214aがカメラ252の前まで搬送されたときに歯車254aをちょうど180度回転させる。」(第5頁右上欄第19行-同頁左下欄第4行)、
「ボトル型容器は、第二の搬送アーム5によって主検査機2のポケット214に送り込まれ、載置台214a上に載せられる。載置台214aに載置され回転テーブル213によって回転搬送されると、カム部材213のカム溝213aによって案内された検査部220が下降する。検査部220が下死点まで下降すると、下部本体228の当接部材234がボトル型容器の頂部と当接する。……。次いで容器を回転テーブルによりE点まで搬送し、ここで偏肉検査を行う。……。上記……偏肉検査終了後、容器の内部にエアを供給してピンホールの検査を行う。……、第一および第二パイロットバルブ243a、243bを作動させて容器の内部にエアを送り密封する(……)。同時に第一パイロットバルブ234aからのエア圧と、容器内エア圧との差圧を圧力センサ244へ入力する。この状態を、容器が第1図におけるD点に移動するまで続け、この時点における差圧を測定する。………ここで、容器にピンホールがあり、差圧が大きいと、圧力センサ244からの電圧が設定電圧より大きくなる。……不良容器と判定する。ピンホールの検査が終わると、検査部220がカム溝218aに案内されて上昇し、当接部材234を容器から離す。」(第6頁左上欄第12行-同頁右下欄第10行)、
「上述したピンホールの検査と同時にラベル有無の検査が行われる。すなわち、回転テーブルの回転によって容器がカメラ251の前に送られてくると、カメラ251は容器の表面を撮影し、この信号を画像処理してラベルの有無、ラベルの種類、ラベルの貼着位置等を検出する。容器がカメラ251の前を通過すると、扇形歯車255の回転により載置台214aが回転して容器を自転させ、カメラ252の前に到達したときに180度回転させる。そして、容器がカメラ252の前にくると、カメラ252は容器の裏面を撮影し、前記と同様の処理を行う。この結果を制御部に送られここで良否の判定が行われる。」(第6頁右下欄第11行-第7頁左上欄第4行)、
「このようにして、ノズル傾き、高さ、偏肉、ピンホールおよびラベルの検査が行われ、いずれかの検査において不良と判定されたボトル型容器は、制御器8からの信号で作動する、図示せざる排出装置によってラインから排出される。」(第7頁左上欄第5-9行)、
が記載されている。

(4)対比・検討
以下では、対比・検討は、本件発明2-9について先に行う。
ア.本件発明2について
本件発明2と刊行物1に記載された発明を対比すると、刊行物1における「カメラ251で容器の表面を撮影し、検査する」、「容器の内部にエアを送り密封して、第1パイロットバルブ234aからのエア圧と、容器内エア圧との差圧を調べて、ピンホールの有無を検査する」が、本件発明2における「ボトルをカメラで撮像し、撮像画像に基いて該ボトルの外観を検査する」、「圧縮空気をボトルに注入し、ボトル内の圧力変化に基いて漏れの有無を検査する」に相当し、刊行物1における「回転テーブル213の外周に、載置台214aを有する複数のポケット214が等間隔に設けられておりこれら、複数のポケットが周回すること」、「回転テーブル213を、モータ、歯車213aを介して駆動力によって回転させる」が、本件発明2における「搬送路を所定半径の周回軌道で形成する」、「搬送路を周回駆動する周回機構」に相当し、刊行物1で「ボトルが載置台214aに載置され回転テーブル213によって回転搬送されると、カム部材213のカム溝213aによって案内された検査部220が下降し、下部本体228の当接部材234がボトル型容器の頂部と当接し、ボトルを当接部材234と、ボトル載置台214aにより上下方向から挟み込んで保持する機構」が、本件発明2の「搬送路上で搬送されるボトルを、該搬送路の周回動作に連動する上下保持部材により上下方向から挟み込んで保持する機構」に相当し、刊行物1における「容器がカメラ251の前を通過すると、扇形歯車255の回転により載置台214aが回転して容器を自転させ」に係る機構が、本件発明2における「搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルを軸心回りに回転させる回転機構」に相当し、また、刊行物1の第1図においてE点(E点で偏肉検査が行われる)と示された位置より適宜過ぎたタイミングで容器の内部にエアを入れ密封し、D点で差圧が検出され、ピンホールの検査が終了し、D点から適宜過ぎたタイミングで当接部材234を容器から離して密封状態を解除するものであることが明らかであるから、刊行物1における容器がE点を過ぎた適宜のタイミング、該容器がD点を過ぎた適宜のタイミングがそれぞれ、本件発明2の、「第3のタイミング」、「第4のタイミング」に相当し、また刊行物1の発明は、外観検査部と上記漏れ検査部とに亘って連絡する搬送路上でボトルを搬送させる搬送部を備えたボトル検査機であることが明らかであるから、両者は、
「ボトルをカメラで撮像し、撮像画像に基づいて該ボトルの外観形状を検査する外観検査部と、圧縮空気をボトルに注入し、ボトル内の圧力変化に基づいて漏れの有無を検査する漏れ検査部とを備え、上記外観検査部と上記漏れ検査部とに亘って連絡する搬送路上でボトルを搬送させる搬送部を備えたボトル検査機において、上記搬送部は、上記搬送路を周回軌道で形成するとともに、上記搬送路を周回駆動する周回機構と、上記搬送路上で搬送されるボトルを、該搬送路の周回動作に連動する上下保持部材により上下方向から挟み込んで保持する保持機構と、上記搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルを軸心回りに回転させる回転機構と、上記搬送路の周回動作における漏れ検査部に対応する第3のタイミングから所定時間経過後の第4のタイミングまでの間に、上記搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルの開口部を密閉する密閉機構とを備えたことを特徴とするボトル検査機。」
である点で一致し、次の点で相違する。

相違点1
本件発明2は、ボトルの外観形状を検査するものであるのに対し、刊行物1に記載の発明は、ラベル貼着に係るボトル外観を検査するものである点。

相違点2
本件発明2は、外観検査部に対応する第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間に、搬送路の周回動作に同期させて保持されたボトルを軸心回りに回転させる回転機構を具備するものであるのに対して、刊行物1に記載の発明は、搬送路の周回動作に同期させて保持されたボトルを軸心回りに回転させる回転機構を具備するものではあるものの、回転は、ボトルの表面側撮像と裏面側撮像の切り替えに用いられており、その回転時期は、外観検査部(カメラ251)を通過してからである点。[刊行物1の第6頁右下欄第16-19行に「容器がカメラ251の前を通過すると、扇形歯車255の回転により載置台214aが回転して容器を自転させ、」と記載があるとおりである。]

相違点3
本件発明2は、撮像画像に基づいて検査する外観検査部と、圧縮空気をボトルに注入し、ボトル内の圧力変化に基づいて漏れの有無を検査する漏れ検査部とを互いにオーバラップしないように備えたボトル検査機であって、第3のタイミングから所定時間経過後の第4のタイミングまでの間は、第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間とは異なるタイミング間であるのに対し、刊行物1は、撮像によるラベル貼着に係るボトル外観検査部と、漏れ検査部とが互いにオーバラップしているボトル検査機である点。[刊行物1の第6頁右下欄第11-12行に「ピンホールの検査と同時にラベル有無の検査が行われる」と記載があるとおりである]

前記相違点について検討すると、
相違点1について
ボトルの撮像カメラを用いての外観検査の技術分野において、ボトルを周回搬送中に外観検査する際に、外観形状の検査をすることは従来周知[例として、刊行物2,3を参照]であり、また、ボトル検査の技術分野において、撮像画像に基いてボトルの外観形状検査と、圧縮流体を用いての漏れ検査を併用することも従来周知[例として、本件特許明細書の段落0002の記載および、特開平10-254536号公報の明細書段落【0022】の記載を参照]であるから、刊行物1に記載の発明において、ボトルを周回搬送中に漏れ検査と組み合わせる検査として、撮像を用いてのラベル貼着に係るボトル外観検査に替えて、撮像を用いてのボトル外観形状検査をするように変更することは、当業者が容易に想到できたものである。

相違点2について
撮像を用いてのボトルの外観形状検査の技術分野において、ボトルを周回搬送中に、外観検査部に対応する第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間に、搬送路の周回動作に同期させて保持されたボトルを軸心回りに回転させることは従来周知[例として、刊行物3の明細書の段落【0015】の記載、特開平10-142113号公報の明細書の段落【0047】、【0051】の記載、及び特開平11-108855号公報の明細書の段落【0002】、【0010】の記載を参照。]であるから、刊行物1に記載の発明において、ラベルの有無等の外観検査に替えて、ボトル外観形状の検査を行うようにした際、外観検査部に対応する第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間に、搬送路の周回動作に同期させて保持されたボトルを軸心回りに回転させるように回転機構を用いることは当業者が普通に採用する設計的事項である。

相違点3について
前記「相違点1について」で記載したように、刊行物1に記載の発明において、ラベルの有無等の外観検査に替えて、ボトル外観形状の検査を行うようにすることは当業者が容易に想到できたものであり、そのようにした場合に、撮像による外観形状検査と、圧縮空気を用いてのボトル漏れ検査とは、別の検査項目なのであるから、単に、順番に行うようにすること、すなわち、外観形状の検査部と、漏れ検査部をオーバラップしないように適宜の順に配置し、検査時期がオーバラップしないようにし、第3のタイミングから所定時間経過後の第4のタイミングまでの間は、第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間とは異なるタイミング間であるようにすることは、当業者が必要に応じて適宜選択できた設計的事項である。

そして、相違点1-3を総合的に検討しても、本件発明2は、刊行物1に記載された発明および従来周知技術に基いて当業者が容易に発明できたものである。

イ.本件発明3について
本件発明3は、本件発明2において、「密閉機構は、上記ボトルの上保持部材の上部に立設された昇降軸を上記搬送路の周回動作により昇降させるカム機構から構成した」という限定内容を付加するものであるが、刊行物1には「載置台214aに載置され回転テーブル213によって回転搬送されると、カム部材213のカム溝213aによって案内された検査部220が下降する。検査部220が下死点まで下降すると、下部本体228の当接部材234がボトル型容器の頂部と当接する。」(第6頁左上欄第14-第20行)と記載があり、刊行物1における「下降する検査部220」が、本件発明3の「ボトルの上保持部材の上部に立設された昇降軸」に相当するから、本件発明3での前記限定内容は、刊行物1に記載されている。

したがって本件発明3は、刊行物1に記載された発明及び従来周知技術に基いて当業者が容易に発明できたものである。

ウ.本件発明4について
本件発明4は、本件発明2または3の発明において、搬送部について「第3のタイミングで上記密閉されたボトル内に圧縮空気を注入する空気注入機構を備えた」と限定するものであるが、ボトルのピンホール検査等のために、密閉されたボトル内に圧縮空気を注入するための空気注入機構が必要であるのは自明のことであり、第3のタイミングでボトルを密閉することは、前記「ア.本件発明2について」の段落中で『刊行物1の第1図においてE点(E点で偏肉検査が行われる)と示された位置より適宜過ぎたタイミングで容器の内部にエアを入れ密封し、D点で差圧が検出され、ピンホールの検査が終了し、D点から適宜過ぎたタイミングで当接部材234を容器から離して密封状態を解除するものであることが明らかであるから、刊行物1における容器がE点を過ぎた適宜のタイミング、該容器がD点を過ぎた適宜のタイミングがそれぞれ、本件発明2の、「第3のタイミング」、「第4のタイミング」に相当する』と記載したとおり、刊行物1に記載されている内容に過ぎず、また仮に、本件発明4が「第3のタイミングで上記密閉され」という意味の他に「第3のタイミングで……圧縮空気を注入する」という意味を有するものであったとしても、そのようにすることは単なる設計的事項に過ぎない。

したがって本件発明4は、刊行物1に記載された発明及び従来周知技術に基いて当業者が容易に発明できたものである。

エ.本件発明5について
本件発明5は、本件発明1-4のいずれかに記載のものにおいて、外観検査部が、「ボトルの撮像画像を基準画像と照合する外観判断手段を備えた」と限定するものであるが、この限定内容は、従来周知技術である。(例として刊行物4の第4頁右上欄第14-16行に「ここで、基準設定器35には、正常なボトル型容器2の画像信号が基準信号として入力してある。……37は判定器であり、比較器34の出力した比較結果にもとづき、ボトル型容器2に異物が混入しているが否かを判定する。」と記載がある点を参照)。
したがって本件発明5は、刊行物1に記載された発明及び従来周知技術に基いて当業者が容易に発明できたものである。

オ.本件発明6について
本件発明6は、本件発明5において、漏れ検査部について「ボトル内の圧力を検出する検出手段と、検出した圧力値の変化を設定値と比較する漏れ判断手段とを備えた」と限定するものであるが、刊行物1は、圧力センサ244で圧力を検出し、第一パイロットバルブ234aからのエア圧(基準圧である)と圧力の差圧の時間的変化を調べてピンホールの有無検査をするものであるから、本件発明6での前記限定内容は刊行物1に記載されている。

したがって本件発明6は、刊行物1に記載された発明及び従来周知技術に基いて当業者が容易に発明できたものである。

カ.本件発明7について
本件発明7は、本件発明6において「外観判断手段で不良と判断されたボトル及び/又は上記漏れ判断手段で漏れ有りと判断されたボトルの表面に上記判断結果をマーキングするマーキング部を備えた」という事項を付加するものであるが、容器製品の検査ラインにおいて、不良と判断された容器の表面に判断結果をマーキングすることは従来周知[例として、特開平10-72096号公報の明細書の段落【0028】の記載を参照]であるから、ボトル外観判断手段で不良と判断されたボトルの表面に判断結果をマーキングすることは、当業者が必要に応じて適宜採用できた設計的事項である。

したがって本件発明7は、刊行物1に記載された発明及び従来周知技術に基いて当業者が容易に発明できたものである。

キ.本件発明8について
本件発明8は、本件発明7においてマーキングを、レーザマーキングに限定するものであるが、ボトルにマーキングを施すのに、レーザマーキング装置を用いることは、本件出願前に従来周知技術である[例として、刊行物5に記載の「レーザマーキング性を備えたボトル」を参照。]。
刊行物1に記載の発明において、ラベル貼着に係る外観検査部に替えて、ボトルを周回搬送中に、外観検査部に対応する第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間に、搬送路の周回動作に同期させて保持されたボトルを軸心回りに回転させる外観形状の検査部を採用し、外観検査と漏れ検査の区間がオーバラップしないようにしたものとすることは、前記「ア.本件発明2について」の相違点1,2,3についてで記載したように当業者が容易に想到できたものであり、さらにそのようにしたものにおいて、検査結果の取扱いとして、不良と判断されたボトルの判断結果のマーキングし、マーキング装置としてレーザマーキング装置を採用することも、当業者が容易に想到できたものである。

したがって、本件発明8は、刊行物1に記載された発明及び従来周知技術に基いて当業者が容易に発明できたものである。

ク.本件発明9について
本件発明9は、本件発明7または8の発明において「上記搬送路に、マーキングされたボトルとマーキングされていないボトルとを分別する分別部を備えた」と付加するものであるが、ボトルの表面に製品の良不良に係る上記判断結果をマーキングしたものを、搬送路において分別するようにすることは、当業者が必要に応じて適宜採用できた設計的事項と認められる。

したがって、本件発明9は、刊行物1に記載された発明及び従来周知技術に基いて当業者が容易に発明できたものである。

次に、本件発明1について、対比・検討する。
ケ.本件発明1について
本件発明1と、刊行物1に記載の発明を対比すると両者は、
「ボトルをカメラで撮像し、撮像画像に基づいて該ボトルの外観を検査する外観検査部と、圧縮空気をボトルに注入し、ボトル内の圧力変化に基づいて漏れの有無を検査する漏れ検査部とを備え、上記外観検査部と上記漏れ検査部とに亘って連絡する搬送路上でボトルを搬送させる搬送部を備えたボトル検査機において、上記搬送部は、上記搬送路を周回軌道で形成するとともに、上記搬送路を周回駆動する周回機構と、上記搬送路上で搬送されるボトルを、該搬送路の周回動作に連動する上下保持部材により上下方向から挟み込んで保持する保持機構と、上記搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルを軸心回りに回転させる回転機構とを備えたことを特徴とするボトル検査機。」である点で一致し、
前記「ア.本件発明2について」の段落で記載した相違点1,2の外に、次の相違点3’および相違点4の点で相違する。

相違点3’
本件発明1は、撮像画像に基づいて検査する外観検査部と、圧縮空気をボトルに注入し、ボトル内の圧力変化に基づいて漏れの有無を検査する漏れ検査部とを互いにオーバラップしないように備えたボトル検査機であるのに対して、刊行物1に記載の発明は、撮像によるラベル貼着に係るボトル外観検査部と、漏れ検査部とが互いにオーバラップしているボトル検査機である点。

相違点4
本件発明1は、ボトルを軸心回りに回転させる回転機構が、ボトルの下保持部材の下部に垂設された回転軸を該回転軸に螺合するボールナットの昇降動作により回転させるボールネジ機構と、上記ボールナットを上記搬送路の周回動作により昇降させるカム機構とから構成されたものであるのに対し、刊行物1に記載の発明は、ボトルを軸心回りに回転させる回転機構が、扇形歯車255の回転力やスプリング257による引張り力を用いて行われるものである点。

前記相違点1,2,3’について
相違点1、相違点2および相違点3’についての検討結果はそれぞれ、前記「ア.本件発明2について」の段落における「相違点1について」、「相違点2について」および「相違点3について」で記載したとおりである。

前記相違点4について検討すると、
本件発明1が具備する「ボトルを軸心回りに回転させる回転機構として、ボトルの下保持部材の下部に垂設された回転軸を該回転軸に螺合するボールナットの昇降動作により回転させるボールネジ機構」は、引用文献1-6乃至、異議申立人の提出した甲第1-9号証のいずれにも記載されていない。 なお、異議申立人提出した甲第5号証には、第4頁左欄に「1.NTN精密ボールねじの特長」として、「また直線運動を回転運動に逆作動させることも容易にできます。」と記載されているが、これは単に、ボールねじ機構の特徴を記載したものに過ぎず、ボールねじ機構をボトルを軸心回りに回転させる回転機構に適用することが記載されているとはいえず、したがって該適用を特徴とし、そのために特別の構成を採用するようにした本件発明1が容易に発明できたとも認められない。

したがって、本件発明1は、上記刊行物1-6乃至甲第1-9号証刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4.むすび
以上のとおり、請求項2-9に係る発明は、上記刊行物1に記載された発明及び従来周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2-9に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、平成15年改正前の特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、請求項1に係る発明の特許については、他に取消の理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ボトル検査機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 ボトルをカメラで撮像し、撮像画像に基づいて該ボトルの外観形状を検査する外観検査部と、圧縮空気をボトルに注入し、ボトル内の圧力変化に基づいて漏れの有無を検査する漏れ検査部とを互いにオーバーラップしないように備え、
上記外観検査部と上記漏れ検査部とに亘って連絡する搬送路上でボトルを搬送させる搬送部を備えたボトル検査機において、
上記搬送部は、
上記搬送路を所定半径の周回軌道で形成するとともに、上記搬送路を周回駆動する周回機構と、
上記搬送路上で搬送されるボトルを、該搬送路の周回動作に連動する上下保持部材により上下方向から挟み込んで保持する保持機構と、
上記搬送路の周回動作における外観検査部に対応する第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間に、上記搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルを軸心回りに回転させる回転機構とを備え、
上記回転機構は、上記ボトルの下保持部材の下部に垂設された回転軸を該回転軸に螺合するボールナットの昇降動作により回転させるボールネジ機構と、上記ボールナットを上記搬送路の周回動作により昇降させるカム機構とから構成されたものであることを特徴とするボトル検査機。
【請求項2】 ボトルをカメラで撮像し、撮像画像に基づいて該ボトルの外観形状を検査する外観検査部と、圧縮空気をボトルに注入し、ボトル内の圧力変化に基づいて漏れの有無を検査する漏れ検査部とを互いにオーバーラップしないように備え、
上記外観検査部と上記漏れ検査部とに亘って連絡する搬送路上でボトルを搬送させる搬送部を備えたボトル検査機において、
上記搬送部は、
上記搬送路を所定半径の周回軌道で形成するとともに、上記搬送路を周回駆動する周回機構と、
上記搬送路上で搬送されるボトルを、該搬送路の周回動作に連動する上下保持部材により上下方向から挟み込んで保持する保持機構と、
上記搬送路の周回動作における外観検査部に対応する第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間に、上記搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルを軸心回りに回転させる回転機構と、
上記第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間とは異なるタイミング間であって、上記搬送路の周回動作における漏れ検査部に対応する第3のタイミングから所定時間経過後の第4のタイミングまでの間に、上記搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルの開口部を密閉する密閉機構とを備えたことを特徴とするボトル検査機。
【請求項3】 上記密閉機構は、上記ボトルの上保持部材の上部に立設された昇降軸を上記搬送路の周回動作により昇降させるカム機構から構成したことを特徴とする請求項2記載のボトル検査機。
【請求項4】 上記搬送部は、上記第3のタイミングで上記密閉されたボトル内に圧縮空気を注入する空気注入機構を備えたことを特徴とする請求項2又は3記載のボトル検査機。
【請求項5】 上記外観検査部は、ボトルの撮像画像を基準画像と照合する外観判断手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のボトル検査機。
【請求項6】 上記漏れ検査部は、ボトル内の圧力を検出する検出手段と、検出した圧力値の変化を設定値と比較する漏れ判断手段とを備えたことを特徴とする請求項5記載のボトル検査機。
【請求項7】 上記外観判断手段で不良と判断されたボトル及び/又は上記漏れ判断手段で漏れ有りと判断されたボトルの表面に上記判断結果をマーキングするマーキング部を備えたことを特徴とする請求項6記載のボトル検査機。
【請求項8】 上記マーキングは、レーザマーキングであることを特徴とする請求項7記載のボトル検査機。
【請求項9】 上記搬送路に、マーキングされたボトルとマーキングされていないボトルとを分別する分別部を備えたことを特徴とする請求項7又は8記載のボトル検査機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボトルの製造ラインの検査工程に用いられるボトル検査機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近では、飲料水やジュース等の飲料が充填されるPETボトル等が広く出回っているが、そのボトルの製造ラインの検査工程においては、品質管理の万全を期すべくボトル検査機が使用されている。
【0003】
従来のボトル検査機ではボトルをカメラで撮像し、撮像画像に基づいて該ボトルの外観形状を検査する外観検査部と、圧縮空気をボトルに注入し、ボトル内の圧力変化に基づいて漏れの有無を検査する漏れ検査部とが別個の機体に設けられていた。或いは、一体型と称して上記各機体を単純に並べたものがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、両検査部を別個の機体に設けた場合はいうにおよばず、各機体を単純に並べただけでは、ボトルの搬入、検査及び搬出用のコンベア等からなる搬送路が各機体ごとに必要となるので、検査機が大型化し、省スペースの要請に沿わない。
【0005】
また、従来のボトル検査機では、搬送中のボトルを単純に支持するものが多いので、特に角ボトルの本体側面を外観検査しようとするときには、そのボトルの姿勢変更が困難となることがあり、一般に検査スピードが遅かった。したがって、多量のボトルを高速に検査するためには、従来は複数の検査機を同時稼働させる必要であった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、省スペースの要請に沿い、さらに高速検査が可能なボトル検査機を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明は、ボトルをカメラで撮像し、撮像画像に基づいて該ボトルの外観形状を検査する外観検査部と、圧縮空気をボトルに注入し、ボトル内の圧力変化に基づいて漏れの有無を検査する漏れ検査部とを互いにオーバーラップしないように備え、上記外観検査部と上記漏れ検査部とに亘って連絡する搬送路上でボトルを搬送させる搬送部を備えたボトル検査機において、上記搬送部は、上記搬送路を所定半径の周回軌道で形成するとともに、上記搬送路を周回駆動する周回機構と、上記搬送路上で搬送されるボトルを、該搬送路の周回動作に連動する上下保持部材により上下方向から挟み込んで保持する保持機構と、上記搬送路の周回動作における外観検査部に対応する第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間に、上記搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルを軸心回りに回転させる回転機構とを備え、上記回転機構は、上記ボトルの下保持部材の下部に垂設された回転軸を該回転軸に螺合するボールナットの昇降動作により回転させるボールネジ機構と、上記ボールナットを上記搬送路の周回動作により昇降させるカム機構とから構成されたものであることを特徴とするものである。
第2の本発明は、ボトルをカメラで撮像し、撮像画像に基づいて該ボトルの外観形状を検査する外観検査部と、圧縮空気をボトルに注入し、ボトル内の圧力変化に基づいて漏れの有無を検査する漏れ検査部とを互いにオーバーラップしないように備え、上記外観検査部と上記漏れ検査部とに亘って連絡する搬送路上でボトルを搬送させる搬送部を備えたボトル検査機において、上記搬送部は、上記搬送路を所定半径の周回軌道で形成するとともに、上記搬送路を周回駆動する周回機構と、上記搬送路上で搬送されるボトルを、該搬送路の周回動作に連動する上下保持部材により上下方向から挟み込んで保持する保持機構と、上記搬送路の周回動作における外観検査部に対応する第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間に、上記搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルを軸心回りに回転させる回転機構と、上記第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間とは異なるタイミング間であって、上記搬送路の周回動作における漏れ検査部に対応する第3のタイミングから所定時間経過後の第4のタイミングまでの間に、上記搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルの開口部を密閉する密閉機構とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
これらの構成によれば、同一搬送路上で互いにオーバーラップしないように備えられた両検査部のうち外観検査部によりボトルがカメラで撮像され、撮像画像に基づいて該ボトルの外観形状が検査されるとともに、漏れ検査部により圧縮空気がボトルに注入され、ボトル内の圧力変化に基づいて漏れの有無が検査されるので、両検査部を、それぞれ搬送路を備えた別個の機体に設ける場合等に比べて検査機がコンパクトなものとなり、省スペース化が図られる。
【0009】
また、上記搬送路を所定半径の周回軌道で形成するとともに、上記搬送部は、上記搬送路を周回駆動する周回機構を備えれば、直線的な搬送路に比べて、検査機がよりコンパクトなものとなり、一層の省スペース化が図られる。
【0010】
また、上記搬送部は、上記搬送路上で搬送されるボトルを、該搬送路の周回動作に連動する上下保持部材により上下方向から挟み込んで保持する保持機構を備えれば、ボトル搬送が確実に行われる。
【0011】
また、上記搬送部は、上記搬送路の周回動作における外観検査部に対応する第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間に、上記搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルを軸心回りに回転させる回転機構を備えれば、特に角ボトルの本体側面の外観検査時に外観検査部を移動させることなく検査可能となり、ボトル側面の外観検査が高速化される。
【0012】
また、上記回転機構は、上記ボトルの下保持部材の下部に垂設された回転軸を該回転軸に螺合するボールナットの昇降動作により回転させるボールネジ機構と、上記ボールナットを上記搬送路の周回動作により昇降させるカム機構とから構成されたものであれば、簡単な構成でボトルの回転動作が行われ、ボトル側面の外観検査が高速化される。
【0013】
また、上記搬送部は、上記第1のタイミングから所定時間経過後の第2のタイミングまでの間とは異なるタイミング間であって、上記搬送路の周回動作における漏れ検査部に対応する第3のタイミングから所定時間経過後の第4のタイミングまでの間に、上記搬送路の周回動作に同期させて上記保持されたボトルの開口部を密閉する密閉機構を備えれば、ボトルを搬送中に漏れ検査が可能となり、ボトルの漏れ検査が高速化される。
【0014】
また、上記密閉機構は、上記ボトルの上保持部材の上部に立設された昇降軸を上記搬送路の周回動作により昇降させるカム機構から構成されたものであれば、簡単な構成でボトルの密閉動作が行われ、ボトルの漏れ検査が高速化される。
【0015】
また、上記搬送部は、上記第3のタイミングで上記密閉されたボトル内に圧縮空気を注入する空気注入機構を備えれば、ボトルを搬送中に漏れ検査が可能となり、ボトルの漏れ検査が高速化される。
【0016】
また、上記外観検査部は、ボトルの撮像画像を基準画像と照合する外観判断手段を備えれば、ボトルの外観形状の良否が客観的かつ確実に判断される。
【0017】
また、上記漏れ検査部は、ボトル内の圧力を検出する検出手段と、検出した圧力値の変化を設定値と比較する漏れ判断手段とを備えれば、ボトルの漏れの有無が客観的かつ確実に判断される。
【0018】
また、上記外観判断手段で不良と判断されたボトル及び/又は上記漏れ判断手段で漏れ有りと判断されたボトルの表面に上記判断結果をマーキングするマーキング部を備えれば、各検査を同一搬送路上で行ってもその検査結果が明確化されるため、不良の原因究明が簡単になる。
【0019】
また、上記マーキングは、レーザマーキングであることとすれば、マーキング時に物理的な力が加わらず、高速かつ剥がれにくいマーキングがなされる。
【0020】
また、上記搬送路に、マーキングされたボトルとマーキングされていないボトルとを分別する分別部を備えれば、外観形状の不良或いは漏れのあるボトルが分別されて排除されるので、良品のみが確実に得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図4はボトルの外形を示す斜視図である。図に示すように、検査対象となるボトル1は、合成樹脂製の本体2を有し、この本体2は図略のキャップが着脱自在に装着される構造のものである。本体2は、本実施形態では、平面視で正方形状を呈した角型の長形、或いは短形のものが採用され、角筒部21とこの角筒部21の上端部から上方に向かって延びる円錐筒部22とからなっている。
【0022】
本体2の材料としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)が用いられ、いわゆるブロー成形法によって形成される。例えば、溶融状態のPETを押出機で押し出してプリフォームを成形し温度調整した後、該プリフォームを金型に入れて圧縮空気を吹き込むことにより上記本体2が延伸成形される。
【0023】
上記円錐筒部22の上端部には上記キャップが装着されるための雄ねじ23aが形成された口金部23が形成されており、この雄ねじ23aと円錐筒部22との境界部には全周に亘って径方向外側に向かって突出する鍔部23bが形成されている。
【0024】
以上のような構成であるボトル1は、その製造工程における最終工程として外観、漏れ検査が行われる。ここに、外観検査は、ボトル1の本体2の高さ、口金部23の高さ及び開口部寸法が許容値内にあるか否か、本体2の上面、側面又は底面に傷や偏肉があるか否か、或いは口金部23の雄ネジ23a又は鍔部23bに欠けや割れがあるか否かといった外観形状の良否に関するものであり、漏れ検査は、ボトル1の漏れの有無に関するものである。
【0025】
以下、本実施形態におけるボトル検査機について説明する。図1は本発明の一実施形態に係るボトル検査機の全体構成を示す上面図、図2はその正面図、図3は検査部のターンテーブル及びその周辺部を拡大して示す側断面図である。
【0026】
図1から図3に示すように、本検査機は、検査対象であるボトル1を搬入する搬入部100と、搬入部100で搬入されたボトル1を同一搬送路上で外観、漏れ検査する検査部200と、検査部200で検査されたボトル1を搬出する搬出部300とから構成されている。
【0027】
搬入部100は、インフィードコンベア101、インフィードスクリュー102、インフィードスターホイール103及び第1外観検査部104からなり、インフィードコンベア101は上流工程で製造した複数のボトル1を直立状態で載せてインフィードスターホイール103に順次に送り込むものである。
【0028】
インフィードスクリュー102は図中の手前側と奥側とに上下に2条づつ配設され、それぞれがインフィードコンベア101で送り込まれてくるボトル1が長形のものである場合には、その両側面の上下に当接してそのボトルを所定ピッチで整列させるものである。ボトル1が短形のものであれば、下側のインフィードスクリュー102のみがボトル1に当接する。
【0029】
インフィードスターホイール103はインフィードコンベア101で送り込まれ、かつインフィードスクリュー102で整列されたボトル1を所定半径で周回させて検査部200にスムーズに移載させるものである。このため、インフィードスターホイール103の円板状の回転部外周にはボトル形状に応じた切り欠き部1031が設けられ、この切り欠き部1031に対向する非回転部にはガイド1032等が設けられている。そして、上記送り込まれてきたボトル1をこの切り欠き部1031とガイド1032等間に挟み込んで周回させ、所定のタイミングで検査部200に受け渡す構成となっている。第1外観検査部104はボトル1の本体2及び口金部23の上面を外観検査するものであり、上記受け渡し位置の直前に配設されているが、その詳細構成は後述する。
【0030】
検査部200は、ターンテーブル201、チャック機構202、第2外観検査部203、漏れ検査部204及び第3外観検査部205からなり、ターンテーブル201は搬入部100のインフィードスターホイール103から移載されたボトル1を所定半径で周回させる上記搬送路上で順次搬送する搬送部を構成するものである。
【0031】
ターンテーブル201は、ともに円板状である天井プレート2011とベースプレート2012とを備え、両者を周方向の適所に配置された支柱2013で支持することにより全体視で円筒形状をなしている。天井プレート2011とベースプレート2012との各中心にはそれぞれ軸受2014,2015が備えられ、軸受2014,2015には主回転軸2016が回転自在に支持されている。
【0032】
主回転軸2016の軸心方向に、円板状のターンテーブルプレート2018,2019,2020が所定間隔で配設され、これらのターンテーブルプレートの各中心部が主回転軸2016に固定されている。主回転軸2016の下部には、図略のモータにより回転駆動されるギア2017が固定されている。すなわち、ターンテーブル2018,2019,2020はギア2017と主回転軸2016を介してモータ駆動されるようになっており、図略のモータ、ギア2017及び主回転軸2016が周回機構を構成している。
【0033】
チャック機構202は、ボトル1を上下方向から挟み込んで保持する例えば40対の上部保持機構202Aと下部保持機構202Bとからなり、これら40対の機構がターンテーブルプレート2018,2019,2020の周方向に等間隔で配設されている。このチャック機構202は、ターンテーブルプレート2018,2019,2020とともに周回される40本のボトル1をそれぞれ上部保持機構202Aと下部保持機構202Bとで上下方向から挟み込んで所定のタイミングで自転させ、或いはそのボトル1を密閉して圧縮空気の吹き込みを行う構成であって、これらにより、1分間に600個ものボトル1が連続処理可能となる。チャック機構202が保持機構、回転機構、密閉機構、空気注入機構を構成している。
【0034】
第2外観検査部203はボトル1の本体2の側面の外観を検査するものであり、インフィードスターホイール103からのボトル移載位置の直後に配設されている。
【0035】
第3外観検査部205はボトル1の口金部23の側面の外観を検査するものであり、アウトフィードスターホイール303への移載位置の直前に配設されている。漏れ検査部204は圧縮空気が注入されたボトル1内の圧力変化に基づいて漏れの有無を検査するものであり、上記第2、第3外観検査部の間に配設されている。チャック機構202、第2外観検査部203、第3外観検査部205及び漏れ検査部204の詳細構成は後述する。
【0036】
搬出部300は、アウトフィードコンベア301、アウトフィードスクリュー302、アウトフィードスターホイール303、第4外観検査部304、マーキング部305及び不良品除去部306からなる。アウトフィードスターホイール303は、上記検査部200で外観、漏れ検査されたボトル1を所定半径で周回させて検査部200からスムーズに移載するものであって、上記インフィードスターホイール103と同様の構成である。
【0037】
アウトフィードコンベア301はアウトフィードスターホイール303から移載されたボトル1を外部に順次に送り出すものであり、上記インフィードコンベア101と同様の構成である。
【0038】
アウトフィードスクリュー302はアウトフィードコンベア301で送り出されるボトル1の両側面の上下に当接してそのボトルを所定ピッチで整列させるものであって、上記インフィードスクリュー102と同様の構成である。第4外観検査部304はボトル1の本体2の底部の外観を検査するものである。マーキング部305は検査結果が不良であったボトル1にレーザマーキングするものである。不良品除去部306はこのマーキングされたボトル1を圧縮空気で吹き飛ばして搬送路から排除するものである。第4外観検査部304及びマーキング部305の詳細構成は後述する。
【0039】
このように、各外観検査部104,203,205,304と漏れ検査部204とは、いずれも上記ターンテーブル201に沿って配設されており、このターンテーブル201で提供される同一搬送路上に設けられているものといえる。
【0040】
以下、本発明の主要部であるチャック機構各検査部及びマーキング部を詳述する。図5はチャック機構の下部保持機構を拡大して示す側断面図、図6はチャック機構の上部保持機構を拡大して示す側断面図である。
【0041】
チャック機構202の下部保持機構202Bは、ボトル1の本体2を底部から保持する第1保持部材(下保持部材)2021と、この第1保持部材2021をターンテーブルプレート2020とともに周回させるとともに、ボトル1の軸心回りに該ボトルを回転させるためのカム機構及びボールネジ機構とを備えている。
【0042】
第1保持部材2021はボトル1の底部が載置可能な大きさの円板状に形成されており、その下部には回転軸としてのスピンドル2023が第1保持部材2021と一体となって垂直下方に延びている。このスピンドル2023の第1保持部材2021の直下部はターンテーブルプレート2020に固定された軸受2025に挿通されてスピンドル2023の昇降が規制されているがその回転は自在となっている。スピンドル2023には、軸受2025の挿通箇所よりも下部でネジ溝2023aが切られており、その最下部は昇降部材2027の上部に形成された段付き貫通孔2027aに挿入されてこの昇降部材2027の昇降動作と干渉しないようになっている。
【0043】
昇降部材2027の段付き貫通孔2027aの上部には、上記スピンドル2023のネジ溝2023aに対応するネジ溝(図7参照)がその内面に切られたボールナット2028の下部が挿入されている。これにより、昇降部材2027とボールナット2028とは一体になって、ターンテーブルプレート2020に固定された上下方向のガイド棒2022に沿って昇降可能となっている(図中の実線でボールナット2028の下限位置、二点鎖線でその上限位置をそれぞれ示している)。このボールナット2028とスピンドル2023とで上記ボールネジ機構が構成されている。
【0044】
図7はボールネジ機構を示す図であって、(a)は軸直角方向の断面図、(b)は動作原理図である。ボールナット2028のハウジング2028aには複数のボール2028bが内蔵されており、スピンドル2023がこのボールナット2028にねじ込まれると、これらのボール2028bがスピンドル2023のネジ溝2023aとボールナット2028のハウジング2028aとで形成される無端状のボール通路2028c内で転動可能となる。
【0045】
上述したように、スピンドル2023は軸受2025により回転自在でかつ昇降しないように支持されているので、ボールナット2028を例えば図中の下方向に動かすと、ボール2028bには押圧力Pが作用し、ボールナット2028のネジ斜面と直角方向にはその反力Nが作用し、同斜面の傾斜方向には摩擦力μNが作用する。その結果、同斜面に沿ってF=P・sinθ-μNの力が作用し、この力Fの軸直角成分F・cosθによりスピンドル2023は上面視で時計方向に回転する。逆に、ボールナット2028を上方向に動かすと、スピンドル2023は上面視で反時計方向に回転する。ただし、μは転がり摩擦係数、θはネジの傾斜角である。なお、ネジの傾斜を上記と逆方向にとれば、逆動作が可能となる。
【0046】
昇降部材2027の最下部からターンテーブルプレート2020の径方向外側に延びた水平軸2029には、ローラ状のカムフォロア2030がターンテーブルプレート2020の周方向に回動可能に支持されている。カムフォロア2030は、ターンテーブルプレート2020の周方向に形成されかつベースプレート2012に固定されたカム2031のカム溝2031a内に移動自在に嵌めこまれており、カムフォロア2030は回転することでカム溝2031a内を移動可能となっている。これらのカム2031とカムフォロア2030とで上記カム機構が構成されている(図8参照)。
【0047】
チャック機構202の上部保持機構202Aは、ボトル1の開口部である口金部23上部を保持する第2保持部材(上保持部材)2051と、この第2保持部材2051をターンテーブルプレート2020とともに周回させるとともに、ボトル1の密閉動作を行わせるためのカム機構とを備えている。
【0048】
第2保持部材2051は軸心方向に貫通された空気孔2051aを有する棒状部材であり、その下部はボトル1の口金部23が係合可能なテーパ状に形成されている。また第2保持部材2051の上部は拡張されて側面に開口2051bを有するシリンダ状をなし、その中にピストン2054がバネ2051cを介して昇降可能に嵌め込まれている。ピストン2054には下方に開放された空気孔2054aが形成され、上方から吊り下げられた空気チューブ2055から圧縮空気が供給されるように構成されている。したがって、ピストン2054が上昇しているときには、このバネ2051cの付勢力により、ピストン2054に対して第2保持部材2051は押し下げられた状態となり、両者は離間しているが、ピストン2054がバネ2051cの付勢力に抗して下降してくると、両者は当接するようになっている(図中の実線で第2保持部材2051の上限位置、二点鎖線でその下限位置を示している)。
【0049】
なお、インフィードスターホイール103から移載されたボトル1の口金部23の高さは、上記ピストン2054の上昇しているときの第2保持部材2051の上記テーパ状の下部に当接するように予め調整されており、インフィードスターホイール103から移載されたボトル1の口金部23がこの第2保持部材2051のテーパ状の下部を押し上げて係合するようになっている。また、ボトル1がアウトフィードスターホイール303へ移載される場合は、上記と逆に、ボトル1の口金部23が第2保持部材2051のテーパ状の下部を押し上げて係合を解除するようになっている。
【0050】
空気チューブ2055はゴム等の可撓性材料で構成されており、ピストン2054の昇降に応じて屈曲自在になっている。この空気チューブ2055は、ターンテーブルプレート2018,2019を貫通していずれも図略のマニホールド弁、十字ジョイントを介して外部の空気供給源に接続されている。上記マニホールド弁は、ターンテーブル201の回転によりチャック機構202が上記第2外観検査の直後の位置にきたならば、上記空気チューブ2055から圧縮空気をそのチャック機構202に供給し、その後チャック機構202が上記第3外観検査の直前にくるまでの一定時間だけ供給を停止するためのものである。
【0051】
ピストン2054の上部には昇降軸としてのスピンドル2058の下部が挿入されて一体化されている。スピンドル2058は、ターンテーブルプレート2018,2019にそれぞれ固定された軸受2056,2057に回転可能に支持されており、さらにこのスピンドル2058にはターンテーブルプレート2018,2019に両端部が固定されたガイド2059に沿って昇降するブラケット2060が連結されている。したがって、ブラケット2060は、ターンテーブルプレート2018,2019の周回動作に伴い回転しつつ、スピンドル2058とともに昇降可能になっている。
【0052】
ブラケット2060の下部には、ブラケット2060の昇降範囲を規制する上下ストッパ2060a,2060bと、下ストッパ2060bとブラケット2060との間に配設されてブラケット2060を上方に付勢するバネ2060cとが装備されている。また、バネ2060cの上端はブラケット2060の下部に固定され、下端はスピンドル2058を挿通する当接部材2060dに固定されており、ブラケット2060の下降に伴い、この当接部材2060dが弾性的に下ストッパ2060bに当接する構成となっている(図中の実線でブラケット2060の上限位置、二点鎖線でその下限位置を示している)。
【0053】
ブラケット2060はターンテーブルプレート2018,2019の径方向外側に延び、先端は軸状となっている。この先端にはローラ状のカムフォロア2061がターンテーブルプレート2018,2019の周方向に回転可能に支持されている。カムフォロア2061は、ターンテーブルプレート2018,2019の周方向に形成されかつベースプレート2012に固定されたカム2062のカム溝2062a内に移動自在に嵌めこまれており、カムフォロア2061が回転することでカム溝2062a内を移動可能となっている。これらのカムフォロア2061とカム2062とで上記カム機構が構成されている(図8参照)。
【0054】
図8はカム機構の動作を示すカム展開図である。実際のカム形状はターンテーブル201の上部と下部とに配設され、それぞれ周方向に形成されて円筒状となっているが、ここでは説明の便宜上、上記カム形状を展開しかつ各検査と対応付けて示している。なお、各カムは端面カムと補助カムとを適所で係止してそれぞれ一体のカムを構成したものであってもよい。
【0055】
図例では、カム2031のカム溝2031aと、カム2062のカム溝2026aとは互いに異なった形状になっている。上述したように検査対象であるボトル1がインフィードスターホイール103から移載され、この移載されたボトル1を載置した第1保持部材2021がその載置直後(第1のタイミング)から第2外観検査部203を通過するときまで(第2のタイミング)、カムフォロア2030が上方に押し上げられ、このカムフォロア2030の動きに連動してボールナット2028が上方に押し上げられる。すると、スピンドル2023は軸受2025で規制されて上昇しないので、ボールナット2028内でスピンドル2023が回転する。このスピンドル2023の回転により第1保持部材2021に載置したボトル1は軸心回りに回転(自転)を行うこととなる。
【0056】
このとき、第2保持部材2051のカムフォロア2061は水平移動し、ブラケット2060とスピンドル2058とは昇降しないため、ピストン2054の下部と第2保持部材2051の上部とが離間した状態となっており、ボトル1への空気供給は行われない。
【0057】
第1保持部材2021が第2外観検査部203を通過した直後(第3のタイミング)から第3外観検査部205を通過するまで(第4のタイミング)の間、今度はカムフォロア2030は水平移動するようになり、このカムフォロア2030の動きに連動してボールナット2028も水平移動するようになる。すると、このボールナット2028内でのスピンドル2023の回転は停止しボトル1は自転しなくなる。
【0058】
このとき、第2保持部材2051のカムフォロア2061は下方に押し下げられる。このカムフォロア2061の動きに連動してブラケット2060が押し下げられ、スピンドル2058もバネ2060cの付勢力に抗して押し下げられるので、ピストン2054の下端は第2保持部材2051の空気孔2051aに当接する。すると、圧縮空気がこれらピストン2054と第2保持部材2051の各空気孔2054a,2051aを通過してボトル1内に供給され、上記一定時間だけ閉じ込め状態となる。その間の圧縮空気の圧力変動は詳しくは後述するが、ピストン2054の軸方向略中央部に装備された検出手段としての圧力センサ2062で監視される。
【0059】
第1保持部材2021が第3外観検査部205を通過した直後から第4外観検査部304を通過するまでの間、今度は両カムフォロア2030,2061ともに水平移動するようになり、これらのカムフォロア2030,2061の動きに連動してボトル1は自転せず、ブラケット2060とスピンドル2058とも昇降しなくなるため、ピストン2054の下端は第2保持部材2051の空気孔2051aと離間した状態となり、ボトル1に閉じ込めてあった圧縮空気は第2保持部材2052のシリンダ状の上部に設けられた開口部2051aから外部に開放される。
【0060】
第1保持部材2021が第4外観検査部304を通過した直後から第1外観検査部104に戻るまでの間、今度はカムフォロア2030は最初の位置に復帰する。このカムフォロア2030の動きに連動して第1保持部材2021は上記と逆方向に自転する。このとき、第2保持部材2051のカムフォロア2061は水平移動するので、空気供給は行われないままである。
【0061】
ついで、第1〜第4外観検査部について説明する。
【0062】
各外観検査部104,203,205,304は、例えばCCDカメラと透過照明用ランプとがボトル1を挟んでターンテーブル201の上記各位置に設置され、このカメラによる撮像画像は処理装置に導かれて2値化や正規化等の所定の画像処理を施した後、周知のパターンマッチング法等を用いて外観の良否を判断する構成である。
【0063】
第2外観検査部203では、ボトル1の本体側面の外観検査を行うので、ボトル1に向かって4台のカメラ(図9で一括して5212と付番している。)が上下左右に所定間隔で配設され、等速で自転するボトル1の本体2の側方からの透過光を同時に撮像するようになっている。本実施形態では、角ボトルを対象としているので、同検査中に270度だけ自転させて撮像すればよい。
【0064】
第3外観検査部205では、ボトル1の口金部23の外観検査を行うので、ボトル1の口金部23に向かって2台のカメラ(図9で一括して5213と付番している。)が左右に所定間隔で配設されて、周回運動するボトル1の本体2の当該部を同時に撮像するようになっている。第1外観検査部104では、ボトル1の本体2の上面の外観検査を行い、また第4外観検査部304では、ボトル1の底部の外観検査を行うので、それぞれ1台のカメラ(図9でそれぞれ5211,5214と付番している。)が配設されて、それぞれ周回するボトル1の本体2の当該部を撮像するようになっている。
【0065】
ついで漏れ検査部について説明する。
【0066】
漏れ検査部204は、上述したように、ボトル1内に圧縮空気を注入し、その圧縮空気を一定時間だけ閉じ込めておいて、その圧力変化を圧力センサ2062で監視するものであって、ボトル1の本体2に孔が開いている場合には、その閉じ込められた圧縮空気の圧力が低下してくるので、設定圧力値以下となったものは、孔があいていると判断するものである。圧力センサ2062としては、ダイアフラム式、ベローズ式、圧電素子等あらゆるタイプのものが使用できる。
【0067】
ついでマーキング部について説明する。
【0068】
マーキング部305は、ボトル1の表面に文字等をレーザで形成するもので、搬出部300のアウトフィードスターホイール303からのボトル移載位置の直後に配設され、例えばYAGレーザを備えている。このようにレーザマーキングを用いるのは、従来のインクジェット法等ではボトル1に物理的な力が加わるので、この力が加わるのを防止するとともに、高速かつ剥がれにくいマーキングを実現するためである。また、瞬間加工でボトル1への熱影響が少ないためでもある。本実施形態では、ボトル1の口金部23に「AA」、「BB」等の2文字をマーキングすることとしている。この2文字で不良内容あるいは検査日付を表すことができる。YAGレーザの代わりにエキシマレーザ等を使用してもよい。
【0069】
図9は本実施形態の制御系を機能的に示すブロック図である。以下、本実施形態の制御系を説明する。
【0070】
図に示すように、本検査機では、搬入部100のモータ5101はドライバ2511を介して駆動し、検査部200のモータ5102はドライバ5112を介して駆動し、搬出部300のモータ5103はドライバ5113を介して駆動する構成となっている。
【0071】
また、第1〜第4外観検査部103,203,205,304の各ランプ5201,5302,5203,5204をオンオフするとともに、各カメラ5211,5212,5213,5214からの撮像画像を制御系5000に例えば8ビットの画像データとして取り込むようになっている。
【0072】
本制御部5000は、上記取り込まれた画像データに所定の画像処理を施す画像処理部5220と、外観形状の良好なボトルの基準画像データを予め記憶しておく基準画像メモリ5225と、上記画像処理された画像データを記憶しておく画像メモリ5230と、基準画像メモリ5225から基準画像データを読み出し、画像メモリ5230から撮像画像の画像データを読み出して、両画像データを照合することによりボトル1の外観形状の良否を判断する外観判断手段5240とを備えている。
【0073】
また、漏れ検査機構204の圧力センサ2062からの圧力データをA/D変換するA/D変換器5311と、設定圧力値を予め記憶しておく設定圧力値メモリ5320と、この設定圧力値よりも圧力センサ2062から取り込んだ圧力データの値が小さくなったときに漏れがあると判断する漏れ判断手段5330とを備えている。
【0074】
一方、マーキング部305のレーザ5401はドライバ5411を介して駆動するようになっているが、本制御部5000は、このレーザマーキングのための各種マーク(上記「AA」等)を予め記憶してマークメモリ5420と、上記各判断手段5240,5330による判断結果を示すマークを選択してマーキングに用いるように制御するマーキング制御部5430とを備えている。
【0075】
また、不良品除去部306のエアー機構5501はドライバ5511を介して駆動するようになっているが、不良品を分別してエアー吹き出しのタイミング等を制御する不良品除去エアー制御部5530を備えている。
【0076】
上記各要素はCPU5001に接続され一括制御されるようになっている。このCPU5001には、キーボードやマウスなどの入力部5002と、CRTなどの出力部5003と、各データを一時的に保存するRAM5004と、各種プログラムを記憶するROM5005とが接続されている。
【0077】
なお、本実施形態では、画像メモリ5230として上記RAM5004を使用しており、基準画像メモリ5225に予め記憶しておく基準画像データ、設定圧力値メモリ5320に予め記憶しておく設定圧力値、及びマークメモリ5420に予め記憶しておくマークについては、図略のCD-ROM等から上記RAM5004に取り込んで使用することとしているが、基準画像データ等については上記入力部5002を用いて初期設定したり設定変更したりすることとしてもよい。
【0078】
図10は本実施形態のボトル検査機の動作の一例を示すフローチャートである。本検査機は例えば以下のような動作を行う。
【0079】
まず、電源投入により搬入部100、検査部200及び搬出部300の各モータ5101,5102,5103等が起動され、外部から供給されたボトル1がインフィードコンベア101で連続して送り込まれてくる。この際、各ボトル1はインフィードスクリュー102で所定ピッチに整列される(ステップS1)。整列された各ボトル1はインフィードスターホイール103へ移載され、ここで周回される(ステップS2)。
【0080】
そして、インフィードスターホイール103のターンテーブル201への移載直前に、第1外観検査部104のランプ5201からボトル1の本体2及び口金部23の上面に照射された光の透過光がカメラ5211で撮像される。その撮像画像の画像データは画像処理部5220で上記所定の画像処理が施された後、画像メモリ5230に取り込まれる。この処理画像データを画像メモリ5230から読み出すとともに、外観判断手段5240で基準画像メモリ5225から基準画像データを読み出して両者を照合することでボトル1の本体上面の外観の良否判断が行われる(ステップS3)。
【0081】
ついで、上記ボトル1は検査部200のターンテーブル201に移載され、チャック機構202で上下方向から保持され、ターンテーブル201とともに周回する(ステップS4)。この移載直後に、上記カム機構とボールネジ機構との働きでボトル1はその軸心回りに自転する。この回転中に第2外観検査部203のランプ5202からボトル1の本体2の側面に光が照射され、その透過光がカメラ5212で撮像される。この撮像画像を上記ステップS3と同様の処理等を施すことでボトル1の本体側面の外観の良否判断が行われる(ステップS5)。
【0082】
ついで、上記ボトル1の第2外観検査部203を通過し第3外観検査部305に向かうが、第3外観検査部305を通過する直前までは、上記カム機構とボールネジ機構との働きでボトル1は上記自転を停止する。
【0083】
そして、ボトル1には漏れ検査部204で圧縮空気が吹き込まれ、一定時間だけ閉じ込められる。このときの圧縮空気の圧力変化が圧力センサ2062で検出され、検出信号がA/D変換器5311でA/D変換される。この変換値である圧力データを漏れ判断手段5330で設定圧力値記憶メモリ5320から読み出した設定圧力値と比較することによりボトル1の漏れの有無の判断が行われる(ステップS6)。
【0084】
ついで、第3外観検査部205のランプ5203からボトル1の口金部23の側面に光が照射され、その透過光がカメラ5213で撮像される。この撮像画像を上記ステップS3と同様の処理等を施すことでボトル1の口金部側面の外観の良否判断が行われる(ステップS7)。
【0085】
ついで、上記ボトル1は、ターンテーブル201からアウトフィードスターホイール303に移載され、ここで周回運動される(ステップS8)。そして、アウトフィードスターホイール303への移載直後に、第4外観検査部304のランプ5204からボトル1の本体2の底部に光が照射され、その透過光がカメラ5214で撮像される。この撮像画像を上記ステップS3と同様の処理等を施すことでボトル1の本体底部の外観の良否判断が行われる(ステップS9)。
【0086】
ついで、上記ボトル1は、アウトフィードコンベア301に移載される(ステップS10)。この際、ボトル1はアウトフィードスクリュー302で所定のピッチに整列される。整列された各ボトル1のうち、上記各判断部5240,5330で不良であると判断されたものにつき、マーキング部305のマーキング制御部5430の制御下でレーザ5401によりレーザマーキングが行われる(ステップS11)。
【0087】
そして、不良品除去部306の不良品除去エアー制御部5530の制御下で不良品が分別されエアー機構5501によりのエアーでその不良品が吹き飛ばされる(ステップS12)。吹き飛ばされた不良品のマーキング結果から不良原因やその発生時間等が簡単に分かる。
【0088】
以上のようにして、本実施形態では、同一搬送路上で各外観検査部104,203,205,304によりボトル1がそれぞれカメラ5211,5212,5213,5214で撮像され、撮像画像に基づいてこのボトル1の外観形状が検査されるとともに、漏れ検査部204により圧縮空気がボトル1に注入され、このボトル1内の圧力変化に基づいて漏れの有無が検査されるので、両検査部を別個の機体に設ける場合等に比べて、検査機がコンパクトなものとなり、省スペース化が可能である。
【0089】
なお、上記実施形態では、ボトル1の第2外観検査を行った後に、第3外観検査を行う前に漏れ検査を行っているが、検査順序はこれに限るものではない。例えば、第3外観検査を行った後に、第2外観検査を行う前に漏れ検査を行ったり、第2,第3の外観検査を纏めて行いその前か後に漏れ検査を行うこととしてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、ボトル1の第2,第3外観検査と漏れ検査とを検査部200で行う一方、搬入部100で第1外観検査を行い、搬出部300で第4外観検査を行っているが、全ての検査を検査部200で纏めて行うこととしてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、ボトル1の外観検査と漏れ検査とを行っているが、いずれか一方のみを行うこともできるし、この他、例えば異物混入の有無の検査を追加して行うこともできる。
【0092】
また、上記実施形態では、角ボトルを検査対象としているが、丸ボトルでも検査することができる。また、外観検査の内容についても、ボトル1の本体2及び口金部23の各寸法と、本体2の側面、上面及び底面と、口金部23の側面のうちの一部のみを検査することとしてもよいし、ボトル1のその他の部分の検査を追加することもできる。
【0093】
また上記実施形態では、ボトル1の透過光を使用しているが、この透過光の代わりに、反射光を使用してもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、ボトル1自体についてはPETボトルだけを説明しているが、PP(ポリプロピレン)等の光を透過又は反射する他の合成樹脂材料製のボトル、さらには、ガラス瓶等であってもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、漏れ検査は圧縮空気による方式を説明しているが、例えば放電式のピンホール検査とすることもできる。その場合には、圧縮空気方式では検出できない小さな孔をも検出できる。
【0096】
また、上記実施形態では、カム機構とボールナット機構とでボトル1を自転させつつ、本体側面の外観検査をし、カム機構でボトル1の開口部の密閉を行っているが、サーボモータ等を使用して同様の動作を行うようにしてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、不良品を分別し圧縮空気で排除しているが、この不良品除去の代わりに、或いは不良品除去とともに、その不良品の発生をアラーム等でオペレータに知らせ、さらには機械を自動停止することとしてもよく、その場合には不良品のさらなる発生を防止できる。
【0098】
【発明の効果】
本発明によれば、検査機がコンパクトなものとなり、省スペース化を図ることができる。
【0099】
また、ボトル搬送を確実に行うことができる。
【0100】
また、特に角ボトルの本体側面の外観検査時に外観検査部を移動させることなく、ボトル側面の外観検査を高速化できる。
【0101】
また、簡単な構成でボトルの回転動作が可能となり、ボトル側面の外観検査を高速化できる。
【0102】
また、ボトルを保持したまま検査可能となり、ボトルの漏れ検査を高速化できる。
【0103】
また、簡単な構成でボトルの密閉動作が可能となり、ボトルの漏れ検査を高速化できる。
【0104】
また、ボトルを保持したまま検査可能となり、ボトルの漏れ検査を高速化できる。
【0105】
また、ボトルの外観形状の良否の判断が容易になる。
【0106】
また、ボトルの漏れの有無の判断が容易になる。
【0107】
また、各検査を同一搬送路上で行っても、その不良の原因究明が簡単になる。
【0108】
また、マーキング時に物理的な力が加わらず、高速かつ剥がれにくいマーキングを行うことができる。
【0109】
また、不良品を確実に排除でき、品質管理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るボトル検査機の全体構成を示す平面図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係るボトル検査機の全体構成を示す正面図である。
【図3】 本発明の一実施形態に係るボトル検査機の検査部のターンテーブルとその周辺部を拡大して示す側断面図である。
【図4】 検査対象となるボトルの外観斜視図である。
【図5】 本発明の一実施形態に係るチャック機構の上部保持機構を拡大して示す側断面図である。
【図6】 本発明の一実施形態に係るチャック機構の下部保持機構を拡大して示す側断面図である。
【図7】 ボールネジ機構を示す図であって、(a)は軸直角方向の断面図、(b)は動作原理図である。
【図8】 カム機構の動作を示すカム展開図である。
【図9】 本実施形態に係るボトル検査機の制御系を機能的に示すブロック図である。
【図10】 本実施形態に係るボトル検査機の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ボトル
2 本体
23 口金部
100 搬入部
101 インフィードコンベア
102 インフィードスクリュー
103 インフィードスターホイール
104 第1外観検査部
200 検査部
201 ターンテーブル(搬送部、搬送路、周回機構)
202 チャック機構(保持機構、回転機構、密閉機構、空気注入機構、カム機構、ボールネジ機構)
203 第2外観検査部(外観検査部、外観判断手段)
204 漏れ検査部(漏れ検査部、漏れ判断手段)
205 第3外観検査部(外観検査部、外観判断手段)
300 搬出部
301 アウトフィードコンベア
302 アウトフィードスクリュー
303 アウトフィードスターホイール
304 第4外観検査部
305 マーキング部
306 不良品除去部(分別部)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-10-13 
出願番号 特願2000-317770(P2000-317770)
審決分類 P 1 651・ 121- ZD (G01N)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 田邉 英治  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 長井 真一
菊井 広行
登録日 2003-08-29 
登録番号 特許第3467010号(P3467010)
権利者 新日本工機株式会社
発明の名称 ボトル検査機  
代理人 植木 久一  
代理人 小谷 悦司  
代理人 小谷 悦司  
代理人 伊藤 孝夫  
代理人 植木 久一  
代理人 伊藤 孝夫  

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