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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01N
審判 査定不服 1項1号公知 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01N
管理番号 1117360
審判番号 不服2002-6356  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-05-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-04-12 
確定日 2005-05-27 
事件の表示 平成4年特許願第284789号「配管系の腐食評価用器具及び腐食評価方法及び耐食性評価方法」拒絶査定不服審判事件〔平成6年5月20日出願公開、特開平6-138060〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

1-1 本願は、特許法第30条1項新規性喪失の例外〕の規定の適用を受けようとする平成4年10月22日の出願であり、その根拠として、刊行物(第18回超LSIウルトラクリーンテクノロジーワークショップ〔半導体プロセス用特殊材料ガスの物理・化学II〕における「腐食を伴わない溶接技術」207〜221頁)の写しが新規性喪失の例外証明書として提出されたが、原審において、平成13年7月10日付けで、本願の発明者と上記刊行物に表示される発表者とが相違しており、また、本願発明が同刊行物に記載のない「電子線解析装置」等の構成を含んでいることから、本願は特許法第30条1項の適用を受けられないとした上、本願の請求項1ないし5に係る発明は、上記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであり特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないとの拒絶理由が通知され、これに対し、同年9月17日付けで意見書が提出され、本願の発明者と上記刊行物の発表者とが相違する事情に関し一応の説明がなされているものの「納得できる説明をした書面」等の証拠を伴っていないことから、上記理由により平成14年3月7日付けで拒絶の査定がなされた。

1-2 上記拒絶査定に対し、平成14年4月12日に審判請求がなされ、平成14年7月24日と同年8月21日に、本願の発明者と上記刊行物の発表者との関係を証明する書面として、上記刊行物に表示された各発表者による宣誓書が提出され、本願の発明者以外の上記刊行物に表示される発表者は単なる実験協力者にすぎない旨、及び、本願発明が1992年6月26日〜27日に東京の全電通ホールで『UCS半導体基盤技術研究会』が主催する「第18回超LSIウルトラクリーンテクノロジーワークショップ」において『腐食を伴わない溶接技術』と題して発表された旨の宣誓がなされた。
しかしながら、当合議体において調査を行ったところ、上記ワークショップの開催当時、その主催をした上記『UCS半導体基盤技術研究会』が特許法第30条第1項にいう「特許庁長官が指定する学術団体」に該当していたとの事実はなく、そうである以上、上記ワークショップにおいて『腐食を伴わない溶接技術』と題して発表された事実は、特許法第30条1項の「特許庁長官が指定する学術団体が開催する研究集会において文書をもって発表」された場合に当たらないことから、当審は、平成16年12月7日付けで、本願の請求項1ないし5に係る発明は、特許出願前に日本国内において公然と知られた発明であり特許法第29条1項1号の規定により特許が受けられず、また、本願の請求項2及び3に係る発明は、上記公知発明に基いて当業者が容易に発明できたものでもあり特許法第29条2項の規定によっても特許が受けられない、との拒絶理由を通知したところ、平成17年2月7日に意見書が提出され、本願は特許法第30条1項の「特許庁長官が指定する学術団体が開催する研究集会において文書をもって発表」した場合ではなく「特許を受ける権利を有するものが刊行物に発表」した場合に該当するとの主張がなされるとともにその旨の宣誓がなされた上記刊行物に表示された各発表者による宣誓書が同日付けで提出されたものである。

2.本願発明

本願の請求項1ないし5に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」「本願発明2」・・・「本願発明5」という。)は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】ガス入口及びガス出口を有するホルダーと、該ホルダー内部に収納された、表面から自然酸化膜を除去したシリコンウエハとからなり、プロセス装置へガスを供給するための配管またはサンプル用配管に該ガス入口を接続するようにしたことを特徴とする配管系の腐食評価用器具。
【請求項2】ガス入口及びガス出口を有するホルダーと、該ホルダー内部に収納された、表面から自然酸化膜を除去したシリコンウエハとからなる配管系の腐食評価用器具を、プロセス装置へガスを供給するための配管にそのガス入口において接続し、該配管内に高純度の不活性ガスを導入した後、金属汚染のない高清浄な雰囲気中において該ホルダー内から該シリコンウエハを取り出し、該シリコンウエハ上に付着した金属成分をX線または電子線解析装置により測定することにより該配管内の腐食度を評価することを特徴とする配管系の腐食評価方法。
【請求項3】ガス入口及びガス出口を有するホルダーと、該ホルダー内部に収納された、表面から自然酸化膜を除去したシリコンウエハとからなる配管系の腐食評価用器具を、サンプル用配管にそのガス入口においてバルブを介して接続し、該バルブを閉の状態として該サンプル用配管内腐食性ガスを導入後一定時間保持して該サンプル用配管の腐食を促進し、次いで、該バルブを開の状態として該サンプル用配管内に高純度の不活性ガスを導入した後、金属汚染のない高清浄な雰囲気中において該ホルダー内から該シリコンウエハを取り出し、該シリコンウエハ上に付着した金属成分をX線または電子線解析装置により測定することにより該サンプル配管内の耐食性を評価することを特徴とする配管系の耐食性評価方法。
【請求項4】前記X線または電子線解析装置は全反射蛍光X線装置である請求項2記載の配管系の腐食評価方法。
【請求項5】前記X線または電子線解析装置は全反射蛍光X線装置である請求項3記載の配管系の腐食評価方法」

3.原査定の理由の判断

3-1 新規性喪失の例外の適用の可否

特許法第30条1項新規性喪失の例外〕の適用を受けるためには、「特許を受ける権利を有する者が刊行物に発表し」た場合であれば、(1)本願の発明者が当該刊行物の発表者であるとともに、(2)本願が当該刊行物の発行日から六月以内に出願され、(3)本願発明が当該刊行物に記載された発明〔特許法第29条1項3号に該当する発明〕であること、が少なくとも必要であるところ、まず、上記(1)(2)について本件出願の事情に即してこれをみるに、新規性喪失の例外証明書として提出された上記刊行物の写しと平成17年2月7日付けの上記宣誓書における宣誓の内容を総合すれば、本願の発明者以外の上記刊行物に表示される発表者は単なる実験協力者にすぎないものと認められるとともに、上記刊行物は本願の出願日である平成4年10月22日のおよそ四月前である同年6月26日〜27日に開催されたワークショップに関連して発行されたものであると推認できるから、本願は上記刊行物の発行日から六月以内に出願されたものと認められる。
しかしながら、上記(3)について、本願発明2及び3は、いずれも『シリコンウエハ上に付着した金属成分をX線または電子線解析装置により測定する』ことにより、それぞれ「配管内の腐食度」、「サンプル配管内の耐食性」を評価するものであるのに対し、上記刊行物には、シリコンウエハ上に付着した金属成分を「全反射蛍光X線装置」を用いて測定する旨の記載は同刊行物208頁19〜35行、210頁21〜35行にみることができるものの、「電子線解析装置」により測定する旨の記載を同刊行物中に見いだすことができない。そうすると、「X線解析装置による測定」と「電子線解析装置による測定」とを択一的に記載した本願発明2及び3のうち、後者に係る態様は、上記刊行物に記載された発明ということはできず、そうである以上、本願は、上記刊行物に記載された発明について、新規性喪失の例外の適用を受けることができないと言わなければならない。

なお、請求人は、平成13年9月17日付け意見書において、特許法第30条に関し、次のとおり主張している。
『(4)特許法第30条は、発表発明と出願発明との同一性を要件としていると審査官殿は解釈されております。
しかし、同一性を要件とすることは不条理であり、同一性を要件としないという考え方が解釈論として有力説であります(特許法概説第13版第94頁:吉藤幸朔著)。改正現行特許法は、この有力説に基づき、不条理な解釈を排するために改正されたものであります。従いまして、仮に本願発明が引用文献1に記載された事項でないとしても、改正現行法の趣旨の基づき改正前の特許法第30条の解釈を行うべきであり、同一性を要件とすべきではありません。』
しかしながら、改正前の特許法第30条1項は「第二十9条第1項各号の一に該当するに至った発明」と明文で明確に規定しているし、改正後の特許法第30条1項の規定を改正前の同規定の解釈基準とすべき根拠はないから請求人の上記主張を採用することはできない。

3-2 刊行物

上記のとおり、刊行物は本願の出願のおよそ四月も前に発行されたものである。

3-2-1 刊行物の記載事項

上記刊行物(第18回超LSIウルトラクリーンテクノロジーワークショップ〔半導体プロセス用特殊材料ガスの物理・化学II〕における「腐食を伴わない溶接技術」207〜221頁)には、次の事項が記載ないし図示されている。

(記載事項a)
『超LSI製造において・・・Siウエハ表面のウルトラクリーン化が不可欠となる。・・・我々は、特に金属汚染に関して、ガス供給系を含むプロセスシステムの金属汚染に関して研究を行った。・・・』(207頁2〜7行)

(記載事項b)
『・・・腐食による溶接部の金属剥離量の測定について説明する。図-2に実験装置を示す。・・・サンプルは前述のように、電解研磨処理したSUS316L・1/4インチ配管40cmを用いて・・・22カ所アーク放電を行い溶接部を作成した。この22カ所の溶接部をHClガスに晒して、腐食により発生する剥離金属を・・・自然酸化膜を除去した5インチSiウエハに捕集し金属剥離量をTRXRF(Total Reflection X-ray Floresence:TECHNOS CO.,LTD製)を用いて測定した。実験方法は・・・封入されたHClガスは、全量サンプル出口に取り付けた自然酸化膜の除去されたSiウエハに流し剥離金属を付着させた。・・・超高純度Arガスを6時間供給した後にクリーンルーム内のファンフィルターユニット直下でSiウエハを取り出し、付着した金属量をTRXRFで測定した。』(208頁19〜35行)

(記載事項c)
『・・・剥離金属量は、腐食の度合いを示唆している。』(210頁30行)

(記載事項d)
また、図―2には『5インチSiウエハが、サンプル用配管からのガス入口及びガス出口を有するチャンバー内部に収納されている』ことが図示されていれる。

3-2-2 刊行物に記載された発明

以上の記載ないし図示を総合すると、上記刊行物には、次の発明(以下「引用発明1」「引用発明2」「引用発明3」という。)が記載されている。
「【引用発明1】ガス入口及びガス出口を有するチャンバーと、該チャンバー内部に収納された、表面から自然酸化膜を除去した5インチSiウエハとからなり、プロセス装置へガスを供給するための配管またはサンプル用配管に該ガス入口を接続するようにしたことを特徴とする配管系の腐食評価用器具。
【引用発明2】ガス入口及びガス出口を有するチャンバーと、該チャンバー内部に収納された、表面から自然酸化膜を除去した5インチSiウエハとからなる配管系の腐食評価用器具を、プロセス装置へガスを供給するための配管にそのガス入口において接続し、該配管内に超高純度Arガスを6時間供給した後、クリーンルーム内のファンフィルターユニット直下において該チャンバー内から上記ウエハを取り出し、該ウエハ上に付着した剥離金属をTRXRF(Total Reflection X-ray Floresence:TECHNOS CO.,LTD製)を用いて測定することにより該配管内の腐食度を評価することを特徴とする配管系の腐食評価方法。 【引用発明3】ガス入口及びガス出口を有するチャンバーと、該チャンバー内部に収納された、表面から自然酸化膜を除去した5インチSiウエハとからなる配管系の腐食評価用器具を、サンプル用配管にそのガス入口においてバルブを介して接続し、該バルブを閉の状態として該サンプル用配管内HClガスを導入後一定時間保持して該サンプル用配管の腐食を促進し、次いで、該バルブを開の状態として該サンプル用配管内に超高純度Arガスを導入した後、クリーンルーム内のファンフィルターユニット直下において該チャンバー内から上記ウエハを取り出し、該ウエハ上に付着した剥離金属をTRXRF(Total Reflection X-ray Floresence:TECHNOS CO.,LTD製)を用いて測定することにより該サンプル配管内の耐食性を評価することを特徴とする配管系の耐食性評価方法。」

3-3 対比・判断

上記引用発明の「チャンバー」「5インチSiウエハ」「超高純度Arガス」「剥離金属」「HClガス」は、それぞれ、本願発明の『ホルダー』『シリコンウエハ』『高純度の不活性ガス』『金属成分』『腐食性ガス』に相当し、
上記引用発明の「クリーンルーム内のファンフィルターユニット直下」は本願発明にいう『金属汚染のない高清浄な雰囲気』下にあり、
上記引用発明の「TRXRF(Total Reflection X-ray Floresence:TECHNOS CO.,LTD製)」は本願発明の『X線解析装置』及び『全反射蛍光X線装置』に相当する。

3-3-1 本願発明2

そうすると、本願発明2の方法において『電子線解析装置』により測定する態様のものと引用発明2とは、

(一致点)
「ガス入口及びガス出口を有するホルダーと、該ホルダー内部に収納された、表面から自然酸化膜を除去したシリコンウエハとからなる配管系の腐食評価用器具を、プロセス装置へガスを供給するための配管にそのガス入口において接続し、該配管内に高純度の不活性ガスを導入した後、金属汚染のない高清浄な雰囲気中において該ホルダー内から該シリコンウエハを取り出し、該シリコンウエハ上に付着した金属成分を解析装置により測定することにより該配管内の腐食度を評価することを特徴とする配管系の腐食評価方法」

である点で一致するものの、次の点で相違する。

<相違点>
「シリコンウエハ上に付着した金属成分の解析装置」が、本願発明2では「電子線解析装置」なのに対し、引用発明2では「全反射蛍光X線装置」である点。

上記相違点について検討するに、シリコンウエハ上の付着した異物の分析手段として、電子線プローブマイクロアナライザなどの電子線解析装置は、特開平3-181848号公報の1頁左下欄最終行〜2頁右上欄13行に従来技術として記載されているとおり周知であるから、引用発明2における「全反射蛍光X線解析装置」に代えて、「電子線解析装置」を採用することは当業者が容易に想到し得ることである。

3-3-2 本願発明3

また、本願発明3の方法において『電子線解析装置』により測定する態様のものと引用発明3とは、

(一致点)
「ガス入口及びガス出口を有するホルダーと、該ホルダー内部に収納された、表面から自然酸化膜を除去したシリコンウエハとからなる配管系の腐食評価用器具を、サンプル用配管にそのガス入口においてバルブを介して接続し、該バルブを閉の状態として該サンプル用配管内腐食性ガスを導入後一定時間保持して該サンプル用配管の腐食を促進し、次いで、該バルブを開の状態として該サンプル用配管内に高純度の不活性ガスを導入した後、金属汚染のない高清浄な雰囲気中において該ホルダー内から該シリコンウエハを取り出し、該シリコンウエハ上に付着した金属成分をX線解析装置(全反射蛍光X線装置)により測定することにより該サンプル配管内の耐食性を評価することを特徴とする配管系の耐食性評価方法」

である点で一致するものの、次の点で相違する。

<相違点>
「シリコンウエハ上に付着した金属成分の解析装置」が、本願発明3では「電子線解析装置」なのに対し、引用発明3では「全反射蛍光X線装置」である点。

上記相違点について検討するに、3-3-1に記載したのと同様の理由により、引用発明3における「全反射蛍光X線解析装置」に代えて、「電子線解析装置」を採用することは当業者が容易に想到し得ることである。

4.当審拒絶理由の判断

4-1 公然知られた発明

上記刊行物が、1992年6月26日から27日にかけて全電通ホール(東京)で「UCS半導体基盤技術研究会」の主催により開催された「第18回超LSIウルトラクリーンテクノロジーワークショップ」に関連して発行されたものであること、及び、平成14年7月24日、8月21日に提出された上記刊行物に表示の各発表者による宣誓書における、本願発明が上記ワークショップで「腐食を伴わない溶接技術」と題して発表されたという旨の宣誓内容に照らすと、同ワークショップにおいて、上記「3-2―1 刊行物の記載事項」に記載した内容の発表がなされたものと推認でき、上記「3-2-2 刊行物に記載された発明」に記載した引用発明1ないし3が公知となるに至ったことが認められる。

そして、上記ワークショップの開催当時、その主催をした「UCS半導体基盤技術研究会」は、特許法第30条1項にいう「特許庁長官が指定する学術団体」に該当していたとの事実はなく、上記ワークショップにおける発表は、特許法第30条1項の「特許庁長官が指定する学術団体が開催する研究集会において文書をもって発表」された場合に当たらないから、本願は、同発表について、特許法第30条1項の規定の適用を受けることができない。
4-2 特許法第29条1項1号違反

上記引用発明の「チャンバー」「5インチSiウエハ」「超高純度Arガス」「剥離金属」「HClガス」は、それぞれ、本願発明の『ホルダー』『シリコンウエハ』『高純度の不活性ガス』『金属成分』『腐食性ガス』に相当し、
上記引用発明の「クリーンルーム内のファンフィルターユニット直下」は本願発明にいう『金属汚染のない高清浄な雰囲気』下にあり、
上記引用発明の「TRXRF(Total Reflection X-ray Floresence:TECHNOS CO.,LTD製)」は本願発明の『X線解析装置』及び『全反射蛍光X線装置』に相当する。

そうすると、本願発明1と引用発明1とは、

「ガス入口及びガス出口を有するホルダーと、該ホルダー内部に収納された、表面から自然酸化膜を除去したシリコンウエハとからなり、プロセス装置へガスを供給するための配管またはサンプル用配管に該ガス入口を接続するようにしたことを特徴とする配管系の腐食評価用器具」

である点で一致し、相違点は存しない。

また、本願発明4と引用発明2とは、

「ガス入口及びガス出口を有するホルダーと、該ホルダー内部に収納された、表面から自然酸化膜を除去したシリコンウエハとからなる配管系の腐食評価用器具を、プロセス装置へガスを供給するための配管にそのガス入口において接続し、該配管内に高純度の不活性ガスを導入した後、金属汚染のない高清浄な雰囲気中において該ホルダー内から該シリコンウエハを取り出し、該シリコンウエハ上に付着した金属成分を全反射蛍光X線装置により測定することにより該配管内の腐食度を評価することを特徴とする配管系の腐食評価方法」

である点で一致し、相違点は存しない。

また、本願発明5と引用発明3とは、

「ガス入口及びガス出口を有するホルダーと、該ホルダー内部に収納された、表面から自然酸化膜を除去したシリコンウエハとからなる配管系の腐食評価用器具を、サンプル用配管にそのガス入口においてバルブを介して接続し、該バルブを閉の状態として該サンプル用配管内腐食性ガスを導入後一定時間保持して該サンプル用配管の腐食を促進し、次いで、該バルブを開の状態として該サンプル用配管内に高純度の不活性ガスを導入した後、金属汚染のない高清浄な雰囲気中において該ホルダー内から該シリコンウエハを取り出し、該シリコンウエハ上に付着した金属成分を全反射蛍光X線装置により測定することにより該サンプル配管内の耐食性を評価することを特徴とする配管系の耐食性評価方法」

である点で一致し、相違点は存しない。

したがって、本願発明1、本願発明4及び本願発明5は、上記ワークショップにおける発表において公然と知られるに至った発明であり、また、本願発明4及び本願発明5の上位概念の発明である本願発明2及び本願発明3も同様に上記ワークショップにおける発表において公然と知られるに至った発明である。

4-2-2 特許法第29条2項違反

本願発明2及び本願発明3の方法において『電子線解析装置』により測定する態様のものは、それぞれ、上記「3-3-1」及び「3-3-2」に記載したのと同様の理由により、当業者が容易に想到し得るものである。

5.結論

したがって、本願発明2及び本願発明3は、上記刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができず、本願は、原査定の理由により、拒絶すべきものである。

また、本願発明1ないし本願発明5は、特許出願前に日本国内において公然と知られた発明であるから、特許法第29条1項1号の規定によっても特許を受けることができない上、本願発明2及び本願発明3は、上記公然と知られた発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもあるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができず、本願は、当審で通知した理由によっても拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-29 
結審通知日 2005-03-30 
審決日 2005-04-12 
出願番号 特願平4-284789
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01N)
P 1 8・ 111- WZ (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 俊光  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 長井 真一
水垣 親房
発明の名称 配管系の腐食評価用器具及び腐食評価方法及び耐食性評価方法  
代理人 福森 久夫  

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