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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A01C
管理番号 1118557
審判番号 無効2004-80103  
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1988-05-14 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-07-16 
確定日 2005-04-08 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第1695219号発明「移植機の苗選別供給装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第1695219号の特許請求の範囲第1項に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第1695219号の特許請求の範囲第1項に係る発明についての出願は、昭和61年10月24日に出願され、平成4年9月17日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、株式会社サークル鉄工より本件無効審判が請求され、平成16年10月1日に被請求人より答弁書と共に訂正請求書が提出され、さらに平成16年12月9日に請求人より弁駁書が提出されたものである。

2.訂正の適否の判断
(1)被請求人が求める訂正の内容
被請求人が求める平成16年10月1日付けの訂正の内容は、本件特許発明の明細書及び図面(以下「特許明細書」という。)を以下のa及びbのとおりに訂正することを求めるものである(下線部は訂正個所である。)。
訂正事項a
特許明細書の特許請求の範囲第1項の「光センサー51の下方を通過する紙筒94を検知後も僅かの時間早送りベルト27の早送りを続け、」の後に、「この検知後も僅かに早送りを続ける時間を遅延時間とし、」を加入訂正する。
訂正事項b
特許明細書の特許請求の範囲第1項の「該遅延時間を集積ベルト28の搬送速度の増加に伴い短くする」とあるのを、「集積ベルト28の搬送速度を検知する検知手段56を設け、該遅延時間を集積ベルト28の搬送速度の増加に伴い短くする事により、集積ベルト28の搬送速度が遅い場合に早送りベルト27の増速状態を長くして先行する苗列への追い付きを良くし、集積ベルト28の搬送速度が速い場合に早送りベルト27の増速状態を短くして先行する苗列に乗り上がる事を無くする」と訂正する。

(2)訂正請求に対する請求人の主張
請求人は弁駁書において、被請求人の求める訂正に対して以下の主張をしている。
訂正事項bは「集積ベルト28の搬送速度が遅い場合に早送りベルト27の増速状態を長くして先行する苗列への追い付きを良くし」という記載を追加することを含むものであり、この追加により、本件訂正前発明の構成から判断されるその具体的な目的、すなわち、「早送りベルト27の早送りの時間を短くして紙筒94が、これに先行する紙筒94に乗り上がることを防止する」という目的を逸脱して、「集積ベルト28の搬送速度が遅い場合に早送りベルト27の増速状態を長くして先行する苗列への追い付きを良く」するという作用をも奏するものになっているから、特許請求の範囲を拡張・変更するものである。

(3)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否についての当審の判断
上記訂正事項aは、特許明細書の特許請求の範囲第1項の記載においては、「該遅延時間を、」の記載の前に「遅延時間」についての記載がないにもかかわらず、「該遅延時間を、」と記載していたので、特許明細書の第3頁第16-19行(本件特許公告公報第1頁第2欄第24-27行)、及び同第5頁第7-12行(同公告公報第2頁第3欄第28-33行)の記載に基いて、「遅延時間」について明瞭にする、明瞭でない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものではない。
上記訂正事項bは、特許明細書の特許請求の範囲第1項に記載された「集積ベルト28の搬送速度の増加に伴い」の構成について、特許明細書の第5頁第13-17行(本件特許公告公報第2頁第3欄第34-38行)及び、同第13頁第17行-第14頁第2行(同公告公報第4頁第7欄第14-19行)の記載に基き、「集積ベルト28の搬送速度の増加」を検知するための手段についての構成を付加して「集積ベルト28の搬送速度を検知する検知手段56を設け、」と限定するとともに、「集積ベルト28の搬送速度」の構成について、特許明細書の第6頁第1行-第7頁第14行(本件特許公告公報第2頁第3欄第41行-第4欄第29行)の記載に基き、「集積ベルト28の搬送速度が遅い場合に早送りベルト27の増速状態を長く」すること、及び、「集積ベルト28の搬送速度が速い場合に早送りベルト27の増速状態を短く」することを限定し、さらに「早送りベルト27の増速状態」に対応して、「(早送りベルト27の増速状態を長くして)先行する苗列への追い付きを良く」すること、及び、「(早送りベルト27の増速状態を短くして)先行する苗列に乗り上がる事を無くする」ことを、それぞれ限定する、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当するものではない。そして、特許明細書の特許請求の範囲第1項に記載された「苗選別供給装置」は、「遅延時間を集積ベルト28の搬送速度の増加に伴い短くする」ことをその構成の一部とするものであり、「集積ベルト28の搬送速度」が相対的に「遅い場合」から相対的に「速い場合」へと「増加」する「苗選別供給装置」を包含する上位概念の発明であるのに対して、訂正後の発明は、「集積ベルト28の搬送速度が遅い場合」と「集積ベルト28の搬送速度が速い場合」とについて明記し、それぞれの場合について、「早送りベルト27の増速状態」を具体的に明記した、下位概念の発明であり、上記訂正は特許請求の範囲を実質上拡張するものではなく、また変更するものでもない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第134条第5項の規定によって準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.本件発明
特許第1695219号の特許請求の範囲第1項に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲第1項に記載されたとおりの以下のものと認められる。
「電磁クラッッチ58を入切して早送りベルト27の搬送速度を増減し、集積ベルト28に健苗91を整列させる苗選別供給装置に於て、光センサー51の下方を通過する紙筒94を検知後も僅かの時間早送りベルト27の早送りを続け、この検知後も僅かに早送りを続ける時間を遅延時間とし、集積ベルト28の搬送速度を検知する検知手段56を設け、該遅延時間を集積ベルト28の搬送速度の増加に伴い短くする事により、集積ベルト28の搬送速度が遅い場合に早送りベルト27の増速状態を長くして先行する苗列への追い付きを良くし、集積ベルト28の搬送速度が速い場合に早送りベルト27の増速状態を短くして先行する苗列に乗り上がる事を無くする事を特徴とする移植機の苗選別供給装置。」

4.当事者の主張
(1)請求人の主張
請求人は、本件発明の特許を無効にすべき理由として以下の点を主張している。
(1-1)無効理由1
本件発明は、本件特許出願前に頒布された刊行物である、下記の甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
被請求人が求める訂正は認められるべきではないが、仮に訂正が認められるとしても、被請求人が、本件訂正発明と甲第1号証に係る発明との相違点であると主張する構成のうち、「この検知後も僅かに早送りを続ける時間を遅延時間と」するという点については、甲第1号証に係る発明が、これと実質的に同一の構成を有している。また「集積ベルト28の搬送速度を検知する検知手段56を設け」るという点については甲第1号証に係る発明において本件訂正発明の「集積ベルト28」に相当する「整理ベルト53」の搬送速度が移植機の植え付け速度と比例関係にあること、及び、甲第2号証に、「後輪(8)の回転を計測する車速ピックアップ回路(81)を設け」という記載があることからすれば、当業者にとって容易に想到できるものである。

甲第1号証:実願昭58-117319号(実開昭60-94023号)の 願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィ ルム
甲第2号証:実願昭59-53061号(実開昭60-164816号)の 願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィ ルム
(1-2)無効理由2
a.訂正後の特許請求の範囲の「光センサー51の下方を通過する紙筒94を検知後も僅かに早送りを続ける時間を遅延時間とし、」という記載からは、何らかの手段(物)によって、光センサー51による紙筒94の検知後も早送りベルト27の早送りが続けられるという作用が奏されること、および、その検知後も僅かに早送りを続ける時間を遅延時間と称することが読み取れるだけであって、その遅延時間を設定しあるいは作り出すための手段が何であるのか、という物の発明としての構成が不明である。また、「該遅延時間を集積ベルト28の搬送速度の増加に伴い短くする事により」という記載も単に作用を記載しただけのものであって、遅延時間を短くするという作用を奏させるための手段が不明である。さらに「集積ベルト28」の搬送速度が遅い場合に「早送りベルト27」の増速状態を長くして先行する苗列への追い付きを良くするには、遅延時間を「集積ベルト28」の搬送速度の減少に伴い長くするための構成が必要であることが、実施例の記載から明らかであるにもかかわらず、そのような構成を特許請求の範囲に記載していない本件発明は、その内容が技術的に不明確であるから、本件発明の特許は、特許法第36条第4項の規定を満たしていない出願に対してされたものである。
b.本件明細書の「作用」の欄の「集積ベルト28に、先行する健苗91があまり無いときは、遅延時間内に光センサー51下を紙筒94が早送りベルト27の増速状態である早送りのまま通過し、先行する健苗91に追いつく」ことはあり得ず、当業者は、上記のような「作用」の欄の記載を含む発明の詳細な説明の記載に従った実施をすることが不可能であるから、本件発明の特許は、特許法第36条第3項の規定を満たしていない出願に対してされたものである。

(2)被請求人の主張
一方被請求人は以下の点を主張している。
(2-1)無効理由1に対して
訂正後の本件発明と甲第1号証に係る発明とは、「電磁クラッチを入切して早送りベルトの搬送速度を増減し、集積ベルトに健苗を整列させる苗選別装置において、光センサーの下方を通過する紙筒を検知後も僅かの時間早送りベルトの早送りを続け」る点で一致しているが、訂正後の本件発明が「この検知後も僅かに早送りを続ける時間を遅延時間とし、集積ベルト28の搬送速度を検知する検知手段56を設け、該遅延時間を集積ベルト28の搬送速度の増加に伴い短くする事により、集積ベルト28の搬送速度が遅い場合に早送りベルト27の増速状態を長くして先行する苗列への追い付きを良くし、集積ベルト28の搬送速度が速い場合に早送りベルト27の増速状態を短くして先行する苗列に乗り上がる事を無くする」との構成を有しているのに対して、甲第1号証に係る発明はそのような構成を有していない。また甲第2号証には、「播種用繰出ロールから間欠的に連続して送出される種子を検出する欠粒センサと、該センサ出力に基づいて欠粒警報機を遅延動作させる播種警報回路とを備え、走行速度の変化に応じて前記播種警報遅延回路の警報出力時間を変更する直播機の欠粒警報装置」が開示されているにすぎず、上記の相違点に関する技術事項については何ら記載がなくそれを示唆する記載すらない。さらに甲第2号証に係る発明は「直播機の欠粒警報装置」であり、これを甲第1号証の発明に適用するに際しての動機付けとなるものは存在しないから、本件発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとする請求人の主張には理由がない。
(2-2)無効理由2に対して
a.本件発明はその特許請求の範囲に記載された事項により、「移植機の苗選別装置」として、まとまりのある一の技術思想がとらえられるのであり、その発明が明確に記載されているのは明らかである。特許請求の範囲には、「発明の構成に欠くことができない事項」を記載するのであり、具体的な実施例の細部の個別的な部材名を記載しなければならないとは何ら要請されてはいない。
b.本件発明の全体の「移植機の苗選別装置」としての構成を考慮すると、「集積ベルト28」には、その「集積ベルト28」に対して送り込まれる量と、「集積ベルト28」から「苗送りベルト31,32」を経て植付け機構へ送り出される量との間には、その移送量に差が発生し、その結果、「集積ベルト28」に苗(健苗)が滞留することも考えられる。そのような場合には、「早送りベルト27」を介して供給される苗(健苗)は、「集積ベルト28」に滞留している苗(健苗)に、結果的に追いつくことになることは明らかである。
したがって、本件発明の特許は特許法第36条第3項及び第4項の規定を満たしていない出願に対してされたものであるとする請求人の主張には理由がない。

5.無効理由1に対する当審の判断
(1)甲号各証に記載された発明
甲第1号証及び甲第2号証には、それぞれ以下の発明が記載されていると認められる。
甲第1号証(実願昭58-117319号(実開昭60-94023号)の 願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィ ルム)
1-a「移植機の苗供給部に紙筒で育苗した苗を密接状態で搬送する苗供給コンベアと苗供給コンベアの搬送端部に設けた苗分離輪と苗分離輪よりの苗を受け根部と葉部を支持搬送する一対の選別ベルトと該選別ベルトからの苗を受けて密接整列さす苗整理コンベアとを設け、前記苗整理コンベアへ移行さす搬送路に無接点検出装置を設け、無接点検出装置の苗量検出により前記苗供給コンベア、選別ベルトの搬送速度を電磁クラッチを介して制御する如くした苗選別装置を組込んだ移植機。」(実用新案登録請求の範囲)
1-b「この考案は移植せんとする紙筒で育苗した苗を自動的に選別し、選別された良苗のみを移植機の苗植付部に供給し欠株のない植付を行なう移植機に関するものである。」(第1頁第16-19行)
1-c「紙筒苗の発芽率は植物種子の種類により異なるが、ビート苗では通常90%前後で、約10%の不良苗がランダムに混っている。」(第4頁第13-16行)
1-d「各装置の駆動は接地輪8の回転を利用するもので、接地輪8の車軸10には鎖車11を固定し、チエン12により植付円板7の回転軸13に固定した鎖車14を回転さす。又回転軸13には傘歯車15を設け中間軸16を回転させ、中間軸16により前記紙筒苗選別供給装置5・・・を駆動する。」(第5頁第15行-第6頁第1行)
上記記載及び図面第1図を参照すると、「接地輪8の回転」駆動力は、「接地輪8の車軸10」から「チエン12」、「回転軸13」、「傘歯車15」、「中間軸16」を介して「紙筒苗選別供給装置5」に伝動されるものといえる。
1-e「根部支持ベルト28を張設し、・・・苗間分離ベルト26と同一速度で回転さす。」(第7頁第10-13行)
1-f「ベルト45,45´はベルト28と同一速度で回転しており」(第9頁第10-12行)
1-g「ベルト49,49はベルト28,45と同一面上にあり同一速度で回転するので、苗Pはベルト28上と同一速度で搬送される。」(第10頁第5-8行)
1-h「ベルト53の正常回転は苗送りベルト17より遅くし、ベルト28,49にくらべ約1/2〜1/4の線速度になるようにしてある。各ベルトの速度比は主として得苗率(不良苗を除いた良苗%)により決定されるもので、例えばビート苗移植機に上記装置を付設する場合は、正常運転時整理ベルトの回転を1.0とすると、ベルト49,45,28,26は3.0程度がよく、苗送りベルト17は1.2程度に設定するのが良い。このためベルト53,53上では搬送速度が遅くなるので高速で送られるベルト49の後続紙筒苗Pに追いつかれ押されて前進するので各紙筒苗P,P…は次々と密接することになる。」(第10頁第15行-第11頁第7行)
1-i「ベルト53の苗受け入れ部近傍でベルト49の上方には光電スイッチ60を機枠1に固定する。・・・光電スイッチ60は・・・タイマーTと連結し一定時間内で苗Pが通過するときは、一定時間内の検出を無効にするオンデレイで行うのがよい。例えば18mm直径の紙筒苗Pを使用し、ベルト49上を毎秒30.6mm搬送する場合、紙筒苗Pが光電スイッチ60の下を通過するに要する時間は0.588秒となるので、0.6秒以下の検出を無効にするようにしておくとよい。」(第11頁第14行-第12頁第6行)
1-j「集合紙筒で育苗した苗の不良苗P´が均一に分布し得苗率が苗供給ベルト17と整理ベルト53の速度比と一致しているときは苗供給ベルト17から供給された苗がベルト26の端部で不良苗P´を分離し整理ベルト53上に送られるので、ベルト53上の苗Pの数は変動が少なくベルト53を短くしても変動を吸収して密接状態を維持し苗押え輪57から搬送ベルト6に供給し、植付円板7により植付けられることになる。しかし、不良苗P´の分布が均一でなく3〜5本連続していると整理ベルト53上には連続して苗Pが送られないので密接状態が中断され中断した部分は植付けられることなく欠株となる。そこで本考案においては得苗率が90%前後のビート苗の場合は苗供給ベルト17の速度を1.2倍程度速くし、整理ベルト53上に常に苗Pを集積させ、ベルト49上にも集積してくると光電スイッチ60がこれを検出し、ベルト49,28及び17の回転を遅くしてベルト53のみ正常回転さすようにしてある。」(第12頁第7行-第13頁第6行)
1-k「駆動軸50には大鎖車61とラチェット62を有する小歯車63を設け、正常時には大鎖車61で軸43上の鎖車66をチェン70により回転させ、電磁クラッチ65を介して軸43を早く回転させ、小鎖車63による駆動は軸50と同速かそれよりやヽ早くなるようにする。又軸43には鎖車66´を固定し、軸38に固定した鎖車69、軸42に固定した鎖車67、鎖車67と軸47の鎖車68に掛け液したチェン71を設け、それぞれ同一速度で回転させる。前記軸47には更に鎖車68´を設け、前記小歯車63との間にチェン72を張設すると共に、前記軸38には鎖車69´を設け軸20上の鎖車73との間にチェン70´を張設し苗供給ベルト17の送り速度がベルト53の1.2倍程度にし互に連動させる。・・・このようにすると苗供給ベルト17から連続して良苗のみ送られるとベルト53上の苗は集積量を多くしベルト49上にも集積してくるので光電スイッチ60が検知し電磁クラッチ65がオフとなる。このため大鎖車61の駆動が中断せられ、・・・ラチェット62の効果により小鎖車63が駆動するが小鎖車63による駆動は低速で、ベルト28,49は整理ベルト53よりやヽ早く苗送りベルト17の送り速度はそのほヾ0.4倍に低下させる。従って詰った苗Pは順次搬出せられ、次の苗Pとの間に空間ができるので光電スイッチ60がこれを検知し、電磁クラッチ65がオンとなり旧に復し早く搬送を開始する。」(第13頁第7行-第14頁第18行)
1-l 甲第1号証に係る苗選別装置における各ベルトの回転は、
「根部支持ベルト28」は「苗間分離ベルト26と同一速度で回転」(摘記事項1-e)し、「ベルト45,45´はベルト28と同一速度で回転」(摘記事項1-f)し、「ベルト49,49はベルト28,45と同一速度で回転」(摘記事項1-g)し、「ベルト53の正常回転は苗送りベルト17より遅くし、ベルト28,49にくらべ約1/2〜1/4の線速度になるようにしてある。各ベルトの速度比は主として得苗率(不良苗を除いた良苗%)により決定されるもので、例えばビート苗移植機に上記装置を付設する場合は、正常運転時整理ベルトの回転を1.0とすると、ベルト49,45,28,26は3.0程度がよく、苗送りベルト17は1.2程度に設定」(摘記事項1-h)するものである。
上記記載より、甲第1号証には以下の発明(以下、「引用発明1」という)が記載されていると認められる。
「移植機の苗供給部に紙筒で育苗した苗を密接状態で搬送する苗供給コンベアと苗供給コンベアの搬送端部に設けた苗分離輪と苗分離輪よりの苗を受け根部と葉部を支持搬送する一対の選別ベルトと該選別ベルトからの苗を受けて密接整列さす苗整理コンベアとを設け、前記苗整理コンベアへ移行さす搬送路に無接点検出装置を設け、無接点検出装置の苗量検出により前記苗供給コンベア、選別ベルトの搬送速度を電磁クラッチを介して制御する如くした苗選別装置(摘記事項1-a)であって、無接点検出装置として光電スイッチ60を固定し(摘記事項1-i)、苗整理コンベアである、整理ベルト53上に常に苗Pを集積させ、ベルト49上にも集積してくると光電スイッチ60がこれを検出し、ベルト49,28及び17の回転を遅くしてベルト53のみ正常回転さすようにし(摘記事項1-j)、詰った苗Pは順次搬出せられ、次の苗Pとの間に空間ができるので光電スイッチ60がこれを検知し、電磁クラッチ65がオンとなり旧に復し早く搬送を開始する(摘記事項1-k)ように構成されており、光電スイッチ60はタイマーTと連結し一定時間内で苗Pが通過するときは、一定時間内の検出を無効にするオンデレイで行うのがよく、例えば18mm直径の紙筒苗Pを使用し、ベルト49上を毎秒30.6mmで搬送する場合、紙筒苗Pが光電スイッチ60の下を通過するに要する時間は0.588秒となるので、0.6秒以下の検出を無効にするようにしておくとよい(摘記事項1-i)、苗選別装置。」

甲第2号証(実願昭59-53061号(実開昭60-164816号)の 願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィ ルム)
2-a「播種用繰出ロールから間欠的に連続して送出される種子を検出する欠粒センサと、該センサ出力に基づいて欠粒警報器を遅延作動させる播種警報回路とを備えた直播機において、走行速度の変化に応じて前記播種警報回路の警報出力遅延時間を変更する警報遅延時間設定器を設け、低速走行では欠粒発生から欠粒警報までの遅れ時間を長く、また高速走行では欠粒発生から欠粒警報までの時間を短くしたことを特徴とする直播機の欠粒警報装置。」(実用新案登録請求の範囲)
2-b「欠粒センサ(56)の出力に基づいてブザー(69)を遅延作動させる播種警報回路であるリトリガラブルワンショットマルチバイブレータ(72)を備え」(第9頁第9-12行)
2-c「各バイブレータ(72)…にこの警報出力遅延時間を変更する警報遅延時間設定器(79)…を夫々設け、その設定器の遅延時間を変更するサーボモータ(80)を備えると共に、後輪(8)の回転を計測する車速ピックアップ回路 (81)を設け、該回路(81)の回転数出力に基づいて走行速度を演算して前記サーボモータ(80)を正逆転制御する信号変換制御回路(82)を備え、走行速度の変化に応じて前記設定器(79)による遅延時間を変更し、低速走行では欠粒発生から欠粒警報までの遅れ時間を長く、また高速走行では欠粒発生から欠粒警報までの時間を短くし、欠粒発生から欠粒警報までの走行距離が常に略一定になるように構成している。」(第10頁第15行-第11頁第7行)
2-d「走行速度を変更しても、欠粒発生から欠粒警報までの走行距離を略一定にし、欠粒警報時の再播種位置までの後進距離を略一定にして再播種位置までの後進を適正に行うことができ、従来に比べて欠株または二重播種などを防止でき、良好な播種を能率良く行うことができる」(第14頁第1-7行)
上記記載より、甲第2号証には以下の発明(以下、「引用発明2」という)が記載されていると認められる。
「播種用繰出ロールから間欠的に連続して送出される種子を検出する欠粒センサ(56)と、該センサ(56)出力に基づいてブザー(69)を遅延作動させる播種警報回路であるリトリガラブルワンショットマルチバイブレータ(72)を備え、各バイブレータ(72)…にこの警報出力遅延時間を変更する警報遅延時間設定器(79)…をそれぞれ設け、その設定器の遅延時間を変更するサーボモータ(80)を備えると共に、後輪(8)の回転を計測する車速ピックアップ回路 (81)を設け、該回路(81)の回転数出力に基づいて走行速度を演算して前記サーボモータ(80)を正逆転制御する信号変換制御回路(82)を備え、走行速度の変化に応じて前記設定器(79)による遅延時間を変更し、低速走行では欠粒発生から欠粒警報までの遅れ時間を長く、また高速走行では欠粒発生から欠粒警報までの時間を短くし、欠粒発生から欠粒警報までの走行距離が常に略一定になるように構成し、走行速度を変更しても、欠粒発生から欠粒警報までの走行距離を略一定にし、欠粒警報時の再播種位置までの後進距離を略一定にして再播種位置までの後進を適正に行うことができ、従来に比べて欠株または二重播種などを防止でき、良好な播種を能率良く行うことができるようにした直播機の欠粒警報装置。」

(2)対比・判断
本件発明と引用発明1とを対比すると、両者はともに移植機の苗選別供給装置であり、引用発明1について、次のことがいえる。
(i)引用発明1において、「正常運転時整理ベルトの回転を1.0とすると、ベルト49,45,28,26は3.0程度」(摘記事項1-l)としたものであり、その機能に照らすと、上記「ベルト49,45,28,26」は本件発明における「早送りベルト27」に対応しているといえる。
(ii)引用発明1は「選別ベルトの搬送速度を電磁クラッチを介して制御する」(摘記事項1-a)ものであり、具体的には、「正常時には」「電磁クラッチ65を介して」「苗供給ベルト17の送り速度がベルト53の1.2倍程度にして互いに連動させ」、「ベルト53上の苗は集積量を多くしベルト49上にも集積してくる」と「光電スイッチ60が検知し電磁クラッチ65がオフとな」り、「ベルト28,49は整理ベルト53よりやヽ早く苗送りベルト17の送り速度はそのほヾ0.4倍に低下させる」(摘記事項1-k)よう構成し、「電磁クラッチ65」の入切により、「ベルト28,49」の速度を増減するものである。そして、該「電磁クラッチ65」の入切は、「ベルト28,49」と同速(摘記事項1-l)である「ベルト45,26」の速度をも増減するものであり、また上記(i)に記載したように、前記「ベルト49,45,28,26」は本件発明における「早送りベルト27」に対応するものであるから、同引用発明1は、本件発明における、「電磁クラッチを入切して早送りベルトの搬送速度を増減し」の構成に対応する構成を備えているといえる。
(iii)引用発明1は、「整理ベルト53上に常に苗Pを集積させ」(摘記事項1-j)るものであるから、その機能に照らすと、上記「整理ベルト53」は本件発明における「集積ベルト28」に対応しており、また「整理ベルト53上」に「集積」される「苗P」は「良苗」(摘記事項1-b)であるから、本件発明における「健苗」に相当するものである。そうすると、同引用発明1は、本件発明における、「集積ベルト28に健苗91を整列させる苗選別供給装置」の構成に対応する構成を備えているといえる。
(iv)引用発明1は、「(苗Pが)ベルト49上にも集積してくると光電スイッチ60がこれを検出し、ベルト49,28及び17の回転を遅く」(摘記事項1-j)するものであり、その際の「検出」は、「光電スイッチ60はタイマーTと連結し一定時間内で苗Pが通過するときは、一定時間内の検出を無効にするオンデレイで行う」(摘記事項1-i)ものである。ここで、「光電スイッチ60」が「(苗Pを)検出」する以前は、「ベルト49,28及び17の回転」は「正常時」の回転であり、「電磁クラッチ65を介して」「早く回転」(摘記事項1-k)しているものである。そして、「光電スイッチ60」が「(苗Pを)検出」しても、当該検出出力は「一定時間内」の間「無効」とされた後に出力されるものであるから、上記の「一定時間内」は、「ベルト49,28及び17」は依然として「電磁クラッチ65を介して」「早く回転」するものである。そして上記したとおり、上記「ベルト49,45,28,26」は本件発明における「早送りベルト27」に対応するから、同引用発明1は、本件発明における、「光センサー51の下方を通過する紙筒94を検知後も僅かの時間早送りベルト27の早送りを続け」の構成に対応する構成を備えているということができ、引用発明1における、上記「一定時間」は「検知後も僅かの時間早送りベルト27の早送りを続け」る「時間」に対応するものであるから、本件発明の構成である、「遅延時間」に相当するものということができ、同引用発明1は、実質上、「この検知後も僅かに早送りを続ける時間を遅延時間とし」たものであるといえる。
そうすると、両者は以下の点で一致し、また相違していると認められる。
一致点;
電磁クラッッチを入切して早送りベルトの搬送速度を増減し、集積ベルトに健苗を整列させる苗選別供給装置に於て、光センサーの下方を通過する紙筒を検知後も僅かの時間早送りベルトの早送りを続け、この検知後も僅かに早送りを続ける時間を遅延時間とした移植機の苗選別供給装置、である点。
相違点;
遅延時間が、本件発明では、集積ベルトの搬送速度を検知する検知手段を設け、該遅延時間を集積ベルトの搬送速度の増加に伴い短くする事により、集積ベルトの搬送速度が遅い場合に早送りベルトの増速状態を長くして先行する苗列への追い付きを良くし、集積ベルトの搬送速度が速い場合に早送りベルトの増速状態を短くして先行する苗列に乗り上がる事を無くするものであるのに対して、引用発明1では、遅延時間を一定としたものである点。
上記の相違点について検討する。
引用発明1において、「接地輪8の回転」駆動力は、「接地輪8の車軸10」から「紙筒苗選別供給装置5」に伝動される(摘記事項1-d)ものであり、該「紙筒苗選別供給装置5」において、「正常運転時整理ベルトの回転を1.0とすると、ベルト49,45,28,26は3.0程度がよく、苗送りベルト17は1.2程度に設定」(摘記事項1-l)された速度で各ベルトを回転させるものである。すなわち、「整理ベルト」(本件発明における「集積ベルト」に対応する。以下、括弧内は本件発明における対応構成を示す。)及び「ベルト49,45,28,26」(「早送りベルト」)の搬送速度は「接地輪8」が「回転」する速度に依存し、「接地輪8」の「回転」速度とともに変化するものである。しかも「接地輪8」の「回転」速度は移植機の植え付け速度の変化に対応して変化することは明らかである。
ところで、引用発明1において、「光電スイッチ60」(「光センサー」)は、「整理ベルト53」(「集積ベルト」)上に集積した「苗P」(「健苗」)が「ベルト49上にも集積してくる」と「これを検出」(摘記事項1-j)するように構成されており、該「検出」は、「タイマーTと連結し一定時間内で苗Pが通過するときは、一定時間内の検出を無効にするオンデレイで行う」(摘記事項1-i)もので、「例えば18mmの直径の紙筒苗Pを使用し、ベルト49上を毎秒30.6mmで搬送する場合、紙筒苗Pが光電スイッチ60の下を通過するに要する時間は0.588秒となるので、0.6秒以下の検出を無効にする」(摘記事項1-i)ように、「オンデレイ」時間が設定されている。ところが、「紙筒苗P」を「毎秒30.6mmで搬送する場合」には「0.6秒以下の検出を無効にする」ことによって、約1個分の「紙筒苗P」が通過する間は「ベルト49(,45,28,26)」(「早送りベルト」)の早送りが続けられるが、上記したとおり、「ベルト49(,45,28,26)」(「早送りベルト」)の搬送速度は、「接地輪8」の「回転」速度、すなわち移植機の植え付け速度の変化に伴って変化するものであるから、「0.6秒以下の検出を無効にする」ようにしておくと、例えば、「毎秒30.6mmで搬送する場合」よりも搬送速度が遅い場合には、約1個分の上記「紙筒苗P」が「光電スイッチ60」(「光センサー」)の下を通過しきらないうちに「ベルト49(,45,28,26)」(「早送りベルト」)の早送り時間が終了して「ベルト49(,45,28,26)」(「早送りベルト」)が減速状態となり、先行する「紙筒苗P」との間隔が所期の範囲内に収まらなかったり、逆に「毎秒30.6mmで搬送する場合」よりも搬送速度が速い場合には、約1個分の上記「紙筒苗P」が「光電スイッチ60」(「光センサー」)の下を通過した後も依然として「ベルト49(,45,28,26)」(「早送りベルト」)が早送りを続けており、先行する「紙筒苗P」との間隔が所期の範囲を超えて小さくなり、先行する「紙筒苗P」への衝突、あるいは乗り上がりが起こりうることは当業者にとって明らかであり、その原因が「接地輪8」の「回転」速度、すなわち移植機の植え付け速度の変化に伴う「ベルト49(,45,28,26)」(「早送りベルト」)や「整理ベルト53」(「集積ベルト」)等の搬送速度の変化に起因するものであることも容易に認識しうることである。そして、このような搬送速度の変化を考慮して、「光電スイッチ60」(「光センサー」)が「紙筒苗P」の「検出を無効にするオンデレイ」時間を上記搬送速度の変化に応じて変化させれば、「光電スイッチ60」(「光センサー」)が「紙筒苗P」を検出しても該検出が無効とされて「ベルト49(,45,28,26)」(「早送りベルト」)の早送りが続けられる時間が変化し、当該「紙筒苗P」と先行する「紙筒苗P」とが適正な間隔を保って移植機に供給されることもまた、当業者であれば容易に認識しうることである。
ここで、一般に、装置あるいはシステムを速度変化の影響を受けることなく適正に作動させるために、速度を検知する検知手段を備え、検知した速度データにより該装置あるいはシステムの作動を調節するような技術手段を講じることは適宜に行われており、例えば引用発明2は、速度(「直播機」の走行速度)が変化してもその影響を受けることなく欠粒警報装置を適正に作動させるために、走行速度を検知する検知手段を備え、走行速度に応じて欠粒発生から欠粒警報発生までの時間を調節することにより、欠粒発生から欠粒警報発生によって「直播機」が停止するまでの走行距離が略一定となるようにしたものである。
そうすると、上記技術手段を勘案し、引用発明1において、ベルトの搬送速度を検知する検知手段を設けて、速度に応じた遅延時間とすることは格別困難なことではなく、具体的には、「電磁クラッチ65」の入切による速度切換えの影響を受けずに「接地輪8」の「回転」速度に対応して変化する、「整理ベルト53」(「集積ベルト」)の搬送速度を検知する検知手段を設け、該搬送速度の変化に応じて「紙筒苗P」の「検出を無効にするオンデレイ」時間を変化させることにより、「光電スイッチ60」(「光センサー」)が「紙筒苗P」を検出しても該検出が無効とされて、「ベルト49(,45,28,26)」(「早送りベルト」)の早送りを続ける時間(上記(iv)に記載したとおり、本件発明における、「遅延時間」に相当する。)を変化させて、上記搬送速度の増加に伴い、早送りを続ける時間(「遅延時間」)を短くするように構成し、搬送速度が遅い場合に、早送りを続ける時間(「遅延時間」)を長くして、結果として「ベルト49(,45,28,26)」(「早送りベルト」)の増速状態を長くし、先行する「紙筒苗P」との間隔が所期の範囲内に収まる(すなわち、「先行する苗に追いつく」)ようにし、逆に搬送速度が速い場合に、早送りを続ける時間(「遅延時間」)を短くし、結果として「ベルト49(,45,28,26)」(「早送りベルト」)の増速状態を短くして、先行する「紙筒苗P」との間隔が所期の範囲を超えて小さくなることによる乗り上がり等を回避させるようにすることは、当業者にとって格別顕著な技術的困難性を伴うことではない。しかも、本件発明が奏する、「植え付け速度の広い範囲に対応する遅延時間の変化により、適切な早送り及び遅送りが得られるので、集積ベルト上には密着した苗列であり、乗り上がりの無い苗列が得られ、予定した苗の植え付け本数が本圃に植え付けられるという効果を有し、又、其のために特段調整を必要としない」(特許明細書第19頁第15行-第20頁第1行(本件特許公告公報第10欄第10-16行))という効果も、引用発明1と、例えば引用発明2に示される技術手段から予測しうる範囲内のものであって、格別なものとはいえない。
したがって、本件発明は、引用発明1及び引用発明2に例示される技術手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおりであるから、本件発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当するので、請求人の主張する他の無効理由を検討するまでもなく、その特許は無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
移植機の苗選別供給装置
(57)【特許請求の範囲】
電磁クラッチ58を入切して早送りベルト27の搬送速度を増減し、集積ベルト28に健苗91を整列させる苗選別供給装置に於て、光センサー51の下方を通過する紙筒94を検知後も僅かの時間早送りベルト27の早送りを続け、この検知後も僅かに早送りを続ける時間を遅延時間とし、集積ベルト28の搬送速度を検知する検知手段56を設け、該遅延時間を集積ベルト28の搬送速度の増加に伴い短くする事により、集積ベルト28の搬送速度が遅い場合に早送りベルト27の増速状態を長くして先行する苗列への追い付きを良くし、集積ベルト28の搬送速度が速い場合に早送りベルト27の増速状態を短くして先行する苗列に乗り上がる事を無くする事を特徴とする移植機の苗選別供給装置。
【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野
本発明は、苗床にて育苗した苗を本圃に移植する移植機に関するもので、特に紙筒苗等の苗根部に土砂の付着した苗を対象とするもので、欠株苗を取り除き健苗のみを整列させて植え付け部に自動供給するものである。
従来の技術
紙筒等に播種・育苗した苗はすべてが健苗となるわけではなく、生育途上で枯れてしまう苗がかなりの割合で生ずるが、此れ等の欠株苗を人手で取り除いて移植機に供給する事は非常に煩わしい作業である。
欠株苗を取り除き、苗の列間が不規則になった苗列を光センサーと電磁クラッチを用いて早送りベルトの搬送速度を増減して整列ベルトに密着した苗列として整列させる方法として特開昭61一100111号に示される。
又、上記方法では光センサーが紙筒を検知すると早送りベルトは減速し先行する紙筒への追い付きが悪いが、光センサーが下方を通過する紙筒の有無を検知し、早送りベルトの増速状態にて紙筒を光センサーが検知した後も、僅かの時間増速状態を続けて紙筒を通過させ、先行する紙筒への追い付きを良くする方法がある。
此の僅かの時間増速状態を続ける為、光センサーと電磁クラッチ間にオフディレーリレー、若しくはオンディレーリレーを接続し、一定時間電磁クラッチの切断を遅らせる。此の遅延時間は甜菜苗の場合、紙筒直径1.9cm、株間24cm、植え付け速度2〜3km/hrで0.3〜0.5秒である。
発明が解決しようとする問題点
上記欠株除去及び苗整列装置を備えた移植機には、従来の欠株を人手で取り除く作業を自動的に行い、植え付け作業の高能率を目差すものであるため、個々の使用状態により其の植え付け速度に差がある。つまり、苗供給コンベアーに紙筒苗列を供給するのは人手で行なう為、其の供給量には制限が有り、欠株の多い苗では植え付けられる苗が少なくなり、結果的に植え付け速度を遅くしないと苗の供給が間に合わず、欠株が少ないと植え付け速度が早くなる。
此の植え付け速度の増減に対し、上記早送リベルトの増速状態にて紙筒を光センサーが検知した後も、僅かの時間増速状態を続けて紙筒を通過させる遅延時間を一定とした場合、次の問題点が生ずる。
設定した植え付け速度より遅い時は、遅延時間が足りずに、紙筒が光センサー下に在るうちに遅延時間が過ぎて早送りベルトが減速状態になり、先行する紙筒に追い付けずに、設定した株間より広く植え付けられる。
設定した植え付け速度より早い時は、遅延時間が多すぎて、紙筒が光センサー下を通過した後も早送りベルトの増速状態が続き、整列ベルト上の先行する紙筒に勢いよく衝突するため、先行する紙筒の上に乗り上げて、設定した株間に余分に苗が植え付けられる。
つまり、設定した植え付け速度より遅い場合は、予定した苗の植え付け本数が植えられず減収となり、早い場合は、無駄な苗を消費する事となり、移植機の自動的な苗選別供給装置の問題点であり、此れを解決する事を目的とする。
問題点を解決するための手段
上記目的を達成するための本発明の構成を、実施例に対応する第1〜6図を用いて説明すると、本発明は、紙筒苗等の有無を光センサー等により検知して電磁クラッチ58を制御して接続を入切して早送りベルト27に搬送される不規則な間隔の健苗91の搬送速度を増速状態と減速状態に増減する手段により、集積ベルト28に健苗91を密着した苗列として整列させる苗選別供給装置である。
そして紙筒94の有無を検知する光センサー51の下方を早送りベルト27に搬送されて通過する紙筒94を光センサー51が検知した後も僅かの時間電磁クラッチ58を接続して早送りベルト28の増速状態である早送りを続け、此の僅かの時間を遅延時間と称する。
集積ベルト28の搬送速度に連動して回転する軸37に嵌設した突起板55の回転を近接スイッチ56により集積ベルト28の搬送速度を検知する手段等により、集積ベルト28の搬送速度の増減を検知し、集積ベルト28の搬送速度の増加に伴い、該遅延時間を短くする手段を用いる事により問題点を解決しようとするものである。
作用
次に本発明の作用を説明すると、苗供給コンベアー2に健苗91と欠株苗92が混在する紙筒苗列90を供給すると、紐ベルト25と早送りベルト27間にて欠株苗92を除去し、不規則な間隔の健苗91として早送りベルト27に移送される。
集積ベルト28に、先行する健苗91があまり無い時は、遅延時間内に光センサー51下を紙筒94が早送りベルト27の増速状態である早送りのまま通過し、先行する健苗91に追い付く。
集積ベルト28に、先行する健苗91が密着した苗列として満載されている時は、早送りベルト27の増速状態である早送りで搬送された健苗91は、先行する苗列に接当して集積ベルト28の搬送速度に減速され、光センサー51下に遅延時間以上留まり、電磁クラッチ58の接続が絶たれ、早送りベルト27が減速状態である遅送りとなる。
次に遅延時間の作用を、標準的な植え付け速度以下の場合と、以上の場合に別けて説明する。
標準的な植え付け速度である2〜3km/hr以下の、例えば1km/hrの速度で植え付けた場合、遅延時間が延びて0.6秒となり、早送りベルト27の増速状態を長くし、先行する苗列への追い付きを良くする。
標準的な植え付け速度以上の、例えば4km/hrで植え付けた場合、遅延時間が縮んで0.3秒となり、早送りベルト27の増速状態を短くし、先行する笛列に乗り上がる事を無くする。
つまり、植え付け速度が変化しても、集積ベルト28に正常な密着した苗列として移送するという作用をする。
実施例
以下、第1図〜第6図に例示する一実施例を説明する。
変形した箱状を成すチェーンケース1を植え付け部(図示せず)前方上方に配し、チェーンケース1上部に苗供給コンベアー2を突設する。苗供給コンベアー2の搬送終端上方にチェーンケース1より軸4を突設し、軸4にスポンジ輪3を苗供給コンベアー2に対向する如く嵌設する。
苗供給コンベアー2の搬送終端前方より下方に向けて、苗送りベルト5をチェーンケース1より突設した軸8,9に嵌設したプーリ7,7間に張設する。苗供給コンベアー2の搬送終端下部より下方に苗送りベルト5に平行に、苗送りベルト6をチェーンケース1より突設した軸10,11に嵌設したプーリ7,7間に張設する。両苗送りベルト5,6は対接面にて紙筒94を挟持する如く僅かの間隔を以て並設する。
軸9,11の下方より軸12,13,14,15,16を平行に苗供給コンベアー2の搬送方向に逆行する順に、チェーンケース1より突設する。
軸12にVプーリ17を回動自在に嵌設し、軸13にVプーリ18を固着嵌設し、Vプーリ17,18間に紐ベルト25を張設する。
軸14にVプーリ19を固着嵌設し、Vプーリ17,19間に紐ベルト25よりチェーンケース1側に紐ベルト26を張設する。
軸14にVプーリ20を固着嵌設し、軸15にVプーリ21を回動自在に嵌設し、Vプーリ20,21間に紐ベルト26間及び紐ベルト26のチェ一ンケース1より外方に早送りベルト27を張設する。
軸15にVプーリ22を回動自在に嵌設し、軸16にVプーリ23及び平プーリ24を交互に固着嵌設し、Vプーリ22,23間に早送りベルト27よりチェーンケース1側及び早送りベルト27間及び早送りベルト27のチェーンケース1より外方に集積ベルト28を張設する。
紐ベルト25,26、早送りベルト27、集積ベルト28の上面を紙筒94の搬送面とし、該搬送面より上下に紐ベルト25、早送りベルト27のチェーンケース1より外方に葉受けベルト・下39及び葉受けベルト・上40を張設し、両葉受けベルトの対接面間に、健苗91の葉身93を挟持する如く配設する。
軸16の上方に軸30をチェーンケース1より突設し、軸30にスポンジ輪29を平プーリ24に対向する如く嵌設する。
集積ベルト28の搬送終端前方より下方に向けて、苗送りベルト31をチェーンケース1より突設した軸34,35に嵌設したプーリ33,33間に張設する。集積ベルト28の搬送終端下部より下方に苗送りベルト31に平行に、苗送りベルト32をチェーンケース1より突設した軸36,37に嵌設したプーリ33,33間に張設する。両苗送りベルト31,32は対接面にて紙筒94を挟持する如く僅かの間隔を以て並設する。
両苗送りベルト31,32の搬送終端には、一対のゴム円盤(図示せず)より成る植え付け機構を連設する。
駆動輪(図示せず)より動力を伝達する軸38をチェーンケース1の両側に突設し、軸38及び軸37に鎖車を嵌設し鎖により軸37が増速される如く連結する。
チェーンケース1の外方の軸38に鎖車61を嵌設する。チェーンケース1の外方の軸16に軸受82及び鎖車62,63を嵌設し、チェーンケース1内に平歯車64及びフリーホイール65を嵌設する。フリーホイール65は集積ベルト28等の搬送方向の回転力のみ伝達する如く配設する。鎖車61,62間に鎖71を張設する。
チェーンケース1の外方の軸15の軸受82及び鎖車66を嵌設し、チェーンケース1内に鎖車67を嵌設する。鎖車63,66間に鎖72を張設する。
チェーンケース1の外方の軸14に軸受81,82を嵌設し、軸受81にベアリングケース79を外嵌し、ベアリングケース79をクラッチ受け80に螺着し、クラッチ受け80をチェーンケース1に螺着する。チェーンケース1内の軸14に電磁クラッチ58のステータ75を回動自在に嵌設し、ステータ75をクラッチ受け80に螺着し、ロータ76を軸14に固着嵌設し、アーマチュアボス78を軸14に回動自在に嵌設し、アーマチュアボス78に鎖車68を固着嵌設し、アーマチュアボス78にアーマチュア77を螺着し、鎖車69,70を軸14に固着嵌設する。鎖車67,68間に鎖73を張設し、フリーホイール65と鎖車69間に鎖74を張設する。
鎖車70及び軸13に嵌設した鎖車間に鎖83を張設し、紐ベルト25、葉受けベルト・下39、葉受けベルト・上40、苗送りベルト5,6、スポンジ輪3及び苗供給コンベアー2を駆動する。
軸15の上方のチェーンケース1の外方に目盛りを刻したブラケット支持板54を螺着し、ブラケット支持板54の直上にセンサーブラケット53を早送りベルト27の搬送方向に移動自在に螺着し、センサーブラケット53はチェーンケース1より早送りベルト27方に突設し、軸15至近の早送りベルト27上方でセンサーブラケット53の突端に光センサー51を螺着する。
チェーンケース1上に電子部品を収納する電源ボックス50を螺着し、光センサー51と電線52にて連結する。電磁クラッチ58のステータ75と電源ボックス50を電線にて連結する。
チェーンケース1の外方の軸37に突起板55を固着嵌設し、突起板55には突起55aを等配し、近接スイッチ56を、突起55aが近接スイッチ56内を回動する如く、チェーンケース1に螺着し、近接スイッチ56と電源ボックス50を電線57にて連結する。
光センサー51は、紙筒94が直下の早送りベルト27上に有でOFFの信号、無でONの信号を電源ボックス50に出力する。
近接スイッチ56は突起板55の回動により集積ベルト28の搬送速度の変化に対応して変化するパルスを発生し、此の信号を植え付け速度に対応して変化するスピードパルスを発生するSPセンサー101のゲートコントロール102への出力とする。
基準時間発生回路103は100Hzのパルスを発生し、ゲートコントロール102に出力する。
ゲートコントロール102は、基準時間発生回路103より100Hzのパルスを入力し、そのパルスを1/100にして正確な1秒のゲートパルスG108を作る。又、ゲートパルスG108を微分して記憶回路104用のラッチパルスL109を作る。
SPセンサー101からのパルスを第7図Aで1秒間だけ読込み、そのパルスの数Pを減算回路105に送る。
減算回路105では、プログラムスイッチ106に、あらかじめ入力してある数Qからパルスの数Pを減算し、遅延時間数Rとして記憶回路104に出力する。
記憶回路104は、ラツチパルスL109の立ち上がりB1で遅延時間数Rを読込み、ラツチパルスL109の立下りC1で記憶と同時に8ビットのコネクター107に出力する。
立上りB1で読込んだ遅延時間数Rは立下りC1の間記憶し、同様に立上りB2で読込んだ遅延時間数Rは、立下りC2の間記憶する。つまり、約2秒間に1回新たな遅延時間数Rをコネクター107に出力する事になる。
以上の回路により、植え付け速度に比倒したSPセンサー101のパルスを受け、ボートに装備したデジタルスイッチでプログラムスイッチ106にあらかじめセットした数字より1秒間の入力パルス数を減算させる事により植え付け速度に反比例するタイマーの遅延時間を得る事が出来る。そして、得られた遅延時間数Rは8ビットの信号線によりコネクター107を通じて2畦分の植え付け部のオフディレータイマーに入力される。
次に、此の回路により電磁クラッチ58が動作し、早送りベルト27以降の搬送速度が増減するので、其の動作を説明する。
光センサー51が直下の早送りベルト27上に紙筒94が無でONの信号をオフディレータイマーに送り、オフディレータイマーは遅延時間無しにドライバー回路に出力し、ドライバー回路は電磁クラッチ58のステータ75に通電し、スデータ75は通電されると磁束を発生し、磁束はアーマチュア77をロータ76に吸引する。
以上の電気的動作により、軸16、鎖車63、鎖72、鎖車66、軸15、鎖車67、鎖73、鎖車68、アーマチュアボス78、アーマチュア77、ロータ76、軸14の増速状態の駆動路が形成され、フリーホイール65は鎖74により軸16の回転以上に回され空転する。
次に、光センサー51は直下の早送りベルト27上に紙筒94がさしかかり、紙筒94が有でOFFの信号をオフディレータイマーに送るが、オフディレータイマーは前記設定された遅延時間内はドライバー回路に出力し、上記動作を続ける。
又、遅延時間内に光センサー51直下に紙筒94が無くなれば、同様に上記動作を続ける。
遅延時間を過ぎても光センサー51直下の早送りベルト27上に紙筒94が有れば、光センサー51はOFFの信号を出し続けているので、オフディレータイマーはドライバー回路への出力を絶ち、ドライバー回路は電磁クラッチ58のステータ75への通電を絶ち、ステータ75は磁束を発生せず、アーマチュア77はロータ76から離れる。
以上の電気的動作により、軸16、フリホィール65、鎖74、鎖車69、軸14の減速状態の駆動路が形成され、鎖車68は鎖73により回されるが、アーマチュア77とロータ76間の空隙により空転する。
再び光センサー51直下の早送りベルト27上に紙筒94が無くなれば、直ちに増速状態の動作を繰り返す。
上記構成の移植機の苗選別供給装置の苗供給コンベアー2に、紙筒苗列90を適宜の方法にて供給する。紙筒苗列90は、成長した苗としての葉身93を有する健苗91と、葉身93の無い欠株苗92とが混在している。
苗供給コンベアー2により搬送された紙筒苗列90は、スポンジ輪3に押えられつつ繰り出され苗送りベルト5により一個一個の紙筒苗に分離され、苗送りベルト5,6間に挟持され下方に移送され、紐ベルト25,26上に落下する。
紐ベルト25,26は紙筒苗の紙筒94のみを搬送面に載せ、健苗91の葉身93を突出させ、葉受けベルト・下39上に葉身93を載せて移送し、葉受けベルト・下39と葉受けベルト・上40とにより葉身93を挟持移送し、紐ベルト26が紙筒94の下部を載せる事により、葉身の無い欠株苗92を落下させ、葉身の有る健苗のみを早送りベルト27に移送する。
早送りベルト27に移送された健苗92は、欠株苗92が除去された事により、其の間隔が不規則と成って光センサー51下に移送され、光センサー51が紙筒94の有無を検出し、其の信号及び近接スイッチ56よりの信号により制御される電磁クラッチ58の入切により、早送りベルト27及び其れ以前の搬送部の増速状態である早送りと、減速状態である遅送りとを繰り返す事によリ、集積ベルト28に密着した苗列として健苗91のみが集積される。
集積ベルト28の搬送終端に移送された健苗91は、スポンジ軸29と平プーリ24に押さえられつつ繰り出され、苗送りベルト31,32間に挟持され下方に移送され、搬送終端にて一対のゴム円盤による植え付け機構に受け渡され、本圃に移植される。
発明の効果
本発明は上記の構成であるから、植え付け速度の広い範囲に対応する遅延時間の変化により、適切な早送り及び遅送りが得られるので、集積ベルト上には密着した苗列であり、乗り上がりの無い苗列が得られ、予定した苗の植え付け本数が本圃に植え付けられるという効果を有し、又、其のために特段調整を必要としないという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る移植機の苗選別供給装置の正面図、第2図は第1図のA矢視図、第3図は第1図のB-B線断面図、第4図は第2図のC矢視図、第5図は遅延時間制御回路のプロツク図、第6図は同回路の波形説明図である。
図中、2は苗供給コンベアー、5,6は苗送りベルト、25,26は紐ベルト、27は早送りベルト、28は集積ベルト、31,32は苗送りベルト、39は葉受けベルト・下、40は葉受けベルト・上、50は電源ボックス、51は光センサー、56は近接スイッチ、58は電磁クラッチ、90は紙筒苗列、91は健苗、92は欠株苗、93は葉身、94は紙筒である。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2005-02-09 
結審通知日 2005-02-14 
審決日 2005-02-25 
出願番号 特願昭61-253920
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (A01C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 川向 和実  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 藤井 俊二
渡部 葉子
登録日 1992-09-17 
登録番号 特許第1695219号(P1695219)
発明の名称 移植機の苗選別供給装置  
代理人 河野 哲  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 河野 哲  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 中村 誠  
代理人 原田 敬志  
代理人 中村 誠  
代理人 原田 信市  

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