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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 H04N |
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管理番号 | 1134322 |
異議申立番号 | 異議2003-73727 |
総通号数 | 77 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1993-09-10 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-12-30 |
確定日 | 2006-01-30 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3443837号「テレビカメラ」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3443837号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許(特許第3443837号、請求項の数:2)に係る発明についての出願は、平成4年2月19日の出願であり、その発明について、平成15年6月27日に特許権の設定の登録がされた。 その後、その請求項1に係る特許について平成15年12月30日に、有限会社オフィスアテナから特許異議の申立てがあった。 平成17年5月17日付けで取消しの理由が通知されたところ、同通知において指定された期間内(平成17年7月26日)に訂正請求書が提出された。 さらに、平成17年10月19日付けで取消しの理由が通知されたところ、同通知において指定された期間内(平成17年12月27日)に訂正請求書が提出されるとともに、上記平成17年7月26日付け提出の訂正請求書を取り下げる旨の取下書(平成17年12月27日付け)が提出された。 2.訂正の請求 《結論》 訂正(平成17年12月27日付け請求書)を認める。 《理由》 (1)請求の趣旨 本件請求の趣旨は、願書に添付した明細書(特許明細書)を訂正請求書に添付した訂正した明細書(訂正明細書)のとおりに訂正することを求めるものである。 (2)訂正の内容 (a)訂正事項1 請求項1について、 「受光部に近接して集光用マイクロレンズが設けられた固体撮像素子と、該固体撮像素子に入射する光の量を制御する絞りと、上記固体撮像素子からの映像信号が供給される映像増幅器とを有するテレビカメラにおいて、」(訂正前)とあるのを、 「受光部に近接して集光用マイクロレンズが設けられた複数の固体撮像素子と、該複数の固体撮像素子に入射する光の量を制御する絞りと、上記複数の固体撮像素子からの複数の映像信号が供給される映像増幅器とを有するテレビカメラにおいて、」(訂正後)と訂正する。 同じく、 「該検出回路からの検出出力に基づいて、上記絞りのF値が所定値以下になったときのみ上記映像増幅器の出力レベル分の利得を上げて、上記マイクロレンズを介して上記固体撮像素子の受光部に入射される光量が低下することを補正する」(訂正前)とあるのを、 「上記検出回路により検出された上記F値が所定値以下になったときのみ、上記所定値以下のF値の変化による上記複数の固体撮像素子の複数の映像信号の平均出力レベルの変化を示す勾配を上記所定値以上のF値の変化による上記複数の固体撮像素子の複数の映像信号の平均出力レベルの変化を示す勾配に合わせるように、上記映像増幅器の利得を上げて、上記マイクロレンズを介して上記複数の固体撮像素子の受光部に入射される光量が低下することを補正する」(訂正後)と訂正する。 (b)訂正事項2 段落0005、段落0007および段落0017を訂正する(具体的内容は省略)。 (3)訂正の適合性 (a)訂正の目的および訂正の範囲 (a1)訂正事項1の前段は、テレビカメラが有する固体撮像素子の個数につき「固体撮像素子」(訂正前)を「複数の固体撮像素子」(訂正後)と限定し、固体撮像素子と絞りとの対応関係につき「固体撮像素子に入射する光の量を制御する絞り」(訂正前)を「複数の固体撮像素子に入射する光の量を制御する絞り」(訂正後)と限定するものである。特許請求の範囲の減縮に該当する。 そして、かかる事項は、特許明細書の段落0009および段落0010に記載されている。すなわち、「光学系1は、少なくとも光分割用のプリズム、絞り及びズームレンズを備えている。光学系1に入射した被写体からの撮像光は、光学系1を通じて、それぞれ赤、緑及び青CCD2R、2G及び2Bに入射せしめられる。」(段落0009、図1)、「そして、各赤、緑及び青CCD2R、2G及び2Bからの赤信号、緑信号及び青信号がそれぞれ前置増幅器3R、3G及び3Bに供給され、その各出力がそれぞれ映像増幅器4R、4G及び4Bに供給されて増幅されて、出力端子4R、4G及び4Bに出力される。」(段落0010、図1)と記載されている。 (a2)訂正事項1の後段は、「映像増幅器の出力レベル分の利得を上げて」(訂正前)の意味を「上記映像増幅器の利得を上げて」(訂正後)と明りょうにするともに、映像増幅器の利得を上げる態様につき、「所定値以下のF値の変化による複数の固体撮像素子の複数の映像信号の平均出力レベルの変化を示す勾配を、所定値以上のF値の変化による複数の固体撮像素子の複数の映像信号の平均出力レベルの変化を示す勾配に合わせるように、」(訂正後)と限定するものである。明りょうでない記載の釈明および特許請求の範囲の減縮に該当する。 そして、かかる事項は、特許明細書の段落0015および図3に記載されている。すなわち、「さて、映像増幅器4R、4G及び4Bの利得がある値のとき、図3に示すように、絞りのF値の変化に対するCCDの平均出力レベルの変化の関係は、F値が大きいとき、即ち、絞りの開口面積が狭いときは、直線aで表されるが、F値が次第に小さく、即ち、絞りの開口面積広く成り、ついには、例えば、2以下に成ると、絞りのF値の変化に対するCCDの出力レベルの変化は、直線bで表されるようにその勾配が直線aより小さく成る。そこで、F値が2以下に成ったら、直線bが直線aと重なるように各映像増幅器4R、4G及び4Bの利得を上げるようにする。・・・一般的に、CCD2R、2G及び2Bの別に応じて異なるから、ホワイトバランスが採れるように、各映像増幅器4R、4G及び4Bの利得を各別に制御する。」(段落0016)と記載されている。 (a3)訂正事項2に係る各訂正は、いずれも、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるためにする訂正である。明りょうでない記載の釈明に該当する。また、いずれも特許明細書に記載されていることは前記のとおりである。 (a4)以上、上記各訂正事項は、いずれも、訂正の目的に該当し、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内においてする訂正である。 (b)特許請求の範囲の拡張・変更 上記各訂正事項は、訂正の前後において、特許請求の範囲に記載された用語の意義の解釈、産業上の利用分野、解決しようとする課題及び効果に変更をもたらすものではない。いずれも、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 (c)独立特許要件 上記各訂正事項は、特許異議の申立てがされていない請求項についての訂正であって特許請求の範囲の減縮または誤記又は誤訳の訂正を目的とする場合には該当しない。 (d)まとめ(適合性) 以上、本件訂正は、特許法第120条の4第2項の規定および同条第3項で準用する特許法(平成6年法律第116号により改正される前の特許法)第126条第1項ただし書前段、第2項及び第3項(第3項にあっては読み替えて準用)の規定に適合する。 (4)むすび(理由) 以上のとおりであるから、本件訂正を認める。 3.本件発明 本件訂正を認める。 本件において、請求項1および請求項2に係る発明は、それぞれ、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1および請求項2に記載された事項により特定される下記のとおりのものである。 記(訂正明細書の特許請求の範囲) 【請求項1】 受光部に近接して集光用マイクロレンズが設けられた複数の固体撮像素子と、該複数の固体撮像素子に入射する光の量を制御する絞りと、上記複数の固体撮像素子からの複数の映像信号が供給される映像増幅器とを有するテレビカメラにおいて、 上記絞りのF値を検出する検出回路を設け、 上記検出回路により検出された上記F値が所定値以下になったときのみ、上記所定値以下のF値の変化による上記複数の固体撮像素子の複数の映像信号の平均出力レベルの変化を示す勾配を上記所定値以上のF値の変化による上記複数の固体撮像素子の複数の映像信号の平均出力レベルの変化を示す勾配に合わせるように、上記映像増幅器の利得を上げて、上記マイクロレンズを介して上記複数の固体撮像素子の受光部に入射される光量が低下することを補正することを特徴とするテレビカメラ。 【請求項2】 受光部に近接して集光用マイクロレンズが設けられた固体撮像素子と、該固体撮像素子に対し設けられたズームレンズと、上記固体撮像素子からの映像信号が供給される映像増幅器とを有するテレビカメラにおいて、 上記ズームレンズの焦点距離を検出する検出回路を設け、 該検出回路からの検出出力に基づいて、上記ズームレンズの焦点距離が所定値以下になったときのみ上記映像増幅器の出力レベル分の利得を上げて、上記マイクロレンズを介して上記固体撮像素子の受光部に入射される光量が低下することを補正することを特徴とするテレビカメラ。 4.特許異議の申立て (1)申立ての理由 特許異議の申立ての理由は、概略、下記のとおりである。 記(申立ての理由) 〈理由1〉 対 象:請求項1 違反条項:特許法第29条第1項第3号 証拠方法:特開平2-306781号公報(甲第1号証) 〈理由2〉 対 象:請求項1 違反条項:特許法第29条第2項 証拠方法:特開平2-306781号公報(甲第1号証) 特開昭60-120685号公報(甲第2号証) (2)申立ての理由の検討 (2-1)本件発明について (a)訂正後の請求項1に係る発明(本件発明)が備える下記の構成(主要構成)は、申立人が提出した甲第1号証および甲第2号証のいずれにも記載されていない。また、甲第1号証および甲第2号証に記載された事項を組み合わせても導き出すことはできない。 記(主要構成) F値が所定値以下になったときのみ、所定値以下のF値の変化による複数の固体撮像素子の複数の映像信号の平均出力レベルの変化を示す勾配を所定値以上のF値の変化による複数の固体撮像素子の複数の映像信号の平均出力レベルの変化を示す勾配に合わせるように、映像増幅器の利得を上げて、マイクロレンズを介して複数の固体撮像素子の受光部に入射される光量が低下することを補正すること。 (b)そして、本件発明は、上記主要構成を備えることにより、「【発明の効果】・・・絞りのF値の変化にかかわらず固体撮像素子の平均出力レベルの最低被写体照度を保証することのできるテレビカメラを得ることができる。」(段落0017)、「本発明をカラーテレビカメラに適用すれば、絞りやズームレンズの焦点距離の如何に拘らず、ホワイトバランスを採ることができる。」(段落0018)との効果を奏するものである。 (c)訂正後の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとも、甲第1号証および甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも、することはできない。 (2-2)証拠方法の検討 提出された証拠方法について検討を加えておく。 (a)甲第1号証(特開平2-306781号公報) (a1)甲第1号証には、「絞りのF値を検出する」こと自体記載がない。仮に、「・・・撮像手段への入射光量を制御するアイリスを備えた光量制御系20と・・・」(2頁左下欄14行〜18行)との記載を捉えて、光量制御系20が「絞りのF値を検出する」機能を有していると解釈しても、F値に応じて「映像増幅器の利得を上げ」る趣旨の記載はない。 (a2)甲第1号証の「例えば、暗像光でアイリス1が開き切った状態では、AGCが作動してビデオ信号を増幅する」(2頁右上欄1行〜3行)、および「CCD出力が150mV以下となる入射光量では、アイリス1は開き切り、AGC系においてAGC出力が300mV一定となるようにゲイン制御動作が行われる。」(4頁左上欄2行〜5行)との各記載は、アイリスが開き切った状態(F値が最小値に固定された状態)に関する記載であり、「F値が所定値以下になったとき」の制御動作について開示するものではない。 (b)甲第2号証(特開昭60-120685号公報) (b1)甲第2号証には、「可変利得制御回路14は、その制御信号発生動作に不感帯があるように構成されており、低照度時の絞り3が開放近傍状態になったときのみ、これを情報信号から検知して利得制御信号を発生し、絞り3のその他の状態では利得制御信号を発生しない。可変利得制御回路10は、利得制御回路14から利得制御信号が供給されると、その利得が増加するように制御される。この結果、低照度時、絞り3がほぼ開放すると、可変利得回路10の利得が増加して変調色信号の振幅変調度の低下が補償され、ホワイトバランスのずれが失くなって色再現性が改善される。」(3頁左上欄17行〜右上欄10行)と記載されている。 (b2)しかし、甲第2号証は「単一周波数分離カメラ」(単一の撮像素子を備え、撮像素子の受光面に赤、緑、青に対して補色関係にある複数の色フィルタを所定の順序で配列してなるストライプフィルタが設けられたカメラ(1頁右下欄2行〜5行))を対象とし、撮像素子4から得られる多重信号を分離回路6で輝度信号と変調色信号とに分離した後(2頁右下欄10行〜3頁左上欄15行)、変調色信号に対して補償をするものである。本件発明のように、複数の映像信号に対して補正をするものではない。また、複数の映像信号に対して補正をすることを示唆するものでもない。 (c)取消しの理由に引用された、特開昭64-7562号公報、特開平3-230101号公報、特開平3-192204号公報は、いずれも、マイクロレンズに関する事項を開示するに留まる。 (3)まとめ(申立て) 以上、訂正後の請求項1に係る発明について、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができないとも、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとも、することはできない。 5.むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に、訂正後の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定をする。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 テレビカメラ (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】受光部に近接して集光用マイクロレンズが設けられた複数の固体撮像素子と、該複数の固体撮像素子に入射する光の量を制御する絞りと、上記複数の固体撮像素子からの複数の映像信号が供給される映像増幅器とを有するテレビカメラにおいて、 上記絞りのF値を検出する検出回路を設け、 上記検出回路により検出された上記F値が所定値以下になったときのみ、上記所定値以下のF値の変化による上記複数の固体撮像素子の複数の映像信号の平均出力レベルの変化を示す勾配を上記所定値以上のF値の変化による上記複数の固体撮像素子の複数の映像信号の平均出力レベルの変化を示す勾配に合わせるように、上記映像増幅器の利得を上げて、上記マイクロレンズを介して上記複数の固体撮像素子の受光部に入射される光量が低下することを補正することを特徴とするテレビカメラ。 【請求項2】受光部に近接して集光用マイクロレンズが設けられた固体撮像素子と、該固体撮像素子に対し設けられたズームレンズと、上記固体撮像素子からの映像信号が供給される映像増幅器とを有するテレビカメラにおいて、 上記ズームレンズの焦点距離を検出する検出回路を設け、 該検出回路からの検出出力に基づいて、上記ズームレンズの焦点距離が所定値以下になったときのみ上記映像増幅器の出力レベル分の利得を上げて、上記マイクロレンズを介して上記固体撮像素子の受光部に入射される光量が低下することを補正することを特徴とするテレビカメラ。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明はCCD等の固体撮像素子を用いたテレビカメラに関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、受光部に近接して集光用マイクロレンズが設けられたCCDを有するテレビカメラが提案されている(例えば、特願平3-18938号等)。かかるCCDでは、絞りやズームレンズの焦点距離が変化すると、CCDに設けられたマイクロレンズに入射する光の入射状態が変化するため、絞りやズームレンズの焦点距離に応じて、入射光量の変化に対するCCDの平均出力レベルの変化の比が変化し、その平均出力レベルが最低被写体照度を保証できなかったり、カラーテレビカメラの場合には、ホワイトバランスが崩れる虞があった。 【0003】 例えば、絞りとCCDの平均出力レベルとの関係は、図3に示す如く、F値が大きいときは、即ち、絞りの開口面積が狭いときは、直線aの通りであるが、F値が次第に小さく成り、即ち、絞りの開口面積が次第に広く成り、例えば、2以下に成ると、直線bに示す如くその勾配が小さく成る。そして、F値が、例えば、1.4の時のCCDの出力レベル(電圧)が、Vopではなく、Vμに低下して、最低被写体照度の仕様を満足しなく成ってしまう。これはズームレンズの焦点距離がある値以下に短く成った場合にも同様なことが言える。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 かかる点に鑑み、本発明は、受光部に近接して集光用マイクロレンズが設けられた固体撮像素子と、その固体撮像素子に入射する光の量を制御する絞り、又は、固体撮像素子に対し設けられたズームレンズと、固体撮像素子からの映像信号が供給される映像増幅器とを有するテレビカメラにおいて、絞り又はズームレンズの焦点距離の変化に拘らず、固体撮像素子の平均出力レベルの最低被写体照度を保証することのできるものを提案しようとするものである。 【0005】 【課題を解決する手段】 第1の発明は、受光部に近接して集光用マイクロレンズが設けられた複数の固体撮像素子と、その複数の固体撮像素子に入射する光の量を制御する絞りと、複数の固体撮像素子からの複数の映像信号が供給される映像増幅器とを有するテレビカメラにおいて、絞りのF値を検出する検出回路を設け、検出回路により検出されたF値が所定値以下になったときのみ、所定値以下のF値の変化による複数の固体撮像素子の複数の映像信号の平均出力レベルの変化を示す勾配を所定値以上のF値の変化による複数の固体撮像素子の複数の映像信号の平均出力レベルの変化を示す勾配に合わせるように、映像増幅器の利得を上げて、マイクロレンズを介して複数の固体撮像素子の受光部に入射される光量が低下することを補正することを特徴とするテレビカメラである。 【0006】 第2の発明は、受光部に近接して集光用マイクロレンズが設けられた固体撮像素子と、その固体撮像素子に対し設けられたズームレンズと、固体撮像素子からの映像信号が供給される映像増幅器とを有するテレビカメラにおいて、ズームレンズの焦点距離を検出する検出回路を設け、その検出回路からの検出出力に基づいて、ズームレンズの焦点距離が所定値以下になったときのみ映像増幅器の出力レベル分の利得を上げて、マイクロレンズを介して固体撮像素子の受光部に入射される光量が低下することを補正することを特徴とするテレビカメラである。 【0007】 【作用】 かかる第1の発明によれば、F値が所定値以下になったときのみ、所定値以下のF値の変化による複数の固体撮像素子の複数の映像信号の平均出力レベルの変化を示す勾配を所定値以上のF値の変化による複数の固体撮像素子の複数の映像信号の平均出力レベルの変化を示す勾配に合わせるように、映像増幅器の利得を上げて、マイクロレンズを介して複数の固体撮像素子の受光部に入射される光量が低下することを補正する。 【0008】 また、第2の発明によれば、ズームレンズの焦点距離が所定値以下になったときのみ映像増幅器の出力レベル分の利得を上げて、マイクロレンズを介して固体撮像素子の受光部に入射される光量が低下することを補正する。 【0009】 【実施例】 以下に、図1を参照して、本発明をカラーテレビカメラに適用した実施例を詳細に説明する。光学系1は、少なくとも光分割用のプリズム、絞り及びズームレンズを備えている。光学系1に入射した被写体からの撮像光は、光学系1を通じて、それぞれ赤、緑及び青CCD2R、2G及び2Bに入射せしめられる。 【0010】 そして、各赤、緑及び青CCD2R、2G及び2Bからの赤信号、緑信号及び青信号がそれぞれ前置増幅器3R、3G及び3Bに供給され、その各出力がそれぞれ映像増幅器4R、4G及び4Bに供給されて増幅されて、出力端子4R、4G及び4Bに出力される。尚、前置増幅器3R、3G及び3B並びに映像増幅器4R、4G及び4Bの各段間にそれぞれシェーディング補正回路を設けることができる。 【0011】 6は絞り及びズームレンズの焦点距離を検出する検出回路で、その検出信号が映像増幅器4R、4G及び4Bに供給されて、その利得が制御される。 【0012】 次に、図2を参照して、上述のCCD2R、2G及び2Bの構造を説明する。シリコン基板11上に、SiO2等から成るゲート絶縁膜12を介して選択的にシリコン層から成る転送電極13が形成され、これら転送電極13上に層間膜14を介してA1遮光膜15が選択的に形成され、更に、そのA1遮光膜15を含む全面上に、第1及び第2の層16、17から成る平坦化膜が積層される。そして、その平坦化膜の第2の層17の上にマイクロ集光レンズ18が形成される。 【0013】 この第1の層16は、プラズマCVD法により形成されたSiN膜(P-SiN膜)又は熱CVDにより形成されたSiO2膜から構成される。第2の層17は樹脂層から成る。この場合、第2の層17は、第1の層16の屈折率よりも低い屈折率を有する。 【0014】 かかる構成のCCDでは、転送電極15の形成されていない部分が受光部と成り、その各受光部に対応して、それぞれマイクロ集光レンズ18が配されている。従って、入射光Lはマイクロレンズ18で集光されて、受光部に焦点を結ぶ如く入射する。 【0015】 さて、映像増幅器4R、4G及び4Bの利得がある値のとき、図3に示すように、絞りのF値の変化に対するCCDの平均出力レベルの変化の関係は、F値が大きいとき、即ち、絞りの開口面積が狭いときは、直線aで表されるが、F値が次第に小さく、即ち、絞りの開口面積広く成り、ついには、例えば、2以下に成ると、絞りのF値の変化に対するCCDの出力レベルの変化は、直線bで表されるようにその勾配が直線aより小さく成る。そこで、F値が2以下に成ったら、直線bが直線aと重なるように各映像増幅器4R、4G及び4Bの利得を上げるようにする。かすると、F値が1.4のときのCCDの出力レベル(電圧)はVμからVopに上昇する。かくして、CCDの平均出力レベルの最低照度仕様は保証されたことに成る。又、VopとVμの関係は、Vμ=kVopで表され、その係数kの値は0.6〜0.9の如くばらついており、一般的に、CCD2R、2G及び2Bの別に応じて異なるから、ホワイトバランスが採れるように、各映像増幅器4R、4G及び4Bの利得を各別に制御する。 【0016】 これは、ズームレンズの焦点距離の場合も同様であって、その焦点距離が所定値以下に成ったとき、映像増幅器4R,4G,4Bの利得を上げて、CCD2R、2G及び2Gの平均出力レベルの最低被写体照度を保証することができ、又、ホワイトバランスも同様に採ることができる。 【0017】 【発明の効果】 第1の発明によれば、受光部に近接して集光用マイクロレンズが設けられた複数の固体撮像素子と、その複数の固体撮像素子に入射する光の量を制御する絞りと、複数の固体撮像素子からの複数の映像信号が供給される映像増幅器とを有するテレビカメラにおいて、絞りのF値を検出する検出回路を設け、検出回路により検出されたF値が所定値以下になったときのみ、所定値以下のF値の変化による複数の固体撮像素子の複数の映像信号の平均出力レベルの変化を示す勾配を所定値以上のF値の変化による複数の固体撮像素子の複数の映像信号の平均出力レベルの変化を示す勾配に合わせるように、映像増幅器の利得を上げて、マイクロレンズを介して複数の固体撮像素子の受光部に入射される光量が低下することを補正するようにしたので、絞りのF値の変化にかかわらず固体撮像素子の平均出力レベルの最低被写体照度を保証することのできるテレビカメラを得ることができる。第2の発明によれば、受光部に近接して集光用マイクロレンズが設けられた固体撮像素子と、その固体撮像素子に対し設けられたズームレンズと、固体撮像素子からの映像信号が供給される映像増幅器とを有するテレビカメラにおいて、ズームレンズの焦点距離を検出する検出回路を設け、その検出回路からの検出出力に基づいて、ズームレンズの焦点距離が所定値以下になったときのみ映像増幅器の出力レベル分の利得を上げて、マイクロレンズを介して固体撮像素子の受光部に入射される光量が低下することを補正するようにしたので、ズームレンズの焦点距離変化にかかわらず固体撮像素子の平均出力レベルの最低被写体照度を保証することのできるテレビカメラを得ることができる。 【0018】 本発明をカラーテレビカメラに適用すれば、絞りやズームレンズの焦点距離の如何に拘らず、ホワイトバランスを採ることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の実施例を示すブロック線図 【図2】 実施例のCCDの構造を示す断面図 【図3】 F値-CCDの平均出力レベル特性線図 【符号の説明】 1 光学素子 2R 赤CCD 2G 緑CCD 2B 青CCD 4R 映像増幅器 4G 映像増幅器 4B 映像増幅器 6 絞り及び焦点距離検出回路 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2006-01-11 |
出願番号 | 特願平4-32255 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
YA
(H04N)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 井上 健一 |
特許庁審判長 |
新宮 佳典 |
特許庁審判官 |
堀井 啓明 原 光明 |
登録日 | 2003-06-27 |
登録番号 | 特許第3443837号(P3443837) |
権利者 | ソニー株式会社 |
発明の名称 | テレビカメラ |
代理人 | 角田 芳末 |
代理人 | 磯山 弘信 |
代理人 | 角田 芳末 |
代理人 | 磯山 弘信 |