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審決分類 審判 査定不服 出願日、優先日、請求日 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1138997
審判番号 不服2003-12385  
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2003-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-02 
確定日 2006-06-28 
事件の表示 特願2002-147179「リモコンのテンキーのインターフェイス装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 3月28日出願公開、特開2003- 91354〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯と本願出願日
本願は、平成13年3月1日(優先権主張、平成12年3月1日、日本国)を国際出願日とする出願である特願2001-563981号の一部を平成14年5月22日に新たな特許出願としたものであって、平成15年5月30日付で拒絶査定がされ、これに対し、同年7月2日に拒絶査定不服審判がされるとともに、同年8月1日付で手続補正がなされたものである。

(1)出願分割の適否
本願は、平成13年3月1日(優先権主張、平成12年3月1日、日本国)を国際出願日とする出願である特願2001-563981号(以下、「原出願」という。)の一部を平成14年5月22日に新たな特許出願としたものであるが、まず、この出願が特許法第44条の規定に該当するか否かについて検討する。
本願の明細書又は図面及び特許請求の範囲には「リモコンのテンキーのインターフェイス装置」であって、「リモコンのテンキーの操作によって情報の検索や伝達を行う」ことについて記載がなされている。
一方、原出願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「原出願当初明細書等」という。)には、例えば、「パーソナルコンピュータ1の画面2上にテンキー11の配列に応じたボタン又はキーイメージを表示させ、ボタン又はキーイメージの何れかが選択されると、選択されたボタン又はキーイメージの何れかに対応する階層イメージが表示されるようにしたので、オペレータ3により、たとえばキーボード10のテンキー11を操作することで、情報の検索や伝達を行うことができる。」(国際公開第01/065351号パンフレット第23頁第23行〜第24頁第2行)と記載されているように、パーソナルコンピュータに接続されたキーボードのテンキーを操作することにより情報の検索や伝達を行うことが記載されているが、「リモコン」あるいは「リモコンのテンキー」及び「リモコンのテンキーのインターフェイス装置」、「リモコンのテンキーの操作によって情報の検索や伝達を行う」については記載がない。
また、「本実施の形態でのインターネット上のパーソナルコンピュータ1のテンキー11の操作による情報検索/伝達方法は、上述したホームページを閲覧するためのインターフェイス機能に限らず、ケーブルテレビやデジタル機器(テレビ・ビデオ等や発券機・その他家電・工業機器・医療機器)を操作するためのインターフェイス機能として用いるようにすることも可能である。」(国際公開第01/065351号パンフレット、第28頁第25行〜第29頁第4行)と記載されており、パーソナルコンピュータのテンキーの操作による情報検索/伝達方法をテレビ等の機器を操作するためのインターフェイス機能として用いることが示唆されているが、当該記載を見ても、「リモコン」あるいは「リモコンのテンキー」及び「リモコンのテンキーのインターフェイス装置」、「リモコンのテンキーの操作によって情報の検索や伝達を行う」が記載されていると言うことはできない。
そして、その他の原出願当初明細書等を見ても「リモコン」あるいは「リモコンのテンキー」及び「リモコンのテンキーのインターフェイス装置」、「リモコンのテンキーの操作によって情報の検索や伝達を行う」ことが原出願当初明細書等からみて明らかということはできない。
すなわち、本願請求項1-4に係る発明及び本願明細書又は図面に記載された「リモコンのテンキー」及び「リモコンのテンキーのインターフェイス装置」、「リモコンのテンキーの操作によって情報の検索や伝達を行う」は、原出願当初明細書等には記載されておらず、また、原出願当初明細書等の記載から自明の構成であるとも認められない。
よって、本願は適法な分割出願とは認められず、特許法第44条の規定を満たさないので、出願日の遡及は認められず、本願出願日は、平成14年5月22日である。

2.平成15年8月1日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成15年8月1日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正は、請求項1の記載を、
「リモコンのテンキーと、
様々な第1の選択指示内容を持った前記テンキーと同形状のキーイメージをインターネット上の所定のホームページに複数のキーで表示させる機能と、
前記キーイメージのそれぞれのキーを色分け表示する機能と、
前記テンキーの操作によって前記第1の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された第1の選択指示内容に従いインターネットを介しての情報の検索や伝達を行う機能と、
前記第1の選択指示内容の何れかが前記テンキーの操作によって選択されると、選択された前記第1の選択指示内容に関連する様々な第2の選択指示内容を持った前記テンキーと同形状の第1の階層のキーイメージを前記選択された第1の選択指示内容を持つキーと同じ色で表示させる機能と、
前記第2の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第2の選択指示内容に従い前記情報の検索や伝達を行う機能と、
前記第2の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第2の選択指示内容に関連する様々な第3の選択指示内容を持った前記テンキーと同形状の第2の階層のキーイメージを前記選択された第2の選択指示内容を持つキーと同じ色で表示させる機能と、
前記第3の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第3の選択指示内容に従い前記情報の検索や伝達を行う機能と、前記第1〜第3の選択指示内容の選択を、音声認識により行う機能と、
前記第1又は第2の階層のキーイメージにて所定の番号を入力すると、前記キーイメージの頁指定、商品番号によるダイレクト指定、電話番号による指定、郵便番号の指定を含む所定の動作を行う機能とを有する
ことを特徴とするリモコンのテンキーのインターフェイス装置。」
とすることを含む補正である。

上記補正は、A.「様々な第1の選択指示内容を持った前記テンキーと同形状のキーイメージをインターネット上の所定のホームページに複数のキーで表示させる機能」、B.「前記第1の選択指示内容の何れかが前記テンキーの操作によって選択されると、選択された前記第1の選択指示内容に関連する様々な第2の選択指示内容を持った前記テンキーと同形状の第1の階層のキーイメージを前記選択された第1の選択指示内容を持つキーと同じ色で表示させる機能 」及びC.「前記第2の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第2の選択指示内容に関連する様々な第3の選択指示内容を持った前記テンキーと同形状の第2の階層のキーイメージを前記選択された第2の選択指示内容を持つキーと同じ色で表示させる機能」の補正事項を含むものである。

上記Aについて検討する。
本願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「出願当初明細書等」という。)には、
「アクセス制御部101は、インターネット上の所定のホームページにアクセスして画面2に表示される後述のキーイメージ20や階層キーイメージ30〜80の呼出し制御を行う。また、アクセス制御部101は、リモコンのテンキー11による後述のキーイメージ20や階層キーイメージ30〜80のそれぞれのキーの選択に応じて情報の検索や伝達の制御を行うが、その詳細は後述する。」(段落【0010】)
「アクセス部102は、アクセス制御部101の制御により、インターネット上の所定のホームページへアクセスし、後述のキーイメージ20や階層キーイメージ30〜80の呼出しを行うとともに、リモコンのテンキー11によるキーイメージ20や階層キーイメージ30〜80の選択に応じて情報の検索や伝達を行う。記憶部103には、アクセス部102によって呼出された後述のキーイメージ20や階層キーイメージ30〜80等が記憶される。」(段落【0011】)
「内容(イメージ)表示制御部104は、後述のキーイメージ20や階層キーイメージ30〜80を表示させるとともに、リモコンのテンキー11によるキーイメージ20や階層キーイメージ30〜80のそれぞれのキーの選択に応じた情報の表示を行う。」(段落【0012】)
「キー配列イメージデータ選択部105は、キー配列イメージデータ記憶部106に記憶されている各種形状の後述のキーイメージ20や階層キーイメージ30〜80を画面2に表示させるためのデータを選択する。また、後述の動作割付部107からのデータを受取り、後述のキーイメージ20や階層キーイメージ30〜80のそれぞれのキー内容を変更する。」(段落【0013】)
「キー配列イメージデータ記憶部106には、各種形状の後述のキーイメージ20や階層キーイメージ30〜80を画面2に表示させるためのデータが記憶されている。動作割付部107は、後述のキーイメージ20や階層キーイメージ30〜80のそれぞれのキー内容を変更するためのデータを保持し、必要に応じてキー配列イメージデータ選択部105へ変更すべきキー内容に応じたデータを与える。」(段落【0014】)
「まず、リモコンの電源が投入されると、その画面2には、図3に示すようなキーイメージ20が表示される。このキーイメージ20は、上述したアクセス部102によるインターネット上の所定のホームページへのアクセスによって呼出され、記憶部103に記憶されているものである。」(段落【0016】)
「つまり、図7の階層キーイメージ50は、図4の階層キーイメージ30の「4」キー25dの『アクセサリー、香水』の選択指示内容に関連する関連選択指示内容である。同様にして、図7の階層キーイメージ50の何れかのキーを選択することで、図7の階層キーイメージ50の何れかのキーの選択指示内容に関連する関連選択指示内容を持った階層キーイメージを表示させることができる。また、図7の階層キーイメージ50の何れかのキーを選択すると、それぞれの選択指示内容に応じた情報が表示される。」(段落【0023】)
「本実施の形態では、リモコンの画面2上にリモコンのテンキー11と同形状のキーイメージ20を表示させ、そのキーイメージ20のそれぞれのキーに表示されている選択指示内容に対応するテンキー11のキーを操作することで、キーイメージ20のそれぞれのキーの選択指示内容に対応するたとえば階層キーイメージ30,40を表示させ、さらにたとえば階層キーイメージ30のそれぞれのキーの選択指示内容に対応するたとえば階層キーイメージ50〜80を表示させ、それぞれの階層キーイメージ30〜80のそれぞれのキーの選択指示内容をテンキー11のキーの操作によってのみ選択することで、情報の検索を容易に行うことができる。」(段落【0067】)
と記載されているように、アクセス部が、インターネット上の所定のホームページにアクセスして、画面に表示されるキーイメージや階層キーイメージの呼び出しを行うこと、キーイメージ、階層キーイメージは、記憶部に記憶されているものを呼び出すこと、階層キーイメージによるいずれかのキー選択により情報を表示すること、リモコンの画面にテンキーと同形状のキーイメージを表示させることは記載されているが、「様々な第1の選択指示内容を持った前記テンキーと同形状のキーイメージをインターネット上の所定のホームページに複数のキーで表示させる機能」は記載されていない。(下線は当審で付加。)
また、その他の出願当初明細書等を見てもこれらのことが出願当初明細書等からみて明らかということはできない。

上記Bについて検討する。
本願の出願当初明細書等には、
「その階層キーイメージ30の各「1」キー25a、「2」キー25b、「3」キー25c、「4」キー25d、「5」キー25e、「6」キー25f、「7」キー25g、「8」キー25h、「9」キー25i等においては、それぞれ色を変えて表示することもできる。」(段落【0059】)
「この場合、たとえば図22に示すように、インターフェイス装置100にキー色設定部108を追加し、そのキー色設定部108が保持するキー色のデータを選択するようにする。これにより、キーイメージ20や階層キーイメージ30〜80のそれぞれのキーを色別表示することで、それぞれのキー識別が容易となる。」(段落【0060】)
と記載されており、階層キーイメージの各キーそれぞれの色を変えて表示すること、キーイメージや階層キーイメージのそれぞれのキーを色別表示することが記載されているのみで、「前記第1の選択指示内容の何れかが前記テンキーの操作によって選択されると、選択された前記第1の選択指示内容に関連する様々な第2の選択指示内容を持った前記テンキーと同形状の第1の階層のキーイメージを前記選択された第1の選択指示内容を持つキーと同じ色で表示させる機能 」は、記載されていない。(下線は当審で付加。)
また、その他の出願当初明細書等を見てもこれらのことが出願当初明細書等からみて明らかということはできない。

上記Cについて検討する。
本願の出願当初明細書等には、
「その階層キーイメージ30の各「1」キー25a、「2」キー25b、「3」キー25c、「4」キー25d、「5」キー25e、「6」キー25f、「7」キー25g、「8」キー25h、「9」キー25i等においては、それぞれ色を変えて表示することもできる。」(段落【0059】)
「この場合、たとえば図22に示すように、インターフェイス装置100にキー色設定部108を追加し、そのキー色設定部108が保持するキー色のデータを選択するようにする。これにより、キーイメージ20や階層キーイメージ30〜80のそれぞれのキーを色別表示することで、それぞれのキー識別が容易となる。」(段落【0060】)
と記載されており、階層キーイメージの各キーそれぞれの色を変えて表示すること、キーイメージや階層キーイメージのそれぞれのキーを色別表示することが記載されているのみで、「前記第2の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第2の選択指示内容に関連する様々な第3の選択指示内容を持った前記テンキーと同形状の第2の階層のキーイメージを前記選択された第2の選択指示内容を持つキーと同じ色で表示させる機能」は、記載されていない。(下線は当審で付加。)
また、その他の出願当初明細書等を見てもこれらのことが出願当初明細書等からみて明らかということはできない。

すなわち、本件補正は、出願当初明細書等に記載されていない上記A-Cを付加するものであり、出願当初明細書等に記載した事項の範囲内ではないので、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件補正は、特許法第159条で準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成15年8月1日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年3月17日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「リモコンのテンキーの操作により情報の検索や伝達を行うリモコンのテンキーのインターフェイス装置であって、
様々な第1の選択指示内容を持った前記テンキーと同形状のキーイメージを表示させる機能と、
前記テンキーの操作によって前記第1の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された第1の選択指示内容に従い前記情報の検索や伝達を行う機能とを備え、
さらに、前記第1の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第1の選択指示内容に関連する様々な第2の選択指示内容を持った前記テンキーと同形状の第1の階層のキーイメージを表示させる機能と、
前記第2の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第2の選択指示内容に従い前記情報の検索や伝達を行う機能と、
前記第2の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第2の選択指示内容に関連する様々な第3の選択指示内容を持った前記テンキーと同形状の第2の階層のキーイメージを表示させる機能と、
前記第3の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第3の選択指示内容に従い前記情報の検索や伝達を行う機能とを有する
ことを特徴とするリモコンのテンキーのインターフェイス装置。」

(1)引用刊行物

原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-161794号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、図面と共に、
「本発明は、ホームシステムのユーザが、ディスプレイスクリーン上のメニューアイテムを容易に選択しホームシステムの装置群をコントロールおよび/またはモニターするための、システムを包含する。本発明の一つの局面は、ディスプレイ機能、リモートコントロール機能、およびメニュー生成機能を含む。これら各機能は、例えば、テレビレシーバ、赤外線(IR)リモートコントローラ、およびパーソナルコンピュータ(PC)などを用いて実現することができる。」(段落【0007】)
「本発明の重要な特徴の一つは、オンスクリーンメニューオプションとそれらオプションのリモートコントロール選択との間に直感的な対応および類似性を提供することである。」(段落【0008】)
「図1に示すように、リモートコントロールキーパッド10は、電源11、音量12およびチャンネル13などの典型的なコントロール機能のためのボタンを有している。しかし更にキーパッド10は、様々な属性のボタン14のアレイを有するセクションおよび、メニューを最初に呼び出すあるいはメニューを閉じるためのメニューボタン15を有している。」(段落【0010】)
「引き続きキーパッド10に関して、アレイ14中の各ボタンには属性が関連付けられており、ユーザが素早くボタンを識別することおよび、表示されたメニュー上のオプションとマッチすることを可能にする。例えば図示したキーパッド10の実施態様においては、ボタンアレイ14は、3×3のモティーフに配置されており、各列は同じ色(黄、緑、および青)を有し、各行は同じ形状(長方形、円形、および菱形)を有している。本実施態様例において、ボタンに関連付けられた属性は、表示されたメニュー20の構成と実質的に合致している。」(段落【0012】)
「また、発明の本実施態様例では上記の色および形状を用いているがこれらの属性に限定されない。他の色、形状その他の属性もまた適切であり得る。また、本発明は3×3のボタンアレイを用いるように図示されているが、3×4、4×3、4×4等、他の多くのアレイサイズも適切である。しかし、アレイが大きくなるにつれ(すなわちボタンが多くなるにつれ)、ある点で、ユーザが素早くキー-パッドボタンを認識してメニューオプションとマッチする能力を実際には減少させてしまう。」(段落【0013】)
「図2に示すように、メインメニューの本実施態様例は、キーパッド10に基づき、3×3のアレイを表示し、9つの選択オプションを提供する。すなわち、1)オーディオ/ビジュアル(AV)、2)セキュリティ、3)ヒーティング/換気/空調(HVAC)、4)照明、5)設備、6)通信、7)料理、8)ハウスキーピング、および9)システムである。」(段落【0014】)
「メニュー上の各オプションには、キーパッド10上の属性と実質的に合致するようにデザインされた属性が関連付けられている。例えばメニュー20の第1番目の行は長方形を示し、第2番目の行は円形を示し、第3番目の行は菱形を示している。更に、メニュー20の左列中の全ての形状は黄色であり、中央列中の全ての形状は緑色であり、右列中の全ての形状は青色である。繰り返すが、リモートコントローラキーパッド10にはメニューと実質的に同じ構成を有するボタン群が存在する。」(段落【0015】)
「メニューオプションの識別を容易にするために用いられる属性の一つとして色を用いる場合には、オプションを示す文字/グラフフィクス用に選ばれる色、関連付けられた形状、およびメニューの背景は、良好なコントラストが得られる輝度レベルに選択されるべきである点に注意されたい。」(段落【0016】)
「引き続き図2〜図4を参照し、ユーザが第1行第1列のボタン(すなわち表示された「AV」アイテムと同じ属性を有する、黄色の長方形)を押した場合、リモートコントローラは、IR送信により、単に押下されたボタン位置は第1行第1列であることを示すメッセージを送り出す。リモートコントローラは、第1行第1列にあるボタンが「AVメニュー」用であることを知らない点に注意されたい。この選択の翻訳は、メニューを生成するプロセッサ中で行われる。リモートコントローラが特定の機能に制限されていないことにより、所定のリモートコントローラキーパッド10の有用性および操作性に影響することなく新しいアイテムをメニューにプログラムできるという意味において、本発明に更なる柔軟性をもたらす。」(段落【0017】)
「続いて、第1行第1列ボタンが押されると、メニュー生成プロセッサは図3に示す「AVメニュー」を生成し、これを「メインメニュー」の代わりにTVに表示する。TV上に表示される各メニューはやはり、異なるオプションを例示してはいるが、リモートコントローラ上に有される属性と実質的に同じ配置を表現している。図示のように、「AVメニュー」は8つのアイテムを有している。すなわち、1)メイン、2)VCR-1、3)VCR-2、4)LD、5)CD、6)DCC、7)レシーバ、および8)システムである。この例において、1つの背景ピクチャは選択されるべきアイテムを有していない。」(段落【0018】)
「この場合、ユーザが第2行第2列、すなわち表示されたメニュー上の「CD」アイテムに対応する黄色の長方形のボタンを押したとすると、メニュー生成プロセッサはコンパクトディスクプレーヤを作動させ、図4に示すように「CDメニュー」を生成してテレビ(TV)ディスプレイ上に表示する。このメニューは8つの選択肢を有している。すなわち、1)ユーザがオーディオビジュアルメニューに戻ることを可能にするAVとコンパクトディスクプレーヤ用の7つのコントロール「ボタン」、すなわち2)停止、3)一時停止、4)戻し、5)送り、6)再生、7)先送り、および8)その他、ならびに9)オフである。ユーザは、仮にCDプレーヤが別の部屋にあったとしても、表示されたメニューを用いて容易にCDプレーヤをコントロールすることができる。「再生」コマンドは、ユーザの部屋中のレシーバをオンにし、「CD」モードを選択してCDの再生を開始することを含むマクロコマンドであってもよい点に注意されたい。CDの音楽を聴いている間はユーザはメニューを必要としないため、ユーザはリモートコントローラ10上のメニューボタンを押すことによってメニューをシャットオフすることができる。」(段落【0019】)
「図2〜図4においてはメニュー上の各利用可能オプションは文字を使って表されているが、別の実施態様において、利用可能な選択されるべき機能をグラフィックスを用いて示してもよい点に注意されたい。図5および図6に、文字よりもグラフィクスを用いて利用可能な機能/オプションを示したメインメニューおよびVCRメニュー用のディスプレイ例を示す。これらの別実施態様において、表示されたメニューは4×4のアレイを有している。更に、図6において、利用可能オプションに関連付けられた属性は、直接前景や背景中に構成されるのではなく、グラフィクス表示されたオプションの近傍に位置している。例えば、第1行第2列の黄色の長方形は、オプションの左上に位置している。」(段落【0020】)
と記載されており、これらの記載によれば、

引用刊行物1には、
「リモートコントローラを用いたコントロールシステムにおいて、ディスプレイ機能、リモートコントロール機能、メニュー生成機能を含み、リモートコントローラのリモートコントロールキーパッド10は、様々な属性のボタンアレイ14を有し、前記ボタンアレイ14は、3×3のモティーフに配置されており、各列は同じ色(黄、緑、および青)を有し、各行は同じ形状(長方形、円形、および菱形)を有しており、TVディスプレイ上にメインメニューを表示させ、前記TVディスプレイ上に表示されたメインメニューは、前記ボタンアレイ14に基づき、3×3のアレイを表示し、9つの選択オプション、すなわち、1)オーディオ/ビジュアル(AV)、2)セキュリティ、3)ヒーティング/換気/空調(HVAC)、4)照明、5)設備、6)通信、7)料理、8)ハウスキーピング、および9)システムであり、前記TVディスプレイ上に表示されたメニュー上の各オプションには、ボタンアレイ14上の属性(色、形)と実質的に合致するようにデザインされた属性(色、形)が関連付けられており、ユーザが第1行第1列のボタン(すなわち表示された「AV」アイテムと同じ属性を有する、黄色の長方形)を押した場合、メニュー生成プロセッサは「AVメニュー」を生成し、これを「メインメニュー」の代わりに前記TVディスプレイに表示し、前記TVディスプレイ上に表示される各メニューは、リモートコントローラ上に有されるボタンアレイ14上の属性(色、形)と実質的に同じ配置を表現しており、前記「AVメニュー」は8つのアイテム、1)メイン、2)VCR-1、3)VCR-2、4)LD、5)CD、6)DCC、7)レシーバ、および8)システムを有しており、ユーザが第2行第2列、表示されたメニュー上の「CD」アイテムに対応する黄色の長方形のボタンを押したとすると、メニュー生成プロセッサはコンパクトディスクプレーヤを作動させ、リモートコントローラ上に有されるボタンアレイ14上の属性(色、形)と実質的に同じ配置の「CDメニュー」を生成してTVディスプレイ上に表示し、前記「CDメニュー」は、1)ユーザがオーディオビジュアルメニューに戻ることを可能にするAVとコンパクトディスクプレーヤ用の7つのコントロール「ボタン」、すなわち2)停止、3)一時停止、4)戻し、5)送り、6)再生、7)先送り、および8)その他、ならびに9)オフであり、ユーザは、表示された前記「CDメニュー」を用いて容易にCDプレーヤをコントロールすることができるリモートコントローラを用いたコントロールシステム。」(以下「引用刊行物1発明」という。)が開示されていると認めることができる。


(2)対比

そこで、本願発明と引用刊行物1発明とを比較すると、引用刊行物1発明の「リモートコントローラ」は、本願発明の「リモコン」に相当し、以下同様に、「ボタンアレイ」は「キー」に、「メインメニュー」は「第1の選択指示内容」に、「AVメニュー」は「第2の選択指示内容」に、「CDメニュー」は「第3の選択指示内容」にそれぞれ相当する。
そして、引用刊行物1発明の「コントロールシステム」はディスプレイ機能、リモートコントロール機能、メニュー生成機能を含むのであり、リモートコントローラの操作に従い動作するものであるから、本願発明の「インターフェイス装置」に相当する。
また、引用刊行物1発明では、「前記TVディスプレイ上に表示されたメニュー上の各オプションには、ボタンアレイ14上の属性(色、形)と実質的に合致するようにデザインされた属性(色、形)が関連付けられ」ていることから、本願発明の「キーと同形状のキーイメージを表示させる機能」に相当する機能を有している。
さらに、引用刊行物1発明では、「ユーザが第1行第1列のボタン(すなわち表示された「AV」アイテムと同じ属性を有する、黄色の長方形)を押した場合、メニュー生成プロセッサは「AVメニュー」を生成し、これを「メインメニュー」の代わりに前記TVディスプレイに表示し、前記TVディスプレイ上に表示される各メニューは、リモートコントローラ上に有されるボタンアレイ14上の属性(色、形)と実質的に同じ配置を表現して」いることから、本願発明の「キーの操作によって前記第1の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された第1の選択指示内容に従い」「さらに、前記第1の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第1の選択指示内容に関連する様々な第2の選択指示内容を持った前記キーと同形状の第1の階層のキーイメージを表示させる機能」に相当する機能を有している。
そして、引用刊行物1発明では、「ユーザが第2行第2列、表示されたメニュー上の「CD」アイテムに対応する黄色の長方形のボタンを押したとすると、メニュー生成プロセッサはコンパクトディスクプレーヤを作動させ、リモートコントローラ上に有されるボタンアレイ14上の属性(色、形)と実質的に同じ配置の「CDメニュー」を生成してTVディスプレイ上に表示し」ていることから、本願発明の「第2の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第2の選択指示内容に従い」「前記第2の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第2の選択指示内容に関連する様々な第3の選択指示内容を持った前記テンキーと同形状の第2の階層のキーイメージを表示させる機能」に相当する機能を有している。
また、引用刊行物1発明では、「ユーザは、表示された前記「CDメニュー」を用いて容易にCDプレーヤをコントロールすることができる」ことから、本願発明の「前記第3の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第3の選択指示内容に従」うに相当する機能を有している。

したがって、両者は、
「リモコンのキーの操作に従うリモコンのキーのインターフェイス装置であって、
様々な第1の選択指示内容を持った前記キーと同形状のキーイメージを表示させる機能と、
前記キーの操作によって前記第1の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された第1の選択指示内容に従い、
さらに、前記第1の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第1の選択指示内容に関連する様々な第2の選択指示内容を持った前記キーと同形状の第1の階層のキーイメージを表示させる機能と、
前記第2の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第2の選択指示内容に従い、
前記第2の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第2の選択指示内容に関連する様々な第3の選択指示内容を持った前記キーと同形状の第2の階層のキーイメージを表示させる機能と、
前記第3の選択指示内容の何れかが選択されると、選択された前記第3の選択指示内容に従う機能とを有する
ことを特徴とするリモコンのキーのインターフェイス装置。」の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]本願発明は、キーがテンキーであるのに対し、引用刊行物1発明ではキーが3×3のキーである点。

[相違点2]本願発明は、リモコンのテンキーの操作により情報の検索や伝達を行う機能を有するものであるのに対し、引用刊行物1発明では、この点が明確でない点。

(3)判断

[相違点1]について
入力を行うキーとして、テンキーは、特開平9-81513号公報(段落【0034】〜段落【0050】及び第2〜4図参照。以下、「周知例1」という。)、特開平10-111854号公報(特に、段落【0012】参照。以下、「周知例2」という。)及び特開平10-98654号公報(段落【0022】〜段落【0040】参照。以下、「周知例3」という。)に示されるように、周知である。
したがって、引用刊行物1発明に上記周知のテンキーを用いることで、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものというべきである。

[相違点2]について
引用刊行物1、例えば段落【0017】には、「第1行第1列ボタンが押されると、メニュー生成プロセッサは図3に示す「AVメニュー」を生成し、これを「メインメニュー」の代わりにTVに表示する。」と記載されており、第1行第1列ボタンが押されたという情報が伝達されたことにより「AVメニュー」をTVに表示させることは明らかであるから、引用刊行物1発明は、リモコンのキー操作により情報の伝達を行う機能を有することは明らかである。
また、リモコンにおいて、リモコンのキー(テンキー)操作により情報の検索や伝達を行う機能を有させることは、周知例1、周知例2及び周知例3に示されているように、周知である。
したがって、引用刊行物1発明に上記周知の機能を有させることで、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものというべきである。

そして、本願発明の作用効果も、引用刊行物1発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用刊行物1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。


(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用刊行物1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-01 
結審通知日 2006-05-02 
審決日 2006-05-17 
出願番号 特願2002-147179(P2002-147179)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 03- Z (G06F)
P 1 8・ 561- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 匡明  
特許庁審判長 大野 克人
特許庁審判官 右田 勝則
小林 正明
発明の名称 リモコンのテンキーのインターフェイス装置  
代理人 加藤 雄二  

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