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審決分類 |
審判 一部無効 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降) 訂正を認める。無効とする(申立て全部成立) H01L 審判 一部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効とする(申立て全部成立) H01L |
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管理番号 | 1161115 |
審判番号 | 無効2003-35518 |
総通号数 | 93 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-09-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2003-12-17 |
確定日 | 2007-06-19 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2645345号発明「安定な低抵抗コンタクト」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2645345号の請求項40及び43に記載された発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第2645345号は、米国において1987年2月19日になされた出願を基礎出願として、パリ条約による優先権を主張し、昭和63年2月17日に特許出願され、平成9年5月9日にその請求項1ないし55に係る発明について特許権の設定登録がなされ、その後、平成10年2月24日付けで特許異議の申し立てがなされ、平成11年3月12日付けで、請求項1、3、4、7、10、15、19、35、49に係る特許を取り消す決定がなされ、同決定が確定した。 そして、平成15年12月17日付けで請求人 沖電気工業株式会社(以下、「請求人」という。)から、本件請求項40及び43に係る特許について無効審判が請求され、平成16年7月21日付けで被請求人 アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレーテッド(以下、「被請求人」という。)より訂正請求書及び答弁書が提出され、その後、平成16年12月6日に請求人及び被請求人より口頭審理陳述要領書がそれぞれ提出されるとともに、同日に口頭審理がなされ、平成16年12月20日付けで被請求人より上申書が提出され、さらに、平成16年12月28日付けで当審から通知した訂正拒絶理由に対し、被請求人より平成17年4月5日付けで手続補正書(訂正請求書)及び意見書が提出されたものである。 2.訂正請求について 2-1.平成17年4月5日付け手続補正書(訂正請求書)(以下、「本件補正書」という。)による補正の適否 2-1-1.補正の内容 本件補正書による補正の内容は、以下のとおりである。 (1)補正事項1 平成16年7月21日付け訂正請求書に添付した訂正明細書(以下、「補正前訂正明細書」という。)の「【特許請求の範囲】 【特許請求の範囲】」を 「【特許請求の範囲】」と補正する。 (2)補正事項2 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項5】 前記チタンの粘着および接触層が接合部と接触するところにTiSix層が実質的に得られ、前記バリヤ層は、本質的に窒化チタンからなり、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンを含む、請求項4記載のコンタクト。」を 「【請求項5】 前記バリヤ層は、本質的に窒化チタンからなる、請求項4記載のコンタクト。」と補正する。 (3)補正事項3 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項9】 前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層は、前記ドープされた領域のすべておよび前記側壁の大部分を覆い、かつ前記導電材料は、実質的に前記コンタクトホールを充填しかつそこに含まれ、前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンとWSix層とを含み、前記WSix層が、前記バリヤ層と前記CVDタングステンとの間に存在する、請求項1記載のコンタクト。」を 「【請求項9】 前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層は、前記ドープされた領域のすべておよび前記側壁の大部分を覆い、かつ前記導電材料は、実質的に前記コンタクトホールを充填しかつそこに含まれる、請求項1記載のコンタクト。」と補正する (4)補正事項4 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項12】 前記バリヤ層は、本質的に、窒化チタンからなり、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記導電材料は、CVDによって形成されたタングステンとWSix層とを含み、前記WSix層が、前記バリヤ層と前記CVDタングステンとの間に存在する、請求項10記載のコンタクト。」を 「【請求項12】 前記バリヤ層は、本質的に、窒化チタンからなる、請求項10記載のコンタクト。」と補正する。 (5)補正事項5 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項14】 前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層は、前記ドープされた領域のすべておよび前記側壁の大部分を覆い、前記粘着および接触層は、前記バリヤ層が下にあるドープされた領域に良好に電気的に接触することを保証し、前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、かつ前記導電材料は、CVDによって形成されたタングステンを含み、実質的に前記コンタクトホールを充填しかつそこに含まれる、請求項10記載のコンタクト。」を 「【請求項14】 前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層は、前記ドープされた領域のすべておよび前記側壁の大部分を覆い、かつ前記導電材料は、実質的に前記コンタクトホールを充填しかつそこに含まれる、請求項10記載のコンタクト。」と補正する。 (6)補正事項6 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項18】 前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層は、前記ドープされた領域のすべておよび前記側壁の大部分を覆い、前記粘着および接触層は、前記バリヤ層が下にあるドープされた領域に良好に電気的に接触することを保証し、かつ前記導電材料は、CVDによって形成されたタングステンを含み、実質的に前記コンタクトホールを充填しかつそこに含まれる、請求項15記載のコンタクト。」を 「【請求項18】 前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層は、前記ドープされた領域のすべておよび前記側壁の大部分を覆い、かつ前記導電材料は、実質的に前記コンタクトホールを充填しかつそこに含まれる、請求項15記載のコンタクト。」と補正する。 (7)補正事項7 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項20】 前記チタンの粘着および接触層は、チタンターゲットからのスパッタリングによって析出され、前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンを含む、請求項19記載の方法。」を 「【請求項20】 前記チタンの粘着および接触層は、チタンターゲットからのスパッタリングによって析出される、請求項19記載の方法。」と補正する。 (8)補正事項8 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項21】 前記チタンの粘着および接触層は、約100ないし800Åの厚さにブランケット析出され、前記バリヤ層は、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVD反応によって形成されたタングステンとWSix層とを含み、前記WSix層が、前記バリヤ層と前記CVDタングステンとの間に存在する、請求項19記載の方法。」を 「【請求項21】 前記チタンの粘着および接触層は、約100ないし800Åの厚さに析出される、請求項19記載の方法。」と補正する。 (9)補正事項9 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項22】 前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、スパッタリング、CVDまたは反応性アニーリングによって、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンを含む、請求項19記載の方法。」を 「【請求項22】 前記バリヤ層は、スパッタリング、CVDまたは反応性アニーリングによって析出される、請求項19記載の方法。」と補正する。 (10)補正事項10 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項23】 前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンを含む、請求項19記載の方法。」を 「【請求項23】 前記バリヤ層は、タングステン、モリブデン、チタンタングステン、窒化チタン、窒化チタンタングステン、窒化タングステン、窒化5モリブデン、クロム、クロム-酸化クロム、および窒化硼素からなる群から選択される材料を含む、請求項19記載の方法。」と補正する。 (11)補正事項11 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項24】 前記コンタクトプラグは、さらに、導電材料としてCVDによって形成されたWSix層を含み、前記WSix層は、前記バリヤ層と前記CVDタングステンとの間に存在する、請求項23記載の方法。」を 「【請求項24】 前記バリヤ層は、窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含む、請求項23記載の方法。」と補正する。 (12)補正事項12 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項25】 前記バリヤ層は、本質的にCVD窒化チタンからなる、請求項24記載の方法。」を 「【請求項25】 前記バリヤ層は、本質的に窒化チタンからなる、請求項24記載の方法。」と補正する。 (13)補正事項13 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項26】 前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、約250ないし2,000Åの厚さにコンタクトホールの底部だけでなく側壁にも析出され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンを含む、請求項19記載の方法。」を 「【請求項26】 前記バリヤ層は、約250ないし2,000Åの厚さに析出される、請求項19記載の方法。」と補正する。 (14)補正事項14 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項27】 前記導電材料は、CVDタングステンであり、前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成される、請求項19記載の方法。」を 「【請求項27】 前記導電材料は、タングステン、モリブデンおよびドープされたポリシリコンからなる群から選択される、請求項19記載の方法。」と補正する。 (15)補正事項15 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項28】 前記粘着および接触層、前記バリヤ層ならびに前記導電材料は、前記コンタクトホール内に含む前記絶縁層上にブランケット析出され、前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも析出され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンを含む、請求項19記載の方法。」を 「【請求項28】 前記粘着および接触層、前記バリヤ層ならびに前記導電材料は、前記コンタクトホール内に含む前記絶縁層上にブランケット析出される、請求項19記載の方法。」と補正する。 (16)補正事項16 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項37】 前記バリヤ層は、本質的に、窒素を含む環境でチタンをスパッタリングすることによって形成される窒化チタンからなり、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンを含む、請求項35記載の方法。」を 「【請求項37】 前記バリヤ層は、本質的に、窒素を含む環境でチタンをスパッタリングすることによって形成される窒化チタンからなる、請求項35記載の方法。」と補正する。 (17)補正事項17 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項38】 前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、スパッタリング、CVDまたは反応性アニーリングによって、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンを含む、請求項35記載の方法。」を 「【請求項38】 前記バリヤ層は、スパッタリング、CVDまたは反応性アニーリングによって形成される、請求項35記載の方法。」と補正する。 (18)補正事項18 補正前訂正明細書の特許請求の範囲の「【請求項39】 前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、約250ないし2,000Åの厚さにコンタクトホールの底部だけでなく側壁にも析出され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンを含む、請求項35記載の方法。」を 「【請求項39】 前記バリヤ層は、約250ないし2,000Åの厚さに析出される、請求項35記載の方法。」と補正する。 2-1-2.補正の可否についての判断 (1)補正事項1について 補正事項1は、「【特許請求の範囲】」の記載が重複しているのを、訂正前の重複していない記載に戻すための補正であり、この補正は、訂正事項の削除に該当するから、補正事項1による補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではない。 (2)補正事項2ないし18について 補正事項2ないし18は、請求項5、9、12、14、18、20ないし28、37ないし39の記載を訂正前に戻すための補正であり、請求項5、9、12、14、18、20ないし28、37ないし39についての訂正事項の削除に該当するから、補正事項2ないし18による補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではない。 以上のとおり、補正事項1ないし18による補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではなく、特許法第131条第2項の規定に適合するので、当該補正を認める。 2-2.本件補正書により補正された平成16年7月21日付け訂正請求書(以下、「本件訂正請求書」という。)において、被請求人が求める訂正の内容について 2-2-1.訂正の内容 上記2-1.で示したように、本件補正書による補正は認められるから、本件訂正請求書に添付した訂正明細書における訂正の内容は、以下のとおりである。 (1)訂正事項a 特許請求の範囲の「【請求項36】 前記チタン粘着および接触層は、約100ないし800Åの厚さに析出される、請求項35記載の方法。」を 「【請求項36】 前記チタン粘着および接触層は、約100ないし800Åの厚さにブランケット析出され、前記バリヤ層は、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンとWSix層とを含み、前記WSix層が、前記バリヤ層と前記CVDタングステンとの間に存在する、請求項35記載の方法。」と訂正する (2)訂正事項b 特許請求の範囲の「【請求項40】 前記粘着層、前記バリヤ層および前記導電材料は、前記コンタクトホール内を含む二酸化シリコンの前記層上にブランケット析出される、請求項35記載の方法。」を 「【請求項40】 前記粘着層、前記バリヤ層および前記導電材料は、前記コンタクトホール内を含む二酸化シリコンの前記層上にブランケット析出され、前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、WF6とH2とのCVD反応によって形成されたタングステンを含む、請求項35記載の方法。」と訂正する。 (3)訂正事項c 特許請求の範囲の「【請求項46】 前記タングステンプラグは、WL6とH2とのCVD反応によって選択的に形成される、請求項45記載の方法。」を 「【請求項46】 前記タングステンプラグは、WF6とH2とのCVD反応によって選択的に形成される、請求項45記載の方法。」と訂正する。 2-2-2.訂正の可否についての判断 2-2-2-1.訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無及び拡張・変更の存否 (1)訂正事項a 訂正事項aは、「前記チタン粘着および接触層は、約100ないし800Åの厚さに析出され」を「前記チタン粘着および接触層は、約100ないし800Åの厚さにブランケット析出され」と訂正すること(訂正事項a-1)と、「析出される、」を「析出され、」と訂正すること(訂正事項a-2)と、「前記バリヤ層は、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、」を「前記チタン粘着および接触層は、約100ないし800Åの厚さにブランケット析出され、」の後に追加すること(訂正事項a-3)と、「前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンとWSix層とを含み、前記WSix層が、前記バリヤ層と前記CVDタングステンとの間に存在する、」を「前記バリヤ層は、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、」の後に追加すること(訂正事項a-4)に区分できる。 (訂正事項a-1について) 訂正事項a-1は、「チタン粘着および接触層」が、「ブランケット析出され」ることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 本件特許明細書には、「【請求項40】前記粘着層、前記バリヤ層および前記導電材料は、前記コンタクトホール内を含む二酸化シリコンの前記層上にブランケット析出される、請求項35記載の方法。」と記載されており、この請求項40は、請求項35を引用している。 ここで、請求項40には、「前記粘着層」と記載されているが、本件特許明細書の請求項35(ただし、請求項35に係る発明についての特許は、平成11年3月12日付けの「異議の決定」で取り消されている。)には、「粘着層」という語句は記載されておらず、「チタンの粘着および接着層」及び「前記粘着および接着層」という語句が記載されているから、請求項40の「前記粘着層」は、「前記粘着および接着層」の誤記であると認められるところ、これら請求項35及び請求項40の記載から、チタンの粘着および接触層は、ブランケット析出されるものと認められる。 そして、請求項36及び請求項40は、いずれも請求項35を引用しているから、請求項36の「チタン粘着および接触層」が、「ブランケット析出され」ることは、請求項35及び請求項40の記載から明らかである。 よって、訂正事項a-1については、新規事項の追加に該当しない。 (訂正事項a-2について) 訂正事項a-2は、「前記チタン粘着および接触層は、約100ないし800Åの厚さに析出される、」の後に「前記バリヤ層は、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンとWSix層とを含み、前記WSix層が、前記バリヤ層と前記CVDタングステンとの間に存在する、」を追加するために、「析出される、」を「析出され、」と訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 (訂正事項a-3について) 訂正事項a-3は、請求項36が引用する請求項35の「窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含むバリヤ層」が、「コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され」ることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項a-3については、本件特許明細書の「・・・Ti/TiN膜は、バイアの底部だけでなく側壁にも形成される。」(特許公報第9頁左欄第13?14行)の記載から明らかであり、新規事項の追加に該当しない。 (訂正事項a-4について) 訂正事項a-4は、請求項36が引用する請求項35の「コンタクトプラグ」が、「導電材料として、CVDによって形成されたタングステンとWSix層とを含み、前記WSix層が、バリヤ層と前記CVDタングステンとの間に存在する」ことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項a-4については、本件特許明細書の「層22は、等角析出可能な導電材料を含む。そのような材料の好ましい例は、CVDまたはバイアススパッタリングされたタングステンまたはモリブデンあるいはその場的にドープされたCVDポリシリコンを含む。」(特許公報第7頁右欄第48行?第8頁左欄第1行)、及び、「バリヤ層20の析出後、WSixまたはシリコンの任意の層21は、CVDタングステンにとって典型的な態様でCVDによって析出されてもよい。そのような層21の部分は、第1C図(点線)に描かれている。」(特許公報第7頁右欄第43?46行)との記載から明らかであり、新規事項の追加に該当しない。 したがって、訂正事項aは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項b 訂正事項bは、「前記粘着層、前記バリヤ層および前記導電材料は、前記コンタクトホール内を含む二酸化シリコンの前記層上にブランケット析出される、」を「前記粘着層、前記バリヤ層および前記導電材料は、前記コンタクトホール内を含む二酸化シリコンの前記層上にブランケット析出され、」と訂正すること(訂正事項b-1)、「前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、」を「前記粘着層、前記バリヤ層および前記導電材料は、前記コンタクトホール内を含む二酸化シリコンの前記層上にブランケット析出され、」の後に追加すること(訂正事項b-2)と、「前記コンタクトプラグは、導電材料として、WF6とH2とのCVD反応によって形成されたタングステンを含む、」を「前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、」の後に追加すること(訂正事項b-3)に区分できる。 (訂正事項b-1について) 訂正事項b-1は、「前記粘着層、前記バリヤ層および前記導電材料は、前記コンタクトホール内を含む二酸化シリコンの前記層上にブランケット析出される、」の後に「前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、WF6とH2とのCVD反応によって形成されたタングステンを含む、」を追加するために、「析出される、」を「析出され、」と訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 (訂正事項b-2について) 訂正事項b-2は、「バリヤ層」が、「窒化チタンを含み、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され」ることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項b-2は、本件特許明細書の「・・・Ti/TiN膜は、バイアの底部だけでなく側壁にも形成される。」(特許公報第9頁左欄第13?14行)、及び、「適当なバリヤ材料の例は、・・・好ましくは、バリヤ材料は、その優れたバリヤ特性のため、窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンまたは窒化硼素を含む。」(特許公報第7頁右欄第17?25行)との記載から明らかであり、新規事項の追加に該当しない。 (訂正事項b-3について) 訂正事項b-3は、請求項40が引用する請求項35の「前記コンタクトホールを実質的に充填しかつ前記バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグ」が、「導電材料として、WF6とH2とのCVD反応によって形成されたタングステンを含む」ことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項b-3については、本件特許明細書の「層22は、等角析出可能な導電材料を含む。そのような材料の好ましい例は、CVDまたはバイアススパッタリングされたタングステンまたはモリブデンあるいはその場的にドープされたCVDポリシリコンを含む。」(特許公報第7頁右欄第48行?第8頁左欄第1行)、及び、「・・・タングステンの選択プラグ形の析出物32は、ホールでのWF6+H2のCVD反応によって形成される。」(特許公報第8頁右欄第8?10行)との記載から明らかであり、新規事項の追加に該当しない。 したがって、訂正事項bは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項c 訂正事項cは、「前記タングステンプラグは、WL6とH2とのCVD反応によって選択的に形成される」を、「前記タングステンプラグは、WF6とH2とのCVD反応によって選択的に形成される」と訂正するもの、すなわち、「WL6」を「WF6」と訂正するものであり、この訂正は、本件特許明細書の「・・・タングステンの選択プラグ形の析出物32は、ホールでのWF6+H2のCVD反応によって形成される。」(特許公報第8頁右欄第8?10行)との記載から、誤記の訂正を目的とすることは明らかである。 したがって、訂正事項cは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 2-2-2-2.独立特許要件 <特許法第29条第2項について> (1)訂正後の各請求項に係る発明 本件請求項40に係る特許は、無効審判が請求されているので、訂正された請求項36、40、46に係る発明のうち、無効審判が請求されていない請求項36、46に係る発明について、独立特許要件の有無を検討する。 平成11年3月12日付けの「異議の決定」で取り消された請求項35に係る発明及び訂正された請求項36に係る発明は、以下のとおりである。 「【請求項35】 集積半導体回路に安定な低抵抗コンタクトを製作する方法であって、 (a)シリコン基板にドープされた領域を設け、 (b)周囲の基板の前記ドープされた領域上を覆って二酸化シリコンの絶縁層を形成し、 (c)前記ドープされた領域の選択された領域に、その部分を露出するために、前記二酸化シリコンを介して実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールは前記絶縁層の壁によって規定され、 (d)下にあるドープされた領域に接触して、前記壁に沿ったところを含む、少なくとも前記ホールにチタンの粘着および接触層をスパッタリングし、前記粘着および接触層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、 (e)窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含むバリヤ層を、前記粘着および接触層と接触して前記コンタクトホールに形成し、前記バリヤ層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、かつ (f)前記コンタクトホールを実質的に充填しかつ前記バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成し、前記コンタクトプラグは、タングステンおよびドープされたポリシリコンからなる群から選択される導電材料をCVDによって析出することによって形成される、方法。 【請求項36】 前記チタン粘着および接触層は、約100ないし800Åの厚さにブランケット析出され、前記バリヤ層は、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンとWSix層とを含み、前記WSix層が、前記バリヤ層と前記CVDタングステンとの間に存在する、請求項35記載の方法。」 また、請求項44、45に係る発明及び訂正後の請求項46に係る発明は、以下のとおりである。 「【請求項44】 (a)前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層は、前記絶縁層上にかつ前記コンタクトホール内に析出され、(b)レジスト層は、前記コンタクトホールを実質的に完全に充填するのに十分前記バリヤ層上にかつ前記コンタクトホール内にブランケット析出され、(c)前記レジストおよび前記バリヤ層ならびに粘着および接触層は、前記絶縁層を露出するためにブランケットエッチングされ、前記コンタクトホールにレジストのプラグを残しかつそれによって前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層を前記ドープされた領域の表面および少なくとも前記コンタクトホールの前記壁の部分に沿って保持し、かつ(d)レジストの前記プラグを前記コンタクトホールから除去する、請求項35記載の方法。 【請求項45】 タングステンは、導電材料の前記コンタクトプラグを形成するために、前記コンタクトホールにのみ選択的にCVD析出される、請求項44記載の方法。 【請求項46】 前記タングステンプラグは、WF6とH2とのCVD反応によって選択的に形成される、請求項45記載の方法。」 そして、訂正された請求項36に係る発明は、請求項35を引用しており、また、訂正された請求項46に係る発明は、請求項45を引用し、請求項45に係る発明は、請求項44を引用し、さらに、請求項44に係る発明は、請求項35を引用しているから、訂正された請求項36に係る発明及び訂正された請求項46に係る発明は、以下のとおりであるものと認められる。 〔訂正された請求項36に係る発明〕「集積半導体回路に安定な低抵抗コンタクトを製作する方法であって、 (a)シリコン基板にドープされた領域を設け、 (b)周囲の基板の前記ドープされた領域上を覆って二酸化シリコンの絶縁層を形成し、 (c)前記ドープされた領域の選択された領域に、その部分を露出するために、前記二酸化シリコンを介して実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールは前記絶縁層の壁によって規定され、 (d)下にあるドープされた領域に接触して、前記壁に沿ったところを含む、少なくとも前記ホールにチタンの粘着および接触層をスパッタリングし、前記粘着および接触層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、 (e)窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含むバリヤ層を、前記粘着および接触層と接触して前記コンタクトホールに形成し、前記バリヤ層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、かつ (f)前記コンタクトホールを実質的に充填しかつ前記バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成し、前記コンタクトプラグは、タングステンおよびドープされたポリシリコンからなる群から選択される導電材料をCVDによって析出することによって形成され、 前記チタン粘着および接触層は、約100ないし800Åの厚さにブランケット析出され、前記バリヤ層は、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンとWSix層とを含み、前記WSix層が、前記バリヤ層と前記CVDタングステンとの間に存在する、方法。」(以下、「訂正発明1」という。) 〔訂正された請求項46に係る発明〕「集積半導体回路に安定な低抵抗コンタクトを製作する方法であって、 (a)シリコン基板にドープされた領域を設け、 (b)周囲の基板の前記ドープされた領域上を覆って二酸化シリコンの絶縁層を形成し、 (c)前記ドープされた領域の選択された領域に、その部分を露出するために、前記二酸化シリコンを介して実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールは前記絶縁層の壁によって規定され、 (d)下にあるドープされた領域に接触して、前記壁に沿ったところを含む、少なくとも前記ホールにチタンの粘着および接触層をスパッタリングし、前記粘着および接触層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、 (e)窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含むバリヤ層を、前記粘着および接触層と接触して前記コンタクトホールに形成し、前記バリヤ層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、かつ (f)前記コンタクトホールを実質的に充填しかつ前記バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成し、前記コンタクトプラグは、タングステンおよびドープされたポリシリコンからなる群から選択される導電材料をCVDによって析出することによって形成され、 (a)前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層は、前記絶縁層上にかつ前記コンタクトホール内に析出され、(b)レジスト層は、前記コンタクトホールを実質的に完全に充填するのに十分前記バリヤ層上にかつ前記コンタクトホール内にブランケット析出され、(c)前記レジストおよび前記バリヤ層ならびに粘着および接触層は、前記絶縁層を露出するためにブランケットエッチングされ、前記コンタクトホールにレジストのプラグを残しかつそれによって前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層を前記ドープされた領域の表面および少なくとも前記コンタクトホールの前記壁の部分に沿って保持し、かつ(d)レジストの前記プラグを前記コンタクトホールから除去し、 タングステンは、導電材料の前記コンタクトプラグを形成するために、前記コンタクトホールにのみ選択的にCVD析出され、 前記タングステンプラグは、WF6とH2とのCVD反応によって選択的に形成される、方法。」(以下、「訂正発明2」という。) (2)刊行物に記載された発明 (a)刊行物1:特開昭61-35517号公報(請求人が提出した甲第2号証) 本件優先権主張日前に頒布された刊行物1は、「半導体装置の形成方法」(発明の名称)に関するものであって、第5図?第8図とともに、以下の点が記載されている。 「本発明は、半導体装置の製造方法に係り、特に、半導体基板上に形成された半導体領域と配線層との間に高い信頼性をもつ微細面積のコンタクトを形成する方法に関する。」(第1頁右下欄第16?19行) 「このような問題を解決する技術として、前記N+型シリコン拡散層2とアルミニウム電極5との間に前述の如き界面反応が発生するのを防止するため、障壁金属(バリヤーメタル)を形成する方法が注目されている。 この1例として、窒化チタン(TiN)膜を障壁金属として用いた場合の電極形成方法を第11図(a)?(c)に示す。」(第2頁右上欄第14行?同頁左下欄第1行) 「本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、微細で浅いPN接合をもつ半導体層に対しても接合特性を劣化させることなく、配線層と拡散層との間のオーミックコンタクトを低抵抗とすると共に、信頼性を高めることを目的とする。」(第2頁右下欄第3?7行) 「そこで、本発明は、自然酸化膜の除去およびシリコン拡散層と窒化チタン膜との密着性の向上に着目してなされたもので障壁金属の形成に先立ち、金属膜を形成し、続いて、障壁金属としての窒化金属膜を形成するようにしている。 すなわち、本発明は、拡散層の形成された基板表面に絶縁膜を形成し、この絶縁膜にコンタクト用の窓明けを行い、この窓内にコンタクト用電極を形成するにあたり、まず、金属膜を形成し、続いて窒化金属膜を形成し、該窒化金属膜の上層にコンタクト用の電極を形成することを特徴とするものである。 このように、拡散層と障壁金属としての窒化金属膜との間に金属膜を介在させた場合にも、該窒化金属膜の障壁金属としての特性は変化せず、金属膜の存在によって窒化金属膜の内部応力を緩和できるため密着性が高められると共に、後続する熱処理工程において、該金属膜が、拡散層上に生成される自然酸化膜と反応することにより、拡散層とコンタクト用の電極との電気的接触を良好に保つことが可能となる。 〔発明の効果〕 従って、本発明によれば、微細で浅いPN接合をもつ半導体領域に対しても、障壁金属の存在によって、電極と半導体領域との界面反応が抑制され、また電極形成後の熱処理による接合破壊を確実に防止することができると同時に、低抵抗であってかつ、信頼性の高いオーミックコンタクトを形成することが可能となる。」(第3頁左上欄第4行?同頁右上欄第12行) 「まず、第6図に示す如く、P型シリコン基板31上に、砒素をイオン注入することによって形成されたPN接合深さX=0.1μmのN+型シリコン拡散層32の表面全体に絶縁膜33として酸化シリコン膜を堆積し、これにフォトリソエッチング法により、コンタクト用の窓Wを穿孔する。 次いで、アルゴン雰囲気中でスパッタリングを行い、前記P型シリコン基板表面全体に第7図に示す如く、チタン(Ti)膜34を形成する。このとき、基板温度は20?300℃、アルゴンの圧力は3×10-3Torrとし、膜厚100Åのチタン膜34を得た後、一担、スパッタリングを停止する。 続いて、真空を破ることなく、該スパッタリング装置内に窒素ガスを導入し、アルゴンの分圧3×10-3Torr、窒素の分圧3×10-4?6×10-4Torrとし、基板温度20?300℃の条件下で、再びスパッタリングを行い、第8図に示す如く膜厚1000Åの窒化チタン膜35を形成する。 更に、基板表面全体にアルミニウム膜36を蒸着法によって形成する。そして、このようにして得られたチタン膜34、窒化チタン膜35、アルミニウム膜36からなる3層膜を、フォトリソエッチング法により、同時にパターニングする。この後、フォーミングガス雰囲気中で20分間にわたり、450℃の熱処理を行うことにより、第5図に示したようなコンタクト用電極および電極配線層が完成される。」(第4頁左上欄第6行?同頁右上欄第13行) そして、刊行物1に記載された発明の「チタン膜」及び「窒化チタン膜」は、第7図、第8図及びこれらの図面に関する記載から、コンタクト用の窓を充填するのに不十分な厚さに形成され、かつ、コンタクト用の窓の底部だけでなく側壁にも形成されていることは明らかである。 よって、刊行物1には、 「半導体装置に低抵抗であってかつ、信頼性の高いオーミックコンタクトを製作する方法であって、 (a)P型シリコン基板に砒素をイオン注入することによってN+型シリコン拡散層を形成し、 (b)前記N+型シリコン拡散層の表面全体を覆って酸化シリコンの絶縁膜を形成し、 (c)前記酸化シリコンの絶縁膜にコンタクト用の窓を穿孔し、 (d)前記P型シリコン基板表面全体にチタン膜をスパッタリングし、前記チタン膜は、前記コンタクト用の窓を充填するのに不十分な厚さに形成され、 (e)続いて、窒化チタン膜を形成し、前記窒化チタン膜は、前記コンタクト用の窓を充填するのに不十分な厚さに形成され、かつ (f)更に、前記P型シリコン基板表面全体にアルミニウム膜を蒸着法によって形成し、 前記チタン膜は、100Åの厚さにスパッタリングにより形成され、前記窒化チタン膜は、コンタクト用の窓の底部だけでなく側壁にも形成される、方法。」(以下、「刊行物発明1-1」という。」)、及び、 「半導体装置に低抵抗であってかつ、信頼性の高いオーミックコンタクトを製作する方法であって、 (a)P型シリコン基板に砒素をイオン注入することによってN+型シリコン拡散層を形成し、 (b)前記N+型シリコン拡散層の表面全体を覆って酸化シリコンの絶縁膜を形成し、 (c)前記酸化シリコンの絶縁膜にコンタクト用の窓を穿孔し、 (d)前記P型シリコン基板表面全体にチタン膜をスパッタリングし、前記チタン膜は、前記コンタクト用の窓を充填するのに不十分な厚さに形成され、 (e)続いて、窒化チタン膜を形成し、前記窒化チタン膜は、前記コンタクト用の窓を充填するのに不十分な厚さに形成され、かつ (f)更に、前記P型シリコン基板表面全体にアルミニウム膜を蒸着法によって形成する、方法。」(以下、「刊行物発明1-2」という。)が記載されている。 (b)刊行物2:特開昭61-51917号公報(請求人が提出した甲第5号証) 本件優先権主張日前に頒布された刊行物2には、以下の点が記載されている。 「本発明は半導体装置の製造方法に係り、特にシリコン基板面のコンタクトホールに形成する接続配線に関する。」(第1頁左下欄第11?13行) 「近年、半導体集積回路のパターンの緻密化に伴い、コンタクトホールの形状が微小になり、このコンタクトホールの底部にある導電性基板からの接続配線として、通常アルミニウムの配線がなされているが、このアルミニウムがコンタクトホールに完全に充填されないため、接続配線が不完全になる恐れがあり、これに関する改善が要望されている。」(第1頁左下欄第15行?同頁右下欄第2行) 「第2図(a)はシリコン基板10の表面に形成されたnの拡散層11と、このnの拡散層11とP-N接続されるp+の拡散層12があり、又同一基板上に、n+の拡散層13があり、フィールド酸化物14があって、絶縁物である燐珪酸ガラス(PSG)15がそれぞれの領域を絶縁しており、ゲート酸化膜16の上にはポリシリコンゲート17が形成され、コンタクトホール18があるものとする。 第2図(b)は、このシリコン基板面に白金又はパラジウムの金属膜19を形成したものであり、第2図(c)はこの白金又はパラジュームの膜を形成したシリコン基板を熱処理してコンタクトホール18の底部に白金シリサイド又はパラジウムシリサイド等のシリサイド膜20を形成する。 PSG15の表面の白金又はパラジュームの膜はシリコンが無いのでシリサイドは形成されない。 第2図(d)はPSG15の表面の白金又はパラジュームの膜をエッチングによって除去した状態であり、第2図(e)はこのコンタクトホールの部分のみにタングステン21を選択的にCVD方法により、コンタクトホールの深さが埋まる程度の厚みで埋め込み行ったものである。」(第2頁左下欄第3行?同頁右下欄第4行) (c)刊行物3:Suresh Sachdev and Sunil D. Mehta,“TUNGSTEN INTERCONNECTS IN VLSI”,Tungsten and Other Refractory Metals for VLSI Applications,1986,p.161-171(請求人が提出した甲第3号証) 本件優先権主張日前に頒布された刊行物3には、以下の点が記載されている。 「ブランケットタングステンは、スパッタされたアルミニウムおよびアルミニウム合金に代わる適切なるVLSI配線である。ブランケットの抵抗率は、8?12μΩcmの範囲(使用されるスキーム[成膜条件]による)であり、それはアルミニウムの抵抗率の3?4倍である。CVDタングステンは、コンフォーマルなステップ・カバレッジ(均一な段差被覆性)という利点を有しており、その結果、1μのタングステン膜を用いて異方性エッチングで形成された1μ×1μのコンタクトを完全に充填する。サンプル・シミュレーションによれば、これらのコンタクト形状においては、スパッタされたAlSiのステップ・カバレッジが非常に劣っており、一方CVDタングステンの場合はコンタクトの完全な平坦性が達成されている(図1参照)。この点は、ブランケットCVDタングステンを使うことによって、1.2μ×1.2μのコンタクトを平坦化した図2のSEM写真にも示されている。」(第161頁下から第15?5行の訳文) (d)刊行物4:K. Suguro et al.,“High Aspect Ratio Hole Filling with CVD Tungsten for Multi-level Interconnection”,Extended Abstracts of the 18th (1986 International) Conference on SOLID STATE DEVICES AND MATERIALS,1986年8月20日,p.503-506(請求人が提出した参考資料1) 本件優先権主張日前に頒布された刊行物4には、以下の点が記載されている。 「加熱したサセプタのあるLPCVD[低圧CVD]コールドウォールリアクタ中で、 選択的及び非選択的にタングステンまたはタングステンシリサイドを堆積した。サンプルは装置に配置する前の最後に1%のHF溶液に浸した。下記のような4種類の反応を行なった。 2WF6 + 3Si → 2W + 3SiF4 (1) 2WF6 + 3H2 → 2W + 6HF (2) WF6 + 3/2SiH4 → W + 3/2SiF4 + H2 (3) WF6 + 2SiH4 → WSi2 +6HF + H2 (4)」(第503頁左欄第23行?同頁右欄第6行の訳文) 「最後に反応(2)又は(3)により約1μmのブランケットタングステンを成膜した。」(第503頁右欄第15?16行の訳文) 「タングステンは650℃以上ではシリコンと反応してタングステンシリサイドを生成することが知られている。タングステンシリサイドの生成を抑えるために、 タングステンとシリコンの間にTiN/TiSi2障壁層を入れた。窒化による自由エネルギーの減少はタングステンよりもチタンの方が大きいので、W/TiN界面は安定となる。」(第504頁左欄第27?32行の訳文) (e)刊行物5:David W. Woodruff et al.,“ADHESION OF NON-SELECTIVE CVD TUNGSTEN TO SILICON DIOXIDE”,Tungsten and Other Refractory Metals for VLSI Applications,Materials Research Society発行,1986,p.173-183(請求人が提出した参考資料2、被請求人が提出した乙第7号証) 本件優先権主張日前に頒布された刊行物5には、以下の点が記載されている。 「非選択又はブランケットタングステンは、化学気相成長法(CVD)によって、二酸化シリコン及び窒化シリコンを含むウェハーの全表面上に成膜されたタングステン薄膜である。」(第173頁第16?19行の訳文) 「450℃、全圧1.5torrでWF6とH2からコールドウォール反応室中においてCVDタングステン膜が成膜された。」(第178頁第23?25行の訳文) (f)刊行物6:D.C. PAINE et al.,“MICROSTRUCTURAL CHARACTERIZATION OF LPCVD TUNGSTEN INTERFACES”,1985 Materials Research Society,1986,p.117-123(被請求人が提出した乙第2号証) 本件優先権主張日前に頒布された刊行物6には、以下の点が記載されている。 「パターン化されたウエハに加えて、無処理のシリコンウエハ上にタングステンをブランケット析出したものを作製した。タングステンの堆積はすべて、3インチのホットウォールLPCVD反応器内で行った。反応器内の全圧は、0.25トールに維持された。堆積温度は、300℃で、ガス流量は、WF6が10cc/minでH2が75cc/minであった。」(第118頁第26?29行の訳文) (g)刊行物7:S. Ogawa et al.,“THERMALLY STABLE W/SILICIDE/Si CONTACT”,International Electron Devices Meeting, 1986 technical digest,1986年12月7日,p.62-65(請求人が提出した参考資料3) 本件優先権主張日前に頒布された刊行物7には、以下の点が記載されている。 「タングステンは、高融点金属の中では最も抵抗が低く、しかも化学的に安定性を有するため、配線材としては魅力的である。しかし、W/Siの直接接触を伴う系では650℃以上ではタングステンのシリサイド化反応が起こるため熱安定性がない。」(第62頁左欄下から5行?末行の訳文) 「タングステン配線が熱アニーリング中にさらにシリサイド化するのを防ぐため、タングステン配線とTiSi2層の間にTiN拡散障壁層を使った。TiN層はTiSi2層の窒化によって形成された。」(第63頁左欄第11?14行の訳文) (h)刊行物8:特開昭61-248442号公報(請求人が提出した甲第4号証) 本件優先権主張日前に頒布された刊行物8には、以下の点が記載されている。 「本発明は半導体素子用の電極配線に係り、特に微小接続孔を有する半導体素子に好適な電極配線に関する。」(第1頁左下欄第13?15行) 「第2図に示すようにSi基板1の表面に酸化膜6,拡散層2を形成した後、絶縁膜層3を形成し、パターンニングしたフオトレジスト層4をマスクとして、絶縁膜層3に接続孔7をエツチングにより開孔させた。フオトレジストパターン4を残したまま、基板上にTi膜を電子ビーム加熱蒸着法により30nm厚被着させ、リフトオフ法により、レジスト上のTi膜を除去して、接続孔7の内部にのみTi膜5′を残した。この基板にWをCVD法により選択的に被着させ接続孔7の内部にのみW層8を形成した後、Al層9を設けた(第1図)。」(第1頁右下欄第18行?第2頁左上欄第8行) (3)対比・判断 (a)訂正発明1について 訂正発明1と刊行物発明1-1とを対比する。 (ア)刊行物発明1-1の「P型シリコン基板」、「酸化シリコンの絶縁膜」は、それぞれ訂正発明1の「シリコン基板」、「二酸化シリコンの絶縁層」に相当する。 (イ)刊行物1には、「ところで集積回路の高速化と高集積化は素子の微細化によって実現される。」(第2頁左欄第7?8行)と記載されているから、刊行物発明1-1の「半導体装置」が、「集積回路」に用いられることは明らかである。 よって、刊行物発明1-1の「半導体装置」は、訂正発明1の「集積半導体回路」に相当する。 (ウ)刊行物発明1-1の「低抵抗であってかつ、信頼性の高いオーミックコンタクト」は、信頼性が高いことから、特性が安定していることは明らかである。 よって、刊行物発明1-1の「低抵抗であってかつ、信頼性の高いオーミックコンタクト」は、訂正発明1の「安定な低抵抗コンタクト」に相当する。 (エ)刊行物発明1-1の「P型シリコン基板に砒素をイオン注入することによって」形成された「N+型シリコン拡散層」は、シリコン基板に砒素をドープすることにより設けられた領域であることは明らかであるから、刊行物発明1-1の「N+型シリコン拡散層」は、訂正発明1の「ドープされた領域」に相当し、また、刊行物発明1-1の「P型シリコン基板に砒素をイオン注入することによってN+型シリコン拡散層を形成」することは、訂正発明1の「シリコン基板にドープされた領域を設け」ることに相当する。 (オ)刊行物発明1-1の「酸化シリコンの絶縁膜」は、刊行物1の第6図の記載から、「N+型シリコン拡散層」の周囲の基板も覆っていることは明らかである。 よって、刊行物発明1-1の「前記N+型シリコン拡散層の全体表面を覆って酸化シリコンの絶縁膜を形成し」は、訂正発明1の「周囲の基板の前記ドープされた領域上を覆って二酸化シリコンの絶縁層を形成し」に相当する。 (カ)本件特許明細書の「コンタクトホール16(すなわちバイア)は、パターン化されかつドープされた領域およびポリシリコンゲートまで下方にエッチングされる。」(特許公報第7頁左欄第35?37行)及び第1A図の記載から、「コンタクトホール」は、「二酸化シリコンの絶縁層」に形成されていると認められるから、訂正発明1の「前記二酸化シリコンを介して実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成」することは、「前記二酸化シリコンの絶縁層に実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成」することを意味するものである。 そして、刊行物発明1-1の「コンタクト用の窓」は、刊行物1の第6図の記載から、「N+型シリコン拡散層」の選択された領域の部分を露出し、かつ、「絶縁膜」の壁によって規定されることは明らかである。 また、刊行物1の「N+型シリコン拡散層32の表面全体に絶縁膜33として酸化シリコン膜を堆積し、これにフォトリソエッチング法により、コンタクト用の窓Wを穿孔する。」(第4頁左上欄第8?11行)及び第6図の記載から、刊行物発明1-1の「コンタクト用の窓」は、実質的に均一な大きさになっていると認められる。 よって、刊行物発明1-1の「コンタクト用の窓」は、訂正発明1の「コンタクトホール」に相当し、また、刊行物発明1-1の「前記酸化シリコンの絶縁膜にコンタクト用の窓を穿孔し」は、訂正発明1の「前記ドープされた領域の選択された領域に、その部分を露出するために、前記二酸化シリコンを介して実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールは絶縁層の壁によって規定され」に相当する。 (キ)刊行物発明1-1の「チタン膜」は、刊行物1の第7図の記載から、「チタン膜」の下にある「N+型シリコン拡散層」に接触して、「絶縁膜」の壁に沿ったところを含む、少なくとも「コンタクト用の窓」に形成されることは明らかである。 また、刊行物1には、「そこで、本発明は、自然酸化膜の除去およびシリコン拡散層と窒化チタン膜との密着性の向上に着目してなされたもので障壁金属としての窒化金属膜を形成するようにしている。」(第3頁左上欄第4?8行)と記載されている。 一方、本件特許明細書には、「この発明に従って、チタンの薄い層18は、コンタクトホール16に形成され、次の層が、下にあるドープされた領域および/またはポリシリコンに良好に粘着しかつ良好に電気的に接触することを保証する。次にバリヤ材料からなる幾分厚い層20は、粘着及び接触層18上を被って形成される。」(特許公報第7頁左欄第47行?同頁右欄第2行)、「適当なバリヤ材料の例は、・・・窒化チタン・・・を含む。」(特許公報第7頁右欄第17?22行)と記載されており、両者は同様の層構造となっているから、刊行物発明1-1の「チタン膜」は、次の層である「窒化チタン膜」が、「チタン膜」の下にある「N+型シリコン拡散層」に良好に粘着しかつ良好に電気的に接触することを保証することは明らかである。 よって、刊行物発明1-1の「チタン膜」は、訂正発明1の「チタンの粘着および接触層」に相当し、また、刊行物発明1-1の「前記P型シリコン基板表面全体にチタン膜をスパッタリングし」は、訂正発明1の「下にあるドープされた領域に接触して、前記壁に沿ったところを含む、少なくとも前記ホールにチタンの粘着および接触層をスパッタリングし」に相当する。 (ク)刊行物1には、「このような問題を解決する技術として、前記N+型シリコン拡散層2とアルミニウム電極5との間に前述の如き界面反応が発生するのを防止するため、障壁金属(バリヤ-メタル)を形成する方法が注目されている。 この1例として、窒化チタン(TiN)膜を障壁金属として用いた場合の電極形成方法を第11図(a)から(c)に示す。」(第2頁右上欄第14行?同頁左下欄第1行)と記載されているから、刊行物発明1-1の「窒化チタン膜」が、バリヤ層として機能することは明らかである。 また、刊行物発明1-1の「窒化チタン膜」は、刊行物1の第7図の記載から、「チタン膜」の下にある「N+型シリコン拡散層」に接触して、「絶縁膜」の壁に沿ったところを含む、少なくとも「コンタクト用の窓」に形成されることは明らかである。 よって、刊行物発明1-1の「窒化チタン膜」は、訂正発明1の「窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含むバリヤ層」に相当し、また、刊行物発明1-1の「続いて、窒化チタン膜を形成し」は、訂正発明1の「窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含むバリヤ層を、前記粘着および接触層と接触して前記コンタクトホールに形成し」に相当する。 (ケ)刊行物1の第5図には、刊行物発明1-1の「アルミニウム膜」が、コンタクト用の窓を実質的に充填することが示唆されており、また、同第5図の記載から、刊行物発明1-1の「アルミニウム膜」は、窒化チタン膜に接触していることは明らかであるから、刊行物発明1-1の「アルミニウム膜」は、訂正発明1の「コンタクトホールを実質的に充填しかつバリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグ」に相当し、また、刊行物発明1-1の「更に、前記P型シリコン基板表面全体にアルミニウム膜を蒸着法によって形成」することは、訂正発明1の「前記コンタクトホールを実質的に充填しかつ前記バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成」することに相当する。 (コ)刊行物発明1-1の「チタン膜」は、「スパッタリングにより形成され」ること、及び、刊行物1の第7図の記載から、全面に析出されること、すなわち、ブランケット析出されることは明らかである。 また、刊行物発明1-1の「チタン膜」の膜厚「100Å」は、訂正発明1の「チタン粘着および接触層」の膜厚「約100ないし800Å」と重複している。 よって、刊行物発明1-1の「前記チタン膜は、100Åの厚さにスパッタリングにより形成され」は、訂正発明1の「前記チタン粘着および接着層は、約100ないし800Åの厚さにブランケット析出され」に相当する。 (サ)訂正発明1には、「前記コンタクトプラグは、タングステンおよびドープされたポリシリコンからなる群から選択される導電材料をCVDによって析出することによって形成され」と記載されているが、「コンタクトプラグ」については、訂正発明1において、さらに、「前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンとWSixとを含み」とも記載されているから、「コンタクトプラグ」が、「ドープされたポリシリコンからなる」「導電材料をCVDによって析出することによって形成され」る構成は、訂正発明1には含まれない。 したがって、両者は、 「集積半導体回路に安定な低抵抗コンタクトを製作する方法であって、 (a)シリコン基板にドープされた領域を設け、 (b)周囲の基板の前記ドープされた領域上を覆って二酸化シリコンの絶縁層を形成し、 (c)前記ドープされた領域の選択された領域に、その部分を露出するために、前記二酸化シリコンを介して実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールは前記絶縁層の壁によって規定され、 (d)下にあるドープされた領域に接触して、前記壁に沿ったところを含む、少なくとも前記ホールにチタンの粘着および接触層をスパッタリングし、前記粘着および接触層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、 (e)窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含むバリヤ層を、前記粘着および接触層と接触して前記コンタクトホールに形成し、前記バリヤ層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、かつ (f)前記コンタクトホールを実質的に充填しかつ前記バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成し、 前記チタン粘着および接触層は、約100ないし800Åの厚さにブランケット析出され、前記バリヤ層は、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成される、方法。」の点で一致し、以下の点で相違する。 訂正発明1が、窒化チタンからなる材料を含む「バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成し、前記コンタクトプラグは、タングステン」からなる「導電材料をCVDによって析出することによって形成され」、かつ、「前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンとWSix層とを含み、前記WSix層が、前記バリヤ層と前記CVDタングステンの間に存在」しているのに対して、刊行物発明1-1は、「窒化チタン膜を形成し」、「更に、前記P型シリコン基板表面全体にアルミニウム膜を蒸着法によって形成」している点。 以下、上記相違点について検討する。 刊行物2ないし刊行物8には、訂正発明1の構成要素である、窒化チタンからなる材料を含む「バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成し、前記コンタクトプラグは、タングステン」からなる「導電材料をCVDによって析出することによって形成され」、かつ、「前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンとWSix層とを含み、前記WSix層が、前記バリヤ層と前記CVDタングステンの間に存在」することが、記載も示唆もされていないから、訂正発明1は、刊行物発明1-1に刊行物2ないし刊行物8に記載された発明を組み合わせても、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。 また、刊行物1ないし刊行物8に記載された発明をどのように組み合わせても、訂正発明1は導き出せない。 よって、訂正発明1は、刊行物1ないし刊行物8に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものではないから、特許法第29条第2項の規定に違反したものとはいえない。 また、その他に、訂正発明1について、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由もない。 (b)訂正発明2について 訂正発明2と刊行物発明1-2とを対比すると、両者は、上記「(a)訂正発明1について」における、訂正発明1と刊行物発明1-1との対比の(ア)?(ケ)と同様のことがいえる(ただし、「訂正発明1」を「訂正発明2」と読み替え、また、「刊行物発明1-1」を「刊行物発明1-2」と読み替える。)。 (コ)刊行物発明1-2の「チタン膜」ならびに「窒化チタン膜」は、刊行物1の第8図の記載から、「絶縁膜」上にかつ「コンタクト用の窓」内に析出されることは明らかである。 (サ)訂正発明2には、「前記コンタクトプラグは、タングステンおよびドープされたポリシリコンからなる群から選択される導電材料をCVDによって析出することによって形成され」と記載されているが、「コンタクトプラグ」については、訂正発明2において、さらに、「前記タングステンプラグは、WF6とH2とのCVD反応によって選択的に形成される」とも記載されているから、「コンタクトプラグ」が、「ドープされたポリシリコンからなる」「導電材料をCVDによって析出することによって形成され」る構成は、訂正発明2には含まれない。 したがって、両者は、 「集積半導体回路に安定な低抵抗コンタクトを製作する方法であって、 (a)シリコン基板にドープされた領域を設け、 (b)周囲の基板の前記ドープされた領域上を覆って二酸化シリコンの絶縁層を形成し、 (c)前記ドープされた領域の選択された領域に、その部分を露出するために、前記二酸化シリコンを介して実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールは前記絶縁層の壁によって規定され、 (d)下にあるドープされた領域に接触して、前記壁に沿ったところを含む、少なくとも前記ホールにチタンの粘着および接触層をスパッタリングし、前記粘着および接触層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、 (e)窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含むバリヤ層を、前記粘着および接触層と接触して前記コンタクトホールに形成し、前記バリヤ層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、かつ (f)前記コンタクトホールを実質的に充填しかつ前記バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成し、 (a)前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層は、前記絶縁層上にかつ前記コンタクトホール内に析出される、方法」の点で一致し、以下の点で相違する。 訂正発明2が、「前記コンタクトプラグは、タングステン」からなる「導電材料をCVDによって析出することによって形成され」、かつ、「(b)レジスト層は、前記コンタクトホールを実質的に完全に充填するのに十分前記バリヤ層上にかつ前記コンタクトホール内にブランケット析出され、(c)前記レジストおよび前記バリヤ層ならびに粘着および接触層は、前記絶縁層を露出するためにブランケットエッチングされ、前記コンタクトホールにレジストのプラグを残しかつそれによって前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層を前記ドープされた領域の表面および少なくとも前記コンタクトホールの前記壁の部分に沿って保持し、かつ(d)レジストの前記プラグを前記コンタクトホールから除去し、 タングステンは、導電材料の前記コンタクトプラグを形成するために、前記コンタクトホールにのみ選択的にCVD析出され、 前記タングステンプラグは、WF6とH2とのCVD反応によって選択的に形成される」工程を有しているのに対して、刊行物発明1-2は、これらの工程を有していない点。 以下、上記相違点について検討する。 刊行物2ないし刊行物8には、訂正発明2の構成要素である、「前記コンタクトプラグは、タングステン」からなる「導電材料をCVDによって析出することによって形成され」、かつ、「(b)レジスト層は、前記コンタクトホールを実質的に完全に充填するのに十分前記バリヤ層上にかつ前記コンタクトホール内にブランケット析出され、(c)前記レジストおよび前記バリヤ層ならびに粘着および接触層は、前記絶縁層を露出するためにブランケットエッチングされ、前記コンタクトホールにレジストのプラグを残しかつそれによって前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層を前記ドープされた領域の表面および少なくとも前記コンタクトホールの前記壁の部分に沿って保持し、かつ(d)レジストの前記プラグを前記コンタクトホールから除去し、 タングステンは、導電材料の前記コンタクトプラグを形成するために、前記コンタクトホールにのみ選択的にCVD析出され、 前記タングステンプラグは、WF6とH2とのCVD反応によって選択的に形成される」工程が、記載も示唆もされていないから、訂正発明2は、刊行物発明1-2に刊行物2ないし刊行物8に記載された発明を組み合わせても、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。 また、刊行物1ないし刊行物8に係る発明をどのように組み合わせても、訂正発明2は導き出せない。 よって、訂正発明2は、刊行物1ないし刊行物8に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものではないから、特許法第29条第2項の規定に違反したものとはいえない。 また、その他に、訂正発明2について、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由もない。 2-3.まとめ 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法[第1条の規定]による改正(以下、「平成6年改正」という。)前の特許法第134条第2項ただし書きに適合し、また、特許法等の一部を改正する法律(平成15年法律第47号)附則第2条第7項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法[第1条の規定]による改正(以下、「平成15年改正」という。)前の特許法第134条第5項において準用する平成6年改正前の特許法第126条第2項の規定に適合し、さらに、平成15年改正前の特許法第134条第5項において読み替えて準用する平成6年改正前の特許法第126条第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.当事者の主張等 請求人は、本件特許第2645345号の請求項40に係る発明および請求項43に係る発明のいずれも、引用発明1(甲第2号証)および周知技術または引用発明2(甲第3号証)に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項40に係る発明および請求項43に係る発明についての特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである旨主張し、証拠方法として、甲第2号証ないし甲第5号証を提出するとともに、平成16年12月6日付け口頭審理陳述要領書に添付した参考資料1ないし参考資料3を提出している。 甲第2号証 特開昭61-35517号公報 甲第3号証 Suresh Sachdev and Sunil D. Mehta,“TUNGSTEN INTERCONNECTS IN VLSI”,Tungsten and Other Refractory Metals for VLSI Applications,1986,p.161-171 甲第4号証 特開昭61-248442号公報 甲第5号証 特開昭61-51917号公報 参考資料1 K. Suguro et al.,“High Aspect Ratio Hole Filling with CVD Tungsten for Multi-level Interconnection”,Extended Abstracts of the 18th (1986 International) Conference on SOLID STATE DEVICES AND MATERIALS,1986年8月20日,p.503-506 参考資料2 David W. Woodruff et al.,“ADHESION OF NON-SELECTIVE CVD TUNGSTEN TO SILICON DIOXIDE”,Tungsten and Other Refractory Metals for VLSI Applications,Materials Research Society発行,1986,p.173-183 参考資料3 S. Ogawa et al.,“THERMALLY STABLE W/SILICIDE/Si CONTACT”,International Electron Devices Meeting, 1986 technical digest,1986年12月7日,p.62-65 一方、被請求人は、本件請求項40及び請求項43に係る特許発明は、引用発明1及び周知技術または引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではなく、本件審判の請求は、成り立たない。本件審判の請求費用は、請求人の負担とするとの審決を求める旨主張し、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出するとともに、平成16年12月6日付け口頭審理陳述要領書に添付した乙第7号証を提出している。 乙第7号証 David W. Woodruff et al.,“ADHESION OF NON-SELECTIVE CVD TUNGSTEN TO SILICON DIOXIDE”,Tungsten and Other Refractory Metals for VLSI Applications,Materials Research Society発行,1986,p.173-183 4.本件特許発明 請求人が無効を主張する本件特許第2645345号の請求項40、43に係る特許は、平成17年4月5日付けの手続補正書(訂正請求書)により補正された、平成16年7月21日付けの訂正請求書に添付された全文訂正明細書の請求項40、43に係る特許に対応するものであるところ、平成11年3月12日付けの「異議の決定」で取り消された請求項35に係る発明及び訂正された請求項40に係る発明は、以下のとおりである。 「【請求項35】 集積半導体回路に安定な低抵抗コンタクトを製作する方法であって、 (a)シリコン基板にドープされた領域を設け、 (b)周囲の基板の前記ドープされた領域上を覆って二酸化シリコンの絶縁層を形成し、 (c)前記ドープされた領域の選択された領域に、その部分を露出するために、前記二酸化シリコンを介して実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールは前記絶縁層の壁によって規定され、 (d)下にあるドープされた領域に接触して、前記壁に沿ったところを含む、少なくとも前記ホールにチタンの粘着および接触層をスパッタリングし、前記粘着および接触層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、 (e)窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含むバリヤ層を、前記粘着および接触層と接触して前記コンタクトホールに形成し、前記バリヤ層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、かつ (f)前記コンタクトホールを実質的に充填しかつ前記バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成し、前記コンタクトプラグは、タングステンおよびドープされたポリシリコンからなる群から選択される導電材料をCVDによって析出することによって形成される、方法。」 「【請求項40】 前記粘着層、前記バリヤ層および前記導電材料は、前記コンタクトホール内を含む二酸化シリコンの前記層上にブランケット析出され、前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、WF6とH2とのCVD反応によって形成されたタングステンを含む、請求項35記載の方法。」 ここで、訂正された請求項40には、「前記粘着層」と記載されているが、この訂正された請求項40が引用する請求項35には、「粘着層」という語句は記載されておらず、「チタンの粘着および接着層」及び「前記粘着および接着層」という語句が記載されているから、訂正された請求項40の「前記粘着層」は、「前記粘着および接着層」の誤記であると認められる。 そして、訂正された請求項40に係る発明は、請求項35を引用しているから、訂正された請求項40に係る発明及び請求項43に係る発明は、以下のとおりであるものと認められる。 〔訂正された請求項40に係る発明〕「集積半導体回路に安定な低抵抗コンタクトを製作する方法であって、 (a)シリコン基板にドープされた領域を設け、 (b)周囲の基板の前記ドープされた領域上を覆って二酸化シリコンの絶縁層を形成し、 (c)前記ドープされた領域の選択された領域に、その部分を露出するために、前記二酸化シリコンを介して実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールは前記絶縁層の壁によって規定され、 (d)下にあるドープされた領域に接触して、前記壁に沿ったところを含む、少なくとも前記ホールにチタンの粘着および接触層をスパッタリングし、前記粘着および接触層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、 (e)窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含むバリヤ層を、前記粘着および接触層と接触して前記コンタクトホールに形成し、前記バリヤ層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、かつ (f)前記コンタクトホールを実質的に充填しかつ前記バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成し、前記コンタクトプラグは、タングステンおよびドープされたポリシリコンからなる群から選択される導電材料をCVDによって析出することによって形成され、 前記粘着および接着層、前記バリヤ層および前記導電材料は、前記コンタクトホール内を含む二酸化シリコンの前記層上にブランケット析出され、前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、WF6とH2とのCVD反応によって形成されたタングステンを含む、方法。」(以下、「本件特許発明1」という。) 「【請求項43】 前記導電材料はタングステンを含み、かつ前記導電材料および前記下にあるバリヤ層ならびに粘着および接触層は、前記絶縁層の部分を露出するためにパターン化されかつエッチングされ、配線領域を形成する前記導電材料および前記バリヤ層ならびに前記粘着および接触層の規定されたパターンを残し、前記配線領域は少なくとも部分的に前記コンタクトホールの上にある、請求項40記載の方法。」(以下、「本件特許発明2」という。)」 5.当審の判断 5-1.請求人の提出した証拠方法及びその記載事項 (a)刊行物1:特開昭61-35517号公報(請求人が提出した甲第2号証) 本件優先権主張日前に頒布された刊行物1は、「半導体装置の形成方法」(発明の名称)に関するものであって、第5図?第8図とともに、以下の点が記載されている。 「本発明は、半導体装置の製造方法に係り、特に、半導体基板上に形成された半導体領域と配線層との間に高い信頼性をもつ微細面積のコンタクトを形成する方法に関する。」(第1頁右下欄第16?19行) 「このような問題を解決する技術として、前記N+型シリコン拡散層2とアルミニウム電極5との間に前述の如き界面反応が発生するのを防止するため、障壁金属(バリヤーメタル)を形成する方法が注目されている。 この1例として、窒化チタン(TiN)膜を障壁金属として用いた場合の電極形成方法を第11図(a)?(c)に示す。」(第2頁右上欄第14行?同頁左下欄第1行) 「本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、微細で浅いPN接合をもつ半導体層に対しても接合特性を劣化させることなく、配線層と拡散層との間のオーミックコンタクトを低抵抗とすると共に、信頼性を高めることを目的とする。」(第2頁右下欄第3?7行) 「そこで、本発明は、自然酸化膜の除去およびシリコン拡散層と窒化チタン膜との密着性の向上に着目してなされたもので障壁金属の形成に先立ち、金属膜を形成し、続いて、障壁金属としての窒化金属膜を形成するようにしている。 すなわち、本発明は、拡散層の形成された基板表面に絶縁膜を形成し、この絶縁膜にコンタクト用の窓明けを行い、この窓内にコンタクト用電極を形成するにあたり、まず、金属膜を形成し、続いて窒化金属膜を形成し、該窒化金属膜の上層にコンタクト用の電極を形成することを特徴とするものである。 このように、拡散層と障壁金属としての窒化金属膜との間に金属膜を介在させた場合にも、該窒化金属膜の障壁金属としての特性は変化せず、金属膜の存在によって窒化金属膜の内部応力を緩和できるため密着性が高められると共に、後続する熱処理工程において、該金属膜が、拡散層上に生成される自然酸化膜と反応することにより、拡散層とコンタクト用の電極との電気的接触を良好に保つことが可能となる。 〔発明の効果〕 従って、本発明によれば、微細で浅いPN接合をもつ半導体領域に対しても、障壁金属の存在によって、電極と半導体領域との界面反応が抑制され、また電極形成後の熱処理による接合破壊を確実に防止することができると同時に、低抵抗であってかつ、信頼性の高いオーミックコンタクトを形成することが可能となる。」(第3頁左上欄第4行?同頁右上欄第12行) 「まず、第6図に示す如く、P型シリコン基板31上に、砒素をイオン注入することによって形成されたPN接合深さX=0.1μmのN+型シリコン拡散層32の表面全体に絶縁膜33として酸化シリコン膜を堆積し、これにフォトリソエッチング法により、コンタクト用の窓Wを穿孔する。 次いで、アルゴン雰囲気中でスパッタリングを行い、前記P型シリコン基板表面全体に第7図に示す如く、チタン(Ti)膜34を形成する。このとき、基板温度は20?300℃、アルゴンの圧力は3×10-3Torrとし、膜厚100Åのチタン膜34を得た後、一担、スパッタリングを停止する。 続いて、真空を破ることなく、該スパッタリング装置内に窒素ガスを導入し、アルゴンの分圧3×10-3Torr、窒素の分圧3×10-4?6×10-4Torrとし、基板温度20?300℃の条件下で、再びスパッタリングを行い、第8図に示す如く膜厚1000Åの窒化チタン膜35を形成する。 更に、基板表面全体にアルミニウム膜36を蒸着法によって形成する。そして、このようにして得られたチタン膜34、窒化チタン膜35、アルミニウム膜36からなる3層膜を、フォトリソエッチング法により、同時にパターニングする。この後、フォーミングガス雰囲気中で20分間にわたり、450℃の熱処理を行うことにより、第5図に示したようなコンタクト用電極および電極配線層が完成される。」(第4頁左上欄第6行?同頁右上欄第13行) そして、刊行物1に記載された「チタン膜」及び「窒化チタン膜」は、第7図、第8図及びこれらの図面に関する記載から、コンタクト用の窓を充填するのに不十分な厚さに形成され、かつ、コンタクト用の窓の底部だけでなく側壁にも形成又は析出されていることは明らかである。 よって、刊行物1には、 「半導体装置に低抵抗であってかつ、信頼性の高いオーミックコンタクトを製作する方法であって、 (a)P型シリコン基板に砒素をイオン注入することによってN+型シリコン拡散層を形成し、 (b)前記N+型シリコン拡散層の表面全体を覆って酸化シリコンの絶縁膜を形成し、 (c)前記酸化シリコンの絶縁膜にコンタクト用の窓を穿孔し、 (d)前記P型シリコン基板表面全体にチタン膜をスパッタリングし、前記チタン膜は、前記コンタクト用の窓を充填するのに不十分な厚さに形成され、 (e)続いて、窒化チタン膜を蒸着法によって形成し、前記窒化チタン膜は、前記コンタクト用の窓を充填するのに不十分な厚さに形成され、かつ (f)更に、前記P型シリコン基板表面全体にアルミニウム膜を蒸着法によって形成し、 前記窒化チタン膜は、コンタクト用の窓の底部だけでなく側壁にも形成される、方法。」(以下、「刊行物発明1-3」という。)、及び、 「半導体装置に低抵抗であってかつ、信頼性の高いオーミックコンタクトを製作する方法であって、 (a)P型シリコン基板に砒素をイオン注入することによってN+型シリコン拡散層を形成し、 (b)前記N+型シリコン拡散層の表面全体を覆って酸化シリコンの絶縁膜を形成し、 (c)前記酸化シリコンの絶縁膜にコンタクト用の窓を穿孔し、 (d)前記P型シリコン基板表面全体にチタン膜をスパッタリングし、前記チタン膜は、前記コンタクト用の窓を充填するのに不十分な厚さに形成され、 (e)続いて、窒化チタン膜を蒸着法によって形成し、前記窒化チタン膜は、前記コンタクト用の窓を充填するのに不十分な厚さに形成され、かつ (f)更に、前記P型シリコン基板表面全体にアルミニウム膜を蒸着法によって形成し、 前記窒化チタン膜は、コンタクト用の窓の底部だけでなく側壁にも形成され、 前記チタン膜、前記窒化チタン膜、前記アルミニウム膜からなる3層膜を、フォトリソエッチング法により、同時にパターニングし、コンタクト用電極および電極配線層を完成する、方法。」(以下、「刊行物発明1-4」という。)が記載されている。 (b)刊行物2:特開昭61-51917号公報(請求人が提出した甲第5号証) 本件優先権主張日前に頒布された刊行物2には、以下の点が記載されている。 「近年、半導体集積回路のパターンの緻密化に伴い、コンタクトホールの形状が微小になり、このコンタクトホールの底部にある導電性基板からの接続配線として、通常アルミニウムの配線がなされているが、このアルミニウムがコンタクトホールに完全に充填されないため、接続配線が不完全になる恐れがあり、これに関する改善が要望されている。」(第1頁左下欄第15行?同頁右下欄第2行) (c)刊行物3:Suresh Sachdev and Sunil D. Mehta,“TUNGSTEN INTERCONNECTS IN VLSI”,Tungsten and Other Refractory Metals for VLSI Applications,1986,p.161-171(請求人が提出した甲第3号証) 本件優先権主張日前に頒布された刊行物3には、以下の点が記載されている。 「ブランケットタングステンは、スパッタされたアルミニウムおよびアルミニウム合金に代わる適切なるVLSI配線である。ブランケットの抵抗率は、8?12μΩcmの範囲(使用されるスキーム[成膜条件]による)であり、それはアルミニウムの抵抗率の3?4倍である。CVDタングステンは、コンフォーマルなステップ・カバレッジ(均一な段差被覆性)という利点を有しており、その結果、1μのタングステン膜を用いて異方性エッチングで形成された1μ×1μのコンタクトを完全に充填する。サンプル・シミュレーションによれば、これらのコンタクト形状においては、スパッタされたAlSiのステップ・カバレッジが非常に劣っており、一方CVDタングステンの場合はコンタクトの完全な平坦性が達成されている(図1参照)。この点は、ブランケットCVDタングステンを使うことによって、1.2μ×1.2μのコンタクトを平坦化した図2のSEM写真にも示されている。」(第161頁下から第15?5行の訳文) (d)刊行物4:K. Suguro et al.,“High Aspect Ratio Hole Filling with CVD Tungsten for Multi-level Interconnection”,Extended Abstracts of the 18th (1986 International) Conference on SOLID STATE DEVICES AND MATERIALS,1986年8月20日,p.503-506(請求人が提出した参考資料1) 本件優先権主張日前に頒布された刊行物4には、以下の点が記載されている。 「加熱したサセプタのあるLPCVD[低圧CVD]コールドウォールリアクタ中で、 選択的及び非選択的にタングステンまたはタングステンシリサイドを堆積した。サンプルは装置に配置する前の最後に1%のHF溶液に浸した。下記のような4種類の反応を行なった。 2WF6 + 3Si → 2W + 3SiF4 (1) 2WF6 + 3H2 → 2W + 6HF (2) WF6 + 3/2SiH4 → W + 3/2SiF4 + H2 (3) WF6 + 2SiH4 → WSi2 +6HF + H2 (4)」(第503頁左欄第23行?同頁右欄第6行の訳文) 「最後に反応(2)又は(3)により約1μmのブランケットタングステンを成膜した。」(第503頁右欄第15?16行の訳文) 「タングステンは650℃以上ではシリコンと反応してタングステンシリサイドを生成することが知られている。タングステンシリサイドの生成を抑えるために、 タングステンとシリコンの間にTiN/TiSi2障壁層を入れた。窒化による自由エネルギーの減少はタングステンよりもチタンの方が大きいので、W/TiN界面は安定となる。」(第504頁左欄第27?32行の訳文) (e)刊行物5:David W. Woodruff et al.,“ADHESION OF NON-SELECTIVE CVD TUNGSTEN TO SILICON DIOXIDE”,Tungsten and Other Refractory Metals for VLSI Applications,Materials Research Society発行,1986,p.173-183(請求人が提出した参考資料2) 本件優先権主張日前に頒布された刊行物5には、以下の点が記載されている。 「非選択又はブランケットタングステンは、化学気相成長法(CVD)によって、二酸化シリコン及び窒化シリコンを含むウェハーの全表面上に成膜されたタングステン薄膜である。」(第173頁第16?19行の訳文) 「450℃、全圧1.5torrでWF6とH2からコールドウォール反応室中においてCVDタングステン膜が成膜された。」(第178頁第23?25行の訳文) (f)刊行物7:S. Ogawa et al.,“THERMALLY STABLE W/SILICIDE/Si CONTACT”,International Electron Devices Meeting, 1986 technical digest,1986年12月7日,p.62-65(請求人が提出した参考資料3) 本件優先権主張日前に頒布された刊行物7には、以下の点が記載されている。 「タングステンは、高融点金属の中では最も抵抗が低く、しかも化学的に安定性を有するため、配線材としては魅力的である。しかし、W/Siの直接接触を伴う系では650℃以上ではタングステンのシリサイド化反応が起こるため熱安定性がない。」(第62頁左欄下から5行?末行の訳文) 「タングステン配線が熱アニーリング中にさらにシリサイド化するのを防ぐため、タングステン配線とTiSi2層の間にTiN拡散障壁層を使った。TiN層はTiSi2層の窒化によって形成された。」(第63頁左欄第11?14行の訳文) 5-2.対比・判断 (a)本件特許発明1について 本件特許発明1と刊行物発明1-3とを対比する。 (ア)刊行物発明1-3の「P型シリコン基板」、「酸化シリコンの絶縁膜」は、それぞれ本件特許発明1の「シリコン基板」、「二酸化シリコンの絶縁層」に相当する。 (イ)刊行物1には、「ところで集積回路の高速化と高集積化は素子の微細化によって実現される。」(第2頁左欄第7?8行)と記載されているから、刊行物発明1-3の「半導体装置」が、「集積回路」に用いられることは明らかである。 よって、刊行物発明1-3の「半導体装置」は、本件特許発明1の「集積半導体回路」に相当する。 (ウ)刊行物発明1-3の「低抵抗であってかつ、信頼性の高いオーミックコンタクト」は、信頼性が高いことから、特性が安定していることは明らかである。 よって、刊行物発明1-3の「低抵抗であってかつ、信頼性の高いオーミックコンタクト」は、本件特許発明1の「安定な低抵抗コンタクト」に相当する。 (エ)刊行物発明1-3の「P型シリコン基板に砒素をイオン注入することによって」形成された「N+型シリコン拡散層」は、シリコン基板に砒素をドープすることにより設けられた領域であることは明らかであるから、刊行物発明1-3の「N+型シリコン拡散層」は、本件特許発明1の「ドープされた領域」に相当し、また、刊行物発明1-3の「P型シリコン基板に砒素をイオン注入することによってN+型シリコン拡散層を形成」することは、本件特許発明1の「シリコン基板にドープされた領域を設け」ることに相当する。 (オ)刊行物発明1-3の「酸化シリコンの絶縁膜」は、刊行物1の第6図の記載から、「N+型シリコン拡散層」の周囲の基板も覆っていることは明らかである。 よって、刊行物発明1-3の「前記N+型シリコン拡散層の全体表面を覆って酸化シリコンの絶縁膜を形成し」は、本件特許発明1の「周囲の基板の前記ドープされた領域上を覆って二酸化シリコンの絶縁層を形成し」に相当する。 (カ)本件特許明細書の「コンタクトホール16(すなわちバイア)は、パターン化されかつドープされた領域およびポリシリコンゲートまで下方にエッチングされる。」(特許公報第7頁左欄第35?37行)及び第1A図の記載から、「コンタクトホール」は、「二酸化シリコンの絶縁層」に形成されていると認められるから、本件特許発明1の「前記二酸化シリコンを介して実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成」することは、「前記二酸化シリコンの絶縁層に実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成」することを意味するものである。 そして、刊行物発明1-3の「コンタクト用の窓」は、刊行物1の第6図の記載から、「N+型シリコン拡散層」の選択された領域の部分を露出し、かつ、「絶縁膜」の壁によって規定されることは明らかである。 また、刊行物1の「N+型シリコン拡散層32の表面全体に絶縁膜33として酸化シリコン膜を堆積し、これにフォトリソエッチング法により、コンタクト用の窓Wを穿孔する。」(第4頁左上欄第8?11行)及び第6図の記載から、刊行物発明1-3の「コンタクト用の窓」は、実質的に均一な大きさになっていると認められる。 よって、刊行物発明1-3の「コンタクト用の窓」は、本件特許発明1の「コンタクトホール」に相当し、また、刊行物発明1-3の「前記酸化シリコンの絶縁膜にコンタクト用の窓を穿孔し」は、本件特許発明1の「前記ドープされた領域の選択された領域に、その部分を露出するために、前記二酸化シリコンを介して実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールは絶縁層の壁によって規定され」に相当する。 (キ)刊行物発明1-3の「チタン膜」は、刊行物1の第7図の記載から、「チタン膜」の下にある「N+型シリコン拡散層」に接触して、「絶縁膜」の壁に沿ったところを含む、少なくとも「コンタクト用の窓」に形成されることは明らかである。 また、刊行物1には、「そこで、本発明は、自然酸化膜の除去およびシリコン拡散層と窒化チタン膜との密着性の向上に着目してなされたもので障壁金属としての窒化金属膜を形成するようにしている。」(第3頁左上欄第4?8行)と記載されている。 一方、本件特許明細書には、「この発明に従って、チタンの薄い層18は、コンタクトホール16に形成され、次の層が、下にあるドープされた領域および/またはポリシリコンに良好に粘着しかつ良好に電気的に接触することを保証する。次にバリヤ材料からなる幾分厚い層20は、粘着及び接触層18上を被って形成される。」(特許公報第7頁左欄第47行?同頁右欄第2行)、「適当なバリヤ材料の例は、・・・窒化チタン・・・を含む。」(特許公報第7頁右欄第17?22行)と記載されており、両者は同様の層構造となっているから、刊行物発明1-3の「チタン膜」は、次の層である「窒化チタン膜」が、「チタン膜」の下にある「N+型シリコン拡散層」に良好に粘着しかつ良好に電気的に接触することを保証することは明らかである。 よって、刊行物発明1-3の「チタン膜」は、本件特許発明1の「チタンの粘着および接触層」に相当し、また、刊行物発明1-3の「前記P型シリコン基板表面全体にチタン膜をスパッタリングし」は、本件特許発明1の「下にあるドープされた領域に接触して、前記壁に沿ったところを含む、少なくとも前記ホールにチタンの粘着および接触層をスパッタリングし」に相当する。 (ク)刊行物1には、「このような問題を解決する技術として、前記N+型シリコン拡散層2とアルミニウム電極5との間に前述の如き界面反応が発生するのを防止するため、障壁金属(バリヤ-メタル)を形成する方法が注目されている。 この1例として、窒化チタン(TiN)膜を障壁金属として用いた場合の電極形成方法を第11図(a)から(c)に示す。」(第2頁右上欄第14行?同頁左下欄第1行)と記載されているから、刊行物発明1-3の「窒化チタン膜」が、バリヤ層として機能することは明らかである。 そして、本件特許発明1には、「窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含むバリヤ層」と記載されているが、「バリヤ層」については、本件特許発明1において、「前記バリア層は、窒化チタンを含み」とも記載されているから、「バリヤ層」が、「チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含む」構成は、本件特許発明1には含まれない。 よって、刊行物発明1-3の「窒化チタン膜」は、本件特許発明1の「窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含むバリヤ層」に相当し、この「バリヤ層」が、「窒化チタンを含」むことは明らかであり、また、刊行物発明1-3の「続いて、窒化チタン膜を形成し」は、本件特許発明1の「窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含むバリヤ層を、前記粘着および接触層と接触して前記コンタクトホールに形成し」に相当する。 (ケ)刊行物1の第5図には、刊行物発明1-3の「アルミニウム膜」が、コンタクト用の窓を実質的に充填することが示唆されており、また、同第5図の記載から、刊行物発明1-3の「アルミニウム膜」は、窒化チタン膜に接触していることは明らかであるから、刊行物発明1-3の「アルミニウム膜」は、本件特許発明1の「コンタクトホールを実質的に充填しかつバリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグ」に相当し、また、刊行物発明1-3の「更に、前記P型シリコン基板表面全体にアルミニウム膜を蒸着法によって形成し」は、本件特許発明1の「前記コンタクトホールを実質的に充填しかつ前記バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成し」に相当する。 (コ)刊行物発明1-3の「チタン膜」は、「スパッタリング」によって形成されること、「窒化チタン膜」は、「蒸着法」によって形成されること、「アルミニウム膜」は、「蒸着法」によって形成されること、及び、刊行物1の第5図の記載から、刊行物発明1-3の「チタン膜」、「窒化チタン膜」及び「アルミニウム膜」は、「コンタクト用の窓」内を含む「酸化シリコンの絶縁膜」上の全面に析出されること、すなわち、ブランケット析出されることは明らかである。 (サ)本件特許発明1には、「前記コンタクトプラグは、タングステンおよびドープされたポリシリコンからなる群から選択される導電材料をCVDによって析出することによって形成され」と記載されているが、「コンタクトプラグ」については、本件特許発明1において、さらに、「前記コンタクトプラグは、導電材料として、WF6とH2とのCVD反応によって形成されたタングステンを含む」とも記載されているから、「コンタクトプラグ」が、「ドープされたポリシリコンからなる」「導電材料をCVDによって析出することによって形成され」る構成は、本件特許発明1には含まれない。 したがって、両者は、 「集積半導体回路に安定な低抵抗コンタクトを製作する方法であって、 (a)シリコン基板にドープされた領域を設け、 (b)周囲の基板の前記ドープされた領域上を覆って二酸化シリコンの絶縁層を形成し、 (c)前記ドープされた領域の選択された領域に、その部分を露出するために、前記二酸化シリコンを介して実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールは前記絶縁層の壁によって規定され、 (d)下にあるドープされた領域に接触して、前記壁に沿ったところを含む、少なくとも前記ホールにチタンの粘着および接触層をスパッタリングし、前記粘着および接触層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、 (e)窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含むバリヤ層を、前記粘着および接触層と接触して前記コンタクトホールに形成し、前記バリヤ層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、かつ (f)前記コンタクトホールを実質的に充填しかつ前記バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成し、 前記粘着および接着層、前記バリヤ層および前記導電材料は、前記コンタクトホール内を含む二酸化シリコンの前記層上にブランケット析出され、前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成される、方法。」の点で一致し、以下の点で相違する。 本件特許発明1が、窒化チタンからなる材料を含む「バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成し、前記コンタクトプラグは、タングステン」からなる「導電材料をCVDによって析出することによって形成され」、かつ、「前記コンタクトプラグは、導電材料として、WF6とH2とのCVD反応によって形成されたタングステンを含」んでいるのに対して、刊行物発明1-3は、「窒化チタン膜」と接触するコンタクトプラグを形成しているものの、このコンタクトプラグが、「蒸着法」によって形成された「アルミニウム膜」である点。 以下、上記相違点について検討する。 刊行物2(第1頁左下欄第15行?同頁右下欄第2行参照)には、コンタクトホールの形状が微小になると、アルミニウムの配線は、コンタクトホールに完全に充填されないため、接続配線が不完全になる恐れがあることが記載されており、また、刊行物3(第161頁下から第15?5行の訳文参照)には、ブランケットタングステンは、スパッタされたアルミニウム又はアルミニウム合金に代わる適切なるVLSI配線であり、また、CVDタングステンは、コンフォーマルなステップ・カバレッジ(均一な段差被覆性)という利点を有することが記載されている。 また、刊行物4(第503頁左欄第23行?同頁右欄第6行の訳文参照)及び刊行物5(第173頁第16?19行の訳文及び第178頁第23?25行の訳文参照)に記載されているとおり、半導体装置の製造工程において、導電層を形成するために、タングステンをWF6とH2とのCVD反応によってブランケット析出させることは、本願優先権主張日前より周知の技術である。 また、刊行物4(第504頁左欄第27?32行の訳文参照)及び刊行物7(第62頁左欄下から5行?末行の訳文及び第63頁左欄第11?14行の訳文)に記載されているように、窒化チタン膜がタングステンとシリコンとの障壁層、すなわち、バリア層として機能することは、本願優先権主張日前より周知の技術である。 したがって、刊行物発明1-3において、コンタクト用電極および配線層のステップカバレッジを良くするために、窒化チタン膜上に蒸着法によってアルミニウム膜を形成する方法に代えて、窒化チタン膜上にWF6とH2とのCVD反応によってタングステンをブランケット析出する方法を採用すること、すなわち、本件特許発明1の如く、窒化チタンからなる材料を含む「バリア層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成し、前記コンタクトプラグは、タングステン」からなる「導電材料をCVDによって析出することによって形成され」、かつ、「前記コンタクトプラグは、導電材料として、WF6とH2とのCVD反応によって形成されたタングステンを含む」ようにすることは、当業者であれば容易に想到し得るものであり、また、刊行物発明1-3において、窒化チタン膜上にWF6とH2とのCVD反応によってタングステンをブランケット析出する方法を採用した際に、窒化チタン膜が、タングステンとシリコンとの拡散を防止するバリア層として機能することは、当業者であれば容易に予測し得る事項に過ぎない。 よって、本件特許発明1は、刊行物1ないし刊行物3に記載された発明及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (b)本件特許発明2について 本件特許発明2は、本件特許発明1に、さらに「前記導電材料はタングステンを含み、かつ前記導電材料および前記下にあるバリヤ層ならびに粘着および接触層は、前記絶縁層の部分を露出するためにパターン化されかつエッチングされ、配線領域を形成する前記導電材料および前記バリヤ層ならびに前記粘着および接触層の規定されたパターンを残し、前記配線領域は少なくとも部分的に前記コンタクトホールの上にある、」という限定を付したものであり、一方、刊行物発明1-4は、刊行物発明1-3に、さらに「前記チタン膜、前記窒化チタン膜、前記アルミニウム膜からなる3層膜を、フォトリソエッチング法により、同時にパターニングし、コンタクト用電極および電極配線層を完成する、」という限定を付したものであるところ、本件特許発明2と刊行物発明1-4とを対比すると、両者は、上記「(a)本件特許発明1について」における、本件特許発明1と刊行物発明1-3との対比の(ア)?(サ)同様のことがいえる(ただし、「本件特許発明1」を「本件特許発明2」と読み替え、また、「刊行物発明1-3」を「刊行物発明1-4」と読み替える。)。 (シ)本件特許発明2の構成要件である「前記導電材料はタングステンを含み」という点については、本件特許発明1にも「前記コンタクトプラグは、導電材料として、WF6とH2とのCVD反応によって形成されたタングステンを含む」と記載されているから、この点が、本件特許発明1と刊行物発明1-3との相違点に加えて、本件特許発明2と刊行物発明1-4との新たな相違点を構成するとはいえない。 (ス)刊行物発明1-4の「前記チタン膜、前記窒化チタン膜、前記アルミニウム膜からなる3層膜」は、「フォトリソエッチング法により、同時にパターニング」されること、及び、刊行物1の第5図の記載から、「酸化シリコンの絶縁膜」の部分を露出するためにパターン化されかつエッチングされることは明らかである。 また、刊行物発明1-4の「前記チタン膜、前記窒化チタン膜、前記アルミニウム膜からなる3層膜」を、「フォトリソエッチング法により、同時にパターニング」することによって、「コンタクト電極及び電極配線層」を形成する「前記アルミニウム膜」および「前記窒化チタン膜」ならびに「前記チタン膜」の規定されたパターンが残されているものと認められる。 さらに、刊行物発明1-4の「電極配線層」は、刊行物1の第5図の記載から、少なくとも部分的に「コンタクト用の窓」の上にあることは明らかである。 よって、刊行物発明1-4の「前記チタン膜、前記窒化チタン膜、前記アルミニウム膜からなる3層膜を、フォトリソエッチング法により、同時にパターニングし、コンタクト用電極および電極配線層を完成する」は、本件特許発明2の「前記導電材料および前記下にあるバリヤ層ならびに粘着および接触層は、前記絶縁層の部分を露出するためにパターン化されかつエッチングされ、配線領域を形成する前記導電材料および前記バリヤ層ならびに前記粘着および接触層の規定されたパターンを残し、前記配線領域は少なくとも部分的に前記コンタクトホールの上にある」に相当する。 そうすると、本件特許発明2と刊行物発明1-4とは、上記「(a)本件特許発明1について」における、上記本件特許発明1と刊行物発明1-3との相違点に加えて新たな相違点があるとはいえない。 よって、本件特許発明2は、本件特許発明1と同様の理由により、刊行物1ないし刊行物3に記載された発明及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 6.むすび 以上のとおりであるから、本件請求項40及び43に係る発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、本件請求項40及び43に係る発明についての特許は、特許法123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。 審判に関する費用については、特許法169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 安定な低抵抗コンタクト (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】半導体表面上に、前記半導体表面のドープされた領域の部分まで形成される少なくとも1つの絶縁層を介して、コンタクトホールに形成される安定な低抵抗コンタクトであって、(a)前記少なくとも1つの絶縁層を介してかつ前記ドープされた領域の前記部分と接触して、少なくとも前記コンタクトホールの壁に沿って形成されるチタンの粘着および接触層と、(b)前記粘着および接触層上を覆って形成されるバリヤ層、および(c)前記バリヤ層上を覆って形成されかつ少なくとも実質的に前記コンタクトホールを充填する導電材料を含み、(d)前記導電材料からなるコンタクトプラグは、前記コンタクトホール内にのみ形成されるとともに前記コンタクトプラグに接触するパターニングされた導電配線とは異なる材料からなる、コンタクト。 【請求項2】前記チタンの粘着および接触層は、約100ないし800Åの厚さを有する、請求項1記載のコンタクト。 【請求項3】前記バリヤ層は、タングステン、モリブデン、チタンタングステン、窒化チタン、窒化チタンタングステン、窒化タングステン、窒化モリブデン、クロム、クロム-酸化クロムおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含む、請求項1記載のコンタクト。 【請求項4】前記バリヤ層は、窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含む、請求項3記載のコンタクト。 【請求項5】前記バリヤ層は、本質的に窒化チタンからなる、請求項4記載のコンタクト。 【請求項6】前記バリヤ層は、約250ないし2,000Åの厚さを有する、請求項1記載のコンタクト。 【請求項7】前記導電材料は、タングステン、モリブデンおよびドープされたポリシリコンからなる群から選択される、請求項1記載のコンタクト。 【請求項8】前記タングステン導電材料は、前記バリヤ層上に形成される付加的なCVDタングステンシリサイド層上に位置する、請求項7記載のコンタクト。 【請求項9】前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層は、前記ドープされた領域のすべておよび前記側壁の大部分を覆い、かつ前記導電材料は、実質的に前記コンタクトホールを充填しかつそこに含まれる、請求項1記載のコンタクト。 【請求項10】半導体表面上に、前記半導体表面のドープされた領域の部分まで形成される少なくとも1つの絶縁層を介して、コンタクトホールに形成される安定な低抵抗コンタクトであって、(a)前記少なくとも1つの絶縁層を介してかつ前記ドープされた領域の前記部分と接触して、少なくとも前記コンタクトホールの壁に沿って形成されるチタンの粘着および接触層、(b)前記粘着および接触層上を覆って形成される窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステン、窒化硼素からなる群からなる選択される材料を含むバリヤ層、および(c)前記バリヤ層上に形成されかつ少なくとも実質的に前記コンタクトホールを充填する、その場的にドープされたポリシリコンならびにCVDまたはバイアススパッタリングされたタングステンおよびモリブデンからなる群から選択される導電材料を含む、コンタクト。 【請求項11】前記チタンの粘着および接触層は、約100ないし800Åの厚さを有するスパッタリングされたチタンを含む、請求項10記載のコンタクト。 【請求項12】前記バリヤ層は、本質的に、窒化チタンからなる、請求項10記載のコンタクト。 【請求項13】前記窒化チタンのバリヤ層は、約250ないし2,000Åの厚さを有するスパッタリングされたTiNを含む、請求項12記載のコンタクト。 【請求項14】前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層は、前記ドープされた領域のすべておよび前記側壁の大部分を覆い、かつ前記導電材料は、実質的に前記コンタクトホールを充填しかつそこに含まれる、請求項10記載のコンタクト。 【請求項15】シリコン表面上に、前記シリコン表面のドープされた領域の部分まで形成される二酸化シリコンの層を介して、コンタクトホールに形成される安定な低抵抗コンタクトであって、(a)前記二酸化シリコンを介してかつ前記ドープされた領域の前記部分と接触して、少なくとも前記コンタクトホールの壁に沿って形成されるスパッタリングされたチタンの粘着および接触層、(b)前記粘着および接触層上を覆って形成されるスパッタリングされた窒化チタンのバリヤ層、および(c)前記バリヤ層上を覆って形成されかつ少なくとも実質的に前記コンタクトホールを充填する、タングステンおよびその場的にドープされたポリシリコンからなる群から選択されるCVD導電材料を含む、コンタクト。 【請求項16】前記チタンの粘着および接触層は、約100ないし800Åの厚さを有する、請求項15記載のコンタクト。 【請求項17】前記窒化チタンのバリヤ層は、約250ないし2,000Åの厚さを有する、請求項15記載のコンタクト。 【請求項18】前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層は、前記ドープされた領域のすべておよび前記側壁の大部分を覆い、かつ前記導電材料は、実質的に前記コンタクトホールを充填しかつそこに含まれる、請求項15記載のコンタクト。 【請求項19】集積半導体回路に安定な低抵抗コンタクトを製作する方法であって、(a)半導体基板にドープされた領域を設け、(b)周囲の基板の前記ドープされた領域上を覆って少なくとも1つの絶縁層を形成し、(c)前記ドープされた領域の選択された領域に前記少なくとも1つの絶縁層を介して実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成し、前記ホールは前記絶縁層の壁によって規定され、(d)下にあるドープされた領域と接触して、前記壁に沿ったところを含む、少なくとも前記ホールにチタンの粘着および接触層を形成し、前記粘着および接触層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、(e)バリヤ層を前記粘着および接触層と接触して形成し、前記バリヤ層は前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、かつ(f)前記コンタクトホールを実質的に充填しかつ前記バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成することを含み、(g)前記コンタクトプラグは、前記コンタクトホール内にのみ形成するとともに前記コンタクトプラグに接触するパターニングされた導電配線とは異なる材料によって形成する、方法。 【請求項20】前記チタンの粘着および接触層は、チタンターゲットからのスパッタリングによって析出される、請求項19記載の方法。 【請求項21】前記チタンの粘着および接触層は、約100ないし800Åの厚さに析出される、請求項19記載の方法。 【請求項22】前記バリヤ層は、スパッタリング、CVDまたは反応性アニーリングによって析出される、請求項19記載の方法。 【請求項23】前記バリヤ層は、タングステン、モリブデン、チタンタングステン、窒化チタン、窒化チタンタングステン、窒化タングステン、窒化5モリブデン、クロム、クロム-酸化クロム、および窒化硼素からなる群から選択される材料を含む、請求項19記載の方法。 【請求項24】前記バリヤ層は、窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含む、請求項23記載の方法。 【請求項25】前記バリヤ層は、本質的に窒化チタンからなる、請求項24記載の方法。 【請求項26】前記バリヤ層は、約250ないし2,000Åの厚さに析出される、請求項19記載の方法。 【請求項27】前記導電材料は、タングステン、モリブデンおよびドープされたポリシリコンからなる群から選択される、請求項19記載の方法。 【請求項28】前記粘着および接触層、前記バリヤ層ならびに前記導電材料は、前記コンタクトホール内に含む前記絶縁層上にブランケット析出される、請求項19記載の方法。 【請求項29】(a)前記導電材料は、前記絶縁層上に前記バリヤ層を露出するためにエッチバックされるが、前記コンタクトホールを実質的に充填する前記導電層を残し、それによって前記コンタクトプラグを保持し、(b)金属層は、前記露出されたバリヤ層上に、かつ前記コンタクトプラグと電気的に接触して形成され、かつ(c)前記金属層および前記下にあるバリヤ層ならびに粘着および接触層は、前記絶縁層の部分を露出するためにパターン化されかつエッチングされ、配線領域を形成する前記金属層の規定されたパターンを残す、請求項28記載の方法。 【請求項30】前記金属層は、アルミニウムまたはその合金を含む、請求項29記載の方法。 【請求項31】前記導電材料はタングステンを含み、かつ前記導電材料および前記下にあるバリヤ層ならびに粘着および接触層は、前記絶縁層の部分を露出するためにパターン化されかつエッチングされ、配線領域を形成する前記導電材料および前記バリヤ層ならびに前記粘着および接触層の規定されたパターンを残し、前記配線領域は少なくとも部分的に前記コンタクトホールの上にある、請求項28記載の方法。 【請求項32】(a)前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層は、前記絶縁層上にかつ前記コンタクトホール内にブランケット析出され、(b)レジスト層は、前記コンタクトホールを実質的に完全に充填するのに十分、前記バリヤ層上にかつ前記コンタクトホール内にブランケット析出され、(c)前記レジストおよび前記バリヤ層ならびに粘着および接触層は、前記絶縁層を露出するためにブランケットエッチングされ、前記コンタクトホールにレジストのプラグを残しかつそれによって前記ドープされた領域の表面および少なくとも前記コンタクトホールの前記壁の部分に沿って前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層を保持し、かつ(d)レジストの前記プラグを前記コンタクトホールから除去する、請求項19記載の方法。 【請求項33】タングステンは、導電材料の前記コンタクトプラグを形成するためにのみ前記コンタクトホールに選択的に析出される、請求項32記載の方法。 【請求項34】ドープされたポリシリコンおよびタングステンからなる群から選択される導電材料は、前記コンタクトホールを実質的に完全に充填するのに十分ブランケット析出され、かつそれから前記コンタクト壁内に含まれかつ実質的に前記コンタクトホールを充填する導電材料の前記コンタクトプラグを残すためにブランケットエッチングされる、請求項32記載の方法。 【請求項35】集積半導体回路に安定な低抵抗コンタクトを製作する方法であって、(a)シリコン基板にドープされた領域を設け、(b)周囲の基板の前記ドープされた領域上を覆って二酸化シリコンの絶縁層を形成し、(c)前記ドープされた領域の選択された領域に、その部分を露出するために、前記二酸化シリコンを介して実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールは前記絶縁層の壁によって規定され、(d)下にあるドープされた領域に接触して、前記壁に沿ったところを含む、少なくとも前記ホールにチタンの粘着および接触層をスパッタリングし、前記粘着および接触層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、(e)窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンおよび窒化硼素からなる群から選択される材料を含むバリヤ層を、前記粘着および接触層と接触して前記コンタクトホールに形成し、前記バリヤ層は、前記コンタクトホールを充填するのに不十分な厚さに形成され、かつ(f)前記コンタクトホールを実質的に充填しかつ前記バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成し、前記コンタクトプラグは、タングステンおよびドープされたポリシリコンからなる群から選択される導電材料をCVDによって析出することによって形成される、方法。 【請求項36】前記チタン粘着および接触層は、約100ないし800Åの厚さにブランケット析出され、前記バリヤ層は、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、CVDによって形成されたタングステンとWSix層とを含み、前記WSix層が、前記バリヤ層と前記CVDタングステンとの間に存在する、請求項35記載の方法。 【請求項37】前記バリヤ層は、本質的に、窒素を含む環境でチタンをスパッタリングすることによって形成される窒化チタンからなる、請求項35記載の方法。 【請求項38】前記バリヤ層は、スパッタリング、CVDまたは反応性アニーリングによって形成される、請求項35記載の方法。 【請求項39】前記バリヤ層は、約250ないし2,000Åの厚さに析出される、請求項35記載の方法。 【請求項40】前記粘着層、前記バリヤ層および前記導電材料は、前記コンタクトホール内を含む二酸化シリコンの前記層上にブランケット析出され、前記バリヤ層は、窒化チタンを含み、コンタクトホールの底部だけでなく側壁にも形成され、前記コンタクトプラグは、導電材料として、WF6とH2とのCVD反応によって形成されたタングステンを含む、請求項35記載の方法。 【請求項41】(a)前記導電材料は、前記絶縁層上の前記バリヤ層コーティングを露出するためにエッチバックされるが、前記コンタクトホールを実質的に充填する前記導電層を残し、それによって前記コンタクトプラグを保持し、(b)金属層は、前記露出されたバリヤ層上にかつ前記コンタクトプラグと電気的に接触して形成され、かつ(c)前記金属層および前記下にあるバリヤ層ならびに粘着および接触層は、前記絶縁層の部分を露出するためにパターン化されかつエッチングされ、配線領域を形成する前記金属層の規定されたパターンを残す、請求項40記載の方法。 【請求項42】前記金属層は、アルミニウムまたはその合金からなり、約2,000ないし10,000Åの厚さにスパッタ析出される、請求項41記載の方法。 【請求項43】前記導電材料はタングステンを含み、かつ前記導電材料および前記下にあるバリヤ層ならびに粘着および接触層は、前記絶縁層の部分を露出するためにパターン化されかつエッチングされ、配線領域を形成する前記導電材料および前記バリヤ層ならびに前記粘着および接触層の規定されたパターンを残し、前記配線領域は少なくとも部分的に前記コンタクトホールの上にある、請求項40記載の方法。 【請求項44】(a)前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層は、前記絶縁層上にかつ前記コンタクトホール内に析出され、(b)レジスト層は、前記コンタクトホールを実質的に完全に充填するのに十分前記バリヤ層上にかつ前記コンタクトホール内にブランケット析出され、(c)前記レジストおよび前記バリヤ層ならびに粘着および接触層は、前記絶縁層を露出するためにブランケットエッチングされ、前記コンタクトホールにレジストのプラグを残しかつそれによって前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層を前記ドープされた領域の表面および少なくとも前記コンタクトホールの前記壁の部分に沿って保持し、かつ(d)レジストの前記プラグを前記コンタクトホールから除去する、請求項35記載の方法。 【請求項45】タングステンは、導電材料の前記コンタクトプラグを形成するために、前記コンタクトホールにのみ選択的にCVD析出される、請求項44記載の方法。 【請求項46】前記タングステンプラグは、WF6とH2とのCVD反応によって選択的に形成される、請求項45記載の方法。 【請求項47】ドープされたポリシリコンおよびタングステンからなる群から選択される導電材料は、前記コンタクトホールを実質的に完全に充填するのに十分ブランケット析出され、かつそれから前記コンタクト壁内に含まれかつ実質的に前記コンタクトホールを充填する導電材料の前記コンタクトプラグを残すためにブランケットエッチングされる、請求項44記載の方法。 【請求項48】前記ドープされたポリシリコンは、その場的にドープされるポリシリコンである、請求項47記載の方法。 【請求項49】集積半導体回路に安定な低抵抗コンタクトを製作する方法であって、(a)シリコン基板にドープされた領域を設け、(b)周囲の基板の前記ドープされた領域上を覆って二酸化シリコンの絶縁層を形成し、(c)前記ドープされた領域の選択された領域に、その部分を露出するために、前記二酸化シリコンを介して実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールは前記絶縁層の壁によって規定され、(d)下にある前記ドープされた領域に接触して、チタンの粘着および接触層を前記二酸化シリコン上を覆ってかつ前記コンタクトホールへブランケットスパッタリングし、前記粘着および接触層は、約100から800Åまでの厚さに形成され、(e)前記粘着および接触層に接触して、本質的に窒化チタンからなるバリヤ層をブランケットスパッタリングし、前記バリヤ層は、約250から2,000Åまでの厚さに形成され、かつ(f)実質的に前記コンタクトホールを充填しかつ前記バリヤ層と接触する導電材料を含むコンタクトプラグを形成し、前記導電材料は、タングステンおよびその場的にドープされたポリシリコンからなる群から選択される、方法。 【請求項50】(a)前記導電材料は、前記絶縁層上の前記バリヤ層を露出するためにエッチバックされるが、前記コンタクトホールを実質的に充填する前記導電材料を残し、それによって前記コンタクトプラグを保持し、(b)金属層は、前記露出されたバリヤ層上にかつ前記コンタクトプラグと電気的に接触して形成され、かつ(c)前記金属層および前記下にあるバリヤ層ならびに粘着および接触層は、前記絶縁層の部分を露出するためにパターン化されかつエッチングされ、配線領域を形成する前記金属層の規定されたパターンを残す、請求項49記載の方法。 【請求項51】前記金属層は、アルミニウムまたはその合金を含む、請求項50記載の方法。 【請求項52】前記導電材料はタングステンを含み、かつ前記導電材料および前記下にあるバリヤ層ならびに粘着および接触層は、前記絶縁層の部分を露出するためにパターン化されかつエッチングされ、配線領域を形成する前記導電材料および前記バリヤ層ならびに前記粘着および接触層の規定されたパターンを残し、前記配線領域は少なくとも部分的に前記コンタクトホールの上にある、請求項49記載の方法。 【請求項53】集積半導体回路に安定な低抵抗コンタクトを製作する方法であって、(a)シリコン基板にドープされた領域を設け、(b)前記ドープされた領域および周囲の前記シリコン基板上を覆って二酸化シリコンの絶縁層を形成し、(c)前記ドープされた領域の選択された領域に、その部分を露出するために、前記二酸化シリコンを介して実質的に均一な大きさのコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールは前記絶縁層の壁によって規定され、(d)下にあるドープされた領域と接触して、前記酸化物上を覆ってかつ前記ホールチタンの粘着および接触層をブランケットスパッタリングし、前記粘着および接触層は、約100から800Åまでの厚さに形成され、(e)前記粘着および接触層と接触して、本質的に窒化チタンからなるバリヤ層をブランケットスパッタリングし、前記バリヤ層は、約250から2,000Åまでの厚さに形成され、(f)前記コンタクトホール内を含む前記バリヤ層上に、前記コンタクトホールを実質的に完全に充填するのに十分レジスト層をブランケット析出し、(g)前記絶縁層を露出するために、前記レジスト層、前記バリヤ層ならびに前記粘着および接触層をブランケットエッチングし、前記コンタクトホールにレジストのプラグを残しかつそれによって前記ドープされた領域の表面および少なくとも前記コンタクトホールの前記壁の部分に沿って前記粘着および接触層ならびに前記バリヤ層を保持し、(h)前記レジストプラグを除去し、かつ(i)実質的に前記コンタクトホールを充填しかつ前記バリヤ層と接触するタングステンおよびドープされたポリシリコンからなる群から選択される導電材料を含むコンタクトプラグを形成する、方法。 【請求項54】前記レジストプラグは除去され、かつタングステンは、導電材料の前記コンタクトプラグを形成するためにのみ前記コンタクトホールに選択的に析出される、請求項53記載の方法。 【請求項55】前記レジストプラグは除去され、かつ前記導電材料は、前記コンタクトホールを実質的に完全に充填するのに十分ブランケット析出され、かつそれから前記コンタクトホール壁内に含まれかつ実質的に前記コンタクトホールを充填する導電材料の前記コンタクトプラグを残すためにブランケットエッチングされる、請求項53記載の方法。 【発明の詳細な説明】 発明の背景 発明の分野 この発明は、半導体装置の製作に関するものであり、より特定的に言えば、コンタクトホールにプラグを形成することによって配線金属のステップカバレッジを増すことに関するものである。スパッタリングと組合わせて気相成長(CVD)を用いることは、いずれかの技術だけに関連する欠点を排除する。 関連技術の説明 多レベル金属配線を使用する半導体装置の製作中、アルミニウム(Al)合金は、典型的に、ウェーハ上にスパッタリングされかつそれから配線としてパターン化される。これらの配線ラインは、「コンタクトホール」または「バイア」と呼ばれる絶縁層の孔を介して基板または他の金属層と接触する。 通常、金属のステップカバレッジは、これはコンタクトのいずれかの点での最小金属厚さの、誘電体層の頂部での金属厚さに対するパーセント比として一般に規定されているが、スパッタリングされたAl合金では約50%またはそれ以下である。コンタクトの形状、たとえば傾斜のある壁、または組合わされたウェットおよびドライエッチングによって得られる形状の或る修正は、ステップカバレッジを改良するのに役立つが、そのような修正はより大きな直径のコンタクトを生じ、その結果コンタクトピッチが増しかつコンタクト領域を覆うのにより広い金属ラインを必要とする。 よりつまった幾何学的配置を得るために、傾斜のない垂直な側壁のコンタクトを有するのが望ましい。垂直な壁の円筒状のコンタクト上のスパッタリングされたアルミニウムのステップカバレッジは、あいにく非常に悪く、かつしたがって配線は全体として非常に信頼性がない。 この問題を克服するために、導電材料のプラグが、コンタクトを充填するために用いられてもよい。これがなされ得る方法の1つは、CVDによってコンタクト領域にタングステンを選択的に成長させることである。この方法に関連するいくつかの問題、すなわち、イー・ケイ・ブロードベント(E.K.Broadbent)およびダブリュ・ティー・スタシー(W.T.Stacy)による「低圧CVDによる選択タングステン処理」,ソリッド・ステイト・テクロノジー(Solid State Technology),51-59頁(1985年12月)に記載されているように、酸化物/シリコン境界面での浸食および下にあるシリコンへのウォームホール損傷がある。 他の方法は、コンタクトホールのみにプラグを残すために、CVD法によってブランケットタングステンを析出することおよびそれをエッチバックすることである。タングステンは二酸化シリコンに対する粘着力が弱いので、タングステンシリサイドの粘着層は、酸化物とタングステン層との間で使用される。タングステンシリサイドの、ドープされた基板に対するコンタクト抵抗が弱く、それゆえに、フラッシュタングステン層は、タングステンシリサイド層の析出の前にコンタクト領域にのみ析出され、コンタクト抵抗を改良する。フラッシュタングステンの析出方法は、選択タングステンの析出方法に非常に類似している。このフラッシュタングステンは、それに関する、選択タングステン法と同じ問題、すなわち、浸食およびウォームホール損傷を有する。 プラグが実現され得る他の方法は、ウェーハ(コンタクトホール内を含む)を横切ってポリシリコンのブランケット層を析出し、かつそれからそれを酸化物表面まで平らにエッチバックし、コンタクトホールにポリシリコンプラグを残すことである。次に、これらのプラグは、ほぼドープされ、下にある半導体と接触することができる。CMOSおよびバイポーラ回路で用いるためのこの技術に関連する欠点の1つは、N+領域およびP+領域のいずれにも接触するために、一方のドーピング極性のコンタクトを他方の極性のコンタクトから分離して逆ドーピングを防ぐには少なくとも1つのマスキングステップが必要とされるということである。このマスキングステップは、工程上の複雑さを著しく増すことを意味する。他の欠点は、ドーパントはプラグの頂部から導入されかつプラグを介してずっと下方へ拡散しなければならないので、非常に高い(>15,000Å)プラグに非常に均一なドーパントの分布を達成するのが困難であり、そのためこれらのコンタクトの抵抗を非常に増すということである。 プラグ法の実現化のための最近の機構は、ワイドマン(Widmann)およびシガッシュ(Sigusch)の米国特許第4,562,640号の「集積半導体回路に低抵抗コンタクトを製造する方法」によって代表され得る。その参考文献では、特許権者らは、前に選択的に形成されたシリサイドと接触しているブランケット析出された等角のN+ポリシリコンを含むプラグを示している。すべてのその後の処理が400℃以下で(または400℃以上の急速なレーザアニーリングを用いるだけで)行なわれる限りこの構造は機能すると主張されているが、この方法は2つの欠点を有する。 第1の欠点は、シリサイド接触層はその形成のためにいくつかの別個のステップを必要とするということである。第2の欠点は、この方法では、すべてのその後の処理は約400℃以下に制限されているということである。このため、低温(約300°ないし350℃)でのポリシリコンの析出を用いることに制限され、このポリシリコンは、より高い温度(約600°ないし650℃)の工程によって析出されるポリシリコンと比較して等角が劣る。この低温制限はまた、ポリシリコン層でのドーパントの活性化の程度を制限し、その結果より高いコンタクト抵抗を生じる。 特許権者らは、シリサイドとポリシリコンとの間にバリヤを加えることによってこの問題の解決法を提供しようと試みているが、示されるクロム/酸化クロムバリヤ溶液は、それがコンタクトホールにのみ残されるという点で選択的である。したがって、シリサイドコンタクトを作るには3つのステップが必要とされ、バリヤを作るには2つのステップが必要とされ、かつポリシリコンキャップを作るには2つのステップが必要とされる。この方法の複雑さに加えて、ポリシリコンドーパントは、450℃でもクロム/酸化クロムバリヤを介して拡散する。 したがって、以上の問題を、すべてではないとしてもほとんど避けるコンタクトプラグがなお必要とされている。 発明の概要 したがって、この発明の目的は、コンタクト領域にコンタクトプラグを設けることであり、フラッシュタングステンまたは選択タングステンの析出に関連する問題を明示していない。 この発明の他の目的は、配線の一体部分としてプラグ材料を用いることができるということである。 この発明のさらに他の目的は、付加的な層を用いて、アルミニウム配線のライン電子移動磁化率を減じることである。 この発明に従って、安定な低抵抗コンタクトは、半導体基板の表面上に形成される絶縁層を介して、その半導体表面のドープされた領域部分までエッチングされるコンタクトホールに形成される。コンタクトは、(a)絶縁層の壁に沿ってかつドープされた領域の部分と接触して形成されるチタンの粘着および接触層、(b)粘着および接触層上を覆って形成されるバリヤ層、および(c)そのバリヤ層上の覆って形成されかつ少なくとも実質的にそのコンタクトホールを充填する導電材料を含む。その後析出されかつパターン化された金属層は、他の素子および外部回路への配線を形成する。なお、上記導電材料からなるコンタクトプラグは、上記コンタクトホール内にのみ形成されるとともに上記コンタクトプラグに接触するパターニングされた導電配線(配線)とは異なる材料からなる。 この発明の方法では、粘着および接触層ならびにバリヤ層は、酸化物表面上へかつコンタクトホールへ析出される。いくつかの実施例が、導電材料のプラグを形成するために開示されており、その導電材料は、CVDまたはバイアススパッタリングされたタングステンまたはモリブデンあるいはその場的にドープされたCVDポリシリコンを含む。 この発明のコンタクトは、選択性に欠けること、酸化物-シリコン境界面での浸食および他のコンタクト機構に関連するウォームホールを避ける。さらに、コンタクトがあるため、もっと後の工程は、シリコンまたはドーパントがコンタクト境界面を横切る移動を配慮することなく、先行技術によって可能な温度より高い(400℃より高い)温度で起こり得る。 この発明の他の目的、特徴および利点は、次の詳細な説明および添付の図面を考慮するとより明らかとなるであろうが、図面全体を通じて同じ参照符号は同じ特徴を表わす。 この説明において参照される図面は、特に注目される場合を除いて一定の縮尺で描かれてはいないと理解すべきである。さらに、図面は、この発明に従って製作される集積回路の一部分のみを図解することを意図している。 発明の詳細な説明 この発明の特定の実施例を詳細に述べ、この発明を実行するために、発明者によって現在考えられるベツトモードを図解する。代わりの実施例もまた、応用可能なものとして簡単に説明する。 半導体集積回路の製作において、ドープされた領域10は、半導体基板12(ウェーハ)の主表面またはその上に形成されるエピタキシャル層(図示せず)に形成される。酸化物領域(図示せず)が、1つの素子を他の素子から分離するために形成されてもよい。 一旦素子が、マスキング、エッチング、ドーピング、酸化物形成などの種々のステップによって規定されてしまうと、金属配線を形成し、素子を互いに相互接続しかつ外部回路への導通経路を設ける必要がある。典型的に、そのような配線が形成される前に、第1の金属層への短絡を防ぐために、フィールド酸化物およびすべての下にある導電性領域、たとえばポリシリコンおよびソース/ドレイン領域を覆う誘電体材料が形成される。これは第1の層間誘電体と呼ばれ、第1の金属を下にあるポリシリコン配線から分離する。シリコンベース素子として、この材料は、通常、二酸化シリコン、おそらくはこの技術において使用される典型的な厚さに従来の方法によって形成されるリン、硼素/リンまたは砒素でドープされた二酸化シリコンを含む。 コンタクトホール16(すなわちバイア)は、パターン化されかつドープされた領域およびポリシリコンゲートまで下方にエッチングされる。導電材料、典型的にアルミニウムは、コンタクトホール内を含む至るところに析出される。次に、アルミニウム膜は、適切なコンタクトが個々の金属トレースによって接続されるような態様でパターン化される。 この発明は、第1の層間誘電体14が析出されている工程上の点で実現され、かつ垂直な壁のコンタクトホール16は、パターン化されかつ基板12およびそこに形成されるいずれかのポリシリコン層(図示せず)まで下方にエッチングされている。 この発明に従って、チタンの薄い層18は、コンタクトホール16に形成され、次の層が、下にあるドープされた領域および/またはポリシリコンに良好に粘着しかつ良好に電気的に接触することを保証する。次に、バリヤ材料からなる幾分厚い層20は、粘着および接触層18上を覆って形成される。最後に、導電材料22は、コンタクトホールを充填するために等角に析出される。 チタンの層18は、約100ないし800Åのオーダの厚さである。約100Å以下の厚さは、コンタクトホールの底部での十分なカバレッジを保証せず、一方約800Å以上の厚さは、チタンシリサイドが形成されるため接合から受入れ不可能な量のシリコンを消費することがあり、その結果接合漏れ電流が増加する。層18は、典型的な場合であるが、アルゴン環境でチタンターゲットからのスパッタリングによって都合良く析出される。 バリヤ層20は、導電性材料を含み、その導電性材料は、一般にシリコンをドープする際に使用される典型的なドーパント種(硼素およびリン)に対する拡散バリヤである。バリヤ層20はまた、シリコン拡散に対するバリヤである。 適当なバリヤ材料の例は、或る高融点金属ならびにその窒化物、硼化物、炭化物および酸化物、特定的にはタングステン、モリブデン、チタンタングステン、窒化チタン、窒化チタンタングステン、窒化タングステン、窒化モリブデンなど、ならびにクロム、クロム-酸化クロムおよび窒化硼素を含む。好ましくは、バリヤ材料は、その優れたバリヤ特性のため、窒化チタン、チタンタングステン、窒化チタンタングステンまたは窒化硼素を含む。TiNは、ドーパント種ならびにシリコン拡散に対する証明された拡散バリヤであるので、この発明の実施において最も好ましい材料である。 バリヤ層20は、好ましくは約250ないし2,000Åの厚さに形成され、かつ反応性スパッタリング、CVDまたは反応性アニールによって都合良く形成される。TiNのスパッタ析出は、アルゴン/窒素環境においてTiをスパッタリングすることによって達成される。TiNはまた、窒素環境においてチタンの析出に続いて反応性アニールによって形成され得る。約250Å以下の厚さのピンホールのないバリヤを形成するのは困難であり、かつ約2,000Å以上の厚さを使用しても、ほとんどそれ以上の保護とならない。 Ti/TiNを析出するCVD技術は、現在現われつつありかつこの発明の応用を非常に深くかつ狭いバイアに拡げる方法を提供するであろう。ここで用いられているように、CVD法はまた、低圧CVD(LPCVD)およびプラズマエンハンストCD(PECVD)を含む。 バリヤ層20の析出後、WSixまたはシリコンの任意の層21は、CVDタングステンにとって典型的な態様でCVDによって析出されてもよい。そのような層21の部分は、第1C図(点線)に描かれている。層21はTiN上での析出のために必要ではないことが注目される。 層22は、等角析出可能な導電材料を含む。そのような材料の好ましい例は、CVDまたはバイアススパッタリングされたタングステンまたはモリブデンあるいはその場的にドープされたCVDポリシリコンを含む。その結果生じる構造は、第1A図に描かれている。 次に、この導電層22は、コンタクトホール16のまわりの、フィールド領域と呼ばれるパターン化されていない領域からエッチバックされ、そのためフィールド領域上にはいかなる材料も残されないが、コンタクトが充填され、第1B図に示されるようなプラグ24を形成する。エッチング化学は、スパッタリングされたバリヤ層20がエッチバック法で除去されないように、たとえばバッチドライエッチングでフッ素化学を用いて選択され得る。 次に、Al合金の層26は、典型的に1%のシリコンおよび/または或る電子移動を妨げるコンポーネント、たとえば銅またはチタンを含んでいるが、第1C図に描かれるように、約2,000ないし10,000Åの厚さにウェーハ上にスパッタ析出される。次に、この層26は、第1D図に示されるように、粘着および接触層18ならびにバリヤ層20がパターン化されたAlライン26の下にのみ残されかつ残りの領域から除去されるようにパターン化されかつエッチングされる。 この発明の利点は、析出中に、CVDタングステンプラグ法の場合、浸食およびウォームホール発生の原因となる気体CVDタングステン種は、層18および20があるため下にあるシリコンと決して接触せず、それによってそのようないかなる損傷も防ぐ。これはこの発明の重要な技術上の利点である。 本来の場所にドープされたポリプラグ法の場合のこの発明の他の利点は、N+ドープされたポリシリコンが、バリヤ層20があるためCMOSおよびバイポーラ回路のN+およびP+コンタクトの両方に対するプラグ材料24として用いられることができ、そのことがN+ポリシリコン24とP+層10との間に逆ドーピングを防ぐということである。これは重要な工程の簡略化である。 この発明によって与えられるさらに他の利点は、バリヤ層20が配線層の一部として用いられているので、バリヤ層はプラグ24または配線ライン26のいずれかで電子移動空隙が生じる障害の場合導通のための経路を与え、それによって信頼性が増すということである。 タングステンの抵抗率はそれが配線として用いられ得るのに十分低く、配線26を形成しかつアルミニウムを全く使用しないように析出された状態のタングステン層22(第1A図および第2図)をパターン化することができ、あるいは代わりにタングステンの頂部上に薄いアルミニウムコーティングを用いる(図示せず)ことができる。 コンタクトプラグを形成する他の方法は、選択CVD法を用いてバリヤ層上のコンタクトホールにタングステン層を選択的に成長させることである。また、層18および層20は、第3A図に示される、上で述べたコンタクトホールに形成される。しかしながら、この実施例では、レジスト30は第3B図に示されるように、ウェーハ上でスピンされる。次に、レジスト30は、レジスト30と層18および20との間で1:1の選択性を有するドライエッチングを用いてエッチバックされ、レジスト30ならびに層18および20の両方を周囲の領域から除去する。レジスト30ならびに下にある層18および20は、第3C図に見られるように、コンタクトホール16内にのみ残る。 次に、レジスト30は、コンタクトホールからはがされ、それによって第3D図に描かれるように、層18および20をコンタクトホール16内にのみ残す。続いて、タングステンの選択プラグ形の析出物32は、ホールでのWF6+H2のCVD反応によって形成される。タングステンは、金属/バリヤ層20上にのみ凝集しかつ第1の層誘電体14上には凝集せず、したがってコンタクトホール16を充填しプラグ24′を形成する。その構造は第3E図に示される。次に、おそらくは主としてアルミニウム合金からなるパターン化された配線26(第3E図には図示されず)が、上で述べたように形成されるかもしれない。 従来の選択タングステン法を越えるこの方法の利点は、タングステン析出反応は、下にあるシリコン10がバリヤ層20によって遮蔽されているので、シリコン10と直接接触して生じないということである。したがって、浸食およびウォームホールのような共通の問題は、接合部10がバリヤ層20によって保護されているので生じない。他の利点は、選択タングステンがちょうどコンタクト底面からというよりむしろすべての使用可能な表面から成長しているので、その選択タングステンはコンタクトホールの直径の半分よりわずかに大きい厚さに析出されることだけ必要であるということである。この態様では、工業規格の選択タングステン法(タングステンが上方にのみ成長する)より短いタングステン析出時間が必要とされ、かつ選択性は、それが析出の厚さとともに劣化するのでより容易に維持される。 粘着および接触/バリヤ層18および20を使用するその場的にドープされたポリシリコンプラグ24′を形成するさらに他の変形は、上述の第3A図ないし第3D図に示されるようなエッチバックおよびレジストストリッピング法を使用することによってコンタクト領域にのみTi/TiNを残すことである。次に、その場的にドープされたポリシリコン34は、第4A図に示される構造を得るために析出される。次に、ドープされたポリシリコン層34は、第4B図に示されるようにブランケットエッチングされる。この工程の利点は、TiNのような典型的なバリヤ層20上より酸化物表面上でエッチングの端点を検出するのがはるかに容易であるので、ポリシリコンエッチバックはより良く制御され得るということである。代わりに、タングステンは、ブランケット析出されかつそれから、第4B図に示される構造からブランケットエッチングされ得る。 N+のその場的にドープされたポリシリコンおよびTi/TiN層を使用するコンタクトプラグは、第1D図に示されるように製作されている。P+基板に対するプラグの特定的なコンタクト抵抗が測定されている。平均値は1.0×10-6Ω-cm2であると考えられ、直径1.0、1.2および1.4μmのコンタクトの大きさに対して1.0×10-6Ω-cm2の3Σのずれがある。各コンタクトの大きさに対して、6つのウェーハ上に500以上のデータ点がとられる。これらの値は、各コンタクトの大きさに対して受入れ可能であると考えられる。 ここでのこの発明の方法は、前で論じたワインドマン他によって例証されるように、先行技術の欠点を避けまたはそれに改良を加えているのが認識されよう。たとえば、別々の3段階のシリサイド化工程は、優れたコンタクト特性ならびに優れた性能を与えるスパッタ析出されたチタン/窒化チタンの二重構造体を用いることによって排除される。さらに、このTi/TiN膜は、バイアの底部だけでなく側壁にも形成される。Ti/TiN膜は、600℃の処理に耐え、そのため本来の場所にドープされたポリシリコンがコンタクトホールを充填するために用いられれば、ドーパントが接合部へ入るかまたはそこから出ることはあり得ない。 Ti/TiNを側壁の上の方へもってくることによって、プラグ充填材料(すなわちポリシリコンまたはタングステン)と接触材料(たとえばTi/TiN)との間の境界面領域が増加する。したがって、ワイドマン他の先行技術と比較して、シリサイド化層をTiNバリヤとの間のコンタクト領域は、TiNバリヤとポリシリコンまたはタングステン充填材料との間のコンタクト領域におけるように非常に拡げられる。したがって、この構造は、作るのがより簡単であるだけでなく、本来、より信頼性がありかつそれ以上の熱処理に400℃の制限を設けない。Ti/TiN法では、チタンが接合部と接触するTiSixコンタクトシリサイド化が実質的に得られるということに注目すべきである。 図解および説明のために、この発明の好ましい実施例を説明してきた。排他的であることまたはこの発明を開示されるまさにその形に限定することは意図されていない。明らかに、多くの修正および変形が当業者に明らかとなろう。この発明は多数のIC製作技術、たとえばシリコンMOSおよびCMOSならびにバイポーラ法または砒化ガリウムあるいは他のIII-V法で実施されることも可能である。同様に、説明したどの処理ステップも、同じ結果を達成するために他のステップと交換可能であるだろう。この実施例は、この発明の原理およびその実際の応用を最も良く説明するために選択されかつ説明され、それによって当業者は、考えられる特定の使用に合う種々の実施例および種々の修正でこの発明を理解することができる。この発明の範囲は、前掲の特許請求の範囲およびその等価物によって規定されることが意図されている。 【図面の簡単な説明】 第1A図-第1D図は、この発明のコンタクトプラグを設ける処理ステップのシーケンスの断面図である。 第2図は、この発明の代わりの実施例の断面図である。 第3A図-第3E図は、この発明のさらに他の実施例の処理ステップのシーケンスの断面図である。 第4A図-第4B図は、この発明のさらに他の実施例の処理ステップのシーケンスの部分の断面図である。 図において、10はドープされた領域、12は半導体基板、14は絶縁層、16はコンタクトホール、18は粘着および接触層、20はバリヤ層、22は導電材料、および26は金属層である。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2005-06-08 |
結審通知日 | 2005-06-10 |
審決日 | 2005-06-24 |
出願番号 | 特願昭63-36471 |
審決分類 |
P
1
122・
121-
ZA
(H01L)
P 1 122・ 832- ZA (H01L) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 國島 明弘 |
特許庁審判長 |
松本 邦夫 |
特許庁審判官 |
河本 充雄 河合 章 |
登録日 | 1997-05-09 |
登録番号 | 特許第2645345号(P2645345) |
発明の名称 | 安定な低抵抗コンタクト |
代理人 | 明石 幸二郎 |
代理人 | 二口 治 |
代理人 | 伊藤 高英 |
代理人 | 植木 久一 |
代理人 | 二口 治 |
代理人 | 植木 久一 |
代理人 | 岡田 春夫 |
代理人 | 岡田 春夫 |
代理人 | 伊藤 晴國 |
代理人 | 永島 孝明 |
代理人 | 辻 淳子 |
代理人 | 辻 淳子 |
代理人 | 森 博之 |
代理人 | 磯田 志郎 |
代理人 | 森 博之 |