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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1167128
審判番号 不服2005-4890  
総通号数 96 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-03-22 
確定日 2007-12-03 
事件の表示 平成 5年特許願第168675号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 1月 6日出願公開、特開平 7- 609、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯・本願発明の認定
本願は平成5年6月14日の出願であって、平成17年 2月21日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年3月22日付けで本件審判請求がされたものである。
本願出願では、平成12年6月6日付け、平成16年5月31日付け及び審判請求後の平成17年4月6日付けで明細書についての手続補正がされたが、平成16年5月31日付け手続補正は原審において、平成17年4月6日付け手続補正は当審においてそれぞれ却下され、これら補正の却下の決定はいずれも確定した。
したがって、本願については、平成12年6月6日付けで補正された明細書に基づいて審理しなければならず、特許請求の範囲の記載は次のとおりである。請求項1?4に係る発明は、各請求項記載のとおりである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】所定条件が成立することに基づいて遊技者に有利な大当り状態を発生可能な遊技機において、
発生した大当り状態の終了後、予め定められた期間内に次の大当り状態が発生した場合に、連続大当り状態と判定する連続大当り状態判定手段を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】当該遊技機は、所定の始動遊技の結果に基づき大当り状態を発生可能に構成され、
前記始動遊技の実行回数を計数する始動遊技計数手段を備え、
前記連続大当り状態判定手段は、発生した大当り状態の終了後、前記始動遊技計数手段による計数結果が予め定められた回数内に次の大当り状態が発生した場合に、連続大当り状態と判定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】前記連続大当り状態判定手段による判定結果に基づいて、連続大当り状態の発生を報知可能な報知手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】前記連続大当り状態判定手段による判定結果を計数する計数手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の遊技機。

2.原審における拒絶理由
原審における拒絶の理由は、次の〈理由1〉及び〈理由2〉である。
〈理由1〉請求項1?4に係る発明は実願平3-64129号(実開平5-9584号)のCD-ROM(以下「引用例」という。)記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。また、引用例記載の「第1の特賞状態」、「第2の特賞状態」が、各々、請求項1に記載の「大当り」、「連続大当り」に相当すると説示した。
〈理由2〉請求項2には「始動遊技」と記載されているが、始動遊技の指す意味が不明であるから、特許法36条5項2号及び6項に規定する要件を満たしていない。

3.理由1についての検討
引用例には、「所定の確率に基づく特定遊技条件の成立により賞球或はコイン等の賞品を多数放出する第1の特賞状態を呈すると共に、上記第1の特賞状態が成立した後は上記所定の確率よりも高い確率に基づいて第2の特賞状態を呈する遊技機の稼働状況を管理するものであって、前記遊技機の第1の特賞状態開始から第2の特賞状態終了までの期間に応じて特賞中信号を出力する特賞中検出手段と、この特賞中検出手段からの特賞中信号の出力期間を前記遊技機の特賞期間と判断して上記遊技機の稼働状況を管理すると共にその稼働状況に基づく当該遊技機に対する打止を上記特賞中信号の非出力状態で実行するホール管理コンピュータとを備えたことを特徴とする遊技機の稼働管理装置。」(【請求項1】)との記載があるから、「第2の特賞状態」は「第1の特賞状態が成立した後」であって、第1の特賞状態よりも高確率で成立しうる特賞状態である。また、「前記遊技機の第1の特賞状態開始から第2の特賞状態終了までの期間に応じて特賞中信号を出力する」関係上、「第2の特賞状態」が「第1の特賞状態」と区別されていることも明らかである。
そうである以上、「第2の特賞状態」が「第1の特賞状態」の終了後「予め定められた期間内」に発生(以下「第1条件」という。)し、「第1の特賞状態」は直前の特賞状態の終了後「予め定められた期間」後に発生(以下「第2条件」という。)するのであれば、原審が説示したとおり、「第1の特賞状態」、「第2の特賞状態」が、各々、請求項1に記載の「大当り」、「連続大当り」に相当すると認めることができ、第1条件又は第2条件の何れかが成立しないのであれば、原審の説示は誤りに帰し、〈理由1〉も誤りに帰す。
引用例には、「第1の特賞状態が終了すると、遊技機の特賞発生確率は高く設定されるようになるので、第1の特賞の発生確率よりも高い確率で特定遊技条件が成立して第2の特賞状態が発生する。このとき、特賞中検出手段は、第1の特賞状態開始から第2の特賞状態終了まで特賞中信号の出力状態を継続する」(段落【0012】)とあり、いくら特賞発生確率が高く設定されていても、第2の特賞状態がいつ発生するかは不確定であるから、第1条件は成立してはいない。もっとも、特賞発生確率を高く設定した状態を、特賞発生まで無制限・無期限とする代わりに、期限を設けることは設計事項というべきであり、期限を設けた場合には、第2の特賞状態は同期限内(予め定められた期間内に等しい。)にしか発生しないといえるから、設計事項の範囲まで含めるならば、第1条件が成立するといえる。
しかし、第2条件はその場合であっても成立しない。なぜなら、「第1の特賞状態」は「第2の特賞状態」よりも低確率で発生するのであるが、いくら低確率であっても、わずか1回で発生することは十分あり得ることであり、その場合には、「第1の特賞状態」も請求項1の「連続大当り」に相当する。
換言すれば、請求項1記載の「連続大当り状態」と引用例記載の「第2の特賞状態」は、前者が直前大当り状態の終了からの期間に着目した状態であるのに対し、後者は特賞発生確率に着目した状態であるから、異なってしかるべきであり、これらを同一状態と認定することはできない。
〈理由1〉は同一状態と認定することができないものを同一状態であると誤認したことに基づく理由であるから、誤りである。

4.理由2についての検討
請求項2には「所定の始動遊技の結果に基づき大当り状態を発生可能に構成され」とあり、要するに「大当り状態を発生可能」な原因となる何らか遊技が「始動遊技」であって、それ以上に「始動遊技」を特定する必要はなく、この意味が不明確との〈理由2〉は当然誤りである。

5.むすび
以上のとおり、原審の理由1及び理由2は何れも誤りであり、原審の理由により本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2007-11-21 
出願番号 特願平5-168675
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山崎 仁之▲吉▼川 康史小林 英司  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 中槙 利明
土屋 保光
発明の名称 遊技機  
代理人 鹿嶋 英實  

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