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審決分類 |
審判 訂正 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降) 訂正する H02K |
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管理番号 | 1223202 |
審判番号 | 訂正2009-390096 |
総通号数 | 131 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-11-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2009-08-04 |
確定日 | 2010-08-26 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3425740号に関する訂正審判事件についてした平成21年12月14日付の審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成22年(行ケ)第10019号、平成22年7月15日判決言渡)があったので、さらに審理の結果、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3425740号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.請求の要旨 本件審判の請求の要旨は、特許第3425740号(平成4年7月13日特許出願、平成15年5月9日設定登録)の明細書及び図面を審判請求書に添付した訂正明細書及び図面のとおり、すなわち、下記のとおり訂正することを求めるものである。 (1)特許第3425740号発明の明細書の特許請求の範囲の請求項1における「内周側が連結された歯部」を、特許請求の範囲の減縮を目的として「内周側が絶縁性樹脂を介して連結された歯部」に訂正する。 (2)上記訂正に伴い、これと整合性をとるため、段落番号【0004】の「【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、継鉄部と、外周側が開放され内周側が連結された歯部とに分割されるとともに、前記歯部にコイルが巻装され、かつ、前記継鉄部と歯部とが、プレス抜きの後積層されて、一体的に構成されるステータコアと、前記ステータコアをインサート成形した絶縁性樹脂からなるフレームと、前記フレームに嵌合固定するブラケットとを有するモールドモータにおいて、前記コイルの巻装形状を、コイルエンドの軸方向端面の外周側を平坦面にするとともに、コイルエンドの軸方向端面の内周側にテーパを形成した台形状とし、かつ、前記フレームのコイルエンドの軸方向端部の平坦面と接する部分の厚みを薄くし、前記コイルエンドと前記ブラケットとを、肉厚のきわめて薄い樹脂製のフレームからなる細隙を介して対向させるようにしたものである。」を 「【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、継鉄部と、外周側が開放され内周側が絶縁性樹脂を介して連結された歯部とに分割されるとともに、前記歯部にコイルが巻装され、かつ、前記継鉄部と歯部とが、プレス抜きの後積層されて、一体的に構成されるステータコアと、前記ステータコアをインサート成形した前記絶縁性樹脂からなるフレームと、前記フレームに嵌合固定するブラケットとを有するモールドモータにおいて、前記コイルの巻装形状を、コイルエンドの軸方向端面の外周側を平坦面にするとともに、コイルエンドの軸方向端面の内周側にテーパを形成した台形状とし、かつ、前記フレームのコイルエンドの軸方向端部の平坦面と接する部分の厚みを薄くし、前記コイルエンドと前記ブラケットとを、肉厚のきわめて薄い樹脂製のフレームからなる細隙を介して対向させるようにしたものである。」に訂正する。 2.当審の判断 そこで、これらの訂正事項について検討すると、上記(1)の訂正は、「内周側が連結された歯部」の連結の構成について「絶縁性樹脂を介して」との限定を付加するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、また、上記(2)の訂正は、上記(1)の訂正に伴い、特許明細書の発明の詳細な説明において対応する箇所の記載を整合させたものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 そして、歯部の内周側を連結する手段について明細書にはなんら記載されていないものの、前記判決において判示されたとおり、上記各訂正は、本件発明の作用効果、すなわち、歯部間におけるコイルのスペースファクタを高くし、コイルの冷却を良好にすることにより、モータ特性を向上させ、モータの全長を短くするとの作用効果との関係においては、何らかの影響を及ぼすものとはいえないので、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものと認めるべきものであるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 また、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明でもない。 3.むすび したがって、本件審判の請求は平成6年法律第116号附則第6条第1項によりなお従前の例によるものとされる同法による改正前の特許法第126条第1項ないし第3項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 モールドモータ (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】継鉄部と、外周側が開放され内周側が絶縁性樹脂を介して連結された歯部とに分割されるとともに、前記歯部にコイルが巻装され、かつ、前記継鉄部と歯部とが、プレス抜きの後積層されて、一体的に構成されるステータコアと、前記ステータコアをインサート成形した前記絶縁性樹脂からなるフレームと、前記フレームに嵌合固定するブラケットとを有するモールドモータにおいて、 前記コイルの巻装形状を、コイルエンドの軸方向端面の外周側を平坦面にするとともに、コイルエンドの軸方向端面の内周側にテーパを形成した台形状とし、かつ、前記フレームのコイルエンドの軸方向端部の平坦面と接する部分の厚みを薄くし、前記コイルエンドと前記ブラケットとを、肉厚のきわめて薄い樹脂製のフレームからなる細隙を介して対向させたことを特徴とするモールドモータ。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、歯部にコイルを巻装したステータコアを、絶縁性樹脂によりインサート成形しているモールドモータに関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来のモールドモータを、図3および図4に示す。両図において、1はステータコアで、継鉄部2と歯部3に分割され、かつそれぞれが、プレス抜きの後積層されて、一体的に構成されている。4はボビンで、筒状の外周にコイル5を巻装するとともに、前記ステータコア1の歯部3に嵌挿している。 前記コイル5は、巻装形状を外周側から内周側に向って巻き幅が小さくなるテーパ状に形成しており、図4に示すように、歯部3間におけるスペースファクタを非常に高いものにしている。 コイル5の巻き幅は、コイル5の巻回数を減らすことにより小さくなる。6はフレームで、前記コイル5を巻装した前記ステータコア1をインサート成形した絶縁性樹脂からなっている。7はブラケットで、前記フレーム6に嵌合固定している。なお、8はコイルエンドである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 ところが、このような従来技術では、歯部3間におけるコイルのスペースファクタは高いけれども、ブラケット7とコイルエンド8との間の絶縁性樹脂の厚みが厚くなり、そのため、コイル5で発生した熱のコイル5からブラケット7への伝達における熱抵抗が高くなって、コイル5の冷却が良好に行われず、モータ特性の向上が難しいという問題があった。 本発明は、このような問題を解消するためになされたもので、歯部3間におけるコイルのスペースファクタが高く、かつ冷却が良好で、モータ特性が高いモールドモータを提供することを目的とするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するために、本発明は、継鉄部と、外周側が開放され内周側が絶縁性樹脂を介して連結された歯部とに分割されるとともに、前記歯部にコイルが巻装され、かつ、前記継鉄部と歯部とが、プレス抜きの後積層されて、一体的に構成されるステータコアと、前記ステータコアをインサート成形した前記絶縁性樹脂からなるフレームと、前記フレームに嵌合固定するブラケットとを有するモールドモータにおいて、前記コイルの巻装形状を、コイルエンドの軸方向端面の外周側を平坦面にするとともに、コイルエンドの軸方向端面の内周側にテーパを形成した台形状とし、かつ、前記フレームのコイルエンドの軸方向端部の平坦面と接する部分の厚みを薄くし、前記コイルエンドと前記ブラケットとを、肉厚のきわめて薄い樹脂製のフレームからなる細隙を介して対向させるようにしたものである。 【0005】 【作用】 上記手段により、歯部間におけるコイルの高いスペースファクタが維持でき、また、非接触で、かつ間に熱伝導率の低い絶縁性樹脂が介在しているるにもかかわらずコイルとブラケット間の熱抵抗が低くなってコイルの冷却が良好に行えるので、モータ特性が高くなる。また、コイルとフレームの軸方向長さが短くなるので、モータの全長が短くなる。 【0006】 【実施例】 以下本発明の実施例を図1および図2に示して説明する。 図1および図2において、図3および図4と同一符号は、同一また相当する部分を示しており、説明は省略する。モータの全体構造は、図3および図4の従来例とほぼ同様であるが、本実施例では、ボビン9に巻装するコイル10の巻装形状を、コイルエンド11の軸方向端面の外周側を平坦面(ほぼ平坦面になっていればよい)にするとともに、コイルエンド11の軸方向端面の内周側にテーパを形成した台形状としコイル10のほぼ中央部から内周側にテーパを形成した台形状とし、かつ、前記フレーム6のコイルエンド11の軸方向端部の平坦面と接する部分の厚みを薄くし、前記コイルエンド11と前記ブラケット7とを、肉厚のきわめて薄い樹脂製のフレーム6からなる細隙を介して対向させている。 このような構成において、各歯部3にボビン9を介して巻装されたコイル10は、歯部3間においてテーパ部が近接しているので、スペースファクタが高くなる。また、テーパのない平坦面において、コイルエンド11がブラケット7に、肉厚のきわめて薄い樹脂製のフレーム6からなる細隙を介して対向するように近接しているので、つまりフレーム6を構成している熱伝導率の低い絶縁性樹脂の厚みが非常に薄いので、熱抵抗が低く、コイル10からブラケット7への熱の伝達が良好に行われる。なお、コイル10は、ボビン9に巻装せず直接歯部3に巻装してもよい。 【0007】 【発明の効果】 以上述べたように、本発明は、コイルの巻装形状を、コイルの内周側にテーパを形成した台形状とし、かつ、コイルエンドの軸方向端面の外周側の樹脂製フレームの厚みを薄くし、前記コイルエンドと前記ブラケットとを細隙を介して対向させているので、歯部間におけるコイルのスペースファクタを高くすることができるとともに、コイルの冷却を良好にすることができ、したがってモータ特性を向上させるとともに、モータの全長を短くすることができる効果がある。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施例を示すモールドモータの要部の側断面図である。 【図2】本発明の実施例を示す正断面図である。 【図3】従来例を示すモールドモータの要部の側断面図である。 【図4】従来例を示す正断面図である。 【符号の説明】 1 ステータコア 2 継鉄部 3 歯部 6 フレーム 7 ブラケット 9 ボビン 10 コイル 11 コイルエンド |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2009-11-27 |
結審通知日 | 2009-12-01 |
審決日 | 2009-12-14 |
出願番号 | 特願平4-209786 |
審決分類 |
P
1
41・
832-
Y
(H02K)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 下原 浩嗣 |
特許庁審判長 |
田良島 潔 |
特許庁審判官 |
仁木 浩 堀川 一郎 |
登録日 | 2003-05-09 |
登録番号 | 特許第3425740号(P3425740) |
発明の名称 | モールドモータ |
代理人 | 本多 弘徳 |
代理人 | 小栗 昌平 |
代理人 | 小栗 昌平 |
代理人 | 市川 利光 |
代理人 | 本多 弘徳 |
代理人 | 市川 利光 |