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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1226253
審判番号 不服2008-8233  
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-03 
確定日 2010-11-04 
事件の表示 特願2002- 68429「中古物品サービス管理方法および中古物品サービス管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 9月26日出願公開、特開2003-271760〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成14年3月13日の出願であって,平成19年8月23日付けで拒絶理由が通知され,同年10月29日に手続補正書及び意見書が提出され,平成20年2年28日付けで拒絶査定がされ,これに対し,同年4月3日に審判請求がされるとともに,同年5月7日に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成20年5月7日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定

補正却下の決定の結論

本件補正を却下する。

理由

1 補正の内容

本件補正により,特許請求の範囲は,以下のように変更された。なお,下線は,補正された部分を示すものとして,手続補正書に表示されたものを援用したものである。

≪本件補正前≫

「【請求項1】
中古物品を販売する販売業者側に設置された、第1の入力手段を有する販売業者端末と、中古物品に関するサービスを提供するサービス業者側に設置された、第2の入力手段を有するサービス業者端末とが接続されたネットワークに、
少なくとも上記販売業者端末および上記サービス業者端末を管理するサービス契約管理業者側に設置された、第1の情報処理部および第1の補助記憶手段を有する管理業者サーバを接続し、
上記管理業者サーバが、
上記販売業者端末から送信された、所定の識別情報データを含むとともに上記サービスに関する契約の情報から構成される契約情報データを受信すると、上記第1の情報処理部が上記契約情報データを上記第1の補助記憶手段に記憶し、
上記サービス業者端末から送信された上記識別情報データを受信すると、上記第1の補助記憶手段から上記識別情報データに基づいて上記契約情報データを索出し、
上記販売業者端末に、上記第1の入力手段から、上記中古物品に関する物品情報を含む中古物品情報データが入力されると、
上記販売業者端末が、上記中古物品情報データを、上記販売業者端末に備えられた第2の補助記憶手段に記憶し、
上記第1の入力手段から、上記契約情報データが入力されると、上記契約情報データを上記管理業者サーバに送信し、
上記管理業者サーバまたは上記販売業者端末が、上記契約情報データに基づいて、上記サービスの料金を算出し、
上記サービス業者端末が、
上記第2の入力手段から、上記契約情報データにおける上記識別情報データと、上記サービスを含む上記サービス業者により実施されたサービス作業の作業情報データとが入力されると、上記識別情報データおよび上記作業情報データを、上記管理業者サーバに送信し、
上記管理業者サーバが上記作業情報データを受信すると、上記作業情報データに基づいて、上記サービス業者に納付する料金の算出を行う中古物品サービス管理方法であって、
上記契約情報データが上記サービスを実施する時期に関する実施予定データを含み、前記中古物品は中古車両であり、
上記管理業者サーバが、上記第1の補助記憶手段に格納された上記契約情報データのうちから、上記実施予定データが所定期間内である上記契約情報データを索出し、
上記サービス業者端末に、上記第2の入力手段から上記中古車両の走行距離データと日付データとが入力されると、上記サービス業者端末が、上記走行距離データと日付データとを上記管理業者サーバに送信し、
上記走行距離データと日付データとを受信した上記管理業者サーバが、上記走行距離データと日付データに基づいて、上記中古車両に関する単位時間あたりの走行距離を算出し、算出した単位時間あたりの走行距離に基づいて、索出された契約情報に含まれる実施予定データを調整することを特徴とする中古物品サービス管理方法。
【請求項2】
上記サービスに関する料金の算出を上記管理業者サーバが実行することを特徴とする請求項1記載の中古物品サービス管理方法。
【請求項3】
上記サービスに関する料金の算出を上記販売業者端末が実行することを特徴とする請求項1記載の中古物品サービス管理方法。
【請求項4】
上記サービス業者端末から上記作業情報データを受信した上記管理業者サーバが、上記作業情報データに含まれるサービス作業のデータを、上記契約情報データに包含されるデータと包含されないデータとに分けられた料金データを生成し、上記判断結果データを上記サービス業者端末に送信することを特徴とする請求項1記載の中古物品サービス管理方法。
【請求項5】
上記サービス業者端末が、上記作業情報データのうちで上記契約情報データに含まれない作業情報データの部分に関する料金を算出することを特徴とする請求項1記載の中古物品サービス管理方法。
【請求項6】
上記契約情報データが上記サービス実施時期の通知方法に関する情報データを含むことを特徴とする請求項1記載の中古物品サービス管理方法。
【請求項7】
上記契約情報データが、上記販売業者において行われた上記中古物品の点検に関する結果の情報データを含むことを特徴とする請求項1記載の中古物品サービス管理方法。
【請求項8】
ネットワークに、
中古物品を販売する販売業者の販売業者端末と、中古物品に関するサービスを提供するサービス業者のサービス業者端末と、
少なくとも上記販売業者端末および上記サービス業者端末を管理するサービス契約管理業者側の管理業者サーバとが接続され、
上記管理業者サーバが、
第1の情報処理部および第1の補助記憶手段を有し、
上記販売業者端末から送信された、所定の識別情報と上記サービスに関する契約の情報とから構成される契約情報データを受信すると、上記第1の情報処理部が上記契約情報データを上記第1の補助記憶手段に記憶し、
上記サービス業者端末から送信された上記識別情報データを受信すると、上記第1の補助記憶手段から上記識別情報データに基づいて上記契約情報データを索出し、
上記販売業者端末が、
第1の入力手段、第2の情報処理部および第2の補助記憶手段を有し、
上記第1の入力手段から、上記中古物品に関する物品情報を含む中古物品情報データが入力されると、上記第2の情報処理部が上記中古物品情報データを上記第2の補助記憶手段に記憶し、
上記第1の入力手段から、上記契約情報データが入力されると、上記契約情報データを上記管理業者サーバに送信可能に構成され、
上記サービス業者端末が、
第2の入力手段を有し、上記第2の入力手段から、上記契約情報データにおける上記識別情報データと、上記サービスの作業情報データとが入力されると、上記識別情報データと上記作業情報データを、上記管理業者サーバに送信可能に構成され、
上記管理業者サーバまたは上記販売業者端末が、上記契約情報データに基づいて、上記サービスの料金を算出可能に構成されている中古物品サービス管理システムであって、
上記契約情報データが上記サービスを実施する時期に関する実施予定データを含み、前記中古物品は中古車両であり、
上記管理業者サーバが、上記第1の補助記憶手段に格納された上記契約情報データのうちから、上記実施予定データが所定期間内である上記契約情報データを索出可能に構成され、
上記サービス業者端末が、上記第2の入力手段から上記中古車両の走行距離データと日付データとが入力されると、上記走行距離データと日付データとを上記管理業者サーバに送信可能に構成されているとともに、上記走行距離データと日付データとを受信した上記管理業者サーバが、上記走行距離データと日付データとに基づいて、上記中古車両に関する単位時間あたりの走行距離を算出し、算出した単位時間あたりの走行距離に基づいて、索出された契約情報に含まれる実施予定データを調整可能に構成されていることを特徴とする中古物品サービス管理システム。
【請求項9】
上記管理業者サーバが、上記サービスに関する料金の算出処理を実行可能に構成されていることを特徴とする請求項8記載の中古物品サービス管理システム。
【請求項10】
上記販売業者端末が、上記サービスに関する料金の算出処理を実行可能に構成されていることを特徴とする請求項8記載の中古物品サービス管理システム。
【請求項11】
上記サービス業者端末が、上記作業情報データのうちで上記契約情報データに含まれない作業情報データの部分に関する料金を算出可能に構成されていることを特徴とする請求項8記載の中古物品サービス管理システム。
【請求項12】
上記サービス業者端末から上記作業情報データを受信した上記管理業者サーバが、上記作業情報データに含まれるサービス作業のデータを、上記契約情報データに包含されるデータと包含されないデータとに分けられた料金データを生成し、上記判断結果データを上記サービス業者端末に送信可能に構成されていることを特徴とする請求項8記載の中古物品サービス管理システム。
【請求項13】
上記契約情報データが上記サービス実施時期の通知方法に関する情報データを含むことを特徴とする請求項8記載の中古物品サービス管理システム。
【請求項14】
上記契約情報データが、上記販売業者において行われた上記中古物品の点検結果に関するデータを含むことを特徴とする請求項8記載の中古物品サービス管理システム。」

≪本件補正後≫

「【請求項1】
中古物品を販売する販売業者側に設置された、第1の入力手段を有する販売業者端末と、前記中古物品を販売する販売業者とは異なるサービス業者であって、中古物品に関するサービスを提供するサービス業者側に設置された、第2の入力手段を有するサービス業者端末とが接続されたネットワークに、
少なくとも上記販売業者端末および上記サービス業者端末を管理するサービス契約管理業者側に設置された、第1の情報処理部および第1の補助記憶手段を有する管理業者サーバを接続し、
上記管理業者サーバが、
上記販売業者端末から送信された、所定の識別情報データを含むとともに上記サービスに関する契約の情報から構成される契約情報データを受信すると、上記第1の情報処理部が上記契約情報データを上記第1の補助記憶手段に記憶し、
上記サービス業者端末から送信された上記識別情報データを受信すると、上記第1の補助記憶手段から上記識別情報データに基づいて上記契約情報データを索出し、
上記販売業者端末に、上記第1の入力手段から、上記中古物品に関する物品情報を含む中古物品情報データが入力されると、
上記販売業者端末が、上記中古物品情報データを、上記販売業者端末に備えられた第2の補助記憶手段に記憶し、
上記第1の入力手段から、上記契約情報データが入力されると、上記契約情報データを上記管理業者サーバに送信し、
上記管理業者サーバまたは上記販売業者端末が、上記契約情報データに基づいて、上記サービスの料金を算出し、
上記サービス業者端末が、
上記第2の入力手段から、上記契約情報データにおける上記識別情報データと、上記サービスを含む上記サービス業者により実施されたサービス作業の作業情報データとが入力されると、上記識別情報データおよび上記作業情報データを、上記管理業者サーバに送信し、
上記管理業者サーバが上記作業情報データを受信すると、上記作業情報データに基づいて、上記サービス業者に納付する料金の算出を行う中古物品サービス管理方法であって、
上記契約情報データが上記サービスを実施する時期に関する実施予定データを含み、前記中古物品は中古車両であり、
上記管理業者サーバが、上記第1の補助記憶手段に格納された上記契約情報データのうちから、上記実施予定データが所定期間内である上記契約情報データを索出し、
上記サービス業者端末に、上記第2の入力手段から上記中古車両の走行距離データと日付データとが入力されると、上記サービス業者端末が、上記走行距離データと日付データとを上記管理業者サーバに送信し、
上記走行距離データと日付データとを受信した上記管理業者サーバが、上記走行距離データと日付データに基づいて、上記中古車両に関する単位時間あたりの走行距離を算出し、算出した単位時間あたりの走行距離に基づいて、索出された契約情報に含まれる実施予定データを調整することを特徴とする中古物品サービス管理方法。
【請求項2】
上記サービスに関する料金の算出を上記管理業者サーバが実行することを特徴とする請求項1記載の中古物品サービス管理方法。
【請求項3】
上記サービスに関する料金の算出を上記販売業者端末が実行することを特徴とする請求項1記載の中古物品サービス管理方法。
【請求項4】
上記サービス業者端末から上記作業情報データを受信した上記管理業者サーバが、上記作業情報データに含まれるサービス作業のデータを、上記契約情報データに包含されるデータと包含されないデータとに分けられた料金データを生成し、上記判断結果データを上記サービス業者端末に送信することを特徴とする請求項1記載の中古物品サービス管理方法。
【請求項5】
上記サービス業者端末が、上記作業情報データのうちで上記契約情報データに含まれない作業情報データの部分に関する料金を算出することを特徴とする請求項1記載の中古物品サービス管理方法。
【請求項6】
上記契約情報データが上記サービス実施時期の通知方法に関する情報データを含むことを特徴とする請求項1記載の中古物品サービス管理方法。
【請求項7】
上記契約情報データが、上記販売業者において行われた上記中古物品の点検に関する結果の情報データを含むことを特徴とする請求項1記載の中古物品サービス管理方法。
【請求項8】
ネットワークに、
中古物品を販売する販売業者の販売業者端末と、前記中古物品を販売する販売業者とは異なるサービス業者であって、中古物品に関するサービスを提供するサービス業者のサービス業者端末と、
少なくとも上記販売業者端末および上記サービス業者端末を管理するサービス契約管理業者側の管理業者サーバとが接続され、
上記管理業者サーバが、
第1の情報処理部および第1の補助記憶手段を有し、
上記販売業者端末から送信された、所定の識別情報と上記サービスに関する契約の情報とから構成される契約情報データを受信すると、上記第1の情報処理部が上記契約情報データを上記第1の補助記憶手段に記憶し、
上記サービス業者端末から送信された上記識別情報データを受信すると、上記第1の補助記憶手段から上記識別情報データに基づいて上記契約情報データを索出し、
上記販売業者端末が、
第1の入力手段、第2の情報処理部および第2の補助記憶手段を有し、
上記第1の入力手段から、上記中古物品に関する物品情報を含む中古物品情報データが入力されると、上記第2の情報処理部が上記中古物品情報データを上記第2の補助記憶手段に記憶し、
上記第1の入力手段から、上記契約情報データが入力されると、上記契約情報データを上記管理業者サーバに送信可能に構成され、
上記サービス業者端末が、
第2の入力手段を有し、上記第2の入力手段から、上記契約情報データにおける上記識別情報データと、上記サービスの作業情報データとが入力されると、上記識別情報データと上記作業情報データを、上記管理業者サーバに送信可能に構成され、
上記管理業者サーバまたは上記販売業者端末が、上記契約情報データに基づいて、上記サービスの料金を算出可能に構成されている中古物品サービス管理システムであって、
上記契約情報データが上記サービスを実施する時期に関する実施予定データを含み、前記中古物品は中古車両であり、
上記管理業者サーバが、上記第1の補助記憶手段に格納された上記契約情報データのうちから、上記実施予定データが所定期間内である上記契約情報データを索出可能に構成され、
上記サービス業者端末が、上記第2の入力手段から上記中古車両の走行距離データと日付データとが入力されると、上記走行距離データと日付データとを上記管理業者サーバに送信可能に構成されているとともに、上記走行距離データと日付データとを受信した上記管理業者サーバが、上記走行距離データと日付データとに基づいて、上記中古車両に関する単位時間あたりの走行距離を算出し、算出した単位時間あたりの走行距離に基づいて、索出された契約情報に含まれる実施予定データを調整可能に構成されていることを特徴とする中古物品サービス管理システム。
【請求項9】
上記管理業者サーバが、上記サービスに関する料金の算出処理を実行可能に構成されていることを特徴とする請求項8記載の中古物品サービス管理システム。
【請求項10】
上記販売業者端末が、上記サービスに関する料金の算出処理を実行可能に構成されていることを特徴とする請求項8記載の中古物品サービス管理システム。
【請求項11】
上記サービス業者端末が、上記作業情報データのうちで上記契約情報データに含まれない作業情報データの部分に関する料金を算出可能にすることを特徴とする請求項8記載の中古物品サービス管理システム。
【請求項12】
上記サービス業者端末から上記作業情報データを受信した上記管理業者サーバが、上記作業情報データに含まれるサービス作業のデータを、上記契約情報データに包含されるデータと包含されないデータとに分けられた料金データを生成し、上記判断結果データを上記サービス業者端末に送信可能に構成されていることを特徴とする請求項8記載の中古物品サービス管理システム。
【請求項13】
上記契約情報データが上記サービス実施時期の通知方法に関する情報データを含むことを特徴とする請求項8記載の中古物品サービス管理システム。
【請求項14】
上記契約情報データが、上記販売業者において行われた上記中古物品の点検結果に関するデータを含むことを特徴とする請求項8記載の中古物品サービス管理システム。」

2 本件補正の補正目的の適否

本件補正は,請求項1,8において,「前記中古物品を販売する販売業者とは異なるサービス業者であって、」なる文言を加えることで,「サービス業者」なる構成を限定するものであり,特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものといえる。したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法改正前の特許法17条の2第4項2号の規定に適合する。

そこで,次に,本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(独立特許要件)について,検討する。

3 引用例の記載内容と引用発明

(1)原査定の拒絶理由に引用された,本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である特開2002-15174号公報(平成14年1月18日出願公開。以下「引用例」という。)には,図とともに,次の記載がある。なお,下線は当審で付加したものである。

(ア)「【0044】以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
〔第1実施形態〕
〈車両に係るサービス提供システムの構成〉図1は、実施形態による車両に係るサービス提供システムをなすコンピュータネットワークシステムの例を示す図である。ネットワークシステムは、車両に係るサービスを提供する複数の事業体からなる共同事業体(フランチャイズチェーン:名称例「カー○○○○倶楽部」)によって運用される。
【0045】共同事業体は、サービス提供システムの運営会社(運営業者)と、共同事業体への加盟会社(加盟業者)とからなる。加盟会社として、自動車販売会社(車両販売業者),自動車整備・修理会社(整備業者),ロードサービス会社(ロードサービス業者),保険会社(保険業者)及び金融会社(金融業者)が加盟している。
【0046】ネットワークシステムは、運営会社に設置されたサーバSと、自動車販売会社に設置されたコンピュータ1と、自動車整備・修理会社(整備会社)に設置されたコンピュータ2と、ロードサービス会社に設置されたコンピュータ3と、保険会社に設置されたコンピュータ4と、金融会社に設置されたコンピュータ5とを備える。各コンピュータ1?5は、ネットワークNを通じてサーバSに接続されている。各コンピュータ1?5は、クライアントとして、サーバSに保持されているデータベース(DB)10にアクセスすることができる。」

(イ)「【0047】図2は、サーバSのハードウェア構成図である。サーバSは、パソコン,ワークステーション,これらの上位コンピュータ,或いは専用のサーバマシン等を用いて構成される。サーバSは、CPU6,メインメモリ(MM)7,ハードディスクドライブ(HDD:ハードディスク含む)8,ネットワークNに通信回線を通じて接続された通信制御装置9,入力装置(キーボード,マウス等のポインティングデバイス)11,出力装置(ディスプレイ装置,プリンタ)12等を備えている。
【0048】HDD8は、各加盟業者に利用されるDB10を保持している。DB10は、図1に示すように、車両諸元DB13と、車両DB14と、用品DB15と、登録諸費用DB16と、メンテナンス費用DB17と、車検費用DB18と、保険DB19と、ロードサービス料金DB20と、支払い条件DB21と、顧客DB22と、メンテナンス契約DB23と、車検契約DB24と、保険契約DB25と、ロードサービス契約DB26と、整備メニューDB27と、請求DB28と、加盟会社DB29とを有している。
【0049】また、HDD8は、DB10に係る情報処理(DBのメンテナンス等)用のプログラム,サーバSが各コンピュータ1?5に対するサーバとして機能するためのサーバプログラム,通信プロトコルに係るプログラム等の各種のプログラムを保持している。
【0050】CPU6は、オペレータの指示入力に応じて、必要なデータをHDD8からMM7にコピーするとともに、指示入力に応じたプログラムを記録媒体からMM7にロードして実行する。これによって、DB10の更新処理,各コンピュータ1?5からの問い合わせに応じた情報提供処理等の各種の情報処理が実行される。」

(ウ)「【0052】図3は、各コンピュータ1?5のハードウェア構成例を示す図である。各コンピュータ1?5は、パソコン,ワークステーション,これらの上位コンピュータ等を用いて構成される。各コンピュータ1?5は、同じ構成を有しているので、コンピュータ1について説明する。コンピュータ1は、サーバSと同様の構成要素であるCPU6a,MM7a,HDD8a,通信制御装置9a,入力装置11a,出力装置12a等を備えている。」

(エ)「【0057】〈車両に係るサービス提供システムの動作例〉次に、車両に係るサービス提供システムの動作例を説明する。
(自動車販売会社における車両販売契約)最初に、自動車販売会社における中古車の車両販売契約(車両の売買契約)の際におけるサービス提供システムの動作例を説明する。自動車販売会社の販売員(販売業者)は、例えば、顧客との商談の際に、コンピュータ1を操作する。」

(オ)「【0059】販売員は、代金表示画面31を用いて顧客が購入を望む車両を特定することができる。代金表示画面31には、車両の管理番号の入力・表示領域32と、車両のプレート番号の入力・表示領域33とが設けられている。販売員は、管理番号又はプレート番号を入力した後、検索指示を入力する。すると、CPU6aが、入力された管理番号又はプレート番号を検索キーとして、HDD8a内に設けられた車両DB14の複製(以下、「車両DB14a」と表記)を検索する。
【0060】図5は、車両DB14a(14)の例を示す説明図である。車両DB14aは、車両の管理番号,プレート番号,メーカ名,車名,型式名,年式,車両価格を含むレコードを保持している。車両DB14aは、管理番号,プレート番号等を検索キーとして検索される。但し、車両が新車である場合には、管理番号及びプレート番号の欄は空欄となっている。なお、車両DB14aは、上記データ項目(要素)を保持し、必要な要素を必要に応じて検出可能にされていれば良く、データ構造は適宜設計可能である。」

(カ)「【0081】次に、販売員は、代金表示画面31に設けられたサービス選択ボタン45を入力装置11aの操作により押す。すると、CPU6aは、図9に示す付帯サービス選択画面46((入力画面に相当))をディスプレイ装置に表示する。
【0082】付帯サービス選択画面46は、顧客に対し、自動車保険,車両保険,定期メンテナンス,車検サービス及びロードサービス(事故等の際におけるレッカー車移動等)の各種付帯サービスの契約を促し、且つ顧客が契約を所望するサービスを選択し、選択したサービスに係る情報を入力するための画面である。
【0083】販売員は、契約を所望するサービスの種類,サービスの契約期間(3年又は5年),保険プランの種別(基本プラン又は充実プラン),車両保険契約を結ぶ場合はその金額,定期メンテナンスや車検サービスのコース(デラックスコース又はエコノミーコース)を車両の購入者から聞き、その内容を入力装置11aを操作して付帯サービス選択画面46に記入する。この記入内容は、MM7aに保持される。
【0084】その後、販売員は、付帯サービス選択画面46に設けられた再計算ボタン47aを押す。すると、CPU6aが、通信制御装置9aを制御してコンピュータ1とサーバSとの間で、所定の通信プロトコルに従った通信回線を接続する。続いて、CPU6aは、通信制御装置9aを制御して代金表示画面31にて特定された車両に係る情報(メーカ名,車名,型式名,年式,存在する場合には管理番号及びプレート番号)と、顧客情報画面40に記入された顧客の個人情報と、付帯サービス選択画面46に記入(表示)された付帯サービスの内容に係る情報(サービスの内容に係る情報)とをサーバSへ送信する。ここでは、説明の便宜のため、顧客が全ての付帯サービスの提供を所望したものとする。
【0085】サーバSがコンピュータ1から情報を受信すると、CPU6は、サーバSと保険会社のコンピュータ4との間で、所定の通信プロトコルに従った通信回線を接続し、コンピュータ1から受信した情報のうち、少なくとも車両のメーカ名及び型式,お客様氏名,ふりがな,性別,住所,電話番号,FAX番号(記入されている場合),電子メールアドレス(記入されている場合),現在の保険等級,付帯サービスの契約期間,保険プランの種別,車両保険の金額,ロードサービスの選択の有無をコンピュータ4に送信する。」

(キ)「【0096】サーバSは、自動車保険,車両保険の保険料を受信した後,或いは、上記した自動車保険,車両保険の保険料算出をコンピュータ4に依頼するのと並行して、以下の処理を行う。
【0097】即ち、CPU6は、車検費用DB18にアクセスし、車両の型式,サービスの契約期間,及び選択されたコースに基づいて、車検サービス料金を車検費用DB18からMM7に読み出す,或いは、CPU6が、型式,契約期間及びコースに基づいて車検サービス料金を算出する。具体的には、CPU6は、初年度登録年月と契約年数に基づき、契約期間中に何回車検時期が到来するかを算出し、得られた回数を乗じる。
【0098】また、CPU6は、メンテナンス費用DB17にアクセスし、車両の型式,契約期間及び選択されたコースに基づいて、メンテナンス料金をメンテナンス費用DB17からMM7aに読み出す。なお、CPU6がメンテナンス料金を型式,契約期間,コースの各情報と、予め用意した所定の算出式とを用いて算出するようにしても良い。」

(ク)「【0122】コンピュータ1の販売顧客DBに保持された情報は、サーバSへ送信され、サーバSのCPU6は、コンピュータ1から受信した情報をHDD8内の顧客DB22,メンテナンス契約DB23,車検契約DB24,保険契約DB25,ロードサービス契約DB26の夫々に登録する。
【0123】即ち、CPU6は、コンピュータ1から受信した情報のうち、少なくとも顧客情報画面40に表示された情報を顧客DB22に格納する。また、メンテナンス契約DB23,車検契約DB24,保険契約DB25及びロードサービス契約DB26には、少なくとも顧客の氏名(契約者氏名)と、車両の特定情報(少なくともプレート番号)と、サービスの契約期間と、契約したコース,プラン又は車両保険の金額と、サービス料金(保険料)を格納する。」

(ケ)「【0133】なお、ユーザから入力された申込データが直接コンピュータ5に送信されるようにしても良い。
(定期メンテナンス)本サービス提供システムによって車両が販売された場合において、付帯サービスとして定期メンテナンス契約が結ばれている場合には、運営会社のサーバSで以下の動作が行われる。
【0134】即ち、運営会社のサーバSのCPU6は、周期的又は定期的に、或いはオペレータからの指示に応じて、メンテナンス契約DB23及び顧客DB22を参照し、納車日/車両登録日等を基準として、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月...等の定期メンテナンスの時期が近づいている顧客の情報として、少なくとも顧客の氏名,住所又は電子メールアドレス,車両の特定情報(メーカ名,車名,型式,年式等),プレート番号,定期メンテナンスの時期の各データをMM7に読み出す。」

(コ)「【0138】整備会社では、DM葉書又は封筒或いはDM電子メールを受け取った顧客が来店すると、オペレータがコンピュータ2を操作して運営会社のサーバSにアクセスする。すると、サーバSからコンピュータ2に対し、車両のプレート番号の入力画面(図示せず)が提供される。
【0139】これに対し、オペレータは、コンピュータ2の入力装置11aを操作してプレート番号を入力する。すると、コンピュータ2のCPU6aは、入力されたプレート番号をサーバSに送信する。
【0140】サーバSのCPU6は、プレート番号を受信すると、そのプレート番号でメンテナンス契約DB23を検索し、プレート番号に対応する対象車両のレコード(整備サービス契約の内容)があるか否かを判定し、該当するレコードがある場合には、そのレコードをMM7に読み出す。」

(サ)「【0144】その後、各整備項目に対する整備が終了すると、コンピュータ2のオペレータは、整備画面71をディスプレイ装置の画面上に呼び出し、整備画面71に設けられた完了ボタン73を押す。すると、コンピュータ2のCPU6aは、対象車両に対する定期メンテナンスが終了した旨の通知をコンピュータ2からサーバSへ送信する。
【0145】すると、サーバSのCPU6は、コンピュータ2から通知を受信すると、その通知に含まれたプレート番号,車名,顧客氏名,整備メニュー,整備項目,部品代金,数量,工賃を、請求DB28に登録する。なお、上記通知に含まれた各データ項目は、各整備会社に個々に設けられた販売管理のコンピュータシステムのDB中に売掛データとして登録されるようにしてもよい。
【0146】運営会社のサーバSのCPU6は、所定の締日になると、請求DB28から自動車整備・修理会社毎の請求データを読み出して集計し、加盟している自動車整備・修理会社に対する納金表を作成する。
【0147】そして、CPU6は、納金表に基づき、加盟会社DB29から料金を振り込むべき自動車整備・修理会社の支払口座の特定情報を取得し、支払口座を管理するコンピュータにネットワークを通じてアクセスし、支払額を当該支払口座に振込む。なお、この振り込み作業はマニュアルで行われても良い。」

(2)ここで,上記記載事項(ア)?(サ)を検討すると

(い)記載事項(ア)によれば,引用例記載のシステムは,自動車販売会社に設置されたコンピュータ1と自動車整備・修理会社(整備会社)に設置されたコンピュータ2とが接続されたネットワークNに,運営会社に設置されたサーバSが接続されているものであり,記載事項(エ)によれば,前記自動車販売会社では,中古車の車両販売契約が行われているから,前記自動車販売会社は,中古車を販売する会社であり,記載事項(ウ)によれば,前記コンピュータ1及びコンピュータ2は,入力装置11aを備えているものであり,記載事項(イ)によれば,前記サーバSは,CPU6とハードディスクドライブ(HDD)8を備えているものである。そうすると,引用例記載のシステムは,「中古車を販売する自動車販売会社に設置された,入力装置11aを有するコンピュータ1と,自動車整備・修理会社(整備会社)に設置された,入力装置11aを有するコンピュータ2とが接続されたネットワークNに,運営会社に設置されたCPU6およびHDD8を有するサーバSを接続し」たものである。

(ろ)記載事項(ク)によれば,サーバSは,コンピュータ1から受信した情報をHDD8内のメンテナンス契約DB23等の各種DBに登録しており,それによって,HDD8内の各種DBに,車両の特定情報(少なくともプレート番号)と,サービスの契約期間とコース等からなるサービスの内容に係る情報が格納されている。とすれば,コンピュータ1から送信された前記情報は,車両の特定情報(少なくともプレート番号)と,サービスの契約期間とコースの情報等を含むものであると考えられる。そうすると,引用例記載のサーバSは,「コンピュータ1から送信された,プレート番号を含むとともに,サービスの契約期間とコースの情報等から構成されるサービスの内容に係る情報を受信すると,上記サービスの内容に係る情報をHDD8に記憶」するものである。

(は)記載事項(コ)によれば,サーバSは,コンピュータ2から送信されたプレート番号を受信すると,そのプレート番号でHDD8内のメンテナンス契約DB23を検索し,プレート番号に対応する対象車両のレコード(整備サービス契約の内容)があるか否かを判定し,該当するレコードがある場合には,そのレコードを読み出しているから,引用例記載のサーバSは,「コンピュータ2から送信されたプレート番号を受信すると,HDD8から,上記プレート番号に基づいて,サービスの内容に係る情報を索出する」ものである。

(に)記載事項(オ)によれば,コンピュータ1のHDD8aに設けられた車両DB14aには,車両のプレート番号,メーカ名,車名等の車両情報が記憶されている。そして,上記(い)で見たように,コンピュータ1が設置された自動車販売会社は,中古車を販売する会社であるから,当該車両情報は,中古車情報であると考えられる。そうすると,引用例記載のコンピュータ1は,「中古車情報を,コンピュータ1に備えられたHDD8a内に記憶」するものである。

(ほ)記載事項(カ)によれば,販売員によって入力装置11aからコンピュータ1に入力されたプレート番号と,サービスの契約期間とコース等からなるサービスの内容に係る情報が,サーバSに送信されており,記載事項(キ)によれば,サーバSは,そのサービスの内容に係る情報を受信し,予め用意した所定の算出式を用いて,メンテナンス料金を算出するものである。そうすると,引用例記載のコンピュータ1は,「入力装置11aから,サービスの内容に係る情報が入力されると,上記サービスの内容に係る情報を,サーバSに送信」するものであり,引用例記載のサーバSは,「上記サービスの内容に係る情報に基づいて,メンテナンス料金を算出する」ものである。

(へ)記載事項(サ)によれば,コンピュータ2は,対象車両に対する定期メンテナンスが終了すると,プレート番号や整備項目等の情報を含む通知をサーバSへ送信し,それを受けてサーバSは,それを請求DB28に請求データとして登録し,その請求データを集計することで,自動車整備・修理会社に対する納金表を作成している。そうすると,引用例記載のコンピュータ2は,「プレート番号と整備項目等の情報を含む通知をサーバSに送信」するものであり,引用例記載のサーバSは,「上記通知により整備項目等の情報を受信すると,上記情報に基づいて,自動車整備・修理会社に対する納金表を作成」するものである。

(と)記載事項(ケ)によれば,サーバSは,HDD8内のメンテナンス契約DB23及び顧客DB22を参照することで,定期メンテナンスの時期を読み出しているから,HDD8内に格納されたサービス契約の内容に係る情報には,メンテナンスの時期の情報が含まれていると考えられる。そうすると,引用例記載のサービス契約の内容に係る情報は,「定期メンテナンスの時期に関する情報を含んで」いるものである。

(ち)記載事項(ケ)によれば,サーバSは,HDD8内のメンテナンス契約DB23及び顧客DB22を参照して,定期メンテナンス時期が近づいている顧客の情報として,各データを読み出している。そうすると,引用例記載のサーバSは,「HDD8に格納されたサービス内容に係る情報のうちから,定期メンテナンスの時期が近づいているサービス内容に係る情報を索出」するものである。

(3)以上によれば,引用例には

「中古車を販売する自動車販売会社に設置された,入力装置11aを有するコンピュータ1と,自動車整備・修理会社(整備会社)に設置された,入力装置11aを有するコンピュータ2とが接続されたネットワークNに,
運営会社に設置されたCPU6およびHDD8を有するサーバSを接続し,
上記サーバSが,
上記コンピュータ1から送信された,プレート番号を含むとともに,サービスの契約期間とコースの情報等から構成されるサービスの内容に係る情報を受信すると,上記サービスの内容に係る情報をHDD8に記憶し,
上記コンピュータ2から送信されたプレート番号を受信すると,HDD8から,上記プレート番号に基づいて,サービスの内容に係る情報を索出し,
上記コンピュータ1が,中古車情報を,上記コンピュータ1に備えられたHDD8a内に記憶し,
上記コンピュータ1の上記入力装置11aから,サービスの内容に係る情報が入力されると,上記サービスの内容に係る情報を,サーバSに送信し,
上記サーバSは,上記サービスの内容に係る情報に基づいて,メンテナンス料金を算出し,
上記コンピュータ2が,
上記プレート番号と整備項目等の情報を含む通知をサーバSに送信し,
上記サーバSが,上記通知により整備項目等の情報を受信すると,上記情報に基づいて,自動車整備・修理会社に対する納金表の作成を行う方法であって,
上記サービス契約の内容に係る情報が,定期メンテナンスの時期に関する情報を含み,
上記サーバSが,HDD8に格納されたサービス内容に係る情報のうちから,定期メンテナンスの時期が近づいているサービス内容に係る情報を索出する方法。」(以下「引用発明」という。)

が記載されている。

4 対比

(1)本願補正発明と引用発明とを比較すると

ア 引用発明の「中古車」は,本願補正発明の「中古物品」に相当する。
イ 引用発明の「自動車販売会社」は,本願補正発明の「販売業者」に相当し,引用発明の「入力装置11a」は,本願補正発明の「入力手段」に相当するから,引用発明の「コンピュータ1」は,本願補正発明の「販売業者側に設置された,第1の入力手段を有する販売業者端末」に相当する。
ウ 引用発明の「自動車整備・修理会社(整備会社)」は,販売された中古車の整備・修理サービスを提供する者であるから,本願補正発明の「中古物品に関するサービスを提供するサービス業者」に相当し,引用発明の「入力装置11a」は,本願補正発明の「入力手段」に相当するから,引用発明の「コンピュータ2」は,本願補正発明の「中古物品に関するサービスを提供するサービス業者側に設置された,第2の入力手段を有するサービス業者端末」に相当する。
エ 引用発明の「自動車販売会社」と「自動車整備・修理会社(整備会社)」は,ともに個別の会社であるから,引用発明の自動車整備・修理会社(整備会社)は,「中古物品を販売する販売業者とは異なるサービス業者」であると認められる。
オ 引用発明における運営会社のサーバSは,コンピュータ1において契約されたサービスの内容に係る情報を管理し,コンピュータ2からの要求を処理するサーバであるから「販売業者端末およびサービス業者端末を管理するサービス契約管理業者側に設置された管理業者サーバ」であるといえる。そして,引用発明の「CPU6」,「HDD8」は,それぞれ「情報処理部」,「補助記憶手段」といえる。そうすると,引用発明の「サーバS」は,本願補正発明の「少なくとも上記販売業者端末および上記サービス業者端末を管理するサービス契約管理業者側に設置された,第1の情報処理部および第1の補助記憶手段を有する管理業者サーバ」に相当する。
カ 引用発明の「プレート番号」は,契約されたサービスの内容に係る情報を識別して特定するための情報であるから,本願補正発明の「識別情報データ」に相当する。
キ 引用発明における「サービスの契約期間とコースの情報等」は,本願補正発明の「サービスに関する情報」に相当する。そうすると,引用発明の「サービスの内容に係る情報」は,本願補正発明の「契約情報データ」に相当する。
ク 引用発明の「中古車情報」は,中古物品に関する情報であるから,本願補正発明の「中古物品に関する物品情報を含む中古物品情報データ」に相当する。また,引用発明の「HDD8a」は,コンピュータ1に備えられた記憶手段であるから,本願補正発明の「第2の補助記憶手段」に相当する。そうすると,後述する相違点はあるものの,引用発明と本願補正発明は,「販売業者端末が,中古物品情報データを,上記販売業者端末に備えられた第2の補助記憶手段に記憶し」ている点において共通している。
ケ 引用発明の「メンテナンス料金」は,契約するメンテナンスサービスの料金であるから,本願補正発明の「サービスの料金」に相当する。
コ 引用発明の「整備項目等の情報」は,自動車整備・修理会社において実施されたサービス作業に関する情報であるから,本願補正発明の「サービスを含む上記サービス業者により実施されたサービス作業の作業情報データ」に相当する。
サ 引用発明の「納金表」は,自動車整備・修理会社に納付する料金を含む表であると認められるから,引用発明において,「自動車整備・修理会社に対する納金表の作成を行う」処理は,本願補正発明の「サービス業者に納付する料金の算出を行う」処理に相当する。
シ 引用発明の「定期メンテナンスの時期に関する情報」は,本願補正発明の「サービスを実施する時期に関する実施予定データ」に相当する。
ス 引用発明における「定期メンテナンスの時期が近づいている」とは,定期メンテナンスの時期が現時点から所定期間内に迫っていることを意味するから,本願補正発明における「実施予定データが所定期間内である」ことに相当する。
セ 引用発明は,中古車に対するメンテナンスサービスに関する管理を行うための方法であるから,本願補正発明と同様に「中古物品サービス管理方法」であると認められる。

(2)そうすると,本願補正発明と引用発明の一致点と相違点は,次のとおりと認められる。

ア 一致点

「中古物品を販売する販売業者側に設置された,第1の入力手段を有する販売業者端末と,前記中古物品を販売する販売業者とは異なるサービス業者であって,中古物品に関するサービスを提供するサービス業者側に設置された,第2の入力手段を有するサービス業者端末とが接続されたネットワークに,
少なくとも上記販売業者端末および上記サービス業者端末を管理するサービス契約管理業者側に設置された,第1の情報処理部および第1の補助記憶手段を有する管理業者サーバを接続し,
上記管理業者サーバが,
上記販売業者端末から送信された,所定の識別情報データを含むとともに上記サービスに関する契約の情報から構成される契約情報データを受信すると,上記第1の情報処理部が上記契約情報データを上記第1の補助記憶手段に記憶し,
上記サービス業者端末から送信された上記識別情報データを受信すると,上記第1の補助記憶手段から上記識別情報データに基づいて上記契約情報データを索出し,
上記販売業者端末が,中古物品情報データを,上記販売業者端末に備えられた第2の補助記憶手段に記憶し,
上記第1の入力手段から、上記契約情報データが入力されると、上記契約情報データを上記管理業者サーバに送信し,
上記管理業者サーバが,上記契約情報データに基づいて,上記サービスの料金を算出し,
上記サービス業者端末が,
上記識別情報データおよび上記作業情報データを,上記管理業者サーバに送信し,
上記管理業者サーバが上記作業情報データを受信すると,上記作業情報データに基づいて,上記サービス業者に納付する料金の算出を行う中古物品サービス管理方法であって,
上記契約情報データが上記サービスを実施する時期に関する実施予定データを含み,前記中古物品は中古車両であり,
上記管理業者サーバが,上記第1の補助記憶手段に格納された上記契約情報データのうちから,上記実施予定データが所定期間内である上記契約情報データを索出することを特徴とする中古物品サービス管理方法。」

イ 相違点

[相違点1]本願補正発明では,中古物品情報データの第2の補助記憶手段への入力が,販売業者端末の第1の入力手段から行われているのに対し,引用発明では,それが明らかでない点。

[相違点2]本願補正発明では,サービス業者端末から管理業者サーバに送信される識別情報データと作業情報データの入力が,サービス業者端末の第2の入力手段から行われているのに対し,引用発明では,それが明らかでない点。

[相違点3]本願補正発明では,サービス業者端末に,第2の入力手段から中古車両の走行距離データと日付データとが入力されると,上記サービス業者端末が,上記走行距離データと日付データとを上記管理業者サーバに送信し,上記走行距離データと日付データとを受信した上記管理業者サーバが,上記走行距離データと日付データに基づいて,上記中古車両に関する単位時間あたりの走行距離を算出し,算出した単位時間あたりの走行距離に基づいて,索出された契約情報に含まれる実施予定データを調整しているのに対し,引用発明では,そのような処理が行われていることが明らかでない点。

5 判断

(1)相違点1,2について

コンピュータに対する情報の入力を,そのコンピュータに備えられた入力手段から行うようにすることは,コンピュータの技術分野における常套手段にすぎない。
そうすると,引用発明において,中古物品情報データ,識別情報データ及び作業情報データの入力を,入力されるコンピュータに備えられた入力手段から行うようにし,相違点1,2にかかる構成とすることは,当業者が適宜なし得たことといえる。

(2)相違点3について

特開2002-12132号公報(段落【0020】には,車両の走行履歴データに基づいて平均走行キロを算出し,更にこの平均走行キロに基づいて車両の次回の点検時期を設定することが記載されている。),特開平10-167027号公報(段落【0035】?【0037】には,車両の走行距離と日付から1月毎の平均走行距離を算出し,その算出された平均走行距離に基づいて次回点検時期を算出することが記載されている。)に見るように,入力された走行距離データと日付データに基づいて,車両の単位時間あたりの走行距離を算出し,算出した単位時間あたりの走行距離に基づいて,次回のメンテナンス時期を調整することは,当業者においては,周知の技術的事項にすぎない。
そうすると,引用発明において,かかる周知の技術的事項を適用し,サービスを実行する時期を管理する管理業者サーバにおいて,車両の単位時間あたりの走行距離に基づいて,次回のメンテナンス時期を調整するようにし,相違点3にかかる構成とすることは,当業者が適宜なし得たことといえる。

(3)したがって,本件補正発明は,引用発明及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,その作用効果も引用発明及び周知の技術的事項に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。
よって,本願補正発明は,特許法第29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6 むすび

以上の次第で,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法第126条5項の規定に違反するので,同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により,却下すべきものである。

第3 本願発明

1 本願発明の内容

以上のとおり,本件補正(平成20年5月7日に提出された手続補正書による補正)は却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,本件補正前の請求項1(平成19年10月29日に提出された手続補正書により補正された請求項1)に記載されたとおりのものであり,以下に再掲する。

「【請求項1】
中古物品を販売する販売業者側に設置された、第1の入力手段を有する販売業者端末と、中古物品に関するサービスを提供するサービス業者側に設置された、第2の入力手段を有するサービス業者端末とが接続されたネットワークに、
少なくとも上記販売業者端末および上記サービス業者端末を管理するサービス契約管理業者側に設置された、第1の情報処理部および第1の補助記憶手段を有する管理業者サーバを接続し、
上記管理業者サーバが、
上記販売業者端末から送信された、所定の識別情報データを含むとともに上記サービスに関する契約の情報から構成される契約情報データを受信すると、上記第1の情報処理部が上記契約情報データを上記第1の補助記憶手段に記憶し、
上記サービス業者端末から送信された上記識別情報データを受信すると、上記第1の補助記憶手段から上記識別情報データに基づいて上記契約情報データを索出し、
上記販売業者端末に、上記第1の入力手段から、上記中古物品に関する物品情報を含む中古物品情報データが入力されると、
上記販売業者端末が、上記中古物品情報データを、上記販売業者端末に備えられた第2の補助記憶手段に記憶し、
上記第1の入力手段から、上記契約情報データが入力されると、上記契約情報データを上記管理業者サーバに送信し、
上記管理業者サーバまたは上記販売業者端末が、上記契約情報データに基づいて、上記サービスの料金を算出し、
上記サービス業者端末が、
上記第2の入力手段から、上記契約情報データにおける上記識別情報データと、上記サービスを含む上記サービス業者により実施されたサービス作業の作業情報データとが入力されると、上記識別情報データおよび上記作業情報データを、上記管理業者サーバに送信し、
上記管理業者サーバが上記作業情報データを受信すると、上記作業情報データに基づいて、上記サービス業者に納付する料金の算出を行う中古物品サービス管理方法であって、
上記契約情報データが上記サービスを実施する時期に関する実施予定データを含み、前記中古物品は中古車両であり、
上記管理業者サーバが、上記第1の補助記憶手段に格納された上記契約情報データのうちから、上記実施予定データが所定期間内である上記契約情報データを索出し、
上記サービス業者端末に、上記第2の入力手段から上記中古車両の走行距離データと日付データとが入力されると、上記サービス業者端末が、上記走行距離データと日付データとを上記管理業者サーバに送信し、
上記走行距離データと日付データとを受信した上記管理業者サーバが、上記走行距離データと日付データに基づいて、上記中古車両に関する単位時間あたりの走行距離を算出し、算出した単位時間あたりの走行距離に基づいて、索出された契約情報に含まれる実施予定データを調整することを特徴とする中古物品サービス管理方法。」

2 判断

第2,2で述べたように,本願補正発明は,本願発明に限定的減縮を加えたものである。逆に言えば,本件補正前の発明(本願発明)は,本願補正発明から,この限定をなくしたものである。
そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,これをより限定したものである本願補正発明が,前記第2,5において検討したとおり,引用発明及び周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,当業者が容易に発明をすることができたものということができる。

3 むすび

以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができない。
したがって,その余の請求項について論及するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-09-01 
結審通知日 2010-09-07 
審決日 2010-09-21 
出願番号 特願2002-68429(P2002-68429)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 貝塚 涼  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 山本 章裕
小林 義晴
発明の名称 中古物品サービス管理方法および中古物品サービス管理システム  
代理人 川口 嘉之  
代理人 平川 明  
代理人 高田 大輔  
代理人 今堀 克彦  
代理人 和久田 純一  
代理人 松倉 秀実  

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