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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q |
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管理番号 | 1236285 |
審判番号 | 不服2009-2694 |
総通号数 | 138 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-02-05 |
確定日 | 2011-05-06 |
事件の表示 | 特願2007- 69519「情報提供システム、車載器、情報提供サーバ、プログラムおよび情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年10月 2日出願公開、特開2008-234063〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成19年3月16日の出願であって,平成20年10月15日付けで拒絶理由が通知され,同年12月2日に手続補正書及び意見書が提出され,同年12月25日付けで拒絶査定がされ,これに対し,平成21年2月5日に審判請求がされるとともに,同年3月6日に手続補正書が提出されたものである。 第2 平成21年3月6日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定 補正却下の決定の結論 本件補正を却下する。 理由 1 補正の内容 本件補正により,特許請求の範囲は,以下のように変更された。なお,下線は,補正された部分を示すものとして,手続補正書に表示されたものを援用したものである。 ≪本件補正前≫ 「【請求項1】 車両に搭載される車載器と、前記車載器と通信可能な情報提供サーバと、を備える情報提供システムであって: 前記車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行されたことを検出する検出部と; 前記処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得する、前記車載器または前記情報提供サーバのいずれか一方に設けられた施設情報取得部と; 前記施設情報取得部が取得した前記施設情報を記憶媒体に記録する、前記車載器または前記情報提供サーバの前記いずれか一方に設けられた記録部と; 前記情報提供サーバに記憶されている地図に付加され、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報、および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報から、前記記憶媒体に記録されている前記施設情報により示される施設に関する出力用情報を抽出する、前記車載器または前記情報提供サーバの前記いずれか一方に設けられた抽出部と; 前記抽出部により抽出された前記出力用情報を前記広告表示位置に対応して出力装置に出力させる出力制御部と; を備える、情報提供システム。 【請求項2】 情報提供サーバと通信可能であり、車両に搭載される車載器であって: 前記車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行されたことを検出する検出部と; 前記処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得する施設情報取得部と; 前記施設情報取得部が取得した前記施設情報を記憶媒体に記録する記録部と; 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報を記憶している情報提供サーバから前記出力用情報を取得する情報取得部と; 前記情報取得部により取得された前記出力用情報のうちで、前記記憶媒体に記録されている前記施設情報により示される施設に関する出力用情報を抽出する抽出部と; を備える、車載器。 【請求項3】 前記抽出部により抽出された前記出力用情報を出力装置に出力させる出力制御部をさらに備える、請求項2に記載の車載器。 【請求項4】 前記抽出部は、前記記憶媒体に記録されている同一施設を示す施設情報のうちで、所定の基準を満たす数だけ記録されている施設情報を判断し、該施設情報により示される施設に関する出力用情報を抽出する、請求項2に記載の車載器。 【請求項5】 前記記録部は、前記処理が実行された時刻を示す時刻情報を前記施設情報と対応付けて前記記憶媒体に記録し、 前記記憶媒体において現在時刻から設定時間の範囲外の時刻を示す時刻情報が対応付けられている施設情報を削除する管理部をさらに備える、請求項2に記載の車載器。 【請求項6】 車両に搭載される車載器と通信可能な情報提供サーバであって: 前記車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得する施設情報取得部と; 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報と、前記施設情報取得部により取得された前記施設情報とを記憶する記憶部と; 前記記憶部に記憶されている前記出力用情報から、前記記憶媒体に記録されている前記施設情報により示される施設に関する出力用情報を抽出する抽出部と; 前記抽出部により抽出された出力用情報を前記車載器に送信する送信部と; を備える、情報提供サーバ。 【請求項7】 前記抽出部は、前記記憶部に記憶されている同一施設を示す施設情報のうちで、所定の基準を満たす数だけ記憶されている施設情報により示される施設に関する出力用情報を抽出する、請求項6に記載の情報提供サーバ。 【請求項8】 前記記憶部は前記車両において前記処理が実行された時刻を示す時刻情報を前記施設情報と対応付けて記憶し、 前記記憶部において現在時刻から設定時間の範囲外の時刻を示す時刻情報が対応付けられている施設情報を削除する管理部をさらに備える、請求項6に記載の情報提供サーバ。 【請求項9】 コンピュータを、 情報提供サーバと通信可能であり、車両に搭載される車載器であって、 前記車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行されたことを検出する検出部と; 前記処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得する施設情報取得部と; 前記施設情報取得部が取得した前記施設情報を記憶媒体に記録する記録部と; 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報を記憶している情報提供サーバから前記出力用情報を取得する情報取得部と; 前記情報取得部により取得された前記出力用情報のうちで、前記記憶媒体に記録されている前記施設情報により示される施設に関する出力用情報を抽出する抽出部と; を備える車載器として機能させるための、プログラム。 【請求項10】 コンピュータを、 車両に搭載される車載器と通信可能な情報提供サーバであって、 前記車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得する施設情報取得部と; 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報と、前記施設情報取得部により取得された前記施設情報とを記憶媒体に記録する記録部と; 前記記憶媒体に記録されている前記出力用情報から、前記記憶媒体に記録されている前記施設情報により示される施設に関する出力用情報を抽出する抽出部と; 前記抽出部により抽出された出力用情報を前記車載器に送信する送信部と; を備える情報提供サーバとして機能させるための、プログラム。 【請求項11】 情報提供サーバと通信可能であり、車両に搭載される車載器において実行される情報処理方法であって: 前記車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行されたことを検出するステップと; 前記処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得するステップと; 前記施設情報を記憶媒体に記録するステップと; 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報を記憶している情報提供サーバから前記出力用情報を取得するステップと; 前記出力用情報のうちで、前記記憶媒体に記録されている前記施設情報により示される 施設に関する出力用情報を抽出するステップと; を含む、情報処理方法。 【請求項12】 車両に搭載される車載器と通信可能な情報提供サーバにおける情報処理方法であって、 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報と、を記憶媒体に記録するステップと; 前記車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得するステップと; 前記施設情報を前記記憶媒体に記録するステップと; 前記記憶媒体に記録されている前記出力用情報から、前記施設情報により示される施設に関する出力用情報を抽出するステップと; 前記記憶媒体に記録されている前記出力用情報から抽出された出力用情報を前記車載器に送信するステップと; を含む、情報処理方法。 【請求項13】 車両に搭載される車載器と、前記車載器と通信可能な情報提供サーバと、を備える情報提供システムであって: 前記車両の動作状態または環境状態を含む車両状態を検出する検出部と; 前記情報提供サーバが記憶している地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報から、前記検出部により検出された前記車両状態に応じた出力用情報を抽出する抽出部と; 前記抽出部により抽出された前記出力用情報を前記広告表示位置に対応して出力装置に 出力させる出力制御部と; を備える、情報提供システム。 【請求項14】 情報提供サーバと通信可能であり、車両に搭載される車載器であって: 前記車両の動作状態または環境状態を含む車両状態を検出する検出部と; 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報を記憶している情報提供サーバから前記出力用情報を取得する情報取得部と; 前記情報取得部により取得された前記出力用情報から、前記検出部により検出された前記車両状態に応じた出力用情報を抽出する抽出部と; を備える、車載器。 【請求項15】 前記抽出部により抽出された出力用情報が、出力装置において他の出力用情報と区別して出力されるように制御する出力制御部をさらに備える、請求項14に記載の車載器。 【請求項16】 車に搭載される車載器と通信可能な情報提供サーバであって: 前記車両の動作状態または環境状態を含む車両状態を取得する車両状態取得部と; 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報を記憶する記憶部と; 前記記憶部に記憶されている前記出力用情報から、前記車両状態取得部により取得された前記車両状態に応じた出力用情報を抽出する抽出部と; 前記抽出部により抽出された出力用情報を前記車載器に送信する送信部と; を備える、情報提供サーバ。 【請求項17】 コンピュータを、 情報提供サーバと通信可能であり、車両に搭載される車載器であって: 前記車両の動作状態または環境状態を含む車両状態を検出する検出部と; 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報を記憶している情報提供サーバから前記出力用情報を取得する情報取得部と; 前記情報取得部により取得された前記出力用情報から、前記検出部により検出された前記車両状態に応じた出力用情報を抽出する抽出部と; を備える車載器として機能させるための、プログラム。 【請求項18】 コンピュータを、 車に搭載される車載器と通信可能な情報提供サーバであって、 前記車両の動作状態または環境状態を含む車両状態を取得する車両状態取得部と; 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報を記憶媒体に記録する記録部と; 前記記憶媒体に記憶されている前記出力用情報から、前記車両状態取得部により取得された前記車両状態に応じた出力用情報を抽出する抽出部と; 前記抽出部により抽出された出力用情報を前記車載器に送信する送信部と; を備える情報提供サーバとして機能させるための、プログラム。 【請求項19】 情報提供サーバと通信可能であり、車両に搭載される車載器において実行される情報処理方法であって: 前記車両の動作状態または環境状態を含む車両状態を検出するステップと; 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報を記憶している情報提供サーバから前記出力用情報を取得するステップと; 前記出力用情報から、前記車両状態に応じた出力用情報を抽出するステップと; を含む、情報処理方法。 【請求項20】 車に搭載される車載器と通信可能な情報提供サーバにおいて実行される情報処理方法であって: 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報を記憶媒体に記録するステップと; 前記車両の動作状態または環境状態を含む車両状態を取得するステップと; 前記記憶媒体に記録されている前記出力用情報から、前記車両状態に応じた出力用情報を抽出するステップと; 前記記憶媒体に記録されている前記出力用情報から抽出された出力用情報を前記車載器に送信するステップと; を含む、情報処理方法。」 ≪本件補正後≫ 「【請求項1】 車両に搭載される車載器と、前記車載器と通信可能な情報提供サーバと、を備える情報提供システムであって: 前記車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行されたことと、前記車両の動作状態または環境状態を含む車両状態とをそれぞれ検出する検出部と; 前記処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得する、前記車載器または前記情報提供サーバのいずれか一方に設けられた施設情報取得部と; 前記施設情報取得部が取得した前記施設情報を記憶媒体に記録する、前記車載器または前記情報提供サーバの前記いずれか一方に設けられた記録部と; 前記記憶媒体に記録されている同一施設を示す施設情報のうちで、所定の基準を満たす数だけ記録されている施設情報を判断し、前記情報提供サーバに記憶されている地図に付加され、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報、および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報から、判断結果に応じた施設情報に合致する前記地図付加情報および前記広告情報が示される施設に関する出力用情報を、前記検出部により検出された前記車両状態に応じて抽出する、前記車載器または前記情報提供サーバの前記いずれか一方に設けられた抽出部と; 前記抽出部により抽出された前記出力用情報を前記広告表示位置に対応して出力装置に出力させる出力制御部と; を備える、情報提供システム。 【請求項2】 情報提供サーバと通信可能であり、車両に搭載される車載器であって: 前記車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行されたことと、前記車両の動作状態または環境状態を含む車両状態とをそれぞれ検出する検出部と; 前記処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得する施設情報取得部と; 前記施設情報取得部が取得した前記施設情報を記憶媒体に記録する記録部と; 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報を記憶している情報提供サーバから前記出力用情報を取得する情報取得部と; 前記記憶媒体に記録されている同一施設を示す施設情報のうちで、所定の基準を満たす数だけ記録されている施設情報を判断し、前記情報取得部により取得された前記出力用情報のうちで、判断結果に応じた施設情報に合致する前記地図付加情報および前記広告情報が示される施設に関する出力用情報を、前記検出部により検出された前記車両状態に応じて抽出する抽出部と; を備える、車載器。 【請求項3】 前記抽出部により抽出された前記出力用情報を出力装置に出力させる出力制御部をさらに備える、請求項2に記載の車載器。 【請求項4】 前記記録部は、前記処理が実行された時刻を示す時刻情報を前記施設情報と対応付けて前記記憶媒体に記録し、 前記記憶媒体において現在時刻から設定時間の範囲外の時刻を示す時刻情報が対応付けられている施設情報を削除する管理部をさらに備える、請求項2に記載の車載器。 【請求項5】 車両に搭載される車載器と通信可能な情報提供サーバであって: 前記車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得する施設情報取得部と; 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報と、前記施設情報取得部により取得された前記施設情報とを記憶する記憶部と; 前記記憶部に記憶されている前記出力用情報から、前記記憶部に記憶されている同一施設を示す施設情報のうちで、所定の基準を満たす数だけ記憶されている施設情報に合致する前記地図付加情報および前記広告情報が示される施設に関する出力用情報を抽出する抽出部と; 前記抽出部により抽出された出力用情報を前記車載器に送信する送信部と; を備える、情報提供サーバ。 【請求項6】 前記記憶部は前記車両において前記処理が実行された時刻を示す時刻情報を前記施設情報と対応付けて記憶し、 前記記憶部において現在時刻から設定時間の範囲外の時刻を示す時刻情報が対応付けられている施設情報を削除する管理部をさらに備える、請求項5に記載の情報提供サーバ。 【請求項7】 コンピュータを、 情報提供サーバと通信可能であり、車両に搭載される車載器であって、 前記車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行されたことと、前記車両の動作状態または環境状態を含む車両状態とをそれぞれ検出する検出部と; 前記処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得する施設情報取得部と; 前記施設情報取得部が取得した前記施設情報を記憶媒体に記録する記録部と; 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報を記憶している情報提供サーバから前記出力用情報を取得する情報取得部と; 前記記憶媒体に記録されている同一施設を示す施設情報のうちで、所定の基準を満たす数だけ記録されている施設情報を判断し、前記情報取得部により取得された前記出力用情報のうちで、判断結果に応じた施設情報に合致する前記地図付加情報および前記広告情報が示される施設に関する出力用情報を、前記検出部により検出された前記車両状態に応じて抽出する抽出部と; を備える車載器として機能させるための、プログラム。 【請求項8】 コンピュータを、 車両に搭載される車載器と通信可能な情報提供サーバであって、 前記車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得する施設情報取得部と; 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報と、前記施設情報取得部により取得された前記施設情報とを記憶媒体に記録する記録部と; 前記記憶媒体に記録されている前記出力用情報から、前記記憶媒体に記録されている同一施設を示す施設情報のうちで、所定の基準を満たす数だけ記憶されている施設情報に合致する前記地図付加情報および前記広告情報が示される施設に関する出力用情報を抽出する抽出部と; 前記抽出部により抽出された出力用情報を前記車載器に送信する送信部と; を備える情報提供サーバとして機能させるための、プログラム。 【請求項9】 情報提供サーバと通信可能であり、車両に搭載される車載器において実行される情報処理方法であって: 前記車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行されたことと、前記車両の動作状態または環境状態を含む車両状態とをそれぞれを検出するステップと; 前記処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得するステップと; 前記施設情報を記憶媒体に記録するステップと; 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報を記憶している情報提供サーバから前記出力用情報を取得するステップと; 前記記憶媒体に記録されている同一施設を示す施設情報のうちで、所定の基準を満たす数だけ記録されている施設情報を判断し、前記出力用情報のうちで、判断結果に応じた施設情報に合致する前記地図付加情報および前記広告情報が示される施設に関する出力用情報を、検出された前記車両状態に応じて抽出するステップと; を含む、情報処理方法。 【請求項10】 車両に搭載される車載器と通信可能な情報提供サーバにおける情報処理方法であって、 地図に付加される、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報と、を記憶媒体に記録するステップと; 前記車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得するステップと; 前記施設情報を前記記憶媒体に記録するステップと; 前記記憶媒体に記録されている前記出力用情報から、前記記憶媒体に記録されている同一施設を示す施設情報のうちで、所定の基準を満たす数だけ記憶されている施設情報に合致する前記地図付加情報および前記広告情報が示される施設に関する出力用情報を抽出するステップと; 前記記憶媒体に記録されている前記出力用情報から抽出された出力用情報を前記車載器に送信するステップと; を含む、情報処理方法。」 2 本件補正の補正目的の適否 本件補正は,本件補正前の請求項1において,検出部における検出対象として「車両の動作状態または環境状態を含む車両状態」を加えることで,検出部の構成を限定するとともに,抽出部における出力用情報の抽出処理を,「記憶媒体に記録されている同一施設を示す施設情報のうちで,所定の基準を満たす数だけ記録されている施設情報を判断し」,「判断結果に応じた」施設情報に「合致する前記地図付加情報および前記広告情報が」示される施設に関する出力用情報を,「前記検出部により検出された前記車両状態に応じて」抽出するものと具体化することで,抽出部の構成を限定して,補正後の請求項1とし, 本件補正前の請求項6において,抽出部における出力用情報の抽出処理を,「記憶部に記憶されている同一施設を示す施設情報のうちで,所定の基準を満たす数だけ記憶されている施設情報に合致する前記地図付加情報および前記広告情報が」示される施設に関する出力用情報を抽出するものと具体化することで,抽出部の構成を限定して,補正後の請求項5とし, 本件補正前の請求項2,9,11において,前記補正後の請求項1と同様の趣旨の補正を行うことにより,補正後の請求項2,7,9とし, 本件補正前の請求項10,12において,前記補正後の請求項5と同様の趣旨の補正を行うことにより,補正後の請求項8,10とし, 本件補正前の請求項3,5,8を,補正後の請求項3,4,6とし, さらに,補正前の請求項4,7,13?20を削除するものである。 したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号及び第2号に規定する請求項の削除及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するといえる。 そこで,次に,本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(独立特許要件)について,検討する。 3 引用例の記載内容と引用発明 (1)原査定の拒絶理由に引用された,本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である特開2005-249606号公報(平成17年9月15日出願公開。以下「引用例」という。)には,図とともに,次の記載がある。なお,下線は当審で付加したものである。 (ア)「【0011】 以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明する。 【0012】 図1?図20はこの発明の実施例を示すものである。図1において、2は情報配信装置である。 【0013】 この情報配信装置2は、情報を表示する情報表示装置4と、情報提供装置6と通信する通信手段8と、この通信手段8を介して情報提供装置6からデータを受信し前記情報表示装置4に表示する制御手段10とを備えている。 【0014】 また、前記情報配信装置2に、GPS(Global Positioning System、「全地球位置把握システム」ともいう。)アンテナ12を接続したナビゲーションシステム14を配設するとともに、前記制御手段10には、操作キー16を接続して設ける。 【0015】 このとき、前記情報表示装置4や通信手段8、制御手段10、GPSアンテナ12、ナビゲーションシステム14、操作キー16は、図1に示す如く、図示しない車両側に搭載される。 【0016】 そして、前記制御手段10は、前記情報提供装置6から受信したデータを選別する選別手段18を備え、この選別手段18により選別された情報のみ表示し、前記選別手段18は、前記情報提供装置6から受信したデータを、少なくともユーザの使用状況により変化する固有情報を用いて設定された選別条件を含む複数の選別条件から構成された第1選別手段20により選別し、かつこの第1選別手段20により抽出された情報を、少なくとも数値化手段22と比較手段24から構成された第2選別手段26により表示出力可能な状態に選別する構成とする。 【0017】 詳述すれば、図1及び図2に示す如く、前記制御手段10に選別手段18を設け、この選別手段18に第1選別手段20と第2選別手段26とを設けるとともに、第2選別手段26には少なくとも数値化手段22と比較手段24とを設けるものである。 【0018】 そして、前記第2選別手段26は、図2に示す如く、第1選別手段20の選別条件毎に選別された情報を、ユーザの現在の状況、及びユーザの閲覧履歴、ユーザの走行状況、ユーザの目的地の内のいずれかを利用して数値化する数値化手段22と、数値化された情報同士を比較し表示情報を決定する比較手段24とを備えている。 【0019】 また、前記選別条件18は、ユーザが情報を表示させる頻度、ユーザの走行状況、ユーザの現在の状況、ユーザの目的地から選択される。」 (イ)「【0022】 そして、前記情報表示装置4は、配信された情報の見出しを表示する見出し画面30と、この見出し画面において選択された情報の内容を表示する詳細画面(図示せず)とから構成され、前記見出し画面30に表示される見出しには、表示される情報の選別に応じて設定された選別マークが付加される。 【0023】 つまり、前記情報表示装置4は、前記ナビゲーションシステム14の地図及び配信された情報を表示する表示インタフェースであり、ユーザの見る情報には見出し画面30と詳細画面(図示せず)とがある。」 (ウ)「【0027】 また、前記情報提供装置6は、情報データサーバと換言することができるとともに、車両外に設けられる。 【0028】 そして、この前記情報提供装置6は、配信される情報(「データ」ともいう。)を、以下のようなデータ形式で蓄積している。なお、今回のものは、情報ソースを広告としたものである。 a)情報データの形式:配信する情報 1)広告主名(店舗名) 2)所在地 3)広告ジャンル 4)休業日(固定週:「毎週月曜」とか) 5)休業日(その他:「12月29日?1月3日」とか) 6)営業時間(例:10時?20時30分の場合 → 10:00-20:30) 7)有効期限(開始日 例 2003-08-28 09:00:00 ← 分と秒の部分は常に00です) 8)有効期限(終了日) 9)配信対象:年代 記述例:10代以下、10代、30代、50代 → 0135 10)配信対象:性別 記述例:12 → 男、女 11)広告タイプ 12)希望配信時間帯 13)店舗の緯度 14)店舗の経度 15)表示形式 16)見出し 17)広告タイトル 18)サブタイトル 19)広告内容 20)写真 21)ロゴ」 (エ)「【0031】 そして、前記制御手段10は、中央処理演算装置と換言することができるとともに、以下の如き5つの構成を有している。 (1)外部に備え付けた情報データサーバである前記情報提供装置6からインターネットを使って情報データをダウンロードする機能を持つ。 (2)携帯電話等の前記通信手段8を接続し、外部とデータ通信(「インターネット」ともいう。)を行う機能を持つ。 (3)外部から得られた情報データを選別し、前記情報表示装置4に表示させる機能を持つ。 (4)情報を閲覧したり、消去した履歴を格納するためのデータベースを持つ。 (5)過去の走行履歴(「位置情報」ともいう。)を格納するデータベースを持つ。 【0032】 前記制御手段10に接続される操作キー16は、表示する情報を選別したり、表示された情報を操作するためのものである。」 (オ)「【0033】 例えば、この操作キー16は、図4に示す如く、12個の第1?第12操作キー16-1?16-12を有するとともに、以下の如き機能を有する。 (略) ・第10操作キー16-10 「到着」の機能を有し、目的地に着いたとき、走行を終えるときに使用されるものである。そして、押した後、到着地・到着施設の候補が表示されるため、自分が来た到着地・利用する施設名を選択することとなる。」 (カ)「【0038】 ここで、ルールの補完説明である詳細例(No.1?No.19)を以下に開示する。 (略) <No.2> <ルール> 立ち寄り頻度が高い施設の広告を優先させる。 <第1次選別)> 走行頻度に応じて20個の施設を取り出す。 ・全体の50%(10個)までは走行頻度の高い順に施設を選出(つまり頻度順で10位までの施設) ・残りの50%(10個)は、選択されていない施設(上記で選択されたものより走行頻度が低い施設)からランダムに選出 *ここで取り出された施設の広告を検索する。 <第2次選別> 1.取得する広告の条件を取り出す(上記の項目参照)。 2.今、サーバから取得してきた広告の施設が何位に入っているかを調べる。 3.条件の中に入っていた場合は、「9/順位+1」がスコアとなる。そうでない場合は、スコアは「1」となる。 (略) <No.17> <ルール> ユーザがよくスーパーに行く時間帯にスーパーの広告を優先させる。 <第1次選別> 特になし。 <第2次選別> 1.サーバから取得してきた広告のジャンルがスーパーである場合のみ、以下のようにスコアを与える。スーパー以外の場合はスコアを「1」とする。 2.各時間帯(1日を6つに分割している)におけるスーパーへの立ち寄り頻度の分散を求める(計算:([各時間帯の頻度]-[全時間帯の頻度の平均値(以下、「アベレージ」あるいは「average」という。)])の2乗の和)。 3.分散の値が2以上の場合、時間帯によってスーパーへの立ち寄り頻度が大きく変化すると見なし、「4」へ、そうでない場合は、あまり時間帯による変化は見られないと見なし、「5」へ。 4.現在の時間帯におけるスーパーへの立ち寄り頻度がアベレージより高い場合は、「1+1・a」がスコアとなる。低い場合は、「1-0.9・b」がスコアとなる。 5.現在の時間帯におけるスーパーへの立ち寄り頻度がアベレージより高い場合は、「1+0.2・a」がスコアとなる。低い場合は、「1-0.5・b」がスコアとなる。 *「a」、「b」について ・「a」=([現在の時間帯の頻度]-[アベレージ])/([立ち寄り頻度が最も高い時間帯の頻度]-[アベレージ]) ・「b」=([現在の時間帯の頻度]-[アベレージ])/([立ち寄り頻度が最も低い時間帯の頻度]-[アベレージ])」 (キ)「【0054】 そして、この操作キー16の「到着」の機能を有する第10操作キー16-10を押したか否かの判断(A144)において、判断(A144)がYESの場合には、ユーザは到着地を登録する処理(A146)を行った後に、エンジンを停止したか否かの判断(A148)に移行し、判断(A144)がNOの場合には、エンジンを停止したか否かの判断(A148)に直接移行し、このエンジンを停止したか否かの判断(A148)がNOの場合には、上述した広告配信処理(A108)に戻り、判断(A148)がYESの場合には、操作フロー用のプログラムの終了(A150)に移行する。」 (ク)「【0072】 なお、参考までに、図8の第2選別用のフローチャートに関して付記すると、第2選別は、情報データサーバである情報提供装置6からn件の情報を取得した後、スコアリングという方法を利用して表示用にp件の選択を行う。具体的には、ルールにユーザ情報を適用して得た条件に当てはまった場合に、その情報へシステム内で定義したスコアを与える。なお、システムで使用しているルールは複数あるため、最終的なスコアは全ルールを適用した結果得られるスコアの合計となる。 【0073】 そして、上述した<ルール><No.1>?<ルール><No.19>までのルールの補完説明による例では、第1選別には、ルール13個が用いられるとともに、第2選別には、ルール19個が用いられ、第1選別でセレクトしたn件のデータにおいて、1件毎に第2選別に用いるルール全てを適用して数値化(スコア算出)する。」 (2)ここで,記載事項(カ)によると,第1選別の一例として,立ち寄り頻度が高い施設の広告を優先させるために,走行頻度の高い順に施設を選出するルールを採用することが開示されているから,引用例における「第1選別手段20」は,「走行頻度に基づいて,立ち寄り頻度が高い施設の広告を選択する」ものであるといえる。 また,記載事項(ク)によると,第2選別は,スコアリングという方法を利用して表示用にp件の選択を行うものであり,記載事項(カ)によると,第2選別の一例として,現在の時間帯が1日を6つに分割している各時間帯のうちどの時間帯に含まれるかによって,広告のジャンルがスーパーである情報に対して与えるスコアを決定するルールを採用することが開示されているから,引用例における「第2選別手段26」は,受信データを,「現在の時間帯によって決定されるスコアに応じて表示用に選択する」ものであるといえる。 (3)そうすると,引用例には, 「情報を表示する情報表示装置4と,情報提供装置6と通信する通信手段8と,この通信手段8を介して情報提供装置6からデータを受信し前記情報表示装置4に表示する制御手段10とを備える情報配信装置2と, 情報データサーバと換言することができる車両外に設けられる前記情報提供装置6とからなるシステムにおいて, 前記情報配信装置2に,GPSアンテナ12を接続したナビゲーションシステム14を配置するとともに,前記制御手段10には,操作キー16を接続して設け, 前記情報表示装置4や通信手段8,制御手段10,GPSアンテナ12,ナビゲーションシステム14,操作キー16は,車両側に搭載され, 前記制御手段10は,前記情報提供装置6から受信したデータを選別する選別手段18を備え,この選別手段18により選別された情報のみ表示し,前記選別手段18は,前記情報提供装置6から受信したデータを,少なくともユーザの使用状況により変化する固有情報を用いて設定された選別条件を含む複数の選別条件から構成された第1選別手段20により選別し,かつこの第1選別手段20により抽出された情報を,少なくとも数値化手段22と比較手段24から構成された第2選別手段26により表示出力可能な状態に選別する構成とし, 前記制御手段10は,過去の走行履歴(「位置情報」ともいう。)を格納するデータベースを持ち, 前記情報提供装置6は,1)広告主名(店舗名),13)店舗の緯度,14)店舗の経度,16)見出し,17)広告タイトル,18)サブタイトル,19)広告内容,20)写真,21)ロゴを含む配信される情報(「データ」ともいう。)を蓄積しており, 前記操作キー16の「到着」の機能を有する第10操作キー16-10を押したか否かの判断において,判断がYESの場合には,ユーザは到着地を登録する処理を行うものであり,押した後,到着地・到着施設の候補が表示されるため,自分が来た到着地・利用する施設名を選択するものであり, ここで,第1選別手段20は,走行頻度に基づいて,立ち寄り頻度が高い施設の広告を選択するものであり,第2選別手段26は,現在の時間帯によって決定されるスコアに応じて表示用に選択することで,ユーザがよくスーパーに行く時間帯にスーパーの広告を優先させることができるものであり, 前記情報表示装置4は,前記ナビゲーションシステム14の地図及び配信された情報を表示する表示インタフェースである ことを特徴とするシステム。」(以下「引用発明」という。) が記載されていると認められる。 4 対比・判断 (1)本願補正発明と引用発明とを比較する。 (ア)引用発明において,情報表示装置4や通信手段8,制御手段10,GPSアンテナ12,ナビゲーションシステム14で構成される情報配信装置2は,車両側に搭載されているから,引用発明の「情報配信装置2」は,本願補正発明の「車両に搭載される車載器」に相当する。 (イ)引用発明では,情報配信装置2は,通信手段8を介して情報提供装置6からデータを受信しているから,引用発明の「情報提供装置6」は,本願補正発明の「車載器と通信可能な情報提供サーバ」に相当する。 (ウ)引用発明において,情報配信装置2と情報提供装置6からなるシステムは,情報配信装置のユーザに対して情報を提供するためのシステムであるから,本願補正発明と同様に「情報提供システム」であるといえる。 (エ)引用発明では,情報配信装置2において,第10操作キー16-10の押下により,ユーザが自分の利用する施設名を選択しているから,引用発明の情報配信装置2は,かかる選択処理が行われたことを検出してユーザが利用した施設の施設名を取得しているといえる。そうすると,引用発明のシステムは,本願補正発明と同様に,「車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行されたこと」を「検出する検出部」を備えているといえる。 (オ)引用発明では,情報配信装置2に設けられた第2選別手段26において,ユーザがよくスーパーに行く時間帯にスーパーの広告を優先させるために,現在の時間帯に関する情報を参照している。そうすると,引用発明の情報配信装置2に,現在の時間帯を検出する機構が具備されていることは,自明である。そして,引用発明にいう「現在の時間帯」は,本願補正発明にいう「車両の環境情報」に相当する情報である。ここで,本願補正発明にいう「車両の動作状態または環境情報」は,「車両の動作状態」若しくは「車両の環境情報」のいずれかであればこれにあたるから,引用発明の「現在の時間帯」は,本願補正発明の「車両の動作状態または環境情報」に相当するといえる。そうすると,引用発明の情報配信装置2は,本願補正発明と同様に,「車両の動作状態または環境状態を含む車両状態」を「検出する検出部」を備えているといえる。 (カ)引用発明では,情報配信装置2において,第10操作キー16-10の押下により,表示される到着地・到着施設の候補から,ユーザが自分が来た到着地・利用する施設名を選択しているから,第10操作キー16-10が押下された到着地に存在する施設の施設名が,情報配信装置2に取得されていると認められる。とすれば,引用発明の情報配信装置2には,処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得する施設情報取得部が具備されているといえる。ここで,本願補正発明にいう「前記処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得する,前記車載器または前記情報提供サーバのいずれか一方に設けられた施設情報取得部」は,「前記処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得する施設情報取得部」が,「車載器」若しくは「情報提供サーバ」のいずれかに具備されていればこれにあたるから,引用発明のシステムは,本願補正発明と同様に,「前記処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得する,前記車載器または前記情報提供サーバのいずれか一方に設けられた施設情報取得部」を備えているといえる。 (キ)引用発明における「過去の走行履歴を格納するデータベース」は,車両の走行に関する履歴を格納するものであるから,引用発明において,車両の走行に関する履歴である登録された到着地の施設の施設名は,当該「過去の走行履歴を格納するデータベース」に記録されると考えるのが自然である。ここで,本願補正発明にいう「前記施設情報取得部が取得した前記施設情報を記憶媒体に記録する,前記車載器または前記情報提供サーバの前記いずれか一方に設けられた記録部」は,「前記施設情報取得部が取得した前記施設情報を記憶媒体に記録する記録部」が,「車載器」若しくは「情報提供サーバ」のいずれかであって,施設情報取得部と同一の側に具備されていればこれにあたるから,引用発明における「過去の走行履歴を格納するデータベース」は,本願補正発明の「前記施設情報取得部が取得した前記施設情報を記憶媒体に記録する,前記車載器または前記情報提供サーバの前記いずれか一方に設けられた記録部」に相当する。 (ク)引用発明において情報提供装置6に蓄積され,情報配信装置2によって受信される情報は,情報表示装置4において表示出力される情報であるから,本願補正発明と同様に「情報提供サーバに記憶されている」,「出力用情報」であるといえる。そして,引用発明における当該情報の内,13)店舗の緯度,14)店舗の経度の情報は,施設である店舗の位置を示す情報であるから,本願補正発明の「施設の位置の情報を含む属性」に相当し,16)見出し,17)広告タイトル,18)サブタイトル,19)広告内容,20)写真,21)ロゴの情報は,広告に関する情報であり,本願補正発明の「広告情報」に相当する。そうすると,引用発明において情報提供装置6に蓄積され,情報配信装置2によって受信される情報は,「情報提供サーバに記憶されている」,「施設の位置の情報を含む属性」及び「広告情報」を含む「出力用情報」であるといえるから,本願補正発明の「前記情報提供サーバに記憶されている地図に付加され,施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報,および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報」と「前記情報提供サーバに記憶されている,施設の位置の情報を含む属性,および広告情報を含む出力用情報」である点において共通している。 (ケ)引用発明の第1選別手段における,走行頻度に基づいて,立ち寄り頻度が高い施設の広告を選択する処理は,立ち寄り頻度が高いという基準を満たす施設(即ち,走行履歴を参照して同一施設を示す施設情報の登録数が,相対的に多いという基準を満たす施設)を判断し,受信した受信データの中から当該施設に対応する受信データを抽出する処理であるから,後述するように,抽出のための基準の内容についての相違点はあるものの,本願補正発明の抽出部の処理と「前記記憶媒体に記録されている同一施設を示す施設情報のうちで,所定の基準を満たす施設情報を判断」し,「判断結果に応じた施設情報に合致する出力用情報を」,「抽出する」処理を行う点において共通している。 (コ)前記(オ)で見たように,引用発明の「現在の時間帯」は,本願補正発明の「検出部により検出された車両状態」に相当するから,引用発明において,第1選別手段20により抽出された情報を,さらに第2選別手段26において,現在の時間帯によって決定されるスコアに応じて表示用に選択する処理は,後述するように,出力用情報の内容及びデータ形式についての相違点はあるものの,本願補正発明における抽出部の処理と「判断結果に応じた施設情報に合致する施設に関する出力用情報を,前記検出部により検出された前記車両状態に応じて抽出する」処理である点において共通している。 (サ)前記(ケ)及び(コ)で見たように,情報配信装置2の第1選別手段20及び第2選別手段26による処理が,相違点はあるものの,本願補正発明の「抽出手段」による処理に相当するから,第1選別手段20及び第2選別手段26からなる引用発明の情報配信装置2の選別手段18は,本願補正発明の「抽出部」に相当する。ここで,本願補正発明にいう「前記車載器または前記情報提供サーバの前記いずれか一方に設けられた抽出部」は,「抽出部」が,「車載器」若しくは「情報提供サーバ」のいずれかであって,施設情報取得部と同一の側に具備されていればこれにあたるから,引用発明のシステムは,本願補正発明と同様に,「前記車載器または前記情報提供サーバの前記いずれか一方に設けられた抽出部」を備えているといえる。 (シ)引用発明における「情報表示装置4」は,情報を表示することで出力する装置であるから,本願補正発明の「出力装置」に相当する。 (ス)引用発明では,情報配信装置2において,配信された情報が情報表示装置4に表示されているから,情報配信装置2は,配信された情報を情報表示装置4に表示させるための出力制御部を備えているものと認められる。そうすると,引用発明の情報配信装置2は,本願補正発明と「抽出部により抽出された前記出力用情報を出力装置に出力させる出力制御部」を具備する点において共通している。 (2)そうすると,本願補正発明と引用発明の一致点と相違点は,次のとおりと認められる。 ア 一致点 「車両に搭載される車載器と,前記車載器と通信可能な情報提供サーバと,を備える情報提供システムであって: 前記車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行されたことと,前記車両の動作状態または環境状態を含む車両状態とをそれぞれ検出する検出部と; 前記処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得する,前記車載器または前記情報提供サーバのいずれか一方に設けられた施設情報取得部と; 前記施設情報取得部が取得した前記施設情報を記憶媒体に記録する,前記車載器または前記情報提供サーバの前記いずれか一方に設けられた記録部と; 前記記憶媒体に記録されている同一施設を示す施設情報のうちで,所定の基準を満たす記録されている施設情報を判断し,前記情報提供サーバに記憶されている,施設の位置の情報を含む属性,および広告情報を含む出力用情報から,判断結果に応じた施設情報に合致する出力用情報を,前記検出部により検出された前記車両状態に応じて抽出する,前記車載器または前記情報提供サーバの前記いずれか一方に設けられた抽出部と; 前記抽出部により抽出された前記出力用情報を出力装置に出力させる出力制御部と; を備える,情報提供システム。」 イ 相違点 [相違点1]本願補正発明では,出力用情報が,地図に付加されるものであって,施設の位置の情報を含む属性及び広告情報に加えて,前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれており,更に,当該出力用情報のデータ形式が,施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報と,前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報とで構成され,出力装置における出力が,前記広告表示位置に対応して出力されているのに対し,引用発明では,それが明らかでない点。 [相違点2]本願補正発明では,記録媒体に記録されている同一施設を示す施設情報のうちで,抽出する施設情報を判断する基準として,所定の基準を満たす数だけ記録されているかどうかという基準を採用しているのに対し,引用発明では,そうではない点。 (3)判断 (ア)相違点1について 車載された装置において出力される出力用情報に,広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報を含ませ,前記広告表示位置に対応して出力させることで,地図に付加されたものとすることは,車載器における広告表示の技術分野では,周知の技術的事項にすぎない。例えば,特開2005-25461号公報には,ユーザが搭乗する車両に搭載されている装置(段落【0025】参照)において広告を表示させるにあたり,広告情報に第1エリアを記録した広告領域情報を含ませ(段落【0027】参照),ユーザの現在位置が前記広告領域情報の第1エリアに含まれる場合に,前記広告情報に含まれる広告画像をディスプレイに提示するようにする(段落【0044】参照)ことが,記載されている。 そして,情報を構成するにあたり,どのようなデータ形式でこれを構成するかは,当業者が必要に応じて適宜選択し得る程度のことであるから,引用発明において上記周知の技術的事項を適用することによって,施設の位置の情報を含む属性及び広告情報に加えて広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報を含ませて出力用情報を構成するにあたり,本願補正発明のごときデータ形式にて構成することは,当業者において格別の困難性を有することではない。 そうすると,引用発明に,上記周知の技術的事項を適用して,相違点1に係る構成とすることは,当業者が適宜なし得たことといえる。そして,その効果も,当業者が予想し得る範囲のものである。 (イ)相違点2について 車載された装置において出力する出力用情報として,どの施設に関するものを抽出するかの基準を,利用者が,所定の回数以上利用したこととすることは,例えば,国際公開第2006/126496号パンフレットに見るように(段落【0044】,【0048】,【0049】には,車載器において,表示出力する施設情報を抽出するにあたり,使用頻度が5回以上の施設に関する施設情報を抽出することが記載されている。),周知の技術的事項にすぎない。 そうすると,引用発明において,上記周知の技術的事項を適用することにより,抽出する施設情報を判断する基準として,所定の回数以上利用したかという基準を採用し,記憶媒体に記録されている同一施設を示す施設情報のうちで,所定の基準を満たす数だけ記録されている施設を抽出する施設情報を判断するようにし,相違点2に係る構成とすることは,当業者が適宜なし得たことといえる。そして,その効果も,当業者が予想し得る範囲のものである。 5 まとめ 以上の次第で,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法第126条5項の規定に違反するので,同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により,却下すべきものである。 第3 本願発明 1 本願発明の内容 以上のとおり,本件補正(平成21年3月6日に提出された手続補正書による補正)は却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,本件補正前の請求項1(平成20年12月2日に提出された手続補正書により補正された請求項1)に記載されたとおりのものであり,以下に再掲する。 「【請求項1】 車両に搭載される車載器と、前記車載器と通信可能な情報提供サーバと、を備える情報提供システムであって: 前記車両において施設情報を取得するための所定の処理が実行されたことを検出する検出部と; 前記処理が実行された位置に存在する施設を示す施設情報を取得する、前記車載器または前記情報提供サーバのいずれか一方に設けられた施設情報取得部と; 前記施設情報取得部が取得した前記施設情報を記憶媒体に記録する、前記 車載器または前記情報提供サーバの前記いずれか一方に設けられた記録部と; 前記情報提供サーバに記憶されている地図に付加され、施設の位置の情報を含む属性と前記施設に対応付けられた広告情報を表示させる広告表示位置を示す位置情報とが含まれる地図付加情報、および前記施設とスポンサーの情報とに対応付けられた広告情報を含む出力用情報から、前記記憶媒体に記録されている前記施設情報により示される施設に関する出力用情報を抽出する、前記車載器または前記情報提供サーバの前記いずれか一方に設けられた抽出部と; 前記抽出部により抽出された前記出力用情報を前記広告表示位置に対応して出力装置に出力させる出力制御部と; を備える、情報提供システム。」 2 判断 第2,2で述べたように,本願補正発明は,本願発明に限定的減縮を加えたものである。逆に言えば,本件補正前の発明(本願発明)は,本願補正発明から,この限定をなくしたものである。 そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,これをより限定したものである本願補正発明が,前記第2,4において検討したとおり,引用発明及び周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,当業者が容易に発明をすることができたものということができる。 3 むすび 以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができない。 したがって,その余の請求項について論及するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-03-07 |
結審通知日 | 2011-03-08 |
審決日 | 2011-03-22 |
出願番号 | 特願2007-69519(P2007-69519) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06Q)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山崎 誠也 |
特許庁審判長 |
井上 正 |
特許庁審判官 |
須田 勝巳 小林 義晴 |
発明の名称 | 情報提供システム、車載器、情報提供サーバ、プログラムおよび情報処理方法 |
代理人 | 亀谷 美明 |
代理人 | 亀谷 美明 |