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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1250622 |
審判番号 | 不服2009-23261 |
総通号数 | 147 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-03-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-11-27 |
確定日 | 2012-01-19 |
事件の表示 | 特願2004-291304「コンテンツ・マネジメント・システム及びコンテンツ・マネジメント方法、並びにコンピュータ・プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 4月20日出願公開、特開2006-107020〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成16年10月4日の出願であって、その特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年11月27日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「 【請求項1】 複数の機器に蓄積されている多数のコンテンツを管理するコンテンツ・マネジメント・システムであって、 コンテンツの探索モード並びにコンテンツの検索条件を指定するコマンド入力手段と、 無限の宇宙空間を準えた2次元又は3次元的な表示形態の画面フォーマットを生成する画面フォーマット生成手段と、 指定された検索条件に従って、コンテンツが蓄積されている複数の機器を探索するコンテンツ探索手段と、 前記コンテンツ探索手段により取り出された各コンテンツに関する情報を前記画面フォーマットの宇宙空間上の星にそれぞれマッピングして表示出力するように制御するコンテンツ提示手段と、 前記画面フォーマットの前記宇宙空間上で星をユーザ操作によりドラッグするドラッグ手段と、 前記宇宙空間中心から所定の半径の範囲内で且つ所定の角度内の領域にマッピングされたコンテンツ群をグループとして登録するグループ登録手段と、 を具備し、 前記コンテンツ探索手段は、 ユーザがコンテンツを探索する何ら目的を持たない場合にランダムなコンテンツ探索を行なう無目的探索モードと、目的若しくは検索条件が指定された目的別探索モードを備え、 無目的探索モード下ではランダムに検索条件を生成し又は検索条件とは無関係にコンテンツの抽出を行ない、 目的別探索モード下では、前記コマンド入力手段を介して入力された検索条件に基づいてコンテンツを抽出し、 前記コンテンツ提示手段は、星にマッピングされた各コンテンツの宇宙空間の中心からの距離や星同士の距離、中心からの方向、画像の大きさを、検索条件との適合性やユーザの嗜好とのマッチング度に基づいて調整する、 ことを特徴とするコンテンツ・マネジメント・システム。」 ただし、上記請求項1中の「前記コンテンツ提示手段は、星にマッピングされた各コンテンツの宇宙空間の中心からの距離や星同士の距離、中心からの方向、画像の大きさを、検索条件との適合性やユーザの嗜好とのマッチング度に基づいて調整する」という発明特定事項(以下、「発明特定事項A」という。)は、その文言のみからは、「『前記コンテンツ提示手段』が、『星にマッピングされた各コンテンツ』の、『宇宙空間の中心からの距離』、『星同士の距離』、『中心からの方向』、『画像の大きさ』、の内の少なくとも一つを、『検索条件との適合性』、『ユーザの嗜好とのマッチング度』の内の少なくとも一つに基づいて調整するものであること」(以下、「要件A」という。)を規定したものなのか、「『星にマッピングされた各コンテンツ』の、『宇宙空間の中心からの距離』、『星同士の距離』、『中心からの方向』、『画像の大きさ』、それぞれの全てを、『検索条件との適合性』、『ユーザの嗜好とのマッチング度』の両方に基づいて調整するものであること」(以下、「要件B」という。)を規定したものなのか、それ以外の事項を規定したものなのか、が定かでないが、本審決では、以下の事情を考慮し、要件Aを規定したものであると解釈する。 (1)発明の詳細な説明中には、発明特定事項Aに対応すると思われる記載事項として、 「 【0023】 宇宙空間の中心から星までの距離は、検索条件とその星に割り付けられたコンテンツとのマッチング度を表している。宇宙空間を3次元表示することにより、マッチング度を基に多次元的にコンテンツをマッピングすることができる。星にマッピングされた各コンテンツの宇宙空間の中心からの距離や星同士の距離、中心からの方向、画像の大きさなどに、検索条件との適合性やユーザの嗜好とのマッチング度などの意味を持たせることもできる。」 「 【0067】 例えば、ビデオを選択すると、コンテンツ提供空間上でビデオ・コンテンツに限定して探索が行なわれ、その結果が画面表示される。図7には、ビデオ・コンテンツの探索結果を表示した画面の構成例を示している。図示の例では、抽出された各ビデオ・コンテンツの代表フレーム(若しくはジャケットのイメージ)が宇宙空間を準えた背景画面にマッピングされる。星にマッピングされた各コンテンツの宇宙空間の中心からの距離や星同士の距離、中心からの方向、画像の大きさなどに、検索条件との適合性やユーザの嗜好とのマッチング度などの意味を持たせることもできる。」 といった記載があるが、これらの記載事項以外には発明特定事項Aに対応すると思われる記載事項は見当たらない。 (2)発明特定事項Aが要件Aを規定したものであると解釈した場合には、発明の詳細な説明の記載が上記のようなものであっても格別の問題は生じないが、要件Bを規定したものであると解釈した場合には、特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)の観点で、問題が生じる。なぜならば、「『星にマッピングされた各コンテンツ』の、『宇宙空間の中心からの距離』、『星同士の距離』、『中心からの方向』、『画像の大きさ』、のそれぞれが、『検索条件との適合性』、『ユーザの嗜好とのマッチング度」の両方に基づいてどのように調整され得るのかは、具体的な説明がなくても当業者が理解することができるような当業者にとって自明な事項とは認められず、発明特定事項Aが要件Bを規定したものである場合には、発明の詳細な説明の記載は、当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえないからである。 (3)発明の詳細な説明の記載全体や、出願経過における意見書や審判請求書、回答書の主張を精査しても、発明特定事項を要件Aとは異なる要件を規定したものと解すべき理由は見当たらない。 2.引用例記載の発明 (1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-216651号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 「【請求項1】 ユーザと情報源を結び付けるための情報を提供する情報媒介システムにおいて;通信網に接続された複数の情報源と;通信網に接続された情報媒介装置と;通信網を介して情報媒介装置に接続可能なクライアント装置とを有し、 該情報媒介装置は、複数の情報源から情報を収集する情報収集部と、該収集した情報を解析することにより、一又は複数の指標と該指標を基準とする情報源の相関関係を示す情報を生成する解析部とを有し、 該クライアント装置は、該情報媒介装置から情報源の相関関係を所定の指標に基づいて表示するためのデータを受け取り、これに基づいてユーザと情報源を結び付けるための情報を表示することを特徴とする情報媒介システム。」 「【0002】 【従来の技術】近年の通信技術の発展とその一般社会への浸透に伴い、WWW(World Wide Web、以下「インターネット」)上での情報源が増加している。情報源の例としては、たとえば複数人数参加型知的活動体(複数人がインターネットを介して相互に情報を交換する場をいい、例えば、インターネット上の電子掲示板(BBS)システムやチャットシステムになどのインターネットの上にもうけられたネットワーク・コミュニティ(以下では単にコミュニティという))や、その他映像、絵画、音楽などを扱うサイトなど様々なコンテンツを扱うものが登場してきている。このような情報源の総数が膨大になるに従い、その膨大な数の情報源からユーザが自己の価値観に合致する情報源を探すことの困難さが増しており、その結果、ユーザの求めている情報源を効率良く表示するための仕組みの必要性が高まっている。」 「【0019】本発明は、ネット上に存在する複数の情報源106を、その情報源が持つ情報価値104に基づいて表示するものである。たとえば、表示の際の、類似性に基づいた規則性に関しても、先に掲げた特開2001-155063「思考系の解析方法および解析装置」に挙げられる解析方法の例を利用することにより、同傾向の情報価値104を持つ情報源106を表すオブジェクトを近傍になるように配置したり、あるいは同じ直線上に並ぶように配置したりする。」 「【0022】請求項1に記載の発明は、通信網に接続された複数の情報源と、通信網に接続された情報媒介装置と、通信網を介して情報媒介装置に接続可能なクライアント装置とを有する。該情報媒介装置は、複数の情報源から情報を収集し、該収集した情報を解析することにより、前記情報価値に相当する一又は複数の指標と該指標を基準とする情報源の相関関係を示す情報を生成する。 【0023】「情報源」とは、ユーザがアクセスし、閲覧可能なすべての種類の情報ソースをいい、たとえば電子掲示板サーバ、Webサイトなどである。情報源は、掲示板のように文字を扱うものだけでなく、絵画、映像、画像などの非言語情報を扱うものであっても良い。絵画などの非言語情報を扱う場合には、それに附されるコメント(すなわち、自然文)があるならばそのコメントを解析対象としても良いし、あるいは画像解析プログラムなどを用いて画像情報から、絵画のタッチ、全体の色のイメージ等の情報を抽出して、指標に従ってプロットするということも本発明では可能である。たとえば、シャープなタッチ、暖かいタッチという指標(第1の評価軸)と、明るい色彩、暗い色彩という指標(第2の評価軸)とをそれぞれX軸、Y軸としてそれぞれの画像データをプロットするという適用も、本発明では可能である。 【0024】情報源の相関関係は、1又は複数の指標を座標軸とする座標として与えられても良い。 【0025】クライアント装置は、情報媒介装置から一又は複数の指標と、該指標を基準とする情報源の相関関係を示す情報を含むデータを受け取り、情報源相互の相関関係をユーザが理解しやすい態様で表示する。表示態様としては、1又は複数の指標を座標軸とする3次元空間内に、情報源を表すオブジェクトを該座標軸に従って配置する方法などが考えられる。指標を決定する場合、対象となるすべての情報源を解析する必要はなく、その部分集合たる情報源から指標を導出し、該指標に基づいてすべてのサイトの相関関係を表示するようにしても良い。たとえば、情報源が100万個ある場合に、該100万個の中から1万個をランダムサンプリングし、該1万個の情報源に基づいて指標を決定しても良い。」 「【0059】[クライアント装置204における情報価値空間の表示方法の例]情報源104(本実施の形態では掲示板)の情報価値及び情報源相互の相関関係を導出するために、対象とする多数の情報源全体の情報価値の体系が形成する情報価値空間を考える。情報価値空間の導出には、情報源が含む第一義的な情報を用いることが考えられ、情報源104として掲示板を扱う場合には、対象とする掲示板の発言内容を解析要素として用い、例えば、特開2001-155063「思考系の解析方法および解析装置」に挙げられる解析方法を利用することが考えられる。また前記特許公開公報記載の方法により、求められた情報価値空間上に個々の情報源表示オブジェクトを(例えば1つの掲示板を1つのオブジェクトとして表示することとし)それぞれの情報源が有する情報価値の相関関係に応じた位置に布置することができる。このようにして布置された情報源表示オブジェクトは、類似若しくは近似した情報価値を持つもの同士が近傍に布置されて表示される。 【0060】この表示方法により、ユーザはある1つの情報源(掲示板)を閲覧等することにより、その情報源表示オブジェクトの近傍に配置される他の情報源表示オブジェクトに対応する情報源の情報価値を類推することができる。 【0061】また、この表示方法は、近傍の情報源表示オブジェクトに対応する情報価値を代表する道標データを表示することにより、ユーザがその道標データの近傍にある情報源表示オブジェクトによって示される情報源の情報価値を容易に知ることができる。これにより、ユーザが欲する情報価値を有する情報源を見つけだすことおよびそれに伴う発見的探索を支援することを可能とする。 【0062】また、情報源表示オブジェクトの布置された規則性をユーザに視覚的に示すガイドデータを情報源表示オブジェクトと合わせて表示することにより、ユーザがその規則性を直感的に把握できるようにする。 【0063】上記のように情報媒介サーバ202は、ユーザと情報源を結びつけるための情報を得て、これをクライアント装置204に提供する。クライアント装置204は、提供された情報をメインコントローラ702で処理し、表示部307によってユーザが認識できるように表示する。以下に本実施の形態におけるユーザと情報源を結びつけるための情報の表示方法およびその方法によって実現されるグラフィカルユーザインターフェイスについて説明する。 【0064】図12は、本実施形態において表示される情報価値空間の例を示す図である。この例において、情報価値空間は3次元の空間(宇宙空間)に模して表示されている。3次元宇宙空間1201内には、複数の情報源(本例では掲示板)が存在しており、各情報源は銀河もしくは星を模した情報源表示オブジェクト1202として表示されている。情報源表示オブジェクト1202は、それぞれ形状、大きさ、回転速度、色彩などの属性を有しており、これら属性は情報源表示オブジェクト1202に対応する情報源の特徴を表現するものである。たとえば、形状はその情報源の新鮮度を表し、大きさはその情報源の構成員数を表し、回転速度はその情報源の活性度(所定期間における投稿数など)を表す、などのようにユーザに直感的にわかりやすい表現方法をとることが好ましい。また、3次元宇宙空間1201において、ユーザ視点は自由に変更できるようになっており、ユーザは自己の好む位置および方向から3次元宇宙空間1201に配置された情報源表示オブジェクト1202を観察等することができるようになっている。たとえば任意方向に自由に移動したり、視線方向を自由に変更したりできるようにして該空間に含まれる情報源表示オブジェクト1202を自由に観察できるようにする。 【0065】図13は、ガイドデータを含む情報価値空間の表示例を示す図である。同図において、情報価値空間1301内に、情報源表示オブジェクト1202が配置されているとともに、ガイドデータであるチューブ1303と、道標データを表す基底語ラベル1302が配置されている。 【0066】例えば前記特開2001-155063「思考系の解析方法および解析装置」に挙げられる解析方法に挙げられる方法によれば、同傾向の情報価値を持つ情報源表示オブジェクトが1つの直線上に並ぶような布置が可能である。この場合にその直線を示すガイドデータとしてチューブ1303を表示することにより、情報価値空間1301内に布置された情報源表示オブジェクト1202それぞれの傾向の方向性が分かりやすい表示方法を提供することができる。たとえば、ユーザは同一チューブ1303周辺の情報源表示オブジェクト1202を選択することによって共通した情報価値を有する複数の情報源を容易に発見することが可能となる。また、ユーザは自分のユーザ価値観に合致する道標1302を多数発見できる領域において情報源表示オブジェクト1202を選択することによって、自己のユーザ価値観に合致した情報価値を有する情報源を容易に発見することが可能となる。 【0067】また、前述のように各情報源表示オブジェクト1202の色、形状、テクスチャ、回転速度などの非言語的な属性を用いて、対応する情報源の状態(例えば活性度や新鮮度など)をユーザに視覚的に表示することによって、ユーザが直感的に情報源の状態を把握することを可能としている。」 「【0070】[グラフィカルユーザインターフェイスの構成例]次に、クライアント装置204の表示部307により提供されるグラフィカルユーザインタフェイス(以下、GUIという)の構成例について図15から図18を参照しながら説明する。図15は、情報媒介サーバ202によって提供されるユーザと情報源を結び付けるための情報を、クライアント装置204によって表示させるためのGUIの構成例を示す図であり、図16は、情報価値空間表示領域1502および全体表示領域1503を説明するための概念図、図17は、情報源定点観測領域の構成例を示す図、図18は視点クリッピング領域の構成例を示す図である。図15に示す構成例において、ウインドウ1501内にはユーザと情報源を結び付けるための情報を表示するGUIが生成されており、該GUIは、情報価値空間表示領域1502と、全体表示領域1503と、視界操作用領域1504と、検索用入力領域1505と、情報源定点観測領域1506と、属性表示領域1507と、視点クリッピング領域1508を有している。 【0071】情報価値空間表示領域1502は、ユーザによって指定された視界における情報価値空間を表示する機能を有する。情報価値空間表示領域1502は、視界内に含まれる情報源表示オブジェクト1202、道標データ1302、ガイドデータ1303をそれぞれの位置関係に従って表示し、たとえば図12,図13に示すような3次元仮想空間を表示する。なお、道標データ1302、ガイドデータ1303は必ずしも表示しなくともよく、ユーザの選択により表示・非表示を切り替えるようにしても良い。 【0072】情報源表示オブジェクト1202は、その外観が対応する情報源の属性・特性を表すようになっている。例えば情報源の新鮮度に応じて、その情報源表示オブジェクト1202の形状を、三角錐、立方体、多面体とするようにしても良い。また、該情報源の活性度に応じて、情報源表示オブジェクト1202の回転を変化させ、あるいは回転を停止させるようにしても良い。また、一例としてユーザが閲覧済みの情報源を示す情報源表示オブジェクト1202を所定の色(例えば赤)にするようにしても良い。また、別の例として検索用入力領域1505からの検索にヒットした情報源を示す情報源表示オブジェクト1202は、他の情報源表示オブジェクト1202の輝度よりも高い輝度を持たせるようにしても良い。なお、情報源の属性・特性を示す情報源表示オブジェクト1202の外観は、上記のような外観要素に限られるものではなく、クライアント装置204によって表現可能ないずれの外観要素を用いても良い。たとえば、情報源表示オブジェクト1202の色彩・明度・輝度、情報源表示オブジェクト1202に張り付ける模様・テクスチャ、情報源表示オブジェクト1202の明滅速度、その脈動のリズム、情報源表示オブジェクト1202の回転方向など様々な外観要素を用いて情報源の属性・特性を示すことが考えられる。」 「【0079】つぎに、検索用入力領域1505について説明する。検索用入力領域1505は、ユーザから検索ワードを受け付けるための領域である。受け付けた検索ワードは情報媒介サーバ202の検索部707に渡され、検索部707では該検索ワードを含む情報源を特定し、これをクライアント装置204に通知する。クライアント装置204では、該通知された情報源に対応する情報源表示オブジェクト1202を所定の方法でユーザに表示する。所定の方法としては、該オブジェクトを特定の色彩に変更したり、明滅させたりするなどが考えられる。 【0080】次に、定点観測領域1506について説明する。定点観測領域1506は、ユーザが継続して観察したい情報源表示オブジェクト1202を記録する機能を有する。図17は、定点観測領域1506の構成例を示す。定点観測領域1506は、1又は複数の記録領域1701を有しており、情報源表示オブジェクト1202をポインティングデバイスでいずれかの記録領域1701迄ドラッグ等の操作を行うことによって、該情報源表示オブジェクト1202のコピーあるいはさらに詳細な情報を伴った表示形態の表示オブジェクトが領域1506内に生成され、記憶される。この定点観測領域1506に表示される情報源表示オブジェクト1202は、情報媒介サーバ202の最新の情報に応じて表示されるようになっており、対応する情報源の変化に応じた状態が示される。これにより、ユーザは操作用領域1504を用いて情報価値空間を移動せずとも、定点観測領域1506を参照することによって随時情報源表示オブジェクト1202を観察しあるいはアクセスすることが可能となる。また、詳細な情報を伴った表示形態を見ることにより詳細な情報を知ることができる。ここで、より詳細な情報を伴った表示形態の例としては、該情報源表示オブジェクト1202より細かい段階で回転速度に変換して表示すること等が挙げられる。」 「【0085】[本形態の変形例]本実施形態は、情報源として絵画、映像、画像、動画、音声ファイルをユーザ価値観に応じてユーザに表示・再生するシステムとして使用することも可能である。また絵画、映像、画像、動画などの内容を視覚的に表示する情報を情報源表示オブジェクトとして用いれば、情報源表示オブジェクト自体が道標データとして機能しうるので、別途道標データをしなくともユーザの発見的探索を支援することが可能である。 【0086】[その他]なお、本発明で扱うことのできる情報源は、電子掲示板システム等の情報サイトに限られるものでなくその他の情報であっても良い。また、情報媒介サーバ202によって解析される情報としては、掲示板における投稿文のような「自然文」が考えられるが、自然文の代わりにもしくは自然文とともに画像、絵画、映像(カットやシーンなどを解析要素にする)、音楽(アーティストや歌詞などを解析要素にする)などの非言語的要素をコミュニケーションの手段として用いるコミュニティ、もしくは非言語的要素そのものにも応用可能である。」 そして、上記各記載事項を引用例1の図面と技術常識に照らせば、以下のことがいえる。 ア.【請求項1】、段落【0002】、【0019】、【0085】、【0086】、図19の記載等から明らかなように、引用例1でいう「情報媒介システム」は、複数の機器に蓄積されている多数の「コンテンツ」といい得るものを管理対象とすることも想定したものであるから、該「情報媒介システム」は、「複数の機器に蓄積されている多数のコンテンツを管理するコンテンツ・マネジメント・システム」といい得るものを当然に含んでいる。 イ.段落【0079】の記載等から明らかなように、上記「情報媒介システム」はユーザが指定した検索条件に応じた検索も可能なものであるから、該「情報媒介システム」は、当然に、「コンテンツの検索条件を指定するコマンド入力手段」といい得る手段と「指定された検索条件に従って、コンテンツが蓄積されている複数の機器を探索するコンテンツ探索手段」といい得る手段を有している。 ウ.段落【0064】、【0072】、【0079】や図12の記載等から明らかなように、上記「情報媒介システム」は宇宙空間を模した3次元の空間に検索結果としての情報源表示オブジェクトを配した表示が可能なものであるから、該「情報媒介システム」は、当然に、「無限の宇宙空間を準えた2次元又は3次元的な表示形態の画面フォーマットを生成する画面フォーマット生成手段」といい得る手段と、「前記コンテンツ探索手段により取り出された各コンテンツに関する情報を前記画面フォーマットの宇宙空間上の星にそれぞれマッピングして表示出力するように制御するコンテンツ提示手段」といい得る手段も有している。 エ.段落【0080】の記載等から明らかなように、上記「情報媒介システム」は、ユーザが上記「宇宙空間を模した3次元の空間に配した情報源表示オブジェクト」を「定点観測領域」にドラッグすることで、当該ドラッグした「情報源表示オブジェクト」を定点観測対象のグループとして登録することも可能なものであるから、「前記画面フォーマットの前記宇宙空間上で星をユーザ操作によりドラッグするドラッグ手段」といい得る手段と、「コンテンツ群をグループとして登録するグループ登録手段」といい得る手段も有している。 オ.段落【0019】、【0064】、図13の記載等から明らかなように、上記「コンテンツ提示手段」といい得る手段は、「星にマッピングされた各コンテンツの星同士の距離や、中心からの方向、画像の大きさを、コンテンツ同士の類似性やコンテンツの特徴に基づいて調整」し得るものである。 したがって、引用例1には、以下の発明(以下、「引用例1記載発明」という。)が記載されているといえる。 「複数の機器に蓄積されている多数のコンテンツを管理するコンテンツ・マネジメント・システムであって、 コンテンツの検索条件を指定するコマンド入力手段と、 無限の宇宙空間を準えた2次元又は3次元的な表示形態の画面フォーマットを生成する画面フォーマット生成手段と、 指定された検索条件に従って、コンテンツが蓄積されている複数の機器を探索するコンテンツ探索手段と、 前記コンテンツ探索手段により取り出された各コンテンツに関する情報を前記画面フォーマットの宇宙空間上の星にそれぞれマッピングして表示出力するように制御するコンテンツ提示手段と、 前記画面フォーマットの前記宇宙空間上で星をユーザ操作によりドラッグするドラッグ手段と、 コンテンツ群をグループとして登録するグループ登録手段と、 を具備し、 前記コンテンツ提示手段は、星にマッピングされた各コンテンツの、星同士の距離や中心からの方向、画像の大きさを、コンテンツ同士の類似性やコンテンツの特徴に基づいて調整する、 コンテンツ・マネジメント・システム。」 (2)原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-202975号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0026】図6は、図3で示したGUIを用いて静止画像データを検索する手順を示したフローチャートである。前述のとおり、初期状態では一覧表示部305には検索対象の静止画像データ全ての中からランダムに選ばれた25枚の静止画像データのサムネイルが表示されている。 【0027】ステップS601で、検索したい静止画像データのメタデータに含まれるキーワードを既に知っていて入力すべきキーワードが明確に一意に決まっている場合はステップS602に進む。ステップS602では、検索属性入力部301より属性を入力し、検索キーワード入力部302で検索キーワードを入力する。これにより、入力されたキーワードと、その属性が検索条件として設定される。この後、ステップS607に進み、設定された検索条件にある画像を検索する。 【0028】一方、ステップS601で、検索キーワードが明確に決まっていない場合は、ステップS603に進む。ステップS603では、一覧表示部305に表示されているサムネイルを見て、例えば検索したい静止画像データと同じシチュエーションで撮影した静止画像データがあるかどうかを探す。検索したい静止画像データと同じシチュエーションで撮影した静止画像データが一覧に無い場合は、ステップS604に進み、別のサムネイル一覧表示を行うべく、リロードボタン311を押して、ランダムに選択された別な25枚のサムネイルを得る。」 「【0034】以上のような処理及び操作を実現するためのシステムの処理の流れは、例えば図7のようになる。」 そして、上記記載事項を引用例2の図面と技術常識に照らせば、以下のことがいえる。 ア.図7に示される処理手順を実現する手段は、「コンテンツ探索手段」ともいい得るものである。 イ.同図7のS701で表示する初期画面中のサムネイルは、ユーザが検索条件を入力する前に検索対象の静止画像データ全ての中からランダムに選ばれる静止画のサムネイルであり、当該静止画をランダムに選ぶモードは、本願発明の「無目的探索モード」に相当するものである。 ウ.同図7のS708で行われる「データ検索」は、ユーザが入力した検索条件に基づいてコンテンツを抽出する処理であり、当該データ検索を実行するモードは、本願発明の「目的別探索モード」に相当するものである。 したがって、引用例2には、以下の発明(以下、「引用例2記載発明」という。)が記載されているといえる。 「ユーザがコンテンツを探索する何ら目的を持たない場合にランダムなコンテンツ探索を行なう無目的探索モードと、目的若しくは検索条件が指定された目的別探索モードを備え、無目的探索モード下ではランダムに検索条件を生成し又は検索条件とは無関係にコンテンツの抽出を行ない、目的別探索モード下では、前記コマンド入力手段を介して入力された検索条件に基づいてコンテンツを抽出する、コンテンツ探索手段。」 (3)原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-350793号公報(以下、「引用例3」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0010】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術では、ある識別子を基準(中心)として、関連性の高い順に中心に近い同心円上に表示することで、基準識別子に対する個々の識別子の関連性は把握することができるが、同一又は異なる同心円間における識別子間の関連性がわらりづらい。この場合、ある基準に基づいて識別子をグループ分けして、円周方向に分割されたそれぞれの領域内に表示するようにしているが、このグループ分けは、基準識別子との関連性はなく、また、このグループ間の2つ以上の識別子の距離は、関連性と対応していない。」 「【0064】以下に本実施の形態の作用を図6のフローチャートに従い説明する。 【0065】まず、ステップ100では、操作者の操作によって基準文書30(文書A)の指定がなされると、ステップ102へ移行してこの基準文書Aに基づいて基準文書Aに対する関連のある文書を検索する。 【0066】次いで、ステップ104では、基準文書Aとの関連度合いを演算し、ステップ106へ移行して、検索した文書30の数と関連度合いに基づいて基準文書Aを中心とする同心円32の数を設定する。 【0067】次のステップ108では、検索された全文書30の相互間の関連度合いを演算する。この演算は、前述の(1)式(又は(1’)式)及び(2)式(又は(2’)式)の演算によって実行される。 【0068】全文書30の相互間の関連度合いの演算が終了すると、ステップ110へ移行して各文書の同心円上への位置付けがなされる。すなわち、検索マップ部34上での座標を決定する。 【0069】次のステップ112では、決定した座標に基づいて検索マップ部34へ各文書30のアイコン(アクセスシンボル)を表示する。 【0070】表示された各文書30は、当然基準文書Aを中心とする同心円32C1?32C5上に配置されているため、この基準文書Aとの関連度合いは、視覚的に一目瞭然となり、操作者は所望の文書を検索することができる。 【0071】ここで、本実施の形態では、さらに同心円32上の配置された、すなわち、基準文書Aに基づいて検索された文書30間は、その同心円32上において、関連度合いが高ければ高いほど、より接近した状態で表示される。例えば、同心円32C2において、文書C、D、Nは、折り重なるように表示されている。これは、これにより、文書C、D、Nが互いに関連性が高いことが視覚的に認識できる。 【0072】一方、同心円32C3では、文書EとJとが、同心円32C3上において、最も離れた状態で表示されている。これにより、文書EとJとが、関連性が低いことが認識できる。 【0073】すなわち、基準文書Aに対してほど同程度の関連度合いを持つ同一の同心円32上に位置する各文書30の相互間の関連度合いも視覚的に認識することができる。 【0074】また、本実施の形態では、異なる同心円の文書、例えば、32C3の文書Jと、同心円32C4の文書Kとは互いに接近した状態で表示される。これにより、文書Aの関連度合いは異なるが、両者(文書Jと文書K)の関連度合いは高いことが認識できる。 【0075】一方、同心円32C4の文書Kと同心円32C5の文書Fの関係のように、最も離れた位置に表示される両者は、文書Aとの関連度合いは同心円において、1つ分の差であるが、互いの関連度合いはそれ以上に低いことが認識できる。 【0076】このように、本実施の形態では、検索マップ部34上において、文書Aを基準とした関連度合いのみならず、表示された全ての文書(同心円同士、異なる同心円同士の両方を含む)の相互間の関連度合いも視覚的に表現しており、全ての文書の体系的な位置付けを視覚的に把握することができるようになっている。」 そして、上記記載事項を引用例3の図面と技術常識に照らせば、以下のことがいえる。 ア.図4に例示される表示画面の表示形態は、「宇宙空間を準えた2次元的な表示形態」ともいい得、図5に示される各文書のアイコン(アクセスシンボル)は、「宇宙空間上の星にマッピングされたコンテンツ」ともいい得、該図4の表示画面を表示するための手段は、「コンテンツ提示手段」ともいい得るものである。 イ.段落【0065】の記載等から明らかなように、上記記載事項中の「基準文書A」は、操作者が選択した「検索条件」の一種であり、段落【0066】でいう「基準文書Aとの関連度合い」は、「検索条件との適合性」ともいい得るものである。 ウ.段落【0074】?【0076】の記載等から明らかなように、上記記載事項で示される実施の形態においては、相互の関連度合いが高い文書は、異なる同心円間であっても相互に近い位置に表示されるが、このことは、相互の関連度合いが高い文書は、中心からの方向が相互に近くなるように調整されることをも意味している。 したがって、引用例3には、以下の発明(以下、「引用例3記載発明」という。)が記載されているといえる。 「星にマッピングされた各コンテンツの宇宙空間の中心からの距離や星同士の距離、中心からの方向を、検索条件との適合性等に基づいて調整する、コンテンツ提示手段。」 3.対比 本願発明と引用例1記載発明を対比すると、両者の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「複数の機器に蓄積されている多数のコンテンツを管理するコンテンツ・マネジメント・システムであって、 コンテンツの検索条件を指定するコマンド入力手段と、 無限の宇宙空間を準えた2次元又は3次元的な表示形態の画面フォーマットを生成する画面フォーマット生成手段と、 指定された検索条件に従って、コンテンツが蓄積されている複数の機器を探索するコンテンツ探索手段と、 前記コンテンツ探索手段により取り出された各コンテンツに関する情報を前記画面フォーマットの宇宙空間上の星にそれぞれマッピングして表示出力するように制御するコンテンツ提示手段と、 前記画面フォーマットの前記宇宙空間上で星をユーザ操作によりドラッグするドラッグ手段と、 コンテンツ群をグループとして登録するグループ登録手段と、 を具備する、 コンテンツ・マネジメント・システム。」である点。 (相違点1) 本願発明の「コンテンツ探索手段」は、「ユーザがコンテンツを探索する何ら目的を持たない場合にランダムなコンテンツ探索を行なう無目的探索モードと、目的若しくは検索条件が指定された目的別探索モード」を備えるものであり、「無目的探索モード下ではランダムに検索条件を生成し又は検索条件とは無関係にコンテンツの抽出を行ない、目的別探索モード下では、前記コマンド入力手段を介して入力された検索条件に基づいてコンテンツを抽出」するものであるのに対し、引用例1記載発明の「コンテンツ探索手段」は、そのようなものではない点。 (相違点2) 本願発明の「コンテンツ提示手段」は、「星にマッピングされた各コンテンツの宇宙空間の中心からの距離や星同士の距離、中心からの方向、画像の大きさを、検索条件との適合性やユーザの嗜好とのマッチング度に基づいて調整する」ものであるのに対し、引用例1記載発明の「コンテンツ提示手段」は、そのようなものであるとは限らない(引用例1には、「星にマッピングされた各コンテンツの宇宙空間の中心からの距離や星同士の距離、中心からの方向、画像の大きさ」を、「検索条件との適合性やユーザの嗜好とのマッチング度に基づいて」調整するものであることの明示的記載がない。)点。 (相違点3) 本願発明の「グループ登録手段」は、「前記宇宙空間中心から所定の半径の範囲内で且つ所定の角度内の領域にマッピングされたコンテンツ群をグループとして登録」するものであるのに対し、引用例1記載発明の「グループ登録手段」は、「前記宇宙空間中心から所定の半径の範囲内で且つ所定の角度内の領域にマッピングされたコンテンツ群をグループとして登録」するものではない点。 4.当審の判断 (1)(相違点1)について 以下の事情を勘案すると、引用例1記載発明において、上記(相違点1)に係る本願発明の構成を採用すること、すなわち、引用例1記載発明の「コンテンツ探索手段」を、「ユーザがコンテンツを探索する何ら目的を持たない場合にランダムなコンテンツ探索を行なう無目的探索モードと、目的若しくは検索条件が指定された目的別探索モード」を備えるものであり、「無目的探索モード下ではランダムに検索条件を生成し又は検索条件とは無関係にコンテンツの抽出を行ない、目的別探索モード下では、前記コマンド入力手段を介して入力された検索条件に基づいてコンテンツを抽出」するもの、とすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。 ア.引用例2記載発明は、コンテンツ探索に関する技術であるという意味において、引用例1記載発明と共通の技術分野に属するものである。 イ.引用例2記載発明が、引用例1記載発明のコンテンツ探索手段としても有用かつ採用可能であることは、当業者に自明である。 ウ.以上のことは、取りも直さず、引用例1記載発明の「コンテンツ探索手段」を、「ユーザがコンテンツを探索する何ら目的を持たない場合にランダムなコンテンツ探索を行なう無目的探索モードと、目的若しくは検索条件が指定された目的別探索モード」を備えるものであり、「無目的探索モード下ではランダムに検索条件を生成し又は検索条件とは無関係にコンテンツの抽出を行ない、目的別探索モード下では、前記コマンド入力手段を介して入力された検索条件に基づいてコンテンツを抽出」するもの、とすることが当業者にとって容易であったことを意味している。 (2)(相違点2)について 以下の事情を勘案すると、引用例1記載発明において、上記(相違点2)に係る本願発明の構成を採用すること、すなわち、引用例1記載発明の「コンテンツ提示手段」を、「星にマッピングされた各コンテンツの宇宙空間の中心からの距離や星同士の距離、中心からの方向、画像の大きさを、検索条件との適合性やユーザの嗜好とのマッチング度に基づいて調整する」ものとすることも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。 ア.引用例3記載発明は、コンテンツ探索に関する技術であって、検索結果を宇宙空間を準えた2次元的な表示形態で表示するものであるという意味において、引用例1記載発明と共通の技術分野に属するものである。 イ.引用例3記載発明が、引用例1記載発明のコンテンツ提示手段としても有用かつ採用可能であることは、当業者に自明である。 ウ.以上のことは、引用例1記載発明に引用例3記載発明を適用すること、換言すれば、引用例1記載発明の「コンテンツ提示手段」を、「星にマッピングされた各コンテンツの宇宙空間の中心からの距離や星同士の距離、中心からの方向、を、検索条件との適合性等に基づいて調整する」ものとすることが当業者にとって容易であったことを意味するが、そのことは、上記「1.」の「ただし、」以下で述べた解釈によれば、引用例1記載発明の「コンテンツ提示手段」を、「星にマッピングされた各コンテンツの宇宙空間の中心からの距離や星同士の距離、中心からの方向、画像の大きさを、検索条件との適合性やユーザの嗜好とのマッチング度に基づいて調整する」ものとすることが当業者にとって容易であったことも意味する。 なお、上記(相違点2)についての判断は、上記「1.」の「ただし、」以下で述べた解釈、換言すれば、「発明特定事項Aは、『画像の大きさ』を調整することや、調整を『ユーザの嗜好とのマッチング度』に基づいて行うことまでは要件としていない」という解釈を前提としたものであるが、仮に、「発明特定事項Aは、『画像の大きさ』を調整することも、調整を『ユーザの嗜好とのマッチング度』に基づいて行うことも、要件とするものである。」という解釈を採用したとしても、上記(相違点2)についての判断の結論は変わらない。 なぜならば、以下の事情を勘案すると、引用例1記載発明に引用例3記載発明を適用するにあたり、「画像の大きさ」をも調整するようにしたり、調整を「ユーザの嗜好とのマッチング度」に基づいても行うようにすることも、当業者が容易に推考し得たことと考えられるからである。 (ア)所望の情報を提示すべく「画像の大きさ」を調整することは引用例1記載発明で既に行われていることであり、引用例1記載発明に引用例3記載発明を適用したものにおいても、該「画像の大きさ」を調整するという情報の提示手法が有用かつ採用可能であることは、当業者に自明である。 (イ)「ユーザの嗜好とのマッチング度」といえるものを検索結果の情報の提示に反映させることは、本願明細書に何らの具体的説明もなく単に「ユーザの嗜好とのマッチング度などの意味を持たせる」との記載があることや、前置報告書に「引用文献5」として提示された特開2003-141165号公報の【従来の技術】を説明した箇所に含まれる段落【0011】に「ユーザの嗜好データ」に関する記載があること等から見て、本願出願前に周知であったと認められ、引用例1記載発明に引用例3記載発明を適用したものにおいても該周知の技術が有用かつ採用可能であることも、当業者に自明である。 (3)(相違点3)について 以下の事情を勘案すると、引用例1記載発明において、上記(相違点3)に係る本願発明の構成を採用すること、すなわち、引用例1記載発明において、「グループ登録手段」を、「前記宇宙空間中心から所定の半径の範囲内で且つ所定の角度内の領域にマッピングされたコンテンツ群をグループとして登録」するものとすること、あるいは、引用例1記載発明に「前記宇宙空間中心から所定の半径の範囲内で且つ所定の角度内の領域にマッピングされたコンテンツ群をグループとして登録するグループ登録手段」といえるものを新たに設けることも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。 ア.上記「2.」の「(1)」の「エ.」の説示から明らかなように、引用例1記載発明の「グループ登録手段」は、具体的には、ユーザが「定点観測対象」として選択したコンテンツをグループとして登録するものであるが、「定点観測対象」として選択したコンテンツを画面のどの部分に配置するかは、当業者が適宜決定し得る事項である。 イ.引用例1の段落【0066】や図13の記載や引用例3記載発明に照らせば、引用例1記載発明ないしは引用例1記載発明に引用例3記載発明を適用したものにおいて、相互に関連したコンテンツが「宇宙空間中心から所定の半径の範囲内で且つ所定の角度内の領域に」配置されるようにすることは当業者が容易に推考し得たことである。 ウ.相互に関連したコンテンツをまとめて定点観測の対象とするのが望ましい場合があることは、当業者に自明である。 エ.以上のことは、取りも直さず、引用例1記載発明において、「グループ登録手段」を、「前記宇宙空間中心から所定の半径の範囲内で且つ所定の角度内の領域にマッピングされたコンテンツ群をグループとして登録」するものとすることが当業者にとって容易であったことを意味している。 オ.引用例3の段落【0010】の記載からも明らかなように、検索結果における相互に関連するコンテンツをグループとして登録することは、上記引用例1における「定点観測対象」に限らず、必要に応じて適宜行われていることであるから、引用例1記載発明における「グループ登録手段」とは別に「相互に関連したコンテンツをグループとして登録するグループ登録手段」といい得るものを設けることも当業者が適宜なし得たことである。 カ.上記「イ.」と「オ.」の事情は、引用例1記載発明に「前記宇宙空間中心から所定の半径の範囲内で且つ所定の角度内の領域にマッピングされたコンテンツ群をグループとして登録するグループ登録手段」といえるものを新たに設けることが当業者にとって容易であったことを意味している。 (4)本願発明の効果について 本願発明の構成によってもたらされる効果は、引用例1?3の記載事項や周知の事項から当業者が容易に予測し得た効果の域を出るものとはいえず、本願発明の進歩性を根拠付けるに足りるものとはいえない。 (5)まとめ 以上によれば、本願発明は、引用例1?3に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1?3に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-11-16 |
結審通知日 | 2011-11-22 |
審決日 | 2011-12-06 |
出願番号 | 特願2004-291304(P2004-291304) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 梅本 達雄、長谷川 篤男、池田 聡史 |
特許庁審判長 |
小曳 満昭 |
特許庁審判官 |
岩崎 伸二 間野 裕一 |
発明の名称 | コンテンツ・マネジメント・システム及びコンテンツ・マネジメント方法、並びにコンピュータ・プログラム |
代理人 | 宮田 正昭 |
代理人 | 山田 英治 |
代理人 | 佐々木 榮二 |
代理人 | 澤田 俊夫 |
代理人 | 特許業務法人大同特許事務所 |