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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1263310
審判番号 不服2011-23913  
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-07 
確定日 2012-09-13 
事件の表示 特願2010- 93649「携帯端末装置及び制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 8月19日出願公開、特開2010-182334〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成18年1月30日を出願日とする特願2006-21106号(以下、「原出願」という。)の一部を、平成22年4月15日に新たに特許出願したものであって、平成23年8月5日付けで拒絶査定がなされ、それに対して同年11月7日に拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに手続補正書が提出されたものである。

第2 平成23年11月7日付けの手続補正の補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年11月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、少なくとも特許請求の範囲の請求項1は次のように補正された。
「入力部で入力した入力文字が表示部に表示された状態において、当該表示部に表示されたアプリケーション選択メニューの中からアプリケーションの起動が指示された場合に、当該アプリケーションにおいて前記入力部で入力した前記入力文字を用いて検索を実行する制御部を備えることを特徴とする携帯端末装置。」

(2)補正の可否の検討
(2)-1
本件補正後の請求項1は、補正前の請求項1の「入力部の操作に基づく入力文字」を「入力部で入力した入力文字」に変更する補正を含むものである。
このような補正前の請求項に記載されている発明特定事項を変更する補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮には該当しない。
また、原査定の拒絶の理由には、記載不備に関するものはないから、この補正は、同条同項第4号に規定する明りょうでない記載の釈明にも該当しない。
さらに、この補正は、同条同項1号、3号のいずれに規定する補正目的にも該当しない。

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(2)-2
なお、本件補正後の請求項1は、補正前の請求項1の「アプリケーションの起動が指示された場合」を「当該表示部に表示されたアプリケーション選択メニューの中からアプリケーションの起動が指示された場合」と限定する補正を含んでおり、審判請求人は、審判請求書の「(3-2)補正の根拠の明示」において、「また、特許請求の範囲を減縮することを目的としており、他の補正要件も具備しております。」と述べている。
そこで、本件補正が、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものとして本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(a) 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-352730号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)「【0086】
図16は、PDA1の機能的な構成例を示すブロック図である。
【0087】
図16の構成の少なくとも一部は、図5のCPU131により所定のプログラムが実行されることで実現される。
【0088】
制御部231は、文字列抽出部251、機能一覧表示制御部252、アプリケーション実行制御部253からなる。このうちの文字列抽出部251は、タッチパネル36からの入力に基づいて、LCD28に表示されている文字の中からユーザにより選択された文字列を抽出し、抽出した文字列を解析部232のカテゴリ分類部261に出力する。LCD28に表示されている文字に関する情報は、ユーザインタフェース部235の文字表示部271から文字列抽出部251に供給されている。
【0089】
例えば、文字列抽出部251は、図8に示すように「山田」の文字列が選択された場合、それをカテゴリ分類部261に出力する。また、文字列抽出部251は、平仮名の文字列である「やまだ」が選択されたときに、それを変換して得られる「山田」の文字列をカテゴリ分類部261に出力するようにしてもよい。
【0090】
さらに、文字列抽出部251は、ユーザにより選択された範囲に含まれる文字の中から、カテゴリ分類部261によるカテゴリ分けの対象となる文字列を抽出し、抽出した文字列をカテゴリ分類部261に出力するようにしてもよい。この場合、例えば、図7の第2行目に表示されている「参加者:山田」の全体が選択された場合でも、その選択された範囲からカテゴリ分けの対象となる「山田」の文字列だけが抽出され、カテゴリ分類部261に出力されることになる。これにより、ユーザは、大体の範囲を指定するだけで、文字列に応じた機能を表示させることができる。
【0091】
機能一覧表示制御部252は、解析部232の機能選択部262により選択された機能の一覧をユーザインタフェース部235の機能一覧表示部272によりLCD28に表示させる。また、機能一覧表示制御部252は、タッチパネル36からの入力に基づいて、一覧の中からいずれかの機能が選択されたと判定した場合、その選択された機能をアプリケーション実行制御部253に通知し、機能を実現する処理を実行させる。
【0092】
アプリケーション実行制御部253は、機能一覧表示制御部252からの通知に応じて、ユーザにより選択された機能を実現するアプリケーション236の実行を制御する。例えば、「山田」の文字列が選択されたときに表示される図9の機能候補一覧211から「メールを作成する」が選択された場合、アプリケーション実行制御部253は、アドレス帳アプリケーションにより管理されている「山田」のメールアドレスをメーラに提供させ、メール作成に利用させる。後述するように、アプリケーション236には、アドレス帳アプリケーションとメーラも含まれている。
【0093】
解析部232は、カテゴリ分類部261と機能選択部262からなる。このうちのカテゴリ分類部261は、文字列抽出部251から供給されてきた文字列をカテゴリ毎に分類し、分類したカテゴリを機能選択部262に通知する。
【0094】
機能選択部262は、カテゴリ分類部261から通知されてきた文字列のカテゴリに基づいて機能を選択し、選択した機能を制御部231の機能一覧表示制御部252に通知する。機能選択部262による機能の選択においては、必要に応じて、PDA1に用意されるアプリケーション236の種類や、そのときPDA1に保持されているデータにより実現可能な機能であるか否かなどにも基づいて行われる。
【0095】
文字入力部233は、キーボード34やシルク領域202を用いて行われるユーザによる文字の入力を受け付け、入力された文字のデータを記憶部234に記憶させる。例えば、図7に示すようなメモの入力が文字入力部233により受け付けられ、記憶部234に記憶される。
【0096】
ユーザインタフェース部235は、文字表示部271と機能一覧表示部272からなる。このうちの文字表示部271は、記憶部234に記憶されているデータに基づいてLCD28に文字を表示させるとともに、表示させている文字に関する情報を制御部231の文字列抽出部251に出力する。
【0097】
機能一覧表示部272は、制御部231の機能一覧表示制御部252からの指示に応じて、選択可能な機能の一覧をLCD28に表示させる。
【0098】
アプリケーション236は各種のアプリケーションからなる。アプリケーション236に含まれるアプリケーションの例を図17に示す。
【0099】
図17においては、文字列のコピー/ペーストなどの、アプリケーションに依存しない共通の機能を提供するPDA1のシステム236-1もアプリケーション236の1つとして示している。
【0100】
図17に示すように、アプリケーション236には、システム236-1の他、例えば、アドレス帳アプリケーション236-2、スケジューラ236-3、ブラウザ236-4、メーラ236-5、メモ帳アプリケーション236-6、電話発番アプリケーション236-7、データ管理アプリケーション236-8、計時アプリケーション236-9、地図アプリケーション236-10、乗り換え案内アプリケーション236-11、辞書アプリケーション236-12が含まれる。
【0101】
図17の左側に示すアドレス帳アプリケーション236-2はアドレス帳を管理する機能を提供するアプリケーションであり、スケジューラ236-3はスケジュールを管理する機能を提供するアプリケーションである。ブラウザ236-4はWebサイトの閲覧機能等を提供するアプリケーションであり、メーラ236-5はメールの送受信等を提供するアプリケーションである。メモ帳アプリケーション236-6はメモの作成機能等を提供するアプリケーションである。
【0102】
図17の右側に示す電話発番アプリケーション236-7は電話機能を提供するアプリケーションであり、データ管理アプリケーション236-8はユーザにより作成されたデータ・コンテンツを管理する機能を提供するアプリケーションである。計時アプリケーション236-9はアラーム機能を提供するアプリケーションであり、地図アプリケーション236-10は地図を表示する機能を提供するアプリケーションである。乗り換え案内アプリケーション236-11は駅の乗り換え案内を表示する機能を提供するアプリケーションであり、辞書アプリケーション236-12は辞書機能を提供するアプリケーションである。」(段落【0086】?【0102】)

(イ)「【0104】
ここで、図16の解析部232のカテゴリ分類部261により分類される文字列のカテゴリと、機能選択部262により選択される機能の具体例について説明する。
【0105】
図18および図19はカテゴリと機能の対応例を示す図である。
【0106】
図18および図19の左側のカテゴリの欄に示すように、ユーザにより選択された文字列は、例えば、人名、日付、日時、URL(Uniform Resource Locator)、メールアドレス、住所、電話番号、駅名などのうちのいずれかのカテゴリにカテゴリ分類部261により分類される。
【0107】
具体的には、図18の条件の欄に示すように、アドレス帳に登録されている名前、読み仮名、ニックネームに一致する文字列は「人名」のカテゴリに分類される。また、PDA1のシステムが保持する日付フォーマットに当てはまる文字列、および、YY/MM/DD(MM/DD)、YY年MM月DD日(MM月DD日)、YY.MM.DD(MM.DD)、YY-MM-DD(MM-DD)のパターンに当てはまる文字列は「日付」のカテゴリに分類される。
【0108】
従って、上述したように「山田」の名前がアドレス帳に登録されている場合、選択された「山田」の文字列のカテゴリは「人名」となり、「04/05/11」はYY/MM/DDのパターンに当てはまるから、そのカテゴリは「日付」となる。
【0109】
さらに、日付のパターンに続く、システムが保持する時間フォーマットに当てはまる文字列、および、HH時MM分、HH時、HH:MM(am/pm)、HH.MM(am/pm)のパターンに当てはまる文字列は「日時」のカテゴリに分類される。
【0110】
図19の条件の欄に示すように、「http://」または「https://」で始まり、URLとして使用可能な文字で構成される文字列は「URL」のカテゴリに分類され、メールアドレスとして使用可能な文字により構成され、文字列端以外に「@」を含む文字列は「メールアドレス」のカテゴリに分類される。
【0111】
郵便番号、または、“文字列”+”数字”+”-”+”数字”(+“-”+”数字”)からなる文字列(括弧内はなくてもよい)は「住所」のカテゴリに分類され、数字と'-'からなり、電話番号と同じ数の数字を含む文字列は「電話番号」のカテゴリに分類される。さらに、駅名辞書に登録されている駅名に一致する文字列は「駅名」のカテゴリに分類される。
【0112】
このように分類されたカテゴリに応じて、ユーザに提示する機能が機能選択部262により選択される。
【0113】
例えば、図18の機能の欄に示すように、選択された文字列が「人名」のカテゴリに分類された場合、アドレス帳を開き、その人(文字列により表される人物)の個人情報を表示するアドレス帳アプリケーション236-2の機能、その人宛のメールを作成するメーラ236-5の機能、その人から送られてきたメールを表示するメーラ236-5の機能、その人に送ったメールを表示するメーラ236-5の機能、その人に電話をかける電話発番アプリケーション236-7の機能が、ユーザに提示する機能として機能選択部262により選択される。
【0114】
なお、図18の追加条件の欄に示すように、メーラ236-5のそれぞれの機能は、アドレス帳にメールアドレスが登録されている場合にのみ選択され、電話発番アプリケーション236-7の機能は、アドレス帳に電話番号が登録されている場合にのみ選択される。
【0115】
選択された文字列が「日付」のカテゴリに分類された場合、例えば、その日(文字列により表される日)のスケジュール帳を開くスケジューラ236-3の機能、その日に送られてきたメールを表示するメーラ236-5の機能、その日に送ったメールを表示するメーラ236-5の機能、その日に作成したデータ・コンテンツの一覧を表示するデータ管理アプリケーション236-8の機能が機能選択部262により選択される。
【0116】
選択された文字列が「日時」のカテゴリに分類された場合、例えば、その日時(文字列により表される日時)に予定を作成(登録)するスケジューラ236-3の機能、その日時にアラームを設定する計時アプリケーション236-9またはスケジューラ236-3の機能が機能選択部262により選択される。
【0117】
また、図19に示すように、選択された文字列が「URL」のカテゴリに分類された場合、例えば、そのURL(文字列で表されるURL)で指定されるWebサイトを閲覧するブラウザ236-4の機能、そのURLで指定されるサイトをブックマークに登録するブラウザ236-4の機能が機能選択部262により選択される。
【0118】
選択された文字列が「メールアドレス」のカテゴリに分類された場合、例えば、そのアドレス(文字列で表されるメールアドレス)宛のメールを作成するメーラ236-5の機能、そのアドレスをアドレス帳に登録するアドレス帳アプリケーション236-2の機能、そのアドレスから送信されてきたメールを表示するメーラ236-5の機能、そのアドレスに送ったメールを表示するメーラ236-5の機能が機能選択部262により選択される。
【0119】
選択された文字列が「住所」のカテゴリに分類された場合、例えば、その住所(文字列で表される住所)をアドレス帳に登録するアドレス帳アプリケーション236-2の機能、その住所で指定される位置の周囲の地図を表示する地図アプリケーション236-10、またはブラウザプラグインの機能が機能選択部262により選択される。
【0120】
選択された文字列が「電話番号」のカテゴリに分類された場合、例えば、その電話番号(文字列で表される電話番号)をアドレス帳に登録するアドレス帳アプリケーション236-2の機能、その電話番号に電話をかける電話発番アプリケーション236-7の機能が機能選択部262により選択される。
【0121】
選択された文字列が「駅名」のカテゴリに分類された場合、例えば、その駅(文字列で表される駅名の駅)の乗り換え案内を表示する乗り換え案内アプリケーション236-11、またはブラウザプラグインの機能、その駅の周囲の地図を表示する地図アプリケーション236-10、またはブラウザプラグインの機能が機能選択部262により選択される。図19の追加条件の欄に示すように、これらの「駅名」のカテゴリに分類された場合の各機能は、駅名辞書がPDA1に保持されている場合にのみ選択される。
【0122】
なお、全てのカテゴリの文字列に対して、その文字列の意味などを辞書で調べる辞書アプリケーションの機能、その文字列をキーワードとして検索エンジンで検索するブラウザプラグインの機能、その文字列を他の場所にペーストするためにコピーするシステム236-1の機能が共通して選択されるものとされている。
【0123】
以上のようなカテゴリと機能の対応に基づいて、図9に示すような機能候補一覧211が表示され、ユーザが所定の機能を選択することが可能になる。」(段落【0104】?【0123】)

(ウ)「【0124】
次に、図20のフローチャートを参照して、アプリケーションにより所定の機能が実現されるまでの一連の処理について説明する。
【0125】
ステップS1において、ユーザインタフェース部235の文字表示部271は、記憶部234に記憶されている文字データに基づいてLCD28に文字を表示する。また、文字表示部271は、表示している文字に関する情報を制御部231の文字列抽出部251に出力する。文字表示部271による文字の表示は、例えば、システム236-1やメモ帳アプリケーション236-6からの指示に応じて行われる。
【0126】
LCD28に表示されている文字に関する情報が供給されてきたとき、制御部231の文字列抽出部251は、ステップS2において、LCD28に表示されている文字の中から所定の文字列がユーザにより選択されたか否かをタッチパネル36からの入力に基づいて判定する。
【0127】
ステップS2において所定の文字列が選択されたと判定されるまで、処理はステップS1に戻り、文字の表示が継続される。
【0128】
一方、文字列抽出部251は、ステップS2において、ユーザにより所定の文字列が選択されたと判定した場合、ステップS3に進み、カテゴリ分けの対象とする文字列を抽出し、抽出した文字列を解析部232のカテゴリ分類部261に出力する。
【0129】
カテゴリ分類部261は、ステップS4において、保持している文字列パターンやPDA1に記憶されているデータ等とのマッチングを行い、文字列抽出部251から供給されてきた文字列をカテゴリ分けする。カテゴリ分類部261には、図18と図19の条件の欄に示したような文字パターン等が用意されており、それに基づいて、文字列抽出部251から供給されてきた文字列のカテゴリ分けが行われる。カテゴリ分類部261により分類された文字列のカテゴリは機能選択部262に通知される。
【0130】
ステップS5において、機能選択部262は、カテゴリ分類部261から通知されてきた文字列のカテゴリに基づいて、ユーザに提示する機能を選択し、選択した全ての機能からなる機能候補一覧を制御部231の機能一覧表示制御部252に通知する。このとき、機能候補一覧に含まれるそれぞれの機能を実現する処理をアプリケーション236に実行させるときに用いられる命令一覧(コマンド一覧)も機能選択部262から機能一覧表示制御部252に通知される。
【0131】
ステップS6において、機能一覧表示制御部252は、機能選択部262により選択された機能候補一覧をユーザインタフェース部235の機能一覧表示部272に出力し、LCD28に表示させる。
【0132】
機能一覧表示部272は、ステップS7において、機能一覧表示制御部252から供給されてきた機能候補一覧に基づいて、例えば、図9に示すような機能候補一覧211を、それまで表示されていた画面に重ねて表示させる。
【0133】
機能一覧表示制御部252は、ステップS8において、タッチパネル36からの入力に基づいて、一覧の中からいずれかの機能が選択されか否かを判定する。いずれかの機能が選択されたと判定されるまで、処理はステップS7に戻り、機能一覧候補の表示が継続される。
【0134】
一方、ステップS8において、機能一覧表示制御部252は、一覧の中からいずれかの機能が選択されたと判定した場合、選択された機能をアプリケーション実行制御部253に通知するとともに、その機能を実現する処理をアプリケーション236に実行させるためのコマンドをアプリケーション実行制御部253に出力する。
【0135】
アプリケーション実行制御部253は、ステップS9において、機能一覧表示制御部252から供給されてきたコマンドを、ユーザにより選択された機能を実現する処理を実行するアプリケーション236(例えば、図17のアプリケーションのうちのいずれか)に出力し、機能を実現する処理を実行させる。
【0136】
ステップS10において、アプリケーション236は、アプリケーション実行制御部253から供給されてきたコマンドに従って、ユーザにより選択された機能を実現させる。
【0137】
以上の一連の処理により、図7乃至図10を参照して説明したようなメールの作成、図11乃至図14を参照して説明したようなスケジュールの表示が実現される。
【0138】
以上のようにして表示される機能の一覧は、例えば、それぞれの機能に優先度が設定されている場合、その優先度に従って表示されるようにしてもよい。一覧には、上から、優先度の高い順にそれぞれの機能が表示される。この優先度は、例えば、ユーザにより実行することが選択された頻度などに基づいて設定される。
【0139】
図21は、図18の「人名」のカテゴリの文字列が選択されたときにユーザに提示される機能の優先度の例を示す図である。
【0140】
図21においては、メールを作成するメーラ236-5の機能に優先度1が、アドレス帳を表示するアドレス帳アプリケーション236-2の機能に優先度2が、電話をかける電話発番アプリケーション236-7の機能に優先度3が設定されている。また、送られてきたメールを表示するメーラ236-5の機能に優先度4が、送ったメールを表示するメーラ236-5の機能に優先度5が設定されている。このように、それぞれの文字列のカテゴリの機能毎に優先度が設定される。
【0141】
なお、本発明は、PDA(PDA1)に限らず、例えば、携帯電話機やパーソナルコンピュータなどの複数のアプリケーションを有する機器であればどのような機器にも適用可能である。」(段落【0121】?【0141】)

これら記載事項から、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「文字入力部233は、キーボード34やシルク領域202を用いて行われるユーザによる文字の入力(例えば、メモの入力)を受け付け、入力された文字のデータを記憶部234に記憶し、
ユーザインタフェース部235の文字表示部271は、記憶部234に記憶されている文字データに基づいてLCD28に文字を表示し、
文字列抽出部251は、LCD28に表示されている文字の中から所定の文字列がユーザにより選択されたと判定した場合、カテゴリ分けの対象とする文字列を抽出し、抽出した文字列を解析部232のカテゴリ分類部261に出力し、
カテゴリ分類部261は、保持している文字列パターンやPDA1に記憶されているデータ等とのマッチングを行って、文字列抽出部251から供給されてきた文字列をカテゴリ分けし、分類された文字列のカテゴリは機能選択部262に通知され、
機能選択部262は、カテゴリ分類部261から通知されてきた文字列のカテゴリに基づいて、ユーザに提示する機能を選択し、選択した全ての機能からなる機能候補一覧を制御部231の機能一覧表示制御部252に通知し、
機能一覧表示制御部252は、機能選択部262により選択された機能候補一覧をユーザインタフェース部235の機能一覧表示部272に出力し、
機能一覧表示部272は、機能一覧表示制御部252から供給されてきた機能候補一覧に基づいて、機能候補一覧211を、それまで表示されていた画面に重ねて表示させ、
機能一覧表示制御部252は、タッチパネル36からの入力に基づいて、一覧の中からいずれかの機能が選択されたと判定した場合、選択された機能をアプリケーション実行制御部253に通知するとともに、その機能を実現する処理をアプリケーション236に実行させるためのコマンドをアプリケーション実行制御部253に出力し、
アプリケーション実行制御部253は、機能一覧表示制御部252から供給されてきたコマンドを、ユーザにより選択された機能を実現する処理を実行するアプリケーション236に出力し、機能を実現する処理を実行させてユーザにより選択された機能を実現させるものであって、
選択された文字列が「URL」のカテゴリに分類された場合、例えば、そのURL(文字列で表されるURL)で指定されるWebサイトを閲覧するブラウザ236-4の機能、そのURLで指定されるサイトをブックマークに登録するブラウザ236-4の機能が機能選択部262により選択され、
選択された文字列が「メールアドレス」のカテゴリに分類された場合、例えば、そのアドレス(文字列で表されるメールアドレス)宛のメールを作成するメーラ236-5の機能、そのアドレスをアドレス帳に登録するアドレス帳アプリケーション236-2の機能、そのアドレスから送信されてきたメールを表示するメーラ236-5の機能、そのアドレスに送ったメールを表示するメーラ236-5の機能が機能選択部262により選択され、
選択された文字列が「住所」のカテゴリに分類された場合、例えば、その住所(文字列で表される住所)をアドレス帳に登録するアドレス帳アプリケーション236-2の機能、その住所で指定される位置の周囲の地図を表示する地図アプリケーション236-10、またはブラウザプラグインの機能が機能選択部262により選択され、
選択された文字列が「電話番号」のカテゴリに分類された場合、例えば、その電話番号(文字列で表される電話番号)をアドレス帳に登録するアドレス帳アプリケーション236-2の機能、その電話番号に電話をかける電話発番アプリケーション236-7の機能が機能選択部262により選択され、
全てのカテゴリの文字列に対して、その文字列の意味などを辞書で調べる辞書アプリケーションの機能、その文字列をキーワードとして検索エンジンで検索するブラウザプラグインの機能、その文字列を他の場所にペーストするためにコピーするシステム236-1の機能が共通して選択され、
カテゴリと機能の対応に基づいて、機能候補一覧211が表示され、ユーザが所定の機能を選択することが可能になるPDAまたは携帯電話機。」

(b) 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明のLCD28に表示されている文字の中からユーザが選択した「所定の文字列」は、本願補正発明の「入力部で入力した入力文字」と「所定の文字」である点で共通し、引用発明の「LCD28に表示されている文字の中から所定の文字列がユーザにより選択されたと判定した場合」は、本願補正発明の「入力部で入力した入力文字が表示部に表示されている状態」と「所定の文字が表示部に表示されている状態」の点で共通するといえる。

(イ)引用発明の「機能」は、「その機能を実現する処理をアプリケーション236」で実行するものであり、例えば、「全てのカテゴリの文字列に対して、その文字列の意味などを辞書で調べる辞書アプリケーションの機能、その文字列をキーワードとして検索エンジンで検索するブラウザプラグインの機能」であるから、本願補正発明の「アプリケーション」に相当するといえ、引用発明の「機能候補一覧211」は、本願補正発明の「アプリケーション選択メニュー」に相当するといえる。

(ウ)引用発明の「タッチパネル36からの入力に基づいて、一覧の中からいずれかの機能が選択されたと判定した場合」は、「選択された機能をアプリケーション実行制御部253に通知するとともに、その機能を実現する処理をアプリケーション236に実行させるためのコマンドをアプリケーション実行制御部253に出力し、アプリケーション実行制御部253は、機能一覧表示制御部252から供給されてきたコマンドを、ユーザにより選択された機能を実現する処理を実行するアプリケーション236に出力し、機能を実現する処理を実行させてユーザにより選択された機能を実現させる」から、本願補正発明の「表示部に表示されたアプリケーション選択メニューの中からアプリケーションの起動が指示された場合」に相当するといえる。

(エ)引用発明の「アプリケーション実行制御部253」は、「機能一覧表示制御部252から供給されてきたコマンドを、ユーザにより選択された機能を実現する処理を実行するアプリケーション236に出力し、機能を実現する処理を実行させてユーザにより選択された機能を実現させるもの」であり、「全てのカテゴリの文字列に対して、その文字列の意味などを辞書で調べる辞書アプリケーションの機能、その文字列をキーワードとして検索エンジンで検索するブラウザプラグインの機能」が選択された場合、文字列の意味などを辞書で調べる辞書アプリケーションの機能を実現する処理を実行させ、文字列をキーワードとして検索エンジンで検索するブラウザプラグインの機能を実現する処理を実行させることは、明らかであるから、本願補正発明の「当該表示部に表示されたアプリケーション選択メニューの中からアプリケーションの起動が指示された場合に、当該アプリケーションにおいて前記入力部で入力した前記入力文字を用いて検索を実行する制御部」と「当該表示部に表示されたアプリケーション選択メニューの中からアプリケーションの起動が指示された場合に、当該アプリケーションにおいて前記所定の文字を用いて検索を実行する制御部」の点で共通するといえる。

(オ)引用発明の「PDAまたは携帯電話機」は、本願補正発明の「携帯端末装置」に相当する。

そうすると、両者は次の点で一致する。
「所定の文字が表示部に表示された状態において、当該表示部に表示されたアプリケーション選択メニューの中からアプリケーションの起動が指示された場合に、当該アプリケーションにおいて前記所定の文字を用いて検索を実行する制御部を備えることを特徴とする携帯端末装置。」

そして、両者は次の点で相違する。
本願補正発明は、「所定の文字」が、「入力部で入力した入力文字」であり、「入力部で入力した入力文字」を用いて検索を実行するのに対し、引用発明は、「所定の文字」が、表示されている文字の中からユーザが選択した「所定の文字列」であり、該「所定の文字列」を用いて検索を実行する点。

(c) 当審の判断
上記相違点について検討する。
引用発明は、ユーザが文字入力部233により予め入力した文字を表示し、表示された文字の中から「所定の文字列」を選択するものであり、選択した「所定の文字列」も文字入力部233により入力した文字であるから、本願補正発明の「入力部で入力した入力文字」に相当するといえ、この点は実質的な相違点ではない。
なお、たとえ、本願補正発明の「入力部で入力した入力文字」が、新たに入力部で直接的に入力した文字であるとしても、情報処理装置において、所望の文字を入力する方法として、入力部で直接的に入力する方法(例えば、特開平10-154069号公報段落【0014】「入出力装置14は、例えば、液晶画面とペン状のスティックであり、このスティックで液晶画面をタッチすることによりシステムの入力を行うことができるものである。もちろん、本発明のシステムをパソコン等にインストールして、キーボードやマウスを使って入力するような形態でもよい。」、段落【0023】「キーボード表示は、日本語、英数記号を含む文字を入力するキー、DEL、INS、ENTER等の編集キーを有し、ペン等のスティックでタッチして入力する。このキーボード表示32の各キーをタッチすることによって、実際のキーボードから入力した場合と同様の入力が行える。入力された文字等は文字列入力ウィンドウ30に表示されるとともに、入力が終わると自動的に種別が判断されて、対応するアプリケーションが起動される。」、段落【0063】「入力された文字列は日付、電話番号、郵便番号、及び金額のいずれでもないことになるので、メモ帳アプリケーションを起動する(ステップS29)。システムは入力された文字列データをキーワードとするメモ帳データを検索し(ステップS30)、同一の文字列データをキーワードとするメモ帳データがあるかいなかを判断する(ステップS31)。」の記載、特開2001-202309号公報段落【0034】「ここで、利用者が任意のアプリケーション例えばワードプロセッサを用いて文書を作成している最中に特許庁のウェブサイトを開きたくなった、という場合を想定する。すると利用者は、今作成中の文書内に日本特許庁のシンボルである単語「特許庁」51が存在するならばこれをキーボードの方向キー(以下、「矢印キー」という)又はマウスなどを使って選択し、または単語「特許庁」51をキーボードからタイプ入力した上でこれを選択する。」、特開平11-194865号公報段落【0030】「図中、アプリケーション検索のための文字が入力されると(ステップS13)、入力された文字がアプリケーション検索のために予め登録されているキーワードに該当するかを判定する(ステップS14)。この判定でYESの(該当する)ときには、ステップS15において、該当するアプリケーションを表示部2に表示する。」、段落【0031】「ステップS16では、ユーザが表示部2に表示されているアプリケーションのうちどのアプリケーションを選択するかを判断する。ステップS16で何れかのアプリケーションが選択されたら、ステップS17において、該選択されたアプリケーションを実行する。」の記載参照。)は、原出願前周知の技術であるから、引用発明において、「所定の文字列」を「入力部で入力した入力文字」とすることは、当業者が容易になし得ることであり、そのようにすれば「入力部で入力した入力文字」を用いて検索を実行することになることは明らかである。

そして、本願補正発明による効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。

そうすると、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(2)-3 結論
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下する。
また、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下する。

第3 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(
以下、「本願発明」という。)は、平成23年7月19日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のものである。
「入力部の操作に基づく入力文字が表示部に表示された状態で、アプリケーションの起動が指示された場合に、当該アプリケーションにおいて前記入力部の操作に基づく前記入力文字を用いて検索を実行する制御部を備えることを特徴とする携帯端末装置。」

第4 引用文献
原査定の拒絶理由に引用された引用文献及びその記載事項は、前記「第2 (2)-2(a)」に記載したとおりである。

第5 対比・判断
本願発明は、前記「第2 (2)-2」で検討した本願補正発明の「入力部で入力した入力文字が表示部に表示された状態において、当該表示部に表示されたアプリケーション選択メニューの中からアプリケーションの起動が指示された場合に、当該アプリケーションにおいて前記入力部で入力した前記入力文字を用いて検索を実行する」を、「入力部の操作に基づく入力文字が表示に表示された状態で、アプリケーションの起動が指示された場合に、当該アプリケーションにおいて前記入力部の操作に基づく前記入力文字を用いて検索を実行する」とするものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに限定したものに相当するとした本願補正発明が前記「第2 (2)-2」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-07-11 
結審通知日 2012-07-17 
審決日 2012-07-31 
出願番号 特願2010-93649(P2010-93649)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲吉▼田 耕一  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 稲葉 和生
衣川 裕史
発明の名称 携帯端末装置及び制御方法  
代理人 正林 真之  

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