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審決分類 |
審判 判定 同一 属さない(申立て成立) A01K |
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管理番号 | 1265873 |
判定請求番号 | 判定2012-600021 |
総通号数 | 156 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 2012-12-28 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2012-07-13 |
確定日 | 2012-11-02 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第4356837号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | イ号図面及びその説明書に示す「ベアリングアダプター付き軸受」は、特許第4356837号発明の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
第1 判定請求人の請求の趣旨 判定請求人は,請求の趣旨として,イ号図面並びにその説明書に示す「ベアリングアダプター付き軸受」は,特許第4356837号(以下,「本件特許」という。)の技術的範囲に属するとの判定を求めている。 第2 被請求人の答弁の趣旨と,判定する事項について 被請求人は,答弁の趣旨として,イ号図面,及び説明書に示す「ベアリングアダプター付き軸受」を製造,販売する請求人の行為は,本件特許の間接侵害に該当する(間接侵害の規定である特許法第101条第2号に該当する),との判定を求めている。また,請求人は,判定請求書の「6 判定の理由(5)技術的範囲の属否についての検討」等で間接侵害について主張している。 しかしながら,特許法第70条にあるように「特許発明の技術的範囲は,願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない」ものであるところ,判定は,特許法第71条柱書に規定されているとおり,「特許発明の技術的範囲」について判断するものであり,特許権を侵害するか否かを判断するものではないから,本判定では間接侵害の有無については判断しない。そして,判定請求書の2ページ「5 請求の趣旨」を踏まえて,イ号図面並びにその説明書に示す「ベアリングアダプター付き軸受」が,本件特許の請求項1に係る発明(以下,「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属するか否かについて判定する。 第3 本件特許発明 本件特許発明は,特許第4356837号の特許請求の範囲,明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。 「釣糸が巻回されるスプールを有するスプール軸を,リール本体の軸受支持部に装着した軸受を介して回転自在に支持した魚釣用リールにおいて, 前記リール本体に形成した凹状の軸受支持部に,軸受と,この軸受よりも小径の軸受を保持し所定の肉厚を有する環状支持体とを,交換可能に装着して,前記軸受または前記小径の軸受を介して前記スプール軸を回転自在に支持できることを特徴とする魚釣用リール。」 第4 イ号物件 判定請求書に添付して提出されたイ号説明書には,イ号製品の構成要件として以下のように記載されている。 「軸受10と,前記軸受10を保持するベアリングアダプター20とからなるベアリングアダプター付き軸受である(イ号図面[図1],[図2]参照)。 イ号図面[図3]に示すように,前記軸受10は,外側軌道輪11と,内側軌道輪12と,保持器13と,複数の転動体14とを具備してなる。 前記外側軌道輪11には,その内周壁に沿って軌道11aが設けられており,一方,前記内側軌道輪12には,その外周壁に沿って軌道12aが設けられている。 前記転動体14は,球状を有してなり,前記保持器13によって,隣接する転動体14・・・同士の間隔が一定に保持された状態にて,前記二つの軌道11a,12a間に沿って配置されている。 この軸受10には,更に,前記外側軌道輪11と前記内側軌道輪12との間隙を封止するシールド15が備えられている(イ号図面[図2]参照)。 一方,前記ベアリングアダプター20は,貫通孔21を有する円環状(ドーナツ状)の外観を有してなる(イ号図面[図2]参照)。 前記ベアリングアダプター20は,前記貫通孔21に設けられた保持部21aに,前記軸受10を嵌合せしめることによって前記軸受10を保持し,もって,前記軸受10の外径を実質的に増加させるものである。」 上記イ号説明書の記載,及びイ号図面に基づき,本件特許発明の構成に関係する要素を抽出すると,イ号物件は次のとおりのものである。 【イ号物件】 「要素1 軸受10と, 要素2 前記軸受10を嵌合せしめることによって前記軸受10を保持し,もって,前記軸受10の外径を実質的に増加させる環状のベアリングアダプター20と, からなるベアリングアダプター付き軸受」 第5 当事者の主張 1 請求人の主張 請求人は,判定請求書において,その7ページ「(6)結論」の欄で,「イ号製品は,特許第4356837号の技術的範囲に属するものではない。」と主張している。 2 被請求人の主張 被請求人は,答弁書2ページの「7.理由(1)はじめに」において,「本件は,請求人が実際に実施している対象物(イ号製品)については,「魚釣用リール」そのものではなく,特許第4356837号(本件特許)の特許請求の範囲に記載された構成要件を全て充足するものではない(この点,本件特許発明の技術的範囲に属さないと解釈される)」と述べており,イ号物件が本件特許発明の構成要件の全てを充足するものではないことを認めている。 第6 対比 上記の請求人,被請求人の主張のとおり,イ号物件が本件特許発明の構成要件を全て充足するものではないことに争いはない。 しかしながら,一応,本件特許発明と当審で認定したイ号物件とを対比する。 イ号物件の要素1と本件特許発明の「小径の軸受」とは「軸受」を有する点で共通し,要素2は「軸受を保持し所定の肉厚を有する環状支持体」との構成を充足する。しかしながら,イ号物件は「ベアリングアダプター付き軸受」であり,スプールやリール本体等を有する魚釣用リールであるとは認められないことから,本件特許発明の構成を充足しない。 したがって,イ号物件は,本件特許発明の構成を充足しない。 第7 むすび 以上のとおり,イ号物件は,本件特許発明の構成を充足しないから,本件特許発明の技術的範囲に属しない。 よって,結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2012-10-25 |
出願番号 | 特願2004-222781(P2004-222781) |
審決分類 |
P
1
2・
1-
ZA
(A01K)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 上田 泰、中村 圭伸 |
特許庁審判長 |
鈴野 幹夫 |
特許庁審判官 |
横井 巨人 中川 真一 |
登録日 | 2009-08-14 |
登録番号 | 特許第4356837号(P4356837) |
発明の名称 | 魚釣用リール |
代理人 | 水野 浩司 |
代理人 | 松下 亮 |
代理人 | 小川 泰州 |
代理人 | 澤 喜代治 |
代理人 | 澤 喜代治 |
代理人 | 小川 泰州 |