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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1268665
審判番号 不服2011-22927  
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-25 
確定日 2013-01-10 
事件の表示 特願2006-113953「ディスクオートチェンジャ」拒絶査定不服審判事件〔平成19年11月 1日出願公開、特開2007-287243〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、平成18年4月18日の出願であって、平成23年1月31日付けで通知した拒絶理由に対して、同年4月8日付けで手続補正がなされたが、同年8月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月25日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされた。

その後、当審において、平成24年2月27日付けで、前置報告書(特許法第164条第3項)を利用した審尋を行ったが、回答書の提出はなかったものである。


第2.平成23年10月25日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成23年10月25日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1.補正の内容

本件補正は、補正前の平成23年4月8日付け手続補正書の特許請求の範囲について、
(a)
「 【請求項1】
光ディスクを多数枚収納するカートリッジと、前記光ディスクに記録再生する複数の光ディスク記録再生装置と、前記光ディスクを前記カートリッジと前記複数の光ディスク記録再生装置との間で搬送する光ディスク搬送部を備えたディスクオートチェンジャにおいて、
前記光ディスクは、記録再生が可能な第1面と第2面とを備え、前記第1面と前記第2面に対する記録再生方向が互いに対向する両面ディスクであって、
前記光ディスクの第1面に記録再生する第1の光ディスク記録再生装置と、前記第1の光ディスク記録再生装置と対向し前記光ディスクの第2面に記録再生する第2の光ディスク記録再生装置とを設け、
記録再生の順序を、
前記第1の光ディスク記録再生装置で第1の光ディスクの第1面を記録再生し、
前記第2の光ディスク記録再生装置で第2の光ディスクの第2面を記録再生し、
前記第1の光ディスク記録再生装置で第3の光ディスクの第1面を記録再生する、ようにしたことを特徴とするディスクオートチェンジャ。」とあったものを、

(b)
「 【請求項1】
光ディスクを多数枚収納するカートリッジと、前記光ディスクに記録再生する複数の光ディスク記録再生装置と、前記光ディスクを前記カートリッジと前記複数の光ディスク記録再生装置との間で搬送する光ディスク搬送部を備えたディスクオートチェンジャにおいて、
前記光ディスクは、記録再生が可能な第1面と第2面とを備え、前記第1面と前記第2面に対する記録再生方向が互いに対向する両面ディスクであって、
前記光ディスクの第1面に記録再生する第1の光ディスク記録再生装置と、前記第1の光ディスク記録再生装置と対向し前記光ディスクの第2面に記録再生する第2の光ディスク記録再生装置とを設け、
連続する記録再生の順序を、
前記第1の光ディスク記録再生装置で第1の光ディスクの第1面を記録再生し、
前記第2の光ディスク記録再生装置で第2の光ディスクの第2面を記録再生し、
前記第1の光ディスク記録再生装置で第3の光ディスクの第1面を記録再生する、ようにしたことを特徴とするディスクオートチェンジャ。」と補正するものである。

2.補正の目的についての検討

請求項1における「連続する記録再生の順序」は、補正前の請求項1における「記録再生の順序」を限定するものであるから、この補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3.独立特許要件についての検討

本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1.補正の内容の(b)に記載したとおりのものである。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願の日前に頒布された刊行物である特開平1-173467号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(なお、以下、摘記事項の下線は当審で付した。)

ア.「 両主面に信号記録面を設けた多数のディスクがそれぞれ多数の収納棚内に平行に収納されてなるディスク収納部と、
上記ディスクの第1の信号記録面にのみ情報信号の書込み及び/又は読取りを行う第1のプレーヤ部及び上記ディスクの第2の信号記録面にのみ情報信号の書込み及び/又は読取りを行う第2のプレーヤ部とを少なくとも一対備え、
上記第1のプレーヤ部と第2のプレーヤ部は、上記収納棚内に収納されたディスクの第1の信号記録面及び第2の信号記録面に対しそれぞれ正対して設置されてなるディスクファイル装置。」(2.特許請求の範囲)

イ.「 そこで、本発明は、選択される信号記録面に応じてディスクを180°反転させる反転機構等を用いることなく、所望する信号記録面をプレーヤ部のピックアップに対向させて装着し得る構成が簡単で、迅速なプレーヤ部への装着操作が可能な両面使用タイプのディスクを記録媒体として用いるディスクファイル装置を提供することを目的に提案されたものである。」(2頁右下欄12-19行)

ウ.「 本発明に係るディスクファイル装置は、第1図に示すように、装置本体を構成するキャビネット11内に光ディスク12を収納し得る多数のディスク収納棚13を上下方向に多段状に設けたディスク収納部14が設けられている。上記光ディスク12は、両主面に第1及び第2の信号記録面がそれぞれ形成された両面使用タイプものとして構成され、カセットハーフあるいはその他の保持ケースに収納保持されて各ディスク収納棚13に収納されている。これら光ディスク12は、第1の信号記録面側を下方に向け、第2の信号記録面側を上方に向けるように整列されて各ディスク収納棚13に収納される。
上記ディスク収納部14の下方側には、このディスク収納部14と重ねるように専ら光ディスク12の第1の信号記録面に対し情報信号の書込み及び/又は読取り操作を行う第1のプレーヤ部15が配置され、上記ディスク収納部14の上方側には、同じくこのディスク収納部14と重ねるように専ら光ディスク12の第2の信号記録面に対し情報信号の書込み及び/又は読取り操作を行う第2のプレーヤ部16が配置されている。
そして、第1のプレーヤ部15は、この内部に配置されるディスク回転駆動装置17がこのディスク回転駆動装置17を構成するディスクテーブル18のディスク載置面18a側を上方に向けられ、さらに上記ディスクテーブル18上に装着される光ディスク12に対し光学的に情報信号の書込み及び/又は読取りを行うピックアップ19も、上記ディスクテーブル18上に装着された光ディスク12の第1の信号記録面に対向するようにして設置され、上記ディスク収納棚13に収納された光ディスク12の第1の信号記録面に正対するように配置されてなる。一方、第2のプレーヤ部16は、ディスク回転駆動装置17がディスクテーブル18のディスク載置面18a側を下方に向けられ、さらに光ディスク12に対し光学的に情報信号の書込み及び/又は読取りを行うピックアップ19も、上記ディスクテーブル18上に装着された光ディスク12の第2の信号記録面に対向するようにして設置され、上記ディスク収納棚13に収納された光ディスク12の第2の信号記録面に正対するように配置されてなる。
また、ディスク収納部14の光ディスク12の出し入れ側の面と対向する側には、このディスク収納部14と並列してディスク移送体20が配置されている。このディスク移送体20は、キャビネット11内の上方側に位置する第2のプレーヤ部16から下方側に位置する第1のプレーヤ部15間に亘って垂直方向に移動操作されるものであって、例えば左右一対にタイミングベルト21及びこのタイミングベルト21を回転駆動する駆動モータ22とから構成されてなる移送機構23によって移送操作される。この移送機構23による移送操作時、上記ディスク移送体20は、左右一対の垂直状をなす図示しないガイドレールによってガイドされ、水平状態を維持したまま垂直方向に移動操作される。
上述のように構成されたディスクファイル装置では、第1図及び第2図に示すように、多数のディスク収納棚13のうち指定されたディスク収納棚13から光ディスク12を第1図中矢印X方向に引き出してディスク移送体20に保持させた後、このディスク移送体20を第1又は第2のプレーヤ部15又は16のいずれか一方のまで第1図及び第2図中矢印Y方向に移送操作する。このディスク移送体20の移動方向は、光ディスク12の第1又は第2の信号記録面のいずれが選択されたかによって決定され、第1の信号記録面が指定された場合には、上記第1の信号記録面に対し情報信号の書込み及び/又は読取りをなす第1のプレーヤ部15側に向かって移動され、第2の信号記録面が指定された場合には、上記第2の信号記録面に対し情報信号の書込み及び/又は読取りをなす第2のプレーヤ部16側に向かって移動される。
そして、ディスク移送体20が第1又は第2のプレーヤ部15又は16のディスク装脱口24に対応する位置まで移動されると、このディスク移送体20に保持されている光ディスク1は上記第1又は第2のプレーヤ部15又は16内に供給され、これらプレーヤ部15,16内のディスク回転駆動装置17に装着され、上記光ディスク12に対し所定情報信号の書込み及び/又は読取りが行われる。
上述のように構成されてなるディスクファイル装置では、指定される光ディスク12の信号記録面に応じてディスク移送体20の移送方向が決定される。そして、光ディスク12は、指定された信号記録面に正対されて設置された第1及び第2のプレーヤ部15,16に装着されるので、ディスク収納棚13から引き出され、ディスク移送体20によって移送される途中等において反転あるいは回動する等の操作を一切必要としない。」(F-1 第1の実施例(第1図及び第2図))

エ.「 上述の実施例では、第1及び第2のプレーヤ部15,16は、ディスク収納部14を挟んで上下に配置してなるが、第3図に示すように、ディスク収納部14の下方側位置に互いに重ねるように配置してもよい。」(F-2 第2の実施例(第3図))

オ.「 従って、前述した従来の装置の如く選択される信号記録面に応じてディスクを180°反転操作して各プレーヤ部に装着するような機構が不要であり、機構の簡素化が図られ、装置自体の小型化を達成できる。
また、選択される信号記録面に応じてディスクの移送途中で反転操作を行う必要がないため、ディスク収納棚から引き出しプレーヤ部に装着操作する操作時間の短縮が図られ、迅速なプレーヤ部への装着操作が可能な両面使用タイプのディスクを記録媒体として用いるディスクファイル装置を構成できる。」(5頁右下欄2-13行)

上記「ア.」ないし「オ.」の記載によれば、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

光ディスクを多数収納し得るディスク収納部と、前記光ディスクに情報信号の書込み及び/又は読取りを行う第1及び第2のプレーヤ部と、前記光ディスクを前記ディスク収納部と前記第1又は第2のプレーヤ部のいずれか一方との間で移送操作するディスク移送体を備えたディスクファイル装置において、
前記光ディスクは、両主面に第1及び第2の信号記録面がそれぞれ形成された両面使用タイプものとして構成され、
前記光ディスクの第1の信号記録面にのみ情報信号の書込み及び/又は読取りを行う第1のプレーヤ部と前記光ディスクの第2の信号記録面にのみ情報信号の書込み及び/又は読取りを行う第2のプレーヤ部は、前記光ディスクの第1の信号記録面及び第2の信号記録面に対しそれぞれ正対して設置されてなる、
ディスクファイル装置。

(3)対比
引用発明と本願補正発明とを対比する。

本願補正発明の「カートリッジ」は、ディスクオートチェンジャを構成する要素の一つであって、「光ディスクを多数枚収納する」との機能によってのみ特定され、構造その他について引用発明の「ディスク収納部」との相違を認めるべき特定事項が含まれるものでもないので、引用発明の「光ディスクを多数収納し得るディスク収納部」は、本願補正発明の「光ディスクを多数枚収納するカートリッジ」に相当する。
引用発明の「光ディスクに情報信号の書込み及び/又は読取りを行う第1及び第2のプレーヤ部」は、本願補正発明の「光ディスクに記録再生する複数の光ディスク記録再生装置」に相当する。
引用発明の「前記光ディスクを前記ディスク収納部と前記第1又は第2のプレーヤ部のいずれか一方との間で移送操作するディスク移送体」は、本願補正発明の「前記光ディスクを前記カートリッジと前記複数の光ディスク記録再生装置との間で搬送する光ディスク搬送部」に相当する。
そして、引用発明の「ディスクファイル装置」は、少なくとも「光ディスクを多数収納し得るディスク収納部」と「第1及び第2のプレーヤ部」と「ディスク移送体」を備えたものであるから、(「光ディスクを多数枚収納するカートリッジ」と「複数の光ディスク記録再生装置」と「光ディスク搬送部」を備えた)「ディスクオートチェンジャ」であるということができる。

引用発明の「光ディスクは、両主面に第1及び第2の信号記録面がそれぞれ形成された両面使用タイプものとして構成され」ることは、本願補正発明の「光ディスクは、記録再生が可能な第1面と第2面とを備え、前記第1面と前記第2面に対する記録再生方向が互いに対向する両面ディスク」であることに相当する。

引用発明の「光ディスクの第1の信号記録面にのみ情報信号の書込み及び/又は読取りを行う第1のプレーヤ部」、「光ディスクの第2の信号記録面にのみ情報信号の書込み及び/又は読取りを行う第2のプレーヤ部」は、それぞれ、本願補正発明の「光ディスクの第1面に記録再生する第1の光ディスク記録再生装置」、「光ディスクの第2面に記録再生する第2の光ディスク記録再生装置」に相当する。
そして、引用発明において、「第1のプレーヤ部と」「第2のプレーヤ部は、前記光ディスクの第1の信号記録面及び第2の信号記録面に対しそれぞれ正対して設置されてなる」から、第1のプレーヤ部と対向し第2のプレーヤ部を設けたということができる。

以上のことから、引用発明と本願補正発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「 光ディスクを多数枚収納するカートリッジと、前記光ディスクに記録再生する複数の光ディスク記録再生装置と、前記光ディスクを前記カートリッジと前記複数の光ディスク記録再生装置との間で搬送する光ディスク搬送部を備えたディスクオートチェンジャにおいて、
前記光ディスクは、記録再生が可能な第1面と第2面とを備え、前記第1面と前記第2面に対する記録再生方向が互いに対向する両面ディスクであって、
前記光ディスクの第1面に記録再生する第1の光ディスク記録再生装置と、前記第1の光ディスク記録再生装置と対向し前記光ディスクの第2面に記録再生する第2の光ディスク記録再生装置とを設けた、ディスクオートチェンジャ。」である点。

[相違点]
本願補正発明では、「連続する記録再生の順序を、前記第1の光ディスク記録再生装置で第1の光ディスクの第1面を記録再生し、前記第2の光ディスク記録再生装置で第2の光ディスクの第2面を記録再生し、前記第1の光ディスク記録再生装置で第3の光ディスクの第1面を記録再生する、ようにした」のに対して、引用発明では、そのような特定がない点。

(4)判断
上記相違点について検討する。

ディスクオートチェンジャの技術分野において、複数の光ディスク記録再生装置を切り替えながら、複数の光ディスクを連続して記録再生することは、例えば、特開2000-57672号公報、特開平10-69699号公報等に記載されるように、周知である。
(特開2000-57672号公報(【0002】-【0014】,【0038】,【0056】-【0064】、図1,5,15,16等)には、2台のドライブを用いて、ドライブ1で1枚目の記録媒体の書き込み又は再生を行った後に、ドライブ2で2枚目の記録媒体の書き込み又は再生を行うことで、複数枚の記録媒体に渡る書き込み又は再生を行うことが記載されている。さらに、連続したデータを転送可能とするために、一方のドライブでの書き込み又は再生が終了する前に、他方のドライブに記録媒体を載せることが記載されている。
同公報には、また、タイトル(aaaaaa)が3枚の記録媒体(1/3、2/3、3/3)に渡る例が記載されており(【0081】、図7等)、当該タイトルが指定された場合に記録媒体を順に再生する際には、1)ドライブ1で1番目の記録媒体を再生し、再生が終了する前に、ドライブ2に2番目の記録媒体を載せ、2)ドライブ1での再生が終了した後、ドライブ2で2番目の記録媒体を再生し、再生が終了する前に、ドライブ1に3番目の記録媒体を載せ、3)ドライブ2での再生が終了した後、ドライブ1で3番目の記録媒体を再生する、ことがごく自然に解される。)
(特開平10-69699号公報(【0007】,【0019】,【0020】、図1,3等)には、2台のディスクプレーヤを用いて、ディスクを2台のうちで空いている方のディスクプレーヤに装着することにより、多数のディスクを連続して演奏することが記載されている。
よって、例えば、3枚のディスクを連続して演奏する際には、1)第1ディスクプレーヤで1枚目のディスクを演奏し、空いている第2ディスクプレーヤに2枚目のディスクを載せ、2)1枚目のディスクの演奏後、第2ディスクプレーヤで2枚目のディスクを演奏し、空いた第1ディスクプレーヤに3枚目のディスクを載せ、3)2枚目のディスクの演奏後、第1ディスクプレーヤで3枚目のディスクを演奏する、ことがごく自然に解される。)

そして、ディスクオートチェンジャに関する引用発明において、上記周知の技術を適用することを妨げる特段の事情も窺えないので、引用発明において、第1及び第2のプレーヤ部を切り替えながら、複数の光ディスクを連続して書込み及び/又は読取りを行うようにすることは、当業者にとって容易に想到し得たことであり、このとき、第1の光ディスクを第1のプレーヤ部で記録再生し、第2の光ディスクを第2プレーヤ部で記録再生し、第3の光ディスクを第1プレーヤ部で記録再生するようにすることは、適宜なし得ることである。

そして、本願補正発明が奏する効果についても、格別なものがあるとはいえない。

以上のとおりであるから、本願補正発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)独立特許要件についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3.本願発明について

(1)本願発明
平成23年10月25日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成23年4月8日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2.の1.補正の内容の(a)に記載したとおりのものである。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、上記第2.の3.の(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記第2.の3.で検討した本願補正発明から、「記録再生の順序」について「連続する」の限定を削除したものに相当する。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が上記第2.の3.に記載したとおり、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-11-07 
結審通知日 2012-11-13 
審決日 2012-11-29 
出願番号 特願2006-113953(P2006-113953)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
P 1 8・ 575- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 臼井 卓巳  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 馬場 慎
関谷 隆一
発明の名称 ディスクオートチェンジャ  
代理人 ポレール特許業務法人  

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