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審決分類 |
審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) B60R |
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管理番号 | 1294802 |
判定請求番号 | 判定2014-600013 |
総通号数 | 181 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 2015-01-30 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2014-04-25 |
確定日 | 2014-12-01 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第4790760号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | イ号製品説明書に示す「カーセキュリティSQ900」は、特許第4790760号発明の請求項9に係る特許発明の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
第1 請求の趣旨 本件判定の請求の趣旨は、イ号製品説明書に示す「カーセキュリティSQ900」(以下、「イ号物件」という。)が、特許第4790760号の請求項9に係る特許発明(以下、「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。 第2 本件特許発明 本件特許発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項9に記載された事項により特定されるとおりのものであり、構成要件ごとに分説すると次のとおりである。 「【請求項9】 A 車体制御装置(Body Control Module;BCM)と複数の車載機器とから構成されているコントローラ・エリア・ネットワークに接続される自動車の検知・制御統合装置であって、前記自動車の検知・制御統合装置は、 B 前記複数の車載機器に対応する複数の装置診断コマンドを提供するコマンドデータベースと、 C 前記コマンドデータベースに基づいて車載機器に対応する装置診断コマンドを出力する中央処理装置と、 D 国際標準15765-4(ISO15765-4)の通信プロトコルに基づいて前記コントローラ・エリア・ネットワークに接続されるとともに、前記装置診断コマンドを前記コントローラ・エリア・ネットワークを介して出力することで、前記車体制御装置が前記装置診断コマンドに基づいて対応する前記車載機器を制御するように命令するCANコントローラと、 E 前記CANコントローラがデータを送信するボーレートを、前記中央処理装置から提供を受けて設定するコンフィグレーション設定モジュールと、 F モデル数値を提供するモデル切換えスイッチと、を備え、 G 前記コマンドデータベースには前記装置診断コマンドの各々に対応するモデル数値が記録されるとともに、前記モデル数値に基づいて対応する少なくとも一つの装置診断コマンドを提供することを特徴とする自動車の検知・制御統合装置。」 第3 イ号物件 請求人が提出した判定請求書とこれに添付して提出した「イ号製品説明書」及び甲第4号証?甲第13号証の3、並びに平成26年8月15日付けの回答書とこれに添付して提出した甲第26号証の1?甲第30号証の記載からみて、イ号物件は次の構成a?構成gを具備するものと認められる。 「a 左の車両方向指示器及び右の車両方向指示器という複数の車載機器が車体制御装置を介してコントローラ・エリア・ネットワークのバス(CANバス)に接続された車両の、OBD2コネクタ(故障診断コネクタ)に取り付けられることによりCANバスに接続され、盗難などの危険を微衝撃センサー、高衝撃センサー、傾斜センサー及びドア開放センサーにより検出して、サイレンを鳴らしたり、車両ハザードを点滅させたりして警告を出力するカーセキュリティ装置であって、 b 車両に衝撃を与えると、記憶装置から左の車両方向指示器及び右の車両方向指示器に対して、CAN信号の種類として故障診断コマンドに割り当てられたIDを含む信号が送られ、左の車両方向指示器及び右の車両方向指示器が点滅し、 c 制御用マイクロコントローラとして、ルネサス「UPD/78F0881 GB(A)」を備えており、その内部に「78 K/O CPU core」が備えられており、 d OBD2コネクタ(故障診断コネクタ)を介してコントローラ・エリア・ネットワークに接続され、制御信号を送ることで左の車両方向指示器及び右の車両方向指示器の点滅制御を行う命令などを送信するCANモジュール(CAN module)がルネサス「UPD/78F0881 GB(A)」の内部に備えられ、 e CANモジュール内に、CANモジュールからデータの送信を行う際のボーレートを設定するメッセージコントロールモジュール(MCM)を備え、 f カーセキュリティ装置は車両に取り付けた後、キーレスエントリーでドアをロック、キーレスエントリーでドアをアンロック、車両のドアを開ける、という操作から、CANに流れる信号を検出して、その信号から、車種に対応した特定情報(ID)を取得し、 g 記憶装置には、車種に対応したコマンド群を特定するための特定情報(ID)毎にそれぞれ対応するコマンドが格納されており、車種に対応した特定情報(ID)に基づいて対応するコマンドを送信して、左の車両方向指示器及び右の車両方向指示器を制御する。」 なお、「OBD2コネクタ」の「2」はローマ数字である。以下同様。 第4 当事者の主張 1.請求人の主張 請求人は、判定請求書において、概略次の理由によりイ号物件は本件特許発明の技術的範囲に属する旨主張している。 (1)本件特許発明とイ号物件との対比 イ号物件は、本件特許発明の構成要件A?Gの全てを充足する。 (2)争点1(構成要件Fの充足性) 構成要件Fの「モデル切換えスイッチ」はソフト的な構成を含むものであり、イ号製品は構成要件Fを充足する。 (3)争点2(構成要件Fの均等侵害) 本件特許発明の「モデル切換えスイッチ」がハード的構成のスイッチであると限定的に解釈し、イ号製品が文言上、構成要件Fを充足しないとしても、均等侵害が成立する。 2.被請求人の主張 被請求人の平成26年6月6日付けの答弁書における答弁の趣旨は、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属しない、との判定を求めるものであり、次の主張をしている。 (1)「イ号製品説明書」における構成の記載の誤りについて a2の記載「これら車載機器は、車体制御装置(・・・)を介してコントローラ・エリア・ネットワークのバス(CANバス)に接続されている(・・・)。」は誤りであり、正しくは、『これら車載機器は、ECU及びコントローラ・エリア・ネットワークのバス(CANバス)を介して車体制御装置(・・・)に接続されている(・・・)。』である。ECUインターフェイスを介しているのは、CANの仕様である(乙1号証の図1のCAN仕様及びphoto01のECU構成図参照)。 (2)争点1について イ号物件は、構成要件Fを充足しない。 (3)争点2(構成要件Fの均等侵害)について イ号物件については、構成要件Fの均等論適用による侵害(均等侵害)が成立しない。 第5 当審の判断 1.「イ号製品説明書」における構成の記載の誤りについて 請求人が提出した甲第9号証の2には、イ号物件が接続される車両の「外装ランプシステム」が提示されており、方向指示灯(フロントターンシグナルランプ、サイドターンシグナルランプ)が車体制御装置(BCM)を介してコントローラ・エリア・ネットワークのバス(CANバス)に接続されていることが看取しうる。 また、甲第13号証の2及び3にも、イ号物件が接続される車両の電気回路構成が示されており、甲13号証の2から方向指示灯(フロントターンシグナルランプ、サイドターンシグナルランプ、リヤコンビネーションランプ)が車体制御装置(BCM)に接続されていることが看取され、甲第13号証の3から車体制御装置(BCM)がコントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)に接続されていることが看取しうる。 してみると、イ号製品説明書の記載に誤りはないといえる。 2.本件特許発明とイ号物件の対比、判断 イ号物件の構成a?gが本件特許発明の構成要件A?Gのそれぞれを充足するか否かについて、対比検討する。 (1)構成要件Aについて イ号物件の構成aの「車体制御装置」、「左の車両方向指示器及び右の車両方向指示器という複数の車載機器」、「コントローラ・エリア・ネットワーク」、「カーセキュリティ装置」は、本件特許発明の「車体制御装置(Body Control Module;BCM)」、「複数の車載機器」、「コントローラ・エリア・ネットワーク」、「自動車の検知・制御統合装置」にそれぞれ相当するから、イ号物件の構成aは、本件特許発明の構成要件Aを充足している。 (2)構成要件Bについて イ号物件の構成bの「CAN信号の種類として故障診断コマンドに割り当てられたIDを含む信号」と「記憶装置」とは、本件特許発明の「複数の装置診断コマンド」と「コマンドデータベース」とに相当するので、イ号物件の構成bは、本件特許発明の構成要件Bを充足している。 (3)構成要件Cについて イ号物件の構成cのルネサス「UPD/78F0881 GB(A)」の内部の「78 K/O CPU core」は、本件特許発明の「中央処理装置」に相当するので、イ号物件の構成cは、本件特許発明の構成要件Cを充足している。 (4)構成要件Dについて イ号物件の構成dのルネサス「UPD/78F0881 GB(A)」の内部の「CANモジュール(CAN module)」は、本件特許発明の「CANコントローラ」に相当する。 イ号物件は、OBD2コネクタ(故障診断コネクタ)を介して車両に接続されるものであり、OBD2コネクタで採用される通信プロトコルは国際標準15765-4(ISO15765-4)であるので(甲第27号証の1349頁の9.(3)を参照)、「OBD2コネクタ(故障診断コネクタ)を介してコントローラ・エリア・ネットワークに接続」することは、本件特許発明の「国際標準15765-4(ISO15765-4)の通信プロトコルに基づいて前記コントローラ・エリア・ネットワークに接続」することに相当する。 してみると、イ号物件の構成dは、本件特許発明の構成要件Dを充足している。 (5)構成要件Eについて イ号物件の構成eのCANモジュール内の「メッセージコントロールモジュール(MCM)」は、本件特許発明の「コンフィグレーション設定モジュール」に相当するので、イ号物件の構成eは、本件特許発明の構成要件Eを充足している。 (6)構成要件Fについて 本件特許発明の構成要件Fの「モデル数値を提供するモデル切換えスイッチ」に関して、字義通り「スイッチ」であると解釈すると、一般に「スイッチ」とは「電気回路を開閉する装置。開閉器。」(株式会社岩波書店 広辞苑第6版)を意味しているので、イ号物件の構成fは、そのような「スイッチ」に係る構成を有するものではないといえる。 また、「モデル切換えスイッチ」について、本件の特許明細書(甲第3号証の2の審判請求書の写しに添付された訂正明細書を参照)には、次のとおり記載されている。 「【0024】 本発明に開示する自動車の検知・制御統合装置はモデル切換えスイッチ(Model Switch)を更に備えており、中央処理装置での使用に供されるように、コマンドデータベースおよび状態データベースには各装置診断コマンドおよび状態診断データに対応するモデル数値が記録されているとともに、モデル切替スイッチのモデル数値に基づいて対応する状態診断データおよび装置診断コマンドを提供している。」 「【0039】 モード切替スイッチ430は、DIPスイッチ(DIP Switch) 431と、モデルデータベース(Model Database)432とを備えており、モデルデータベースは複数のモデル数値を含むとともに、DIPスイッチの動作状態に基づいて対応するモデル数値を提供している。」 なお、「モード切替スイッチ」は「モデル切換えスイッチ」の誤記と認められる。 この記載によれば、「モデル切換えスイッチ」は「DIPスイッチ」に限定されないとしても、スイッチの状態を切り換えることにより、モデルデータベースからスイッチの状態に対応するモデル数値を出力するものであり、車種に応じた切り換え操作を要するものと解釈される。 これに対して、請求人は、イ号物件の構成fにおける「特定情報(ID)」の取得に関して、平成26年8月15日付けの回答書において、次のとおり説明している。 「(6)「特定情報(ID)」について イ号製品では、製品を車両に装着した時点で、ドアロックとアンロックを行う(甲4第2頁)。 3 本体の車種情報を読み込ませます (1)車両のドアを閉めキーレスエントリーでドアをロックします。 ↓ (2)キーレスエントリーでドアをアンロックします。 ↓ (3)車両のドアを開けます。 本体から「ピー」と音が鳴り、設定ランプが消灯すれば設定は完了です。 甲29の1及び2は、トヨタRAV4、ニッサンジュークで確認されるCAN通信のIDとコマンドである。これらは通称ブロードキャスティングコマンド(ID)と呼ばれるものであり、車両内で通常状態で使用されているコマンドである。この点で診断コマンドとは区別される。 イ号製品は、このブロードキャスティングコマンド(ID)を確認することで車両メーカーの判定とその車両をコントロールするために必要な診断コマンドの特定が可能となる。 すなわち、このIDが特定の車種グループを特定する特定情報(ID)である。」(第5頁第24行?第6頁第17行) この説明によれば、イ号物件の構成fにおいては、カーセキュリティ装置を車両に取り付けた後、キーレスエントリーでドアをロック、アンロックし、車両のドアを開ける、という車両に対して所定の操作を行った時にコントローラ・エリア・ネットワークに流れる信号を検出して、その信号から、車両に応じたコマンド群を特定する特定情報(ID)を取得するものであり、どのような車種においても同じ操作を行うことで特定情報(ID)を取得でき、車種ごとに個別の操作を要するものではない。 してみると、イ号物件の「スイッチ」の解釈を請求人が主張するとおり「ソフト的」なものを含む幅広いものとしても、イ号物件は、車種に応じたスイッチの状態を切り換える操作を行うものではないので、本件特許発明の「モデル切換えスイッチ」を備えているとはいえない。 (7)構成要件Gについて イ号物件の「特定情報(ID)毎にそれぞれ対応するコマンド」は、本件特許発明の「モデル数値に基づいて対応する少なくとも一つの装置診断コマンド」に相当するので、イ号物件の構成gは本件特許発明の構成要件Gを充足している。 以上のとおり、イ号物件は本件特許発明の構成要件A?E、Gを充足するものの、構成要件Fを充足しない。 3.均等論の適用について 本件特許発明のイ号物件と異なる部分(構成要件F)について、均等論の適用可否を検討する。 最高裁平成6年(オ)第1083号判決(平成10年2月24日判決言渡)は,特許請求の範囲に記載された構成中にイ号と異なる部分が存在する場合であっても,以下の5つの要件を満たす場合には,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,イ号は特許発明の技術的範囲に属するものとするのが相当であると判示している。 ・特許請求の範囲に記載された構成中のイ号と異なる部分が発明の本質的部分ではない(発明の本質的な部分)。 ・前記異なる部分をイ号のものと置き換えても特許発明の目的を達成することができ,同一の作用効果を奏する(置換可能性)。 ・前記異なる部分をイ号のものと置き換えることが,イ号の実施の時点において当業者が容易に想到することができたものである(置換容易性)。 ・イ号が特許発明の出願時における公知技術と同一又は当業者が公知技術から出願時に容易に推考できたものではない(自由技術の除外)。 ・イ号が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外される等の特段の事情がない(禁反言)。 そこで、本件特許発明の構成要件Fとイ号物件の構成fとが、置換可能性、置換容易性の要件を満たすか否かについて検討する。 (1)置換可能性について 本件特許発明の構成要件Fは、上記2.(6)で述べたとおり、DIPスイッチのように切り換え操作を要する構成によりモデル数値を得るものと解釈される。 また、イ号物件の構成fについては、上記2.(6)で述べたとおり、車種に依らず、所定の操作を行うときにコントローラ・エリア・ネットワークに流れる信号から特定情報(ID)を取得するものである。 本件の特許明細書には、発明が解決しようとする課題として段落【0018】に、「これに鑑み、本発明で解決すべき課題は、診断技術を用いて、車体制御装置が診断コマンドを出力する方式で各車載機器を制御するとともに、各車載機器の実行状態を監視・制御する制御装置およびその制御方法を提供するところにある。」と記載されていることから、本件特許発明は、診断コマンドを利用して各車載機器を制御及び監視することを課題としている。 そして、イ号物件も、全体の構成から見て、上記課題を解決しているものといえる。 してみると、本件特許発明における、車種ごとのモデル数値を提供する手段である構成要件Fに換えて、イ号物件の構成fを採用しても、本件特許発明の目的を達成し、同一の作用効果を奏すると認められる。 したがって、本件特許発明の構成要件Fとイ号物件の構成fとは、置換可能性の要件は満たしているといえる。 (2)置換容易性について 請求人は、平成26年8月15日付けの回答書において、次のとおり主張している。 「(2)DIPスイッチに関する置換可能性を立証する資料について DIPスイッチをソフトウエアの処理に置換することは、当業者にとってイ号製品の製造等の時期(販売開始日平成24年3月1日)において容易であったといえる。 甲26の1[ホームページからの抜粋1]によれば、DIPスイッチに関して以下のとおり説明されている。下線部は請求人が付した。 『通常は、ユーザーが直接このスイッチを設定することは少ないが、マニュアルなどで設定が指示されていることもある。最近ではフラッシュメモリなどを利用し、ソフトウェアで設定する場合も多い。』 また甲26の2[ホームページからの抜粋2]によれば、DIPスイッチに関して以下のとおり説明されている。下線部は請求人が付した。 『旧来は不揮発性メモリが高価であったことから、電子機器の各種基本設定を保持しておくためにこれらのスイッチが利用され、コンピュータ・パソコン・パソコン用周辺機器・家電製品・通信機器・映像機器・音響機器他といった非常に広範囲の製品に用いられた。 しかし近年(1990年代後半以降)では、電子機器の小型化(高密度化)、操作性の向上、不揮発性メモリーの低価格化といった理由から、これらのスイッチは次第に一般消費者が扱う各種機器上から姿を消しており、前出のパソコンについてはBIOSによる設定画面に置き換えられている。しかし安価で、回路設計も容易である他、通電しなくてもひと目で設定状態がわかる利点もあり、産業用機器内などではまだ盛んに使用されている。』 以上の記載から、一般に、DIPスイッチは90年代後半から不揮発性メモリを利用したものに置き換わってきており、イ号製品が製造された平成24年ころにあっては、DIPスイッチをソフトウエアの処理に置換する程度の技術は当業者であれば、容易に想到できるものであったことが明らかである。」(回答書第3頁第9行?第4頁第10行) しかしながら、上記主張と甲第26号証の1及び2からは、DIPスイッチを不揮発性メモリとし、ソフトウエアにより設定画面上で直接的に設定することができることを示唆するに止まり、当該事項を本件特許発明に置換したとしても、上述のイ号物件の構成fのように、車種ごとに個別の操作を要さずに、車両に対して所定操作を行ったときに流れる信号から特定情報(ID)を取得するとの構成とすることはできない。 してみると、本件特許発明の構成要件Fを、イ号物件の構成fに置換することを、その実施の時点において当業者が容易に想到することができたものであるとはいえず、置換容易性の要件を満たしていない。 (3)小括 以上のとおり、均等の判断にあたって、置換可能性の要件を満たすとしても、置換容易性の要件を満たしていないため、その他の要件を判断するまでもなく、イ号物件が本件特許発明の構成と均等なものであるとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、イ号物件は、本件特許発明の構成要件Fを充足せず、また、イ号物件が本件特許発明と均等なものであるともいえないので、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2014-11-21 |
出願番号 | 特願2008-150305(P2008-150305) |
審決分類 |
P
1
2・
1-
ZB
(B60R)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 加藤 信秀 |
特許庁審判長 |
鳥居 稔 |
特許庁審判官 |
平田 信勝 出口 昌哉 |
登録日 | 2011-07-29 |
登録番号 | 特許第4790760号(P4790760) |
発明の名称 | 自動車の検知・制御統合装置およびその方法 |
代理人 | 名古屋国際特許業務法人 |
代理人 | 松本 和晃 |
代理人 | 水野 健司 |