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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01N
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G01N
審判 全部申し立て 発明同一  G01N
審判 全部申し立て 2項進歩性  G01N
管理番号 1319148
異議申立番号 異議2015-700107  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-10-21 
確定日 2016-05-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5706315号「検査試薬及びそれを用いた被検試料中の被測定物の測定方法」の請求項1ないし6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第5706315号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。 特許第5706315号の請求項1、3ないし6に係る特許を維持する。 特許第5706315号の請求項2に係る特許についての申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第5706315号の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成22年3月4日(優先権主張平成21年3月5日)を国際出願日として特許出願され、平成27年3月6日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人中辻史郎及び渡辺佳子によりそれぞれ特許異議の申立てがなされ、平成27年12月21日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年2月22日に意見書の提出及び訂正の請求があったものである。


第2 訂正の適否についての判断

1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下の(1)ないし(16)のとおりである(下線は訂正箇所を表す。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「30ms/cm以上の電気伝導度」とあるのを、「75ms/cm以上200ms/cm以下の電気伝導度」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1の「前記被測定物を測定するための検査試薬」の後に「であって、前記被測定物がC-反応性蛋白質であり、」との特定事項を付加する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1の末尾に「前記A液が、その電気伝導度を調節する塩化ナトリウムを含む、検査試薬」との特定事項を付加する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項3に「請求項1又は2に」とあるのを、「請求項1に」に訂正し、請求項4に「請求項1ないし3のいずれか1項に」とあるのを、「請求項1又は3に」に訂正し、 請求項6に「請求項1ないし5」とあるのを、「請求項1及び請求項3ないし5」に訂正する。

(6)訂正事項6
特許明細書の段落【0012】に「すなわち、本発明は、30ms/cm以上の電気伝導度を有する緩衝液であるA液と、被測定物捕捉物質が不溶性担体粒子上に担持された粒子が浮遊している粒子浮遊液であって6.5 ms/cm以下の電気伝導度を有するB液とを少なくとも含む、前記被測定物を測定するための検査試薬を提供する。」とあるのを、「すなわち、本発明は、75ms/cm以上200ms/cm以下の電気伝導度を有する緩衝液であるA液と、被測定物捕捉物質が不溶性担体粒子上に担持された粒子が浮遊している粒子浮遊液であって6.5 ms/cm以下の電気伝導度を有するB液とを少なくとも含む、前記被測定物を測定するための検査試薬であって、前記被測定物がC-反応性蛋白質であり、前記A液が、その電気伝導度を調節する塩化ナトリウムを含む、検査試薬を提供する。」に訂正する。

(7)訂正事項7
特許明細書の段落【0017】に「A液の電気伝導度は、30ms/cm以上であり、好ましくは35ms/cm以上である。電気伝導度の上限は特に限定されないが、通常、電気伝導度は200ms/cm以下、好ましくは100ms/cm以下である。A液の電気伝導度を30ms/cm以上とすることにより、」とあるのを、「A液の電気伝導度は、75ms/cm以上である。電気伝導度は200ms/cm以下である。A液の電気伝導度を75ms/cm以上とすることにより、」に訂正する。

(8)訂正事項8
特許明細書の段落【0018】に「使用可能な好ましい水溶性イオン性化合物としては、例えばナトリウムやカリウム等のアルカリ金属やマグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、硫酸塩や、ミョウバン類等が挙げられる。中でもNaClが簡便で好ましい。」とあるのを、「使用可能な水溶性イオン性化合物はNaClである。」に訂正する。

(9)訂正事項9
特許明細書の段落【0021】に「 被測定物が抗原の場合、被測定物は、例えばCRP(C-反応性蛋白質)、前立腺特異抗原、・・・挙げられる。」とあるのを、「 被測定物は、抗原であるCRP(C-反応性蛋白質)である。」に訂正する。

(10)訂正事項10
特許明細書の段落【0022】を削除する。

(11)訂正事項11
特許明細書の段落【0023】に「被測定物が抗原の場合は被測定物と結合する被測定物捕捉物質を抗体として担体粒子に感作させる。被測定物を抗体とする場合には・・・リガンドとする。」とあるのを、「被測定物が抗原の場合は被測定物と結合する被測定物捕捉物質を抗体として担体粒子に感作させる。」に訂正する。

(12)訂正事項12
特許明細書の段落【0029】に「被検試料としては、上記した、被測定物である抗原や抗体等を含むかもしれないものであれば何ら限定されるものではない。・・・このような被検試料として、例えば血液、血清、尿、髄液、汗、リンパ液、だ液、胃液等の液体、糞便、毛髪、角質、爪等が挙げられ、血液、血清、血漿、尿、髄液、又は糞便、特に血液由来の血液、血清、又は血漿が好適に用いられる。」とあるのを、「被検試料としては、上記した、被測定物であるCRPを含むかもしれないものであれば何ら限定されるものではない。・・・このような被検試料として、血液、血清、血漿、尿、髄液、又は糞便、特に血液由来の血液、血清、又は血漿が好適に用いられる。」に訂正する。

(13)訂正事項13
特許明細書の段落【0035】に「実施例1?3、比較例1?5」とあるのを、「実施例2?3、比較例1?6」に訂正する。

(14)訂正事項14
特許明細書の段落【0036】及び【0048】にそれぞれ「実施例1」とあるのを、それぞれ「比較例6」に訂正する。

(15)訂正事項15
特許明細書の段落【0037】及び【0050】の二箇所に「実施例1?3」とあるのを、それぞれ「比較例6、実施例2?3」に訂正する。

(16)訂正事項16
特許明細書の段落【0052】に「実施例3」とあるのを、「実施例3A」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)上記訂正事項1に関連する記載として、特許明細書の発明の詳細な説明には、段落【0017】に「A液の電気伝導度は、30ms/cm以上であり、好ましくは35ms/cm以上である。電気伝導度の上限は特に限定されないが、通常、電気伝導度は200ms/cm以下、好ましくは100ms/cm以下である。」と、段落【0048】の【表1】中に、実施例2及び3におけるA液の電気伝導度が、それぞれ75ms/cm及び200ms/cmであることが記載されていることから、「電気伝導度が75ms/cm以上200ms/cm以下のA液」を用いてなる発明は、特許明細書に記載されているものと認められる。
上記訂正事項1は、特許明細書に記載された事項の範囲内において発明特定事項であるA液の電気伝導度を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)上記訂正事項2に関連する記載として、特許明細書の発明の詳細な説明には、段落【0021】に被測定物の好ましい例の一つとして「CRP」(C-反応性蛋白質)が記載され、段落【0035】ないし【0056】に記載された全ての実施例及び比較例において、被測定物は「CRP(C-反応性蛋白質)」であることから、「被測定物をC-反応性蛋白質」としてなる発明は、特許明細書に記載されているものと認められる。
上記訂正事項2は、特許明細書に記載された事項の範囲内において被測定物をC-反応性蛋白質とすることで発明特定事項である被測定物捕捉物質を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)上記訂正事項3に関連する記載として、特許明細書の発明の詳細な説明には、段落【0018】に「A液の電気伝導度は、上記した緩衝剤の濃度を調節したり、水溶性イオン性化合物を添加することにより任意の値に調節することができる。・・・中でもNaClが簡便で好ましい。」と、【0036】に「A液:100mMトリス含有の緩衝液に、電気伝導度をモニターしながら塩化ナトリウムを添加し、所定の電気伝導度とした。」と記載されていることから、「A液」を「電気伝導度を調節する塩化ナトリウムを含む」ものとしてなる発明は、特許明細書に記載されているものと認められる。
上記訂正事項3は、特許明細書に記載された事項の範囲内において発明特定事項であるA液を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)上記訂正事項4は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)上記訂正事項5は、請求項2の削除に伴い、請求項3、4及び6において、引用する請求項から請求項2を削除するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(6)上記訂正事項6ないし15は、明細書の記載と特許請求の範囲の記載との整合を図るためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(7)上記訂正事項16は、特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0035】ないし【0050】と段落【0052】とに記載された異なる実施例に対して、同じ「実施例3」の表記が用いられている矛盾を解消するためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(8)そして、上記訂正事項1ないし16は、一群の請求項ごとに請求されたものである。

3 むすび

以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正を認める。


第3 特許異議の申立てについて

1 本件発明

本件訂正請求により訂正された訂正請求項1ないし6に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明6」という。)は、平成28年2月22日付け訂正請求書に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものであって、そのうちの本件発明1は以下のとおりである。

「 75ms/cm以上200ms/cm以下の電気伝導度を有する緩衝液であるA液と、被測定物捕捉物質が不溶性担体粒子上に担持された粒子が浮遊している粒子浮遊液であって6.5 ms/cm以下の電気伝導度を有するB液とを少なくとも含む、前記被測定物を測定するための検査試薬であって、前記被測定物がC-反応性蛋白質であり、前記A液が、その電気伝導度を調節する塩化ナトリウムを含む、検査試薬。」

2 取消理由の概要

請求項1ないし6に係る特許に対して平成27年12月21日付けで特許権者に通知した取消理由は、要旨次のとおりである。

(1)取消理由1
請求項1ないし6に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記(5)の刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、請求項1ないし6に係る特許は、取り消されるべきものである。
また、請求項1ないし5に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記(5)の刊行物2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、請求項1ないし5に係る特許は、取り消されるべきものである。

(2)取消理由2
請求項1ないし4及び6に係る発明は、その優先日前の特許出願であって、その出願後に国際公開がされた特許出願である下記(5)の先願1の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許に係る出願の発明者が上記先願1に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許に係る出願の時において、その出願人が上記先願1の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1ないし4及び6に係る特許は、取り消されるべきものである。

(3)取消理由3
請求項1ないし6に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記(5)の刊行物1に記載された発明、同じく刊行物1及び3ないし6の記載事項、並びに、本件特許に係る出願の優先日前において周知な事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1ないし6に係る特許は、取り消されるべきものである。

(4)取消理由4
請求項1ないし6に係る発明は、その発明の詳細な説明に記載された発明ではないから、請求項1ないし6に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。

(5)刊行物等一覧
刊行物1:特開2005-351643号公報(特許異議申立人中辻史郎が提出した甲第1号証、特許異議申立人渡辺佳子が提出した甲第2号証)
刊行物2:再公表特許第2006/068206号(特許異議申立人中辻史郎が提出した甲第2号証)
刊行物3:特開昭57-182168号公報(特許異議申立人渡辺佳子が提出した甲第3号証)
刊行物4:特開平8-105897号公報(特許異議申立人中辻史郎が提出した甲第5号証)
刊行物5:特開昭57-35754号公報(特許異議申立人渡辺佳子が提出した甲第4号証)
刊行物6:再公表特許第2007/074860号(特許異議申立人中辻史郎が提出した甲第6号証)
先願1:特願2008-309369号(国際公開第2010/064435号)(特許異議申立人中辻史郎が提出した甲第3号証の1(甲第3号証))

3 各甲号証の記載(下線は当審で付加した。)

(1)刊行物1記載の事項

刊1ア 「【0001】
本発明は、ラテックス凝集反応用試薬、更に詳しくは、良好な分散性を有する安定性に優れたラテックス凝集反応用試薬に関する。」

刊1イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、自然凝集が起こらず分散性が良好であり、しかも感度が安定なラテックス凝集反応用試薬を提供することにある。」

刊1ウ 「【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、かかる実情に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、蛋白質固定ラテックス粒子の懸濁液として特定の緩衝剤を用い、その濃度を3?18mMに設定することにより、長期間保存しても当該ラテックス粒子の自然凝集が発生せず、感度が安定なラテックス凝集反応用試薬が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
尚、本明細書において「蛋白質固定ラテックス粒子」とは、抗原、抗体、Fab、F(ab')_(2)等の抗体消化物などを常法によりラテックスに被覆させたものをいう。
すなわち本発明は、蛋白質固定ラテックス粒子が、3?18mMのリン酸、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸、3-(N-モルフォリノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸、3-(N-モルフォリノ)プロパンスルホン酸、ビス(2-ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸及びN-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸から選ばれる緩衝液に懸濁しているラテックス凝集反応用試薬を提供する。」

刊1エ 「【0012】
蛋白質固定ラテックス粒子のラテックス粒子としては、ラテックス凝集反応を利用した免疫学的凝集反応及び凝集阻止反応において、一般的に用いられている微粒子の担体であれば特に制限されないが、工業的に大量生産することができる有機系微粒子が好ましい。このような有機系微粒子としては、例えば、スチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のビニル系モノマーの単独重合体又は共重合体;スチレン-ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体等のブタジエン系共重合体等が挙げられる。また、このような有機系微粒子に、カルボキシル基、第一級アミノ基、カルバモイル基、水酸基、アルデヒド基等の官能基が結合した反応性有機系微粒子も好ましく使用することができる。上記のラテックス粒子のなかでは、抗原又は抗体の吸着性に優れ、生物学的活性を長期間安定に保持できる点から、ポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体等のポリスチレン系ラテックス粒子が好ましい。」

刊1オ 「【0019】
本発明のラテックス凝集反応用試薬には、更に、BSA、ショ糖等の安定剤、アジ化ナトリウム等の防腐剤を適宜加えてもよい。本発明のラテックス凝集反応用試薬に、更に希釈液を組み合わせてラテックス凝集反応用キットとしてもよい。この希釈液には、必要に応じて上記の安定剤や防腐剤を添加することができる。」

刊1カ 「【0025】
実施例1
(1)β_(2)マイクログロブリン(β_(2)M)測定用第一試薬の調製
4%NaCl、1%牛血清アルブミン(BSA)を含有した0.05Mグリシン緩衝液(pH9.0)を調製し、第一試薬とした。
(2)β_(2)M測定用第二試薬の調製
ヤギ抗ヒトβ_(2)M抗体(Incstar社製)を1.4mg/mLの濃度で0.25Mグリシン緩衝液(pH9.5)に混和した液5mLに平均粒径0.1μmのポリスチレン系ラテックス(積水化学工業社製)2%懸濁液5mLを加え、4℃にて2時間撹拌し、抗体をラテックスに感作した。遠心分離により上清を除去した後、沈殿部に2%BSAを含む0.05Mグリシン緩衝液(pH9.5)を加え、4℃で一晩撹拌した。遠心分離により沈殿部を集め、これに最終懸濁液として0.02%BSAを含む5mMリン酸緩衝液(pH7.5)160mLを加えて懸濁し、第二試薬(抗β_(2)M抗体固定化粒子懸濁液)とした。
(3)吸光度の測定
日立7150形自動分析機を用い、生理食塩液(生食)6μLに第一試薬200μLを加え、その約5分後に第二試薬200μLを添加し、攪拌した。第二試薬を添加した約5分後に、波長600nmにおける吸光度を測定した。結果を以下の実施例2、比較例1?6と併せて表1に示す。
【0026】
実施例2
5mMリン酸緩衝液(pH7.5)に代わりに5mMトリス緩衝液(pH7.5)を用いる以外は実施例1と同様にしてβ_(2)M測定用第二試薬を調製し、吸光度を測定した。」

刊1キ「【0036】
実施例9
(1)C-反応性蛋白(CRP)測定用第一試薬の調製
2%NaCl、1%BSAを含有した0.02Mトリス緩衝液(pH8.5)を調製し、第一試薬とした。
(2)CRP測定用第二試薬の調製
精製ヒトCRPを免疫源として、常法によりマウスから得られ、単独使用により免疫凝集を生じさせるモノクローナル抗体[IPODに寄託されているハイブリドーマ08204(FERM P-16765)により産生される抗体]を1.4mg/mLの濃度で0.25Mグリシン緩衝液(pH9.5)に混和した液5mLに、平均粒径0.1μmのポリスチレン系ラテックス(積水化学工業社製)2%懸濁液5mLを加え、4℃にて2時間撹拌し、当該抗体をラテックスに感作した。遠心分離により上清を除去した後、沈殿部に2%BSAを含む0.05Mグリシン緩衝液(pH9.5)を加え、4℃で一晩撹拌した。遠心分離により沈殿部を集め、これに最終懸濁液として0.02%BSAを含む4mMリン酸緩衝液(pH7.0)を波長600nmにおける吸光度が2ODとなるように加えて懸濁し、第二試薬(抗CRP抗体固定化粒子懸濁液)とした。
(2)吸光度の測定
日立7150形自動分析機を用い、生食3μLに第一試薬210μLを加え、その約5分後に第二試薬70μLを添加し攪拌した。第二試薬を添加した約5分後に波長600nmにおける吸光度を測定した(初期値)。また、37℃で4週間保存した第二試薬を用いて同様に波長600nmにおける吸光度を測定した。結果を以下の実施例10?34及び比較例10?22と併せて表3に示す。」

(2)刊行物1に記載された発明の認定

上記刊1アないし刊1キを含む刊行物1全体の記載を総合すると、刊行物1には、以下の発明(以下それぞれ「引用発明1の1」及び「引用発明1の2」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明1の1)
「 4%NaCl、1%牛血清アルブミン(BSA)を含有した0.05Mグリシン緩衝液(pH9.0)である第一試薬、及び、ヤギ抗ヒトβ_(2)M抗体(Incstar社製)を1.4mg/mLの濃度で0.25Mグリシン緩衝液(pH9.5)に混和した液5mLに、平均粒径0.1μmのポリスチレン系ラテックス(積水化学工業社製)2%懸濁液5mLを加え、4℃にて2時間撹拌し、当該抗体をラテックスに感作し、遠心分離により上清を除去した後、沈殿部に2%BSAを含む0.05Mグリシン緩衝液(pH9.5)を加え、4℃で一晩撹拌し、遠心分離により沈殿部を集め、これに最終懸濁液として0.02%BSAを含む5mMトリス緩衝液(pH7.5)160mLを加えて懸濁したものである第二試薬、からなるβ_(2)マイクログロブリン(β_(2)M)測定用試薬。」

(引用発明1の2)
「 2%NaCl、1%BSAを含有した0.02Mトリス緩衝液(pH8.5)である第一試薬、及び、精製ヒトCRPを免疫源として、常法によりマウスから得られ、単独使用により免疫凝集を生じさせるモノクローナル抗体[IPODに寄託されているハイブリドーマ08204(FERM P-16765)により産生される抗体]を1.4mg/mLの濃度で0.25Mグリシン緩衝液(pH9.5)に混和した液5mLに、平均粒径0.1μmのポリスチレン系ラテックス(積水化学工業社製)2%懸濁液5mLを加え、4℃にて2時間撹拌し、当該抗体をラテックスに感作し、遠心分離により上清を除去した後、沈殿部に2%BSAを含む0.05Mグリシン緩衝液(pH9.5)を加え、4℃で一晩撹拌し、遠心分離により沈殿部を集め、これに最終懸濁液として0.02%BSAを含む4mMリン酸緩衝液(pH7.0)を波長600nmにおける吸光度が2ODとなるように加えて懸濁したものである第二試薬、からなるC-反応性蛋白質測定用試薬。」

(3)刊行物2記載の事項

刊2ア「【0001】
本発明は、免疫凝集反応により抗原を測定するための測定試薬及び抗原の測定方法に関する。詳しくは、ラテックス免疫比濁法(LTIA法)により抗原を測定するにあたり、遊離型の抗原(例えばfPSA)と検体中の共存物質と複合体を形成している複合体型の抗原(例えばPSA-ACT)の反応性を調整して測定する抗原の測定試薬および測定方法に関する。」

刊2イ「【0036】
抗体感作ラテックスの調製方法
前記で得られた3種類のモノクローナル抗体(#14、#16、#17)を次に示す材料、方法により担体に感作させた。
1.材料
(1)抗PSAモノクローナル抗体
63214(#14)
63217(#17)
63216(#16)
(上記モノクローナル抗体は全てPBS溶液である)
(2)ラテックス
#14用:ポリスチレンラテックス 平均粒子径0.23μm(積水化学社製)
#17用:ポリスチレンラテックス 平均粒子径0.39μm(積水化学社製)
#16用:ポリスチレンラテックス 平均粒子径0.05μm(積水化学社製)
【0037】
2.抗体-ラテックス複合体含有液の調整方法
(1)#14抗体-ラテックス複合体(#14Lx)含有液の調製方法
1)ラテックス、抗体をそれぞれ20mM グリシン pH9で希釈し、1%ラテックス液、0.4mg/ml#14抗体液を調製した。これらを1:1(1容+1容)で混合し、約1時間攪拌した。
2)上記混合液2容に、ブロッキング液(10% BSA)を0.1容添加し、約1時間攪拌した。
3)5mM MOPS(pH7.0)溶液に透析後、3Abs/ml(600nm)となるように希釈して#14抗体-ラテックス複合体(#14Lx)含有液を得た。
(2)#17抗体-ラテックス複合体(#17Lx)含有液の調製方法
1)ラテックス、抗体をそれぞれ20mM トリス pH8.0で希釈し、0.3%ラテックス液、0.1mg/ml#17抗体液を調製した。これらを1:1(1容+1容)で混合し、約1時間攪拌した。
2)上記混合液2容に、ブロッキング液(10% BSA)を0.03容添加し、約1時間攪拌した。
3)5mM MOPS(pH7.0)溶液に透析後、2.7Abs/ml(600nm)となるように希釈して#17抗体-ラテックス複合体(#17Lx)含有液を得た。
(3)#16抗体-ラテックス複合体(#16Lx)含有液の調製方法
1)ラテックス、抗体をそれぞれ20mM トリス pH8.5で希釈し、5%ラテックス液、0.6mg/ml #16抗体液を調製した。これらを1:1(1容+1容)で混合し、約二時間攪拌した。
2)上記混合液2容に、ブロッキング液(10% BSA)を0.4容添加し、約一時間攪拌した。
3)5mM MOPS(pH7.0)溶液に透析後、3Abs/ml(600nm)となるように希釈して#16抗体-ラテックス複合体(#16Lx)含有液を得た。」

刊2ウ「【0038】
〔試験例1〕
#16抗体-ラテックス複合体(#16Lx)添加によるc/f比の調整(1-1)
同濃度(40ng/ml)のfPSAとPSA-ACTを測定試料とし、下記PSA測定試薬の基本処方に第二試薬として#14Lx及び#17Lxのみを用いて、凝集反応を行い、fPSA及びPSA-ACTの濃度を測定し、その濃度比PSA-ACT/fPSA(c/f比)を求めたところ、約80%であった。ここで、#14Lxと#17Lxの混合比を変動させても、c/f比にあまり変化は無かったため、至適条件として、#14Lx含有液:#17Lx含有液=2:1を選択し、これに#16Lxを0、0.24、0.32、0.41、0.49、0.57 mg/mlとなるように添加して#16Lxの各添加量におけるc/f比を測定した。結果を図2-1に示す。
これによれば、#16Lxの添加量に伴って、c/f比は約80%から110%へと増加した。c/f比が100%となる条件、すなわち、fPSAとPSA-ACTが等モル反応性を示す条件を選択したところ、担体の混合比率は、計算上、#14Lx含有液:#17Lx含有液:#16Lx含有液=2:1:約0.27であった。
【0039】
(1)PSA測定試薬の基本処方
第一試薬(緩衝液)
0.5M KCl、
0.1% BSA(プロリアント)、
30mM HEPES 緩衝液pH7.0
第ニ試薬(抗体感作ラテックス液)
抗PSA・マウスモノクローナル抗体感作ラテックス粒子(*)、
5mM MOPS pH7.0
*3種類の抗体感作ラテックス粒子の混合比
#14Lx含有液:#17Lx含有液:#16Lx含有液=2:1:約0.27(2)測定条件
測定装置:H7170
パラメータ:
分析法 2ポイントエンド(測定ポイント19-34)
液量 8/100/100
測定波長 570(主)/800(副)
キャリブレーション スプライン
(3)測定試料
fPSA、PSA-ACT(ともにFitzgerald社製)を、1%BSA、0.1%NaN_(3)/PBSに溶解して試料とした。」

(4)刊行物2に記載された発明の認定

上記刊2アないし刊2ウを含む刊行物2全体の記載を総合すると、刊行物2には、以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明2)
「 0.5M KCl、0.1%BSA(プロリアント)、30mM HEPES緩衝液pH7.0からなる緩衝液である第一試薬、及び、抗PSA・マウスモノクローナル抗体感作ラテックス粒子、5mM MOPS pH7.0からなる抗体感作ラテックス液である第二試薬、からなるPSA測定試薬。
ただし、抗PSA・マウスモノクローナル抗体感作ラテックス粒子は、平均粒子径が0.23μm、0.39μm、0.05μmである3種類のポリスチレンラテックス粒子に、それぞれ抗PSAモノクローナル抗体63214、63217、63216を感作したものである。」

(5)刊行物3記載の事項

刊3ア 第2頁左上欄6ないし20行
「しかしながら、これらの抗原または抗体を感作させた微粒子を用い、高感度で抗体または抗原を測定するための試薬には、感作粒子の分散性が悪くなり非特異性凝集反応を起し易く、また保存中に感度が大きく変化して検出力や精度を著しく損なうことがあるという共通した難点がある。
本発明者らは、これらの難点のない免疫反応用感作粒子試薬を開発すべく検討し、感作粒子を分散させる媒体が重要であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、抗原または抗体を感作させた微粒子担体を、電気伝導度5.0ms/cm(当審注:「Ω」の逆さ文字を「s」と記す。)以下の水性媒体に懸濁させてなる免疫反応用感作粒子試薬に存する。」

(6)刊行物4記載の事項

刊4ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不溶性担体を使用し、これに担持した梅毒トレポネーマ抗原と検体中の抗梅毒トレポネーマ抗体との抗原抗体反応に基づいて同抗体を測定する免疫測定法に関し、より詳細には、検出感度が高くしかも非特異反応が少ない免疫測定法に関する。」

刊4イ 「【0008】本発明は、上記の問題を解決するものであり、その目的とするところは、非特異反応が少なく、かつ検出感度が高い抗梅毒トレポネーマ抗体を検出する免疫測定法を提供することにある。」

刊4ウ 「【0010】第2の発明は、梅毒トレポネーマ抗原を不溶性担体に担持させ、同抗原と抗梅毒トレポネーマ抗体との抗原抗体反応により生じた不溶性担体の凝集の度合を測定することにより該抗体を測定する免疫測定法において、該抗原抗体反応の測定系に塩化ナトリウムを0.02?5.0%(w/v)存在させることを特徴とする免疫測定法である。」

刊4エ 「【0012】本発明で用いられる不溶性担体としては、有機高分子粉末、無機物質粉末、微生物、血球および細胞膜片、プラスチック製のマイクロタイタープレートなどが挙げられる。有機高分子粉末としては、不溶性アガロース、セルロース、不溶性デキストランなどが例示でき、好ましくはラテックス懸濁液が用いられる。ラテックスとしては、例えばポリスチレン、スレチン-スチレンスルホン酸塩重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニルアクリレートなどがある。用いるラテックスの平均粒径は、測定方法、測定機器によって0.05?1.0μmの範囲で適宜選択される。」

刊4オ 「【0017】第2発明では、ラテックス試薬を用いた抗原抗体反応の場合、梅毒トレポネーマ抗原を担持したラテックス試薬に予め塩化ナトリウムを添加しておく。また、塩化ナトリウムを含まないラテックス試薬を使用することも可能で、この場合には抗原抗体反応時に塩化ナトリウムが該反応系に存在するようにすればよい。例えば、検体に予め塩化ナトリウムを添加しておく方法や、使用する緩衝液にこれを添加しておく方法などがあり、特に限定されない。言い換えれば、本発明の測定試薬は、例えば、梅毒トレポネーマ抗原を担持した不溶性担体と塩化ナトリウムとを含む1液系の試薬;梅毒トレポネーマ抗原を担持した不溶性担体を含む第1試薬と、塩化ナトリウムを含む緩衝液からなる第2試薬とで構成された2液系の試薬;など種々の形態でありうる。」

刊4カ 「【0024】第2発明の免疫測定法において、抗原抗体反応の反応系に存在する塩化ナトリウムの濃度は共存するタンパク、糖類、水溶性高分子などの増感剤の濃度によって適宜選ばれる。塩化ナトリウムは、一般には、該反応系に0.02?5.0%(w/v)、好ましくは0.8?3.0%(w/v)の割合で含有されるように調整される。塩化ナトリウムの濃度が0.02%(w/v)未満であると非特異凝集抑制の効果が認められない。また、この濃度が5.0%(w/v)を越えると抗原抗体反応が抑制され、検出感度が低下する。」

刊4キ 「【0029】実施例1
(1) 梅毒トレポネーマ抗原感作ラテックス液の調製
100mMリン酸緩衝液(pH7.4)に150μg/mlの蛋白濃度で溶解した梅毒トレポネーマ抗原液400μlを平均粒径0.400μmのポリスチレンラテックス(固形分10%(w/v)、積水化学社製)100μlに添加し、4℃にて1時間攪拌した。次いで、BSAを1%(w/v)含有する100mMリン酸緩衝液(pH7.4)2mlを添加し、1.5時間攪拌した。この液を、10℃にて30分間、18,000rpmで遠心分離した。得られた沈殿物にBSAを0.25%(w/v)含有する100mMリン酸緩衝液(pH7.4)5mlを添加し、ラテックスを懸濁させ、梅毒トレポネーマ抗原感作ラテックスを調製した。
【0030】(2) 検体希釈液の調製
BSAを0.25%(w/v)、pGEMA(グリコシルエチルメタクリレートのホモポリマー、平均分子量114万、日本精化社製)を1%(w/v)含有する100mMリン酸緩衝液(pH7.4)にエチレンジアミン四酢酸ナトリウムをその濃度が5mMになるよう溶解した。
【0031】(3) 抗梅毒トレポネーマ抗体測定試薬
抗梅毒トレポネーマ抗体測定試薬は、上記(1) 項の梅毒トレポネーマ抗原感作ラテックスからなる第1試薬と、上記(2) の緩衝液からなる第2試薬とから構成される2液系の試薬である。」

刊4ク 「【0042】実施例5
実施例1の(2) 検体希釈液の調製において、BSAを0.25%(w/v)、pGEMAを1%(w/v)含有する100mMリン酸緩衝液(pH7.4)にエチレンジアミン四酢酸ナトリウムの代わりに塩化ナトリウムをその濃度が150mMになるよう溶解し、得られた検体希釈液を使用して(5) 測定を行った以外は実施例1と同様の操作を行った。塩化ナトリウムの濃度は該反応系に0.73%(w/v)である。反応系のpHは5.5である。
【0043】実施例6
実施例5の(2) 検体希釈液の調製において、BSAを0.25%(w/v)、pGEMAを1%(w/v)含有する100mMリン酸緩衝液(pH7.4)に塩化ナトリウムをその濃度が200mMになるよう溶解し、得られた検体希釈液を使用して(5) 測定を行った以外は実施例5と同様の操作を行った。塩化ナトリウムの濃度は該反応系に0.97%(w/v)である。反応系のpHは6.0である。
【0044】実施例7
実施例5の(2) 検体希釈液の調製において、BSAを0.25%(w/v)、pGEMAを1%(w/v)含有する100mMリン酸緩衝液(pH7.4)に塩化ナトリウムをその濃度が500mMになるよう溶解し、得られた検体希釈液を使用して(5) 測定を行った以外は実施例5と同様の操作を行った。塩化ナトリウムの濃度は該反応系に2.4%(w/v)である。反応系のpHは6.5である。」

刊4ケ 「【0047】比較例4
実施例5の(2) 検体希釈液の調製において、BSAを0.25%(w/v)、pGEMAを1%(w/v)含有する100mMリン酸緩衝液(pH7.4)に塩化ナトリウムをその濃度が1500mMになるよう溶解し、得られた検体希釈液を使用して(5) 測定を行った以外は実施例5と同様の操作を行った。塩化ナトリウムの濃度は該反応系に7.3%(w/v)である。反応系のpHは7.4である。」

刊4コ 「【0049】
【表2】

上記のように、塩化ナトリウムを所要量添加した系(実施例5?7)では、その濃度が増加するに連れて感度が若干低下したが、梅毒陰性検体No. 1?3について全て非特異反応を抑制することができた。一方、塩化ナトリウムを添加しない系(比較例2)、および塩化ナトリウムを0.012%(w/v)添加した系(比較例3)では、梅毒陰性検体No. 1?3の非特異反応を抑制することができなかった。また、塩化ナトリウムを8.8%(w/v)添加した系(比較例4)では、梅毒陰性検体No. 1?3の非特異反応は抑制できたが、梅毒陽性抗体での反応性も大きく低下し、必要な測定範囲が得られなかった。」

(7)刊行物5記載の事項

刊5ア 第2頁右上欄下から3行ないし左下欄9行
「本発明者らは微粒子の凝集反応を1価の陽イオンと1価の陰イオンとの組合せからなる塩を高濃度で含有する水性媒体中で実施すると、非特異的凝集が大幅に抑制されることを見出し、本発明に到達した。
本発明は免疫学的活性物質を固定化した有機高分子化合物の微粒子の凝集反応を利用して体液中の成分を検出または定量する方法において、微粒子の凝集反応を、1価の陽イオンと1価の陰イオンとの組合せからなる塩が0.2mol/l以上の濃度で溶解されているpH5.5以上8.5以下の水性媒体中で行なうことを特徴とする免疫学的検査方法を提供するものである。」

刊5イ 第2頁右下欄下から2行ないし第3頁左上欄6行
「しかるに本発明によれば、担体として有機高分子化合物の微粒子を使用し、免疫学的活性物質を共有結合によつて上記担体に固定化し、凝集反応混合液に1価の陽イオンと1価の陰イオンとからなる塩を0.2rnol/l以上の濃度で添加した場合に、所望の免疫反応が抑制されることもなく、また微粒子が凝析または塩析により凝集されることもなく、しかも高濃度の血清(または血漿)による微粒子の非特異的凝集が抑制される。」

刊5ウ 第4頁右上欄5ないし12行
「塩類添加の効果は0.1mol/l以上の濃度で認められるが、0.2mol/l以上で顕著になる。そして濃度を高くする程非特異的凝集抑制の効果は強くなる。しかし重量濃度が400mg/ml以上になると溶液比重が高くなるためかと思われるが、微粒子の沈降速度が小さくなり、判定に長時間を要するので好ましくない。また2種類以上の塩を混合使用することも可能であり、それらの塩類の濃度の合計が0.2mol/l以上になると顕著な効果が認められる。」

(8)刊行物6記載の事項

刊6ア 「【0002】
凝集反応を検出する測定法は、凝集板法などで従前より汎用されてきた測定法であるが、なかでも感度・特異性・再現性の高さから抗原抗体反応を利用した免疫凝集法が主流である。
最近では、測定対象であるリガンドを抗原とする特異的抗体を感作させた不溶性担体粒子と汎用自動分析装置を利用し、より高感度かつ簡便にリガンドを測定できるようになったことから、免疫凝集法が臨床検査等で汎用されている。当該免疫凝集法は、抗原抗体反応に基づいて不溶性担体粒子を凝集させ、生じた凝集の程度を光学的に測定することにより測定対象であるリガンドの濃度を測定する方法であり、不溶性担体粒子としてはラテックスが多く用いられている。この場合は特に、ラテックス免疫比濁法(以下、LTIA法と略する)という。
これまで、LTIA法において、塩化ナトリウムやグアニジン類などの凝集促進剤を添加すると、免疫凝集の形成が促進され、測定感度が向上することが知られていた(特許文献1)。
しかし、これらの凝集促進剤を、抗体感作ラテックスと共存させておくと、免疫反応とは関係ない非特異的な抗体感作ラテックスの凝集(自然凝集とも称される)が生じ、長時間保管しておくと、ついには該粒子が沈降してしまうという問題があった。このため、LTIA法用の測定試薬では、抗体感作ラテックスと凝集促進剤を別々の構成試薬に処方しておき、測定時に混合するという2液の試薬から構成されているものが一般的である。」

(9)先願1記載の事項

先1ア「 【0038】
〔実施例〕
抗ヒトシスタチンCモノクローナル抗体a及びbを使用し、ラテックス粒子径及び、その他諸条件を日立7170形自動分析装置の測定に最適化した本発明のシスタチンC測定試薬を調製し、抗シスタチンCポリクローナル抗体を使用している既存のシスタチンC測定試薬(DADE BEHRING社 N-ラテックス シスタチンCキット)と性能比較を実施した。なお抗ヒトシスタチンCモノクローナル抗体を使用した汎用自動分析装置用の測定試薬を入手することはできなかった。
【0039】
(抗体感作ラテックス粒子の調製)
平均粒径0.15μmの0.5%ラテックス溶液(30mM Tris-HCl pH8.5)に、等量の0.15mg/mL抗体a又はb溶液(30mM Tris-HClpH8.5)を添加して4℃1時間攪拌後、等量の1%BSA溶液(30mM Tris-HCl pH8.5)を添加して4℃30分間攪拌し、遠心して上清を除去後、沈殿を精製水で再懸濁し抗ヒトシスタチンCモノクローナル抗体a及びb感作ラテックス粒子溶液とした。このとき、抗体感作粒子の総重量に対する抗体の結合量は約2.9重量%となる。
【0040】
(第一試薬の調製)
750mMの塩化カリウム、1%BSAを含むpH8.0の30mM Tris-HClを調製し第一試薬とした。
【0041】
(第二試薬の調製)
抗体a感作ラテックス粒子溶液と抗体b感作ラテックス粒子溶液を等量混合し、5mM MOPS緩衝液(pH7.0)で最終吸光度1.5ODとなるように希釈して第二試薬とした。」
(国際公開第2010/064435号の対応箇所:明細書段落[0041]ないし[0044])

(10)先願1の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明の認定

上記先1アの記載から、先願1の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面には、以下の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明3)
「 750mMの塩化カリウム、1%BSAを含むpH8.0の30mM Tris-HClとして調製した第一試薬、及び、抗体a感作ラテックス粒子溶液と抗体b感作ラテックス粒子溶液を等量混合し、5mM MOPS緩衝液(pH7.0)で最終吸光度1.5ODとなるように希釈した第二試薬、からなるシスタチンC測定試薬。
ただし、抗体a感作ラテックス粒子溶液及び抗体b感作ラテックス粒子溶液は、平均粒径0.15μmの0.5%ラテックス溶液(30mM Tris-HCl pH8.5)に、等量の0.15mg/mL抗体a又はb溶液(30mM Tris-HClpH8.5)を添加して4℃1時間攪拌後、等量の1%BSA溶液(30mM Tris-HCl pH8.5)を添加して4℃30分間攪拌し、遠心して上清を除去後、沈殿を精製水で再懸濁して抗ヒトシスタチンCモノクローナル抗体a及びb感作ラテックス粒子溶液としたものであって、抗体感作粒子の総重量に対する抗体の結合量は約2.9重量%である。」

4 判断

(1)取消理由1について

ア 引用発明1の1との同一性
(ア)本件発明1について
本件発明1と引用発明1の1とを対比すると、両者は、少なくとも、被測定物が、本件発明1においては「C-反応性蛋白質」であるのに対し、引用発明1の1においては「β_(2)マイクログロブリン(β_(2)M)」である点において相違する。

(イ)本件発明3ないし6について
本件発明3ないし6は、本件発明1を引用するものであって、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を限定しているものであるから、本件発明3ないし6でさらに限定している発明特定事項について検討するまでもなく、本件発明3ないし6は、引用発明1の1と相違する。

イ 引用発明1の2との同一性
(ア)本件発明1について
本件発明1と引用発明1の2とを対比すると、引用発明1の2の第一試薬が本件発明1のA液に相当し、両者は、少なくとも、A液の電気伝導度が、本件発明1においては「75ms/cm以上200ms/cm以下」であるのに対し、引用発明1の2においては特定されていない点において相違する。

ここで、特許権者が提出した平成28年2月22日付け意見書に添付された乙第1号証実験結果成績書を参酌するに、引用発明1の2の第一試薬と同条件の溶液における電気伝導度は、約36ms/cmである。
そして、生理食塩水(0.9重量%、0.154mol/l)の電気伝導度が16ms/cm(25℃)であること、本件特許明細書の段落【0036】に塩化ナトリウム濃度400mMの100mMトリス含有緩衝液の電気伝導度が35ms/cmと記載されていることに照らせば、引用発明1の2の第一試薬の電気伝導度は、おおよそ36ms/cm程度である蓋然性が高い。
してみると、引用発明1の2の第一試薬の電気伝導度が、75ms/cm以上200ms/cm以下であるということはできないから、本件発明1は引用発明1の2と相違する。

(イ)本件発明3ないし6について
本件発明3ないし6は、本件発明1を引用するものであって、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を限定しているものであるから、本件発明3ないし6でさらに限定している発明特定事項について検討するまでもなく、本件発明3ないし6は、引用発明1の2と相違する。

ウ 引用発明2との同一性
(ア)本件発明1について
本件発明1と引用発明2とを対比すると、両者は、少なくとも、被測定物が、本件発明1においては「C-反応性蛋白質」であるのに対し、引用発明2においては「PSA」である点において相違する。

(イ)本件発明3ないし5について
本件発明3ないし5は、本件発明1を引用するものであって、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を限定しているものであるから、本件発明3ないし5でさらに限定している発明特定事項について検討するまでもなく、本件発明3ないし5は、引用発明2と相違する。

エ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1、3ないし6は、刊行物1に記載されて発明ではなく、また、刊行物2に記載された発明でもない。

(2)取消理由2について

ア 本件発明1について
本件発明1と引用発明3とを対比すると、少なくとも、被測定物が、本件発明1においては「C-反応性蛋白質」であるのに対し、引用発明3においては「シスタチンC」である点において相違する。
よって、本件発明1は引用発明3と同一ではない。

イ 本件発明3、4及び6について
本件発明3、4及び6は、本件発明1を引用するものであって、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を限定しているものであるから、本件発明3、4及び6でさらに限定している発明特定事項について検討するまでもなく、本件発明3、4及び6は、引用発明3と同一ではない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1、3、4及び6は、先願1の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一ではない。

(3)取消理由3について

ア 引用発明1の1に基づく容易想到性
(ア)本件発明1について
上記(1)ア(ア)で検討したように、本件発明1と引用発明1の1とは、少なくとも、被測定物が、本件発明1においては「C-反応性蛋白質」であるのに対し、引用発明1の1においては「β_(2)マイクログロブリン(β_(2)M)」である点において相違する。

上記相違点について検討するに、刊行物1には、C-反応性蛋白質を被測定物とする引用発明1の2が記載されていることから、引用発明1の1の被測定物をβ_(2)マイクログロブリン(β_(2)M)に代えてC-反応性蛋白質にすることの動機があるとは認められない。
よって、本件発明1は、引用発明1の1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ)本件発明3ないし6について
本件発明3ないし6は、本件発明1を引用するものであって、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を限定しているものであるから、本件発明3ないし6でさらに限定している発明特定事項について検討するまでもなく、本件発明3ないし6は、引用発明1の1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 引用発明1の2に基づく容易想到性
(ア)本件発明1について
上記(1)イ(ア)で検討したように、本件発明1と引用発明1の2とは、少なくとも、A液の電気伝導度が、本件発明1においては「75ms/cm以上200ms/cm以下」であるのに対し、引用発明1の2においては特定されていない点において相違するところ、引用発明1の2の第一試薬の電気伝導度は、おおよそ36ms/cm程度である蓋然性が高い。

上記相違点について検討する。

引用発明1の2の第一試薬について検討するに、引用発明1の2の第一試薬は、2%NaClを含有している。
ラテックス免疫比濁法において、塩化ナトリウムなどの凝集促進剤を抗体感作ラテックスと共存させておくと自然凝集が生じるため、抗体感作ラテックスと凝集促進剤を別々の構成試薬に処方しておき、測定時に混合するという測定方法が、本件特許に係る出願の優先日前において周知である(甲6ア参照)ことに鑑みると、刊行物1に接した当業者であれば、引用発明1の2は、測定時の凝集促進を意図して第一試薬に2%NaClを含有させていると理解するものと認められる。

一方、刊4カによれば、刊行物4には、抗梅毒トレポネーマ抗体を検出する免疫測定法に関してではあるが、抗原抗体反応の反応系に存在する塩化ナトリウムの濃度を0.8?3.0%(w/v)の割合で含有されるように調整することで、非特異凝集抑制の効果が得られることが記載されている。
また、刊5アないしウによれば、刊行物5には、免疫学的活性物質を固定化した有機高分子化合物の微粒子の凝集反応を利用して体液中の成分を検出または定量する方法において、微粒子の凝集反応を、1価の陽イオンと1価の陰イオンとの組合せからなる塩が0.2mol/l以上の濃度で溶解されているpH5.5以上8.5以下の水性媒体中で行なうことで、非特異的凝集抑制の効果が得られることが記載されている。
刊行物4及び5に記載された非特異凝集抑制の効果が得られる塩化ナトリウム及び1価の陽イオンと1価の陰イオンとの組合せからなる塩の濃度は、それぞれ、0.8?3.0%(w/v)及び0.2mol/l以上であることから、生理食塩水の濃度(0.9%(w/v)、0.154mol/l)の1?3倍程度の濃度の塩化ナトリウムを含有させることで非特異凝集抑制の効果が得られるものと認められる。

刊行物1、4及び5は、いずれもラテックス粒子を用いた免疫学的測定として共通する技術分野に関するものであり、刊行物1、4及び5に接した当業者であれば、引用発明1において、測定時における非特異凝集抑制の効果を期待して、測定時の塩化ナトリウムの濃度が生理食塩水の塩化ナトリウムの濃度の1?3倍程度となるように、第一試薬中の塩化ナトリウム濃度を調整しようとすることは、容易に想到し得ることであるいえる。
ここで、刊1キの「生食3μLに第一試薬210μLを加え、その約5分後に第二試薬70μLを添加し攪拌した。」との記載によれば、引用発明1の2は、第一試薬と第二試薬とを3:1の割合で混合して測定に使用することを想定しているものと認められる。
よって、測定時の塩化ナトリウムの濃度を生理食塩水の3倍程度となすために、第一試薬の塩化ナトリウムの濃度を生理食塩水の塩化ナトリウムの濃度の4倍程度とすることまでは、合理的な動機があるといえる。
しかしながら、生理食塩水の電気伝導度が16.0ms/cm(25℃)であることから、第一試薬の塩化ナトリウムの濃度を生理食塩水の塩化ナトリウムの濃度の4倍にしたとしても、その電気伝導度はおおよそ64ms/cm程度であると認められ、75ms/cm以上であるということはできない。

また、刊行物3にも、引用発明1の2の第一試薬の電気伝導度を75ms/cm以上とすることの動機となる記載があるとは認められない。

してみると、上記相違点に係る本件発明1の発明特定事項は、刊行物1及び3ないし6の記載事項、並びに、本件特許に係る出願の優先日前において周知な事項に基いて、本件特許に係る出願の優先日前に当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
したがって、本件発明1は、引用発明1の2、刊行物1及び3ないし6の記載事項、並びに、本件特許に係る出願の優先日前において周知な事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ)本件発明3ないし6について
本件発明3ないし6は、本件発明1を引用するものであって、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を限定しているものであるから、本件発明3ないし6でさらに限定している発明特定事項について検討するまでもなく、本件発明3ないし6は、引用発明1の2、刊行物1及び3ないし6の記載事項、並びに、本件特許に係る出願の優先日前において周知な事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)取消理由4について

本件訂正請求による訂正により、本件発明1、3ないし6は、A液が、その電気伝導度を調節する塩化ナトリウムを含むものとなった。
よって、本件発明1、3ないし6は、その発明の詳細な説明に記載されたものではないということはできない。

(5)むすび

以上のとおりであるから、取消理由1ないし4によっては、本件請求項1、3ないし6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、3ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項2に係る発明は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項2に対してなされた特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
検査試薬及びそれを用いた被検試料中の被測定物の測定方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物捕捉物質が不溶性担体粒子上に担持された粒子が浮遊している粒子浮遊液中の粒子の凝集を指標とする、被検試料中の被測定物の検査試薬及びそれを用いた該被測定物の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗体や抗原を不溶性担体粒子上に担持した粒子が浮遊する粒子浮遊液を検査試薬として用い、被検試料と反応させた後、粒子の凝集の程度を指標として被検試料中の被測定物(抗原や抗体)を測定する方法は、免疫凝集法として知られており広く用いられている。
【0003】
抗体を担持した不溶性担体は、特定の環境下でNaCl濃度が一定濃度以下の低いイオン強度の液相中や、逆に一定濃度以上という高いイオン強度での液相中で分散することが報告されている。
【0004】
NaCl濃度が一定濃度以下の低いイオン強度、つまり電気伝導度が低い溶媒で浮遊したタンパク質を担持した不溶性担体は分散性や感度を効率よく得ることには優れている。しかし、生体物質中の夾雑物質からのイオンの混入により非特異的凝集が起きる場合がある。
【0005】
生体試料中には目的物質の免疫反応に影響を与える妨害物質が生体試料中に存在することが知られている。免疫反応の妨害物質の影響を回避するために様々な添加物を用いた試薬を用いる方法が広く利用されている。例えば、目標とする物質を検出するための反応液と、妨害物質の影響を回避することができる物質を共存させた第2の試薬である緩衝液を用いる方法が知られている。緩衝液は生理食塩液に近い電気伝導度(約15?20ms/cm)を持つ溶液を利用することが多い。低い電気伝導度条件で浮遊された抗体を担持した不溶性担体を用いた測定系では、測定時に反応液と緩衝液を混合するだけで非特異的凝集を起こる場合があった。
【0006】
免疫凝集法等で、試薬の感度を高めるために各種の添加剤(例:ポリエチレングリコール、グアニジン)を用いることもある。しかしながら、添加剤を用いると電気伝導度が増加し、測定時に試薬液と緩衝液と混合するだけで非特異的凝集を起こす場合があった。
【0007】
一方、高い電気伝導度条件下で浮遊されたタンパク質を担持した不溶性担体を用いる場合、数時間以内の短時間であれば自己凝集を起こさない。しかし、数日間或いは数ヵ月間以上の長期にわたる保存では自己凝集を起こし、保存ができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-351643号公報
【特許文献2】特許第3095541号
【特許文献3】特開昭57-182168号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.Biomater.Sci.Polymer Edn,Vol.10,No.11,PP.1093-1105(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、被測定物捕捉物質が不溶性担体粒子上に担持された粒子が浮遊している粒子浮遊液中の粒子の凝集を指標とする、被検試料中の被測定物の検査試薬であって、保存中に自己凝集が起きず、かつ、測定時にも非特異的凝集がほとんど起きない検査試薬及びそれを用いた被検試料中の被測定物の測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、検査試薬を粒子浮遊液と緩衝液を別個に含む2液系とすると共に、粒子浮遊液の電気伝導度を特定の値よりも低くし、緩衝液の電気伝導度を、通常検査試薬として用いられている緩衝液の電気伝導度よりも高い、特定の値よりも高くし、測定操作を開始する直前に緩衝液と粒子浮遊液を混合して測定を行うことにより、保存中に自己凝集が起きず、かつ、測定時にも非特異的凝集を抑制し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明は、75ms/cm以上200ms/cm以下の電気伝導度を有する緩衝液であるA液と、被測定物捕捉物質が不溶性担体粒子上に担持された粒子が浮遊している粒子浮遊液であって6.5ms/cm以下の電気伝導度を有するB液とを少なくとも含む、前記被測定物を測定するための検査試薬であって、前記被測定物がC-反応性蛋白質であり、前記A液が、その電気伝導度を調節する塩化ナトリウムを含む、検査試薬を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、試薬の保存中に自己凝集が起きず、また、測定時にも非特異的凝集がほとんど起きないので、被検試料中の被測定物を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】
自動測定装置を用いて本発明の方法を実施する際における、A液、B液及び被検試料の混合方法の1態様を示す図である。
【図2】
自動測定装置でY字型のチューブを用いて本発明の方法を実施する際における、A液、B液及び被検試料の混合方法の他の1態様を示す図である。
【図3】
濾過チューブを用いて本発明の方法を実施する際における、A液、B液及び被検試料の混合方法のさらに他の1態様を示す図である。
【図4】
本発明の実施例で作成した検量線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記の通り、本発明の試薬は、緩衝液であるA液と、粒子浮遊液であるB液とを含む。A液とB液とは、別々の容器に収容された別個の液であり、測定操作の開始直前に混合されるものである。混合の態様については後述する。
【0016】
A液(緩衝液)
緩衝液であるA液に含まれる緩衝剤は、検査試薬に通常用いられている周知の緩衝剤であってよく、例えばアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン等のアミノ酸;クエン酸、マレイン酸、グルタル酸等のカルボン酸塩;リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等のリン酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;グッドの緩衝剤等が好ましく使用可能であり、トリス緩衝剤、グッド緩衝剤、リン酸系緩衝剤が好適に用いられるが、緩衝剤はこれらに限定されるものではない。
【0017】
A液の電気伝導度は、75ms/cm以上である。電気伝導度は200ms/cm以下である。A液の電気伝導度を75ms/cm以上とすることにより、測定時の非特異的凝集が顕著に抑制される。従来から検査試薬において広く用いられている緩衝液としては、生理食塩水と同程度の電気伝導度を持つもの、すなわち、電気伝導度が15?20ms/cm程度のものが用いられている。従って、本発明では、通常よりも高い電気伝導度を有する緩衝液を用いることを1つの特徴とする。なお、電気伝導度は、広く市販されている電気伝導率計を用いた常法により測定することができる。電気伝導度の測定は室温下で行う。
【0018】
A液の電気伝導度は、上記した緩衝剤の濃度を調節したり、水溶性イオン性化合物を添加することにより任意の値に調節することができる。使用可能な水溶性イオン性化合物はNaClである。市販の電気伝導率計を用いれば、液の電気伝導度はリアルタイムで測定可能であるので、電気伝導度を測定しながら水溶性イオン性化合物を添加することにより、容易に所望の電気伝導度を達成することができる。
【0019】
B液(粒子浮遊液)
上記の通り、B液中には、被測定物捕捉物質が不溶性担体粒子上に担持された粒子が浮遊状態で含まれる。この浮遊粒子は、何ら限定されるものではなく、従来から検査試薬において用いられている周知の粒子であってよい。
【0020】
すなわち、被測定物捕捉物質としては、測定しようとする被測定物と特異的に結合できるものであればよく、抗原抗体反応やリガンド-レセプター反応等の特異的結合反応により被測定物と結合できるものである。抗原抗体反応を利用した方法は、免疫凝集法と呼ばれる周知の免疫測定法であり、被測定物が抗原である場合には該抗原と抗原抗体反応する抗体やその抗原結合性断片(抗原との結合性を維持する、Fab断片やF(ab’)_(2)断片等)が担持される。被測定物が抗体である場合でも、抗体は抗原でもあるので、該抗体と抗原抗体反応する抗体やその抗原結合性断片が担持される。また、これらの抗体は、モノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもよい。
【0021】
被測定物は、抗原であるCRP(C-反応性蛋白質)である。
【0022】(削除)
【0023】
被測定物が抗原の場合は被測定物と結合する被測定物捕捉物質を抗体として担体粒子に感作させる。
【0024】
不溶性担体も従来から検査試薬において用いられている周知のものであってよく、例えばポリエチレンやポリスチレン等の樹脂ラテックス、アルミナ、シリカ、金コロイド、磁性粒子等の粒子が挙げられる。これらの不溶性担体の中ではラテックス粒子、特にポリスチレンラテックス粒子が好適に用いられる。
【0025】
B液中の浮遊粒子の濃度は、用いる被測定物捕捉物質の種類や、被測定物の種類、被検試料中の被測定物の予測される濃度等に基づいて適宜設定されるが、通常、粒子濃度は0.01?0.5%程度である。
【0026】
B液の電気伝導度は、6.5ms/cm以下、好ましくは5ms/cm以下である。B液の電気伝導度が6.5ms/cm以下の場合、保存中の粒子の自己凝集が防止され、また、測定時の非特異的凝集もほとんど起きない。電気伝導度の下限は特にないが、通常、電気伝導度は0.1ms/cm以上である。6.5ms/cm以下の電気伝導度は、B液の溶媒として例えば水、アルコール(例えばエタノール等)、糖液(例えばグルコース、スクロース、マルトース、ラクトース等)等を用いることにより達成される。B液には上記電気伝導度が達成される範囲内で、塩化ナトリウムや緩衝剤を添加してもよい。
【0027】
本発明の検査試薬には、検査対象物質を検出するための呈色試薬や反応性試薬、コレステロールオキシダーゼやコレステロールエステラーゼ等の酵素、界面活性剤、抗体の安定化や非特異的な反応を抑制するためのタンパク等、比重を調整するための糖類、グリセロール等を添加剤として併用してもよい。これらの添加剤は、A液又はB液に添加してもよく、測定時にA液やB液とは別の試薬(さらに別の液)として添加してもよい。
【0028】
測定方法
上記本発明の検査試薬を用いた本発明の測定方法は、A液と、B液と、被検試料とを混合する工程と、得られた混合液中の前記粒子の凝集の程度を測定する工程とを含む。
【0029】
被検試料としては、上記した、被測定物であるCRPを含むかもしれないものであれば何ら限定されるものではない。もっとも、測定時の非特異的凝集は、被検試料中の夾雑物質からのイオン混入によると推測されるので、本発明は、人体又は動物、好ましくは人体から採取した被検試料に適用される場合に最も威力を発揮する。このような被検試料として、血液、血清、血漿、尿、髄液、又は糞便、特に血液由来の血液、血清、又は血漿が好適に用いられる。
【0030】
A液、B液、被検試料の混合は、これら3者(検査試薬が別個の添加剤を含む場合にはさらにその添加剤)を混合することができればその順序は限定されず、3者を同時に混合する方法、A液とB液を混合後、被検試料を混合する方法、A液と被検試料を混合後、B液と混合する方法等が挙げられる。自動測定装置を用いる凝集法も広く行われており、本発明においても、市販の自動測定装置を好ましく用いることができる。自動測定装置を用いる場合の、A液、B液、被検試料の混合の態様としては、例えば図1?図2に示すものを挙げることができる。図1の方法では、下の液を先に、上の液を後から添加する。図2に示す方法は、Y字形チューブを用いた方法であり、A液とB液を合流させて混合した後、該混合液を被検試料と混合する。図3に示す方法は、濾過チューブを使った混合方法であり、A液をチューブ内に入れ、被検試料をフィルターに入れ、A液、被検試料を混合濾過し、B液中に滴下する。なお、混合後、撹拌することが好ましい。
【0031】
少なくともA液とB液の混合は、測定操作の開始直前に行う。ここで、「測定操作」は、混合液中の粒子の凝集の程度を測定する操作であり、通常は、吸光度又は濁度の測定である。「直前」は、測定操作開始前10分以内、好ましくは5分以内である。A液とB液を測定操作の開始直前に混合することにより、本発明の効果である、保存時の自己凝集防止や測定時の非特異的凝集の防止が達成される。また、混合時の各液の温度は、反応を行う温度としておくことが好ましく、通常、室温?37℃である。
【0032】
混合後、従来と同様、通常、1分間?1時間程度、好ましくは3分間?15分間程度反応を行う。凝集の程度は、従来と同様、通常、光学的方法により測定され、好ましくは吸光度又は濁度を測定することにより行われる。種々の既知濃度の標準試料について測定を行い、濃度と測定値(吸光度等)との関係をプロットして検量線を作成し、被検試料について得られた測定値を検量線に当てはめることにより被検試料中の被測定物を測定することができる。なお、「測定」は、検出、定量、半定量のいずれをも包含する意味で用いている。
【0033】
検査試薬キット
上記本発明の検査試薬を用いた本発明の検査試薬キットは、A液、B液及び容器等、検査に必要な薬品及び部品からなる。
【0034】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
実施例2?3、比較例1?6
以下の通り、浮遊されたタンパク質を担持した不溶性担体粒子を含む粒子浮遊液(B液)の自己凝集の違いを測定した。また、生理食塩水をブランク検体とし、緩衝液(A液)の電気伝導度を変えた反応条件下での非特異的凝集の違いを評価した。また、CRPの測定により感度の違いを評価した。
【0036】
使用材料
A液:100mMトリス含有の緩衝液に、電気伝導度をモニターしながら塩化ナトリウムを添加し、所定の電気伝導度とした。電気伝導度8ms/cm(塩化ナトリウム濃度50mM、比較例1、5)、16ms/cm(塩化ナトリウム濃度150mM、比較例2)、35ms/cm(塩化ナトリウム濃度400mM、比較例6)、75ms/cm(塩化ナトリウム濃度1000mM、実施例2、比較例3,4)、200ms/cm(塩化ナトリウム濃度5000mM、実施例3)。
【0037】
B液:市販の抗CRP抗体を0.25mg/mL担持した平均粒径220nmのポリスチレンラテックス0.1%を水中に分散させてなる反応液に、塩化ナトリウムを添加して所定の電気伝導度とした。電気伝導度5ms/cm(塩化ナトリウム:50mM、比較例6、実施例2?3、比較例1,2)、15ms/cm(塩化ナトリウム:150mM、比較例3)、78ms/cm(塩化ナトリウム:1000mM、比較例4、5)。
【0038】
方法
上記のB液の初期の吸光度と1ヵ月後の吸光度を測定して、自己凝集の有無を確認した。
【0039】
ブランクの被検試料として生理食塩水を用い、上記のA液とB液を混合した試薬を自動分析装置で測定して、試薬の非特異的凝集を確認した。すなわち、日立7180型(商品名)自動分析装置上で、生理食塩水2.4μLに上記のA液120μLを添加し、この混合液を37℃で撹拌混合した後、5分間放置後、上記B液を120μL添加し、更に37℃で撹拌混合した。約5分間の凝集反応を570nmの吸光度変化量として測定した。
【0040】
CRPの測定は被検試料として、CRPを0.05mg/dL含む溶液を用い、上記のA液とB液を混合した試薬を自動分析装置で測定して、吸光度変化量を確認した。すなわち、日立7180型(商品名)自動分析装置上で、CRP0.05mg/dL溶液2.4μLに上記のA液120μLを添加し、この混合液を37℃で撹拌混合した後、5分間放置後、上記B液を120μL添加し、更に37℃で撹拌混合した。約5分間の凝集反応を570nmの吸光度変化量として測定した。
【0041】
評価方法
自己凝集は、0.1%ポリスチレンラテックス粒子分散液の吸光度と、B液の吸光度の差を保存の前後でそれぞれ算出し、以下の判定基準に従って各電気伝導度における自己凝集を評価した。
【0042】
判定基準
0.1%ポリスチレンラテックス粒子分散液の吸光度を基準として、
○:差が15%以下
×:差が15%超
【0043】
測定時の非特異的凝集は、自動分析装置における生理食塩水測定時の吸光度変化量を以下の判定基準に従って評価した。
【0044】
判定基準
○:吸光度変化量ΔAbsの10000倍が20以下
×:吸光度変化量ΔAbsの10000倍が20超
【0045】
CRP測定
CRPの測定は、ブランクである生理食塩液とCRP0.05mg/dL溶液測定時の吸変化量の差を算出し、感度を比較した。
【0046】
電気伝導度の測定
A液及びB液の電気伝導度の測定は、東亜電波工業(株)社製電気伝導率計CM-60G型を用いて行った。
(電極:CT-57101B、温度:25℃)
【0047】
結果
結果を下記表1に示す。
【0048】
【表1】


【0049】
表1に示されるように、B液の電気伝導度が本発明で規定される範囲よりも高い比較例3?5では、1ヶ月保存後に自己凝集が生じた(比較例3では混合直後から自己凝集した)。また、A液の電気伝導度が本発明で規定される範囲よりも低い比較例1及び2では、生理食塩水を測定した場合でも吸光度が変化し、すなわち、非特異的凝集が起きた。
【0050】
次に、非特異的凝集が起きない比較例6、実施例2?3と比較例3?5をCRP0.05mg/dL溶液測定時の吸光度変化量について比較した。比較例6、実施例2?3が比較例3?5よりも高い吸光度変化量を示した。また、実施例2と比較例5はA液とB液の電気伝導度がほぼ逆に設定されており、最終的な電気伝導度はほぼ同じである。しかし、本発明で規定するようにB液をA液より低く電気伝導度を設定した実施例2の方がより高い吸光度を示した。
【0051】
従って、本発明で規定する電気伝導度を有する緩衝液であるA液とB液とを少なくとも含む検査試薬及び測定方法は、B液のラテックス粒子の自己凝集を防ぐことが出来、保存性に優れていた。また、非特異的凝集を防ぎ且つ高感度な測定を実現できた。
【0052】
実施例3A
検量線作成
上記実施例2の試薬を用い、種々の濃度のCRPを含む標準溶液を用いて上記と同様に測定を行い、キャリブレーションを行った。得られた吸光度変化量とCRP濃度の関係を図4に示す。
【0053】
図4に示されるように、CRP濃度に依存して吸光度が変化しており、この試薬を用いてCRPの定量が可能であることが明らかになった。
【0054】
実施例4
血清検体の測定
上記実施例2の試薬を用い、血清検体について上記と同様にCRPの測定を行った。測定を20回繰返し行い、その再現性を調べた。結果を表2に示す。
【0055】
【表2】


【0056】
表2に示されるように、本発明の方法により得られる、実際の血清検体についての測定結果の再現性は極めて高かった。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
75ms/cm以上200ms/cm以下の電気伝導度を有する緩衝液であるA液と、被測定物捕捉物質が不溶性担体粒子上に担持された粒子が浮遊している粒子浮遊液であって6.5ms/cm以下の電気伝導度を有するB液とを少なくとも含む、前記被測定物を測定するための検査試薬であって、前記被測定物がC-反応性蛋白質であり、前記A液が、その電気伝導度を調節する塩化ナトリウムを含む、検査試薬。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
前記被測定物捕捉物質が抗体若しくはその抗原結合性断片、又は抗原である請求項1に記載の検査試薬。
【請求項4】
前記不溶性担体粒子がラテックス粒子である請求項1又は3に記載の検査試薬。
【請求項5】
前記ラテックス粒子がポリスチレンラテックス粒子である請求項4に記載の検査試薬。
【請求項6】
請求項1及び請求項3ないし5のいずれか1項に記載の検査試薬を少なくとも含む、検査試薬キット。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-04-20 
出願番号 特願2011-502797(P2011-502797)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (G01N)
P 1 651・ 121- YAA (G01N)
P 1 651・ 161- YAA (G01N)
P 1 651・ 537- YAA (G01N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉田 将志伊藤 裕美  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 渡戸 正義
▲高▼見 重雄
登録日 2015-03-06 
登録番号 特許第5706315号(P5706315)
権利者 デンカ生研株式会社
発明の名称 検査試薬及びそれを用いた被検試料中の被測定物の測定方法  
代理人 特許業務法人谷川国際特許事務所  
代理人 特許業務法人谷川国際特許事務所  

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