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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C09J
審判 全部申し立て 2項進歩性  C09J
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C09J
審判 全部申し立て 発明同一  C09J
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C09J
管理番号 1331234
異議申立番号 異議2017-700443  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-02 
確定日 2017-08-04 
異議申立件数
事件の表示 特許第6023001号発明「ホットメルト接着剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6023001号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第6023001号の請求項1?5に係る特許についての出願は、平成25年5月22日に出願され、平成28年10月14日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人佐藤義光により特許異議の申立てがされたものである。

2.本件発明について
特許第6023001号の請求項1?5の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明5」という。まとめて、「本件発明」ということもある。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「[請求項1]
(A)ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体である熱可塑性ブロック共重合体を有するホットメルト接着剤であって、
(A)熱可塑性ブロック共重合体が以下の(A1)成分および(A2)成分を含む、ホットメルト接着剤:
(A1)スチレン含有率が35?45重量%、ジブロック含有率が50?90重量%、25重量%トルエン溶液の25℃での粘度が250mPa・s以下であるラジアル型スチレンブロック共重合体;及び
(A2)トリブロック型スチレンブロック共重合体。
[請求項2]
(A1)ラジアル型スチレンブロック共重合体が3分岐型スチレン-ブタジエンブロック共重合体を含む、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
[請求項3]
(A)熱可塑性ブロック共重合体は、さらに、(A3)ジブロック含有率が50?90重量%のリニア型スチレンブロック共重合体を含む、請求項1又は2に記載のホットメルト接着剤。
[請求項4]
140℃の溶融粘度が4000mPa・s以下である請求項1?3のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤。
[請求項5]
請求項1?4のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤を塗工することで得られる使い捨て製品。」

3.申立理由の概要
特許異議申立人が主張する特許異議申立理由は次のとおりである。
(1)特許法第29条の2について(同法第113条第2号)
甲第1号証:PCT/JP2013/069551号(国際公開第2014/017380号)
甲第2号証:一般財団法人化学物質評価研究機構による試験報告書(平成29年3月21日)
本件発明1、2及び5は、甲第2号証に鑑みて、甲第1号証に記載された発明と実質的に同一であり、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、本件発明1、2及び5に係る特許は取り消されるべきものである。

(2)特許法第29条第1項第3号について(同法第113条第2号)
甲第3号証:特開平10-130349号公報
本件発明1及び5は、甲第3号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、本件発明1及び5に係る特許は取り消されるべきものである。

(3)特許法第29条第2項について(同法第113条第2号)
甲第1号証:PCT/JP2013/069551号(国際公開第2014/017380号)
甲第2号証:一般財団法人化学物質評価研究機構による試験報告書(平成29年3月21日)
甲第3号証:特開平10-130349号公報
甲第4号証:特開平02-232049号公報
甲第5号証:クレイトン^(TM)D1117物性データ(2015年4月9日発行)、及び抄訳文
(3-1)本件発明1、2、4及び5は、甲第3号証に記載された発明、及び周知の技術事項(甲第1号証及び甲第2号証)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件発明1、2、4及び5に係る特許は取り消されるべきものである。
(3-2)本件発明1、2、4及び5は、甲第3号証に記載された発明、甲第4号証に記載された発明、及び周知の技術事項(甲第1号証、甲第2号証及び甲第5号証)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件発明1、2、4及び5に係る特許は取り消されるべきものである。

(4)特許法第36条第4項第1号について(同法第113条第4号)
甲第6号証:旭化成株式会社回答書(2017年4月3日)
本件特許明細書は、当業者が本件発明1?5を実施することができるように記載されておらず、本件発明1?5は特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるから、本件発明1?5に係る特許は取り消されるべきものである。

(5)特許法第36条第6項第1号について(同法第113条第4号)
甲第6号証:旭化成株式会社回答書(2017年4月3日)
本件発明1?5は発明の詳細な説明に記載したものではなく、本件発明1?5は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるから、本件発明1?5に係る特許は取り消されるべきものである。

4.甲号証の記載事項
(1)甲第1号証の記載事項
特許異議申立人が甲第1号証として提出した国際公開第2014/017380号に係る特許出願は、2013年(平成25年)7月18日(優先権主張 平成24年7月25日、日本国、特願2012-165195号(以下、「先願1」という。))を国際出願日とする日本語国際特許出願(PCT/JP2013/069551)であるから、特許法第29条の2(同法第184条の13)の規定の適用においては、本件特許についての出願の出願日(平成25年5月22日)より前の特許出願である先願1の出願書類全体と、その後国際公開された日本語国際特許出願(PCT/JP2013/069551)の出願当初の明細書又は特許請求の範囲の双方に共通して記載されている発明を、本件発明との対比の対象とする。
先願1の願書に最初に添付された明細書及び特許請求の範囲(以下「先願1明細書等」という。)には、次の事項が記載されている。また、記載事項が概ね対応している甲第1号証の段落番号も示す。
(1-1)「[請求項1]
成分(a):ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)とを含有し、数平均分子量が10,000?60,000であるブロック共重合体:50?80質量%と、
成分(b):ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)とを含有し、数平均分子量が60,000?200,000であるブロック共重合体:20?50質量%とを含み、
ビニル芳香族単量体単位の含有量が25?50質量%であり、
15質量%トルエン溶液における粘度が10?40mPa・sであり、
前記成分(a)に対する前記成分(b)の数平均分子量比が2.3?3.6である、
粘接着剤用ブロック共重合体組成物。」(甲第1号証の請求の範囲の[請求項1]に対応する。)

(1-2)「[0002]
近年、溶液型、ホットメルト型の、接着剤や粘着剤のベースポリマーとして、ビニル芳香族単量体-共役ジエン単量体系ブロック共重合体(例えば、SBS:スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、SIS:スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体)が広く使用されている。・・・
[0010]
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、保持力や粘着性等の粘接着剤特性バランスに優れ、溶融粘度が低く、優れた溶解性及び塗工性を有する粘接着剤組成物となる、粘接着剤用ブロック共重合体組成物、及び該粘接着剤組成物を提供することを目的とする。」(甲第1号証の[0002]?[0010]に対応する。)

(1-3)「[0018]
〔ブロック共重合体〕
(成分(a))
成分(a)は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)とを含有し、数平均分子量が10,000?60,000であるブロック共重合体であり、粘接着剤用ブロック共重合体組成物に50?80質量%含まれる。成分(a)のブロック共重合体の数平均分子量の範囲は、10,000?60,000であり、好ましくは20,000?60,000であり、より好ましくは30,000?60,000である。成分(a)の数平均分子量は実施例において記載する方法により求めることができる。数平均分子量がこのような範囲であれば、優れた粘着性、粘着力、保持力、溶解性、塗工性を有する粘接着剤用ブロック共重合体組成物及び粘接着剤組成物が得られる。
[0019]
また、成分(a)の構造としては、特に限定されないが、具体的には、(A-B)_(n)、(A-B)_(n)A、(B-A)_(n)B等が挙げられる。このなかでも、式(A-B)によって表されるジブロック共重合体であることが好ましい。なお、上記式においてnは1以上の整数であり、好ましくは1?5の整数である。
[0020]
(成分(b))
成分(b)は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)とを含有し、数平均分子量が60,000?200,000であるブロック共重合体であり、粘接着剤用ブロック共重合体組成物に20?50質量%含まれる。成分(b)のブロック共重合体の数平均分子量の範囲は、60,000?200,000であり、好ましくは100,000?190,000であり、より好ましくは130,000?180,000である。成分(b)の数平均分子量は実施例において記載する方法により求めることができる。数平均分子量がこのような範囲であれば、優れた粘着性、粘着力、保持力、溶解性、塗工性を有する粘接着剤用ブロック共重合体組成物及び粘接着剤組成物が得られる。
[0021]
また、成分(b)の構造としては、特に限定されないが、具体的には、(A-B)_(m)X、(B-A)_(m)X等が挙げられる。このなかでも、式(A-B)_(3)Xによって表される3分岐ブロック共重合体(以下、「3官能ブロック共重合体」ともいう。)であることが好ましい。なお、上記式において、Xは、カップリング剤の残基又は重合開始剤の残基を示し、mは2、3、4のいずれかの整数である。3分岐ブロック共重合体を含有することにより、優れた粘着性、粘着力、保持力、溶解性、塗工性を有する粘接着剤用ブロック共重合体組成物及び粘接着剤組成物が得られる傾向にある。」(甲第1号証の[0018]?[0022]に対応する。)

(1-4)「[0025]
成分(a)、(b)を構成する重合体ブロックAのビニル芳香族炭化水素化合物としては、特に限定されないが、具体的には、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン及びp-ターシャルブチルスチレン等のアルキルスチレン;p-メトキシスチレン等のアルコキシスチレン;ビニルナフタレン等が挙げられる。このなかでも、ビニル芳香族炭化水素としては、スチレンが好ましい。ビニル芳香族炭化水素化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0026]
成分(a)、(b)を構成する重合体ブロックBの共役ジエン化合物は、共役二重結合を有するジオレフィンであれば特に限定されないが、具体的には、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられる。このなかでも、共役ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン、イソプレンが好ましい。共役ジエン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0027]
(ブロック共重合体の含有率)
粘接着剤用ブロック共重合体組成物における各成分の含有率は、成分(a)が50?80質量%、成分(b)が20?50質量%の割合であり、好ましい各ブロック共重合体の含有率は成分(a)が55?80質量%、成分(b)が20?45質量%であり、より好ましい各成分の含有率は成分(a)が60?75質量%、成分(b)が25?40質量%である。これにより、優れた粘着性、粘着力、保持力、溶解性、塗工性を有する粘接着剤用ブロック共重合体組成物及び粘接着剤組成物が得られる。特に、溶解性が良好であることにより、加熱混合時間を短縮でき、熱劣化による変色を防止することができる。」(甲第1号証の[0026]?[0028]に対応する。)

(1-5)「[0030]
〔ビニル芳香族単量体単位の含有量〕
本実施形態の粘接着剤用ブロック共重合体組成物中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、25?50質量%であり、好ましくは30?45質量%であり、より好ましくは35?40質量%である。本実施形態の粘接着剤用ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位の含有量が上記範囲であると、優れた粘着性(ループタック)、粘着力、保持力を有する粘接着剤用ブロック共重合体組成物及び粘接着剤組成物が得られる。特に、ビニル芳香族単量体単位の含有量が、25質量%以上であると、優れた粘着力、保持力がを有する粘接着剤用ブロック共重合体組成物及び粘接着剤組成物が得られ、50質量%以下であると優れた粘着性を有する粘接着剤用ブロック共重合体組成物及び粘接着剤組成物が得られる。粘接着剤用ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、後述する実施例において記載する方法により測定することができる。」(甲第1号証の[0036]に対応する。)

(1-6)「[0031]
〔15質量%トルエン溶液における粘度〕
本実施形態の粘接着剤用ブロック共重合体組成物の15質量%トルエン溶液における粘度は、10?40mPa・sであり、好ましくは15?35mPa・sであり、より好ましくは20?30mPa・sである。本実施形態の粘接着剤用ブロック共重合体の15質量%トルエン溶液における粘度が上記範囲であると、優れた粘着性、粘着力、保持力、溶解性、塗工性を有する粘接着剤用ブロック共重合体組成物及び粘接着剤組成物が得られる。特に、15質量%トルエン溶液における粘度が、10mPa・s以上であると、優れた粘着力、保持力を有する粘接着剤用ブロック共重合体組成物及び粘接着剤組成物が得られ、40mPa・s以下であると優れた粘着性、溶解性、塗工性を有する粘接着剤用ブロック共重合体組成物及び粘接着剤組成物が得られる。粘接着剤用ブロック共重合体の15質量%トルエン溶液における粘度は、後述する実施例において記載する方法により測定することができる。」(甲第1号証の[0037]に対応する。)

(1-7)「[0036]
〔粘接着剤用ブロック共重合体組成物の製造方法〕
本実施形態の粘接着剤用ブロック共重合体組成物は、例えば、不活性炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を重合開始剤として、スチレン等のビニル芳香族炭化水素化合物を重合し、次いで、ブタジエン等の共役ジエン化合物を重合させたジブロック共重合体を3官能カップリング反応する方法がある。この際に、カップリングしたポリマーは成分(b)となり、カップリグせずに残ったジブロック共重合体が成分(a)となる。なお、このカップリング反応においてカップリング剤の添加量を制御することにより、成分(a)と成分(b)の含有量を上記所定の範囲に調整することができる。
[0037]
また、粘接着剤用ブロック共重合体組成物は、成分(a)及び(b)を別々に重合しておき、後に混合する方法により得ることもできる。」(甲第1号証の[0042]?[0043]に対応する。)

(1-8)「[0046]
前記3官能カップリング剤としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、具体的には、メチル三塩化スズ、トリブチルクロロスズのようなスズ化合物;トリメトキシシラン、トリエトキシシランのようなシラン化合物;メチル三塩化ケイ素、トリメチルクロロケイ素のようなハロゲン化ケイ素化合物等が挙げられる。」(甲第1号証の[0052]に対応する。)

(1-9)「[0086]
<(1-6)15質量%トルエン溶液粘度>
15質量%トルエン溶液粘度は、キャノン-フェンスケ粘度管を用いて、25℃の温度に管理された恒温槽中で測定した。
・・・
[0090]
<(2-4)塗工性>
溶融させた粘接着剤組成物を160℃に加熱したホットプレート上に垂らし、160℃に加熱したアプリケーターで塗工した後の粘接着剤塗工面を目視観察した。
評価基準
○:ムラが10%未満の状態
△:ムラが10?40%未満
×:ムラが40%以上」(甲第1号証の[0114]?[0118]に対応する。)

(1-10)「[0095]
〔(3):ブロック共重合体の調製〕
<ポリマー組成物1:3官能カップリングスチレン-ブタジエンブロック共重合体組成物>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを、洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン6,300g、予め精製したスチレン396gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約40℃に設定した。次に、n-ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で2.6g)を添加し、スチレンの重合を開始した。
[0096]
スチレンの重合により、最高温度(53℃)に達してから6分後、ブタジエン(1,3-ブタジエン)804gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(89℃)に達してから30秒後に、カップリング剤としてトリメトキシシランを添加し、カップリングさせた。カップリング剤添加より10分後に、メタノール0.77gを加えて失活させた。
[0097]
得られたブロック共重合体溶液に、オクタデシル-3-(3,5-ジブチル-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、上記ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加して充分混合した。上記の重合溶液をスチームストリッピングするにあたり、クラム化剤として、α-(p-ノニルフェニル)-ω-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)のジハイドロジエンリン酸エステルとモノハイドロジエンリン酸エステルとの混合物をストリッピング帯の水に対して30ppm用い、90?98℃の温度で溶媒を除去した。溶媒除去槽内のスラリー中の重合体クラムの濃度は約5質量%であった。
[0098]
次いで、上記で得られたクラム状ブロック共重合体の水分散スラリーを、回転式スクリーンに送り、含水率45質量%の含水クラムを得た。この含水クラムを1軸スクリュー押出機型水絞り機に送り、脱水した重合体を得た。このクラムを85℃での箱型の熱風乾燥機で1時間乾燥して、粘接着剤用ブロック共重合体組成物(ポリマー組成物1)を得た。
[0099]
ポリマー組成物1のスチレンの含有量はポリマー組成物1全体に対して38.1質量%であり、15質量%トルエン溶液における粘度は24.6mPa・sであった。
[0100]
ポリマー組成物1は、成分(b):((A-B)_(3)X)と、成分(a):(A-B)の混合物であり、成分(a)の数平均分子量は48,000、成分(b)の数平均分子量は159,000であった。また、成分(a)に相当するスチレン-ブタジエンのジブロック構造のブロック共重合体の含有率は67.1質量%であり、成分(b)に相当する3官能カップリングスチレン-ブタジエンブロック共重合体の含有率は32.9質量%であった。」(甲第1号証の[0127]?[0132]に対応する。)

(1-11)「[0128]
<ポリマー組成物11:3官能カップリングスチレン-ブタジエンブロック共重合体組成物>
スチレンの仕込み量を420g、n-ブチルリチウムシクロヘキサン溶液の添加量を純分で2.3g、ブタジエン(1,3-ブタジエン)の添加量を780g、失活のためのエタノール量を0.68gに変更したこと以外はポリマー組成物1と同様の方法で重合、失活、安定剤添加、スチームストリッピング、脱水、乾燥を行って粘接着剤用ブロック共重合体組成物(ポリマー組成物11)を得た。
[0129]
ポリマー組成物11のスチレンの含有量はポリマー組成物11全体に対して35.1質量%であり、15質量%トルエン溶液における粘度は33.5mPa・sであった。
[0130]
ポリマー組成物11は、成分(b):((A-B)_(3)X)と、成分(a):(A-B)の混合物であり、成分(a)の数平均分子量が59,000、成分(b)の数平均分子量が195,000であった。また、成分(a)に相当するスチレン-ブタジエンのジブロック構造のブロック共重合体の含有率は67.5質量%であり、成分(b)に相当する3官能カップリングスチレン-ブタジエンブロック共重合体の含有率は32.5質量%であった。」(甲第1号証の[0160]?[0162]に対応する。)

(1-12)「[0140]
<ポリマー組成物15:3官能カップリングスチレン-ブタジエンブロック共重合体組成物>
スチレンの仕込み量を480g、n-ブチルリチウムシクロヘキサン溶液の添加量を純分で2.4g、ブタジエン(1,3-ブタジエン)の添加量を720g、失活のためのエタノール量を0.72gに変更したこと以外はポリマー組成物1と同様の方法で重合、失活、安定剤添加、スチームストリッピング、脱水、乾燥を行って粘接着剤用ブロック共重合体組成物(ポリマー組成物15)を得た。
[0141]
ポリマー組成物15のスチレンの含有量はポリマー組成物15全体に対して40.2質量%であり、15質量%トルエン溶液における粘度は30.1mPa・sであった。
[0142]
ポリマー組成物15は、成分(b):((A-B)_(3)X)と、成分(a):(A-B)の混合物であ成分(a)の数平均分子量が58,000、成分(b)の数平均分子量が192,000であった。また、成分(a)に相当するスチレン-ブタジエンのジブロック構造のブロック共重合体の含有率は75.5質量%であり、成分(b)に相当する3官能カップリングスチレン-ブタジエンブロック共重合体の含有率は24.5質量%であった。」(甲第1号証の[0172]?[0174]に対応する。)

(1-13)「[0146]
〔実施例1〕
ブロック共重合体組成物(ポリマー組成物1)100質量部に対して、粘着付与剤としてアルコンM100(荒川化学工業(株)製)を300質量部、軟化剤として、ダイアナプロセスオイルPW-90(出光興産(株)製)を100質量部の配合比で配合し、180℃×30分間、加圧双腕型ニーダー(型式:D0.3-3、(株)森山製作所)で溶融混練し、淡黄色の均一な、ホットメルト型粘接着剤組成物を得た。
[0147]
なお、粘接着剤組成物には、前記ブロック共重合体組成物(ポリマー組成物1)100質量部に対して、安定剤として2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレートを1質量部配合した。
[0148]
上述した粘接着剤組成物の物性の測定方法に従い、測定した結果、溶融粘度(at.140℃)は1,320mPa・sであり、軟化点は79.6℃であった。また、塗工性は良好であり、ループタックは4.6N/15mm、粘着力は10.4N/10mm、保持力は211分であり、実用上十分に良好であった。
[0149]
〔実施例2?8〕、〔比較例1?8〕、〔参考例1?4〕
下記表1、表2、表3に示す配合に従い、前記の各ブロック共重合体組成物(ポリマー組成物1?16)、粘着付与剤にはアルコンM100、軟化剤にはダイアナプロセスオイルPW-90を使用して、実施例1と同様の操作を行い、それぞれ粘接着剤組成物を作製し、特性を評価した。なお、30分混練してもトルクが安定しない場合は、トルクが安定するまで混練した。」(甲第1号証の[0194]?[0197]に対応する。)

(1-14)「[0150]
[表1]


[0151]
[表2]


」(甲第1号証の[0199][表2]?[0200][表3]に対応する。)

(2)甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
(2-1)「試験報告書
・・・
2.受付日 平成29年3月13日
3.件 名 B型粘度計によるトルエン溶液粘度試験
4.試 料 ポリマー組成物b 1点
5.試験方法


6.試験結果



(3)甲第3号証の記載事項
甲第3号証には、以下の事項が記載されている。
(3-1)「[請求項1] 下記一般式(I):
(A-B)_(n)X (I)
(式中、Aは芳香族ビニル単量体の重合体ブロックであり、Bはイソプレンの重合体ブロックであり、Xは4官能性またはそれ以上の多官能性カップリング剤の残基であり、nは4以上の整数である)で表わされる4以上の分枝をもつ分枝体成分を5?50重量%含有し、
下記一般式(II):
A′-B (II)
(式中、A′はAと同一または異なる芳香族ビニル単量体の重合体ブロックであり、Bはイソプレンの重合体ブロックであるで表わされるジブロック体成分を50?95重量%含有してなる重量平均分子量(Mw)が10,000?500,000の芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体。
[請求項2] 有機リチウム開始剤と芳香族ビニル単量体とを接触させて、重合活性末端を有する芳香族ビニル単量体の重合体ブロックAを生成し、次いで、イソプレンを添加して、重合活性末端を有するイソプレンの重合体ブロックBが芳香族ビニル単量体の重合体ブロックAに直接結合したA-Bブロック共重合体を生成せしめ、次いで、少くとも4官能性のカップリング剤を添加して、A-Bブロック共重合体の一部を上記式(I)で表わされる4以上の分枝をもつ分枝体成分に変えることを特徴とする請求項1記載の芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体を製造する方法。
[請求項3] 請求項1記載の芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体と粘着付与樹脂とを含んでなることを特徴とする粘接着剤組成物。」

(3-2)「[0006]
[発明が解決しようとする課題]本発明の目的は、ホットメルト接着剤に要求される種々の特性、特に、低粘度低適用温度を有し、しかも、剥離接着力と剪断接着破壊温度とが良好にバランスされ、且つ高い値を示すホットメルト接着剤などの粘接着剤として有用なブロック共重合体およびその製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、低粘度低適用温度を有し、しかも、剥離接着力と剪断接着破壊温度とが良好にバランスされ、且つ高い値を示すホットメルト接着剤などの粘接着剤として有用な粘接着剤組成物を提供することにある。」

(3-3)「[0012](1)分枝体成分
本発明のブロック共重合体の第一成分である前記式(I)で表わされる分枝体成分は、芳香族ビニル単量体の重合体ブロックAと、重合活性末端を有する共役ジエン系単量体の重合体ブロックBとよりなるA-Bブロック共重合体を、4官能性またはより多官能性のカップリング剤によりカップリングさせた構造を有する4以上の分枝を有するブロック共重合体である。上記分枝体成分に用いられる芳香族ビニル単量体は、特に限定されるものではなく、その具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンなどが挙げられるが、中でもスチレンが好ましい。
[0013]分枝体成分における芳香族ビニル単量体の重合体ブロックAの割合は、格別限定されるものではないが、本発明のブロック共重合体全体中の芳香族ビニル単量体の重合体ブロックの含有量が10?50重量%、好ましくは25?50重量%、より好ましくは35?45重量%となることが望ましく、そのためには、分枝体成分中における芳香族ビニル単量体の重合体ブロックAの含有量も10?50重量%、好ましくは25?50重量%、より好ましくは35?45重量%程度であることが望ましい。芳香族ビニル単量体の重合体ブロックAの相対的割合が過小であると剪断接着破壊温度が低下し、また、この割合が過大であると剥離接着力が低下する。
[0014]分枝体成分の分子量は格別限定されるものではないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)として、本発明のブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)が10,000?500,000、好ましくは50,000?250,000、より好ましくは80,000?150,000となるように適宜選択される。」

(3-4)「[0016](2)ジブロック体成分
本発明のブロック共重合体の第二成分である前記式(II)で表わされるジブロック体成分は、芳香族ビニル単量体の重合体ブロックA′とイソプレンの重合体ブロックBとからなる線状ジブロック共重合体である。ジブロック体成分の合成に用いられる芳香族ビニル単量体は、特に限定されるものではなく、その具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンなどが挙げられるが、中でもスチレンが好ましい。この芳香族ビニル単量体としては、通常、分枝体成分の重合体ブロックAの合成に用いられるものと同一のものが用いられるが、相違してもよい。
[0017]ジブロック体成分における芳香族ビニル単量体の重合体ブロックA′の割合は、格別限定されるものではないが、本発明のブロック共重合体全体中の芳香族ビニル単量体の重合体ブロックの含有量が10?50重量%、好ましくは25?50重量%、より好ましくは35?45重量%となることが望ましく、そのためにはジブロック体成分中における芳香族ビニル単量体のブロックA′の含有量も10?50重量%、好ましくは25?50重量%、より好ましくは35?45重量%程度であることが望ましい。この割合が過小であると剪断接着破壊温度が低下し、また、この割合が過大であると剥離接着力が低下する。
[0018]ジブロック体成分の分子量は格別限定されないが、GPCにより測定されるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)として、本発明のブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)が通常3,000?250,000、好ましくは15,000?200,000、より好ましくは20,000?150,000となる範囲で適宜選定される。
[0019]本発明のブロック共重合体において、ジブロック体成分の含有量は、ブロック共重合体全重量の50?95重量%である。ジブロック体成分の含有量が過度に低いと剥離接着力が低下し、逆に、その含有量が過度に高いと高い剪断接着破壊温度を得ることができない。ジブロック体成分の含有量は、好ましくは50?85重量%、より好ましくは55?75重量%である。」

(3-5)「[0020](3)その他の成分
本発明の芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体には、上記4以上の分枝をもつ分枝体成分とジブロック体成分の他に、2つの分枝をもつ分枝体成分および3つの分枝をもつ分枝体成分が含まれてもよい(これらの分枝体成分は、それぞれ、式(I)においてn=2およびn=3であるブロック共重合体に相当する)が、これらの分枝体成分の量が多量であることは好ましくない。一般に、2つの分枝をもつ分枝体成分と3つの分枝をもつ分枝体成分の合計量が4以上の分枝をもつ分枝体成分より少量であるときに、剪断接着破壊温度が改善され好適である。2つの分枝をもつ分枝体成分と3つの分枝をもつ分枝体成分の合計量は、通常、全芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体重量の20重量%以下、好ましくは15重量%以下である。」

(3-6)「[0037]粘接着剤組成物
本発明の粘接着剤組成物は上記のブロック共重合体と粘着付与樹脂から主としてなるものである。本発明の粘接着剤組成物に用いるブロック共重合体組成物においては、粘着剤組成物の特性が損なわれない限り、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体などのスチレン系ブロック共重合体、ブタジエンゴム、イソプレンゴムなどのジエン系重合体ゴム、天然ゴムなどの他のゴム成分を配合することができる。」

(3-7)「[0042]ホットメルト型粘接着剤としては、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、病院用ガウン、ベッドパッド、手術用ドレープなどの使い捨て用品に、構造および弾性付着接着剤を含む多くの用途において特に好適に使用される。また、種々の粘着テープ、ラベル、製本、アッセンブリー用途などにも非常に有用である。粘着テープ用途は包装用、事務用、両面テープ用、マスキング用、電気絶縁用など多種にわたって適用可能であり、高接着力の特徴を示すとともに、低粘度の特性から溶剤法、ホットメルト法にかかわらず塗布時の操作性に優れている。ラベル用途ではやはり低粘度・高接着力の特性から塗布特性、粘着物性に優れるとともに、ダイカット性も良好である。」

(3-8)「[0044]実施例1
ブロック共重合体の調製
50リットルの耐圧反応器を用い、n-ブタン/シクロヘキサン=30/70の割合の混合溶剤18.75kg、ジブチルエーテル(比誘電率3.06/25℃)240ミリモル、開始剤n-ブチルリチウム230ミリモルを存在させ、30℃で1時間、まずスチレン3.04kgを添加して重合し、続いてイソプレン4.96kgを添加し、反応温度が50℃から60℃の間になるように還流冷却により温度制御しながら約1時間半重合した。次いで、カップリング剤としてテトラメトキシシラン25ミリモルを添加して2時間カップリング反応を行った。こののち、反応混合物に重合停止剤としてメタノールを50ml、酸化防止剤として2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを40g加えてよく混合し、得られた混合溶液を少量ずつ85?95℃に加熱された温水中に滴下して溶剤を揮発させた。得られたポリマーを粉砕し、85℃で熱風乾燥してブロック共重合体を得た。このブロック共重合体のスチレン含有量は38重量%、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は96,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.43であり、4分枝体35.3%、3分枝体4.7%、2分枝体1.2%およびジブロック体58.8%が含まれていた。
[0045]粘接着剤組成物
上記ブロック共重合体30部を攪拌翼型混練機に投入し、これに粘着付与樹脂(アルコンM-100;脂環族系炭化水素樹脂、荒川化学工業(株)製)50部、ナフテン系プロセスオイル(シェルフレックス371、シェル化学製)20部および酸化防止剤(イルガノックス1010、チバガイギー(株)製)0.2部を添加して系内を窒素ガスで置換したのち、160?180℃で混練して粘接着剤組成物を調製した。粘接着剤組成物の溶融粘度は150℃においてブルックフィールドサーモゼル粘度計により測定した。厚さ30μmのポリエステルフィルムに粘接着剤組成物を30μmの厚さにコーティングし、接着物性評価に供した。」

(3-9)「[0047]実施例2?6、比較例1?7
カップリング剤として、テトラメトキシシラン(TMS)に代えてテトラクロロシラン(TCS;実施例2、実施例3および比較例1)またはフェニリトリクロロシラン(PTCS;比較例2)を表1に示す量用い、または、テトラメトキシシラン(TMS)の使用量(カップリング剤/開始剤モル比)を表1に示すように変え(実施例4、実施例5、実施例6および比較例3)た他は、実質的に実施例1と同様な手法によりブロック共重合体組成物を調製し、その特性を評価した。さらに、実施例1と同様にそれぞれのブロック共重合体組成物から接着剤組成物を調製し、接着物性を評価した。結果を表1および表2に示す。
[0048]比較例4においては、米国特許第5,394,627号明細書に記載されている方法に従って、イソプレンの反応後に、イソプレンに対して1.2重量%のブタジエンを添加してから表2記載の量のテトラクロロシランを反応させた他は実施例1と同様にしてブロック共重合体を得、実施例1と同様に粘接着組成物を調製し、接着物性を評価した。結果を表2に示す。さらに、3種の市販スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体組成物A、BおよびCを用い(比較例5、比較例6および比較例7)、同様にその特性および接着物性を評価した。結果を表2に示す。」

(3-10)「[0049]
[表1]


[0050]
[表2]


[0051]
注:カップリング剤 TMS:テトラメトキシシラン
TCS:テトラクロルシラン
PTCS:フェニルトリクロルシラン
市販ブロック共重合体組成物 A:クレイトンD1124P(シェル社製)
市販ブロック共重合体組成物 B:ベクター4211(デキサコ社製)
市販ブロック共重合体組成物 C:ベタター4411(デキサコ社製)」

(4)甲第4号証の記載事項
甲第4号証には、以下の事項が記載されている。
(4-1)「(6)
(a)式
(A-B)_(n)-Y
(ここで、Yは多価カップリング剤、Aはポリビニル置換芳香族ブロックを包含し、Bは重合ゴム状中間ブロックを包含し、nは3以上の整数)で示され少なくとも約145,000の分子量を有するラジアルブロック共重合体5ないし14重量%、
(b)C5樹脂、スチレン化C5樹脂、スチレン化テルペン樹脂、水素化C9樹脂、ロジン誘導体、スチレン化テルペンゴム、およびそれらの混合物からなる群から選ばれた相容性粘着付与樹脂約45ないし85重量%、および
(c)可塑化油約5ないし35重量%
を包含する、使い捨て製品構成のためのホットメルト接着剤組成物であって、該ホットメルト感圧接着剤は、100゜Fで少なくとも30分間の静的剪断、および100゜Fで約30%未満のクリープ抵抗性を有し、275゜Fで25,000cp未満の粘度を示す接着剤。
(7) Aがポリスチレンブロックを包含し、Bがブタジエン、イソプレンもしくはそれらの混合物を包含する水素化もしくは非水素化重合ブロックである請求項6記載の接着剤。
・・・
(14) 0.1ないし10重量%の線状A-B-Aブロック共重合体をさらに含み、Aがポリスチレンブロックを包含し、Bがブタジエン、イソプレンもしくはそれらの混合物を含む重合ゴム状中間ブロックを包含する請求項7記載の接着剤。」(特許請求の範囲)

(4-2)「〔発明の背景〕
典型的な商業的に使用されている使い捨て製品の接着剤は可塑化油、典型的には、約140,000より少ない分子量を有するスチレン-ブタジエン-スチレン(S-B-S)またはスチレン-イソプレン-スチレン(S-I-S)線状(A-B-A)ブロックまたはマルチ-ブロック(A-B-A-B-A-B)共重合体と組合せた粘着付与樹脂を使用している。このような従来の商業上の接着剤は、典型的に約20重量%のS-I-SまたはS-B-S、A-B-Aブロック共重合体、好ましくは25ないし35重量%、40ないし60重量%の粘着付与剤及び25ないし35重量%の油を含むように配合されている。接着剤の20-35重量%に及ぶA-B-Aブロック共重合体の量は、弾性的取付けモードで使用するとき、凝着強度と接着性を維持することと、線状A-B-Aブロック共重合体系の中でクリープ抵抗特性を高めるために必要とされている。それらの配合の中のA-B-Aゴムのこの量の使用はその他の接着システムと比較したとき、高いコストになる。
さらに、このような高い重合体の含有量の接着剤は、マルチ-ライン構成において使用される最大の粘度よりも高い粘度の結果になり得る。マルチ-ライン製品構造の範囲内に粘度を有する低い重合体の濃度(すなわち約20重量%)である接着剤は、凝着強度、接着性またはクリープ抵抗性が失われ、しばしば弾性的取付けモードに不適当となり得る。」(第3頁右下欄12行?第4頁左上欄20行)

(4-3)「シュミット ジュニア(Schmit,Jr)らの米国特許第4,526,577号は、マルチ-ライン押出接着剤塗布技術を使用する使い捨てラミネートの製造におけるホットメルト型接着剤の中のスチレン-ブタジエン-スチレン線状A-B-Aおよび線状A-B-A-B-A-Bマルチーブロック共重合体の使用を主に意図している。
シュミット ジュニアらは、ホットメルト型接着剤は、使用の範囲が広いことが分っているが、しかしながら一方では、特定のホットメルト型接着剤は、特定の使用においては適切な結合を持っているかもしれないが、その他の使用または応用に完全には適切ではないかもしれないことを教示している。使い捨て製品の構成で使用するのに提案された多くの多様なホットメルト型接着剤組成物に関して、特定のホットメルト接着剤の使用は、その特性、特にボリエリレンまたはポリプロピレンフィルム、ティシュ、吸収物質及び弾性バンドと結合する能力に依存している。
シュミットの特許の主な焦点は、特許の中で特に開示及び請求されている線状A-B-A及び線状マルチ-ブロックA-B-A-B-A-Bブロック共重合体を用いたラミネートの結合に関わっている。シュミットは弾性バンド取付けを教示していないようである。ただ、マルチ-ブロックA-B-A-B-A-B重合体系接着剤だけがその特許の中で例示されている。その特許は、ラジアルまたはテレブロックブロック共重合体を開示しているが、請求していず、分子量、スチレンの百分率、中間ブロックの百分率、ジ-ブロックの百分率、分子量分布及び配合を含むこのような重合体のいくつかの見地を開示していない。その上に、シュミットは接着物質が好ましい線状またはA-B-A-B-A-Bマルチ-ブロック共重合体を15から35重量%含まなければならないことを教示し、マルチ-ブロック共重合体20重量%またはそれ以上を含む接着剤を好みかつ例示している。さらにンュミットの特許は、比較的高いスチレンの濃度すなわち、少なくとも35重量%、または最も好ましくはA-B-A-B-A-Bマルチ-ブロック共重合体中のスチレンの43重量%もの高い濃度を好んでいる。」(第4頁右下欄2行?第5頁右上欄3行)

(4-4)「ラジアルブロック共重合体は、シュミット ジュニアらの米国特許第4,526,577号に代表されるような従来の技術の接着剤に比較して、驚くほど少ない量を適当な粘着付与樹脂と可塑化油とともにブレンドすることができる。本発明のラジアルブロック共重合体は、シュミットの特許らの従来の技術と比較したとき、より優れた接着性および凝着性、高い結合強度、クリープ抵抗性及び剥離抵抗性を持つ接着剤を生産するために線状A-B-A(S-I-S及びS-B-Sの両方)ブロック共重合体と任意に組合せることができる。その接着剤は、ポリエチレンフィルムへのラミネート品のマルチ-ライン構成とフィルムへの弾性体の取付けの両方ともに有用な250ないし350゜Fの典型的な範囲の適用温度で粘度分布を持つことができる。」(第6頁左上欄17行?右上欄12行)

(4-5)「比較例A
シグマブレードミキサーを使用した弾性的取付けのための接着剤をブレッティの米国特許第4,419,494号から選択した。

」(第15頁右上欄6行?同末行)

(4-6)「(実施例I)
2つの供給ボートを有し、275゜Fに維持されたべーカー-パーキンス ツインスクリュー80mm配合押出機中で、ほぼ同容量のラジアルブロック共重合体(クレイトンD 1184)と粘着付与樹脂の(ゾナタック105)を「ホットメルト型接着剤の連続製造法、品質とコーティングの見地」で述べられている確立された押出工程技術を用いて、毎時300ポンドの速度で、一方の供給ボートに残りの樹脂を加えてブレンドした。ブレンドされたゴム/樹脂混合物は、多重円形ボートを有する3つのダイセクションを通過して押出され、50゜Fの水中でペレット成型される。ペレット状予備配合物は、ブロッキングを減少させるため、水性タルク分散体(水中約1重量%)で処理される。」(第16頁左下欄12行?右下欄7行)

(4-7)「以下の表6では、接着剤とともに、ステレオン840Aとクレイトン1111及び1102重合体をベースにした従来の技術の接着剤と本発明の接着剤を比較した試験結果が示されている。


表6では、本発明の好ましい高分子量ラジアルブロック共重合体であるクレイトンD1184を用いて調製した接着剤とステレオン840A(線状マルチブロックA-B-A-B-A-B共重合体)から調製された比較の接着剤が、比較されている。これらの接着剤は、接着剤約100部に体して重合体約10部から30部までの範囲の量で比較されている。クレイトンD1184を用いて作られた接着剤は、従来のものと粘着特性において異なり、優れていることが明らかに示されている。これらの優れた特性は、実質的に異なる試験結果が提供する実質的な異なる調合で、実質的に異なる機能の重合体より得られる。」(第17頁左上欄下から4行?第18頁左上欄13行)

(4-8)「


表7では、高分子量ラジアルブロック共重合体と組合わせた他のブロック共重合体の使用は、従来技術よりも改善された特性を持つ接着剤となるであろうということを示している。
この場合の開示とデータ、特に表4、6、7において、本発明の接着剤組成物は、シュミットとブレッティの特許に開示されているもとは、実質的に異なる機能を持った重合体から調製されることを示してきた。その上、その接着特性は、実質的に異なる方法、すなわち異なる割合から得られている。最後に、その結果から得られる特性は、本発明の接着剤が、構造的性質においてシュミットの接着剤よりも優れ、かつシュミットの接着剤には存在しない性質を有するとういう点において、実質的に異なっている。すなわち、本発明の接着剤組成物は弾性的取付け物質として有用であるが、シュミットの接着剤はこの用途に不適当である。」(第19頁左上欄?右上欄13行)

(5)甲第5号証の記載事項
甲第5号証には、以下の事項が記載されている。なお、記載事項の認定は、特許異議申立人が甲第5号証と共に提出した甲第5号証の抄訳文に基づく。
(5-1)「説明
クレイトンD1117 Pは、透明であり、ポリスチレン含量が17%である、スチレン及びイソプレンに基づくリニア型トリブロック共重合体」

(6)甲第6号証の記載事項
甲第6号証には、以下の事項が記載されている。
(6-1)「2017年4月3日
旭化成株式会社
合成ゴム技術開発部

弊社スチレン系エラストマーの販売について(ご回答)
・・・
お問い合わせいただきました下記の対象材は、旭化成ケミカルズ株式会社では販売をしておらず、弊社でも販売しておりません。
下記の対象材名は弊社試作サンプル名であり、製品製造施設での製造を行っていないためサンプル供試も致しかねます旨、ご了承のほどよろしくお願いいたします。

対象材:スチレン-ブタジエンブロック共重合体 HJ10、HJ12、HJ13,HJ13-2,HJ14,HJ15」

5.甲号証に記載された発明
(1)甲第1号証に記載された発明
甲第1号証の優先基礎出願である先願1(特願2012-165195号)の願書に最初に添付された明細書及び特許請求の範囲(先願1明細書等)には、成分(a):ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)とを含有し、数平均分子量が10,000?60,000であるブロック共重合体:50?80質量%と、成分(b):ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)とを含有し、数平均分子量が60,000?200,000であるブロック共重合体:20?50質量%とを含み、ビニル芳香族単量体単位の含有量が25?50質量%であり、15質量%トルエン溶液における粘度が10?40mPa・sであり、前記成分(a)に対する前記成分(b)の数平均分子量比が2.3?3.6である、粘接着剤用ブロック共重合体組成物が記載されており(摘記1-1)、成分(a)の構造としては、具体的には、(A-B)_(n)、(A-B)_(n)A、(B-A)_(n)B等(nは1以上の整数であり、好ましくは1?5の整数である。)が挙げられ、このなかでも、式(A-B)によって表されるジブロック共重合体であることが好ましいこと(摘記1-3)、成分(b)の構造としては、具体的には、(A-B)_(m)X、(B-A)_(m)X等(Xは、カップリング剤の残基又は重合開始剤の残基を示し、mは2、3、4のいずれかの整数である。)が挙げられ、このなかでも、式(A-B)_(3)Xによって表される3分岐ブロック共重合体であることが好ましいこと(摘記1-3)、成分(a)、(b)を構成する重合体ブロックAのビニル芳香族炭化水素化合物としては、具体的にはスチレンが好ましいこと、重合体ブロックBの共役ジエン化合物は、具体的には1,3-ブタジエン、イソプレンが好ましいこと(摘記1-4)、ブロック共重合体組成物中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、25?50質量%であり、好ましくは30?45質量%であり、より好ましくは35?40質量%であること(摘記1-5)が記載されている。また、粘接着剤用ブロック共重合体組成物の製造方法については、例えば、不活性炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を重合開始剤として、スチレン等のビニル芳香族炭化水素化合物を重合し、次いで、ブタジエン等の共役ジエン化合物を重合させたジブロック共重合体を3官能カップリング反応する方法があり、この際に、カップリングしたポリマーは成分(b)となり、カップリグせずに残ったジブロック共重合体が成分(a)となること(摘記1-7)、3官能カップリング剤としては、具体的には、メチル三塩化スズ、トリブチルクロロスズのようなスズ化合物;トリメトキシシラン、トリエトキシシランのようなシラン化合物;メチル三塩化ケイ素、トリメチルクロロケイ素のようなハロゲン化ケイ素化合物等が挙げられること(摘記1-8)が記載されており、粘接着剤用ブロック共重合体組成物の15質量%トルエン溶液における粘度は、10?40mPa・sであり、好ましくは15?35mPa・sであり、より好ましくは20?30mPa・sであり、粘度が上記範囲であると、優れた粘着性、粘着力、保持力、溶解性、塗工性を有する粘接着剤用ブロック共重合体組成物及び粘接着剤組成物が得られること(摘記1-6)、15質量%トルエン溶液粘度は、キャノン-フェンスケ粘度管を用いて、25℃の温度に管理された恒温槽中で測定したものであること(摘記1-9)が記載されている。さらに、ブロック共重合体の調製例として、A:スチレン、B:ブタジエン及びカップリング剤としてX:トリメトキシシランを用い、上記のような製造方法に従って、成分(b):((A-B)_(3)X)と、成分(a):(A-B)の混合物を含有するポリマー組成物を製造した実施例が記載されており、ポリマー組成物1(摘記1-10)、ポリマー組成物11(摘記1-11)、ポリマー組成物15(摘記1-12)は、ポリマー組成物全体に対するスチレンの含有量がそれぞれ38.1質量%、35.1質量%、40.2質量%であり、成分(a)に相当するスチレン-ブタジエンのジブロック構造のブロック共重合体の含有率がそれぞれ67.1質量%、67.5質量%、75.5質量%であり、ポリマー組成物の15質量%トルエン溶液の25℃における粘度はそれぞれ24.6mPa・s、33.5mPa・s、30.1mPa・sであることが記載されている。加えて、上記粘接着剤用ブロック共重合体組成物は、溶液型、ホットメルト型の、接着剤や粘着剤のベースポリマーとして広く使用されている従来のビニル芳香族単量体-共役ジエン単量体系ブロック共重合体の問題点に鑑み、保持力や粘着性等の粘接着剤特性バランスに優れ、溶融粘度が低く、優れた溶解性及び塗工性を有する粘接着剤組成物となる、粘接着剤用ブロック共重合体組成物を提供することを課題とするものであり(摘記1-2)、実際に、各実施例のポリマー組成物に対して粘着付与剤及び軟化剤を溶融混練することにより、ホットメルト型粘接着剤組成物が得られたこと(摘記1-13)、及び溶融させた粘接着剤組成物を160℃に加熱したホットプレート上に垂らし、160℃に加熱したアプリケーターで塗工した後の粘接着剤塗工面を目視観察したところ(摘記1-9)、実施例の粘接着剤組成物は、いずれも「○」(ムラが10%未満の状態)の評価結果であったこと(摘記1-14)が記載されている。

そうすると、先願1明細書等には次の発明が記載されているものと認められる。
「成分(a):ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)とを含有し、式(A-B)によって表され、数平均分子量が10,000?60,000であるジブロック共重合体:50?80質量%と、
成分(b):ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)とを含有し、式(A-B)_(3)Xによって表され(Xはカップリング剤の残基)、数平均分子量が60,000?200,000である3分岐ブロック共重合体:20?50質量%とを含み、
ブロック共重合体組成物中のスチレン単位の含有量は25?50質量%であり、
15質量%トルエン溶液の25℃における粘度が10?40mPa・sであり、
前記成分(a)に対する前記成分(b)の数平均分子量比が2.3?3.6である、粘接着剤用ブロック共重合体組成物を含有するホットメルト型粘接着剤組成物。」(以下、「先願発明1」という。)

(2)甲第3号証に記載された発明
甲第3号証には、下記一般式(I):
(A-B)_(n)X (I)
(式中、Aは芳香族ビニル単量体の重合体ブロックであり、Bはイソプレンの重合体ブロックであり、Xは4官能性またはそれ以上の多官能性カップリング剤の残基であり、nは4以上の整数である)で表わされる4以上の分枝をもつ分枝体成分を5?50重量%含有し、
下記一般式(II):
A′-B (II)
(式中、A′はAと同一または異なる芳香族ビニル単量体の重合体ブロックであり、Bはイソプレンの重合体ブロックである)で表わされるジブロック体成分を50?95重量%含有してなる重量平均分子量(Mw)が10,000?500,000の芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体、及び上記芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体と粘着付与剤とを含んでなる粘接着剤組成物が記載されており(摘記3-1)、粘着剤組成物の特性が損なわれない限り、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体などのスチレン系ブロック共重合体、ブタジエンゴム、イソプレンゴムなどのジエン系重合体ゴム、天然ゴムなどの他のゴム成分を配合することができること(摘記3-6)、発明の目的は、ホットメルト接着剤に要求される種々の特性、特に、低粘度低適用温度を有し、しかも、剥離接着力と剪断接着破壊温度とが良好にバランスされ、且つ高い値を示すホットメルト接着剤などの粘接着剤として有用なブロック共重合体およびその製造方法を提供することにあり、他の目的は、低粘度低適用温度を有し、しかも、剥離接着力と剪断接着破壊温度とが良好にバランスされ、且つ高い値を示すホットメルト接着剤などの粘接着剤として有用な粘接着剤組成物を提供することにあること(摘記3-2)、ホットメルト型粘接着剤としては、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、病院用ガウン、ベッドパッド、手術用ドレープなどの使い捨て用品に、構造および弾性付着接着剤を含む多くの用途において特に好適に使用されること(摘記3-7)が記載されている。また、上記芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体の製造方法としては、有機リチウム開始剤と芳香族ビニル単量体とを接触させて、重合活性末端を有する芳香族ビニル単量体の重合体ブロックAを生成し、次いで、イソプレンを添加して、重合活性末端を有するイソプレンの重合体ブロックBが芳香族ビニル単量体の重合体ブロックAに直接結合したA-Bブロック共重合体を生成せしめ、次いで、少くとも4官能性のカップリング剤を添加して、A-Bブロック共重合体の一部を上記式(I)で表わされる4以上の分枝をもつ分枝体成分に変える方法が記載されており(摘記3-1)、芳香族ビニル単量体としてはスチレンが好ましいこと(摘記3-3、3-4)、ブロック共重合体全体中の芳香族ビニル単量体の重合体ブロックの含有量が10?50重量%、好ましくは25?50重量%、より好ましくは35?45重量%となることが好ましいこと(摘記3-4)が記載されている。さらに、ブロック共重合体の調製例として、スチレン、イソプレン及びテトラメトキシシランを用い、上記のような製造方法に従って4分枝体、3分枝体、2分枝体及びジブロック体を含有するブロック共重合体を製造した実施例が記載されており(摘記3-8、3-9)、実施例1?6のブロック共重合体は、スチレン含有率が27?41重量%、ジブロック体成分が53.5?80.6重量%であること(摘記3-10)、加えて、比較例5?7として、3種の市販スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体組成物A、BおよびCを用い(摘記3-9)、実施例及び比較例の特性および接着物性を評価したことが記載されている(摘記3-10)。

そうすると、甲第3号証には次の発明が記載されているものと認められる。
「下記一般式(I):
(A-B)_(n)X (I)
(式中、Aは芳香族ビニル単量体の重合体ブロックであり、Bはイソプレンの重合体ブロックであり、Xは4官能性またはそれ以上の多官能性カップリング剤の残基であり、nは4以上の整数である)で表わされる4以上の分枝をもつ分枝体成分を5?50重量%含有し、
下記一般式(II):
A′-B (II)
(式中、A′はAと同一または異なる芳香族ビニル単量体の重合体ブロックであり、Bはイソプレンの重合体ブロックである)で表わされるジブロック体成分を50?95重量%含有してなり、重量平均分子量(Mw)が10,000?500,000の芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体を含んでなるホットメルト型粘接着剤組成物であって、上記ブロック共重合体全体中の芳香族ビニル単量体の重合体ブロックの含有量が10?50重量%であるホットメルト型粘接着剤組成物。」(以下、「引用発明3」という。)

6.対比・判断
(1)特許法第29条の2について
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1と先願発明1との対比
本件発明1と先願発明1とを対比すると、先願発明1における「ビニル芳香族単量体」、「共役ジエン単量体」、「ホットメルト型粘接着剤組成物」は、それぞれ本件発明1における「ビニル系芳香族炭化水素」、「共役ジエン化合物」及び「ホットメルト接着剤」に相当し、先願発明1における「成分(a)・・・式(A-B)によって表され・・・るジブロック共重合体」は、本件発明1における「ジブロック」に相当し、先願発明1における上記「ジブロック共重合体」の含有割合「50?80質量%」は、本件発明1における「ジブロック含有率」の「50?90重量%」と重複しており、先願発明1における「成分(b)・・・式(A-B)_(3)Xによって表され・・・る3分岐ブロック共重合体」は、本件発明1における「ラジアル型スチレンブロック共重合体」に相当し、また、先願発明1における上記「成分(a)・・・ジブロック共重合体」及び「成分(b)・・・3分岐ブロック共重合体」は、いずれもホットメルト型粘接着剤組成物の構成成分であるから、本件発明1における「ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体である熱可塑性ブロック共重合体」に相当する。さらに、先願発明1における「ブロック共重合体組成物中のスチレン単位の含有量」は、本件発明1における「(A1)」の「スチレン含有率」に相当し、その数値範囲も、前者は「25?50質量%」であり後者は「35?45重量%」であるから重複している。
そうすると、両者は、
「(A)ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体である熱可塑性ブロック共重合体を有するホットメルト接着剤であって、
(A)熱可塑性ブロック共重合体が以下の(A1)成分を含む、ホットメルト接着剤:
(A1)スチレン含有率が35?45重量%、ジブロック含有率が50?80重量%であるラジアル型スチレンブロック共重合体。」の点で一致し、

相違点1:(A1)ラジアル型スチレンブロック共重合体の粘度が、本件発明1においては、25重量%トルエン溶液の25℃での粘度が250mPa・s以下であると特定されているのに対し、先願発明1においては、15質量%トルエン溶液の25℃における粘度が10?40mPa・sである点
相違点2:本件発明1は、「(A2)トリブロック型スチレンブロック共重合体」を含むのに対し、先願発明1においてはそのようなことが明らかでない点
で相違する。
そこで、上記相違点について検討する。

(イ)相違点2について
事案に鑑みて、まず相違点2について検討する。
先願1明細書等には、成分(a)の構造の例として、(A-B)_(n)A、(B-A)_(n)B(nは1以上)が挙げられており(摘記1-3)、nが1の場合はトリブロック型スチレンブロック共重合体に相当するが、トリブロック型スチレンブロック共重合体を含有するブロック共重合体組成物の具体例は先願1明細書等には記載されていない。
また、先願1明細書等には、ブロック共重合体組成物の製造方法について、不活性炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を重合開始剤として、スチレン等のビニル芳香族炭化水素化合物を重合し、次いで、ブタジエン等の共役ジエン化合物を重合させたジブロック共重合体を3官能カップリング反応する方法が記載されており、この際に、カップリングしたポリマーは成分(b)となり、カップリグせずに残ったジブロック共重合体が成分(a)となる(摘記1-7)と記載されているから、仮に、同様の製造方法を採用し、スチレン等のビニル芳香族炭化水素化合物を重合し、次いで、ブタジエン等の共役ジエン化合物を重合し、さらにスチレン等のビニル芳香族炭化水素化合物を重合させたトリブロック共重合体を3官能カップリング反応すれば、カップリングしたポリマーは成分(b)となり、カップリングせずに残ったトリブロック共重合体が成分(a)となると考えられるが、この場合は、ジブロック共重合体の含有率が0重量%になるから、本件発明1との間に新たな相違点を生じることになるものと認められる。
さらに、本件明細書の[0045]には、「(A2)トリブロック型スチレンブロック共重合体が配合された接着剤は、40℃での接着性が高くなる。本発明のホットメルト接着剤は、(A1)および(A2)の双方を含むので、広い温度領域(10?40℃)で優れた接着性を示す。」と記載されており、実際に、(A1)及び(A2)の双方を含む実施例1?10と、(A2)を含まない比較例1?3の実験データにより当該効果が裏付けられているが、先願1明細書等にはジブロック共重合体とトリブロック共重合体との効果の違いについて特段記載されていないし、トリブロック型スチレンブロック共重合体を配合することにより上記のような効果が得られることが、本件特許に係る出願の出願日前に当該技術分野において周知の技術的事項であったとも認められない。
そうすると、相違点2は形式的な相違点であるということはできず、本件発明1と先願発明1とは、少なくとも相違点2において実質的に相違するものと認められる。よって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は先願1明細書等に記載された発明と実質的に同一であるとすることはできないから、特許法第29条の2の規定には該当しない。

(ウ)特許異議申立人の主張について
(ウ-1)相違点2について
特許異議申立人は、特許異議申立書の第30頁において、「さらに、甲第1号証に記載のホットメルト接着剤には、PS-PI-PS(PS:ポリスチレンブロック、PI:ポリイソプレンブロック)などのトリブロック型スチレンブロック共重合体を含むことが、高接着性をあるいはゲル化の抑制等の点において好ましいことが記載されている([0083]、[0089])。」と主張しており、確かに、甲第1号証(国際公開第2014/017380号)には、
「[0083]
(その他の成分)
本実施形態の粘接着剤組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、本実施形態の粘接着剤組成物を構成するブロック共重合体以外の合成ゴム若しくはポリマー、ワックス、光安定剤等の安定剤、及びその他の添加剤を添加することができる。」及び
「[0089]
粘接着剤組成物として、高い接着性あるいはゲル化の抑制等が必要な場合には、本実施形態において用いるブロック共重合体以外のイソプレンを有するブロック共重合体を併用してもよい。より好ましい共重合体としては、少なくともポリスチレンブロックとポリイソプレンブロックを有する共重合体、例えば、PS-PI-PS(PS:ポリスチレンブロック、PI:ポリイソプレンブロック)、また、少なくともポリスチレンブロック、ポリイソプレンブロック及びポリブタジエンブロックを有する共重合体、例えば、(PS-PI-PB)nY(PB:ポリブタジエンブロック、Y:多官能性カップリング剤の残基)、あるいは少なくともポリスチレンブロック、ポリイソプレン/ブタジエン共重合体ブロックを有する共重合体、例えば、PS-(PI/B)-PS(PI/B:イソプレン/ブタジエン共重合体ブロック)が挙げられる。これらはラジアル構造がより好ましい。」
という記載があるが、先願1明細書等には、上記甲第1号証の[0083]に対応する記載として
「[0069]
(その他の成分)
本実施形態の粘接着剤組成物には、必要により、酸化防止剤、光安定剤等の安定剤、及びその他の添加剤を添加することができる。」
という記載があるにとどまり、上記甲第1号証の[0089]に対応する記載は、先願1明細書等には存在しない。また、先願1明細書等の他の箇所を精査しても、特許異議申立人が主張するようなトリブロック型スチレンブロック共重合体に関する具体的な記載や、当該トリブロック型スチレンブロック共重合体と高接着性あるいはゲル化の抑制とを結び付ける記載は見出せない。よって、特許異議申立人の指摘する上記事項は、特許法第29条の2(同法第184条の13)の判断において、他の特許出願の願書に最初に添付した明細書等に記載された発明を構成する事項とは認められない。また、上記のようなトリブロック型スチレンブロック共重合体の添加及び作用効果が、本件特許に係る出願の優先日前において当該技術分野において周知の技術的事項であったとも認められない。よって、特許異議申立人の主張を採用することはできず、上記相違点2は実質的な相違点である。

(ウ-2)相違点1について
特許異議申立人は、上記相違点1に関して、甲第2号証(摘記2-1)を提出し、特許異議申立書の第31?32頁において、「一方、甲第1号証には、ラジアル型スチレンブロック共重合体の25重量%トルエン溶液の25℃での粘度が250mPa・s以下であることの直接的な記載は認められず、15質量%トルエン溶液の25℃における粘度が10?40mPa・sであることが記載されているだけである。([0037]、[0114]、実施例のポリマー組成物1,3,11,15,17及び19など)。
ここで、スチレンブロック共重合体であるポリマー組成物bの25重量%トルエン溶液及び15重量%トルエン溶液の粘度を測定した試験報告書である甲第2号証を参照する。甲第2号証に記載のポリマー組成物bは、甲第1号証に記載のポリマー組成物17([0178])の製造方法を追試して得られた・・・3官能カップリングスチレン-ブタジエンブロック共重合体組成物である。甲第2号証に記載のポリマー組成物bは、旭化成株式会社にて調製された。・・・甲第2号証によると、25重量%トルエン溶液の粘度が197mPa・sであるのに対して、15重量%トルエン溶液の粘度が33mPa・sとなっている。そうすると、15質量%トルエン溶液の25℃における粘度が10?40mPa・sであるラジアル型スチレンブロック共重合体の25重量%トルエン溶液の25℃での粘度は、250mPa・sとなる蓋然性が極めて高い。よって、甲第1号証には、25重量%トルエン溶液の25℃での粘度が250mPa・s以下であるラジアル型スチレンブロック共重合体が記載されているに等しいといえる。」と主張している。
しかし、甲第1号証に係る国際特許出願の出願日後に作成された証拠である甲第2号証に記載された実験が、甲第1号証に記載された実験を再現したものか必ずしも明らかではないし、甲第2号証において実験されたと主張されている「ポリマー組成物17」は、先願1明細書等には記載されていない実施例であるから、29条の2の判断において直接参考にすることもできない。また、先願1明細書等に記載されたポリマー組成物1(摘記1-10)、ポリマー組成物11(摘記1-11)及びポリマー組成物15(摘記1-12)の実験データを参照すると、粘度に影響を与えると考えられるスチレン含有率、ジブロック含有率、成分(a)、(b)の数平均分子量等の化学的な特徴は上記ポリマー組成物17とは異なっており、15質量%トルエン溶液の25℃での粘度値で見る限り一貫した傾向は読み取れないところ、溶液の濃度を15質量%から25質量%に上げた場合のポリマー組成物1、11、15の粘度の上昇挙動が、ポリマー組成物17と同じような傾向になる蓋然性が高いとまではいえない。よって、特許異議申立人の主張を採用することはできない。

イ 本件発明2、5について
本件発明2及び5は、いずれも本件発明1を直接又は間接的に引用する発明であるから、本件発明1と同じ理由により、いずれも特許法第29条の2の規定には該当しない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1、2及び5が特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない旨の特許異議申立理由(1)は、理由がないものである。

(2)特許法第29条第1項第3号について
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1と引用発明3との対比
本件発明1と引用発明3とを対比すると、引用発明3における「芳香族ビニル単量体」、「イソプレン」、「ホットメルト型粘接着剤組成物」は、それぞれ本件発明1における「ビニル系芳香族炭化水素」、「共役ジエン化合物」及び「ホットメルト接着剤」に相当し、引用発明3における「一般式(II):A′-B・・・で表わされるジブロック体成分」は、本件発明1における「ジブロック」に相当し、引用発明3における上記「ジブロック体成分」の含有割合「50?95重量%」は、本件発明1における「ジブロック含有率」の「50?90重量%」と重複しており、引用発明3における「一般式(I):(A-B)_(n)X・・・で表される4以上の分枝をもつ分枝成分」は、本件発明1における「ラジアル型スチレンブロック共重合体」に相当し、また、引用発明3における上記「一般式(II)・・・ジブロック体成分」及び「一般式(I)・・・分枝成分」は、いずれもホットメルト型粘接着剤組成物の構成成分であるから、本件発明1における「ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体である熱可塑性ブロック共重合体」に相当する。さらに、引用発明3における「上記ブロック共重合体全体中の芳香族ビニル単量体の重合体ブロックの含有量」は、本件発明1における「(A1)」の「スチレン含有率」に相当し、その数値範囲も、前者は「10?50重量%」であり後者は「35?45重量%」であるから重複している。
そうすると、両者は、
「(A)ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体である熱可塑性ブロック共重合体を有するホットメルト接着剤であって、
(A)熱可塑性ブロック共重合体が以下の(A1)成分を含む、ホットメルト接着剤:
(A1)スチレン含有率が35?45重量%、ジブロック含有率が50?90重量%であるラジアル型スチレンブロック共重合体。」の点で一致し、

相違点1’:(A1)ラジアル型スチレンブロック共重合体の粘度が、本件発明1においては、25重量%トルエン溶液の25℃での粘度が250mPa・s以下であると特定されているのに対し、引用発明3においてはそのようなことが明らかでない点
相違点2’:本件発明1は、「(A2)トリブロック型スチレンブロック共重合体」を含むのに対し、引用発明3においてはそのようなことが明らかでない点
で相違する。
そこで、上記相違点について検討する。

(イ)相違点2’について
事案に鑑みて、まず相違点2’について検討する。
甲第3号証には、「本発明の粘接着剤組成物に用いるブロック共重合体組成物においては、粘着剤組成物の特性が損なわれない限り、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体などのスチレン系ブロック共重合体、ブタジエンゴム、イソプレンゴムなどのジエン系重合体ゴム、天然ゴムなどの他のゴム成分を配合することができる。」(摘記3-6)と記載されているが、上記スチレン系ブロック共重合体を配合した具体例は記載されていない。
また、本件明細書の[0045]には、「(A2)トリブロック型スチレンブロック共重合体が配合された接着剤は、40℃での接着性が高くなる。本発明のホットメルト接着剤は、(A1)および(A2)の双方を含むので、広い温度領域(10?40℃)で優れた接着性を示す。」と記載されており、実際に、(A1)及び(A2)の双方を含む実施例1?10と、(A2)を含まない比較例1?3の実験データにより当該効果が裏付けられているが、甲第3号証においては、上記(摘記3-6)のとおり、スチレン系ブロック共重合体は粘着剤組成物の特性が損なわれない限り配合することができると記載されているにとどまり、本件明細書に記載されたような効果が得られることは記載されていない。さらに、上記のようなスチレン系ブロック共重合体を配合することによる効果が、本件特許に係る出願の出願日前に当該技術分野において周知の技術的事項であったとも認められない。
そうすると、相違点2’は形式的な相違点であるということはできず、本件発明1と引用発明3とは、少なくとも相違点2’において実質的に相違するものと認められる。よって、相違点1’について検討するまでもなく、本件発明1は甲第3号証に記載された発明であるとすることはできないから、特許法第29条第1項第3号には該当しない。

(ウ)特許異議申立人の主張について
(ウ-1)相違点2’について
特許異議申立人は、特許異議申立書の第33頁において、「また、甲第3号証に記載のホットメルト接着剤には、芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体と共に、トリブロック型スチレン系ブロック共重合体を配合することができると記載されている([0037])参照。」と主張しているが、上記6.(2)ア(イ)「相違点2’について」において検討したとおりの理由により、特許異議申立人の主張を採用することはできない。

(ウ-2)相違点1’について
特許異議申立人は、上記相違点1’に関して、甲第1号証(摘記1-1?1-14)及び甲第2号証(摘記2-1)を参考文献として提出し、特許異議申立書の第37?38頁において、「ここで、上述のとおり、甲第2号証を鑑みると、甲第1号証には、25重量%トルエン溶液の25℃での粘度が250mPa・s以下である粘接着剤用ブロック共重合体組成物が記載されているに等しいといえる。
そうすると、甲第1号証の粘接着剤用ブロック共重合体組成物は、甲第3号証のA発明の芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体と実質的に差異がないから、甲第3号証のA発明の芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体の25重量%トルエン溶液における粘度も、250mPa・s以下である蓋然性が極めて高い。・・・
したがって、甲第3号証のA1発明は、本件特許発明1に係るラジアル型スチレンブロック共重合体(A1)に相当する蓋然性が極めて高い。」と主張している。
しかし、甲第1号証の国際公開日(2014年1月30日)及び甲第1号証に記載された実験を再現したと特許異議申立人が主張している甲第2号証の試験報告書(平成29年3月21日)は、いずれも本件特許に係る出願の出願日(平成25年5月22日)より後に公開された技術的事項に基づいたものであるから、いずれも本件特許に係る出願の出願時における技術常識を示すものとして採用することはできない。また、上記6.(1)ア(ウ)(ウ-2)「相違点1について」において検討したとおり、溶液の濃度を15質量%から25質量%に上げた場合の粘度の上昇挙動が、甲第2号証に示されたものと同じような傾向になる蓋然性が高いとまではいえないから、仮に、甲第1号証の粘接着剤用ブロック共重合体組成物が、構成成分の重量平均分子量等の観点から甲第3号証に記載された芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体と類似しているとしても、ただちに甲第3号証に記載された芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体の25重量%トルエン溶液における粘度が250mPa・s以下である蓋然性が高いとまではいえない。よって、特許異議申立人の主張を採用することはできない。

(ウ-3)甲第3号証の比較例2について
特許異議申立人は、特許異議申立書の第38?40頁において、甲第3号証の比較例2に基づいて、甲第3号証には「甲第3号証のB発明」及び「甲第3号証のB1発明」が記載されていると主張し、特許異議申立書の第40頁において、「したがって、甲第3号証のB1発明においても、本件特許発明1に係るラジアル型スチレンブロック共重合体(A1)に相当する蓋然性が高い。」と主張している。
しかし、甲第3号証の比較例2には、本件発明1における「(A2)トリブロック型スチレンブロック共重合体」が含まれていないから、上記6.(2)ア(イ)「相違点2’について」において検討したとおりの理由により、特許異議申立人の主張を採用することはできない。また、上記6.(2)ア(ウ)(ウ-2)「相違点1’について」において検討したとおりの理由により、甲第1号証及び甲第2号証を参考文献として、甲第3号証に記載された比較例2の芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体の25重量%トルエン溶液における粘度が250mPa・s以下である蓋然性が高いということもできない。よって、特許異議申立人の主張を採用することはできない。

イ 本件発明5について
本件発明5は、本件発明1を引用する発明であるから、本件発明1と同じ理由により特許法第29条第1項第3号には該当しない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1及び5が、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない旨の特許異議申立理由(2)は、理由がないものである。

(3)特許法第29条第2項について
(3-1)甲第3号証及び周知の技術事項(甲第1号証及び甲第2号証)に基づく特許異議申立理由について
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1と引用発明3との対比
本件発明1と引用発明3とを対比すると、両者は、上記6.(2)ア(ア)「本件発明1と引用発明3との対比」に記載したとおりの点で一致し、上記相違点1’及び相違点2’の点で相違するものと認められる。

(イ)相違点2’について
上記6.(2)ア(イ)「相違点2’について」において検討したとおり、甲第3号証には、スチレン系ブロック共重合体は粘着剤組成物の特性が損なわれない限り、スチレン系ブロック共重合体等の他のゴム成分を配合することができる旨が記載されているが(摘記3-6)、上記スチレン系ブロック共重合体を配合した具体例は記載されていない。これに対し、本件明細書には、(A2)トリブロック型スチレンブロック共重合体を配合することにより、40℃での接着性が高くなり、広い温度領域(10?40℃)で優れた接着性を示すとの有利な効果が得られることが記載されており、甲第3号証には、本件明細書に記載されたような効果が得られることは記載されていない。さらに、上記のようなスチレン系ブロック共重合体を配合することによる効果が、本件特許に係る出願の出願日前に当該技術分野において周知の技術的事項であったとも認められない。
そうすると、相違点1’について検討するまでもなく、本件発明1は甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定には該当しない。

(ウ)相違点1’について
念のため、相違点1’についても検討すると、上記6.(2)ア(ウ)(ウ-2)「相違点1’について」に記載したとおりの理由により、甲第1号証及び甲第2号証を参考文献として、甲第3号証に記載された比較例2の芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体の25重量%トルエン溶液における粘度が250mPa・s以下である蓋然性が高いということはできない。よって、特許異議申立人の主張を採用することはできない。

イ 本件発明2、4及び5について
本件発明2、4及び5は、いずれも本件発明1を引用する発明であるから、本件発明1と同じ理由により、いずれも特許法第29条第2項の規定には該当しない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1、2、4及び5が、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨の特許異議申立理由(3-1)は、理由がないものである。

(3-2)甲第3号証、甲第4号証及び周知の技術事項(甲第1号証、甲第2号証及び甲第5号証)に基づく特許異議申立理由について
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1と引用発明3との対比
本件発明1と引用発明3とを対比すると、両者は、上記6.(2)ア(ア)「本件発明1と引用発明3との対比」に記載したとおりの点で一致し、上記相違点1’及び相違点2’の点で相違するものと認められる。

(イ)相違点2’について
上記5.(2)「甲第3号証に記載された発明」に記載したとおり、
引用発明3の発明の目的は、ホットメルト接着剤に要求される種々の特性、特に、低粘度低適用温度を有し、しかも、剥離接着力と剪断接着破壊温度とが良好にバランスされ、且つ高い値を示すホットメルト接着剤などの粘接着剤として有用なブロック共重合体およびその製造方法を提供することにあり、他の目的は、低粘度低適用温度を有し、しかも、剥離接着力と剪断接着破壊温度とが良好にバランスされ、且つ高い値を示すホットメルト接着剤などの粘接着剤として有用な粘接着剤組成物を提供することにあるものと認められる(摘記3-2)。また、ホットメルト型粘接着剤として、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、病院用ガウン、ベッドパッド、手術用ドレープなどの使い捨て用品等、構造および弾性付着接着剤を含む多くの用途において好適に使用されるものであることが記載されている(摘記3-7)。
これに対して、甲第4号証には、(a)式 (A-B)_(n)-Y
(ここで、Yは多価カップリング剤、Aはポリビニル置換芳香族ブロックを包含し、Bは重合ゴム状中間ブロックを包含し、nは3以上の整数)で示され少なくとも約145,000の分子量を有するラジアルブロック共重合体5ないし14重量%、(b)C5樹脂、スチレン化C5樹脂、スチレン化テルペン樹脂、水素化C9樹脂、ロジン誘導体、スチレン化テルペンゴム、およびそれらの混合物からなる群から選ばれた相容性粘着付与樹脂約45ないし85重量%、および(c)可塑化油約5ないし35重量%を包含する、使い捨て製品構成のためのホットメルト接着剤組成物が記載されており、Aがポリスチレンブロックを包含し、Bがブタジエン、イソプレンもしくはそれらの混合物を包含する水素化もしくは非水素化重合ブロックであること、及び0.1ないし10重量%の線状A-B-Aブロック共重合体をさらに含み、Aがポリスチレンブロックを包含し、Bがブタジエン、イソプレンもしくはそれらの混合物を含む重合ゴム状中間ブロックを包含することが記載されている(摘記4-1)。
また、甲第4号証に記載された発明が解決しようとする課題については、従来の、典型的な商業的に使用されている使い捨て製品の接着剤はスチレン-ブタジエン-スチレン(S-B-S)またはスチレン-イソプレン-スチレン(S-I-S)線状(A-B-A)ブロックまたはマルチ-ブロック(A-B-A-B-A-B)共重合体と組合せた粘着付与樹脂を使用しており(摘記4-2、4-3)、接着剤の20-35重量%に及ぶ高い含有量のA-B-Aブロック共重合体の量が、弾性的取付けモードで使用するとき、凝着強度と接着性を維持することと、線状A-B-Aブロック共重合体系の中でクリープ抵抗特性を高めるために必要とされていたところ(摘記4-2)、このような高い重合体の含有量の接着剤は高いコスト、高い粘度の結果になり得ること、及び低い濃度では、凝着強度、接着性またはクリープ抵抗性が失われ、しばしば弾性的取付けモードに不適当となり得ること(摘記4-2)が記載されている。
さらに、上記(a)式で表されるラジアルブロック共重合体の作用効果について、従来の技術と比較したとき、より優れた接着性および凝着性、高い結合強度、クリープ抵抗性及び剥離抵抗性を持つ接着剤を生産するために、任意に線状A-B-A(S-I-S及びS-B-Sの両方)ブロック共重合体と組み合わせて使用することができること(摘記4-4)が記載されており、その実施例として、上記(a)式で表されるラジアルブロック共重合体(クレイトンD-1184、摘記4-6)をベースにした接着剤と、上記線上A-B-Aブロック共重合体(クレイトン1111、クレイトン1102、摘記4-5)をベースにした接着剤の試験結果(摘記4-7、表6)、及び上記(a)式で表されるラジアルブロック共重合体(クレイトンD-1184、摘記4-6)と、上記線状A-B-Aブロック共重合体(クレイトン1117、甲第5号証(摘記5-1))からみて、リニア型トリブロック共重合体に相当する。)とを併用した接着剤の試験結果(摘記4-8、表7)が記載されており、表6及び表7の試験結果(粘度、クリープ抵抗性、動的接着剥離試験、静的剪断応力、貯蔵性)から、ラジアルブロック共重合体を用いた接着剤の方が、線状A-B-Aブロック共重合体のみを用いた接着剤よりも、上記試験項目の点で優れていることが読み取れる。
そうすると、引用発明3と、甲第4号証に記載された発明とは、利用分野は共通するものの、解決しようとする課題は共通していない。また、甲第4号証の記載からは、上記相違点2’に係る構成である線状A-B-Aブロック共重合体を用いることによる好ましい効果は特段読み取れないし、引用発明3の課題である、低粘度適用温度を有するホットメルト接着剤の提供等の課題を、線状A-B-Aブロック共重合体の配合により解決できるものと解することもできない。よって、甲第4号証には、引用発明3に対して甲第4号証に記載された線状A-B-Aブロック共重合体を配合する動機付けとなる記載はない。
さらに、上記6.(2)ア(イ)「相違点2’について」において検討したとおり、本件明細書には、(A2)トリブロック型スチレンブロック共重合体を配合することにより、40℃での接着性が高くなり、広い温度領域(10?40℃)で優れた接着性を示すとの有利な効果が得られることが記載されているが、甲第3号証、甲第4号証及び参考文献として提出された甲第5号証のいずれにも、本件明細書に記載されたような効果が得られることは記載されていない。加えて、上記のようなトリブロック型スチレンブロック共重合体を配合することによる効果が、本件特許に係る出願の出願日前に当該技術分野において周知の技術的事項であったとも認められない。
そうすると、相違点1’について検討するまでもなく、本件発明1は甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定には該当しない。

(ウ)相違点1’について
念のため、相違点1’についても検討すると、上記6.(2)ア(ウ)(ウ-2)「相違点1’について」に記載したとおりの理由により、甲第1号証及び甲第2号証を参考文献として、甲第3号証に記載された比較例2の芳香族ビニル-イソプレンブロック共重合体の25重量%トルエン溶液における粘度が250mPa・s以下である蓋然性が高いということはできない。また、甲第4号証及び甲第5号証の記載を参酌しても、同様である。よって、特許異議申立人の主張を採用することはできない。

(エ)特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、特許異議申立書の第42頁において、「そして、甲第4号証には、ラジアル型スチレンブロック共重合体と共に、リニア型のスチレン-ブタジエン-スチレン共重合体及びリニア型のスチレン-イソプレン-スチレン共重合体などのリニア型A-B-Aブロック共重合体(トリブロック型共重合体)を用いることで、より優れた接着性及び凝集性、高い結合強度、クリープ抵抗性及び剥離抵抗性を持つ接着剤を生産することができることが記載されている(特許請求の範囲(14)、6頁右上欄1?7行目、表7参照)(当審注:摘記4-1、4-4及び4-8を参照。)。
さらに、表7には、ラジアル型スチレンブロック共重合体(クレイトン^(TM)1184)と共に、トリブロック型スチレンブロック共重合体のリニア型スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(クレイトン^(TM)1117、甲第5号証参照)を用いた実施例があり、得られる接着剤は、クリープ抵抗性及び静的剪断応力に優れ、適度な粘度を有し、従来技術よりも改善された特性を持つことが記載されている(7頁右下欄7?19行目、19頁左上欄16?20行目、表7参照)(当審注:摘記4-8を参照。)。・・・
そして、甲第4号証には、トリブロック型スチレンブロック共重合体を用いることで、得られる接着剤は、クリープ抵抗性及び静的剪断応力に優れ、適度な粘度を有し、従来技術よりも改善された特性を持つことが具体的に記載されている。」と主張しているが、上記6.(3)(3-2)ア(イ)「相違点2’について」において検討したとおり、特許異議申立人が指摘する、クリープ抵抗性及び静的剪断応力に優れ、適度な粘度を有し、従来技術よりも改善された特性を持つとの効果は、ラジアル型スチレンブロック共重合体に基づく効果と解されるものであり、甲第4号証の記載により、引用発明3においてリニア型スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体を用いることが動機付けられるとはいえない。よって、特許異議申立人の主張は採用できない。

イ 本件発明2、4及び5について
本件発明2、4及び5は、いずれも本件発明1を引用する発明であるから、本件発明1と同じ理由により、いずれも特許法第29条第2項の規定には該当しない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1、2、4及び5が、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨の特許異議申立理由(3-2)は、理由がないものである。

(4)特許法第36条第4項第1号について
ア 本件発明1?5について
特許異議申立人は、特許異議申立書の第44頁において、「本件特許の実施例では、(A1)ラジアル型スチレンブロック共重合体として、(A1-1)乃至(A1-3)の3種類のブロック共重合体を用いており、それらはそれぞれ、旭化成ケミカルズ株式会社製のHJ12、HJ13及びHJ14である([0078])。しかしながら、甲第6号証(旭化成株式会社回答書)によると、それらの製品の製造・販売元である旭化成株式会社が「対象材名の製品は、試作サンプル名であり、製品製造施設での製造を行っていないため販売していない」としていることから明らかなように、HJ12、HJ13及びHJ14は、本件特許の出願時はもちろんのこと、現在(2017年4月26日)に至るまで市販されていない。・・・本件特許明細書には、HJ12、HJ13及びHJ14の製造方法(例えば原料及びその配合量、圧力や温度などの重合条件)及び各種物性や各成分含有量の測定条件も記載されていないことから、いかに当業者であっても、それらのラジアル型スチレンブロック共重合体が[0078]に記載された以外のどのような構造及び物性を有しているのか理解することはできず、それらのラジアル型スチレンブロック共重合体を製造することはできない。・・・そうすると、当業者がそれらのラジアル型スチレンブロック共重合体を製造したり使用したりするのには、本件特許明細書の他の部分の記載や本件特許の出願時の技術常識を踏まえても、過度の試行錯誤を要し、ひいては、本件特許明細書の実施例に記載のホットメルト接着剤を製造したり使用したりするのにも、過度の試行錯誤を要する。」と主張している。
しかしながら、本件発明1において特定された(A1)成分のラジアル型スチレンブロック共重合体は、例えば甲第4号証に類似の物性を有するものが記載されており、その製造方法も具体的に記載されていることを勘案すると、本件特許に係る出願の出願日前においてまったく未知のものとはいえず、当業者であれば、公知の技術的事項に基づいて製造することが可能であったものと解される。また、実施例で(A1)成分として用いられたとされているHJ12、HJ13及びHJ14(旭化成ケミカルズ社製)については、いずれもスチレン含有率、ジブロック含有率及び25重量%トルエン溶液の25℃での粘度の数値が明確に記載されているから([0078]等)、特定の商品が一般に販売されておらず、入手できないとしても、上記公知の技術的事項に基づいて当業者が同様のものを製造または入手することがまったくできないとまではいえない。そうすると、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないとまではいえない。本件発明1を直接又は間接的に引用して記載されている本件発明2?5についても同様である。
よって、特許異議申立人の主張を採用することができず、本件発明1?5が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない旨の特許異議申立理由(4)は、理由がないものである。

(5)特許法第36条第6項第1号について
ア 本件発明1?5について
特許異議申立人は、特許異議申立書の第44?45頁において、概ね特許異議申立理由(4)(特許法第36条第4項第1号)と同様の事項を指摘し、「そうすると、そのような実施例を初めとする本件特許明細書は、本件特許発明の範囲内であれば、低温塗工が可能で、ポリオレフィン基材への接着性に優れ、かつクリープ耐性に優れたホットメルト接着剤、そのホットメルト接着剤を用いて得られる使い捨て製品を提供するという本件特許発明の目的を達成できると当業者が認識できる程度に、具体例を開示して記載しているとはいえない。よって、いかに当業者であっても、本件特許の出願時の技術常識に照らして、上記の目的を達成できる本件特許発明の範囲まで、本件特許明細書に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。」と主張している。
しかしながら、本件明細書には、スチレン含有率([0036])、ジブロック含有率([0037]?[0038])、25重量%トルエン溶液の25℃での粘度([0039]?[0041])のそれぞれについて、数値限定の意義が記載され、特定された数値範囲であれば、本件発明の課題を解決できることが開示されているといえる。また、本件明細書には、実施例においてスチレン含有率が38?43重量%、ジブロック含有率が70?80重量%、25重量%トルエン溶液の25℃での粘度が165?243mPa・sであるラジアル型スチレンブロック共重合体を用いた旨が記載されており、低温塗工が可能で、幅広い温度で接着性に優れ、タックと保持力とのバランスに優れたホットメルト接着剤を提供するという本件発明の課題を実際に解決し得ることが裏付けられているところ、上記一般的な説明や出願時の公知技術に鑑みれば、本件発明1の範囲まで(A1)成分の上記各数値範囲を拡張ないし一般化することが不当であるとまではいえない。本件発明1を直接又は間接的に引用して記載されている本件発明2?5についても同様である。
よって、特許異議申立人の主張を採用することはできず、本件発明1?5は発明の詳細な説明に実質的に記載されたものとすることができるから、本件発明1?5が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない旨の特許異議申立理由(5)は、理由がないものである。

7.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1?5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-07-26 
出願番号 特願2013-107764(P2013-107764)
審決分類 P 1 651・ 536- Y (C09J)
P 1 651・ 121- Y (C09J)
P 1 651・ 113- Y (C09J)
P 1 651・ 161- Y (C09J)
P 1 651・ 537- Y (C09J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岡山 太一郎  
特許庁審判長 佐々木 秀次
特許庁審判官 長部 喜幸
天野 宏樹
登録日 2016-10-14 
登録番号 特許第6023001号(P6023001)
権利者 ヘンケルジャパン株式会社
発明の名称 ホットメルト接着剤  
代理人 西下 正石  
代理人 鮫島 睦  
代理人 山田 卓二  

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