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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H04L
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する H04L
審判 訂正 判示事項別分類コード:857 訂正する H04L
管理番号 1332442
審判番号 訂正2017-390063  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2017-07-05 
確定日 2017-08-28 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6065881号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6065881号の特許請求の範囲を,本件審判請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項7について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6065881号は,平成21年9月9日を出願日とする出願(特願2009-208688号)の一部を平成26年6月23日に新たな特許出願(特願2014-128647号)としたものであって,その請求項1ないし請求項22に係る発明について平成29年1月6日に特許権の設定登録がなされたものであり,その後,平成29年7月5日付けで本件訂正審判の請求がなされたものである。


第2 請求の趣旨および訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は,特許第6065881号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項7について訂正することを認める,との審決を求めるものであって,その訂正内容は,下記訂正事項1,2のとおりである。

[訂正事項1]
特許請求の範囲の請求項7を,請求項1を引用するものから,請求項1を引用しない独立形式に訂正する。

[訂正事項2]
訂正事項1によって訂正された請求項7において,訂正前に引用されていた請求項1において「議別情報」とあるのを,「識別情報」に訂正する。


第3 当審の判断
1 訂正事項1について

ア 訂正の目的について
訂正事項1は,特許第6065881号の特許請求の範囲の請求項7の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを,請求項間の引用関係を解消し,他の請求項を引用しない,いわゆる独立形式の請求項と訂正するものであるから,特許法126条1項ただし書き4号に掲げる事項を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1によって,何ら実質的な内容の変更は生じていないから,訂正事項1は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載された事項に基づいたものであり,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではなく,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであって,特許法126条5項の規定に適合する。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し,また変更する訂正ではないこと
訂正事項1によって,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもなく,訂正事項1は特許法126条6項の規定に適合する。

エ 独立して特許を受けることができるものであること
訂正事項1は,特許法126条1項ただし書1号または2号に掲げる事項を目的としたものではないから,同法同条7項の適用はない。
そのため,訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が,特許出願の際に独立して特許を受けることができたか否かを,あらためて検討することは,訂正許否の要件とはならない。

2 訂正事項2について

ア 訂正の目的について
訂正事項2は,訂正前の請求項1において,「議別情報」と記載されていたものを「識別情報」と訂正するものであって,特許法126条1項ただし書2号に規定する誤記の訂正を目的とするものに該当する。

イ 願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)において,「議別情報」なる記載は,特許請求の範囲の請求項1に,次の記載がある。(下線は説明のために当審で付加。以下同様。)

「【請求項1】
…(中略)…
コマンドの往復遅延時間に関する制限を課した登録用の相互認証手続きを経て、前記登録用の相互認証手続き時のチャレンジ・レスポンス部分で前記コンテンツ利用装置から送信されるレスポンスに含まれる前記コンテンツ利用装置の議別情報をリモート・アクセス・レジストリーに事前に登録する登録手段と、
…(後略)」

なお,同様な記載がその他請求項2,および請求項28ないし請求項31にもみられる。

一方,当初明細書等において,「議別情報」なる用語
は,上記以外の箇所にはみられない。
そこで,当初明細書等にある,「議別情報」,とりわけ「コンテンツ利用装置」((Ra-)Sink)の「議別情報」について検討する。
当初明細書等の段落59,82,85,および,99には,次の記載がある。

「【0059】
記憶部14には、後述の登録処理によって記憶することになったRA-Sinkの識別情報(Device ID)や認証情報(リモート・アクセス用のユーザーID、パスフレーズあるいはキー、ユーザーの生体情報など)、RA-AKEを通じてRA-Sinkと共有した交換鍵とその識別情報などが記憶される。また、記憶部14は、コンテンツ受信/再生部12で得たコンテンツを蓄積する用途で用いることもできる。」

「【0082】
不正なユーザーからの接続を制限するために、RA-Sourceが事前に登録されたRA-SinkとだけRA-AKE手続きを行なうようにする。具体的には、現在のDTCP-IPのRTT-AKEと同様に、RTTやTTL制限を伴うAKE手続きに成功した場合にだけ、RA-SourceがRA-Sinkの機器固有IDを記憶して登録する。RA-Sinkの登録手続きは、例えば、RTT並びにTTLの制限に収まる家庭内で事前に行なわれる。したがって、不正なユーザーは、リモート環境から事前登録できないので、RA-AKE手続きを成功できなくなる。」

「【0085】
各チャレンジ・コマンドには、機器固有の識別情報であるDevice IDが含まれている。但し、同チャレンジ・レスポンス部分の中では、SinkからSourceへのレスポンスとして「RESPONSE2」が送られることがある。これは、機器がCommon Device KeyとCommon Device Certificateを実装することで、Device IDが機器固有とならない場合である。RESPONSE2が送られる場合は、機器固有の識別情報として、Device IDではなく、RESPONSE2に含まれる機器固有情報であるIDuを使うことになる。なお、Device IDやIDuではなく、WiFi用のMAC(Media Access Control)アドレスを機器固有情報に用いることもできる。」

「【0099】
各チャレンジ・コマンドには、機器固有の識別情報であるDevice IDが含まれている。但し、同チャレンジ・レスポンス部分の中では、SinkからSourceへのレスポンスとして「RESPONSE2」が送られることがあるが、その場合は、機器固有の識別情報として、Device IDではなく、RESPONSE2に含まれるIDuを使うことになる(同上)。」

上記箇所には,「コンテンツ利用装置」を識別するための情報として,「識別情報(Device ID)」や,「機器固有の識別情報」などの記載がみられる一方,「議別情報」なる用語は,当該分野において一般的には用いられることのない用語であることに鑑みれば,当該記載に接した当業者であれば,特許請求の範囲に記載された「議別情報」が,「識別情報」の誤記であることを普通に理解できるものである。
そして,訂正事項2によって訂正された内容は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではなく,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであって,特許法126条5項の規定に適合する。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し,また変更する訂正ではないこと
訂正事項2によって,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもなく,訂正事項2は特許法126条6項の規定に適合する。

エ 独立して特許を受けることができるものであること
上記訂正事項2により訂正された訂正後の請求項7に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか検討すると,訂正後の請求項7に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見することはできない。


第4 むすび
したがって,本件訂正審判請求における請求項7に係る訂正は,特許法126条1項ただし書4号および2号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条5項ないし7項の規定に適合するものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コマンドの往復遅延時間に関する制限を課した登録用の相互認証手続きを経て、前記登録用の相互認証手続き時のチャレンジ・レスポンス部分でコンテンツ利用装置から受け取るレスポンスに含まれる前記コンテンツ利用装置の議別情報をリモート・アクセス・レジストリーに事前に登録する登録手段と、
前記コンテンツ利用装置に対してコマンドの往復遅延時間に関する制限を課さないリモート・アクセス用の相互認証手続きを行なうとともに、前記リモート・アクセス用の相互認証手続き時のチャレンジ・レスポンス部分で前記コンテンツ利用装置から受け取るレスポンスに含まれる前記コンテンツ利用装置の識別情報が前記リモート・アクセス・レジストリーに登録されていることを確認して、リモート・アクセス用の交換鍵を前記コンテンツ利用装置に送信するリモート認証手段と、
前記コンテンツ利用装置から前記リモート・アクセスにより要求されたコンテンツがリモート・アクセスを許容されているか否かを、前記要求されたコンテンツの伝送制御情報に挿入される制御記述子に重畳されているリモート・アクセスの可否を示す情報に基づいて識別する識別手段と、
前記リモート認証手段による認証結果とともに前記識別手段による識別結果に応じて、前記リモート・アクセスにより要求されたコンテンツを前記リモート・アクセス用の交換鍵に基づいて暗号化伝送する提供手段と、
を具備する通信装置。
【請求項2】
前記リモート認証手段は、前記リモート・アクセス用の相互認証手続きに際し、IP(Internet Protocol)ルーターのホップ回数に関する制限をも課さない、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
コンテンツを蓄積することができる記憶部をさらに備え、
前記識別手段は、前記記憶部にコピーされているコンテンツはリモート・アクセスを許可されていると識別する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
放送コンテンツを受信する受信部をさらに備え、
前記識別手段は、放送中のリアルタイム・コンテンツについては、放送終了後からの経過時間に基づいてリモート・アクセスを許容されているか否かを識別する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
放送コンテンツを受信する受信部と、コンテンツを蓄積することができる記憶部をさらに備え、
前記識別手段は、受信した放送コンテンツを、前記記憶部に一旦蓄積した後にリモート・アクセスを許可されていると識別する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
リモート・アクセス可能コンテンツを記憶する第1の領域とリモート・アクセス不可コンテンツを記憶する第2の領域を有する記憶部をさらに備え、
各コンテンツを前記識別手段による識別結果に基づいて前記第1又は第2の領域に仕分けして前記記憶部に蓄積する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
コマンドの往復遅延時間に関する制限を課した登録用の相互認証手続きを経て、前記登録用の相互認証手続き時のチャレンジ・レスポンス部分でコンテンツ利用装置から受け取るレスポンスに含まれる前記コンテンツ利用装置の識別情報をリモート・アクセス・レジストリーに事前に登録する登録手段と、
前記コンテンツ利用装置に対してコマンドの往復遅延時間に関する制限を課さないリモート・アクセス用の相互認証手続きを行なうとともに、前記リモート・アクセス用の相互認証手続き時のチャレンジ・レスポンス部分で前記コンテンツ利用装置から受け取るレスポンスに含まれる前記コンテンツ利用装置の識別情報が前記リモート・アクセス・レジストリーに登録されていることを確認して、リモート・アクセス用の交換鍵を前記コンテンツ利用装置に送信するリモート認証手段と、
前記コンテンツ利用装置から前記リモート・アクセスにより要求されたコンテンツがリモート・アクセスを許容されているか否かを、前記要求されたコンテンツの伝送制御情報に挿入される制御記述子に重畳されているリモート・アクセスの可否を示す情報に基づいて識別する識別手段と、
前記リモート認証手段による認証結果とともに前記識別手段による識別結果に応じて、前記リモート・アクセスにより要求されたコンテンツを前記リモート・アクセス用の交換鍵に基づいて暗号化伝送する提供手段と、
を具備し、
前記登録手段は、前記コンテンツ利用装置の機器固有の識別情報を登録する、通信装置。
【請求項8】
前記登録手段は、前記登録用の相互認証手続きに際し、IPルーターのホップ回数に関する制限をさらに課す、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
前記登録手段は、コンテンツ利用装置の事前登録時に、ユーザーID、パスフレーズ若しくはキー、ユーザーの生体情報、又はその他のリモート・アクセス用の認証情報を併せて登録し、
前記リモート認証手段は、リモート・アクセスするコンテンツ利用装置を認証する際に、前記の事前登録した認証情報を用いた認証処理を併せて行なう、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項10】
前記リモート認証手段は、前記リモート・アクセス用の認証情報を書き込んだポータブル・メディアを通じて前記の事前登録した認証情報を用いた認証処理を行なう、
ことを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記リモート認証手段は、前記コンテンツ利用装置に紐付けされたドングルを通じてリモート・アクセスする前記コンテンツ利用装置を認証する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項12】
前記登録手段はコンテンツ利用装置を事前登録する際に、当該コンテンツ利用装置がリモート・アクセス時に利用する1以上のコンテンツを併せて登録し、
前記提供手段は、リモート・アクセスするコンテンツ利用装置に対し、前記のリモート・アクセス時に利用するとして事前登録されたコンテンツのみを提供する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項13】
前記リモート認証手段は、前記リモート・アクセス用の相互認証手続きに代えて、所定の認証サーバーに対するログイン処理を通じて前記リモート・アクセスするコンテンツ利用装置の認証手続きを行なう、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項14】
前記リモート認証手段は、コンテンツ利用装置からの相互認証制御コマンドに設けられている、リモート・アクセスの可否を示す情報ビットに基づいて、リモート・アクセスするコンテンツ利用装置を認証する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項15】
前記リモート認証手段は、リモート・アクセス専用の相互認証手続きに従って、リモート・アクセスするコンテンツ利用装置を認証する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項16】
前記提供手段は、リモート・アクセス専用の暗号化モードを用いて、コンテンツ利用装置からリモート・アクセスにより要求されたコンテンツを暗号化伝送する、
ことを特徴とする請求項14又は15のいずれかに記載の通信装置。
【請求項17】
前記提供手段は、コンテンツのリモート・アクセスによる再出力を禁止する、
ことを特徴とする請求項14又は15のいずれかに記載の通信装置。
【請求項18】
コンテンツを蓄積することができる記憶部をさらに備え、
前記提供手段は、前記記憶部に蓄積されているコンテンツにリモート・アクセスが可能であることを示す情報が付加されているときには、リモート・アクセスによる再出力を禁止する、
ことを特徴とする請求項14又は15のいずれかに記載の通信装置。
【請求項19】
コンテンツを蓄積することができる記憶部をさらに備え、
前記識別手段は、リモート・アクセスが可能であることを示す情報が付加されたコンテンツを前記記憶部に蓄積する際に、当該情報をリモート・アクセス不可に書き換える、
ことを特徴とする請求項14又は15のいずれかに記載の通信装置。
【請求項20】
前記識別手段は、著作権保護が施された所定のプロトコルに従って受け取ったコンテンツにリモート・アクセスの可否を示す情報が付加されていないときには、当該コンテンツをリモート・アクセス不可として扱う、
ことを特徴とする請求項14又は15のいずれかに記載の通信装置。
【請求項21】
前記識別手段は、著作権保護が施された所定のプロトコルに従って受け取ったコンテンツにリモート・アクセスの可否を示す情報が付加されていないときには、当該コンテンツに設定されているコピー制御情報に基づいて、当該コンテンツがリモート・アクセスを許容されているか否かを識別する、
ことを特徴とする請求項14又は15のいずれかに記載の通信装置。
【請求項22】
コンテンツを蓄積することができる記憶部をさらに備え、
前記識別手段は、リモート・アクセスを不可としないコンテンツについては、前記記憶部に一旦蓄積した後にリモート・アクセス可として扱い、前記記憶部に蓄積する前の状態ではリモート・アクセス不可として扱う、
ことを特徴とする請求項21に記載の通信装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2017-07-28 
結審通知日 2017-08-07 
審決日 2017-08-18 
出願番号 特願2014-128647(P2014-128647)
審決分類 P 1 41・ 856- Y (H04L)
P 1 41・ 852- Y (H04L)
P 1 41・ 857- Y (H04L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 金沢 史明  
特許庁審判長 石井 茂和
特許庁審判官 山崎 慎一
須田 勝巳
登録日 2017-01-06 
登録番号 特許第6065881号(P6065881)
発明の名称 通信装置  
代理人 山田 英治  
代理人 山田 英治  

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