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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C08L
審判 一部申し立て 2項進歩性  C08L
審判 一部申し立て 発明同一  C08L
管理番号 1336128
異議申立番号 異議2017-700350  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-04-10 
確定日 2017-11-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6013422号発明「シロキサン樹脂組成物、これを用いた透明硬化物、透明画素、マイクロレンズ、固体撮像素子」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6013422号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?27〕について訂正することを認める。 特許第6013422号の請求項1?4、9?11、14?27に係る特許を維持する。 特許第6013422号の請求項5?8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6013422号の請求項1?27に係る特許についての出願は、平成28年9月30日にその特許権の設定登録がされ、その後、平成29年4月10日付け(受理日:同年4月11日)で特許異議申立人 東レ株式会社(以下、「特許異議申立人」という。)より請求項1?11、14?27に対して特許異議の申立てがされ、同年6月19日付けで取消理由が通知され、同年8月24日付け(受理日:同年8月24日)で意見書の提出及び訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、同年9月15日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、同年10月20日付け(受理日:同年10月23日)で特許異議申立人から意見書が提出されたものである。

第2 本件訂正請求の適否
1.訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、次の訂正事項1?19のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「該金属酸化物粒子が、金属酸化物粒子であり、」と記載されているのを「該金属酸化物粒子が、シェルに酸化ジルコニウムを含有し、コアに酸化チタンを含有するコアシェル型の金属酸化物粒子〔ただし、酸化チタン-酸化ケイ素複合粒子であるオプトレイク(登録商標)TR-550(日揮触媒化成工業(株)製)を除く〕であり、」に訂正する。
また、当該請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2?4、10?27も併せて訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7を削除する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8を削除する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項9に「前記コアシェル型のシェルに、酸化ジルコニウムを含有し、コアに酸化チタンを含有する請求項5?8のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。」と記載されているのを「ネガ型の感光性樹脂に使用されるシロキサン樹脂組成物であって、
数平均粒径が1nm以上500nm以下の金属酸化物粒子とシロキサン樹脂とメシチルオキシドと溶媒とを含有し、該金属酸化物粒子が、シェルに酸化ジルコニウムを含有し、コアに酸化チタンを含有するコアシェル型の金属酸化物粒子〔ただし、酸化チタン-酸化ケイ素複合粒子であるオプトレイク(登録商標)TR-550(日揮触媒化成工業(株)製)を除く〕であり、その金属酸化物の金属として、同一粒子中に少なくともTiおよびZrの金属を含有し、元素組成比で、TiとZrとの比率、Ti/Zr、が1?40であるシロキサン樹脂組成物。」に訂正する。
また、当該請求項9を直接的又は間接的に引用する請求項10?27も併せて訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1?9のいずれか1項に記載の」と記載されているのを「請求項1?4、9のいずれか1項に記載の」に訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項11に「請求項1?10のいずれか1項に記載の」と記載されているのを「請求項1?4、9、10のいずれか1項に記載の」に訂正する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項12に「請求項1?11のいずれか1項に記載の」と記載されているのを「請求項1?4、9?11のいずれか1項に記載の」に訂正する。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項13に「請求項1?12のいずれか1項に記載の」と記載されているのを「請求項1?4、9?12のいずれか1項に記載の」に訂正する。

(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項14に「請求項1?13のいずれか1項に記載の」と記載されているのを「請求項1?4、9?13のいずれか1項に記載の」に訂正する。

(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項15に「請求項1?14のいずれか1項に記載の」と記載されているのを「請求項1?4、9?14のいずれか1項に記載の」に訂正する。

(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項16に「請求項1?15のいずれか1項に記載の」と記載されているのを「請求項1?4、9?15のいずれか1項に記載の」に訂正する。

(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項17に「請求項1?16のいずれか1項に記載の」と記載されているのを「請求項1?4、9?16のいずれか1項に記載の」に訂正する。

(15)訂正事項15
特許請求の範囲の請求項18に「請求項1?17のいずれか1項に記載の」と記載されているのを「請求項1?4、9?17のいずれか1項に記載の」に訂正する。

(16)訂正事項16
特許請求の範囲の請求項19に「請求項1?18のいずれか1項に記載の」と記載されているのを「請求項1?4、9?18のいずれか1項に記載の」に訂正する。

(17)訂正事項17
特許請求の範囲の請求項20に「請求項1?18のいずれか1項に記載の」と記載されているのを「請求項1?4、9?18のいずれか1項に記載の」に訂正する。

(18)訂正事項18
特許請求の範囲の請求項23に「請求項1?22のいずれか1項に記載の」と記載されているのを「請求項1?4、9?22のいずれか1項に記載の」に訂正する。

(19)訂正事項19
特許請求の範囲の請求項24に「請求項1?23のいずれか1項に記載の」と記載されているのを「請求項1?4、9?23のいずれか1項に記載の」に訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、独立特許要件の適否及び一群の請求項
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「金属酸化物粒子」がさらに「シェルに酸化ジルコニウムを含有し、コアに酸化チタンを含有するコアシェル型の金属酸化物粒子〔ただし、酸化チタン-酸化ケイ素複合粒子であるオプトレイク(登録商標)TR-550(日揮触媒化成工業(株)製)を除く〕であ」るとするものであり、「金属酸化物粒子」をさらに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、訂正事項1は、「シェルに酸化ジルコニウムを含有し、コアに酸化チタンを含有するコアシェル型の」と限定することについては、願書に添付した明細書の段落【0010】、【0017】の記載に基づくものであり、「〔ただし、酸化チタン-酸化ケイ素複合粒子であるオプトレイク(登録商標)TR-550(日揮触媒化成工業(株)製)を除く〕」と限定することについては、除外した後のいわゆる「除くクレーム」が新たな技術的事項を導入するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2?5について
訂正事項2?5は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項5?8を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、訂正事項2?5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項6について
訂正事項6は、(a)訂正前の請求項1を直接的あるいは間接的に引用する請求項5?8のいずれか1項を引用する請求項9を、請求項5?8のいずれか1項を引用しない独立形式請求項に改め、(b)「シロキサン樹脂組成物」がさらに「ネガ型の感光性樹脂に使用される」として、「シロキサン樹脂組成物」をさらに限定し、(c)「金属酸化物粒子」がさらに「〔ただし、酸化チタン-酸化ケイ素複合粒子であるオプトレイク(登録商標)TR-550(日揮触媒化成工業(株)製)を除く〕」であるとして、「金属酸化物粒子」をさらに限定するものであるから、前記(a)の事項は請求項間の引用関係の解消を目的とするものに該当し、前記(b)、(c)の事項は特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、訂正事項6は、前記(b)の事項については願書に添付した明細書の段落【0004】、【0007】、【0088】の記載に基づくものであり、前記(c)の事項については除外した後のいわゆる「除くクレーム」が新たな技術的事項を導入するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項7、8、11?19について
訂正事項7、8、11?19は、それぞれ、訂正前の特許請求の範囲の請求項10、11、14?20、23、24が引用する請求項から、訂正事項2?5で削除された請求項5?8を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、訂正事項7、8、11?19は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)訂正事項9、10について
訂正事項9、10は、それぞれ、異議申立がされていない訂正前の特許請求の範囲の請求項12、13が引用する請求項から、訂正事項2?5で削除された請求項5?8を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、訂正事項9、10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正後の請求項12、13に係る発明は、それぞれ、「金属酸化物粒子を構成する元素において、元素組成比で、TiとZrとの比率、Ti/Zr、が4?12である」こと、「金属酸化物粒子を構成する元素において、元素組成比で、TiとZrとの比率、Ti/Zr、が4?9である」ことを発明特定事項としているが、当該発明特定事項については、後述する甲第2号証を考慮しても、後述する甲第1、4?6号証には記載も示唆もされていないから、訂正後の請求項12、13に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。さらに、当該発明特定事項については、後述する甲第2号証を考慮しても、後述する甲第3号証に記載されているとはいえないから、訂正後の請求項12、13に係る発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない(同法第184条の13参照)ものではない。したがって、訂正後の請求項12、13に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

(6)一群の請求項
本件訂正請求による訂正は、訂正後の請求項1?27についての訂正であるが、訂正前の請求項2?27は訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用するものであるので、訂正前の請求項1?27は、一群の請求項である。
したがって、本件訂正請求は、一群の請求項に対して請求されたものである。

3.小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法同条第4項及び第9項で準用する同法第126条第5?7項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?27〕について訂正することを認める。

第3 本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1?11、14?27に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明11」、「本件発明14」?「本件発明27」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?11、14?27に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
数平均粒径が1nm以上500nm以下の金属酸化物粒子とシロキサン樹脂とメシチルオキシドと溶媒とを含有し、該金属酸化物粒子が、シェルに酸化ジルコニウムを含有し、コアに酸化チタンを含有するコアシェル型の金属酸化物粒子〔ただし、酸化チタン-酸化ケイ素複合粒子であるオプトレイク(登録商標)TR-550(日揮触媒化成工業(株)製)を除く〕であり、その金属酸化物の金属として、同一粒子中に少なくともTiおよびZrの金属を含有し、元素組成比で、TiとZrとの比率、Ti/Zr、が1?40であるシロキサン樹脂組成物。
【請求項2】
前記金属酸化物粒子の数平均粒径が、1nm以上200nm以下である請求項1に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項3】
前記金属酸化物粒子の数平均粒径が、1nm以上50nm以下である請求項1または2に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項4】
前記金属酸化物粒子の数平均粒径が、5nm以上30nm以下である請求項1?3のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項5】(削除)
【請求項6】(削除)
【請求項7】(削除)
【請求項8】(削除)
【請求項9】
ネガ型の感光性樹脂に使用されるシロキサン樹脂組成物であって、
数平均粒径が1nm以上500nm以下の金属酸化物粒子とシロキサン樹脂とメシチルオキシドと溶媒とを含有し、該金属酸化物粒子が、シェルに酸化ジルコニウムを含有し、コアに酸化チタンを含有するコアシェル型の金属酸化物粒子〔ただし、酸化チタン-酸化ケイ素複合粒子であるオプトレイク(登録商標)TR-550(日揮触媒化成工業(株)製)を除く〕であり、その金属酸化物の金属として、同一粒子中に少なくともTiおよびZrの金属を含有し、元素組成比で、TiとZrとの比率、Ti/Zr、が1?40であるシロキサン樹脂組成物。
【請求項10】
前記金属酸化物粒子を構成する元素において、元素組成比で、TiとZrとの比率、Ti/Zr、が1?30である請求項1?4、9のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項11】
前記金属酸化物粒子を構成する元素において、元素組成比で、TiとZrとの比率、Ti/Zr、が3?20である請求項1?4、9、10のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。」

「【請求項14】
前記メシチルオキシドの含有率が0.01質量%以上15質量%以下である請求項1?4、9?13のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項15】
前記メシチルオキシドの含有率が0.1質量%以上13質量%以下である請求項1?4、9?14のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項16】
前記シロキサン樹脂がアルコキシシラン化合物の加水分解縮合反応物である請求項1?4、9?15のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項17】
前記金属酸化物粒子100質量部に対してシロキサン樹脂を30質量部以上80質量部以下で用いる請求項1?4、9?16のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項18】
前記金属酸化物粒子を組成物の固形成分中で、10質量%以上90質量%以下で含有させる請求項1?4、9?17のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項19】
前記溶媒がジアセトンアルコールである請求項1?4、9?18のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項20】
前記溶媒がジアセトンアルコールおよびエステル化合物である請求項1?4、9?18のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項21】
前記ジアセトンアルコールの含有量が、前記エステル化合物100質量部に対し、10質量部以上である請求項20に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項22】
前記エステル化合物がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである請求項20または21に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項23】
さらに、重合開始剤のオキシム化合物を含有する請求項1?4、9?22のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項24】
請求項1?4、9?23のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物を硬化させてなる透明硬化物。
【請求項25】
請求項24に記載の透明硬化物からなる透明画素。
【請求項26】
請求項24に記載の透明硬化物からなるマイクロレンズ。
【請求項27】
請求項25に記載の透明画素、請求項26に記載のマイクロレンズ、またはこれらの両者を具備する固体撮像素子。」

第4 特許異議申立人が主張する取消理由
特許異議申立人が特許異議申立書において主張する取消理由の概要は、次のとおりである。
・本件特許の請求項1?11、14?24に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり(甲第2号証も参照)、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、請求項1?11、14?24に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
・本件特許の請求項1?11、14?24に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり(甲第2号証も参照)、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、請求項1?11、14?24に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
・本件特許の請求項26、27に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり(甲第2号証及び周知技術として甲第4?6号証も参照)、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、請求項26、27に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
・本件特許の請求項1?11、14?22、24?27に係る発明は、甲第3号証の日本語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり(甲第2号証も参照)、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない(同法第184条の13参照)から、請求項1?11、14?22、24?27に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
なお、甲第1?6号証は、次のとおりである。
・甲第1号証:国際公開第2013/146130号
・甲第2号証:東レ株式会社 諏訪充史による実験成績証明書
・甲第3号証:PCT/JP2014/067507号(国際公開第2015/002183号)
・甲第4号証:国際公開第2011/040248号
・甲第5号証:特開2014-119643号公報
・甲第6号証:特開2012-87316号公報

第5 当審が通知した取消理由
当審が通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

1)本件特許の請求項1?11、14?24に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
2)本件特許の請求項1?11、14?24、26、27に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
3)本件特許の請求項1?11、14?22、24?27に係る発明は、本件特許の出願の日前の日本語特許出願であって、本件特許の出願後に国際公開がされた下記の日本語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の出願の発明者が本件特許の出願前の日本語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、その出願人が上記日本語特許出願の出願人と同一でもなく、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない(同法第184条の13参照)から、その発明に係る特許は取り消すべきものである。



刊行物:国際公開第2013/146130号(特許異議申立書に添付された甲第1号証。以下、「引用文献」という。)

先願及び先願明細書:特願2014-531799号(以下、「先願」という。)の日本語特許出願の国際出願であるPCT/JP2014/067507号は、本件特許の出願日である2014(平成26)年10月3日より前の2014(平成26)年7月1日を出願日として、発明者を内田 圭一、鴨川 政雄、諏訪 充史、谷口 千香とし、出願人を東レ株式会社として特許協力条約に基いてなされた国際出願であって、本件特許の出願後である2015(平成27)年1月8日に国際公開第2015/002183号(特許異議申立書に添付された甲第3号証)として国際公開がされたものである。
当該先願の日本語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面を、以下、併せて「先願明細書」という。

第6 取消理由についての当審の判断
1.特許法第29条第1項第3号について
1-1 引用文献の記載等
(1)引用文献の記載
取消理由通知において引用した引用文献(国際公開第2013/146130号)には、次の事項(以下、「摘示ア1」のようにいう。)が記載されている。なお、下線は当審において付した。

ア1 「[請求項1] 下記一般式(1)で表される、(A)シランカップリング剤。
[化1]

(R^(1)はそれぞれ独立して、炭素数1?6のアルキル基若しくはフェニル基又はそれらの置換体を表す。R^(2)はそれぞれ独立して、炭素数1?6のアルキル基若しくはフェニル基又はそれらの置換体を表す。R^(3)は炭素数1?30の2価の有機基を表す。R^(4)は複素環式構造を有する炭素数1?30の1価の有機基を表す。mは0?2の整数を表す。)
・・・(略)・・・
[請求項3] 請求項1又は2記載の(A)シランカップリング剤、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)多官能アクリルモノマ、及び、(D)光ラジカル重合開始剤又は(E)キノンジアジド化合物、を含有する、感光性樹脂組成物。
[請求項4] 前記(B)アルカリ可溶性樹脂は、ポリシロキサン、アクリル樹脂及びポリエステル樹脂からなる群から選ばれる樹脂である、請求項3記載の感光性樹脂組成物。
[請求項5] さらに(F)金属酸化粒子を含有する、請求項3又は4記載の感光性樹脂組成物。」

イ1 「[0084] 市販の金属酸化物粒子としては、例えば、 オプトレイク(登録商標)TR-502、同TR-503、同TR-504、同TR-513、同TR-520、同TR-527、同TR-528、同TR-529、同TR-544若しくは同TR-550などの酸化ケイ素-酸化チタン複合粒子、オプトレイク(登録商標)TR-505などの酸化チタン粒子((以上、何れも日揮触媒化成工業(株)製)、あるいは、バイラールZr-C20(平均粒径=20nm;多木化学(株)製)、ナノユースOZ-30M(平均粒径=7nm;日産化学工業(株)製)又はZSL-10T(平均粒径=15nm)若しくはZSL-10A(平均粒径=70nm)(以上、何れも第一稀元素化学工業(株)製)などの酸化ジルコニウム粒子が挙げられる。さらには、酸化スズ-酸化ジルコニウム複合粒子(日揮触媒化成工業(株)製)、酸化スズ粒子((株)高純度化学研究所製)又はT-BTO-20RF(チタン酸バリウム粒子;戸田工業株式会社製)が挙げられる。」

ウ1 「[0109] 本発明の(I)ネガ型感光性樹脂組成物及び(II)ポジ型感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜は、タッチパネル用保護膜、各種ハードコート材、TFT用平坦化膜、カラーフィルター用オーバーコート、反射防止フィルム、パッシベーション膜などの各種保護膜及び、光学フィルター、タッチパネル用絶縁膜、TFT用絶縁膜又はカラーフィルター用フォトスペーサーなどに用いることができる。これらの中でも、(I)ネガ型感光性樹脂組成物は高い硬度、透明性、耐熱性を有することから、タッチパネル用保護膜として好適に用いることができる。タッチパネルの方式としては、抵抗膜式、光学式、電磁誘導式又は静電容量式などが挙げられる。静電容量式タッチパネルは特に高い硬度が求められることから、本発明の硬化膜を好適に用いることができる。(II)ポジ型感光性樹脂組成物は高精細に加工出来、高い接着性を有することから、TFT用平坦化膜(有機パッシベーション膜)に好適に用いることができる。」

エ1 「[0111] 合成例1 シランカップリング剤(A1)の合成
200mLのフラスコにトリエトキシシリルプロピルイソシアネート20g及びグリシドール80gを仕込み、40℃で12時間撹拌した。ガスクロマトグラフィーによって原料であるトリエトキシシリルプロピルイソシアネートのピークの消失と生成物のピークの出現を確認した後、ロータリーエバポレーター及びトラップ付き真空ポンプによってグリシドールを除去し、シランカップリング剤(A1)を得た。」

オ1 「[0113] 合成例3 シランカップリング剤(A3)の合成
グリシドールをテトラヒドロフルフリルアルコールに変えた以外は合成例1と同様に実施し、シランカップリング剤(A3)を得た。」

カ1 「[0121] 合成例8 ポリシロキサン溶液(B1)の合成
500mLのフラスコにメチルトリメトキシシリル40.86g(0.3mol)、フェニルトリメトキシシラン69.41g(0.35mol)、γ-アクリロイルプロピルトリメトキシシラン82.04g(0.35mol)及びDAA(ダイアセトンアルコール)を192.3g仕込み、40℃のオイルバスに漬けて撹拌しながら水54.0g(加水分解に必要な理論量)にリン酸0.39g(仕込みモノマーに対して0.2重量部)を溶かしたリン酸水溶液を滴下ロートで10分かけて添加した。40℃で1時間撹拌した後、オイルバス温度を70℃に設定して1時間撹拌し、さらにオイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌した(内温は100?110℃)。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計120g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40wt%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(B1)を得た。なお、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)をGPCにより測定したところ4500(ポリスチレン換算)であった。
[0122] 合成例9?11 ポリシロキサン溶液(B2)?(B4)の合成
表1に示すとおりの仕込み比で、合成例8と同様の手法によりポリシロキサン溶液(B2)?(B4)を合成した。略称は下記のとおり。
MTM:メチルトリメトキシシラン
PTM:フェニルトリメトキシシラン
ETM:2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
NphTM:1-ナフチルトリメトキシシラン
TEOS:テトラエトキシシラン
AcrTM:γ-アクリロイルプロピルトリメトキシシラン
SuTM:3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物
[0123][表1]

[0124] 合成例12 アクリル樹脂溶液(B5)の合成
500mLのフラスコに2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)を1g及びPGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)を50g仕込んだ。その後、メタクリル酸を23.0g、ベンジルメタクリレートを31.5g及びトリシクロ[5.2.1.0^(2,6)]デカン-8-イルメタクリレートを32.8g仕込み、室温でしばらく撹拌し、フラスコ内をバブリングによって十分に窒素置換した後、70℃で5時間加熱撹拌した。次に、得られた溶液にメタクリル酸グリシジルを12.7g、ジメチルベンジルアミンを1g、p-メトキシフェノールを0.2g及びPGMEAを100g添加し、90℃で4時間加熱撹拌した。反応終了後、付加触媒を除去するために反応溶液を1規定ギ酸水溶液で分液抽出処理し、硫酸マグネシウムで乾燥後、固形分濃度が40wt%になるようにPGMEAを加え、アクリル樹脂溶液(B5)を得た。アクリル樹脂(B5)の重量平均分子量は30000であった。」

キ1 「[0130] 実施例8
黄色灯下にて1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)](イルガキュアOXE-01;BASF製)0.278g、ハイドロキノンメチルエーテル(HQME)0.017g及びシランカップリング剤(A1)0.166gをDAA(ジアセトンアルコール)2.846g及びPGMEA4.033gに溶解させ、シリコーン系界面活性剤であるBYK-333(ビックケミー・ジャパン(株)製)のPGMEA1wt%溶液0.2000g(濃度100ppmに相当)を加え、撹拌した。そこへ、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(カヤラッド(登録商標)DPHA;新日本化薬製)のPGMEA50wt%溶液5.538g、ポリシロキサン溶液(B1)6.923gを加えて、撹拌した。次いで0.45μmのフィルターでろ過を行い、ネガ型感光性樹脂組成物(I-1)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(I-1)について、下記方法で透過率、パターン加工性、接着性を評価した。」

ク1 「[0137] (3)接着性の評価
・・・(略)・・・
実施例9?35
表4及び表5に示すとおりの比率で、実施例8と同様の手法により(I)ネガ型感光性樹脂組成物又は(II)ポジ型感光性樹脂組成物を調合し、評価した。何れの樹脂組成物も、界面活性剤としてBYK-333を100ppm添加し、溶剤としてDAA/PGMEA(重量比:50/50)混合溶液を固形分濃度30wt%となるように加えて調整した。
[0138][表4]



ケ1 「[0150] 実施例8?35で得られた樹脂組成物より得られた硬化膜は何れも優れたパターン化構成、透明性、接着性を有しており、特にタッチパネル用絶縁膜及び保護膜、TFT用平坦化膜及びCF用オーバーコートに必要とされる特性を有していた。」

(2)引用文献に記載された発明の認定
引用文献には、摘示ア1?ケ1、特に摘示ク1における実施例21の記載から、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「(A)シランカップリング剤としてシランカップリング剤(A3)を3重量部、(B)アルカリ可溶性樹脂としてポリシロキサン溶液(B2)を20重量部、(C)多官能モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を20重量部、(D)光重合開始剤としてイルガキュアOXE-01を5重量部、(F)金属酸化物粒子としてオプトレイク(登録商標)TR-550を60重量部、その他の添加剤としてハイドロキノンメチルエーテル(HQME)を0.3重量部、界面活性剤としてBYK-333を100ppm、溶剤としてジアセトンアルコール(DAA)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)を含有する樹脂組成物。」

1-2 対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と引用発明とを対比する。
引用発明における「ポリシロキサン」、「溶剤」は、それぞれ、本件発明1における「シロキサン樹脂」、「溶媒」に相当する。また、引用発明における「ポリシロキサン」を含有する「樹脂組成物」は、本件発明1における「シロキサン樹脂組成物」に相当する。

そうすると、両者は、
「金属酸化物粒子とシロキサン樹脂と溶媒とを含有するシロキサン樹脂組成物。」
の点で一致し、以下の点で相違又は一応相違している。

<相違点1A>
本件発明1においては、金属酸化物粒子について、「数平均粒径が1nm以上500nm以下」と特定されているのに対して、引用発明においては、金属酸化物粒子であるオプトレイク(登録商標)TR-550の粒子について、そのような特定はされていない点。

<相違点2A>
本件発明1においては、シロキサン樹脂組成物が「メシチルオキシド」「を含有」すると特定されているのに対して、引用発明においては、そのような特定はされていない点。

<相違点3A>
本件発明1においては、「金属酸化物粒子が、シェルに酸化ジルコニウムを含有し、コアに酸化チタンを含有するコアシェル型の金属酸化物粒子〔ただし、酸化チタン-酸化ケイ素複合粒子であるオプトレイク(登録商標)TR-550(日揮触媒化成工業(株)製)を除く〕であり、その金属酸化物の金属として、同一粒子中に少なくともTiおよびZrの金属を含有し、元素組成比で、TiとZrとの比率、Ti/Zr、が1?40である」と特定されているのに対して、引用発明においては、金属酸化物粒子であるオプトレイク(登録商標)TR-550の粒子について、そのような特定はされていない点。

事案に鑑み、相違点3Aについて検討する。
引用発明においては、金属酸化物粒子はオプトレイク(登録商標)TR-550の粒子であり、特許異議申立書に添付された甲第2号証である「東レ株式会社 諏訪充史による実験成績証明書」(以下、単に「甲第2号証」という。)には、“オプトレイク”TR-550の粒子は、シェルに酸化ジルコニウムを含有し、コアに酸化チタンを含有するコアシェル型粒子であること、及び“オプトレイク”TR-550の粒子中にはTi、Zr等の金属元素が含まれ、TiとZrの比率はTi/Zr=40/3又は41/3、すなわち約13.3又は約13.7であることが示されている(特に、第51頁の下線部)。
しかしながら、本件発明1においては、金属酸化物粒子は当該オプトレイク(登録商標)TR-550の粒子を除くものである。
そうすると、相違点3Aは実質的な相違点である。

以上のとおり、本件発明1は引用発明と相違点1A?3Aにおいて相違又は一応相違するものであり、これらの相違点のうち相違点3Aは実質的な相違点であるから、相違点1A、2Aについて検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明、すなわち引用文献に記載された発明であるとはいえない。

(2)本件発明2?4について
本件発明2?4は、請求項1を直接的又は間接的に引用してなるものであるから、本件発明1と同様に、引用文献に記載された発明であるとはいえない。

(3)本件発明9について
本件発明9は、シロキサン樹脂組成物の発明である本件発明1に、さらに「ネガ型の感光性樹脂に使用されるシロキサン樹脂組成物であって、」という限定が加わった発明である。そうすると、本件発明9は、本件発明1と同様に、引用文献に記載された発明であるとはいえない。

(4)本件発明10、11、14?24について
本件発明10、11、14?24は、請求項1、9を直接的又は間接的に引用してなるものであるから、本件発明1、9と同様に、引用文献に記載された発明であるとはいえない。

2.特許法第29条第2項について
(1)本件発明1について
本件発明1と引用発明とを対比すると、第6 1.1-2(1)で述べたとおり、本件発明1と引用発明とは、
「金属酸化物粒子とシロキサン樹脂と溶媒とを含有するシロキサン樹脂組成物。」
の点で一致し、第6 1.1-2(1)で述べた相違点1A?3Aで相違又は一応相違する。

事案に鑑み、相違点3Aについて検討する。
引用文献には、金属酸化物粒子として、「酸化ケイ素-酸化チタン複合粒子」であるオプトレイク(登録商標)TR-550の粒子を用いることが記載されているものの(摘示イ1)、オプトレイク(登録商標)TR-550でない粒子であって、かつ「シェルに酸化ジルコニウムを含有し、コアに酸化チタンを含有するコアシェル型の金属酸化物粒子」「であり、その金属酸化物の金属として、同一粒子中に少なくともTiおよびZrの金属を含有し、元素組成比で、TiとZrとの比率、Ti/Zr、が1?40である」ものを用いることについては記載も示唆もされていない。
そうである以上、引用発明において、金属酸化物粒子として、本件発明1において規定されるように、オプトレイク(登録商標)TR-550でなく、所定のコアシェル構造及びTiとZrの元素比率を有するものを用いる動機付けがないことから、引用発明において相違点3Aに係る構成とすることは、当業者であっても容易であるとはいえない。

以上のとおり、本件発明1は引用発明と相違点1A?3Aにおいて相違又は一応相違するものであり、これらの相違点のうち相違点3Aは想到容易とはいえないのであるから、相違点1A、2Aについて検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明、すなわち引用文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)本件発明2?4について
本件発明2?4は、請求項1を直接的又は間接的に引用してなるものであるから、本件発明1と同様に、引用文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本件発明9について
本件発明9は、シロキサン樹脂組成物の発明である本件発明1に、さらに「ネガ型の感光性樹脂に使用されるシロキサン樹脂組成物であって、」という限定が加わった発明である。そうすると、本件発明9は、本件発明1と同様に、引用文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)本件発明10、11、14?24について
本件発明10、11、14?24は、請求項1、9を直接的又は間接的に引用してなるものであるから、本件発明1、9と同様に、引用文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(5)本件発明26、27について
本件発明26、27は、請求項1、9を直接的又は間接的に引用してなるものであるから、たとえ、透明な硬化膜が得られるポリシロキサン樹脂組成物について、当該組成物から得られる硬化膜を各種ハードコート材、TFT用平坦化膜、各種保護膜などだけでなく、固体撮像素子などのマイクロレンズにも適用することが、本件特許の出願前における当業者に周知の技術であったとしても、本件発明1、9と同様に、引用文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.特許法第29条の2について
3-1 先願明細書の記載等
(1)先願明細書の記載
取消理由通知において引用した先願(特願2014-531799号の日本語特許出願の国際出願であるPCT/JP2014/067507号)明細書には、次の事項(以下、「摘示ア2」のようにいう。)が記載されている。なお、下線は当審において付した。

ア2 「[請求項1](a)下記一般式(1)で表されるオルガノシランとカルボキシル基および/またはジカルボン酸無水物構造を有するオルガノシランとを加水分解し、部分縮合させることによって合成されるポリシロキサン、(d)アルミニウム化合物、スズ化合物、チタン化合物およびジルコニウム化合物から選ばれる1以上の金属化合物の粒子、またはアルミニウム化合物、スズ化合物、チタン化合物およびジルコニウム化合物から選ばれる1以上の金属化合物とケイ素化合物との複合粒子、(b)ナフトキノンジアジド化合物ならびに(c)溶剤を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
[化1]

(上記一般式(1)中、R^(1)は水素、炭素数1?10のアルキル基、炭素数2?10のアルケニル基または炭素数6?16のアリール基を表す。R^(2)は水素、炭素数1?6のアルキル基、炭素数2?6のアシル基または炭素数6?16のアリール基を表す。nは0?3の整数を表す。nが2以上の場合、複数のR^(1)はそれぞれ同じでも異なってもよい。また、nが2以下の場合、複数のR^(2)はそれぞれ同じでも異なってもよい。)
・・・(略)・・・
[請求項10]請求項1?9のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を硬化させてなる硬化膜。」

イ2 「[0095] 本発明のポジ型感光性樹脂組成物および硬化膜は、固体撮像素子、光学フィルター、ディスプレイ等の光学デバイスに好適に用いられる。より具体的には、固体撮像素子等に形成される集光用マイクロレンズ、白色(透明)カラーフィルターや光導波路、光学フィルターとして設置される反射防止膜、ディスプレイ用TFT基板の平坦化材、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターおよびその保護膜、位相シフター等が挙げられる。これらの中でも、高い透明性と高い屈折率を両立できることから、固体撮像素子上に形成される集光用マイクロレンズ、白色(透明)カラーフィルターや集光用マイクロレンズと光センサー部を繋ぐ光導波路として特に好適に用いられる。また、半導体装置のバッファコート、層間絶縁膜や、各種保護膜として用いることもできる。本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、エッチング法によるパターン形成が不要であるため作業の簡略化が可能であり、エッチング薬液やプラズマによる配線部の劣化を回避することができる。
実施例
[0096] 以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。合成例および実施例に用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
DAA:ジアセトンアルコール
ポリシロキサン溶液の固形分濃度は、以下の方法により求めた。アルミカップにポリシロキサン溶液を1.5g秤取し、ホットプレートを用いて250℃で30分間加熱して液分を蒸発させた。加熱後のアルミカップに残った固形分を秤量して、ポリシロキサン溶液の固形分濃度を求めた。」

ウ2 「[0099] 合成例3 金属化合物含有粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-1)の合成
500mlの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを8.17g(0.06mol)、フェニルトリメトキシシランを19.83g(0.10mol)、カルボキシル基含有シラン化合物(A)を15.37g(0.04mol)、20.6重量%の酸化チタン-酸化ケイ素複合粒子メタノール分散液である“オプトレイク”TR-550(商品名、日揮触媒化成(株)製、数平均粒子径は15nm)を147.03g(オルガノシランが完全縮合した場合の重量(30.29g)100重量部に対して、粒子含有量100重量部)、DAAを112.50g仕込み、室温で撹拌しながら水11.52gにリン酸0.217g(仕込みモノマーに対して0.50重量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分間かけて添加した。なお数平均粒子径はダイナミック光散乱高度計DLS-8000(大塚電子(株)製)などを用いて、動的光散乱法により測定した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて60分間撹拌した後、オイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100?110℃)、ポリシロキサン溶液(PS-1)を得た。なお、昇温および加熱撹拌中、窒素を0.05l(リットル)/分流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計127.21g留出した。得られた金属化合物含有粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-1)の固形分濃度は33重量%であった。」

エ2 「[0104] 合成例8 金属化合物含有粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-6)の合成
500mlの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを10.90g(0.08mol)、フェニルトリメトキシシランを19.83g(0.10mol)、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸を5.25g(0.02mol)、20.6重量%の酸化チタン-酸化ケイ素複合粒子メタノール分散液である“オプトレイク”TR-550(商品名、日揮触媒化成(株)製)を109.38g(オルガノシランが完全縮合した場合の重量(22.53g)100重量部に対して、粒子含有量100重量部)、DAAを83.69g仕込み、室温で撹拌しながら水11.16gにリン酸0.180g(仕込みモノマーに対して0.50重量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分間かけて添加した。その後、合成例3と同様に加熱撹拌してポリシロキサン溶液(PS-6)を得た。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計100.30g留出した。得られた金属化合物含有粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-6)の固形分濃度は33重量%であった。」

オ2 「[0110] 合成例14 金属化合物含有粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-12)の合成
500mlの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを10.90g(0.08mol)、フェニルトリメトキシシランを19.83g(0.10mol)、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸を5.25g(0.02mol)、20.6重量%の酸化チタン-酸化ケイ素複合粒子メタノール分散液である“オプトレイク”TR-550(商品名、日揮触媒化成(株)製)を218.76g(オルガノシランが完全縮合した場合の重量(22.53g)100重量部に対して、粒子含有量200重量部)、DAAを125.54g仕込み、室温で撹拌しながら水11.16gにリン酸0.180g(仕込みモノマーに対して0.50重量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分間かけて添加した。その後、合成例3と同様に加熱撹拌してポリシロキサン溶液(PS-12)を得た。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計178.47g留出した。得られた金属化合物含有粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-12)の固形分濃度は33重量%であった。」

カ2 「[0123] 合成例24 ナフトキノンジアジド化合物(QD-1)の合成
乾燥窒素気流下、Ph-cc-AP-MF(商品名、本州化学工業(株)製)15.32g(0.05mol)と5-ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)を1,4-ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4-ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入した。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記構造のキノンジアジド化合物(QD-1)を得た。
[0124][化14]



キ2 「[0135] 実施例1
合成例3で得られたポリシロキサン溶液(PS-1)69.49g、合成例24で得られたキノンジアジド化合物(QD-1)2.06g、DFX-18(フッ素系界面活性剤、(株)ネオス製)を100ppm、DAA13.44g、PGMEA14.70gを黄色灯下で混合、撹拌して均一溶液とした後、0.20μmのフィルターで濾過して組成物1を調製した。」

ク2 「[0140] 実施例2?25、比較例1?3
組成物1と同様にして、表3、4に示す組成の組成物2?28を調製した。得られた各組成物を用いて、実施例1と同様にして硬化膜を作製した。評価結果を表5、6に示す。
[0141][表3]



(2)先願明細書に記載された発明の認定
先願明細書には、摘示ア2?ク2、特に摘示ク2における実施例6の記載から、次の発明(以下、「先願発明A」という。)が記載されていると認める。

「金属化合物粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-6)を69.49g、ナフトキノンジアジド化合物(QD-1)を2.06g、その他の添加剤としてフッ素系界面活性剤(DFX-18)を30ppm、溶剤としてジアセトンアルコール(DAA)13.44g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)14.70gを含む樹脂組成物。」

また、先願明細書には、摘示ア2?ク2、特に摘示ク2における実施例12の記載から、次の発明(以下、「先願発明B」という。)が記載されていると認める。

「金属化合物粒子含有ポリシロキサン溶液(PS-12)を69.49g、ナフトキノンジアジド化合物(QD-1)を2.06g、その他の添加剤としてフッ素系界面活性剤(DFX-18)を30ppm、溶剤としてジアセトンアルコール(DAA)13.44g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)14.70gを含む樹脂組成物。」

3-2 対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と先願発明A、Bとを対比する。
先願発明A、Bにおける「ポリシロキサン」、「溶剤」は、それぞれ、本件発明1における「シロキサン樹脂」、「溶媒」に相当する。また、先願発明A、Bにおける「ポリシロキサン」を含む「樹脂組成物」は、本件発明1における「シロキサン樹脂組成物」に相当する。
先願発明A、Bにおける「金属化合物粒子」は、いずれも“オプトレイク”TR-550の酸化チタン-酸化ケイ素複合粒子であるから(摘示エ2、オ2)、本件発明1における「金属酸化物粒子」に相当する。

そうすると、両者は、
「金属酸化物粒子とシロキサン樹脂と溶媒とを含有するシロキサン樹脂組成物。」
の点で一致し、以下の点で相違又は一応相違している。

<相違点1B>
本件発明1においては、金属酸化物粒子について、「数平均粒径が1nm以上500nm以下」と特定されているのに対して、先願発明A、Bにおいては、“オプトレイク”TR-550の粒子である金属化合物粒子について、そのような特定はされていない点。

<相違点2B>
本件発明1においては、シロキサン樹脂組成物が「メシチルオキシド」「を含有」すると特定されているのに対して、先願発明A、Bにおいては、そのような特定はされていない点。

<相違点3B>
本件発明1においては、「金属酸化物粒子が、シェルに酸化ジルコニウムを含有し、コアに酸化チタンを含有するコアシェル型の金属酸化物粒子〔ただし、酸化チタン-酸化ケイ素複合粒子であるオプトレイク(登録商標)TR-550(日揮触媒化成工業(株)製)を除く〕であり、その金属酸化物の金属として、同一粒子中に少なくともTiおよびZrの金属を含有し、元素組成比で、TiとZrとの比率、Ti/Zr、が1?40である」と特定されているのに対して、先願発明A、Bにおいては、“オプトレイク”TR-550の粒子である金属化合物粒子について、そのような特定はされていない点。

事案に鑑み、相違点3Bについて検討する。
先願発明A、Bにおいては、金属化合物粒子は“オプトレイク”TR-550の粒子であり、甲第2号証には、“オプトレイク”TR-550の粒子は、シェルに酸化ジルコニウムを含有し、コアに酸化チタンを含有するコアシェル型粒子であること、及び“オプトレイク”TR-550の粒子中にはTi、Zr等の金属元素が含まれ、TiとZrの比率はTi/Zr=40/3又は41/3、すなわち約13.3又は約13.7であることが示されている(特に、第51頁の下線部)。
しかしながら、本件発明1においては、金属酸化物粒子は当該“オプトレイク”TR-550の粒子を除くものである。
そうすると、相違点3Bは実質的な相違点である。

以上のとおり、本件発明1は先願発明A、Bと相違点1B?3Bにおいて相違又は一応相違するものであり、これらの相違点のうち相違点3Bは実質的な相違点であるから、相違点1B、2Bについて検討するまでもなく、本件発明1は、先願発明A、B、すなわち先願明細書に記載された発明と同一であるとはいえない。

(2)本件発明2?4について
本件発明2?4は、請求項1を直接的又は間接的に引用してなるものであるから、本件発明1と同様に、先願明細書に記載された発明と同一であるとはいえない。

(3)本件発明9について
本件発明9は、シロキサン樹脂組成物の発明である本件発明1に、さらに「ネガ型の感光性樹脂に使用されるシロキサン樹脂組成物であって、」という限定が加わった発明である。そうすると、本件発明9は、本件発明1と同様に、先願明細書に記載された発明と同一であるとはいえない。

(4)本件発明10、11、14?22、24?27について
本件発明10、11、14?22、24?27は、請求項1、9を直接的又は間接的に引用してなるものであるから、本件発明1、9と同様に、先願明細書に記載された発明と同一であるとはいえない。

なお、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立ての理由はない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、当審が通知した取消理由、並びに特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?4、9?11、14?27に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?4、9?11、14?27に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件特許の請求項5?8は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項5?8に対する特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均粒径が1nm以上500nm以下の金属酸化物粒子とシロキサン樹脂とメシチルオキシドと溶媒とを含有し、該金属酸化物粒子が、シェルに酸化ジルコニウムを含有し、コアに酸化チタンを含有するコアシェル型の金属酸化物粒子〔ただし、酸化チタン-酸化ケイ素複合粒子であるオプトレイク(登録商標)TR-550(日揮触媒化成工業(株)製)を除く〕であり、その金属酸化物の金属として、同一粒子中に少なくともTiおよびZrの金属を含有し、元素組成比で、TiとZrとの比率、Ti/Zr、が1?40であるシロキサン樹脂組成物。
【請求項2】
前記金属酸化物粒子の数平均粒径が、1nm以上200nm以下である請求項1に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項3】
前記金属酸化物粒子の数平均粒径が、1nm以上50nm以下である請求項1または2に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項4】
前記金属酸化物粒子の数平均粒径が、5nm以上30nm以下である請求項1?3のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項5】(削除)
【請求項6】(削除)
【請求項7】(削除)
【請求項8】(削除)
【請求項9】
ネガ型の感光性樹脂に使用されるシロキサン樹脂組成物であって、
数平均粒径が1nm以上500nm以下の金属酸化物粒子とシロキサン樹脂とメシチルオキシドと溶媒とを含有し、該金属酸化物粒子が、シェルに酸化ジルコニウムを含有し、コアに酸化チタンを含有するコアシェル型の金属酸化物粒子〔ただし、酸化チタン-酸化ケイ素複合粒子であるオプトレイク(登録商標)TR-550(日揮触媒化成工業(株)製)を除く〕であり、その金属酸化物の金属として、同一粒子中に少なくともTiおよびZrの金属を含有し、元素組成比で、TiとZrとの比率、Ti/Zr、が1?40であるシロキサン樹脂組成物。
【請求項10】
前記金属酸化物粒子を構成する元素において、元素組成比で、TiとZrとの比率、Ti/Zr、が1?30である請求項1?4、9のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項11】
前記金属酸化物粒子を構成する元素において、元素組成比で、TiとZrとの比率、Ti/Zr、が3?20である請求項1?4、9、10のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項12】
前記金属酸化物粒子を構成する元素において、元素組成比で、TiとZrとの比率、Ti/Zr、が4?12である請求項1?4、9?11のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項13】
前記金属酸化物粒子を構成する元素において、元素組成比で、TiとZrとの比率、Ti/Zr、が4?9である請求項1?4、9?12のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項14】
前記メシチルオキシドの含有率が0.01質量%以上15質量%以下である請求項1?4、9?13のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項15】
前記メシチルオキシドの含有率が0.1質量%以上13質量%以下である請求項1?4、9?14のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項16】
前記シロキサン樹脂がアルコキシシラン化合物の加水分解縮合反応物である請求項1?4、9?15のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項17】
前記金属酸化物粒子100質量部に対してシロキサン樹脂を30質量部以上80質量部以下で用いる請求項1?4、9?16のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項18】
前記金属酸化物粒子を組成物の固形成分中で、10質量%以上90質量%以下で含有させる請求項1?4、9?17のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項19】
前記溶媒がジアセトンアルコールである請求項1?4、9?18のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項20】
前記溶媒がジアセトンアルコールおよびエステル化合物である請求項1?4、9?18のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項21】
前記ジアセトンアルコールの含有量が、前記エステル化合物100質量部に対し、10質量部以上である請求項20に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項22】
前記エステル化合物がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである請求項20または21に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項23】
さらに、重合開始剤のオキシム化合物を含有する請求項1?4、9?22のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項24】
請求項1?4、9?23のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物を硬化させてなる透明硬化物。
【請求項25】
請求項24に記載の透明硬化物からなる透明画素。
【請求項26】
請求項24に記載の透明硬化物からなるマイクロレンズ。
【請求項27】
請求項25に記載の透明画素、請求項26に記載のマイクロレンズ、またはこれらの両者を具備する固体撮像素子。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-11-08 
出願番号 特願2014-205273(P2014-205273)
審決分類 P 1 652・ 113- YAA (C08L)
P 1 652・ 121- YAA (C08L)
P 1 652・ 161- YAA (C08L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 前田 孝泰  
特許庁審判長 加藤 友也
特許庁審判官 西山 義之
大島 祥吾
登録日 2016-09-30 
登録番号 特許第6013422号(P6013422)
権利者 富士フイルム株式会社
発明の名称 シロキサン樹脂組成物、これを用いた透明硬化物、透明画素、マイクロレンズ、固体撮像素子  
代理人 飯田 敏三  
代理人 篠田 育男  
代理人 篠田 育男  
代理人 飯田 敏三  
代理人 赤羽 修一  
代理人 赤羽 修一  

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