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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する C07K |
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管理番号 | 1343268 |
審判番号 | 訂正2018-390098 |
総通号数 | 226 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-10-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2018-06-14 |
確定日 | 2018-08-17 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6140777号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6140777号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6140777号は、平成19年6月1日を国際出願日(パリ条約による優先権主張 2006年6月2日及び2006年9月8日 いずれも米国)とする特願2009-513324号の一部について、特許法44条の規定により平成25年5月15日に新たな出願(特願2013-102655号)としたもののさらに一部について、同法同条の規定により平成27年9月1日に新たな出願(特願2015-171640号)としたものにおいて、その請求項1及び2に係る発明について平成29年5月12日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、平成30年6月14日に本件の訂正審判が請求されたものである。 第2 請求の趣旨および訂正の内容 本件審判の請求の趣旨は、特許第6140777号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は、下記訂正事項1のとおりである。 1 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「配列番号29-31-32のアミノ酸配列を有する」と記載されているのを、「配列番号29-31-33のアミノ酸配列を有する」に訂正する。 第3 当審の判断 1 訂正の目的について 本件特許の明細書(以下「本件明細書」という。)には、段落【0005】に「・・・本抗体またはそれらの抗原結合フラグメントは、配列番号・・・;19/27;・・・からなる群より選択されたHCVR/LCVR対を含む」と、段落【0009】に「・・・配列番号33、・・・からなる群より選択された軽鎖のCDR3ドメイン」と、段落【0010】に「・・・配列番号29、・・・からなる群より選択された軽鎖のCDR1ドメイン;および、配列番号31、・・・からなる群より選択された軽鎖のCDR2ドメイン」と、段落【0011】に「・・・軽鎖のCDR配列である配列番号29、31、33;・・・」と、及び段落【0012】に「・・・配列番号32、・・・からなる群より選択されたヌクレオチド配列によってコードされた軽鎖のCDR3ドメイン」と記載されている。 また、本件明細書の配列表において、配列番号27のアミノ酸配列(配列の摘記は省略)には、配列番号29の「Gln Gly Ile Ser Ser Trp」というアミノ酸配列、配列番号31の「Gly Ala Ser」というアミノ酸配列、及び配列番号33の「Gln Gln Ala Asn Ser Phe Pro Tyr Thr」というアミノ酸配列が含まれている。 さらに、本件明細書の配列表において、配列番号32は「caacaggcta acagtttccc gtacact」というヌクレオチド配列として記載されるところ、該ヌクレオチド配列が、配列番号33のアミノ酸配列をコードすることは、本件出願当時の技術常識から当業者に明らかである。 そうすると、本件明細書の記載及び本件出願当時の技術常識から、LCVR(軽鎖可変領域)のアミノ酸配列が配列番号27で表されること、該LCVRのCDR1、CDR2及びCDR3各ドメインのアミノ酸配列が、それぞれ配列番号29、配列番号31及び配列番号33で表されること、並びに、配列番号32のヌクレオチド配列が配列番号33のアミノ酸配列をコードするものであることは当業者に明らかであるといえる。 ここで、本件特許の訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「配列番号29-31-32のアミノ酸配列を有する軽鎖CDRs(LCDR1-LCDR2-LCDR3)を含む軽鎖可変領域(LCVR)」との記載は、配列番号32がアミノ酸配列ではなくヌクレオチド配列であることにより不合理が生じていることは当業者に明らかである。そして、上記のとおり、本件明細書の記載及び本件出願当時の技術常識から、軽鎖のCDR1、CDR2及びCDR3各ドメインのアミノ酸配列が、それぞれ配列番号29、31及び33で表されること、並びに配列番号33のアミノ酸配列が配列番号32のヌクレオチド配列によりコードされることが当業者に明らかであるから、「配列番号29-31-32のアミノ酸配列を有する軽鎖CDRs(LCDR1-LCDR2-LCDR3)を含む軽鎖可変領域(LCVR)」との記載が、「配列番号29-31-33のアミノ酸配列を有する軽鎖CDRs(LCDR1-LCDR2-LCDR3)を含む軽鎖可変領域(LCVR)」との記載と同一の意味を表示するものと当業者は当然に理解できるといえる(下線は当審による。)。 また、本件特許の訂正前の特許請求の範囲における、請求項1を引用する請求項2に記載の「配列番号27のアミノ酸配列を有するLCVR」のCDR1、CDR2及びCDR3各ドメインのアミノ酸配列が、それぞれ配列番号29、配列番号31及び配列番号33で表されることは、上記のとおり、本件明細書の記載及び本件出願当時の技術常識から、当業者に明らかであるから、本件特許の訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「配列番号29-31-32のアミノ酸配列を有する軽鎖CDRs(LCDR1-LCDR2-LCDR3)を含む軽鎖可変領域(LCVR)」との記載が、「配列番号29-31-33のアミノ酸配列を有する軽鎖CDRs(LCDR1-LCDR2-LCDR3)を含む軽鎖可変領域(LCVR)」との記載と同一の意味を表示するものと当業者が理解することは、該請求項2の記載とも整合するといえる(下線は当審による。)。 以上からみて、本件特許の特許請求の範囲の請求項1の「配列番号29-31-32のアミノ酸配列を有する」という記載を「配列番号29-31-33のアミノ酸配列を有する」に訂正する訂正事項1は、本来その意であることが、本件明細書の記載及び本件出願当時の技術常識から明らかな内容に正すものといえるから、特許法126条1項ただし書き2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものである。 2 願書に最初に添付した外国語書面の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記1で検討したとおり、本件明細書の記載及び本件出願当時の技術常識から、軽鎖のCDR1、CDR2及びCDR3各ドメインのアミノ酸配列が、それぞれ配列番号29、配列番号31及び配列番号33で表されることは当業者に明らかであるから、訂正事項1は、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願に係る特許にあつては、外国語書面)」に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法126条5項に適合する。 3 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記1で検討したとおり、本件明細書の記載及び本件出願当時の技術常識から、本件特許の訂正前の特許請求の範囲の請求項1、及び同項を引用する請求項2において、「配列番号29-31-32のアミノ酸配列を有する軽鎖CDRs(LCDR1-LCDR2-LCDR3)を含む軽鎖可変領域(LCVR)」との記載が誤りであり、「配列番号29-31-33のアミノ酸配列を有する軽鎖CDRs(LCDR1-LCDR2-LCDR3)を含む軽鎖可変領域(LCVR)」との記載が正しいものであることは当業者に明らかであり、訂正事項1は、その誤りを正しい記載にするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法126条6項に適合する。 4 独立して特許を受けることができるものであること 訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないので、特許法126条7項に適合する。 第4 むすび 以上からみて、本件審判請求における特許請求の範囲に係る訂正は、特許法126条1項ただし書2号に規定する事項を目的とし、かつ、同条5項ないし7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおりに審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 患者における関節リウマチ(RA)に関連する症状を低減するための製剤であって、当該製剤は、ヒトインターロイキン-6受容体(hIL-6R)と特異的に結合する、治療に有効な量のヒト抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、ここで当該ヒト抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号21-23-25のアミノ酸配列を有する重鎖CDRs(HCDR1-HCDR2-HCDR3)を含む重鎖可変領域(HCVR)、及び、配列番号29-31-33のアミノ酸配列を有する軽鎖CDRs(LCDR1-LCDR2-LCDR3)を含む軽鎖可変領域(LCVR)を含む、製剤。 【請求項2】 ヒト抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号19のアミノ酸配列を有するHCVR及び配列番号27のアミノ酸配列を有するLCVRを含む、請求項1に記載の製剤。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2018-07-25 |
結審通知日 | 2018-07-27 |
審決日 | 2018-08-09 |
出願番号 | 特願2015-171640(P2015-171640) |
審決分類 |
P
1
41・
852-
Y
(C07K)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 池上 文緒 |
特許庁審判長 |
大宅 郁治 |
特許庁審判官 |
山中 隆幸 小暮 道明 |
登録日 | 2017-05-12 |
登録番号 | 特許第6140777号(P6140777) |
発明の名称 | ヒトIL-6受容体に対する高親和性抗体 |
代理人 | 結田 純次 |
代理人 | 結田 純次 |
代理人 | 竹林 則幸 |
代理人 | 竹林 則幸 |