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審決分類 |
審判 一部申し立て 特29条の2 B66B |
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管理番号 | 1345826 |
異議申立番号 | 異議2017-700681 |
総通号数 | 228 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-12-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-07-11 |
確定日 | 2018-09-18 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6064023号発明「エレベータ巻上機のリニューアル方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6064023号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3、8、9〕、〔2、4〕、7について訂正することを認める。 特許第6064023号の請求項1、3、7に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6064023号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、平成28年12月22日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、平成29年7月11日に特許異議申立人小山輝晃(以下、「特許異議申立人」という。)より請求項1、3及び7に対して特許異議の申立てがされ、平成29年10月17日付けで取消理由が通知され、平成29年12月6日に意見書の提出及び訂正請求がされ、平成30年2月20日付けで訂正請求があった旨の通知がされ、平成30年3月19日に特許異議申立人から意見書が提出され、平成30年5月10日付けで取消理由(決定の予告)(以下、単に「取消理由」という。)が通知され、平成30年7月5日に意見書が提出されるとともに訂正の請求(以下、「本件訂正の請求」という。)がされたものである。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正の請求による訂正の内容は、次のとおりである(なお、下線を付した箇所は訂正箇所である。)。 (1)訂正事項1 特許権者は、特許請求の範囲の請求項1を以下の事項により特定されるとおりの請求項1として訂正することを請求する。(なお、下線部は訂正箇所を示す。以下同様。) 「【請求項1】 マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法であって、既設主ロープを取り外す工程と、既設トラクションシーブを有する既設巻上機を撤去することなく、前記既設巻上機のロープ巻上機能を取り除く工程と、新設巻上機ベースをガイドレールに取り付ける工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を前記新設巻上機ベースに設置する工程と、新設主ロープを、前記既設トラクションシーブおよび前記新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備え、前記新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設トラクションシーブは、そらせシーブとして利用されることを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法。」 (請求項1の記載を引用する請求項3も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許権者は、明細書の段落【0006】を以下のとおり訂正することを請求する。 「【0006】 実施の形態によるエレベータ巻上機のリニューアル方法は、マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機をリニューアルする。このリニューアル方法は、既設主ロープを取り外す工程と、既設トラクションシーブを有する既設巻上機を撤去することなく、既設巻上機のロープ巻上機能を取り除く工程と、を備えている。また、このリニューアル方法は、新設巻上機ベースをガイドレールに取り付ける工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を前記新設巻上機ベースに設置する工程と、新設主ロープを、既設トラクションシーブおよび新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備えている。新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、既設トラクションシーブは、そらせシーブとして利用されている。」 (3)訂正事項3 特許権者は、特許請求の範囲の請求項2を以下の事項により特定されるとおりの請求項2として訂正することを請求する。 「マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法であって、既設主ロープを取り外す工程と、既設トラクションシーブを有する既設巻上機を撤去することなく、前記既設巻上機のロープ巻上機能を取り除く工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を設置する工程と、新設主ロープを、前記既設トラクションシーブおよび前記新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備え、前記新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設トラクションシーブは、そらせジープとして利用されることを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法において、 前記既設巻上機は、昇降路の上部に設置されており、釣合錘に、一対の錘シーブが設けられており、前記新設巻上機を設置する工程において、前記新設巻上機は、前記昇降路の上部に設置され、前記新設主ロープを巻き掛ける工程において、前記新設主ロープは、一方の前記錘シーブ、前記新設トラクションシーブ、他方の前記錘シーブに、この配列順で巻き掛けられることを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法。」 (4)訂正事項4 特許権者は、特許請求の範囲の請求項4のうち請求項2を引用するものを、以下の事項により特定されるとおりの請求項4として訂正することを請求する。 「前記新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設巻上機は、ブレーキ機能を有していることを特徴とする請求項2に記載のエレベータ巻上機のリニューアル方法。」 (5)訂正事項5 特許権者は、特許請求の範囲の請求項4のうち請求項1を引用するものを、以下の事項により特定されるとおりの請求項8として訂正することを請求する。 「【請求項8】 マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法であって、既設主ロープを取り外す工程と、既設トラクションシーブを有する既設巻上機を撤去することなく、前記既設巻上機のロープ巻上機能を取り除く工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を設置する工程と、新設主ロープを、前記既設トラクションシーブおよび前記新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備え、前記新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設トラクションシーブは、そらせシーブとして利用されることを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法において、 前記新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設巻上機は、ブレーキ機能を有していることを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法。」 (6)訂正事項6 特許権者は、特許請求の範囲の請求項4のうち、請求項1を引用する請求項3を引用するものを、以下の事項により特定されるとおりの請求項9として訂正することを請求する。 「【請求項9】 マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法であって、既設主ロープを取り外す工程と、既設トラクションシーブを有する既設巻上機を撤去することなく、前記既設巻上機のロープ巻上機能を取り除く工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を設置する工程と、新設主ロープを、前記既設トラクションシーブおよび前記新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備え、前記新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設トラクションシーブは、そらせシーブとして利用されることを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法において、 前記既設巻上機は、昇降路の下部に設けられており、前記新設巻上機を設置する工程の前に、前記昇降路の上部に設けられていた既設そらせシーブが撤去され、前記新設巻上機を設置する工程において、前記新設巻上機は、前記昇降路の上部に設置され、 前記新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設巻上機は、ブレーキ機能を有していることを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法。」 (7)訂正事項7 特許権者は、特許請求の範囲の請求項7を、以下の事項により特定されるとおりの請求項7として訂正することを請求する。 「【請求項7】 マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法であって、既設主ロープを取り外す工程と、既設巻上機ベースから、既設巻上機を撤去する工程と、前記既設巻上機が撤去された前記既設巻上機ベース上に、新設そらせシーブを設置する工程と、新設巻上機ベースをガイドレールに取り付ける工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を前記新設巻上機ベースに設置する工程と、新設主ロープを、前記新設そらせシーブおよび前記新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備えたことを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法。」 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1の、請求項1及び3に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 訂正事項2の、明細書の段落【0006】に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 訂正事項3の、請求項2に係る訂正は、引用関係の解消を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 訂正事項4の、請求項4に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。また、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 訂正事項5の、請求項8に係る訂正は、引用関係の解消を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 訂正事項6の、請求項9に係る訂正は、引用関係の解消を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 訂正事項7の、請求項7に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、訂正前の請求項1ないし7は、請求項2ないし4が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項ごとにされたものである。 3 小括 本件訂正の請求による訂正事項1ないし7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項で準用する同法第126条第4項から第7項までの規定に適合する。 よって、訂正後の請求項〔1、3、8、9〕、〔2、4〕、7及び明細書について訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件訂正発明 本件訂正の請求により訂正された訂正請求項1、3及び7に係る発明(以下、それぞれ、「本件訂正発明1、3及び7」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1、3及び7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 (1)本件訂正発明1 「マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法であって、既設主ロープを取り外す工程と、既設トラクションシーブを有する既設巻上機を撤去することなく、前記既設巻上機のロープ巻上機能を取り除く工程と、新設巻上機ベースをガイドレールに取り付ける工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を前記新設巻上機ベースに設置する工程と、新設主ロープを、前記既設トラクションシーブおよび前記新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備え、前記新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設トラクションシーブは、そらせシーブとして利用されることを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法。」 (2)本件訂正発明3 「前記既設巻上機は、昇降路の下部に設けられており、前記新設巻上機を設置する工程の前に、前記昇降路の上部に設けられていた既設そらせシーブが撤去され、前記新設巻上機を設置する工程において、前記新設巻上機は、前記昇降路の上部に設置されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ巻上機のリニューアル方法。」 (3)本件訂正発明7 「マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法であって、既設主ロープを取り外す工程と、既設巻上機ベースから、既設巻上機を撤去する工程と、前記既設巻上機が撤去された前記既設巻上機ベース上に、新設そらせシーブを設置する工程と、新設巻上機ベースをガイドレールに取り付ける工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を前記新設巻上機ベースに設置する工程と、新設主ロープを、前記新設そらせシーブおよび前記新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備えたことを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法。」 2 取消理由の概要 本件訂正前の、平成29年12月6日付け訂正請求書により訂正された請求項1、3及び7に係る発明(以下、「本件発明1」、「本件発明3」及び「本件発明7」という。)に対して平成30年5月10日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 (1)本件発明1は、特願2014-164263号(特開2016-40187号公報参照)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であるから、特許法第29の2の規定に違反してされたものであり、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。 (2)本件発明3は、特願2014-164263号(特開2016-40187号公報参照)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であるから、特許法第29の2の規定に違反してされたものであり、請求項3に係る特許は、取り消されるべきものである。 (3)本件発明7は、特願2014-164263号(特開2016-40187号公報参照)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であるから、特許法第29の2の規定に違反してされたものであり、請求項3に係る特許は、取り消されるべきものである。 3 甲号証の記載 (1)甲第1号証 ア 甲第1号証の記載事項 取消理由通知において引用した特願2014-164263号(特開2016-40187号公報参照)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「甲第1号証」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。 (ア)「【0001】 この発明は、巻上機が昇降路内の下部に設置されている既設の機械室レスエレベータを、巻上機が昇降路内の上部に設置されている機械室レスエレベータに改修するエレベータの改修方法に関するものである。」 (イ)「【0011】 昇降路4内の下部(ピット)には、既設の巻上機である巻上機5が設置されている。巻上機5は、懸架体3を介してかご1及び釣合おもり2を昇降させる。また、巻上機5は、巻上機本体6と駆動シーブ7とを有している。巻上機本体6は、駆動シーブ7を回転させるモータと、駆動シーブ7の回転を制動するブレーキとを有している。懸架体3は、駆動シーブ7に巻き掛けられている。」 (ウ)「【0022】 次に、上記のような既設の機械室レスエレベータの改修方法について説明する。図4は図1の機械室レスエレベータの改修後の状態を示す概略の平面図、図5は図4の機械室レスエレベータを示す概略の正面図である。実施の形態1の改修方法では、上部支持体13から釣合おもり返し車15を取り外し、上部支持体13の釣合おもり返し車15が取り付けられていた位置に新たな巻上機(上部巻上機)21を設置する。 【0023】 また、昇降路4の下部の巻上機(下部巻上機)5の駆動シーブ7を改修後のエレベータの下部返し車として使用する。さらに、昇降路4の下部の巻上機5からコイル部分を取り外して、駆動シーブ7の回転に対する磁気的な抵抗を無くす。即ち、改修後のエレベータでは、巻上機5は駆動力を発生せず、下部返し車としてのみ使用される。そして、新たな巻上機21の駆動力により、かご1及び釣合おもり2が昇降する。 【0024】 新たな巻上機21は、軸方向寸法が軸方向に直角な寸法よりも小さい薄型巻上機である。また、新たな巻上機21は、巻上機本体22と駆動シーブ23とを有している。巻上機本体22は、駆動シーブ23を回転させるモータと、駆動シーブ23の回転を制動するブレーキとを有している。巻上機21は、駆動シーブ23の回転軸が水平、かつかご1の幅方向に直角となるように配置されている。 【0025】 懸架体3は、第1の端部側から順に、第1のかご吊り車11a、第2のかご吊り車11b、かご返し車14、駆動シーブ(下部返し車)7、新たな巻上機21の駆動シーブ23及び釣合おもり吊り車12に巻き掛けられている。即ち、図4及び図5のエレベータも、2:1ローピング方式のエレベータである。 【0026】 図6は図5の巻上機21の支持構造を示す概略の斜視図である。巻上機本体22は、第2の返し車梁17b上に支持されており、駆動シーブ23は、返し車梁17a,17b間の空間の真上に配置されている。これにより、懸架体3の駆動シーブ23から下方へ向かう部分は、返し車梁17a,17b間の空間を通っている。他の構成は、改修前と同様であるが、必要に応じて新たな機器と交換してもよい。 【0027】 このような機械室レスエレベータの改修方法では、昇降路4内の上部の釣合おもり返し車15が配置されていた位置に新たな巻上機21を設置するので、多くの機器を流用しつつ、取付寸法及び外形寸法が改修前とは異なる巻上機21を設置することができる。これにより、最新の巻上機21を使用しつつ、改修工期の短縮を図ることができる。 【0028】 また、巻上機21を昇降路4内の上部に配置することができるため、万一ピットが冠水しても、巻上機21が濡れることがない。 【0029】 さらに、既設の巻上機5の駆動シーブ7を改修後のエレベータの下部返し車として使用するので、巻上機5の動力を切った後でも駆動シーブ7をそのまま残すことができ、廃棄物を削減することができる。 【0030】 さらにまた、既設の巻上機5のコイル部分を取り外して抵抗を無くすので、駆動シーブ7を下部返し車として使用しても余計な負荷がかかることがない。 【0031】 また、新たな巻上機21として薄型巻上機を用いたので、釣合おもり返し車15が設置されていたスペースに巻上機21を容易に設置することができる。 【0032】 なお、図6では返し車梁17b上に巻上機21が直接設置されているが、例えば図7に示すように、返し車梁17a,17b間に一対の巻上機台24a,24bを架設し、巻上機台24a,24b上に巻上機21を設置してもよい。即ち、返し車梁17a,17b上に巻上機台24a,24bを介して巻上機21を設置してもよい。この場合、巻上機21にかかる荷重を返し車梁17a,17bに分散して作用させ、返し車梁17a,17bに生じる応力を改修前に近くすることができる。」 (エ)「【0034】 さらに、上記の例では、釣合おもり返し車15を新たな巻上機21と交換したが、昇降路4の上部に配置された機器のレイアウトによっては、かご返し車14を新たな巻上機21と交換してもよい。 さらにまた、既設の巻上機5の駆動シーブ7を返し車として使用せず、巻上機5を撤去し、新たな返し車を昇降路4の下部に設置してもよい。 また、上記の例では、既設の巻上機5として胴長巻上機を示したが、既設の巻上機は薄型巻上機であってもよい。」 (オ)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 かご、釣合おもり、前記かご及び前記釣合おもりを吊り下げる懸架体、昇降路内の下部に設置されており、前記懸架体を介して前記かご及び前記釣合おもりを昇降させる既設の巻上機、前記昇降路内の上部に設置されている上部支持体、及び前記上部支持体に設けられており、前記懸架体が巻き掛けられている上部返し車を備えている機械室レスエレベータの改修方法であって、 前記上部支持体から前記上部返し車を取り外す工程と、 前記上部支持体に新たな巻上機を設置する工程と を含む機械室レスエレベータの改修方法。 【請求項2】 前記既設の巻上機の駆動シーブを改修後のエレベータの下部返し車として使用する請求項1記載の機械室レスエレベータの改修方法。 【請求項3】 前記既設の巻上機のコイル部分を取り外して抵抗を無くす工程を含む請求項2記載の機械室レスエレベータの改修方法。 【請求項4】 前記既設の巻上機は、軸方向寸法が軸方向に直角な方向の寸法よりも大きい胴長巻上機、又は軸方向寸法が軸方向に直角な方向の寸法よりも小さい薄型巻上機であり、 前記新たな巻上機は、軸方向寸法が軸方向に直角な方向の寸法よりも小さい薄型巻上機である請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の機械室レスエレベータの改修方法。 【請求項5】 前記上部支持体は、互いに間隔をおいて配置された第1及び第2の返し車梁を有しており、 前記上部支持体から前記上部返し車を取り外した後、前記第1及び第2の返し車梁間に巻上機台を架設し、前記巻上機台に前記新たな巻上機を設置する請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の機械室レスエレベータの改修方法。 【請求項6】 かご、 釣合おもり、 前記かご及び前記釣合おもりを吊り下げる懸架体、 昇降路内の上部に設置されており、前記懸架体を介して前記かご及前記釣合おもりを昇降させる上部巻上機、及び 前記昇降路内の下部に設置されている下部巻上機 を備え、 前記下部巻上機は、駆動力を発生せず、下部返し車として使用されている機械室レスエレベータ。 【請求項7】 前記下部巻上機は、コイル部分が取り外されている請求項6記載の機械室レスエレベータ。 【請求項8】 前記下部巻上機は、軸方向寸法が軸方向に直角な方向の寸法よりも大きい胴長巻上機、又は軸方向寸法が軸方向に直角な方向の寸法よりも小さい薄型巻上機であり、 前記上部巻上機は、軸方向寸法が軸方向に直角な方向の寸法よりも小さい薄型巻上機である請求項6又は請求項7に記載の機械室レスエレベータ。」 イ 甲1発明 上記ア(ア)ないし(オ)並びに図1ないし図5によれば、甲第1号証には次の発明が記載されていると認められる。 「機械室レスエレベータにおけるエレベータ用巻上機の設置方法において、駆動シーブ7を有する既設の巻上機5のコイル部分を取り外す工程と、巻上機台24a、24bを返し車梁17a、17bに架設する工程と、駆動シーブ23を有する新たな巻上機21を巻上機台24a、24bに設置する工程と、懸架体3を、駆動シーブ7及び駆動シーブ23に巻き掛ける工程と、を含み、懸架体3を巻き掛ける工程の後において、駆動シーブ7は、下部返し車として利用されるエレベータ用巻上機の設置方法。」(以下、「甲1発明1」という。) 「機械室レスエレベータにおけるエレベータ用巻上機の設置方法において、昇降路4の下部から、既設の巻上機5を撤去する工程と、既設の巻上機5が撤去された昇降路4の下部に、新たな返し車を設置する工程と、巻上機台24a、24bを返し車梁17a、17bに架設する工程と、駆動シーブ23を有する新たな巻上機21を前記巻上機台24a、24bに設置する工程と、懸架体3を、新たな返し車および駆動シーブ23に巻き掛ける工程と、を含むエレベータ用巻上機の設置方法。」(以下、「甲1発明2」という。) 4 判断 ア 本件訂正発明1について (ア)本件訂正発明1 本件訂正発明1は、上記第3の1の(1)において示したとおりのものである。 (イ)対比 本件訂正発明1と甲1発明1とを対比すると、甲1発明1における「機械室レスエレベータ」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本件訂正発明1における「マシンルームレスエレベータ装置」に相当し、以下同様に、「エレベータ用巻上機の設置方法」は既設の巻上機のロープ巻上機能を取り除くとともに新たな巻上機を設置するものであるから、「エレベータ巻上機のリニューアル方法」に、「駆動シーブ7」は「既設トラクションシーブ」に、「既設の巻上機5」及び「巻上機5」は「既設巻上機」に、「駆動シーブ7を有する既設の巻上機5のコイル部分を取り外す」ことは「既設トラクションシーブを有する既設巻上機を撤去することなく、前記既設巻上機のロープ巻上機能を取り除く」ことに、「駆動シーブ23」は「新設トラクションシーブ」に、「新たな巻上機21」は「新設巻上機」に、「架設する」は「取り付ける」に、「含む」ことは「備えた」ことに、「下部返し車」は「そらせシーブ」に、それぞれ相当する。 また、甲1発明1における「懸架体3」は、「主ロープ」という点で、本件訂正発明1における「新設主ロープ」と共通する。 また、甲1発明1における「巻上機台24a、24b」は、新設巻き上げ機を設置するための台であるから、本件訂正発明1における「新設巻き上げ機ベース」に相当する。 また、甲1発明1における「返し車梁17a、17b」は、「エレベータの構造部材」という点で、本件訂正発明1における「ガイドレール」と共通する。 したがって、本件訂正発明1と甲1発明1とは、以下の点で一致する。 「マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法であって、既設トラクションシーブを有する既設巻上機を撤去することなく、前記既設巻上機のロープ巻上機能を取り除く工程と、新設巻き上げ機ベースをエレベータの構造部材に取り付ける工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を前記新設巻き上げ機ベースに設置する工程と、主ロープを、前記既設トラクションシーブおよび前記新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備え、前記主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設トラクションシーブは、そらせシーブとして利用されるエレベータ巻上機のリニューアル方法。」 そして両者は、以下の点で相違又は一応相違している。 <相違点> a 本件訂正発明1においては、「既設主ロープを取り外す工程」を備え、「新設」主ロープを、既設トラクションシーブおよび新設トラクションシーブに巻き掛ける工程を備えるのに対し、甲1発明1においては、「既設主ロープを取り外す工程」を含むか否か明らかでなく、「新設」主ロープを、駆動シーブ7および駆動シーブ23に巻き掛ける工程を備えるか否か明らかでない点(以下、「相違点1」という。)。 b 本件訂正発明1においては、新設巻上機ベースを「ガイドレールに」取り付ける工程を備えるのに対し、甲1発明1においては、巻上機台24a,24bを「返し車梁17a,17bに」架設する工程を備える点(以下、「相違点2」という。)。 (ウ)判断 まず、上記相違点1について検討する エレベータ装置において、巻上機を交換等して新設する際に主ロープも新しいものに交換することは、本件訂正発明1の出願前における技術常識(以下、「技術常識」という。例えば、甲第3号証の段落【0028】ないし【0030】、甲第4号証の段落【0027】ないし【0030】、引用文献1の段落【0011】等を参照。)である。 そして、主ロープを新しいものに交換する際には、新設主ロープを、駆動シーブ7および駆動シーブ23に巻き掛ける工程が必要になることは当業者にとって自明の事項である。 そうすると、甲第1号証に明記はされていないものの、甲1発明1において「既設主ロープを取り外す工程」を備え、「新設」主ロープを、既設トラクションシーブおよび新設トラクションシーブに巻き掛ける工程を備えることは、当業者にとって技術常識又は自明の事項である。 したがって、上記相違点1は、実質的な相違点ではないか、仮に実質的な相違点であるとしても、当業者が必要に応じて適宜なし得る設計上の微差にすぎない。 次に、上記相違点2について検討する。 甲1発明1は、巻上機台24a、24bを「返し車梁17a、17bに」架設する工程を備えるものであるが、この工程を、本件訂正発明1のように、巻上機台24a、24bを「ガイドレールに」架設する工程に変更することは、当業者にとって自明であるとはいえず、周知慣用手段であるともいえない。 してみれば、上記相違点2は、実質的な相違点であるから、本件訂正発明1は、甲1発明1と実質的に相違する。 すなわち、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載されたものとはいえない イ 本件訂正発明3について (ア)本件訂正発明3 本件訂正発明3は、上記第3の1の(2)において示したとおりのものである。 (イ)判断 本件訂正発明1を引用する本件訂正発明3は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本件訂正発明1と同様に、甲第1号証に記載されたものとはいえない。 ウ 本件訂正発明7について (ア)本件訂正発明7 本件訂正発明7は、上記第3の1の(3)において示したとおりのものである。 (イ)対比 本件訂正発明7と甲1発明2とを対比すると、甲1発明2における「機械室レスエレベータ」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本件訂正発明7における「マシンルームレスエレベータ装置」に相当し、以下同様に、「エレベータ用巻上機の設置方法」は既設の巻上機のロープ巻上機能を取り除くとともに新たな巻上機を設置するものであるから、「エレベータ巻上機のリニューアル方法」に、「昇降路4の下部」は「既設巻上機ベース」に、「既設の巻上機5」は「既設巻上機」に、「新たな返し車」は「新設そらせシーブ」に、「駆動シーブ23」は「新設トラクションシーブ」に、「新たな巻上機21」は「新設巻上機」に、「含む」は「備えた」に、それぞれ相当する。 また、甲1発明2における「懸架体3」は、「主ロープ」という点で、本件訂正発明7における「新設主ロープ」と共通する。 また、甲1発明2における「巻上機台24a、24b」は、新設巻き上げ機を設置するための台であるから、本件訂正発明7における「新設巻き上げ機ベース」に相当する。 また、甲1発明2における「返し車梁17a、17b」は、「エレベータの構造部材」という点で、本件訂正発明7における「ガイドレール」と共通する。 したがって、本件訂正発明7と甲1発明2とは、以下の点で一致する。 「マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法であって、既設巻上機ベースから、既設巻上機を撤去する工程と、前記既設巻上機が撤去された前記既設巻上機ベース上に、新設そらせシーブを設置する工程と、新設巻上機ベースをエレベータの構造部材に取り付ける工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を前記新設巻上機ベースに設置する工程と、主ロープを、前記新設そらせシーブおよび前記新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備えたエレベータ巻上機のリニューアル方法。」 そして両者は、以下の点で相違又は一応相違している。 <相違点> a 本件訂正発明7においては、「既設主ロープを取り外す工程」を備え、「新設」主ロープを、新設そらせシーブおよび新設トラクションシーブに巻き掛ける工程を備えるのに対し、甲1発明2においては、「既設主ロープを取り外す工程」を備えるか否か明らかでなく、「新設」主ロープを、新たな返し車および駆動シーブ23に巻き掛ける工程を備えるか否か明らかでない点(以下、「相違点3」という。)。 b 本件訂正発明7においては、新設巻上機ベースを「ガイドレールに」取り付ける工程を備えるのに対し、甲1発明2においては、巻上機台24a、24bを「返し車梁17a、17bに」架設する工程を備える点(以下、「相違点4」という。)。 (ウ)判断 まず、上記相違点3について検討する エレベータ装置において、巻上機を交換等して新設する際に主ロープも新しいものに交換することは、本件訂正発明7の出願前における技術常識(以下、「技術常識」という。例えば、甲第3号証の段落【0028】ないし【0030】、甲第4号証の段落【0027】ないし【0030】、引用文献1の段落【0011】等を参照。)である。 そして、主ロープを新しいものに交換する際には、新設主ロープを、新たな返し車および駆動シーブ23に巻き掛ける工程が必要になることは当業者にとって自明の事項である。 そうすると、甲第1号証に明記はされていないものの、甲1発明2において「既設主ロープを取り外す工程」を備え、「新設」主ロープを、新設そらせシーブおよび新設トラクションシーブに巻き掛ける工程を備えることは、当業者にとって技術常識又は自明の事項である。 したがって、上記相違点3は、実質的な相違点ではないか、仮に実質的な相違点であるとしても、当業者が必要に応じて適宜なし得る設計上の微差にすぎない。 次に、上記相違点4について検討する。 甲1発明2は、巻上機台24a、24bを「返し車梁17a、17bに」架設する工程を備えるものであるが、この工程を、本件訂正発明7のように、巻上機台24a、24bを「ガイドレールに」架設する工程に変更することは、当業者にとって自明であるとはいえず、周知慣用手段であるともいえない。 してみれば、上記相違点4は、実質的な相違点であるから、本件訂正発明7は、甲1発明2と実質的に相違する。 すなわち、本件訂正発明7は、甲第1号証に記載されたものとはいえない エ まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正後の請求項1、3及び7に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものとはいえず、同法第113条第2号に該当するものではない。 第4 結語 上記第3のとおりであるから、平成30年5月10日付け取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件訂正後の請求項1、3及び7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1、3及び7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 エレベータ巻上機のリニューアル方法 【技術分野】 【0001】 本発明の実施の形態は、エレベータ巻上機のリニューアル方法に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、巻上機を機械室に設置することなく、昇降路内に設置するマシンルームレスエレベータ装置が主流となっている。マシンルームレスエレベータ装置は、市場に登場してから20年余りが経過している。このため、初期に登場したマシンルームレスエレベータ装置は、寿命に近づいた機器の交換や、新型の機器に交換することを目的としたリニューアルのタイミングに近づいている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】特開2009-167957号公報 【特許文献2】特許第4339578号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、マシンルームレスエレベータ装置におけるリニューアルでは、既設の巻上機、既設のそらせシーブ、および既設の釣合錘の昇降路内の用品を撤去して搬出し、新設の巻上機、新設のそらせシーブ、および新設の釣合錘を昇降路内に設置している。この場合、既設の用品、特に重量物である巻上機や、巻上機が設置される巻上機ベースの撤去作業および搬出作業に、多大な労力と時間が費やされる。リニューアル作業の工期を短縮するためには、作業者の増員が効果的であるが、人件費が増大してリニューアル費用に反映されるという問題があった。 【0005】 本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、リニューアル作業の工期を短縮し、リニューアル費用を削減することができるエレベータ巻上機のリニューアル方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 実施の形態によるエレベータ巻上機のリニューアル方法は、マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機をリニューアルする。このリニューアル方法は、既設主ロープを取り外す工程と、既設トラクションシーブを有する既設巻上機を撤去することなく、既設巻上機のロープ巻上機能を取り除く工程と、を備えている。また、このリニューアル方法は、新設巻上機ベースをガイドレールに取り付ける工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を前記新設巻上機ベースに設置する工程と、新設主ロープを、既設トラクションシーブおよび新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備えている。新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、既設トラクションシーブは、そらせシーブとして利用されている。 【0007】 また、実施の形態によるエレベータ巻上機のリニューアル方法は、マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機をリニューアルする。このリニューアル方法は、既設主ロープを取り外す工程と、既設巻上機を撤去することなく、既設巻上機のロープ巻上機能を取り除くとともに、既設巻上機から既設トラクションシーブを撤去する工程と、を備えている。また、このリニューアル方法は、既設トラクションシーブが撤去された既設巻上機に、新設そらせシーブを設置する工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を設置する工程と、を備えている。さらに、このリニューアル方法は、新設主ロープを、新設そらせシーブおよび新設トラクションシーブに巻き掛ける工程を備えている。 【0008】 また、実施の形態によるエレベータ巻上機のリニューアル方法は、マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機をリニューアルする。このリニューアル方法は、既設主ロープを取り外す工程と、既設トラクションシーブを有する既設巻上機を撤去する工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を設置する工程と、釣合錘の錘枠から既設錘シーブを撤去する工程と、を備えている。また、このリニューアル方法は、撤去された既設巻上機を、既設錘シーブが撤去された錘枠に設置する工程と、新設主ロープを、新設トラクションシーブ、および錘枠に設置された既設巻上機の既設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備えている。新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、既設トラクションシーブは、錘シーブとして利用されている。 【0009】 また、実施の形態によるエレベータ巻上機のリニューアル方法は、マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機をリニューアルする。このリニューアル方法は、既設主ロープを取り外す工程と、既設巻上機ベースから、既設巻上機を撤去する工程と、既設巻上機が撤去された既設巻上機ベースに、新設そらせシーブを設置する工程と、を備えている。また、このリニューアル方法は、新設巻上機ベースをガイドレールに取り付ける工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を前記新設巻上機ベースに設置する工程と、新設主ロープを、新設そらせシーブおよび新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備えている。 【図面の簡単な説明】 【0010】 【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態におけるリニューアル前のエレベータ装置の全体概略構成を示す図である。 【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態におけるリニューアル後のエレベータ装置の全体概略構成を示す図である。 【図3】図3は、本発明の第2の実施の形態におけるリニューアル前のエレベータ装置の全体概略構成を示す図である。 【図4】図4は、本発明の第2の実施の形態におけるリニューアル後のエレベータ装置の全体概略構成を示す図である。 【図5】図5は、本発明の第3の実施の形態におけるリニューアル後の新設巻上機およびそらせシーブの概略構成を示す図である。 【図6】図6は、本発明の第4の実施の形態におけるリニューアル後のエレベータ装置の全体概略構成を示す図である。 【図7】図7は、図6の変形例を示す図である。 【図8】図8は、本発明の第5の実施の形態におけるリニューアル後のエレベータ装置の全体概略構成を示す図である。 【図9】図9は、図8の変形例を示す図である。 【発明を実施するための形態】 【0011】 以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。 【0012】 (第1の実施の形態) 図1および図2を用いて、第1の実施の形態におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法(以下、単にリニューアル方法と記す)について説明する。 【0013】 ここでは、まず、本実施の形態によるリニューアル方法が適用されるリニューアル前のマシンルームレスエレベータ装置(以下、単にエレベータ装置と記す)について図1を用いて説明する。 【0014】 図1に示すように、エレベータ装置1は、昇降路2内を昇降自在な乗りかご3と、乗りかご3に既設主ロープ4を介して連結された釣合錘10と、既設主ロープ4を介して乗りかご3及び釣合錘10を昇降させる既設巻上機20と、を備えている。 【0015】 乗りかご3には、既設主ロープ4が巻き掛けられる一対のかごシーブ5が設けられている。 【0016】 釣合錘10は、錘枠11を有しており、錘枠11には、既設主ロープ4が巻き掛けられる一対の既設錘シーブ(錘シーブ)12a、12bが設置されている。また、錘枠11には、複数の錘体13が設置されており、乗りかご3の質量との釣合を図っている。 【0017】 本実施の形態においては、既設巻上機20は、機械室ではなく昇降路2の上部に設けられている。より具体的には、昇降路2の上部に既設巻上機ベース21が設けられており、既設巻上機20はこの既設巻上機ベース21上に設置されている。 【0018】 既設巻上機20は、既設主ロープ4が巻き掛けられる既設トラクションシーブ22を有している。既設巻上機20は、既設トラクションシーブ22に巻き掛けられた既設主ロープ4を巻き上げる。また、既設巻上機20は、既設巻上機ブレーキ部23を有している。 【0019】 既設主ロープ4の両端は、昇降路2の上部に設けられたヒッチ部(図示せず)に取り付けられている。既設主ロープ4は、一方(図1の左側)のヒッチ部から他方(図1の右側)のヒッチ部に向かって、一対のかごシーブ5、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22、一対の既設錘シーブ12a、12bに、この配列順で巻き掛けられている。 【0020】 このような構成において、既設巻上機20が既設トラクションシーブ22を回転駆動することにより、既設主ロープ4が巻き上げられ、既設主ロープ4を介して乗りかご3および釣合錘10がそれぞれ昇降する。これにより、乗りかご3は、エレベータ装置1が設置された建物の複数の階床にそれぞれ設けられた乗場間を昇降する。 【0021】 ところで、昇降路2内には、上下方向に延びるかごガイドレール6が設けられている。このかごガイドレール6に沿って乗りかご3が昇降するようになっている。図1に示すように、本実施の形態においては、かごガイドレール6の上部に既設巻上機ベース21が取り付けられている。なお、図1に示す例では、かごガイドレール6を模式的に示している。また、図示はしないが、昇降路2内には、上下方向に延びる錘ガイドレールが設けられており、この錘ガイドレールに沿って釣合錘10が昇降するようになっている。上述した既設巻上機ベース21は、この錘ガイドレールの上部に取り付けられていてもよい。 【0022】 次に、図1に示すエレベータ装置1をリニューアルした後のエレベータ装置1ついて図2を用いて説明する。 【0023】 図2に示すエレベータ装置1は、ロープ巻上機能が取り除かれた既設巻上機20と、新設主ロープ7を介して乗りかご3および釣合錘10を昇降させる新設巻上機40と、を備えている。 【0024】 既設巻上機20は、昇降路2内から撤去されることなく、昇降路2内に残存している。しかしながら、既設巻上機20は主ロープを巻き上げるロープ巻上機能が取り除かれている。そして、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22には、新設主ロープ7が巻き掛けられており、既設トラクションシーブ22は、リニューアル後のエレベータ装置1においては、そらせシーブとして利用されている。また、リニューアル後の既設巻上機20は、ブレーキ機能を有している。より具体的には、新設主ロープ7を巻き掛ける工程の後において、既設巻上機20は、ブレーキ機能を有している。すなわち、既設巻上機20には、既設巻上機ブレーキ部23が残されている。既設巻上機20のブレーキ機能は、後述する新設巻上機40の新設巻上機ブレーキ部43に連動するようになっている。 【0025】 新設巻上機40は、機械室ではなく昇降路2の上部に設けられている。より具体的には、昇降路2の上部に新設巻上機ベース41が設けられており、新設巻上機40はこの新設巻上機ベース41上に設置されている。本実施の形態では、新設巻上機40は、既設巻上機20と同等の高さ位置に設置されている。 【0026】 新設巻上機40は、新設主ロープ7が巻き掛けられる新設トラクションシーブ42を有している。新設巻上機40は、新設トラクションシーブ42に巻き掛けられた新設主ロープ7を巻き上げる。また、新設巻上機40は、新設巻上機ブレーキ部43を有している。 【0027】 新設主ロープ7の両端は、昇降路2の上部に設けられたヒッチ部(図示せず)に取り付けられている。新設主ロープ7は、一方(図2の左側)のヒッチ部から他方(図2の右側)のヒッチ部に向かって、一対のかごシーブ5、そらせシーブ(既設巻上機20の既設トラクションシーブ22)、一方(図2の左側)の既設錘シーブ12a、新設巻上機40の新設トラクションシーブ42、他方(図2の右側)の既設錘シーブ12bに、この配列順で巻き掛けられている。 【0028】 このような構成において、新設巻上機40が新設トラクションシーブ42を回転駆動することにより、新設主ロープ7が巻き上げられ、新設主ロープ7を介して乗りかご3および釣合錘10がそれぞれ昇降する。これにより、乗りかご3は、エレベータ装置1が設置された建物の複数の階床にそれぞれ設けられた乗場間を昇降する。このように、ロープ巻上機能が、既設巻上機20から新設巻上機40に移されている。 【0029】 ところで、図2に示すように、本実施の形態においては、かごガイドレール6に新設巻上機ベース41が取り付けられている。なお、新設巻上機ベース41は、錘ガイドレールに取り付けられていてもよい。 【0030】 次に、このような構成からなる本実施の形態における作用について説明する。ここでは、図1に示すリニューアル前のエレベータ装置1から図2に示すリニューアル後のエレベータ装置1にリニューアルするための、エレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。 【0031】 まず、既設主ロープ4が、一対のかごシーブ5、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22、一対の既設錘シーブ12a、12b、およびヒッチ部から取り外される。 【0032】 続いて、既設巻上機20の主ロープを巻き上げるロープ巻上機能が取り除かれる。このとき、例えば、図示しない制御装置に接続されていた制御配線を取り除いてもよく、または当該制御装置の制御回路を改造してもよい。なお、既設巻上機20のブレーキ機能は取り除かれない。また、既設巻上機20および既設巻上機ベース21は昇降路2内から撤去されることなく、昇降路2内に残存する。既設巻上機20の既設トラクションシーブ22は、そらせシーブとして利用される。 【0033】 次に、新設巻上機ベース41上に、新設トラクションシーブ42を有する新設巻上機40が設置される。この場合、まず、昇降路2の上部に、新設巻上機40の新設巻上機ベース41が取り付けられる。続いて、新設巻上機ベース41上に新設巻上機40が取り付けられる。 【0034】 その後、新設主ロープ7が、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22、および新設巻上機40の新設トラクションシーブ42に巻き掛けられる。このとき、例えば、新設主ロープ7の一端が、一方(図2の左側)のヒッチ部に取り付けられる。続いて、新設主ロープ7が、一対のかごシーブ5、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22、一方の既設錘シーブ12a、新設巻上機40の新設トラクションシーブ42、他方の既設錘シーブ12bに、この配列順となるように巻き掛けられる。なお、新設主ロープ7が、一対のかごシーブ5、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22、一方の既設錘シーブ12a、新設巻上機40の新設トラクションシーブ42、他方の既設錘シーブ12bに、この配列順となるように巻き掛けられれば、新設主ロープ7を各機器に巻き掛ける順番は任意である。その後、新設主ロープ7の他端が、他方(図2の右側)のヒッチ部に取り付けられる。 【0035】 このようにして、リニューアル作業が完了し、図2に示すエレベータ装置1が得られる。エレベータ装置1の新設主ロープ7は、既設巻上機20ではなく新設巻上機40によって巻き上げられるようになり、ロープ巻上機能を有する巻上機が既設巻上機20から新設巻上機40に交換される。この場合、昇降している乗りかご3および釣合錘10を停止させる場合には、新設巻上機40の新設巻上機ブレーキ部53だけでなく、既設巻上機20の既設巻上機ブレーキ部23を作動させて、乗りかご3および釣合錘10を制動することができる。 【0036】 このように本実施の形態によれば、既設巻上機20を撤去することなく、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22が、昇降路2内でそらせシーブとして利用されている。このことにより、既設巻上機20および既設巻上機ベース21を有効利用することができ、既設巻上機20および既設巻上機ベース21の撤去および搬出を省略することができる。このため、リニューアル時の作業量を軽減することができ、リニューアル作業の効率を向上させることができる。この結果、リニューアル作業の工期を短縮することができるとともに、リニューアル費用を削減することができる。 【0037】 また、本実施の形態によれば、新設主ロープ7が、既設トラクションシーブ22、一方の既設錘シーブ12a、新設トラクションシーブ42、他方の既設錘シーブ12bに、この配列順で巻き掛けられている。このことにより、新設主ロープ7が、既設トラクションシーブ22、新設トラクションシーブ42に、この配列順で巻き掛けられる場合よりも、新設トラクションシーブ42に巻き掛けられる新設主ロープ7の巻き掛け角度を大きくすることができる。このため、新設主ロープ7と新設トラクションシーブ42との間の摩擦(トラクション)を、効果的に発生させることができる。このため、新設主ロープ7の巻き上げに要求される所定のトラクションをより効率的に得ることができる。 【0038】 また、本実施の形態によれば、既設巻上機20が、ブレーキ機能を有している。このことにより、新設巻上機40の新設巻上機ブレーキ部53と、既設巻上機20の既設巻上機ブレーキ部23とによってブレーキの2重化を図ることができる。このため、制動力を増大させてエレベータ装置1の安全性を高めることができる。 【0039】 また、本実施の形態によれば、新設巻上機40が、昇降路2の上部に設けられている。このため、降雨等により昇降路2内が冠水した場合であっても、新設巻上機40が冠水する事態を回避し得る。 【0040】 なお、上述した本実施の形態においては、既設主ロープ4を取り外す工程と、既設巻上機20のロープ巻上機能を取り除く工程と、新設巻上機40を設置する工程と、新設主ロープ7を巻き掛ける工程と、がこの順番で行われる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、リニューアル作業が完了した後に、図2に示すエレベータ装置1が得られていれば、各工程の順番はこれに限られることはない。 【0041】 また、上述した本実施の形態においては、既設巻上機20および新設巻上機40が昇降路2の上部に設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、既設巻上機20が昇降路2の上部に設けられていた場合であっても、新設巻上機40を昇降路2の下部に設けるようにしてもよい。この場合、追加のそらせシーブを使用することにより、新設主ロープ7をかごシーブ5、新設トラクションシーブ42および既設錘シーブ12a、12bに巻き掛けることができる。この場合、例えば、図3に示すような態様で、新設主ロープ7を巻き掛けることができる。このため、既設巻上機20および既設巻上機ベース21を有効利用することができ、既設巻上機20および既設巻上機ベース21の撤去および搬出を省略することができる。 【0042】 また、上述した本実施の形態においては、釣合錘10に、2つの既設錘シーブ12a、12bが設置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、釣合錘10に設置される既設錘シーブは1つであってもよい。この場合、既設錘シーブは、新設主ロープ7が並列状に巻き掛けられる2つのシーブ溝群(図示せず)を含むように構成され得る。 【0043】 (第2の実施の形態) 次に、図3および図4を用いて、本発明の第2の実施の形態におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。 【0044】 図3および図4に示す第2の実施の形態においては、既設巻上機が昇降路の下部に設けられている点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図3および図4において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。 【0045】 図3に示すように、本実施の形態のリニューアル前のエレベータ装置1においては、既設巻上機20は、機械室ではなく昇降路2の下部に設けられている。より具体的には、昇降路2の下部に既設巻上機ベース21が設けられており、既設巻上機20はこの既設巻上機ベース21上に設置されている。 【0046】 昇降路2の上部には、2つの既設そらせシーブ50a、50bが設けられている。この場合、例えば、既設そらせシーブベースが設けられており、2つの既設そらせシーブ50a、50bは、昇降路2の上部に設けられた既設そらせシーブベースに設置されている。 【0047】 既設主ロープ4は、一方(図3の左側)のヒッチ部から他方(図3の右側)のヒッチ部に向かって、一対のかごシーブ5、一方の既設そらせシーブ50a、既設トラクションシーブ22、他方の既設そらせシーブ50b、一対の既設錘シーブ12a、12bに、この配列順で巻き掛けられている。 【0048】 次に、図3に示すエレベータ装置1をリニューアルした後のエレベータ装置1ついて図4を用いて説明する。 【0049】 図4に示すエレベータ装置1では、2つの既設そらせシーブ50a、50bのうち一方(図3の右側)の既設そらせシーブ50bが撤去され、新設トラクションシーブ42を有する新設巻上機40が設置されている。 【0050】 新設巻上機40は、機械室ではなく昇降路2の上部に設置されている。新設巻上機40の新設トラクションシーブ42は、撤去された既設そらせシーブ50bが設置されていた位置に配置されることが好適である。より具体的には、昇降路2の上部に新設巻上機ベース41が設けられており、新設巻上機40は、この新設巻上機ベース41上に設置されている。 【0051】 新設主ロープ7は、一方(図4の左側)のヒッチ部から他方(図4の右側)のヒッチ部に向かって、一対のかごシーブ5、既設そらせシーブ50a、既設トラクションシーブ22、新設トラクションシーブ42、既設錘シーブ12a、12bに、この配列順で巻き掛けられている。 【0052】 次に、図3に示すリニューアル前のエレベータ装置1から図4に示すリニューアル後のエレベータ装置1にリニューアルするための、エレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。 【0053】 まず、既設主ロープ4が、一対のかごシーブ5、一方の既設そらせシーブ50a、既設トラクションシーブ22、他方の既設そらせシーブ50b、一対の既設錘シーブ12a、12bおよびヒッチ部から取り外される。 【0054】 続いて、新設巻上機40を設置する前に、昇降路2の上部に設けられていた既設そらせシーブ50bが撤去される。この場合、例えば、昇降路2の上部に設けられた既設そらせシーブベースから既設そらせシーブ50bが撤去される。 【0055】 次に、新設巻上機40が、昇降路2の上部に設置される。この場合、新設巻上機40の新設トラクションシーブ42は、撤去された既設そらせシーブ50bが設置されていた位置に配置されることが好適である。 【0056】 その後、新設主ロープ7が、既設トラクションシーブ22、および新設トラクションシーブ42に巻き掛けられる。このとき、例えば、新設主ロープ7の一端が、一方(図4の左側)のヒッチ部に取り付けられる。続いて、新設主ロープ7が、一対のかごシーブ5、一方の既設そらせシーブ50a、既設トラクションシーブ22、他方の既設そらせシーブ50b、一対の既設錘シーブ12a、12bに、この配列順となるように巻き掛けられる。その後、新設主ロープ7の他端が、他方(図4の右側)のヒッチ部に取り付けられる。 【0057】 このようにして、リニューアル作業が完了し、図4に示すエレベータ装置1が得られる。 【0058】 このように本実施の形態によれば、既設巻上機20が昇降路2の下部に設けられている場合であっても、既設巻上機20を撤去することなく、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22が、昇降路2内でそらせシーブとして利用されている。このことにより、既設巻上機20および既設巻上機ベース21を有効利用することができ、既設巻上機20および既設巻上機ベース21の撤去および搬出を省略することができる。このため、リニューアル時の作業量を軽減することができ、リニューアル作業の効率を向上させることができる。この結果、リニューアル作業の工期を短縮することができるとともに、リニューアル費用を削減することができる。 【0059】 なお、上述した本実施の形態においては、既設主ロープ4を取り外す工程と、既設そらせシーブ50bが撤去される工程と、新設巻上機40が設置される工程と、新設主ロープ7を巻き掛ける工程と、がこの順番で行われる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、既設そらせシーブ50bが撤去された後に、新設巻上機40が設置されるとともに、リニューアル作業が完了した後に、図4に示すエレベータ装置1が得られていれば、各工程の順番はこれに限られることはない。 【0060】 また、上述した本実施の形態においては、釣合錘10に、2つの既設錘シーブ12a、12bが設置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、釣合錘10に設置される既設錘シーブは1つであってもよい。この場合、既設錘シーブは、新設主ロープ7が並列状に巻き掛けられる2つのシーブ溝群(図示せず)を含むように構成され得る。 【0061】 (第3の実施の形態) 次に、図5を用いて、本発明の第3の実施の形態におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。 【0062】 図5に示す第3の実施の形態においては、既設トラクションシーブを撤去して、既設巻上機に新設そらせシーブを設置する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図5において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。 【0063】 図5に示すように、本実施の形態のリニューアルした後のエレベータ装置1においては、既設巻上機20に新設そらせシーブ60が設置されている。 【0064】 既設巻上機20は、既設トラクションシーブ22が撤去され、この既設トラクションシーブ22の代替えとして、既設巻上機20に新設そらせシーブ60が設置されている。このようにして、本実施の形態では、既設トラクションシーブ22が新設そらせシーブ60に交換されている。この交換は、例えば、主ロープの変更に対応させることを目的とすることができる。より具体的には、ロープ径の変更によりシーブ径を変更する場合や、シーブ溝の個数を変更する場合等に既設トラクションシーブ22を新設そらせシーブ60に交換することが好適である。このため、新設そらせシーブ60のシーブ径は、既設トラクションシーブ22のシーブ径よりも大きくてもよく、または小さくてもよい。また、新設そらせシーブ60のシーブ溝の個数は、既設トラクションシーブ22のシーブ溝の個数よりも多くてもよく、または少なくてもよい。 【0065】 新設主ロープ7は、一方(図5の左側)のヒッチ部から他方(図5の右側)のヒッチ部に向かって、一対のかごシーブ5、新設そらせシーブ60、一方の既設錘シーブ12a、新設トラクションシーブ42、他方の既設錘シーブ12bに、この配列順で巻き掛けられている。 【0066】 次に、図1に示すリニューアル前のエレベータ装置1から図6に示すリニューアル後のエレベータ装置1にリニューアルするための、エレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。 【0067】 まず、既設主ロープ4が、一対のかごシーブ5、既設トラクションシーブ22、一対の既設錘シーブ12a、12b、およびヒッチ部から取り外される。 【0068】 続いて、既設巻上機20の主ロープを巻き上げるロープ巻上機能が取り除かれるとともに、既設巻上機20から既設トラクションシーブ22が撤去される。なお、既設巻上機20のブレーキ機能は取り除かれない。また、既設巻上機20および既設巻上機ベース21は昇降路2内から撤去されることなく、昇降路2内に残存する。 【0069】 次に、既設トラクションシーブ22が撤去された既設巻上機20に、新設そらせシーブ60が設置される。 【0070】 次に、新設トラクションシーブ42を有する新設巻上機40が、設置される。 【0071】 その後、新設主ロープ7が、新設そらせシーブ60および新設トラクションシーブ42に巻き掛けられる。このとき、例えば、新設主ロープ7の一端が、一方(図5の左側)のヒッチ部に取り付けられる。続いて、新設主ロープ7が、一対のかごシーブ5(図示せず)、新設そらせシーブ60、一方の既設錘シーブ12a(図示せず)、新設トラクションシーブ42、他方の既設錘シーブ12b(図示せず)に、この配列順となるように巻き掛けられる。その後、新設主ロープ7の他端が、他方(図5の右側)のヒッチ部に取り付けられる。 【0072】 このようにして、リニューアル作業が完了し、図5に示すエレベータ装置1が得られる。 【0073】 このように本実施の形態によれば、既設トラクションシーブ22が取り外された既設巻上機20に、新設そらせシーブ60が設置されている。このことにより、既設トラクションシーブ22を新設そらせシーブ60に交換して、主ロープの変更に対応させることができる。このため、既設巻上機20および既設巻上機ベース21を有効利用することができる。この結果、既設巻上機20および既設巻上機ベース21の撤去および搬出を省略することができる。このため、リニューアル時の作業量を軽減することができ、リニューアル作業の効率を向上させることができる。この結果、リニューアル作業の工期を短縮することができるとともに、リニューアル費用を削減することができる。 【0074】 なお、上述した本実施の形態においては、既設主ロープ4を取り外す工程と、既設巻上機20のロープ巻上機能が取り除かれるとともに、既設トラクションシーブ22が撤去される工程と、新設そらせシーブ60が設置される工程と、新設巻上機40が設置される工程と、新設主ロープ7を巻き掛ける工程と、がこの順番で行われる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、リニューアル作業が完了した後に、図5に示すエレベータ装置1が得られていれば、各工程の順番はこれに限られることはない。 【0075】 (第4の実施の形態) 次に、図6を用いて、本発明の第4の実施の形態におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。 【0076】 図6に示す第4の実施の形態においては、撤去された既設巻上機が、既設錘シーブが撤去された錘枠に設置される点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図6において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。 【0077】 図6に示すように、本実施の形態のリニューアルした後のエレベータ装置1においては、釣合錘10の錘枠11から、一対の既設錘シーブ12a、12bが撤去されている。また、既設巻上機20が設置されていた既設巻上機ベース21から、既設トラクションシーブ22を有する既設巻上機20が撤去されている。そして、既設巻上機ベース21から撤去された既設巻上機20が、既設錘シーブ12a、12bが撤去された錘枠11に設置されている。 【0078】 錘枠11に設置されている既設巻上機20は、釣合錘10の錘として機能している。そして、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22には、新設主ロープ7が巻き掛けられており、既設トラクションシーブ22は、リニューアル後のエレベータ装置1においては、錘シーブとして利用されている。すなわち、既設トラクションシーブ22は、撤去された錘シーブ12の代替えとして機能している。 【0079】 新設巻上機40は、昇降路2の上部に設置されているとともに新設トラクションシーブ42を有している。新設巻上機40は、既設巻上機20が設置されていた位置に配置されることが好適である。より具体的には、昇降路2の上部に既設巻上機ベース21が残存しており、新設巻上機40はこの既設巻上機ベース21上に設置されている。 【0080】 新設主ロープ7は、一方(図6の左側)のヒッチ部から他方(図6の右側)のヒッチ部に向かって、一対のかごシーブ5、新設トラクションシーブ42、錘枠11に設置された既設巻上機20の既設トラクションシーブ22に、この配列順で巻き掛けられている。 【0081】 次に、図1に示すリニューアル前のエレベータ装置1から図6に示すリニューアル後のエレベータ装置1にリニューアルするための、エレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。 【0082】 まず、既設主ロープ4が、一対のかごシーブ5、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22、一対の既設錘シーブ12a、12b、およびヒッチ部から取り外される。 【0083】 続いて、既設巻上機20が設置されている既設巻上機ベース21から、既設トラクションシーブ22を有する既設巻上機20が撤去される。撤去された既設巻上機20のロープ巻上機能およびブレーキ機能は、取り除かれる。なお、既設巻上機ベース21は、昇降路2内から撤去されることなく、昇降路2内に残存する。 【0084】 次に、新設トラクションシーブ42を有する新設巻上機40が設置される。この場合、既設巻上機ベース21上に新設巻上機40が取り付けられる。 【0085】 次に、新設巻上機40によって新設主ロープ7を介して昇降される釣合錘10から、釣合錘10の錘枠11に設置されていた既設錘シーブ12a、12bが撤去される。 【0086】 次に、撤去された既設巻上機20が、既設錘シーブ12a、12bが撤去された錘枠11に設置される。このようにして、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22は、錘シーブとして利用される。 【0087】 その後、新設主ロープ7が、新設トラクションシーブ42、および錘枠11に設置された既設巻上機20の既設トラクションシーブ22に巻き掛けられる。このとき、例えば新設主ロープ7の一端が、一方(図6の左側)のヒッチ部に取り付けられる。続いて、新設主ロープ7が、一対のかごシーブ5、新設トラクションシーブ42、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22に、この配列順となるように巻き掛けられる。その後、新設主ロープ7の他端が、他方(図6の右側)のヒッチ部に取り付けられる。 【0088】 このようにして、リニューアル作業が完了し、図6に示すエレベータ装置1が得られる。 【0089】 このように本実施の形態によれば、既設巻上機20を昇降路2から搬出することなく、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22が、錘シーブとして利用されている。また、既設巻上機ベース21を撤去することなく、新設巻上機40が既設巻上機ベース21上に設置されている。このことにより、既設巻上機20および既設巻上機ベース21を有効利用することができ、既設巻上機20の搬出を省略するとともに、既設巻上機ベース21の撤去および搬出を省略することができる。このため、リニューアル時の作業量を軽減することができ、リニューアル作業の効率を向上させることができる。この結果、リニューアル作業の工期を短縮することができるとともに、リニューアル費用を削減することができる。 【0090】 また、本実施に形態によれば、既設巻上機20が、釣合錘10の錘として利用されている。このことにより、既設巻上機20を有効利用することができ、既設巻上機20の搬出を省略することができる。 【0091】 なお、上述した本実施の形態においては、既設主ロープ4を取り外す工程と、既設巻上機20を撤去する工程と、新設巻上機40を設置する工程と、既設錘シーブ12a、12bを撤去する工程と、既設巻上機20を設置する工程と、新設主ロープ7を巻き掛ける工程と、がこの順番で行われる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、リニューアル作業が完了した後に、図6に示すエレベータ装置1が得られていれば、各工程の順番はこれに限られることはない。 【0092】 また、上述した本実施の形態においては、既設巻上機20が昇降路2の上部に設けられていた例(図1参照)について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、既設巻上機20が昇降路2の下部に設けられていてもよい(図3参照)。この場合においても、図7に示すように、既設巻上機20を既設巻上機ベース21から撤去し、撤去した既設巻上機20を錘枠11に設置し、既設巻上機ベース21上に新設巻上機40を設置すればよい。このことにより、新設主ロープ7をかごシーブ5、新設トラクションシーブ42および既設トラクションシーブ22に巻き掛けることができる。このため、既設巻上機20および既設巻上機ベース21を有効利用することができ、既設巻上機20の搬出を省略するとともに、既設巻上機ベース21の撤去および搬出を省略することができる。 【0093】 また、上述した本実施の形態においては、錘枠11に設置されていた錘体13が、例えば、既設錘シーブ12a、12bを撤去する際に撤去されてもよい。 【0094】 (第5の実施の形態) 次に、図8を用いて、本発明の第5の実施の形態におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。 【0095】 図8に示す第5の実施の形態においては、既設巻上機が撤去された既設巻上機ベースに、新設そらせシーブが設置される点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図8において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。 【0096】 図8に示すように、本実施の形態のリニューアルした後のエレベータ装置1においては、既設巻上機ベース21から既設巻上機20が撤去されている。しかしながら、既設巻上機ベース21は、昇降路2内から撤去されることなく、昇降路2内に残存している。そして、既設巻上機20が撤去された既設巻上機ベース21上に、新設そらせシーブ70が設置されている。 【0097】 新設主ロープ7は、一方(図8の左側)のヒッチ部から他方(図8の右側)のヒッチ部に向かって、一対のかごシーブ5、新設そらせシーブ70、一方の既設錘シーブ12a、新設トラクションシーブ42、他方の既設錘シーブ12bに、この配列順で巻き掛けられている。 【0098】 次に、図1に示すリニューアル前のエレベータ装置1から図8に示すリニューアル後のエレベータ装置1にリニューアルするための、エレベータ巻上機のリニューアル方法について説明する。 【0099】 まず、既設主ロープ4が、一対のかごシーブ5、既設巻上機20の既設トラクションシーブ22、一対の既設錘シーブ12a、12b、およびヒッチ部から取り外される。 【0100】 続いて、既設巻上機ベース21から、既設巻上機20が撤去される。このとき、既設巻上機ベース21は昇降路2内から撤去されることなく、昇降路2内に残存し、新設そらせシーブ70のベースとして利用される。撤去された既設巻上機20のロープ巻上機能およびブレーキ機能は、取り除かれる。 【0101】 次に、既設巻上機20が撤去された既設巻上機ベース21上に、新設そらせシーブ70が設置される。 【0102】 次に、新設トラクションシーブ42を有する新設巻上機40が設置される。 【0103】 その後、新設主ロープ7を、新設そらせシーブ70および新設トラクションシーブ42に巻き掛ける。このとき、例えば新設主ロープ7の一端が、一方(図8の左側)のヒッチ部に取り付けられる。続いて、新設主ロープ7が、一対のかごシーブ5、新設そらせシーブ70、一方の既設錘シーブ12a、新設トラクションシーブ42、他方の既設錘シーブ12bに、この配列順となるように巻き掛けられる。その後、新設主ロープ7の他端が、他方(図8の右側)のヒッチ部に取り付けられる。 【0104】 このようにして、リニューアル作業が完了し、図8に示すエレベータ装置1が得られる。 【0105】 このように本実施の形態によれば、既設巻上機ベース21を撤去することなく、新設そらせシーブ70が、既設巻上機ベース21上に設置されている。このことにより、既設巻上機ベース21を有効利用することができ、既設巻上機ベース21の撤去および搬出を省略することができる。このため、リニューアル時の作業量を軽減することができ、リニューアル作業の効率を向上させることができる。この結果、リニューアル作業の工期を短縮することができるとともに、リニューアル費用を削減することができる。 【0106】 なお、上述した本実施の形態においては、既設主ロープ4を取り外す工程と、既設巻上機20を撤去する工程と、新設そらせシーブ70を設置する工程と、新設巻上機40を設置する工程と、新設主ロープ7を巻き掛ける工程と、がこの順番で行われる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、リニューアル作業が完了した後に、図8に示すエレベータ装置1が得られていれば、各工程の順番はこれに限られることはない。 【0107】 また、上述した本実施の形態においては、既設巻上機20が昇降路2の上部に設けられていた例(図1参照)について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、既設巻上機20が昇降路2の下部に設けられていてもよい(図3参照)。この場合においても、図9に示すように、既設巻上機20を既設巻上機ベース21から撤去し、既設巻上機ベース21上に新設そらせシーブ70を設置し、新設巻上機ベース41上に新設巻上機40を設置すればよい。このことにより、新設主ロープ7をかごシーブ5、新設そらせシーブ70および新設トラクションシーブ42に巻き掛けることができる。このため、既設巻上機ベース21を有効利用することができ、既設巻上機ベース21の撤去および搬出を省略することができる。 【0108】 以上述べた実施の形態によれば、リニューアル作業の工期を短縮し、リニューアル費用を削減することができる。 【0109】 本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。 【符号の説明】 【0110】 1・・・エレベータ装置、2・・・昇降路、4・・・既設主ロープ、7・・・新設主ロープ、10・・・釣合錘、11・・・錘枠、12a、12b・・・既設錘シーブ、13・・・錘体、20・・・既設巻上機、21・・・既設巻上機ベース、22・・・既設トラクションシーブ、23・・・既設巻上機ブレーキ部、40・・・新設巻上機、42・・・新設トラクションシーブ、50a、50b・・・既設そらせシーブ、60・・・新設そらせシーブ、70・・・新設そらせシーブ (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法であって、既設主ロープを取り外す工程と、既設トラクションシーブを有する既設巻上機を撤去することなく、前記既設巻上機のロープ巻上機能を取り除く工程と、新設巻上機ベースをガイドレールに取り付ける工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を前記新設巻上機ベースに設置する工程と、新設主ロープを、前記既設トラクションシーブおよび前記新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備え、前記新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設トラクションシーブは、そらせシーブとして利用されることを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法。 【請求項2】 マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法であって、既設主ロープを取り外す工程と、既設トラクションシーブを有する既設巻上機を撤去することなく、前記既設巻上機のロープ巻上機能を取り除く工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を設置する工程と、新設主ロープを、前記既設トラクションシーブおよび前記新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備え、前記新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設トラクションシーブは、そらせシーブとして利用されることを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法において、 前記既設巻上機は、昇降路の上部に設置されており、釣合錘に、一対の錘シーブが設けられており、前記新設巻上機を設置する工程において、前記新設巻上機は、前記昇降路の上部に設置され、前記新設主ロープを巻き掛ける工程において、前記新設主ロープは、一方の前記錘シーブ、前記新設トラクションシーブ、他方の前記錘シーブに、この配列順で巻き掛けられることを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法。 【請求項3】 前記既設巻上機は、昇降路の下部に設けられており、前記新設巻上機を設置する工程の前に、前記昇降路の上部に設けられていた既設そらせシーブが撤去され、前記新設巻上機を設置する工程において、前記新設巻上機は、前記昇降路の上部に設置されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ巻上機のリニューアル方法。 【請求項4】 前記新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設巻上機は、ブレーキ機能を有していることを特徴とする請求項2に記載のエレベータ巻上機のリニューアル方法。 【請求項5】 マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法であって、既設主ロープを取り外す工程と、既設巻上機を撤去することなく、前記既設巻上機のロープ巻上機能を取り除くとともに、前記既設巻上機から既設トラクションシーブを撤去する工程と、前記既設トラクションシーブが撤去された前記既設巻上機に、新設そらせシーブを設置する工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を設置する工程と、新設主ロープを、前記新設そらせシーブおよび前記新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備えたことを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法。 【請求項6】 マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法であって、既設主ロープを取り外す工程と、既設トラクションシーブを有する既設巻上機を撤去する工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を設置する工程と、釣合錘の錘枠から既設錘シーブを撤去する工程と、撤去された前記既設巻上機を、前記既設錘シーブが撤去された前記錘枠に設置する工程と、新設主ロープを、前記新設トラクションシーブ、および前記錘枠に設置された前記既設巻上機の前記既設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備え、前記新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設トラクションシーブは、錘シーブとして利用されることを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法。 【請求項7】 マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法であって、既設主ロープを取り外す工程と、既設巻上機ベースから、既設巻上機を撤去する工程と、前記既設巻上機が撤去された前記既設巻上機ベース上に、新設そらせシーブを設置する工程と、新設巻上機ベースをガイドレールに取り付ける工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を前記新設巻上機ベースに設置する工程と、新設主ロープを、前記新設そらせシーブおよび前記新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備えたことを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法。 【請求項8】 マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法であって、既設主ロープを取り外す工程と、既設トラクションシーブを有する既設巻上機を撤去することなく、前記既設巻上機のロープ巻上機能を取り除く工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を設置する工程と、新設主ロープを、前記既設トラクションシーブおよび前記新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備え、前記新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設トラクションシーブは、そらせシーブとして利用されることを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法において、 前記新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設巻上機は、ブレーキ機能を有していることを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法。 【請求項9】 マシンルームレスエレベータ装置におけるエレベータ巻上機のリニューアル方法であって、既設主ロープを取り外す工程と、既設トラクションシーブを有する既設巻上機を撤去することなく、前記既設巻上機のロープ巻上機能を取り除く工程と、新設トラクションシーブを有する新設巻上機を設置する工程と、新設主ロープを、前記既設トラクションシーブおよび前記新設トラクションシーブに巻き掛ける工程と、を備え、前記新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設トラクションシーブは、そらせシーブとして利用されることを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法において、 前記既設巻上機は、昇降路の下部に設けられており、前記新設巻上機を設置する工程の前に、前記昇降路の上部に設けられていた既設そらせシーブが撤去され、前記新設巻上機を設置する工程において、前記新設巻上機は、前記昇降路の上部に設置され、 前記新設主ロープを巻き掛ける工程の後において、前記既設巻上機は、ブレーキ機能を有していることを特徴とするエレベータ巻上機のリニューアル方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-09-06 |
出願番号 | 特願2015-235042(P2015-235042) |
審決分類 |
P
1
652・
16-
YAA
(B66B)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 井上 信 |
特許庁審判長 |
冨岡 和人 |
特許庁審判官 |
粟倉 裕二 金澤 俊郎 |
登録日 | 2016-12-22 |
登録番号 | 特許第6064023号(P6064023) |
権利者 | 東芝エレベータ株式会社 |
発明の名称 | エレベータ巻上機のリニューアル方法 |
代理人 | 富田 祥弘 |
代理人 | 富田 祥弘 |