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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1351341
審判番号 不服2017-16637  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-08 
確定日 2019-05-07 
事件の表示 特願2016-121570「携帯端末機および位置情報送信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月17日出願公開、特開2016-195414〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成17年7月29日を出願日とする出願である特願2005-220894号の一部を、平成22年7月26日に新たな特許出願とした特願2010-167413号の一部を、平成24年5月21日に新たな特許出願とした特願2012-115981号の一部を、平成25年11月13日に新たな特許出願とした特願2013-235232号の一部を、平成26年8月25日に新たな特許出願とした特願2014-170424号の一部を、平成27年8月10日に新たな特許出願とした特願2015-158191号の一部を、平成28年6月20日に新たな特許出願としたものであって、同年7月8日に手続補正がなされ、平成29年5月15日付けで拒絶理由が通知され、同年7月24日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年8月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年11月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年11月8日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

平成29年11月8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
非常モードを少なくとも備えた携帯端末機であって、
自機の電源をオフにする電源オフ指示を受け付ける受付手段と、
自機の現在地を示す位置情報を取得する取得手段と、
通信手段と、
自機が前記非常モードに設定された場合に、前記受付手段が前記電源オフ指示を受け付けると、前記取得手段に位置情報を取得させ、前記通信手段に当該位置情報をネットワークを介して他の通信装置へ送信させる制御手段と、
他の通信装置から前記非常モードの設定に関するデータを受信して自機のモードを自機に対する操作によっても設定される前記非常モードに設定する設定手段と、を備え、
前記設定手段は、前記他の通信装置から前記非常モードの設定に関するデータを受信して自機のモードを前記非常モードに設定する際にパスワードの入力を要求する
ことを特徴とする携帯端末機。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成29年7月24日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
非常モードを少なくとも備えた携帯端末機であって、
自機の電源をオフにする電源オフ指示を受け付ける受付手段と、
自機の現在地を示す位置情報を取得する取得手段と、
通信手段と、
自機が前記非常モードに設定された場合に、前記受付手段が前記電源オフ指示を受け付けると、前記取得手段に位置情報を取得させ、前記通信手段に当該位置情報をネットワークを介して他の通信装置へ送信させる制御手段と、
自機のモードを前記非常モードに設定する際にパスワードの入力を要求する設定手段と
を備えることを特徴とする携帯端末機。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「自機のモードを前記非常モードに設定する際にパスワードの入力を要求する設定手段」を、「他の通信装置から前記非常モードの設定に関するデータを受信して自機のモードを自機に対する操作によっても設定される前記非常モードに設定する設定手段」であって、「前記設定手段は、前記他の通信装置から前記非常モードの設定に関するデータを受信して自機のモードを前記非常モードに設定する際にパスワードの入力を要求する」ものに限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(平成18年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)先願発明と周知技術
ア 先願発明
(ア)原査定の拒絶の理由2で引用された(引用文献3である)、特願2005-217488号(以下「先願」という。特許出願平成17年7月27日、出願公開 特開2007-36709号公報 出願人 富士通株式会社)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という。)のうちの上記明細書(以下、「先願明細書」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

a.「【実施例】
【0025】
まず、本実施例に係る携帯電話機が有する三つの動作モードおよび動作モード間の遷移について説明する。図1は、本実施例に係る携帯電話機が有する三つの動作モードおよび動作モード間の遷移を示す動作モード遷移図である。
【0026】
同図に示すように、本実施例に係る携帯電話機は、通常モード、警戒モードおよび緊急モードの三つの動作モードを有する。通常モードは、通話やメールなど携帯電話機を通常使用する際のモードである。通常モードでは、画像撮影/送信、位置情報取得/送信、音声録音/送信、電池残量の監視等の防犯に関する動作を一切行わない。通常モード中、利用者操作により警戒モード移行のための操作が行われた場合、あるいは、利用者スケジュールによる警戒モード切替えがあった場合、警戒モードに移行する。
【0027】
警戒モードは、通常モードで使用可能な各種機能に加えて携帯電話機の第一段階の防犯機能を動作させ、利用者保護のための防犯情報を警戒情報として所定の宛先にメールで送信するモードである。ここで、防犯情報としては、携帯電話機の位置情報ならびに周囲の画像および音声がある。警戒モード中は、利用者操作により画像撮影/送信、位置情報取得/送信、音声録音/送信、アラーム鳴動などの防犯動作を即座に行うことが可能である。併せて画像撮影/送信、位置情報取得/送信、音声録音/送信を利用者設定の周期にて自動的に繰り返すことが可能である。
【0028】
また、警戒モード中、利用者操作により通常モード移行のための操作が行われた場合、あるいは、利用者スケジュールによる通常モード切替えがあった場合は、通常モードに移行する。
【0029】
また、警戒モード中に電源オフ操作が行われた場合、利用者が設定した時間が経過した場合、もしくは電池残量が利用者が設定した閾値を下回った場合に、警戒モードから緊急モードへ移行する。
【0030】
緊急モードは、携帯電話機の第二段階の防犯機能を動作させて防犯情報を緊急情報として所定の宛先にメールで送信するモードである。緊急モード中は、携帯電話機は基本的には電源オフ状態となるが、利用者指定の周期で自動的に電源をオンし、無音、無表示にて第三者に悟られることなく画像撮影/送信、位置情報取得/送信、音声録音/送信を自動的に繰り返すことが可能である。
【0031】
このように、本実施例では、携帯電話機に三つの動作モード(通常モード、警戒モード、緊急モード)を設け、各々のモード毎に動作する機能を切り替え可能とし、利用者が警戒モードで携帯電話機を使用することによって、監視センター、他のセキュリティ機器等の携帯電話機以外の機器を使用することなく簡易的な防犯システムを構築することができる。
【0032】
また、防犯機能動作時には、利用者操作を必要とすることなく防犯情報を周期的にかつ自動的にメール送信する機能を有することにより、誘拐/監禁された場合等の危機的状況において利用者が携帯電話機を操作不能な状態でも、防犯機能を動作させることを可能とすることで、犯罪被害の拡大を抑止することができる。
【0033】
次に、本実施例に係る携帯電話機の構成について説明する。図2は、本実施例に係る携帯電話機の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この携帯電話機100は、計時専用チップ100aとアプリケーション用チップ100bとを有する。
【0034】
計時専用チップ100aは、携帯電話機100の電源がオフである場合にも常時給電されているタイマーであり、携帯電話機100が緊急モードで動作を開始するときに緊急情報を送信する周期が設定され、設定時間が経過するとアプリケーション用チップ100bの電源をオンにする。
【0035】
アプリケーション用チップ100bは、通常の携帯電話としての動作と防犯動作を行うハードウェアであり、設定情報記憶部101と、キー制御部102と、動作モード制御部103と、GPS制御部104と、カメラ制御部105と、トーン/音声制御部106と、表示制御部107と、タイマー制御部108と、電池残量制御部109と、スケジュール制御部110と、メール制御部111と、無線制御部112と、設定情報制御部113とを有する。
【0036】・・・(省略)・・・
【0037】・・・(省略)・・・
【0038】
キー制御部102は、利用者からのキー操作を受け付ける処理部であり、受け付けたキー操作の内容を動作モード制御部103や設定情報制御部113に通知する。例えば、このキー制御部102は、通常モードと警戒モードとの間の移行のためのキー操作を受け付け、動作モード制御部103に通知したり、設定情報記憶部101に記憶される各種の設定値の入力を利用者から受け付けて設定情報制御部113に渡したりする。
【0039】
動作モード制御部103は、通常モード、警戒モードおよび緊急モードの間の切り替えを制御するとともに、各動作モード時の動作制御を行う制御部である。具体的には、この動作モード制御部103は、携帯電話機100の動作モード、キー制御部102からのキー操作通知、設定情報記憶部101に記憶された設定情報などに基づいて以下のような動作制御を行う。
【0040】
この動作モード制御部103は、動作モードが通常モードであるときに、通常モードから警戒モードへの移行を指示するキー操作が利用者により行われたことをキー制御部102から通知された場合、あるいは、通常モードから警戒モードへの移行時刻となったことをスケジュール制御部110から通知された場合に、動作モードを通常モードから警戒モードへ切り替える。」(公開公報5?6頁)

b.「【0048】
また、この動作モード制御部103は、動作モードが警戒モードであるときに、電源オフ操作が行われたことをキー制御部102から通知された場合にも、動作モードを緊急モードに切り替える。これは、利用者に緊急事態が発生し、利用者以外の例えば犯罪者が電源をオフしたと考えられるためである。
【0049】
また、この動作モード制御部103は、動作モードを緊急モードに切り替えた際に、設定情報記憶部101に記憶されている電源オン周期の設定値を参照し、その情報を常時給電されている計時専用チップ100aへ設定し、その後、携帯電話機100の電源をオフする。電源をオフすることにより各制御部は、通常モード時と同様に終了処理を行う。これにより、携帯電話機100としては、計時専用チップ100aのみ作動している状態となる。計時専用チップ100aは、携帯電話機100が電源オフでも給電をされ、動作モード制御部103から設定された電源オン周期経過後にアプリケーション用チップ100bの電源をオンする。
【0050】
また、この動作モード制御部103は、動作モードが緊急モードであるときに、計時専用チップ100aによりアプリケーション用チップ100bの電源がオンにされると、GPS制御部104、カメラ制御部105、トーン/音声制御部106、表示制御部107、メール制御部111、無線制御部112、設定情報制御部113に対して緊急モード起動要求を送信する。
【0051】
そして、この動作モード制御部103は、携帯電話機100の周囲の状況や位置を把握するための防犯情報取得のため、GPS制御部104に位置情報の取得を指示し、カメラ制御部105に対して画像撮影を指示し、トーン/音声制御部106に対して周囲音声の録音を指示する。そして、それら各々の情報取得後、設定情報記憶部101に記憶された緊急情報送付先の情報を取得し、これらの情報を元にメール制御部111へメール送信要求を送信する。
【0052】
そして、この動作モード制御部103は、メール送信後、設定情報記憶部101に記憶されている電源オン周期の設定値を参照し、その設定値を計時専用チップ100aへ設定後、アプリケーション用チップ100bの電源をオフする。このようにして、緊急モードの動作が繰り返される。」(公開公報7?8頁)

c.「【0059】
GPS制御部104は、GPSを用いて位置情報を取得し、取得した位置情報を管理する処理部であり、動作モード制御部103から位置情報の取得指示を受けると、即座に位置情報の取得を行い、取得した位置情報を動作モード制御部103に通知する。」(8頁)

d.「【0067】
メール制御部111は、メールの送受信を行う処理部であり、動作モード制御部103から防犯情報および送付先の情報を受け取り、防犯情報を送付先に無線制御部112を介してメールで送信する。
【0068】
無線制御部112は、無線による情報の送受信に関する制御を行う制御部であり、無線により送られてくる情報を受信し、また、メールなどの情報を無線で送信する。」(9頁)

(イ)上記記載から、先願明細書等には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

a.段落【0026】、段落【0033】及び段落【0035】の記載によれば、「通常モード、警戒モードおよび緊急モードの三つの動作モードを有する携帯電話機であって」、「キー制御部102、動作モード制御部103、GPS制御部104、メール制御部111,無線制御部112」を備えといえる。

b.段落【0038】の記載によれば、「キー制御部102は、通常モードと警戒モードとの間の移行のためのキー操作を受け付け、動作モード制御部103に通知したり、設定情報記憶部101に記憶される各種の設定値の入力を利用者から受け付けて設定情報制御部113に渡し」といえる。

c.段落【0039】、段落【0040】及び段落【0048】の記載によれば、「動作モード制御部103は、通常モード、警戒モードおよび緊急モードの間の切り替えを制御するとともに、各動作モード時の動作制御を行う制御部」であって、「動作モード制御部103は、動作モードが通常モードであるときに、通常モードから警戒モードへの移行を指示するキー操作が利用者により行われたことをキー制御部102から通知された場合」、「動作モードを通常モードから警戒モードへ切り替え」、「動作モードが警戒モードであるときに、電源オフ操作が行われたことをキー制御部102から通知された場合に」、「動作モードを緊急モードに切り替え」、段落【0051】の記載によれば、「携帯電話機100の周囲の状況や位置を把握するための防犯情報取得のため、GPS制御部104に位置情報の取得を指示し」、「それら各々の情報取得後、設定情報記憶部101に記憶された緊急情報送付先の情報を取得し、これらの情報を元にメール制御部111へメール送信要求を送信」する。ここで、段落【0030】の記載によれば、「緊急モードは、携帯電話機の第二段階の防犯機能を動作させて防犯情報を緊急情報として所定の宛先にメールで送信するモードであ」り、「緊急モード中は、携帯電話機は基本的には電源オフ状態となるが、利用者指定の周期で自動的に電源をオンし、無音、無表示にて第三者に悟られることなく画像撮影/送信、位置情報取得/送信、音声録音/送信を自動的に繰り返」す。

d.段落【0059】の記載によれば、「GPS制御部104は、GPSを用いて位置情報を取得し、取得した位置情報を管理する処理部であり、動作モード制御部103から位置情報の取得指示を受けると、即座に位置情報の取得を行い、取得した位置情報を動作モード制御部103に通知」する。

e.段落【0067】の記載によれば、「メール制御部111は、メールの送受信を行う処理部であり、動作モード制御部103から防犯情報および送付先の情報を受け取り、防犯情報を送付先に無線制御部112を介してメールで送信」し、段落【0068】の記載によれば、「無線制御部112は、無線による情報の送受信に関する制御を行う制御部であり、無線により送られてくる情報を受信し、また、メールなどの情報を無線で送信」する。

(ウ)上記(ア)、(イ)から、先願明細書等には、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されていると認める。

(先願発明)
「通常モード、警戒モードおよび緊急モードの三つの動作モードを有する携帯電話機であって、
キー制御部102、動作モード制御部103、GPS制御部104、メール制御部111,無線制御部112を備え、
キー制御部102は、通常モードと警戒モードとの間の移行のためのキー操作を受け付け、動作モード制御部103に通知したり、設定情報記憶部101に記憶される各種の設定値の入力を利用者から受け付けて設定情報制御部113に渡し、
GPS制御部104は、GPSを用いて位置情報を取得し、取得した位置情報を管理する処理部であり、動作モード制御部103から位置情報の取得指示を受けると、即座に位置情報の取得を行い、取得した位置情報を動作モード制御部103に通知し、
メール制御部111は、メールの送受信を行う処理部であり、動作モード制御部103から防犯情報および送付先の情報を受け取り、防犯情報を送付先に無線制御部112を介してメールで送信し、
無線制御部112は、無線による情報の送受信に関する制御を行う制御部であり、無線により送られてくる情報を受信し、また、メールなどの情報を無線で送信し、
動作モード制御部103は、通常モード、警戒モードおよび緊急モードの間の切り替えを制御するとともに、各動作モード時の動作制御を行う制御部であって、動作モードが通常モードであるときに、通常モードから警戒モードへの移行を指示するキー操作が利用者により行われたことをキー制御部102から通知された場合、動作モードを通常モードから警戒モードへ切り替え、動作モードが警戒モードであるときに、電源オフ操作が行われたことをキー制御部102から通知された場合に、動作モードを緊急モードに切り替え、携帯電話機100の周囲の状況や位置を把握するための防犯情報取得のため、GPS制御部104に位置情報の取得を指示し、それら各々の情報取得後、設定情報記憶部101に記憶された緊急情報送付先の情報を取得し、これらの情報を元にメール制御部111へメール送信要求を送信し、
ここで、緊急モードは、携帯電話機の第二段階の防犯機能を動作させて防犯情報を緊急情報として所定の宛先にメールで送信するモードであり、緊急モード中は、携帯電話機は基本的には電源オフ状態となるが、利用者指定の周期で自動的に電源をオンし、無音、無表示にて第三者に悟られることなく画像撮影/送信、位置情報取得/送信、音声録音/送信を自動的に繰り返す
携帯電話機。」

イ 周知技術
(ア)周知例1
特開2002-77438号公報(平成14年3月15日出願公開。以下、「周知例1」という。)には、以下の技術事項が記載されている。

a.「【0025】携帯電話装置遠隔操作システム1は、携帯電話装置10と、携帯電話装置10’と、基地局2と、無線交換機3と、PC(Personal Computer)4と、NCU(Network Control Unit)5と、交換機6と、SMS制御装置7と、加入者管理装置8と、通信網9とを備えている。」(7頁)

b.「【0035】携帯電話装置10は、上述の動作制御コマンドを直接入力して動作制御される直接操作コマンド入力モードと、携帯電話装置10から上述の動作制御コマンドを記載したショートメール又は電子メールを通信網9を介して再び携帯電話装置10へ送信して動作制御される直接操作メール入力モードと、外部装置から通信網9を介し上述の動作制御コマンドを入力し動作制御される遠隔操作コマンド入力モードと、外部装置から上述の動作制御コマンドを記載したショートメール又は電子メールを通信網9を介して携帯電話装置10へ送信して動作制御される遠隔操作メール入力モードとがある。」(7頁)

c.【0086】また、図4に示した画面上で、”遠隔入力コマンド設定”を選択すると遠隔操作入力コマンドモードになり、直接操作入力コマンドモードと同様の操作で遠隔操作入力コマンドを設定することができる。
【0087】続いて図9に、入力された動作制御コマンドに応じて、機能の設定、解除、利用が可能な携帯電話装置10のサブ機能の一例を動作制御コマンドと供に示す。
【0088】電源に関するサブ機能に関しては、電源を投入する”電源ON”と、電源を切断する”電源OFF”と、一定時間電源が切れその後電源が投入される”ON Timer”と、一定時間で電源が切断される”OFF Timer”と、消費電力を抑える”Power Save Mode”と、コマンド入力のみを受け付ける”Command Only mode ”とが制御可能であり、動作制御コマンド入力による制御が可能なように設定されている場合、コマンド”POWER ON”、”POWER OFF”、”POWER ON time”、”POWER OFFtime”、”POWER SAVE”、”POWER COMM”をそれぞれ入力することで各サブ機能の設定及び解除といった動作を制御することができる。
【0089】発着信に関するサブ機能に関しては、発信を許可する”発信許可”と、発信することをできなくする”発信制限”と、着信を許可する”着信許可”と、着信を無視する”着信制限”と、発信者番号を通知する設定にする”発番号通知 ”と、発信者番号を通知しない設定にする”発番号非通知”と、留守番電話の設定をする”留守番電話機能有効”と、留守番電話の設定を解除する”留守番電話機能無効”と、自動で着信に応答する”自動着信モード設定”と、自動で着信に応答する機能を解除する”自動着信モード解除”とが制御可能であり、コマンド入力による制御が可能なように設定されている場合、コマンド”CALL MO UNLOCK”、”CALL MO LOCK”、”CALL MT UNLOCK”、”CALL MT LOCK”、”CALL DISPLAY ON”、”CALL DISPLAY OFF”、”CALL ANSWER ON”、”CALL ANSWER OFF”、”CALL AUTO ON”、”CALL AUTO OFF”をそれぞれ入力することで各サブ機能を設定及び解除といった動作を制御することができる。」(16頁)

d.「【0205】続いて、図24及び図26を用いて、遠隔操作コマンド入力モードの被操作端末である携帯電話装置10の処理動作について説明する。
【0206】ステップST61において、ユーザは、遠隔操作モードで使用可能な動作制御コマンドの設定をする初期設定を携帯電話装置10に対して行う。遠隔操作コマンド入力モードで使用可能な動作制御コマンドはこの初期設定で使用を許可された動作制御コマンドとなる。
【0207】ステップST62において、携帯電話装置10は、携帯電話装置10’から送信される発呼要求信号(S1)に応じて通信網9で生成され送信された着信通知信号(S2)を着信し、応答可能かどうかを判断する。
【0208】携帯電話装置10は、着信通知信号(S2)に対する応答が可能である場合は、工程をステップST63へと進め、応答が不可能である場合は着信通知信号(S2)を無視し、新たな着信通知信号(S2)の着信を待ち受ける待ち受け状態となる。
【0209】ステップST63において、携帯電話装置10のCPU31は、携帯電話装置10’から送信されるコマンド入力要求信号を着信したことに応じて、携帯電話装置10’に通信網9を介して暗証番号の入力を要求する暗証番号要求信号(S6)送信する。
【0210】暗証番号要求信号(S6)に応じて、ユーザは、携帯電話装置10’に所定の暗証番号を入力すると、携帯電話装置10’は、入力された暗証番号に応じて、暗証番号通知信号(S7)を生成し、通信網9を介して携帯電話装置10に送信する。
【0211】ステップST64において、携帯電話装置10は、携帯電話装置10’から通信網9を介し送信される暗証番号通知信号(S7)を受信し、CPU31は、携帯電話装置10’から入力された暗証番号である暗証番号通知信号(S7)の認証処理をする。CPU31は、暗証番号通知信号(S7)を認証し、携帯電話装置10’による動作制御コマンド入力を許可すると、その旨伝える認証通知信号(S8)を生成し、通信網9を介し携帯電話装置10’へ送信をする。
【0212】CPU31は、暗証番号通知信号(S7)を認証した場合は工程をステップST65へと進め、認証しない場合はステップST77へと工程を進める。
【0213】ユーザは、認証通知信号(S8)を受信した携帯電話装置10’に、所望の動作制御コマンドを入力し、携帯電話装置10’は入力された動作制御コマンドに応じてコマンド通知要求信号(S9)を生成し携帯電話装置10に送信する。
【0214】ステップST65において、携帯電話装置10は、携帯電話装置10’から通信網9を介し送信されたコマンド通知要求信号(S9)を受信する。
【0215】ステップST66において、携帯電話装置10のCPU31は、携帯電話装置10’から送信されたコマンド通知要求信号(S9)が初期設定で設定されEEPROM34に格納されている遠隔入力モードで使用されることを許可された動作制御コマンドであるかどうかのチェックをする。
【0216】CPU31の使用可能動作制御コマンドであるかどうかのチェックによって、動作制御コマンドが正しいコマンドでないと判断されると工程はステップST67へと進み、正しいコマンドであると判断されると工程はステップST68へと進む。」(17?18頁)

e.「【0222】ステップST70において、コマンド通知要求信号(S9)として送信された動作制御コマンドは、ステップST69でINFOコマンドでないと判断されているので、CPU31は、EEPROM34に格納されている設定情報の中から、送信された設定コマンドが示す設定情報の更新をする。」(18頁)

f.「【0234】続いて、図27に示すシーケンスチャート、図28及び図29に示すフローチャートを用いて、携帯電話装置10’から動作制御コマンドを添附した制御用ショートメッセージを携帯電話装置10に送信し、携帯電話装置10の動作を遠隔操作する遠隔操作メール入力モードの処理動作について説明をする。」(19頁)

g.「【0255】続いて、図27及び図29を用いて、遠隔操作メール入力モードの被操作端末である携帯電話装置10の処理動作について説明する。
【0256】ステップST91において、ユーザは、遠隔操作モードで使用可能な動作制御コマンドの設定をする初期設定を携帯電話装置10に対して行う。遠隔操作メール入力モードで使用可能な動作制御コマンドはこの初期設定で使用を許可された動作制御コマンドとなる。
【0257】ステップST92において、携帯電話装置10は、携帯電話装置10’から通信網9、SMS制御装置7を介して送信されたショートメッセージ(S21)を受信する。
【0258】ステップST93において、携帯電話装置10のCPU31は、携帯電話装置10’から送信されたショートメッセージの主題記載欄又は本文記載欄の先頭に当該ショートメッセージが制御用ショートメッセージであることを示す特定の文字列が記載されているかどうかを検出する。
【0259】特定の文字列がCPU31によって検出され、携帯電話装置10’から送信されたショートメッセージが制御用ショートメッセージであると判断された場合には、ステップST94へと工程を進め、CPU31によって特定の文字列が検出されず通常のショートメッセージであると判断された場合にはステップST102へと工程を進める。
【0260】ステップST94において、CPU31は、制御用ショートメッセージ内に記述されている暗号化された携帯電話装置10の機能を利用するための暗証番号をチェックし、さらに制御用ショートメッセージを送信し携帯電話装置10を遠隔操作しようとしているユーザが正規の利用ユーザであるかどうかを確認するため送信された制御用ショートメッセージの発番号通知情報をチェックする認証処理を行う。CPU31の認証処理によって制御用ショートメッセージが正規のユーザから送信された制御用ショートメッセージであることが認証された場合はステップST95へと工程を進め、認証されなかった場合はステップST101へと工程を進める。
【0261】ステップST95において、携帯電話装置10のCPU31は、制御用ショートメッセージの本文記載欄に記載された制御用コマンドを一つだけ読み込む。さらにCPU31は、読み込んだ制御用コマンドが実行可能なコマンドがどうかを検証する。CPU31は、読み込んだ制御用コマンドが初期設定で設定されたEEPROM34に格納されている遠隔操作で許可されたコマンドと一致するかどうかをチェックする。実行可能コマンドであると判断された場合はステップST96へと工程を進め、実行不可能と判断された場合はステップST101へと工程を進める。
【0262】ステップST96において、CPU31は、制御用ショートメッセージから読み込んだ制御用コマンドがINFOコマンドであるかどうかの判断をする。INFOコマンドでない場合はステップST97へと工程を進め、INFOコマンドである場合はステップST98へと工程を進める。
【0263】なお、INFOコマンドでない場合は、携帯電話装置10の設定情報を更新するための設定コマンドであるということになる。
【0264】ステップST97において、CPU31は、設定情報を更新する設定コマンドを実行し、EEPROM34に格納されている設定情報の中から入力された設定コマンドが示す設定情報の更新をする。ステップST97が終了すると工程はステップST100へと進む。」(20頁)

上記b.によれば、「携帯電話装置10は、上述の動作制御コマンドを直接入力して動作制御される直接操作コマンド入力モードと、」「外部装置から通信網9を介し上述の動作制御コマンドを入力し動作制御される遠隔操作コマンド入力モードと、外部装置から上述の動作制御コマンドを記載したショートメール又は電子メールを通信網9を介して携帯電話装置10へ送信して動作制御される遠隔操作メール入力モードと」を有する。

上記c.によれば、「入力された動作制御コマンドに応じて、機能の設定、解除、利用が可能」であり、「電源に関するサブ機能に関しては、」「消費電力を抑える”Power Save Mode”と、コマンド入力のみを受け付ける”Command Only mode ”とが制御可能であり、動作制御コマンド入力による制御が可能なように設定されている場合、」「”POWER SAVE”、”POWER COMM”をそれぞれ入力することで各サブ機能の設定及び解除といった動作を制御することができ」、「発着信に関するサブ機能に関しては」、「自動で着信に応答する”自動着信モード設定”と、自動で着信に応答する機能を解除する”自動着信モード解除”とが制御可能であり、コマンド入力による制御が可能なように設定されている場合、」「”CALL AUTO ON”、”CALL AUTO OFF”をそれぞれ入力することで各サブ機能を設定及び解除といった動作を制御することができる。」
そして、上記d.及びe.によれば、「遠隔操作コマンド入力モード」では、「ステップST63において、携帯電話装置10のCPU31は、携帯電話装置10’から送信されるコマンド入力要求信号を着信したことに応じて、携帯電話装置10’に通信網9を介して暗証番号の入力を要求する暗証番号要求信号(S6)送信」し、「ステップST64において、携帯電話装置10は、携帯電話装置10’から通信網9を介し送信される暗証番号通知信号(S7)を受信し、CPU31は、携帯電話装置10’から入力された暗証番号である暗証番号通知信号(S7)の認証処理をする。CPU31は、暗証番号通知信号(S7)を認証し、携帯電話装置10’による動作制御コマンド入力を許可すると、その旨伝える認証通知信号(S8)を生成し、通信網9を介し携帯電話装置10’へ送信」し、「ユーザは、認証通知信号(S8)を受信した携帯電話装置10’に、所望の動作制御コマンドを入力し、携帯電話装置10’は入力された動作制御コマンドに応じてコマンド通知要求信号(S9)を生成し携帯電話装置10に送信」し、「ステップST70において」、「EEPROM34に格納されている設定情報の中から、送信された設定コマンドが示す設定情報の更新をする。」

また、上記f.及びg.によれば、動作制御コマンドを添附した制御用ショートメッセージによる「遠隔操作メール入力モード」では、「ステップST92において、携帯電話装置10は、携帯電話装置10’から通信網9、SMS制御装置7を介して送信されたショートメッセージ(S21)を受信」し、「ステップST94において、CPU31は、制御用ショートメッセージ内に記述されている暗号化された携帯電話装置10の機能を利用するための暗証番号をチェックし」、「CPU31の認証処理によって制御用ショートメッセージが正規のユーザから送信された制御用ショートメッセージであることが認証された場合はステップST95へと工程を進め」、「ステップST97において、CPU31は、設定情報を更新する設定コマンドを実行し、EEPROM34に格納されている設定情報の中から入力された設定コマンドが示す設定情報の更新をする。」(【0257】、【0260】、【0264】)。
そうすると周知例1には、「携帯電話機10’からモードの設定に関する動作制御コマンドを受信して携帯電話機10への直接入力によっても設定が可能なサブ機能の設定を行う手段」であって、「携帯電話機10’からモードの設定に関する動作制御コマンドを受信して携帯電話機10のモードを設定する際に暗証番号の入力を要求する」ものが記載されているといえる。

(イ)周知例2
特開2000-134361号公報(平成12年5月12日出願公開。以下、「周知例2」という。)には、以下の技術事項が記載されている。

a.「【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、変更要求を受ける着信側から見ると、無断で自分の電話機の設定を変更されると困るという課題がある。例えば、会議中の部屋等、大きな着信音が鳴り響くのが相応しくない場所では、無断で着信音を大きくされると、着信電話機の使用者にとっては大変不都合であり、また、自分が設定した内容が勝手に変更されてしまっては、非常に使いずらい。
【0007】本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、着側電話機使用者が、着側電話機の呼び出し音やバイブレータのオン/オフ等の設定内容の変更に関して、発信電話機側から制御を受けることを、許諾するのか或いは拒否するのかを選択できるようにして、不都合な設定変更を回避できるようにするとともに、不都合でない設定変更を可能にした、設定内容可変型電話機及び着側電話機の設定内容変更が可能な電話機を提供することを目的とする。」(3頁)

b.「【0033】一方、図5は、図3に示した設定内容可変型電話機(携帯電話機1b)を詳細に表したものであって、受信アンテナ2と、無線受信部(無線受信手段)13と、メッセージ処理部26と、設定変更諾否記憶部(記憶手段)18と、表示操作部(表示操作手段)19とをそなえるとともに、ハードウェアとして、メモリ(RAM)18a,CPU21,ROM22,マイク20,スピーカ25,リンガ(鳴動部)23,バイブレータ(振動部)24,ディスプレイ19a,テンキー19b,スイッチ19c等を有する。そして、メモリ書き込み手段(外部入力手段)27が、この携帯電話機1bに接続されている。なお、これらの各ハードウェアが有する機能は、公知内容であるので、その詳細な説明は省略する。
【0034】ここで、無線受信部13は、上記の無線受信手段3に対応して、ISDN網51から無線基地局50bを介して送信される無線信号を受信アンテナ2にて受信し、制御信号や音声データ等の復調を行なうもので、既知の携帯電話と同様な電子回路からなる。なお、これら無線部分のものに関する詳細な説明は省略する。そして、メッセージ処理部26は、発側電話機との通話を開始・終了させるためにISDN網51から送信される呼設定等のメッセージの制御信号を解析し、通話の開始・終了のために必要な指示をこの携帯電話機1bの各部に出して、適切な動作をさせるようにするものであって、制御信号解析部(機能設定要求受信手段)14と、制御部(制御手段)11と、設定内容変更部(設定内容変更手段)17と、をそなえて構成されている。また、これらの機能はCPU21,メモリ18a,ROM22等にて発揮される。
【0035】ここで、制御信号解析部14は、上記の携帯電話機1bの機能設定要求受信手段4に対応し、呼設定メッセージ30に付加された発側の携帯電話機1aからの機能設定要求を解析するものである。また、制御部11は、上記携帯電話機1bの制御手段10に対応し、設定変更許諾判定部(判定手段)15と、指令部16とをそなえて構成されている。
【0036】ここで、設定変更許諾判定部15は上記の携帯電話機1bの制御手段10内の判定手段5に対応し、上記の制御信号解析部14にて受信された機能設定要求を受け入れるかどうかを判定するものであり、複数の機能設定要求に対応して、部分判定部15-2?15-4をそなえて構成されている。さらに、設定内容変更部17は、上記の携帯電話機1bの設定内容変更手段7に対応し、制御信号解析部14にて解析された機能設定要求に従って設定内容を変更しうるものである。そして、指令部16は上記の携帯電話機1bの制御手段10内の指令手段6に対応し、設定変更許諾判定部15で機能設定要求を受け入れると判定した場合には、その機能設定要求に従った設定内容変更部17による設定内容の変更を許容する一方、設定変更許諾判定部15で機能設定要求を受け入れないと判定した場合には、機能設定要求に従った設定内容変更部17による設定内容の変更を拒否しうるものである。」(6?7頁)

c.「【0043】このような構成によって、発信者は、発側電話機から着側電話機の設定内容を変更するための操作を行なう一方、着信者は、機能設定変更が無条件に行なわれないようにするため、発信者からの設定変更要求に対して許諾/拒否を行なってケースバイケースでの選択を行なうが、設定変更許諾判定部15の機能設定要求を受け入れるための判定の種類は、次の○1?○3の3種類がある。
○1特定の電話番号の相手のみ許諾(許可)する方法。
【0044】この場合、設定変更許諾判定部15は、特定情報として特定の電話番号を有する電話機からの機能設定要求である場合に、その機能設定要求を受け入れると判定する。
○2特定の識別情報(ID/パスワード)をもつ相手のみ許諾する方法。
この場合、設定変更許諾判定部15は、特定情報として特定の識別情報を有する電話機からの機能設定要求である場合に、その機能設定要求を受け入れると判定する。
○3特定のビットパターンを有する相手からの場合は、無条件に設定変更を許諾する方法。」(8頁)(当審注:「○1」は、「○」の中に「1」を、「○2」は、「○」の中に「2」を、「○3」は、「○」の中に「3」を、それぞれ記入したものである。)

d.「【0070】またこのように、制御部11は、特定情報を有する電話機からの機能設定要求である場合に、機能設定要求を受け入れており、その特定情報として特定の電話機情報を有する電話機からの機能設定要求である場合に、その機能設定要求を受け入れている。次に、○2の制御方法について図14?16を用いて説明する。図14にID/パスワードによって許諾/拒否を切り替える場合のメッセージ処理部26の制御要領を示す。この図14のステップE1にて、呼設定メッセージ30が受信されると、ステップE2で、メッセージ処理部26は、受信メッセージ中の設定変更要求の有無を判定する。そして、有りと判定されると、有ルートをとり、ステップE3において、メッセージ処理部26は、図16に示すユーザユーザ情報内に含まれる、発信者から送られてくるオクテット6?12のID(AAA0000 )と、オクテット13?17のパスワード(!#ABC )と、図15に示すメモリ領域18cに格納されている発信者のID/パスワード(AAA0000/!#ABC 又はAAB0001/ABC##)とを順次比較し、一致すれば、諾と判定し、諾ルートをとり、また、一致するID/パスワードが無ければ、否と判定する。すなわち、ID/パスワードがAAA0000/!#ABC 又はAAB0001/ABC## を有する発信者のみが、着側電話機の設定をすることができる。そして、この図14のステップE5の設定変更フローFL1又はFL2が実行されて、設定変更要求に基づくリンガ23の着信音の変更及びバイブレータ24の変更が実行されて、プログラムが終了する(ステップE4)。なお、ステップE2において、設定変更要求が無しと判定されたり、ステップE3において、一致するID/パスワードが無いと判定されたときはそれぞれ、無ルート,否ルートをとり、プログラムは終了する(ステップE4)。また、この図15に示すメモリ領域18cには複数のID/パスワードを格納することができる。番地(アドレス)番号は、説明の便宜上割り振ったもので、アドレス間隔が同図に示す間隔に限る必要はない。
【0071】この設定変更を許諾する発信者のID/パスワードの登録は次のようになる。予め使用者が、表示操作部19に表示されるメニューにしたがって入力すると、設定変更諾否記憶部18は、表示操作部19が読み取った設定変更許諾者のID/パスワードをメモリ領域18cの特定の位置に格納する。設定変更許諾者のID/パスワード以外からの着信時は設定拒否と判断され、設定変更は行なわれない。」(12?13頁)(当審注:「○2」は、「○」の中に「2」を、それぞれ記入したものである。)

上記a.によれば、着側電話機使用者が設定した着側電話機の設定内容を発信電話機側から変更する際に、許諾するのか或いは拒否するのかを選択できるようにしたものであり、上記b.によれば、「メッセージ処理部26」は、「制御信号解析部(機能設定要求受信手段)14と、制御部(制御手段)11と、設定内容変更部(設定内容変更手段)17と、をそなえて構成され」、「制御部11」は、「設定変更許諾判定部(判定手段)15と、指令部16とをそなえて構成」される。そして「制御信号解析部14」は、「呼設定メッセージ30に付加された発側の携帯電話機1aからの機能設定要求を解析」し、「設定変更許諾判定部15」は、「上記の制御信号解析部14にて受信された機能設定要求を受け入れるかどうかを判定」し、「設定内容変更部17」は、「制御信号解析部14にて解析された機能設定要求に従って設定内容を変更」するものであり、「指令部16」は、「設定変更許諾判定部15で機能設定要求を受け入れると判定した場合には、その機能設定要求に従った設定内容変更部17による設定内容の変更を許容する一方、設定変更許諾判定部15で機能設定要求を受け入れないと判定した場合には、機能設定要求に従った設定内容変更部17による設定内容の変更を拒否」する。
ここで、上記着側電話機使用者が設定した設定内容は、着側電話機に対する操作によって設定したものと解することができる。
そうすると、「メッセージ処理部26」は、「発信電話機側から着側電話機の設定内容の変更に関する機能設定要求を含む呼設定メッセージを受信して着側電話機に対する操作によって設定される設定内容を設定する手段」といえる。

上記c.によれば、「発信者は、発側電話機から着側電話機の設定内容を変更するための操作を行なう一方、着信者は、機能設定変更が無条件に行なわれないようにするため、発信者からの設定変更要求に対して許諾/拒否を行なってケースバイケースでの選択を行なう」。そして、「設定変更許諾判定部15の機能設定要求を受け入れるための判定」として、「○2特定の識別情報(ID/パスワード)をもつ相手のみ許諾する方法」では、「設定変更許諾判定部15は、特定情報として特定の識別情報を有する電話機からの機能設定要求である場合に、その機能設定要求を受け入れると判定する」ことが記載されている。そして、上記dによれば、「メッセージ処理部26」は、発信者から送られてくるID/パスワードと、メモリ領域18cに格納されている設定変更許諾者のID/パスワードとが一致すると着側電話機の設定を許諾する。
ここで、発信者から送られてくるID/パスワードは、発信電話機側で入力されたものと解することができ、設定変更許諾者のID/パスワードとの一致が設定を許諾する要件になっているから、特定の識別情報(ID/パスワード)の入力を要求するものといえる。
そうすると、「発信電話機側から機能設定要求を含む呼設定メッセージを受信して着側電話機の機能設定を行う際に特定の識別情報(ID/パスワード)の入力を要求する」ものといえる。

以上より、周知例2には、「発信電話機側から着側電話機の設定内容の変更に関する機能設定要求を含む呼設定メッセージを受信して着側電話機に対する操作によって設定される設定内容を設定する手段」であって、「発信電話機側から機能設定要求を含む呼設定メッセージを受信して着側電話機の機能設定を行う際に特定の識別情報(ID/パスワード)の入力を要求する」ものが記載されているといえる。

(ウ)上記(ア)、(イ)より、「携帯電話機に対する操作によっても設定することのできる機能設定を、別の携帯電話機からの機能設定に関するデータを受信して設定する手段」であって、「別の携帯電話機からの機能設定に関するデータを受信して携帯電話機の機能設定を行う際にパスワードの入力を要求する」(以下、「周知技術1」という。)は周知の技術であるといえる。

(3)先願発明との対比
ア 対比
(ア)先願発明は、「キー制御部102、動作モード制御部103、GPS制御部104、メール制御部111,無線制御部112を備え」、「通常モード、警戒モードおよび緊急モードの三つの動作モードを有する携帯電話機」であって、「動作モード制御部103」は、「動作モードが警戒モードであるときに、電源オフ操作が行われたことをキー制御部102から通知された場合に、動作モードを緊急モードに切り替え、携帯電話機100の周囲の状況や位置を把握するための防犯情報取得のため、GPS制御部104に位置情報の取得を指示し、それら各々の情報取得後、設定情報記憶部101に記憶された緊急情報送付先の情報を取得し、これらの情報を元にメール制御部111へメール送信要求を送信」するから、先願発明の「警戒モード」と、該警戒モードであるときに、電源オフ操作が行われたことをキー制御部102から通知された場合に、自動的に切り替わる「緊急モード」とを併せて、本件補正発明の「非常モード」に相当し、先願発明の「動作モード制御部103」及び「GPS制御部104」は、それぞれ本件補正発明の、「自機が前記非常モードに設定された場合に、前記受付手段が前記電源オフ指示を受け付けると、前記取得手段に位置情報を取得させ、前記通信手段に当該位置情報をネットワークを介して他の通信装置へ送信させる制御手段」及び「自機の現在地を示す位置情報を取得する取得手段」に相当し、本件補正発明と先願発明とは、「非常モードを少なくとも備えた携帯端末機」である点で一致する。

(イ)先願発明の「キー制御部102」は、「通常モードと警戒モードとの間の移行のためのキー操作を受け付け、動作モード制御部103に通知したり、設定情報記憶部101に記憶される各種の設定値の入力を利用者から受け付けて設定情報制御部113に渡」すものであり、「動作モードが警戒モードであるときに、電源オフ操作が行われたこと」を「動作モード制御部103」に「通知」するから、本件補正発明の「自機の電源をオフにする電源オフ指示を受け付ける受付手段」に含まれる。

(ウ)先願発明の「無線制御部112」は、「無線による情報の送受信に関する制御を行う制御部であり、無線により送られてくる情報を受信し、また、メールなどの情報を無線で送信」するものであり、「緊急モード」において、「位置情報」を「所定の宛先にメールで送信」するから、本件補正発明の「当該位置情報をネットワークを介して他の通信装置に送信」する「通信手段」に含まれる。

(エ)先願発明は、「動作モードが通常モードであるときに、通常モードから警戒モードへの移行を指示するキー操作が利用者により行われたことをキー制御部102から通知された場合、動作モードを通常モードから警戒モードへ切り替え」るから、本件補正発明と先願発明とは「自機のモードを自機に対する操作によって前記非常モードに設定する設定手段」を有するといえる点で共通する。

イ 一致点・相違点
以上のことから、本件補正発明と先願発明との一致点及び一応の相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「非常モードを少なくとも備えた携帯端末機であって、
自機の電源をオフにする電源オフ指示を受け付ける受付手段と、
自機の現在地を示す位置情報を取得する取得手段と、
通信手段と、
自機が前記非常モードに設定された場合に、前記受付手段が前記電源オフ指示を受け付けると、前記取得手段に位置情報を取得させ、前記通信手段に当該位置情報をネットワークを介して他の通信装置へ送信させる制御手段と、
自機のモードを自機に対する操作によって前記非常モードに設定する設定手段と、を備える
携帯端末機。」

【一応の相違点】
一致点の「自機のモードを自機に対する操作によって前記非常モードに設定する設定手段」が、本件補正発明では「他の通信装置から前記非常モードの設定に関するデータを受信して」も自機のモードを前記非常モードに設定するものであり、「前記他の通信装置から前記非常モードの設定に関するデータを受信して」前記非常モードに設定する際に「パスワードの入力を要求する」のに対して、先願発明では、当該構成について特定されていない点。

(4)判断
以下、【一応の相違点】について検討する。
先願発明の「通常モードから警戒モードへの移行を指示するキー操作」による「警戒モード」の設定は、先願発明の携帯電話機の機能設定の一つであり、本件補正発明は、先願発明に、単に上記周知技術1を付加して「携帯電話機に対する操作によっても設定することのできる」警戒モードの「設定」を、「別の携帯電話機からの」警戒モードの「設定に関するデータを受信して設定する手段」を備え、「別の携帯電話機から」警戒モードの「設定に関するデータを受信して、携帯電話機の」警戒モードの「設定を行う際にパスワードの入力を要求する」ものに過ぎないから、上記一応の相違点は、実質的な相違点ではない。
したがって、本件補正発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、本件補正発明は、特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反してなされたものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年11月8日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年7月24日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記「第2 平成29年11月8日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の「[理由]」の「1 本件補正について(補正の内容)」の「(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載」に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由2.(拡大先願)は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願3.の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、本願発明は、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない、というものである。

<引用文献等一覧>
1.・・・省略・・・
2.・・・省略・・・
3.特願2005-217488号(特開2007-036709号)
4.特開平07-193865号公報(周知技術を示す文献;新たに引用された文献)
5.特開平09-312687号公報(周知技術を示す文献;新たに引用された文献)

3 先願発明と周知技術
(1)先願発明
原査定の拒絶の理由で引用された先願3.の先願明細書の記載事項は、前記「第2 平成29年11月8日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の[理由]の「2 補正の適否」の「(2)先願発明と周知技術」の「ア 先願発明」に記載したとおりのものである。

(2)周知技術2
「携帯電話機の機能設定を行う際にパスワードの入力を要求する」(以下、「周知技術2」という。)ことは周知の技術である。例えば、特開7-193865号公報(原査定の拒絶の理由で引用された引用文献等4。特に【0013】?【0058】)、特開2002-77438号公報(上記周知例1)、特開2000-134361号公報(上記周知例2)参照。

4 対比・判断
(1)対比
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明「設定手段」から「他の通信装置から前記非常モードの設定に関するデータを受信して自機のモードを自機に対する操作によっても設定される前記非常モードに設定する」、「前記設定手段は、前記他の通信装置から前記非常モードの設定に関するデータを受信して」との限定事項を削除して、「自機のモードを前記非常モードに設定する際にパスワードの入力を要求する設定手段」としたものである。
したがって、本願発明と、先願発明とを対比すると、以下の点で一致し、一応相違する。

【一致点】
「非常モードを少なくとも備えた携帯端末機であって、
自機の電源をオフにする電源オフ指示を受け付ける受付手段と、
自機の現在地を示す位置情報を取得する取得手段と、
通信手段と、
自機が前記非常モードに設定された場合に、前記受付手段が前記電源オフ指示を受け付けると、前記取得手段に位置情報を取得させ、前記通信手段に当該位置情報をネットワークを介して他の通信装置へ送信させる制御手段と、
自機のモードを前記非常モードに設定する設定手段と、
を備えた
携帯端末機。」

【一応の相違点2】
「設定手段」に関し、本件補正発明では、「自機のモードを前記非常モードに設定する際にパスワードの入力を要求する」のに対して、先願発明では、当該構成について特定されていない点。

(2)判断
以下、【一応の相違点2】について検討する。
先願発明での「警戒モード」の設定は、先願発明の携帯電話機の機能設定の1つであり、本願発明は、先願発明に単に上記周知技術2を付加して、「携帯電話機の」警戒モードの「設定を行う際にパスワードの入力を要求する」ものに過ぎないから、上記一応の相違点2は、実質的な相違点ではない。
したがって、本願発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた上記特許出願3.の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明(先願発明)と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、本願発明は、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-02-27 
結審通知日 2019-03-05 
審決日 2019-03-20 
出願番号 特願2016-121570(P2016-121570)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04M)
P 1 8・ 161- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松原 徳久  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 山中 実
中野 浩昌
発明の名称 携帯端末機および位置情報送信方法  
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