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審決分類 |
審判 一部申し立て 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 F04B 審判 一部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) F04B 審判 一部申し立て 4項(134条6項)独立特許用件 F04B 審判 一部申し立て 判示事項別分類コード:857 F04B 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 F04B 審判 一部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 F04B 審判 一部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 F04B 審判 一部申し立て 2項進歩性 F04B 審判 一部申し立て 特29条の2 F04B 審判 一部申し立て 特許請求の範囲の実質的変更 F04B |
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管理番号 | 1353163 |
異議申立番号 | 異議2018-700835 |
総通号数 | 236 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-08-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-10-12 |
確定日 | 2019-06-07 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6311830号発明「マフラ機能を有する圧縮機」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6311830号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項[1,2],[3?15]について訂正することを認める。 特許第6311830号の請求項5?15に係る特許を維持する。 特許第6311830号の請求項1,2に係る特許についての申立てを却下する。 |
理由 |
第1.手続の経緯 特許第6311830号の請求項1?15に係る特許についての出願は,平成29年 7月14日(優先権主張 平成28年 7月14日)の特許出願であって,平成30年 3月30日にその特許権の設定登録がされ,平成30年 4月18日に特許掲載公報が発行された。その後,その特許の請求項1,2,5?15について,平成30年10月12日付けで特許異議申立人 井澤 幹により特許異議の申立てがされ,同年12月13日付けで取消理由が通知され,その指定期間内である平成31年 2月18日付けで特許権者により意見書の提出及び訂正の請求がされ,同年 4月17日付けで異議申立人により意見書の提出があったものである。 第2.訂正の適否 1.訂正の内容 平成31年 2月18日付けの訂正請求(以下,「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は以下の訂正事項1?15のとおりである(下線部は,訂正箇所を示し,当審で付与した。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に 「前記拡大流路部の少なくとも一部は前記圧力容器の中に設けられる,請求項2に記載の圧縮機。」とあるのを,独立形式に改め, 「吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって,冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と,前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と,前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と,前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と,を備え,前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く,前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く,前記圧縮要素を収容する圧力容器(20),をさらに備え,前記第2絞り部の少なくとも一部は前記圧力容器の中に設けられ,前記拡大流路部の少なくとも一部は前記圧力容器の中に設けられる,圧縮機(10)。」 に訂正する(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5,6,14,15も同様に訂正する。)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に, 「前記拡大流路部および前記第2絞り部は,同一の部材として構成されている,請求項1から3のいずれか1つに記載の圧縮機。」とあるのを,請求項1を引用するものについて独立形式に改め, 「吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって,冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と,前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と,前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と,前記第2絞り部から前記冷媒か受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と,を備え,前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く,前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く,前記拡大流路部および前記第2絞り部は,同一の部材として構成されている,圧縮機(10)。」 に訂正する(請求項4の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6,14,15も同様に訂正する。)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に,「請求項1から3のいずれか1つに記載の圧縮機。」とあるのを,訂正事項1及び2で削除した請求項1及び2を引用先から除外して, 「請求項3に記載の圧縮機。」 に訂正する(請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6,14,15も同様に訂正する。)。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に,「請求項1から5のいずれか1つに記載の圧縮機。」とあるのを,訂正事項1及び2で削除した請求項1及び2を引用先から除外して, 「請求項3から5のいずれか1つに記載の圧縮機。」 に訂正する(請求項6の記載を直接的又は間接的に引用する請求項14,15も同様に訂正する。)。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7に, 「前記拡大流路部の流路断面積(AE)は,前記第1絞り部の流路断面積(AS1)の1.5倍以上である,請求項1から6のいずれか1つに記載の圧縮機。」とあるのを,請求項1を引用するものについて独立形式に改めて, 「吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって,冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と,前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と,前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と,前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と,を備え,前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く,前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く,前記拡大流路部の流路断面積(AE)は,前記第1絞り部の流路断面積(AS1)の1.5倍以上である,圧縮機(10)。」 に訂正する(請求項7の記載を直接的又は間接的に引用する請求項14,15も同様に訂正する。)。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8に, 「前記拡大流路部の流路断面積(AE)は,前記第2絞り部の流路断面積(AS2)の1.5倍以上である,請求項1から7のいずれか1つに記載の圧縮機。」とあるのを,請求項1を引用するものについて独立形式に改めて, 「吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって,冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と,前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と,前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と,前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と,を備え,前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く,前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く,前記拡大流路部の流路断面積(AE)は,前記第2絞り部の流路断面積(AS2)の1.5倍以上である,圧縮機(10)。」 に訂正する(請求項8の記載を直接的又は間接的に引用する請求項14,15も同様に訂正する。)。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9に, 「前記第1絞り部の長さ(LS1)は,20mm以上かつ200mm以下である,請求項1から8のいずれか1つに記載の圧縮機。」とあるのを,請求項1を引用するものについて独立形式に改めて, 「吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって,冷媒回路(10)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と,前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と,前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と,前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と,を備え,前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く,前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く,前記第1絞り部の長さ(LS1)は,20mm以上かつ200mm以下である,圧縮機(10)。」 に訂正する(請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する請求項14,15も同様に訂正する。)。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項10に, 「前記拡大流路部の長さ(LE)は,50mm以上かつ400mm以下である,請求項1から9のいずれか1つに記載の圧縮機。」とあるのを,請求項1を引用するものについて独立形式に改めて, 「吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって,冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と,前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と,前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と,前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮宝(33)を有する圧縮要素(30)と,を備え,前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く,前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く,前記拡大流路部の長さ(LE)は,50mm以上かつ400mm以下である,圧縮機(10)。」 に訂正する(請求項10の記載を直接的又は間接的に引用する請求項14,15も同様に訂正する。)。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項11に, 「前記圧縮要素は,前記圧縮室を規定する固定スクロール(31)および可動スクロール(32)を含み,前記第2絞り部を出た前記冷媒は前記固定スクロールを経由して前記圧縮室に入る,請求項1から10のいずれか1つに記載の圧縮機。」とあるのを, 「吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって,冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と, 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と,前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と,前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と,を備え,前記第1絞り部の流路断面積(ASI)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く,前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く,前記圧縮要素は,前記圧縮室を規定する固定スクロール(31)および可動スクロール(32)を含み,前記第2絞り部を出た前記冷媒は前記固定スクロールを経由して前記圧縮室に入り,前記第2絞り部は,前記冷媒を側方から前記固定スクロールヘ案内する,圧縮機(10)。」 に訂正する(請求項11の記載を直接的又は間接的に引用する請求項14,15も同様に訂正する。)。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項12に, 「前記圧縮要素は,前記圧縮室を規定する固定スクロール(31)および可動スクロール(32),および前記固定スクロールを直接的または間接的に支持する支持部材(44)を含み,前記第2絞り部を出た前記冷媒は前記支持部材を経由して前記圧縮室に入る,請求項1から10のいずれか1つに記載の圧縮機。」とあるのを,請求項1を引用するものについて独立形式に改めて, 「吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって,冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と,前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と,前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と,前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と,を備え,前記第1絞り部の流路断面積(ASI)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く,前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く,前記圧縮要素は,前記圧縮室を規定する固定スクロール(31)および可動スクロール(32),および前記固定スクロールを直接的または間接的に支持する支持部材(44)を含み,前記第2絞り部を出た前記冷媒は前記支持部材を経由して前記圧縮室に入る,圧縮機(10)。」 に訂正する(請求項12の記載を直接的又は間接的に引用する請求項14,15も同様に訂正する。)。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項13に, 「前記圧縮要素は,前記圧縮室を規定する固定スクロール(31)および可動スクロール(32),および,前記固定スクロールと共にチャンバ(35)を規定するチャンバ形成部材(34)を含み,前記チャンバは,前記圧縮室から排出される高圧冷媒の流路として機能し,前記第2絞り部を出た前記冷媒は前記チャンバ形成部材を経由して前記圧縮室に入る,請求項1から10のいずれか1つに記載の圧縮機。」とあるのを,請求項1を引用するものについて独立形式に改めて, 「吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって,冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と,前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と,前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と,前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と,を備え,前記第1絞り部の流路断面積(ASI)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く,前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く,前記圧縮要素は,前記圧縮室を規定する固定スクロール(31)および可動スクロール(32),および,前記固定スクロールと共にチャンバ(35)を規定するチャンバ形成部材(34)を含み,前記チャンバは,前記圧縮室から排出される高圧冷媒の流路として機能し,前記第2絞り部を出た前記冷媒は前記チャンバ形成部材を経由して前記圧縮室に入る,圧縮機(10)。」 に訂正する(請求項13の記載を直接的又は間接的に引用する請求項14,15も同様に訂正する。)。 (14)訂正事項14 特許請求の範囲の請求項14に, 「請求項1から13のいずれか1つに記載の圧縮機」 とあるのを,訂正事項1及び2で削除した請求項1及び2を,引用先から除外して, 「請求項3から13のいずれか1つに記載の圧縮機」に訂正する(請求項14の記載を引用する請求項15も同様に訂正する。) (15)訂正事項15 特許請求の範囲の請求項15に, 「請求項1から14のいずれか1つに記載の圧縮機」とあるのを,訂正事項1及び2で削除した請求項1及び2を,引用先から除外して, 「請求項3から14のいずれか1つに記載の圧縮機」 に訂正する。 なお,訂正前の請求項1?15について,請求項2?15は訂正の請求の対象である請求項1を直接的又は間接的に引用する関係にあるから,本件訂正は,一群の請求項1?15について請求されている。 また,訂正後の請求項3?15に係る訂正について,特許権者は,当該請求項についての訂正が認められるときに,一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位として扱われることを求めている。 2.訂正要件についての判断 (1)訂正事項1 ア.訂正の目的について 訂正事項1は,請求項1を削除するというものであるから,訂正事項1による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は,請求項1を削除するというものであるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正には該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア.訂正の目的について 訂正事項2は,請求項2を削除するというものであるから,訂正事項2による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は,請求項2を削除するというものであるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正には該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項3 ア.訂正の目的について 訂正事項3は,訂正前の請求項3の記載が,訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項2の記載を引用する記載であったものを,請求項間の引用関係を解消して,請求項2の記載を引用しないものとし,独立形式へ改めるための訂正であって,特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3による訂正は,何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項4 ア.訂正の目的について 訂正事項4は,訂正前の請求項4の記載が訂正前の請求項1?3のいずれかの記載を引用する記載であったものを,請求項1を引用するものを選択して請求項間の引用関係を解消し,請求項1の記載を引用しないものとし,独立形式へ改めるための訂正であるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は,訂正前の請求項1?3を引用していたものを,訂正前の請求項1を引用するものを選択して請求項間の引用関係を解消し,請求項1の記載を引用しないものとし,独立形式へ改めたものであるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 ウ.特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正事項4による訂正は,特許異議申立てがなされていない請求項4に係る特許法第120条第1項ただし書第1号に係る「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものでもあるから,訂正後の請求項4に係る発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであることが必要である。 そして,後述の先願には,「拡大流路部及び第2絞り部は同一の部材で構成されている」ことが記載されておらず,特許法第29条の2による拒絶理由には該当しないし,後述(第5.)するように他の拒絶理由も存在しないから,訂正後の請求項4に係る発明は,特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであり,訂正事項4による訂正は,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項の規定に適合するものである。 (5)訂正事項5 ア.訂正の目的について 訂正事項5は,訂正前の請求項5の引用先が請求項1から3であったところを,新たな引用先として請求項3に限定するものであって,多数項を引用している請求項の引用請求項数の削減にあたり,訂正事項5による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 訂正事項5は,訂正前の請求項5の引用先が請求項1から3であったところを,新たな引用先として請求項3に限定するものであるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (6)訂正事項6 ア.訂正の目的について 訂正事項6は,訂正前の請求項6の引用先が請求項1から5であったところを,新たな引用先として請求項3から5に限定するものであるから,多数項を引用している請求項の引用請求項数の削減にあたり,訂正事項6による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 訂正事項6は,訂正前の請求項6の引用先が請求項1から5であったところを,新たな引用先として請求項3から5に限定するものであるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (7)訂正事項7 ア.訂正の目的について 訂正事項7は,訂正前の請求項7の記載が訂正前の請求項1から6の記載を引用する記載であったものを,請求項1を引用するものを選択して請求項間の引用関係を解消し,請求項1の記載を引用しないものとし,独立形式へ改めるための訂正であるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張又は変更する訂正ではないこと 訂正事項7は,訂正前の請求項7の記載が訂正前の請求項1から6の記載を引用する記載であったものを,請求項1を引用するものを選択して請求項間の引用関係を解消し,請求項1の記載を引用しないものとし,独立形式へ改めるための訂正であるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (8)訂正事項8 ア.訂正の目的について 訂正事項8は,訂正前の請求項8の記載が訂正前の請求項1から7の記載を引用する記載であったものを,請求項1を引用するものを選択して請求項間の引用関係を解消し,請求項1の記載を引用しないものとし,独立形式へ改めるための訂正であるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張又は変更する訂正ではないこと 訂正事項8は,訂正前の請求項8の記載が訂正前の請求項1から7の記載を引用する記載であったものを,請求項1を引用するものを選択して請求項間の引用関係を解消し,請求項1の記載を引用しないものとし,独立形式へ改めるための訂正であるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (9)訂正事項9 ア.訂正の目的について 訂正事項9は,訂正前の請求項9の記載が訂正前の請求項1から8の記載を引用する記載であったものを,請求項1を引用するものを選択して請求項間の引用関係を解消し,請求項1の記載を引用しないものとし,独立形式へ改めるための訂正であって,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張又は変更する訂正ではないこと 訂正事項9は,訂正前の請求項9の記載が訂正前の請求項1から8の記載を引用する記載であったものを,請求項1を引用するものを選択して請求項間の引用関係を解消し,請求項1の記載を引用しないものとし,独立形式へ改めるための訂正であるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (10)訂正事項10 ア.訂正の目的について 訂正事項10は,訂正前の請求項10の記載が訂正前の請求項1から9の記載を引用する記載であったものを,請求項1を引用するものを選択して請求項間の引用関係を解消し,請求項1の記載を引用しないものとし,独立形式へ改めるための訂正であって,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張又は変更する訂正ではないこと 訂正事項10は,訂正前の請求項10の記載が訂正前の請求項1から9の記載を引用する記載であったものを,請求項1を引用するものを選択して請求項間の引用関係を解消し,請求項1の記載を引用しないものとし,独立形式へ改めるための訂正であるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (11)訂正事項11 ア.訂正の目的について 訂正前の請求項11に係る発明では,「前記第2絞り部を出た前記冷媒は前記固定スクロールを経由して前記圧縮室に入る,」として,第2絞り部を出た冷媒がどちらの方向から圧縮要素に案内されるかは特に定められていなかったものを,訂正後の請求項11に係る発明では,「前記第2絞り部を出た前記冷媒は前記固定スクロールを経由して前記圧縮室に入り,前記第2絞り部は,前記冷媒を側方から前記固定スクロールヘ案内する,」として,第2絞り部を出た冷媒が側方から圧縮要素に案内されることを限定しようとするものであるから,訂正事項11による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また,訂正事項11による訂正は,訂正前の請求項11の記載が訂正前の請求項1から10の記載を引用する記載であったものを,請求項1を引用するものを選択して請求項間の引用関係を解消し,請求項1の記載を引用しないものとし,独立形式へ改めるための訂正であって,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張又は変更する訂正ではないこと 訂正事項11で限定された,第2絞り部を出た冷媒が側方から圧縮要素に案内されることは,願書に添付した図3等に記載されているから,訂正事項11は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (12)訂正事項12 ア.訂正の目的について 訂正事項12は,訂正前の請求項12の記載が訂正前の請求項1から10の記載を引用する記載であったものを,請求項1を引用するものを選択して請求項間の引用関係を解消し,請求項1の記載を引用しないものとし,独立形式へ改めるための訂正であって,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張又は変更する訂正ではないこと 訂正事項12は,訂正前の請求項12の記載が訂正前の請求項1から10の記載を引用する記載であったものを,請求項1を引用するものを選択して請求項間の引用関係を解消し,請求項1の記載を引用しないものとし,独立形式へ改めるための訂正であるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (13)訂正事項13 ア.訂正の目的について 訂正事項13は,訂正前の請求項13の記載が訂正前の請求項1から10の記載を引用する記載であったものを,請求項1を引用するものを選択して請求項間の引用関係を解消し,請求項1の記載を引用しないものとし,独立形式へ改めるための訂正であって,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張又は変更する訂正ではないこと 訂正事項13は,訂正前の請求項13の記載が訂正前の請求項1から10の記載を引用する記載であったものを,請求項1を引用するものを選択して請求項間の引用関係を解消し,請求項1の記載を引用しないものとし,独立形式へ改めるための訂正であるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (14)訂正事項14 ア.訂正の目的について 訂正事項14は,訂正前の請求項14の引用先が請求項1から13であったところを,新たな引用先として請求項3から13に限定するものであって,多数項を引用している請求項の引用請求項数の削減にあたるから,訂正事項14による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 訂正事項14は,訂正前の請求項14の引用先が請求項1から13であったところを,新たな引用先として請求項3から13に限定するものであるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (15)訂正事項15 ア.訂正の目的について 訂正事項15は,訂正前の請求項15の引用先が請求項1から14であったところを,新たな引用先として請求項3から14に限定するものであって,多数項を引用している請求項の引用請求項数の削減にあたるから,訂正事項15による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 訂正事項15は,訂正前の請求項15の引用先が請求項1から14であったところを,新たな引用先として請求項3から14に限定するものであるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (16)小括 以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第9項において準用する同法第126条第5項?第7項の規定に適合するので,訂正後の請求項[1,2],[3?15]について訂正を認める。 第3.訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1?15に係る発明(以下,「本件発明1」?「本件発明15」という。)は,その特許請求の範囲の請求項1?15に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 (削除) 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって, 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と, 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と, 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と, 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と, を備え, 前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く, 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く, 前記圧縮要素を収容する圧力容器(20), をざらに備え, 前記第2絞り部の少なくとも一部は前記圧力容器の中に設けられ,前記拡大流路部の少なくとも一部は前記圧力容器の中に設けられる, 圧縮機(10)。 【請求項4】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって, 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と, 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と, 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取石第2絞り部(S2)と, 前記第2絞り部から前記冷媒か受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と, を備え, 前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く, 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く, 前記拡大流路部および前記第2絞り部は,同一の部材として構成されている, 圧縮機(10)。 【請求項5】 前記第1絞り部,前記拡大流路部,および前記第2絞り部は,それぞれ別部材として構成されている, 請求項3に記載の圧縮機。 【請求項6】 前記拡大流路部が複数の部材から構成されている, 請求項3から5のいずれか1つに記載の圧縮機。 【請求項7】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって, 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と, 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取ろ拡大流路部(E)と, 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と, 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と, を備え, 前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く, 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く, 前記拡大流路部の流路断面積(AE)は,前記第1絞り部の流路断面積(AS1)の1.5倍以上である, 圧縮機(10)。 【請求項8】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって, 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と, 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と, 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と, 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と, を備え, 前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く, 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く, 前記拡大流路部の流路断面積(AE)は,前記第2絞り部の流路断面積(AS2)の1.5倍以上である, 圧縮機(10)。 【請求項9】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって, 冷媒回路(10)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と, 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と, 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と, 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と, を備え, 前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く, 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く, 前記第1絞り部の長さ(LS1)は,20mm以上かつ200mm以下である, 圧縮機(10)。 【請求項10】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって, 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と, 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と, 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と, 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮宝(33)を有する圧縮要素(30)と, を備え, 前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く, 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く, 前記拡大流路部の長さ(LE)は,50mm以上かつ400mm以下である, 圧縮機(10)。 【請求項11】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって, 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と, 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と, 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と, 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と, を備え, 前記第1絞り部の流路断面積(ASI)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く, 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く, 前記圧縮要素は,前記圧縮室を規定する固定スクロール(31)および可動スクロール(32)を含み, 前記第2絞り部を出た前記冷媒は前記固定スクロールを経由して前記圧縮室に入り, 前記第2絞り部は,前記冷媒を側方から前記固定スクロールヘ案内する, 圧縮機(10)。 【請求項12】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって, 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と, 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と, 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と, 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と, を備え, 前記第1絞り部の流路断面積(ASI)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く, 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く, 前記圧縮要素は,前記圧縮室を規定する固定スクロール(31)および可動スクロール(32),および前記固定スクロールを直接的または間接的に支持する支持部材(44)を含み, 前記第2絞り部を出た前記冷媒は前記支持部材を経由して前記圧縮室に入る, 圧縮機(10)。 【請求項13】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって, 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と, 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と, 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と, 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と, を備え, 前記第1絞り部の流路断面積(ASI)は,前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く, 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は,前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く, 前記圧縮要素は,前記圧縮室を規定する固定スクロール(31)および可動スクロール(32),および,前記固定スクロールと共にチャンバ(35)を規定するチャンバ形成部材(34)を含み, 前記チャンバは,前記圧縮室から排出される高圧冷媒の流路として機能し, 前記第2絞り部を出た前記冷媒は前記チャンバ形成部材を経由して前記圧縮室に入る, 圧縮機(10)。 【請求項14】 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取り,前記圧縮室へ前記冷媒を導く第3絞り部(S3), をさらに有し, 前記第3絞り部の流路断面積(AS3)は,前記第2絞り部の流路断面積(AS2)よりも狭い, 請求項3から請求項13のいずれか1つに記載の圧縮機。 【請求項15】 前記第1絞り部は電気的,磁気的,または気圧的に駆動される弁を含む, 請求項3から14のいずれか1つに記載の圧縮機。 第4.取消理由通知に記載した取消理由について 1.取消理由の概要 訂正前の請求項1,2,5,6,11,14,15に係る特許に対して,当審が平成29年12月13日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は,次のとおりである。 「(拡大先願)請求項1,2,5,6,11,14,15に係る発明は,本件特許出願の日前の日本語特許出願であって,その出願後に国際公開がされた下記の日本語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書,請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり,しかも,この出願の発明者がその出願前の日本語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく,またこの出願の時において,その出願人が上記日本語特許出願の出願人と同一でもないので,請求項1,2,5,6,11,14,15に係る特許は特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。 記 1.先願:PCT/JP2016/064786号(国際公開第2017/199380号(甲第1号証))」 2.甲号証の記載 (1)甲第1号証 甲第1号証に係る日本語特許出願の国際出願日における明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「先願明細書等」という)には,少なくとも,図2の構成に基づく以下の発明1が記載されている。以下においては,先願明細書等に記載された発明のうち図2の構成に基づく発明1を「甲1発明1」ともいう。 「吸入された低温低圧のガス冷媒を圧縮し,高温高圧のガス冷媒にして吐出する圧縮機21を有する圧縮機ユニット101であって, 凝縮器22から蒸発器24へ向かう冷媒の一部を圧縮機21に戻すために分岐させたインジェクション管25からの冷媒が流入するLEV27と, LEV27から膨張弁接続部25bを介して冷媒が流入するインジェクションマフラ25cと, インジェクションマフラ25cからの冷媒が流入する圧縮機接続部25a及びインジェクション管25のうち圧縮機接続部25aに連続し圧縮機21の内部に配置されている先端部250aを含む部分と, 先端部250aからの冷媒が流入する圧縮室7を形成する圧縮機構と,を備え, LEV27の流路断面積は,LEV27の上流側のインジェクション管25の流路断面積及びインジェクションマフラ25cの流路断面積のいずれよりも狭く, 圧縮機接続部25a及びインジェクション管25のうち圧縮機接続部25aに連続し圧縮機21の内部に配置されている先端部250aを含む部分の流路断面積は,インジェクションマフラ25cの流路断面積よりも狭い, 圧縮機ユニット101。」 また,先願明細書等には,少なくとも,図2の構成に基づく以下の発明2が記載されている。以下においては,先願明細書等に記載された発明のうち図2の構成に基づく発明2を「甲1発明2」ともいう。 「吸入された低温低圧のガス冷媒を圧縮し,高温高圧のガス冷媒にして吐出する圧縮機21を有する圧縮機ユニット101であって, 凝縮器22から蒸発器24へ向かう冷媒の一部を圧縮機21に戻すために分岐させたインジェクション管25からの冷媒が流入するLEV27と, LEV27から冷媒が流入する膨張弁接続部25b及びインジェクションマフラ25cと, 膨張弁接続部25b及びインジェクションマフラ25cからの冷媒が流入する圧縮機接続部25a,及びインジェクション管25のうち圧縮機接続部25aに連続し,圧縮機21の内部に配置されている先端部250aを含む部分と, 先端部250aからの冷媒が流入する圧縮室7を形成する圧縮機構と,を備え, LEV27の流路断面積は,LEV27の上流側のインジェクション管25の流路断面積及び,膨張弁接続部25b及びインジェクションマフラ25cの流路断面積のいずれよりも狭く, 圧縮機接続部25a及びインジェクション管25のうち圧縮機接続部25aに連続し圧縮機21の内部に配置されている先端部250aを含む部分の流路断面積は,インジェクションマフラ25cの流路断面積よりも狭い, 圧縮機ユニット101。」 3.当審の判断 (1)本件発明1,2について 訂正前の請求項1,2は,本件訂正請求によって削除された。 (2)本件発明5について 本件発明5は,訂正により本件発明3を引用するものとなり,本件発明3の「拡大流路部の少なくとも一部は圧力容器の中に設けられる」構成を,上記甲1発明1及び甲1発明2は備えておらず,さらに,上記構成は先願明細書等に記載されていないから,甲1発明1及び甲1発明2以外の上記先願明細書等に記載された発明でもなく,また,課題解決のための具体化手段における微差とも認められないから,本件発明5と上記甲1発明1,甲1発明2及びそれ以外の上記先願明細書等に記載された発明(以下、「先願発明」という。)とは,実質的に同一とはいえない。 (3)本件発明6について 本件発明6は,訂正により本件発明3?5を引用するものとなった。 上記(2)で述べたように,本件発明3及び本件発明5は,先願発明とは実質的に同一とはいえない。 さらに,本件発明6が引用する本件発明4について検討すると,本件発明4の「拡大流路部および第2絞り部は同一の部材でされている」構成は,上記先願明細書等には,記載されておらず,また,課題解決のための具体化手段における微差とも認められないから,本件発明4と先願発明とは,実質的に同一とはいえない。 そうすると,本件発明3?5を引用する本件発明6と先願発明とは実質的に同一とはいえない。 (4)本件発明11について 本件発明11の「第2絞り部は,冷媒を側方から固定スクロールへ案内する」構成は,上記先願明細書等には,記載されておらず,また,課題解決のための具体化手段における微差とも認められないから,本件発明11と先願発明とは,実質的に同一とはいえない。 (5)本件発明14について 本件発明14は,本件発明3?13のいずれかを引用するものとなった。 上記(2)?(4)で検討したように,本件発明3,4,5,6,11と先願発明とは実質的に同一とはいえない。 そこで,その他の本件発明7?10,12,13について検討する。 ア.本件発明7について 本件発明7の「拡大流路部の流路断面積は,第1絞り部の流路断面積の1.5倍以上である」構成は,上記先願明細書等には,記載されていない。 先願明細書等には,甲1発明1において,「拡大流路部」に相当する「インジェクションマフラ25c」の流路断面積が「第1絞り部」に相当する「LEV27」の流路断面積より大きいことは記載されているものの,どの程度大きいかは記載されていない。 同様に,先願明細書等には,甲1発明2において,「拡大流路部」に相当する「膨張弁接続部25b及びインジェクションマフラ25c」の流路断面積が「第1絞り部」に相当する「LEV27」の流路断面積より大きいことは記載されているものの,どの程度大きいかは記載されていない。 先願明細書の1ページ最下行?2ページ1行に,「特許文献1に記載のマフラはインジェクション管の2倍の内径を有し」と記載されているが,この特許文献1は,先願明細書における従来例にすぎず,先願発明に適用されるものではない。 また,先願明細書等の図3には,膨張弁接続部25bの内径の3倍程度の内径を有するインジェクションマフラ25cが示されている旨異議申立人は主張するが,添付された図面は,明細書の記載内容を理解する補助として用いられるものであって,設計図のように正確な寸法を示すものではないから,この主張は採用することはできない。 したがって,「拡大流路部の流路断面積は,第1絞り部の流路断面積の1.5倍以上である」構成が先願明細書等に記載されているとはいえないし,この1.5倍以上という数値限定により「振動が効果的に抑制される。」(願書に添付した明細書の段落【0019】,【0062】参照)から課題解決のための具体化手段における微差であるともいえない。 よって,本件発明7と先願発明とは,実質的に同一であるとはいえない。 イ.本件発明8について 本件発明8の「拡大流路部の流路断面積は,第2絞り部の流路断面積の1.5倍以上である」構成は,上記先願明細書等には,記載されていない。 先願明細書等には,甲1発明1において,「拡大流路部」に相当する「インジェクションマフラ25c」の流路断面積が「第2絞り部」に相当する「圧縮機接続部25a及びインジェクション管25のうち圧縮機接続部25aに連続し圧縮機内部に配置されている先端部250aを含む部分」の流路断面積より大きいことは記載されているものの,どの程度大きいかは記載されていない。 先願明細書等には,甲1発明2において,「拡大流路部」に相当する「膨張弁接続部25b及びインジェクションマフラ25c」の流路断面積が「第2絞り部」に相当する「圧縮機接続部25a及びインジェクション管25のうち圧縮機接続部25aに連続し圧縮機内部に配置されている先端部250aを含む部分」の流路断面積より大きいことは記載されているものの,どの程度大きいかは記載されていない。 先願明細書の1ページ最下行?2ページ1行に,「特許文献1に記載のマフラはインジェクション管の2倍の内径を有し」と記載されているが,この特許文献1は,先願明細書における従来例にすぎず,先願発明に適用されるものではない。 また,先願明細書等の図3には,圧縮機接続部25aの内径の3倍程度の内径を有するインジェクションマフラ25cが示されている旨異議申立人は主張するが,添付された図面は,明細書の記載内容を理解する補助として用いられるものであって,設計図のように正確な寸法を示すものではないから,この主張は採用することはできない。 したがって,「拡大流路部の流路断面積は,第2絞り部の流路断面積の1.5倍以上である」構成が先願明細書等に記載されているとはいえないし,この1.5倍以上という数値限定により「振動がより効果的に抑制される。」(願書に添付した明細書の段落【0021】,【0063】参照)から課題解決のための具体化手段における微差であるともいえない。 よって,本件発明8と先願発明とは,実質的に同一であるとはいえない。 ウ.本件発明9について 本件発明9の「第1絞り部の長さは,20mm以上かつ200mm以下である」構成は,先願明細書等には,記載されていないし,この20mm以上かつ200mm以下という数値限定により「振動がさらに効果的に抑制される。」(願書に添付した明細書の段落【0023】参照)から課題解決のための具体化手段における微差であるともいえない。 よって,本件発明9と先願発明とは,実質的に同一であるとはいえない。 エ.本件発明10について 本件発明10の「拡大流路部の長さは,50mm以上かつ400mm以下である」構成は,先願明細書等には,記載されていないし,この50mm以上かつ400mm以下という数値限定により「振動がさらに効果的に抑制される。」(願書に添付した明細書の段落【0025】参照)から課題解決のための具体化手段における微差であるともいえない。 よって,本件発明10と先願発明とは,実質的に同一であるとはいえない。 オ.本件発明12について 本件発明12の「第2絞り部を出た冷媒は支持部材を経由して圧縮室へ入る」構成は,先願明細書等には,記載されていないし,この構成により「冷媒は,支持部材を介して,固定スクロールに規定された圧縮室へ安定して供給される。」(願書に添付した明細書の段落【0029】参照)から,課題解決のための具体化手段における微差であるともいえない。 よって,本件発明12と先願発明とは,実質的に同一であるとはいえない。 カ.本件発明13について 本件発明13の「第2絞り部を出た冷媒はチャンバ形成部材を経由して圧縮室へ入る」構成は,先願明細書等には,記載されていないし,この構成により「冷媒は,チャンバ形成部材を介して,固定スクロールに規定された圧縮室へ安定して供給される。」(願書に添付した明細書の段落【0031】参照)から,課題解決のための具体化手段における微差であるともいえない。 よって,本件発明13と先願発明とは,実質的に同一であるとはいえない。 そうすると,上記ア.?カ.で検討したように,本件発明7?10,12,13と,先願発明とは実質的に同一とはいえない。 してみれば,本件発明14が引用する本件発明3?13はいずれも,先願発明と実質的に同一とはいえないから,本件発明14と先願発明とは,実質的に同一とはいえない。 (6)本件発明15について 本件発明15は,本件発明3?14のいずれかを引用するものとなった。 上記(5)で検討したように,本件発明3?14は,いずれも先願発明と実質的に同一とはいえないから,本件発明3?14のいずれかを引用する本件発明15と先願発明とは,実質的に同一とはいえない。 (7)特許異議申立人の意見について 異議申立人は,平成31年4月17日付け意見書において,本件発明7と,甲1発明1とは,本件発明7では,「前記拡大流路部の流路断面積(AE)は,前記第1絞り部の流路断面積(AS1)の1.5倍以上である」のに対して,甲1発明1では,対応する構成がそのようになされているかが不明である点(以下,「不明点1」という)以外は,すべての構成要素について一致し,不明点1については,甲第1号証に記載されているに等しい事項である。または上記不明点1を相違点とみなす場合であっても,両者は実質同一である旨主張する。 しかしながら,上記(5)ア.で検討したように,本件発明7と先願発明(甲1発明1を含む)とは,実質的に同一とはいえないから,異議申立人の上記主張を採用することはできない。 また,異議申立人は,同日付け意見書において,本件発明8と,甲1発明1とは,本件発明8では,「前記拡大流路部の流路断面積(AE)は,前記第2絞り部の流路断面積(AS2)の1.5倍以上である」のに対して,甲1発明1では,対応する構成がそのようになされているかが不明である点(以下,「不明点2」という)以外は,すべての構成要素について一致し,不明点2については,甲第1号証に記載されているに等しい事項である。または上記不明点2を相違点とみなす場合であっても,両者は実質同一である旨主張する。 しかしながら,上記(5)イ.で検討したように,本件発明8と先願発明(甲1発明1を含む)とは,実質的に同一とはいえないから,異議申立人の上記主張を採用することはできない。 第5.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1.異議申立人は,特許異議申立書において,第4.で検討した取消理由以外に以下の異議申立理由も主張している。 (1)特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号) 訂正前の請求項1,2,5,7,8,14に係る発明は,甲第2号証(中国特許出願公開第104791251号明細書)に記載された発明又は甲第3号証(中国)特許出願公開第1050416号明細書)に記載された発明であり,訂正前の1,2,5,7,8に係る発明は,甲第4号証(特開平5-133368号公報)に記載された発明であり,特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当し,それらの特許は,同法第113条第2項に該当し,取り消すべきものである。 (2)特許法第29条第2項(同法第113条第2項) 訂正前の請求項1,2,5-14に係る発明は,甲第2号証,甲第3号証,甲第4号証,並びに,甲第5号証(特開平10-37879号公報)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,それらの特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり,同法第113条第2号に該当し,取り消すべきものである (3)特許法第36号第4項第1号(同法第113条第4号) 本件特許明細書の段落【0004】に,発明が解決しようとする課題として「マフラの重量に起因して,圧縮機とマフラを接続するインジェクション管などの配管は大きな応力を受けるので,機器の信頼性不足の原因となることがある。」と記載されているが,訂正前の請求項1,7?10の記載からは,何故,上記課題を解決できるのかを理解することができないから,本件特許明細書の発明の詳細な説明には不備があり,訂正前の請求項1,7?10にかかる発明の特許は,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2.上記異議申立理由の検討 (1)特許法第29条第1項第3号について ア.甲第2号証 異議申立人は,甲第2号証について,図14には,「吐出気体貯溜タンク(3)の断面形状が記載されて」おり,「ハウジング(31)がインポート(311)を有する流入管(31a)と容器(31b)とを有することが記載されている。(符号31a及び31b,並びに符号31a及び31bが示す各部材の名称は申立人が付した)」(異議申立書23ページ1?5行)とし,「甲2発明では,ハウジング(31)の流入管(31a)の中央部分に段差が形成される。流入管(31a)の下側部分は,インポート(311)が形成された流入管(31a)の上側部分より細い。また,流入管(31a)の下側部分がハウジング(31)の容器(31b)より細いことは明らかである。」(異議申立書45ページ22?26行)から,甲2発明の一部として,「ハウジング(31)の流入管(31a)の下側部分の流路断面積は,流入管(31a)の上側部分の流路断面積及びハウジングの容器(31b)の断面積のいずれよりも狭」いことが記載されている旨主張した。 また,異議申立人は,平成31年4月17日付けの意見書において,甲第2号証の図13の記載に基づいて上記主張と同様の主張をしている。 しかしながら,例えば甲第2号証の図1に記載されているように,管の接続部分としては,やや拡径した管の部分に当該拡径した部分よりも小径な管を差し込むことが通常行われることから,図13や図14から流入管31aの上側部分より下側部分が細いことが看取されるとしても,それをもって,ただちに,流入管31aの下側部分が訂正前の請求項1に係る発明の「第1絞り部」にあたるとはいえない。 そして,流入管31aの上側部分に管が差し込まれた場合に,流入管の31aの上側部分に差し込まれた管の内径と流入管31aの下側部分との大小関係は不明であるから,「ハウジング(31)の流入管(31a)の下側部分の流路断面積は,流入管(31a)の上側部分の流路断面積」「よりも狭」いことにより,流入管31aの下側部分が訂正前の請求項1に係る発明の「第1絞り部」になること及び「第1絞り部の流路断面積は,インジェクション管の流路断面積」「よりも狭く」なること(以下,「上記構成」という。)は記載されているとは認められない。 また,その他の部分を参照しても,甲第2号証には,訂正前の請求項1に係る発明の上記構成に対応する記載はない。 そして,訂正前の請求項1に係る発明の上記構成を含有する,本件発明5,7,8,14は,甲第2号証に記載された発明ではない。 イ.甲第3号証 異議申立人は,甲第3号証について,「図1に,噴気貯液器(1)の具体的な構成が記載されている。図1には,噴気貯液器(1)が,流入管(1a),容器(1b),第1流出管(1c),及び第2流出管(1d)を備えていることが記載されている。(符号1a,1b,1c及び1d,並びに符号1a,1b,1c,及び1dが示す各部材の名称は,説明のために申立人が付した。)(異議申立書第28ページ17?21行)とし,「甲3発明では,噴気貯液器(1)の流入管(1a)の中央部分に段差が形成される。流入管(1a)の下側部分は,流入管(1a)の上側部分より細い。また,流入管(1a)の下側部分が噴気貯液器(1)の容器(1b)より細いことは明らかである。したがって,甲3発明において,流入管(1a)の下側部分の流路断面積は,流入管(1a)の上側部分の流路断面積及び容器(1b)の流路断面積のいずれよりも狭い。」(異議申立書57ページ10?15行)旨主張する。 しかしながら,例えば甲第3号証の図1に記載されているように,管の接続部分としては,やや拡径した管の部分に当該拡径した部分よりも小径な管を差し込むことが通常行われることから,図1から流入管1aの上側部分より下側部分が細いことが看取されるとしても,それをもって,ただちに,流入管1aの下側部分が訂正前の請求項1に係る発明の「第1絞り部」にあたるとはいえない。 そして,流入管1aの上側部分に管が差し込まれた場合に,流入管1aの上側部分に差し込まれた管の内径と流入管1aの下側部分との大小関係は不明であるから,「噴気貯液器(1)の流入管(1a)の下側部分の流路断面積は,流入管(1a)の上側部分の流路断面積」「よりも狭」いことにより,流入管1aの下側部分が訂正前の請求項1に係る発明の「第1絞り部」になること及び「第1絞り部の流路断面積は,インジェクション管の流路断面積」「よりも狭く」なること(以下,「上記構成」という。)は記載されているとは認められない。 また,その他の部分を参照しても,甲第3号証には,訂正前の請求項1に係る発明の上記構成に対応する記載はない。 そして,訂正前の請求項1に係る発明の上記構成を含有する,本件発明5,7,8,14は,甲第3号証に記載された発明ではない。 ウ.甲第4号証 異議申立人は,甲第4号証について,「図2に,気液分離器(17)の具体的な構成が記載されている。図2には,気液分離機(17)が連通管(59)に加え,流入管(17a)及び容器(17b)を備えることが記載されている。(符号17a及び17b,並びに符号17a,17bが示す各部材の名称は,説明のために申立人が付した。)(異議申立書第32ページ13?17行)とし,「甲4発明では,気液分離器(17)の流入管(17a)の中央部分に段差が形成される。流入管(17a)の下側部分は,流入管(17a)の上側部分より細い。また,流入管(17a)の下側部分が気液分離器(17)の容器(17b)より細いことは明らかである。したがって,甲4発明において,流入管(17a)の下側部分の流路断面積は,流入管(17a)の上側部分の流路断面積及び容器(17b)の流路断面積のいずれよりも狭い。」(異議申立書68ページ24行?69ページ1行)旨主張する。 しかしながら,例えば甲第4号証の図2に記載されているように,管の接続部分としては,やや拡径した管の部分に当該拡径した部分よりも小径な管を差し込むことが通常行われることから,図2から流入管17aの上側部分より下側部分が細いことが看取されるとしても,それをもって,ただちに,流入管17aの下側部分が訂正前の請求項1に係る発明の「第1絞り部」にあたるとはいえない。 そして,流入管17aの上側部分に管が差し込まれた場合に,流入管17aの上側部分に差し込まれた管の内径と流入管17aの下側部分との大小関係は不明であるから,「気液分離器(17)の流入管(17a)の下側部分の流路断面積は,流入管(17a)の上側部分の流路断面積」「よりも狭」いことにより,流入管17aの下側部分が訂正前の請求項1に係る発明の「第1絞り部」になること及び「第1絞り部の流路断面積は,インジェクション管の流路断面積」「よりも狭く」なること(以下,「上記構成」という。)は記載されているとは認められない。 また,その他の部分も参照しても,甲第4号証には,訂正前の請求項1に係る発明の上記構成に対応する記載はない。 そして,訂正前の請求項1に係る発明の上記構成を含有する,本件発明5,7,8は,甲第4号証に記載された発明ではない。 (2)特許法第29条第2項について ア.甲第2号証?甲第5号証には,いずれにも,上記構成が記載されていないから,本件発明5?14は,甲第2号証?甲第4号証に記載された発明のいずれを主引用例としても,本件発明5?14における上記構成については,当業者が容易になし得たものとすることはできない。 イ.異議申立人の意見について 異議申立人は,平成31年4月17日付け意見書において,本件発明7?10について,甲第2号証に記載された発明(以下,「甲2発明」という。)に基づいて当業者が容易になし得ることができた旨主張する。 しかしながら,上記(2)ア.で述べたように,甲第2号証?甲第5号証には,いずれにも,上記構成が記載されていないから,上記構成を含む本件発明7?10は,甲2発明に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。 (3)特許法第36条第4項第1号について 願書に添付した明細書の段落【0005】には,「本発明の課題は,圧縮機において,配管が受ける振動や応力による不具合を抑制することである。」と記載され(下線部は当審で付与した.以下同様。),本発明の課題の1つは,圧縮機において配管が受ける振動を抑制することであることが理解できる。 そして,願書に添付した明細書には,以下の記載もある。 「【0006】 本発明の第1観点に係る圧縮機は,吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する。圧縮機は,第1絞り部と,拡大流路部と,第2絞り部と,圧縮要素と,を備える。第1絞り部は,冷媒回路のインジェクション管から中間圧の冷媒を受け取る。拡大流路部は,第1絞り部から冷媒を受け取る。第2絞り部は,拡大流路部から冷媒を受け取る。圧縮要素は,第2絞り部から冷媒を受け取る圧縮室を有する。第1絞り部の流路断面積は,インジェクション管の流路断面積および拡大流路部の流路断面積のいずれよりも狭い。第2絞り部の流路断面積は,拡大流路部の流路断面積よりも狭い。」 【0007】 この構成によれば,第1絞り部,拡大流路部,第2絞り部は異なる流路断面積を有する。したがって,第1絞り部,拡大流路部,第2絞り部からなる経路がマフラとして機能し,冷媒の圧力脈動に起因する各部の振動を抑制する。」 「【0018】 本発明の第7観点に係る圧縮機は,第1観点から第6観点のいずれか1つに係る圧縮機において,拡大流路部の流路断面積は,第1絞り部の流路断面積の1.5倍以上,好ましくは4.0倍以上である。 【0019】 この構成によれば,拡大流路部と第1絞り部の流路断面積の比率は1.5倍以上,好ましくは4.0倍以上である。したがって,振動が効果的に抑制される。 【0020】 本発明の第8観点に係る圧縮機は,第1観点から第7観点のいずれか1つに係る圧縮機において,拡大流路部の流路断面積は,第2絞り部の流路断面積の1.5倍以上,好ましくは4.0倍以上である。 【0021】 この構成によれば,拡大流路部と第2絞り部の流路断面積の比率は1.5倍以上,好ましくは4.0倍以上である。したがって,振動がより効果的に抑制される。 【0022】 本発明の第9観点に係る圧縮機は,第1観点から第8観点のいずれか1つに係る圧縮機において,第1絞り部の長さは,20mm以上かつ200mm以下である。 【0023】 この構成によれば,第1絞り部は所定の長さを確保する。したがって,振動がさらに効果的に抑制される。 【0024】 本発明の第10観点に係る圧縮機は,第1観点から第9観点のいずれか1つに係る圧縮 機において,拡大流路部の長さは,50mm以上かつ400mm以下である。 【0025】 この構成によれば,拡大流路部は所定の長さを確保する。したがって,振動がさらに効果的に抑制される。」 これらの記載によれば,マフラの重量について直接的な記載はないものの,訂正前の請求項1,7?10に対応する構成により,本発明の課題である圧縮機の配管が受ける冷媒の圧力脈動に起因する振動を抑制できることが理解できる。 したがって,願書に添付した明細書の発明の詳細な説明は,訂正前の請求項1,7-10に係る発明により,本発明の課題の1つである圧縮機において配管が受ける振動を抑制することが解決できることが認識できるように記載されており,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしている。 また,願書に添付した明細書の発明の詳細な説明は,本件発明5?15により,本発明の課題の1つである圧縮機において配管が受ける振動を抑制することが解決できることが認識できるように記載されており,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしている。 第6.むすび 以上のとおりであるから,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては,本件発明5?15に係る特許を取り消すことはできない。 また,他に本件発明5?15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに,請求項1及び2に係る特許は,上記のとおり,訂正により削除された。これにより,特許異議の申立てについて,請求項1及び2に係る申立ては,申立ての対象が存在しないものとなったため,特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって,結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】(削除) 【請求項2】(削除) 【請求項3】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって、 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と、 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と、 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と、 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と、を備え、 前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は、前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く、 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は、前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く、 前記圧縮要素を収容する圧力容器(20)、 をさらに備え、 前記第2絞り部の少なくとも一部は前記圧力容器の中に設けられ、 前記拡大流路部の少なくとも一部は前記圧力容器の中に設けられる、 圧縮機(10)。 【請求項4】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって、 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と、 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と、 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と、 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と、を備え、 前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は、前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く、 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は、前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く、 前記拡大流路部および前記第2絞り部は、同一の部材として構成されている、 圧縮機(10)。 【請求項5】 前記第1絞り部、前記拡大流路部、および前記第2絞り部は、それぞれ別部材として構成されている、 請求項3に記載の圧縮機。 【請求項6】 前記拡大流路部が複数の部材から構成されている、 請求項3から5のいずれか1つに記載の圧縮機。 【請求項7】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって、 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と、 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と、 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と、 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と、を備え、 前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は、前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く、 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は、前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く、 前記拡大流路部の流路断面積(AE)は、前記第1絞り部の流路断面積(AS1)の1.5倍以上である、 圧縮機(10)。 【請求項8】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって、 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と、 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と、 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と、 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と、を備え、 前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は、前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く、 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は、前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く、 前記拡大流路部の流路断面積(AE)は、前記第2絞り部の流路断面積(AS2)の1.5倍以上である、 圧縮機(10)。 【請求項9】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって、 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と、 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と、 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と、 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と、を備え、 前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は、前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く、 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は、前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く、 前記第1絞り部の長さ(LS1)は、20mm以上かつ200mm以下である、 圧縮機(10)。 【請求項10】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって、 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と、 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と、 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と、 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と、を備え、 前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は、前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く、 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は、前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く、 前記拡大流路部の長さ(LE)は、50mm以上かつ400mm以下である、 圧縮機(10)。 【請求項11】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって、 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と、 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と、 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と、 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と、を備え、 前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は、前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面(AE)のいずれよりも狭く、 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は、前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く、 前記圧縮要素は、前記圧縮室を規定する固定スクロール(31)および可動スクロール(32)を含み、 前記第2絞り部を出た前記冷媒は前記固定スクロールを経由して前記圧縮室に入り、 前記第2絞り部は、前記冷媒を側方から前記固定スクロールへ案内する、 圧縮機(10)。 【請求項12】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって、 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と、 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と、 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と、 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と、を備え、 前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は、前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く、 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は、前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く、 前記圧縮要素は、前記圧縮室を規定する固定スクロール(31)および可動スクロール(32)、および前記固定スクロールを直接的または間接的に支持する支持部材(44)を含み、 前記第2絞り部を出た前記冷媒は前記支持部材を経由して前記圧縮室に入る、 圧縮機(10)。 【請求項13】 吸入した低圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する圧縮機(10)であって、 冷媒回路(100)のインジェクション管(69)から中間圧の冷媒を受け取る第1絞り部(S1)と、 前記第1絞り部から前記冷媒を受け取る拡大流路部(E)と、 前記拡大流路部から前記冷媒を受け取る第2絞り部(S2)と、 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取る圧縮室(33)を有する圧縮要素(30)と、を備え、 前記第1絞り部の流路断面積(AS1)は、前記インジェクション管の流路断面積(AI)および前記拡大流路部の流路断面積(AE)のいずれよりも狭く、 前記第2絞り部の流路断面積(AS2)は、前記拡大流路部の流路断面積(AE)よりも狭く、 前記圧縮要素は、前記圧縮室を規定する固定スクロール(31)および可動スクロール(32)、および、前記固定スクロールと共にチャンバ(35)を規定するチャンバ形成部材(34)を含み、 前記チャンバは、前記圧縮室から排出される高圧冷媒の流路として機能し、 前記第2絞り部を出た前記冷媒は前記チャンバ形成部材を経由して前記圧縮室に入る、 圧縮機(10)。 【請求項14】 前記第2絞り部から前記冷媒を受け取り、前記圧縮室へ前記冷媒を導く第3絞り部(S3)、 をさらに有し、 前記第3絞り部の流路断面積(AS3)は、前記第2絞り部の流路断面積(AS2)よりも狭い、 請求項3から13のいずれか1つに記載の圧縮機。 【請求項15】 前記第1絞り部は電気的、磁気的、または気圧的に駆動される弁を含む、 請求項3から14のいずれか1つに記載の圧縮機。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-05-28 |
出願番号 | 特願2017-137695(P2017-137695) |
審決分類 |
P
1
652・
121-
YAA
(F04B)
P 1 652・ 536- YAA (F04B) P 1 652・ 857- YAA (F04B) P 1 652・ 855- YAA (F04B) P 1 652・ 16- YAA (F04B) P 1 652・ 851- YAA (F04B) P 1 652・ 854- YAA (F04B) P 1 652・ 856- YAA (F04B) P 1 652・ 113- YAA (F04B) P 1 652・ 841- YAA (F04B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 岩田 健一 |
特許庁審判長 |
柿崎 拓 |
特許庁審判官 |
藤井 昇 久保 竜一 |
登録日 | 2018-03-30 |
登録番号 | 特許第6311830号(P6311830) |
権利者 | ダイキン工業株式会社 |
発明の名称 | マフラ機能を有する圧縮機 |
代理人 | 新樹グローバル・アイピー特許業務法人 |
代理人 | 新樹グローバル・アイピー特許業務法人 |