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審決分類 |
審判 全部無効 1項2号公然実施 H01L 審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 H01L 審判 全部無効 1項3号刊行物記載 H01L 審判 全部無効 2項進歩性 H01L |
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管理番号 | 1353423 |
審判番号 | 無効2016-800120 |
総通号数 | 237 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-09-27 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2016-10-19 |
確定日 | 2019-07-08 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第5869058号発明「半導体装置およびシステム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第5869058号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[21-31]について訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 1 本件特許の出願の経緯 平成26年 6月30日 出願(公開基準日:平成23年3月16日) 平成27年 3月27日 拒絶理由通知(起案日) 平成27年 4月28日 面接記録 平成27年 5月21日 意見書、手続補正書 平成27年 6月19日 面接記録 平成27年 6月22日 拒絶理由通知(起案日) 平成27年 8月27日 意見書、手続補正書 平成27年11月 6日 特許査定(起案日) 平成28年 1月15日 設定登録 2 本件無効審判の経緯 平成28年10月20日 [請求人]審判請求書 平成29年 1月 6日 [被請求人]答弁書、訂正請求書 平成29年 2月 8日 [被請求人]手続補正書 平成29年 4月12日 [請求人]審判事件弁駁書 平成29年 6月 9日 審理事項通知(起案日) 平成29年 8月23日 [被請求人]口頭審理陳述要領書 平成29年 8月25日 [請求人]口頭審理陳述要領書 平成29年 8月31日 通知書(起案日) 平成29年 9月 7日 口頭審理、証拠調べ 平成29年 9月14日 [被請求人]上申書 平成29年10月 2日 [請求人]上申書 平成29年10月10日 [被請求人]上申書 第2 訂正請求による訂正の適否 1 訂正請求の趣旨及び訂正の内容 本件無効審判事件の被請求人より平成29年1月6日に訂正請求された訂正(以下、「本件訂正」という。)の趣旨は、「特許第5869058号の特許請求の範囲を本件請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項21?31について訂正することを求める」ものである。 (1)一群の請求項について 訂正前の請求項21ないし31について、請求項22ないし31は、請求項21を直接的又は間接的に引用するものとなっており、訂正事項によって記載が訂正される請求項21に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項21ないし31に対応する本件訂正の請求項21ないし31は、特許法第134条の2第3項に規定する関係を有する一群の請求項である。 (2)訂正事項について 特許請求の範囲の請求項21に「内層として形成される複数の配線層」と記載されているのを、「内層として形成され、グランドまたは電源となる3つのプレーン層と、信号を送受信する3つの信号層を備える配線層」に訂正する。(下線部は訂正箇所である。) 2 訂正の適否の判断 (1)訂正の目的 訂正事項は、本件訂正前の請求項21に係る発明の発明特定事項である「内層として形成される複数の配線層」について、「グランドまたは電源となる3つのプレーン層と、信号を送受信する3つの信号層を備える」ものに限定するから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (2)新規事項について 本件特許明細書の段落【0015】に「基板8の各層に形成された配線層8bは、図5に示すように、信号を送受信する信号層、グランドや電源線となるプレーン層として機能する。」と記載されており、合わせて図5を参照すると、訂正事項は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (3)特許請求の範囲の拡張、変更について 訂正事項は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (4)独立特許要件について 本件特許無効審判事件において、請求項21ないし31は、無効審判の請求の対象とされているので、請求項21に係る訂正、及び請求項21を直接的又は間接的に引用する請求項22ないし31に係る訂正は、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第7項に掲げる「特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない」との要件は適用されない。よって、請求項21ないし31に係る訂正は、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第7項の規定に適合する。 (5)まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するから、本件訂正を認める。 第3 本件特許発明 本件訂正は、上記「第2」のとおり認められたので、本件特許の請求項1ないし31に係る発明(以下、各請求項に係る発明を「本件特許発明1」、「本件特許発明2」、・・・「本件特許発明31」という。また、これらを総称して「本件特許発明」という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし20、及び本件訂正による特許請求の範囲の請求項21ないし31に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 【請求項1】 基板と、この基板に搭載される複数の不揮発性半導体メモリと、を備え、 前記基板は、 第1の主面と、前記第1の主面とは反対側を向いた第2の主面と、を有し、 前記第1の主面に設けられ、前記複数の不揮発性半導体メモリが搭載される第1の配線層と、 前記第2の主面に設けられた第2の配線層と、 内層として形成される複数の配線層と、 これら配線層間にそれぞれ設けられる複数の絶縁層と、 を備え、 前記複数の絶縁層の1つは、前記基板の層構造の中心線を含む領域に形成され、 前記基板の層構造の中心線よりも前記第1の主面側に形成された前記配線層および前記第1の配線層の配線密度の平均値である第1の平均値と、 前記基板の層構造の中心線よりも前記第2の主面側に形成された前記配線層および前記第2の配線層の配線密度の平均値である第2の平均値との差の絶対値である第1の値が7.5%以下であり、 前記第1の平均値と前記第2の平均値はともに60%以上であり、 前記内層として形成される複数の配線層のうち前記基板の層構造の中心線よりも前記第1の主面側に形成され前記中心線に最も近い前記配線層の配線密度と、前記内層として形 成される複数の配線層のうち前記基板の層構造の中心線よりも前記第2の主面側に形成され前記中心線に最も近い前記配線層の配線密度との差の絶対値である第2の値が前記第1の値よりも大きく、 前記内層として形成される複数の配線層のうち少なくとも1の前記配線層は、配線密度が80%以上である半導体装置。 【請求項2】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第1の配線層と対向する第3の配線層は配線密度が80%以上である請求項1に記載の半導体装置。 【請求項3】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第3の配線層と対向する第4の配線層及び前記第1の配線層は、信号を送受信するための信号層である請求項2に記載の半導体装置。 【請求項4】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第3の配線層と対向する第4の配線層の配線密度が前記第1の平均値より小さい請求項2に記載の半導体装置。 【請求項5】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第2の配線層と対向する第5の配線層は配線密度が80%以上である請求項1に記載の半導体装置。 【請求項6】 前記内層として形成される複数の配線層のうち少なくとも1の前記配線層は、信号を送受信するための信号層であり、 前記信号層は、前記配線層のうち配線密度が80%以上である第6の配線層及び第7の配線層と絶縁層を隔ててそれぞれ対向する請求項1に記載の半導体装置。 【請求項7】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第2の配線層と対向する第5の配線層と絶縁層を隔てて対向する第8の配線層の配線密度が前記第2の平均値より小さい請求項2に記載の半導体装置。 【請求項8】 前記第1の配線層の表面は、ソルダーレジストに覆われている請求項1に記載の半導体装置。 【請求項9】 前記第2の配線層の表面は、ソルダーレジストに覆われている請求項1に記載の半導体装置。 【請求項10】 前記不揮発性半導体メモリは、NAND型フラッシュメモリである請求項1に記載の半導体装置。 【請求項11】 前記基板の前記第1の配線層側には、4個のNAND型フラッシュメモリが搭載されている請求項10に記載の半導体装置。 【請求項12】 前記基板は、平面視において略長方形形状を呈する請求項1に記載の半導体装置。 【請求項13】 前記第1の配線層、前記第2の配線層、及び前記内層として形成される複数の配線層は、8層の配線層から構成され、前記8層の配線層のうち4層は信号を送受信するための信号層であり、残りの4層はグランド又は電源線を備える配線層である請求項1に記載の半導体装置。 【請求項14】 コネクタを備える基板と、前記基板に搭載される複数の不揮発性半導体メモリと、前記コネクタと接続されるコンピュータと、を備え、 前記基板は、 第1の主面と、前記第1の主面とは反対側を向いた第2の主面と、を有し、 前記第1の主面に設けられ、前記複数の不揮発性半導体メモリが搭載される第1の配線層と、 前記第2の主面に設けられた第2の配線層と、 内層として形成される複数の配線層と、 これら配線層間にそれぞれ設けられる複数の絶縁層と、 を備え、 前記複数の絶縁層の1つは、前記基板の層構造の中心線を含む領域に形成され、 前記基板の層構造の中心線よりも前記第1の主面側に形成された前記配線層および前記第1の配線層の配線密度の平均値である第1の平均値と、 前記基板の層構造の中心線よりも前記第2の主面側に形成された前記配線層および前記第2の配線層の配線密度の平均値である第2の平均値との差の絶対値である第1の値が7.5%以下であり、 前記第1の平均値と前記第2の平均値はともに60%以上であり、 前記内層として形成される複数の配線層のうち前記基板の層構造の中心線よりも前記第1の主面側に形成され前記中心線に最も近い前記配線層の配線密度と、前記内層として形成される複数の配線層のうち前記基板の層構造の中心線よりも前記第2の主面側に形成され前記中心線に最も近い前記配線層の配線密度との差の絶対値である第2の値が前記第1の値よりも大きく、 前記内層として形成される複数の配線層のうち少なくとも1の前記配線層はシールド層であるシステム。 【請求項15】 前記不揮発性半導体メモリは、NAND型フラッシュメモリである請求項14に記載のシステム。 【請求項16】 前記不揮発性半導体メモリと電気的に接続される揮発性メモリをさらに備える請求項15に記載のシステム。 【請求項17】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第1の配線層と対向する第3の配線層の配線密度が80%以上である請求項14に記載のシステム。 【請求項18】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第3の配線層と対向する第4の配線層の配線密度が前記第1の平均値より小さい請求項17に記載のシステム。 【請求項19】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第2の配線層と対向する第5の配線層と絶縁層を隔てて対向する第6の配線層の配線密度が前記第2の平均値より小さい請求項17に記載のシステム。 【請求項20】 前記基板に搭載される電源回路をさらに備え、 前記コンピュータは、前記コネクタへ電源を入力し、 前記コネクタは、前記入力された電源を前記電源回路に供給し、 前記電源回路は、前記入力された電源から内部電圧を生成し、前記不揮発性半導体メモリへ供給するように構成されている請求項14に記載のシステム。 【請求項21】 コンピュータに接続可能なコネクタを備える基板と、前記基板に搭載され前記コネクタと電気的に接続されるドライブ制御回路と、このドライブ制御回路により制御される複数の不揮発性半導体メモリと、を備え、 前記基板は、 第1の主面と、前記第1の主面とは反対側を向いた第2の主面と、を有し、 前記第1の主面に設けられた第1の配線層と、 前記第2の主面に設けられた第2の配線層と、 内層として形成され、グランドまたは電源となる3つのプレーン層と、信号を送受信する3つの信号層を備える配線層と、 これら配線層間にそれぞれ設けられる複数の絶縁層と、 を備え、 前記複数の絶縁層の1つは、前記基板の層構造の中心線を含む領域に形成され、 前記基板の層構造の中心線よりも前記第1の主面側に形成された前記配線層および前記第1の配線層の配線密度の平均値である第1の平均値と、 前記基板の層構造の中心線よりも前記第2の主面側に形成された前記配線層および前記第2の配線層の配線密度の平均値である第2の平均値との差の絶対値である第1の値が7.5%以下であり、 前記第1の平均値と前記第2の平均値はともに60%以上であり、 前記内層として形成される複数の配線層のうち前記基板の層構造の中心線よりも前記第1の主面側に形成され前記中心線に最も近い前記配線層の配線密度と、前記内層として形成される複数の配線層のうち前記基板の層構造の中心線よりも前記第2の主面側に形成され前記中心線に最も近い前記配線層の配線密度との差の絶対値である第2の値が前記第1の値よりも大きく、 前記内層として形成される複数の配線層のうち少なくとも1の前記配線層は、配線密度が80%以上であり、 前記ドライブ制御回路は、前記基板の前記第1の主面に搭載される半導体装置。 【請求項22】 前記複数の不揮発性半導体メモリは、平面視において、前記ドライブ制御回路の位置から見て前記コネクタとは反対側に設けられる請求項21に記載の半導体装置。 【請求項23】 前記複数の不揮発性半導体メモリは、NAND型フラッシュメモリである請求項21または22に記載の半導体装置。 【請求項24】 前記ドライブ制御回路と電気的に接続される揮発性メモリをさらに備える請求項21から23のいずれか1つに記載の半導体装置。 【請求項25】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第1の配線層と対向する第3の配線層の配線密度が80%以上である請求項21に記載の半導体装置。 【請求項26】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第3の配線層と対向する第4の配線層の配線密度が前記第1の平均値より小さい請求項25に記載の半導体装置。 【請求項27】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第2の配線層と対向する第5の配線層と絶縁層を隔てて対向する第6の配線層の配線密度が前記第2の平均値より小さい請求項25に記載の半導体装置。 【請求項28】 前記コネクタは、前記基板の短辺に設けられ、 前記揮発性メモリは、平面視において、前記複数の不揮発性半導体メモリから見て前記コネクタと同じ側に設けられる請求項24に記載の半導体装置。 【請求項29】 前記半導体装置の状態を表示するLEDをさらに備える請求項21から28のいずれか 1つに記載の半導体装置。 【請求項30】 前記基板の前記第1の主面に搭載される揮発性メモリをさらに備え、 前記基板は、平面視において略長方形形状を呈し、 前記複数の不揮発性半導体メモリは、4個のNAND型フラッシュメモリであって、前記基板の前記第1の主面であって、平面視において、前記ドライブ制御回路の位置から見て前記揮発性メモリとは反対側に搭載され、 前記揮発性メモリと、前記ドライブ制御回路と、前記4個のNAND型フラッシュメモリと、が前記基板の長辺方向に配置される請求項21に記載の半導体装置。 【請求項31】 前記コネクタは、前記基板の短辺であって、平面視において、前記揮発性メモリの位置から見て前記ドライブ制御回路とは反対側に設けられ、 前記コネクタと、前記揮発性メモリと、前記ドライブ制御回路と、前記4個のNAND型フラッシュメモリと、が前記基板の長辺方向に配置される請求項30に記載の半導体装置。 第4 当事者の主張 1 請求人の主張 (1)請求の趣旨、概要 特許第5869058号発明の特許請求の範囲の請求項1ないし31に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。 <無効理由1> 本件特許は、特願2011-058140号(以下、「原出願」という。)からの分割出願である。本件特許は、原出願の出願当初明細書に記載されていない記載ないし概念を含むものであるから、原出願の出願当初明細書に対して、特許法第17条の2第3項に禁止される新規事項が追加されたものであり、本件特許の出願日として原出願の出願日が採用されるものではない。よって、本件特許は、原出願を先行文献として特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 <無効理由2> 本件特許の請求項1?31に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えており、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。 <無効理由3> 本件特許の請求項1?31に係る発明は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。 <無効理由4> 本件特許の請求項1?31に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であって特許法第29条第1項第2号の規定により特許を受けることができないものであるか、甲第1号証に記載された発明に基づいて出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 但し、平成29年8月25日付け口頭審理陳述要領書において、請求人は「無効理由3を取り下げる」と主張されたので、無効理由は、無効理由1、無効理由2、無効理由4となった。 (2)請求人が提出した甲号証 甲第1号証-1 製品解析報告書 甲第1号証-2 製品解析報告書(配線密度算出手法) 甲第1号証-3 トランセンド社2010年製品カタログ 甲第1号証-4 TS256GSSD25S-M製品ウエブページ 甲第1号証-5 TS512GSSD25S-M製品ウエブページ 甲第1号証-6 「トランセンド、リード260MB/秒の大容量512GB SSD」 との記事 甲第1号証-7 「速度アップ!容量アップ!した512GBのトランセンド のSSD」との記事 甲第2号証 特開2010-135418号公報 甲第3号証 特開2005-123493号公報 甲第4号証 特開平7-202359号公報 甲第5号証 特開2004-342934号公報 甲第6号証 特開2009-267162号公報 甲第7号証 パイオニア技術論文2006年VOL16-No1「基板実装加熱時の反り ・変形メカニズムの解析」 甲第8号証 パイオニア技術論文2008年VOL18-No2「シミュレーションによ る基板の反り解析システムの導入評価」 甲第9号証 特開平9-275251号公報 甲第9号証-2 特許3267148号のプレゼンテーション資料 甲第10号証 PCB29-8370の設計資料 甲第11号証 平成29年第103号 事実実験公正証書 甲第12号証-1 SSD (S/N:240214-0223)の製造指示書 甲第12号証-2 SSD(S/N:240214-0223)のトレースレポート 甲第12号証-3 SSD(S/N:240214-0223)のインボイス 甲第12号証-4 SSD(S/N:240214-0223)の保証期間(目安) 甲第13号証-1 SSD (S/N:446165-0520)の製造指示書 甲第13号証-2 SSD(S/N:446165-0520)のトレースレポート 甲第13号証-3 SSD(S/N:446165-0520)のインボイス 甲第13号証-4 SSD(S/N:446165-0520)の保証期間(目安) 甲第14号証-1 SSD (S/N:498000-0109)の製造指示書 甲第14号証-2 SSD(S/N:498000-0109)のトレースレポート 甲第14号証-3 SSD(S/N:498000-0109)のインボイス 甲第14号証-4 SSD(S/N:498000-0109)の保証期間(目安) 甲第15号証-1 SSD (S/N:498739-0223)の製造指示書 甲第15号証-2 SSD(S/N:498739-0223)のトレースレポート 甲第15号証-3 SSD(S/N:498739-0223)のインボイス 甲第15号証-4 SSD(S/N:498739-0223)の保証期間(目安) 甲第16号証 製品レポート記事 甲第17号証-1 SSD (S/N:347811-0005)の製造指示書 甲第17号証-2 SSD (S/N:347811-0005)のトレースレポート 甲第17号証-3 SSD (S/N:347811-0005)のインボイス 甲第18号証-1 SSD (S/N:397069-0006)の製造指示書 甲第18号証-2 SSD (S/N:397069-0006)のトレースレポート 甲第18号証-3 SSD (S/N:397069-0006)のインボイス 甲第19号証 製品レポート記事 甲第20号証 プリント回路技術用語辞典 甲第21号証 プリント配線技術読本第2版 甲第22号証 プリント配線板技術 甲第23号証 プリント配線板の製造技術 甲第24号証 超高多層基板の開発 甲第25号証 DRAM(TMS4116)のデータシート 甲第26号証 EMC のための設計テクニック(第2版) 第5部: プリント 基板の設計とレイアウト 甲第27号証 多層プリント配線板の実装技術 甲第28号証 請求人からの貸出品による製品レポート記事 甲第29号証-1 SSD (S/N:358462-0003)の製造指示書 甲第29号証-2 SSD(S/N:358462-0003)のトレースレポート 甲第29号証-3 SSD(S/N:358462-0003)のインボイス 甲第29号証-3-2 SSD(S/N:358462-0003)の貸出インボイス 甲第29号証-4 SSD(S/N:358462-0003)の保証期間(目安) 2.被請求人の主張 (1)答弁の趣旨 本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。 (2)被請求人が提出した乙号証 乙第1号証 判定2016-600009 乙第2号証 TS64GSSD25S-Mの製品説明 乙第3号証 TS128GSSD25S-Mの製品説明 乙第4号証 製品解析報告書 乙第5号証 Part Number Decoder 乙第6号証 JMF616製品説明書 乙第7号証 特開2010-79445号公報 乙第8号証 納品書 乙第9号証 領収書 乙第10号証 トラッキング 乙第11号証 ロシア-送って覗く世界の郵便事情 乙第12号証 請求人の保証規定 乙第13号証 製品照合 乙第14号証 製品照合 乙第15号証 製品照合 乙第16号証 判定請求答弁書 第5 当審の判断 1 無効理由1について(新規事項の追加) 請求人は、審判請求書(第22頁ないし26頁)において以下の主張をしている。「原出願の出願当初明細書においては、配線層における銅箔の配線密度を対象とした上限や下限を意味する「以上」「以下」「より大きい」「より小さい」といった記載ないし概念が存在しない。ところが、本件特許の特許請求の範囲の独立請求項たる請求項1、請求項14、請求項21には、配線密度について「7.5%以下」「60%以上」(「80%以上」)との記載があり、これらは配線密度の上限や下限を表すものである。したがって、本件特許は、原出願の出願当初明細書に記載されていない記載ないし概念を含むものであるから、原出願の出願当初明細書に対して、特許法第17条の2第3項に禁止される新規事項が追加されたものであり、本件特許の出願日として原出願の出願日が採用されるものではない。」 そこで、当該主張について検討をする。 本件特許の原出願の当初明細書には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。 ・【0005】本発明は、平面視において長方形形状の基板を用いる場合に、基板の反りを抑えることができる半導体装置を提供することを目的とする。 ・【0014】図5は、基板8の各層の配線密度を示す図である。ここで、基板8の層構造の中心線30(図4も参照)よりも表面層側に形成された第1層から第4層までを上層といい、中心線30よりも裏面層側に形成された第5層から第8層までを下層という。 ・【0015】基板8の各層に形成された配線層8bは、図5に示すように、信号を送受信する信号層、グランドや電源線となるプレーン層として機能する。そして、各層に形成された配線パターンの配線密度、すなわち、基板8の表面面積に対する配線層が占める割合を、図5に示すように構成している。 ・【0016】本実施の形態では、グランドとして機能する第8層をプレーン層ではなく網状配線層とすることで、その配線密度を30?60%に抑えている。ここで、基板8の上層全体での配線密度は約60%となっている。そこで、第8層の配線密度を約30%として配線パターンを形成することで、下層全体での配線密度を約60%とすることができ、上層全体の配線密度と下層全体の配線密度とを略等しくすることができる。なお、第8層の配線密度は、約30?60%の範囲で調整することで、上層全体の配線密度と略等しくなるようにすればよい。 ・【0024】本実施の形態では、第8層の配線密度は、約30?60%の範囲で調整し、上層全体の配線密度と下層全体の配線密度とを略等しくしているので、熱膨張係数も略等しくなる。そのため、基板8に反りが発生するのを抑制することができる。また、中心線30(図4も参照)から最も離れた第8層で配線密度を調整しているので、反りを抑制するためのモーメントをより大きく発生させることができる。 ・【0028】なお、本実施の形態では、基板8の下層全体の配線密度を調整するために、第8層の配線層を網状配線層にしているが、これに限られず、例えばライン上に配線層を形成してもよい。また、下層のうち第8層以外の層、すなわち第5層から第7層までの配線層の配線密度を調整して、下層全体としての配線密度を調整してもよい。もちろん、第5層から第8層までのすべての層で配線密度を調整して、下層全体としての配線密度を調整してもよい。 ここで、段落【0005】、【0024】によれば、原出願の当初明細書に記載された目的は「基板の反りを防止」することであり、そのために「上層全体と下層全体の配線密度の平均値を略等しくした」ものである。具体的には段落【0014】ないし【0016】、及び【0024】に記載されているように、下層全体の配線密度の平均は、第8層の配線密度を最小の30%にすると約60%になり、上層全体の配線密度の平均との差は最小の0となり、第8層の配線密度を最大の60%にすると約67.5%となり、上層全体の配線密度の平均との「差は最大の7.5%」となるものである。よって、本件特許発明1、本件特許発明14、及び本件特許発明21の発明特定事項「第1の値が7.5%以下」は、原出願の出願当初の明細書、図面に記載されたものである。 また、上記のとおり、基板の反りを防止することは上層全体と下層全体の配線密度の平均値を略等しくすること(第1の値が7.5%以下)で達成できると原出願の当初明細書等に記載されているところ、各層の配線密度や上層全体及び下層全体の配線密度の平均値をそれぞれ所定範囲にすることは、基板の反りを防止するための直接的な目的とは原出願の当初明細書等から読めず、単に明細書等に記載された範囲内で特許請求の範囲を限定した事項と認められる。そして、原出願の出願当初の図5には、上層全体の配線密度の平均が約60%、下層全体の配線密度の平均が約67.5%が記載されているので、そのぞれの配線密度の平均が60%以上である事実は記載されているといえる。よって、本件特許発明1、本件特許発明14、及び本件特許発明21の発明特定事項「前記第1の平均値と前記第2の平均値はともに60%以上」は、原出願の出願当初の明細書、図面に記載されたものである。 更に、原出願の出願当初の図5に記載されているとおり、プレーン層(GND、電源)の配線密度は約80%であり、段落【0030】には最外層又は内側の層の全域を銅箔で覆ってシールド層としても良い(配線密度は100%)点も開示されている。よって、本件特許発明1ないし2、本件特許発明5ないし6、本件特許発明17、本件特許発明21、及び本件特許発明25の発明特定事項「配線密度が80%以上」は、原出願の出願当初の明細書、図面に記載されたものである。 なお、請求人は、「反りが生じないよう工夫することなく通常の配線設計を行い偶然に配線密度が特許請求の範囲の記載に含まれるような基板も、技術的範囲に含まれることになる。そのような基板は反りの生じやすい基板とは言えないから、基板の反りを抑えるという課題を前提とせず、本件特許は原出願を実質的に逸脱している。」とも主張している。しかしながら、本件特許が原出願を逸脱しているどうかは、原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内か否かで判断されることであって、偶然に本件特許発明に含まれる基板の有無で判断されるものではないから、請求人の主張は採用できることができない。(配線密度が特許請求の範囲の記載に含まれる基板が普通に存在するのであれば、その証拠を提示し、新規性や進歩性について無効理由を主張すべきである。) したがって、本件特許発明の配線密度に関わる数値は原出願の出願当初の明細書又は図面に記載されたものであるから、本件特許は分割の要件を満たすものであり、「原出願を先行文献として特許法第29条第1項第3号の規定に特許を受けることができない」とする無効理由1を採用することはできない。 2 無効理由2について(サポート要件違反) 請求人は、審判請求書(第26頁ないし30頁)において以下の主張をしている。 本件特許の特許請求の範囲には、配線密度について「7.5%以下」、「60%以上」、「80%以上」の記載があり、これらは配線密度の上限や下限を表すものである。一方、発明の詳細な説明の段落【0016】、【0024】、図5及び図6には、「約60%?67.5%」、「約30?60%」との記載があるが、これらは下限や上限を示すものではない。したがって、本件発明の特許請求の範囲と、発明の詳細な説明とでは、表現上の整合性(形式的な対応関係)が無い。 そこで当該主張について検討をする。 原出願の当初明細書の段落【0005】、【0014】ないし【0016】、【0024】、【0028】、及び図5の事項は、本件明細書の段落【0005】、【0014】ないし【0016】、【0024】、【0028】、及び図5に同内容が記載されているから(厳密に言うと、段落【0005】は一部相違するが、上記「1」で記載した段落【0005】に下線部を引いた部分は共通する。)、上記「1」のとおり、本件特許発明の配線密度に関わる数値(「7.5%以下」、「60%以上」、「80%以上」)は、本件特許明細書又は図面に記載されたものである。 また、請求人は、「反りという課題の不存在」や「特許請求の範囲における課題解決手段の不存在」も主張している。しかしながら、前者の主張は、上記「1」でも主張されている事項であり、上記「1」で判断したとおりである。また、後者の主張も、上記「1」で判断したとおり、本件特許発明の課題(基板の反りを防止)を解決するための構成「第1の値が7.5%以下」は本件特許明細書等に記載されている。よって、請求人の主張を採用することはできない。 したがって、本件特許発明の配線密度に関わる数値は本件特許の明細書又は図面に記載されたものであるから、本件特許発明を「特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない」とする無効理由2を採用することはできない。 3 無効理由4について(新規性・進歩性の欠如) 無効理由4は、甲第1号証に記載された発明と同一(特許法第29条第1項第2号)であるか、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたもの(特許法第29条第2項)との主張であるから、甲第1号証について検討する。 甲第1号証-1及び2は、製品解析報告書と記載されているものの、PCB基板の表面、裏面、各内層、及び配線密度を算出するための画像がそれぞれ写真掲載されているだけで、当該PCB基板がどのような製品に組み込まれていたかは記載がなく不明である。また、甲第1号証-3ないし7は、製品TSXXGSSD25S-M(XXには、製品の記憶容量GBを示す数値が入る。)が本件特許の原出願日である2011年3月16日よりも前に一般に発売されていたことを示したものであるが、いずれにも当該製品に使用されたPCB基板については何ら示されていない。 請求人は「請求系列としてのTSXXGSSD25S-Mは2007年にリリースを開始したが、同製品にPCB29-7970が使われ始めたのは2010年7月からである。」と主張しているが(審判請求書20頁)、平成29年6月9日付け審理事項通知で当審が指摘したとおり、審判請求書及び甲第1号証-1ないし7を参照しても、「2010年7月から販売されていたとするTSXXGSSD25S-M」に「甲第1号証-1及び2で解析されたPCB29-7970」が使用されていた具体的な証拠がない。 これに対し、請求人は、平成29年8月25日付け口頭審理陳述要領書、平成29年10月2日付け上申書において、新たな証拠(甲第11号証ないし甲第29号証-4。特に、甲第11号証の製品、甲第16号証の製品。)を提示し、「PCB29-7970が搭載されたTSXXGSSD25S-Mが、本件特許の優先日である2011年3月16日より前に一般市場において発売されていたことを立証」する主張をしているが、仮にそれが立証できたとしても、「本件特許の優先日前の製品TSXXGSSD25S-M全てに、必ずPCB29-7970が使用されていた」事実はないのであるから、PCB29-7970が搭載されたTSXXGSSD25S-Mをいくつか示しただけで、「甲第1号証-1及び甲第1号証-2で解析されたPCB29-7970」が本件特許の優先日前の製品に搭載されていたとは立証できない。更に、甲第1号証-1及び甲第1号証-2で解析されたPCB29-7970を搭載された製品がどれであるかも不明のままである。 また、甲第1号証-1の基板のBottom面に「1034」と印刷されていることから、2010年34週(8月)に製造されたとの請求人の主張(審判請求書20?21頁)を認めたとしても、それが製品(SSD)に搭載されて2011年3月16日より前に販売されていたとする証拠はない。この点について請求人は、PCB29-7970の製造日から出荷までに要する期間は1?3ヶ月と主張しているが(平成29年8月25日付け口頭審理陳述要領書7?8頁)、いくつかの製品のシリアルナンバーからPCB基板の製造から出荷までの期間を算出したものであって、それが全てのPCB基板に当てはまることを立証したわけではなく、また、実際に販売された日を立証できたわけでもないから、請求人の主張を採用することはできない。 したがって、甲第1号証-1及び甲第1号証-2のPCB基板が本件特許の優先日よりも前に公然実施されていたことは認められないので、甲第1号証によって本件特許発明の新規性・進歩性がないとする無効理由4を採用することはできない。 なお、請求人が「PCB29-7970が搭載されたTSXXGSSD25S-Mが、本件特許の優先日である2011年3月16日より前に一般市場において発売されていたことを立証」するために証拠とした提出し、平成29年9月7日に証拠調べを行った甲第11号証について、予備的に検討を行う。 甲第11号証は、事実実験公正証書、製品及びPCB基板の写真、別紙1ないし3からなるものである。証拠調べを行った際、封緘された梱包を開け、製品(以下、「甲11製品」という。)がTS256GSSD25S-Mであること、シリアルナンバーがS/N:411303-0009であること、甲11製品のパッケージを開封した内部に入っている基板がPCB29-7970であることを確認した。但し、基板PCB29-7970には手書きの文字が記された素子が搭載されており、公証人によって甲11製品のパッケージが「初めて」開封した点は疑義があるから、当該基板が出荷当時製品に搭載されていた基板であったかどうかも疑義がある。 そして、甲第11号証の別紙1の製造指示書(Work Order)、別紙2のシリアルナンバートレースレポート(S/T Trace Report)、別紙3のインボイス(Invoice)、及び乙第10号証によれば、甲11製品は、PCB29-7970を備えたTS256GSSD25S-Mであって、2011年3月13日にロシアのシェレメチェボ国際空港に到着したものと認められる。 しかしながら、口頭審理において合議体が請求人に確認したとおり、甲11製品が、ロシアの通関を通った日、3R Memooryに届いた日は不明である。また、ロシアにおいて、商品が空港に到着してから、通関を経た後に届け先に到着するのが、通常1?2日間で行われる立証もない。 よって、甲11製品は、本件特許の優先日よりも前に公然実施されていたものとは認められない。 したがって、甲第11号証は、「PCB29-7970が搭載されたTSXXGSSD25S-Mが、本件特許の優先日である2011年3月16日より前に一般市場において発売されていたことを立証」するための証拠にはならない。 第6 むすび 以上のとおり、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件特許の請求項1ないし31に係る特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とすべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 基板と、この基板に搭載される複数の不揮発性半導体メモリと、を備え、 前記基板は、 第1の主面と、前記第1の主面とは反対側を向いた第2の主面と、を有し、 前記第1の主面に設けられ、前記複数の不揮発性半導体メモリが搭載される第1の配線層と、 前記第2の主面に設けられた第2の配線層と、 内層として形成される複数の配線層と、 これら配線層間にそれぞれ設けられる複数の絶縁層と、 を備え、 前記複数の絶縁層の1つは、前記基板の層構造の中心線を含む領域に形成され、 前記基板の層構造の中心線よりも前記第1の主面側に形成された前記配線層および前記第1の配線層の配線密度の平均値である第1の平均値と、 前記基板の層構造の中心線よりも前記第2の主面側に形成された前記配線層および前記第2の配線層の配線密度の平均値である第2の平均値との差の絶対値である第1の値が7.5%以下であり、 前記第1の平均値と前記第2の平均値はともに60%以上であり、 前記内層として形成される複数の配線層のうち前記基板の層構造の中心線よりも前記第1の主面側に形成され前記中心線に最も近い前記配線層の配線密度と、前記内層として形成される複数の配線層のうち前記基板の層構造の中心線よりも前記第2の主面側に形成され前記中心線に最も近い前記配線層の配線密度との差の絶対値である第2の値が前記第1の値よりも大きく、 前記内層として形成される複数の配線層のうち少なくとも1の前記配線層は、配線密度が80%以上である半導体装置。 【請求項2】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第1の配線層と対向する第3の配線層は配線密度が80%以上である請求項1に記載の半導体装置。 【請求項3】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第3の配線層と対向する第4の配線層及び前記第1の配線層は、信号を送受信するための信号層である請求項2に記載の半導体装置。 【請求項4】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第3の配線層と対向する第4の配線層の配線密度が前記第1の平均値より小さい請求項2に記載の半導体装置。 【請求項5】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第2の配線層と対向する第5の配線層は配線密度が80%以上である請求項1に記載の半導体装置。 【請求項6】 前記内層として形成される複数の配線層のうち少なくとも1の前記配線層は、信号を送受信するための信号層であり、 前記信号層は、前記配線層のうち配線密度が80%以上である第6の配線層及び第7の配線層と絶縁層を隔ててそれぞれ対向する請求項1に記載の半導体装置。 【請求項7】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第2の配線層と対向する第5の配線層と絶縁層を隔てて対向する第8の配線層の配線密度が前記第2の平均値より小さい請求項2に記載の半導体装置。 【請求項8】 前記第1の配線層の表面は、ソルダーレジストに覆われている請求項1に記載の半導体装置。 【請求項9】 前記第2の配線層の表面は、ソルダーレジストに覆われている請求項1に記載の半導体装置。 【請求項10】 前記不揮発性半導体メモリは、NAND型フラッシュメモリである請求項1に記載の半導体装置。 【請求項11】 前記基板の前記第1の配線層側には、4個のNAND型フラッシュメモリが搭載されている請求項10に記載の半導体装置。 【請求項12】 前記基板は、平面視において略長方形形状を呈する請求項1に記載の半導体装置。 【請求項13】 前記第1の配線層、前記第2の配線層、及び前記内層として形成される複数の配線層は、8層の配線層から構成され、前記8層の配線層のうち4層は信号を送受信するための信号層であり、残りの4層はグランド又は電源線を備える配線層である請求項1に記載の半導体装置。 【請求項14】 コネクタを備える基板と、前記基板に搭載される複数の不揮発性半導体メモリと、前記コネクタと接続されるコンピュータと、を備え、 前記基板は、 第1の主面と、前記第1の主面とは反対側を向いた第2の主面と、を有し、 前記第1の主面に設けられ、前記複数の不揮発性半導体メモリが搭載される第1の配線層と、 前記第2の主面に設けられた第2の配線層と、 内層として形成される複数の配線層と、 これら配線層間にそれぞれ設けられる複数の絶縁層と、 を備え、 前記複数の絶縁層の1つは、前記基板の層構造の中心線を含む領域に形成され、 前記基板の層構造の中心線よりも前記第1の主面側に形成された前記配線層および前記第1の配線層の配線密度の平均値である第1の平均値と、 前記基板の層構造の中心線よりも前記第2の主面側に形成された前記配線層および前記第2の配線層の配線密度の平均値である第2の平均値との差の絶対値である第1の値が7.5%以下であり、 前記第1の平均値と前記第2の平均値はともに60%以上であり、 前記内層として形成される複数の配線層のうち前記基板の層構造の中心線よりも前記第1の主面側に形成され前記中心線に最も近い前記配線層の配線密度と、前記内層として形成される複数の配線層のうち前記基板の層構造の中心線よりも前記第2の主面側に形成され前記中心線に最も近い前記配線層の配線密度との差の絶対値である第2の値が前記第1の値よりも大きく、 前記内層として形成される複数の配線層のうち少なくとも1の前記配線層はシールド層であるシステム。 【請求項15】 前記不揮発性半導体メモリは、NAND型フラッシュメモリである請求項14に記載のシステム。 【請求項16】 前記不揮発性半導体メモリと電気的に接続される揮発性メモリをさらに備える請求項15に記載のシステム。 【請求項17】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第1の配線層と対向する第3の配線層の配線密度が80%以上である請求項14に記載のシステム。 【請求項18】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第3の配線層と対向する第4の配線層の配線密度が前記第1の平均値より小さい請求項17に記載のシステム。 【請求項19】 前記内層として形成される複数の配線層のうち絶縁層を隔てて前記第2の配線層と対向する第5の配線層と絶縁層を隔てて対向する第6の配線層の配線密度が前記第2の平均値より小さい請求項17に記載のシステム。 【請求項20】 前記基板に搭載される電源回路をさらに備え、 前記コンピュータは、前記コネクタへ電源を入力し、 前記コネクタは、前記入力された電源を前記電源回路に供給し、 前記電源回路は、前記入力された電源から内部電圧を生成し、前記不揮発性半導体メモリへ供給するように構成されている請求項14に記載のシステム。 【請求項21】 コンピュータに接続可能なコネクタを備える基板と、前記基板に搭載され前記コネクタと電気的に接続されるドライブ制御回路と、このドライブ制御回路により制御される複数の不揮発性半導体メモリと、を備え、 前記基板は、 第1の主面と、前記第1の主面とは反対側を向いた第2の主面と、を有し、 前記第1の主面に設けられた第1の配線層と、 前記第2の主面に設けられた第2の配線層と、 内層として形成され、グランドまたは電源となる3つのプレーン層と、信号を送受信する3つの信号層を備える配線層と、 これら配線層間にそれぞれ設けられる複数の絶縁層と、 を備え、 前記複数の絶縁層の1つは、前記基板の層構造の中心線を含む領域に形成され、 前記基板の層構造の中心線よりも前記第1の主面側に形成された前記配線層および前記第1の配線層の配線密度の平均値である第1の平均値と、 前記基板の層構造の中心線よりも前記第2の主面側に形成された前記配線層および前記第2の配線層の配線密度の平均値である第2の平均値との差の絶対値である第1の値が7.5%以下であり、 前記第1の平均値と前記第2の平均値はともに60%以上であり、 前記内層として形成される配線層のうち前記基板の層構造の中心線よりも前記第1の主面側に形成され前記中心線に最も近い前記配線層の配線密度と、前記内層として形成される配線層のうち前記基板の層構造の中心線よりも前記第2の主面側に形成され前記中心線に最も近い前記配線層の配線密度との差の絶対値である第2の値が前記第1の値よりも大きく、 前記内層として形成される配線層のうち少なくとも1の前記配線層は、配線密度が80%以上であり、 前記ドライブ制御回路は、前記基板の前記第1の主面に搭載される半導体装置。 【請求項22】 前記複数の不揮発性半導体メモリは、平面視において、前記ドライブ制御回路の位置から見て前記コネクタとは反対側に設けられる請求項21に記載の半導体装置。 【請求項23】 前記複数の不揮発性半導体メモリは、NAND型フラッシュメモリである請求項21または22に記載の半導体装置。 【請求項24】 前記ドライブ制御回路と電気的に接続される揮発性メモリをさらに備える請求項21から23のいずれか1つに記載の半導体装置。 【請求項25】 前記内層として形成される配線層のうち絶縁層を隔てて前記第1の配線層と対向する第3の配線層の配線密度が80%以上である請求項21に記載の半導体装置。 【請求項26】 前記内層として形成される配線層のうち絶縁層を隔てて前記第3の配線層と対向する第4の配線層の配線密度が前記第1の平均値より小さい請求項25に記載の半導体装置。 【請求項27】 前記内層として形成される配線層のうち絶縁層を隔てて前記第2の配線層と対向する第5の配線層と絶縁層を隔てて対向する第6の配線層の配線密度が前記第2の平均値より小さい請求項25に記載の半導体装置。 【請求項28】 前記コネクタは、前記基板の短辺に設けられ、 前記揮発性メモリは、平面視において、前記複数の不揮発性半導体メモリから見て前記コネクタと同じ側に設けられる請求項24に記載の半導体装置。 【請求項29】 前記半導体装置の状態を表示するLEDをさらに備える請求項21から28のいずれか 1つに記載の半導体装置。 【請求項30】 前記基板の前記第1の主面に搭載される揮発性メモリをさらに備え、 前記基板は、平面視において略長方形形状を呈し、 前記複数の不揮発性半導体メモリは、4個のNAND型フラッシュメモリであって、前記基板の前記第1の主面であって、平面視において、前記ドライブ制御回路の位置から見て前記揮発性メモリとは反対側に搭載され、 前記揮発性メモリと、前記ドライブ制御回路と、前記4個のNAND型フラッシュメモリと、が前記基板の長辺方向に配置される請求項21に記載の半導体装置。 【請求項31】 前記コネクタは、前記基板の短辺であって、平面視において、前記揮発性メモリの位置から見て前記ドライブ制御回路とは反対側に設けられ、 前記コネクタと、前記揮発性メモリと、前記ドライブ制御回路と、前記4個のNAND型フラッシュメモリと、が前記基板の長辺方向に配置される請求項30に記載の半導体装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2017-11-01 |
結審通知日 | 2017-11-07 |
審決日 | 2017-11-27 |
出願番号 | 特願2014-134709(P2014-134709) |
審決分類 |
P
1
113・
112-
YAA
(H01L)
P 1 113・ 121- YAA (H01L) P 1 113・ 537- YAA (H01L) P 1 113・ 113- YAA (H01L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 金田 孝之、木下 直哉 |
特許庁審判長 |
森川 幸俊 |
特許庁審判官 |
井上 信一 酒井 朋広 |
登録日 | 2016-01-15 |
登録番号 | 特許第5869058号(P5869058) |
発明の名称 | 半導体装置およびシステム |
代理人 | 高橋 拓也 |
代理人 | 中野 浩和 |
代理人 | 高橋 雄一郎 |
代理人 | 高橋 拓也 |
代理人 | 北▲崎▼ 聡一郎 |
代理人 | 小林 啓一 |
代理人 | 北島 志保 |
代理人 | 江口 和敬 |
代理人 | 横山 達也 |
代理人 | 梶井 啓順 |
代理人 | 北▲崎▼ 聡一郎 |
代理人 | 北島 志保 |
代理人 | 梶井 啓順 |
代理人 | 畠山 明大 |
代理人 | 高橋 雄一郎 |
代理人 | 設楽 修一 |
代理人 | 黒田 博道 |
代理人 | 小林 啓一 |