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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  A63F
審判 査定不服 特39条先願 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  A63F
管理番号 1358066
審判番号 不服2019-7181  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-31 
確定日 2020-01-09 
事件の表示 特願2015-93597号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月15日出願公開、特開2016-209138号、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年4月30日の出願であって、平成30年2月27日に手続補正書が提出され、同年6月1日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月26日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月10日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成31年2月5日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年2月20日付け(送達日:同年3月5日)で、同年2月5日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、令和1年5月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 原審における補正の却下の決定の当否について
審判請求人は、審判請求書の請求の趣旨において、「特願2015-093597について、平成31年 2月20日になされた補正却下の決定並びに原査定を取り消す。本願発明は特許すべきものとする、との審決を求める。」としているので、平成31年2月20日付けの補正の却下の決定の当否について検討する。

[補正の却下の決定の当否の結論]
平成31年2月20日付け補正の却下の決定を取り消す。

[理由]
1 平成31年2月20日付け補正の却下の決定の概略

結論

平成31年 2月 5日付け手続補正書でした明細書、特許請求の範囲又は図面についての補正は、次の理由によって却下します。

理由

請求項1-2についての補正は限定的減縮を目的としている。この場合、補正後の請求項1-2に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。
そこで、補正後の請求項1-2に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討すると、本願の補正後の請求項1及び2に係る発明は、それぞれ先願3の請求項1及び2に係る発明と同一であるから、特許法第39条第1項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、この補正は同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により上記結論のとおり決定する。

<引用文献等一覧>
3.特願2014-239555号(特許第6198247号公報)


2 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲
平成31年2月5日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である)。

「【請求項1】
所定の遊技が行われる遊技領域が形成される遊技盤と、
前記遊技盤が装着される本体枠と、
前記本体枠に開閉可能に設けられる扉枠と、
前記扉枠に設けられ、正面視において前記遊技領域の下方で前方へ膨出し、所定の内部空間が形成された膨出部と、
前記膨出部の上面側に設けられ、前記遊技領域で遊技を行うための遊技媒体が貯留される上皿と、
前記内部空間に収容され、遊技者が操作可能な操作装置と、
所定形状の底壁部と所定高さの立壁部を設けた下皿本体を有して前記扉枠に設けられ、所定の供給口から遊技媒体が流入可能な下皿と
を備え、
前記膨出部における前記内部空間と左右方向に並設される空間に、前記下皿が設けられ、
前記下皿本体は、遊技機の前方に臨む領域が形成される第1下皿部と、該第1下皿部に一体的に設けられて遊技機の前方に臨まない領域が形成される第2下皿部とを含み、
前記第2下皿部の上方を覆うカバー手段を前記下皿本体と分離可能な別部材で構成したうえで、前記扉枠の開閉状態にかかわらず前記下皿本体と一体化するように前記下皿本体に組み付け、
前記カバー手段は、前記第2下皿部における前記底壁部の上方空間と前記内部空間との境界となる境界壁を備え、
前記境界壁が、前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止するとともに、前記第2下皿部から前記内部空間へ遊技媒体が侵入しないようにしており、
前記カバー手段は、前記下皿における遊技媒体貯留領域の外側に形成されたカバー取付部に取り付けられる
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
所定の遊技が行われる遊技領域が形成される遊技盤と、
前記遊技盤が装着される本体枠と、
前記本体枠に開閉可能に設けられる扉枠と、
前記扉枠に設けられ、正面視において前記遊技領域の下方で前方へ膨出し、所定の内部空間が形成された膨出部と、
前記膨出部の上面側に設けられ、前記遊技領域で遊技を行うための遊技媒体が貯留される上皿と、
前記内部空間に収容され、所定の演出効果を奏する演出装置と、
所定形状の底壁部と所定高さの立壁部を設けた下皿本体を有して前記扉枠に設けられ、所定の供給口から遊技媒体が流入可能な下皿と
を備え、
前記膨出部における前記内部空間と左右方向に並設される空間に、前記下皿が設けられ、
前記下皿本体は、遊技機の前方に臨む領域が形成される第1下皿部と、該第1下皿部に一体的に設けられて遊技機の前方に臨まない領域が形成される第2下皿部とを含み、
前記第2下皿部の上方を覆うカバー手段を前記下皿本体と分離可能な別部材で構成したうえで、前記扉枠の開閉状態にかかわらず前記下皿本体と一体化するように前記下皿本体に組み付け、
前記カバー手段は、前記第2下皿部における前記底壁部の上方空間と前記内部空間との境界となる境界壁を備え、
前記境界壁が、前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止するとともに、前記第2下皿部から前記内部空間へ遊技媒体が侵入しないようにしており、
前記カバー手段は、前記下皿における遊技媒体貯留領域の外側に形成されたカバー取付部に取り付けられる
ことを特徴とする遊技機。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成30年9月26日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
所定の遊技が行われる遊技領域が形成される遊技盤と、
前記遊技盤が装着される本体枠と、
前記本体枠に開閉可能に設けられる扉枠と、
前記扉枠に設けられ、正面視において前記遊技領域の下方で前方へ膨出し、所定の内部空間が形成された膨出部と、
前記膨出部の上面側に設けられ、前記遊技領域で遊技を行うための遊技媒体が貯留される上皿と、
前記内部空間に収容され、遊技者が操作可能な操作装置と、
所定形状の底壁部と所定高さの立壁部を設けた下皿本体を有して前記扉枠に設けられ、所定の供給口から遊技媒体が流入可能な下皿と
を備え、
前記膨出部における前記内部空間と左右方向に並設される空間に、前記下皿が設けられ、
前記下皿本体は、遊技機の前方に臨む領域が形成される第1下皿部と、該第1下皿部に一体的に設けられて遊技機の前方に臨まない領域が形成される第2下皿部とを含み、
前記第2下皿部の上方を覆うカバー手段を、前記扉枠の開閉状態にかかわらず前記下皿本体と一体的に設け、
前記カバー手段は、前記第2下皿部における前記底壁部の上方空間と前記内部空間との境界となる境界壁を備え、
前記境界壁が、前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止するとともに、前記第2下皿部から前記内部空間へ遊技媒体が侵入しないようにしており、
前記カバー手段は、前記下皿における遊技媒体貯留領域の外側に形成されたカバー取付部に取り付けられる
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
所定の遊技が行われる遊技領域が形成される遊技盤と、
前記遊技盤が装着される本体枠と、
前記本体枠に開閉可能に設けられる扉枠と、
前記扉枠に設けられ、正面視において前記遊技領域の下方で前方へ膨出し、所定の内部空間が形成された膨出部と、
前記膨出部の上面側に設けられ、前記遊技領域で遊技を行うための遊技媒体が貯留される上皿と、
前記内部空間に収容され、所定の演出効果を奏する演出装置と、
所定形状の底壁部と所定高さの立壁部を設けた下皿本体を有して前記扉枠に設けられ、所定の供給口から遊技媒体が流入可能な下皿と
を備え、
前記膨出部における前記内部空間と左右方向に並設される空間に、前記下皿が設けられ、
前記下皿本体は、遊技機の前方に臨む領域が形成される第1下皿部と、該第1下皿部に一体的に設けられて遊技機の前方に臨まない領域が形成される第2下皿部とを含み、
前記第2下皿部の上方を覆うカバー手段を、前記扉枠の開閉状態にかかわらず前記下皿本体と一体的に設け、
前記カバー手段は、前記第2下皿部における前記底壁部の上方空間と前記内部空間との境界となる境界壁を備え、
前記境界壁が、前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止するとともに、前記第2下皿部から前記内部空間へ遊技媒体が侵入しないようにしており、
前記カバー手段は、前記下皿における遊技媒体貯留領域の外側に形成されたカバー取付部に取り付けられる
ことを特徴とする遊技機。」

3 本件補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1及び2それぞれに記載した発明を特定するために必要な事項である「前記第2下皿部の上方を覆うカバー手段を、前記扉枠の開閉状態にかかわらず前記下皿本体と一体的に設け」ることに関して、「前記第2下皿部の上方を覆うカバー手段を前記下皿本体と分離可能な別部材で構成したうえで、前記扉枠の開閉状態にかかわらず前記下皿本体と一体化するように前記下皿本体に組み付け」と限定することを含むものである。
そして、本件補正後の請求項1及び2それぞれに係る発明は、本件補正前の請求項1及び2それぞれに係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1及び2についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

そこで、本件補正後の請求項1及び2に記載された発明(以下、それぞれ「本件補正発明1」及び「本件補正発明2」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。

(1)本件補正発明1
本件補正発明1は、上記2(1)に示した、次のとおりのものである(A-Nは、本件補正発明1を分説するため当審にて付与した)。

「【請求項1】
A 所定の遊技が行われる遊技領域が形成される遊技盤と、
B 前記遊技盤が装着される本体枠と、
C 前記本体枠に開閉可能に設けられる扉枠と、
D 前記扉枠に設けられ、正面視において前記遊技領域の下方で前方へ膨出し、所定の内部空間が形成された膨出部と、
E 前記膨出部の上面側に設けられ、前記遊技領域で遊技を行うための遊技媒体が貯留される上皿と、
F 前記内部空間に収容され、遊技者が操作可能な操作装置と、
G 所定形状の底壁部と所定高さの立壁部を設けた下皿本体を有して前記扉枠に設けられ、所定の供給口から遊技媒体が流入可能な下皿と
を備え、
H 前記膨出部における前記内部空間と左右方向に並設される空間に、前記下皿が設けられ、
I 前記下皿本体は、遊技機の前方に臨む領域が形成される第1下皿部と、該第1下皿部に一体的に設けられて遊技機の前方に臨まない領域が形成される第2下皿部とを含み、
J 前記第2下皿部の上方を覆うカバー手段を前記下皿本体と分離可能な別部材で構成したうえで、前記扉枠の開閉状態にかかわらず前記下皿本体と一体化するように前記下皿本体に組み付け、
K 前記カバー手段は、前記第2下皿部における前記底壁部の上方空間と前記内部空間との境界となる境界壁を備え、
L 前記境界壁が、前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止するとともに、前記第2下皿部から前記内部空間へ遊技媒体が侵入しないようにしており、
M 前記カバー手段は、前記下皿における遊技媒体貯留領域の外側に形成されたカバー取付部に取り付けられる
N ことを特徴とする遊技機。」

(2)先願発明1
平成31年2月20日付けの補正の却下の決定の理由で引用された、本願の出願前に出願され、その後設定の登録がされた出願である特願2014-239555号(以下、「先願」という。)の特許掲載公報の特許請求の範囲の請求項1には、次の発明(以下、「先願発明1」という。)が記載されている(a-nは、本件補正発明1に対応して先願発明1を分説するため当審にて付与した)。

「【請求項1】
a 所定の遊技が行われる遊技領域と、
d 正面視において該遊技領域の下方で前方へ膨出し、所定の内部空間が形成された膨出部と、
e 前記膨出部の上面側に設けられ、前記遊技領域で遊技を行うための遊技媒体が貯留される上皿と、
f 前記内部空間に収容され、遊技者が操作可能な操作装置と、
g 所定高さの周壁を有し、前記上皿から遊技媒体が流入可能な下皿と
を備え、
h 前記膨出部における前記内部空間と左右方向に並設される空間に、前記下皿が設けられ、
i 前記下皿は、正面側に露出する第1下皿部と、該第1下皿部に一体的に設けられ、正面側に露出しない第2下皿部とを含み、
j 前記第2下皿部の上方を前記第1下皿部の周壁の高さよりも高い位置で覆うカバー手段を設け、
kl 前記カバー手段によって、前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止し、前記内部空間へ遊技媒体が流出しないようにした
n ことを特徴とする遊技機。」

(3)本件補正発明1と先願発明1との対比
本件補正発明1と先願発明1とを対比する(見出しa-nは、本件補正発明1の分説A-Nに対応させて付与した)。

a 先願発明1の「a 所定の遊技が行われる遊技領域」は、本件補正発明1の「A 所定の遊技が行われる遊技領域が形成される遊技盤」と、「A’ 所定の遊技が行われる遊技領域」である点で共通する。

d 先願発明1の「d 正面視において該遊技領域の下方で前方へ膨出し、所定の内部空間が形成された膨出部」は、本件補正発明1の「D 前記扉枠に設けられ、正面視において前記遊技領域の下方で前方へ膨出し、所定の内部空間が形成された膨出部」と、「D’ 正面視において前記遊技領域の下方で前方へ膨出し、所定の内部空間が形成された膨出部」である点で共通する。

efhn 先願発明1の構成e、f、h及びnは、本件補正発明1の構成E、F、H及びNと文言が一致しており、それぞれの構成は互いに相当関係にある。

g 先願発明1の「所定高さの周壁」は、「下皿」に対して周壁となるものであるから、本件補正発明1の「下皿」が有する「下皿本体」に設けられた「所定高さの立壁部」に相当する。そうすると、先願発明1の「g 所定高さの周壁を有し、前記上皿から遊技媒体が流入可能な下皿」は、本件補正発明1の「G 所定形状の底壁部と所定高さの立壁部を設けた下皿本体を有して前記扉枠に設けられ、所定の供給口から遊技媒体が流入可能な下皿」と、「G’ 所定高さの立壁部を有し、遊技媒体が流入可能な下皿」である点で共通する。

i 先願発明1の「i 前記下皿は、正面側に露出する第1下皿部と、該第1下皿部に一体的に設けられ、正面側に露出しない第2下皿部とを含」むことは、本件補正発明1の「I 前記下皿本体は、遊技機の前方に臨む領域が形成される第1下皿部と、該第1下皿部に一体的に設けられて遊技機の前方に臨まない領域が形成される第2下皿部とを含」むことと、「I’ 前記下皿は、第1下皿部と、該第1下皿部に一体的に設けられる第2下皿部とを含」む点で共通する。

j 先願発明1の「j 前記第2下皿部の上方を前記第1下皿部の周壁の高さよりも高い位置で覆うカバー手段を設け」ることは、本件補正発明1の「J 前記第2下皿部の上方を覆うカバー手段を前記下皿本体と分離可能な別部材で構成したうえで、前記扉枠の開閉状態にかかわらず前記下皿本体と一体化するように前記下皿本体に組み付け」ることと、「J’ 前記第2下皿部の上方を覆うカバー手段を設け」る点で共通する。

kl 先願発明1の「kl 前記カバー手段によって、前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止し、前記内部空間へ遊技媒体が流出しないようにした」ことは、本件補正発明1の「K 前記カバー手段は、前記第2下皿部における前記底壁部の上方空間と前記内部空間との境界となる境界壁を備え、L 前記境界壁が、前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止するとともに、前記第2下皿部から前記内部空間へ遊技媒体が侵入しないようにして」いることと、「K’L’ 前記カバー手段によって、前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止し、前記内部空間へ遊技媒体が流出しないようにして」いる点で共通する。

したがって、本件補正発明1と先願発明1は、

「A’ 所定の遊技が行われる遊技領域と、
D’ 正面視において前記遊技領域の下方で前方へ膨出し、所定の内部空間が形成された膨出部と、
E 前記膨出部の上面側に設けられ、前記遊技領域で遊技を行うための遊技媒体が貯留される上皿と、
F 前記内部空間に収容され、遊技者が操作可能な操作装置と、
G’ 所定高さの立壁部を有し、遊技媒体が流入可能な下皿と
を備え、
H 前記膨出部における前記内部空間と左右方向に並設される空間に、前記下皿が設けられ、
I’ 前記下皿は、第1下皿部と、該第1下皿部に一体的に設けられる第2下皿部とを含み、
J’ 前記第2下皿部の上方を覆うカバー手段を設け、
K’L’ 前記カバー手段によって、前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止し、前記内部空間へ遊技媒体が流出しないようにしている
N 遊技機。」

である点で一致し、以下の8点で相違する。

相違点1 (構成A)本件補正発明1では遊技領域が「形成される遊技盤」を備えているのに対し、先願発明1では「遊技盤」を備えることについて明記されていない点。

相違点2 (構成B、C)本件補正発明1では「遊技盤が装着される本体枠」及び「本体枠に開閉可能に設けられる扉枠」を備えているのに対し、先願発明1では当該構成を備えることについて明記されていない点。

相違点3 (構成D)本件補正発明1では膨出部が「扉枠に設けられ」ているのに対し、先願発明1では、膨出部がどこに設けられるのか明記されていない点。

相違点4 (構成G)本件補正発明1では下皿が「所定形状の底壁部と所定高さの立壁部を設けた下皿本体を有して前記扉枠に設けられ」ると共に、遊技媒体は「所定の供給口から」流入可能であるのに対し、先願発明1では、下皿が下皿本体を有することや、下皿の設けられる箇所の特定はなく、遊技媒体は「上皿から」流入可能である点。

相違点5 (構成I)「第1下皿部」及び「第2下皿部」について、本件補正発明1では、「下皿本体」が含むものであり、「遊技機の前方に臨む領域が形成される」第1下皿部及び「遊技機の前方に臨まない領域が形成される」第2下皿部との特定を有するのに対し、先願発明1では、「下皿」が含むものであり、「正面側に露出する」第1下皿部及び「正面側に露出しない」第2下皿部との特定である点。

相違点6 (構成J)カバー手段について、本件補正発明1では、カバー手段を「前記下皿本体と分離可能な別部材で構成したうえで、前記扉枠の開閉状態にかかわらず前記下皿本体と一体化するように前記下皿本体に組み付け」と特定しているのに対し、先願発明1では「第1下皿部の周壁の高さよりも高い位置で覆う」カバー手段と特定している点。

相違点7 (構成KL)本件補正発明1では、カバー手段は、「前記第2下皿部における前記底壁部の上方空間と前記内部空間との境界となる境界壁を備え」、「前記境界壁が」、前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止するのに対し、先願発明1ではカバー手段が境界壁を備えるとの特定を有していない点。

相違点8 (構成M)本件補正発明1では、カバー手段は、「前記下皿における遊技媒体貯留領域の外側に形成されたカバー取付部に取り付けられる」のに対し、先願発明1では当該特定を有していない点。

(4)本件補正発明1についての判断
以下、相違点1-8について検討する。

ア 相違点1及び2について
先願発明1には、遊技盤や、遊技盤が装着される本体枠、及び、本体枠に開閉可能に設けられる扉枠を設けることが明記されていないが、遊技機であれば、これらの構成を備えることは当然のことである。したがって、相違点1及び2は実質的な相違点ではない。

イ 相違点3について
膨出部を扉枠に設けることは、特開2013-116169号公報(【0020】、【0022】、【0039】、【図1】、【図3】及び【図6】に記載された、皿ユニット7を開閉扉4に設けること参照)及び特開2015-24041号公報(【0015】及び【図1】に記載された、球貯留皿付扉108参照)それぞれに記載されるように、周知技術である。先願発明1において、膨出部を扉枠に設けることは、単に上記周知技術を付加したものであり、周知技術そのものが奏する効果を超える新たな効果を生じさせるものではなく、この点に関して、本件補正発明1と先願発明1は実質同一である。

ウ 相違点4について
先願発明1の下皿は、遊技媒体が流入可能なものであり、下皿に流入した遊技媒体を保持するために、所定形状を有する底壁部となる部分が設けられていることは当然のことであり、この所定形状を有する底壁部となる部分及び所定高さの周壁をあわせて下皿本体ということができることも、自明である。そして、下皿部を扉枠に設けることは、特開2013-116169号公報(【0020】、【0022】、【0039】、【図1】及び【図3】に記載された、下皿8bが形成された皿ユニット7を開閉扉4に設けること参照)及び特開2015-24041号公報(【0015】及び【図1】に記載された、下皿128を備える球貯留皿付扉108参照)それぞれに記載されるように、周知技術である。そうすると、先願発明1の下皿を扉枠に設けることは、単に上記周知技術を付加したものであり、周知技術そのものが奏する効果を超える新たな効果を生じさせるものではない。
さらに、先願発明1の下皿は、「上皿から遊技媒体が流入可能」であるから、下皿に対して、所定の供給口を有し、所定の供給口から、遊技媒体が流入可能であることも自明である。
そうすると、相違点4について、本件補正発明1と先願発明1は実質同一である。

エ 相違点5について
本件補正発明1の「遊技機の前方に臨む」、及び、先願発明1の「正面側に露出する」が示す技術事項について、「遊技機の前方」は「正面側」であり、第1下皿部が正面側に「露出する」ことで、第1下皿部が遊技機の前方に「臨む」ものとなっており、また、第1下皿部が遊技機の前方に「臨む」ことで、第1下皿部が正面側に「露出する」ものとなっているから、本件補正発明1の「遊技機の前方に臨む」と、先願発明1の「正面側に露出する」とは同じ技術事項を示すものである。同様に、本件補正発明1の「遊技機の前方に臨まない」と、先願発明1の「正面側に露出しない」とは同じ技術事項を示すものである。そして、先願発明1において、第1下皿部に正面側に露出する「領域」があること、及び、第2下皿部に正面側に露出しない「領域」があることは自明であり、このような領域は、それぞれ本件補正発明1の、第1下皿部に形成される遊技機の前方に臨む「領域」、及び第2下皿部に形成される遊技機の前方に臨まない「領域」に相当するものである。
また、上記「ウ 相違点4について」で示したとおり、下皿の部分を、下皿本体ということができることも、自明であり、先願発明1において、第1下皿部及び第2下皿部を下皿本体が含んでいることも、自明である。
そうすると、上記相違点5は実質的な相違点ではない。

オ 相違点6について
先願発明1では、カバー手段について、「下皿本体と分離可能な別部材で構成」すること、そして、「扉枠の開閉状態にかかわらず下皿本体と一体化するように下皿本体に組み付け」ることについて、何ら特定されていない。
ここで、平成31年2月20日付け補正の却下の決定の理由では、「さらに、先願発明1の『前記第2下皿部の上方を前記第1下皿部の周壁の高さよりも高い位置で覆うカバー手段を設け』という事項を、当該事項の記載根拠と出願人が説明した先願3の明細書段落275,276,278,289,図41?45の開示内容を考慮して理解したならば(先願3において出願人が平成29年3月24日に差し出した意見書参照)、当該事項は、本件補正発明1の『前記第2下皿部の上方を覆うカバー手段を前記下皿本体と分離可能な別部材で構成したうえで、前記扉枠の開閉状態にかかわらず前記下皿本体と一体化するように前記下皿本体に組み付け』という事項に相当する」としている。
しかし、先願発明1の記載は明確であり、特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないなどの特段の事情があるとはいえず、明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌することを要するものでない。
仮に、先願発明1について、明細書の記載を参酌しても、先願の明細書【0287】に「また、本実施形態では、下皿322を構成している下皿本体325と下皿カバー340とが分解可能な別体のものを示したが、下皿本体325と下皿カバー340とが分解不能な一体のものとしても良い。」と、【0290】に「なお、本実施形態では、夫々別体に形成された下皿本体325、下皿カバー340、皿ユニットベース320、及び皿ユニットカバー326(下皿カバー部326k)によって、下皿322を形成したものを示したが、それら四つの部材が適宜の組合せで一体とされて下皿322を形成するようにしても良い。」と、それぞれ記載されるように、下皿本体325(下皿本体)と下皿カバー340(カバー手段)とが、分解可能な別体のもの及び分解不能な一体のものが明細書に開示されており、先願発明1におけるカバー手段が、下皿本体と分離可能な別部材で構成されたものであると、限定して解釈する理由はない。
そして、カバー手段について、「下皿本体と分離可能な別部材で構成」すること、「扉枠の開閉状態にかかわらず下皿本体と一体化するように下皿本体に組み付け」ることが、周知技術であるとはいえない。
さらに、上記相違点6に係る本件補正発明1の構成により、請求人が審判請求書で主張する、「カバー手段の形状を変更するだけで内部空間に収容されている操作装置や演出装置の大きさや形状等に応じて、内部空間との境界の位置や形状を変更する自由度が高められる」との効果を奏するものである。
そうすると、相違点6についての、平成31年2月20日付け補正の却下の決定の上記理由を採用することはできない。
そして、相違点6において、本件補正発明1は、先願発明1と同一であるとはいえない。

カ 相違点7について
平成31年2月20日付け補正の却下の決定の理由では、「[一応の相違点]
本件補正発明1が、『前記カバー手段は、前記第2下皿部における前記底壁部の上方空間と前記内部空間との境界となる境界壁を備え、前記境界壁が、前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止するとともに、前記第2下皿部から前記内部空間へ遊技媒体が侵入しないようにして』いるのに対して、先願発明1が、『前記カバー手段によって、前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止し、前記内部空間へ遊技媒体が流出しないようにし』ているものの、カバー手段が境界壁を備え、これによって内部空間へ遊技媒体が進入しないように構成されていること迄は特定されていない点。
(判断)
上記一応の[一応の相違点]について検討する。
カバー手段によって内部空間へ遊技媒体が流出しないようにするという機能は境界壁の機能そのものというべきであり、また、先願の明細書段落275,276,278,289,図41?45を参酌してみても、先願発明1のカバー手段は境界壁という機能手段を有しているものと理解するのが相当である。
してみれば、一応の相違点については、文言上、外形上のものであって、実質的には相違点とはならない。」としている。
しかし、上記「オ 相違点6について」で示したのと同様に、先願発明1の記載は明確であり、明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌することを要するものでない。
また、先願発明1では、カバー手段は、第2下皿部における底壁部の上方空間と内部空間との境界となる境界壁を備えるとの特定を有しておらず、先願発明1において、「前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止し、前記内部空間へ遊技媒体が流出しないようにしている」機能を奏するのは、「カバー手段によって」であり、「境界壁」によってではない。また、このような機能を奏するために、「カバー手段」に「第2下皿部における底壁部の上方空間と内部空間との境界となる境界壁」を備えさせることが自明であるとも、また周知技術であるともいえない。
そうすると、相違点7についての、平成31年2月20日付け補正の却下の決定の上記理由を採用することはできない。
そして、相違点7において、本件補正発明1は、先願発明1と同一であるとはいえない。

キ 相違点8について
上記「オ 相違点6について」で示したとおり、先願発明1では、カバー手段について、「下皿本体と分離可能な別部材で構成」することについて、特定されていない。そして、下皿本体とカバー手段とが分解不能な一体のものも含みうる先願発明1のカバー手段について、カバー手段を、「下皿における遊技媒体貯留領域の外側に形成されたカバー取付部に取り付け」ることが自明であるとはいえない。
そして、カバー手段を、「下皿における遊技媒体貯留領域の外側に形成されたカバー取付部に取り付け」ることが、周知技術であるとはいえない。
そうすると、相違点8において、本件補正発明1は、先願発明1と同一であるとはいえない。

ク 小括
以上のとおり、本件補正発明1と先願発明1は同一の発明ではない。

(5)本件補正発明2
本件補正発明2は、上記2(1)に示したとおりのものであり、本件補正発明1において、(構成F)「前記内部空間に収容され、遊技者が操作可能な操作装置」とあったのを、「前記内部空間に収容され、所定の演出効果を奏する演出装置」としたものである。

(6)先願発明2
先願の特許掲載公報の特許請求の範囲の請求項2には、次の発明(以下、「先願発明2」という。)が記載されている。

「【請求項2】
所定の遊技が行われる遊技領域と、
正面視において該遊技領域の下方で前方へ膨出し、所定の内部空間が形成された膨出部と、
前記膨出部の上面側に設けられ、前記遊技領域で遊技を行うための遊技媒体が貯留される上皿と、
前記内部空間に収容され、所定の演出効果を奏する演出装置と、
所定高さの周壁を有し、前記上皿から遊技媒体が流入可能な下皿と
を備え、
前記膨出部における前記内部空間と左右方向に並設される空間に、前記下皿が設けられ、
前記下皿は、正面側に露出する第1下皿部と、該第1下皿部に一体的に設けられ、正面側に露出しない第2下皿部とを含み、
前記第2下皿部の上方を前記第1下皿部の周壁の高さよりも高い位置で覆うカバー手段を設け、
前記カバー手段によって、前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止し、前記内部空間へ遊技媒体が流出しないようにした
ことを特徴とする遊技機。」

この先願発明2は、先願発明1において、(構成f)「前記内部空間に収容され、遊技者が操作可能な操作装置」とあったのを、「前記内部空間に収容され、所定の演出効果を奏する演出装置」としたものである。

(7)本件補正発明2と先願発明2との対比、判断
本件補正発明2と先願発明2とを対比する。
先願発明2の「前記内部空間に収容され、所定の演出効果を奏する演出装置」は、本件補正発明2の「前記内部空間に収容され、所定の演出効果を奏する演出装置」に相当する。
また、その余の構成については、上記「(3)本件補正発明1と先願発明1との対比」で示したのと同様であり、本件補正発明2と先願発明2とは、上記相違点1-8で相違する。
そして、上記「(4)本件補正発明1についての判断」で示したことと同様に、相違点6、7及び8において、本件補正発明2は、先願発明2と同一であるとはいえず、本件補正発明2と先願発明2は同一の発明ではない。

(8)まとめ
したがって、本件補正発明1及び2は、特許法第39条第1項の規定によって、特許出願の際独立して特許を受けることができないものではなく、他に特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由もない。
よって、本件補正発明1及び2は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

4 原審における補正の却下の決定の当否についてのむすび
以上のとおりであるので、平成31年2月20日付けの補正の却下の決定は取り消す。

第3 原査定について
1 本願発明
上記「第2 原審における補正の却下の決定の当否について」で検討したとおり、平成31年2月20日付けの補正の却下の決定は取り消されたから、本願の請求項1-2に係る発明は、上記「第2 2(1)」に示した、平成31年2月5日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-2に記載された事項により特定されるとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由の概略


2.(先願)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願日前の下記の出願に係る発明と同一であるから、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができない。

3.(同日出願)この出願の下記の請求項に係る発明は、同一出願人が同日出願した下記の出願に係る発明と同一と認められるから、この通知書と同日に発送した特許庁長官名による指令書に記載した届出がないときは、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由2(先願)について
・請求項 1-2
・先願 3

●理由3(同日出願)について
・請求項 1-2
・同日出願 4

<引用文献等一覧>
3.特願2014-239555号(特許第6198247号公報)
4.特願2015-093598号(特開2016-209139号)


3 原査定の拒絶の理由についての判断
(1)先願について
原査定の拒絶の理由2における先願3は、上記「第2 3 本件補正の適否」で示した先願である。
そうすると、上記「第2 3 本件補正の適否」で示したとおり、本願の請求項1及び2に係る発明と、先願の特許掲載公報の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された発明は、同一の発明ではない。
したがって、本願の請求項1及び2に係る発明は、特許法第39条第1項の規定によって特許を受けることができないとすることはできない。

(2)同日出願について
原査定の拒絶の理由3における同日出願4(以下、「同日出願」という。)は、本願と同日に出願されたものであり、平成31年2月20日付け(送達日:同年3月5日)で、同年2月5日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、令和1年5月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、当該審判(不服2019-7182号)について審理がなされ、平成31年2月20日付け補正の却下の決定が取り消されると共に、「原査定を取り消す。本願の発明は、特許すべきものとする。」と、本審決と同時に審決されるものである。
該審決によれば、同日出願の請求項1及び2に係る発明は、平成31年2月5日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された、次のとおりのものである(以下、「同日発明1」及び「同日発明2」という)。

同日発明1
「【請求項1】
所定の遊技が行われる遊技領域が形成される遊技盤と、
前記遊技盤が装着される本体枠と、
前記本体枠に開閉可能に設けられる扉枠と、
前記扉枠に設けられ、正面視において前記遊技領域の下方で前方へ膨出し、所定の内部空間が形成された膨出部と、
前記膨出部の上面側に設けられ、前記遊技領域で遊技を行うための遊技媒体が貯留される上皿と、
前記内部空間に収容され、遊技者が操作可能な操作装置と、
所定形状の底壁部と所定高さの立壁部を設けた下皿本体を有して前記扉枠に設けられ、所定の供給口から遊技媒体が流入可能な下皿と
を備え、
前記膨出部における前記内部空間と左右方向に並設される空間に、前記下皿が設けられ、
前記下皿本体は、遊技機の前方に臨む領域が形成される第1下皿部と、該第1下皿部に一体的に設けられて遊技機の前方に臨まない領域が形成される第2下皿部とを含み、
前記第2下皿部の上方を覆うカバー手段を前記下皿本体と分離可能な別部材で構成したうえで、前記扉枠の開閉状態にかかわらず前記下皿本体と一体化するように前記下皿本体に組み付け、
前記カバー手段は、前記第2下皿部における前記底壁部の上方空間と前記内部空間との境界となる境界壁を備え、
前記境界壁が、前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止するとともに、前記第2下皿部から前記内部空間へ遊技媒体が侵入しないようにしており、
前記内部空間の後方を閉鎖する閉鎖部が前記扉枠に設けられており、
さらに、前記内部空間を境として前記下皿が設けられる側の反対側には、遊技媒体を発射するためのハンドル部が設けられており、
前記膨出部は、前記ハンドル部の最前部分よりも遊技機の前方に突出するように設けられる
ことを特徴とする遊技機。」

同日発明2
「【請求項2】
所定の遊技が行われる遊技領域が形成される遊技盤と、
前記遊技盤が装着される本体枠と、
前記本体枠に開閉可能に設けられる扉枠と、
前記扉枠に設けられ、正面視において前記遊技領域の下方で前方へ膨出し、所定の内部空間が形成された膨出部と、
前記膨出部の上面側に設けられ、前記遊技領域で遊技を行うための遊技媒体が貯留される上皿と、
前記内部空間に収容され、所定の演出効果を奏する演出装置と、
所定形状の底壁部と所定高さの立壁部を設けた下皿本体を有して前記扉枠に設けられ、所定の供給口から遊技媒体が流入可能な下皿と
を備え、
前記膨出部における前記内部空間と左右方向に並設される空間に、前記下皿が設けられ、
前記下皿本体は、遊技機の前方に臨む領域が形成される第1下皿部と、該第1下皿部に一体的に設けられて遊技機の前方に臨まない領域が形成される第2下皿部とを含み、
前記第2下皿部の上方を覆うカバー手段を前記下皿本体と分離可能な別部材で構成したうえで、前記扉枠の開閉状態にかかわらず前記下皿本体と一体化するように前記下皿本体に組み付け、
前記カバー手段は、前記第2下皿部における前記底壁部の上方空間と前記内部空間との境界となる境界壁を備え、
前記境界壁が、前記第2下皿部から前記第1下皿部側以外の下皿外部へ遊技媒体が流出することを阻止するとともに、前記第2下皿部から前記内部空間へ遊技媒体が侵入しないようにしており、
前記内部空間の後方を閉鎖する閉鎖部が前記扉枠に設けられており、
さらに、前記内部空間を境として前記下皿が設けられる側の反対側には、遊技媒体を発射するためのハンドル部が設けられており、
前記膨出部は、前記ハンドル部の最前部分よりも遊技機の前方に突出するように設けられる
ことを特徴とする遊技機。」

そして、同日発明1では「前記内部空間の後方を閉鎖する閉鎖部が前記扉枠に設けられて」いるのに対し、本願の請求項1に係る発明では当該構成を備えておらず、この点において、本願の請求項1に係る発明と同日発明1は同一の発明ではない。また、本願の請求項2に係る発明と同日発明2も同様に、同一の発明ではない。
したがって、本願の請求項1及び2に係る発明は、特許法第39条第2項の規定によって特許を受けることができないとすることはできない。

第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1-2に係る発明について、原査定の拒絶の理由を検討しても、その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり、審決する。
 
審決日 2019-12-25 
出願番号 特願2015-93597(P2015-93597)
審決分類 P 1 8・ 4- WYA (A63F)
P 1 8・ 575- WYA (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 柴田 和雄  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 田邉 英治
木村 隆一
発明の名称 遊技機  

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