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審決分類 |
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 B32B 審判 一部申し立て 2項進歩性 C23C 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 H01B |
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管理番号 | 1359599 |
異議申立番号 | 異議2018-700599 |
総通号数 | 243 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-03-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-07-20 |
確定日 | 2020-01-20 |
異議申立件数 | 2 |
事件の表示 | 特許第6268568号発明「積層体の製造方法および積層体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6268568号の請求項1、3?5、及び8に係る特許を取り消す。 特許第6268568号の請求項6及び7に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第6268568号(以下「本件特許」という。)の請求項1?10に係る特許についての出願は、平成25年4月9日に出願され、平成30年1月12日にその特許権の設定登録(特許掲載公報発行日:平成30年1月31日)がされたものであって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年7月20日:特許異議申立人 阿部紀子(以下「申立人A」とい う。)による請求項1、3?5、8に係る特許に対する 特許異議の申立て 平成30年7月31日:特許異議申立人 松尾泰幸(以下「申立人B」とい う。)による請求項1、3?8に係る特許に対する 特許異議の申立て 平成30年10月26日付け:取消理由通知 平成30年12月27日:特許権者による意見書の提出及び訂正請求 平成31年2月6日:申立人Aによる意見書の提出 平成31年3月27日付け:取消理由通知(決定の予告) 令和元年5月31日:特許権者による意見書の提出及び訂正請求 令和元年6月25日付け:訂正拒絶理由通知 令和元年7月22日:特許権者による手続補正書及び意見書の提出 平成30年12月27日付けの訂正請求につき、特許法第120条の5第5項の規定により、平成31年1月8日付けで、訂正の請求があった旨の通知を申立人A及びBに送付したが、申立人Bから意見書は提出されなかった。 なお、平成30年12月27日付けの訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 令和元年5月31日付けの訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という)の内容は以下のとおりである。 (訂正箇所に下線を付す) ア.請求項1に係る訂正 (ア)訂正事項1 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に、 「前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムを大気環境下から真空環境下に置く準備工程」 と記載されているのを、 「前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムを大気環境下から真空環境下に置く準備工程であって、巻出装置において、前記基材フィルムが巻回されたシャフトを準備する工程と、排気手段によって前記巻出装置内の気体を外部に排出する工程と、を含む、準備工程」 に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3?8も同様に訂正する)。 (イ)訂正事項2 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に、 「前記準備工程の後、前記透明導電層の表面にガスイオンを照射する表面処理工程」 と記載されているのを、 「前記準備工程の後、且つ前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムを前記巻出装置内の真空環境下で50?170℃で加熱した後、前記巻出装置内において前記透明導電層の表面にガスイオンを照射する表面処理工程」 に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3?8も同様に訂正する)。 (ウ)訂正事項3 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に、 「前記表面処理工程の後、前記透明導電層上に金属層を形成する金属層形成工程」 と記載されているのを、 「前記表面処理工程の後、成膜装置において成膜用搬送ドラムによって前記基材フィルムを搬送しながら前記透明導電層上に金属層を形成する金属層形成工程であって、前記成膜装置の内部雰囲気は、ゲートバルブによって前記巻出装置の内部雰囲気から遮蔽されている、金属層形成工程」 に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3?8も同様に訂正する)。 イ.請求項2に係る訂正(訂正事項4) 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2に、 「前記透明導電層と前記金属層との間の界面における組成を分析する工程を更に備え、 前記分析する工程において、Naの検出強度が、In(113)に対して相対的感度で7%以下である、請求項1に記載の積層体製造方法。」 と記載されているのを、 「基材フィルムに設けられた透明導電層上に遮光性を有する金属層を形成して積層体を製造する積層体製造方法であって、 前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムを大気環境下から真空環境下に置く準備工程と、 前記準備工程の後、前記透明導電層の表面にガスイオンを照射する表面処理工程と、 前記表面処理工程の後、前記透明導電層上に金属層を形成する金属層形成工程と、を備え、 前記表面処理工程が実施されてから前記金属層形成工程が実施されるまでの間、前記基材フィルムが真空環境下に置かれ、 前記透明導電層と前記金属層との間の界面における組成を分析する工程を更に備え、 前記分析する工程において、Naの検出強度が、In(113)に対して相対的感度で7%以下である、積層体製造方法。」 に訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3?8も同様に訂正する)。 ウ.請求項6に係る訂正(訂正事項5) 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6に、 「請求項1乃至5のいずれか一項」 と記載されているのを、 「請求項2乃至5のいずれか一項」 に訂正する。 エ.請求項7に係る訂正(訂正事項6) 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7に、 「請求項1乃至6のいずれか一項」 と記載されているのを、 「請求項2乃至6のいずれか一項」 に訂正する。 オ.新たな請求項11に係る訂正(訂正事項7) 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6に、 「前記透明導電層上に形成される前記金属層が、APC合金を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積層体製造方法。」 とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「基材フィルムに設けられた透明導電層上に遮光性を有する金属層を形成して積層体を製造する積層体製造方法であって、 前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムを大気環境下から真空環境下に置く準備工程と、 前記準備工程の後、前記透明導電層の表面にガスイオンを照射する表面処理工程と、 前記表面処理工程の後、前記透明導電層上に金属層を形成する金属層形成工程と、を備え、 前記表面処理工程が実施されてから前記金属層形成工程が実施されるまでの間、前記基材フィルムが真空環境下に置かれ、 前記透明導電層上に形成される前記金属層が、APC合金を含む、積層体製造方法。」 と記載し、新たに請求項11とする。 カ.新たな請求項12に係る訂正(訂正事項8) 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7に 「前記透明導電層上に形成される前記金属層が、MoNb合金を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の積層体製造方法。」 とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「基材フィルムに設けられた透明導電層上に遮光性を有する金属層を形成して積層体を製造する積層体製造方法であって、 前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムを大気環境下から真空環境下に置く準備工程と、 前記準備工程の後、前記透明導電層の表面にガスイオンを照射する表面処理工程と、 前記表面処理工程の後、前記透明導電層上に金属層を形成する金属層形成工程と、を備え、 前記表面処理工程が実施されてから前記金属層形成工程が実施されるまでの間、前記基材フィルムが真空環境下に置かれ、 前記透明導電層上に形成される前記金属層が、MoNb合金を含む、積層体製造方法。」 と記載し、新たに請求項12とする。 (2)手続補正について ア.補正の内容 令和元年7月22日付けの手続補正書による補正(以下「変更補正」という)は、本件訂正後の請求項1について、以下のように補正することを含むものである。 (補正箇所に下線を付す) 本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1に、 「前記表面処理工程の後、成膜装置において成膜用搬送ドラムによって前記基材フィルムを搬送しながら前記透明導電層上に金属層を形成する金属層形成工程であって、前記成膜装置の内部雰囲気は、ゲートバルブによって前記巻出装置の内部雰囲気から遮蔽されている、金属層形成工程と、を備え、 前記表面処理工程が実施されてから前記金属層形成工程が実施されるまでの間、前記基材フィルムが真空環境下に置かれる、積層体製造方法。」 と記載されているのを、 「前記表面処理工程の後、成膜装置において成膜用搬送ドラムによって前記基材フィルムを搬送しながら前記透明導電層上に金属層を形成する金属層形成工程と、を備え、 前記表面処理工程が実施されてから前記金属層形成工程が実施されるまでの間、前記基材フィルムが真空環境下に置かれ、 前記巻出装置において、前記基材フィルムが巻回されたシャフトを準備する前記工程において、前記成膜装置の内部雰囲気は、ゲートバルブによって前記巻出装置の内部雰囲気から遮蔽されている、積層体製造方法。」 に補正する。 イ.変更補正の許否 特許法第120条の5第9項で準用する同法第131条の2第1項は「請求書の補正は、その要旨を変更するものであつてはならない。」と規定している。そして、要旨を変更するとは、訂正請求書の記載事項のうち、請求の趣旨(訂正事項)の記載を変更することによって、補正の前後で請求の基礎である「訂正を申し立てている事項」の同一性や範囲を変更することであるところ、訂正請求書に添付した「訂正特許請求の範囲」は、その「請求の趣旨」と一体不可分のものであるから、当該「訂正特許請求の範囲」を補正することも、その「請求の趣旨」を変更する補正として扱われることとなる。 この点を踏まえて変更補正をみると、「ゲートバルブによって前記巻出装置の内部雰囲気から遮蔽されている」構成を有する工程について、変更補正前、すなわち本件訂正における請求項1では「金属層形成工程」であったところ、変更補正後の請求項1では「金属層形成工程」ではなく、「前記基材フィルムが巻回されたシャフトを準備する前記工程」すなわち「準備工程」に変更するものである。 そして、「金属層形成工程」と「準備工程」は、本件特許の積層体製造方法において全く異なる工程であるから、この変更は、補正前の「訂正を申し立てている事項」の範囲を実質的に変更するものである。 したがって、変更補正は、本件訂正の「請求の趣旨」を変更する補正を含むから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第131条の2第1項の規定に違反しており、当該補正を許可することはできない。 (3)本件訂正の適否 ア.一群の請求項 本件訂正前の請求項1?8において、請求項2?8は、請求項1を直接的又は間接的に引用しているから、本件訂正前の請求項1?8は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 そして、本件訂正は、下記イ.で示すように請求項間の引用関係の解消を目的とする又は請求項の引用請求項数を削減する訂正事項4?8を含むものではあるけれども、特定の請求項に係る訂正事項について別の訂正単位とする求めはされていないから、本件訂正請求は、一群の請求項である本件訂正前の請求項1?8に対応する本件訂正後の請求項〔1?8、11、12〕を訂正単位とするものであり、訂正事項1?8は、一体の訂正事項として取り扱われるものである。 イ.本件訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (ア)訂正事項1について 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1における「前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムを大気環境下から真空環境下に置く準備工程」について、「巻出装置において、前記基材フィルムが巻回されたシャフトを準備する工程と、排気手段によって前記巻出装置内の気体を外部に排出する工程と、を含む」ものであると限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の「【0044】(準備工程)はじめに、巻出装置20において、中間積層体11が巻回されたシャフト21を準備する。次に、排気手段22によって巻出装置20内の気体を外部に排出する。このようにして、第1透明導電層16aが設けられた基材フィルム12を含む中間積層体11を真空環境下に置くことができる。」との記載からみて、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (イ)訂正事項2について 訂正事項2は、本件訂正前の請求項1における「前記透明導電層の表面にガスイオンを照射する表面処理工程」について、「前記準備工程の後」に行う工程であるということを、「前記準備工程の後、且つ前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムを前記巻出装置内の真空環境下で50?170℃で加熱した後、前記巻出装置内において」行う工程であると限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項2は、本件明細書等の「【0044】(準備工程)はじめに、巻出装置20において、中間積層体11が巻回されたシャフト21を準備する。次に、排気手段22によって巻出装置20内の気体を外部に排出する。このようにして、第1透明導電層16aが設けられた基材フィルム12を含む中間積層体11を真空環境下に置くことができる。・・・【0045】(脱ガス工程)次に、シャフト21から中間積層体11を巻き出す。このとき、加熱機構29によって中間積層体11を50?170℃で加熱する。これによって、中間積層体11に付着している水分や油分などの不純物を取り除くことができる。【0046】(表面処理工程)その後、表面処理装置23を用いて、第1透明導電層16aの表面にガスイオンを照射する表面処理工程を実施する。・・・」という記載と、加熱機構29及び表面処理装置23が巻出装置20内に位置していることを図2から見て取れることとを考慮すると、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (ウ)訂正事項3について 訂正事項3は、本件訂正前の請求項1における「前記透明導電層上に金属層を形成する金属層形成工程」について、「前記表面処理工程の後」に行う工程であるということを、「前記表面処理工程の後、成膜装置において成膜用搬送ドラムによって前記基材フィルムを搬送しながら前記透明導電層上に金属層を形成する金属層形成工程であって、前記成膜装置の内部雰囲気は、ゲートバルブによって前記巻出装置の内部雰囲気から遮蔽されている」工程であると限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項3は、上記のとおり特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 一方、本件明細書等には、金属層形成工程が、ゲートバルブによって巻出装置の内部雰囲気から遮蔽されている内部雰囲気を有する成膜装置において、成膜用搬送ドラムによって基材フィルムを搬送しながら実施されることについての直接的な記載はない。 また、本件明細書等の段落【0032】には「また図2に示すように、成膜装置30の内部雰囲気を巻出装置20の内部雰囲気に対して遮蔽するためのゲートバルブ(ロードロックバルブ)28が設けられていてもよい。これによって、中間積層体11の巻回体を巻出装置20内に搬入するために巻出装置20を大気に対して開放する際に、成膜装置30内の真空度を維持することができる。」と記載されているけれども、この記載は、「中間積層体11の巻回体を巻出装置20内に搬入するために巻出装置20を大気に対して開放する際」に「ゲートバルブ(ロードロックバルブ)28」が「成膜装置30の内部雰囲気を巻出装置20の内部雰囲気に対して遮蔽する」ことを開示するものにすぎず、基材フィルムを搬送しながら実施される金属層形成工程において、「ゲートバルブ(ロードロックバルブ)28」が「成膜装置30の内部雰囲気を巻出装置20の内部雰囲気に対して遮蔽する」ことを開示するものではない。 さらに、基材フィルムを搬送しながら実施される金属層形成工程において、成膜装置の内部雰囲気を巻出装置の内部雰囲気に対して遮蔽するためには、ゲートバルブが、巻出装置から成膜装置へ基材フィルムが搬送されている状態で、成膜装置の内部雰囲気を巻出装置の内部雰囲気に対して遮蔽することが可能なものである必要があるところ、本件明細書等の他の記載や技術常識を参酌しても、本件明細書等に開示された「ゲートバルブ(ロードロックバルブ)28」について、基材フィルムが搬送されている状態での遮蔽が可能なものであることが自明であるとはいえない。 そうすると、訂正事項3は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。 よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合しない。 (エ)訂正事項4について 訂正事項4は、本件訂正前の請求項2が訂正前の請求項1の記載を引用するものであったところ、当該請求項1の記載を引用しない独立形式に改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 そして、訂正事項4は、実質的な内容の変更を伴うものではないため、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (オ)訂正事項5について 訂正事項5は、本件訂正前の請求項6が訂正前の請求項1乃至5のいずれか一項の記載を引用するものであったところ、そのうちの請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項5は、実質的な内容の変更を伴うものではないため、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (カ)訂正事項6について 訂正事項6は、本件訂正前の請求項7が訂正前の請求項1乃至6のいずれか一項の記載を引用するものであったところ、そのうちの請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項6は、実質的な内容の変更を伴うものではないため、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (キ)訂正事項7について 訂正事項7は、本件訂正前の請求項6が訂正前の請求項1乃至5のいずれか一項の記載を引用するものであったところ、そのうちの請求項1を引用するものについて当該請求項1の記載を引用しない独立形式に改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 そして、訂正事項7は、実質的な内容の変更を伴うものではないため、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (ク)訂正事項8について 訂正事項8は、本件訂正前の請求項7が訂正前の請求項1乃至6のいずれか一項の記載を引用するものであったところ、そのうちの請求項1を引用するものについて当該請求項1の記載を引用しない独立形式に改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 そして、訂正事項8は、実質的な内容の変更を伴うものではないため、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (4)小括 上記(3)イ.(ウ)のとおり、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合しないから、訂正事項3に係る訂正は認められない。 そして、上記(3)ア.のとおり、訂正事項1?8は、一体の訂正事項として取り扱われるものであるから、訂正事項3に係る訂正が認められない結果、訂正事項1、2、4?8に係る訂正も認められない。 よって、訂正事項1?8からなる本件訂正は認められない。 3.特許異議の申立てについて (1)本件発明 上記2.のとおり、本件訂正は認められないから、本件特許の請求項1?10は、それぞれ、本件特許の設定登録時の特許請求の範囲の請求項1?10に記載された、次のとおりのものである。 なお、請求項1に係る発明を、以下「本件発明1」という。請求項2?10に係る発明も同様。本件発明1?10をまとめて「本件発明」ということもある。 「【請求項1】 基材フィルムに設けられた透明導電層上に遮光性を有する金属層を形成して積層体を製造する積層体製造方法であって、 前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムを大気環境下から真空環境下に置く準備工程と、 前記準備工程の後、前記透明導電層の表面にガスイオンを照射する表面処理工程と、 前記表面処理工程の後、前記透明導電層上に金属層を形成する金属層形成工程と、を備え、 前記表面処理工程が実施されてから前記金属層形成工程が実施されるまでの間、前記基材フィルムが真空環境下に置かれる、積層体製造方法。 【請求項2】 前記透明導電層と前記金属層との間の界面における組成を分析する工程を更に備え、 前記分析する工程において、Naの検出強度が、In(113)に対して相対的感度で7%以下である、請求項1に記載の積層体製造方法。 【請求項3】 前記表面処理工程は、前記透明導電層の表面に不活性ガスおよび酸素ガスのイオンを照射する工程を含む、請求項1又は2に記載の積層体製造方法。 【請求項4】 前記不活性ガスがアルゴンガスである、請求項3に記載の積層体製造方法。 【請求項5】 前記準備工程において、前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムが、10Pa以下の真空環境下に置かれる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の積層体製造方法。 【請求項6】 前記透明導電層上に形成される前記金属層が、APC合金を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積層体製造方法。 【請求項7】 前記透明導電層上に形成される前記金属層が、MoNb合金を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の積層体製造方法。 【請求項8】 前記透明導電層が、ITOからなる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の積層体製造方法。 【請求項9】 基材フィルムと、 前記基材フィルムに設けられ、透光性および導電性を有する透明導電層と、 前記透明導電層上に設けられ、遮光性および導電性を有する金属層と、を備え、 前記金属層は、遮光導電層と、前記遮光導電層と前記透明導電層との間に配置され、MoNb合金を含む中間層と、を有し、 前記透明導電層と前記金属層の前記中間層との間の界面における組成分析を実施した場合、Naの検出強度が、In(113)に対して相対的感度で7%以下である、積層体。 【請求項10】 前記透明導電層と前記金属層の前記中間層との間の界面における組成分析を実施した場合、Naの検出強度が、In(113)に対して相対的感度で2?5%である、請求項9に記載の積層体。」 (2)取消理由(決定の予告)の概要 当審において、本件発明に係る特許に対して、平成31年3月27日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は、以下のとおりである。 なお、申立人Bが申立てた理由のうち、本件発明1、3?5及び8に対するものが通知され、本件発明6及び7に対するものは通知されなかった。 理由:本件特許の請求項1、3?5、8に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 [引用文献一覧] 1.特表2012-508923号公報 2.特開2010-238052号公報 3.特開2006-190702号公報 4.特開2011-146553号公報 5.特開2012-123454号公報 6.特開2003-27234号公報 7.中国実用新案第202595262号明細書 引用文献1?4は、各々、申立人Aの提出した特許異議申立書に記載された甲第1?4号証であり、引用文献5は、申立人Bの提出した特許異議申立書に記載された甲第2号証である。 また、引用文献6及び7は、各々、申立人Aによる平成31年2月6日付け意見書に記載された甲第7及び8号証である。 (3)取消理由についての判断 ア.引用文献に記載された事項 (ア)引用文献1について 引用文献1には、図面と共に、以下の記載がある。 a.「【請求項6】 ITOフィルムの収縮を防止するために熱処理するステップと、 前記ITOフィルムの表面の不純物を除去して、前処理するステップと、 前記前処理されたITOフィルムに金属層を真空蒸着するステップを含むことを特徴とするタッチスクリーンの製造方法。 【請求項7】 前記ITOフィルムの表面の不純物を除去して、前処理するステップは、 O_(2)、O_(3)、N_(2)、N_(2)O、NO_(2)、CO_(2)の内少なくともいずれか一つを用いたイオンビームを発生させ、前処理するステップを含むことを特徴とする請求項6に記載のタッチスクリーンの製造方法。 【請求項8】 前記ITOフィルムの表面の不純物を除去して、前処理するステップは、 Ar、Kr、Xe、Neの内少なくともいずれか一つを用いたプラズマを発生させ、前処理するステップを含むことを特徴とする請求項6に記載のタッチスクリーンの製造方法。 【請求項9】 前記前処理されたITOフィルムに金属層を真空蒸着するステップは、 Ag、Cu、Au、Alの内少なくともいずれか一つを真空蒸着して、導電体層を形成するステップを含むことを特徴とする請求項6に記載のタッチスクリーンの製造方法。」 b.「【0003】 このようなタッチスクリーンは、透明電極を用いて、手やペンによるタッチ入力を感知する。透明電極は、ITO(Indium Tin Oxide)のような透明導電性酸化物フィルムに金属膜を配線して形成することができる。」 c.「【0012】 図1は、本発明の第1実施例によるタッチスクリーンの断面図である。 図1に示されているように、本発明の第1実施例によるタッチスクリーンは、フレキシブルプラスチックフィルム10の上面に蒸着されたITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電性フィルム20と、透明導電性フィルム20に蒸着された伝導体層30を含む。 【0013】 フレキシブルプラスチックフィルム10は基材であって、PES、PC、PE、PI、アクリルなどのフィルムを用いることができ、本発明の実施例では、PET(Polyethylene terephthalate)フィルム10を用いる場合を例示する。ここで、PETフィルム10は、100?150℃の範囲では収縮する特性がある。これに、透明導電性フィルム20が蒸着されたPETフィルム10をタッチスクリーンの製造に用いる場合、上下板の合着工程のための熱処理時のPETフィルム10の収縮により、配列(align)が一致しない問題点がある。 【0014】 したがって、PETフィルム10を150℃付近で90分間熱処理して、フィルムの収縮を予め発生させるアニーリング(annealing)工程を行うことにより、金属層の蒸着と後工程で発生可能な収縮を除去することが好ましい。 【0015】 ITOフィルム20には、導電体層30が蒸着される。タッチスクリーンが抵抗膜または静電容量方式で動作する場合、ITOフィルム20面はタッチ入力を感知する機能を果たし、導電体層30は電荷が移動する電極として用いられる。これに、導電体層30は、ITOフィルム20よりも抵抗値が低い導電性金属を用いて形成する。導電体層30は、Ag、Cu、Au、Alなどの伝導性に優れた金属をRFスパッタ、DCスパッタ、CVD等の真空蒸着技術を用いて形成することができる。このような導電体層30は、タッチスクリーンの感度に直接影響を及ぼすため、抵抗値が0.1Ω/□(square)以下に調節できるように、蒸着金属及び厚さを調節することができる。 【0016】 一方、導電体層30を真空蒸着技術を用いて蒸着する場合、ITOフィルム20と導電体層30の密着力を改善するために、ITOフィルム20の表面の不純物をプラズマまたはイオンビームを用いて除去する前処理過程を行うことができる。」 d.「【0027】 金属層の密着力を向上させるために、プラズマまたはイオンビームを用いてITOフィルム20の表面を前処理する(S120)。ここで、イオンビームの発生のための反応性ガスとして、O_(2)、O_(3)、N_(2)、N_(2)O、NO_(2)、CO_(2)の中から選び、または、不活性ガスとして、Ar、Kr、Xe、Neのいずれかを選択する。また、反応性ガスや不活性ガスを単独または混合した状態で適用することができる。そして、イオンビームの照射量は、1X10^(15)/cm^(2)?1X10^(18)/cm^(2)の範囲で用いる。 【0028】 前処理されたITOフィルム20に第1の金属層であるバッファ層40を蒸着する(S130)。バッファ層40は、Ni、Cr、Ni-Cr、Ti、Sn、Moなどの金属をRFスパッタ、DCスパッタ、CVD技術などの真空蒸着方法を用いて形成する。 【0029】 第1の金属層の上に導電体層30である第2の金属層を蒸着する(S140)。導電体層30は、Ag、Cu、Au、Alなどの金属をRFスパッタ、DCスパッタ、CVD技術などの真空蒸着方法を用いて形成する。」 e.「【図1】 」 f.「【図3】 」 よって、引用文献1には以下のような発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。 「PETフィルム10に設けられた透明導電性フィルム20上に導電体層30を形成してタッチスクリーンを製造するタッチスクリーンの製造方法であって、 前記透明導電性フィルム20の表面に反応性ガスのイオンビームを照射する前処理過程と、 前記前処理過程の後、前記透明導電性フィルム20上に導電体層30を形成する、タッチスクリーンの製造方法。」 (イ)引用文献2について 引用文献2には、図面と共に、以下の記載がある。 a.「【0059】 ・・・本実施の形態においては、第1取出導電体43および第2取出導電体48は、第1透明導電体40および第2透明導電体45をなす材料よりも高い導電率(電気伝導率)を有する材料から形成されている。具体的には、遮光性を有するとともに、ITO等の透明導電体よりも格段に高い導電率を有する、例えばアルミニウム、モリブデン、銀、クロム、銅等の金属材料を用いて、第1取出導電体43および第2取出導電体48を形成することができる。」 (ウ)引用文献3について 引用文献3には、図面と共に、以下の記載がある。 a.「【0004】 上記問題を解決するために、上記Cu層の形成までの工程を1つの真空槽内において行うことが考えられるが、Cu層を形成する際に可撓性基材に与える熱と、形成されたCu層により生じる応力により、フレキシブルプリント基材に皺やカーリングが生じるという問題があった。」 b.「【0009】 次に、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。 図1に示されるフレキシブルプリント基材製造装置1は、真空槽2内において、可撓性基材3(以下、「基材」とする。)を搬送するために、アンワインダー4、メインローラー5及びワインダー6を備えている。 前記アンワインダー4は、巻回された前記基材3をメインローラー5に送り出すために使用される。アンワインダー4とメインローラー5との間には、プラズマ処理手段7が設けられる。 前記メインローラー5は、基材3を密着させながら回転搬送するとともに、基材3を加熱するために使用される。このメインローラー5を中心として、その外周の真空槽2内の空間は、隔壁8,9,10,11により区割され、前記基材3の搬送方向に、シード層を形成するためのシード層形成手段12、中間室13及び金属薄膜層を形成する金属薄膜層形成手段14が配置又は形成される。尚、各形成手段12,14及び中間室13は、メインローラー5と各隔壁8,9,10,11により設計可能な範囲で区割され、雰囲気分離されている。尚、ここでいう雰囲気分離とは、完全な空間の分離を意味するのではなく、各形成手段12,14における処理が、支障のない程度に空間雰囲気の分離がなされていることをいうものとする。 そして、ワインダー6は、メインローラー4により搬送される基材3を巻き取るために使用される。ワインダー6とメインローラー5との間には、加熱圧延手段15が設けられる。 尚、本発明における基材3には、絶縁性を有するポリマーフィルム等を使用することができ、具体的には、ポリイミドフィルムを使用することができる。また、その厚さについても、特に制限はなく、通常は、5μm?200μmの範囲のものが使用される。 【0010】 前記プラズマ処理手段7においては、プラズマ放電を生じさせて、プラズマ中の陽イオンガス種を基材3の表裏に衝突させることにより、前記基材3表面の水分が除去するとともにカーボン系の不純物を除去する等の洗浄処理がなされる。 図示されるプラズマ処理手段7では、円筒形状のRFイオンボンバード電極16,16が、その間に、基材3を通過できるように配置され、各電極16,16の基材3に対向する側以外は、隔壁17,17により覆われ、隔壁17,17外の空間から雰囲気分離ができるようになっている。 この雰囲気分離された隔壁17,17内へは図示しないガス導入系からガス導入管18を介して放電ガスが導入され、前記電極16,16にRF電力を印加してプラズマを生じさせる。そして、プラズマ中の陽イオンガス種が基材3の表裏へ衝突することにより、前記基材3表面の水分が除去されるとともにカーボン系の不純物が除去される等の洗浄処理がなされる。導入された放電ガスは、真空ポンプ29により排気される。尚、導入されるガスとしては、Ar、N_(2)、O_(2)やこれらの混合ガスを使用することができる。また、前記電極16,16周囲の雰囲気圧力を保ちRF放電を維持するために、前記隔壁17,17と前記基材3との間隙を狭くして、隔壁17,17内の圧力を隔壁17,17外より高くなるようにしている。」 c.「【0017】 上記実施の形態において図1を用いて説明した製造装置1を用いて、具体的にフレキシブルプリント基材を製作した例について説明する。 基材3として、幅250mm、長さ150m、厚さ25μmのポリイミドフィルムを巻回したもの(商品名:カプトンEN、東レ・デュポン株式会社製)を使用し、これをアンワインダー4に装着して、真空槽2の圧力が1×10^(-4)Paとなるまで、真空ポンプ20,23,25,29により真空排気した。 そして、アンワインダー4からの基材3の送り速度を2m/minとして、次のように連続して処理を行った。 まず、プラズマ処理手段7では、隔壁17,17内にArガスを導入してRF印加電極16,16の雰囲気圧力を1.5Paとし、周波数13.56MHzのRF電力300WをRF印加電極16,16に投入して放電させ、基材3の表面の洗浄を行った。・・・」 d.「【図1】 」 (エ)引用文献4について 引用文献4には、図面と共に、以下の記載がある。 a.「【0009】 本発明によれば、前プラズマ工程を行うことにより、フィルム状基材から水分等の不純物が除去され、その後の成膜工程でフィルム状基材に形成される電極膜の密着性が向上する。・・・」 b.「【0017】 成膜ユニット5は、ルツボ51に収納したアルミニウム等の金属材料を電子銃52からの電子ビーム52aで加熱蒸発させるEB蒸着方式のものである。尚、成膜ユニット5として、抵抗加熱蒸着方式、誘導加熱蒸着方式、スパッタ方式等のEB蒸着方式以外のものを用いることも可能である。 【0018】 プラズマ発生ユニット6は、図2に示す如く、フィルム状基材aが通過する一対のスリット状開口部61a,61bを形成した導電性の箱体61内に、フィルム状基材aを挟んで対向するように円筒状の一対のカソード電極62,62を配置したものである。そして、箱体61内に、これに形成したガス導入口63から雰囲気ガスを導入し、カソード電極62に直流又は交流を印加し、雰囲気ガス中で放電させてプラズマpを発生させることにより、フィルム状基材aや電極膜bに電子、イオンを照射するプラズマ処理を行う。 【0019】 尚、雰囲気ガスとしては、Ar(アルゴン)、O_(2)(酸素)、N_(2)(窒素)、He(ヘリウム)、CF_(4)(四フッ化炭素)、CO_(2)(二酸化炭素)、CH_(4)(メタン)、C_(2)H_(2)(アセチレン)の中から選ばれた1種類のガス又は2種類以上の混合ガスを用いることができる。また、カソード電極62の内部や周囲に図示省略したマグネットを配置して、雰囲気ガス中でマグネトロン放電やぺニング放電させるが、放電形式はこれに限定されない。また、カソード電極62は平板状であってもよい。」 c.「【0026】 (実施例1) 図1の真空巻取成膜装置を用い、真空チャンバ1内を4.7×10^(-3)Paまで真空引きした後に、第1の巻出巻取ローラ21から第2の巻出巻取ローラ22にフィルム状基材a(材質PP、厚さ12μm、幅220mm)を3.0m/minの速度で搬送しつつ、プラズマ発生ユニット6に雰囲気ガスとして酸素を300sccmの流量で導入すると共に、カソード電極62に直流電圧を印加し、電流0.1A、電圧250Vの条件でフィル状基材aの表面にプラズマ処理を施す前プラズマ工程を行った。次に、第2の巻出巻取ローラ22から第1の巻出巻取ローラ21にフィルム状基材aを搬送しつつ、成膜ユニット5のルツボ51内のアルミ材料(純度99.9%)をパワー5.8kWの電子ビーム52aで加熱し、成膜時の圧力1.0?1.4×10^(-2)Pa、冷却ドラム3とルツボ51間の距離275mm、基材張力24.5N、冷却ドラム3の周面温度20℃の条件で、フィルム状基材aのプラズマ処理面にアルミ材料から成る電極膜bを形成する成膜工程を行った。・・・」 d.「【図1】 」 (オ)引用文献5について 引用文献5には、図面と共に、以下の記載がある。 a.「【0014】 上記透明導電フィルムにおいて、上記金属細線の厚みは、20nm?1μmである。 上記金属細線の厚みが20nm未満の場合には、金属細線の抵抗が高くなり、透明電極層の低抵抗化を図ることが困難となるおそれがある。一方、厚みが1μmを超える場合には、例えば、金属膜をエッチングして金属細線を形成する場合に、そのエッチング時間が長くなり、エッチング液の浸み込みによる透明導電層の剥がれが生じるおそれがある。」 b.「【0018】 また、上記透明導電層としては、例えば、ITO(インジウム-スズ酸化物)、ZnO(酸化亜鉛)、SnO_(2)(酸化スズ)、IZO(酸化インジウム-酸化亜鉛)等の金属酸化物を用いることができる。 また、上記金属細線としては、例えば、金属の中でも抵抗の低いCu(銅)、Ag(銀)、Al(アルミニウム)等を用いることができる。」 c.「【0054】 (実施例3) 本例は、図16に示すごとく、さらに別のスパッタリング装置6を用いて透明導電フィルム1を製造した例である。 なお、本例において製造する透明導電フィルム1は、実施例1と同様の構成である(図1参照)。 【0055】 本例の透明導電フィルム1を製造するに当たっては、実施例1と同様の構成のスパッタリング装置5(図4参照)を用いて、基材フィルム11の一方の面にコーティングされた光学調整層12の表面にSiO_(2)からなる金属酸化物層13(図5参照)及びITOからなる透明導電膜210(図5参照)を順に成膜する。そして、基材フィルム11を一旦、大気開放させる。 【0056】 次いで、図16に示すごとく、別のスパッタリング装置6における2つのロール611、612に、金属酸化物層13及び透明導電膜210を成膜した基材フィルム11を取り付ける。このとき、基材フィルム11を台座ドラム62に沿わせるにようにして配置する。そして、チャンバー内を真空排気し、その真空度を8×10^(-4)Pa以下にする。 なお、スパッタリング装置6は、チャンバー内にCu(銅)のターゲット641を2つ備えており、さらに加熱装置63を備えている。 【0057】 次いで、基材フィルム11を7.5m/分の速度でロール611からロール612(A方向)に送りながら、基材フィルム11の表面温度、つまり透明導電膜210の表面温度が80℃となるように、加熱装置63によって透明導電膜210の表面の水分やハイドロカーボンを蒸発除去させる。 次いで、Cuのターゲット641を備えたCu成膜用のチャンバー内に、アルゴンガス(流量:350cc/分)を導入する。そして、DCパルス電源を用いて25kWの電力を供給することにより、基材フィルム11の透明導電膜210の表面にCuからなる金属膜22(図5参照)を成膜する。 【0058】 これにより、図5を参照のごとく、基材フィルム11の表面に、光学調整層12、金属酸化物層13、透明導電膜210及び金属膜220を順に形成した中間フィルム100を得ることができる。 その後、実施例1と同様に、金属膜220をエッチングして金属細線22をパターン形成し、さらに透明導電膜210をエッチングして透明導電層21をパターン形成する。 以上により、本例の透明導電フィルム1(図1)を得ることができる。 【0059】 次に、本例の透明導電フィルム1における作用効果について説明する。 本例の透明導電フィルム1の製造方法において、金属膜220を成膜する前に、加熱装置63によって透明導電膜210の表面の水分やハイドロカーボンを蒸発除去させる。そのため、透明導電膜210に対する金属膜220の密着性を高めることができる。これにより、透明導電層21に対する金属細線22の密着性も高めることができる。 その他、実施例1と同様の作用効果を有する。」 d.「【図5】 」 e.「【図16】 」 c.の【0056】には「そして、チャンバー内を真空排気し、その真空度を8×10^(-4)Pa以下にする。なお、スパッタリング装置6は、チャンバー内にCu(銅)のターゲット641を2つ備えており、さらに加熱装置63を備えている。」と記載されていることから、加熱装置63による処理からターゲット641による処理は真空環境下にあると理解できる。 よって、引用文献5には以下のような発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。 「基材フィルム11に設けられた透明導電膜210上に金属膜220を形成して透明導電フィルム1を製造する透明導電フィルムの製造方法であって、 前記透明導電膜210を成膜した前記基材フィルム11をスパッタリング装置6に取り付けてチャンバー内を真空排気し、 その後、加熱装置63によって前記透明導電膜210の表面の水分やハイドロカーボンを蒸発除去し、 その後、ターゲット641によって前記透明導電膜210上に金属膜220を成膜し、 加熱装置63による処理からターゲット641による処理は真空環境下に置かれる、透明導電フィルムの製造方法。」 (カ)引用文献6について 引用文献6には、図面と共に、以下の記載がある。 a.「【0002】 【従来の技術】従来より、真空下において、連続シート状材料に対しプラズマ等による表面改質処理や、スパッタ、CVD、蒸着等による成膜処理などの表面処理を行う表面処理装置がある。 【0003】かかる表面処理装置においては、シート状材料の表面や内部に存在する水などの不純ガス分子をシート状材料から除去したり、成膜性の向上や汚れ除去、表面の活性化などの目的として、上記表面処理に先立ってシート状材料を加熱処理したりプラズマ処理したりする場合がある。このような前処理により真空中に放出された不純ガスが、その後の成膜等の表面処理室内に入り込むと、満足のいく表面処理を行うことが難しい。とりわけ、金属膜、酸化膜、窒化膜などの成膜には、必要なガス分子以外のガスが混入することを極力避けねばならない。」 b.「【0015】本発明の表面処理装置においては、上記第2の処理がプラズマ、スパッタ、CVD、蒸着等の表面処理であり、上記第1の処理が該表面処理に先立ってシート状材料に施される加熱処理やプラズマ処理などの前処理である場合がある。より具体的には、第1の処理(前処理)が加熱処理であり、第2の処理(表面処理)がプラズマによる表面改質処理、又はスパッタ、CVD、蒸着等の成膜処理であってもよい。また、第1の処理(前処理)がプラズマによる表面改質処理であり、第2の処理(表面処理)がスパッタ、CVD、蒸着等の成膜処理であってもよい。 【0016】更に、前処理として加熱処理とプラズマ処理を行ってから、成膜処理を施してもよい。その場合、前処理を施す第1処理室が、シート状材料を加熱する加熱処理室と、加熱処理したシート状材料に対してプラズマによる表面改質を行うプラズマ処理室とからなり、該加熱処理室とプラズマ処理室との間に仕切壁が設けられ、該仕切壁に前記開口と前記一対のシールロールとが設けられていることが好ましい。」 c.「【0019】本体10の天井面には、複数の排気装置12が取り付けられており、これらの排気装置12を動作させることによって、本体10内は大気圧状態から真空状態に真空引きできるようになっている。」 d.「【0022】加熱処理室16は、巻出室14から引き出されたシート状材料Sを、真空中で加熱して、脱ガス(主として水分子)を行う処理室であり、加熱源としての赤外線ヒータ32がシート表面に赤外線を照射するように配設されている。また、赤外線の反射板34が、ヒータ32の背後と、シート状材料Sを挟んで反対側とに、対向して配置されている。 【0023】プラズマ処理室18は、脱ガスされたシート状材料Sに対し、真空中で成膜の前処理としてプラズマによる表面改質を行う処理室であり、プラズマ源となる電極36がシート状材料Sと相対するように配されている。 【0024】成膜室22は、プラズマにより表面改質されたシート状材料Sに対して真空中で成膜する処理室であり、シート状材料Sの加熱又は冷却を行うバックアップロール38と、このロール38に沿って走行するシート状材料Sと相対するように配されたスパッタ源又はCVD用プラズマ源となる複数の電極40とを備える。」 e.「【図1】 」 (キ)引用文献7について 引用文献7には、図面と共に、以下の記載がある。 a.「 」 (当審和訳 [0001] 本実用新案は新型巻回式成膜機に関し、前記巻回式成膜機は可撓性材料に金属または化合物、例えばITO透明導電膜を成膜するのに用いることができる。) b.「 」 (当審和訳 [0007] 本実用新案の赤外線ヒーターは主に薄膜中に含まれる水分を除去し、水分過多で成膜製品に不良を引き起こすのを防止し、温度は(0?300)℃の間で調節することができる。ガイドローラとガイドローラは成膜ドラムと水平であり、ガイドローラとガイドローラの作用により薄膜が成膜表面に密着し、成膜ドラムの表面温度が-15℃から室温の間で調節でき、零下の温度に調整して成膜時に発生する余分な熱を防止し、フィルムシートがしわになることを防止する。 [0008] 本成膜工程前に、フィルムシートにプラズマ前処理を行い、一般にアルゴンガスと酸素ガスを充填し、アルゴンガスをプラズマとしてイオン化して薄膜の表面に衝突して不純物の元素の一部を除去し、酸素ガスが薄膜の表面から叩き出された元素と反応し、生成された酸化物を真空ポンプで吸引する。) c.「 」 (当審和訳 [0011] 新型巻回式マグネトロンスパッタリング成膜機は、巻き出し室1、繰り出しロール2、赤外ヒーター3、成膜ドラム4、前処理装置5、処理室6、真空ロック7、巻き取りロール8、水分含有量検出器9、オンライン抵抗測定装置10、薄膜光学特性計測装置11、巻き取り室12、ガイドロール(1)13、ガイドロール(2)14、第1の成膜室15、第2の成膜室16、第3の成膜室17、第4の成膜室18、第5の成膜室19、及び第6の成膜室20を備え、巻き出し室1、処理室6、巻き取り室12が互いに連通し、真空ロック7は、処理室6と巻き取り室12との間に存在し、ガイドロール(1)13、ガイドロール(2)14と、成膜ドラム4とが水平位置に保持されている。) d.「図1 」 イ.本件発明1について (ア)本件発明1は、上記(1)において示したとおりのものである。 (イ)本件発明1と引用発明1の対比・判断 本件発明1と引用発明1とを対比すると、以下のとおりとなる。 引用発明1の「PETフィルム10」「透明導電性フィルム20」「導電体層30」は、各々、本件発明1の「基材フィルム」「透明導電層」「金属層」に相当する。 また、引用発明1の「タッチスクリーン」は、複数の層の積層体である点で、本件発明1の「積層体」に相当する。 そして、引用発明1の「前記透明導電性フィルム20の表面に反応性ガスのイオンビームを照射する前処理過程」は、本件発明1の「前記透明導電層の表面にガスイオンを照射する表面処理工程」に相当する。 よって、本件発明1と引用発明1とを対比すると、以下の構成において一致する。 「基材フィルムに設けられた透明導電層上に金属層を形成して積層体を製造する積層体製造方法であって、 前記透明導電層の表面にガスイオンを照射する表面処理工程と、 前記表面処理工程の後、前記透明導電層上に金属層を形成する金属層形成工程とを備える、積層体製造方法。」 そして、本件発明1と引用発明1は、以下の点で相違する。 [相違点1] 本件発明1は、金属層が「遮光性を有する」のに対して、引用発明1は、導電体層30が遮光性を有するかどうかが明らかでない点。 [相違点2] 本件発明1は、「前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムを大気環境下から真空環境下に置く準備工程」を有するのに対して、引用発明1は、準備工程を有するかどうかが明らかでない点。 [相違点3] 本件発明1は、「前記表面処理工程が実施されてから前記金属層形成工程が実施されるまでの間、前記基材フィルムが真空環境下に置かれる」のに対して、引用発明1は、前処理過程が実施されてから導電体層30を形成するまでの間、PETフィルム10が真空環境下に置かれるかどうかが明らかでない点。 上記相違点1について検討する。 本件特許の明細書には、積層体が「第1遮光導電層17a」や「第2遮光導電層17b」を備えることは記載されているものの、積層体製造方法において当該導電層が遮光性を有することの効果や技術的意義は記載されていない。 一方で、引用発明1の導電体層30は、タッチスクリーンに求められる性能に応じて厚さが調節され得るものであり(上記ア.(ア)c.で指摘した引用文献1の段落【0015】を参照。)、導電体層30を構成する金属として例示されているAg、Cu、Alといった金属(上記ア.(ア)d.で指摘した引用文献1の段落【0029】を参照。)は、遮光性を有する導電体層の素材として本件特許に係る発明の出願前に周知である(例えば、引用文献2を参照。)から、導電体層30は遮光性を有し得るものであると解される。 よって、相違点1は実質的な相違点ではないか、相違点であるとしても適宜変更し得るものである。 上記相違点2について検討する。 引用発明1は、透明導電性フィルム20の表面に反応性ガスのイオンビームを照射する前処理過程を有するが、このような処理が真空環境下で行われることは周知である(例えば、引用文献3や引用文献4等を参照)。 そして、引用文献3には、積層体製造方法において、基材3をアンワインダー4に装着してから真空環境下に置き、表面処理工程への準備を行うことが記載されている。ここで、基材3の設置後に真空排気するのだから、基材3の設置時には大気環境下であると解される。 また、引用文献4には、積層体製造方法において、フィルム状基材aを真空環境下に置き、表面処理工程への準備を行うことが記載されている。ここで、明記はされていないものの、第1の巻出巻取ローラ21及び第2の巻出巻取ローラ22にフィルム状基材aを設置する工程が最初に存在することは自明であり、フィルム状基材aの設置後に真空チャンバ1内を真空引きするのだから、フィルム状基材aの設置時には大気環境下であると解される。 よって、引用文献3または4には、積層体製造方法において、基材となるフィルムを製造装置に設置し、大気環境下から真空環境下に置き、表面処理工程への準備を行うことが、実質的に記載されていると把握できる。 引用発明1においても、透明導電性フィルム20の表面に反応性ガスのイオンビームを照射する表面処理工程は真空環境下で行われると解されるから、その準備工程として引用文献3または4に記載された事項を適用し、基材となるフィルムを製造装置に設置し、大気環境下から真空環境下に置き、前処理過程への準備をすることは、当業者が適宜なし得たことである。 上記相違点3について検討する。 積層体の製造方法において、基材の表面処理工程から金属層形成工程までの一連の工程を、真空環境下で行うことは、本件特許に係る発明の出願前に周知の技術である(例えば、引用文献3、引用文献4または引用文献5等を参照。)。 引用発明1は、前処理過程及び導電体層30の形成過程を含んでいるから、作業の効率性や前処理過程後の基材の汚染防止等を考慮すると、周知技術のように一連の工程を真空環境下で行うようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。 よって、本件発明1は、引用発明1、引用文献3または4に記載された事項、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、その特許は特許法第113条第2項に該当する。 (ウ)本件発明1と引用発明2の対比・判断 本件発明1と引用発明2とを対比すると、以下のとおりとなる。 引用発明2の「基材フィルム11」「透明導電膜210」「金属膜220」は、各々、本件発明1の「基材フィルム」「透明導電層」「金属層」に相当する。 また、引用発明2の「透明導電フィルム1」は、複数の層の積層体である点で、本件発明1の「積層体」に相当する。 引用発明2は「前記透明導電膜210を成膜した前記基材フィルム11をスパッタリング装置6に取り付けてチャンバー内を真空排気」するものであって、この取り付けの際には大気環境下であると考えられるから、本件発明1の「前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムを大気環境下から真空環境下に置く準備工程」に相当する工程を備えているといえる。 引用発明2は「加熱装置63によって前記透明導電膜210の表面の水分やハイドロカーボンを蒸発除去」するものであるが、これは透明導電膜210の表面に対して行う処理である限りにおいて、本件発明1の「表面処理工程」に相当する。 引用発明2は「ターゲット641によって前記透明導電膜210上に金属膜220を成膜」するものであるから、本件発明1の「前記透明導電層上に金属層を形成する金属層形成工程」に相当する工程を有しているといえる。 そして、引用発明2は「加熱装置63による処理からターゲット641による処理は真空環境下に置かれる」から、本件発明1の「前記表面処理工程が実施されてから前記金属層形成工程が実施されるまでの間、前記基材フィルムが真空環境下に置かれる」に相当する。 よって、本件発明1と引用発明2とを対比すると、以下の構成において一致する。 「基材フィルムに設けられた透明導電層上に金属層を形成して積層体を製造する積層体製造方法であって、 前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムを大気環境下から真空環境下に置く準備工程と、 前記準備工程の後、前記透明導電層の表面を処理する表面処理工程と、 前記表面処理工程の後、前記透明導電層上に金属層を形成する金属層形成工程と、を備え、 前記表面処理工程が実施されてから前記金属層形成工程が実施されるまでの間、前記基材フィルムが真空環境下に置かれる、積層体製造方法。」 そして、本件発明1と引用発明2は、以下の点で相違する。 [相違点5] 本件発明1は、金属層が「遮光性を有する」のに対して、引用発明2は、金属膜220が遮光性を有するかどうかが明らかでない点。 上記相違点5について検討する。 本件特許の明細書には、積層体が「第1遮光導電層17a」や「第2遮光導電層17b」を備えることは記載されているものの、積層体製造方法において当該導電層が遮光性を有することの効果や技術的意義は記載されていない。 一方で、引用発明2の金属膜220(引用文献5の段落【0044】に記載されているとおり、金属細線22を元にして形成されるものである。)を構成する金属として例示されているCu、Ag、Alといった金属(引用文献5の段落【0018】を参照。)は、遮光性を有する導電体層の素材として本件特許に係る発明の出願前に周知である(例えば、引用文献2の段落【0059】等を参照。)から、金属膜220は遮光性を有し得るものであると解される。 よって、相違点5は実質的な相違点ではないか、相違点であるとしても適宜変更し得るものである。 よって、本件発明1は、引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、その特許は特許法第113条第2項に該当する。 (エ)特許権者の主張について 特許権者は、平成30年12月27日付け意見書(以下「意見書」という)において、引用発明1に引用文献3または4に記載された事項を適用すると、透明導電性フィルムが設けられていない基材を大気環境下から真空環境下に置き、真空環境下において、基材に透明導電性フィルムを設ける工程、透明導電性フィルムの表面処理工程、及び透明導電性フィルム上に導電体層を形成する工程が順次実施されることになると主張する(意見書8ページ6?18行を参照。)。 しかし、引用発明1は、透明導電性フィルム20の表面に反応性ガスのイオンビームを照射する前処理過程を有するものであり、このような処理が真空環境下で行われることは周知であるから、引用発明1においても前処理過程は真空環境下で行われると解される。 そこで、引用発明1を実施する際、前処理過程に先だって、透明導電性フィルム20をどのように真空環境下に置くかを検討する際に、その具体的手法として、引用文献3または4に記載されたように、当該フィルムを製造装置に設置し、大気環境下から真空環境下に置くようにすることは、当業者が容易になし得たことである。 よって、特許権者の上記主張は当を得たものでない。 ウ.本件発明3について (ア)本件発明3は、上記(1)において示したとおりのものである。 (イ)本件発明3と引用発明1の対比・判断 引用文献1の段落【0027】には、「金属層の密着力を向上させるために、プラズマまたはイオンビームを用いてITOフィルム20の表面を前処理する(S120)。ここで、イオンビームの発生のための反応性ガスとして、O_(2)、O_(3)、N_(2)、N_(2)O、NO_(2)、CO_(2)の中から選び、または、不活性ガスとして、Ar、Kr、Xe、Neのいずれかを選択する。」と記載されている。 ここで、「反応性ガスとして、O_(2)、O_(3)、N_(2)、N_(2)O、NO_(2)、CO_(2)の中から」「O_(2)」を選んだ場合の引用発明1は、本件発明3の「酸素ガス」に相当するガスを使用するものである。 また、上記「不活性ガス」は、本件発明3の「不活性ガス」に相当する。 よって、本件発明3と引用発明1とを対比すると、上記相違点1?3で相違する他は、一致している。 したがって、本件発明3は、引用発明1、引用文献3または4に記載された事項、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、その特許は特許法第113条第2項に該当する。 (ウ)本件発明3と引用発明2の対比・判断 本件発明3と引用発明2とを対比すると、上記相違点5で相違し、さらに以下の相違点で相違する。 [相違点7] 本件発明3は、「前記表面処理工程は、前記透明導電層の表面に不活性ガスおよび酸素ガスのイオンを照射する工程を含む」のに対して、引用発明2は、何らかのイオンを照射する工程を含んでいない点。 上記相違点7について検討する。 積層体の製造方法の技術分野において、成膜の前処理として、まず、基材フィルムを真空環境下において赤外線ヒータ等で加熱し、その次に、プラズマによる表面処理を行うことは、本件特許に係る発明の出願前に周知の技術である(例えば、引用文献6や、引用文献7等を参照。)。 引用発明2は、透明導電膜210の表面を加熱装置63によって処理しており、そこでは水分の除去のみならずハイドロカーボンの蒸発除去も目的としている(引用文献5の段落【0057】を参照。)から、除去が求められる汚染物質に応じて、加熱装置63による処理を、周知技術である加熱処理とプラズマによる表面処理の二段階の表面処理に変更することは、当業者が適宜なし得たことである。 そして、プラズマによる表面処理において、透明導電層の表面に不活性ガスおよび酸素ガスのイオンを照射することは、本願出願時の技術常識であって(例えば、引用文献1の段落【0027】や、引用文献3の段落【0010】や、引用文献4の段落【0019】の記載を参照。)、引用発明2においてもそのようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。 したがって、本件発明3は、引用発明2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、その特許は特許法第113条第2項に該当する。 なお、特許権者は、意見書において、引用発明2における加熱装置63による処理をプラズマ処理に変更する動機は存在しないと主張している(意見書10ページ25行?11ページ3行を参照。)。 しかし、積層体の製造方法の技術分野において、成膜の前処理として、まず、基材フィルムを真空環境下において赤外線ヒータ等で加熱し、その次に、プラズマによる表面処理を行うことは、本件特許に係る発明の出願前に周知の技術である(例えば、引用文献6や、引用文献7等を参照。)。 引用発明2は、透明導電膜210の表面を加熱装置63によって処理しており、そこでは水分の除去のみならずハイドロカーボンの蒸発除去も目的としている(引用文献5の段落【0057】を参照。)から、除去が求められる汚染物質に応じて、加熱装置63による処理を、周知技術である加熱処理とプラズマによる表面処理の二段階の表面処理に変更することは、当業者が適宜なし得たことである。 よって、特許権者の上記主張は当を得たものでない。 エ.本件発明4について (ア)本件発明4は、上記(1)において示したとおりのものである。 (イ)本件発明4と引用発明1の対比・判断 引用文献1の段落【0027】には、「金属層の密着力を向上させるために、プラズマまたはイオンビームを用いてITOフィルム20の表面を前処理する(S120)。ここで、イオンビームの発生のための反応性ガスとして、O_(2)、O_(3)、N_(2)、N_(2)O、NO_(2)、CO_(2)の中から選び、または、不活性ガスとして、Ar、Kr、Xe、Neのいずれかを選択する。」と記載されている。 ここで、「不活性ガスとして、Ar・・・を選択」した場合の引用発明1は、本件発明4の「アルゴンガス」に相当するガスを使用するものである。 よって、本件発明4と引用発明1とを対比すると、上記相違点1?3で相違する他は、一致している。 したがって、本件発明4は、引用発明1、引用文献3または4に記載された事項、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、その特許は特許法第113条第2項に該当する。 (ウ)本件発明4と引用発明2の対比・判断 本件発明4と引用発明2とを対比すると、上記相違点5で相違し、さらに以下の相違点で相違する。 [相違点8] 本件発明4は、「前記不活性ガスがアルゴンガスである」のに対して、引用発明2は、何らかのイオンを照射する工程を含んでいない点。 上記相違点8について検討する。 上記ウ.(ウ)で触れたように、引用発明2の加熱装置63による処理を、周知技術である加熱処理とプラズマによる表面処理の二段階の表面処理に変更することは、当業者が適宜なし得たことである。 そして、プラズマによる表面処理において、アルゴンガスを照射することは、本願出願時の技術常識であって(例えば、引用文献1の段落【0027】や、引用文献3の段落【0010】や、引用文献4の段落【0019】の記載を参照。)、引用発明2においてもそのようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。 したがって、本件発明4は、引用発明2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、その特許は特許法第113条第2項に該当する。 オ.本件発明5について (ア)本件発明5は、上記(1)において示したとおりのものである。 (イ)本件発明5と引用発明1の対比・判断 本件発明5と引用発明1とを対比すると、上記相違点1?3で相違し、さらに以下の相違点で相違する。 [相違点9] 本件発明5は、「前記準備工程において、前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムが、10Pa以下の真空環境下に置かれる」のに対して、引用発明1は、準備工程を有するかどうかが明らかでない点。 上記相違点9について検討する。 上記イ.(イ)で触れたように、引用発明1においても、透明導電性フィルム20の表面に反応性ガスのイオンビームを照射する表面処理工程は真空環境下で行われると解されるから、その準備工程として引用文献3または4に記載された事項を適用し、基材となるフィルムを製造装置に設置し、大気環境下から真空環境下に置き、前処理過程への準備をすることは、当業者が適宜なし得たことである。 そして、引用文献3の段落【0017】には、真空度を1×10^(-4)Paとして、Arガスを導入してRF印可電極の雰囲気圧力を1.5Paとすることが記載されている。また、引用文献4の段落【0026】には、真空度を4.7×10^(-3)Pa以下とすることが記載されている。さらに、引用文献5の段落【0056】には、真空度を8×10^(-4)Pa以下とすることが記載されている。 これらの記載からみて、引用発明1において、準備工程に相当する工程において10Pa以下とすることは、当業者が適宜なし得たことである。 したがって、本件発明5は、引用発明1、引用文献3または4に記載された事項、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、その特許は特許法第113条第2項に該当する。 (ウ)本件発明5と引用発明2の対比・判断 本件発明5と引用発明2とを対比すると、上記相違点5、7及び8で相違し、さらに以下の相違点で相違する。 [相違点10] 本件発明5は、「前記準備工程において、前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムが、10Pa以下の真空環境下に置かれる」のに対して、引用発明2は、「前記透明導電膜210を成膜した前記基材フィルム11をスパッタリング装置6に取り付けてチャンバー内を真空排気」する際に、どの程度の真空度にするかが明らかでない点。 上記相違点10について検討する。 引用文献3の段落【0017】には、真空度を1×10^(-4)Paとして、Arガスを導入してRF印可電極の雰囲気圧力を1.5Paとすることが記載されている。また、引用文献4の段落【0026】には、真空度を4.7×10^(-3)Pa以下とすることが記載されている。さらに、引用文献5の段落【0056】には、真空度を8×10^(-4)Pa以下とすることが記載されている。 これらの記載からみて、引用発明2において、「前記透明導電膜210を成膜した前記基材フィルム11をスパッタリング装置6に取り付けてチャンバー内を真空排気」する際において、10Pa以下とすることは、当業者が適宜なし得たことである。 したがって、本件発明5は、引用発明2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、その特許は特許法第113条第2項に該当する。 カ.本件発明8について (ア)本件発明8は、上記(1)において示したとおりのものである。 (イ)本件発明8と引用発明1の対比・判断 引用文献1の段落【0012】には、透明導電性フィルム20として、ITOが例示されている。 よって、本件発明8と引用発明1とを対比すると、上記相違点1?3及び9で相違する他は、一致している。 したがって、本件発明8は、引用発明1、引用文献3または4に記載された事項、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、その特許は特許法第113条第2項に該当する。 (ウ)本件発明8と引用発明2の対比・判断 引用文献5の段落【0055】には、透明導電膜210が、ITOからなることが記載されている。 よって、本件発明8と引用発明2とを対比すると、上記相違点5、7、8及び10で相違する他は、一致している。 したがって、本件発明8は、引用発明2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、その特許は特許法第113条第2項に該当する。 キ.小括 以上のとおり、本件発明1、3?5及び8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (4)取消理由としなかった異議申立理由について ア.申立人Bが申立てた理由のうち、本件発明1、3?5及び8に対するものが通知され、本件発明6及び7に対するものは通知されなかった。 この、本件発明6及び7に対する申立人Bの異議申立理由について、念のために検討すると、以下のとおりである。 なお、ここでいう甲第1号証とは、申立人Bの提出した特許異議申立書(以下「申立書B」という)に記載された甲第1号証である。以下、甲第1号証を「甲1」といい、甲1に記載された発明を「甲1発明」、甲1に記載された事項を「甲1記載事項」という。甲第2号証についても同様。 (ア)異議申立理由1(甲1を主とする特許法第29条第1項第3号) 本件発明6、7は、甲1発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明6、7に係る特許は特許法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 (イ)異議申立理由2(甲1を主とする特許法第29条第2項) 本件発明6、7は、甲1発明、及び甲2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、その特許は特許法第113条第2項に該当する。 (ウ)異議申立理由3(甲2を主とする特許法第29条第1項第3号) 本件発明6は、甲2発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明6に係る特許は特許法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 イ.異議申立理由1(甲1を主とする特許法第29条第1項第3号)についての検討 (ア)本件発明6について 申立人Bは、甲1の段落【0061】に、金属電極の材料として、Cu、Ag等の単体もしくは2種以上からなる合金が記載されていることをもって、本件発明6は甲1から容易に想到し得る事項であると主張(申立書Bの20ページ16?20行を参照)している。 しかしながら、甲1の段落【0061】には、「Cu、Ag、Al、Au、Ni、Ni/Cr、Ti等単体若しくは2種以上からなる合金」とは記載されていてもAPC合金であることまでは記載されてないから、本件発明6は、甲1発明であるとはいえない。 さらに、本件発明6は甲1から容易に想到し得る事項であるとの主張は、特許法第29条第1項第3号に関するものではない。 (イ)本件発明7について 申立人Bは、甲1の段落【0064】に、金属電極の下及び上に、Mo他の高融点金属層を形成してもよいことが記載されており、Moを含む合金である例えばMoNbは高融点の合金であることが周知の事項であることをもって、本件発明7は甲1から容易に想到し得る事項であると主張(申立書Bの20ページ下から4行?21ページ1行を参照)している。 しかしながら、甲1の段落【0064】には、「Ni、Ni/Cr、Cr、Ti、Mo他の高融点金属層及びこれらの酸化物層」とは記載されていてもMoNb合金であることまでは記載されていないから、本件発明7は、甲1発明であるとはいえない。 さらに、本件発明7は甲1から容易に想到し得る事項であるとの主張は、特許法第29条第1項第3号に関するものではない。 ウ.異議申立理由2(甲1を主とする特許法第29条第2項)についての検討 (ア)本件発明6について 甲1の段落【0061】には、「Cu、Ag、Al、Au、Ni、Ni/Cr、Ti等単体若しくは2種以上からなる合金」とは記載されていてもAPC合金(Ag、Pd、Cu合金)であることまでは記載されていないし、「Cu、Ag、Al、Au、Ni、Ni/Cr、Ti」の中からCuとAgの2種を選択した上で、甲1に記載されていないPdを追加してAPC合金とすることについての示唆もなく、APC合金とすることについての根拠となる他の証拠も提出されていない。 よって、本件発明6は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (イ)本件発明7について 甲1の段落【0064】には、「Ni、Ni/Cr、Cr、Ti、Mo他の高融点金属層及びこれらの酸化物層」とは記載されていてもMoNb合金であることまでは記載されていないし、「Ni、Ni/Cr、Cr、Ti、Mo」の中からMoを選択した上で、甲1に記載されていないNbを追加してMoNb合金とすることについての示唆もない。 また、申立人Bは、MoNbは高融点の合金であることが周知の事項であると主張しているけれども、周知技術であることを示す証拠は提示されていないし、周知技術であるとしても、単にMoNb合金が高融点合金であるからということのみでは、Nbも合金であることも記載されていない甲1において、「高融点金属層及びこれらの酸化物層」としてMoNb合金を選択することの動機付けにはならない。 よって、本件発明7は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 エ.異議申立理由3(甲2を主とする特許法第29条第1項第3号)についての検討 申立人Bは、甲2の段落【0018】に、金属細線がAgによって形成されてよいことが記載されていることをもって、本件発明6は甲2から容易に想到し得る事項であると主張(申立書Bの24ページ1?5行を参照)している。 しかしながら、甲2には、Agであることは記載されていてもAPC合金であることまでは記載されてないから、本件発明6は、甲2発明であるとはいえない。 さらに、本件発明6は甲2から容易に想到し得る事項であるとの主張は、特許法第29条第1項第3号に関するものではない。 なお念のために、本件発明6について甲2を主とする特許法第29条第2項について検討すると、甲2の段落【0018】には、「上記金属細線としては、例えば、金属の中でも抵抗の低いCu(銅)、Ag(銀)、Al(アルミニウム)等を用いることができる。」と記載されているのであって、合金とは記載されていないし、ましてやAPC合金(Ag、Pd、Cu合金)であることは記載されておらず、「Cu(銅)、Ag(銀)、Al(アルミニウム)等」の中からCuとAgの2種を選択した上で、甲2に記載されていないPdを追加してAPC合金とすることについての示唆もなく、APC合金とすることについての根拠となる他の証拠も提出されていない。 よって、本件発明6は、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 5.むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由によって、本件発明1、3?5及び8に係る特許は、取り消されるべきものである。 また、本件発明6及び7に係る特許は、特許異議申立書に記載した異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件発明6及び7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2019-12-10 |
出願番号 | 特願2013-81499(P2013-81499) |
審決分類 |
P
1
652・
121-
ZE
(C23C)
P 1 652・ 113- ZE (H01B) P 1 652・ 113- ZE (B32B) |
最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 清水 晋治 |
特許庁審判長 |
高山 芳之 |
特許庁審判官 |
横溝 顕範 杉山 悟史 |
登録日 | 2018-01-12 |
登録番号 | 特許第6268568号(P6268568) |
権利者 | 大日本印刷株式会社 |
発明の名称 | 積層体の製造方法および積層体 |
代理人 | 宮嶋 学 |
代理人 | 佐藤 泰和 |
代理人 | 岡村 和郎 |
代理人 | 永井 浩之 |
代理人 | 堀田 幸裕 |
代理人 | 中村 行孝 |
代理人 | 高田 泰彦 |
代理人 | 朝倉 悟 |