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審決分類 審判 査定不服 発明者同一 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1361821
審判番号 不服2019-13746  
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-15 
確定日 2020-05-12 
事件の表示 特願2015- 39534「画像処理装置およびX線診断装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月 8日出願公開、特開2015-177972、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成27年2月27日(優先権主張 平成26年2月28日)の出願であって、平成30年12月4日付けで拒絶理由が通知され、平成31年2月12日付けで意見書及び手続補正書が提出され、令和元年7月4日付けで拒絶査定されたところ、同年10月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同年10月16日付けで宣誓書が添付された手続補足書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和元年7月4日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1,2,6,7,9に係る発明は、下記の特許出願1(以下「先願1」という。)の願書に最初に添付された明細書、請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載された発明と実質的に同一のものであり、本願の出願人、発明者は、先願1の出願人、発明者と同一ではないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。

先願1:特願2013-240483号(特開2014-121593号)

第3 本願発明
本願請求項1-13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明13」という。)は、平成31年2月12日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-13に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
医用画像データに含まれた注目対象を示す部分を同定する同定部と、
前記同定した部分の互いに方向が異なる複数の断面への投影に基づいて、前記複数の断面のうち、前記注目対象の走行方向に対応する断面を求める算出部と、
前記求められた断面にノイズ低減処理を施す画像処理部と、を備えること
を特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記同定部は、前記医用画像データから、前記注目対象として血管に相当する部分を同定すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記血管に相当する部分とあらかじめ設定された径とを比較し、前記血管に相当する部分のうち、当該径より小径の部分を特定し、特定した当該部分の走行方向を求めること、
を特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記同定部は、
前記注目対象としての血管のうち、小径の血管を消失させるように前記医用画像データを縮小し、
前記小径の血管が消失された画像と、該画像の元画像との差分を求めることにより前記小径の血管を求めること、
を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記同定部は、
前記医用画像データから前記注目対象としての血管を特定し、該血管それぞれの径を求め、
求めた各血管における径のうち、閾値以下の径である小径の血管を特定すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、
前記ノイズ低減処理の対象画素の画素値と、その周辺画素の画素値との適合度を求め、 前記対象画素と前記周辺画素それぞれとの適合度に応じ、前記周辺画素それぞれの重みを決め、
前記重みにより前記周辺画素の重み付き平均を求め、
前記対象画素の画素値を、前記適合度と前記重み付き平均に基づき求めること、
を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記医用画像データは、該医用画像データを取得するための検査プログラムに基づいて取得され、
前記算出部は、前記検査プログラムに対応して、ノイズ低減処理を施す断面を変更すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
医用画像データから注目対象として血管に相当する部分を同定する同定部と、
同定した部分に基づいて、前記医用画像データにおける、前記血管に相当する部分が投影された直交3断面それぞれのエネルギーまたは前記血管に相当する部分の面積を求める算出部と、
前記各断面のエネルギーまたは面積に基づいて、前記医用画像データに対するノイズ低減処理を施す断面を同定する処理部とを備えること、
を特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
医用画像データを生成する生成部と、
前記医用画像データに含まれた注目対象を示す部分を同定する同定部と、
前記同定した部分の互いに方向が異なる複数の断面への投影に基づいて、前記複数の断面のうち、前記注目対象の走行方向に対応する断面を求める算出部と、
前記求められた断面にノイズ低減処理を施す画像処理部とを備えること、
を特徴とするX線診断装置。
【請求項10】
前記算出部は、前記同定した部分の互いに方向が異なる前記複数の断面への投影における、エネルギーまたは前記同定した部分の面積に基づいて、前記注目対象の走行方向に対応する断面を求める、請求項1から7のうちいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
医用画像データに含まれた注目対象として血管に相当する部分を同定する同定部と、
前記医用画像データにおいて、前記注目対象の走行方向に対応する断面を求める算出部と、
前記求められた断面にノイズ低減処理を施す画像処理部と、を備え、
前記算出部は、前記同定部により同定された前記血管について所定の区間ごとにベクトルを求め、さらに当該区間ごとの前記ベクトルの総和を求めることにより前記断面を同定すること、
を特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
医用画像データに含まれた注目対象として血管に相当する部分を同定する同定部と、
前記医用画像データにおいて、前記注目対象の走行方向に対応する断面を求める算出部と、
前記求められた断面にノイズ低減処理を施す画像処理部と、を備え、
前記算出部は、前記同定部により同定された前記血管について所定の区間ごとに単位ベクトルを求め、さらに当該区間ごとの前記単位ベクトルの総和を求めることにより前記断面を同定すること、
を特徴とする画像処理装置。
【請求項13】
医用画像データに含まれた注目対象として血管に相当する部分を同定する同定部と、
前記医用画像データにおいて、前記注目対象の走行方向に対応する断面を求める算出部と、
前記求められた断面にノイズ低減処理を施す画像処理部と、を備え、
前記算出部は、前記同定部により同定された前記血管について所定の区間ごとにベクトルを求め、さらに当該区間ごとの前記ベクトルの総和を求めることにより前記断面を同定し、同定された前記血管を示す部分に基づいて血管径をそれぞれ求め、さらに前記血管径に基づいて前記ベクトルを求める区間の長さを変更すること、
を特徴とする画像処理装置。」

第4 本願、及び、先願1の発明者について
本願の発明者は、大石悟であり、原査定において提示された、本願の優先日前の出願であって本願の優先日後に出願公開がされた先願1(特願2013-240483号(特開2014-121593号))の発明者は、大石悟、白石邦夫、竹元久人である。

請求人は、令和元年10月15日付けの審判請求書において、
「別途提出致しました宣誓書に記載の通り、先願1の当初明細書等に記載の発明のうち、本願の出願に係る発明と実質的に同一と認定されている発明は、「大石 悟」が単独でなした発明です。よって、本願の出願に係る発明の発明者と先願1の当初明細書等に記載された発明の発明者とは同一です。
従いまして、本願は特許法第29条の2の拒絶理由を有しません。」
と主張しており、令和元年10月16日付けで、先願1の当初明細書等に記載された発明のうち、本願の出願に係る発明と実質同一であるものについて、大石悟が発明者であり、白石邦夫、竹元久人は発明者ではないとする宣誓書を添付した手続補足書を提出した。

上記宣誓書によれば、原査定において本願発明1,2,6,7,9と実質的に同一であるとした、先願1の当初明細書等に記載された発明の発明者は、本願の発明者と同一の大石悟であると認められ、本願は、特許法第29条の2の規定により拒絶されるべきものではない。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明1-13は、特許法第29条の2の規定により拒絶されるべきものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2020-04-21 
出願番号 特願2015-39534(P2015-39534)
審決分類 P 1 8・ 162- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山口 裕之  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 渡戸 正義
松谷 洋平
発明の名称 画像処理装置およびX線診断装置  
代理人 特許業務法人三澤特許事務所  

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